(5.詳細な説明)
(5.1 定義)
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「該(the)」は、文脈によりそうでないことが明確に定められない限り、複数の指示対象を含む。
分子量などの物理的特性又は化学式などの化学的特性について、範囲が本明細書で使用される場合、範囲及びその中の具体的な実施態様の全ての組合せ及び部分的組合せが含まれることが意図される。本明細書で使用される場合、「約(about)」及び「約(approximately)」という用語は、数値又は値の範囲と組み合わせて使用される場合、該値又は値の範囲が、例えば、実験的なばらつきの範囲内で(又は統計的な実験誤差の範囲内で)、当業者に妥当であると考えられる程度に逸脱し得、したがって、該数値又は値の範囲が、例えば、記述された数値又は値の範囲の1%〜15%、1%〜10%、1%〜5%、0.5%〜5%、及び0.5%〜1%異なり得ることを意味する。本明細書に開示されているように、数値又は値の範囲の前に「約(about)」という用語が付いた場合は全て、所与の値の実施態様も含む。例えば、「約3℃」は、温度が「3℃」である実施態様を開示している。「約(about)」及び「約(approximately)」という用語は、本開示の全体を通じて完全に互換的に使用される。「の間(between)」という用語は、範囲の両端にある終点の数を含む。例えば、「3〜5」によって記載される範囲は、「3」及び「5」という数を含む。本明細書で使用される場合、数値又は値の範囲の前にあるチルダ(すなわち、「〜」)は、「約(about)」又は「約(approximately)」を示す。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「薬剤」又は「生物活性剤」又は「第2の活性剤」は、生物学的、薬学的、もしくは化学的な化合物、又は他の部分を指す。非限定的な例としては、単純なもしくは複雑な有機もしくは無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、又は化学療法化合物が挙げられる。様々な化合物、例えば、小分子並びにオリゴマー(例えば、オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチド)、並びに様々なコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができる。さらに、様々な天然供給源、例えば、植物又は動物抽出物などは、スクリーニング用の化合物を提供することができる。当業者は、本開示の薬剤の構造的性質に関して制限がないことを容易に認識することができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質の活性の増強又は惹起によるものであれ、標的タンパク質の発現の増強又は惹起によるものであれ、標的タンパク質の生物学的機能を惹起又は増強する能力を有する化合物を指す。したがって、「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質の生物学的役割との関連において定義される。本明細書に提供されるアゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)ことができるが、標的タンパク質がそのメンバーとなっているシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質の生物活性を惹起又は増強する化合物も、この定義に特に含まれる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は互換的に使用されており、これらは、標的タンパク質の活性の阻害によるものであれ、標的タンパク質の発現の阻害によるものであれ、標的タンパク質の生物学的機能を阻害する能力を有する化合物を指す。したがって、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、標的タンパク質の生物学的役割との関連において定義される。本明細書に提供されるアンタゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)ことができるが、標的タンパク質がそのメンバーであるシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質の生物活性を阻害する化合物も、この定義に特に含まれる。一実施態様において、アンタゴニストによって阻害される生物活性は、腫瘍の発生、成長、もしくは伝播、又は例えば、自己免疫疾患において現れるような望ましくない免疫応答と関連する。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「抗癌剤」、「抗腫瘍剤」、又は「化学療法剤」は、腫瘍状態の治療において有用な任意の薬剤を指す。抗癌剤の1つのクラスは化学療法剤を含む。本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「化学療法」は、1以上の化学療法薬及び/又は他の薬剤を、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、口腔内、もしくは吸入を含む様々な方法によるか、又は坐剤の形態で、癌患者に投与することを意味する。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「細胞増殖」という用語は、細胞数が分裂の結果として変化する現象を指す。一実施態様において、この用語は、細胞形態が増殖性シグナルに従って変化した(例えば、大きさが増加した)細胞成長も包含する。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「共投与」、「と組み合わせて投与される」という用語、及びそれらの文法的同等表現は、2以上の薬剤を、同時又は順次のいずれかで、動物に投与することを包含する。一実施態様において、両方の薬剤及び/又はそれらの代謝産物は動物内で同時に存在する。一実施態様において、共投与は、別々の組成物中での同時投与、別々の組成物中での異なる時点での投与、又は両方の薬剤が存在する1つの組成物中での投与を含む。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、本明細書で定義されているような、疾患治療を含むが、これに限定されない、意図される用途又は効果を達成するのに十分である本明細書に記載される化合物の量を指す。治療的有効量は、意図される用途(インビトロもしくはインビボ)、又は治療されている対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与様式などによって異なることができ、これは、当業者によって決定されることができる。この用語は、標的細胞における特定の応答、例えば、血小板粘着及び/又は細胞遊走の低下を誘導する用量にも適用されることができる。具体的な用量は、選択される具体的な化合物、従うべき投与レジメン、それが他の化合物と組み合わせて投与されるかどうかということ、投与のタイミング、それが投与される組織、及びそれが運搬される物理的送達系によって異なる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「治療」、「治療する」、「軽減する」、及び「改善する」という用語は、本明細書で互換的に使用されており、限定されないが、治療的利益を含む、有益な又は所望の結果を得るための手法を指す。一実施態様において、治療的利益は、治療されている基礎疾患の根絶又は改善を意味する。一実施態様において、治療的利益は、患者が基礎疾患にまだ罹患している可能性があるとしても、患者において改善が見られるように、基礎疾患と関連する生理的症状の1つ又は複数を根絶又は改善することによって得られる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「予防」及び「予防する」という用語は、限定されないが、予防的利益を含む有益な又は所望の結果を得るための手法を指す。一実施態様において、予防的利益には、疾患もしくは疾病の出現の遅延もしくは消失、疾患もしくは疾病の症状の発症の遅延もしくは消失、疾患もしくは疾病の進行の減速、停止、もしくは逆転、又はこれらの任意の組合せが含まれる。予防的利益を得るために、該組成物を、特定の疾患を発症するリスクのある患者に、又は疾患の生理的症状のうちの1つもしくは複数を訴えている患者に、この疾患の診断を下すことができた場合でも、この疾患の診断を下すことができなかった場合でも、投与することができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「シグナル伝達」は、刺激性又は抑制性シグナルが細胞内へ及び細胞内で伝達されて、細胞内応答を誘発する過程である。シグナル伝達経路のモジュレーターは、同じ特定のシグナル伝達経路に位置付けられる1以上の細胞タンパク質の活性を調節する化合物を指す。モジュレーターは、シグナル伝達分子の活性を強化するか(アゴニスト)又は抑制する(アンタゴニスト)ことができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、生物活性剤に適用される「選択的阻害」又は「選択的に阻害する」という用語は、標的との直接的又は相互作用的な相互作用を介して、オフターゲットシグナル伝達活性と比較して、標的シグナル伝達活性を選択的に低下させる薬剤の能力を指す。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「インビボ」という用語は、対象の体内で起こる事象を指す。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「インビトロ」という用語は、対象の体外で起こる事象を指す。例えば、インビトロアッセイは、対象アッセイの外側で行われる任意のアッセイを包含する。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞を利用する細胞ベースのアッセイを包含する。一実施態様において、インビトロアッセイは、無傷細胞を利用しない無細胞アッセイも包含する。
投与が想定される「対象」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢層の男性又は女性、例えば、小児対象(例えば、幼児、子供、青年)又は成人対象(例えば、若年成人、中年成人、もしくは老人))、並びに/或いは他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/又はイヌなどの商業関連の哺乳動物を含む哺乳動物;並びに/或いはニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/又は七面鳥などの商業関連の鳥類を含む鳥類が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「放射線療法」は、患者を、施術者に公知のルーチンの方法及び組成物を用いて、放射線放出体、例えば、アルファ-粒子放出放射性核種(例えば、アクチニウム及びトリウム放射性核種)、低線エネルギー転移(LET)放射線放出体(すなわち、ベータ放出体)、転換電子放出体(例えば、ストロンチウム-89及びサマリウム-153-EDTMP、又は限定されないが、x線、ガンマ線、及び中性子を含む高エネルギー放射線に曝露することを意味する。
本明細書で使用される場合、「組み合わせること」という用語は、1以上の化学的実体を別の1以上の化学的実体と会合させることを指す。組み合わせることは、1以上の化合物を、1以上の化合物(同じもしくは異なる化学的実体)の固体、液体、もしくは気体混合物、又は液体溶液もしくは多相液混合物に添加する方法を含む。組み合わせるという行為は、1以上の化合物(同じ又は異なる化学的実体)と反応する1以上の化合物の1つ又は複数の方法(例えば、結合の形成もしくは切断;塩形成、溶媒和物形成、キレート化、又は他の非結合変化性会合)を含む。組み合わせるという行為は、例えば、異性化(例えば、互変異性化、ある異性体の別の異性体からの分割、又はラセミ化)による、1以上の化合物の変化を含むことができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「ワンポット」方法は、所望の生成物を調製する方法であって、全ての反応物が同時に又は連続的に添加され、かつ所望の生成物の形成が実質的に終わる前に、形成された任意の中間体の分離、単離、及び/又は精製が行われない、方法を指す。「ワンポット」方法は、単一の容器中で行われることが好ましいが、複数の容器中で行われてもよい。
本明細書で使用される場合、「回収する」という用語は、本明細書に開示される方法工程中及び/又はその後の収集によって1以上の化合物を得る行為、並びに本明細書に開示される方法工程中及び/又はその後の1以上の他の化学的実体からの1以上の化合物の分離によって1以上の化合物を得る行為を含むが、これらに限定されない。「収集」という用語は、この目的のための当技術分野で公知の任意の行為を指し、これには、濾過、母液を固体からデカントして、1以上の化合物を得ること、及び溶液又は他の混合物中の液体媒体を蒸発させて、1以上の化合物を含む固体、油状物、又は他の残渣を得ることが含まれるが、これらに限定されない。固体は、当技術分野で公知の特徴の中でも特に、結晶性、無結晶性(acrystalline)、部分結晶性、非晶質、1以上の多形を含有するもの、粉末、顆粒、様々な粒径のもの、均一の粒径のものであることができる。油状物は、色及び粘度が異なることができ、かつ当技術分野で公知の特徴の中でも特に、1以上の固体形態を不均一な混合物として含むことができる。「分離」という用語は、この目的のための当技術分野で公知の任意の行為を指し、これには、例えば、シード(seeded)もしくはシードレス(seedless)結晶化又は他の析出技法(例えば、貧溶媒を溶液に添加して、化合物の析出を誘導すること;溶液を加熱し、その後、冷却して、化合物の析出を誘導すること;溶液の表面を器具でスクラッチして、化合物の析出を誘導すること)、及び蒸留技法を用いて、1以上の化合物を溶液又は混合物から単離することが含まれるが、これらに限定されない。1以上の化合物を回収することは、その塩、溶媒和物、水和物、キレート、又は他の錯体を調製すること、その後、上記のように収集又は分離することを含むことができる。
本明細書で使用される場合、開示された式(I)の「医薬として許容し得る形態」は、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、キレート、非共有結合錯体、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。したがって、「化学的実体(chemical entity)」及び「化学的実体(chemical entities)」という用語は、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、キレート、非共有結合錯体、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体、並びにこれらの混合物も包含する。いくつかの実施態様において、開示された式(I)の医薬として許容し得る形態には、その塩、溶媒和物、又は水和物が含まれる。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、医薬として許容し得る塩である。本明細書で使用される場合、「医薬として許容し得る塩」という用語は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずに対象の組織と接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合っている塩を指す。医薬として許容し得る塩は当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、医薬として許容し得る塩を、J. Pharmaceutical Sciences(1977)66: 1-19で詳細に記載している。本明細書に提供される化合物の医薬として許容し得る塩としては、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導される塩が挙げられる。塩を誘導することができる無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。塩を誘導することができる有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられるが、これらに限定されない。医薬として許容し得る無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸とともに、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸とともに、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬として許容し得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。いくつかの実施態様において、塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
適当な塩基から誘導される医薬として許容し得る塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。塩を誘導することができる無機塩基としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。塩を誘導することができる有機塩基としては、1級、2級、及び3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられるが、これらに限定されず、例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、又はマグネシウム塩である。代表的なアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。さらなる医薬として許容し得る塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される無毒なアンモニウム陽イオン、4級アンモニウム陽イオン、及びアミン陽イオンが挙げられる。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、1級、2級、及び3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選択される。ビス塩(すなわち、2つの対イオン)及びより高次の塩(例えば、3つ以上の対イオン)は、医薬として許容し得る塩の意味の範囲内に包含される。
さらに、本開示の化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基を、酸塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、酸付加塩、特に、医薬として許容し得る付加塩を、酸付加塩を塩基化合物から調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を好適な有機溶媒に溶解させ、該溶液を酸で処理することにより生成させることができる。当業者は、無毒な医薬として許容し得る付加塩を調製するために使用することができる様々な合成法を認識しているであろう。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は「溶媒和物」(例えば、水和物)である。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的な分子間力によって結合している化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示された化合物又はその医薬として許容し得る塩でできたものであることができる。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。医薬として許容し得る溶媒和物及び水和物は、例えば、1〜約100個、もしくは1〜約10個、又は1〜約2、3、もしくは4個の溶媒分子又は水分子を含み得る錯体である。いくつかの実施態様において、溶媒和物はチャネル溶媒和物であることができる。本明細書で使用される「化合物」という用語は、化合物及び化合物の溶媒和物、並びにこれらの混合物を包含することが理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「プロドラッグ」は、生理的条件下で又は加溶媒分解によって、本明細書に記載される生物活性化合物に変換することができる化合物を指すことが意図される。したがって、「プロドラッグ」という用語は、医薬として許容し得る生物活性化合物の前駆体を指す。プロドラッグは、対象に投与されるときには不活性であり得るが、例えば、加水分解によって、インビボで活性化合物に変換される。いくつかの実施態様において、プロドラッグ化合物は、哺乳動物生物において、溶解性、組織適合性、又は遅延放出という利点を提供することが多い(例えば、Bundgard, H.の文献、プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(1985)、pp. 7-9、21-24(Elsevier, Amsterdam)を参照されたい)。プロドラッグの考察は、どちらも引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Higuchi, T.らの文献、「新規送達系としてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」、A.C.S. Symposium Series、第14巻、及び薬物設計におけるバイオリバーシブル担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されている。「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与されたときに、活性のある式(I)をインビボで放出する、任意の共有結合した担体を含むことも意図される。本明細書に記載される、活性化合物のプロドラッグは、修飾がルーチンの操作又はインビボのいずれかで切断されて親活性化合物になるように、活性のある式(I)中に存在する官能基を修飾することにより調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプト基が任意の基に結合している化合物を含み、この任意の基は、活性のある式(I)のプロドラッグが哺乳動物対象に投与されたとき、切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、又は遊離メルカプト基を形成する。プロドラッグの例としては、アルコールの酢酸エステル、ギ酸エステル、及び安息香酸エステル誘導体、又は活性化合物中のアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミド、及びベンズアミド誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは、通常、周知の方法、例えば、Burgerの医薬品化学及び創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)、172-178、949-982(Manfred E. Wolff編、第5版、1995)、及びプロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(H. Bundgaard編、Elselvier, New York, 1985)に記載の方法を用いて調製することができる。
例えば、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸基の水素原子と、(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(例えば、β-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル、及びピペリジノ-、ピロリジノ-、又はモルホリノ(C2-C3)アルキルなどの基との置換によって形成される医薬として許容し得るエステルを含むことができる。
同様に、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子と、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル、及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシル(ここで、各々のα-アミノアシル基は、独立に、天然に存在するL-アミノ酸から選択される)、P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、又はグリコシル(ヘミアセタール形態の炭水化物のヒドロキシル基の除去によって得られるラジカル)などの基との置換によって形成されることができる。
開示された化合物又は式(I)の医薬として許容し得る形態がアミン官能基を取り込んでいる場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子と、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニル(ここで、R及びR'は、各々独立に、(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジル、天然α-アミノアシル、又は天然α-アミノアシル-天然α-アミノアシルである)、-C(OH)C(O)OY1(式中、Y1は、H、(C1-C6)アルキル、又はベンジルである)、-C(OY2)Y3(式中、Y2は(C1-C4)アルキルであり、かつY3は、(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル、又はモノ-N-もしくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキルである)、-C(Y4)Y5(式中、Y4は、H又はメチルであり、かつY5は、モノ-N-又はジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノである)、モルホリノ、ピペリジン-1-イル、或いはピロリジン-1-イルなどの基との置換によって形成されることができる。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は異性体である。「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間内で配置される様式のみが異なる異性体である。本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、任意の及び全ての幾何異性体及び立体異性体を含む。例えば、「異性体」は、E-及びZ-異性体とも呼ばれる二重結合シス-及びトランス-幾何異性体; R-及びS-エナンチオマー;ジアステレオマー、(d)-異性体及び(l)-異性体、これらのラセミ混合物;並びにこれらの他の混合物を、本開示の範囲内に含まれるものとして含む。
或いは、炭素-炭素二重結合周辺の置換基は、「シス」又は「トランス」と呼ぶことができ、その場合、「シス」は、二重結合の同じ側にある置換基を表し、「トランス」は、二重結合の反対側にある置換基を表す。炭素環式環周辺の置換基の配置も、「シス」又は「トランス」と表すことができる。「シス」という用語は、環の平面の同じ側にある置換基を表し、「トランス」という用語は、環の平面の反対側にある置換基を表す。置換基が環の平面の同じ側と反対側の両方に配置されている化合物の混合物は、「シス/トランス」と表される。
「エナンチオマー」は、重ね合わせることができない互いの鏡像である1対の立体異性体である。任意の割合の1対のエナンチオマーの混合物は、「ラセミ」混合物として知られることもある。「(±)」という用語は、適切な場合、ラセミ混合物を表すために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン-インゴールド-プレログ(Cahn-Ingold-Prelog) R-S体系に準拠して規定される。式(I)がエナンチオマーであるとき、各々のキラル原性(chirogenic)炭素における立体化学は、R又はSのどちらかによって規定することができる。その絶対配置が不明である分割化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)によって(+)又は(-)と表すことができる。本明細書に記載される化合物のいくつかは、1以上の不斉中心を含み、そのため、各々の不斉原子における絶対立体化学に関して、(R)-又は(S)-と規定することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じることができる。本化学的実体、医薬組成物、及び方法は、ラセミ混合物、光学的に実質的に純粋な形態、及び中間体混合物を含む、全てのそのような可能性のある異性体を含むことが意図される。光学活性のある(R)-及び(S)-異性体は、例えば、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製することができるか、又は従来の技法を用いて分割することができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「立体異性的に純粋な」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、かつその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物又は物質を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、該化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、該化合物の他の立体異性体(例えば、ジアステレオ異性体もしくはエナンチオマー、又はシンもしくはアンチ異性体、又はシスもしくはトランス異性体)を実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、約80重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約20重量%未満の該化合物の他の立体異性体、約90重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約10重量%未満の該化合物の他の立体異性体、約95重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約5重量%未満の該化合物の他の立体異性体、又は約97重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約3重量%未満の該化合物の他の立体異性体を含む。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「鏡像異性的に純粋な」という用語は、1以上のキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物を意味する。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「エナンチオマー過剰率」及び「ジアステレオマー過剰率」という用語は、本明細書で互換的に使用される。いくつかの実施態様において、単一の立体中心を有する化合物は、「エナンチオマー過剰率」で存在すると言われることができ、少なくとも2つの立体中心を有する化合物は、「ジアステレオマー過剰率」で存在すると言われることができる。例えば、「エナンチオマー過剰率」という用語は、当技術分野で周知であり、以下のように定義される:
。
したがって、どちらも同じ現象の尺度であるという点で、「エナンチオマー過剰率」という用語は、「光学的純度」という用語と関連する。eeの値は、0〜100の数であり、0は、ラセミ体であり、100は、鏡像異性的に純粋である。過去に98%光学的に純粋であると呼ばれていた可能性のある化合物は、現在、より正確に96%eeと特徴付けられている。90%eeは、対象となる材料中に、95%の1つのエナンチオマーと5%の他のエナンチオマーが存在することを示す。
本明細書に記載されるいくつかの組成物は、少なくとも約50%、75%、90%、95%、又は99%のエナンチオマー過剰率のSエナンチオマーを含む。言い換えると、該組成物は、Rエナンチオマーに対してエナンチオマー過剰率のSエナンチオマーを含む。他の実施態様において、本明細書に記載されるいくつかの組成物は、少なくとも約50%、75%、90%、95%、又は99%のエナンチオマー過剰率のRエナンチオマーを含む。言い換えると、該組成物は、Sエナンチオマーに対してエナンチオマー過剰率のRエナンチオマーを含む。
例えば、異性体/エナンチオマーは、いくつかの実施態様において、対応するエナンチオマーを実質的に含まないように提供することができ、また、本明細書で互換的に使用されるように、「光学的に濃縮された」、「鏡像異性的に濃縮された」、「鏡像異性的に純粋な」、及び「非ラセミ化合物の」と呼ぶこともできる。これらの用語は、1つのエナンチオマーの重量パーセントが、ラセミ組成物の対照混合物中のその1つのエナンチオマーの量を超える(例えば、重量で約1:1を超える)組成物を指す。例えば、Sエナンチオマーの鏡像異性的に濃縮された調製物は、Rエナンチオマーに対して、約50重量%を超える、例えば、少なくとも約75重量%、さらに例えば、少なくとも約80重量%のSエナンチオマーを有する化合物の調製物を意味する。いくつかの実施態様において、濃縮は、約80重量%をはるかに超えて、「実質的に鏡像異性的に濃縮された」、「実質的に鏡像異性的に純粋な」、又は「実質的に非ラセミ化合物の」調製物を提供するものであることができ、これらは、他のエナンチオマーに対して、少なくとも約85重量%、例えば、少なくとも約90重量%、さらに例えば、少なくとも95重量%の1つのエナンチオマーを有する組成物の調製物を指す。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、少なくとも約90重量%の1つのエナンチオマーから構成されている。他の実施態様において、式(I)は、少なくとも約95%、98%、又は99重量%の1つのエナンチオマーから構成されている。
エナンチオマーは、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、キラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離するか、又は不斉合成によって調製することができる。例えば、エナンチオマー、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)(Jacques編、Wiley Interscience, New York, 1981); Wilenらの文献、Tetrahedron 33: 2725(1977);炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)(E.L. Eliel編、McGraw-Hill, NY, 1962);並びに分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions) p. 268(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972年)を参照されたい。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は互変異性体である。本明細書で使用される場合、「互変異性体」という用語は、水素原子の少なくとも1回のホルマール移動及び価数の少なくとも1回の変化(例えば、単結合から二重結合へ、三重結合から単結合へ、又はその逆)から得られる2以上の相互変換可能な化合物を含むタイプの異性体である。「互変異性化」は、酸塩基化学反応の一部と考えられる、プロトトロピー型又はプロトンシフト型互変異性化を含む。「プロトトロピー型互変異性化」又は「プロトンシフト型互変異性化」は、結合次数の変化を伴うプロトンの移動を伴う。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHを含む、いくつかの因子によって決まる。互変異性化が可能な場合(例えば、溶液中で)、互変異性体の化学平衡に到達させることができる。互変異性化(すなわち、互変異性体対を提供する反応)は、酸もしくは塩基によって触媒させることができるか、又は外部薬剤の作用もしくは存在なしで起こることができる。例示的な互変異性化としては、ケトからエノール;アミドからイミド;ラクタムからラクチム;エナミンからイミン;及びエナミンから(異なる)エナミンへの互変異性化が挙げられるが、これらに限定されない。ケト-エノール互変異性化の例は、ペンタン-2,4-ジオン互変異性体と4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の別の例は、ピリジン-4-オール互変異性体とピリジン-4(1H)-オン互変異性体の相互変換である。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、本明細書に図示される構造は、1以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意図される。例えば、本構造を有する化合物は、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換、又は13C-もしくは14C-濃縮炭素による炭素の置換、又は13N-もしくは15N-濃縮窒素による窒素の置換、又は14O-、15O-、17O-、もしくは18O-濃縮酸素による酸素の置換、又は35Cl-、36Cl-、もしくは37Cl-濃縮塩素による塩素の置換を除き、本開示の範囲内にある。
一実施態様において、本開示の化合物は、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ又は複数において非天然の割合の原子同位体を含有することもできる。例えば、該化合物を、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、又は炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射性標識することができる。ある同位体標識された開示された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識同位体(すなわち、3H)及び炭素-14同位体(すなわち、14C)は、調製の簡便性及び検出可能性を可能にすることができる。さらに、より重い同位体、例えば、ジュウテリウム(すなわち、2H)との置換は、より大きな代謝安定性から得られる特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の延長又は投薬必要量の低下)を与えることができる。同位体標識された開示された化合物は、通常、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いることによって調製することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ又は複数において非天然の割合の原子同位体も含有し得る化合物である。本開示の化合物の同位体バリエーションは全て、放射性であるか否かを問わず、本開示の範囲内に包含される。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「溶媒」、「有機溶媒」、又は「不活性溶媒」という用語は、各々、それと関連して記載されている反応の条件下で不活性な溶媒を意味し、これには、限定されないが、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル(「MeCN」)、酢酸エチル(「EtOAc」)、酢酸イソプロピル(「IPAc」)、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、ジメチルアセトアミド(「DMA」)、クロロホルム、塩化メチレン(「DCM」)、ジエチルエーテル、メタノール(「MeOH」)、ブタノール(「1-BuOH」)、メチル t-ブチルエーテル(「MTBE」又は「TBME」)、2-ブタノン(「MEK」)、N-メチルピロリドン(「NMP」)、ピリジンなどが含まれる。反対に規定されない限り、本明細書に記載される反応で使用される溶媒は不活性な有機溶媒である。反対に規定されない限り、限定試薬の各グラムについて、1cc(又はmL)の溶媒は、容積当量に相当する。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「医薬として許容し得る担体」又は「医薬として許容し得る賦形剤」には、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤などが含まれる。医薬活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と適合しない場合を除き、本開示の治療組成物におけるその使用が想定される。補助的な活性成分を組成物中に組み込むこともできる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「固体形態」という用語及び関連用語は、主に液体状態でも気体状態でもない物理的形態を指す。固体形態は、結晶性、非晶質、又はこれらの混合物であってもよい。特定の実施態様において、固体形態は、液晶であってもよい。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される固体形態は、単一成分又は多成分固体形態である。ある式の化合物を含む「単一成分」固体形態は、該式の化合物から本質的になる。ある式の化合物を含む「多成分」固体形態は、顕著な分量の1以上のさらなる種、例えば、イオン及び/又は分子を固体形態中に含む。例えば、ある式の化合物を含む結晶性の多成分固体形態は、結晶格子中の定位置で非共有結合した1以上の種をさらに含む。本明細書に提供される多成分固体形態は共結晶であってもよい。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「結晶性」という用語及び関連用語は、物質、修飾、材料、成分、又は生成物を説明するために使用されるとき、該物質、修飾、材料、成分、又は生成物が、X線回折によって決定された場合に、実質的に結晶性であることを意味する。例えば、例えば、レミントン:薬学の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第21版、Lippincott, Williams and Wilkins, Baltimore, MD(2005);米国薬局方(The United States Pharmacopeia)、第23版、1843-1844(1995)を参照されたい。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「結晶形態」という用語及び関連用語は、結晶性である固体形態を指す。結晶形態には、単一成分結晶形態及び多成分結晶形態が含まれ、かつ限定されないが、多形、溶媒和物、水和物、共結晶、及び他の分子複合体、並びに塩、塩の溶媒和物、塩の水和物、塩の他の分子複合体、及びこれらの多形が含まれる。ある実施態様において、物質の結晶形態は、非晶質形態及び/又は他の結晶形態を実質的に含まないものであり得る。ある実施態様において、物質の結晶形態は、重量ベースで、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%未満の1以上の非晶質形態及び/又は他の結晶形態を含み得る。ある実施態様において、物質の結晶形態は、物理的及び/又は化学的に純粋であり得る。ある実施態様において、物質の結晶形態は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、又は90%物理的及び/又は化学的に純粋であり得る。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、本明細書中の「多形」、「多形形態」という用語及び関連用語は、同じ分子(molecule)、分子(molecules)、又はイオンから本質的になる2以上の結晶形態を指す。異なる結晶形態と同様に、異なる多形は、結晶格子中の分子又はイオンの配列又は立体配座の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解度、溶解速度、及び/又は振動スペクトルなどの異なる物理的特性を有し得る。物理的特性の違いは、貯蔵安定性、圧縮性、及び密度(製剤化及び製品製造において重要)、並びに溶解速度(バイオアベイラビリティにおける重要な因子)などの医薬パラメータに影響を及ぼし得る。安定性の違いは、化学的反応性の変化(例えば、剤形が、ある多形から構成される場合に、別の多形から構成される場合よりも急速に変色するような、示差酸化)もしくは機械的変化(例えば、錠剤は、貯蔵時に、反応速度論的に有利な多形が熱力学的により安定な多形に転換するにつれて崩壊する)、又はその両方(例えば、ある多形の錠剤は、高湿度でより分解しやすい)から生じ得る。溶解度/溶解性の違いの結果として、極端な場合、固体状態転移が効力の欠如をもたらすこともあるし、又は他の極端な場合、毒性をもたらすこともある。さらに、物理的特性は加工において重要である場合がある(例えば、ある多形は、溶媒和物をより形成しやすい場合があり、又は濾過して不純物を洗い流すことが困難である場合がり、かつ粒子形状及び粒径分布が多形間で異なる場合がある)。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「溶媒和物」及び「溶媒和した」という用語は、溶媒を含む物質の結晶形態を指す。「水和物」及び「水和した」という用語は、溶媒が水を含む溶媒和物を指す。「溶媒和物の多形」は、特定の溶媒和物組成物についての複数の結晶形態の存在を指す。同様に、「水和物の多形」は、特定の水和物組成物についての複数の結晶形態の存在を指す。本明細書で使用される「脱溶媒和した溶媒和物」という用語は、溶媒和物から溶媒を除去することにより調製され得る物質の結晶形態を指す。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、本明細書で使用される「非晶質」、「非晶質形態」という用語及び関連用語は、当該物質、成分、又は生成物がX線回折で決定された場合に、実質的に結晶性ではないことを意味する。特に、「非晶質形態」という用語は、無秩序な固体形態、すなわち、長距離の結晶性秩序を欠如している固体形態を説明する。ある実施態様において、物質の非晶質形態は、他の非晶質形態及び/又は結晶形態を実質的に含まないものであり得る。他の実施態様において、物質の非晶質形態は、重量ベースで、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%未満の1以上の他の非晶質形態及び/又は結晶形態を含み得る。ある実施態様において、物質の非晶質形態は、物理的及び/又は化学的に純粋であり得る。ある実施態様において、物質の非結晶形態は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、又は90%物理的及び/又は化学的に純粋であり得る。
固体形態の特徴を解析する技法としては、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折(XRPD)、重量蒸気収着(GVS)、単結晶X線回折、振動分光法、例えば、赤外(IR)及びラマン分光法、固体状態及び溶液核磁気共鳴(NMR)分光法、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、走査電子顕微鏡法(SEM)、電子線結晶学及び定量分析、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解度測定、溶解測定、元素分析、並びにカール・フィッシャー分析が挙げられるが、これらに限定されない。特徴的単位胞パラメータは、限定されないが、単結晶回折及び粉末回折を含む、X線回折及び中性子回折などの1以上の技法を用いて決定することができる。粉末回折データを分析するのに有用な技法としては、例えば、複数の固体相を含む試料中の単一の相と関連する回折ピークを分析するために使用し得る、リートベルト精密化などの、プロファイル精密化が挙げられる。粉末回折データを分析するのに有用な他の方法としては、当業者が結晶性粉末を含む試料から単位胞パラメータを決定することを可能にする単位胞インデックス化が挙げられる。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される固体形態、例えば、結晶形態は、実質的に純粋である、すなわち、他の固体形態及び/又は他の化学化合物を実質的に含まず、約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、又は0.1%重量パーセント未満の1以上の他の固体形態及び/又は他の化学化合物を含む。
固体形態は、本明細書に記載される結晶形態などの特定の固体形態に特有である独特の物理的特徴解析データを示し得る。これらの特徴解析データは、例えば、X線粉末回折法、示差走査熱量測定、熱重量分析、及び核磁気共鳴分光法を含む、当業者に公知の様々な技法によって得ることができる。これらの技法によって提供されるデータを用いて、特定の固体形態を同定することができる。当業者は、これらの特徴解析技法のうちの1つを実施し、得られるデータが、特定の固体形態に特徴的であると同定される、本明細書に提供される参照データと「一致する」かどうかを決定することにより、固体形態が本明細書に記載される形態のうちの1つであるかどうかを決定することができる。参照固体形態の特徴解析データと「一致する」特徴解析データは、参照固体形態と同じ固体形態に相当すると当業者によって理解される。データが「一致する」かどうかを分析する際、当業者は、特定の特徴解析データ点が、例えば、実験誤差及びルーチンの試料毎の分析が原因で、妥当な程度に異なり得るが、それでも、特定の固体形態を説明するものであることを理解している。
本明細書に提供される固体形態は、結晶性又は中間形態(例えば、結晶性形態と非晶質形態の混合物)であり得る。本明細書に記載される結晶形態は、したがって、様々な程度の結晶度又は格子秩序を有し得る。本明細書に記載される固体形態は、任意の特定の結晶度又は格子秩序の程度によって限定されず、0〜100%結晶性であり得る。結晶度の程度を決定する方法は当業者に公知であり、これには、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Suryanarayanan, R.の文献、X線粉末回折法、医薬塩の物理的特徴解析(X-Ray Power Diffractometry, Physical Characterization of Pharmaceutical Salts)、H.G. Brittain編、Mercel Dekkter, Murray Hill, N.J., 1995, pp. 187-199に記載されているものがある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される固体形態は、約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100%結晶性である。
具体的な官能基及び化学用語の定義は、以下でより詳細に記載されている。本出願の目的のために、化学元素は、元素周期表、CAS版、化学及び物理学のハンドブック(Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics)、第75版、内表紙に従って同定され、具体的な官能基は、通常、その中に記載されている通りに定義される。さらに、有機化学の一般的原理、並びに具体的な官能部分及び反応性は、有機化学(Organic Chemistry)、Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith及びMarchの文献、マーチの最先端有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)、第5版、John Wiley & Sons社, New York, 2001; Larockの文献、包括的有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、VCH Publishers社, New York, 1989; Carruthersの文献、有機合成のいくつかの現代的方法(Some Modern Methods of Organic Synthesis)、第3版、Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1つの水素原子の除去によって、1〜6個の炭素原子(例えば、C1-6アルキル)を含有する脂肪族部分から誘導される、飽和、直鎖、又は分岐鎖の任意に置換された炭化水素ラジカルを指す。いくつかの実施態様において、利用されるアルキル基は、1〜5個の炭素原子を含有する。別の実施態様において、利用されるアルキル基は、1〜4個の炭素原子を含有する。さらに他の実施態様において、該アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含有する。また別の実施態様において、アルキル基は、1〜2個の炭素を含有する。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、sec-ペンチル、イソ-ペンチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ウンデシル、ドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1つの水素原子の除去によって、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の任意に置換された脂肪族部分から誘導される、一価基を表す。ある実施態様において、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子(例えば、C2-6アルケニル)を含有する。ある実施態様において、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を含有する。いくつかの実施態様において、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を含有する。別の実施態様において、利用されるアルケニル基は、2〜3個の炭素原子を含有する。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどが挙げられる。
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、1つの水素原子の除去によって、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の任意に置換された脂肪族部分から誘導される、一価基を指す。ある実施態様において、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子(例えば、C2-6アルキニル)を含有する。ある実施態様において、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を含有する。いくつかの実施態様において、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を含有する。別の実施態様において、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を含有する。代表的なアルキニル基としては、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、1-プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
単独で、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」に見られるような、より大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計5〜12個の環員を有する単環式及び二環式の任意に置換された環系を指し、ここで、該系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、該系中の各々の環は、3〜7個の環員を含有する。いくつかの実施態様において、「アリール」は、合計6〜12個の環員(例えば、C6-12アリール)を有する単環式及び二環式の任意に置換された環系を指し、ここで、該系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、該系中の各々の環は、3〜7個の環員を含有する。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に使用され得る。ある実施態様において、「アリール」は、1以上の置換基を担持し得る、限定されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含む、芳香環系を指す。また、本明細書で使用される場合、「アリール」という用語の範囲に含まれるのは、例えば、インダニル、フタリミジル、ナフチミジル、フェナントリイジニル(phenantriidinyl)、又はテトラヒドロナフチルなどの、芳香環が1以上の非芳香環に縮合している基である。
単独で、又はより大きな部分、例えば、「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、5〜10個の環原子、好ましくは、5、6、又は9個の環原子を有し;環状配置で共有される6、10、又は14個のπ電子を有し;かつ炭素原子の他に、1〜5個のヘテロ原子を有する任意に置換された基を指す。いくつかの実施態様において、「ヘテロアリール」という用語は、6〜10個の環原子(例えば、C6-12ヘテロアリール)を有する、上で定義されたような任意に置換された基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の任意の酸化形態、及び塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、及びプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「ヘテロアリール」及び「ヘテロアル-」という用語は、ヘテロ芳香環が、1以上のアリール、脂環式、又はヘテロシクリル環に縮合している基も含み、その場合、ラジカル又は結合点は、ヘテロ芳香環上にある。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノオキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式又は二環式であり得る。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、又は「ヘテロ芳香族」という用語と互換的に使用され得、これらの用語はいずれも、任意に置換されている環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールにより置換されたアルキル基を指し、ここで、該アルキル及びヘテロアリール部分は、独立に、任意に置換されている。
本明細書に記載されているように、本明細書に提供される化合物は、「任意に置換された」部分を含有し得る。一般に、「置換された」という用語は、「任意に」という用語が前に付いているか否かを問わず、指定された部分の1以上の水素が好適な置換基と置き換えられていることを意味する。別途示されない限り、「任意に置換された」基は、基の各々の置換可能な位置に好適な置換基を有し得、任意の所与の構造中の複数の位置が特定の基から選択される複数の置換基で置換され得る場合、該置換基は、全ての位置で同じものであっても、異なるものであってもよい。本出願によって想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定な又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらす組合せである。本明細書で使用される「安定な」という用語は、その生成、検出、並びにある実施態様においては、その回収、精製、及び本明細書に開示される目的の1つ又は複数のための使用を可能にする条件に供されたとき、実質的に変化しない化合物を指す。
「任意に置換された」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価置換基は、独立に、ハロゲン; -(CH2)0-4R○; -(CH2)0-4OR○; -O-(CH2)0-4C(O)OR○; -(CH2)0-4CH(OR○)2; -(CH2)0-4SR○; -(CH2)0-4Ph(これは、R○で置換され得る); -(CH2)0-4O(CH2)0-1Ph(これは、R○で置換され得る); -CH=CHPh(これは、R○で置換され得る); -NO2; -CN; -N3; -(CH2)0-4N(R○)2; -(CH2)0-4N(R○)C(O)R○; -N(R○)C(S)R○; -(CH2)0-4N(R○)C(O)NR○ 2; -N(R○)C(S)NR○ 2; -(CH2)0-4N(R○)C(O)OR○; -N(R○)N(R○)C(O)R○; -N(R○)N(R○)C(O)NR○ 2; -N(R○)N(R○)C(O)OR○; -(CH2)0-4C(O)R○; -C(S)R○; -(CH2)0-4C(O)OR○; -(CH2)0-4C(O)SR○; -(CH2)0-4C(O)OSiR○ 3; -(CH2)0-4OC(O)R○; -OC(O)(CH2)0-4SR○-、SC(S)SR○; -(CH2)0-4SC(O)R○; -(CH2)0-4C(O)NR○ 2; -C(S)NR○ 2; -C(S)SR○; -SC(S)SR○、-(CH2)0-4OC(O)NR○ 2; -C(O)N(OR○)R○; -C(O)C(O)R○; -C(O)CH2C(O)R○; -C(NOR○)R○; -(CH2)0-4SSR○; -(CH2)0-4S(O)2R○; -(CH2)0-4S(O)2OR○; -(CH2)0-4OS(O)2R○; -S(O)2NR○ 2; -(CH2)0-4S(O)R○; -N(R○)S(O)2NR○ 2; -N(R○)S(O)2R○; -N(OR○)R○; -C(NH)NR○ 2; -P(O)2R○; -P(O)R○ 2; -OP(O)R○ 2; -OP(O)(OR○)2; SiR○ 3; -(C1-4直鎖もしくは分岐状アルキレン)O-N(R○)2;又は-(C1-4直鎖もしくは分岐状アルキレン)C(O)O-N(R○)2であり、ここで、各々のR○は、以下で定義されるように置換され得、かつ独立に、水素、C1-6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環であるか、或いは上記の定義にもかかわらず、2つの独立に出現するR○は、その介在原子と一緒になって、以下で定義されるように置換され得る、窒素、酸素、又は硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜12員の飽和、部分不飽和、又はアリール単環式又は二環式環を形成する。
R○(又は2つの独立に出現するR○をその介在原子と一緒にすることによって形成される環)上の好適な一価置換基は、独立に、ハロゲン、-(CH2)0-2R●、-(ハロR●)、-(CH2)0-2OH、-(CH2)0-2OR●、-(CH2)0-2CH(OR●)2; -O(ハロR●)、-CN、-N3、-(CH2)0-2C(O)R●、-(CH2)0-2C(O)OH、-(CH2)0-2C(O)OR●、-(CH2)0-2SR●、-(CH2)0-2SH、-(CH2)0-2NH2、-(CH2)0-2NHR●、-(CH2)0-2NR● 2、-NO2、-SiR● 3、-OSiR● 3、-C(O)SR●、-(C1-4直鎖もしくは分岐状アルキレン)C(O)OR●、又は-SSR●であり、ここで、各々のR●は、置換されていないか、又は「ハロ」が前に付く場合、1以上のハロゲンでのみ置換されており、かつ独立に、C1-4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環から選択される。R○の飽和炭素原子上の好適な二価置換基としては、=O及び=Sが挙げられる。
「任意に置換された」基の飽和炭素原子上の好適な二価置換基としては、以下のもの: =O、=S、=NNR* 2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R* 2))2-3O-、又は-S(C(R* 2))2-3S-が挙げられ、ここで、各々独立に出現するR*は、水素、C1-6脂肪族(これは、以下で定義されるように置換され得る)、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環から選択される。「任意に置換された」基の隣接する置換可能な炭素に結合される好適な二価置換基としては: -O(CR* 2)2-3O-が挙げられ、ここで、各々独立に出現するR*は、水素、C1-6脂肪族(これは、以下で定義されるように置換され得る)、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環から選択される。
R*の脂肪族基上の好適な置換基としては、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR● 2、又は-NO2が挙げられ、ここで、各々のR●は、置換されていないか、又は「ハロ」が前に付く場合、1以上のハロゲンでのみ置換されており、かつ独立に、C1-4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環である。
「任意に置換された」基の置換可能な窒素上の好適な置換基としては、-R†、-NR† 2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR† 2、-C(S)NR† 2、-C(NH)NR† 2、又は-N(R†)S(O)2R†が挙げられ;ここで、各々のR†は、独立に、水素、C1-6脂肪族(これは、以下で定義されるように置換され得る)、非置換-OPh、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環であるか、或いは上記の定義にもかかわらず、2つの独立に出現するR†は、その介在原子と一緒になって、窒素、酸素、又は硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の3〜12員の飽和、部分不飽和、又はアリール単環式又は二環式環を形成する。
R†の脂肪族基上の好適な置換基は、独立に、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR● 2、又は-NO2であり、ここで、各々のR●は、置換されていないか、又は「ハロ」が前に付く場合、1以上のハロゲンでのみ置換されており、かつ独立に、C1-4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環である。
(5.2 固体形態)
潜在的な医薬固体には、結晶性固体及び非晶質固体が含まれる。非晶質固体が長距離の構造秩序の欠如を特徴とするのに対し、結晶性固体は構造面の周期性を特徴とする。医薬固体の望ましいクラスは具体的な用途によって決まり;非晶質固体が、例えば、改善された溶解プロファイルに基づいて選択されることがある一方で、結晶性固体は、例えば、物理的又は化学的安定性などの特性に望ましい場合がある(例えば、S. R. Vippaguntaらの文献、Adv. Drug. Deliv. Rev.,(2001) 48:3-26; L. Yuの文献、Adv. Drug. Deliv. Rev.,(2001) 48:27-42を参照)。固体形態の変化は、種々の物理的及び化学的特性に影響を及ぼす可能性があり、それにより、他の重要な医薬特性の中でも特に、加工、製剤化、安定性、及びバイオアベイラビリティにおける利益又は不利益がもたらされる可能性がある。
結晶性であれ、非晶質であれ、医薬化合物の潜在的な固体形態には、単一成分固体及び多成分固体が含まれ得る。単一成分固体は、他の化合物がない状態の医薬化合物から本質的になる。単一成分結晶性材料の中での多様性は、特定の医薬化合物に対して多数の3次元配列が存在する多形現象という現象から潜在的に生じ得る(例えば、S. R. Byrnらの文献、薬物の固体状態化学(Solid State Chemistry of Drugs)(1999)、SSCI, West Lafayetteを参照)。
医薬化合物の潜在的な固体形態の中でのさらなる多様性は、多成分固体の可能性から生じ得る。2以上のイオン性種を含む結晶性固体は塩と呼ばれる(例えば、「医薬塩のハンドブック:特性、選択、及び用途(Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use)」、P. H. Stahl及びC. G. Wermuth編(2002)、Wiley, Weinheimを参照)。医薬化合物又はその塩に他の特性改善を潜在的に与え得る多成分固体のさらなる種類には、例えば、とりわけ、水和物、溶媒和物、共結晶、及び包接化合物が含まれる(例えば、S. R. Byrnらの文献、薬物の固体状態化学(Solid State Chemistry of Drugs)(1999)、SSCI, West Lafayetteを参照)。化合物1とその多形の共結晶も本明細書に提供される。多成分結晶形態は、潜在的に多形現象の影響を受けやすい可能性があり、その場合、所与の多成分組成物は、複数の3次元結晶配列で存在し得る。固体形態の発見は、安全で、有効で、安定で、かつ市場性のある医薬化合物の開発において非常に重要である。
本明細書に提供される固体形態は、動物又はヒトで使用される製剤の調製のための活性医薬成分として有用である。したがって、本明細書中の実施態様は、最終薬物製品としてのこれらの固体形態の使用を包含する。ある実施態様は、最終薬物製品の製造、加工、製剤化、及び/又は貯蔵に必要とされる、改善された特性、例えば、とりわけ、粉体流動性特性、圧縮特性、打錠特性、安定性特性、及び賦形剤適合性特性を有する最終剤形を作製する際に有用な固体形態を提供する。本明細書中のある実施態様は、式(I)の化合物及び医薬として許容し得る希釈剤、賦形剤、又は担体を含む単一成分結晶形態及び/又は多成分結晶形態を含む医薬組成物を提供する。
固体形態及び関連用語は、主に液体状態でも気体状態でもない物理的形態を指す。固体形態は、結晶性又は結晶性形態と非晶質形態の混合物であり得る。特定の化合物を含む「単一成分」固体形態は、その化合物から本質的になる。特定の化合物を含む「多成分」固体形態は、その化合物と、顕著な分量の1以上のさらなる種、例えば、イオン及び/又は分子とを固体形態中に含む。本明細書に提供される固体形態は、結晶性又は中間形態(例えば、結晶性形態と非晶質形態の混合物)であり得る。本明細書に記載される結晶形態は、したがって、様々な程度の結晶度又は格子秩序を有し得る。本明細書に記載される固体形態は、任意の特定の結晶度又は格子秩序の程度に限定されず、0〜100%結晶性であり得る。結晶度の程度を決定する方法は当業者に公知であり、例えば、これには、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Suryanarayanan, R.の文献、X線粉末回折法、医薬固体の物理的特徴解析(X-Ray Powder Diffractometry, Physical Characterization of Pharmaceutical Solids)、H.G. Brittain編、Marcel Dekkter, Murray Hill, N.J., 1995, pp. 187-199に記載されているものがある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される固体形態は、約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100%結晶性である。
