JP4686291B2 - 横加速度計算方法および横加速度計算装置 - Google Patents

横加速度計算方法および横加速度計算装置 Download PDF

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本発明は、横加速度計算方法および横加速度計算装置に関し、詳しくは、例えばスプリット路面などにおける横加速度の推定値の誤りを小さくした横加速度計算方法および横加速度計算装置に関する。
アンチロックブレーキ制御などの車両の挙動制御をする場合には、車体の横方向にかかる加速度(本明細書において「横加速度」という)を検出ないし推定して制御のための情報に用いることがある。この場合の横加速度は、加速度センサを用いることで直接検出することもできるが、加速度センサを設けるのはコスト面で不利であることから、左右の車輪速度の差を用いて計算により横加速度を推定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−26089号公報
ところで、左右の車輪速度の差に基づいて横加速度を計算する場合、車輪が地面に追従していることを前提に、内輪と外輪の旋回半径の差に基づき、車体速度を考慮して横加速度を計算している。
しかし、片側の路面のみが凍結していて左右の車輪で路面摩擦係数が異なるスプリット路面など、左右の車輪の一方が滑りやすい場合には、ブレーキ操作により車輪が路面に追従しなくなることがあり、そのまま従来の方法で横加速度を計算すると、誤った値を算出することになる。
そこで、本発明では、スプリット路面などにおいても、左右の車輪速度から横加速度をできるだけ正確に推定することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する方法であって、同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を取得する過程と、少なくとも前記左右の各車輪の車輪速度に基づき推定横加速度を計算する過程とを有し、当該推定横加速度を計算する過程においては、前記左右の各車輪の車輪速度に基づいて各車輪の車輪減速度(A,A)を計算し、この各車輪の車輪減速度に基づき1つの車輪減速度(A(n))を決定するとともに、前記左右の各車輪の車輪速度および前回計算した推定横加速度に基づき、かつ該1つの車輪減速度が大きいほど、前回計算した推定横加速度に対する今回計算する推定横加速度の変化量を小さくするように今回の推定横加速度を計算するようになっており、前記推定横加速度の変化量は、前記推定横加速度が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を設定され、前記推定横加速度の増大時には前記推定横加速度の減少時よりも小さく設定されることを特徴とする。
このように、横加速度の推定に用いる左右の車輪速度のうち、一方または双方が減速している場合には、減速度が大きい程、車輪がスリップしている可能性が高いといえる。そのため、一方または双方の減速度が大きい程、前回計算した横加速度に対する今回の推定横加速度の変化量を小さくすることで、真の横加速度からのずれが小さくなる。もっとも、このような補正を加えることで、減速中には車輪がスリップしていなくても補正をすることになるが、その場合には、減速度が小さいため補正量も小さくなり、真の横加速度からのずれは小さく収まる。
そして、前記推定横加速度の変化量は、前記推定横加速度が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を設定され、前記推定横加速度の増大時には前記推定横加速度の減少時よりも小さく設定されることで、横加速度の過度な変動を抑え、正確な推定が可能となる。
また、本発明は、同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが検出した左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する装置であって、少なくとも前記左右の各車輪の車輪速度に基づき推定横加速度を計算する横加速度推定部を有し、前記横加速度推定部は、前記左右の各車輪の車輪速度に基づいて各車輪の車輪減速度(A,A)を計算し、この各車輪の車輪減速度に基づき1つの車輪減速度(A(n))を決定するとともに、前記左右の各車輪の車輪速度および前回計算した推定横加速度に基づき、かつ該1つの車輪減速度が大きいほど、前回計算した推定横加速度に対する今回計算する推定横加速度の変化量を小さくするように今回の推定横加速度を計算するようになっており、前記推定横加速度の変化量は、前記推定横加速度が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を設定され、前記推定横加速度の増大時には前記推定横加速度の減少時よりも小さく設定されることを特徴とする。
このような装置によっても、前記した方法と同様にして、車輪速度の減速度が大きい場合に横加速度の変化(前回の推定横加速度に対する今回の推定横加速度の変化量)を小さくするので、スプリット路面においても推定横加速度を比較的正確に算出することができる。
そして、前記した装置において、前記推定横加速度の変化量は、前記推定横加速度が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を設定され、前記推定横加速度の増大時には前記推定横加速度の減少時よりも小さく設定されることで、横加速度の過度な変動を抑え、正確な推定が可能となる。
