JP5089664B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車等に搭載された電動パワーステアリング装置等の車両用操舵制御装置に関し、特に、トルクステアの発生を検出し、その影響を抑制することが可能なように構成された車両用操舵制御装置に関する。
路面の摩擦係数が小さい雪道や凍った路面での車両の発進時に於いて、操舵輪が駆動輪を兼ねている所謂前輪駆動車の場合、左右の駆動輪が接している路面の摩擦係数の違いによって、片方の駆動輪が空転することがある。この場合、空転している駆動輪では、路面とタイヤとの間で発生する駆動トルクが小さく、一方、空転していない駆動輪では大きな駆動トルクが発生する。このため、左右の駆動力差が生まれ、ハンドルがドライバの意図していない方向に回転する、所謂、トルクステアという現象が発生する。
このトルクステア現象は、ドライバの意図しない「ハンドル取られ」現象であり、ドライバの操舵を妨げ、又、車両偏向を起こす場合もある。このような状況に於いての運転者の操舵負荷を低減するため、電動パワーステアリングの電動モータによってトルクステア補償トルクを付加するようにした技術がある。例えば、トルクステアは車両の急発進時に発生する確率が高いことから、車両の前後加速度によって急発進を判定し、急発進であると判定した場合に、トルクステアを抑制するために電動パワーステアリングのアシスト量を増量補正するようにしたパワーステアリング装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−213085号公報
しかしながら、特許文献1に示された従来の装置では、トルクステアの発生そのものを検出しているわけではないため、トルクステアが発生していないときにもトルクステア抑制の制御が介入してしまうことによって、通常の操舵に悪影響を与える恐れがあった。
この発明は、従来の装置に於ける前述のような課題を解決するためになされたもので、駆動輪の空転によるトルクステアの発生を正確に検出し、電動パワーステアリングによりトルクステアを抑制する方向にアシストトルクを発生することでトルクステアの影響を軽減し、ドライバの操舵負荷軽減と、安定した操舵状態の実現を可能とする車両用操舵制御装置を得ることを目的とする。
この発明による車両用操舵制御装置は、一対の操舵輪が駆動輪を兼ねる車両に用いられ、運転者による操舵に応じてアシストトルクを発生するアシストモータにより前記操舵輪の操舵をアシストするようにした車両用操舵制御装置であって、前記一対の操舵輪の各々の車輪速を検出し、前記検出した値に相当する車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、前記車両のハンドル角を検出し、前記検出した値に相当するハンドル角信号を出力するハンドル角検出手段と、前記車輪速信号に基づいて演算した前記車両のステアリング軸の回転に関連する第一のステアリング軸回転関連値と、前記ハンドル角信号に基づく第二のステアリング軸回転関連値とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記車両に於けるトルクステアの発生の有無を検出するトルクステア検出手段とを備え、前記第一のステアリング軸回転関連値と第二のステアリング軸回転関連値とは、前記ステアリング軸の回転角度であり、前記トルクステア判定手段は、前記第一のステアリング軸回転関連値と前記第二のステアリング軸回転関連値との符号が同一であるか否かに基づいて前記トルクステアの発生の有無を検出するように構成され、前記トルクステア検出手段が前記トルクステアの発生を検出したとき、前記トルクステアを抑制するように前記アシストトルクを補正するようにしたことを特徴とするものである。
又、この発明による車両用操舵制御装置は、一対の操舵輪が駆動輪を兼ねる車両に用いられ、運転者による操舵に応じてアシストトルクを発生するアシストモータにより前記操舵輪の操舵をアシストするようにした車両用操舵制御装置であって、前記一対の操舵輪の各々の車輪速を検出し、前記検出した値に相当する車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、前記車両のハンドル角を検出し、前記検出した値に相当するハンドル角信号を出力するハンドル角検出手段と、前記車輪速信号に基づいて演算した前記車両のステアリング軸の回転に関連する第一のステアリング軸回転関連値と、前記ハンドル角信号に基づく第二のステアリング軸回転関連値とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記車両に於けるトルクステアの発生の有無を検出するトルクステア検出手段とを備え、前記第一のステアリング軸回転関連値と第二のステアリング軸回転関連値とは、前記ステアリング軸の回転角速度であり、前記トルクステア判定手段は、前記第一のステアリング軸回転関連値と前記第二のステアリング軸回転関連値との符号が同一であるか否かに基づいて前記トルクステアの発生の有無を検出するように構成され、前記トルクステア検出手段が前記トルクステアの発生を検出したとき、前記トルクステアを抑制するように前記アシストトルクを補正するようにしたことを特徴とするものである。
この発明による車両用操舵制御装置によれば、前記車輪速信号に基づいて演算した前記車両のステアリング軸の回転に関連する第一のステアリング軸回転関連値と、前記ハンドル角信号に基づく第二のステアリング軸回転関連値とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記車両に於けるトルクステアの発生の有無を検出するトルクステア検出手段とを備え、前記第一のステアリング軸回転関連値と第二のステアリング軸回転関連値とは、前記ステアリング軸の回転角度であり、前記トルクステア判定手段は、前記第一のステアリング軸回転関連値と前記第二のステアリング軸回転関連値との符号が同一であるか否かに基づいて前記トルクステアの発生の有無を検出するように構成され、前記トルクステア検出手段が前記トルクステアの発生を検出したとき、前記トルクステアを抑制するように前記アシストトルクを補正するように構成されているので、駆動輪の左右の駆動力差によって発生するトルクステアを正確に検出することができ、この検出結果に基づいてトルクステアを抑制することができるため、通常の操舵に悪影響を及ぼすことなく、ドライバの操舵負荷を軽減し、安定した操舵状態を実現することが可能な車両用操舵制御装置を得ることができる。