固体形態は、本明細書に記載される結晶形態などの特定の固体形態に特有である独特の物理的特徴解析データを示し得る。これらの特徴解析データは、例えば、X線粉末回折法、示差走査熱量測定、熱重量分析、及び核磁気共鳴分光法を含む、当業者に公知の様々な技法によって得ることができる。これらの技法によって提供されるデータを用いて、特定の固体形態を同定することができる。当業者は、これらの特徴解析技法のうちの1つを実施し、得られるデータが、特定の固体形態に特徴的であると同定される、本明細書に提供される参照データと「実質的に同様である」かどうかを決定することにより、固体形態が本明細書に記載される形態のうちの1つであるかどうかを決定することができる。参照固体形態の特徴解析データと「実質的に同様である」特徴解析データは、参照固体形態と同じ固体形態に相当すると当業者によって理解される。データが「実質的に同様である」かどうかを分析する際、当業者は、特定の特徴解析データ点が、例えば、実験誤差及びルーチンの試料毎の分析が原因で、妥当な程度に異なり得るが、それでも、所与の固体形態を説明するものであることを理解している。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
又はその塩、溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を含む固体形態である。一実施態様において、式(I)の化合物を含む固体形態は、結晶性形態、部分結晶性形態、又は結晶性形態と非晶質形態の混合物であることができる。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の結晶性形態を含む固体形態、又はその塩、溶媒和物(例えば、水和物)、もしくはその塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物である。一実施態様において、該固体形態は、共形成物をさらに含む。一実施態様において、化合物1及び共形成物を含む固体形態は共結晶である。別の実施態様において、該固体形態は非晶質形態である。一実施態様において、該固体形態は実質的に純粋である。式(I)の化合物は、(S)-2-アミノ-N-(1-(8-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドという化学名を有する。式(I)の化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、US2015/011874号に記載されている。
いくつかの実施態様において、式(I)は、(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、混合物の個々の化合物が(S)-異性体配置又は(R)-異性体配置で主に存在する化合物の混合物である。例えば、該化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰率を有する。他の実施態様において、該化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰率を有する。
他の実施態様において、該化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度を有する。いくつかの他の実施態様において、該化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰率を有する。
(5.2.1.化合物1の固体形態)
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
又はその塩、もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を含む固体形態である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1の遊離塩基、又はその溶媒和物(例えば、水和物)を含む固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1の無水遊離塩基を含む固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1の遊離塩基の溶媒和物を含む固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1の遊離塩基の水和物を含む固体形態である。
化合物1、又はその塩、もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物は、種々の固体形態で存在することができることが想定される。そのような固体形態には、結晶性固体(例えば、無水化合物1の多形、化合物1の水和物の多形、及び化合物1の溶媒和物の多形)、非晶質固体、又は結晶性固体と非晶質固体の混合物が含まれる。一実施態様において、該固体形態は実質的に結晶性である。一実施態様において、該固体形態は結晶性である。
いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約10:1〜約1:10の範囲である。いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約5:1〜約1:5の範囲である。いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約3:1〜約1:3の範囲である。いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約2:1〜約1:2の範囲である。一実施態様において、該モル比は、約1:2(すなわち、ビス溶媒和物/水和物)である。別の実施態様において、該モル比は、約1:1(すなわち、一溶媒和物/水和物)である。また別の実施態様において、該モル比は、約2:1(すなわち、ヘミ溶媒和物/水和物)である。
(5.2.1.1 化合物1の形態1)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態1である。一実施態様において、化合物1の形態1は、化合物1の結晶性非溶媒和無水遊離塩基である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態1は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態1は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態1は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態1は、化合物1の実質的に純粋な形態1として提供される。いくつかの実施態様において、1以上の残留溶媒(例えば、少量のEtOH又はiPrOH)が化合物1の形態1中に存在し得るが、該残留溶媒は、化合物1の溶媒和物を形成しない。
化合物1の形態1の代表的なXRPDパターンは、図1に提供されている。
一実施態様において、形態1は、16.8、23.6、及び25.6±0.2度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。一実施態様において、形態1は、14.6及び21.2±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態1は、14.6、16.8、21.2、23.6、及び25.6度の2θにおけるピークを、11.3、15.4、16.2、18.4、20.5、22.6、24.3、26.6、27.1、及び29.5±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態1は、以下の位置: 11.3、14.6、15.4、16.2、16.8、18.4、20.5、21.2、22.6、23.6、24.3、25.6、26.6、27.1、及び29.5±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態1は、概ね図1に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態1の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図2に提供されている。
一実施態様において、形態1は、DSCによって特徴解析したとき、約255℃の開始温度及び/又は約257℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態1は、図2に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。別の実施態様において、形態1は、DSCによって特徴解析したとき、約242℃の開始温度及び/又は約251℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。また別の実施態様において、形態1は、DSCによって特徴解析したとき、約242℃〜約255℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。
一実施態様において、形態1は、約230℃から約310℃に加熱したとき、約0.6%の重量損失を示す。一実施態様において、形態1は、図2に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。別の実施態様において、形態1は、約25℃から約70℃に加熱したとき、約0.4%の重量損失を示し、約200℃から約280℃に加熱したとき、約1.1%の重量損失を示す。
形態1の代表的な重量蒸気収着(GVS)等温線は、図3に提示されている。一実施態様において、形態1は、約0%相対湿度から約90%相対湿度への相対湿度の増加に供したとき、約0.5%の重量増加を示す。一実施態様において、形態1は、図3に提示されているGVSサーモグラムに概ね示されているようなGVSサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態1は、近似的に: a=11.1Å、b=12.8Å、c=16.1Å、α=90°、β=90°、及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施態様において、形態1は、近似的に: a=11.14Å、b=12.76Å、c=16.13Å、α=90°、β=90°、及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施態様において、形態1は、近似的に: a=11.140Å、b=12.758Å、c=16.131Å、α=90°、β=90°、及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施態様において、形態1は、P212121という空間群の単位胞を有する。一実施態様において、形態1は、約2292.5Å3/胞の容量を有する。一実施態様において、形態1は、4のZ値を有する。一実施態様において、形態1は、約1.279g/cm3の密度を有する。
一実施態様において、形態1は無水である。一実施態様において、形態1は非吸湿性である。一実施態様において、形態1は、40℃/75%RH又は25℃/96%RHで、9カ月よりも長い間貯蔵した後、安定である。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.2 化合物1の形態2)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態2である。一実施態様において、化合物1の形態2は、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態2は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態2は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態2は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態2は、化合物1の実質的に純粋な形態2として提供される。
一実施態様において、形態2中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.5〜約1:2の範囲である。一実施態様において、形態2中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.75〜約1:1.25の範囲である。一実施態様において、形態2中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.75〜約1:1の範囲である。一実施態様において、形態2中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.85である。一実施態様において、形態2中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:1である。
一実施態様において、形態2は、化合物1の遊離塩基のアセトン/DCM溶媒和物である。一実施態様において、形態2中の化合物1:アセトン:DCMのモル比は、約1:0.1:0.75である。別の実施態様において、形態2は、化合物1の遊離塩基の1-プロパノール溶媒和物である。一実施態様において、形態2中の化合物1と1-プロパノールのモル比は、約1:0.85である。別の実施態様において、形態2は、化合物1の遊離塩基のDCM溶媒和物である。一実施態様において、形態2中の化合物1とDCMのモル比は、約1:1である。
化合物1の形態2の代表的なXRPDパターンは、図4に提供されている。化合物1の形態2の別の代表的なXRPDパターンは、図8に提供されている。
一実施態様において、形態2は、13.6、14.9、及び21.0±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態2は、7.4及び16.7±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態2は、7.4、13.6、14.9、16.7、及び21.0度の2θにおけるピークを、9.5、18.1、18.4、19.7、20.8、22.4、23.2、24.5、26.2、及び26.8±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態2は、以下の位置: 7.4、9.5、13.6、14.9、16.7、18.1、18.4、19.7、20.8、21.0、22.4、23.2、24.5、26.2、及び26.8±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態2は、概ね図4に示されているようなXRPDパターンを有する。別の実施態様において、形態2は、概ね図8に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態2の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図5に提供されている。
一実施態様において、形態2は、DSCによって特徴解析したとき、約168℃の開始温度及び/又は約182℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態2は、図5に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態2は、約80℃から約240℃に加熱したとき、約12.9%の重量損失を示す。一実施態様において、形態2は、図5に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
化合物1の形態2の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの別の代表的なオーバーレイは、図7に提供されている。
一実施態様において、形態2は、DSCによって特徴解析したとき、約25℃の開始温度を有する吸熱事象、約151℃の開始温度を有する吸熱事象、約179℃の開始温度を有する発熱事象、又は約244℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態2は、DSCによって特徴解析したとき、約25℃の開始温度を有する吸熱事象、約151℃の開始温度を有する吸熱事象、約179℃の開始温度を有する発熱事象、及び約244℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態2は、図7に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態2は、約25℃から約75℃に加熱したとき、約0.9%の重量損失を示し、約75℃から約250℃に加熱したとき、約8.5%の重量損失を示す。一実施態様において、形態2は、図7に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
形態2の代表的な重量蒸気収着(GVS)等温線は、図6に提示されている。一実施態様において、形態2は、約0%相対湿度から約90%相対湿度への相対湿度の増加に供したとき、約1.3%の重量増加を示す。一実施態様において、形態2は、図6に提示されているGVSサーモグラムに概ね示されているようなGVSサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態2は非吸湿性である。
一実施態様において、形態2は、近似的に: a=8.7Å、b=13.2Å、c=26.0Å、α=90°、β=90°、及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施態様において、形態2は、近似的に: a=8.73Å、b=13.22Å、c=25.96Å、α=90°、β=90°、及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施態様において、形態2は、近似的に: a=8.729Å、b=13.222Å、c=25.955Å、α=90°、β=90°、及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施態様において、形態2は、P212121という空間群の単位胞を有する。一実施態様において、形態2は、約2995.6Å3/胞の容量を有する。一実施態様において、形態2は、4のZ値を有する。一実施態様において、形態2は、約1.360Mg/m3の密度を有する。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.3 化合物1の形態3)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態3である。一実施態様において、化合物1の形態3は、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態3は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態3は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態3は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態3は、化合物1の実質的に純粋な形態3として提供される。
一実施態様において、形態3中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.2〜約1:1の範囲である。一実施態様において、形態3は、化合物1の遊離塩基の2-メチル-1-プロパノール溶媒和物である。一実施態様において、形態3中の化合物1と2-メチル-1-プロパノールのモル比は、約1:0.79である。別の実施態様において、形態3は、化合物1の遊離塩基のMEK溶媒和物である。一実施態様において、形態3中の化合物1とMEKのモル比は、約1:0.25である。
化合物1の形態3の代表的なXRPDパターンは、図9に提供されている。
一実施態様において、形態3は、17.9、20.6、及び25.8±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態3は、11.7及び23.5±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態3は、11.7、17.9、20.6、23.5、及び25.8度の2θにおけるピークを、7.4、10.2、13.5、19.3、19.5、21.0、21.5、22.4、23.7、及び26.5±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態3は、以下の位置: 7.4、10.2、11.7、13.5、17.9、19.3、19.5、20.6、21.0、21.5、22.4、23.5、23.7、25.8、及び26.5±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態3は、概ね図9に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態3の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図10に提供されている。
一実施態様において、形態3は、DSCによって特徴解析したとき、約29℃の開始温度を有する吸熱事象、約126℃の開始温度を有する吸熱事象、約148℃の開始温度を有する吸熱事象、約181℃の開始温度を有する発熱事象、又は約246℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態3は、DSCによって特徴解析したとき、約29℃の開始温度を有する吸熱事象、約126℃の開始温度を有する吸熱事象、約148℃の開始温度を有する吸熱事象、約181℃の開始温度を有する発熱事象、及び約246℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態3は、図10に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態3は、DSCによって特徴解析したとき、約30℃の開始温度を有する吸熱事象、約127℃の開始温度を有する吸熱事象、約137℃の開始温度を有する吸熱事象、約169℃の開始温度を有する発熱事象、約207℃の開始温度を有する吸熱事象、又は約250℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態3は、DSCによって特徴解析したとき、約30℃の開始温度を有する吸熱事象、約127℃の開始温度を有する吸熱事象、約137℃の開始温度を有する吸熱事象、約169℃の開始温度を有する発熱事象、約207℃の開始温度を有する吸熱事象、及び約250℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。
一実施態様において、形態3は、約25℃から約75℃に加熱したとき、約0.8%の重量損失を示し、約75℃から約300℃に加熱したとき、約10.4%の重量損失を示す。一実施態様において、形態3は、図10に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態3は、約25℃から約80℃に加熱したとき、約2.0%の重量損失を示し、約80℃から約175℃に加熱したとき、約3.4%の重量損失を示す。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.4 化合物1の形態4)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態4である。一実施態様において、化合物1の形態4は、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態4は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態4は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態4は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態4は、化合物1の実質的に純粋な形態4として提供される。
一実施態様において、形態4中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.75〜約1:1の範囲である。一実施態様において、形態4中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.83〜約1:0.9の範囲である。一実施態様において、形態4は、化合物1の遊離塩基のイソプロピルアルコール溶媒和物である。一実施態様において、形態4中の化合物1とイソプロピルアルコールのモル比は、約1:0.9である。別の実施態様において、形態4中の化合物1とイソプロピルアルコールのモル比は、約1:0.83である。
化合物1の形態4の代表的なXRPDパターンは、図11に提供されている。
一実施態様において、形態4は、7.4、18.0、及び20.7±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態4は、11.9及び13.6±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態4は、7.4、11.9、13.6、18.0、及び20.7度の2θにおけるピークを、10.3、19.3、19.6、19.8、21.0、21.8、23.6、23.8、26.0、及び26.6±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態4は、以下の位置: 7.4、10.3、11.9、13.6、18.0、19.3、19.6、19.8、20.7、21.0、21.8、23.6、23.8、26.0、及び26.6±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態4は、概ね図11に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態4の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図12に提供されている。
一実施態様において、形態4は、DSCによって特徴解析したとき、約30℃の開始温度を有する吸熱事象、約156℃の開始温度を有する吸熱事象、約190℃の開始温度を有する発熱事象、又は約245℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態4は、DSCによって特徴解析したとき、約30℃の開始温度を有する吸熱事象、約156℃の開始温度を有する吸熱事象、約190℃の開始温度を有する発熱事象、及び約245℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態4は、図12に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態4は、DSCによって特徴解析したとき、約28℃の開始温度を有する吸熱事象、約156℃の開始温度を有する吸熱事象、約201℃の開始温度を有する発熱事象、又は約247℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態4は、DSCによって特徴解析したとき、約28℃の開始温度を有する吸熱事象、約156℃の開始温度を有する吸熱事象、約201℃の開始温度を有する発熱事象、及び約247℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。
一実施態様において、形態4は、約25℃から約75℃に加熱したとき、約0.7%の重量損失を示し、約75℃から約225℃に加熱したとき、約9.3%の重量損失を示す。一実施態様において、形態4は、図12に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態4は、約25℃から約75℃に加熱したとき、約0.8%の重量損失を示し、約75℃から約250℃に加熱したとき、約8.6%の重量損失を示す。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.5 化合物1の形態5)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態5である。一実施態様において、化合物1の形態5は、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態5は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態5は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態5は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態5は、化合物1の実質的に純粋な形態5として提供される。
一実施態様において、形態5中の化合物1と溶媒のモル比は、約1:0.1〜約1:0.2の範囲である。一実施態様において、形態5は、化合物1の遊離塩基のアニソール溶媒和物である。一実施態様において、形態5中の化合物1とアニソールのモル比は、約1:0.12である。
化合物1の形態5の代表的なXRPDパターンは、図13に提供されている。
一実施態様において、形態5は、21.0、22.1、及び25.2±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態5は、14.5及び19.2±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態5は、14.5、19.2、21.0、22.1、及び25.2度の2θにおけるピークを、7.9、11.0、12.7、16.6、18.0、23.3、27.7、28.5、29.1、及び29.2±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態5は、以下の位置: 7.9、11.0、12.7、14.5、16.6、18.0、19.2、21.0、22.1、23.3、25.2、27.7、28.5、29.1、及び29.2±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態5は、概ね図13に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態5の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図14に提供されている。
一実施態様において、形態5は、DSCによって特徴解析したとき、約126℃の開始温度を有する吸熱事象又は約254℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態5は、DSCによって特徴解析したとき、約126℃の開始温度を有する吸熱事象及び約254℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態5は、図14に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態5は、約175℃から約300℃に加熱したとき、約2.1%の重量損失を示す。一実施態様において、形態5は、図14に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.6 化合物1の形態6)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態6である。一実施態様において、化合物1の形態6は、化合物1の遊離塩基の結晶性水和物である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態6は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態6は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態6は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態6は、化合物1の実質的に純粋な形態6として提供される。
一実施態様において、形態6中の化合物1と水のモル比は、約1:2〜約1:4の範囲である。一実施態様において、形態6中の化合物1と水のモル比は、約1:3.3である。
化合物1の形態6の代表的なXRPDパターンは、図15に提供されている。
一実施態様において、形態6は、4.8、19.9、及び26.7±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態6は、11.9及び24.8±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態6は、4.8、11.9、19.9、24.8、及び26.7度の2θにおけるピークを、12.2、12.4、14.1、16.0、17.7、18.1、18.9、20.9、24.0、及び27.1±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態6は、以下の位置: 4.8、11.9、12.2、12.4、14.1、16.0、17.7、18.1、18.9、19.9、20.9、24.0、24.8、26.7、及び27.1±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態6は、概ね図15に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態6の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図16に提供されている。
一実施態様において、形態6は、DSCによって特徴解析したとき、約46℃の開始温度を有する吸熱事象、約154℃の開始温度を有する吸熱事象、又は約243℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態6は、DSCによって特徴解析したとき、約46℃の開始温度を有する吸熱事象、約154℃の開始温度を有する吸熱事象、及び約243℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態6は、図16に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態6は、約30℃から約100℃に加熱したとき、約10.3%の重量損失を示す。一実施態様において、形態6は、図16に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
形態6の代表的な重量蒸気収着(GVS)等温線は、図17に提示されている。一実施態様において、形態6は、約0%相対湿度から約90%相対湿度への相対湿度の増加に供したとき、約14%の重量増加を示す。一実施態様において、形態6は、図17に提示されているGVSサーモグラムに概ね示されているようなGVSサーモグラムによって特徴付けられる。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.7 化合物1の形態7)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態7である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態7は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態7は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態7は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態7は、化合物1の実質的に純粋な形態7として提供される。
化合物1の形態7の代表的なXRPDパターンは、図18に提供されている。
一実施態様において、形態7は、7.5、12.3、及び20.7±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態7は、13.7及び17.2±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態7は、7.5、12.3、13.7、17.2、及び20.7度の2θにおけるピークを、11.8、14.9、18.0、18.4、19.6、20.2、21.1、23.5、23.6、及び25.9±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態7は、以下の位置: 7.5、11.8、12.3、13.7、14.9、17.2、18.0、18.4、19.6、20.2、20.7、21.1、23.5、23.6、及び25.9±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態7は、概ね図18に示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態7の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図19に提供されている。
一実施態様において、形態7は、DSCによって特徴解析したとき、約30℃の開始温度を有する吸熱事象、約127℃の開始温度を有する吸熱事象、約137℃の開始温度を有する吸熱事象、約169℃の開始温度を有する発熱事象、約207℃の開始温度を有する吸熱事象、又は約250℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態7は、DSCによって特徴解析したとき、約30℃の開始温度を有する吸熱事象、約127℃の開始温度を有する吸熱事象、約137℃の開始温度を有する吸熱事象、約169℃の開始温度を有する発熱事象、約207℃の開始温度を有する吸熱事象、及び約250℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態7は、図19に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態7は、約10℃から約90℃に加熱したとき、約2.0%の重量損失を示し、約90℃から約190℃に加熱したとき、約3.4%の重量損失を示す。一実施態様において、形態7は、図19に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.1.8 化合物1の形態8)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の形態8である。いくつかの実施態様において、化合物1の形態8は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態8は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態8は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態8は、化合物1の実質的に純粋な形態8として提供される。
化合物1の形態8の代表的なXRPDパターンは、図20に提供されている。
一実施態様において、形態8は、18.8、20.8、及び24.5±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態8は、16.0及び17.9±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態8は、16.0、17.9、18.8、20.8、及び24.5度の2θにおけるピークを、5.4、9.4、11.0、12.3、12.7、14.2、16.4、及び22.0±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態8は、以下の位置: 5.4、9.4、11.0、12.3、12.7、14.2、16.0、16.4、17.9、18.8、20.8、22.0、及び24.5±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態8は、概ね図20に示されているようなXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態8は、化合物1の非溶媒和固体形態である。
一実施態様において、形態8は、DSCによって特徴解析したとき、約156℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
一実施態様において、本明細書に提供される固体形態(例えば、形態1、形態2、形態3、形態4、形態5、形態6、形態7、又は形態8)の粒子の直径は、約0.1μm〜約150μm、約0.1μm〜約125μm、約0.1μm〜約100μm、約0.1μm〜約75μm、約0.1μm〜約50μm、約1μm〜約50μm、約0.1μm〜約10μm、約0.1μm〜約7μm、又は約0.5μm〜約5μmである。一実施態様において、該直径は、約0.5μm〜約5μmである。別の実施態様において、該直径は、約0.6μm〜約4.8μmである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の固体形態、又はその塩、もしは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を含む組成物であって、該化合物が、HPLCにより決定したとき、約98.0%を超える純度を有する、組成物である。一実施態様において、式(I)の化合物は、約98.5%、約99.0%、約99.5%、約99.6%、約99.9%、又は約99.91%の純度を有する。
(5.2.2.化合物1の固体形態を調製する方法)
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態1である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態1多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態1多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態1に変換するのに十分な期間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態1を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒はアルコールである。一実施態様において、溶媒は、エタノール、2-メトキシエタノール、メタノール、エチレングリコール、又はイソプロピルアルコールである。一実施態様において、溶媒は、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、エチレングリコール、アニソール、又は水である。一実施態様において、溶媒はエタノールである。一実施態様において、溶媒系は、2つの溶媒の混合物を含む。一実施態様において、溶媒系は2つの溶媒の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アニソールとイソプロピルアルコールの混合物、アニソールとエタノールの混合物、アニソールとトルエンの混合物、アセトニトリルと水の混合物、トルエンとエタノールの混合物、アセトンと水の混合物、イソプロピルアルコールと水の混合物、エタノールと水の混合物、N,N-ジメチルホルムアミドと水の混合物、N,N-アセトアミドと水の混合物、ジメチルスルホキシドと水の混合物、又はアニソールとメタノールの混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物はイソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、約1:4〜約4:1である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、約1:1又は約3:2である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、約1:2である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アセトンと水の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、エタノールと水の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約1:4〜約8:1である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約4:1である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約2:3である。一実施態様において、溶媒系は、3つの溶媒の混合物を含む。一実施態様において、3つの溶媒の混合物は、エタノールと水とDCMの混合物である。
一実施態様において、非形態1多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態1多形は、式(I)の化合物の形態2である。一実施態様において、非形態1多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態1に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、例えば、1:1の容量比で、イソプロピルアルコール及び水に曝露される。イソプロピルアルコールと水の最終容量比が1:2となるように、別の容量の水が約60℃で添加される。混合物を、約60℃で、約30分、1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間ねかせる。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、例えば、4:1の容量比で、約50℃〜約60℃で、アセトン及び水に曝露される。溶媒は、アセトン/水からイソプロピルアルコールに約30容量の最終容量まで交換される。混合物を、約60℃で、約30分間、1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約14時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間ねかせる。
一実施態様において、形態1は、1以上の溶媒からの式(I)の化合物の結晶化又は再結晶化によって調製される。一実施態様において、溶媒は、エタノール、2-メトキシエタノール、メタノール、エチレングリコール、又はイソプロピルアルコールである。一実施態様において、溶媒は、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、エチレングリコール、アニソール、又は水である。一実施態様において、溶媒はエタノールである。
一実施態様において、形態1は、アルコールを含む溶媒からの式(I)の化合物の結晶化又は再結晶化によって調製される。一実施態様において、溶媒はイソプロピルアルコールである。一実施態様において、溶媒はエタノールである。
一実施態様において、形態1は、2つの溶媒の混合物を含む溶媒からの式(I)の化合物の結晶化又は再結晶化によって調製される。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アニソールとイソプロピルアルコールの混合物、アニソールとエタノールの混合物、アニソールとトルエンの混合物、アセトニトリルと水の混合物、トルエンとエタノールの混合物、アセトンと水の混合物、イソプロピルアルコールと水の混合物、エタノールと水の混合物、N,N-ジメチルホルムアミドと水の混合物、N,N-アセトアミドと水の混合物、ジメチルスルホキシドと水の混合物、又はアニソールとメタノールの混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、イソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、約1:4〜約4:1である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、約1:1又は約3:2である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、約1:2である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アセトンと水の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、エタノールと水の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アセトニトリルと水の混合物である。
一実施態様において、形態1は、アルコールと水の混合物を含む溶媒からの式(I)の化合物の結晶化又は再結晶化によって調製される。一実施態様において、溶媒は、水中の約30%〜約90%アルコールの混合物である。一実施態様において、溶媒は、水中の約40%〜約80%アルコールの混合物である。一実施態様において、溶媒は、イソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、溶媒は、約3:2のイソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、溶媒は、エタノールと水の混合物である。一実施態様において、溶媒は、水中の約20%〜約90%エタノールの混合物である。一実施態様において、溶媒は、水中の約40%〜約80%エタノールの混合物である。一実施態様において、溶媒は、水中の約40%エタノールの混合物である。一実施態様において、溶媒は、水中の約60%エタノールの混合物である。一実施態様において、溶媒は、水中の約80%エタノールの混合物である。一実施態様において、溶媒はDCMをさらに含む。一実施態様において、結晶化又は再結晶化は、1回以上(例えば、1、2、3、4、5、又は6回)の加熱及び冷却サイクルを含む。一実施態様において、結晶化又は再結晶化は、3回の加熱及び冷却サイクルを含む。一実施態様において、結晶化又は再結晶化は、4回の加熱及び冷却サイクルを含む。一実施態様において、加熱段階は、約50℃〜約60℃で一定期間(例えば、約1時間〜約6時間、例えば、約3時間)加熱することを含む。一実施態様において、冷却段階は、室温で一定期間(例えば、約1時間〜約6時間、例えば、約2時間)保持することを含む。
一実施態様において、形態1は、アセトニトリルと水の混合物を含む溶媒からの式(I)の化合物の結晶化又は再結晶化によって調製される。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約1:4〜約8:1である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約4:1である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約2:3である。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態2である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態2多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態2多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態2に変換するのに十分な時間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態2を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態2多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態2多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態2多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒は、ジクロロメタン、アセトン、テトラヒドロフラン、水、1-プロパノール、又はクロロホルムである。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、ジクロロメタンとアセトンの混合物、テトラヒドロフランと水の混合物、ジクロロメタンとエタノールの混合物、又はジクロロメタンとメタノールの混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、ジクロロメタンとアセトンの混合物である。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態2多形は、3つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、3つの溶媒の混合物は、ジクロロメタンとエタノールと水の混合物である。一実施態様において、非形態2多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態2多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態2に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、形態2は、例えば、1-プロパノール、アセトン、もしくはジクロロメタン、又はジクロロメタンとアセトンの混合物もしくはテトラヒドロフランと水の混合物中での成熟から得られる。一実施態様において、形態2は、約5℃で、ジクロロメタンから得られる。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態3である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態3多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態3多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態3に変換するのに十分な時間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態3を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態3多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態3多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態3多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒は、メチルエチルケトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-メチル-1-プロパノール、2-メチルテトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、1-プロパノール、アセトン、又はアセトニトリルである。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、2-メチルテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールの混合物、2-メチルテトラヒドロフランとエタノールの混合物、2-メチルテトラヒドロフランとトルエンの混合物、又はアセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、非形態3多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態3多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態3に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、形態3は、1つの溶媒又は1以上の溶媒の混合物中での成熟から得られる。一実施態様において、形態3は、約5℃で得られる。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態4である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態4多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態4多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態4に変換するのに十分な時間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態4を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態4多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態4多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態4多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒は、1-プロパノール、アセトン、2-メチル-1-プロパノール、1,4-ジオキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、2-メトキシエタノール、イソプロピルアルコール、水、アニソール、トルエン、又はジメチルスルホキシドである。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アニソールとテトラヒドロフランの混合物、トルエンとテトラヒドロフランの混合物、トルエンとイソプロピルアルコールの混合物、又はイソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、非形態4多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態4多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態4に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、形態4は、1つの溶媒又は1以上の溶媒の混合物中での成熟から得られる。一実施態様において、形態4は、約5℃で得られる。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態5である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態5多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態5多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態5に変換するのに十分な時間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態5を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態5多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒はアニソールである。一実施態様において、非形態5多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態5多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態5に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、形態5は、1つの溶媒又は1以上の溶媒の混合物中での成熟から得られる。一実施態様において、形態5は、約5℃で得られる。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態6である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態6多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態6多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態6に変換するのに十分な時間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態6を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態6多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態6多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態6多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒は、ニトロメタン、アセトニトリル、又は水である。一実施態様において、溶媒はニトロメタンである。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、ニトロメタンと水の混合物又はアセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、1:1である。一実施態様において、非形態6多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態6多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態6に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、形態6は、1つの溶媒又は1以上の溶媒の混合物中での成熟から得られる。一実施態様において、形態6は、約5℃で得られる。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態7である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態7多形を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態7多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態7に変換するのに十分な時間、曝露すること;及び
(ii)該多形形態7を回収すること
を含む。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態7多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態7多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態7多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒は、メチルエチルケトン、1-プロパノール、アセトン、又はtert-ブチルメチルエーテルである。一実施態様において、非形態7多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態7多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態7に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法であって、該化合物が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態8である、方法であり;該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態8多形を含む組成物を、非形態8多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態7に変換するのに十分な時間、加熱に曝露すること;及び
(ii)該多形形態8を回収すること
を含む。
一実施態様において、非形態8多形は、式(I)の化合物の形態6である。一実施態様において、非形態8多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態8に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
(5.2.3.化合物1及び共形成物を含む固体形態)
ある実施態様において、本明細書に提供される固体形態は、共形成物をさらに含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
又はその塩、もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物、及び共形成物を含む固体形態である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1の遊離塩基、又はその溶媒和物(例えば、水和物)、及び共形成物を含む固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及び共形成物を含む非溶媒和固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及び共形成物を含む無水固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及び共形成物を含む溶媒和固体形態である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及び共形成物を含む水和物固体形態である。
化合物1、又はその塩、もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物、及び共形成物は、種々の固体形態で存在することができることが想定される。そのような固体形態には、結晶性固体又は結晶性固体と非晶質固体の混合物が含まれる。一実施態様において、固体形態は実質的に結晶性である。一実施態様において、固体形態は結晶性である。一実施態様において、固体形態は共結晶である。
いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約10:1〜約1:10の範囲である。いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約5:1〜約1:5の範囲である。いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約3:1〜約1:3の範囲である。いくつかの実施態様において、固体形態中の化合物1と溶媒/水のモル比は、約2:1〜約1:2の範囲である。一実施態様において、該モル比は、約1:2(すなわち、ビス溶媒和物/水和物)である。別の実施態様において、該モル比は、約1:1(すなわち、一溶媒和物/水和物)である。さらに別の実施態様において、該モル比は、約2:1(すなわち、ヘミ溶媒和物/水和物)である。
化合物1と共形成物の比は、化学量論的又は非化学量論的であり得る。一実施態様において、化合物1と共形成物の比は、約5:1〜約1:5の範囲である。一実施態様において、化合物1と共形成物の比は、約5:1、4:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:4、又は1:5である。一実施態様において、化合物1と共形成物の比は、約1:1である。一実施態様において、共結晶は、複数の共形成物を含む。一実施態様において、共結晶は、2つの共形成物を含む。
一実施態様において、共形成物は、クエン酸、L-リンゴ酸、L-酒石酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、ソルビン酸、ケトグルタル酸、サリチル酸、安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、4-アミノ安息香酸、オロチン酸、ウレア、ニコチン酸、イソニコチン酸、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、サッカリン、L-乳酸、L-セリン、L-プロリン、グリシン、マルトール、スクシンイミド、スルファセタミド、及びp-トルエンスルホン酸一水和物のうちの1つ又は複数である。
一実施態様において、共形成物はL-酒石酸である。別の実施態様において、共形成物はサリチル酸である。
(5.2.3.1 化合物1及びL-酒石酸を含む固体形態の形態P1C3)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及びL-酒石酸を含む固体形態の形態P1C3である。一実施態様において、形態P1C3は、化合物1及びL-酒石酸を含む結晶性水和物固体形態である。いくつかの実施態様において、形態P1C3は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態P1C3は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、形態P1C3は、実質的に純粋な形態P1C3として提供される。
一実施態様において、形態P1C3中の化合物1とL-酒石酸のモル比は、約1:2〜2:1の範囲である。一実施態様において、形態P1C3中の化合物1とL-酒石酸のモル比は、約1:1である。一実施態様において、形態P1C3は水をさらに含む。一実施態様において、形態P1C3中の化合物1と水のモル比は、約1:2〜2:1の範囲である。一実施態様において、形態P1C3中の化合物1と水のモル比は、約1:1である。一実施態様において、形態P1C3中の化合物1:L-酒石酸:水のモル比は、約1:1:1である。
形態P1C3の代表的なXRPDパターンは、図22に提供されている。
一実施態様において、形態P1C3は、11.2、17.4、及び17.7±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態P1C3は、21.2及び22.5±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態P1C3は、11.2、17.4、17.7、21.2、及び22.5度の2θにおけるピークを、10.7、11.6、17.0、20.6、20.8、21.4、22.2、23.2、23.6、及び24.2±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態P1C3は、以下の位置: 10.7、11.2、11.6、17.0、17.4、17.7、20.6、20.8、21.2、21.4、22.2、22.5、23.2、23.6、及び24.2±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態P1C3は、図22に概ね示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態P1C3の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図23に提供されている。