前記した装置においては、前記横加速度推定部は、減速度と係数の関係を示したマップまたは関数として所定の係数を予め記憶しており、前回計算した推定横加速度に対する今回計算した仮の推定横加速度の変化量に前記所定の係数を乗じ、前記前回計算した推定加速度との和をとることで今回の推定横加速度を計算することができる。
本発明によれば、スプリット路面などにおいても、車両の横加速度を正確に推定し、ブレーキ制御などの車両制御を的確に行うことができるようになる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、本発明の車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図であり、図2は、車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。
図1に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御するためのものであり、油路や各種部品が設けられた液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御装置20とを主に備えている。また、この車両用ブレーキ液圧制御装置100の制御装置20には、車両CRの各車輪Tの車輪速度、詳細には車輪の回転速度を検出するための車輪速センサ91が接続されている。
制御装置20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。また、ホイールシリンダHは、マスタシリンダMおよび車両用ブレーキ液圧制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Tに設けられた車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ液圧制御装置100の液圧ユニット10に接続されている。
図2に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、運転者がブレーキペダルPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダMと、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に配置されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、基体であるポンプボディ10aの入口ポート121に接続され、ポンプボディ10aの出口ポート122が、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに接続されている。そして、通常時は車両用ブレーキ液圧制御装置100内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
車両用ブレーキ液圧制御装置100には、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに対応して四つの入口弁1、四つの出口弁2、および四つのチェック弁1aが設けられる。また、出力ポートM1,M2に対応した各出力液圧路81,82に対応して二つのリザーバ3、二つのポンプ4、二つのダンパ5、二つのオリフィス5aが設けられ、二つのポンプ4を駆動するための電動モータ6を備えている。
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMとの間に配置された常開型の電磁弁である。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、車輪Tがロックしそうになったときに制御装置20により閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達する液圧を遮断する。
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに制御装置20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに加わるブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入を許容する。
リザーバ3は、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液を吸収する機能を有している。
ポンプ4は、リザーバ3で吸収されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をダンパ5やオリフィス5aを介してマスタシリンダMへ戻す機能を有している。これにより、リザーバ3によるブレーキ液圧の吸収によって減圧された各出力液圧路81,82の圧力状態が回復される。
入口弁1および出口弁2は、制御装置20により開閉状態が制御されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのホイールシリンダHにおける液圧を制御する。例えば、入口弁1が開、出口弁2が閉となる通常状態では、ブレーキペダルPを踏んでいれば、マスタシリンダMからの液圧がそのままホイールシリンダHへ伝達して増圧状態となり、入口弁1が閉、出口弁2が開となれば、ホイールシリンダHからリザーバ3側へブレーキ液が流出して減圧状態となり、入口弁1と出口弁2が共に閉となれば、ホイールシリンダHの液圧が保持される。制御装置20は、各ホイールシリンダHで目標とするブレーキ液圧に応じて、これらの3つの状態を切り換えるべく、各入口弁1および各出口弁2に制御信号を出力する。
