JP4580301B2 - 推定横加速度計算方法および推定横加速度計算装置 - Google Patents
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Description
車両の推定横加速度の計算は、左右の車輪の車輪速度に基づいて行われる。しかし、テンパータイヤ装着時、タイヤ空気圧の低下時などには、車輪径が小さくなる。車輪に設けられた回転パルス発生器(車輪速センサ)の信号に基づく車輪の回転速度(回転数)および設定車輪径(車両のECUなどに予め設定された車輪の周長)から車輪速度を計算する場合に、実際の車輪径が設定車輪径よりも小さくなると、計算により得られる車輪速度が真の車輪速度よりも大きくなる。そして、左右の車輪の車輪径の差が大きい場合には、左右の車輪の車輪速度に差が生じ、推定横加速度の値が真の横加速度からずれるという問題があった。
また、車両の旋回時には、車両の荷重に偏りが生じる。そして、左右の車輪のうち、より荷重がかかる方の車輪径が小さくなり、前記した場合と同様、推定横加速度の値が真の横加速度からずれ、車両安定制御、旋回制御の効果が好適に得られないという問題があった。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の推定横加速度計算方法であって、前記同側車輪速度比率を計算する過程において、同側における後輪の車輪速度を所定時間積算したものを前輪の車輪速度を所定時間積算したもので割ることによって前記同側車輪速度比率を計算することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の推定横加速度計算装置であって、前記同側車輪速度比率計算部は、同側における後輪の車輪速度を所定時間積算したものを前輪の車輪速度を所定時間積算したもので割ることによって前記同側車輪速度比率を計算することを特徴とする。
このような推定横加速度計算方法および推定横加速度計算装置によれば、車輪の径差に起因する見かけ上の横加速度である径差起因横加速度を除いた推定横加速度を得ることができる。
したがって、テンパータイヤ装着時、タイヤ空気圧の低下時などであっても真の横加速度に近い推定横加速度を計算することができる。また、径差起因横加速度によって減少補正するので、車輪径の変化を考慮した補正が推定横加速度を増大させることはない。
また、車輪径を補正する計算を行うことなく推定横加速度を計算するので、短時間での計算が可能である。
また、「左右異径比率」は、車両の左右の車輪の車輪径の比を表すものであり、「右側車輪速度比率」と「左側車輪速度比率」との比として計算される。
このような推定横加速度計算装置によれば、左右異径比率に基づいて径差起因横加速度を計算するので、車両の全車輪の車輪径を考慮した推定横加速度を得ることができる。
参照する図において、図1は、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図であり、図2は、車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。
図1に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御するためのものであり、油路や各種部品が設けられた液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御装置20とを主に備えている。また、この車両用ブレーキ液圧制御装置100の制御装置20には、車両CRの各車輪Tの車輪速度、詳細には車輪Tの回転速度(回転数)を検出するための車輪速センサ91が接続されている。
制御装置20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各演算処理を行うことによって、制御を実行する。また、ホイールシリンダHは、マスタシリンダMおよび車両用ブレーキ液圧制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Tに設けられた車輪ブレーキFR,FL,RR,RLの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ液圧制御装置100の液圧ユニット10に接続されている。
ポンプ4は、リザーバ3で吸収されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をダンパ5およびオリフィス5aを介してマスタシリンダM側へ戻す機能を有している。これにより、リザーバ3によるブレーキ液の吸収によって減圧された各出力液圧路81,82の圧力状態が回復される。
図3に示すように、制御装置20は、各車輪Tの車輪センサ91が検出した車輪速度(回転速度)に基づき、液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2(図2参照)の開閉動作を制御して、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの動作を制御するものである。
制御装置20は、機能部として横加速度推定部21、目標液圧設定部22および弁駆動部23を備えている。
横加速度推定部21は、さらに詳細な機能部として、車輪速度計算部21a、車体速度計算部21b、仮横加速度計算部21c、径差起因横加速度計算部21dおよび推定横加速度計算部21eを備えている。
計算された車輪速度VFL,VRR,VRL,VFRは、車体速度計算部21bおよび径差起因横加速度計算部21dに出力される。また、車輪速度VRR,VRLは、仮横加速度計算部21cに出力される。
計算された仮横加速度YGは、推定横加速度計算部21eに出力される。
このように、仮横加速度YGを計算するのに用いる車輪速度としては、路面への追従性が良い従動輪のものが用いられる。