一実施態様において、形態P1C3は、DSCによって特徴解析したとき、約129℃の開始温度及び/又は約149℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態P1C3は、図23に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態P1C3は、約30℃から約100℃に加熱したとき、約0.5%の重量損失を示し、約100℃から約160℃に加熱したとき、約1.9%の重量損失を示し、約170℃から約260℃に加熱したとき、約15.9%の重量損失を示す。一実施態様において、形態P1C3は、図23に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
形態P1C3の代表的な重量蒸気収着(GVS)等温線は、図28に提示されている。一実施態様において、形態P1C3は、約0%相対湿度から約90%相対湿度への相対湿度の増加に供したとき、約3.7%の重量増加を示す。一実施態様において、形態P1C3は、図28に提示されているGVSサーモグラムに概ね示されているようなGVSサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態P1C3の調製は、化合物1とL-酒石酸の混合物を溶媒の存在下で摩砕することを含む。一実施態様において、溶媒はニトロメタンである。一実施態様において、ニトロメタンは無水ではない、すなわち、一定量(例えば、約5%)の水を含む。一実施態様において、形態P1C3の調製は、ニトロメタンの存在下で、化合物1とL-酒石酸の1:1混合物を摩砕することを含む。
一実施態様において、形態P1C3の調製は、溶媒中の化合物1及びL-酒石酸の溶液を低速冷却することを含む。一実施態様において、溶媒はニトロメタンである。一実施態様において、ニトロメタンは無水ではない、すなわち、一定量(例えば、約5%)の水を含む。一実施態様において、形態P1C3の調製は、約5%の水を含むニトロメタン中の1:1の化合物1及びL-酒石酸の溶液を低速冷却することを含む。一実施態様において、該溶液は、約0.1〜約0.25℃/分の速度で、約50℃から約5℃に冷却される。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.3.2 化合物1及びサリチル酸を含む固体形態の形態P1C9)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及びサリチル酸を含む固体形態の形態P1C9である。一実施態様において、形態P1C9は、化合物1及びサリチル酸を含む結晶性水和物固体形態である。いくつかの実施態様において、形態P1C9は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態P1C9は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、形態P1C9は、実質的に純粋な形態P1C9として提供される。
一実施態様において、形態P1C9中の化合物1とサリチル酸のモル比は、約1:1〜3:1の範囲である。一実施態様において、形態P1C9中の化合物1とサリチル酸のモル比は、約2:1である。一実施態様において、形態P1C9は水をさらに含む。一実施態様において、形態P1C9中の化合物1と水のモル比は、約1:3〜1:5の範囲である。一実施態様において、形態P1C9中の化合物1と水のモル比は、約1:4である。一実施態様において、形態P1C9中の化合物1:サリチル酸:水のモル比は、約1:0.5:4である。
形態P1C9の代表的なXRPDパターンは、図24に提供されている。
一実施態様において、形態P1C9は、6.9、10.1、及び12.0±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態P1C9は、17.8及び20.0±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態P1C9は、6.9、10.1、12.0、17.8、及び20.0度の2θにおけるピークを、4.7、6.0、12.7、13.7、15.0、16.2、24.2、24.6、26.1、及び28.3±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態P1C9は、以下の位置: 4.7、6.0、6.9、10.1、12.0、12.7、13.7、15.0、16.2、17.8、20.0、24.2、24.6、26.1、及び28.3±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態P1C9は、図24に概ね示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態P1C9の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図25に提供されている。
一実施態様において、形態P1C9は、DSCによって特徴解析したとき、約43℃の開始温度及び/もしくは約75℃のピーク温度を有する吸熱事象又は約120℃の開始温度及び/もしくは約127℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態P1C9は、DSCによって特徴解析したとき、約43℃の開始温度及び/又は約75℃のピーク温度を有する吸熱事象並びに約120℃の開始温度及び/又は約127℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態P1C9は、図25に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態P1C9は、約30℃から約100℃に加熱したとき、約10.15%の重量損失を示す。一実施態様において、形態P1C9は、図25に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態P1C9の調製は、化合物1とサリチル酸の混合物を溶媒の存在下で超音波処理することを含む。一実施態様において、溶媒は、アセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、溶媒は、アセトニトリルと水の1:1混合物である。一実施態様において、形態P1C9の調製は、化合物1とサリチル酸の1:1混合物をアセトニトリルと水の1:1混合物の存在下で超音波処理することを含む。一実施態様において、該調製は、超音波処理工程由来の材料を一定期間静置することをさらに含む。一実施態様において、静置期間は、約2時間未満である。一実施態様において、静置期間は、約30分である。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
(5.2.3.3 化合物1及びサリチル酸を含む固体形態の形態P2C9)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、化合物1及びサリチル酸を含む固体形態の形態P2C9である。一実施態様において、形態P2C9は、化合物1及びサリチル酸を含む結晶性溶媒和物固体形態である。一実施態様において、形態P2C9は、化合物1及びサリチル酸を含む結晶性アセトニトリル溶媒和物固体形態である。いくつかの実施態様において、形態P2C9は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、化合物1の形態P2C9は、化合物1の他の結晶性形態(すなわち、多形)を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、形態P2C9は、実質的に純粋な形態P2C9として提供される。
一実施態様において、形態P2C9中の化合物1とサリチル酸のモル比は、約1:2〜2:1の範囲である。一実施態様において、形態P2C9中の化合物1とサリチル酸のモル比は、約1:1である。一実施態様において、形態P2C9はアセトニトリルをさらに含む。一実施態様において、形態P2C9中の化合物1とアセトニトリルのモル比は、約1:1〜3:1の範囲である。一実施態様において、形態P2C9中の化合物1とアセトニトリルのモル比は、約1:0.5である。一実施態様において、形態P2C9中の化合物1:サリチル酸:アセトニトリルのモル比は、約1:1:0.5である。
形態P2C9の代表的なXRPDパターンは、図26に提供されている。
一実施態様において、形態P2C9は、11.4、13.4、及び24.0±0.2度の2θにおけるピークを含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態P2C9は、25.1及び26.9±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含むXRPDパターンを有する。一実施態様において、形態P2C9は、11.4、13.4、24.0、25.1、及び26.9度の2θにおけるピークを、8.5、12.7、16.0、16.8、18.7、19.9、21.7、23.6、28.3、及び28.7±0.2度の2θから選択される少なくとも1つのピークと組み合わせて含むXRPDパターンを有する。
一実施態様において、形態P2C9は、以下の位置: 8.5、11.4、12.7、13.4、16.0、16.8、18.7、19.9、21.7、23.6、24.0、25.1、26.9、28.3、及び28.7±0.2度の2θのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個、又は全てに位置するXRPDピークによって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの3個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの5個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの7個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの9個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの11個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの13個によって特徴付けられる。一実施態様において、該固体形態は、該ピークのうちの全てによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、上記のXRPDピーク(度の2θピーク)は、銅Kα放射線を用いて分析したときに観察される。
一実施態様において、形態P2C9は、図26に概ね示されているようなXRPDパターンを有する。
化合物1の形態P2C9の熱重量分析(TGA)サーモグラムと示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの代表的なオーバーレイは、図27に提供されている。
一実施態様において、形態P2C9は、DSCによって特徴解析したとき、約78℃の開始温度及び/又は約96℃のピーク温度を有する吸熱事象を示す。一実施態様において、形態P2C9は、図27に提示されているDSCサーモグラムに概ね示されているようなDSCサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態P2C9は、約30℃から約130℃に加熱したとき、約5.6%の重量損失を示す。一実施態様において、形態P2C9は、図27に提示されているTGAサーモグラムに概ね示されているようなTGAサーモグラムによって特徴付けられる。
一実施態様において、形態P2C9の調製は、化合物1とサリチル酸の混合物を溶媒の存在下で超音波処理することを含む。一実施態様において、溶媒は、アセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、溶媒は、アセトニトリルと水の1:1混合物である。一実施態様において、形態P2C9の調製は、化合物1とサリチル酸の1:1混合物をアセトニトリルと水の1:1混合物の存在下で超音波処理することを含む。一実施態様において、該調製は、超音波処理工程由来の材料を一定期間静置することをさらに含む。一実施態様において、静置期間は、少なくとも約2時間である。
上記の実施態様の組合せの全てが本出願によって包含される。
一実施態様において、本明細書に提供される固体形態(例えば、形態P1C9、形態P1C9、又は形態P2C9)の粒子の直径、ここで、該化合物の粒子の直径は、約0.1μm〜約150μm、約0.1μm〜約125μm、約0.1μm〜約100μm、約0.1μm〜約75μm、約0.1μm〜約50μm、約1μm〜約50μm、約1μm〜約50μm、約0.1μm〜約10μm、約0.1μm〜約7μm、又は約0.5μm〜約5μmである。一実施態様において、該直径は、約0.5μm〜約5μmである。一実施態様において、該直径は、約0.6μm〜約4.8μmである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の固体形態を含む組成物であり、ここで、該化合物は、HPLCにより決定したとき、約98.0%を超える純度を有する。一実施態様において、式(I)の化合物は、約98.5%、約99.0%、約99.5%、約99.6%、約99.9%、又は約99.91%の純度を有する。
(5.2.4 材料を分析する方法)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される固体形態の存在又は量について材料を分析する方法であって、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、もしくはその塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を含む材料を提供すること;及び特徴解析法を用いて、該材料から得られた特徴を参照署名特徴と比較することにより、該固体形態と関連する署名特徴が該材料中に存在するかどうかを決定することを含み;ここで、該参照署名特徴と実質的に同一な特徴の存在が該材料中の該固体形態の存在を示す、方法でもある。
一実施態様において、該方法は、参照標準との比較に基づく決定の結果としてバッチを選択することをさらに含む。一実施態様において、該方法は、材料の品質に関する決定を下すことをさらに含む。一実施態様において、該方法は、材料を医薬組成物の製造において使用するかどうかの決定を下すことをさらに含む。一実施態様において、該方法は、材料をPI3K媒介性障害の治療に使用するかどうかの決定を下すことをさらに含む。
一実施態様において、特徴解析法は、XRPD、TGA、DSC、GVS、FT-IR、又はNMRのうちの1つ又は複数である。
(5.2.5.化合物1の非晶質形態の調製のための方法)
本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の非晶質形態を調製する方法であって、該非晶質形態が結晶性形態を介して作製される、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の非晶質形態を調製する方法であって、該非晶質形態が、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態1を介して作製される、方法である。
一実施態様において、該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態を含む固体形態を1以上の溶媒に溶解させて、溶液を形成させること;及び
(ii)該溶液の溶媒を除去して、式(I)の化合物の非晶質形態を提供すること
を含む。
一実施態様において、多形形態は多形形態1である。
一実施態様において、固体形態は、式(I)の化合物の非晶質形態をさらに含む。
一実施態様において、該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の多形形態1を含む固体形態を1以上の溶媒に溶解させて、溶液を形成させること;及び
(ii)該溶液の溶媒を除去して、式(I)の化合物の非晶質形態を提供すること
を含む。
一実施態様において、該方法は:
(i)式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の少なくとも1つの非形態1多形もしくは非晶質形態を含む組成物を、1以上の溶媒に、非形態1多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態1に変換するのに十分な期間、曝露すること;
(ii)該多形形態1を回収すること;
(iii)該多形形態1を1以上の溶媒に溶解させて、溶液を形成させること;及び
(iv)該溶液の溶媒を除去して、式(I)の化合物の非晶質形態を提供すること
を含む。
一実施態様において、溶液の溶媒は、凍結乾燥によって除去される。別の実施態様において、溶液の溶媒は、噴霧乾燥によって除去される。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、1つの溶媒に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、1以上の溶媒に曝露される。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、溶媒はアルコールである。一実施態様において、溶媒は、エタノール、2-メトキシエタノール、メタノール、エチレングリコール、又はイソプロピルアルコールである。一実施態様において、溶媒は、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、エチレングリコール、アニソール、又は水である。一実施態様において、溶媒はエタノールである。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アニソールとイソプロピルアルコールの混合物、アニソールとエタノールの混合物、アニソールとトルエンの混合物、アセトニトリルと水の混合物、トルエンとエタノールの混合物、アセトンと水の混合物、又はイソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、イソプロピルアルコールと水の混合物である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、1:1又は3:2である。一実施態様において、イソプロピルアルコールと水の容量比は、1:2である。一実施態様において、2つの溶媒の混合物は、アセトンと水の混合物である。一実施態様において、非形態1多形は、式(I)の非晶質化合物である。一実施態様において、非形態1多形の総量の少なくとも約50%を式(I)の化合物の形態1に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間である。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、例えば、1:1の容量比で、イソプロピルアルコール及び水に曝露される。イソプロピルアルコールと水の最終容量比が1:2となるように、別の容量の水が約60℃で添加される。混合物を、約60℃で、約30分間、1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間ねかせる。
一実施態様において、式(I)の化合物の非形態1多形は、例えば、4:1の容量比で、約50℃〜約60℃で、アセトン及び水に曝露される。溶媒は、アセトン/水からイソプロピルアルコールに約30容量の最終容量まで交換される。混合物を、約60℃で、約30分間、1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約14時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、又は約72時間ねかせる。
一実施態様において、式(I)の化合物を溶解させる溶媒は、DCM、アルコール、又はこれらの混合物である。一実施態様において、アルコールはMeOHである。一実施態様において、アルコールは2-プロパノールである。別の実施態様において、ポリマーは、噴霧乾燥の前に添加される。別の実施態様において、ポリマーはPVP/VA 64である。別の実施態様において、ポリマーはHPMC-ASである。
(5.3 調製のための方法)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を調製する方法であって、次式の化合物C:
を、式Gのカルボン酸:
とカップリングさせて、式(I)の化合物を提供することを含む、方法である。
一実施態様において、カップリングは、カップリング試薬の存在下で行われる。一実施態様において、カップリング試薬は、カルボジイミド、トリアジン、ホスホニウム、ウロニウム、もしくは混合無水物、又はこれらの混合物である。一実施態様において、カップリング試薬は、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジミド(dicyclohexylcarbodimide)(DCC)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、2-プロパンホスホン酸無水物(T3P)、1-[(ジメチルアミノ)(モルホリノ)メチレン]-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-1-イウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HDMA)、N,N,N',N'-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、ジエチルホスホロシアニデート(DECP)、ジエチルホスホロクロリデート(DEPC)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、リン酸ビス(2-オキサゾリジド)クロリド(BOPCl)、クロロジメトキシトリアジンもしくはそのN-メチルモルホリニウム付加物、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)(BroP)、(EtO)2P(O)-Cl,(EtO)2P(O)-オキシマ、塩化ピバロイル、イソ-ブチルクロロフォルメート、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)、又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)もしくはそのBF4類似体、或いはこれらの混合物である。一実施態様において、カップリング試薬はEDCIである。一実施態様において、カップリング試薬はDMTMMである。
一実施態様において、カップリングは、活性化剤の存在下で行われる。一実施態様において、活性化剤は、HOBt、HBトリアジノン、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)アセテート(オキシマ)、NHS、又はエチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテートカリウム塩(K-オキシマ)である。一実施態様において、活性化剤はHOBtである。
一実施態様において、カップリングは、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基は、Et3N、DIPEA、ピリジン、NMM、DBU、NaOH、又はDMAPである。一実施態様において、塩基はEt3Nである。一実施態様において、塩基はDIPEAである。
一実施態様において、カップリングは、溶媒の存在下で行われる。一実施態様において、溶媒は、DMF、NMP、アセトニトリル、EtOH、アセトン、DCM、MeOH、もしくは水、又はこれらの混合物である。
一実施態様において、カップリングは、カルボジイミドカップリング試薬の存在下で行われる。一実施態様において、カルボジイミドは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。一実施態様において、カップリングは、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下で行われる。一実施態様において、カップリングは、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基はDIPEAである。一実施態様において、DIPEAは、DMF中のものである。一実施態様において、カップリングは、不活性雰囲気下で行われる。
一実施態様において、カップリングは、トリアジンカップリング試薬の存在下で行われる。一実施態様において、トリアジンはDMTMMである。一実施態様において、カップリングは、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基は、Et3N、DIPEA、ピリジン、NMM、DBU、NaOH、又はDMAPである。一実施態様において、塩基はEt3Nである。一実施態様において、カップリングは、アセトニトリル、EtOH、アセトン、DCM、MeOH、もしくは水、又はこれら混合物の溶媒中で行われる。一実施態様において、溶媒は、アセトニトリルと水の混合物(例えば、4:1 v/v)、EtOHと水の混合物(例えば、3:1 v/v)、EtOHと水とDCMの混合物(例えば、14.4:4.8:1 v/v/v)、アセトンと水の混合物(例えば、4:1 v/v)、DCMとMeOHの混合物(例えば、4:1 v/v)、DCMとEtOHの混合物(例えば、4:1 v/v)、又はDCMである。一実施態様において、溶媒は、アセトニトリルと水の混合物である。一実施態様において、アセトニトリルと水の容量比は、約4:1である。
一実施態様において、カップリングは、DMF中のT3P及びDIPEAの存在下で行われる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を調製する方法であって、次式の化合物C:
を、式Dのエステル:
とカップリングさせて、式(I)の化合物を提供することを含む、方法である。
一実施態様において、カップリングは、1以上の溶媒の存在下で行われる。別の実施態様において、カップリングは、塩基及び1以上の溶媒の存在下で行われる。一実施態様において、塩基はアミンである。一実施態様において、アミンは、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、有機溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びジクロロメタン、又はこれらの混合物から選択される。一実施態様において、有機溶媒はアセトニトリルである。一実施態様において、有機溶媒は、DCMとエタノールの混合物である。一実施態様において、DCMとエタノールの容量比は、約8:1〜約2:1である。一実施態様において、DCMとエタノールの容量比は、約4:1である。一実施態様において、カップリングは、2つの溶媒の混合物の存在下で行われる。別の実施態様において、溶媒の混合物は、水とアセトニトリルである。一実施態様において、水とアセトニトリルの容積比は、約1:4である。一実施態様において、カップリングは、約30℃〜約80℃、約40℃〜約70℃、又は約55℃〜約65℃の温度で行われる。一実施態様において、温度は、約60℃である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、次式の化合物C:
を調製する方法であって、次式の化合物A:
を、式Eのアルキン:
とカップリングさせることを含む、方法である。
一実施態様において、カップリングは、触媒、配位子、又は触媒/配位子錯体;塩基;及び溶媒の存在下で行われる。
一実施態様において、触媒は、パラジウム(Pd)触媒、ニッケル(Ni)触媒、銅(Cu)触媒、又はこれらの混合物である。一実施態様において、触媒はPd触媒である。一実施態様において、Pd触媒は、Pd-G3、Pd2(dba)3、PdCl2(MeCN)2、Pd(OAc)2、Pd(PPh3)4、又はPdCl2(PPh3)2である。一実施態様において、パラジウム触媒はPdCl2(MeCN)2である。一実施態様において、パラジウム触媒はPd2(dba)3である。
一実施態様において、触媒はNi触媒である。一実施態様において、Ni触媒は(Ph3P)2NiCl2である。
一実施態様において、触媒はCu触媒である。一実施態様において、Cu触媒はCuIである。
一実施態様において、配位子は、ホスフィン配位子又はビスホスフィン配位子である。一実施態様において、配位子は、XPhos、PCy3、PCy2Ph、PiPr3、PCy2 tBu、CataCXium A、P(MeOC6H4)3、PPh2(C6H4CO2H)、PPh2(C6H4SO3H)、SPhos、JohnPhos、DavePhos、MePhos、cBRIDP、Cy-vBRIDP、Cy-cBRIDP、iBuトリプルケージ、PtBu2Cy、PtBu3、CataCXium PICy、PtBu2(PhNMe2)、PPh3、dppp、dppe、dppb、BINAP、DPEPhos、dppf、dbpf、XantPhos、N-tBu2Pアゼチン、dppm、dmpe、dippe、DIPAMP、Chiraphos、SPANphos、SEGPHOS、Me-DuPhos、又はJosiphosである。一実施態様において、配位子は、XPhos、CataCXium A、JohnPhos、DavePhos、MePhos、cBRIDP、CataCXium PICy、又はdbpfである。一実施態様において、ここで、配位子は、XPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)である。一実施態様において、配位子はcBRIDPである。
一実施態様において、配位子と触媒のモル比は、約5:1〜約1:5である。一実施態様において、配位子と触媒のモル比は、約2:1〜約1:2である。一実施態様において、配位子と触媒のモル比は、約2:1〜約1:1である。一実施態様において、配位子は単座配位子であり、配位子と触媒のモル比は、約2:1である。一実施態様において、配位子は単座配位子であり、配位子と触媒のモル比はで、約1:1である。一実施態様において、配位子は、二座配位子であり、配位子と触媒のモル比は、約1:1である。一実施態様において、配位子は二座配位子であり、配位子と触媒のモル比は、約1:2である。
一実施態様において、触媒の投入量は、約0.5%〜約10%、約1%〜約10%、又は約1%〜約5%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約5%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約4%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約3%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約2%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約1%である。
一実施態様において、配位子の投入量は、約0.5%〜約20%、約0.5%〜約15%、約0.5%〜約10%、約1%〜約10%、約1%〜約5%、又は約1%〜約3%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約10%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約5%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約4%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約3%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約2%である。一実施態様において、触媒の投入量は、約1%である。
一実施態様において、塩基は無機塩基である。一実施態様において、塩基はアルカリ金属塩である。一実施態様において、塩基はアルカリ土類金属塩である。一実施態様において、塩基は、Cs2CO3、K2CO3、又はK3PO4である。一実施態様において、塩基はCs2CO3である。一実施態様において、塩基はK2CO3である。一実施態様において、塩基はK3PO4である。
一実施態様において、塩基は有機塩基である。
一実施態様において、Pd触媒はPd2(dba)3であり、配位子はXphosであり、塩基はK2CO3である。一実施態様において、Pd触媒はPd2(dba)3であり、配位子はXphosであり、塩基はK3PO4である。一実施態様において、Pd触媒はPdCl2(MeCN)2であり、配位子はXphosであり、塩基はK2CO3である。一実施態様において、Pd触媒はPd(OAc)2であり、配位子はXphosであり、塩基はK2CO3である。
一実施態様において、溶媒は、MeCN、iPrOAc、n-プロピルアセテート、2-MeTHF、EtCN、MEK、又はトルエンである。一実施態様において、溶媒はMeCNである。
一実施態様において、カップリングは、PdCl2(MeCN)2の存在下で行われる。一実施態様において、カップリングはさらに、XPhosの存在下で行われる。一実施態様において、カップリングはさらに、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基はCs2CO3である。一実施態様において、カップリングは、溶媒の存在下で行われる。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、有機溶媒はアセトニトリルである。
一実施態様において、カップリングは、Pd2(dba)3の存在下で行われる。一実施態様において、カップリングはさらに、XPhosの存在下で行われる。一実施態様において、カップリングはさらに、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基はK3PO4である。一実施態様において、カップリングは、溶媒の存在下で行われる。一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、有機溶媒はアセトニトリルである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式Eのアルキン:
を調製する方法であって、式Fの化合物:
を脱保護することを含む、方法である。
一実施態様において、脱保護は、塩基及び溶媒の存在下で行われる。
一実施態様において、塩基は無機塩基である。一実施態様において、塩基はアルカリ金属塩である。一実施態様において、塩基は、KOH、NaOH、NaHCO3、K3PO4、又はK2CO3である。一実施態様において、塩基は有機塩基である。一実施態様において、塩基はピリジンである。
一実施態様において、脱保護は、酸の存在下で行われる。一実施態様において、酸は、HCl、AcOH、p-TsOH、又カンファースルホン酸である。
一実施態様において、脱保護は、フッ化物源の存在下で行われる。一実施態様において、フッ化物源は、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)である。一実施態様において、フッ化物源はピリジン-HFである。
一実施態様において、脱保護は、相間移動触媒の存在下で行われる。一実施態様において、相間移動触媒は、水酸化テトラブチルアンモニウムである。
一実施態様において、溶媒は有機溶媒である。一実施態様において、有機溶媒はMeOHである。一実施態様において、溶媒は、水と水不混和性溶媒の混合物である。一実施態様において、水不混和性溶媒は、MTBE又はDCMである。一実施態様において、脱保護は、約10wt%KOH水溶液とMTBEの混合物の存在下で行われる。一実施態様において、溶媒はアセトニトリルである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式Fの化合物:
を調製する方法であって、4-ヨード-1-メチル-1H-ピラゾールをトリメチルシリルアセチレンとカップリングさせることを含む、方法である。
一実施態様において、カップリングは、Cu触媒、Pd触媒、及び塩基の存在下で行われる。
一実施態様において、Cu触媒はCuIである。
一実施態様において、Pd触媒は、Pd-G3、Pd2(dba)3、PdCl2(MeCN)2、Pd(OAc)2、Pd(PPh3)4、又はPdCl2(PPh3)2である。一実施態様において、Pd触媒はPdCl2(PPh3)2である。
一実施態様において、Pd触媒とCu触媒のモル比は、約1:20〜約10:1、約1:10〜約5:1、約1:7.5〜約1:1、約1:6〜約1:2である。一実施態様において、Pd触媒とCu触媒のモル比は、約1:10、約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、又は約2:1である。一実施態様において、Pd触媒とCu触媒のモル比は、約1:6である。一実施態様において、Pd触媒とCu触媒のモル比は、約1:2である。
一実施態様において、Pd触媒の投入量は、約0.0005当量〜約0.1当量、約0.001当量〜約0.05当量、約0.002当量〜約0.02当量、又は約0.003当量〜約0.01当量である。一実施態様において、Pd触媒の投入量は、約0.003当量である。一実施態様において、Pd触媒の投入量は、約0.01当量である。
一実施態様において、Cu触媒の投入量は、約0.001当量〜約0.2当量、約0.005当量〜約0.1当量、約0.01当量〜約0.05当量、又は約0.0175当量〜約0.02当量である。一実施態様において、Cu触媒の投入量は、約0.0175当量である。一実施態様において、Cu触媒の投入量は、約0.02当量である。
一実施態様において、Pd触媒の投入量は、約0.01当量であり、Cu触媒の投入量は、約0.02当量である。一実施態様において、Pd触媒の投入量は、約0.003当量であり、Cu触媒の投入量は、約0.0175当量である。
一実施態様において、塩基は、DIPA、DIPEA、又はN-メチルモルホリン(NMM)である。一実施態様において、塩基はDIPAである。一実施態様において、塩基はDIPEAである。一実施態様において、塩基はNMMである。一実施態様において、塩基(例えば、DIPA)は、溶媒としても使用される。
一実施態様において、カップリングは、DCM、トルエン、2-メチル-テトラヒドロフラン、もしくはDIPA、又はこれらの混合物の溶媒中で行われる。一実施態様において、カップリングは、DCMの溶媒中で行われる。一実施態様において、カップリングは、トルエンの溶媒中で行われる。一実施態様において、カップリングは、2-メチル-テトラヒドロフランの溶媒中で行われる。
一実施態様において、式Fの化合物は、精製せずに、式Eのアルキン化合物の調製で使用される。一実施態様において、式Fの化合物は、精製された後、式Eのアルキン化合物の調製で使用される。
一実施態様において、カップリングは、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、又は約0.1%未満の次式
の副生成物を生じさせる。
ある実施態様において、式Gのカルボン酸は、PCT刊行物WO 2011/003065号及びWO 2015/073267号に記載されている方法に従って調製される。例示的な合成スキームは以下に示されている。全平均収率は、約10%〜約25%である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式Gのカルボン酸の調製のための代わりの手法である。例示的な合成スキームは以下に示されている。この代わりの手法は、約40〜45%の全収率をもたらし、生成物はオフホワイト色で得られる。
ある実施態様において、式Gのカルボン酸は、式Hの化合物:
を加水分解することを含む方法によって調製される。
一実施態様において、加水分解は、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基は、LiOH、NaOH、又はKOHである。一実施態様において、塩基はLiOHである。
ある実施態様において、式Hの化合物は、式Jの化合物:
を1,1,3,3-テトラメトキシプロパンと反応させることを含む方法によって調製される。
一実施態様において、式Jの化合物と1,1,3,3-テトラメトキシプロパンの反応は、AcOHの溶媒中で行われる。一実施態様において、式Hの化合物は、AcOHの溶媒の除去後、それ以上精製せずに、式Gの化合物の調製で使用される。
一実施態様において、式Jの化合物と1,1,3,3-テトラメトキシプロパンの反応はHClの存在下で行われる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、式Jの化合物:
を調製する方法であって、式Kの化合物:
を環化することを含む、方法である。
一実施態様において、環化は、1-プロパノールの溶媒中で、約2日〜約4日間還流させることにより行われる。一実施態様において、環化は、1-プロパノールの溶媒中で、約数日間還流させることにより行われる。
一実施態様において、環化は、1-ブタノールの溶媒中で、約24時間〜約48時間還流させることにより行われる。一実施態様において、環化は、1-ブタノールの溶媒中で、約36時間還流させることにより行われる。
一実施態様において、式Kの化合物は、式Lの化合物:
をヒドラジン又は抱水ヒドラジンと反応させることを含む方法によって調製される。
一実施態様において、式Lの化合物とヒドラジン又は抱水ヒドラジンの反応は、1-プロパノールの溶媒中で還流させることにより行われる。
一実施態様において、式Lの化合物とヒドラジン又は抱水ヒドラジンの反応は、1-ブタノールの溶媒中、約60℃〜約80℃で加熱することにより行われる。
一実施態様において、式Lの化合物は、式Mの化合物:
をNH
3又はNH
4OHと反応させることを含む方法によって調製される。
一実施態様において、式Mの化合物とNH3又はNH4OHの反応は室温で行われる。
一実施態様において、式Lの化合物、式Kの化合物、及び式Jの化合物の調製は、ワンポットで行われる。
一実施態様において、式Mの化合物は、エチル 2-シアノアセテートを2-クロロエチルクロロフォルメートと反応させることを含む方法によって調製される。
一実施態様において、2-シアノアセテートと2-クロロエチルクロロフォルメートの反応は、塩基の存在下で行われる。一実施態様において、塩基は無機塩基である。一実施態様において、塩基はアルカリ金属塩である。一実施態様において、塩基はアルカリ土類金属塩である。一実施態様において、塩基は、LiOH、NaOH、又はKOHである。一実施態様において、塩基はNaOHである。
一実施態様において、2-シアノアセテートと2-クロロエチルクロロフォルメートの反応はMeCNの溶媒中で行われる。
一実施態様において、式Mの化合物は、MeOHからの再結晶化によって精製される。一実施態様において、式Mの化合物は、1-プロパノール中での再スラリー化によって精製される。一実施態様において、式Mの化合物は、1-ブタノールからの結晶化によって精製される。
(5.4.医薬組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物を含む固体形態、及び充填剤(増量剤又は担体)、並びに任意に、崩壊剤及び滑沢剤を含む医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される固体形態、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物、並びに不活性固体希釈剤及び増量剤、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒、透過促進剤、可溶化剤、並びにアジュバントを含む、医薬として許容し得る賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される固体形態及びその医薬として許容し得る賦形剤を含む医薬組成物である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される固体形態から本質的になる医薬組成物である。一実施態様において、該固体形態は、該組成物中に、少なくとも約80重量%の量で存在する。一実施態様において、該固体形態は、該組成物中に、少なくとも約90重量%の量で存在する。
一実施態様において、医薬組成物中の固体形態は、本明細書に提供される多形形態又は共結晶形態である。一実施態様において、該固体形態は、化合物1の形態1、形態2、形態3、形態4、形態5、形態6、形態7、形態8、形態P1C3、形態P1C9、又は形態P2C9である。一実施態様において、該固体形態は形態1である。
一実施態様において、医薬組成物中の固体形態は、化合物1の非晶質形態である。一実施態様において、化合物1の非晶質形態は、本明細書に提供される方法によって調製される。一実施態様において、化合物1の非晶質形態は、化合物1の形態1を1以上の溶媒に溶解させて、溶液を形成させること;及び該溶液の溶媒を除去して、化合物1の非晶質形態を提供することにより調製される。一実施態様において、溶媒は噴霧乾燥によって除去される。
一実施態様において、医薬組成物は、充填剤(又は増量剤)、崩壊剤、滑沢剤、及びカプセルシェルから選択される1以上の賦形剤を含む。一実施態様において、充填剤は、マンニトール又はアルファ化デンプンである。別の実施態様において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。別の実施態様において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。一実施態様において、カプセルシェルはHPMCカプセルシェルである。一実施態様において、医薬組成物は、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びHPMCカプセルシェルから選択される1以上の賦形剤を含む。
一実施態様において、医薬組成物中の化合物1の量は、約1mg〜約100mg、約1mg〜約75mg、約1mg〜約50mg、約1mg〜約40mg、約5mg〜約50mg、約5mg〜約30mg、約5mg〜約10mg、約5mg、又は約30mgである。一実施態様において、該量は、約5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、75mg、又は100mgである。一実施態様において、該量は、約5mg又は30mgである。一実施態様において、医薬組成物中の化合物1の量は、約1.5%〜約25%w/w、約1.5%〜約15%w/w、約1.5%〜約10%w/w、約1%〜約25%w/w、約1%〜約15%w/w、又は約1%〜約10%w/wである。一実施態様において、医薬組成物中の化合物1の量は、約1%〜約10%w/wである。一実施態様において、医薬組成物中の化合物1の量は、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10%w/wである。一実施態様において、医薬組成物中の化合物1の量は、約1.9%又は約9.4%である。一実施態様において、化合物1の量は、約1.92%又は約9.38%である。
一実施態様において、医薬組成物中の充填剤(又は増量剤)(例えば、デンプン及びマンニトール)は、約80%〜約95%w/w、約85%〜約95%w/w、又は約90%〜約95%w/wである。一実施態様において、医薬組成物中の充填剤(又は増量剤)(例えば、デンプン及びマンニトール)は、約80%、約85%、約90%、又は約95%w/wである。一実施態様において、医薬組成物中の充填剤(又は増量剤)(例えば、デンプン及びマンニトール)は、約93%w/w、約86%w/w、約92.3%w/w、又は約85.1%w/wである。一実施態様において、充填剤は、約93%w/wである。一実施態様において、充填剤は、約85%w/wである。一実施態様において、充填剤は、デンプン、マンニトール、又はこれらの混合物である。一実施態様において、充填剤は、デンプンとマンニトールの混合物である。一実施態様において、デンプンとマンニトールの重量比は、約1:3〜約3:1である。一実施態様において、充填剤は、デンプンとマンニトールの約1:1混合物である。一実施態様において、デンプンはアルファ化デンプンである。
一実施態様において、医薬組成物中の崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)は、約1%〜約20%w/w、約1%〜約15%w/w、約1%〜約10%w/w、約2.5%〜約7.5%w/w、約1%〜約5%w/w、又は約5%w/wである。一実施態様において、崩壊剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wである。一実施態様において、崩壊剤は、約5%w/wである。
一実施態様において、医薬組成物中の滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、約0.1%〜約10%w/w、約0.1%〜約5%w/w、又は約0.1%〜約1%w/wである。一実施態様において、滑沢剤は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、又は約1%w/wである。一実施態様において、滑沢剤は、約0.5%w/wである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される医薬組成物を調製する方法であって、式(I)の化合物を含む固体形態を、医薬として許容し得る賦形剤又は担体と混合することを含み;ここで、該固体形態が、形態1、形態2、形態3、形態4、形態5、形態6、形態7、形態8、形態P1C3、形態P1C9、又は形態P2C9である、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、上記の方法によって調製される医薬組成物である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の非晶質形態、及び充填剤(増量剤又は担体)、並びに任意に、崩壊剤及び滑沢剤を含む医薬組成物である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、約1%〜約10%w/wの式(I)の化合物、又はその塩、もしくは溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物、或いはこれらの混合物の非晶質形態、約80%〜約95%w/wの充填剤、約2.5%〜約7.5%w/wの崩壊剤、及び約0.1%〜約1%w/wの滑沢剤を含む医薬組成物である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、約5〜30mgの化合物1(例えば、非晶質)、アルファ化デンプン、及びマンニトールを含む医薬組成物である。一実施態様において、医薬組成物は、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムをさらに含む。
一実施態様において、医薬組成物は、次のように製剤化される:約5mgの化合物1(例えば、非晶質)、約120mgのアルファ化デンプン、約120mgのマンニトール、約13mgのクロスカルメロースナトリウム、及び約1.3mgのステアリン酸マグネシウム。実施態様において、医薬組成物は、カプセル剤として製剤化される。一実施態様において、医薬組成物は、次のように製剤化される:約5mgの化合物1(例えば、非晶質)、約120.35mgのアルファ化デンプン、約120.35mgのマンニトール、約13.00mgのクロスカルメロースナトリウム、及び約1.3mgのステアリン酸マグネシウム。実施態様において、医薬組成物は、カプセル剤として製剤化される。
一実施態様において、医薬組成物は、次のように製剤化される:約30mgの化合物1(例えば、非晶質)、約136mgのアルファ化デンプン、約136mgのマンニトール、約16mgのクロスカルメロースナトリウム、及び約1.6mgのステアリン酸マグネシウム。一実施態様において、医薬組成物は、次のように製剤化される:約30mgの化合物1(例えば、非晶質)、約136.20mgのアルファ化デンプン、約136.20mgのマンニトール、約16.00mgのクロスカルメロースナトリウム、及び約1.60mgのステアリン酸マグネシウム。実施態様において、医薬組成物は、カプセル剤として製剤化される。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、第2の活性剤、例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤)を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(a)約5mgの非晶質化合物1;(b)約120.35mgのアルファ化デンプン;(c)約120.35mgのマアニトール(maanitol);(d)約13mgのクロスカルメロースナトリウム;及び(e)約1.3mgのステアリン酸マグネシウムを含む経口投与用の医薬組成物(例えば、カプセル剤)である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(a)約30mgの非晶質化合物1;(b)約136.2mgのアルファ化デンプン;(c)約136.2mgのマアニトール(maanitol);(d)約16mgのクロスカルメロースナトリウム;及び(e)約1.6mgのステアリン酸マグネシウムを含む経口投与用の医薬組成物(例えば、カプセル剤)である。
一実施態様において、医薬組成物は経口剤形である。一実施態様において、経口剤形はカプセル剤である。別の実施態様において、経口剤形は錠剤である。一実施態様において、カプセルシェルは、スウェディッシュオレンジ色又は白色である。
(5.4.1.製剤)
医薬組成物は、以下のもの:経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性の液剤又は懸濁剤)、錠剤(例えば、口腔、舌下、及び全身吸収の対象となるもの)、カプセル剤、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤、並びに十二指腸経路;例えば、滅菌液剤もしくは懸濁剤又は徐放性製剤としての、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、又は注入を含む、非経口投与;例えば、皮膚に適用されるクリーム剤、軟膏剤、もしくは制御放出パッチもしくはスプレーとしての、局所適用;例えば、ペッサリー、クリーム剤、ステント、又はフォームとしての、膣内又は直腸内;舌下;眼内;肺内;カテーテル又はステントによる局所送達;髄腔内、又は鼻腔内に適したものを含む、固体又は液体形態での投与のために特別に製剤化することができる。
医薬組成物中で利用することができる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散剤の場合、必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
一実施態様において、医薬組成物中で利用することができる好適な担体としては、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びHPMCカプセルシェルが挙げられる。
これらの組成物は、補助剤、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤、及び/又は抗酸化剤を含むこともできる。本明細書に記載される化合物に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって保証することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本明細書に記載される化合物及び/又は化学療法薬を、担体及び任意に、1以上の補助成分と関連させる工程を含む。一般に、製剤は、本明細書に提供される化合物を、液体担体、又は微粉化固体担体、又はその両方と均一かつ密接に関連させ、その後、必要であれば、生成物を成形することによって調製される。
そのような医薬組成物の調製は当技術分野で周知である。例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G編、臨床薬物データのハンドブック(Handbook of Clinical Drug Data)、第10版、McGraw-Hill, 2002; Pratt及びTaylor編、薬物作用の原理(Principles of Drug Action)、第3版、Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung編、基礎及び臨床薬理学(Basic and Clinical Pharmacology)、第12版、McGraw Hill, 2011; Goodman及びGilman編、治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)、第10版、McGraw Hill, 2001;レミントンの医薬品科学(Remingtons Pharmaceutical Sciences)」、第20版、Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindaleの文献、特別薬局方(The Extra Pharmacopoeia)、第32版(The Pharmaceutical Press, London, 1999)を参照されたく;これらは全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。例えば、何らかの望ましくない生物学的効果をもたらすか、又はさもなければ医薬として許容し得る組成物の任意の他の成分と有害な形で相互作用することによって、任意の従来の賦形剤媒体が本明細書に提供される化合物と適合しない場合を除き、賦形剤の使用は、本開示の範囲内にあることが想定される。
いくつかの実施態様において、開示された医薬組成物中に提供される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%、又は約0.0001%、w/w、w/v、又はv/v以下である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19.75%、約19.50%、約19.25%、約19%、約18.75%、約18.50%、約18.25%、約18%、約17.75%、約17.50%、約17.25%、約17%、約16.75%、約16.50%、約16.25%、約16%、約15.75%、約15.50%、約15.25%、約15%、約14.75%、約14.50%、約14.25%、約14%、約13.75%、約13.50%、約13.25%、約13%、約12.75%、約12.50%、約12.25%、約12%、約11.75%、約11.50%、約11.25%、約11%、約10.75%、約10.50%、約10.25%、約10%、約9.75%、約9.50%、約9.25%、約9%、約8.75%、約8.50%、約8.25%、約8%、約7.75%、約7.50%、約7.25%、約7%、約6.75%、約6.50%、約6.25%、約6%、約5.75%、約5.50%、約5.25%、約5%、約4.75%、約4.50%、約4.25%、約4%、約3.75%、約3.50%、約3.25%、約3%、約2.75%、約2.50%、約2.25%、約2%、約1.75%、約1.50%、約1.25%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%、又は約0.0001%、w/w、w/v、又はv/v超である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約0.0001%〜約50%、約0.001%〜約40%、約0.01%〜約30%、約0.02%〜約29%、約0.03%〜約28%、約0.04%〜約27%、約0.05%〜約26%、約0.06%〜約25%、約0.07%〜約24%、約0.08%〜約23%、約0.09%〜約22%、約0.1%〜約21%、約0.2%〜約20%、約0.3%〜約19%、約0.4%〜約18%、約0.5%〜約17%、約0.6%〜約16%、約0.7%〜約15%、約0.8%〜約14%、約0.9%〜約12%、又は約1%〜約10%、w/w、w/v、又はv/vの範囲にある。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約0.001%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.02%〜約4.5%、約0.03%〜約4%、約0.04%〜約3.5%、約0.05%〜約3%、約0.06%〜約2.5%、約0.07%〜約2%、約0.08%〜約1.5%、約0.09%〜約1%、又は約0.1%〜約0.9%、w/w、w/v、又はv/vの範囲にある。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約10g、約9.5g、約9.0g、約8.5g、約8.0g、約7.5g、約7.0g、約6.5g、約6.0g、約5.5g、約5.0g、約4.5g、約4.0g、約3.5g、約3.0g、約2.5g、約2.0g、約1.5g、約1.0g、約0.95g、約0.9g、約0.85g、約0.8g、約0.75g、約0.7g、約0.65g、約0.6g、約0.55g、約0.5g、約0.45g、約0.4g、約0.35g、約0.3g、約0.25g、約0.2g、約0.15g、約0.1g、約0.09g、約0.08g、約0.07g、約0.06g、約0.05g、約0.04g、約0.03g、約0.02g、約0.01g、約0.009g、約0.008g、約0.007g、約0.006g、約0.005g、約0.004g、約0.003g、約0.002g、約0.001g、約0.0009g、約0.0008g、約0.0007g、約0.0006g、約0.0005g、約0.0004g、約0.0003g、約0.0002g、又は約0.0001g以下である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物中の本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.1mg、約3.2mg、約3.3mg、約3.4mg、約3.5mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、又は約10mgである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約0.0001g、約0.0002g、約0.0003g、約0.0004g、約0.0005g、約0.0006g、約0.0007g、約0.0008g、約0.0009g、約0.001g、約0.0015g、約0.002g、約0.0025g、約0.003g、約0.0035g、約0.004g、約0.0045g、約0.005g、約0.0055g、約0.006g、約0.0065g、約0.007g、約0.0075g、約0.008g、約0.0085g、約0.009g、約0.0095g、約0.01g、約0.015g、約0.02g、約0.025g、約0.03g、約0.035g、約0.04g、約0.045g、約0.05g、約0.055g、約0.06g、約0.065g、約0.07g、約0.075g、約0.08g、約0.085g、約0.09g、約0.095g、約0.1g、約0.15g、約0.2g、約0.25g、約0.3g、約0.35g、約0.4g、約0.45g、約0.5g、約0.55g、約0.6g、約0.65g、約0.7g、約0.75g、約0.8g、約0.85g、約0.9g、約0.95g、約1g、約1.5g、約2g、約2.5g、約3g、約3.5g、約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、又は約10gを上回る。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約0.0001〜約10g、約0.0005〜約9g、約0.001〜約8g、約0.005〜約7g、約0.01〜約6g、約0.05〜約5g、約0.1〜約4g、約0.5〜約4g、又は約1〜約3gの範囲にある。
(5.4.1.1 経口投与用の組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、及び経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含む。
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、経口消費に好適な液体医薬組成物である。経口投与に好適な医薬組成物は、各々所定量の活性成分を粉末として、或いは顆粒、溶液、又は水性もしくは非水性液体中の懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン中に含む、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の剤形、又は液体、又はエアロゾルスプレーとして提供することができる。そのような剤形は、調剤法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1以上の成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密に混合し、その後、必要であれば、生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、任意に1以上の補助成分とともに圧縮又は成形することによって調製することができる。圧縮錠は、任意に、限定されないが、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、及び/又は界面活性剤もしくは分散剤などの賦形剤と混合した、粉末又は顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を、好適な機械の中で圧縮することによって調製することができる。湿製錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。
本開示は、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包含するが、それは、水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、有効期間又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として、製薬技術において水(例えば、約5%)を添加することができる。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。例えば、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形を無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵することができる。したがって、無水医薬組成物は、それを好適な製剤キットに含めることができるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を用いて包装することができる。好適な包装の例としては、密閉されたホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
活性成分は、従来の医薬配合技法に従って、医薬担体と密に混合させて組み合わせることができる。担体は、投与のために望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態を取ることができる。経口剤形用の医薬組成物を調製する際に、経口液体調製物(例えば、懸濁液、溶液、及びエリキシル剤)もしくはエアロゾルの場合、通常の医薬用媒体のいずれか、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存料、着色剤などを担体として利用することができ;又は経口固体調製物の場合、いくつかの実施態様において、ラクトースを使用しないで、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤などの担体を使用することができる。例えば、好適な担体としては、固体経口調製物の場合、粉末、カプセル、及び錠剤が挙げられる。いくつかの実施態様において、錠剤を、標準的な水性又は非水性技法によってコーティングすることができる。
医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、並びにこれら混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形中で使用するための好適な増量剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
崩壊剤を、本明細書に提供される医薬組成物中で用いて、水性環境に曝露されたときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤が多過ぎると、ボトル中で崩壊し得る錠剤が生成されることがある。少な過ぎると、崩壊が生じるのに十分ではないことがあり、したがって、剤形からの活性成分の放出の速度及び程度が変化することがある。したがって、活性成分の放出を悪く変化させるほど少な過ぎることも多過ぎることもない十分な量の崩壊剤を用いて、本明細書に提供される化合物の剤形を形成させることができる。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプ及び投与の様式に基づいて異なることができ、当業者により容易に認識されることができる。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、又は約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を医薬組成物中で使用することができる。医薬組成物及び剤形を形成させるために使用し得る崩壊剤としては、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、又はこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で、任意に添加することができる。
水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合、その中の活性成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、及びこれらの様々な組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味剤又は着香剤、着色物質又は色素、並びに例えば、乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせることができる。
錠剤は、コーティングしないか、又は既知の技法によってコーティングし、消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それにより、長期にわたって持続的な作用を提供することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を利用することができる。経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは活性成分が、水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる界面活性剤としては、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、親水性界面活性剤の混合物を利用することができるか、親油性界面活性剤の混合物を利用することができるか、又は少なくとも1つの親水性界面活性剤と少なくとも1つの親油性界面活性剤の混合物を利用することができる。