又、この発明による車両用操舵制御装置によれば、前記車輪速信号に基づいて演算した前記車両のステアリング軸の回転に関連する第一のステアリング軸回転関連値と、前記ハンドル角信号に基づく第二のステアリング軸回転関連値とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記車両に於けるトルクステアの発生の有無を検出するトルクステア検出手段とを備え、前記第一のステアリング軸回転関連値と第二のステアリング軸回転関連値とは、前記ステアリング軸の回転角速度であり、前記トルクステア判定手段は、前記第一のステアリング軸回転関連値と前記第二のステアリング軸回転関連値との符号が同一であるか否かに基づいて前記トルクステアの発生の有無を検出するように構成され、前記トルクステア検出手段が前記トルクステアの発生を検出したとき、前記トルクステアを抑制するように前記アシストトルクを補正するように構成されているので、駆動輪の左右の駆動力差によって発生するトルクステアを正確に検出することができ、この検出結果に基づいてトルクステアを抑制することができるため、通常の操舵に悪影響を及ぼすことなく、ドライバの操舵負荷を軽減し、安定した操舵状態を実現することが可能な車両用操舵制御装置を得ることができる。
この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置の全体構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置の主要部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるアシストトルク決定ブロックの構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置により制御されてヨーレートγにて旋回している車両を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるy=δCos(δ)の特性を示すグラフである。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の一連の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア補正手段の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於ける効果を示す説明図である。 この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の一連の動作を示すフローチャートである。
実施の形態1.
以下、この発明の好適な実施の形態1による車両用操舵制御装置につき、図面を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置の全体構成を示す構成図である。図1に於いて、車両用操舵制御装置100は、車両のステアリング機構(操舵機構とも言うが、以下の説明では、ステアリング機構と称する)10に取り付けられる。ステアリング機構10は、ハンドル1と、ステアリング軸2と、ステアリングギアボックス3と、ラックアンドピニオン機構6、及び、左操舵輪である左前輪及び右操舵輪である右前輪(以下、これらを総称するときは、左右操舵輪と称する)を夫々構成するタイヤ7を含んでいる。左右操舵輪は、駆動輪を兼ねている。
車両用操舵制御装置100は、ステアリング軸2に取り付けられたトルクセンサ4と、ステアリング軸2に連結されたアシストモータ5と、ハンドル1に取り付けられたハンドル角センサ9と、ステアリング機構10に電気的に結合されアシストモータ5を制御するEPS(Electric Power Steering)用の電子制御ユニット(Electric Control Unit)(以下、単に、制御ユニットと称する)8と、これらを電気的に接続するケーブルを含む。尚、当然、電源装置も含むが、電源装置を備えることは自明であるのでここではその説明を省略する。
ハンドル1は、運転者が操舵する自動車等の車両のステアリングハンドルであり、ステアリング軸2の上端に連結されている。ハンドル1には運転者による操舵トルクThdlが加えられステアリング軸2に伝達される。ステアリング軸2に結合されたトルクセンサ4は、操舵トルクThdlを検出し、その検出値に対応した操舵トルク検出信号Thdl(s)を出力する。
アシストモータ5は、電動モータにより構成されており、ステアリング軸2に図示しない減速ギアを介して結合され、運転者による操舵トルクThdlをアシストするアシストトルクTassistを発生してステアリング軸2に与える。
ステアリングギアボックス3は、ステアリング軸2の下端に設けられている。ステアリング軸2に与えられる操舵トルクThdlとアシストトルクTassistとを加え合わせた合成ト
ルクは、ステアリングギアボックス3を通じて数倍に増幅され、ラックアンドピニオン軸6を通じてタイヤ7を含む左右一対の操舵輪に加えられる。左右の操舵輪は、ステアリングギアボックス3から加えられたトルクに基づいて操舵される。
ハンドル1に取り付けられているハンドル角センサ9は、運転者の操舵によるハンドル1の回転角度(以下、ハンドル角と称する)Thetaを検出し、その検出値に対応したハン
ドル角信号Theta(s)を出力する。
前述の制御ユニット8は、操舵トルク検出信号Thdl(s)と、ハンドル角信号Theta(s)と
、左前輪車輪速信号WheelSpd_fl(s)と、右前輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)と、ヨーレート信号Yaw_rate(s)と、横加速度信号Gy(s)と、モータ駆動電流検出信号Imtr(s)を入力とし
、アシストモータ5に対するモータ制御信号Imtr(t)を出力してアシストモータ5に供給
する。ここで、アシストモータ5に供給されるモータ制御信号Imtr(t)は、アシストモー
タ5に対する駆動目標電流値となる。
図1に示す車両用操舵制御装置100は、運転者がハンドル1を操作したときの操舵ト
ルクThdlをトルクセンサ4により検出し、その検出値に相当する操舵トルク検出信号Thdl(s)に基づいて、操舵トルクThdlを補助するアシストトルクTassistをアシストモータ5に発生させることを主たる機能とする。
次に、車両用操舵制御装置100の機能を力学的に説明する。操舵トルクThdlとアシストトルクTassistとの和が、ステアリング軸反力トルクTtranに抗してステアリング軸2を回転させる。又、ハンドル1を回転させるときには、アシストモータ5の慣性項も作用する。従って、ステアリング軸反力トルクTtranは次式(1)で与えられる。
Ttran = Thdl + Tassist − J・dw/dt (1)
但し、wはアシストモータ5の角速度であり、J・dw/dtはアシストモータ5の慣性トル
クを表わす。
又、アシストモータ5によるアシストトルクTassistは、次式(2)により与えられる

