JP2004090703A - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異径タイヤによる駆動系への悪影響を軽減することができる四輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供する。
【解決手段】異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、後輪(従動輪)側への駆動力配分量が通常値(通常の指令トルクT=プレトルクT1+ΔNトルクT2)よりも小さくなるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした。即ち、スロットル開度(加速操作量)により決まるプレトルクT1相当の駆動力が後輪側へ配分されないようにした。このため、前輪と後輪とが直結状態の場合と異なり、異径タイヤ装着に起因する前後の差動回転数を電磁クラッチ機構の各クラッチ板の相対回転によりある程度吸収することができる。従って、異径タイヤによる駆動系への悪影響を軽減することができる。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、四輪駆動車の駆動力配分制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、加速操作量(ガソリンエンジン車においては例えばスロットル開度)及び前輪と後輪との差動回転数に基づいて駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御し、これにより前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした四輪輪駆動車の駆動力配分制御装置が知られている。具体的には、車速及びスロットル開度に応じた駆動力(伝達トルク)を所定のトルク特性マップを参照してを求め、このトルクが前輪側又は後輪側に伝達されるように四輪輪駆動車の駆動力配分制御装置は前記駆動力伝達装置を構成する電磁クラッチの摩擦係合力を制御する。
【0003】
例えばスペアタイヤが装着された状態で四輪駆動車を走行させると、そのスペアタイヤが装着された車輪と他の車輪との間には差動回転数が連続的に発生する。この差動回転数の情報が前記従来の駆動力配分制御装置に入力されても、当該駆動力配分制御装置は通常の四輪駆動制御を継続する。ちなみに、スペアタイヤ以外にもタイヤに異径差が発生する原因は多々ある。例えば各車輪間で異なるメーカのタイヤを装着すること、タイヤ空気圧の変動、タイヤの摩耗などが挙げられる。また、前輪と後輪とでタイヤサイズを変えたり、摩耗したタイヤだけ交換したりするユーザもいる。このように、異径タイヤの装着はユーザによっても日常的に行われ得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記四輪駆動車の駆動力配分制御装置においては、次のような問題があった。即ち、異径差のあるタイヤ(異径タイヤ)を装着した状態で走行しても駆動力配分制御装置は通常時(正常タイヤ装着時)の四輪駆動制御を継続していた。そして、車速がある程度まで上がり、且つ従動輪側への駆動力配分量(伝達トルク)がある程度大きい場合には、異径タイヤにより発生する前輪と後輪との差動回転数を前記電磁クラッチのクラッチ板の相対回転では吸収できない。このため、運転者がタイヤ交換等により対処しなければ四輪駆動車の駆動系に例えばねじりトルクが発生して悪影響を与えるおそれがあった。また、各クラッチ板の摩擦係合力がある程度弱い場合、前輪と後輪との差動回転数を各クラッチ板の相対回転によりある程度吸収できるものの、各クラッチ板が相互に摩擦係合した状態で相対回転することにより高い摩擦熱が発生し各クラッチ板の劣化が助長される。いずれにしても、四輪駆動車の駆動系を保護するためには、運転者がタイヤ交換等で対処する必要があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、異径タイヤによる駆動系への悪影響を軽減することができる四輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、加速操作量検出手段により得られた加速操作量と差動回転数検出手段により得られた駆動輪と従動輪との差動回転数に基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより従動輪側への駆動力配分量を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、異径タイヤの装着を判定する異径タイヤ装着判定手段を備え、この異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、従動輪側への駆動力配分量が通常値よりも小さくなるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにしたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、前記加速操作量に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されないように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにしたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、差動回転数検出手段により得られた駆動輪と従動輪との差動回転数から異径タイヤの異径差により発生する駆動輪と従動輪との差動回転数を除去した値に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにしたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、異径タイヤ装着判定手段は、異径タイヤが装着されている旨の判定が所定の異径判定時間だけ継続してなされたとき、異径タイヤが装着されている旨の判定を確定するようにしたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記異径タイヤ装着判定手段は、異径タイヤが未装着である旨の判定が所定の正常判定時間だけ継続してなされたとき、正常タイヤが装着されている旨の判定を確定するようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、異径タイヤが装着されている旨を運転者の五感のうち少なくとも一つに訴えて報知する異径報知手段を備え、異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、当該異径タイヤ装着判定手段は前記異径報知手段を作動させるようにしたことを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記異径タイヤ装着判定手段は、定常走行状態であることを条件として異径タイヤ装着の判定処理を行うようにしたことを要旨とする。