好適な親水性界面活性剤は、通常、少なくとも約10のHLB値を有し、一方、好適な親油性界面活性剤は、通常、約10以下のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性及び疎水性を特徴付けるために使用される実験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性又は疎水性で、かつ油への溶解性がより高く、一方、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性で、かつ水溶液への溶解性がより高い。親水性界面活性剤は、通常、約10よりも大きいHLB値を有する化合物、及びHLB基準が通常適用されない陰イオン性、陽イオン性、又は双性イオン性化合物であると考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬用、及び化粧品用のエマルジョンの製剤化を可能にするために一般に使用されるおおよその目安に過ぎない。
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性のいずれかであることができる。好適なイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
上述のグループの中で、イオン性界面活性剤としては、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質、及びこれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられる。
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレエート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリルスルフェート、テラセシルスルフェート、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンのイオン化形態、並びにこれらの塩及び混合物であることができる。
親水性非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体及び類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;並びにこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオールと、トリグリセリド、植物油、及び水素化植物油のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、又はサッカリドであることができる。
他の親水性非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、ラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸PEG-32、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、ジステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ジラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、ジオレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG-6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG-8グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、トリオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルコハク酸PEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween 40、Tween 60、ショ糖モノステアレート、ショ糖モノラウレート、ショ糖モノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノール系列、PEG15-100オクチルフェノール系列、及びポロキサマーが挙げられる。
好適な親油性界面活性剤としては、単なる例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物;脂溶性ビタミン/ビタミン誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。このグループの中で、親油性界面活性剤の非限定的な例は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含むか、又はポリオールと、植物油、水素化植物油、及びトリグリセリドのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
一実施態様において、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物の良好な可溶化及び/もしくは溶解を保証するために、並びに該化合物の沈殿を最小限に抑えるために、可溶化剤を含むことができる。これは、非経口使用のための医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物にとってとりわけ重要であり得る。親水性薬物及び/もしくは他の成分、例えば、界面活性剤の溶解性を増大させるか、又は医薬組成物を安定なもしくは均一な溶液もしくは分散液として維持するために、可溶化剤を添加することもできる。
好適な可溶化剤の例としては、以下のもの:アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、及びこれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEG;アミド及び他の窒素含有化合物、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ブチル酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;並びに当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200〜100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
含めることができる可溶化剤の量は、特には制限されない。所与の可溶化剤の量は、生体許容量に制限することができ、この量は、当業者により容易に決定されることができる。場合によっては、例えば、薬物の濃度を最大化するために、生体許容量をはるかに超える量の可溶化剤を含め、過剰の可溶化剤を、医薬組成物を対象に提供する前に、蒸留又は蒸発などの従来の技法を用いて除去することが有利であり得る。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物と他の賦形剤の組み合わせた重量に基づいて、約10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、又は最大約200重量%の重量比であることができる。望ましい場合、約5%、2%、1%、又はさらにそれ未満などの、非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、約1重量%〜約100重量%、より典型的には、約5重量%〜約25重量%の量で存在することができる。
医薬組成物は、1以上の医薬として許容し得る添加剤及び/賦形剤をさらに含むことができる。そのような添加剤及び賦形剤としては、限定されないが、剥離剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤(viscomodulator)、浸透圧調節剤(tonicifier)、香味剤、着色剤、オイル、着香剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、増量剤、可塑剤、滑沢剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
例示的な防腐剤としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌性防腐剤、抗真菌性防腐剤、アルコール性防腐剤、酸性防腐剤、及び他の防腐剤を挙げることができる。例示的な抗酸化剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及びエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的な抗菌性防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミドウレア、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗真菌防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコール性防腐剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及びフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な酸性防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィト酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエンド(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon、及びEuxylが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、防腐剤は抗酸化剤である。他の実施態様において、防腐剤はキレート剤である。
例示的な油としては、アーモンド油、アプリコットカーネル油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子油、ボラージ油、ケード油、カモミール油、キャノーラ油、カラウェー油、カルナバ油、ヒマシ油、桂皮油、ココアバター油、ココナッツ油、タラの肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、亜麻仁油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、リツェアクベバ油、マカデミアナッツ油、マロー油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、ピーチカーネル油、ピーナッツ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、菜種油、米ぬか油、ローズマリー油、ベニバナ油、サンダルウッド油、サスクアナ(sasquana)油、セイバリー油、サジー油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチバー油、クルミ油、及び小麦胚芽油が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びこれらの組合せも挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、加工を促進するために、安定性を増強するために、又はその他の理由で、酸又は塩基を医薬組成物中に組み込むことができる。医薬として許容し得る塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアルコールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。また好適なのは、医薬として許容し得る酸、例えば、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquinosulfonic)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基である。多塩基酸の塩、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウムを使用することもできる。塩基が塩である場合、陽イオンは、任意の好都合でかつ医薬として許容し得る陽イオン、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などであることができる。例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムを挙げることができるが、これらに限定されない。
好適な酸は、医薬として許容し得る有機酸又は無機酸である。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。好適な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン(hydroquinosulfonic)酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
(5.4.1.2 非経口投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、及び非経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)非経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含む。
開示された医薬組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態としては、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油を含む、水性もしくは油性懸濁液、又はエマルジョン、並びにエリキシル、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水溶液、及び同様の医薬用ビヒクルが挙げられる。
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合、所要の粒径の維持のためのコーティング剤、例えば、レシチンの使用によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。
滅菌注射用溶液は、所要量の本明細書に提供される化合物を、適当な溶媒中に、必要に応じて、上に列挙された他の様々な成分とともに組み入れ、その後、濾過滅菌することによって調製される。通常、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基礎分散媒と上に列挙されたもの由来の適当な他の成分とを含む滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、特定の調製方法は、活性成分と任意の追加成分との粉末を事前に滅菌濾過したその溶液から生じさせる真空乾燥技法及び凍結乾燥技法である。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過することによるか、又は使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み入れることによって、滅菌することができる。注射用組成物は、約0.1〜約5%w/wの本明細書に開示される化合物を含むことができる。
(5.4.1.3 局所投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、及び局所投与に好適な医薬賦形剤を含む、局所(例えば、経皮)投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)局所投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、局所投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含む。
本明細書に提供される医薬組成物は、局所(local)又は局所(topical)投与に好適な固体、半固体、又は液体形態の調製物、例えば、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、フォーム、粉末、スラリー、軟膏、溶液、油、ペースト、坐剤、スプレー、エマルジョン、食塩水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)系溶液に製剤化することができる。一般に、高密度の担体は、ある部位を活性成分に長時間曝露することができる。対照的に、溶液製剤は、活性成分を選択部位により即時的に曝露することができる。
医薬組成物は、皮膚角質層の透過性障壁を横断する治療分子の透過の増大又は送達の補助を可能にする化合物である、好適な固体又はゲル相の担体又は賦形剤を含むこともできる。局所製剤分野の当業者に公知のこれらの透過促進分子が多数存在する。そのような担体及び賦形剤の例としては、保湿剤(例えば、ウレア)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル及びラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、並びにポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
開示された方法で使用するための別の例示的な製剤は、経皮送達装置(「パッチ」)を利用する。そのような経皮パッチを用いて、別の薬剤とともに又は別の薬剤なしで、制御された量の本明細書に提供される化合物の連続的又は不連続的な注入を提供することができる。
医薬品送達のための経皮パッチの構築及び使用は当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号、及び第5,001,139号を参照されたい。そのようなパッチは、医薬品の連続的送達、拍動性送達、又は応需型送達のために構築することができる。
本明細書に記載される医薬として許容し得る皮内組成物の送達で使用するための好適な装置としては、短い針の装置、例えば、米国特許第4,886,499号;第5,190,521号;第5,328,483号;第5,527,288号;第4,270,537号;第5,015,235号;第5,141,496号;及び第5,417,662号に記載の装置が挙げられる。皮内組成物は、皮膚への針の有効な貫通長を制限する装置、例えば、PCT公開WO 99/34850号に記載の装置及びその機能的同等物によって投与することができる。液体ジェット注射器を介して、及び/又は角質層を貫通して、真皮に到達するジェットを生成させる針を介して真皮に液体ワクチンを送達するジェット注射装置が好適である。ジェット注射装置は、例えば、米国特許第5,480,381号;第5,599,302号;第5,334,144号;第5,993,412号;第5,649,912号;第5,569,189号;第5,704,911号;第5,383,851号;第5,893,397号;第5,466,220号;第5,339,163号;第5,312,335号;第5,503,627号;第5,064,413号;第5,520,639号;第4,596,556号;第4,790,824号;第4,941,880号;第4,940,460号;並びにPCT公開WO 97/37705号及びWO 97/13537号に記載されている。粉末形態のワクチンを皮膚の外層から真皮へと加速するために圧縮ガスを使用する弾道粉末/粒子送達装置が好適である。その代わりに又はそれに加えて、従来の注射器を皮内投与の古典的なマントー法で使用することができる。
局所投与可能な製剤は、例えば、該製剤の総重量に対して、約1%〜約10%(w/w)の本明細書に提供される化合物を含むことができるが、該製剤中の本明細書に提供される化合物の濃度は、溶媒中の該化合物の溶解度限界と同じ程度の高さであることができる。いくつかの実施態様において、局所投与可能な製剤は、例えば、約1%〜約9%(w/w)の本明細書に提供される化合物、例えば、約1%〜約8%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約7%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約6%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約5%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約4%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約3%(w/w)、及びさらに例えば、約1%〜約2%(w/w)の本明細書に提供される化合物を含むことができる。局所投与用の製剤は、本明細書に記載されるさらなる医薬として許容し得る賦形剤のうちの1つ又は複数をさらに含むことができる。
(5.4.1.4 吸入投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、及び局所投与に好適な医薬賦形剤を含む、吸入投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)吸入投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、吸入投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含有する。
吸入又は吹送用の医薬組成物は、医薬として許容し得る水性もしくは有機溶媒、又はこれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末を含む。液体又は固体の医薬組成物は、本明細書に記載される好適な医薬として許容し得る賦形剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、局所又は全身効果のために、経口又は経鼻呼吸経路によって投与される。医薬として許容し得る溶媒中の医薬組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧することができる。噴霧された溶液を噴霧装置から直接吸入することができるか、又は噴霧装置をフェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器に取り付けることができる。溶液、懸濁液、又は粉末の医薬組成物は、製剤を適切な方法で送達する装置から、例えば、経口的又は経鼻的に投与することができる。
(5.4.1.5 眼内投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本開示は、眼科的障害を治療するための医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、有効量の本明細書に提供される化合物、及び眼内投与に好適な医薬賦形剤を含むことができる。眼内投与に好適な医薬組成物は、個別の剤形、例えば、各々所定量の活性成分を含む点眼薬もしくはスプレー剤、液剤、又は水性もしくは非水性液中の懸濁剤、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。他の投薬形態としては、眼球内注射、硝子体内注射、局所、又は薬物溶出装置、マイクロカプセル、インプラント、もしくはマイクロ流体装置の使用によるものが挙げられる。いくつかの例においては、本明細書に提供される化合物は、界面膜によって囲まれた油性コアを有するコロイド粒子を含む油水エマルジョンなどの化合物の眼球内透過を増大させる担体又は賦形剤とともに投与される。局所、結膜下、眼球周囲、眼球後方、眼球鞘下、前房内、硝子体内、眼球内、網膜下、強膜近傍、及び脈絡膜上投与を含む、眼への全ての局所経路を使用することができると考えられる。全身又は非経口投与は実施可能であり、これには、静脈内、皮下、及び経口送達が含まれるが、これらに限定されない。例示的な投与方法は、溶液もしくは懸濁液の硝子体内もしくは眼球鞘下注射、又は生体浸食性もしくは非生体浸食性装置の硝子体内もしくは眼球鞘下配置、又は溶液もしくは懸濁液の局所眼内投与によるもの、又はゲルもしくはクリーム製剤の後強膜近傍投与である。
点眼薬は、活性成分を、滅菌水溶液、例えば、生理食塩水、緩衝溶液などに溶解させることによるか、又は使用前に粉末組成物を組み合わせて溶解させることによって調製することができる。当技術分野で公知であるような、他のビヒクルを選択することができ、これには:平衡塩溶液、食塩水溶液、水溶性ポリエーテル、例えば、ポリエチエングリコール(polyethyene glycol)、ポリビニル、例えば、ポリビニルアルコール及びポビドン、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、石油誘導体、例えば、鉱油及び白色ワセリン、動物性脂肪、例えば、ラノリン、アクリル酸のポリマー、例えば、カルボキシポリメチレンゲル、植物性脂肪、例えば、ピーナッツ油、及び多糖、例えば、デキストラン、及びグリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、点眼薬中に通常使用される添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、サッカリド、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなど;例えば、ヒアルロン酸又はその塩、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなど;例えば、ムコ多糖、例えば、コンドロイチン硫酸など;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は当業者に公知の他の薬剤)が挙げられる。
いくつかの例において、コロイド粒子は、少なくとも1つのカチオン剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、又はステアリン酸ポリオキシルを含む。いくつかの例において、カチオン剤は、アルキルアミン、第3級アルキルアミン、第4級アンモニウム化合物、カチオン性脂質、アミノアルコール、ビグアニジン塩、カチオン性化合物、又はこれらの混合物である。いくつかの例において、カチオン剤は、ビグアニジン塩、例えば、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニジン、フェンホルミン、アルキルビグアニジン、又はこれらの混合物である。いくつかの例において、第4級アンモニウム化合物は、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化ラウラルコニウム、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化セタルコニウム、ハロゲン化セテチルジモニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンゾドデシニウム、ハロゲン化クロラリルメテナミン、ハロゲン化ミリスタルコニウム(myristalkonium halide)、ハロゲン化ステアラルコニウム、又は2以上のこれらの混合物である。いくつかの例において、カチオン剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウラルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゼテニウム(benzethenium chloride)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、又は2以上のこれらの混合物である。いくつかの例において、油相は、鉱油及び軽質鉱油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ココナッツ油;水素化綿実油、水素化パーム油、水素化ヒマシ油、又は水素化大豆油を含む水素化油;ポルオキシル(poluoxyl)-40水素化ヒマシ油、ポリオキシル-60水素化ヒマシ油、又はポリオキシル-100水素化ヒマシ油を含むポリオキシエチレン水素化ヒマシ油誘導体である。
(5.4.1.6 制御放出投与のための製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、及び制御放出投与に好適な医薬賦形剤を含む、制御放出投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)制御放出投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、制御放出投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含む。
活性剤、例えば、本明細書に提供される化合物は、制御放出手段によるか、又は当業者に周知である送達装置によって投与することができる。例としては、その各々が、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;第6,699,500号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いて、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はこれらの組合せを用いて、1以上の活性剤の低速放出又は制御放出を提供し、様々な割合の所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載されているものを含む、当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本明細書に提供される活性剤と併せた使用のために容易に選択することができる。したがって、提供される医薬組成物は、限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤などの、経口投与に好適な単一単位剤形を包含する。
制御放出医薬製品は全て、その非制御対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという共通の目的を有する。いくつかの実施態様において、医学的処置における制御放出調製物の使用は、疾患、障害、又は状態を最小限の時間で治癒させるか又は制御するために最小限の原薬が利用されることを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物の活性の延長、投薬頻度の低下、及び対象の投薬遵守の向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤を用いて、作用の開始時間又は他の特徴、例えば、薬物の血液レベルに影響を及ぼすことができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
いくつかの実施態様において、制御放出製剤は、所望の治療効果を適切に生じる量の本明細書に提供される化合物を最初に放出し、かつ長期間にわたってこのレベルの治療又は予防効果を維持するために他の量の該化合物を徐々にかつ連続的に放出するように設計される。体内での該化合物のこの一定レベルを維持するために、化合物は、代謝され、体から排出されつつある薬物の量を補う速度で剤形から放出されるべきである。活性剤の制御放出は、限定されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件もしくは化合物を含む、様々な条件によって刺激することができる。
ある実施態様において、医薬組成物は、静脈内注入、埋め込み可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与様式を用いて投与することができる。一実施態様において、ポンプを使用することができる(Seftonの文献、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 201(1987); Buchwaldらの文献、Surgery 88: 507(1980); Saudekらの文献、N. Engl. J. Med. 321: 574(1989)を参照)。別の実施態様において、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施態様において、制御放出系は、当業者によって決定される適切な部位で対象内に配置することができ、すなわち、そのため、全身用量のごく一部しか必要としない(例えば、Goodsonの文献、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)、115-138(第2巻、1984)を参照)。他の制御放出系は、Langerによる総説(Science 249: 1527-1533(1990))で論じられている。1以上の活性剤は、固体内部マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリビニルアセテート中に分散させることができ、この内部マトリックスは、体液に不溶性である外側の高分子膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルと、塩化ビニリデンと、エチレンと、プロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーによって囲まれている。その結果、1以上の活性剤は、放出速度を制御する段階で、外側高分子膜を通って拡散する。そのような非経口組成物中の活性剤の割合は、その具体的な性質、及び対象の必要性に大きく左右される。
(5.4.2 投薬量)
本明細書に記載される化合物は、治療的有効量の本明細書に記載される1以上の化合物、及び/又は1以上の医薬として許容し得る賦形剤と一緒に製剤化される、1以上の追加の治療剤、例えば、化学療法剤を含む医薬として許容し得る組成物の形態で送達することができる。いくつかの例において、本明細書に記載される化合物及び追加の治療剤は、別々の医薬組成物中で投与され、(例えば、異なる物理的及び/又は化学的特性のために)異なる経路で投与することができる(例えば、一方の治療薬は経口投与されるが、もう一方の治療薬は静脈内投与される)。他の例において、本明細書に記載される化合物及び追加の治療剤は、別々ではあるが、同じ経路(例えば、両方とも経口又は両方とも静脈内)で投与することができる。また他の例において、本明細書に記載される化合物及び追加の治療剤は、同じ医薬組成物中で投与することができる。
選択される投薬量レベルは、種々の因子によって決まり、これには、例えば、利用される特定の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の排泄又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、治療の持続時間、利用される特定の化合物と併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康、及び過去の病歴、並びに医療分野で周知の同様の因子が含まれる。
一般に、本明細書に記載される化合物及び/又は化学療法薬の好適な1日用量は、いくつかの実施態様において、治療効果をもたらすのに有効な最小用量であることができる、該化合物の量である。そのような有効用量は、通常、上記の因子によって決まる。通常、患者に対する本明細書に記載される化合物の用量は、示された効果を求めて使用されるとき、1日当たり約0.0001mg〜約100mg、又は1日当たり約0.001mg〜約100mg、又は1日当たり約0.01mg〜約100mg、又は1日当たり約0.1mg〜約100mg、又は1日当たり約0.0001mg〜約500mg、又は1日当たり約0.001mg〜約500mg、又は約0.01mg〜1000mg、又は1日当たり約0.01mg〜約500mg、又は1日当たり約0.1mg〜約500mg、又は1日当たり約1mg〜50mg、又は約5mg〜40mgの範囲である。例示的な投薬量は、1日当たり約10〜30mgである。いくつかの実施態様において、70kgのヒトの場合、好適な用量は、約0.05〜約7g/日、例えば、約0.05〜約2.5g/日となるであろう。本明細書に記載される医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって毒性があるものになることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化させることができる。いくつかの例において、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルで十分であることがあるが、他の例において、さらにより大きい用量を、例えば、そのようなより大きい用量を1日を通して投与するためにいくつかの小さい用量に分割することにより、いかなる有害な副作用も生じさせることなく利用することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される化合物の1日用量は、約0.0001mg/kg〜約1000mg/kg、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、約0.01mg/kg〜約1000mg/kg、約0.1mg/kg〜約1000mg/kg、約0.0001mg/kg〜約500mg/kg、約0.001mg/kg〜約500mg/kg、約0.01mg/kg〜100mg/kg、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、約0.1mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜50mg/kg、約0.05mg/kg〜20mg/kg、又は約0.05mg/kg〜10mg/kgの範囲であることができる。例えば、該1日用量は、約10mg/kg、5mg/kg、1.5mg/kg、0.5mg/kg、0.15mg/kg、又は約0.05mg/kgであることができる。例えば、該1日用量は、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、又は約10mg/kgであることができる。
いくつかの実施態様において、化合物は、毎日、1日おき、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、又は2週間に1回投与することができる。投与スケジュールは、「休薬期間」を含むことができ、例えば、薬物は、2週間服用、1週間非服用、もしくは3週間服用、1週間非服用、もしくは4週間服用、1週間非服用などで、又は連続的に休薬期間なしで投与することができる。化合物は、経口、静脈内、腹腔内、局所、経皮、筋肉内、皮下、鼻腔内、舌下に、又は任意の他の経路によって投与することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、複数用量で投与される。投与は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は7回以上であることができる。投与は、約1カ月に1回、約2週間に1回、約1週間に1回、又は約1日おきに1回であることができる。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物及び別の薬剤は、1日当たり約1回〜1日当たり約6回、一緒に投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物及び薬剤の投与は、約7日未満の間、継続される。また別の実施態様において、投与は、約6日、約10日、約14日、約28日、約2カ月、約6カ月、又は約1年よりも長い間、継続される。いくつかの例において、連続投与は、必要な限り実現され、維持される。
本明細書に提供される医薬組成物の投与は、必要な限り継続させることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される薬剤は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約14日、約21日、又は約28日よりも長い間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される薬剤は、約28日、約21日、約14日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、又は約1日未満の間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される薬剤は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約14、約21、又は約28日間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される薬剤は、例えば、慢性作用の治療のために、慢性的に継続して投与される。
本明細書に記載される化合物は、他の治療(例えば、追加の化学療法薬、放射線療法、又は外科手術)と組み合わせて投与することができるので、各々の薬剤又は療法の用量は、単剤療法の対応する用量よりも少なくすることができる。単剤療法の用量は、例えば、1日に体重1kg当たり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲であることができる。
本明細書に提供される化合物が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有する場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
(5.4.3 キット)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キットである。キットは、好適な包装中に、本明細書に記載される化合物又は医薬組成物、及び使用のための指示、臨床試験の詳解、副作用の一覧などを含み得る資料を含むことができる。そのようなキットは、医薬組成物の活性及び/もしくは利点を表示もしくは規定している、並びに/又は投与量、投与、副作用、薬物相互作用、もしくは医療提供者にとって有用な他の情報を記載している、科学的参考文献、パッケージ挿入材料、臨床試験の結果、及び/又はこれらの概要などの情報を含むこともできる。そのような情報は、様々な研究、例えば、インビボモデルを含む実験動物を用いた研究及びヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づくことができる。
いくつかの実施態様において、記憶補助が、例えば、錠剤又はカプセル剤の隣に数字の形で、キットに備えられ、該数字はそのように指定された錠剤又はカプセル剤が摂取されるべき治療計画の日に対応する。そのような記憶補助の別の例は、例えば、次のように、「第1週、月曜日、火曜日...など、...、第2週、月曜日、火曜日、...など」と、カードにプリントされたカレンダーである。記憶補助の他のバリエーションが容易に明らかになるであろう。「1日用量」は、所与の日に服用されるべき単一の錠剤もしくはカプセル剤又はいくつかの錠剤もしくはカプセル剤であることができる。
キットは、別の薬剤をさらに含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び該薬剤は、キット中の別々の容器に入った別々の医薬組成物として提供される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び該薬剤は、キット中の1つの容器に入った単一の医薬組成物として提供される。好適な包装、及び使用のための追加の物品(例えば、液体調製物のための計量カップ、空気への暴露を最小限に抑えるためのホイルラッピングなど)は当技術分野で公知であり、キットに含めることができる。他の実施態様において、キットは、活性剤を投与するために使用される装置をさらに含むことができる。そのような装置の例としては、注射器、点滴バッグ、パッチ、及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるキットは、医師、看護師、薬剤師、薬局などを含む医療提供者に対して提供、販売、及び/又は宣伝することができる。キットは、いくつかの実施態様において、消費者に直接販売することもできる。
そのようなキットの一例は、いわゆる、ブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、かつ医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装のために広く使用されている。ブリスターパックは、通常、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装方法の間に、プラスチックホイルに窪みが形成される。この窪みは、包装される錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有する。次に、錠剤又はカプセル剤が窪みに配置され、窪みが形成された方向とは反対のホイルの面において、比較的硬い材料のシートでプラスチックホイルに対して密閉がなされる。結果として、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間において窪みの中に密閉される。シートの強度は、手で窪みに圧力をかけることによって、窪みの場所でシートに開口を形成させることにより、錠剤又はカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができる程度のものである。その後、錠剤又はカプセル剤を該開口を通して取り出すことができる。
キットは、1以上の活性剤を投与するために使用し得る医薬として許容し得るビヒクルをさらに含むことができる。例えば、活性剤が、非経口投与のために再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、好適なビヒクルの密封容器を含むことができ、このビヒクル中で、活性剤を溶解させて、非経口投与に好適である、微粒子を含まない滅菌溶液を形成させることができる。医薬として許容し得るビヒクルの例としては:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸化リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示はさらに、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形を包含するが、それは、水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、貯蔵寿命又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために、医薬分野で長期の貯蔵をシミュレートする手段として、水を添加することができる(例えば、約5%)。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。例えば、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気へのかなりの接触が予想される場合、無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び貯蔵することができる。したがって、無水医薬組成物は、それらを好適な製剤キットに含めることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装することができる。好適な包装の例としては、密封ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
(5.5.治療方法)
本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介性障害を治療する方法であって、治療的有効量の本明細書に提供される固体形態又は本明細書に提供される医薬組成物を該対象に投与することを含む、方法である。一実施態様において、該PI3K媒介性障害は、癌、炎症性疾患、又は自己免疫疾患である。一実施態様において、該癌は固形腫瘍である。
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、増殖、分化、細胞生存、及び代謝を含む、数多くの細胞機能を調節する保存された脂質キナーゼファミリーのメンバーである。PI3Kのいくつかのクラスが哺乳動物細胞に存在し、これには、とりわけ、受容体チロシンキナーゼ(RTK)によって通常活性化されるクラスIAサブグループ(例えば、PI3K-α、β、δ); Gタンパク質共役受容体(GPCR)によって活性化されるクラスIB(例えば、PI3K-γ)が含まれる。PI3Kは、PI3Kによって誘発されるシグナルを直接的に及び/又は間接的に伝達するいくつかの構成要素を含む「PI3K媒介性シグナル伝達経路」を介してその生物学的活性を発揮し、この生物学的活性には、形質膜でのセカンドメッセンジャーホホチジルイノシトール(phophotidylinositol)3,4,5-三リン酸(PIP3)の生成、ヘテロ三量体Gタンパク質シグナル伝達の活性化、並びにその全てがタンパク質キナーゼ活性化の広範なカスケードを生じさせるcAMP、DAG、及びIP3などのさらなるセカンドメッセンジャーの生成が含まれる(Vanhaesebroeck, B.らの文献(2001) Annu Rev Biochem. 70: 535-602に概説されている)。例えば、PI3K-δは、PI3K調節サブユニット(p85)SH2ドメイン間の相互作用を通じて、又はRASとの直接的な相互作用を通じて、細胞受容体によって活性化される。PI3Kによって生成されるPIP3は、プレクストリン相同(PH)ドメイン含有酵素(例えば、PDK-1及びAKT [PKB])との相互作用を通じて下流のエフェクター経路を活性化する(Fung-Leung WP.の文献(2011) Cell Signal. 23(4): 603-8)。PI3K-δとは異なり、PI3K-γは、p85ファミリーの調節サブユニットではなく、むしろp101又はp84ファミリーの調節サブユニットと関連している。PI3K-γは、GPCRと結合し、PIP3の極めて迅速な誘導に関与する。PI3K-γは、RASによって活性化されることもできる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キナーゼを有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物と接触させることによって、PI3キナーゼ活性を調節する(例えば、選択的に調節する)方法である。調節は、キナーゼ活性の阻害(例えば、低下)又は活性化(例えば、増強)であることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キナーゼを溶液中の有効量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象となるキナーゼを発現する細胞、組織、器官を本明細書に提供される化合物と接触させることによって、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象に有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態を投与することによって、該対象におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、キナーゼ活性は、本明細書に提供される化合物と接触させた場合、そのような接触のないキナーゼ活性と比較して、約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を超えて阻害される(例えば、低下する)。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象を、該対象におけるPI3キナーゼの活性を阻害するか又は低下させるのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該対象(哺乳動物、例えば、ヒトを含む)におけるPI3キナーゼ活性を阻害する方法である。
いくつかの実施態様において、キナーゼは、脂質キナーゼ又はタンパク質キナーゼである。いくつかの実施態様において、キナーゼは、PI3キナーゼα、PI3キナーゼβ、PI3キナーゼγ、PI3キナーゼδなどの様々なアイソフォームを含むPI3キナーゼ; DNA-PK; mTOR; Abl、VEGFR、エフリン受容体B4(EphB4); TEK受容体チロシンキナーゼ(TIE2); FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT-3);血小板由来成長因子受容体(PDGFR); RET; ATM; ATR; hSmg-1; Hck; Src;上皮成長因子受容体(EGFR); KIT;インスリン受容体(IR);及びIGFRから選択される。
本明細書で使用される場合、「PI3K媒介障害」は、異常なPI3K媒介性シグナル伝達経路が関与する疾患又は状態を指す。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介障害を治療する方法であって、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K-δ又はPI3K-γ媒介障害を治療する方法であって、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3K-δ及びPI3K-γのうちの少なくとも1つを阻害する方法であって、PI3Kを発現する細胞を、インビトロ又はインビボで、有効量の本明細書に提供される化合物又は組成物と接触させることを含む、方法である。PI3Kは、免疫、癌、及び血栓症を含む多種多様な状態と関連付けられている(Vanhaesebroeck, B.らの文献(2010)、Current Topics in Microbiology and Immunology, DOI 10.1007/82_2010_65に概説されている)。例えば、クラスI PI3K、特に、PI3K-γ及びPI3K-δアイソフォームは、白血球で高度に発現され、適応免疫及び自然免疫と関連付けられている;したがって、これらのPI3Kは、炎症性障害及び血液悪性腫瘍における重要なメディエーターであると考えられる(Harris, SJらの文献(2009) Curr Opin Investig Drugs 10(11): 1151-62); Rommel C.らの文献(2007) Nat Rev Immunol 7(3): 191-201; Durand CAらの文献(2009) J Immunol. 183(9): 5673-84; Dil N, Marshall AJの文献(2009) Mol Immunol. 46(10): 1970-8; Al-Alwan MMらの文献(2007) J Immunol. 178(4): 2328-35; Zhang TTらの文献(2008) J Allergy Clin Immunol. 2008; 122(4): 811-819.e2; Srinivasan Lらの文献(2009) Cell 139(3): 573-86に概説されている)。
(PI3K-γの活性)
PI3K-γは、p101及びp84(p87PIKAP)アダプタータンパク質と結合し、かつ標準的にはGPCRを介してシグナルを伝達するクラス1B PI3Kである。チロシンキナーゼ受容体及びRASを介する非標準的な活性化が起こることもある。活性化されたPI3K-γは、AKT及びBTKを含む下流エフェクタータンパク質のドッキング部位としての役割を果たすPIP3の産生を引き起こし、これらの酵素をそれらが活性化され得る細胞膜に運ぶ。PI3K-γの足場としての役割が提唱されており、また、RAS/MEK/ERK経路の活性化に寄与し得る。RAS経路との相互作用は、細胞内又は動物内のキナーゼ不活性(kinase dead)PI3K-γに起因する活性を説明するものである。PI3K-γは、種々の免疫細胞及び経路の機能に不可欠である。好中球、好塩基球、又は単球細胞遊走を引き起こすケモカイン応答(IL-8、fMLP、及びC5aを含む)は、PI3K-γに依存的である(HIRSCHらの文献、「炎症におけるGタンパク質共役型ホスホイノシチド3-キナーゼの中心的役割(Central Role for G Protein-Coupled Phosphoinositide 3-Kinase γ in Inflammation)」、Science 287: 1049-1053(2000); SASAKIらの文献、「胸腺細胞発生、T細胞活性化、及び好中球遊走におけるPI3Kγの機能(Function of PI3Kγ in Thymocyte Development, T Cell Activation, and Neutrophil Migration)」、Science 287: 1040-1046(2000); LIらの文献、「化学誘引物質媒介性シグナル伝達におけるPLC-β2及び-β3並びにPI3Kγの役割(Roles of PLC-β2 and -β3 and PI3Kγ in Chemoattractant-Mediated Signal Transduction)」、Science 287: 1046-1049(2000))。PI3K-γ依存性好中球遊走の必要性は、PI3K-γノックアウトマウスのK/BXN血清移入関節炎モデルでの関節炎発症の欠如により立証されている(Randisらの文献、Eur. J. Immunol., 2008, 38(5), 1215-24)。同様に、該マウスは、オボアルブミン誘発喘息モデルで細胞炎症及び気道過敏性を発症しない(Takedaらの文献、J. Allergy Clin. Immunol., 2009; 123, 805-12)。PI3K-γ欠損マウスは、Tヘルパー細胞機能にも欠陥を有する。活性化に応答したT細胞サイトカインの産生及び増殖が低下し、Tヘルパー依存性ウイルス除去に欠陥がある(Sasakiらの文献、Science, 2000, 287, 1040-46)。EAEを含むT細胞依存性炎症性疾患モデルもPI3K-γ欠損マウスでは発症せず、T細胞活性化異常と細胞遊走異常の両方がこのモデルでの効力に寄与し得る(Comerfoldの文献、PLOS One, 2012, 7, e45095)。イミキモド乾癬モデルを用いて、炎症応答におけるPI3K-γの重要性も立証されている。PI3K-γ欠損マウスをこのモデルで用いると、皮膚におけるγδ T細胞の蓄積、並びに樹状細胞の成熟及び遊走が遮断される(ROLLERらの文献、「ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)δ又はPI3Kγの遮断は、IL-17を減少させ、イミキモド誘導乾癬様皮膚炎を改善する(Blockade of Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)δ or PI3Kγ Reduces IL-17 and Ameliorates Imiquimod-Induced Psoriasis-like Dermatitis)」、J. Immunol. 189: 4612-4620(2012))。細胞輸送におけるPI3K-γの役割も、腫瘍炎症が癌の成長及び転移に重要である腫瘍モデルで立証することができる。ルイス肺癌モデルでは、腫瘍における単球の活性化、遊走、及び分化に欠陥がある。この欠陥は、PI3K-γ欠損マウスにおいて(Schmidらの文献、Cancer Cell, 2011, 19, 715-27)又はPI3K-γを標的とする阻害剤で処理したときに、腫瘍の成長及び長期生存の低下をもたらす。膵癌では、PI3K-γが不適切に発現されることがあり、この固形腫瘍癌又はPI3K-γが機能的な役割を果たしている他の癌では、PI3K-γの阻害が有益であり得る。
例えば、理論によって束縛されることを望むものではないが、PI3K-γは、Gr1+CD11b+骨髄細胞で発現し、骨髄細胞浸潤を直接促進し、結果として、膵腺管癌の免疫抑制を促進する。Hardamonらの文献、会報: AACR第103回年次総会2012, Cancer Research: April 15, 2012;第72巻、第8号、補遺1。PI3K-γの阻害は、血液悪性腫瘍の治療に対する有望性も示している。ptenのT細胞指向性ノックアウトを利用するT-ALLモデルでは、両遺伝子の遺伝子欠失によって示されるように、PI3K-δとPI3K-γはどちらも疾患の適切な発症に不可欠である(Subramaniamらの文献、Cancer Cell 21, 459-472, 2012)。さらに、このT-ALLモデルでは、小分子阻害剤による両キナーゼの処理により、これらのマウスの長期生存がもたらされる。CLLでは、ケモカインネットワークが、ナース様細胞、間質細胞、及びTヘルパー細胞を含む偽小胞状微小環境を支持する。正常なケモカインシグナル伝達及びT細胞生態におけるPI3K-γの役割により、CLLでこの標的を阻害する価値が示唆される(BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7: 26-33(2012))。したがって、PI3K-γ阻害剤は、細胞輸送及びT細胞又は骨髄細胞機能が重要である免疫系の疾患にとって治療的に興味深いものである。腫瘍学では、腫瘍炎症に依存的である固形腫瘍、又は高レベルのPI3K-γ発現を有する腫瘍を標的とすることができる。血液癌については、TALLにおける及び潜在的にはCLLにおけるPI3K-γ及びPI3K-δアイソフォームの特別な役割により、これらの疾患におけるこれらのPI3Kの標的化が提案される。
特定の理論によって限定されるものではないが、PI3K-γは、とりわけ、炎症、関節炎、喘息、アレルギー、多発性硬化症(MS)、及び癌において役割を果たすことが示されている(例えば、Ruckleらの文献、Nature Rev., Drug Discovery, 2006, 5, 903-18; Schmidらの文献、「腫瘍炎症における骨髄細胞(Myeloid cells in tumor inflammation)」、Vascular Cell, 2012, doi: 10.1186/2045-824X-4-14)。例えば、PI3K-γは、白血球の活性化及び遊走に関与する複数のシグナル伝達経路において機能する。PI3K-γは、MSのモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において自己反応性CD4+ T細胞のプライミング及び生存を推進することが示されている。EAEの開始から投与された場合、PI3K-γ阻害剤は、臨床疾患の阻害及び逆転、並びにCNSにおける脱髄及び細胞の病的状態の軽減を引き起こすことが示されている(Comerfordらの文献、PLOS One, 2012, 7, e45095)。PI3K-γは、胸腺細胞発生、T細胞活性化、好中球遊走、及び酸化的破壊も調節する(Sasakiらの文献、Science, 2000, 287, 1040-46)。さらに、アレルギー性の気道の過敏性、炎症、及びリモデリングは、PI3K-γ欠損マウスでは発症しないことが示されている(Takedaらの文献、J. Allergy Clin. Immunol., 2009; 123, 805-12)。PI3K-γは、化学誘引物質誘発性のホスファチジルイノシトール3,4,5-トリスホスフェート(phosphatidylinositol 3,4,5-trisphosphate)産生に必要であることが示されており、かつマウス好中球における化学誘引物質誘発性のスーパーオキシド産生及び走化性において、並びに免疫グロブリンλ軽鎖から構成されるT細胞依存性抗原特異的抗体の産生において重要な役割を有する(Liらの文献、Science, 2000, 287, 1046-49)。PI3K-γは、炎症におけるマクロファージ蓄積に必要とされる重要なシグナル伝達分子であると報告されている(Hirschらの文献、Science, 2000, 287, 1049-53)。癌において、p110γの薬理学的又は遺伝学的遮断により、移植された及び自然発症した腫瘍の炎症、成長、及び転移が抑制され、PI3K-γが腫瘍学における重要な治療標的となり得ることを示唆している(Schmidらの文献、Cancer Cell, 2011, 19, 715-27)。例えば、PI3K-γは、ヒトの膵管腺癌(PDAC)において腫瘍特異的に大量に蓄積することが示されており、これは、膵癌におけるPI3K-γの役割を示している(Edlingらの文献、Human Cancer Biology, 2010, 16(2), 4928-37)。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K-ガンマ媒介障害を治療又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、例えば、選択的PI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。
一実施態様において、該対象は、癌、炎症性疾患、もしくは自己免疫疾患から選択されるPI3K-ガンマ媒介障害を有するか、又はそれを有するリスクに曝されている。一実施態様において、該癌は固形腫瘍である。一実施態様において、該癌は:肺系統の癌、脳腫瘍、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、膵癌、肺癌、髄芽腫、基底細胞癌、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、黒色腫、神経外胚葉腫瘍、頭頸部癌、肉腫、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、平滑筋肉腫、子宮頸癌、子宮癌、子宮内膜癌、上皮性悪性腫瘍、膀胱癌、上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍、びまん型巨細胞腫、及び膠芽腫のうちの1つ又は複数から選択される。
一実施態様において、該癌は血液癌である。
一実施態様において、該炎症性疾患は関節炎である。
一実施態様において、該対象はヒトである。一実施態様において、該対象は、バイオマーカーの使用により、PI3K-ガンマ媒介障害を有するか、又はそれを有するリスクに曝されていることが確認される。
一実施態様において、該治療的有効用量は、1日当たり約2mg、約1〜3mg、約1〜5mg、約1〜10mg、約0.5〜20mg、約0.1〜50mg、1日当たり約0.1〜75mg、1日当たり約0.1〜100mg、1日当たり約0.1〜250mg、1日当たり約0.1〜500mg、1日当たり約0.1〜1000mg、1日当たり約1〜50mg、1日当たり約1〜75mg、1日当たり約1〜100mg、1日当たり約1〜250mg、1日当たり約1〜500mg、1日当たり約1〜1000mg、1日当たり約10〜50mg、1日当たり約10〜75mg、1日当たり約10〜100mg、1日当たり約10〜250mg、1日当たり約10〜500mg、1日当たり約10〜1000mg、1日当たり約100〜500mg、又は1日当たり約100〜1000mgである。一実施態様において、該治療的有効用量は、約0.029mg/kg、約0.014〜0.14mg/kg、約0.02〜0.04mg/kg、約0.01〜0.05mg/kg、約0.01〜0.1、又は約0.01〜0.5mg/kgである。一実施態様において、該化合物は、2日毎に1回、投与される。一実施態様において、該化合物は、1日に1回、投与される。一実施態様において、該化合物は、1日に2回、投与される。
一実施態様において、該化合物は、該対象における該化合物のレベルが、投与直後の選択された期間、例えば、6時間、12時間、24時間、又は48時間の少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%、又は99%の間、該化合物のPI3K-ガンマ阻害のIC50よりも高いような用量で投与される。一実施態様において、該化合物は、該対象における該化合物のレベルが、投与直後の選択された期間、例えば、6時間、12時間、24時間、又は48時間の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、又は99%の間、該化合物のPI3K-ガンマ阻害のIC90よりも高いような用量で該化合物が投与される。一実施態様において、該化合物は、該対象における該化合物のレベルが、投与直後の選択された期間、例えば、6時間、12時間、24時間、又は48時間以内に、該化合物のPI3K-デルタ阻害のIC20又はIC50よりも高くは上昇しないような用量で投与される。一実施態様において、該化合物のレベルは、該患者の血漿から測定される。一実施態様において、該化合物のレベルは、該患者の組織から測定される。一実施態様において、該化合物は、それが、該対象においてPI3K-ガンマの少なくとも50%の阻害をもたらすが、該対象においてPI3K-デルタの10%又は20%未満の阻害をもたらすような用量で投与される。
一実施態様において、該対象はヒトであり、該化合物は、該対象において、約10〜13時間の半減期を有する。一実施態様において、該方法は、該対象に、P-gp基質である第2の治療剤を投与することをさらに含む。一実施態様において、該第2の治療剤はNorvir(リトナビル)である。
(PI3K-δ及び/又はPI3K-γの活性)
PI3K-δは、B細胞のシグナル伝達及び発生、抗体産生、T細胞機能、Th1及びTh2分化、並びに肥満細胞及び好塩基球の脱顆粒の障害において役割を有する。特定の理論によって限定されるものではないが、PI3K-γは、T細胞機能、好中球及びマクロファージ動員、マクロファージ活性化、好中球の酸化的破壊、並びに樹状細胞遊走において役割を有する。PI3K-δ及び/又はPI3K-γアイソフォームの阻害は、例えば、関節炎、喘息、多発性硬化症(MS)、及び腫瘍モデルにおいて、炎症及び癌に対する効力をもたらすことができる。例えば、PI3K-δ及び/又はPI3K-γの欠損は、K/BxN関節炎モデル(Kyburzらの文献、Springer Semin. Immunopathology, 2003, 25, 79-90)又は関節炎のK/BxN血清移入モデルにおいて効力をもたらすことができ(Randisらの文献、Eur. J. Immunol., 2008, 38(5), 1215-24)、該モデルでは、免疫複合体の認識がPI3K-δとPI3K-γの両方に依存するのに対し、細胞遊走はPI3K-γに依存的であることが示されている。PI3K-δ又はPI3K-γの欠損は、マウスオボアルブミン(OVA)誘発性のアレルギー性喘息モデルにおいて効力をもたらすこともでき(Leeらの文献、FASEB J., 2006, 20, 455-65; Takedaらの文献、J. Allergy Clin. Immunol., 2009; 123, 805-12)、該モデルでは、PI3K-δ又はPI3K-γのいずれかの阻害がオボアルブミン誘発性の肺浸潤を阻害し、かつ気道の応答性を改善することが示されている。PI3K-δ又はPI3K-γの欠損は、マウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(MSのモデル)において効力をもたらすこともでき、該モデルでは、PI3K-γ欠失が、PI3K-δ欠失と比べて、より良好な効力をもたらし得ることが示されており(Haylock-Jacobらの文献、J. Autoimmunity, 2011, 36, 278-87; Comerfordらの文献、PLOS One, 2012, 7, e45095)、該効力には、T細胞受容体誘発性のCD4+ T細胞活性化、白血球浸潤、及びTh1/Th17応答、並びに樹状細胞輸送の低下が含まれる(Comerfold, PLOS One, 2012, 7, e45095)。さらに、PI3K-γの阻害は、腫瘍炎症及び成長の減少をもたらすこともできる(例えば、ルイス肺癌モデル、Schmidらの文献、Cancer Cell, 2011, 19(6), 715-27)。PI3K-δ欠失と組み合わせたPI3K-γ欠失は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)において生存の増大をもたらす(Subramaniamらの文献、Cancer Cell, 2012, 21, 459-72)。PI3K-δとPI3K-γの両方の阻害剤は、PTEN欠失T-ALL細胞株(MOLT-4)において有効であることも示されている。PTENホスファターゼの腫瘍抑制機能が存在しない場合、PI3K-δ又はPI3K-γだけで白血病の発症を支持することができるのに対し、両アイソフォームの不活化は腫瘍形成を抑制する。したがって、PI3K-δ及び/又はPI3K-γの阻害剤は、炎症、例えば、関節炎、アレルギー性喘息、及びMSの治療において;及び例えば、固形腫瘍関連の炎症、血管新生、及び腫瘍進行の低下などの効果による癌の治療において有用であることができる。