Tassist = Ggear・Kt・Imtr (2)
但し、Ggearはアシストモータ5とステアリング軸2との間の減速ギアの減速ギア比、Ktはアシストモータ5のトルク定数である。
更に、ステアリング軸反力トルクTtranは、実路面反力トルクTalignとステアリング機
構10内の摩擦トルクTfricとの和であり、次式(3)で与えられる。
Ttran = Talign + Tfric
= Talign + (Ggear・Tmfric + Tfrp) (3)
但し、Tmfricはアシストモータ5に於ける摩擦トルク、Tfrpはアシストモータ5に於ける摩擦トルクTmfricを除くステアリング機構10の摩擦トルクであり、
Tmfric・Gger + Tfrp = Tfric (4)
である。
車両用操舵制御装置100の制御ユニット8は、前述したように、アシストモータ5に対する駆動目標電流値となるモータ制御信号Imtr(t)を出力し、アシストモータ5の実際のモータ駆動電流Imtrの値がモータ制御信号Imtr(t)に一致するようにアシストモータ5を
制御する。その結果、アシストモータ5は、モータ駆動電流Imtrの値にトルク定数とギア比(アシストモータ5とステアリング軸2との間のギヤ比)とを乗じて得られる所定のアシストトルクを発生し、この発生したアシストトルクを運転者による操舵トルクThdlに加え、運転者の操舵をアシストする。
図2は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置の主要部の構成を示すブロック図であり、特に、図1に於ける制御ユニット8の構成と、アシストモータ5に内蔵されているアシストモータ制御回路(図1には図示せず)の構成を示している。
図2に於いて、制御ユニット8への入力信号を出力する装置として、車速検出器11と、操舵トルク検出器12と、モータ角速度検出器13と、車輪速検出手段としての車輪速検出器15と、ハンドル角検出手段としてのハンドル角検出器16と、ヨーレート検出器18と、横加速度検出器19と、モータ電流検出器24とが設けられている。又、制御ユニット8は、モータ角加速度検出器14と、ハンドル角速度演算手段17と、アシストトルク決定ブロック20と、モータ電流決定器21と、モータ電流比較器22と、モータ駆動器23と、トルクステア検出手段25を含んでいる。
車速検出器11は、車速Vを検出し、その検出した値に相当する車速信号V(s)を出力してアシストトルク決定ブロック20及びトルクステア検出手段25に夫々入力する。操舵トルク検出器12は、前述のトルクセンサ4を含み、トルクセンサ4が検出した操舵トルクThdlの値に相当する操舵トルク信号Thdl(s)を出力してアシストトルク決定ブロック2
0に入力する。モータ角速度検出器13は、アシストモータ5のモータ角速度Smtrを検出し、その検出した値に相当するモータ角速度信号Smtr(s)を出力してアシストトルク決定
ブロック20とモータ角加速度検出器14に夫々入力する。
モータ角加速度検出器14は、モータ角速度検出器13から入力されたモータ角速度信号Smtr(s)を微分して得た値に相当するモータ角加速度信号Amtr(s)を出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。車輪速検出器15は、左右操舵輪のタイヤ7に夫々設置されている左前輪車輪速センサ及び右前輪車輪速センサ(何れも図示せず)を含み、左
前輪車輪速センサが検出した左前輪車輪速WheelSpd_fl、及び右前輪車輪速センサが検出
した右前輪車輪速WheelSpd_frに夫々相当する左前輪車輪速信号WheelSpd_fl(s)及び右前
輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)を出力し、トルクステア検出手段25に入力する。
ハンドル角検出器16は、前述のハンドル角センサ9を含み、ハンドル角センサ9が検出したハンドル角Thetaの値に相当するハンドル角信号Theta(s)を出力し、ハンドル角速
度演算手段17及びトルクステア検出手段25に夫々入力する。ハンドル角速度演算手段17は、ハンドル角検出器16から入力されたハンドル角信号Theta(s)を微分してハンドル角速度信号dTheta(s)を出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。
ヨーレート検出器18は、車両に設置されたヨーレートセンサ(図示せず)を含み、ヨーレートセンサが検出した車両のヨーレートYaw_rateの値に相当するヨーレート信号Yaw_rate(s)を出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。横加速度検出器19は、車両に設置された横加速度センサ(図示せず)を含み、横加速度センサが検出した車両の横加速度Gyの値に相当する横加速度信号Gy(s)を出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。
トルクステア検出手段25は、入力された車速信号V(s)と、左前輪車輪速信号WheelSpd_fl(s)と、右前輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)と、ハンドル角信号Theta(s)とに基づいてトルクステア検出フラグ信号Trq_str_flag(s)を出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。
この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置の主要な特徴の一つは、トルクステア検出手段25を設けた点にあるが、トルクステア検出手段25の詳細に関しては後述する。
アシストトルク決定ブロック20は、車速信号V(s)と、操舵トルク信号Thdl(s)と、モ
ータ角速度信号Smtr(s)と、モータ角加速度信号Amtr(s)と、ハンドル角信号Theta(s)と、ハンドル角速度信号dTheta(s)と、ヨーレート信号Yaw_rate(s)と、横加速度信号Gy(s)と
、トルクステア検出フラグ信号Trq_str_flag(s)とを入力とし、これらの入力された信号
に基づいて、アシストモータ5が発生すべきアシストトルクTassistを決定し、その決定
したアシストトルクTassistの値に相当するアシストトルク信号Tassist(s)を出力してモ
ータ電流決定器21に入力する。モータ電流決定器21は、入力されたアシストトルク信号Tassist(s)に基づいて、アシストトルク決定ブロック20により決定されたアシストトルクTassistを発生させるための電流基準信号Iref(s)を出力する。