【0013】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、従動輪側への駆動力配分量が通常値よりも小さくなるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合が制御される。このため、異径タイヤによる駆動系への悪影響が軽減される。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、前記加速操作量に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されないように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合が制御される。このため、従動輪側には前輪と後輪との差動回転数のみに応じた駆動力が配分される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加えて、異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、従動輪側には前後の差動回転数からタイヤの異径差により発生する前後の差動回転数を除去した値に応じた駆動力が従動輪側へ配分される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、異径タイヤが装着されている旨の判定が所定の異径判定時間だけ継続してなされたとき、異径タイヤが装着されている旨の判定が確定される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、異径タイヤが未装着である旨の判定が所定の正常判定時間だけ継続してなされたとき、正常タイヤが装着されている旨の判定が確定される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、異径タイヤが装着されている旨の判定されたとき、異径報知手段の作動により異径タイヤが装着されている旨が運転者の五感のうち少なくとも一つに訴えて報知される。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、定常走行状態であることを条件として異径タイヤ装着の判定処理が行われる。このため、異径タイヤ装着の誤判定が回避可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を前輪駆動ベースの四輪駆動車の駆動力配分制御装置に具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0021】
(全体構成)
図1に示すように、四輪駆動車11は、内燃機関を構成するエンジン12及びトランスアクスル13を備えている。トランスアクスルはトランスミッション及びトランスファ等を有している。トランスアクスル13には一対のフロントアクスル14, 14及びプロペラシャフト15が連結されている。両フロントアクスル14, 14にはそれぞれ前輪16, 16が連結されている。プロペラシャフト15には駆動力伝達装置(カップリング)17が連結されており、同駆動力伝達装置17にはドライブピニオンシャフト(図示略)を介してリヤディファレンシャル18が連結されている。リヤディファレンシャル18には一対のリヤアクスル19,19を介して後輪20,20が連結されている。
【0022】
エンジン12の駆動力はトランスアクスル13及び両フロントアクスル14, 14を介して両前輪16, 16に伝達される。また、プロペラシャフト15とドライブピニオンシャフトとが駆動力伝達装置17によりトルク伝達可能に連結された場合、エンジン12の駆動力はプロペラシャフト15、ドライブピニオンシャフト、リヤディファレンシャル18及び両リヤアクスル19,19を介して両後輪20,20に伝達される。前輪16は駆動輪(主駆動輪)を構成し、後輪20は従動輪(副駆動輪)を構成する。
【0023】
(駆動力伝達装置)
駆動力伝達装置17は湿式多板式の電磁クラッチ機構21を備えており、同電磁クラッチ機構21は互いに摩擦係合又は離間する複数のクラッチ板(図示略)を有している。電磁クラッチ機構21に内蔵された電磁コイル22(図2参照)に対して所定の電流を供給すると、各クラッチ板は互いに摩擦係合し、前輪16,16と後輪20,20との間においてトルク(駆動力)の伝達が行われる。電磁クラッチ機構21への電流の供給を遮断すると各クラッチ板は互いに離間し、前輪16,16と後輪20,20との間におけるトルクの伝達も遮断される。
【0024】
各クラッチ板の摩擦係合力は電磁コイル22へ供給する電流の量(電流の強さ)に応じて増減する。この電磁コイル22への電流供給量を制御することにより前輪16,16と後輪20,20との間の伝達トルク、即ち前輪16と後輪20との間の拘束力を任意に調整可能となっている。各クラッチ板の摩擦係合力が増大すると前輪16,16と後輪20,20との間の伝達トルクも増大する。逆に、各クラッチ板の摩擦係合力が減少すると前輪16,16と後輪20,20との間の伝達トルクも減少する。
【0025】
電磁コイル22への電流の供給、遮断及び電流供給量の調整は駆動力配分用の電子制御装置(以下、「駆動力配分制御装置31(4WD−ECU)」という。)により制御される。即ち、駆動力配分制御装置31は、電磁クラッチ機 構21における各クラッチ板の摩擦係合力を制御することによって、四輪駆動状態又は二輪駆動状態のいずれかを選択すると共に、四輪駆動状態において前輪16,16と後輪20,20との間の駆動力配分率(駆動力伝達割合;トルク配分率)を制御する。
【0026】
(電気的構成)
次に、四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31の電気的構成を図2に従って説明する。
【0027】
図2に示すように、四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31はCPU(中央演算処理装置)、RAM(書込み読出し専用メモリ)、ROM(読出し専用メモリ)32a及び入出力インターフェイス等を備えたマイクロコンピュータ(以下、「マイコン32」という。)を中心として構成されている。ROM32aは記憶手段を構成する。
【0028】
ROM32aにはマイコン32が実行する各種の制御プログラム、各種のデータ及び各種の特性マップ等が格納されている。各種の特性マップはそれぞれ車両モデルによる実験データ及び周知の理論計算等によって予め求められたものである。RAMはROM32aに書き込まれた各種の制御プログラムを展開して駆動力配分制御装置31のCPUが各種の演算処理(例えば電磁コイル22を通電制御するための演算処理)を実行するためのデータ作業領域である。
【0029】
マイコン32には、車輪速センサ33、スロットル開度センサ34、リレー35、電流検出回路36、駆動回路37、異常報知装置W及びエンジン制御装置(図示略)がそれぞれ入出力インターフェイス(図示略)を介して接続されている。異常報知装置Wは車室内に設置された警告灯やブザー等を備えている。予め想定した異常状態をマイコン32が検知したとき当該マイコン32は異常報知装置Wを作動させることにより異常状態である旨を運転者に報知する。
【0030】
車輪速センサ33は左右の前輪16,16及び左右の後輪20,20にそれぞれ設けられており、この合計4つの車輪速センサ33は前輪16,16及び後輪20,20の車輪速(車輪の単位時間当たりの回転数、即ち回転速度)を各別に検出し、これらの検出結果(車輪速信号)をマイコン32へ送る。
【0031】
スロットル開度センサ34はエンジン12のスロットルバルブ(図示略)に接続されており、このスロットルバルブの開度(スロットル開度θ)、即ち運転者のアクセルペダル(図示略)の踏込操作量を検出する。このスロットル開度θは四輪駆動車11を前進又は後退させたいという運転者の意思を示す加速操作量であり、この加速操作量が大きいほど運転者は加速意欲が強いと推定される。スロットル開度センサ34は加速操作量検出手段を構成し、その検出結果(スロットル開度信号、即ち踏込操作量信号)をマイコン32へ送る。
【0032】
また、四輪駆動車11はバッテリ38を備えており、このバッテリ38の両端にはヒューズ39、イグニッションスイッチ40、リレー35、シャント抵抗41、電磁コイル22及び電界効果トランジスタ(以下、「FET42」という)の直列回路が接続されている。
【0033】
シャント抵抗41の両端は電流検出回路36の入力側に接続されている。電流検出回路36はシャント抵抗41の両端間の電圧に基づいてシャント抵抗41に流れる電流を検出し、マイコン32へ送る。マイコン32は電流検出回路36から送られてきた電流に基づいて電磁コイル22に流れる電流を演算する。電磁コイル22の両端にはフライホイルダイオード43が接続されている。このフライホイルダイオード43はFET42がオフしたときに発生する逆起電力を逃がすためのものであり、これによりFET42が保護される。FET42のゲートGは駆動回路37の出力側に接続されており、当該FET42のソースSとバッテリ38のマイナス端子との接続点は接地されている。