B細胞の発生及び機能におけるPI3K-δの重要性は、阻害剤研究及び遺伝的モデルから支持される。PI3K-δは、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達の重要なメディエーターであり、AKT、カルシウム流出、PLCγ、MAPキナーゼ、P70S6k、及びFOXO3a活性化の上流にある。PI3K-δは、IL4R、S1P、及びCXCR5シグナル伝達にも重要であり、toll様受容体4及び9に対する応答を調節することが示されている。PI3K-δの阻害剤は、B細胞発生(辺縁帯細胞及びB1細胞)、B細胞活性化、走化性、リンパ系組織への遊走及びホーミングにおける、並びにIgEの産生をもたらす免疫グロブリンクラススイッチングの制御におけるPI3K-δの重要性を示している。Clayton Eらの文献(2002) J Exp Med. 196(6): 753-63; Bilancio Aらの文献(2006) Blood 107(2): 642-50; Okkenhaug K.らの文献(2002) Science 297(5583): 1031-4; Al-Alwan MMらの文献(2007) J Immunol. 178(4): 2328-35; Zhang TTらの文献(2008) J Allergy Clin Immunol. 2008; 122(4): 811-819.e2; Srinivasan Lらの文献(2009) Cell 139(3): 573-86)。
T細胞では、PI3K-δは、T細胞受容体及びサイトカインシグナル伝達における役割を有することが示されており、AKT、PLCγ、及びGSK3bの上流にある。PI3K-δ欠失もしくはキナーゼ不活化(kinase-dead)ノックインマウスにおいて、又は阻害剤研究において、ヘルパーT細胞2(TH2)応答の低下、メモリーT細胞特異的欠陥(DTH低下)、抗原依存性細胞輸送の欠陥、及びケモカイン(例えば、S1P、CCR7、CD62L)に対する走化性/遊走の欠陥をもたらす、増殖、活性化、及び分化を含むT細胞の欠陥が観察されている(ギャルソン F.らの文献(2008) Blood 111(3): 1464-71; Okkenhaug Kらの文献(2006). J Immunol. 177(8): 5122-8; Soond DRらの文献(2010) Blood 115(11): 2203-13; Reif Kの文献(2004). J Immunol. 2004; 173(4): 2236-40; Ji H.らの文献(2007) Blood 110(8): 2940-7; Webb LMらの文献(2005) J Immunol. 175(5): 2783-7; Liu Dらの文献(2010) J Immunol. 184(6): 3098-105; Haylock-Jacobs Sらの文献(2011) J Autoimmun. 2011; 36(3-4): 278-87; Jarmin SJらの文献(2008) J Clin Invest. 118(3): 1154-64)。
数多くの刊行物によって、本明細書でより詳細に記載されているような、免疫細胞及び悪性細胞の分化、維持、及び活性化におけるPI3K-δ及びPI3K-γの役割が支持されている。
PI3K-δ及びPI3K-γアイソフォームは、白血球で優先的に発現され、そこでは、該アイソフォームは、免疫細胞の発生及び機能における明白でかつ重複しない役割を有する。例えば、PURI及びGOLDの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼデルタの選択的阻害剤:自己免疫性炎症性疾患及びB細胞悪性腫瘍を治療する可能性があるB細胞機能のモジュレーター(Selective inhibitors of phosphoinositide 3-kinase delta: modulators of B-cell function with potential for treating autoimmune inflammatory disease and B-cell malignancies)」、Front. Immunol. 3: 256(2012); BUITENHUISらの文献、「造血の調節におけるPI3K-PKBシグナル伝達モジュールの役割(The role of the PI3K-PKB signaling module in regulation of hematopoiesis)」、Cell Cycle 8(4): 560-566(2009); HOELLENRIEGEL及びBURGERの文献、「ホスホイノシチド3'-キナーゼデルタ:慢性リンパ球性白血病におけるBCRシグナル伝達の停止(Phosphoinositide 3'-kinase delta: turning off BCR signaling in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Oncotarget 2(10): 737-738(2011); HIRSCHらの文献、「炎症におけるGタンパク質共役型ホスホイノシチド3-キナーゼγの中心的役割(Central Role for G Protein-Coupled Phosphoinositide 3-Kinase γ in Inflammation)」、Science 287: 1049-1053(2000); LIらの文献、「化学誘引物質媒介性シグナル伝達におけるPLC-β2及び-β3並びにPI3Kγの役割(Roles of PLC-β2 and -β3 and PI3Kγ in Chemoattractant-Mediated Signal Transduction)」、Science 287: 1046-1049(2000); SASAKIらの文献、「胸腺細胞発生、T細胞活性化、及び好中球遊走におけるPI3Kγの機能(Function of PI3Kγ in Thymocyte Development, T Cell Activation, and Neutrophil Migration)」、Science 287: 1040-1046(2000); CUSHINGらの文献、「自己免疫疾患及び炎症性疾患の標的としてのPI3Kδ及びPI3Kγ(PI3Kδ and PI3Kγ as Targets for Autoimmune and Inflammatory Diseases)」、J. Med. Chem. 55: 8559-8581(2012); MAXWELLらの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼδシグナル伝達の減衰は自己免疫疾患を抑制する(Attenuation of phosphoinositide 3-kinase δ signaling restrains autoimmune disease)」、J. Autoimmun. 38: 381-391(2012); HAYLOCK-JACOBSらの文献、「PI3Kδは、エフェクターT細胞アポトーシスを阻害し、かつTh17分化を促進することによって、実験的自己免疫性脳脊髄炎の発病を推進する(PI3Kδ drives the pathogenesis of experimental autoimmune encephalomyelitis by inhibiting effector T cell apoptosis and promoting Th17 differentiation)」、J. Autoimmun. 36: 278-287(2011); SOONDらの文献、「PI3K p110δは、マウス及びヒトでの一次及び二次免疫応答におけるT細胞サイトカイン産生を調節する(PI3K p110δ regulates T-cell cytokine production during primary and secondary immune responses in mice and humans)」、Blood 115(11): 2203-2213(2010); ROLLERらの文献、「ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)δ又はPI3Kγの遮断は、IL-17を減少させ、イミキモド誘導乾癬様皮膚炎を改善する(Blockade of Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)δ or PI3Kγ Reduces IL-17 and Ameliorates Imiquimod-Induced Psoriasis-like Dermatitis)」、J. Immunol. 189: 4612-4620(2012); CAMPSらの文献、「PI3Kγの遮断は、関節リウマチのマウスモデルにおいて関節の炎症及び損傷を抑制する(Blockade of PI3Kγ suppresses joint inflammation and damage in mouse models of rheumatoid arthritis)」、Nat. Med. 11(9): 936-943(2005)を参照されたい。白血球シグナル伝達における重要な酵素として、PI3K-δ及びPI3K-γは、分化、活性化、及び遊走を含む、正常なB細胞、T細胞、及び骨髄細胞機能を促進する。例えば、HOELLENRIEGEL及びBURGERの文献、「ホスホイノシチド3'-キナーゼデルタ:慢性リンパ球性白血病におけるBCRシグナル伝達の停止(Phosphoinositide 3'-kinase delta: turning off BCR signaling in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Oncotarget 2(10): 737-738(2011); CUSHINGらの文献、「自己免疫疾患及び炎症性疾患の標的としてのPI3Kδ及びPI3Kγ(PI3Kδ and PI3Kγ as Targets for Autoimmune and Inflammatory Diseases)」、J. Med. Chem. 55: 8559-8581(2012)を参照されたい。PI3K-δ又はPI3K-γ活性は、自己免疫疾患及び炎症性疾患の前臨床モデルにとって重要である。例えば、HIRSCHらの文献、「炎症におけるGタンパク質共役型ホスホイノシチド3-キナーゼγの中心的役割(Central Role for G Protein-Coupled Phosphoinositide 3-Kinase γ in Inflammation)」、Science 287: 1049-1053(2000); LIらの文献、「化学誘引物質媒介性シグナル伝達におけるPLC-β2及び-β3並びにPI3Kγの役割(Roles of PLC-β2 and -β3 and PI3Kγ in Chemoattractant-Mediated Signal Transduction)」、Science 287: 1046-1049(2000); SASAKIらの文献、「胸腺細胞発生、T細胞活性化、及び好中球遊走におけるPI3Kγの機能(Function of PI3Kγ in Thymocyte Development, T Cell Activation, and Neutrophil Migration)」、Science 287: 1040-1046(2000); CUSHINGらの文献、「自己免疫疾患及び炎症性疾患の標的としてのPI3Kδ及びPI3Kγ(PI3Kδ and PI3Kγ as Targets for Autoimmune and Inflammatory Diseases)」、J. Med. Chem. 55: 8559-8581(2012); MAXWELLらの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼδシグナル伝達の減衰は自己免疫疾患を抑制する(Attenuation of phosphoinositide 3-kinase δ signaling restrains autoimmune disease)」、J. Autoimmun. 38: 381-391(2012); HAYLOCK-JACOBSらの文献、「PI3Kδは、エフェクターT細胞アポトーシスを阻害し、かつTh17分化を促進することによって、実験的自己免疫性脳脊髄炎の発病を推進する(PI3Kδ drives the pathogenesis of experimental autoimmune encephalomyelitis by inhibiting effector T cell apoptosis and promoting Th17 differentiation)」、J. Autoimmun. 36: 278-287(2011); SOONDらの文献、「PI3K p110δは、マウス及びヒトでの一次及び二次免疫応答におけるT細胞サイトカイン産生を調節する(PI3K p110δ regulates T-cell cytokine production during primary and secondary immune responses in mice and humans)」、Blood 115(11): 2203-2213(2010); ROLLERらの文献、「ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)δ又はPI3Kγの遮断は、IL-17を減少させ、イミキモド誘導乾癬様皮膚炎を改善する(Blockade of Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)δ or PI3Kγ Reduces IL-17 and Ameliorates Imiquimod-Induced Psoriasis-like Dermatitis)」、J. Immunol. 189: 4612-4620(2012); CAMPSらの文献、「PI3Kγの遮断は、関節リウマチのマウスモデルにおいて関節の炎症及び損傷を抑制する(Blockade of PI3Kγ suppresses joint inflammation and damage in mouse models of rheumatoid arthritis)」、Nat. Med. 11(9): 936-943(2005)を参照されたい。免疫機能におけるPI3K-δ及びPI3K-γの重要な役割を考慮すると、PI3K-δ及び/又はγの阻害剤は、免疫関連の炎症性疾患又は腫瘍性疾患における治療的可能性を有する。
PI3K-δ及びPI3K-γは、B細胞及びT細胞悪性腫瘍の成長及び生存の中核をなすものであり、これらのアイソフォームの阻害は、これらの疾患を効果的に制限することができる。例えば、SUBRAMANIAMらの文献、「T-ALLの治療における非古典的腫瘍遺伝子の標的化(Targeting Nonclassical Oncogenes for Therapy in T-ALL)」、Cancer Cell 21: 459-472(2012); LANNUTTIらの文献、「B細胞悪性腫瘍の治療のためのp110δ選択的ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤であるCAL-101は、PI3Kシグナル伝達及び細胞生存能力を阻害する(CAL-101 a p110δ selective phosphatidylinositol-3-kinase inhibitor for the treatment of B-cell malignancies, inhibits PI3K signaling and cellular viability)」、Blood 117(2): 591-594(2011)を参照されたい。PI3K-δ及びPI3K-γは、細胞内BCRシグナル伝達及び腫瘍細胞とその微小環境の相互作用を媒介することによって、特定のB細胞悪性腫瘍の成長及び生存を支持する。例えば、PURI及びGOLDの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼデルタの選択的阻害剤:自己免疫性炎症性疾患及びB細胞悪性腫瘍を治療する可能性があるB細胞機能のモジュレーター(Selective inhibitors of phosphoinositide 3-kinase delta: modulators of B-cell function with potential for treating autoimmune inflammatory disease and B-cell malignancies)」、Front. Immunol. 3: 256(2012); HOELLENRIEGELらの文献、「ホスホイノシチド3'-キナーゼデルタ阻害剤CAL-101は、慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達及びケモカインネットワークを阻害する(The phosphoinositide 3'-kinase delta inhibitor, CAL-101, inhibits B-cell receptor signaling and chemokine networks in chronic lymphocytic leukemia)」、Blood 118(13): 3603-3612(2011); BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7: 26-33(2012)を参照されたい。BCRシグナル伝達の増大はB細胞悪性腫瘍の中心的な病理学的機構であり、PI3K活性化は、BCR経路活性化の直接的な結果である。例えば、BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7: 26-33(2012); HERISHANUらの文献、「リンパ節微小環境は、慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達、NF-κB活性化、及び腫瘍増殖を促進する(The lymph node microenvironment promotes B-cell receptor signaling, NF-κB activation, and tumor proliferation in chronic lymphocytic leukemia)」、Blood 117(2): 563-574(2011); DAVISらの文献、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における慢性活性型B細胞受容体シグナル伝達(Chronic active B-cell-receptor signaling in diffuse large B-cell lymphoma)」、Nature 463: 88-92(2010); PIGHIらの文献、「マントル細胞リンパ腫細胞のホスホ-プロテオーム解析は、B細胞受容体シグナル伝達の生存促進的な役割を示唆する(Phospho-proteomic analysis of mantle cell lymphoma cells suggests a pro-survival role of B-cell receptor signaling)」、Cell Oncol.(Dordr) 34(2): 141-153(2011); RIZZATTIらの文献、「マントル細胞リンパ腫細胞の遺伝子発現プロファイリングは、PI3K-AKT、WNT、及びTGFβシグナル伝達経路由来の遺伝子の異常発現を明らかにする(Gene expression profiling of mantle cell lymphoma cells reveals aberrant expression of genes from the PI3K-AKT, WNT and TGFβ signaling pathways)」、Brit. J. Haematol. 130: 516-526(2005); MARTINEZらの文献、「マントル細胞リンパ腫の分子シグナチャーは、細胞生存に有利に働く複数のシグナルを明らかにする(The Molecular Signature of Mantle Cell Lymphoma Reveals Multiple Signals Favoring Cell Survival)」、Cancer Res. 63: 8226-8232(2003)を参照されたい。腫瘍微小環境における悪性B細胞と支持細胞(例えば、間質細胞、ナース様細胞)の相互作用は、腫瘍細胞の生存、増殖、ホーミング、及び組織保持にとって重要である。例えば、BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7: 26-33(2012); HERISHANUらの文献、「リンパ節微小環境は、慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達、NF-κB活性化、及び腫瘍増殖を促進する(The lymph node microenvironment promotes B-cell receptor signaling, NF-κB activation, and tumor proliferation in chronic lymphocytic leukemia)」、Blood 117(2): 563-574(2011); KURTOVAらの文献、「多様な骨髄間質細胞は、CLL細胞を自然発生的及び薬物誘発性アポトーシスから保護する:間質細胞接着媒介性の薬物抵抗性を評価するための信頼性がありかつ再現性がある系の開発(Diverse marrow stromal cells protect CLL cells from spontaneous and drug-induced apoptosis: development of a reliable and reproducible system to assess stromal cell adhesion-mediated drug resistance)」、Blood 114(20): 4441-4450(2009); BURGERらの文献、「ナース様細胞共培養物における及びBCR刺激後の慢性リンパ球性白血病B細胞によるT細胞ケモカインCCL3及びCCL4の高レベル発現(High-level expression of the T-cell chemokines CCL3 and CCL4 by chronic lymphocytic leukemia B cells in nurselike cell cocultures and after BCR stimulation)」、Blood 113(13) 3050-3058(2009); QUIROGAらの文献、「B細胞抗原受容体シグナル伝達は、慢性リンパ球性白血病細胞の遊走及び生存を増強する:新規の脾臓チロシンキナーゼ阻害剤R406による特異的標的化(B-cell antigen receptor signaling enhances chronic lymphocytic leukemia cell migration and survival: specific targeting with a novel spleen tyrosine kinase inhibitor, R406)」、Blood 114(5): 1029-1037(2009)を参照されたい。特定の悪性B細胞での阻害剤によるPI3K-δ、γの阻害は、BCR媒介性の細胞内生存シグナル伝達、及びその成長にとって重要であるその微小環境との重要な相互作用を遮断することができる。
PI3K-δ及びPI3K-γは、特定のT細胞悪性腫瘍の生存及び増殖においても直接的な役割を果たしている。例えば、SUBRAMANIAMらの文献、「T-ALLの治療における非古典的腫瘍遺伝子の標的化(Targeting Nonclassical Oncogenes for Therapy in T-ALL)」、Cancer Cell 21: 459-472(2012)を参照されたい。異常なPI3K-δ及びPI3K-γ活性は、特定のT細胞悪性腫瘍の発生及び成長に必要なシグナルを提供する。BTKは、B細胞で発現されるが、それは、T細胞では発現されず、そのため、BTKは、T細胞悪性腫瘍の治療のための実行可能な標的ではない。例えば、NISITANIらの文献、「抗原受容体により刺激された脾臓B細胞におけるブルトン型チロシンキナーゼ発現の転写後調節(Posttranscriptional regulation of Bruton's tyrosine kinase expression in antigen receptor-stimulated splenic B cells)」、PNAS 97(6): 2737-2742(2000); DE WEERSらの文献、「ブルトン型チロシンキナーゼ遺伝子は、免疫グロブリン遺伝子再編成前の初期前駆B細胞段階から成熟B細胞段階まで、B細胞分化の間ずっと発現される(The Bruton's tyrosine kinase gene is expressed throughout B cell differentiation, from early precursor B cell stages preceding immunoglobulin gene rearrangement up to mature B cell stages)」、Eur. J. Immunol. 23: 3109-3114(1993); SMITHらの文献、「ブルトン型無ガンマグロブリン血症チロシンキナーゼ遺伝子BTKの発現は、T胸腺細胞及び形質細胞において選択的に下方調節される(Expression of Bruton's Agammaglobulinemia Tyrosine Kinase Gene, BTK, Is Selectively Down-Regulated in T Lymphocytes and Plasma Cells)」、J. Immunol. 152: 557-565(1994)を参照されたい。PI3K-δ及び/又はγ阻害剤は、T細胞悪性腫瘍において独特の治療的可能性を有し得る。
好中球では、PI3K-γと一緒のPI3K-δは、免疫複合体に対する応答、遊走を含むFCγRIIシグナル伝達、及び好中球呼吸バーストの一因となっている。ヒト好中球は、PI3K-γ依存的な様式で、ホルミルペプチド受容体(FMLP)又は補体成分C5a(C5a)に応答したPIP3の迅速な誘導を受け、その後、PI3K-δ依存的であり、かつ呼吸バーストに不可欠であるより長いPIP3産生期間が続く。免疫複合体に対する応答は、PI3K-δ、PI3K-γ、及びPI3K-βが一因であり、自己免疫疾患のモデルにおける組織損傷の重要なメディエーターである(Randis TMらの文献(2008) Eur J Immunol. 38(5): 1215-24; Pinho Vの文献(2007) J Immunol. 179(11): 7891-8; Sadhu C.らの文献(2003) J Immunol. 170(5): 2647-54; Condliffe AMらの文献(2005) Blood 106(4): 1432-40)。ある種の自己免疫疾患では、PI3K-βの優先的な活性化が関与し得ることが報告されている(Kulkarniらの文献、Immunology(2011) 4(168) ra23: 1-11)。PI3Kβ欠損マウスが、FcγR依存的な自己抗体誘導性皮膚水疱形成モデルにおいて非常に保護され、FcγR依存的な炎症性関節炎モデルにおいて部分的に保護されるのに対し、PI3K-βとPI3K-δの複合欠損が、炎症性関節炎における完全に近い保護をもたらすことも報告された(同上)。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者から収集されたマクロファージでは、グルココルチコイド応答性をPI3K-δの阻害剤による細胞の処理によって回復させることができる。マクロファージはまた、アルツス反応(FCγR及びC5aシグナル伝達)を介した免疫複合体に対する応答をPI3K-δ及びPI3K-γに依存している(Randis TMらの文献(2008) Eur J Immunol. 38(5): 1215-24; Marwick JAらの文献(2009) Am J Respir Crit Care Med. 179(7): 542-8; Konrad Sらの文献(2008) J Biol Chem. 283(48): 33296-303)。
テオフィリンは、PI3キナーゼ(例えば、PI3K-デルタ)を阻害することにより、インビトロで及び喫煙マウスにおいてインビボで、ヒストンデアセチラーゼ-2及びコルチコステロイド感受性を増大させる。PI3Kは、COPD肺で活性化され、特定のPI3K阻害剤は、コルチコステロイド抵抗性を逆転させる際にテオフィリンの効果を模倣することが示されている。Yasuo, T.らの文献、Am J Respir Crit Care Med 2010; 182: 897-904。理論によって束縛されることを望むものではないが、COPDを治療するためにPI3K阻害剤(例えば、本明細書に提供される化合物)を使用する論理的根拠は、PI3K阻害剤が対象のコルチコステロイド感受性を増大させることができるということである。
肥満細胞では、幹細胞因子(SCF)及びIL3依存的な増殖、分化、及び機能は、走化性と同様に、PI3K-δ依存的である。肥満細胞のサイトカイン放出及び脱顆粒をもたらすFCγR1のアレルゲン/IgE架橋は、PI3K-δ阻害剤による処理によってひどく阻害され、アレルギー性疾患におけるPI3K-δの役割を示唆している(Ali Kらの文献(2004) Nature 431(7011): 1007-11; Lee KSらの文献(2006) FASEB J. 20(3): 455-65; Kim MSらの文献(2008) Trends Immunol. 29(10): 493-501)。
ナチュラルキラー(NK)細胞は、CXCL10、CCL3、S1P、及びCXCL12を含むケモカインに対する、又は腹膜内のLPSに応答した、効率的な遊走をPI3K-δとPI3K-γの両方に依存している(Guo Hらの文献(2008) J Exp Med. 205(10): 2419-35; Tassi Iらの文献(2007) Immunity 27(2): 214-27; Saudemont Aの文献(2009) Proc Natl Acad Sci U S A. 106(14): 5795-800; Kim Nらの文献(2007) Blood 110(9): 3202-8)。
免疫細胞の分化、維持、及び活性化におけるPI3K-δ及びPI3K-γの役割は、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症)からアレルギー性炎症性障害、例えば、喘息、及び炎症性呼吸器疾患、例えば、COPDにまで及ぶ炎症性障害におけるこれらの酵素の役割を支持する。広範にわたる証拠は、実験的動物モデルで入手可能であるか、又は当技術分野で認識されている動物モデルを用いて評価することができる。一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される化合物を用いて、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症)からアレルギー性炎症性障害、例えば、喘息及びCOPDにまで及ぶ炎症性障害を治療する方法である。
例えば、PI3K-δ及び/又は-γの阻害剤は、関節リウマチのいくつかの自己免疫動物モデルで抗炎症活性を有することが示されている(Williams, O.らの文献(2010) Chem Biol, 17(2): 123-34; WO 2009/088986号; WO2009/088880号; WO 2011/008302号;各々、引用により本明細書中に組み込まれる)。PI3K-δは、RA滑膜組織で(特に、線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)を含む滑膜表層で発現されており、選択的PI3K-δ阻害剤は、滑膜細胞の成長及び生存を阻害するのに有効であることが示されている(Bartokらの文献(2010) Arthritis Rheum 62 Suppl 10: 362)。いくつかのPI3K-δ及び-γ阻害剤は、当技術分野で認められているRAのモデル、例えば、コラーゲン誘導関節炎及びアジュバント誘導関節炎で関節炎の症状(例えば、関節の腫脹、血清誘導コラーゲンレベルの低下、関節病変及び/又は炎症の軽減)を改善することが示されている(WO 2009/088986号; WO2009/088880号; WO 2011/008302号;各々、引用により本明細書中に組み込まれる)。
PI3K-δの役割は、DTHモデルを含む、T細胞依存的応答のモデルでも示されている。多発性硬化症のマウス実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデルにおいて、PI3K-γ/δ二重突然変異体マウスは抵抗性である。PI3K-δ阻害剤は、EAE疾患の誘導、及びインビトロとインビボの両方におけるTH-17細胞の発生を遮断することも示されている(Haylock-Jacobs, S.らの文献(2011) J. Autoimmunity 36(3-4): 278-87)。
全身エリテマトーデス(SLE)は、様々な段階において、メモリーT細胞、B細胞のポリクローナルな増殖及び形質細胞への分化、並びに内在性の損傷関連分子パターン分子(DAMPS)に対する自然免疫応答、並びに補体系及びFC受容体を介した免疫複合体に対する炎症応答を必要とする複合病である。これらの経路及び細胞型と併せたPI3K-δ及びPI3K-γの役割は、阻害剤による遮断が、これらの疾患において有効であることを示唆している。狼瘡におけるPI3Kの役割は、狼瘡の2つの遺伝的モデルからも予測される。ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)の欠失は、PI3K-δを含むクラス1AのPI3Kの遺伝子導入による活性化と同様に、狼瘡様表現型を生じさせる。遺伝子導入によって活性化されたクラス1Aの狼瘡モデルにおけるPI3K-γの欠失は保護的であり、狼瘡のマウスMLR/lprモデルにおけるPI3K-γ選択的阻害剤による処理は、症状を改善させる(Barber, DFらの文献(2006) J. Immunol. 176(1): 589-93)。
アレルギー性疾患において、PI3K-δは、遺伝的モデル及び阻害剤処理により、受動的皮膚アナフィラキシーアッセイにおいて肥満細胞活性化に不可欠であることが示されている(Ali Kらの文献(2008) J Immunol. 180(4): 2538-44; Ali Kの文献(2004) Nature 431(7011): 1007-11)。免疫複合体に対する応答(アルツス反応)の肺測定において、PI3K-δノックアウトは抵抗性であり、マクロファージ活性化及びC5a産生における欠陥を示している。ノックアウト研究、及びPI3K-δとPI3K-γの両方に対する阻害剤を用いた研究は、オボアルブミン誘導アレルギー性気道炎症及び過敏性モデルにおけるこれらの酵素の両方の役割を支持している(Lee KSらの文献(2006) FASEB J. 20(3): 455-65)。好酸球、好中球、及びリンパ球の浸潤、並びにTH2サイトカイン(IL4、IL5、及びIL13)の低下は、Ova誘導喘息モデルにおいて、PI3K-δ特異的阻害剤とPI3K-δ及びPI3K-γ二重阻害剤の両方で見られた(Lee KSらの文献(2006) J Allergy Clin Immunol 118(2): 403-9)。
PI3K-δ及びPI3K-γ阻害を、COPDを治療する際に使用することができる。COPDの喫煙マウスモデルにおいて、PI3K-δノックアウトは、煙誘導グルココルチコイド抵抗性を発症しないが、野生型及びPI3K-γノックアウトマウスは、それを発症する。PI3K-δ及びPI3K-γ二重阻害剤の吸入製剤は、好中球増加症及びグルココルチコイド抵抗性によって測定したとき、LPS又は煙COPDモデルにおいて炎症を遮断した(Doukas Jらの文献(2009) J Pharmacol Exp Ther. 328(3): 758-65)。
(特定の癌におけるPI3K-δ及び/又はPI3K-γアイソフォーム)
クラスI PI3K、特に、PI3K-δ及びPI3K-γアイソフォームは癌とも関連している(例えば、Vogt, PKらの文献(2010) Curr Top Microbiol Immunol. 347: 79-104; Fresno Vara, JAらの文献(2004) Cancer Treat Rev. 30(2): 193-204; Zhao, L及びVogt, PK.の文献(2008) Oncogene 27(41): 5486-96に概説されている)。PI3K、例えば、PI3K-δ及び/又はPI3K-γの阻害剤は、抗癌活性を有することが示されている(例えば、Courtney, KDらの文献(2010) J Clin Oncol. 28(6): 1075-1083); Markman, Bらの文献(2010) Ann Oncol. 21(4): 683-91; Kong, D及びYamori, Tの文献(2009) Curr Med Chem. 16(22): 2839-54; Jimeno, Aらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 156s(補遺;要旨3542); Flinn, IWらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 156s(補遺;要旨3543); Shapiro, Gらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 146s(補遺;要旨3500); Wagner, AJらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 146s(補遺;要旨3501); Vogt, PKらの文献(2006) Virology 344(1): 131-8; Ward, Sらの文献(2003) Chem Biol. 10(3): 207-13; WO 2011/041399号; US 2010/0029693号; US 2010/0305096号; US 2010/0305084号;各々、引用により本明細書中に組み込まれる)。
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、癌を治療する方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、血液の癌を治療する方法であって、医薬として有効な量の本明細書に提供される化合物を、それを必要としている対象に投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、固体腫瘍を治療する方法であって、医薬として有効な量の本明細書に提供される化合物を、それを必要としている対象に投与することを含む、方法である。PI3Kの阻害剤(例えば、化合物1)を用いて治療することができる癌の種類としては、例えば、白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(例えば、Salmena, Lらの文献(2008) Cell 133: 403-414; Chapuis, Nらの文献(2010) Clin Cancer Res. 16(22): 5424-35; Khwaja, Aの文献(2010) Curr Top Microbiol Immunol. 347: 169-88);リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、Salmena, Lらの文献(2008) Cell 133: 403-414);肺癌、例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌(例えば、Herrera, VAらの文献(2011) Anticancer Res. 31(3): 849-54);黒色腫(例えば、Haluska, Fらの文献(2007) Semin Oncol. 34(6): 546-54);前立腺癌(例えば、Sarker, Dらの文献(2009) Clin Cancer Res. 15(15): 4799-805);膠芽腫(例えば、Chen, JSらの文献(2008) Mol Cancer Ther. 7: 841-850);子宮内膜癌(例えば、Bansal, Nらの文献(2009) Cancer Control. 16(1): 8-13);膵癌(例えば、Furukawa, Tの文献(2008) J Gastroenterol. 43(12): 905-11);腎細胞癌(例えば、Porta, C及びFiglin, RAの文献(2009) J Urol. 182(6): 2569-77);結腸直腸癌(例えば、Saif, MW及びChu, Eの文献(2010) Cancer J. 16(3): 196-201);乳癌(例えば、Torbett, NEらの文献(2008) Biochem J. 415: 97-100);甲状腺癌(例えば、Brzezianska, E及びPastuszak-Lewandoska, Dの文献(2011) Front Biosci. 16: 422-39);並びに卵巣癌(例えば、Mazzoletti, M及びBroggini, Mの文献(2010) Curr Med Chem. 17(36): 4433-47)が挙げられる。
数多くの刊行物によって、血液癌の治療におけるPI3K-δ及びPI3K-γの役割が支持されている。PI3K-δ及びPI3K-γは、ヘム区画、並びに前立腺、乳房、及び膠芽腫を含む固形腫瘍で高度に発現されている(Chen J.S.らの文献(2008) Mol Cancer Ther. 7(4): 841-50; Ikeda H.らの文献(2010) Blood 116(9): 1460-8)。
急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む血液癌では、PI3K-δの過剰発現及び構成的活性化によって、PI3K-δ阻害が治療となるモデルが支持されている。Billottet Cらの文献(2006) Oncogene 25(50): 6648-59; Billottet Cらの文献(2009) Cancer Res. 69(3): 1027-36; Meadows, SA、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Ikeda Hらの文献(2010) Blood 116(9): 1460-8; Herman SEらの文献(2010) Blood 116(12): 2078-88; Herman SEらの文献(2011). Blood 117(16): 4323-7。
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、限定されないが、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む血液癌を治療する方法である。
PI3K-δ阻害剤(CAL-101)は、血液悪性腫瘍を有する患者の第1相治験で評価され、悪い予後特徴を有する患者のCLLで活性を示している。CLLでは、PI3K-δの阻害は、腫瘍細胞に直接作用するだけでなく、それは、腫瘍細胞がその微小環境と相互作用する能力にも作用する。この微小環境には、間質細胞、T細胞、ナース様細胞、及び他の腫瘍細胞との接触、並びにこれらの細胞に由来する因子が含まれる。CAL-101は、CCL3、CCL4、及びCXCL13を含む間質細胞及びT細胞由来因子の発現、並びにこれらの因子に応答するCLL腫瘍細胞の能力を抑制する。CLL患者におけるCAL-101治療は、迅速なリンパ節縮小、及び循環中へのリンパ球の再分布を誘導し、BCRを介する持続性生存シグナルに影響を及ぼして、細胞生存の低下、及びアポトーシスの増加をもたらす。単剤CAL-101治療は、マントル細胞リンパ腫及び難治性非ホジキンリンパ腫でも活性があった(Furman, RRら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Hoellenriegel, Jら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Webb, HKら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Meadowsら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Kahl, Bら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Lannutti BJらの文献(2011) Blood 117(2): 591-4)。
PI3K-δ阻害剤は、インビトロでPI3K-δ陽性神経膠腫に対する活性を示している(Kashishian Aら、ポスター発表:米国癌研究学会第102回年次総会(The American Association of Cancer Research 102nd Annual Meeting); 2011年4月2日〜6日; Orlando, FL)。この腫瘍サブセットでは、PI3K-δ阻害剤による処理は、単独か又は細胞傷害剤と組み合わせてかのいずれかで、有効であり得る。
PI3K-δ阻害剤が固形腫瘍で作用する別の機構は、腫瘍細胞のその微小環境との相互作用を含む。PI3K-δ、PI3K-γ、及びPI3K-βは、腫瘍浸潤性のリンパ球、マクロファージ、及び好中球を含む、腫瘍に浸潤する免疫細胞で発現される。PI3K-δ阻害剤は、これらの腫瘍関連免疫細胞の機能、並びにそれらが間質、腫瘍、及び互いからのシグナルに応答するやり方を修飾することができ、このような方法で、腫瘍細胞及び転移に作用することができる(Hoellenriegel, Jら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL)。
PI3K-δは内皮細胞でも発現される。PI3K-δ選択的阻害剤で処理されたマウスの腫瘍は、放射線療法によってより容易に死滅することが示されている。この同じ研究では、毛細血管網形成がPI3K阻害剤によって損なわれ、この欠陥が放射線によるより大きな死滅の一因となると仮定されている。PI3K-δ阻害剤は、腫瘍が間質細胞、免疫細胞、及び内皮細胞を含む、その微小環境と相互作用するやり方に影響を及ぼし、単独で、又は別の療法と併せて、治療となることができる(Meadows, SAらの論文発表:第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition); 2010年12月4日〜7日; Orlando, FL; Geng Lらの文献(2004) Cancer Res. 64(14): 4893-9)。
したがって、本明細書に提供されるのは、癌又は疾患(限定されないが、血液悪性腫瘍、又は特定の型もしくは亜型の癌もしくは疾患、例えば、特定の型もしくは亜型の血液悪性腫瘍を含む)を、PI3K-γ選択的阻害剤で治療又は予防する方法であって、PI3Kの他のアイソフォーム(例えば、PI3K-α及び/又はPI3K-β)の阻害剤の投与と関連する有害作用が軽減される、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、該癌又は疾患を、PI3K-γ非選択的又はPI3K-γ低選択的阻害剤(例えば、PI3K-α、β、δ、及びγを阻害する、例えば、PI3K汎阻害剤)による治療と比較して、より低い(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、又は約80%の)用量のPI3K-γ選択的阻害剤で治療又は予防する方法である。
例えば、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、Schmidらの文献(2011) Cancer Cell 19, 715-727において、腫瘍への骨髄細胞輸送の促進におけるPI3K-γ経路の役割、並びに乳癌、膵癌、及び肺癌での腫瘍炎症及び成長の抑制におけるp100γの遮断の役割が報告されている。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、膵癌をPI3K阻害剤で治療又予防する方法である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、乳癌をPI3K阻害剤で治療又予防する方法である。さらに他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、肺癌をPI3K阻害剤で治療又予防する方法である。一実施態様において、該PI3K阻害剤は、1以上の他のPI3Kアイソフォームと比べて選択的又は非選択的であるPI3K-γ阻害剤である。一実施態様において、該PI3K阻害剤は、PI3K-γ選択的阻害剤である。
理論によって束縛されることを望むものではないが、腫瘍成長は、腫瘍微小環境の2種類の免疫細胞:エフェクター細胞(これは、細胞傷害性細胞及びM1マクロファージを含み、かつ抗腫瘍活性を有する)、並びにサプレッサー細胞(これは、M2マクロファージ、MDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)、Treg(制御性T細胞)、及び制御性樹状細胞を含み、これらは、エフェクター細胞を阻害するので、腫瘍促進活性を有する)による影響を受けると考えられている。大量のサプレッサー細胞は、腫瘍免疫寛容と腫瘍成長の増強とをもたらし得る。
これらの細胞型のうちのいくつかを簡潔に説明する。M1は、炎症促進性(抗腫瘍性)表現型のMDSC又はTAMを表す。M2は、抗炎症性(腫瘍促進性)表現型のMDSC又はTAMを表す。
PI3K-γは、少なくともいくつかの癌細胞型では発現されない。Schmidらの文献、2011, Cancer Cell 19。したがって、いくつかの実施態様において、PI3K-γ阻害剤は、癌細胞自体に実質的な直接的作用を有することなく、癌細胞成長を低下させる。例えば、いくつかの実施態様において、PI3K-γ阻害剤は、腫瘍微小環境、例えば、癌細胞にごく近接する免疫細胞の変化を通じて、癌細胞成長を阻害する。
文献中の証拠から、PI3K-γ阻害剤が腫瘍関連骨髄細胞を減少させることができるという考えが支持される。例えば、PI3K-γ欠損マウスにおいて、腫瘍関連骨髄細胞が減少する。Schmidらの文献、2011, Cancer Cell 19。まとめると、これらのデータは、巨大なクラスのPI3K-γ阻害剤が腫瘍関連骨髄細胞を減少させ、それにより、癌細胞に対する免疫応答を増大させ、癌を治療するはずであることを示している。理論によって束縛されることを望むものではないが、PI3K-γは、以下のメカニズムによって作動することができる。PI3K-γシグナル伝達は、免疫抑制性の創傷治癒遺伝子、例えば、アルギナーゼ1、TGFベータ1、PDGFBB、MMP9、及びMMP13の発現を誘導し、かつ炎症促進性因子、例えば、IL12、iNos、及びインターフェロンガンマを抑制することにより、腫瘍促進性M2細胞に向かう免疫細胞と抗腫瘍M1細胞から離れる免疫細胞のバランスを傾けることができる。阻害剤を用いてPI3K-γシグナル伝達を遮断すると、T細胞を活性化する遺伝子発現プログラムを刺激することにより、抗腫瘍M1細胞の方にバランスが傾く。Kanedaらの文献、PI3-キナーゼガンマは、マクロファージM1-M2スイッチを制御し、それにより、腫瘍の免疫抑制及び進行を促進する[要旨](PI3-kinase gamma controls the macrophage M1-M2 switch, thereby promoting tumor immunosuppression and progression. [abstract])。所収:米国癌研究学会第105回年次総会会報; 2014年4月5日〜9日; San Diego, CA. Philadelphia(PA): AACR; Cancer Res 2014; 74(19 Suppl):要旨nr 3650. doi: 10.1158/1538-7445.AM2014-3650。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるPI3K-γ阻害剤は、T細胞応答の恒常性維持的な下方調節を遮断するために、患者に投与される。理論によって束縛されることを望むものではないが、これにより、身体が癌細胞に対する効果的な免疫応答を惹起することが可能になり得る。このタイプの例示的な薬剤としては、免疫チェックポイント治療薬、例えば、CTLA-4、PD-1、又はPD-L1に対して作用する薬剤、例えば、CTLA-4、PD-1、又はPD-L1に結合する抗体が挙げられる。免疫チェックポイント治療薬は、以下でより詳細に説明されている。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるPI3K-γ阻害剤は、腫瘍微小環境の免疫抑制細胞を排除するために、患者に投与される。免疫抑制細胞は、例えば、制御性T細胞(例えば、CD8+細胞傷害性T細胞の死を誘導するメディエーターを分泌する細胞);腫瘍関連マクロファージ(TAM;例えば、T細胞の活性を遮断し、血管形成を促進する、M2(腫瘍促進性)TAMS);又は骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC;例えば、T細胞の分化及び増殖を阻害するメディエーターを分泌する細胞)であり得る。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、腫瘍関連骨髄細胞の遊走又は分化を低下させるために、患者に投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、同系モデル系で単剤活性を示す化合物である。いくつかの実施態様において、該化合物は、本明細書で論じられる第2の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、該投与は、腫瘍微小環境におけるMDSCのレベル;腫瘍微小環境におけるM2 TAMSのレベル;腫瘍微小環境における制御性T細胞のレベル、又はこれらの任意の組合せの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該投与は、腫瘍微小環境におけるエフェクターT細胞のレベルの不変又は増大をもたらす。実施態様において、該投与は、腫瘍に対する免疫応答の増大、例えば、細胞傷害性T細胞、M1炎症性TAM、又はこれらの組合せのレベル又は腫瘍攻撃活性の増大をもたらす。
いくつかの実施態様において、MDSCは、以下の性質:抗腫瘍免疫攻撃を抑制する性質;腫瘍の血管新生を誘導する性質;例えば、転移の一因となり得るECM分解を誘導する性質;及び腫瘍成長を支持する性質のうちの1つ又は複数を有する。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるPI3K-γ阻害剤の投与は、MDSCにおけるこれらの機能のうちの1つ又は複数を阻害する。
TAM(腫瘍関連マクロファージ)も、以下の性質:抗腫瘍免疫攻撃を抑制する性質;腫瘍の血管新生を誘導する性質;例えば、転移の一因となり得るECM分解を誘導する性質;及び腫瘍成長を支持する性質のうちの1つ又は複数を有し得る。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるPI3K-γ阻害剤の投与は、TAMにおけるこれらの機能のうちの1つ又は複数を阻害する。
実施態様において、PI3K-γ阻害剤は、化学療法及び/又は放射線療法を受けている患者に投与される。理論によって束縛されることを望むものではないが、いくつかの実施態様において、化学療法又は放射線療法は、TAM及びMDSCによる、癌部位、例えば、腫瘍の再増殖を引き起こす創傷治癒応答をもたらす。PI3K-γ阻害剤の投与は、いくつかの実施態様において、微小環境におけるTAM及びMDSCのレベルを低下させ、腫瘍細胞成長に対するそれらの支持を減少させ、及び/又は免疫系が癌細胞を攻撃するのを可能にする。Claire E. Lewisの文献、「ゼブラフィッシュでの腫瘍に浸潤する免疫細胞のイメージング(Imaging immune cell infiltrating tumors in zebrafish)」、AACR年次総会(2014年4月5日)を参照されたい。
理論によって束縛されることを望むものではないが、PI3Kガンマ阻害剤を放射線に対する補助療法として使用する論理的根拠は、腫瘍を支持する骨髄細胞が放射線照射した腫瘍に蓄積するのを妨げ、それにより、放射線療法後の腫瘍再成長を障害することである。これは、放射線照射後の腫瘍への骨髄細胞遊走の阻害剤(例えば、AMD3100)が腫瘍脈管形成及び腫瘍再成長を遮断することを示したKioiらの研究(2010) Clin Invest. 120(3): 694-705によって裏付けられる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される障害又は疾患を治療する方法であって、本明細書に提供される化合物、例えば、PI3Kγ選択的阻害剤、PI3Kδ選択的阻害剤、又はPI3Kγ/δ二重阻害剤を投与することを含む、方法である。特定の理論によって限定されるものではないが、いくつかの実施態様において、PI3K-γアイソフォームの選択的阻害は、非選択的PI3K阻害剤の投与と関連する有害作用が最小化又は軽減される治療レジメンを提供することができる。特定の理論によって限定されるものではないが、いくつかの実施態様において、PI3K-δアイソフォームの選択的阻害は、非選択的PI3K阻害剤の投与と関連する有害作用が最小化又は軽減される治療レジメンを提供することができる。特定の理論によって限定されるものではないが、いくつかの実施態様において、PI3K-δ及びγアイソフォームの選択的阻害は、非選択的PI3K阻害剤の投与と関連する有害作用が最小化又は軽減される治療レジメンを提供することができる。特定の理論によって限定されるものではないが、該有害作用は、PI3Kの他のアイソフォーム(例えば、α又はβ)の阻害を回避することによって軽減することができると考えられる。
一実施態様において、該有害作用は高血糖症である。別の実施態様において、該有害作用は発疹である。別の実施態様において、該有害作用は、PI3Kのβアイソフォームの阻害に起因し得る男性の生殖能力の障害である(例えば、Ciraoloらの文献、Molecular Biology of the Cell, 21: 704-711(2010)を参照)。別の実施態様において、該有害作用は、PI3K-βの阻害に起因し得る精巣の毒性である(例えば、Wislerらの文献、Amgen SOT, Abstract ID # 2334(2012)を参照)。別の実施態様において、該有害作用は、胚性致死である(例えば、Biらの文献、J Biol Chem, 274: 10963-10968(1999)を参照)。別の実施態様において、該有害作用は血小板凝集の障害である(例えば、Kulkarniらの文献、Science, 287: 1049-1053(2000)を参照)。別の実施態様において、該有害作用は好中球の機能障害である(同上)。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌(例えば、結腸癌、黒色腫、膀胱癌、腎臓癌、乳癌、肺癌、膠芽腫、固形腫瘍、及び造血系起源の癌(例えば、DLBCL、CLL、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫))を治療又は予防する方法であって、対象に、PI3K阻害剤(例えば、PI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1)を投与することを含む、方法である。
特定の理論によって束縛されるものではないが、癌を治療又は予防するためにPI3K阻害剤を使用する論理的根拠は、腫瘍に由来する(例えば、CT26マウス腫瘍に由来する)細胞が、本明細書に提供される実施例で示されるように、T細胞増殖を含む抗腫瘍免疫細胞機能を抑制することができ、かつ本明細書に提供される化合物による治療がこの抑制を解除することができるということである。腫瘍微小環境は、抑制性骨髄細胞(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞又はMDSC及びM2マクロファージ)が存在するために、免疫エフェクター細胞の活性化及び増殖を阻害することができる。本明細書に提供される化合物は、腫瘍微小環境におけるM2マクロファージの数及び活性に影響を及ぼし、例えば、腫瘍促進性マクロファージであるM2のレベルを低下させ又は抑制することができる。抗炎症性サイトカイン及び他の因子を産生するM2マクロファージの低下又は抑制は、T細胞増殖を含む抗腫瘍免疫の増大を引き起こす。したがって、本明細書に提供される化合物は、癌、例えば、結腸癌、黒色腫、膀胱癌、腎臓癌、乳癌、肺癌、膠芽腫、固形腫瘍、及び造血系起源の癌(例えば、リンパ腫、DLBCL、CLL、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)を治療又は予防することができる。さらに、本明細書に提供される実施例において、抗PDL1もまた、T細胞上のPD1と腫瘍細胞及び制御性細胞上のPDL1との相互作用を遮断することにより、T細胞増殖の抑制を解除することができることも示されている。抗PDL-1と化合物1の両方によって増殖及び生存するように誘導される細胞傷害性T細胞は、腫瘍成長を減速させると仮定される。本明細書に提供される化合物は、T細胞の増殖及び活性化を引き起こし得る免疫抑制を緩和することができる。本明細書に提供される化合物は、T細胞媒介性免疫を誘導することにより、癌を治療又は予防することができる。一実施態様において、本明細書に提供される化合物は、腫瘍容量を減少させることができる。一実施態様において、PI3K阻害剤、例えば、本明細書に提供される化合物と抗PDL1の組合せは、T細胞媒介性の腫瘍免疫を誘導することによって癌を治療又は予防する際に有効である。いくつかの実施態様において、T細胞機能に対する本明細書に提供される化合物の効果は、腫瘍組織及び血清中の炎症促進性サイトカインレベル、例えば、MSD炎症促進性パネルを解析することによって評価することができる。別の実施態様において、該炎症促進性サイトカインは、IFN-γ、IL-1β、IL-10、IL-12 p70、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、KC/GRO、及びTNF-αから選択される。一実施態様において、T細胞機能に対する本明細書に提供される化合物の効果は、IFN-γレベルを解析することによって評価することができる。例えば、本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1で処理された腫瘍組織及び血清は、IFN-γレベルを解析することによって評価することができる。
(精神神経障害の治療)
他の実施態様において、PI3K(例えば、PI3K-δ及び/又はPI3K-γ)の阻害を用いて、精神神経疾患、例えば、自己免疫性脳障害を治療することができる。感染性因子及び免疫因子は、限定されないが、シデナム舞踏病(SC)(Garvey, M.A.らの文献(2005) J. Child Neurol. 20: 424-429)、トゥレット症候群(TS)、強迫神経症(OCD)(Asbahr, F.R.らの文献(1998) Am. J. Psychiatry 155: 1122-1124)、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)(Hirschtritt, M.E.らの文献(2008) Child Neuropsychol. 1: 1-16; Peterson, B.S.らの文献(2000) Arch. Gen. Psychiatry 57: 364-372)、神経性無食欲(Sokol, M.S.の文献(2000) J. Child Adolesc. Psychopharmacol. 10: 133-145; Sokol, M.S.らの文献(2002) Am. J. Psychiatry 159: 1430-1432)、鬱病(Leslie, D.L.らの文献(2008) J. Am. Acad. Child Adolesc. Psychiatry 47: 1166-1172)、及び自閉症スペクトラム障害(ASD)(Hollander, E.らの文献(1999) Am. J. Psychiatry 156: 317-320; Margutti, P.らの文献(2006) Curr. Neurovasc. Res. 3: 149-157)を含む、いくつかの精神神経疾患の発病に関係があるとされている。小児強迫神経症及びチック障害の一部は、連鎖球菌関連小児自己免疫神経精神疾患(PANDAS)に分類されている。PANDAS障害は、神経精神症状の発症及び増悪が連鎖球菌感染より始まる障害の一例を提供する(Kurlan, R., Kaplan, E.L.の文献(2004) Pediatrics 113: 883-886; Garvey, M.A.らの文献(1998) J. Clin. Neurol. 13: 413-423)。PANDAS障害の多くは、神経学的作用を生じさせる、連鎖球菌関連エピトープ、例えば、GlcNAcに対する抗体応答から生じる共通の作用機序を共有している(Kirvan. C.A.らの文献(2006) J. Neuroimmunol. 179: 173-179)。中枢神経系(CNS)エピトープを認識する自己抗体も、ほとんどのPANDAS対象の血清中に見られる(Yaddanapudi, K.らの文献(2010) Mol. Psychiatry 15: 712-726)。このように、いくつかの精神神経疾患は、免疫及び自己免疫成分と関連付けられており、このため、それらは、PI3K-δ及び/又はPI3K-γ阻害を含む療法に好適なものとなっている。
ある実施態様において、PI3K-δ及び/又はPI3K-γ阻害剤を用いて、精神神経疾患(例えば、自己免疫性脳障害)を治療する(例えば、その1以上の症状を軽減又は改善する)方法が、単独で又は組合せ療法として記載されている。例えば、本明細書に記載される1以上のPI3K-δ及び/又はPI3K-γ阻害剤を、単独で又は任意の好適な治療剤及び/もしくは治療法、例えば、栄養補助食品と組み合わせて、精神神経疾患の治療に使用することができる。本明細書に記載されるPI3K-δ及び/又はPI3K-γ阻害剤を用いて治療することができる例示的な精神神経疾患としては、PANDAS障害、シデナム舞踏病、トゥレット症候群、強迫神経症、注意欠陥/多動性障害、神経性無食欲、鬱病、及び自閉症スペクトラム障害が挙げられるが、これらに限定されない。広汎性発達障害(PDD)は、自閉性障害、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害(CDD)、レット障害、及び特定不能のPDD(PDD-NOS)を含む、例示的な種類の自閉症スペクトラム障害である。PI3K-δ及び/又はPI3K-γ阻害剤の活性を評価するための動物モデルは当技術分野で公知である。例えば、PANDAS障害のマウスモデルは、例えば、Yaddanapudi, K.らの文献(2010)前掲;及びHoffman, K.I.らの文献(2004) J. Neurosci. 24: 1780-1791に記載されている。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の関節リウマチもしくは喘息を治療するための、又は対象の関節リウマチ関連症状もしくは喘息関連症状を軽減するための方法であって、有効量のPI3K-γ阻害剤を、それを必要としている対象に投与することを含み、PI3Kの1以上の他のアイソフォームの阻害剤の投与と関連する有害作用の1つ又は複数が軽減される、方法である。一実施態様において、PI3Kの1以上の他のアイソフォームは、PI3K-α、PI3K-β、及び/又はPI3K-δである。一実施態様において、PI3Kの1以上の他のアイソフォームは、PI3K-α及び/又はPI3K-βである。一実施態様において、該方法は、対象の関節リウマチを治療するため、又は対象の関節リウマチ関連症状を軽減するためのものである。別の実施態様において、該方法は、対象の喘息を治療するため、又は対象の喘息関連症状を軽減するためのものである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を用いて、限定されないが、1種類以上のPI3キナーゼの機能不全と関連する疾患を含む、疾患状態を治療する方法である。一実施態様において、p110δキナーゼ活性によって媒介される状態及び障害の詳細な説明は、あらゆる目的のために引用により完全に本明細書に組み込まれる、Saduらの文献、WO 01/81346号に示されている。
いくつかの実施態様において、本開示は、対象の過剰増殖性障害を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施態様において、該方法は、癌、例えば、急性骨髄性白血病、胸腺癌、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮細胞癌、皮膚癌、眼癌、網膜芽腫、眼球内黒色腫、口腔及び口腔咽頭癌、膀胱癌、胃(gastric)癌、胃(stomach)癌、膵癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、頭部癌、頸部癌、腎臓(renal)癌、腎臓(kidney)癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科癌、甲状腺癌、CNS癌、PNS癌、AIDS関連癌(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、又はウイルス誘発性癌の治療に関する。いくつかの実施態様において、該方法は、非癌性過剰増殖性障害、例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺の良性過形成(例えば、良性前立腺肥大(BPH))の治療に関する。
(癌の治療)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における癌細胞の腫瘍微小環境を調節する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、選択的PI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「腫瘍微小環境」は、腫瘍が位置する細胞内及び細胞外環境を指す。この位置には、周囲血管、免疫細胞、線維芽細胞、分泌されたシグナル伝達分子、及び細胞外マトリックスが含まれ得る。腫瘍微小環境には、新生物性腫瘍に成長及び生存支持を提供する非新生物性間質細胞及び免疫細胞が含まれる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「免疫療法」は、疾患と闘うために体自身の免疫系を刺激し、増強し、又は抑制する治療を指す。免疫療法治療に好適であり得る疾患には、癌、炎症性疾患、及び感染性疾患が含まれるが、これらに限定されない。免疫療法には、様々な形で作用する種々の治療が含まれる。例えば、免疫系防御を全体として高めることを意図したものもあれば;癌細胞を特異的に認識して攻撃するように、免疫系の教育を助けるものもある。癌免疫療法には、細胞ベースの療法(別名、癌ワクチン)、抗体療法、及びサイトカイン療法(例えば、インターロイキン-2及びインターフェロン-α)が含まれるが、これらに限定されない。
