JP7099028B2 - 車両の走行路判定装置 - Google Patents

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本発明は、車両の走行路判定装置に関する。
特許文献1には、「車両が走行している路面状態を精度良く判定する」ことを目的に、「車両走行路判別装置において、推定加速度演算部は、車両を走行させるための駆動源の出力に基づいて車両に発生していると推定される推定加速度を演算する。実加速度演算部は、車両に実際に発生している実加速度を算出する。路面状態判定部は、推定加速度と実加速度との関係に影響を与える車両状態に応じて推定加速度を補正して補正後推定加速度を取得し、補正後推定加速度と実加速度とを比較して路面状態を判定する」ことが記載されている。
具体的には、特許文献1では、以下の方法に従って走行路の状態が判定される。
(1)推定加速度演算部にて、内燃機関の回転数と変速機のギヤ比とに基づいて、駆動輪の推定車輪速度が求められる。求めた推定車輪速度と当該サンプリング時間とに基づいて推定される車輪加速度が算出され、各車輪の推定される車輪加速度の平均値の推定車輪加速度が算出される。この推定車輪加速度を利用して車両の推定加速度が算出される。
(2)実加速度演算部にて、Gセンサからの信号に基づいて車両の実加速度が算出される。
(3)路面状態判定部にて、算出された推定加速度、及び、実加速度に基づいて、車両が走行している路面の状態が判定される。
更に、特許文献1には、制動中、及び、VSCやTRCなどの制動力の電子制御中は、推定加速度と実加速度との関係が正確に把握できないため、走行路の路面状態判定が実施されない。具体的には、路面状態判定部では、ブレーキランプスイッチ、又は、マスタシリンダ圧センサの検出結果を利用して、制動中であることが判定される。また、制動制御フラグを参照することなどにより、VSCやTRCなどの制動制御中であることが判定される。路面状態判定部では、制動中、又は、制御制動中には、学習制御がキャンセルされる。
特許文献1の装置では、車両の推定加速度が、車輪の推定加速度に基づいて演算される。例えば、内燃機関(駆動源)の出力が、路面から得られる摩擦力を越えた場合には、駆動車輪の空転が発生し得る。この場合、推定加速度が、実加速度よりも大きくなるため、判定精度が課題となる。また、特許文献1の装置では、走行路の路面状態判定は、車両の加速中に限って行われる。車両の走行路の状態は、時々刻々と変化するため、車両加速時以外にも走行路判定が実行され得るものが望まれている。
特開2008-213684号公報
本発明の目的は、車両の走行路の状態を判定する走行路判定装置において、正確に走行路判定が行われ得るものを提供することである。加えて、車両の加速時以外(例えば、制動時)にも、走行路の状態が判定され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の走行路判定装置は、車両の車輪に制動力を付与する制動装置(YB)の動力伝達経路(BP~KT)において、力に係る状態量(Fp、Pm、Pw)、及び、変位に係る状態量(Sp)のうちの少なくとも1つに基づいて、前記制動力の総量を総制動力(Fb)として演算する制動力演算部(FB)と、前記車両の前後加速度を実際値(Ga)として演算する加速度演算部(GA)と、前記総制動力(Fb)に基づいて、前記車両が舗装路(アスファルト舗装、コンクリート舗装等)を走行する場合に相当する前後加速度の規範値(Gr)を演算する規範値演算部(GR)と、前記車両の制動時に、前記実際値(Ga)と前記規範値(Gr)との比較結果(hGr)に基づいて、「前記車両が、前記車輪が路面に沈み込む軟弱路(砂地路、砂利路、泥濘路、積雪路等)を走行しているか、前記舗装路を走行しているか」を判定する判定部(HN)と、を備える。
上記構成によれば、車両の制動時に、制動装置YBの動力伝達経路において、力に係る状態量、及び、変位に係る状態量のうちの少なくとも1つに基づいて、車両に作用する総制動力Fbが演算され、これに基づいて、走行路の判定が高精度で行われ得る。
本発明に係る車両の走行路判定装置は、車両の旋回量(Ta)を演算する旋回量演算部(TA)と、前記車両の前後加速度を実際値(Ga)として演算する加速度演算部(GA)と、前記旋回量(Ta)に基づいて、前記車両が舗装路を旋回する場合に相当する前後加速度の規範値(Gt)を演算する規範値演算部(GT)と、前記車両の旋回時に、前記実際値(Ga)と前記規範値(Gt)との比較結果(hGt)に基づいて、「前記車両が、前記車両の車輪が路面に沈み込む軟弱路を走行しているか、前記舗装路を走行しているか」を判定する判定部(HN)と、を備える。

本発明に係る車両の走行路判定装置は、車両が直進走行し、制動操作部材(BP)、及び、加速操作部材(AP)が操作されていない場合に、前記車両の前後加速度を実際値(Ga)として演算する加速度演算部(GA)と、前記実際値(Ga)が、所定値(gx)以上の場合に、「前記車両が舗装路を走行している」ことを判定し、前記実際値(Ga)が、所定値(gx)未満の場合に、「前記車両が、前記車両の車輪が路面に沈み込む軟弱路を走行している」ことを判定する判定部(HN)と、を備える。
上記構成によれば、車両の旋回時に、車両の旋回量Taに基づいて、走行路の判定が高精度で行われ得る。また、車両の惰性直進走行時に、簡易的に走行路判定が行われ得る。
本発明に係る車両の走行路判定装置HSを搭載した車両の全体構成図である。 走行路判定装置HSを含む制動制御装置の実施形態を説明するための概略図である。 走行路判定の第1処理例を説明するための機能ブロック図である。 走行路判定の第2処理例を説明するための機能ブロック図である。 走行路判定の第3処理例を説明するための機能ブロック図である。 走行路判定の結果を利用した制動制御を説明するための機能ブロック図である。
<構成部材等の記号、及び、記号末尾の添字>