【0034】
イグニッションスイッチ40がオン(閉動作)されると電源回路(図示略)を介してバッテリ38からマイコン32へ電力が供給される。すると、マイコン32は、各車輪速センサ33及びスロットル開度センサ34から得られる各種の情報(検出信号)に基づいて駆動力配分制御プログラム等の各種の制御プログラムを実行し、電磁コイル22へ供給する電流の量(指令電流値)を演算する。
【0035】
そして、マイコン32は演算した指令電流値を駆動回路37に出力する。駆動回路37は前記指令電流値に応じた電流が電磁コイル22へ供給されるように、FET42をオン/オフ制御(PWM制御)する。即ち、マイコン32は電磁コイル22へ供給する電流の量を制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御する。
【0036】
イグニッションスイッチ40がオフ(開動作)されるとマイコン32への電力の供給が遮断される。
(実施形態の作用)
次に、ROM32aに記憶された各種の制御プログラムに従って実行されるマイコン32の各種機能を図3に示す機能ブロック図に基づいて説明する。尚、各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrr、スロットル開度θ及び差動回転数ΔN等の各種のパラメータはそれぞれに対応する信号の意味として使用する。
【0037】
マイコン32における通常の駆動力配分制御は、次のように行われる。即ち、車輪速センサ33により検出された左右の前輪16,16及び左右の後輪20,20の車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrは、差動回転数演算部(以下、「ΔN演算部50」という。)、車速演算部51及び異径タイヤ装着判定部52へそれぞれ送られる。
【0038】
(ΔN演算部)
ΔN演算部50は、左右の前輪16,16の車輪速Vfl,Vfrに基づいて前輪平均回転数Nfn(=(Vfl+Vfr)/2)を求めると共に、左右の後輪20,20の両車輪速Vrl,Vrrに基づいて後輪平均回転数Nrn(=(Vrl+Vrr)/2)を求める。さらに、ΔN演算部50は、前輪平均回転数Nfnと後輪平均回転数Nrnとから差動回転数ΔN(=|Nfn−Nrn|)を演算する。ΔN演算部50は算出した差動回転数ΔNを差動回転数トルク演算部(以下、「ΔNトルク演算部54」という。)へ送る。この差動回転数ΔNはタイヤの異径差により発生する差動回転数ΔNd及びタイヤがスリップ(駆動スリップ)により発生する差動回転数ΔNsの双方を含んでいる。ΔN演算部50は差動回転数検出手段を構成する。
【0039】
(車速演算部)
車速演算部51は、取り込んだ各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrに基づいて車速Vを演算する。車速演算部51は算出した車速Vをプレトルク演算部53、ΔNトルク演算部54及びスリップによる差動回転数トルク演算部(以下、「ΔNsトルク演算部55」という。)へそれぞれ送る。この車速演算部51は車速検出手段を構成する。
【0040】
(異径タイヤ装着判定部)
異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤ装着判定手段を構成し、各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrr、車速V及びスロットル開度θに基づいて異径タイヤが装着された状態か否かを判定する。この判定結果により、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をそれぞれオン/オフ制御する。即ち、異径タイヤは装着されていないと判定したとき(異径判定が確定しないとき)、異径タイヤ装着判定部52は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をそれぞれオンすると共に第3スイッチSW3をオフする。異径タイヤが装着されていると判定したとき(異径判定が確定したとき)、異径タイヤ装着判定部52は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をそれぞれオフすると共に第3スイッチSW3をオンする。
【0041】
第1スイッチSW1はプレトルク演算部53と加算器56との間にあり、第2スイッチSW2はΔNトルク演算部54と加算器56との間にある。また、第3スイッチSW3はΔNsトルク演算部55と加算器56との間にある。このため、各スイッチSW1〜SW3がオンのときにはプレトルク演算部53、ΔNトルク演算部54及びΔNsトルク演算部55における演算結果をそれぞれ加算器56へ送出可能となる。また、各スイッチSW1〜SW3がそれぞれオフのときにはプレトルク演算部53、ΔNトルク演算部54及びΔNsトルク演算部55における演算結果を加算器56へ送出不能となる。
【0042】
また、異径タイヤ装着判定部52は各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrに基づいてタイヤのスリップにより発生した前後の差動回転数ΔNsを演算し、RAMへ一時的に格納する。さらに、異径タイヤ装着の判定が下されたとき、異径タイヤ装着判定部52は異常報知装置Wへ異径確定信号Swを出力し、当該異常報知装置Wを作動させる。この異径判定部における異径判定処理については、後に詳述する。
【0043】
(プレトルク演算部)
プレトルク演算部53には、車速演算部51からの車速Vに加えて、スロットル開度センサ34からのスロットル開度θが入力される。プレトルク演算部53はスロットル開度θ及び車速Vに応じた伝達トルク(以下、「プレトルクT1」という。)をプレトルク特性マップを参照して演算する。プレトルク特性マップは、スロットル開度θの増加に対するプレトルクT1の変化を所定の車速域毎に示したフィードフォワードテーブルマップである。そして、プレトルクT1は四輪駆動車11を走行させる際に運転者により入力された操作量(スロットル開度θ)に基づいて一意的に決まるフィードフォワード制御量である。第1スイッチSW1がオン状態のとき、プレトルク演算部53は算出したプレトルクT1を加算器56へ送出可能となる。
【0044】
(ΔNトルク演算部)
ΔNトルク演算部54には、車速演算部51からの車速V及びΔN演算部50からの差動回転数ΔNに加えて、スロットル開度センサ34により検出されたスロットル開度θが入力される。ΔNトルク演算部54は、車速V及び差動回転数ΔNに応じた伝達トルク(以下、「ΔNトルクT2」という。)を差動回転数トルク特性マップ(以下、「ΔNトルク特性マップ」という。)を参照して演算する。ΔNトルク特性マップは、前後輪の差動回転数ΔNの増加に対するΔNトルクT2の変化を所定の車速域毎に示したフィードバックテーブルマップである。そして、ΔNトルクT2は、四輪駆動車11の走行によりフィードバックされてきた情報(差動回転数ΔN)に基づいて決まるフィードバック制御量である。第2スイッチSW2がオン状態のとき、ΔNトルク演算部54は算出したΔNトルクT2を加算器56へ送出可能となる。
【0045】
(ΔNsトルク演算部)
ΔNsトルク演算部55は、タイヤのスリップ(駆動スリップ)に起因して発生する前後の差動回転数ΔNsに応じた伝達トルク(以下、「ΔNsトルクT2s」という。)をスリップ差動回転数トルク特性マップ(以下、「ΔNsトルク特性マップ」という。)を参照して演算する。ΔNsトルク特性マップは、スリップによる前後輪の差動回転数ΔNの増加に対するΔNsトルクT2sの変化を所定の車速域毎に示したフィードバックテーブルマップである。
【0046】
ΔNsトルク演算部55は後述する異径タイヤ装着判定部52により算出されてRAMに格納されたスリップに起因して発生する前後の差動回転数ΔNsを読み込み、これに基づいてΔNsトルク特性マップを参照することによりΔNsトルクT2sを決定する。第3スイッチSW3がオン状態のとき、ΔNsトルク演算部55は算出したΔNsトルクT2sを加算器56へ送出可能となる。