モータ電流比較器22と、モータ駆動器23と、モータ電流検出器24とは、アシストモータ5を駆動するためのアシストモータ制御回路を構成している。モータ電流検出器24は、アシストモータ5の実際のモータ駆動電流Imtrを検出し、その検出した値に相当するモータ駆動電流検出信号Imtr(s)を出力してモータ電流比較器22に入力する。
モータ電流比較器22は、モータ電流決定器21からの電流基準信号Iref(s)と、モー
タ電流検出器24からのモータ駆動電流検出信号Imtr(s)とを比較し、その偏差に相当す
る電流偏差信号を出力してモータ駆動機23に入力する。モータ駆動器23は、入力された電流偏差信号を「0」とするようなモータ制御信号Imtr(t)を出力しアシストモータ5
を駆動する。その結果、アシストモータ5は、アシストトルク決定ブロック20により決定された所定のアシストトルクTassistを発生することになる。
次に、前述のアシストトルク決定ブロック20について更に詳細に説明する。図3は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるアシストトルク決定ブロックの構成を示すブロック図である。図3に於いて、アシストトルク決定ブロック20は、アシストマップ補償器30と、慣性補償器31と、粘性補償器32と、トルクステア補正手段33と、加算器34とを含んでいる。
アシストマップ補償器30は、車速信号V(s)と操舵トルク信号Thdl(s)とに基づいてア
シストマップ補償トルク信号map(s)を出力する。慣性補償器31は、車速信号V(s)とモータ角加速度信号Amtr(s)とに基づいて慣性補償トルク信号iner(s)を出力する。粘性補償器32は、車速信号V(s)とモータ角速度信号Smtr(s)とに基づいて粘性補償トルク信号damp(s)を出力する。トルクステア補正手段33は、車速信号V(s)とハンドル角信号Theta(s)とハンドル角速度信号dTheta(s)とヨーレート信号Yaw_rate(s)と横加速度信号Gy(s)とトルクステア検出信号Trq_str_flag(s)とに基づいて、トルクステア補償トルク信号trq_str(s)を出力する。
この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置のもう一つの主要な特徴は、トルクステア補正手段33を設けた点にあり、その詳細に関しては前述のトルクステア検出手段25の説明と併せて後述する。
尚、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置では、アシストトルク決定ブロック20に於ける補償手段として、アシストマップ補償器30、慣性補償器31、粘性補償器32、及びトルクステア補正手段33を用いたが、これらに限定されるものではなく、その他の様々な補償器を用いても良い。
又、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置では、アシストトルク決定ブロック20への入力信号を、車速信号V(s)と、操舵トルク信号Thdl(s)と、モータ角加速度Amtr(s)と、モータ角速度信号Smtr(s)と、ハンドル角信号Theta(s)と、ハンドル角速度信号dTheta(s)と、ヨーレート信号Yaw_rate(s)と、横加速度信号Gy(s)と、トルクステア検出信号Trq_str_flag(s)としたが、これらに限定されるものではなく、この他の様々な信号を入力信号としても良い。
次に、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於ける主要な特徴の一つであるトルクステア検出手段25について説明する。図2に於いて、トルクステア検出手段25では、左右操舵輪の各々の車輪速に基づいてステアリング軸の回転角度を演算し、一方、ハンドル角センサ9から得られた実際のハンドル角に基づいてステアリング軸の回転角度を演算し、これらの演算に基づくステアリング軸の回転角度を比較することで、トルクステアを検出する。そこで、先ず初めに、左右操舵輪の各々の車輪速に基づいてハンドル角を求める原理について説明する。
左右操舵輪の実舵角が同一であるとした場合、実舵角δとハンドル角θはステアリングギア比Ggear_strを用いて次式(5)により表される。
Figure 0005089664
よって、実舵角δを求めればハンドル角θが求まるため、ここでは実舵角δを求める原理について述べる。ハンドル角θは、ステアリング軸の回転角度に相当する。
図4は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置により制御されてヨーレートγにて旋回している車両を示す説明図である。左右操舵輪を構成する各タイヤが急激なスリップをしないという前提条件に於いては、左前車輪速WheelSpd_flと右前車輪速WheelSpd_frは、夫々、次式(6)及び(7)により表される。
Figure 0005089664
Figure 0005089664
ここで、βは車体重心横滑り角、Vは車速、Trはトレッド幅である。
よって、式(6)と式(7)とから、ヨーレートγは次式(8)のように表すことができる。
Figure 0005089664
ここで、車両のヨーレートγと実舵角δとの間には、スタビリティファクタA、車速V、ホイールベースLを用いて、次式(9)の関係が成り立つ。
Figure 0005089664
但し、スタビリティファクタAは、車両の質量や重心位置、ホイールベース等、車両の
固有の値によって成り立つステア特性である。
式(8)と式(9)とにより、次式(10)が得られる。
Figure 0005089664
式(10)により、右前輪車輪速WheelSpd_frと、左前輪車輪速WheelSpd_flと、車速V
とから、δ・cos(δ)を一意的に求めることができる。
図5は、この実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるy=δ・Cos(δ)の特性を
示すグラフである。図5に於いて、縦軸はδCos(δ)、横軸は実舵角δ[deg]を表している。図5から明らかなように、y=δ・Cos(δ)は単調関数ではなく、yの値は実舵角δに対して一意的には決まらない。よって、左右の前輪車輪速と車速とから、δ・Cos(δ)が一
意的に求まったとしても、実舵角δを一意的に求めることはできない。
しかし、一般的な車両に於ける実舵角δは45度未満であり、実舵角δを図5の矢印で示す[−45<δ<45]の単調増加区間の範囲に限定することができる。[−45<δ<45]という制約条件の下では、δ・Cos(δ)は単調関数とみなすことができ、yは実舵角δによって一意的に決まり、逆に実舵角δもyによって一意的に決まる。以上のことから、前述の式(10)によって左右各々の車輪速と車速からδ・Cos(δ)を求め、このδ・Cos(δ)から実舵角δを求めることが可能であることが分かる。