以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各車輪に係る記号の末尾に付された添字「i」~「l」は、それが各車輪のうちの何れのものに関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「i」は右前輪、「j」は左前輪、「k」は右後輪、「l」は左後輪を示す。例えば、4つの各ホイールシリンダにおいて、右前輪ホイールシリンダCWi、左前輪ホイールシリンダCWj、右後輪ホイールシリンダCWk、及び、左後輪ホイールシリンダCWlと表記される。更に、記号末尾の添字「i」~「l」は、省略され得る。添字「i」~「l」が省略された場合には、各記号は、4つの各車輪における総称を表す。例えば、「WH」は各車輪、「CW」は各ホイールシリンダを表す。
2つの制動系統に係る記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、それが何れの系統に関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「f」は前輪に係る系統、「r」は後輪に係る系統を示す。例えば、2つのマスタシリンダ流体路において、前輪マスタシリンダ流体路HMf、及び、後輪マスタシリンダ流体路HMrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、2つの各制動系統についての総称を表す。例えば、「HM」は、各制動系統のマスタシリンダ流体路を表す。
<本発明に係る判定装置HSを備えた車両の全体構成>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る車両の走行路判定装置HSを搭載した車両について説明する。車両には、制動操作部材BP、制動操作量センサBA、加速操作部材AP、加速操作量センサAA、変速操作部材HP、シフト位置センサHA、操舵操作部材SW、操舵角センサSA、車輪速度センサVW、ヨーレイトセンサYR、前後加速度センサGX、横加速度センサGY、制動装置YB、及び、駆動装置YDが備えられる。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速させるために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHに対する制動トルクが調整され、車輪WHに制動力が発生される。
運転者による制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baを検出するよう、制動操作量センサBAが設けられる。具体的には、制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pmを検出するマスタシリンダ液圧センサPM、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFPのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、制動操作量Baは、マスタシリンダ液圧Pm、制動操作変位Sp、及び、制動操作力Fpのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
加速操作部材(例えば、アクセルペダル)APは、運転者が車両を加速し、定速走行するために操作する部材である。加速操作部材APが操作されることによって、車輪WHに対する駆動トルクが調整され、車輪WHに駆動力が発生される。運転者による加速操作部材(アクセルペダル)APの操作量Aaを検出するよう、加速操作量センサAAが設けられる。例えば、加速操作量センサAAとして、加速操作部材APの操作変位を検出する加速操作変位センサが採用される。
車両には、変速操作を行うための変速操作部材(例えば、シフトレバー)HPが備えられる。そして、変速操作部材HPのシフト位置Haを検出するシフト位置センサHAが設けられる。
操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)SWは、運転者が車両を旋回させるために操作する部材である。操舵操作部材SWが操作されることによって、操向車輪(例えば、前輪WHf)に操舵角Saが付与され、車輪WHに横力が発生され、車両が旋回される。操舵操作部材SWの回転角度(操舵角)Saを検出するよう、操舵角センサSAが設けられる。
車輪WHには、車輪WHの回転速度である車輪速度Vwを検出する車輪速度センサVWが備えられる。車両の車体には、車両の運動状態を検出する車両挙動センサが備えられる。具体的には、車両の実際のヨーレイト(ヨー角速度)Yrを検出するヨーレイトセンサYR、車両の前後方向における加速度(前後加速度)Gxを検出する前後加速度センサGX、及び、車両の横方向における加速度(横加速度)Gyを検出する横加速度センサGYが設けられる。
制動装置YBによって、車輪WHに制動力が発生される。制動装置YBは、マスタシリンダCM、ブレーキブースタBB、ブレーキキャリパCP、ホイールシリンダCW、回転部材KT、摩擦材MS、流体ユニットHU、及び、制動コントローラECUを含んで構成される。通常の制動時には、流体ユニットHUは作動されず、制動操作部材BPの操作に応じて、マスタシリンダCMから、制動液BFが、ホイールシリンダCWに圧送される。車両の各車輪WHには、ブレーキキャリパCP、ホイールシリンダCW、回転部材KT、及び、摩擦材MSが備えられる。具体的には、車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTが固定され、これを挟み込むようにブレーキキャリパCPが配置されている。ブレーキキャリパ(単に、「キャリパ」ともいう)CPには、ホイールシリンダCWが設けられる。ホイールシリンダCW内の液圧が調整(増減)されることによって、ホイールシリンダCW内のピストンが回転部材KTに対して移動(前進、又は、後退)される。このピストンの移動によって、摩擦材(例えば、ブレーキパッド)MSが、回転部材KTに押し付けられ、押圧力が発生する。回転部材KTと車輪WHとは、一体となって回転するように固定されている。このため、押圧力にて生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルク(結果、制動力)が発生される。ホイールシリンダCW内の液圧(制動液圧)Pwを検出するよう、制動液圧センサPWが備えられる。