【0047】
ΔN演算部50により算出された差動回転数ΔN(実測値)は、左右前輪16,16及び左右後輪20,20のいずれかに装着されたタイヤに異径差があればこの異径差によっても生じるし、タイヤがスリップしたときにも生じる。即ち、左右前輪16,16及び左右後輪20,20のいずれかに異径タイヤが装着されている場合、ΔN演算部50により算出された差動回転数ΔNには、異径差に起因して発生した差動回転数ΔNd及びタイヤのスリップ(駆動スリップ)に起因して発生した差動回転数ΔNsがそれぞれ含まれている。
【0048】
この場合、差動回転数ΔNdは誤差であり、ΔNsトルク演算部55は差動回転数ΔNから異径差に起因して発生した差動回転数ΔNdを排除し、スリップに起因して発生した差動回転数ΔNsのみに基づいてΔNsトルクT2sを求める。四輪駆動車11にはタイヤがスリップしたときの走行安定性が要求されるからである。従って、タイヤのスリップ量(タイヤのスリップに起因して発生する差動回転数ΔNs)を求めて、これに応じたトルク伝達を行うことで必要最小限の駆動力を後輪20側へ配分するだけで四輪駆動車11の走行安定性を確保可能となる。
【0049】
(加算器)
異径タイヤ装着判定部52により異径タイヤは装着されていない旨の判定がなされたとき、加算器56にはプレトルク演算部53からのプレトルクT1及びΔNトルクT2がそれぞれ送られてくる。そして、加算器56はプレトルクT1にΔNトルクT2を加算することにより指令トルクT(T=T1+T2)を求める。また、異径タイヤ装着判定部52により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、加算器56にはΔNsトルク演算部55からのΔNsトルクT2sが送られてくる。そして、加算器56はΔNsトルクT2sを指令トルクT(T=T2s)として指令電流演算部57へ送る。
【0050】
(指令電流演算部)
指令電流演算部57は、加算器56から送られてきた指令トルクTに対応する電流(以下、「基本指令電流I0」という。)を、基本指令電流特性マップを参照して演算する。基本指令電流特性マップは指令トルクTを基本指令電流I0に変換するためのものであり、電磁コイル22へ供給する電流の変化に対する指令トルクTの変化を示したものである。そして、指令電流演算部57は基本指令電流I0を車速Vに応じた補正係数に基づいて補正し、この補正した基本指令電流I0を減算器58へ送る。
【0051】
(減算器)
減算器58には指令電流演算部57からの基本指令電流I0に加えて、電流検出回路36により検出された電磁コイル22のコイル電流Icが入力される。減算器58は、基本指令電流I0とコイル電流Icとの電流偏差ΔI (ΔI=│I0−Ic│)をPI(比例積分)制御部59へ送る。PI制御部59は減算器58から送られてきた電流偏差ΔI に基づいてPI制御値を演算し、このPI制御値をPWM(パルス幅変調)出力変換部60へ送る。
【0052】
(PWM出力変換部)
PWM出力変換部60は送られてきたPI制御値に応じたPWM演算を行い、このPWM演算の結果を駆動回路37へ送る。駆動回路37は、PWM出力変換部60から送られてきたPWM演算の結果に基づいて、所定の電流を電磁クラッチ機構21の電磁コイル22へ供給する。電磁クラッチ機構21の各クラッチ板は、供給された電流に応じた係合力で摩擦係合する。
【0053】
このように、マイコン32は差動回転数ΔN、車速V及びスロットル開度θ(加速操作量)に応じて、即ち車両(四輪駆動車11)の走行状態に合わせて基本指令電流I0を可変制御することにより、前輪16と後輪20との間の伝達トルクを最適に制御する。
【0054】
(駆動力配分処理ルーチン)
次に、走行時におけるマイコン32の駆動力配分処理ルーチンを図4に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートはROM32aに予め格納された制御プログラムに基づいて実行される。この制御プログラムは所定の制御周期(サンプリング周期)毎に繰り返される。尚、本実施形態では、ステップを「S」と略記する。
【0055】
図4に示すように、まず、マイコン32における異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤ装着判定処理を行う(S101)。即ち、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤが装着されているか否かを判定するための各種の演算処理を行う。そして、異径タイヤが装着されている旨の異径タイヤ装着判定結果が所定の異径判定時間(本実施形態では10秒)継続して検出されたとき、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤの装着を確定する。
【0056】
また、異径タイヤが装着されている旨の異径タイヤ装着判定結果が所定の異径判定時間(本実施形態では10秒)継続して検出されないときには、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤ装着の確定をしない。異径タイヤ装着判定部52は、この異径タイヤ装着判定結果をRAMに一時的に格納し、S102へ処理を移行する。この異径タイヤ装着判定処理については、後に詳述する。
【0057】
S102において、異径タイヤ装着判定部52はRAMに格納された異径タイヤ装着判定結果に基づいて、異径タイヤが装着されているか否か、即ち異径タイヤの装着が確定されているか否かを判断する。
【0058】
異径タイヤの装着が確定していなければ(S102でNO)、異径タイヤ装着判定部52は通常時(異径タイヤ非装着時)の駆動力配分処理を行う。即ち、異径タイヤ装着判定部52はΔNトルク特性マップを適用する(S103)と共にプレトルク特性マップを適用する(S104)。具体的には、異径タイヤ装着判定部52は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をそれぞれオンすると共に、第3スイッチSW3をオフする。この結果、プレトルク演算部53からのプレトルクT1にΔNトルク演算部54からのΔNトルクT2を加算した値が指令トルクT(T=T1+T2)となる。
【0059】
一方、異径タイヤの装着が確定していれば(S102でYES)、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤ装着時の駆動力配分処理を行う。即ち、異径タイヤ装着判定部52は警告灯,スピーカ,ブザー等の異常報知装置Wを作動させてタイヤの装着が異常状態である旨を運転者に報知する(S105)。これにより、運転者は異径タイヤが装着されていること(即ち、異常状態であること)を認識する。
【0060】
そして、異径タイヤ装着判定部52はΔNsトルク特性マップを適用する(S106)。具体的には、異径タイヤ装着判定部52は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をそれぞれオフすると共に、第3スイッチSW3をオンする。この結果、ΔNsトルク演算部55からのΔNsトルクT2sが指令トルクT(T=T2s、ただしT2>T2s)となる。
【0061】
(異径判定処理ルーチン)
次に、異径タイヤ装着判定部52における異径タイヤの装着判定処理ルーチンを図5に示すフローチャートに従って説明する。このルーチンは前述した駆動力配分処理ルーチン中のサブルーチン処理として図4のS101に処理が移行した際に実行される。
【0062】
まず、異径タイヤ装着判定部52は異径差演算を行う(S201)。即ち、左右前輪16,16間における異径差、左右後輪20,20間における異径差、及び前輪16と後輪20との間の異径差をそれぞれ各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrに基づいて演算する。異径タイヤ装着判定部52は算出した左右前輪16,16間における異径差、左右後輪20,20間における異径差、及び前輪16と後輪20との間の異径差をそれぞれRAMに一時的に格納する。この異径差演算処理については後に詳述する。