左側車輪速度比率RALは、左後の車輪Tの車輪速度VRLを所定時間積算したものを左前の車輪Tの車輪速度VFLを所定時間積算したもので割ったものであり、下記式(3)により求められる。また、右側車輪速度比率RARは、右後の車輪Tの車輪速度VRRを所定時間積算したものを右前の車輪Tの車輪速度VFRを所定時間積算したもので割ったものであり、下記式(4)により求められる。
計算された左側車輪速度比率RALおよび右側車輪速度比率RARは、左右異径比率計算部21d2に出力される。
左右異径比率RAは、同側車輪速度比率RAL,RARのうち大きい方を小さい方で割ったものであり、下記式(5)により求められる。
径差起因横加速度TKYGは、下記式(6)により求められる。
4つの車輪Tの車輪径が全て等しい場合には、一般的に車輪速度VFL,VRR,VRL,VFRが等しいためRAが「1」となり、径差起因横加速度TKYGは「0」となる。そして、左の車輪Tの車輪径と右の車輪Tの車輪径との径差が大きくなるにつれて、言い換えると、左の車輪速度VFL,VRLと右の車輪速度VFR,VRRとの差が大きくなるにつれて、径差起因横加速度TKYGの絶対値が大きくなる。
計算された径差起因横加速度TKYGは、推定横加速度計算部21eに出力される。
推定横加速度CYGは、仮横加速度YGが正の値であるときには下記式(7)により求められ、仮横加速度YGが負の値であるときには下記式(8)により求められる。
図5に示すように、横加速度推定部21は、まず、車輪速センサ91から車輪速度(回転速度)ωFL,ωRR,ωRL,ωFRを取得する(ステップS1)。続いて、車輪速度ωFL,ωRR,ωRL,ωFRを車輪速度VFL,VRR,VRL,VFRに換算する(ステップS2)。続いて、車輪速度VRR,VRLに基づき仮横加速度YGを計算するとともに、車輪速度VFL,VRR,VRL,VFRに基づき径差起因横加速度TKYGを計算する(ステップ3)。続いて、仮横加速度YGを径差起因横加速度TKYGによって減少補正し、推定横加速度CYGを計算する(ステップS4)。この推定横加速度CYGが、車両CRの横加速度として出力され(ステップS5)、車両CRの制御に利用される。
また、車輪径を補正する計算を行うことなく推定横加速度CYGを計算するので、短時間での計算が可能である。そのため、車輪速センサ91による車輪速度ωFL,ωRR,ωRL,ωFRの検出から制御実行までに要する時間を短縮でき、より車両CRの状況に即した制御を行うことができる。
また、4つの車輪Tの全ての車輪速度VFL,VRR,VRL,VFRを用いて径差起因横加速度TKYGを計算するので、どの車輪Tの車輪径が変化した場合にも対応可能である。
例えば、本発明の推定横加速度計算方法(装置)により求められた推定横加速度CYGは、アンチロック制御に限らず、横加速度を用いる他の制御に使用することもできる。例えば、推定横加速度CYGに応じて適宜一部の車輪ブレーキの制動力やエンジンの出力を制御して車両CRの姿勢を制御したり、車体の傾きを制御したり、サスペンションの強さを制御したりしてもよい。
また、前輪の径差起因横加速度と後輪の径差起因横加速度を別途計算し、これらの径差起因横加速度の合計を出す構成であってもよい。
また、車体速度V、仮横加速度YGの計算方法は前記したものに限定されない。
21c 仮横加速度計算部
21d 径差起因横加速度計算部
21d1 同側車輪速度比率計算部
21d2 左右異径比率計算部
21d3 径差起因横加速度推定部
21e 推定横加速度計算部
Claims (4)
- 各車輪の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する推定横加速度計算方法であって、
前記各車輪の車輪速度を取得する過程と、
前記各車輪の少なくとも一つの車輪速度に基づき車体速度を計算する過程と、
従動輪である左右の後輪の車輪速度に基づき仮横加速度を計算するとともに、少なくとも前記各車輪の車輪速度に基づき前記車両の車輪の径差に起因する径差起因横加速度を計算する過程と、
前記仮横加速度を前記径差起因横加速度によって減少補正し、推定横加速度を計算する過程と、
を含み、
前記径差起因横加速度を計算する過程は、
前記各車輪の車輪速度に基づき同側車輪速度比率を計算する過程と、
前記同側車輪速度比率に基づき左右異径比率を計算する過程と、
前記左右異径比率および前記車体速度に基づいて、径差起因横加速度を推定する過程と、
を含むことを特徴とする推定横加速度計算方法。 - 前記同側車輪速度比率を計算する過程において、同側における後輪の車輪速度を所定時間積算したものを前輪の車輪速度を所定時間積算したもので割ることによって前記同側車輪速度比率を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の推定横加速度計算方法。 - 各車輪の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する推定横加速度計算装置であって、
従動輪である左右の後輪の車輪速度に基づき仮横加速度を計算する仮横加速度計算部と、
前記各車輪の少なくとも一つの車輪速度に基づき車体速度を計算する車体速度計算部と、
少なくとも前記各車輪の車輪速度に基づき前記各車輪の径差に起因する径差起因横加速度を計算する径差起因横加速度計算部と、
前記仮横加速度を前記径差起因横加速度によって減少補正し、推定横加速度を計算する推定横加速度計算部と、
を備え、
前記径差起因横加速度計算部は、
前記各車輪の車輪速度に基づき同側車輪速度比率を計算する同側車輪速度比率計算部と、
前記同側車輪速度比率に基づき左右異径比率を計算する左右異径比率計算部と、
前記左右異径比率および前記車体速度に基づいて、径差起因横加速度を推定する径差起因横加速度推定部と、
を備えていることを特徴とする推定横加速度計算装置。 - 前記同側車輪速度比率計算部は、同側における後輪の車輪速度を所定時間積算したものを前輪の車輪速度を所定時間積算したもので割ることによって前記同側車輪速度比率を計算する
ことを特徴とする請求項3に記載の推定横加速度計算装置。
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