駆動装置YDによって、各車輪WHのうちの駆動車輪(駆動装置YDに接続された車輪)に駆動力が発生される。駆動装置YDは、動力源PP、変速機TM、及び、駆動コントローラECDを含んで構成される。動力源PP(例えば、内燃機関)は、加速操作量Aaに応じて、駆動コントローラECDによって制御される。また、変速機TMは、シフト位置Haに応じて、駆動コントローラECDによって制御される。駆動装置YD(特に、動力源PP)には、スロットル開度Thを検出するスロットルセンサTH、燃料噴射量Fiを検出する噴射量センサFI、及び、駆動回転数Neを検出る回転数センサNEが設けられる。駆動装置YD(特に、変速機TM)には、変速比(ギヤ位置)Gpを検出するためのギヤ位置センサGPが設けられている。スロットル開度Th、燃料噴射量Fi、動力源の駆動回転数Ne、及び、ギヤ位置Gpは、駆動装置YDの出力(駆動トルク)を演算するために採用される。なお、動力源PPが、駆動用の電気モータである場合には、動力源PPへの通電量(例えば、電流値)Imが検出され得る。
駆動コントローラECDは、駆動装置YD用のコントローラである。駆動コントローラECDには、スロットル開度Th、燃料噴射量Fi、動力源の駆動回転数Ne、ギヤ位置Gpの信号(検出値)が入力される。これらの信号(Th等)に基づいて、駆動装置YDの出力(結果、車両に作用する総駆動力Fd)が演算される。また、駆動コントローラECDと制動コントローラECUとは、通信バスBSを介して情報(演算値、センサ値等)が共有されている。例えば、制動コントローラECUにて、トラクション制御、車両安定化制御等の制動制御が実行される際には、指示信号に従って、駆動コントローラECDによって動力源PPの出力が減少される。
<走行路判定装置HSを含む制動制御装置>
図2の概略図(液圧回路等)を参照して、走行路判定装置HSを含む制動装置YBの実施形態について説明する。車両には、マスタシリンダCMから制動液BFを圧送し、ホイールシリンダCWに制動液圧Pwを付与する制動装置YBが備えられる。制動装置YBでは、マスタシリンダCMが、マスタシリンダ流体路HM、及び、ホイールシリンダ流体路HWを介して、ホイールシリンダCWに接続される。ここで、「流体路」は、制動装置YBの作動液体である制動液BFを移動するための経路であり、制動配管、流体ユニットの流路、ホース等が該当する。各流体路の内部は、制動液BFが満たされている。
一般的な車両では、流体路として、2系統のものが採用される。2系統の流体路のうちの前輪系統(前輪用のマスタシリンダ室Rmfに係る系統)は、前輪ホイールシリンダCWf(=CWi、CWj)に接続される。2系統の流体路のうちの後輪系統(後輪用のマスタシリンダ室Rmrに係る系統)は、後輪ホイールシリンダCWr(=CWk、CWl)に接続される。つまり、2系統流体路として、所謂、前後型(「H型」ともいう)のものが採用されている。
制動装置YBには、上述した、制動操作部材BP、マスタシリンダCM、ホイールシリンダCWの他に、リザーバRV、及び、ブレーキブースタBBが備えられる。リザーバ(大気圧リザーバ)RVは、作動液体用のタンクであり、その内部に制動液BFが貯蔵されている。また、ブレーキブースタBBによって、運転者による制動操作部材BPの操作力Fpが軽減される。
車両には、車輪速度センサVW、操舵角センサSA、ヨーレイトセンサYR、前後加速度センサGX、横加速度センサGY、及び、制動操作量センサBAが備えられる。車両の各車輪WHには、車輪速度Vwを検出するよう、車輪速度センサVWが備えられる。車輪速度Vwの信号は、車輪WHのロック傾向(即ち、過大な減速スリップ)を抑制するアンチスキッド制御等の各輪での独立制御に利用される。
操舵操作部材(ステアリングホイール)SWには、操舵角Saを検出するように操舵角センサSAが備えられる。車両の車体には、ヨーレイト(ヨー角速度)Yrを検出するよう、ヨーレイトセンサYRが備えられる。また、車両(車体)の前後加速度Gx、及び、車両(車体)の横加速度Gyを検出するよう、前後加速度センサGX、及び、横加速度センサGYが設けられる。これらの信号は、過大なオーバステア挙動、アンダステア挙動を抑制する車両安定化制御(所謂、ESC)等の車両運動制御に用いられる。
運転者による制動操作部材BP(ブレーキペダル)の操作量Baを検出するよう、制動操作量センサBAが設けられる。制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pmを検出するマスタシリンダ液圧センサPM、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFPのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、操作量センサBAによって、制動操作量Baとして、マスタシリンダ液圧Pm、制動操作変位Sp、及び、制動操作力Fpのうちの少なくとも1つが検出される。
≪電子制御ユニットECU≫
制動装置YBには、制動コントローラECU、及び、流体ユニットHUが含まれる。コントローラ(「電子制御ユニット」ともいう)ECUは、マイクロプロセッサMP等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムにて構成されている。コントローラECUは、車載の通信バスBSを介して、他のコントローラ(ECD等)と、信号(検出値、演算値等)を共有するよう、ネットワーク接続されている。