【0063】
次に、異径タイヤ装着判定部52は、四輪駆動車11の走行状態が定常走行状態か否かを判断する(S202)。本実施形態において、定常走行状態とは四輪駆動車11が一定の車速V且つ直進している状態をいう。即ち、異径タイヤ装着判定部52は四輪駆動車11がこの状態にあるか否かをスロットル開度θ、前後輪の差動回転数ΔN及び車速Vに基づいて判定する。車速Vが一定でない場合、スロットル開度θが変動している場合や所定値よりも大きな場合、及び前後輪間に所定の差動回転数ΔN(スリップ)が発生している場合、異径タイヤ装着判定部52は定常走行状態とはみなさない。
【0064】
定常走行状態ではないと判断したとき(S202でNO)、異径タイヤ装着判定部52は処理を終了する。四輪駆動車11が定常走行状態でない場合、各タイヤ間における径差の有無を正確に判定することが困難だからである。
【0065】
定常走行状態であると判断したとき(S202でYES)、異径タイヤ装着判定部52はS203へ処理を移行する。
S203において、異径タイヤ装着判定部52は異径差検出処理を行う。即ち、S201により算出された左右前輪16,16間における異径差、左右後輪20,20間における異径差、及び前輪16と後輪20との間の異径差がそれぞれ予め設定された許容値(閾値)以下であるか否かを判断する。各異径差がそれぞれ許容値以下であれば左右前輪16,16及び左右後輪20,20のいずれにも異径タイヤは装着されていないと判断する。
【0066】
いずれかの異径差が許容値を超えていれば、その異径差が発生している車輪に異径タイヤが装着されていると判断し、異径タイヤフラグをオンする。このように、異径タイヤ装着の判定に若干の余裕を持たせることにより、異径タイヤ装着の誤判断を防止できる。異径差は例えばタイヤ空気圧の変動によっても多少は発生するからである。この異径差検出処理については後に詳述する。
【0067】
次に、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤフラグがオン、且つ確定フラグがオフか否かを判断する(S204)。
確定フラグはS203において異径タイヤの装着が検出された状態(即ち、異径タイヤフラグのオン状態)が所定の異径判定時間(本実施形態では10秒)経過したときにオンされ、異径タイヤの装着を確定するものである。従って、確定フラグがオフということは、異径タイヤの装着が検出されてから(即ち、異径タイヤフラグがオンされてから)10秒経過しておらず、未だ異径タイヤの装着が確定していないということである。
【0068】
異径差フラグオン、且つ確定フラグ1がオフであるとき(S204でYES)、異径タイヤ装着判定部52はS205へ処理を移行する。
S205において、異径タイヤ装着判定部52は、確定カウンタをインクリメントすると共に復帰カウンタをリセットし、S206へ処理を移行する。インクリメントとはカウント値に1を加算することである。従って、確定カウンタのカウント値がインクリメントされる毎に異径判定処理の制御周期分だけ時間が経過したことになる。
【0069】
S206において、異径タイヤ装着判定部52は確定カウンタのカウント値が予め設定された確定カウンタ判定閾値(カウントアップ値)よりも大きいか否かを判断する。
【0070】
確定カウンタのカウント値が確定カウンタ判定閾値よりも大きいと判断したとき、異径タイヤ装着判定部52は確定フラグをオンして(S207)処理を終了する。
【0071】
即ち、異径差フラグのオン状態(異径タイヤ装着の検出状態)が所定の異径判定時間(本実施形態では10秒)だけ経過(継続)すると、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤの装着を確定する。これ以降、異径タイヤ装着判定部52は異径制御(図4におけるS101→S102→S105→S106のルーチン)を実行する。尚、本実施形態において、「確定カウンタ判定閾値(確定カウンタのカウントアップ値)×制御周期(秒)=10秒」となるように確定カウンタ判定閾値が設定されている。
【0072】
このように、確定カウンタを設けて、異径タイヤフラグのオン状態が予め設定された異径判定時間(本実施形態では10秒)継続したとき初めて異径タイヤの装着を確定するようにした。このため、例えば瞬間的に入力された異径差に基づいて異径タイヤの装着を確定することがなく異径タイヤ装着の誤判断が防止される。
【0073】
一方、前記S204において、異径タイヤフラグがオン、且つ確定フラグがオフでないとき(S204でNO)、異径タイヤ装着判定部52はS208へ処理を移行し、確定カウンタをリセットする。
【0074】
次に、異径タイヤ装着判定部52は、確定フラグがオンか否かを判断する(S209)。
確定フラグがオンでないとき(S209でNO)、異径タイヤ装着判定部52は処理を終了する。
【0075】
確定フラグがオンのとき(S209でYES)、異径タイヤ装着判定部52はS210へ処理を移行し、復帰カウンタをインクリメントする。
次に、異径タイヤ装着判定部52は、復帰カウンタのカウント値が予め設定した復帰カウンタ判定閾値(復帰カウンタのカウントアップ値)よりも大きいか否かを判断する(S211)。
【0076】
復帰カウンタのカウント値が予め設定した復帰カウンタ判定閾値よりも小さいとき(S211でNO)、異径タイヤ装着判定部52は処理を終了する。
復帰カウンタのカウント値が予め設定した復帰カウンタ判定閾値よりも大きいとき(S211でYES)、異径タイヤ装着判定部52は確定フラグをオフして(S213)処理を終了する。
【0077】
即ち、異径差フラグのオフ状態が所定の正常判定時間(本実施形態では10秒)経過すると、異径タイヤ装着判定部52は異径タイヤ装着の確定を解除する。本実施形態において、「復帰カウンタ判定閾値(復帰カウンタのカウントアップ値)×制御周期(秒)=10秒」となるように復帰カウンタ判定閾値が設定されている。
【0078】
このように、復帰カウンタを設けて、異径タイヤフラグのオフ状態(異径タイヤ装着の非検出状態)が予め設定された正常判定時間(本実施形態では10秒)だけ継続したとき初めて異径タイヤの装着の確定を解除するようにした。このため、例えば瞬間的に異径差が入力されなくなっても、それだけでは異径タイヤの装着の確定を解除することがない。
【0079】
換言すれば、異径判定が確定した後に運転者が正常タイヤに交換して異径差が正常値に戻っても一定時間経過しない限り、異径タイヤ装着判定部52は異径制御(図4におけるS101→S102→S105→S106のルーチン)を継続する。正常値が入力されてから一定時間経過すれば異径タイヤ装着判定部52は通常制御(S102→S103→S104のルーチン)に復帰し、運転者への異常報知(警告灯点灯など)を停止する。従って、正常タイヤを装着した旨の誤判断が防止される。
【0080】
以上のように、異径タイヤ装着判定部52は確定フラグが立っているか否かにより、正常・異常の判定を行う。
(異径差演算処理ルーチン)
次に、異径タイヤ装着判定部52における異径差演算処理ルーチンを図6に示すフローチャートに従って説明する。このルーチンは前述した異径判定処理ルーチン中のサブルーチン処理として図5のS201に処理が移行した際に実行される。
【0081】
この異径差演算処理時において、異径タイヤ装着判定部52は前輪左右速度差割合Rdf、後輪左右速度差割合Rdr及び前後速度差割合Rdnを求めると共に、各速度差割合Rdf,Rdr,Rdnの平滑化を行う。
【0082】
具体的には、異径タイヤ装着判定部52はまず次式(A)に基づいて前輪左右速度差割合を求める(S301)。前輪左右速度差割合Rdfは左右前輪16,16の車輪速度の差に対する遅い方の前輪16(左右前輪16,16のいずれか一方)の車輪速度の割合である。
【0083】
前輪左右速度差割合=(遅い車輪速度×10)/左右車輪速度差………(A)
次に、異径タイヤ装着判定部52は次式(B)に基づいて後輪左右速度差割合を求める(S302)。後輪左右速度差割合Rdrは左右後輪20,20の車輪速度の差に対する遅い方の後輪20(左右後輪20,20のいずれか一方)の車輪速度の割合である。