図3は、実施形態に係るブレーキ液圧制御装置のブロック構成図であり、図4は、横加速度推定部の詳細を示すブロック構成図である。
図3に示すように、制御装置20は、各輪の車輪速センサ91が検出した車輪の回転速度に基づき、液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2(図2参照)の開閉動作を制御して、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの動作を制御するものである。
制御装置20は、機能部として横加速度推定部21、目標液圧設定部22、弁駆動部23およびマップ記憶部29を有する。
横加速度推定部21は、本発明の横加速度計算方法を実施する横加速度計算装置に相当するものである。本実施形態の横加速度推定部21は、左後輪の車輪速と右後輪の車輪速とに基づいて横加速度を推定する。横加速度を計算するのに用いる車輪速は、路面への追従性が良い従動輪のものがよいが、必ずしもその必要はなく、駆動輪や、4輪の車輪速を用いてもよい。
横加速度推定部21は、図4に示すように、さらに詳細な機能部として、車輪速計算部21a、仮横加速度計算部21b、車輪減速度計算部21c、係数取得部21dおよび横加速度計算部21eを備える。
車輪速計算部21aは、左後輪、右後輪の車輪速センサ91がそれぞれ出力した車輪の回転速度ωL,ωRに基づき、車輪の半径を乗じて車輪速度VL,VRを計算する。計算した車輪速度VL,VRは、仮横加速度計算部21b、および車輪減速度計算部21cに出力される。
仮横加速度計算部21bは、従来と同じ方法により、車輪速度VL,VRから仮の横加速度Gy′(n)を計算する。例えば、横加速度Gy′(n)を、次式
Gy′(n)=(VR−VL)×(VR+VL)/2T・・・(1)
により計算する。ここで、Tは後輪のトレッド(輪距)である。なお、本明細書において、Gy′などの変数に続けて記す(n)は、今回の計算結果を示し、(n−1)は、前回の計算結果を示す。
車輪減速度計算部21cは、左後輪および右後輪の車輪減速度A(n)を車輪速度VL,VRから計算する。具体的には、各時点での車輪速度VL,VRを記憶しており、車輪速度VL,VRの微分値(前回値と今回値の偏差を経過時間で割った値)を車輪減速度A(n)とすることができる。
車輪速度VL,VRの2つの値から、1つの車輪減速度A(n)を決定する方法は特に限定されないが、例えば、車輪速度VL,VRのそれぞれから、左右の車輪減速度AL,ARを求め、車輪減速度AL,ARのうち大きい方を選択することができる。車輪減速度AL,ARの一方でも大きい場合には、スプリット路面であるとか、急制動による車輪のロックが始まっている可能性が高いからである。また、車輪減速度AL,ARのうち大きい方を選択した上、車輪減速度AL,ARの値が減少傾向にある場合には、一定割合での減少にするなど、緩やかに車輪減速度A(n)の値を減少させた値とするのがよい。これは、車輪Tがロック傾向になる場合には、車輪Tはアンチロックブレーキ制御などのため加減速を繰り返すが、一時的に加速度が減少したり、減速したとしても、路面状況が急に好転しているわけではなく、それまでの路面状況が続いていると推定した方が良いからである。
係数取得部21dは、車輪減速度計算部21cが計算した車輪減速度に基づき、マップ記憶部29に記憶されたマップを参照して係数kを取得する。
マップ記憶部29が記憶しているマップは、例えば図5に示すようなものである。図5に示すように、マップ記憶部29のマップは、車輪減速度A(n)が正、つまり加速している場合には、一定の係数kをとる。そして、車輪減速度A(n)が負、つまり減速している場合には、減速度が大きく(車輪減速度A(n)の値が小さく)なるほど、係数kの値が小さくなっている。なお、本明細書において、減速度は、車輪減速度A(n)が負の場合の絶対値、つまり正の値で表すことにする。
図5のマップをより詳しく説明すると、減速度がごく小さいとき、およそ0.3Gまでは車輪減速度A(n)が正の場合と同じく一定の係数kをとり、減速度が0.3〜0.7Gと、中くらいの場合には、次第に係数kが小さくなり、減速度が1.2Gで、係数が略0となっている。
このように、減速度が小さい場合に、減速度の上昇に応じた係数kの減少をごく緩やかにしていることにより、車輪Tがスリップしていない場合の補正が極めて小さくなり、真の横加速度からの誤差が小さく抑えられる。一方、減速度が大きい場合には、車輪Tがスリップしている可能性が高く、仮の横加速度Gy′(n)の値は信頼性が低いので、前回推定した横加速度Gy(n)の値をできるだけ維持する、つまり変化量を小さくするように係数kが小さくなっている。
横加速度計算部21eは、仮横加速度計算部21bが計算した仮の横加速度Gy′(n)と係数取得部21dが取得した係数kに基づき、横加速度Gy(n)を計算する。この横加速度Gy(n)は、次式
Gy(n)=Gy(n−1)+k×(Gy′(n)−Gy(n−1))
・・・(2)
により求めることができる。
計算された横加速度Gy(n)は、目標液圧設定部22へ出力される。