制動コントローラECU(電子制御ユニット)によって、流体ユニットHUの電気モータML、及び、電磁弁UP、VI、VOが制御される。具体的には、コントローラECUには、電磁弁UP、VI、VO、及び、電気モータMLを駆動するよう、駆動回路DRが備えられる。
コントローラECUには、制動操作量Ba(マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、及び、操作力Fpのうちの少なくとも1つ)、車輪速度Vw、ヨーレイトYr、操舵角Sa、前後加速度Gx、横加速度Gy、等が入力される。例えば、コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車輪WHの過度の減速スリップ(例えば、車輪ロック)を抑制するよう、アンチスキッド制御が実行される。また、コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車輪WHの過度の加速スリップ(例えば、車輪スピン)を抑制するよう、トラクション制御が実行される。
制動コントローラECUには、走行路判定装置HS(判定用プログラム)が含まれる。例えば、判定装置HSでは、操作変位Sp、操作力Fp、マスタシリンダ液圧Pm、及び、制動液圧Pwのうちの少なくとも1つに基づいて、「車両の走行路が、軟弱路であるか、否か」が判定される。ここで、「軟弱路」は、砂地路、砂利路、泥濘路、積雪路等のように、車輪WHが路面に沈み込み、走行抵抗が増大する路面である。例えば、制動装置YBの動力伝達経路(制動操作部材BP~回転部材KT)において、力に係る状態量(制動操作力Fp、マスタシリンダ液圧Pm、ホイールシリンダ液圧Pw等)、及び、変位に係る状態量(制動操作変位Sp等)のうちの少なくとも1つに基づいて、車両に作用する制動力の総量(総制動力)Fbが演算され、総制動力Fbに基づいて該走行路判定が実行される。走行路判定の詳細については後述する。
≪流体ユニットHU≫
前輪、後輪マスタシリンダ流体路HMf、HMrが、マスタシリンダCMの液圧室Rmf、Rmrに接続される。マスタシリンダ流体路HMには、流体ユニットHU(「液圧モジュレータ」ともいう)が設けられる。流体ユニットHUは、電動ポンプDL、低圧リザーバRL、調圧弁UP、マスタシリンダ液圧センサPM、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOにて構成される。電動ポンプDLは、電気モータML、及び、流体ポンプQLにて構成される。流体ポンプQLの吸込み側には、低圧リザーバRLが設けられる。
調圧弁UPが、マスタシリンダ流体路HMに設けられる。調圧弁UPとして、通電状態(例えば、供給電流)に基づいて開弁量(リフト量)が連続的に制御されるリニア型の電磁弁(「比例弁」、又は、「差圧弁」ともいう)が採用される。調圧弁UPへの通電量(電流)が調整され、調圧弁UPの開弁量が調整される。なお、調圧弁UPとして、常開型の電磁弁が採用される。調圧弁UPの上流部(マスタシリンダCMと調圧弁UPとの間)には、マスタシリンダ液圧Pmを検出するよう、マスタシリンダ液圧センサPMが設けられる。
マスタシリンダ流体路HMは、調圧弁UPの下流部Bw(調圧弁UPとホイールシリンダCWとの間)にて、前輪ホイールシリンダ流体路HWに分岐(分流)される。ホイールシリンダ流体路HWには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが設けられる。インレット弁VIとして、常開型のオン・オフ電磁弁が採用される。また、アウトレット弁VOとして、常閉型のオン・オフ電磁弁が採用される。ここで、オン・オフ電磁弁は、開位置と閉位置の2つの位置を有する電磁弁である。電磁弁VI、VOは、コントローラECUによって、駆動信号Vi、Voに基づいて制御される。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOによって各輪の制動液圧Pwが独立して制御され得る。
インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOにおいて、各車輪WHに係る構成は同じである。ホイールシリンダ流体路HW(分岐部BwとホイールシリンダCWとを結ぶ流体路)には、常開型のインレット弁VIが設けられる。ホイールシリンダ流体路HWは、インレット弁VIの下流部にて、常閉型のアウトレット弁VOを介して、低圧リザーバRLに接続される。例えば、各輪独立の制動制御において、ホイールシリンダCW内の液圧Pwを減少するために、インレット弁VIが閉位置にされ、アウトレット弁VOが開位置される。インレット弁VIからの制動液BFの流入が阻止され、ホイールシリンダCW内の制動液BFは、低圧リザーバRLに流出し、制動液圧Pwは減少される。低圧リザーバRLに流入した制動液BFは、電動ポンプDLによって、インレット弁VIの上流部Bwに戻される。一方、制動液圧Pwを増加するため、インレット弁VIが開位置にされ、アウトレット弁VOが閉位置される。低圧リザーバRLへの制動液BFの流出が阻止され、調圧弁UPによって調節された液圧が、ホイールシリンダCWに導入され、制動液圧Pwが増加される。また、制動液圧Pwを維持するためには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが、共に、閉位置にされ、ホイールシリンダCW内の制動液BFは、移動されない。
<走行路判定装置HSの第1処理例>