【0084】
後輪左右速度差割合=(遅い車輪速度×10)/左右車輪速度差………(B)
さらに、異径タイヤ装着判定部52は次式(C)に基づいて前後速度差割合を求める(S303)。前後速度差割合Rdnは両前輪16,16の平均車輪速度と両後輪20,20の平均車輪速度との差に対する遅い方の平均車輪速度(両前輪16,16の平均車輪速度または両後輪20,20の平均車輪速度)の割合である。
【0085】
前後速度差割合=(遅い平均車輪速度×10)/前後平均車輪速度差…(C)
そして、式(A),(B)(C)に基づいて算出された各速度差割合の平滑化を行う(S304)。即ち、過去に演算した複数の演算結果を含んだ平均値を算出する。これにより、異径差の急激な変化が回避される。
【0086】
定常走行状態(スリップなし)であってもタイヤに径差があるとタイヤの有効半径が変化することにより車輪速度に差が発生する。このため、前述した各速度差割合Rdf,Rdr,Rdnに基づいて左右前輪16,16間における異径差、左右後輪20,20間における異径差及び前輪16と後輪20との間の異径差をそれぞれ推定可能となる。本実施形態では、定常走行状態における各速度差割合Rdf,Rdr,Rdnとこれらに対応する異径差とのテーブルマップが予めROM32aに格納されており、例えば次のように設定されている。
【0087】
即ち、差前輪左右速度差割合Rdf=200及び後輪左右速度差割合Rdr=200のとき異径差はそれぞれ5%となる。差前輪左右速度差割合Rdf=1000及び後輪左右速度差割合Rdr=1000のとき、異径差はそれぞれ1%となる。また、前後速度差割合Rdn=200のとき、異径差は5%となる。前後速度差割合Rdn=1000のとき、異径差は1%となる。
【0088】
換言すれば、異径差=5%のとき、差前輪左右速度差割合Rdf=200、後輪左右速度差割合Rdr=200、前後速度差割合Rdn=200となる。また、異径差=1%のとき、差前輪左右速度差割合Rdf=1000、後輪左右速度差割合Rdr=1000、前後速度差割合Rdn=1000となる。
【0089】
このように、異径タイヤ装着判定部52は前記テーブルマップを参照することにより、前輪左右速度差割合Rdf、後輪左右速度差割合Rdr及び前後速度差割合Rdnから異径差を算出可能となっている。
【0090】
車輪速度を車輪速度差(車輪速度>>車輪速度差)で割っているので、車輪速度差が大きくなるほど各速度差割合Rdf,Rdr,Rdnは小さな値となる。即ち、車輪速度差が小さいほど各速度差割合Rdf,Rdr,Rdnは大きな値となる。このようにしたことにより、異径差が小さい場合でも、正確な異径演算が可能となる。また、僅差の異径差でも正確に検出可能となる。異径タイヤ装着判定部52は算出した各速度差割合Rdf,Rdr,RdnをRAMに一旦格納する。
【0091】
ところで、差動回転数ΔNは異径差によっても生じるし、タイヤがスリップしたときにも生じる。そして、四輪駆動車11で要求されるのはタイヤがスリップしたときの走行安定性である。従って、タイヤのスリップ量(タイヤのスリップにより発生する差動回転数ΔNs)を求めて、これに応じたトルク伝達を行えば四輪駆動車11の走行安定性を確保できる。差動回転数ΔNsは次式(D)に基づいて求められる。
【0092】
ΔNs=ΔN−Rdn×V…(D)
ここで、ΔNsはスリップによる差動回転数、ΔNは実測した差動回転数、Rdnは前後速度差割合、Vは平均車速である。式(D)は次式(E)に基づいて求められている。
【0093】
Rdn=ΔN/V…(E)
前記ΔNsトルク演算部55は、RAMから読み込んだスリップによる前後の差動回転数ΔNsに基づいてΔNsトルクT2sを算出する。そして、異径判定がなされたときにはこのΔNsトルクT2sが指令トルクTとなる。異径差により発生した差動回転数に基づくΔNsトルクT2sの誤差が排除されるので、スリップによってのみ発生した前後の差動回転数ΔNsに応じた指令トルクTを正確に求めることができる。
【0094】
(異径差検出処理ルーチン)
次に、異径タイヤ装着判定部52における異径差検出処理ルーチンを図7に示すフローチャートに従って説明する。このルーチンは前述した異径判定処理ルーチン中のサブルーチン処理として図5のS203に処理が移行した際に実行される。なお、本実施形態において、閾値1=330(異径差=約3%に相当)、閾値2=1000(異径差=約3%に相当)、閾値3=660(異径差=約1.5%に相当)とされている。
【0095】
異径差検出処理時、異径タイヤ装着判定部52は、まず左右前輪16,16に異径タイヤが装着されているか否かを判断する。即ち、異径タイヤ装着判定部52は「前輪左右速度差割合Rdf<閾値1、かつ後輪左右速度差割合Rdr>閾値2、かつ前後速度差割合Rdn<閾値3」の条件を満たすか否かを判断する(S401)。
【0096】
この条件を満たしているとき(S401でYES)、異径タイヤ装着判定部52は、S402へ処理を移行し、異径タイヤフラグ=1とする(異常判定)。即ち、左右前輪16,16間の車輪速度差が大きくて、左右後輪20.20間の車輪速度差が小さく、且つ前輪16と後輪20との間の車輪速度差が大きいときは、異径タイヤ装着判定部52は左右前輪16,16に異径タイヤが装着されていると判断する。そして、異径タイヤ装着判定部52は異径差検出処理ルーチンを終了する。
【0097】
前記条件を満たしていないとき(S401でYES)、異径タイヤ装着判定部52は左右前輪16,16には異径タイヤは装着されていないと判断し、S403へ処理を移行する。
【0098】
S403において、異径タイヤ装着判定部52は左右後輪20,20に異径タイヤが装着されているか否かを判断する。即ち、異径タイヤ装着判定部52は「前輪左右速度差割合Rdf>閾値2、かつ後輪左右速度差割合Rdr<閾値1、かつ前後速度差割合Rdn<閾値3」の条件を満たすか否かを判断する。
【0099】
この条件を満たしているとき(S403でYES)、異径タイヤ装着判定部52は、S402へ処理を移行し、異径タイヤフラグ=1とする(異常判定)。即ち、左右前輪16,16間の車輪速度差は小さくて、左右後輪20,20間の車輪速度差が大きく、且つ両前輪16,16と両後輪20、20との間の車輪速度差が大きいときは、異径タイヤ装着判定部52は左右後輪20,20に異径タイヤが装着されていると判断する。そして、異径タイヤ装着判定部52は異径差検出処理ルーチンを終了する。
【0100】
前記条件を満たしていないとき(S403でN0)、異径タイヤ装着判定部52は左右後輪20,20には異径タイヤは装着されていないと判断し、S404へ処理を移行する。
【0101】
S404において、異径タイヤ装着判定部52は左右前輪16,16と左右後輪20,20との間のタイヤ異径差の有無を見る。即ち、異径タイヤ装着判定部52は「前輪左右速度差割合Rdf>閾値2、かつ後輪左右速度差割合Rdr>閾値2、かつ前後速度差割合Rdn<閾値3」の条件を満たすか否かを判断する。
【0102】
この条件を満たしているとき(S404でYES)、異径タイヤ装着判定部52は、S402へ処理を移行し、異径タイヤフラグ=1とする。即ち、両前輪16,16間の車輪速度差及び両後輪20,20間の車輪速度差がいずれも小さくて、且つ両前輪16,16と両後輪20、20との間の車輪速度差が大きいときは、異径タイヤ装着判定部52は両前輪16,16又は両後輪20、20のいずれかに異径タイヤが装着されていると判断する。そして、異径タイヤ装着判定部52は異径差検出処理ルーチンを終了する。
【0103】
前記条件を満たしていないとき(S404でNO)、異径タイヤ装着判定部52は、S405へ処理を移行する。そして、異径タイヤフラグ=0として処理を終了する。即ち、左右前輪16,16間、左右後輪20,20間及び左右前輪16,16と左右後輪20,20との間のいずれにも車輪速度差がないとき(小さいとき)、異径タイヤ装着判定部52はいずれの車輪にも異径タイヤは装着されておらず、正常と判定する。
【0104】