多くの癌は、腫瘍微小環境におけるエフェクター細胞を標的とする治療(例えば、免疫チェックポイント療法、例えば、PD-1/PD-L1阻害剤及びCTLA-4阻害剤)、腫瘍微小環境におけるサプレッサー細胞を標的とする治療(例えば、CSF-1R阻害剤(MDSC及びTAMに作用する)並びにIDO/TDO阻害剤)を含む、1以上の免疫療法の治療に感受性があることが知られている。特定の理論によって限定されるものではないが、提供される化合物は、腫瘍微小環境におけるMDSC、TAM、及び他の構成要素に作用することができる。腫瘍微小環境におけるTAMの役割は、例えば、Lewis及びPollardの文献、Cancer Res. 2006; 66:(2). January 15, 2006に記載されている。
一実施態様において、該化合物の投与後、腫瘍微小環境における1以上の腫瘍促進性免疫細胞の数が低下するか、又は腫瘍微小環境における1以上の腫瘍促進性免疫細胞の活性が低下しもしくは阻害される。
いくつかの実施態様において、該腫瘍促進性免疫細胞は、T細胞、M2マクロファージ、間質細胞、樹状細胞、内皮細胞、又は骨髄細胞である。一実施態様において、該骨髄細胞は腫瘍関連抑制性骨髄細胞である。一実施態様において、該腫瘍関連抑制性骨髄細胞は、(i)CD45+、CD11b+、Ly6C+、及びLy6G+、(ii)CD45+、CD11b+、Ly6C-、及びLy6G-、(iii)CD45+、CD11b+、Ly6C-、及びLy6G+、又は(iv)CD45+、CD11b+、Ly6C+、及びLy6G-によって特定される。一実施態様において、該腫瘍関連抑制性骨髄細胞は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、単球性未成熟骨髄細胞(iMc)、又は顆粒球性iMc/好中球である。一実施態様において、TAMは、CD45+、CD11b+、Ly6C-、及びLy6G-によって特定される。一実施態様において、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)は、CD45+、CD11b+、Ly6C-、及びLy6G+によって特定される。一実施態様において、単球性未成熟骨髄細胞(iMc)は、CD45+、CD11b+、Ly6C+、及びLy6G-によって特定される。一実施態様において、顆粒球性iMc/好中球は、CD45+、CD11b+、Ly6C+、及びLy6G+によって特定される。例えば、Coussens LM.らの文献、Cancer Discov. 2011 Jun; 1(1): 54-67を参照されたい。
一実施態様において、腫瘍微小環境におけるM2マクロファージの活性化は、該化合物の投与後に低下し又は阻害される。一実施態様において、M2マクロファージにおけるp-AKTレベルは、該化合物の投与後に低下する。一実施態様において、腫瘍微小環境におけるM2マクロファージ細胞の数は、該化合物の投与後に低下する。一実施態様において、M2マクロファージ細胞の腫瘍微小環境への遊走は、該化合物の投与後に低下し又は阻害される。一実施態様において、腫瘍微小環境における骨髄細胞のM2マクロファージ細胞への分化は、該化合物の投与後に低下し又は阻害される。一実施態様において、該M2マクロファージ細胞への分化は、アルギナーゼ-1(ARG1)レベル又はVEGFレベルによって測定され、該ARG1レベル又はVEGFレベルは、参照値と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%低下する。
一実施態様において、腫瘍微小環境における骨髄由来サプレッサー細胞の数は、該化合物の投与後に低下する。一実施態様において、骨髄細胞の骨髄由来サプレッサー細胞への分化は、該化合物の投与後に低下し又は阻害される。一実施態様において、該骨髄由来サプレッサー細胞への分化は、アルギナーゼ-1(ARG1)レベル、VEGFレベル、又はiNOSレベルによって測定され、該ARG1レベル、VEGFレベル、又はiNOSレベルは、参照値と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%低下する。
一実施態様において、血管形成促進因子の産生は、該化合物の投与後に低下し又は阻害される。一実施態様において、血管形成促進因子は、マクロファージ又はMDSC分化の低下又は阻害によって低下し又は阻害される。一実施態様において、血管形成促進因子はVEGFである。
一実施態様において、MDSC(例えば、ヒトMDSC)機能に対する本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)の効果は、iNOS及びアルギナーゼの発現並びにROS及びIL-10の産生によって測定されるか、(例えば、CD8+を用いた共培養アッセイにおける)MDSCの抑制機能によって測定されるか、刺激物質(例えば、CXCL12、IL-1b、TNF-α、又はCSF1)に応答したpAKTの活性化によって測定されるか、又はトランスウェル走化性アッセイ(T細胞及びMDSC)によって測定される。
一実施態様において、MDSC(例えば、マウスMDSC)機能及びマクロファージM2分極に対する本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)の効果は、骨髄から骨髄細胞を単離し、IFNg又はIL-4で分極させ、その後、TNF-α、IL-12の分泌、M1におけるROS産生、及びIL-10、IL-1b、もしくはVEGFについて試験することによって測定されるか、又は本明細書もしくは別所に提供される方法によって測定される。
一実施態様において、骨髄及びCD8+に対する本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)の効果は、インビボモデル(例えば、MC38及び4T1)によって測定される。一実施態様において、該効果は、TGI、MDSC、及びマクロファージ浸潤、CD8+、及びCD8+におけるIFN-ガンマ産生によって測定される。
一実施態様において、骨髄及びCD8+に対する本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)の効果は、骨髄浸潤物のQT-PCR又は細胞内FACSによって測定される。一実施態様において、該効果は、機能マーカー(例えば、iNOS、アルギナーゼ、又はIL-10)の発現によって測定される。
一実施態様において、該化合物の投与後、腫瘍微小環境における1以上の抗腫瘍免疫細胞の数が増加するか、又は腫瘍微小環境における1以上の抗腫瘍免疫細胞の活性が増大する。
一実施態様において、1以上の免疫療法の治療に感受性がある癌は血液癌である。一実施態様において、該血液癌は慢性リンパ球性白血病(CLL)である。一実施態様において、該腫瘍微小環境はCLL増殖中心である。一実施態様において、該血液癌はリンパ腫である。
一実施態様において、1以上の免疫療法の治療に感受性がある癌は固形腫瘍である。一実施態様において、該固形腫瘍は、肺癌、乳癌、結腸癌、又は膠芽腫である。一実施態様において、該癌は:肺系統の癌、脳腫瘍、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、膵癌、肺癌、髄芽腫、基底細胞癌、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、黒色腫、神経外胚葉腫瘍、頭頸部癌、肉腫、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、平滑筋肉腫、子宮頸癌、子宮癌、子宮内膜癌、上皮性悪性腫瘍、膀胱癌、上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍、びまん型巨細胞腫、及び膠芽腫のうちの1つ又は複数から選択される。一実施態様において、該固形腫瘍は、黒色腫、膀胱癌、頭頸部癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、腎細胞癌、卵巣癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、結腸癌、又は膠芽腫である。
一実施態様において、該固形腫瘍は黒色腫である。一実施態様において、該固形腫瘍は肺癌である。一実施態様において、該固形腫瘍は非小細胞肺癌である。一実施態様において、該固形腫瘍は腎細胞癌である。黒色腫、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、及び腎細胞癌は、免疫療法に感受性があることが知られている。予後不良と高いTAM細胞数とを関連付けるデータが、乳癌、前立腺癌、子宮内膜癌、膀胱癌、腎臓癌、食道癌、表在癌、上皮性悪性腫瘍、黒色腫、及び濾胞性リンパ腫で報告されている。例えば、Lewis及びPollardの文献、Cancer Res. 2006; 66:(2). January 15, 2006を参照されたい。1つの抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(Opdivo - Bristol Myers Squibb)は、計296名の患者を用いた臨床試験において、非小細胞肺癌、黒色腫、及び腎細胞癌で完全な又は部分的な応答を生じさせた。
一実施態様において、該固形腫瘍は頭頸部癌である。頭頸部腫瘍は免疫原性が高い傾向があり、かつ強い抗PD-1/PD-L1効力を有する。一実施態様において、該固形腫瘍は膀胱癌である。膀胱癌も強い抗PD-1/PD-L1効力を有する。TAM細胞の数の多さは、膀胱癌における予後の不良及び腫瘍血管形成の増大と関連付けられている。
一実施態様において、該固形腫瘍は乳癌である。一実施態様において、該乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。TAM細胞の数の多さは、乳癌の予後の不良と関連付けられている。例えば、Lewis及びPollardの文献、Cancer Res. 2006; 66:(2). January 15, 2006を参照されたい。一実施態様において、該固形腫瘍は卵巣癌である。一実施態様において、該固形腫瘍は結腸癌である。乳癌、卵巣癌、及び結腸癌は、免疫療法(例えば、ベバシズマブ及びトラスツズマブ)に感受性があることが知られており、抗PD-1/PD-L1効果も有し得る。
一実施態様において、該固形腫瘍は膠芽腫である。一実施態様において、該固形腫瘍は多形性膠芽腫である。PI3K-ガンマ発現が脳のミクログリアで上方調節されることが報告されている。特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供されるPI3K-γ阻害剤(例えば、化合物1)は、P-糖タンパク質阻害活性を有し得、したがって、血液脳関門を横断することができる。
一実施態様において、該化合物の投与後、参照値と比較して、エフェクターT細胞による抗腫瘍免疫攻撃が増大するか、腫瘍の血管新生が低下するか、細胞外マトリックス(ECM)分解が低下するか、又は腫瘍成長が減少する。
一実施態様において、該癌の腫瘍容量は、該化合物の投与後に低下する。一実施態様において、該癌の腫瘍容量は、参照値と比較して、少なくとも10%、20%、30%、50%、60%、又は60%低下する。
一実施態様において、該癌細胞のアポトーシスのレベルは、該化合物の投与後に増大する。一実施態様において、該癌細胞のアポトーシスのレベルは、参照値と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%増大する。
いくつかの実施態様において、該対象は、免疫療法治療を受けていない。いくつかの実施態様において、該対象は、放射線療法治療を受けていない。いくつかの実施態様において、該対象は、化学療法治療を受けていない。
いくつかの実施態様において、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該対象は、免疫療法による事前の治療又は過去の治療に対して応答性である。一実施態様において、該免疫療法治療は、PD-1又はPD-L1阻害剤などのチェックポイント治療である。一実施態様において、該対象は喫煙者である。喫煙者の患者は、黒色腫又は肺癌、腎臓癌、結腸癌、消化管癌、もしくは頭頸部癌の患者に対する第I相臨床試験において、非喫煙者の患者よりも良好に免疫療法(例えば、PD-L1阻害剤MPDL3280A)に応答し得ることが報告されている。
一実施態様において、該癌は黒色腫であり、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該対象は、2以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。
一実施態様において、該癌は、頭頸部癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、腎細胞癌、又は膀胱癌であり、該対象は、1つの免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。
一実施態様において、該癌は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、膠芽腫、又は結腸癌であり、該対象は、免疫療法治療を受けていない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の黒色腫を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、イピリムマブ(Yervoy)、インターロイキン-2、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、又はトラメチニブである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、ベバシズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、又はデノスマブである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の腎細胞癌を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、ベバシズマブ、インターロイキン-2、アキシチニブ、カルフィルゾミブ、エベロリムス、インターフェロン-α、レナリドミド、パゾパニブ、シロリムス(ラパマイシン)、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、サリドマイド、又はチボザニブである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の膀胱癌を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の頭頸部癌を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、セツキシマブ、ニモツズマブ、ベバシズマブ、又はエルロチニブである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、ベバシズマブ又はトラスツズマブである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の卵巣癌を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、ベバシズマブである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の結腸癌を治療、予防、又は管理する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該免疫療法治療は、ベバシズマブ、セツキシマブ、又はパニツムマブである。
いくつかの実施態様において、本開示は、造血系起源の癌を治療する方法に関する。ある実施態様において、該造血系起源の癌は、リンパ腫又は白血病である。いくつかの実施態様において、該造血系起源の癌は、B系統ALL及びT系統ALLを含む急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)、並びにワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM);末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGL)、急性骨髄球性白血病(AML)、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)、別名、骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、及び好酸球増加症候群(HES))から選択される。
いくつかの実施態様において、本開示は、固形腫瘍を治療する方法に関する。いくつかの実施態様において、該固形腫瘍は、卵巣癌、結腸癌、線維肉腫、膵癌、肺癌、乳癌、リンパ腫、黒色腫、及び膠芽腫から選択される。いくつかの実施態様において、該固形腫瘍はCNS腫瘍である。一実施態様において、該CNS腫瘍は膠芽腫である。化合物1は、血液脳関門を横断する良好な透過性を示しており、かつCNS腫瘍における有効濃度を達成することができる。
一実施態様において、化合物1は、P-gp(P-糖タンパク質)の阻害剤であり得る。P-糖タンパク質は、例えば、中枢神経系疾患の治療において使用される様々な薬物の侵入を妨げる。特定の理論によって束縛されるものではないが、P-gp基質は、PI3K-γ阻害剤で治療されている患者において、正常なレベルのP-gp活性の維持を助けることができる。いくつかの実施態様において、化合物1は、腫瘍から排出されない場合があり、したがって、腫瘍内で化合物1の有効濃度を維持することができる。例えば、該濃度は、約少なくとも6時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、又は少なくとも48時間維持されることができる。一実施態様において、化合物1は、1日に1回投与することができる。
いくつかの実施態様において、化合物1は、P-gp基質である第2の治療薬と組み合わせて患者に投与される。別の実施態様において、化合物1は、第2の治療薬、例えば、P-gp基質である制癌剤の排出を阻害することができる。したがって、化合物1は、腫瘍内で共投与された制癌剤の濃度を維持するのに有効であり得る。例えば、該濃度は、約少なくとも6時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、又は少なくとも48時間維持されることができる。一実施態様において、化合物1は、1日に1回投与することができる。
P-糖タンパク質は血液脳関門の構成要素であり、該関門の内皮細胞の表面に存在する。本明細書に提供されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、P-糖タンパク質阻害剤であることができ、したがって、血液脳関門を横断することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、CNS腫瘍又は脳腫瘍(例えば、膠芽腫)内で有効濃度を維持することができる。
本明細書で使用される場合、「固形腫瘍」は、異常な組織塊を指す。固形腫瘍は、良性又は悪性であり得る。固形腫瘍は、(例えば、白血病などの造血系起源の癌とは対照的に)血流外の解剖学的部位で成長し、成長中の腫瘍塊に栄養分などを供給するために、小血管及び毛細血管の形成を必要とする。固形腫瘍は、それらを形成する癌の種類に因んで命名される。固形腫瘍の非限定的な例としては、肉腫、上皮性悪性腫瘍(上皮腫瘍)、黒色腫、及び膠芽腫がある。
いくつかの実施態様において、本開示は、腫瘍の成長を阻害する方法に関する。「腫瘍の成長を阻害すること」は、腫瘍成長を減速させること及び/又腫瘍サイズを低下させることを指す。したがって、「腫瘍の成長を阻害すること」は、腫瘍細胞を死滅させること及び腫瘍細胞成長を減速又は停止させることを含む。
例示的な固形腫瘍としては、胆道癌(例えば、胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺癌、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫;神経膠腫、例えば、星細胞腫、希突起膠腫;髄芽腫)、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC))、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、神経芽腫、神経線維腫(例えば、1型又は2型の神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵管系神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、膵癌(例えば、膵腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN))、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、皮膚癌(例えば、扁平上皮細胞癌(SCC)、角化棘細胞腫(A)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、及び軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、骨肉腫)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本開示は、造血系起源の癌を治療又は予防する方法であって、対象に、ガンマ選択的化合物(例えば、化合物1)を投与することを含む、方法に関する。ある実施態様において、該造血系起源の癌は、リンパ腫又は白血病である。いくつかの実施態様において、該造血系起源の癌は、B-系統ALL及びT-系統ALLを含む急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM);末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGL)、急性骨髄球性白血病(AML)、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)、別名、骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、及び好酸球増加症候群(HES))から選択される。
いくつかの実施態様において、本開示は、固形腫瘍を治療する方法であって、対象に、ガンマ選択的化合物(例えば、化合物1)を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施態様において、該固形腫瘍は、卵巣癌、結腸癌、線維肉腫、膵癌、肺癌、乳癌、リンパ腫、黒色腫、及び膠芽腫から選択される。
いくつかの実施態様において、本開示は、炎症性疾患を治療する方法であって、対象に、ガンマ選択的化合物(例えば、化合物1)を投与することを含む、方法に関する。
いくつかの実施態様において、該ガンマ選択的化合物は、>1〜<10、10〜<50、又は50〜<350のデルタ/ガンマ選択性比を有しており、約1倍超、約2倍超、約3倍超、約5倍超、約10倍超、約50倍超、約100倍超、約200倍超、約400倍超、約600倍超、約800倍超、約1000倍超、約1500倍超、約2000倍超、約5000倍超、約10,000倍超、又は約20,000倍超のガンマ/デルタ選択性比を有する化合物と組み合わせることができる。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物で、本明細書に提供される方法に従って治療することができる患者としては、例えば、乾癬;再狭窄;アテローム性動脈硬化症;虚血性脳卒中、BPH;乳癌、例えば、腺管癌、小葉癌、髄様癌、膠様癌、管状癌、及び炎症性乳癌;卵巣内の腺癌及び卵巣から腹腔内に移動した腺癌などの上皮性卵巣腫瘍を含む卵巣癌;子宮癌;子宮頸癌、例えば、扁平上皮細胞癌及び腺癌を含む子宮頸上皮内の腺癌;前立腺癌、例えば、以下から選択される前立腺癌:腺癌もしくは骨に移動した腺癌;膵癌、例えば、膵管組織内の類上皮癌及び膵管内の腺癌;膀胱癌、例えば、膀胱内の移行細胞癌、尿路上皮癌(移行細胞癌)、膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞内の腫瘍、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び小細胞癌;白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、NK細胞白血病(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び骨髄異形成症候群(MDS);骨癌;肺癌、例えば、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び大細胞未分化癌に分類される非小細胞肺癌(NSCLC)、並びに小細胞肺癌;皮膚癌、例えば、基底細胞癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、及び扁平上皮細胞癌に発達することがある皮膚状態である光線角化症;眼網膜芽腫;皮膚もしくは眼球内(眼)黒色腫;原発性肝癌;腎臓癌;甲状腺癌、例えば、乳頭甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌、及び未分化甲状腺癌;リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、NK細胞リンパ腫(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、及びバーキットリンパ腫;カポジ肉腫; B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及び肝細胞癌を含むウイルス誘発性癌;ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)及び成人T細胞白血病/リンパ腫;並びにヒトパピローマウイルス(HPV)及び子宮頸癌;中枢神経系癌(CNS)、例えば、神経膠腫(星状細胞腫、未分化星状細胞腫、もしくは多形性膠芽腫)、乏突起膠腫、上衣腫、髄膜腫、リンパ腫、シュワン細胞腫、及び髄芽腫を含む原発性脳腫瘍;末梢神経系(PNS)癌、例えば、神経線維腫及びシュワン細胞腫を含む聴神経腫及び悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、悪性線維性細胞腫(malignant fibrocytoma)、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫、並びに悪性ミュラー管混合腫瘍;口腔及び口腔咽頭癌、例えば、下咽頭癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、及び口腔咽頭癌;胃癌、例えば、リンパ腫、胃間質腫瘍、及びカルチノイド腫瘍;精巣癌、例えば、精上皮腫及び非精巣上皮腫を含む胚細胞腫瘍(GCT)、並びにライディッヒ細胞腫及びセルトリ細胞腫を含む性腺間質腫瘍;胸腺癌、例えば、胸腺腫、胸腺悪性上皮腫瘍、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、カルチノイドもしくはカルチノイド腫瘍;直腸癌;並びに結腸癌を有すると診断された患者が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される化合物、又は該化合物の医薬として許容し得る塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは誘導体で、本明細書に提供される方法に従って治療することができる患者としては、例えば、限定されないが、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫)、良性単クローン性免疫グロブリン血症、胆道癌(例えば、胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺癌、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫;神経膠腫、例えば、星細胞腫、希突起膠腫;髄芽腫)、気管支癌、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌、食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、家族性好酸球増加症、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、免疫球性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、白血病(例えば、B-系統ALL及びT-系統ALLを含む、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM);末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGL)、急性骨髄球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL))、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL))、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)、別名、骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽腫、神経線維腫(例えば、1型又は2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵管系神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、外陰部のパジェット病、陰茎パジェット病、乳頭腺癌、膵癌(例えば、膵腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN))、松果体腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、横紋筋肉腫、網膜芽腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮細胞癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば、虫垂癌)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌)、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、並びにワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む、疾病を有すると診断された患者が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の理論によって限定されるものではないが、一実施態様において、治療又は予防されている癌又は疾患、例えば、血液障害又は血液悪性腫瘍は、高い発現レベルの1以上のPI3Kアイソフォーム(例えば、PI3K-α、PI3K-β、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はこれらの組合せ)を有する。一実施態様において、本明細書に提供される方法、組成物、又はキットによって治療又は予防することができる癌又は疾患としては、限定されないが、とりわけ、骨髄障害、リンパ障害、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、肥満細胞障害、及び骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)を含む、血液障害又は血液悪性腫瘍が挙げられる。一実施態様において、該血液障害又は血液悪性腫瘍としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、T細胞ALL(T-ALL)、B細胞ALL(B-ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、芽球期CML、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CLL/SLL、形質転換CLL、リヒター症候群、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、T細胞NHL、無痛性NHL(iNHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、侵攻性B細胞NHL、B細胞リンパ腫(BCL)、リヒター症候群(RS)、T細胞リンパ腫(TCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、形質転換菌状息肉腫、セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、アミロイド症、MPD、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(MF)、真性赤血球増加症(PV)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄異形成症候群(MDS)、血管免疫芽球性リンパ腫、高リスクMDS、及び低リスクMDSが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、血液悪性腫瘍は再発性である。一実施態様において、血液悪性腫瘍は不応性である。一実施態様において、癌又は疾患は、小児の患者(幼児の患者を含む)におけるものである。一実施態様において、癌又は疾患は、成人の患者におけるものである。本明細書に提供される方法、組成物、又はキットによって治療又は予防されることになっている癌又は疾患のさらなる実施態様は、本明細書の別所に記載されている。
例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLL/SLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、形質転換CLL又はリヒター症候群である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はSLLである。一実施態様において、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物(例えば、本明細書に提供されるPI3K-γ選択的化合物)は、T細胞及び骨髄細胞(例えば、マクロファージ又は分極M2マクロファージ)の遊走及び/又は活性化を阻害し、これらの細胞によって提供される腫瘍微小環境(TME)内の悪性CLL細胞に対する生存及び/又は増殖の支持を低下させる。一実施態様において、特定の理論によって限定されるものではないが、CD3+ T細胞のCLL関連ケモカインCXCL12への遊走は、本明細書に提供される化合物(例えば、本明細書に提供されるPI3K-γ選択的化合物)によって遮断される。別の実施態様において、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物(例えば、本明細書に提供されるPI3K-γ選択的化合物)は、化学療法後の骨髄細胞の腫瘍への遊走を阻害することに対するその作用を通じて、化学療法後の骨髄細胞によって媒介される癌の再成長を遮断する。
例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB細胞NHL(例えば、侵攻性B細胞NHL)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はRSである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はAMLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMMである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT-ALLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB-ALLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はTCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は白血病である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はリンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT細胞リンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMDS(例えば、低悪性度MDS)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMPDである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は肥満細胞障害である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はホジキンリンパ腫(HL)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は非ホジキンリンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はPTCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCL(例えば、菌状息肉腫又はセザリー症候群)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はWMである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCMLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はFLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は形質転換菌状息肉腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はセザリー症候群である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は急性T細胞白血病である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は急性B細胞白血病である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はバーキットリンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は骨髄増殖性新生物である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は脾臓辺縁帯である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は節性辺縁帯である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は節外性辺縁帯である。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB細胞リンパ腫である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、B細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。また本明細書に提供されるのは、B細胞リンパ腫と関連する症状の1つ又は複数を治療又は軽減する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該B細胞リンパ腫はiNHLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は濾胞性リンパ腫である。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫はワルデンシュトレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)である。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は辺縁帯リンパ腫(MZL)である。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫はMCLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫はHLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫はiNHLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫はDLBCLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫はリヒターリンパ腫である。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT細胞リンパ腫である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。また本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫と関連する症状の1つ又は複数を治療又は軽減する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該T細胞リンパ腫は末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。別の実施態様において、該T細胞リンパ腫は皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はセザリー症候群である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、セザリー症候群を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。また本明細書に提供されるのは、セザリー症候群と関連する症状の1つ又は複数を治療又は軽減する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。セザリー症候群と関連する症状としては、腫瘍性CD4+リンパ球による表皮向性、ポートリエ微小腫瘍、紅皮症、リンパ節腫脹症、末梢血中の異型T細胞、及び肝脾腫大症が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、セザリー症候群を治療又は管理するための治療的有効量は、1日に2回投与される、約25mg〜75mgである。他の実施態様において、該治療的有効量は、その各々が1日に2回投与される、約50mg〜約75mg、約30mg〜約65mg、約45mg〜約60mg、約30mg〜約50mg、又は約55mg〜約65mgである。一実施態様において、該有効量は、1日に2回投与される、約60mgである。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は再発性である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性である。ある実施態様において、治療又は予防されることになっている癌は、本明細書に記載される特定の亜型の癌である。ある実施態様において、治療又は予防されることになっている血液悪性腫瘍は、本明細書に記載される特定の亜型の血液悪性腫瘍である。本明細書に提供される癌又は血液悪性腫瘍の型又は亜型の特定の分類は当技術分野で公知である。特定の理論によって限定されるものではないが、再発し又は不応性になる癌の多くは癌を治療するために投与される特定の前治療に対する抵抗性を発生させると考えられる。したがって、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物は、特定の前治療によって利用される機構とは異なる癌を治療するための代替機構を提供することにより、二次治療を提供することができる。したがって、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法であり、ここで、該癌又は血液悪性腫瘍は、前治療後に再発するか、又は前治療に不応性である。
例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性iNHLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性CLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性SLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、リツキシマブ療法に不応性である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、化学療法に不応性である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、放射免疫療法(RIT)に不応性である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、iNHL、FL、脾臓辺縁帯、節性辺縁帯、節外性辺縁帯、又はSLLであり、該癌又は血液悪性腫瘍は、リツキシマブ療法、化学療法、及び/又はRITに不応性である。
別の例示的な実施態様において、癌又は血液悪性腫瘍はリンパ腫であり、かつ該癌は、限定されないが、イブルチニブ又はONO-4059などのBTK阻害剤による治療後に再発するか、又は該治療に対して不応性である。別の例示的な実施態様において、癌又は血液悪性腫瘍はCLLであり、かつ該癌は、限定されないが、イブルチニブ及びAVL-292などのBTK阻害剤による治療後に再発するか、又は該治療に対して不応性である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、選択的PI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。
一実施態様において、該固形腫瘍は:肺系統の癌、脳腫瘍、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、膵癌、肺癌、髄芽腫、基底細胞癌、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、黒色腫、神経外胚葉腫瘍、頭頸部癌、肉腫、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、平滑筋肉腫、子宮頸癌、子宮癌、子宮内膜癌、上皮性悪性腫瘍、膀胱癌、上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍、びまん型巨細胞腫、及び膠芽腫のうちの1つ又は複数から選択される。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該化合物の投与後、参照値と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%の腫瘍成長の低下をもたらすのに十分な用量で投与される。
一実施態様において、該方法は、免疫モジュレーターを該対象に投与することをさらに含む。一実施態様において、該免疫モジュレーターは、PDL-1阻害剤又は抗PDL-1抗体である。
一実施態様において、該方法は、PI3K-デルタ阻害剤を該対象に投与することをさらに含む。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該対象における該化合物のレベルが、投与直後の選択された期間、例えば、6時間、12時間、24時間、又は48時間の少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%、又は99%の間、該化合物のPI3K-ガンマ阻害のIC50よりも高いような用量で投与される。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該対象における該化合物のレベルが、投与直後の選択された期間、例えば、6時間、12時間、24時間、又は48時間の少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%、又は99%の間、該化合物のPI3K-デルタ阻害のIC50よりも低いような用量で投与される。一実施態様において、該化合物のレベルは、対象の血漿から測定される。一実施態様において、該化合物のレベルは、対象の組織から測定される。
一実施態様において、該対象は、シクロホスファミド、ドセタキセル、パクリタキセル、5-FU、又はテモゾロミドで過去に治療されたことがある。
一実施態様において、該化合物の抗腫瘍効果は、該化合物による治療の中止後、一定期間維持される。一実施態様において、該一定期間は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、又は6日である。
(炎症性障害の治療)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における自己免疫疾患を含む、炎症性障害を治療する方法である。該方法は、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む。自己免疫疾患の例としては、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性皮膚疾患、セリアック病、クローン病、糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞動脈炎」としても知られる)、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症(例えば、炎症性脱毛症)、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、汗腺膿瘍、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性結腸炎、白斑、及び外陰部痛が挙げられるが、これらに限定されない。他の障害としては、骨吸収障害及び血栓症が挙げられる。
炎症は多くの形態で起こり、これには、急性、癒着性、萎縮性、カタル性、慢性、硬変性、散在性、播種性、滲出性、線維素性、線維化性、限局性、肉芽腫性、過形成性、肥大型、間質性、転移性、壊死性、閉塞性、実質性、可塑性、生産的、増殖性、偽膜性、膿性、硬化性、血清可塑性、漿液性、単純性、特異的、亜急性、化膿性、毒性、外傷性、及び/又は潰瘍性の炎症が含まれるが、これらに限定されない。
例示的な炎症性疾患としては、座瘡、貧血(例えば、再生不良性貧血、溶血性自己免疫性貧血)、喘息、動脈炎(例えば、多発動脈炎、側頭動脈炎、結節性動脈周囲炎、高安動脈炎)、関節炎(例えば、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風発作(gout flare)、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチ、及びライター関節炎)、強直性脊椎炎、穀粉症、筋萎縮性側索硬化症、自己免疫疾患、アレルギー又はアレルギー反応、アテローム性動脈硬化症、気管支炎、滑液包炎、慢性前立腺炎、結膜炎、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、皮膚筋炎、憩室炎、糖尿病(例えば、I型糖尿病、2型糖尿病)、皮膚疾患(例えば、乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、掻痒症(痒み))、子宮内膜症、ギラン・バレー症候群、感染症、虚血性心疾患、川崎病、糸球体腎炎、歯肉炎、過敏症、頭痛(例えば、片頭痛性頭痛、緊張性頭痛)、イレウス(例えば、術後イレウス及び敗血症時のイレウス)、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎(疼痛性膀胱症候群)、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、限局性腸炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性結腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎、コラーゲン蓄積結腸炎、リンパ球性結腸炎、虚血性結腸炎、便流変更性結腸炎、ベーチェット症候群、分類不能結腸炎)、及び炎症性腸症候群(IBS)から選択される)、狼瘡、多発性硬化症、斑状強皮症、重症筋無力症、心筋虚血、ネフローゼ症候群、尋常性天疱瘡、悪性貧血、消化性潰瘍、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、脳障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、及びアルツハイマー病)と関連する神経炎症、前立腺炎、頭蓋放射線損傷と関連する慢性炎症、骨盤内炎症性疾患、リウマチ性多発性筋痛、再還流障害、限局性腸炎、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、強皮症、スクレロドーマ、サルコイドーシス、脊椎関節症、シェーグレン症候群、甲状腺炎、移植拒絶反応、腱炎、外傷又は損傷(例えば、凍傷、化学刺激物質、毒素、瘢痕化、火傷、身体的損傷)、血管炎、白斑、並びにウェゲナー肉芽腫症と関連する炎症が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、炎症性障害は、関節炎(例えば、関節リウマチ)、炎症性腸疾患、炎症性腸症候群、喘息、乾癬、子宮内膜症、間質性膀胱炎、及び前立腺炎から選択される。ある実施態様において、炎症性疾患は、急性炎症性疾患(例えば、感染に起因する炎症など)である。ある実施態様において、炎症性疾患は、慢性炎症性疾患(例えば、喘息、関節炎、及び炎症性腸疾患に起因する疾患)である。化合物は、外傷と関連する炎症、及び非炎症性筋肉痛を治療する際にも有用であることができる。
免疫障害、例えば、自己免疫障害としては、関節炎(関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変性性関節疾患、例えば、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化脊椎炎、ベーチェット病、溶血性自己免疫性貧血、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、穀粉症、急性肩痛、乾癬性、及び若年性関節炎を含む)、喘息、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、気管支炎、腱炎、滑液包炎、皮膚疾患(例えば、乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、掻痒症(痒み))、遺尿症、好酸球性疾患、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、限局性腸炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性結腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎、コラーゲン蓄積結腸炎、リンパ球性結腸炎、虚血性結腸炎、便流変更性結腸炎、ベーチェット症候群、分類不能結腸炎)、及び炎症性腸症候群(IBS)から選択される)、再発性多発性軟骨炎(例えば、萎縮性多発性軟骨炎及び全身性多発性軟骨軟化症)、並びに消化管運動促進剤によって改善される障害(例えば、イレウス、術後イレウス、及び敗血症時のイレウス;胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD);好酸球性食道炎、胃不全麻痺、例えば、糖尿病性胃不全麻痺;食物不耐性及び食物アレルギー、並びに他の機能性腸疾患、例えば、非潰瘍性消化不良(NUD)及び非心臓性胸痛(NCCP、肋軟骨炎を含む))が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、炎症性疾患又は自己免疫疾患を治療する方法であって、対象(例えば、哺乳動物)に、他の全てのタイプI PI3キナーゼと比較して、PI3K-δ及び/又はPI3K-γを選択的に阻害する治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法が提供される。PI3K-δ及び/又はPI3K-γのそのような選択的阻害は、本明細書に記載される疾患又は状態のいずれかを治療するのに有利であり得る。例えば、PI3K-δ及び/又はPI3K-γの選択的阻害は、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は限定されないが、喘息、肺気腫、アレルギー、皮膚炎、関節リウマチ、乾癬、エリテマトーデス、アナフィラキシー、もしくは移植片対宿主病を含む、望ましくない免疫応答に関連する疾患と関連する炎症性応答を阻害することができる。PI3K-δ及び/又はPI3K-γの選択的阻害はさらに、細菌、ウイルス、及び/又は真菌感染を低下させる能力の付随的な低下を伴わずに、炎症性応答又は望ましくない免疫応答の低下を提供することができる。PI3K-δとPI3K-γの両方の選択的阻害は、対象における炎症応答を、PI3K-δ又はPI3K-γのみを選択的に阻害する阻害剤によって提供されるものよりも大きい程度に阻害するのに有利であり得る。一態様において、対象方法のうちの1つ又は複数は、インビボでの抗原特異的抗体産生を、約2倍、3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、750倍、もしくは約1000倍、又はそれよりも大きく低下させるのに有効である。別の態様において、対象方法のうちの1つ又は複数は、インビボでの抗原特異的IgG3及び/又はIgGM産生を、約2倍、3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、750倍、もしくは約1000倍、又はそれよりも大きく低下させるのに有効である。
一態様において、対象方法のうちの1つ又は複数は、限定されないが、関節腫脹の軽減、血清抗コラーゲンレベルの低下、並びに/又は骨吸収、軟骨損傷、パンヌス、及び/もしくは炎症などの関節病態の軽減を含む、関節リウマチと関連する症状を改善するのに有効である。別の態様において、対象方法は、足首の炎症を、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、もしくは60%、又は約75%〜90%軽減するのに有効である。別の態様において、対象方法は、膝の炎症を、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、もしくは60%、又は約75%〜90%、又はそれよりも大きく軽減するのに有効である。さらに別の態様において、対象方法は、血清抗II型コラーゲンレベルを、少なくとも約10%、12%、15%、20%、24%、25%、30%、35%、50%、60%、75%、80%、86%、もしくは87%、又は約90%、又はそれよりも大きく軽減するのに有効である。別の態様において、対象方法は、足首の組織病理学的スコアを、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、もしくは90%、又はそれよりも大きく低下させるのに有効である。さらに別の態様において、対象方法は、膝の組織病理学的スコアを、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、もしくは90%、又はそれよりも大きく低下させるのに有効である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の関節炎を治療又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、選択的PI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該治療は、対象の骨膜骨形成の低下をもたらす。一実施態様において、該治療は、参照値と比較して、対象の骨膜骨形成の少なくとも10%、20%、40%、47%、50%、52%、60%、80%、又は82%の低下をもたらす。一実施態様において、該骨膜骨形成は、組織病理学的スコア又は骨膜骨幅によって測定される。一実施態様において、該治療は、参照値と比較して、対象の炎症の少なくとも10%、20%、27%、30%、36%、40%、45%、50%、又は57%の低下、パンヌスの少なくとも10%、20%、28%、30%、40%、44%、50%、又は60%、70%、又は71%の低下、軟骨損傷の少なくとも10%、20%、28%、30%、40%、45%、50%、又は59%の低下、又は骨吸収の少なくとも10%、20%、25%、30%、40%、44%、50%、60%、又は65%の低下をもたらす。一実施態様において、該治療は、対象の関節腫脹又は抗コラーゲンレベルの低下をもたらす。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kのδアイソフォームが、他のPI3Kアイソフォーム、例えば、PI3K-α及び/又はPI3K-βよりも大きい程度に関係があるとされる障害又は状態を治療するための方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kのγアイソフォームが、他のPI3Kアイソフォーム、例えば、PI3K-α及び/又はPI3K-βよりも大きい程度に関係があるとされる障害又は状態を治療するための方法である。PI3K-δ及び/又はPI3K-γの選択的阻害は、PI3K-α及び/又はPI3K-βを阻害する選択性の低い化合物を上回る利点、例えば、副作用プロファイルの改善、又は細菌、ウイルス、及び/もしくは真菌感染を低下させる能力の低下の軽減を提供することができる。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を用いて、限定されないが、肺葉、胸膜腔、気管支、気管、上気道、又は呼吸のための神経及び筋肉を侵す疾患を含む、呼吸器疾患を治療する方法である。例えば、閉塞性肺疾患を治療するための方法が提供される。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気流の閉塞又は制限を特徴とする気道疾患群に対する包括的用語である。この包括的用語に含まれる状態としては:慢性気管支炎、肺気腫、及び気管支拡張症が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、喘息の治療に使用される。また、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は本明細書に記載される医薬組成物は、内毒素血症及び敗血症の治療に使用することができる。一実施態様において、本明細書に記載される化合物又は医薬組成物は、関節リウマチ(RA)の治療に使用される。さらに別の実施態様において、本明細書に記載される化合物又は医薬組成物は、接触性又はアトピー性皮膚炎の治療に使用される。接触性皮膚炎としては、刺激性皮膚炎、光毒性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、光アレルギー性皮膚炎、接触蕁麻疹、全身接触型皮膚炎などが挙げられる。刺激性皮膚炎は、過剰の物質がその皮膚に対して用いられた場合、又は皮膚が特定の物質に対して感受性である場合に生じることがある。湿疹と呼ばれることもあるアトピー性皮膚炎は、皮膚炎の一種であるアトピー性の皮膚疾患である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、炎症性疾患に罹患している対象における好中球の遊走又は浸潤を低下させる方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、選択的PI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該好中球の遊走又は浸潤は、該化合物の投与後、参照値と比較して、少なくとも約10%、20%、40%、60%、80%、又は90%低下する。一実施態様において、該炎症性疾患は、COPD、関節炎、喘息、乾癬、強皮症、筋炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、CREST症候群、全身エリテマトーデス、シェーグレン症候群、脳脊髄炎、及び炎症性腸疾患(IBD)からなる群から選択される。一実施態様において、該炎症性疾患は、COPD又は関節炎である。一実施態様において、該対象は、PI3K-デルタ阻害剤治療に非応答性又は不応性である。
(他の障害又は疾病の治療)
いくつかの実施態様において、本開示に提供されるのは、対象における脈管形成又は血管新生に関連する疾患を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、該方法は、腫瘍血管新生、慢性炎症性疾患、例えば、関節リウマチ及び慢性炎症性脱髄性多発性神経炎、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、皮膚病、例えば、乾癬、湿疹、及び強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜症、早産児網膜症、加齢黄斑変性症、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、並びに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌、並びに類表皮癌からなる群から選択される疾患を治療するためのものである。
さらに、本明細書に記載される化合物は、アテローム性動脈硬化症を含む動脈硬化症の治療に使用することができる。動脈硬化症は、中動脈又は大動脈の任意の硬化を説明する一般用語である。アテローム性動脈硬化症は、特にアテローム斑による動脈の硬化である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の心血管疾患を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。心血管疾患の例としては、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血管閉塞、及び頸動脈閉塞性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本開示は、対象の糖尿病を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
さらに、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、座瘡を治療するために使用することができる。ある実施態様において、該炎症性疾患及び/又は免疫障害は皮膚疾患である。いくつかの実施態様において、該皮膚疾患は、掻痒症(痒み)、乾癬、湿疹、火傷、又は皮膚炎である。ある実施態様において、該皮膚疾患は乾癬である。ある実施態様において、該皮膚疾患は掻痒症である。
ある実施態様において、炎症性障害及び/又は免疫障害は、胃腸障害である。いくつかの実施態様において、該胃腸障害は、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、限局性腸炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性結腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎、コラーゲン蓄積結腸炎、リンパ球性結腸炎、虚血性結腸炎、便流変更性結腸炎、ベーチェット症候群、分類不能結腸炎)、及び炎症性腸症候群(IBS)から選択される)から選択される。ある実施態様において、該胃腸障害は炎症性腸疾患(IBD)である。
さらに、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、糸球体腎炎の治療に使用することができる。糸球体腎炎は、糸球体の炎症を特徴とする原発性又は続発性の自己免疫性腎疾患である。それは、無症候であるか、又は血尿及び/もしくはタンパク尿を示すことがある。数多くのタイプが認められており、急性、亜急性、又は慢性糸球体腎炎に分類される。原因は、感染性(細菌性、ウイルス性、もしくは寄生性病原体)、自己免疫性、又は傍腫瘍性である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、多臓器不全の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。また、本明細書に提供されるのは、対象の肝疾患(糖尿病を含む)、胆嚢疾患(胆石を含む)、膵炎もしくは腎疾患(増殖性糸球体腎炎及び糖尿病誘発性腎疾患を含む)、又は疼痛の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における未分化胚芽細胞着床の予防のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、限定されないが、特発性血小板減少性紫斑病、ベルナール・スーリエ症候群、グランツマン血小板無力症、スコット症候群、フォン・ヴィレブランド病、ヘルマンスキー・プドゥラック症候群、及び灰色血小板症候群を含む、血小板凝集又は血小板粘着を伴う障害の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、骨格筋萎縮、骨格肥大、又は筋肥大である疾患の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、限定されないが、本明細書で論じられている癌、移植関連障害(例えば、拒絶反応率の低下、移植片対宿主病など)、筋硬化症(MS)、アレルギー性障害(例えば、関節炎、アレルギー性脳脊髄炎)、及び他の免疫抑制関連障害、代謝障害(例えば、糖尿病)、血管損傷後の内膜肥厚の低下、並びにミスフォールドタンパク質障害(例えば、アルツハイマー病、ゴーシェ病、パーキンソン病、ハンチントン病、嚢胞性線維症、黄斑変性症、網膜色素変性症、及びプリオン病)(mTOR阻害は、ミスフォールドタンパク質凝集体の効果を軽減することができるので)を含む、障害の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。これらの障害には、過誤腫症候群、例えば、結節硬化症並びにカウデン病(カウデン症候群及び多発性過誤腫症候群とも呼ばれる)も含まれる。