さて、式(10)から求めた実舵角δから前述の式(5)により求められるハンドル角θと、ハンドル角センサ9により検出されたハンドル角Thetaとは、通常走行時には一致
する。しかし、左右操舵輪のうちどちらかが空転し、トルクステアが発生した場合には、左右の前輪車輪速と車速とから前述の式(10)により演算される実舵角δに基づいて前述の式(5)により得られるハンドル角θと、ハンドル角センサ9により検出されるハンドル角Thetaとは一致しなくなる。この発明ではこの特徴を利用し、以下述べるようにト
ルクステア検出手段25によりトルクステアの検出を行う。
図6は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の構成を示すブロック図である。図6に於いて、トルクステア検出手段25は、第一ステアリング軸回転検出手段61と、第二ステアリング軸回転検出手段62と、減算器63と、トルクステア検出閾値マップ64とを含んでいる。
第一ステアリング軸回転検出手段61は、車輪速検出器15からの左前輪車輪速信号WheelSpd_fl(s)と、右前輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)と、車速検出器11からの車速信号V(s)とを入力とし、これらの入力された信号に基づいて、ステアリング軸の回転角度を前述の式(10)及び式(5)に基づいて演算し、その演算した値に相当する第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)を出力し、減算器63に入力する。前述の式(10)及び式(5)に基づき演算されたステアリング軸の回転角度は、この発明に於ける第一のステアリング軸回転関連値を構成する。
第二ステアリング軸回転検出手段62は、ハンドル角センサ9が検出したハンドル角Thetaに基づきハンドル角検出器16が出力したハンドル角信号Theta(s)を入力としてメモリに読込み、このハンドル角信号Theta(s)を第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)としてそのまま出力し、減算器63に入力する。前述のハンドル角検出器16が出力したハンドル角信号Theta(s)に基づくステアリング軸の回転角度は、この発明に於ける第二のステアリング軸回転関連値を構成する。
減算器63は、入力された第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)から第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)を減算し、その減算値に相当する信号を出力しトルクステア検出閾値マップ64に入力する。
トルクステア検出閾値マップ64は、トルクステア検出閾値を記憶したマップであり、減算器63から入力される信号の値と記憶しているトルクステア検出閾値とを比較し、減算器63からの出力がトルクステア検出閾値以上であった場合にトルクステアが発生しているとして、トルクステア検出フラグ信号Trq_str_flg(s)を「1」として出力する。
次に、以上のように構成されたトルクステア検出手段25の動作を、フローチャートを用いて説明する。図7は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるト
ルクステア検出手段の一連の動作を示すフローチャートであり、スタートとエンドの間に、ステップS701〜S706までを含んでいる。尚、前述の図6には、図7に示すフローチャートに於けるステップS701〜S706を各ブロックに対応させて記載している。
図7に於いて、先ず、ステップS701に於いて、第一ステアリング軸回転検出手段61は、左前輪車輪速信号WheelSpd_fl(s)と、右前輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)と、車速信号V(s)とをメモリに読込み、前述の式(10)及び式(5)に基づいてハンドル角θ、即ちステアリング軸回転角度を演算し、その演算値に相当する第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)を出力する。次に、ステップS702に進み、第二ステアリング軸回転検出手段62は、ハンドル角度信号Theta(s)をメモリに読込み、その値を第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)としてそのまま出力する。
次に、ステップS703に進み、減算器63は、第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)から第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)を減算し、その減算値に相当する信号を出力する。ステップS704に進むと、トルクステア検出閾値マップ64により、減算器63の出力信号とトルクステア検出閾値を比較する。この比較に於いて、減算器63の出力信号がトルクステア検出閾値マップに設定されたトルクステア検出閾値以上であった場合は、ステップS705に進み、トルクステア検出手段25は、トルクステアが発生していると判断してトルクステア検出フラグ信号Trq_str_flg(s)を「1」として出力する。
一方、ステップS704の比較に於いて、減算器33の出力信号がトルクステア検出閾値マップに設定されたトルクステア検出閾値の閾値未満であった場合は、ステップS706に進み、トルクステア検出手段25は、トルクステアは発生していないと判断してトルクステア検出フラグ信号Trq_str_flg(s)を「0」として出力する。
ここで、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置では、図6及び図7により説明したように、トルクステア検出のために第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)から第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)を減算したが、第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)と第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)とが一致していない場合にトルクステア発生の可能性が高いことから、より簡易的に、第一のステアリング軸回転角度信号1st_str_shaft_angle(s)と第二のステアリング軸回転角度信号2nd_str_shaft_angle(s)の絶対値の偏差を取りその偏差に基づいてトルクステアの発生を検出してもよく、或いは、これらの両信号が異符号であることを確認することでトルクステアの発生を検出するようにしても良い。