図3の機能ブロック図を参照して、走行路判定の第1処理例について説明する。第1処理例は、車両の制動時(即ち、制動操作部材BPの操作時)に実行される。つまり、制動時に走行路の判定が行われる。走行路判定装置HSは、制動力演算ブロックFB、規範値演算ブロックGR、加速度演算ブロックGA、判定処理ブロックHN、及び、記憶処理ブロックMMにて構成される。判定装置HSは、判定用のアルゴリズムであり、例えば、制動コントローラECUのマイクロプロセッサMPにプログラムされている。
制動力演算ブロックFB(「制動力演算部」に相当)では、制動装置YBの動力伝達経路において、力に係る状態量、及び、変位に係る状態量のうちの少なくとも1つに基づいて、総制動力Fbが演算される。制動装置YBの動力伝達経路は、制動操作部材BPから、車輪WHと一体となって回転する回転部材KTまでの経路であり、総制動力Fbは、車両(車体)に作用する制動力の総量(総和)である。制動装置YBの諸元は既知である。ここで、制動装置YBの諸元とは、制動操作部材BPのレバー比、マスタシリンダCMの受圧面積、ホイールシリンダCWの受圧面積、摩擦材MS(ブレーキパッド等)の摩擦係数、回転部材KT(ブレーキディスク等)の有効制動半径、車輪WHの半径、等である。このため、動力伝達経路の力に係る状態量に基づいて、車輪WHが発生している総制動力Fbが求められる。例えば、力に係る状態量として、制動操作部材BPの操作力Fp、マスタシリンダ液圧Pm、及び、制動液圧Pwのうちの少なくとも1つが採用され得る。
また、制動装置YBにおける剛性(ばね定数であり、流体路の剛性、キャリパCPの剛性、摩擦材MSの剛性、等)は既知である。このため、動力伝達経路の変位に係る状態量に基づいて、力に係る状態量が演算される。従って、変位に係る状態量に基づいて、最終的には、車輪WHが発生している総制動力Fbが求められ得る。例えば、変位に係る状態量として、制動操作部材BPの操作変位Spが採用され得る。以上の様に、制動装置YBの動力伝達経路での、力・変位に係る状態量と総制動力Fb(車体全体に作用する力)との関係は既知であるため、これらのうちの少なくとも1つに基づいて、総制動力Fbが精度良く演算され得る。
規範値演算ブロックGR(「規範値演算部」に相当)では、総制動力Fb、及び、演算マップZgrに基づいて、制動時の規範値Gr(第1規範値)が演算される。第1規範値Grは、車両が舗装路(車輪WHが路面に沈み込まない道路であり、アスファルト舗装、コンクリート舗装等)を減速する場合に発生する前後加速度であり、車両の制動時において、軟弱路の判定をするための基準となる値である。規範値Grは、演算マップZgrに従って、総制動力Fbが「0」である場合には初期値goに演算され、総制動力Fbの増加に従って減少するよう演算される。ここで、初期値goは、舗装路での車輪WHの転がり抵抗、車体の空気抵抗等に対応した、予め設定された所定値である。
加速度演算ブロックGA(「加速度演算部」に相当)では、車輪速度Vwに基づいて、制動時の実際値Ga(実加速度)が演算される。実際値Gaは、車両(車体)の実際の前後加速度である。具体的には、加速度演算ブロックGAでは、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。例えば、4つの車輪速度Vwのうちの最も速いもの(最速の車輪速度)に基づいて、車体速度Vxが演算される。そして、車体速度Vxに基づいて、実際の前後加速度Gaが演算される。具体的には、車体速度Vxが時間微分されて、実際の前後加速度Gaが演算される。実際値Gaとして、前後加速度センサGXによって検出された実際の加速度Gxが採用されてもよい。また、ロバスト性を向上するよう、前後加速度度Gx(検出値)、及び、前後加速度Ga(演算値)の両方が、実際値Gaとして用いられてもよい。
判定処理ブロックHN(「判定部」に相当)では、実際値Ga、及び、規範値Gr(総制動力Fbの増加に応じて減少する基準値)との比較に基づいて、「車両の走行路が、軟弱路であるか、否か」が判定される。「軟弱路」は、車輪WHが路面に沈み込む(めり込む)ような道路であり、砂地路、砂利路、泥濘路、積雪路等が該当する。軟弱路は、舗装路よりも、走行抵抗が大きい。判定処理ブロックHNからは、判定結果Hnが出力される。判定処理ブロックHNでは、先ず、規範値Grから実際値Gaが減算されて、偏差hGr(「比較結果」に相当)が演算される(即ち、「hGr=Gr-Ga」)。そして、偏差hGrが、第1所定値hr以上の場合に、軟弱路が判定される。偏差hGrが、第1所定値hr未満の場合には、軟弱路は判定されず、走行路は通常の舗装路である。ここで、第1所定値hrは、制動時における判定用のしきい値であり、予め設定された定数である。
記憶処理ブロックMMでは、判定結果Hnが記憶される。そして、判定結果Hnに基づいて、最終的な判定結果Hmが演算される。判定結果Hnは、演算周期毎の値(即ち、リアルタイム値)であるが、複数の判定結果Hnに基づいて、最終的な判定結果Hmが決定される。例えば、所定時間における判定結果Hnの発生頻度に基づいて、判定結果Hmが演算される。そして、判定結果Hmは、制動制御に利用される。また、判定結果Hmは、記憶処理ブロックMMにて記憶されているため、制動時の判定結果Hmが、駆動時(例えば、トラクション制御)にも利用され得る。
判定装置HSでの軟弱路判定について、規範値演算ブロックGR内の特性図を参照して説明する。軟弱路では、車輪WHが道路に埋まる(沈み込む)ため、車輪WHが道路には埋まらない舗装路に比較して、走行抵抗が大きい。該走行抵抗は、車輪WHの沈み込む量に略比例する。つまり、沈み込む量が大きいほど、走行抵抗は大きくなる。例えば、車両が、特性Cbで示すような軟弱路にて制動操作が行われ、車両が減速している状況を想定する。「Fb=bq」の場合には、演算マップZgrに従って、「Gr=ga」が演算される。このとき、実際値Gaは、値gbである。判定処理ブロックHNでは、「hGr=ga-gb」が演算され、「hGr≧hr(第1所定値)」が満足されるため、走行路が軟弱路であることが判定される。
<走行路判定装置HSの第2処理例>