さらに、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、滑液包炎、狼瘡、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、アミロイドーシス(全身性及び限局性アミロイドーシス;並びに原発性及び続発性アミロイドーシスを含む)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、糖尿病(1型)、好酸球性胃腸炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、炎症性腸疾患、エリテマトーデス(皮膚エリテマトーデス及び全身性エリテマトーデスを含む)、重症筋無力症、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、変形性関節症、ブドウ膜網膜炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、汗腺膿瘍、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性結腸炎、白斑、外陰部痛、虫垂炎、動脈炎、関節炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、絨毛羊膜炎、結腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、肝炎、汗腺炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎(別名、腱鞘巨細胞腫)、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎(例えば、眼球ブドウ膜炎)、膣炎、血管炎、又は外陰炎の治療に使用することができる。
さらに、本明細書に提供される化合物は、通年性アレルギー性鼻炎、腸間膜炎、腹膜炎、先端皮膚病、皮膚脈管炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、多形性紅斑、間擦疹、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、皮膚アレルギー、重症アレルギー反応/アナフィラキシー、アレルギー性肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性結膜炎、脈絡網膜炎、結膜炎、感染性角結膜炎、角結膜炎、新生児眼炎、トラコーマ、ブドウ膜炎、眼の炎症、眼内リンパ腫、MALTリンパ腫、眼瞼結膜炎、乳腺炎、歯肉炎、歯冠周囲炎、咽頭炎、鼻咽喉炎、唾液腺炎、筋骨格系の炎症、成人発症スティル病、ベーチェット病、滑液包炎、軟骨石灰化症、指炎、フェルティ症候群、痛風、感染性関節炎、ライム病、炎症性変形性関節症、関節周囲炎、ライター症候群、ロスリバーウイルス感染、急性呼吸窮迫症候群、急性気管支炎、急性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、喘息、重症難治性喘息、咽頭炎、胸膜炎、鼻咽喉炎、季節性アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、喘息重積状態、気管気管支炎、鼻炎、漿膜炎、髄膜炎、視神経脊髄炎、ポリオウイルス感染、アルポート症候群、亀頭炎、精巣上体炎、睾丸副睾丸炎、巣状分節性糸球体硬化症、糸球体腎炎、IgA腎症(ベルジェ病)、精巣炎、子宮傍結合組織炎、骨盤内炎症性疾患、前立腺炎、腎盂炎、腎盂膀胱炎、腎盂腎炎、ウェゲナー肉芽腫症、高尿酸血症、大動脈炎、動脈炎、乳糜心膜炎、ドレスラー症候群、動脈内膜炎、心内膜炎、頭蓋外側頭動脈炎、HIV関連動脈炎、頭蓋内側頭動脈炎、川崎病、リンパ管静脈炎、モンドール病、動脈周囲炎、又は心外膜炎の治療に使用することができる。
他の態様において、本明細書に提供される化合物は、自己免疫性肝炎、空腸炎、腸間膜炎、粘膜炎、非アルコール性脂肪性肝炎、非ウイルス性肝炎、自己免疫性膵炎、肝周囲炎、腹膜炎、回腸嚢炎、直腸炎、偽膜性大腸炎、S字結腸炎、卵管腹膜炎、S字結腸炎、脂肪肝炎、潰瘍性大腸炎、チャーグ・ストラウス症候群、潰瘍性直腸炎、過敏性大腸症候群、胃腸炎、急性全腸炎、肛門炎、膵性組織壊死、胆嚢炎、大腸炎、クローン病、憩室炎、腸炎、全腸炎、腸肝炎、好酸球性食道炎、食道炎、胃炎、出血性腸炎、肝炎、肝炎ウイルス感染、肝胆管炎、肥厚性胃炎、回腸炎、回盲部炎、サルコイドーシス、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、狼瘡(皮膚/全身性/腎炎)、AIDS、無ガンマグロブリン血症、AIDS関連症候群、ブルトン病、チェディアック・東症候群、分類不能型免疫不全症、ディ・ジョージ症候群、ガンマグロブリン異常症、免疫グロブリン欠損症、ヨブ症候群、ネゼロフ症候群、貪食殺菌機能障害(Phagocyte bactericidal disorder)、ウィスコット・アルドリッチ症候群、無脾症、象皮病、脾機能亢進症、川崎病、リンパ節症、リンパ浮腫、リンパ嚢腫、ノンネ・ミルロイ・メージュ症候群、脾臓疾患、脾腫、胸腺腫、胸腺疾患、血管周囲炎、静脈炎、胸膜心膜炎、結節性多発動脈炎、脈管炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、血栓血管炎、閉塞性血栓血管炎、血栓性心内膜炎、血栓性静脈炎、又はCOPDの治療に使用することができる。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、白血球の機能を破壊するか又は破骨細胞の機能を破壊する方法である。該方法は、白血球又は破骨細胞を、機能を破壊する量の本明細書に提供される化合物と接触させることを含む。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は本明細書に提供される医薬組成物のうちの1つ又は複数を対象の目に投与することによる眼科的疾患の治療のための方法である。
本明細書に提供される化合物を、点眼薬、眼内注射、硝子体内注射によって局所的に、又は薬物溶出装置、マイクロカプセル、インプラント、もしくはマイクロ流体装置の使用によって投与するための方法がさらに提供される。いくつかの例において、本明細書に提供される化合物は、界面フィルムによって囲まれた油性コアを有するコロイド粒子を含む油水エマルジョンなどの化合物の眼球内透過を増大させる担体又は賦形剤とともに投与される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:クローン病;皮膚狼瘡;多発性硬化症;関節リウマチ;及び全身性エリテマトーデスである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:強直性脊椎炎;慢性閉塞性肺疾患;重症筋無力症;眼球ブドウ膜炎、乾癬;及び乾癬性関節炎である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:成人発症スティル病;炎症性脱毛症;アミロイドーシス;抗リン脂質症候群;自己免疫性肝炎;自己免疫性皮膚疾患、ベーチェット病;慢性炎症性脱髄性多発性神経炎;好酸球性胃腸炎;炎症性筋疾患、天疱瘡、リウマチ性多発性筋痛;再発性多発性軟骨炎;シェーグレン症候群;側頭動脈炎;潰瘍性大腸炎;血管炎;白斑、及びウェゲナー肉芽腫である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:痛風性炎症;サルコイドーシス;及び全身性硬化症である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:喘息;関節炎(例えば、関節リウマチ及び乾癬性関節炎);乾癬;強皮症;筋炎(例えば、皮膚筋炎);狼瘡(例えば、皮膚エリテマトーデス(「CLE」)もしくは全身性エリテマトーデス(「SLE」));又はシェーグレン症候群である。
該疾患又は障害の治療、予防、及び/又は管理における本明細書に提供される化合物の効力は、当技術分野で公知の様々な動物モデルを用いて試験することができる。例えば:喘息の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Leeらの文献(2006) J Allergy Clin Immunol 118(2): 403-9に記載されているova誘導喘息モデルを用いて評価することができ;関節炎(例えば、関節リウマチ又は乾癬性関節炎)の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Williamsらの文献(2010) Chem Biol, 17(2): 123-34、WO 2009/088986号、WO2009/088880号、及びWO 2011/008302号に記載されている自己免疫動物モデルを用いて評価することができ;乾癬の治療、予防、及び/又は管理における効力は、その全てが、例えば、Boehnckeらの文献(2007) Clinics in Dermatology, 25: 596-605に記載されている、表皮、血管系、又は免疫細胞における標的突然変異を伴うトランスジェニック又はノックアウトマウスモデル、自然突然変異から得られるマウスモデル、及びヒトの皮膚又は免疫細胞の異種移植を伴う免疫不全マウスモデルを用いて評価することができ;線維症又は線維症状態(fibrotic condition)の治療、予防、及び/又は管理における効力は、腎線維症の片側尿管閉塞モデル(Chevalierらの文献、Kidney International(2009) 75: 1145-1152参照)、ブレオマイシン誘導肺線維症モデル(Moore及びHogaboamの文献、Am. J. Physiol. Lung. Cell. Mol. Physiol.(2008) 294: L152-L160参照)、種々の肝/胆管線維症モデル(Chuangらの文献、Clin Liver Dis(2008) 12: 333-347、及びOmenetti, Aらの文献(2007) Laboratory Investigation 87: 499-514(胆管結紮モデル)参照)、又はいくつかの骨髄線維症マウスモデル(Varicchio, L.らの文献(2009) Expert Rev. Hematol. 2(3): 315-334参照)を用いて評価することができ;強皮症の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Yamamotoらの文献(1999) J Invest Dermatol 112: 456-462に記載されている、ブレオマイシン(「BLM」)の反復局所注射によって誘導されるマウスモデルを用いて評価することができ;皮膚筋炎の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Phyanagiらの文献(2009) Arthritis & Rheumatism, 60(10): 3118-3127に記載されている、ウサギミオシンによる免疫によって誘導される筋炎マウスモデルを用いて評価することができ;狼瘡(例えば、CLE又はSLE)の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Ghoreishiらの文献(2009) Lupus, 19: 1029-1035、Ohlらの文献(2011) Journal of Biomedicine and Biotechnology, Article ID 432595(14ページ)、Xiaらの文献(2011) Rheumatology, 50: 2187-2196、Pauらの文献(2012) PLoS ONE, 7(5): e36761(15ページ)、Mustafaらの文献(2011) Toxicology, 290: 156-168、Ichikawaらの文献(2012) Arthritis and Rheumatism, 62(2): 493-503、Ouyangらの文献(2012) J Mol Med, DOI 10.1007/s00109-012-0866-3(10ページ)、Rankinらの文献(2012) Journal of Immunology, 188: 1656-1667に記載されている様々な動物モデルを用いて評価することができ;並びにシェーグレン症候群の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Chioriniらの文献(2009) Journal of Autoimmunity, 33: 190-196に記載されている様々なマウスモデルを用いて評価することができる。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、喘息を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「喘息」は、原因を問わず、気道狭窄を包含する。喘息の一般的な誘因としては、環境刺激物(例えば、アレルゲン)、冷たい空気、温かい空気、香料、湿った空気、運動又は労作、及び情動ストレスへの暴露が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に提供されるのは、喘息と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては、激しい咳、気道狭窄、及び粘液産生が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、関節炎を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「関節炎」は、全ての種類及び症状の関節炎を包含する。例としては、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチ、及びライター関節炎が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該疾患又は障害は、関節リウマチである。別の実施態様において、該疾患又は障害は、乾癬性関節炎である。また、本明細書に提供されるのは、関節炎と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては、関節変形に進行する関節痛、又は体器官、例えば、血管、心臓、肺、皮膚、及び筋肉の損傷が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、乾癬を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「乾癬」は、全ての種類及び症状の乾癬を包含する。例としては、尋常性乾癬(例えば、慢性の尋常性乾癬、中等度の尋常性乾癬、及び重度の尋常性乾癬)、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、尋常性天疱瘡、乾癬性紅皮症、炎症性腸疾患(IBD)と関連する乾癬、並びに関節リウマチ(RA)と関連する乾癬が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に提供されるのは、乾癬と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては:銀色の鱗屑で覆われた皮膚の紅斑;小さな落屑性の領域;出血している場合がある、乾燥した、ひび割れた皮膚;掻痒;灼熱感;ひりひりとした痛み;肥厚した、陥凹した、又は隆起した爪;並びに腫脹し、かつこわばった関節が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、線維症及び線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「線維症」又は「線維症状態は、全ての種類及び症状の線維症又は線維症状態を包含する。例としては、組織線維症の形成又は沈着;線維性病変の大きさ、細胞充実度(例えば、線維芽細胞もしくは免疫細胞数)、組成;又は細胞内含有量の低下;線維性病変のコラーゲン又はヒドロキシプロリン含有量の低下;線維形成タンパク質の発現又は活性の低下;炎症応答と関連する線維症の軽減;線維症と関連する体重減少の低下;或いは生存期間の延長が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、線維症状態は、原発性線維症である。一実施態様において、線維症状態は、特発性である。他の実施態様において、線維症状態は、疾患(例えば、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、悪性もしくは癌性疾患、及び/又は結合組織疾患(connective disease));毒素;損傷(例えば、環境危険因子(例えば、石綿、炭塵、多環式芳香族炭化水素)、喫煙、創傷);医学的処置(例えば、外科的切開、化学療法、もしくは放射線療法)、或いはこれらの組合せと関連する(例えば、これらに続発する)。
いくつかの実施態様において、線維症状態は、強皮症又は狼瘡、例えば、全身性エリテマトーデスから選択される自己免疫疾患と関連する。いくつかの実施態様において、線維症状態は、全身性である。いくつかの実施態様において、線維症状態は、全身性硬化症(例えば、限定性全身性硬化症、びまん性全身性硬化症、もしくは皮膚硬化のない全身性強皮症)、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、慢性移植片対宿主病、又はアテローム性動脈硬化症である。
ある実施態様において、線維症状態は、肺の線維症状態、肝臓の線維症状態、心臓もしくは血管系の線維症状態、腎臓の線維症状態、皮膚の線維症状態、胃腸管の線維症状態、骨髄もしくは造血組織の線維症状態、神経系の線維症状態、眼の線維症状態、又はこれらの組合せである。
他の実施態様において、線維症状態は、筋肉、腱、軟骨、皮膚(例えば、皮膚の表皮もしくは内皮)、心組織、血管組織(例えば、動脈、静脈)、膵組織、肺組織、肝組織、腎組織、子宮組織、卵巣組織、神経組織、精巣組織、腹膜組織、結腸、小腸、胆道、腸、骨髄、造血組織、又は眼(例えば、網膜)組織の1つ又は複数から選択される組織に作用する。
いくつかの実施態様において、線維症状態は、眼の線維症状態である。いくつかの実施態様において、線維症状態は、緑内障、黄斑変性症(例えば、加齢黄斑変性症)、黄斑浮腫(例えば、糖尿病性黄斑浮腫)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症)、又はドライアイ疾患である。
ある実施態様において、線維症状態は、肺の線維症状態である。ある実施態様において、肺の線維症状態は:肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、通常型間質性肺炎(UIP)、間質性肺疾患、特発性線維化性肺胞炎(CFA)、気管支拡張症、及び強皮症肺疾患のうちの1つ又は複数から選択される。一実施態様において、肺の線維症は、疾患、毒素、損傷、医学的処置、又はこれらの組合せに続発する。例えば、肺の線維症は:石綿症及び珪肺症などの疾患経過;職業上の危険;環境汚染物質;喫煙;自己免疫性結合組織障害(例えば、関節リウマチ、強皮症、及び全身性エリテマトーデス(SLE));結合組織障害、例えば、サルコイドーシス;感染性疾患、例えば、感染症、特に、慢性感染症;限定されないが、放射線療法、並びに薬物療法、例えば、化学療法(例えば、ブレオマイシン、メトトレキセート、アミオダロン、ブスルファン、及び/又はニトロフラントインによる処理)を含む、医学的処置のうちの1つ又は複数と関連する(例えば、これらに続発する)ことがある。一実施態様において、本明細書に提供される方法で治療される肺の線維症状態は、癌治療、例えば、癌(例えば、扁平上皮細胞癌、精巣癌、ブレオマイシンによるホジキン病)の治療と関連する(例えば、該治療に続発する)。一実施態様において、肺の線維症状態は、自己免疫性結合組織障害(例えば、強皮症又は狼瘡、例えば、SLE)と関連する。
ある実施態様において、線維症状態は、肝臓の線維症状態である。ある実施態様において、肝臓の線維症状態は:脂肪肝疾患、脂肪症(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、胆汁鬱滞性肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変(PBC))、肝硬変、アルコール性肝線維症、胆管損傷、胆管線維症、又は胆管症のうちの1つ又は複数から選択される。他の実施態様において、肝(hepatic)又は肝(liver)線維症としては、アルコール依存症、ウイルス感染、例えば、肝炎(例えば、C型、B型、又はD型肝炎)、自己免疫性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、進行性塊状線維症、毒素又は刺激物(例えば、アルコール、調合薬、及び環境毒素)への暴露と関連する肝(hepatic)線維症が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、線維症状態は、心臓の線維症状態である。ある実施態様において、心臓の線維症状態は、心筋線維症(例えば、放射線心筋炎、外科手術合併症(例えば、心筋術後線維症)、感染性疾患(例えば、シャーガス病、細菌性、旋毛虫性、もしくは真菌性心筋炎)と関連する心筋線維症);肉芽腫性、代謝性蓄積障害(例えば、心筋症、ヘモクロマトーシス);発達障害(例えば、心内膜線維弾性症);動脈硬化、又は毒素もしくは刺激物への暴露(例えば、薬物誘導性心筋症、薬物誘導性心毒性、アルコール性心筋症、コバルト中毒もしくはコバルト被曝)である。ある実施態様において、心筋線維症は、心組織の炎症性障害(例えば、心筋サルコイドーシス)と関連する。いくつかの実施態様において、線維症状態は、心筋梗塞と関連する線維症状態である。いくつかの実施態様において、線維症状態は、鬱血性心不全と関連する線維症状態である。
ある実施態様において、線維症状態は、腎臓の線維症状態である。ある実施態様において、腎臓の線維症状態は:腎線維症(例えば、慢性腎線維症)、損傷/線維症と関連する腎症(例えば、糖尿病と関連する慢性腎症(例えば、糖尿病性腎症))、狼瘡、腎臓の強皮症、糸球体腎炎、巣状分節状糸球体硬化症、IgA腎症、ヒト慢性腎疾患(CKD)と関連する腎線維症、慢性進行性腎症(CPN)、尿細管間質性線維症、尿管閉塞症、慢性尿毒症、慢性間質性腎炎、放射線腎症、糸球体硬化症、進行性糸球体腎症(PGN)、内皮性/血栓性微小血管障害、HIV関連腎症、又は毒素、刺激物、もしくは化学療法剤への暴露と関連する線維症のうちの1つ又は複数から選択される。一実施態様において、腎臓の線維症状態は、腎臓の強皮症である。いくつかの実施態様において、腎臓の線維症状態は、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、又は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。
ある実施態様において、線維症状態は、皮膚の線維症状態である。ある実施態様において、皮膚の線維症状態は:皮膚線維症(例えば、肥大性瘢痕、ケロイド)、強皮症、腎性全身性線維症(例えば、重度腎不全患者におけるガドリニウム(これは、MRIの造影物質としてよく使用される)への暴露後に生じる)、及びケロイドのうちの1つ又は複数から選択される。
ある実施態様において、線維症状態は、胃腸管の線維症状態である。ある実施態様において、線維症状態は:強皮症と関連する線維症;放射線誘導性腸線維症;前腸炎症性障害、例えば、バレット食道及び慢性胃炎と関連する線維症、並びに/又は後腸炎症性障害、例えば、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、及びクローン病と関連する線維症のうちの1つ又は複数から選択される。いくつかの実施態様において、胃腸管の線維症状態は、強皮症と関連する線維症である。
ある実施態様において、線維症状態は、骨髄又は造血組織の線維症状態である。ある実施態様において、骨髄の線維症状態は、骨髄の慢性骨髄増殖性新生物、例えば、原発性骨髄線維症(本明細書では、特発性骨髄化生又は慢性特発性骨髄線維症とも呼ばれる)の内在性の特徴である。他の実施態様において、骨髄線維症は、悪性疾患、又はクローン性の増殖性疾患により引き起こされる状態と関連する(例えば、これらに続発する)。他の実施態様において、骨髄線維症は、血液学的障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄異形成、有毛細胞白血病、リンパ腫(例えば、ホジキンもしくは非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、又は慢性骨髄性白血病(CML)のうちの1つ又は複数から選択される血液学的障害)と関連する。さらに他の実施態様において、骨髄線維症は、非血液学的障害(例えば、骨髄への固形腫瘍転移、自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合型結合組織障害、もしくは多発性筋炎)、感染症(例えば、結核症)、又はビタミンD欠乏症と関連する二次性副甲状腺機能亢進症から選択される非血液学的障害と関連する(例えば、該非血液学的障害に続発する)。いくつかの実施態様において、線維症状態は、特発性又は薬物誘導性骨髄線維症である。いくつかの実施態様において、骨髄又は造血組織の線維症状態は、全身性エリテマトーデス又は強皮症と関連する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、強皮症を治療、予防、及び/又は管理する方法である。強皮症は、皮膚及び/又は他の結合組織の硬化及び拘縮を伴う疾患群である。強皮症は、限局性(例えば、皮膚のみを侵す)、又は全身性(例えば、血管及び/もしくは内臓器官などの他の系を侵す)であり得る。強皮症の一般的な症状としては、レイノー現象、胃食道逆流症、並びに皮膚の変化(例えば、腫脹した指及び手、又は肥厚した皮膚部分)が挙げられる。いくつかの実施態様において、強皮症は、限局性、例えば、限局性強皮症又は線状強皮症である。いくつかの実施態様において、該疾患は、全身性硬化症、例えば、限定性全身性硬化症、びまん性全身性硬化症、又は皮膚硬化のない全身性強皮症である。
限局性強皮症(限局性皮膚線維症)としては、限局性強皮症及び線状強皮症が挙げられる。限局性強皮症は、通常、中央が白く、境界が紫色の、肥厚した卵形の皮膚部分を特徴とする。線状強皮症は、子供により多く見られる。線状強皮症の症状は、主に、身体の片側に現われ得る。線状強皮症では、硬化した皮膚の帯又は縞が、一方もしくは両方の腕もしくは脚に、又は前頭に生じることがある。剣創(前頭線状強皮症又は限局性剣創状強皮症)は、通常、頭皮又は顔の線状病変を特徴とする限局性強皮症の一種である。
全身性強皮症(全身性硬化症)としては、例えば、限定性全身性硬化症(限定性皮膚全身性硬化症、又はCREST症候群とも呼ばれる)、びまん性全身性硬化症(びまん性皮膚全身性硬化症とも呼ばれる)、及び皮膚硬化のない全身性強皮症が挙げられる。CRESTは、限定性強皮症に付随し得る以下の合併症:石灰沈着症(例えば、指のもの)、レイノー現象、食道機能不全、手指硬化症、及び毛細血管拡張症を表す。通常、限定性強皮症は、主に、手、腕、及び顔を侵す皮膚症状を伴う。限定性亜型及びびまん性亜型は、皮膚病変の度合いに基づいて区別され、限定性疾患では、四肢近位部及び胴体が免れている。例えば、Denton, C.P.らの文献(2006)、Nature Clinical Practice Rheumatology, 2(3): 134-143を参照されたい。限定性亜型は、通常、レイノー現象の長い既往歴も伴うのに対し、びまん性亜型では、レイノー現象の発症は、他の症状と同時に存在することができるか、又は後で起こり得る。限定性亜型とびまん性亜型は両方とも、内臓器官を侵し得る。限定性全身性硬化症の典型的な内臓症状としては、孤立性肺高血圧症、重度腸病変、及び肺線維症が挙げられる。びまん性全身性硬化症の典型的な内臓症状としては、腎クリーゼ、肺線維症、及び心疾患が挙げられる。びまん性全身性硬化症は、通常、急速に進行し、皮膚及び1以上の内臓器官(例えば、腎臓、食道、心臓、又は肺)の広い領域を侵す。皮膚硬化のない全身性強皮症は、患者が、皮膚硬化の非存在下で内臓器官の血管損傷及び線維性損傷を発症する稀な障害である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、炎症性筋疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「炎症性筋疾患」は、全ての種類及び症状の炎症性筋疾患を包含する。例としては、筋力低下(例えば、近位筋力低下)、皮膚発疹、歩行又は起立後の疲労、躓き又は転倒、嚥下障害、発声障害、呼吸困難、筋肉痛、筋圧痛、体重減少、軽度の発熱、肺の炎症、光過敏症、皮下又は筋肉内のカルシウム沈着(石灰沈着症)、及び本明細書に開示される又は当技術分野で公知の炎症性筋疾患の生物学的付随現象(biological concomitant)が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性筋疾患(例えば、皮膚筋炎)の生物学的付随現象としては、例えば、サイトカイン(例えば、I型インターフェロン(例えば、IFN-α及び/又はIFN-β)、インターロイキン(例えば、IL-6、IL-10、IL-15、IL-17、及びIL-18)、並びにTNF-α)、TGF-β、B細胞活性化因子(BAFF)のレベルの変化(例えば、増加)、IFN誘導性遺伝子(例えば、I型IFN誘導性遺伝子)の過剰発現が挙げられる。炎症性筋疾患の他の生物学的付随現象としては、例えば、赤血球沈降速度(ESR)の上昇及び/又はクレアチンキナーゼのレベルの上昇を挙げることができる。炎症性筋疾患のさらなる生物学的付随現象としては、自己抗体、例えば、抗合成酵素自己抗体(例えば、抗Jo1抗体)、抗シグナル認識粒子抗体(抗SRP)、抗Mi-2抗体、抗p155抗体、抗PM/Sci抗体、及び抗RNP抗体を挙げることができる。
炎症性筋疾患は、急性炎症性筋疾患又は慢性炎症性筋疾患であることができる。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、慢性炎症性筋疾患(例えば、皮膚筋炎、多発性筋炎、又は封入体筋炎)である。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、アレルギー反応、別の疾患(例えば、癌又は結合組織疾患)、毒物、薬物、又は感染性因子(例えば、ウイルス)への暴露によって引き起こされる。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、狼瘡、関節リウマチ、又は全身性硬化症と関連する。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、特発性である。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、及び免疫媒介性壊死性筋疾患から選択される。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、皮膚筋炎である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、皮膚疾患(例えば、皮膚炎)を治療、予防、及び/又は管理する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、皮膚疾患(例えば、痒み及び/又は炎症)と関連する症状を軽減することができる。いくつかのそのような実施態様において、本明細書に提供される化合物は、局所的に(例えば、局所クリーム剤、点眼薬、点鼻薬、又は鼻スプレー剤として)投与される。いくつかのそのような実施態様において、化合物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、他のPI3Kアイソフォームの阻害よりも大きいPI3Kデルタの阻害を示すPI3K阻害剤)である。いくつかの実施態様において、PI3Kデルタ阻害剤は、肥満細胞の脱顆粒を予防する。
本明細書で使用される場合、「皮膚疾患」は、皮膚の任意の炎症性疾患(例えば、湿疹又は皮膚炎、例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、鬱滞性皮膚炎、口囲皮膚炎)、及び随伴症状(例えば、皮膚発疹、痒み(掻痒症)、腫脹(浮腫)、枯草熱、アナフィラキシー))を含む。多くの場合、そのような皮膚疾患は、アレルゲンによって引き起こされる。本明細書で使用される場合、「皮膚疾患」には、例えば、皮膚発疹(例えば、アレルギー性発疹、例えば、アレルゲン、例えば、ツタウルシ、有毒オーク、もしくはドクウルシへの暴露によって生じる発疹、又は他の疾患もしくは疾病によって引き起こされる発疹)、虫刺され、軽い火傷、日焼け、浅い切り傷、及び擦り傷も含まれる。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患と関連する症状、又は皮膚疾患もしくは皮膚疾患と関連する症状は、皮膚発疹によって引き起こされる皮膚発疹又は痒み(掻痒症)である。
皮膚疾患(例えば、皮膚発疹)は、自然発症性であり得、或いはそれは、例えば、アレルゲン(例えば、ツタウルシ、有毒オーク、もしくはドクウルシ)への暴露、薬物、食物、虫刺され、吸入抗原、情動ストレス、暑さへの暴露、寒さへの暴露、又は運動によって誘導され得る。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、皮膚発疹(例えば、掻痒性発疹、例えば、蕁麻疹)である。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、虫刺されである。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、別の疾患(例えば、炎症性筋疾患、例えば、皮膚筋炎)と関連する。
いくつかの実施態様において、対象(例えば、炎症性筋疾患及び/又は皮膚疾患の治療を必要としている対象)は、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、IL-1、又はこれらの組合せのレベルの上昇又は活性の上昇を示す。ある実施態様において、対象は、IFN-αのレベルの上昇を示す。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患、又は皮膚疾患を治療すること(例えば、減少させること又は阻害すること)は、対象中又は対象に由来する試料中のIFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のうちの1つ又は複数を阻害すること(例えば、そのレベルを減少させること、又はその生物学的活性を減少させること)を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、対象中又は対象に由来する試料中のIFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルを減少させる。いくつかの実施態様において、該方法は、対象中又は対象に由来する試料中のIFN-αのレベルを減少させる。いくつかの実施態様において、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルは、全血又はPBMCの試料中で評価されるレベルである。いくつかの実施態様において、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルは、皮膚生検又は筋生検によって得られる試料中で評価されるレベルである。いくつかの実施態様において、該試料は、皮膚生検によって得られる。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、筋炎を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「筋炎」は、全ての種類及び症状の筋炎を包含する。例としては、骨化性筋炎、線維筋炎、特発性炎症性筋疾患、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、多発性筋炎、封入体筋炎、及び化膿性筋炎が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該疾患又は障害は、皮膚筋炎である。また、本明細書に提供されるのは、筋炎と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては:筋力低下;腕を挙げる時の困難;嚥下又は呼吸時の困難;筋肉痛;筋圧痛;疲労;発熱;肺の問題;消化管潰瘍;腸穿孔;皮下の石灰沈着;ひりひりする痛み;関節炎;体重減少;及び発疹が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、狼瘡を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「狼瘡」は、全ての種類及び症状の狼瘡を指す。例としては、全身性エリテマトーデス;ループス腎炎;皮膚症状(例えば、皮膚エリテマトーデスで見られる症状、例えば、皮膚病変又は皮膚発疹); CNS狼瘡;心血管症状、肺症状、肝症状、血液学的症状、消化管症状、及び筋骨格症状;新生児エリテマトーデス;小児全身性エリテマトーデス;薬物誘導性エリテマトーデス;抗リン脂質症候群;及び狼瘡症状をもたらす補体欠損症候群が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、狼瘡は、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)、薬物誘導性狼瘡、又は新生児狼瘡である。別の実施態様において、狼瘡は、CLE、例えば、急性皮膚エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)、間欠性皮膚エリテマトーデス(腫脹性エリテマトーデス(LET)としても知られる)、又は慢性皮膚狼瘡である。いくつかの実施態様において、間欠性CLEは、慢性円板状エリテマトーデス(CDLE)又は深在性エリテマトーデス(LEP)(エリテマトーデス性脂肪織炎としても知られる)である。CLEの種類、症状、及び発症機序は、例えば、Wenzelらの文献(2010)、Lupus, 19, 1020-1028に記載されている。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、シェーグレン症候群を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用される場合、「シェーグレン症候群」は、全ての種類及び症状のシェーグレン症候群を指す。例としては、原発性及び続発性シェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に提供されるのは、シェーグレン症候群と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては:ドライアイ;ドライマウス;関節痛;腫脹;こわばり;腫脹した唾液腺;皮膚発疹;ドライスキン;膣の乾燥;持続性乾性咳嗽;及び持続性疲労が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の骨障害を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、本明細書に提供されるPI3K-γ選択的化合物)、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。本明細書で使用される場合、「骨障害」は、骨障害の全てのタイプ及び症状を包含する。例示的な骨障害としては、骨癌、骨転移、骨粗鬆症、骨折修復、虚血壊死(骨壊死)、骨棘(bone spur)(骨棘(osteophytes))、頭蓋骨癒合症、コフィン・ローリー症候群、進行性骨化性線維異形成症、線維性異形成、フォング病(爪膝蓋骨症候群)、骨の巨細胞腫瘍、若木骨折、低ホスファターゼ血症、クリッペル・ファイル症候群、代謝性骨疾患、変形性関節症、変形性骨炎(骨のパジェット病)、嚢胞性線維性骨炎(線維性骨炎又は骨のフォン・レックリングハウゼン病)、恥骨骨炎、硬化性骨炎(condensing osteitis)(硬化性骨炎(osteitis condensas))、離断性骨軟骨症、骨軟骨腫(骨腫瘍)、骨形成不全症、骨軟化症、骨髄炎、骨減少症、大理石骨病、多孔性骨化過剰症、原発性副甲状腺機能亢進症、腎性骨ジストロフィー、ソルター・ハリス骨折、及び膝関節液貯留が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該骨障害は全身性骨障害である。別の実施態様において、該骨障害は局所性骨障害である。一実施態様において、該骨障害は、過剰な骨形成と関連する。別の実施態様において、該骨障害は、過剰な骨吸収と関連する。一実施態様において、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物は、骨髄マクロファージからの破骨細胞の分化を阻害する。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される疾患又は障害と関連する症状は、対照レベルと比べて、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適切な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、処理される試料もしくは対象における処理前のレベルであることができ、或いはそれは、対照集団におけるレベル(例えば、該疾患もしくは障害を有しない対象におけるレベル又は該疾患もしくは障害を有しない対象に由来する試料におけるレベル)であることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適切なパラメトリック又はノンパラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
(肺又は呼吸器障害の治療、予防、及び/又は管理方法)
特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)の吸入による投与は、肺又は呼吸器疾患を治療、予防、及び/又は管理する際に本明細書に記載される様々な治療的利益を与えることができることが分かった。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の肺又は呼吸器疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、それを必要としている対象に、吸入によって、治療的又は予防的有効量の本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。
さらに、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物の吸入による投与は、患者の肺における該化合物の持続的保持をもたらすことが分かった。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、肺又は呼吸器疾患に罹患している対象の肺における持続性の抗炎症効果を誘発する方法であって、該対象に、吸入によって、治療的又は予防的有効量の本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法であり、ここで、該化合物は、長期間(例えば、経口投与によってもたらされるよりも長い期間)、肺に保持される。
いくつかの実施態様において、該化合物は、経口投与によってもたらされるよりも約1時間、約3時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、又は約72時間長く肺に保持される。
いくつかの実施態様において、患者に最初に投与された化合物の量の80%よりも多く、70%よりも多く、60%よりも多く、50%よりも多く、40%よりも多く、30%よりも多く、又は20%よりも多くが、吸入による投与から24時間後に、肺に残っている。
いくつかの実施態様において、吸入による投与の後の肺における該化合物の濃度は、該投与から5時間後の該化合物の血漿濃度よりも約100、約200、約500、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、又は約10000倍高い。いくつかの実施態様において、吸入による投与の後の肺における該化合物の濃度は、該投与から12時間後の該化合物の血漿濃度よりも約100、約200、約500、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、又は約10000倍高い。いくつかの実施態様において、吸入による投与の後の肺における該化合物の濃度は、該投与から24時間後の該化合物の血漿濃度よりも約100、約200、約500、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、又は約10000倍高い。
いくつかの実施態様において、該化合物は、0.01μg/kg/日未満、0.02μg/kg/日未満、0.05μg/kg/日未満、0.1μg/kg/日未満、0.2μg/kg/日未満、0.5μg/kg/日未満、1μg/kg/日未満、2μg/kg/日未満、5μg/kg/日未満、10μg/kg/日未満、20μg/kg/日未満、50μg/kg/日未満、又は100μg/kg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、約0.01μg/kg/日、約0.02μg/kg/日、約0.05μg/kg/日、約0.1μg/kg/日、約0.2μg/kg/日、約0.5μg/kg/日、約1μg/kg/日、約2μg/kg/日、約5μg/kg/日、約10μg/kg/日、約20μg/kg/日、約50μg/kg/日、又は約100μg/kg/日の用量で投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、約0.01μg/kg/日〜約100μg/kg/日、約0.01μg/kg/日〜約50μg/kg/日、約0.01μg/kg/日〜約20μg/kg/日、約0.01μg/kg/日〜約10μg/kg/日、約0.01μg/kg/日〜約5μg/kg/日、約0.01μg/kg/日〜約1μg/kg/日、約0.05μg/kg/日〜約1μg/kg/日、又は約0.1μg/kg/日〜約1μg/kg/日の用量で投与される。
一実施態様において、該化合物は、1日に1回(QD)投与される。別の実施態様において、該化合物は、1日に2回(BID)投与される。別の実施態様において、該化合物は、1日に3回(TID)投与される。別の実施態様において、該化合物は、1日に4回(QID)投与される。
一実施態様において、該対象は哺乳動物である。別の実施態様において、該対象はヒトである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の肺又は呼吸器疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、それを必要としている対象に、吸入によって、治療的又は予防的有効量のPI3Kγ阻害剤、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、該PI3Kγ阻害剤は、約1超〜<10、約10超〜<50、又は約50超〜<350のデルタ/ガンマ選択性比を有する。いくつかの実施態様において、該PI3Kγ阻害剤は、約1超、約5超、約10超、約15超、約20超、約25超、約50超、約75超、約100超、約150超、約200超、約250超、約300超、約350超、約500超、又は約1000超のデルタ/ガンマ選択性比を有する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の肺又は呼吸器疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、それを必要としている対象に、吸入によって、治療的又は予防的有効量の化合物1、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を投与することを含む、方法である。一実施態様において、化合物1はPI3Kγ阻害剤である。一実施態様において、該化合物、例えば、化合物1は、約1超〜<10、約10超〜<50、又は約50超〜<350のデルタ/ガンマ選択性比を有する。一実施態様において、該化合物、例えば、化合物1は、約50超〜<350のデルタ/ガンマ選択性比を有する。一実施態様において、該化合物、例えば、化合物1は、約50超〜<150のデルタ/ガンマ選択性比を有する。一実施態様において、該化合物、例えば、化合物1は、約75超〜<125のデルタ/ガンマ選択性比を有する。一実施態様において、該化合物は、約100超のデルタ/ガンマ選択性比を有する。いくつかの実施態様において、該化合物は、約1超、約5超、約10超、約15超、約20超、約25超、約50超、約75超、約100超、約150超、約200超、約250超、約300超、約350超、約500超、又は約1000超のデルタ/ガンマ選択性比を有する。
(吸入による投与)
気道の多くの疾患は、吸入による治療剤の直接適用による治療に応答することが知られている。そのような投与は、薬物が所望の部位及びその作用が必要とされ得る場所に直接堆積されるという点で、薬剤のより優れた利用をもたらすことができる。したがって、特定の理論によって限定されるものではないが、吸入による投与は、治療効力を達成するのに必要とされる用量を顕著に低下させることができ、これはさらに、望ましくない副作用及び薬剤の費用の著しい軽減をもたらすことができる。気道に送達される薬物粒子が1〜5ミクロンのサイズである場合に薬物のバイオアベイラビリティが最適となることが産業界で一般に認められている。
様々な方法及び装置を用いて、本明細書に提供される化合物を吸入により送達することができる。吸入可能な製剤は、最終的にはその肺送達のために、口又は鼻経由で投与することができる。例えば、乾燥粉末吸入器(DPI)は、通常、薬物(活性薬物と担体)を高速の気流中に導入するための手段を有するが、これを用いて、本明細書に提供される方法を実施することができる。高速の気流は、微粉化された粒子のクラスターを崩壊させるか、又は薬物粒子を担体から分離するための一次機構として使用される。薬剤の粉末形態を投薬するのに有用な吸入装置、例えば、米国特許第3,507,277号;第3,518,992号;第3,635,219号;第3,795,244号;及び第3,807,400号に記載されているものが本開示によって包含される。ある実施態様において、そのような装置は、吸入時に粉末をカプセルから投薬するのを助けるプロペラ手段も含み、そのため、粉末をカプセルから吸引することを吸入空気のみに頼る必要がない。(例えば、その全てが引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第2,517,482号;第3,831,606号;第3,948,264号;及び第5,458,135号を参照)。ある実施態様において、振動を用いて吸入ガス流への粉末の浮遊を容易にすること、及びシンセティックジェットを用いて薬物粉末をブリスターパックからエアロゾル化することも本明細書に提供される。(例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,318,434号及び第7,334,577号を参照)。いくつかの実施態様において、ブリスターパック中の制御された分量又は用量の医薬又は包装済み薬物も包含され、該ブリスターパックは、円錐形、先端が円形の円錐形、円形であり得る、壊れやすい冠状の上部部材、例えば、米国特許第7,080,644号に記載されているものを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、定量吸入器(MDI)を用いて投与される。MDIは、通常、液体噴射剤が充填された加圧キャニスターを有する。薬物は、該噴射剤に懸濁されているか又は溶解されているかのどちらかである。該MDIは、既知の分量の噴射剤を計量するための、したがって、薬物を計量するための定量バルブを有する。該キャニスターをMDI筐体に対して押し下げると、既知の分量の噴射剤が放出される。該噴射剤は蒸発し、患者による吸入に好適な薬物の微細エアロゾルが残る。ある実施態様において、スペーサー内に呼気作動機構を含むMDIも本明細書に包含される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、ネブライザー、例えば、ジェットネブライザーを用いて投与される。ネブライザーは、薬物を、水性媒体中の懸濁液として、又は水性媒体に溶解したものとして担持する微細エアロゾルミスト/液滴を生じさせる。ジェットネブライザーは、圧縮空気を用いて水溶液を霧化する。薬物は、長期間にわたる反復的な非強制吸入によって患者に投与することができる。
そのような肺送達に好適な装置の例としては、エアジェット、超音波、又は振動メッシュ装置、例えば、Pari LC Star、Aeroeclipse II、Prodose(HaloLite)、Acorn II、T Up-draft II、Sidestream、AeroTech II、Mini heart、MisterNeb、Sonix 2000、MABISMist II、及び他の好適なエアロゾル系が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該ネブライザーは、振動メッシュネブライザーであり、これには、AERONEB PRO、AERONEB SOLO、AERONEB GO、AERONEB LAB、OMRON MICROAIR、PARI EFLOW、RESPIRONICS I-NEB、又は他の好適な装置が含まれ得る。
(肺又は呼吸器疾患)
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物を用いて、肺又は呼吸器疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法である。肺又は呼吸器疾患の例としては、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺炎、過敏症肺炎、好酸球増加症を伴う肺浸潤、環境肺疾患、肺炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、間質性肺疾患、炎症後肺線維症、原発性肺高血圧症、肺血栓塞栓症、胸膜の障害、隔膜の障害、横隔膜の障害、喉頭の障害、気管の障害、急性肺損傷、低換気、過換気、睡眠時無呼吸、急性呼吸窮迫症候群、中皮腫、肉腫、移植拒絶反応、移植片対宿主病、肺癌、アレルギー性鼻炎、アレルギー、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、石綿症、アスペルギルス腫、アスペルギルス症、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、特発性間質性肺炎、非特異性間質性肺炎(NSIP)、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎(BOOP、特発性器質化肺炎又はCOPとも呼ばれる)、リンパ球性間質性肺炎(LIP)、急性間質性肺炎、侵襲性肺炎球菌疾患、肺炎球菌性肺炎、インフルエンザ、非結核性抗酸菌、胸水、胸膜腔疾患、蓄膿症、胸膜炎、塵肺症、ニューモシスティス、呼吸器ウイルス感染、急性気管支炎、誤嚥性肺炎、人工呼吸器関連肺炎、ニューモシスチス・イロベチ(pneumocystic jiroveci)肺炎、肺炎、肺放線菌症、肺胞タンパク症、肺炭疽症、肺水腫、肺動脈塞栓、肺塞栓症、急性胸部症候群、特発性肺ヘモジデローシス、肺出血、肺過形成、肺炎症、肺組織球症X、好酸性肉芽腫症、肺ランゲルハンス細胞組織球症、職業性肺疾患、粉塵の吸入による肺疾患、化学物質のガス及び蒸気による呼吸器疾患、リポイド肺炎、肺高血圧症、肺動脈高血圧、肺ノカルジア症、肺結核症、肺静脈閉塞疾患、肺血管疾患、リウマチ性肺疾患、結合組織病関連間質性肺疾患(例えば、全身性硬化症(SSc又は強皮症)関連間質性肺疾患、多発性筋炎関連間質性肺疾患、皮膚筋炎関連間質性肺疾患、関節リウマチ関連間質性肺疾患、全身エリテマトーデス関連間質性肺疾患、シェーグレン症候群と関連する間質性肺疾患、混合結合組織病関連間質性肺疾患、及び強直性脊椎炎関連間質性肺疾患)、拘束性肺疾患、気道感染(上気道及び下気道)、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症(別名、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)又は壊死性肉芽腫性血管炎(NGV))、チャーグ・ストラウス症候群、顕微鏡的多発性血管炎(MPA)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、リンパ脈管筋腫症(LAM)、放射線誘発性肺疾患(別名、放射線肺炎)、肺血管炎、ウイルス性肺炎、肺炎球菌性肺炎、細菌性肺炎、気管支肺炎、上皮腫瘍、乳頭腫、腺腫、扁平上皮細胞癌、小細胞癌、腺癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌、カルチノイド腫瘍、唾液腺タイプの癌、軟部組織腫瘍、限局性線維性腫瘍、類上皮血管内皮腫、胸膜肺芽腫、軟骨腫、胸膜の石灰化線維性偽腫瘍、先天性気管支周囲筋線維芽細胞性腫瘍、びまん性肺リンパ管腫症、線維形成性小円形細胞腫瘍、中皮腫、腺腫様腫瘍、上皮型中皮腫、肉腫型中皮腫、二相型中皮腫、過誤腫、硬化性血管腫、明細胞腫瘍、生殖細胞新生物、胸腺腫、黒色腫、並びに二次性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物を用いて、リンパ増殖性疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法である。リンパ増殖性疾患の例としては、リンパ球性間質性肺炎、結節性リンパ様過形成、及びリンパ腫様肉芽腫症が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物を用いて治療、予防、及び/又は管理される肺又は呼吸器疾患は、閉塞性肺疾患又は障害である。いくつかの実施態様において、該閉塞性肺疾患は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、気管支拡張症、細気管支拡張症、細気管支炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は肺気腫である。
(慢性閉塞性肺疾患)
一実施態様において、該閉塞性肺疾患又は障害は、例えば、0.7未満の1秒量努力呼気肺活量(FEV1)対努力肺活量(FVC)比によって診断される、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物の投与は、投与後に0.7を上回るFEV1/FEC比の検出可能な増加、例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、又はそれより大きい増加をもたらす。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のCOPD関連症状を軽減する方法であって、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を、吸入によって、該COPD関連症状を軽減するのに十分な量で投与することを含む、方法である。一実施態様において、該対象は、哺乳動物対象、例えば、動物モデル、又は治療プロトコルの一部としてのものである。一実施態様において、該化合物は、単剤として、又は別の薬剤もしくは治療モダリティと組み合わせて使用される。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のCOPDを治療、予防、及び/又は管理する方法であって、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を、それを必要としている対象に、吸入によって投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、単剤として投与される。別の実施態様において、該化合物は、別の薬剤又は治療モダリティと組み合わせて投与される。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「COPD」又はCOPDと関連する「症状」は、本明細書に開示される又は当技術分野で公知のCOPDの全てのタイプの徴候を包含する。COPDの例としては、肺気腫、慢性気管支炎、及び気管支拡張症が挙げられるが、これらに限定されない。COPDの症状の例としては、喘鳴、咳嗽、胸部圧迫感、息切れ、呼吸困難、咳をして粘液/痰が出ること、及び副筋の使用が挙げられるが、これらに限定されない。症状は、夜間もしくは早朝、又は運動もしくは冷気に応答して悪化することが多い。一実施態様において、喘息の症状は、息切れ又は呼吸困難である。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、COPD又はCOPDと関連する症状を「減少させる」、「改善する」、「軽減する」、「阻害する」、「治療する」(など)は、COPDの1以上の症状の重症度及び/又は頻度を低下させること、並びにCOPD及び/又はCOPDの1以上の症状を(例えば、症状の発作の重症度及び/又は頻度を低下させることによって)予防することを含む。
いくつかの実施態様において、症状は、対照レベルと比べて、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適当な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、処理される試料もしくは対象における処理前のレベルであることができ、又はそれは、対照集団におけるレベル(例えば、COPDを有しない対象におけるレベルもしくはCOPDを有しない対象に由来する試料におけるレベル)であることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適当なパラメトリック又はノンパラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
ある実施態様において、該対象は、COPDの動物モデル、COPDを有するヒト、又はCOPDを発症するリスクを有する対象(例えば、ヒト)である。いくつかの実施態様において、該対象は、COPDの家族歴を有するヒト、COPDと関連する遺伝子を保有するヒト、COPDと関連するバイオマーカーが陽性であるヒト、又はこれらの組合せである。いくつかの実施態様において、該対象は、COPDと診断されている。いくつかの実施態様において、該対象は、COPDと関連する1以上の兆候又は症状を有する。いくつかの実施態様において、該対象は、COPDを発症するリスクがある(例えば、該対象は、個々に又は他の遺伝子もしくは環境因子との組合せで、COPDの発症と関連する遺伝子を保有する)。
一実施態様において、該対象は、過去にCOPDと診断されたことがあるか、或いは本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態が投与される前に、少なくとも1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月間、気流閉塞の突発的症状(例えば、息切れ、喘鳴、及び/又は胸部圧迫感)を有している。一実施態様において、該対象は、過去にCOPDと診断されたことがあるか、或いは本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形が投与される前に、少なくとも6カ月間、気流閉塞の突発的症状(例えば、喘鳴及び/又は胸部圧迫感)を有している。
いくつかの実施態様において、該対象は、過去にCOPDの治療を受けたことがある。いくつかの実施態様において、該対象は、過去にCOPDの治療を受けたことがあるが、標準治療に応答しない。一実施態様において、該標準治療は、ステロイド、例えば、コルチコステロイドである。いくつかの実施態様において、該対象は、例えば、過去のステロイドによる治療からステロイド抵抗性を発症したことがある。いくつかの実施態様において、該対象は、過去の治療の結果ではない先天的なステロイド抵抗性を有し得る。ステロイド抵抗性は、PI3K阻害剤、例えば、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)によって克服することができる。したがって、本明細書に提供される化合物とステロイドによる組合せ療法は、有益であり得る。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のCOPDを治療、予防、及び/又は管理する方法であって、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を、それを必要としている対象に投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、COPDに対する治療を過去に施されたことがある。
いくつかの実施態様において、該対象は、過去にCOPDの治療を受けたことがない。
一実施態様において、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態の投与は、COPD治療の1以上の一般的な副作用をもたらさないか、又は該副作用の低下をもたらす。該COPD治療の一般的な副作用としては:アレルギー反応、例えば、発疹、蕁麻疹、顔面、口、及び舌の腫脹、並びに呼吸障害;突然の呼吸障害;心臓に対する作用、例えば、血圧の上昇、動悸及び不整脈、並びに胸痛;神経系に対する作用、例えば、振戦及び神経過敏;副腎機能の低下;血液成分の変化;免疫系の衰弱及び感染の可能性が高いこと;骨ミネラル密度の低下;眼の障害、例えば、緑内障及び白内障;子供の成長遅滞;肺炎;口及び喉の鵝口瘡;喉の炎症;嗄声及び変声;ウイルス性呼吸器感染;頭痛;並びに筋肉痛及び骨痛が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、該副作用は、対照レベルと比べて、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適当な対照が含まれる。例えば、該対照レベルは、他のCOPD療法(例えば、アルブテロール、レバルブテロール、イプラトロピウム、チオトロピウム、テルブタリン、テオフィリン、ホルモテロール、サルメテロール、フルカチゾン(flucatisone)、メチルプレドニゾン、及びプレドニゾン)で治療された対象における副作用レベルであることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適当なパラメトリック又はノンパラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
(喘息)
別の具体的な実施態様において、該閉塞性肺疾患又は障害は喘息である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物の投与は、肺活量測定又はピークフローメーターによって決定される、喘息の1以上の症状、例えば、気道閉塞の検出可能な改善をもたらす。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の喘息関連症状を軽減する方法であって、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を、吸入によって、該喘息関連症状を軽減するのに十分な量で投与することを含む、方法である。一実施態様において、該対象は、哺乳動物対象、例えば、動物モデル、又は治療プロトコルの一部としてのものである。一実施態様において、該化合物は、単剤として、又は別の薬剤もしくは治療モダリティと組み合わせて使用される。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の喘息を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を、それを必要としている対象に、吸入によって投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、単剤として投与される。別の実施態様において、該化合物は、別の治療剤又は治療モダリティと組み合わせて投与される。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「喘息」又は喘息と関連する「症状」は、本明細書に開示される又は当技術分野で公知の喘息の全てのタイプの徴候を包含する。喘息の例としては、重症及び/もしくは難治性喘息、アトピー型(外因性)喘息、非アトピー型(内因性)喘息、1型のブリットル型喘息、2型のブリットル型喘息、喘息発作、喘息発作重積状態、運動誘発性喘息、又は職業性喘息が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該喘息は、重症又は難治性喘息である。喘息の症状の例としては、喘鳴、咳嗽、胸部圧迫感、息切れ、及び副筋の使用が挙げられるが、これらに限定されない。症状は、夜間もしくは早朝、又は運動もしくは冷気に応答して悪化することが多い。喘息は、症状の頻度、1秒量努力呼気肺活量(FEV1)、及び最大呼気速度に従って臨床的に分類される。一実施態様において、喘息の症状は、喘鳴又は胸部圧迫感である。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「喘息」又は喘息と関連する「症状」は、本明細書に開示される又は当技術分野で公知の喘息の生物学的付随現象も包含する。例としては、免疫複合体、サイトカイン(例えば、インターフェロン(例えば、I型インターフェロン、例えば、IFN-α及び/又はIFN-β);インターロイキン(例えば、IL-6、IL-8、IL-1、及びIL-18)、並びにTNF-α)のレベルの上昇、抗dsDNA自己抗体レベルの上昇、IFN-α及び/又はIFN-β誘導性遺伝子の過剰発現、IP-10のレベルの上昇、sCD40Lのレベルの上昇、C3由来のC3bのレベルの低下、末梢iNKT細胞頻度の低下、iNKT細胞のB細胞媒介刺激の不全、B細胞上でのCD1d発現の変化、ナチュラル制御性T細胞(Treg)の数の低下、C反応性タンパク質のレベルの変化、IL-4のmRNAの過剰発現、IL-21のmRNAの過剰発現、並びに血清抗コラーゲンレベルの上昇が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該症状は、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1の過剰発現である。一実施態様において、該症状は、IFN-αの過剰発現である。一実施態様において、該症状は、IL-6の過剰発現である。いくつかの実施態様において、該症状は、IL-4のmRNAの過剰発現又はIL-21のmRNAの過剰発現である。いくつかの実施態様において、該症状は、血清抗コラーゲンレベルの上昇である。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、喘息又は喘息と関連する症状を「減少させる」、「改善する」、「軽減する」、「阻害する」、「治療する」(など)は、喘息の1以上の症状の重症度及び/又は頻度を低下させること、並びに喘息及び/又は喘息の1以上の症状を(例えば、症状の発作の重症度及び/又は頻度を低下させることによって)予防することを含む。
いくつかの実施態様において、症状は、対照レベルと比べて、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適当な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、処理される試料もしくは対象における処理前のレベルであることができ、又はそれは、対照集団におけるレベル(例えば、喘息を有しない対象におけるレベルもしくは喘息を有しない対象に由来する試料 におけるレベル)であることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適当なパラメトリック又はノンパラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
ある実施態様において、該対象は、喘息の動物モデル、喘息を有するヒト、又は喘息を発症するリスクを有する対象(例えば、ヒト)である。いくつかの実施態様において、該対象は、喘息の家族歴を有するヒト、喘息と関連する遺伝子を保有するヒト、喘息と関連するバイオマーカーが陽性であるヒト、又はこれらの組合せである。いくつかの実施態様において、該対象は、喘息と診断されている。いくつかの実施態様において、該対象は、喘息と関連する1以上の兆候又は症状を有する。いくつかの実施態様において、該対象は、喘息を発症するリスクがある(例えば、該対象は、個々に又は他の遺伝子もしくは環境因子との組合せで、喘息の発症と関連する遺伝子を保有する)。