次に、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア補正手段33の詳細について説明する。このトルクステア補正手段33は、前述したように図3に示すアシストトルク決定ブロック20に設けられており、トルクステア検出手段25により検出されたトルクステアの影響を適切に抑制するためのトルクステア補償トルク信号trq_str(s)を出力する。
図8は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア補正手段の構成を示すブロック図である。図8に於いて、トルクステア補正手段33は、第一ゲインマップmap81と、第二ゲインマップmap82と、第三ゲインマップmap83と、第
四ゲインマップmap84と、加算器85と、乗算器86を含んでいる。
第一ゲインマップmap81は、ハンドル角Thetaに応じた第一ゲインgain1を設定したマ
ップであり、車速V毎の複数のマップにより構成されている。第一ゲインマップmap81は、ハンドル角信号Theta(s)と車速信号V(s)とを入力とし、入力された車速信号V(s)に対応したマップに基づいてハンドル角信号Theta(s)の値に応じた第一ゲインgain1を決定して出力し、加算器85に入力する。
第二ゲインマップmap82は、ハンドル角速度dThetaに応じた第二ゲインgain2を設定したマップであり、車速V毎の複数のマップにより構成されている。第二ゲインマップmap82は、ハンドル角速度信号dTheta(s)と車速信号V(s)とを入力とし、入力された車速信号V(s)に対応したマップに基づいてハンドル角速度信号dTheta(s)の値に応じた第二ゲインgain2を決定して出力し、加算器85に入力する。
第三ゲインマップmap83は、ヨーレートYaw_rateに応じた第三ゲインgain3を設定したマップであり、車速V毎の複数のマップにより構成されている。第三ゲインマップmap83は、ヨーレート信号Yaw_rate(s)と車速信号V(s)とを入力とし、入力された車速信号V(s)
に対応したマップに基づいてヨーレート信号Yaw_rate(s)の値に応じた第三ゲインgain3を決定して出力し、加算器85に入力する。
第四ゲインマップmap84は、横加速度Gyに応じた第四ゲインgain4を設定したマップであり、車速V毎の複数のマップにより構成されている。第四ゲインマップmap84は、横加速度信号Gy(s)とと車速信号V(s)とを入力とし、入力された車速信号V(s)に対応したマッ
プに基づいて横加速度信号Gy(s)の値に応じた第四ゲインgain4を決定して出力し、加算器85に入力する。
加算器85は、入力された第一ゲインgain1〜第四ゲインgain4を加算し、その加算した値を出力して乗算器86に入力する。乗算器86は、入力された加算器85の出力とトルクステア検出信号Trq_str_flag(s)とを掛け合わせてトルクステア補償トルクtrq_strを決定し、その決定した値に相当するトルクステア補償トルク信号trq_str(s)を出力し、図3に示すアシストトルク決定ブロック20の加算器34に入力する。
即ち、トルクステア検出手段25がトルクステアを検出してトルクステア検出信号Trq_str_flag(s)を「1」として出力していれば、第一ゲインgain1〜第四ゲインgain4の加算に基づくトルクステア補償トルク信号trq_str(s)が乗算器86から出力されてアシストトルク決定ブロック20の加算器34に入力され、一方、トルクステア検出手段25がトルクステアを検出せずトルクステア検出信号Trq_str_flag(s)を「0」として出力していれば、乗算器86からのトルクステア補償トルク信号trq_str(s)は「0」となり、トルクステア補償トルクとしての加算器34への入力は「0」となる。
次に、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置の効果を説明する。図9は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於ける効果を示す説明図であり、トルクステアが発生した場合のハンドル角[deg]、ヨーレート[rad/s]、横加速度[g]
の時間波形を、この発明の実施の形態1によるトルクステア検出手段25とトルクステア補正手段33を適用した場合と適用しない場合とを比較して示している。
この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置を適用していない場合、つまり従来の装置の場合には、図9のハンドル角の時間波形に実線で示すように、トルクステア発生時に、ドライバの意図しないハンドルの回転が発生しハンドル角が急変する。又、トルクステアの程度が大きい場合には車両偏向が起こるため、図9のヨーレート波形及び横加速度波形に夫々実線で示すように、車両のヨーレート及び横加速度にも影響が発生し夫々急変する。
これに対して、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置を適用した場合には、トルクステア検出手段25がトルクステアを検出してトルクステア検出信号Trq_str_flag(s)を「1」としたとき、トルクステア補正手段33からのトルクステア補償トルク信号trq_str(s)が加算器34に加えられることにより、図9の破線で示すように、トルクステアによるハンドル角、ヨーレート、横加速度への影響が従来の装置の場合より小さくなっていることが分かる。
トルクステアが発生した際には、ドライバの意図とは関係なくハンドルが回転すること
から、図9に示したように、ハンドル角やハンドル角速度に応じたトルクをトルクステア補償トルクとして付加することが、トルクステア軽減に有効であり、又、トルクステアの程度が大きい場合には車両偏向が発生することもあり、ヨーレート、横加速度に応じたトルクステア補償トルクの付加も有効であることが分かる。
この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置では、図8に示した構成のトルクステア補正手段33を備えたことにより、ハンドル角、ハンドル角速度、ヨーレート、横加速度の夫々に応じたトルクステア補償トルクを車速毎に決定することができる。又、トルクステア検出信フラグ信号Trq_str_flag(s)が「0」となっている場合、即ち、トルクス
テアが発生していないときには、トルクステア補償トルクtrq_str(s)が「0」となることから、トルクステア発生時のみトルクステア補償トルクを出力することが可能となる。