目標液圧設定部22は、横加速度推定部21が推定した横加速度Gy(n)および車輪速センサ91が検出した車輪Tの回転速度ωに基づき各車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの目標液圧を設定する。この設定の方法は、従来公知の方法により行えばよく、特に限定されない。一例をあげれば、4つの車輪の回転速度ωから、各車輪の車輪速度Vを計算し、この車輪速度Vから車体速度を推定する。そして、車体速度と車輪速度Vからスリップ率を計算する。さらに、横加速度Gy(n)と前後の車体加速度に基づき、合成加速度を演算し、この合成加速度から路面の摩擦係数を推定する。そして、この摩擦係数、スリップ率、および現在のホイールシリンダHの液圧に基づいて各車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの目標液圧を設定することができる。
弁駆動部23は、各車輪ブレーキFL,RL,FR,RRのホイールシリンダHの液圧が目標液圧設定部22の設定した目標液圧に一致するように、従来公知の方法により液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2を作動させるパルス信号を液圧ユニット10へ出力する。このパルス信号は、例えば、現在のホイールシリンダHの液圧と目標液圧との偏差が大きいほど、ブレーキ液圧を増圧または減圧すべく多くのパルスを出力するようにする。また、現在のホイールシリンダHの液圧と目標液圧との偏差が小さい場合には、ホイールシリンダHの液圧を保持状態にする。なお、現在のホイールシリンダHの液圧は、センサにより測定してもよいし、計算により推定してもよい。
以上のような車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について、図6および図7を参照しながら説明する。図6は、部分的な凍結路でアンチロックブレーキ制御が動作した場合の車輪速度(a)、車輪減速度(b)および推定横加速度(c)のタイミングチャートであり、図7は、横加速度推定部の処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、車両CRの直進制動中にアンチロックブレーキ制御が始まった場合、車輪速度VL,VRは、路面の状況に応じてともに加減速を繰り返す。従来の横加速度の推定方法によると、左後輪の車輪速度VLと右後輪の車輪速度VRに偏差が生じると、その偏差に応じて横加速度(本実施形態でいう仮の横加速度Gy′(n)に相当する)が増減し、計算結果は図6(b)の破線のような大きく変動する。しかし、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100では、例えば時刻t1,t3のように車輪減速度AL,ARが大きくなったときには、推定した横加速度Gy(n)の変化量(前回計算した横加速度Gy(n−1)に対する今回計算した横加速度Gy(n)の変化量)を小さくする。そのため、図6(c)の実線のように、横加速度Gy(n)の計算結果は、車輪速度VL,VRの変動にもかかわらず、ほとんど変化しない。
このときの計算処理は、図7に示すように、まず、車輪速度VL,VRから、従来と同様にして仮の横加速度Gy′(n)を計算し(S1)、車輪速度VL,VRから、車輪減速度A(n)を計算する(S2)。このとき、車輪減速度A(n)は、車輪速度VL,VRからそれぞれ求めた車輪減速度AL,ARのうち、車輪減速度の値が大きい方(図6(b)において上側にある方)を選択すると共に、車輪減速度AL,ARのうち選択した値が現在減少傾向にある場合には、図6(b)に示す時刻t1〜t2,t4〜t5のように一定の割合でもって車輪減速度A(n)の値を減少させている。そして、マップ記憶部29のマップを参照して車輪減速度A(n)に応じた係数kを取得する(S3)。次に、係数kおよび仮の横加速度Gy′(n)に基づいて、前記式(2)により、横加速度Gy(n)を計算する。この計算において、係数kは、車輪Tの減速度が大きいほど小さな値をとるようになっているので、図6(a)に示すように急激に速度が変化した場合には、横加速度Gy(n)の変化が図6(c)に示すように非常に小さくなり、直進中であるのに横加速度Gy(n)を大きい値で推定してしまうという推定ミスを防ぐことができる。
この際、さらに、横加速度Gy(n)の変化を制限する、つまり変化量の上限値を設けておくことで、スプリット路面などにおける横加速度Gy(n)の推定ミスを防ぐことができる。特に、横加速度Gy(n)が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を記憶しておき、増大している時の上限値を減少している時の上限値よりも小さく設定しておけば、横加速度G(y)の急変を抑えて、推定ミスを効果的に防止することができる。
図8は、車両がカーブを旋回中に緩い制動を掛けたときの、車輪速度(a)および推定横加速度(b)のタイミングチャートである。
車両CRがカーブを旋回中に緩い制動を掛けた場合には、車輪がスリップ(ロック)しないので、従来の横加速度の計算方法の通り、図8(b)の破線に示した横加速度Gy′(n)のように横加速度を推定するのが正しい結果である。本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100では、制動中は、減速度が発生して補正をしてしまうので、横加速度に若干の誤差が発生することが予想される。しかし、図5に示した係数kのマップのように、減速度が小さい場合には、減速していない場合と同じ係数または僅かに小さい係数としているため、図8(a)に示すような小さな減速度で制動した場合には、(b)に示すように、係数kによる補正も僅かとなり、通常の旋回時における横加速度Gy(n)の計算結果にはほとんど影響を与えない。