図4の機能ブロック図を参照して、走行路判定の第2処理例について説明する。第2処理例は、車両の加速時(即ち、加速操作部材APの操作時)に実行される。第1処理例では、総制動力Fbに基づいて判定が行われたが、第2処理例では、総駆動力Fdに基づいて判定が行われる。判定装置HSは、駆動力演算ブロックFD、規範値演算ブロックGS、加速度演算ブロックGA、判定処理ブロックHN、及び、記憶処理ブロックMMにて構成される。
駆動力演算ブロックFD(「駆動力演算部」に相当)では、駆動装置YDへのエネルギ供給状態に基づいて、総駆動力Fdが演算される。総駆動力Fdは、車両(車体)に作用する駆動力の総量である。例えば、動力源PPが内燃機関である場合には、エネルギ供給状態は、スロットル開度Th、及び、燃料噴射量Fiのうちの少なくとも1つに基づいて演算される。更に、エンジン回転数Ne、及び、変速比Gpに基づいて、総駆動力Fd(車両全体に作用する駆動力の総和)が演算される。また、動力源PPが、駆動用の電気モータである場合には、エネルギ供給状態は、電気モータへの通電状態Im(電流、電圧)に基づいて演算される。ここで、電気モータの通電量Imは、通電量センサIMによって検出される。そして、変速比Gpが考慮されて、総駆動力Fdが決定される。総駆動力Fdの演算において、エネルギ供給状態(Th、Fi、Im等)が参酌されるため、車輪WHが空転する場合にも、適切に総駆動力Fdが演算され得る。
規範値演算ブロックGRと同様に、規範値演算ブロックGS(「規範値演算部」に相当)にて、総駆動力Fd、及び、演算マップZgsに基づいて、加速時の規範値Gs(第2規範値)が演算される。第2規範値Gsは、舗装路を加速走行する場合の前後加速度に相当する。規範値Gsは、演算マップZgsに従って、総駆動力Fd(車体全体に作用する駆動力)が「0」である場合には初期値go(所定値であり、車輪WHの転がり抵抗、車体の空気抵抗に対応)に演算される。そして、総駆動力Fdの増加に従って、規範値Gsは増加するよう演算される。
加速度演算ブロックGA(加速度演算部)では、車輪速度Vwに基づいて、実際値Ga(演算値)が演算される。また、実際値Gaは、実際に発生している車両(車体)の前後加速度である。前後加速度の検出値Gxが、実際値Gaとして採用されてもよい。更に、検出値、及び、演算値の両方に基づいて、最終的な実際値Gaが決定されてもよい。
判定処理ブロックHN(判定部)では、実際値Ga、及び、規範値Gs(総駆動力Fdの増加に応じて増加する基準値)の比較に基づいて、「車両走行路が、軟弱路であるか、否か」が判定され、その結果Hnが出力される。上記同様に、偏差hGs(比較結果)が、「hGs=Gs-Ga」にて演算される。そして、「hGs<hs(第2所定値)」では軟弱路が否定され、「hGs≧hs」では軟弱路が肯定される。ここで、第2所定値hsは、駆動時用の判定しきい値であり、予め設定された定数である。記憶処理ブロックMMにて、判定結果Hnに基づいて、最終的な判定結果Hmが演算され、制動制御(アンチスキッド制御、トラクション制御)に利用される。
軟弱路判定について、規範値演算ブロックGS内の特性図を参照して説明する。上述した様に、軟弱路では、舗装路に比較して、走行抵抗が大である。例えば、車両が、特性Cdで示すような軟弱路での加速走行時を想定すると、「Fd=dq」の際には、演算マップZgsに従って、「Gs=gc」が演算される。このとき、実際値Gaは、値gdである。判定処理ブロックHNでは、「hGs=gc-gd」が演算され、「hGs≧hs(第2所定値)」が満足され、走行路が軟弱路であることが判定される。
<走行路判定装置HSの第3処理例>
図5の機能ブロック図を参照して、走行路判定の第3処理例について説明する。第3処理例は、車両の旋回時(即ち、操舵操作部材SWの操作時)に実行される。即ち、走行路の判定は、車両の旋回時にも行われる。第3処理例では、旋回量Taに基づいて判定が行われる。車両の旋回時には、制動操作が行われていなくても、車両が減速される。これは、車輪WHにコーナリングドラッグが作用することに因る。具体的には、「コーナリングドラッグ」は、車輪WHの横滑り角によって、車輪WH(タイヤ)に生じる横力のうち、車輪WHの進行方向と逆の方向に発生する成分であり、車両の進行方向に対する抵抗力である。判定装置HSは、旋回量演算ブロックTA、規範値演算ブロックGT、加速度演算ブロックGA、判定処理ブロックHN、及び、記憶処理ブロックMMにて構成される。
旋回量演算ブロックTA(「旋回量演算部」に相当)では、車両の旋回の程度を表す旋回量Ta(状態変数)が演算される。例えば、旋回量Taとして、横加速度センサGYにて検出された横加速度Gyが採用される。また、ヨーレイトYr、及び、車体速度Vxに基づいて、旋回量Ta(推定横加速度)が演算されてもよい。更に、操舵角Sa、及び、車体速度Vxに基づいて、旋回量Taが演算され得る。つまり、旋回量演算ブロックTAでは、旋回量Taは、横加速度Gy、ヨーレイトYr、及び、操舵角Saのうちの少なくとも1つに基づいて演算される。
規範値演算ブロックGRと同様に、規範値演算ブロックGT(規範値演算部)にて、旋回量Ta、及び、演算マップZgtに基づいて、旋回時の規範値Gt(第3規範値)が演算される。第3規範値Gtは、舗装路で、車両の加減速が行われず、単に旋回走行する場合に発生する前後加速度に相当する。規範値Gtは、演算マップZgtに従って、旋回量Taが「0(直進走行)」である場合には初期値go(所定値であり、車輪WHの転がり抵抗、車体の空気抵抗に対応)に演算される。そして、旋回量Taの増加に従って、規範値Gtは減少するよう演算される。加速度演算ブロックGA(加速度演算部)では、車輪速度Vw、及び、前後加速度の検出値Gxのうちの少なくとも1つに基づいて、実際値Gaが演算される。