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、後輪20(従動輪)側への駆動力配分量が通常値(T=T1+T2)よりも小さくなるように駆動力伝達装置17の駆動力伝達割合を制御するようにした。このため、前輪16と後輪20とが直結状態の場合と異なり、異径タイヤ装着に起因する前後の差動回転数を電磁クラッチ機構21の各クラッチ板の相対回転によりある程度吸収することができる。従って、異径タイヤによる駆動系への悪影響を軽減することができる。ひいては、電磁クラッチ機構21及び駆動力伝達装置17を含む四輪駆動車11の駆動系、さらには四輪駆動車11の製品寿命をも向上させることができる。
【0105】
(2)異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、スロットル開度θに応じた駆動力(プレトルクT1に相当)が後輪20(従動輪)側へ配分されないように駆動力伝達装置17の駆動力伝達割合を制御するようにした。このため、前輪16と後輪20との差動回転数ΔN(厳密にはタイヤのスリップに起因する差動回転数ΔNs)のみに応じた駆動力(ΔNトルクT2、厳密にはΔNsトルク)が後輪20側へ配分される。フィードフォワード制御量によるトルク配分制御を中止し、フィードバック制御量によるトルク配分制御のみ行うことにより、四輪駆動車11(特に電磁クラッチ機構21を含む駆動系)の保護を、より確実に行うことができる。
【0106】
(3)異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、ΔN演算部50により算出された前後の差動回転数ΔNから異径タイヤの異径差に起因する前後の差動回転数ΔNdを除去した値、即ちタイヤのスリップに起因する差動回転数ΔNsに応じた駆動力だけが後輪20(従動輪)側へ伝達されるようにした。このため、タイヤのスリップを防止し得るだけの必要最小限の駆動力(トルク)を後輪側へ伝達することができる。
【0107】
(4)異径タイヤが装着されている旨の判定が所定の異径判定時間(10秒)だけ継続してなされたとき、異径タイヤが装着されている旨の判定を確定するようにした。このため、異径タイヤ装着の誤判定を防止することができる。
【0108】
(5)異径タイヤが未装着である旨の判定が所定の正常判定時間(10秒)だけ継続してなされたとき、正常タイヤが装着されている旨の判定を確定するようにした。このため、異径タイヤ未装着、即ち正常タイヤ装着の誤判定を防止することができる。
【0109】
(6)異径タイヤが装着されている旨の判定が確定されたとき、異常報知装置Wを差動させ、異径タイヤが装着されている旨を運転者の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のうち少なくとも一つに訴えて報知するようにした。このようにすれば、異径タイヤが装着されている旨(異常状態)を運転者に報知することにより、運転者に異常状態を認識させることができる。また、異径報知することにより、運転者にタイヤ交換を促すことができる。
【0110】
(7)定常走行状態であることを条件として異径タイヤ装着の判定処理を行うようにした。このため、異径タイヤ装着の誤判定を回避することができる。
(別例)
尚、前記実施形態は以下のような別例に変更して実施してもよい。
【0111】
・本実施形態では、ΔNsトルク演算部55はタイヤのスリップに起因して発生する差動回転数ΔNsに基づいてΔNsトルクT2sを求めるようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、ΔNsトルク演算部55を第2のΔNトルク演算部に置き換える。具体的には、この第2のΔNトルク演算部には車速V及びスロットル開度θに加えてΔN演算部50からの差動回転数ΔNを入力する。そして、第2のΔNトルク演算部は、車速V及び差動回転数ΔNに応じた伝達トルク(以下、「第2のΔNトルク」という。)を第2の差動回転数トルク特性マップ(以下、「第2のΔNトルク特性マップ」という。)を参照して演算する。この第2のΔNトルク特性マップは、前後輪の差動回転数ΔNの増加に対する第2のΔNトルクの変化を所定の車速域毎に示したフィードバックテーブルマップである。また、第2のΔNトルク特性マップは差動回転数ΔNの増加に対する第2のΔNトルクの変化が前記ΔNトルク特性マップよりも緩やかになるように設定する。即ち、第2のΔNトルク特性マップは差動回転数ΔNに対する第2のΔNトルクの値が必要最小限となるように設定する。このようにしても、本実施形態における(1)〜(7)と同様の効果を得ることができる。
【0112】
・本実施形態では、ΔNsトルク演算部55を設けたが、次のようにしてもよい。即ち、ΔNsトルク演算部55を省略すると共に、ROM32aに通常制御用のΔNトルクマップ及び異径制御用のΔNトルク特性マップをそれぞれを格納し、両マップを相互に切換可能とする。異径制御時にはプレトルクT1を指令トルクTから除外する。
【0113】
・本実施形態では判断の確実性を向上させるために、図5のフローチャートにおいてS204及びS209の2回に亘って確定フラグのオン/オフ状態を確認するようにしたが、S209を省略するようにしてもよい。
【0114】
・図6のフローチャートにおいて、S301〜S303の処理手順を任意に変更するようにしてもよい。
・図7のフローチャートにおいて、S401、S403、S404の処理手順を相互に入れ替えてもよい。
【0115】
・本実施形態では、動力源としてエンジン12(内燃機関)を備えた四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31に本発明を具体化したが、エンジン12及びモータ(図示略)の2つの動力源を備えたパラレル方式のハイブリッド車の駆動力配分制御装置に具体化するようにしてもよい。このパラレル方式はエンジン12とモータの双方で車輪を駆動する方式である。ハイブリッド車が走行するための駆動力は主にエンジン12から供給される。エンジン12に負荷がかかる発進時や加速時にはモータが駆動され、このモータの駆動力によりエンジン12の駆動力が補助される。このようなパラレル方式のハイブリッド車の駆動力配分制御装置においても本実施形態における(1)〜(7)と同様の効果を得ることができる。
【0116】
・また、本発明をエンジン12及びモータ(図示略)の2つの動力源を備えたシリーズ方式のハイブリッド車の駆動力配分制御装置に具体化するようにしてもよい。このシリーズ方式は駆動用モータの駆動力によってのみ車輪を駆動する方式である。エンジン12の駆動力は発電機(図示略)を発電駆動させるためのみに使用される。発電機により発電された交流電力はインバータ(図示略)により直流電力に変換されてバッテリ(図示略)に充電される。このバッテリからの直流電力がインバータにより交流電力とされてモータへ供給される。このシリーズ方式の四輪駆動車において、加速する際には例えば操作ベダルの操作量を増加させる。すると、モータへ供給される直流電力量が増加する。即ち、操作ベダルの操作量の増減によりモータへ供給される直流電力量が増減する。この操作ベダルの操作量は運転者の加速意欲を示す加速操作量を示す。このようなシリーズ方式のハイブリッド車の駆動力配分制御装置においても本実施形態における(1)〜(7)と同様の効果を得ることができる。ただし、本実施形態におけるスロットル開度θ(加速操作量)をモータへ供給する直流電力量の増減を調節する前記操作ベダルの操作量に読み替える。
・さらに、本発明をモータの駆動力によってのみ車輪を駆動する電気自動車に具体化するようにしてもよい。この電気自動車においては例えば操作ベダルの操作量の増減によりモータへ供給される直流電力量が増減する。このような電気自動車においても本実施形態における(1)〜(7)と同様の効果を得ることができる。ただし、本実施形態におけるスロットル開度θ(加速操作量)をモータへ供給する直流電力量の増減を調節する前記操作ベダルの操作量に読み替える。
【0117】
・本実施形態では、前輪駆動ベースの四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31に本発明を具体化したが、後輪駆動ベースの四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31に具体化するようにしてもよい。この場合、駆動力配分制御装置31は前輪16側へのトルク配分量を制御する。