尚、以上述べたこの発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置では、図8に示すトルクステア補正手段で33は、ハンドル角度、ハンドル角速度、ヨーレート、横加速度、車速の全てによってトルクステア補償トルクを決定することとしたが、これらの中から少なくとも一つを選択的に使用してトルクステア補償トルクを決定するようにしても良い。
又、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置に於いて、図8に示すトルクステア補正手段33では、ハンドル角度と、ハンドル角速度と、ヨーレートと、横加速度と、車速とに基づいて、マップによりトルクステア補償トルクを決定することとしたが、ハンドル角度、ハンドル角速度、ヨーレート、横加速度を、予め設定された定数倍することでトルクステア補償トルクを決定することとしてもよく、更に、リミッタによってトルクステア補償トルクの上下限値を制限する構成としてもよい。
更に、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置では、モータ角速度とハンドル角速度は夫々別の信号として述べたが、ハンドル角速度を減速ギア比Ggear倍すればモ
ータ角速度に換算できることから、その何れか一方の信号から他方を換算して代用することとしても良い。
実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の構成を示すブロック図である。実施の形態1では、左前輪車輪速信号と右前輪車輪速信号とに基づいて演算された第一のステアリング軸回転角度と、ハンドル角センサから検出されたハンドル角に基づき得られる第二のステアリング軸回転角度とを比較することによりトルクステアを検出していたのに対し、この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置は、左右前輪車輪速から演算される第一のステアリング軸回転方向と、ハンドル角から検出されたハンドル角に基づく第二のステアリング軸回転方向とを比較することによりトルクステアを検出するようにしたものである。その他の構成は、実施の形態1による車両用操舵制御装置と同様である。
この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置では、第一のステアリング軸回転方向と第二のステアリング軸回転方向とを比較とすることにより、実施の形態1による車両操舵制御装置よりも早期に正確なトルクステアの検出が可能となる。
図10は、この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の構成を示すブロック図である。図10に於いて、トルクステア検出手段25は、第一ステアリング軸回転検出手段101と、第二ステアリング軸回転検出手段102と、符号判定手段103とを含んでいる。
第一ステアリング軸回転検出手段101は、車輪速検出器15からの左前輪車輪速信号
WheelSpd_fl(s)と、右前輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)、及び車速検出器11からの車速信号V(s)とを入力とし、これらの入力信号に基づいて前述の式(10)及び式(5)に基づいて演算したハンドル角を微分してハンドル角速度を得る。そしてそのハンドル角速度の符号、つまり前述の演算によるハンドル角速度に基づくステアリング軸の回転方向を、第一のステアリング軸回転方向信号1st_str_shaft_direction(s)として出力し、符号判定手段103に入力する。前述の式(10)及び式(5)に基づいて演算したハンドル角を微分して得たハンドル角速度は、この発明に於ける第一のステアリング軸回転関連値を構成する。
第二ステアリング軸回転検出手段102は、ハンドル角センサ9が検出したハンドル角Thetaに基づきハンドル角検出器16が出力したハンドル角信号Theta(s)を入力としてこ
れをメモリに読込み、このハンドル角信号Theta(s)を微分してハンドル角速度とし、このハンドル角速度の符号、つまり検出したハンドル角によるハンドル角速度に基づくステアリング軸の回転方向を、第二のステアリング軸回転方向信号2nd_str_shaft_direction(s)として出力し、符号判定手段103に入力する。前述のハンドル角センサ9が検出したハンドル角Thetaに基づきハンドル角検出器16が出力したハンドル角信号Theta(s)を微分
して得たハンドル角速度は、この発明に於ける第二のステアリング軸回転関連値を構成する。
符号判定手段103は、入力された第一のステアリング軸回転方向信号1st_str_shaft_direction(s)と第二のステアリング軸回転方向信号2nd_str_shaft_direction(s)とを比較し、両信号が異符号であるか否かを判定する。そして、これらの信号が異符号であると判定した場合は、トルクステア検出フラグ信号Trq_str_flg(s)を「1」として出力してアシストトルク決定ブロック20に入力し、前述の両信号が異符号でないと判定した場合はトルクステア発生状態ではないとして、トルクステア検出フラグ信号Trq_str_flag(s)を「0」として出力してアシストトルク決定ブロック20に入力する。
図11は、この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置に於けるトルクステア検出手段の一連の動作を示すフローチャートであり、スタートとエンドの間に、ステップS1001からS1006までを含んでいる。尚、前述の図10には、図11に示すフローチャートに於けるステップS1001からS1006を各ブロックに対応させて記載している。
図11に於いて、先ず、ステップS1001では、第一ステアリング軸回転検出手段101は、入力された左前輪車輪速信号WheelSpd_fl(s)と、右前輪車輪速信号WheelSpd_fr(s)と、車速信号V(s)とをメモリに読込むと共に、これらの信号の値から前述の式(10)及び式(5)に基づいて演算したハンドル角を演算する。
ステップS1002では、ステップS1001にて演算したハンドル角を微分してハンドル角速度とし、このハンドル角速度の符号を、第一のステアリング軸回転方向信号1st_str_shaft_direction(s)として出力し、符号判定手段103に入力する。
次に、ステップS1003では、第二ステアリング軸回転検出手段102は、入力されたハンドル角信号Theta(s)をメモリに読込むと共に、その値を微分してハンドル角速度とし、そのハンドル角速度の符号を第二のステアリング軸回転方向信号2nd_str_shaft_direction(s)として出力し、符号判定手段103に入力する。