判定処理ブロックHN(判定部)では、実際値Ga、及び、規範値Gt(旋回量Taの増加に応じて減少する基準値)の比較に基づいて、「車両走行路が、軟弱路であるか、否か」が判定され、その結果Hnが出力される。上記同様に、偏差hGt(比較結果)が、「hGt=Gt-Ga」が演算される。そして、「hGt<ht(第3所定値)」では軟弱路が否定され、「hGt≧ht」では軟弱路が肯定される。ここで、第3所定値htは、旋回時用の判定しきい値であり、予め設定された定数である。同様に、記憶処理ブロックMMにて、判定結果Hnに基づいて、判定結果Hmが演算され、制動制御(アンチスキッド制御、トラクション制御)に利用される。
軟弱路判定について、規範値演算ブロックGT内の特性図を参照して説明する。上述した様に、車両の旋回時においても、軟弱路では、舗装路に比較して、走行抵抗が大きい。例えば、車両が、特性Ctで示すような軟弱路での旋回走行時を想定すると、「Fd=tq」の際には、演算マップZgtに従って、規範値Gtが値geに演算され、実際値Gaは値gfである。判定処理ブロックHNでは、「hGt=ge-gf」が演算され、「hGt≧ht(第3所定値)」となるため、走行路が軟弱路であることが判定される。
<走行路判定装置HSでの結果Hmを利用した制動制御>
図6の機能ブロック図を参照して、走行路判定の結果Hmを利用した制動制御について説明する。制動制御は、車輪WHの過剰な減速スリップ(極端な場合が、車輪ロック)を抑制するアンチスキッド制御、及び、車輪WHの過剰な加速スリップ(極端な場合が、車輪スピン)を抑制するトラクション制御である。
制動制御は、車体速度演算ブロックVX、車輪加速度演算ブロックDV、減速スリップ演算ブロックSB、アンチスキッド制御ブロックAB、加速スリップ演算ブロックSD、及び、トラクション制御ブロックTCにて構成される。制動制御は、走行路判定装置HSと同様に、制動コントローラECUにプログラムされている。
車体速度演算ブロックVXにて、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。例えば、車両の加速時を含む非制動時には、4つの車輪速度Vwのうちの最も遅いもの(最遅の車輪速度)に基づいて、車体速度Vxが演算される。また、制動時には、4つの車輪速度Vwのうちの最も速いもの(最速の車輪速度)に基づいて、車体速度Vxが演算される。更に、車体速度Vxの演算において、その時間変化量において制限が設けられ得る。即ち、車体速度Vxの増加勾配の上限値au、及び、減少勾配の下限値adが設定され、車体速度Vxの変化が、上下限値au、adによって制約される。
車輪加速度演算ブロックDVにて、車輪速度Vwに基づいて、車輪加速度dV(車輪速度Vwの時間変化量)が演算される。具体的には、車輪速度Vwが時間微分されて、車輪加速度dVが演算される。
減速スリップ演算ブロックSBにて、車体速度Vx、及び、車輪速度Vwに基づいて、車輪WHの減速スリップSbが演算される。減速スリップSbは、走行路面に対する車輪WHのグリップの程度を表す状態量である。例えば、減速スリップSbとして、車輪WHの減速スリップ速度(車体速度Vxと車輪速度Vwと偏差)hVbが演算される(hVb=Vx-Vw)。また、減速スリップSbとして、スリップ速度(速度偏差)hVbが車体速度Vxにて無次元化された車輪スリップ率が採用され得る。
アンチスキッド制御ブロックABにて、車輪加速度dV、及び、減速スリップSbに基づいて、アンチスキッド制御が実行される。アンチスキッド制御ブロックABの制御パラメータ設定ブロックPAには、制動液圧Pwの増減を決定するよう、複数のしきい値が予め設定されている。これらのしきい値と、車輪加速度dV、及び、減速スリップSbとの相互関係に基づいて、過大な減速スリップSbを抑制するように、制動液圧Pwが減少されるとともに、車輪WHの減速スリップSbが回復傾向にある場合には、制動液圧Pwが増加される。具体的には、アウトレット弁VOのディーティ比、及び、インレット弁VIのディーティ比(単位時間当たりの通電時間の割合)が決定され、ホイールシリンダCWの液圧Pwが調整される。なお、アンチスキッド制御の実行中には、低圧リザーバRLから制動液BFを、インレット弁VIの上流部Bwに戻すよう、電気モータMLが駆動される。
アンチスキッド制御ブロックABでは、判定結果Hmに基づいて、制御パラメータ設定ブロックPAの制御パラメータが調整される。具体的には、車両の走行路面が軟弱路であると判定されている場合には、舗装路に比べて、相対的に減速スリップSbが大きくなるよう、アンチスキッド制御のしきい値が変更される。つまり、アンチスキッド制御の実行中には、相対的に大きな減速スリップSbが許容される。また、軟弱路が判定される場合には、アンチスキッド制御の実行が開始され難くされる。軟弱路では、減速スリップSbが、或る程度大きいほど、制動力が確保され易いことに因る。
減速スリップ演算ブロックSBと同様に、加速スリップ演算ブロックSDにて、車体速度Vx、及び、車輪速度Vwに基づいて、車輪WHの加速スリップSdが演算される。加速スリップSdも、走行路面に対する車輪WHのグリップの程度を表す状態量である。例えば、加速スリップSdとして、車輪WHの加速スリップ速度(車体速度Vxと車輪速度Vwと偏差)hVdが演算される(hVd=Vw-Vx)。また、加速スリップSdとして、スリップ速度(速度偏差)hVdが車体速度Vxにて無次元化された車輪スリップ率が採用されてもよい。
トラクション制御ブロックTCにて、車輪加速度dV、及び、加速スリップSdに基づいて、トラクション制御が実行される。トラクション制御ブロックTCの制御パラメータ設定ブロックPTには、動力源PPの出力低減、及び、制動液圧Pwの増減を決定するよう、複数のしきい値が予め設定されている。これらのしきい値と、車輪加速度dV、及び、加速スリップSdとの相互関係に基づいて、過大な加速スリップSdが抑制されるよう、出力低減、制動液圧Pwの増加が行われる。具体的には、先ず、動力源PPの出力低減が行われ、必要な場合には、制動液圧Pwの増加が行われる。