【0118】
・本実施形態では、車輪速センサ33及びスロットル開度センサ34をそれぞれマイコン32に接続するようにしたが、多重通信ネットワークを構築し、この多重通信ネットワークを介して加速操作量や車輪速度等の各種の情報がマイコン32に入力されるようにしてもよい。
【0119】
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記異径タイヤ装着判定手段は、左右前輪における異径タイヤ装着の判定を行う第1判定手段と、左右後輪における異径タイヤ装着の判定を行う第2判定手段と、前輪と後輪との間における異径タイヤの装着の判定を行う第3判定手段を備えた請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
【0120】
(ロ)加速操作量と駆動輪と従動輪との差動回転数に基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより従動輪側への駆動力配分量を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御方法において、異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、従動輪側への駆動力配分量が通常値よりも小さくなるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御方法。
【0121】
(ハ)異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、前記加速操作量に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されないように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした前記(ロ)に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御方法。
【0122】
(ニ)異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、駆動輪と従動輪との差動回転数から異径タイヤの異径差に起因して発生する駆動輪と従動輪との差動回転数を除去した値に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした前記(ハ)に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御方法。
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、異径タイヤが装着している旨の判定が下されたとき、従動輪側への駆動力配分量を通常値よりも小さくするようにしたので、異径タイヤによる駆動系への悪影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における四輪駆動車の概略構成図。
【図2】本実施形態における駆動力配分制御装置の電気的構成を示す回路図。
【図3】本実施形態におけるマイクロコンピュータの機能ブロック図。
【図4】本実施形態におけるマイクロコンピュータによる駆動力配分処理の手順を示すフローチャート。
【図5】本実施形態における異径タイヤ装着判定部による異径判定処理の手順を示すフローチャート。
【図6】本実施形態における異径タイヤ装着判定部による異径差演算処理の手順を示すフローチャート。
【図7】本実施形態における異径タイヤ装着判定部による異径差検出処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…四輪駆動車、16…駆動輪を構成する前輪、17…駆動力伝達装置、
20…従動輪を構成する後輪、31…駆動力配分制御装置、
34…加速操作量検出手段を構成するスロットル開度センサ、
50…差動回転数検出手段を構成するΔN演算部、
52…異径タイヤ装着判定手段を構成する異径タイヤ装着判定部、
S401…第1判定手段を構成する異径差検出処理ルーチンにおけるステップ、S402…第2判定手段を構成する異径差検出処理ルーチンにおけるステップ、S403…第3判定手段を構成する異径差検出処理ルーチンにおけるステップ、W…異径報知手段を構成する報知装置、θ…スロットル開度(加速操作量)、
ΔN…差動回転数(実測値)、
ΔNd…差動回転数(異径差に起因して発生する差動回転数)、
ΔNs…差動回転数(スリップに起因して発生する差動回転数)。

Claims (7)

  1. 加速操作量検出手段により得られた加速操作量と差動回転数検出手段により得られた駆動輪と従動輪との差動回転数に基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより従動輪側への駆動力配分量を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    異径タイヤの装着を判定する異径タイヤ装着判定手段を備え、この異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、従動輪側への駆動力配分量が通常値よりも小さくなるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 前記異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、前記加速操作量に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されないように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした請求項1に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 前記異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、差動回転数検出手段により得られた駆動輪と従動輪との差動回転数から異径タイヤの異径差により発生する駆動輪と従動輪との差動回転数を除去した値に応じた駆動力配分量が従動輪側へ伝達されるように駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御するようにした請求項2に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 異径タイヤ装着判定手段は、異径タイヤが装着されている旨の判定が所定の異径判定時間だけ継続してなされたとき、異径タイヤが装着されている旨の判定を確定するようにした請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  5. 前記異径タイヤ装着判定手段は、異径タイヤが未装着である旨の判定が所定の正常判定時間だけ継続してなされたとき、正常タイヤが装着されている旨の判定を確定するようにした請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  6. 異径タイヤが装着されている旨を運転者の五感のうち少なくとも一つに訴えて報知する異径報知手段を備え、
    異径タイヤ装着判定手段により異径タイヤが装着されている旨の判定がなされたとき、当該異径タイヤ装着判定手段は前記異径報知手段を作動させるようにした請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  7. 前記異径タイヤ装着判定手段は、定常走行状態であることを条件として異径タイヤ装着の判定処理を行うようにした請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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