次にステップS1004に進み、符号判定手段103は、入力された第一のステアリング軸回転方向信号1st_str_shaft_direction(s)と第二のステアリング軸回転方向信号2nd_str_shaft_direction(s)とを比較し、両信号が異符号であるかを判定する。そして、両信号が異符号であると判定した場合は、ステップS1005に進み、トルクステア発生であるとしてトルクステア検出フラグ信号Trq_str_flg(s)を「1」として出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。一方、両信号が異符号でないと判定した場合は、ステップS1006へ進み、トルクステア発生状態ではないとして、トルクステア検出フラグ信号Trq_str_flag(s)を「0」として出力し、アシストトルク決定ブロック20に入力する。
このように、この発明の実施の形態2による車両用操舵制御装置によれば、第一のステアリング軸回転方向信号1st_str_shaft_direction(s)と第二のステアリング軸回転方向信号2nd_str_shaft_direction(s)との比較によりトルクステアを検出することができ、実施の形態1よる車両用操舵制御装置に比べて、早期に正確なトルクステアの検出が可能となる。
尚、前述の実施の形態2による車両用操舵制御装置では、第一のステアリング軸回転方向信号と第二のステアリング軸回転方向信号との比較、つまり、演算に基づくステアリング軸回転方向と検出したハンドル角に基づくステアリング軸回転方向との比較により、トルクステアの検出を行うようにしたが、図11のステップS1002で演算されたハンドル角速度とステップS1003で演算されたハンドル角速度との偏差、若しくはこれらのハンドル角速度の割合等に基づいてトルクステアの検出を行なう構成としても良い。
1 ハンドル 2 ステアリング軸
3 ステアリングギアボックス 4 トルクセンサ
5 アシストモータ 6 ラックアンドピニオン軸
7 タイヤ 8 制御ユニット
9 ハンドル角センサ 10 ステアリング機構
11 車速検出器 12 操舵トルク検出器
13 モータ角速度検出器 14 モータ角加速度検出器
15 車輪速検出器 16 ハンドル角検出器
17 ハンドル角速度演算手段 18 ヨーレート検出器
19 横角速度検出器 20 アシストトルク決定ブロック
21 モータ電流決定器 22 モータ電流比較器
23 モータ駆動器 24 モータ電流検出器
30 アシストマップ補償器 31 慣性補償器
32 粘性補償器 33 トルクステア補正手段
61、101 第一ステアリング軸回転検出手段
62、102 第二ステアリング軸回転検出手段
63 減算器 64 トルクステア検出閾値マップ
map81 第一ゲインマップ map82 第二ゲインマップ
map83 第三ゲインマップ map84 第四ゲインマップ
85 加算器 86 乗算器
103 符号判定手段 100 車両用操舵制御装置

Claims (3)

  1. 一対の操舵輪が駆動輪を兼ねる車両に用いられ、運転者による操舵に応じてアシストトルクを発生するアシストモータにより前記操舵輪の操舵をアシストするようにした車両用操舵制御装置であって、
    前記一対の操舵輪の各々の車輪速を検出し、前記検出した値に相当する車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、
    前記車両のハンドル角を検出し、前記検出した値に相当するハンドル角信号を出力するハンドル角検出手段と、
    前記車輪速信号に基づいて演算した前記車両のステアリング軸の回転に関連する第一のステアリング軸回転関連値と、前記ハンドル角信号に基づく第二のステアリング軸回転関連値とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記車両に於けるトルクステアの発生の有無を検出するトルクステア検出手段と
    を備え、
    前記第一のステアリング軸回転関連値と第二のステアリング軸回転関連値とは、前記ステアリング軸の回転角度であり、
    前記トルクステア判定手段は、前記第一のステアリング軸回転関連値と前記第二のステアリング軸回転関連値との符号が同一であるか否かに基づいて前記トルクステアの発生の有無を検出するように構成され、
    前記トルクステア検出手段が前記トルクステアの発生を検出したとき、前記トルクステアを抑制するように前記アシストトルクを補正するようにした
    ことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 一対の操舵輪が駆動輪を兼ねる車両に用いられ、運転者による操舵に応じてアシストトルクを発生するアシストモータにより前記操舵輪の操舵をアシストするようにした車両用操舵制御装置であって、
    前記一対の操舵輪の各々の車輪速を検出し、前記検出した値に相当する車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、
    前記車両のハンドル角を検出し、前記検出した値に相当するハンドル角信号を出力するハンドル角検出手段と、
    前記車輪速信号に基づいて演算した前記車両のステアリング軸の回転に関連する第一のステアリング軸回転関連値と、前記ハンドル角信号に基づく第二のステアリング軸回転関連値とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記車両に於けるトルクステアの発生の有無を検出するトルクステア検出手段と、
    を備え、
    前記第一のステアリング軸回転関連値と第二のステアリング軸回転関連値とは、前記ステアリング軸の回転角速度であり、
    前記トルクステア判定手段は、前記第一のステアリング軸回転関連値と前記第二のステアリング軸回転関連値との符号が同一であるか否かに基づいて前記トルクステアの発生の有無を検出するように構成され、
    前記トルクステア検出手段が前記トルクステアの発生を検出したとき、前記トルクステアを抑制するように前記アシストトルクを補正するようにした、
    ことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 前記アシストトルクを補正する補正量は、前記車両のハンドル角とハンドル角速度とヨーレートと横加速度とのうちの少なくとも一つに基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。
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