トラクション制御ブロックTCでは、判定結果Hmに基づいて、制御パラメータ設定ブロックPTの制御パラメータが調整される。具体的には、車両の走行路面が軟弱路であると判定されている場合には、舗装路に比べて、相対的に、加速スリップSdが大きくなるよう、トラクション制御のしきい値が変更される。また、軟弱路が判定される場合には、トラクション制御の実行が開始され難くされる。制動力と同様に、軟弱路では、加速スリップSdが、或る程度大きいほど、駆動力が確保され易いことに基づく。
軟弱路の判定は、アンチスキッド制御、トラクション制御等の制動制御が実行されている場合には行われない。しかし、判定結果Hmは、記憶処理ブロックMMにて記憶されているため、判定結果Hmは、利用可能である。また、アンチスキッド制御は、制動操作部材BPの操作直後には開始されない場合もある。この場合には、一連の制動操作(制動開始から終了までの操作)において、アンチスキッド制御の開始前の判定結果Hmが、アンチスキッド制御の開始後のしきい値調整に用いられる。また、トラクション制御は、車両の発進(停止状態からの加速)の際にも作動する。この場合には、車両の停止直前の判定結果Hmが、その後のトラクション制御のしきい値調整に利用される。路面状況は、時々刻々と変化するが、制動制御の開始直前の判定結果Hmが利用されるため、しきい値調整が好適に行われ得る。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。上記実施形態では、制動時の総制動力Fb、駆動時の総駆動力Fd、及び、旋回時の旋回量Taのうちの少なくとも1つに基づいて、軟弱路が判定された。これに代えて、直進の惰性走行時にも、軟弱路が判定され得る。ここで、「惰性走行」は、制動操作部材BP、及び、加速操作部材APが共に操作されていない状態である。規範値演算ブロックGR、GS、GTにおいて、「Fb=0」、「Fd=0」、「Ta=0」の点が、惰性直進走行に相当する。つまり、舗装路において、惰性で直進している場合の走行抵抗が、初期値goに相当する。
初期値goを基準に、判定用のしきい値gx(第4所定値)が設定される。しきい値gxは、初期値goよりも小さい、予め設定された定数である。車両が直進走行し、且つ、制動操作部材BP、及び、加速操作部材APが操作されていない場合(「Sa=0、Ba=0、Aa=0」のとき)に、加速度演算ブロックGAにて、前後加速度の実際値Gaが演算される。実際値Gaが所定値gx以上の場合(「Ga≧gx」のとき)には、「車両が舗装路(アスファルト舗装、コンクリート舗装等)を走行している」ことが判定される。一方、実際値Gaが所定値gx未満の場合(「Ga<gx」のとき)に、「車両が軟弱路(砂地路、砂利路、泥濘路、積雪路等)を走行している」ことが判定される。他の実施形態においても、判定結果Hnは、記憶処理ブロックMMにて記憶され、判定結果Hnに基づいて最終的な判定結果Hmが決定される。
上記実施形態では、走行路判定が、「軟弱路であるか、否か」の2段階で行われた。これに代えて、軟弱路の程度が複数段階で判定され得る。この場合には、複数のしきい値(第1、第2、第3所定値)hr、hs、htが設定され、前後加速度における実際値Gaと規範値Gr、Gs、Gtとの比較に基づいて、軟弱路の度合を考慮した判定が行われる。また、直進の惰性走行時においても、複数のしきい値gxが設定され、実際値Gaとしきい値gxとの比較に基づいて、軟弱路の程度が判定され得る。
YB…制動装置、YD…駆動装置、HS…走行路判定装置、ECU…制動コントローラ、VW…車輪速度センサ、YR…ヨーレイトセンサ、GX…前後加速度センサ、GY…横加速度センサ、SA…操舵角センサ、BA…制動操作量センサ、AA…加速操作量センサ、Gr…第1規範値(制動時)、Gs…第2規範値(加速時)、Gt…第3規範値(旋回時)、Vw…車輪速度、Vx…車体速度、Ga…実際の前後加速度(実際値)、Fb…総制動力(車両全体に作用する制動力の総和)、Fd…総駆動力(車両全体に作用する駆動力の総和)、Ta…旋回量。


Claims (3)

  1. 車両の車輪に制動力を付与する制動装置の動力伝達経路において、力に係る状態量、及び、変位に係る状態量のうちの少なくとも1つに基づいて、前記制動力の総量を総制動力として演算する制動力演算部と、
    前記車両の前後加速度を実際値として演算する加速度演算部と、
    前記総制動力に基づいて、前記車両が舗装路を走行する場合に相当する前後加速度の規範値を演算する規範値演算部と、
    前記車両の制動時に、前記実際値と前記規範値との比較結果に基づいて、前記車両が、前記車輪が路面に沈み込む軟弱路を走行しているか、前記舗装路を走行しているか、を判定する判定部と、
    を備える車両の走行路判定装置。
  2. 車両の旋回量を演算する旋回量演算部と、
    前記車両の前後加速度を実際値として演算する加速度演算部と、
    前記旋回量に基づいて、前記車両が舗装路を旋回する場合に相当する前後加速度の規範値を演算する規範値演算部と、
    前記車両の旋回時に、前記実際値と前記規範値との比較結果に基づいて、前記車両が、前記車両の車輪が路面に沈み込む軟弱路を走行しているか、前記舗装路を走行しているか、を判定する判定部と、
    を備える車両の走行路判定装置。
  3. 車両が直進走行し、制動操作部材、及び、加速操作部材が操作されていない場合に、前記車両の前後加速度を実際値として演算する加速度演算部と、
    前記実際値が、所定値以上の場合に、前記車両が舗装路を走行していることを判定し、
    前記実際値が、所定値未満の場合に、前記車両が、前記車両の車輪が路面に沈み込む軟弱路を走行していることを判定する判定部と、
    を備える車両の走行路判定装置。
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