以上のように、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100によれば、急な減速時や、スプリット路面において、車輪Tの一部がロックし始めたとしても、急激な車輪速度Vの減速に応じて横加速度Gy(n)の変化量を小さく抑えるので、比較的正確に横加速度Gy(n)を推定することができる。そのため、この横加速度を用いたアンチロックブレーキ制御においても、車両の状況を正確に予想して、適切な制御を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変更して実施することができる。
例えば、本発明の横加速度計算方法(装置)は、アンチロックブレーキ制御に適用されるばかりでなく、横加速度を用いる他の制御にも適用することができる。例えば、横加速度に応じて適宜一部の車輪ブレーキの制動力やエンジンの出力を制御して車両の姿勢を制御したり、車体の傾きを制御したり、サスペンションの強さを制御したりしてもよい。
また、車輪減速度A(n)から係数kを求めるのに、マップを用いたが、関数により求めることもできる。
本発明の車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図である。 車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。 実施形態に係るブレーキ液圧制御装置のブロック構成図である。 横加速度推定部の詳細を示すブロック構成図である。 車輪減速度A(n)と係数kの関係を示すマップである。 部分的な凍結路でアンチロックブレーキ制御が動作した場合の車輪速度(a)、車輪減速度(b)および推定横加速度()のタイミングチャートである。 横加速度推定部の処理を示すフローチャートである。 カーブを旋回中に緩い制動を掛けたときの、車輪速度(a)および推定横加速度(b)のタイミングチャートである。
符号の説明
10 液圧ユニット
20 制御装置
21 横加速度推定部
21a 車輪速計算部
21b 仮横加速度計算部
21c 車輪減速度計算部
21d 係数取得部
21e 横加速度計算部
22 目標液圧設定部
23 弁駆動部
29 マップ記憶部
81 出力液圧路
91 車輪速センサ
100 車両用ブレーキ液圧制御装置

Claims (3)

  1. 左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する方法であって、
    同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を取得する過程と、
    少なくとも前記左右の各車輪の車輪速度に基づき推定横加速度を計算する過程とを有し、
    当該推定横加速度を計算する過程においては、前記左右の各車輪の車輪速度に基づいて各車輪の車輪減速度(A,A)を計算し、この各車輪の車輪減速度に基づき1つの車輪減速度(A(n))を決定するとともに、前記左右の各車輪の車輪速度および前回計算した推定横加速度に基づき、かつ該1つの車輪減速度が大きいほど、前回計算した推定横加速度に対する今回計算する推定横加速度の変化量を小さくするように今回の推定横加速度を計算するようになっており、
    前記推定横加速度の変化量は、前記推定横加速度が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を設定され、前記推定横加速度の増大時には前記推定横加速度の減少時よりも小さく設定されることを特徴とする車両の横加速度計算方法。
  2. 同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが検出した左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する装置であって、
    少なくとも前記左右の各車輪の車輪速度に基づき推定横加速度を計算する横加速度推定部を有し、
    前記横加速度推定部は、前記左右の各車輪の車輪速度に基づいて各車輪の車輪減速度(A,A)を計算し、この各車輪の車輪減速度に基づき1つの車輪減速度(A(n))を決定するとともに、前記左右の各車輪の車輪速度および前回計算した推定横加速度に基づき、かつ該1つの車輪減速度が大きいほど、前回計算した推定横加速度に対する今回計算する推定横加速度の変化量を小さくするように今回の推定横加速度を計算するようになっており、
    前記推定横加速度の変化量は、前記推定横加速度が増大しているときおよび減少しているときに分けて上限値を設定され、前記推定横加速度の増大時には前記推定横加速度の減少時よりも小さく設定されることを特徴とする車両の横加速度計算装置。
  3. 前記横加速度推定部は、減速度と係数の関係を示したマップまたは関数として所定の係数を予め記憶しており、前回計算した推定横加速度に対する今回計算した仮の推定横加速度の変化量に前記所定の係数を乗じ、前記前回計算した推定加速度との和をとることで今回の推定横加速度を計算することを特徴とする請求項に記載の車両の横加速度計算装置。
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