一実施態様において、該対象は、過去に喘息と診断されたことがあるか、或いは本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態が投与される前に、少なくとも1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月間、気流閉塞の突発的症状(例えば、喘鳴及び/又は胸部圧迫感)を有している。一実施態様において、該対象は、過去に喘息と診断されたことがあるか、或いは本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態が投与される前に、少なくとも6カ月間、気流閉塞の突発的症状(例えば、喘鳴及び/又は胸部圧迫感)を有している。
一実施態様において、該対象は、対照値の少なくとも95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%の1秒量努力呼気肺活量(FEV1)値を有する。一実施態様において、該対象は、対照値の少なくとも70%の1秒量努力呼気肺活量(FEV1)値を有する。一実施態様において、該対照値は、米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)の基準に基づいて計算することができる。
一実施態様において、該対象は、アレルゲンに対する皮膚プリックテストに対して陽性の応答を有する。一実施態様において、該陽性の応答は、皮膚テスト膨疹の硬化の直径がが対照膨疹の直径よりも大きい(例えば、少なくとも2mm大きい)ということを意味する。アレルゲンは、喘息の状態の診断又は判定において使用することができる本明細書に提供される又は当技術分野で公知の任意のアレルゲンであることができる。
一実施態様において、該対象は、吸入アレルゲン曝露に対する少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の即時性喘息応答(EAR)を有する。一実施態様において、該対象は、吸入アレルゲン曝露に対する少なくとも20%の即時性喘息応答を有する。一実施態様において、EAR応答は、最後のアレルゲン曝露から0〜<3時間以内の曝露前からの2回連続のFEV1の減少である。
一実施態様において、該対象は、吸入アレルゲン曝露に対する少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の遅発性喘息応答(LAR)を有する。一実施態様において、該対象は、吸入アレルゲン曝露に対する少なくとも15%の遅発性喘息応答を有する。一実施態様において、LAR応答は、最後のアレルゲン曝露から3〜10時間以内の曝露前からの2回連続のFEV1の減少である。
一実施態様において、該対象は、吸入アレルゲン曝露に対する少なくとも20%の即時性喘息応答及び少なくとも15%の遅発性喘息応答を有する。吸入アレルゲンは、喘息の状態の診断又は判定において使用することができる本明細書に提供される又は当技術分野で公知の任意の吸入アレルゲンであることができる。
一実施態様において、該対象は、C反応性タンパク質のレベルの上昇を示す。一実施態様において、該対象は、少なくとも1.0mg/LのC反応性タンパク質のレベルの上昇を示す。一実施態様において、該対象は、少なくとも7mg/LのC反応性タンパク質のレベルの上昇を示す。
いくつかの実施態様において、該対象は、抗核抗体(例えば、抗スミス抗体、抗二本鎖DNA(dsDNA)抗体、抗U1 RNP、SS-a(もしくは抗Ro)、SS-b(もしくは抗La))、抗リン脂質抗体、抗ss DNA抗体、抗ヒストン抗体、又は抗カルジオリピン抗体のレベルの上昇を示す。いくつかの実施態様において、該対象は、抗dsDNA抗体のレベルの上昇を示す。いくつかの実施態様において、該対象は、抗Sm抗体のレベルの上昇を示す。
いくつかの実施態様において、該対象は、喘息又は喘息の亜型と関連することが知られている1以上の抗原に対する自己抗体を示す。いくつかの実施態様において、該対象は、Sm/抗RNP又はRo/La自己抗原に対する自己抗体を示す。
喘息と関連する抗体のレベルは、任意の好適な方法、例えば、当技術分野で公知の方法、例えば、間接免疫蛍光を用いて評価することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法は、前述の抗体のうちの1つ又は複数のレベルの増大を低下させ又は妨害する。
いくつかの実施態様において、該対象は、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルの上昇を示す。一実施態様において、該対象は、IFN-αのレベルの上昇を示す。別の実施態様において、該対象は、IL-6のレベルの上昇を示す。別の実施態様において、該対象は、IL-4又はIL-21のmRNAのレベルの上昇を示す。
いくつかの実施態様において、該対象は、喘息と関連する遺伝子に突然変異(例えば、SNP)を有する。一実施態様において、該遺伝子は、STAT4、IRF5、BANK1、ITGAM、PD1、FAM167A-BLK、IRF5-TNP03、KIAA1542、TNFAIP3、XKR6、1q25.1、PXK、ATG5、ICA1、XKR6、LYN、及びSCUB2、又はこれらの組合せから選択される。いくつかの実施態様において、該対象は、HLAクラスII遺伝子のDR3及びDQ2変異体、又はDR2及びDQ6変異体を保有する。いくつかの実施態様において、該対象は、1以上の補体タンパク質の欠損、例えば、第6番染色体上のC4AもしくはC2遺伝子、又は第12番染色体上のC1r及びC1s遺伝子によってコードされる補体タンパク質の欠損を有する。
いくつかの実施態様において、該対象は、過剰なPI3K活性又はPI3Kシグナル伝達経路の1以上の成分(例えば、Akt(PKB)、mTOR、Tecキナーゼ(例えば、Btk、Itk、Tec)、ホスホリパーゼC、PDK1、PKC、NFκB、Rac、GEF(例えば、Vav-1)、もしくはRac)の異常な活性(例えば、過剰なもしくは低下した活性)を示す。
いくつかの実施態様において、該対象は、本明細書に提供される又は当技術分野で公知の喘息の動物モデルである。例としては、マウスリポ多糖(LPS)誘導肺炎症モデル、及びマウスオボアルブミン誘導アレルギー性気道炎症モデルが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、該対象は、過去に喘息の治療を受けたことがある。いくつかの実施態様において、該対象は、過去に喘息の治療を受けたことがあるが、標準治療に応答しない。したがって、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の喘息を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態を、それを必要としている対象に投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、喘息に対する治療を過去に施されたことがある。
いくつかの実施態様において、該対象は、過去に喘息の治療を受けたことがない。
一実施態様において、任意の特定の理論によって限定されるものではないが、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態の投与は、喘息治療の1以上の一般的な副作用をもたらさないか、又は該副作用の低下をもたらす。該喘息治療の一般的な副作用としては、口腔カンジダ症、鵝口瘡、発声障害(嗄声)、反射性咳、気管支痙攣、成長不全、骨密度の減少、播種性水痘感染(臓器に広がる鶏痘)、痣ができやすいこと、白内障、緑内障、副腎抑制、胃のもたれ、頭痛、肝臓検査異常、皮疹、チャーグストラウス症候群、口の中の不快な味、咳、掻痒、咽頭痛、くしゃみ、鼻詰まり、息切れ、喘鳴、ウイルス性疾患、上気道感染症、副鼻腔炎、目が回ることもしくは目眩がすること、蕁麻疹、声の変化、舌の腫脹、又は嚥下困難が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、該副作用は、対照レベルと比べて、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適当な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、他の喘息療法(例えば、Xolair、クロモリンナトリウム、ネドクロミル、モンテルカスト、及びプレドニゾン)で治療された対象における副作用レベルであることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適当なパラメトリック又はノンパラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
一実施態様において、喘息の退行は、アレルゲン曝露後のFEV1のアレルゲン曝露前からの最大減少のレベルの減少(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%減少)である。アレルゲン曝露後のFEV1のアレルゲン曝露前からの最大減少のレベルは、EAR又はLARで測定することができる。
一実施態様において、喘息の退行は、アレルゲン曝露後のFEV1の曲線下面積(AUC)の減少(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%減少)である。
一実施態様において、喘息の退行は、アレルゲン曝露後のFEV1(PC20)の20%下落を誘導するのに必要とされるメタコリンの量の増加(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%増加)である。
一実施態様において、喘息の退行は、対象の呼気酸化窒素レベルの減少(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%減少)である。
一実施態様において、喘息の退行は、対象のC反応性タンパク質(CRP)レベルの減少(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%減少)である。
一実施態様において、喘息の退行は、アレルゲン曝露後の対象の誘発喀痰中の白血球数及び/又は差分白血球数の減少(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%減少)である。
(5.6.組合せ療法)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1以上の他の療法と組み合わせて投与される。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、他の経路、又は同じ経路の他の構成要素、又はさらには重複する標的酵素の組を調節することが知られている薬剤を、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)と組み合わせて使用する組合せ療法のための方法である。一態様において、そのような療法は、相乗的又は相加的治療効果を提供するために、対象化合物と、化学療法剤、治療用抗体、及び/又は放射線治療との組合せを含むが、これらに限定されない。
「と組み合わせて」とは、他の療法とPI3Kモジュレーターを同時に投与し、及び/又は一緒に送達するために製剤化しなければならないことを意味することを意図するものではないが、これらの送達方法は本開示の範囲内にある。本明細書に提供される化合物は、1以上の他の療法(例えば、1以上の他の追加の薬剤)と同時に、その前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、もしくは16週間前に)、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、もしくは16週間後に)投与することができる。一般に、各々の治療剤は、その特定の薬剤について決定された用量及び/又は日程で投与される。他の治療剤は、本明細書に提供される化合物とともに、単一の組成物中で又は別々に異なる組成物中で投与することができる。3剤併用療法(triple therapy)も本明細書で想定される。
一般に、組み合わせて使用される追加の治療剤は、それらが個別に使用されるレベルを超えないレベルで使用されると考えられる。いくつかの実施態様において、組み合わせて使用されるレベルは、個別に使用されるレベルよりも低い。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、癌又は血液悪性腫瘍に対する一次治療であり、すなわち、それは、癌もしくは血液悪性腫瘍又はそれらの1以上の症状を治療することを意図した別の薬物又は療法を過去に投与されたことがない対象で使用される。
他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、癌又は血液悪性腫瘍に対する二次治療であり、すなわち、それは、癌もしくは血液悪性腫瘍又はそれらの1以上の症状を治療することを意図した別の薬物又は療法を過去に投与されたことがある対象で使用される。
他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、癌又は血液悪性腫瘍に対する三次又は四次治療であり、すなわち、それは、癌もしくは血液悪性腫瘍又はそれらの1以上の症状を治療することを意図した2つ又は3つの他の薬物又は療法を過去に投与されたことがある対象で使用される。
2つの薬剤を投与する実施態様において、該薬剤を任意の順序で投与することができる。例えば、2つの薬剤を、同時に(すなわち、本質的に同時に、もしくは同じ治療において)又は逐次的に(すなわち、一方のすぐ後に他方を、もしくはその代わりに、該2つの投与の間に間隔を置いて)投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、逐次的に(すなわち、第1の治療薬の後に)投与される。
一態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与したとき、相乗的又は相加的効力を示すことができる。そのような組合せは、そのような作用が生じる場合、1以上のPI3K-δ阻害剤の使用と関連する高レベルのIgEの望ましくない作用を軽減することができる。これは、特に、関節リウマチなどの自己免疫及び炎症性障害(AIID)の治療において有用であり得る。さらに、mTORの阻害剤と組み合わせた本明細書に提供されるPI3K-δ、PI3K-γ、又はPI3K-δ/γ阻害剤の投与は、PI3K経路の阻害の増強を介する相乗作用を示すこともできる。
別々の、しかし、関連する態様において、本明細書に提供されるのは、PI3K-δ阻害剤、及びIgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤を、それを必要としている対象に投与することを含む、PI3K-δと関連する疾患の組合せ治療である。他の例示的なPI3K-δ阻害剤がこの組合せに適用可能であり、それらは、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,800,620号に記載されている。そのような組合せ治療は、限定されないが、関節リウマチを含む自己免疫及び炎症性疾患(AIID)を治療するのに特に有用である。
IgE産生を阻害する薬剤は当技術分野で公知であり、それらには、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。IgE活性を阻害する薬剤としては、例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ及びTNX-901などが挙げられる。
自己免疫疾患のために、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、限定されないが、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標)、Avonex(登録商標)、及びRebif(登録商標)を含む一般処方薬と組み合わせて使用することができる。呼吸器疾患の治療のために、対象化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は医薬組成物を、限定されないが、Xolair(登録商標)、Advair(登録商標)、Singulair(登録商標)、及びSpiriva(登録商標)を含む一般処方薬と組み合わせて投与することができる。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、炎症性状態、例えば、脳脊髄炎、喘息、及び本明細書に記載される他の疾患の症状を緩和するように作用する他の薬剤とともに製剤化又は投与することができる。これらの薬剤としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アセチルサリチル酸;イブプロフェン;ナプロキセン;インドメタシン;ナブメトン;トルメチン;などが挙げられる。コルチコステロイドは、炎症を軽減し、免疫系の活性を抑制するために使用される。このタイプの例示的な薬物は、プレドニゾンである。クロロキン(Aralen)又はヒドロキシクロロキン(Plaquenil)を、狼瘡を有する一部の個体で使用することもできる。それらは、狼瘡の皮膚及び関節症状に対して処方することができる。アザチオプリン(Imuran)及びシクロホスファミド(Cytoxan)は、炎症を抑制し、かつ免疫系を抑制する傾向がある。他の薬剤、例えば、メトトレキセート及びシクロスポリンは、狼瘡の症状を制御するために使用される。抗凝固剤は、血液が急速に凝固するのを防ぐために利用される。それらは、血小板が付着するのを防ぐ非常に低用量のアスピリンから、ヘパリン/クマジンまで様々なものがある。狼瘡の治療で使用される他の化合物としては、ベリムマブ(Benlysta(登録商標))が挙げられる。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における異常な細胞成長を阻害する医薬組成物であって、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を、ある量の抗癌剤(例えば、化学療法剤又は生物療法剤)と組み合わせて含む、医薬組成物である。現在、多くの化学療法薬が当技術分野で公知であり、本明細書に提供される化合物と組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物応答修飾物質、抗ホルモン薬、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン薬から選択される。非限定的な例としては、化学療法剤、細胞毒性剤、及び非ペプチド小分子、例えば、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(商標)(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、及びAdriamycin(登録商標)(ドキソルビシン)、並びに多くの化学療法剤がある。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamines); BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ(PCI-32765)、AVL-292、ダサチニブ、LFM-AI3、ONO-WG-307、及びGDC-0834; HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、アブレキノスタット、エンチノスタット、SB939、レスミノスタット、ギビノスタット、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、及びケベトリン; EZH2阻害剤、例えば、限定されないが、EPZ-6438(N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-4-メチル-4'-(モルホリノメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド)、GSK-126((S)-1-(sec-ブチル)-N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-3-メチル-6-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-インドール-4-カルボキサミド)、GSK-343(1-イソプロピル-N-((6-メチル-2-オキソ-4-プロピル-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-1H-インダゾール-4-カルボキサミド)、El1、3-デアザネプラノシンA(DNNep、5R-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3-(ヒドロキシメチル)-3-シクロペンテン-1S,2R-ジオール)、EZH2を標的とする低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖(S. M. Elbashirらの文献、Nature 411: 494-498(2001))、イソリキリチゲニン、並びに例えば、その全てが引用により本明細書中に組み込まれる、米国公開第2009/0012031号、第2009/0203010号、第2010/0222420号、第2011/0251216号、第2011/0286990号、第2012/0014962号、第2012/0071418号、第2013/0040906号、及び第2013/0195843号に提供されているもの; JAK/STAT阻害剤、例えば、レスタウルチニブ、トファシチニブ、ルクソリチニブ、パクリチニブ、CYT387、バリシチニブ、GLPG0636、TG101348、INCB16562、CP-690550、及びAZD1480; PKC-β阻害剤、例えば、エンザスタウリン; SYK阻害剤、例えば、限定されないが、GS-9973、PRT 062607、R406、(S)-2-(2-((3,5-ジメチルフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-(1-ヒドロキシプロパン2-イル)-4-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、R112、GSK143、BAY61-3606、PP2、PRT 060318、R348、並びに例えば、その全てが引用により本明細書中に組み込まれる、米国公開第2003/0113828号、第2003/0158195号、第2003/0229090号、第2005/0075306号、第2005/0232969号、第2005/0267059号、第2006/0205731号、第2006/0247262号、第2007/0219152号、第2007/0219195号、第2008/0114024号、第2009/0171089号、第2009/0306214号、第2010/0048567号、第2010/0152159号、第2010/0152182号、第2010/0316649号、第2011/0053897号、第2011/0112098号、第2011/0245205号、第2011/0275655号、第2012/0027834号、第2012/0093913号、第2012/0101275号、第2012/0130073号、第2012/0142671号、第2012/0184526号、第2012/0220582号、第2012/0277192号、第2012/0309735号、第2013/0040984号、第2013/0090309号、第2013/0116260号、及び第2013/0165431号に提供されているもの; SYK阻害剤、例えば、R788(フォスタマチニブ);SYK/JAK二重阻害剤、例えば、PRT2070;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、クロロナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プララトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン; PSK.R(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン; 2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(例えば、TAXOL(商標))及びドセタキセル(例えば、TAXOTERE(商標))及びABRAXANE(登録商標)(パクリタキセルタンパク質結合粒子);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、同位体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)が挙げられる。同じく好適な化学療法用の細胞調整剤として挙げられるのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケトキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む、抗エストロゲン薬;並びに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;クロラムブシル;ゲムシタビン; 6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。望ましい場合、本明細書に提供される化合物又は医薬組成物は、一般に処方される抗癌薬、例えば、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラディン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナファイド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍原性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシイミン、CBV(化学療法)、カリクリン、クリゾチニブ、細胞周期非特異的抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモライド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドマイド、ルカントン、ラルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーポー、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126、及びゾスキダルと組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、限定されないが、IPI-926(米国特許第7,812,164号参照)を含む、ヘッジホッグ阻害剤から選択される。他の好適なヘッジホッグ阻害剤としては、例えば、その開示全体が、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,230,004号、米国特許出願公開第2008/0293754号、米国特許出願公開第2008/0287420号、及び米国特許出願公開第2008/0293755号に記載及び開示されているものが挙げられる。他の好適なヘッジホッグ阻害剤の例としては、各々引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開US 2002/0006931号、US 2007/0021493号、及びUS 2007/0060546号、並びに国際出願公開WO 2001/19800号、WO 2001/26644号、WO 2001/27135号、WO 2001/49279号、WO 2001/74344号、WO 2003/011219号、WO 2003/088970号、WO 2004/020599号、WO 2005/013800号、WO 2005/033288号、WO 2005/032343号、WO 2005/042700号、WO 2006/028958号、WO 2006/050351号、WO 2006/078283号、WO 2007/054623号、WO 2007/059157号、WO 2007/120827号、WO 2007/131201号、WO 2008/070357号、WO 2008/110611号、WO 2008/112913号、及びWO 2008/131354号に記載されているものが挙げられる。ヘッジホッグ阻害剤のさらなる例としては、例えば、Von Hoff Dらの文献、N. Engl. J. Med. 2009; 361(12): 1164-72; Robarge K.Dらの文献、Bioorg Med Chem Lett. 2009; 19(19): 5576-81; Yauch, R. L.らの文献(2009) Science 326: 572-574; Sciencexpress: 1-3(10.1126/science.1179386); Rudin, C.らの文献(2009) New England J of Medicine 361-366(10.1056/nejma0902903)に記載されているGDC-0449(RG3616又はビスモデギブとしても知られる);例えば、Siu Lらの文献、J. Clin. Oncol. 2010; 28: 15s(補遺;要旨2501);及び米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT006701891号に記載されているBMS-833923(XL139としても知られる);例えば、Pan S.らの文献、ACS Med. Chem. Lett, 2010; 1(3): 130-134に記載されているLDE-225;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT01106508号に記載されているLEQ-506;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT00953758号に記載されているPF-04449913;米国特許出願公開第2010/0286114号に開示されているヘッジホッグ経路アンタゴニスト;例えば、米国特許出願公開第2010/0093625号に記載されているSMOi2-17;例えば、Rominger C.M.らの文献、J. Pharmacol. Exp. Ther. 2009; 329(3): 995-1005に記載されているSANT-1及びSANT-2; Lucas B.S.らの文献、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010; 20(12): 3618-22に記載されている1-ピペラジニル-4-アリールフタラジン又はその類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
他のホルモン療法及び化学療法剤としては、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、及び酢酸メゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン及びロイプロリド)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、光線力学療法(例えば、ベルトポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、及びデメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、及びメルファラン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、タキソイド又はタキサン(例えば、パクリタキセル又はパクリタキセル同等品、例えば、ナノ粒子アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Taxoprexin)、ポリグルタメート結合型パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP) ANG1005(パクリタキセル3分子に結合したアンジオペップ-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル)、及びグルコースコンジュゲート型パクリタキセル、例えば、2'-パクリタキセルメチル 2-グルコピラノシルスクシネート;ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、イリノテカン、クリスナトール、マイトマイシンC)、代謝拮抗物質、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキセート、ジクロロメトトレキセート、トリメトレキセート、エダトレキセート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、及びEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシウレア及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(ara C、シトシンアラビノシド)、及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB 1089、CB 1093、及びKH 1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作用性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ ATPアーゼ阻害剤(例えば、タプシガルジン)、サリドマイド、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標))、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、及び/又はXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダホロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)、及びOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンプトテシン、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモライド、カルミノマイシン、アミノプテリン、並びにヘキサメチルメラミンが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な生物療法剤としては、インターフェロン、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血成長因子、モノクローナル血清療法、免疫賦活剤、及び/又は免疫調節剤(例えば、IL-1、2、4、6、7、12、15、もしくは21)、免疫細胞成長因子(例えば、GM-CSF)、並びに抗体(例えば、Herceptin(トラスツズマブ)、T-DM1、AVASTIN(ベバシズマブ)、ERBITUX(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Rituxan(リツキシマブ)、Bexxar(トシツモマブ)、又はPerjeta(ペルツズマブ))が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、該生物療法剤は、免疫療法剤、例えば、癌ワクチン、例えば、腫瘍ワクチンである。例示的な癌ワクチンとしては、Aduro(GVAX); Advaxis(ADXS11-001、ADXS31-001、ADXS31-164、ADXS31-142(ADXS-PSA)); ALVAC-CEAワクチン; Avax Technologies(ACワクチン); Amgen(タリモジーン・ラハーパレプベック); Biovest International(フェーズIIIのBiovaxID); Bavarian Nordic(PROSTVAC); Celldex Therapeutics(CDX110、CDX1307、及びCDX1401); The Center of Molecular Immunology(CimaVax-EGF); CureVacはmRNAベースの癌免疫療法を開発している; CV9104; Dendreon Corp(Neuvenge); Galena Biopharma(NeuVax); Antigen Express(Ae-37); Geron Corporation(GRNVAC1); GlobeImmune(Tarmogens、GI-4000、GI-6207、GI-6301); Heat Biologics (ImPACT療法); Immatics biotechnologies(IMA901); Merck(Stimuvax); Panacela Labs社(MOBILANアデノウイルスベースの治療); Prima BioMed(Cvac); Scancell Holdings(SCIB1)が挙げられる。
実施態様において、該生物療法剤は、細胞療法、例えば、樹状細胞療法又はキメラT細胞療法、例えば、CARTである。樹状細胞療法は、樹状細胞に患者の腫瘍から得られた抗原をローディングし、その後、該患者自身のT細胞を腫瘍抗原に対して感作するために、該樹状細胞を該患者に投与することを含むことができる。キメラ抗原受容体(CAR)は、T細胞に対する腫瘍特異性を付与するために使用することができる人工受容体である。α-葉酸受容体、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44v7/8、CEA、EGP-2、EGP-40、erb-B2、erb-B 2,3,4、FBP、胎児アセチルコリン受容体、FD2、Her2/neu、IL13R-a2、KDR、k-軽鎖、LeY、L1細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、CMV感染細胞、MUC1、NKG2Dリガンド、癌胎児性抗原h5T4、PSCA、PSMA、TAA、TAG-72、及びVEGF-R2に対する特異性を有するCARが作製されている。
一実施態様において、該生物療法剤は、抗CD37抗体、例えば、限定されないが、IMGN529、K7153A、及びTRU-016である。別の実施態様において、該生物療法剤は、抗CD20抗体、例えば、限定されないが、131Iトシツモマブ、90Yイブリツモマブ、111Iイブリツモマブ、オビヌツズマブ(GAZYVA)、及びオファツムマブである。別の実施態様において、該生物療法剤は、抗CD52抗体、例えば、限定されないが、アレムツズマブである。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、HSP90阻害剤から選択される。HSP90阻害剤は、ゲルダナマイシン誘導体、例えば、ベンゾキノン又はハイグロキノン(hygroquinone)アンサマイシンHSP90阻害剤(例えば、IPI-493及び/又はIPI-504)であることができる。HSP90阻害剤の非限定的な例としては、IPI-493、IPI-504、17-AAG(タネスピマイシンもしくはCNF-1010としても知られる)、BIIB-021(CNF-2024)、BIIB-028、AUY-922(VER-49009としても知られる)、SNX-5422、STA-9090、AT-13387、XL-888、MPC-3100、CU-0305、17-DMAG、CNF-1010、マクベシン(例えば、マクベシンI、マクベシンII)、CCT-018159、CCT-129397、PU-H71、又はPF-04928473(SNX-2112)が挙げられる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、PI3K阻害剤(例えば、本明細書に提供されるPI3K阻害剤及び本明細書に提供されないPI3K阻害剤を含む)から選択される。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタ及びガンマアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのガンマアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのアルファアイソフォームの阻害剤である。他の実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kの1以上のアルファ、ベータ、デルタ、及びガンマアイソフォームの阻害剤である。組み合わせて使用することができる例示的なPI3K阻害剤は、例えば、各々引用により本明細書中に組み込まれる、WO 09/088990号、WO 09/088086号、WO 2011/008302号、WO 2010/036380号、WO 2010/006086号、WO 09/114870号、WO 05/113556号; US 2009/0312310号、及びUS 2011/0046165号に記載されている。医薬組成物と組み合わせて使用することができるさらなるPI3K阻害剤としては、RP-6530、TG 100-115、RV1729、AMG-319、GSK 2126458、GDC-0980、GDC-0941、Sanofi XL147、XL499、XL756、XL147、PF-4691502、BKM 120、CAL-101(GS-1101)、CAL 263、SF1126、PX-886、及び二重PI3K阻害剤(例えば、Novartis BEZ235)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該PI3K阻害剤は、イソキノリノンである。一実施態様において、該PI3K阻害剤は:(S)-2-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)プロピル)-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オンという化学名を有するRP-6530である。一実施態様において、該PI3K阻害剤は: 6,7-ビス(3-ヒドロキシフェニル)プテリジン-2,4-ジアミンという化学名を有するTG 100-115である。一実施態様において、該PI3K阻害剤は: 6-(2-((4-アミノ-3-(3-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)-3-(2-クロロベンジル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-5-イル)-N,N-ビス(2-メトキシエチル)ヘキサ-5-インアミドという化学名を有するRV1729である。
任意の特定の理論によって束縛されるものではないが、各々のPI3Kアイソフォームの役割は、細胞型及び上流開始シグナルに非常に依存的であり、したがって、特異的なアイソフォームの薬理学的阻害は、様々な生理学的転帰をもたらすことができると考えられる。PI3Kは、細胞の成長及び生存を含む重要な細胞プロセスの調節において中心的な役割を有する、多数のアイソフォームで存在する脂質キナーゼである。Puriらの文献、Frontiers in Immunology. 2012, 3: 256。PI3K-δとPI3K-γはどちらも、CLL及びNHL腫瘍細胞で発現される。PI3Kを介したシグナル伝達は、それらが、細胞内BCRシグナル伝達を媒介し、腫瘍細胞とその微小環境との相互作用を促進するので、これらの悪性腫瘍の成長及び生存を支持するのに重要である。Puriらの文献、Frontiers in Immunology. 2012, 3: 256。
悪性B細胞におけるPI3K-δの特異的機能は、それがこれらの疾患を制御するための治療標的となる論理的根拠を支持する。PI3K-δ阻害は、悪性細胞の間質微小環境との相互作用を妨げ、それにより、ケモカイン媒介性のCLL及び他のB細胞悪性腫瘍の刺激を妨害し、細胞を薬理学的な刺激又は自然な刺激によるアポトーシスに向けてプライミングする。PI3K-δの薬理学的阻害は、CLL及びB細胞リンパ腫を含む、B細胞由来悪性腫瘍の様々なモデルで疾患活動性を低下させる。PI3K-δ阻害は、CLLを含む、B細胞悪性腫瘍の様々な前臨床モデルにおいて他の抗腫瘍剤の治療可能性を向上させる。Lannuttiらの文献、Blood. 2011, 117, 591-594。
悪性B細胞微小環境を維持する細胞におけるPI3K-γの役割により、これらの疾患を制御するためのPI3K-γの治療的阻害の可能性が生み出される。PI3K-γは、T細胞の活性化及び遊走並びにGPCR関連のケモカインシグナル伝達において役割を果たす。Reifらの文献、J Immunol. 2004; 173: 2236-2240。PI3K-γは、腫瘍関連マクロファージ(TAM)の接着及び輸送も媒介する。Reifらの文献、J Immunol. 2004; 173: 2236-2240。Hasanらの文献、Int Immunopharmacology. 2010, 10, 1017-1021; Laffargueらの文献、Immunity. 2002, 16, 441-451。悪性細胞での必須の細胞活動において、PI3K-δとPI3K-γの間に動的な相互作用又は「クロストーク」が存在する。特定の腫瘍型において、PI3K-γは、PI3K-δの非存在下で腫瘍形成を促進することができる。Subramaniamらの文献、Cancer Cell. 2012, 21, 459-472。
特定の腫瘍型において、二重のアイソフォーム阻害が前臨床モデルにおける最適な腫瘍成長阻害に必要である場合がある。Subramaniamらの文献、Cancer Cell. 2012, 21, 459-472。実施例で示されるように、いくつかの細胞株(例えば、NHL(例えば、濾胞性リンパ腫)、DLBCL、マントル細胞、多発性骨髄腫、T細胞リンパ腫)において、PI3K-δとPI3K-γの組合せ阻害は、どちらかのアイソフォーム単独の阻害よりも大きい成長阻害を示す。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、GSK-2269557(2-(6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル)-5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール)、GS9820(CAL-120、(S)-2-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)エチル)-6-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン)、GS-1101(5-フルオロ-3-フェニル-2-([S)]-1-[9H-プリン-6-イルアミノ]-プロピル)-3H-キナゾリン-4-オン)、AMG319、もしくはTGR-1202((S)-2-(l-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-l-イル)エチル)-6-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オン)、又はこれらの混合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物はGS1101である。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれるWO 2005/113556号に記載されているPI3K-デルタ阻害剤である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、第2005/113556号に記載されている化合物番号113又は107である。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれるWO2014/006572号に記載されているPI3K-デルタ化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、約100超、約250超、約500超、約750超、又は約1000超のアルファ/デルタ選択性比を有するPI3K-デルタ阻害剤である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、約10超、約20超、約30超、約40超、又は約50超のベータ/デルタ選択性比を有するPI3K-デルタ阻害剤である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、約1超、約10超、約25超、約30超、又は約50超のガンマ/デルタ選択性比を有するPI3K-デルタ阻害剤である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO2014/006572号に記載されている化合物番号A1、A2、B、B1、又はB2である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO2014/006572号に記載されている化合物番号B1である。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれるWO 2013/032591号に記載されているPI3K-デルタ化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO 2013/032591号に記載されている式(I)の化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、PI3K-デルタアイソフォームについての100nM未満のIC50(nM)及びPI3K-アルファ、ベータ、又はガンマについての約100nM超、約1μM超、又は約10μM超のIC50(nM)を有する、WO 2013/032591号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、1超、約10超、又は約100超のアルファ/デルタ選択性比、ベータ/デルタ選択性比、又はガンマ/デルタ選択性比を有する。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO 2013/032591号に記載されている化合物番号13、30、41、55、57、124、167、183、185、187、191、196、226、230、232、234、235、326、327、328、333、334、336、337、338、356、359、378、439、440、443、又は455である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO 2013/032591号に記載されている化合物番号183、230、234、235、326、333、336、337、338、又は359である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO 2013/032591号に記載されている化合物番号359である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I')、(A')、(I)、もしくは(A)の化合物、又はこれらの医薬として許容し得る形態、及びPI3K-デルタ選択的化合物を含む医薬組成物であり、ここで、該PI3K-デルタ選択的化合物は、GSK-2269557、GS-9820、GS-1101(Cal-101もしくはイデラリシブ)、AMG319、又はTGR-1202、或いはこれらの混合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物はGS1101である。一実施態様において、該組成物は、PI3K媒介障害の治療又は予防において相乗的である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれるWO2011/146882号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、PI3K-デルタアイソフォームについての100nM未満のIC50(nM)及びPI3K-アルファ、ベータ、又はガンマについての約100nM超、約1μM超、又は約10μM超のIC50(nM)を有する、WO2011/146882号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、1超、約10超、又は約100超のアルファ/デルタ選択性比、ベータ/デルタ選択性比、又はガンマ/デルタ選択性比を有する。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO2011/146882号に記載されている化合物番号69である。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれるWO2013/012915号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、PI3K-デルタアイソフォームについての100nM未満のIC50(nM)及びPI3K-アルファ、ベータ、又はガンマについての約100nM超、約1μM超、又は約10μM超のIC50(nM)を有する、WO2013/012915号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、1超、約10超、又は約100超のアルファ/デルタ選択性比、ベータ/デルタ選択性比、又はガンマ/デルタ選択性比を有する。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO2013/012915号に記載されている化合物番号I-41又はI-106である。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれるWO2013/012918号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、PI3K-デルタアイソフォームについての100nM未満のIC50(nM)及びPI3K-アルファ、ベータ、又はガンマについての約100nM超、約1μM超、又は約10μM超のIC50(nM)を有する、WO2013/012918号に記載されている化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、1超、約10超、又は約100超のアルファ/デルタ選択性比、ベータ/デルタ選択性比、又はガンマ/デルタ選択性比を有する。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO2013/012918号に記載されている化合物番号19、28、37、38、51、59、60、89、92、103、106、107、108、又は109である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、WO2013/012918号に記載されている化合物番号103又は106である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介障害を治療又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量の式(I')、(A')、(I)、もしくは(A)の化合物、又はこれらの医薬として許容し得る形態を、PI3K-デルタ選択的化合物と組み合わせて投与することを含む、方法であり、ここで、該PI3K-デルタ選択的化合物は、GSK-2269557、GS-9820、GS-1101(Cal-101)、AMG319、もしくはTGR-1202、又はこれらの混合物である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介障害のPI3K-デルタ選択的化合物治療を増強する方法であって、式(I')、(A')、(I)、もしくは(A)の化合物、又はこれらの医薬として許容し得る形態を、PI3K選択的デルタ化合物と組み合わせて投与することを含む、方法であり、ここで、該PI3K-デルタ選択的化合物は、GSK-2269557、GS9-820、GS-1101(Cal-101)、AMG319、もしくはTGR-1202、又はこれらの混合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物はGS1101である。一実施態様において、式(I')、(A')、(I)、もしくは(A)の化合物、又はこれらの医薬として許容し得る形態を該PI3K-デルタ選択的化合物と組み合わせて投与することにより、相乗効果がもたらされる。
また本明細書に提供されるのは、細胞の成長を阻害する方法であって、該細胞を、式(I')、(A')、(I)、もしくは(A)の化合物、又はこれらの医薬として許容し得る形態とPI3K-デルタ選択的化合物との組合せで接触させることを含む、方法であり、ここで、該PI3K-デルタ選択的化合物は、GSK-2269557、GS-9820、GS-1101(Cal-101)、AMG319、もしくはTGR-1202、又はこれらの混合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物はGS1101である。一実施態様において、該細胞は癌細胞である。別の実施態様において、該細胞は対象のものである。一実施態様において、該対象は、増殖性疾患、癌、自己免疫疾患、又は炎症性疾患に罹患している。
一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、米国特許公開第20140058103号、第20140051699号、第20140045825号、第20140011819号、第20130231356号、第20130225557号、第20120245144号、第20100305084号、第20100256167号、第20100168139号、第20100152211号、及び第20100029693号から選択される化合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、米国特許第8,653,077号、第8637,533号、第8623,881号、第8,586,597号、第8,569,296号、第8,563,540号、第8,492,389号、第8,440,651号、第8,138,195号、第7,932,260号、及び第6,949,535号から選択される化合物である。
例えば、150超のデルタ/ガンマ選択性比を有する本明細書に提供される化合物を、1000というガンマ/デルタ選択性比を有する化合物と様々な量(例えば、10:1又は40:1のガンマ選択的化合物とデルタ選択的化合物の比)で組み合わせて、細胞株(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株、例えば、SU-DHL-4、TMD-8、及びFarage)における相乗効果をもたらすことができる。
PI3Kガンマ選択的化合物とPI3K-デルタ選択的化合物の組成物又は組合せ療法は、PI3K媒介障害の治療又は予防において相乗効果をもたらすことができる。一実施態様において、該障害は癌である。一実施態様において、該癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(例えば、TMD-8及びFarage細胞株)、B細胞リンパ腫(例えば、karpas-422細胞株)、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、又は未分化大細胞型リンパ腫(例えば、HH細胞株)である。
いくつかの実施態様において、該相乗効果は、アイソボログラムによって特徴付けることができる。効力の変化は、通常、その効果に達するのに必要とされる単剤用量と比較したとき、所望の効果レベルを達成するのにどのくらい少ない化合物が組合せで必要とされるのかということを示すアイソボログラムを用いて示される。アイソボログラム表示及び組合せ指数計算のための効果レベルの選択は、Chalice Analyzerにおいて手動又は自動のどちらかで選択することができる。効力の変化は、組合せ指数(CI)としてスコア化される。Chouらの文献、Adv Enzyme Regul 1984; 22: 27-55。CIは、選択された効果レベルを達成するのに要求される単剤用量と比べて、どのくらいの化合物が組合せで必要とされたかの概算値であり、0.1という値は、同じ効果レベルに達するのに、単剤の同等量のわずか10分の1が組合せに必要であったことを意味する。相加効果はCI=1.0である。相乗効果はCI<1である。拮抗効果はCI>1.0である。
いくつかの実施態様において、相乗効果は、相乗作用スコアによって特徴付けられる。
様々な刺激を用いて、T細胞又はCLL細胞の遊走を優先的に誘導することができる。例えば、CCL19及びCCL21刺激は、CLLとT細胞の両方の遊走を選択的に誘導する。CXCL13がCLL細胞特異的であるのに対し、CXCL12はT細胞特異的である。したがって、CXCL13及びCXCL12という刺激を用いて、それぞれ、CLL細胞及びT細胞の遊走を誘導することができる。本明細書に提供されるPI3Kガンマ選択的化合物は、癌促進性細胞遊走、例えば、CXCL12誘導性T細胞遊走を阻害することができる。いくつかの実施態様において、pAKTレベルの上昇は、CXCL12誘導性遊走機構が活性化されていることを示す。結果として、いくつかの実施態様において、PI3K-ガンマ選択的化合物、例えば、化合物1は、T細胞において、AKTシグナル伝達を妨害し及び/又はpAKTレベルを低下させる。一実施態様において、該PI3K-ガンマ選択的化合物は、約50超のデルタ/ガンマ選択性比を有する化合物、例えば、化合物1である。別の実施態様において、該PI3K-デルタ選択的化合物は、約50超のガンマ/デルタ選択性比を有する化合物である。該ガンマ選択的化合物は、CLL PBMCにおける癌促進性細胞遊走、例えば、CXCL12誘導性T細胞遊走を阻害するのにデルタ選択的化合物よりも強力であり得る。癌促進性細胞の遊走を阻害する能力は、癌の成長を促進する細胞の癌細胞ニッチへの遊走を遮断することにより、癌の成長を止めることができる。別の実施態様において、ガンマ又はデルタ選択的化合物は、癌細胞自体の遊走を阻害し、癌細胞の播種を制限することができる。したがって、本明細書に提供されるガンマ選択的化合物を用いて、癌を治療及び/もしくは予防するか、又は癌の進行もしくは転移を減速させることができる。ガンマ選択的化合物とデルタ選択的化合物の組合せによる治療は、例えば、B細胞媒介性癌において、デルタ選択的化合物単独と比較して、より早い応答時間を有し得る。
一実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態は、癌治療用の化学療法(例えば、テモゾロミド)と組み合わせて投与される。一実施態様において、該癌は、膠芽腫(例えば、多形性膠芽腫)である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の膠芽腫を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の化合物1、又はその医薬として許容し得る形態を、化学療法と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化学療法の後に投与される。一実施態様において、該化合物は、化学療法と同時に投与される。一実施態様において、該化合物は、化学療法の前に投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、放射線療法と組み合わせて、対象における異常な細胞成長の阻害又は過剰増殖性障害の治療に使用する方法である。放射線療法を施すための技法は当技術分野で公知であり、これらの技法を本明細書に記載される組合せ療法に使用することができる。この組合せ療法での本明細書に提供される化合物の投与は、本明細書に記載されている通りに決定することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を、放射線療法と組み合わせて投与することを含む、方法である。
一実施態様において、該固形腫瘍は:肺系統の癌、脳腫瘍、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、膵癌、肺癌、髄芽腫、基底細胞癌、神経膠腫、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、前立腺癌、精巣癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、黒色腫、神経外胚葉腫瘍、頭頸部癌、肉腫、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、平滑筋肉腫、子宮頸癌、子宮癌、子宮内膜癌、上皮性悪性腫瘍、膀胱癌、上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍、びまん型巨細胞腫、及び膠芽腫のうちの1つ又は複数から選択される。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、放射線療法が施された後に投与される。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、放射線療法が施されるのと同時に投与される。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、放射線療法を中止した後に単独で投与される。
放射線療法は、限定されないが、体外照射療法、体内照射療法、組織内照射療法、定位的放射線外科治療、全身放射線療法、放射線療法、及び恒久的又は一時的な組織内近接照射療法を含む、いくつかの方法のうちの1つ、又は方法の組合せによって投与することができる。本明細書で使用される「近接照射療法」という用語は、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位又はその近くで体内に挿入された、空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、及びLuの放射性同位体)への暴露を含むことが意図される。本明細書に提供される細胞調整剤としての使用のための好適な放射線源は、固体と液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、放射性核種、例えば、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125、又は光子、ベータ粒子、ガンマ放射線、もしくは他の治療用放射線を放出する他の放射性核種であることができる。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えば、I-125又はI-131の溶液から作製される流体であることもできるし、又は放射性流体は、Au-198、Y-90などの固体放射性核種の小粒子を含む好適な流体のスラリーを用いて生成させることができる。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性ミクロスフェアに包埋することができる。
任意の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、異常細胞を、そのような細胞を死滅させ及び/又はその成長を阻害する目的で、放射線による治療に対してより敏感にすることができる。したがって、本明細書に提供されるのは、対象における異常細胞を、放射線による治療に対して敏感にする方法であって、該対象に、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を投与することを含む、方法であり、この量は、異常細胞を放射線による治療に対して敏感にするのに有効である。この方法で使用される化合物の量は、本明細書に記載されるそのような化合物の有効量を確認するための手段によって決定することができる。
一実施態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤、解糖阻害剤、又はオートファジー阻害剤から選択される、ある量の1以上の物質と組み合わせて使用することができる。
他の治療剤、例えば、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤、及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤を、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は本明細書に記載される医薬組成物とともに使用することができる。そのような治療剤としては、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ、及びベバシズマブが挙げられる。有用なCOX-II阻害剤の例としては、CELEBREX(商標)(アレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブ、及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO 96/33172号(1996年10月24日公開)、WO 96/27583号(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号(1999年10月29日出願)、WO 98/07697号(1998年2月26日公開)、WO 98/03516号(1998年1月29日公開)、WO 98/34918号(1998年8月13日公開)、WO 98/34915号(1998年8月13日公開)、WO 98/33768号(1998年8月6日公開)、WO 98/30566号(1998年7月16日公開)、欧州特許公開第606,046号(1994年7月13日公開)、欧州特許公開第931,788号(1999年7月28日公開)、WO 90/05719号(1990年5月31日公開)、WO 99/52910号(1999年10月21日公開)、WO 99/52889号(1999年10月21日公開)、WO 99/29667号(1999年6月17日公開)、PCT国際出願PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1号(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148,464号(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863,949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)、及び欧州特許公開第780,386号(1997年6月25日公開)に記載されており、これらは全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、MMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性がほとんど又は全くないものである。他の実施態様としては、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、MAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、及びMMP-13)と比べてMMP-2及び/もしくはAMP-9を選択的に阻害するものが挙げられる。MMP阻害剤のいくつかの非限定的な例は、AG-3340、RO 32-3555、及びRS 13-0830である。
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、タイプ2A又はタイプ1のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制性藻類毒素、cAMPの類似体、及びcAMPレベルを上昇させる薬物、例えば、アデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド、並びにビンブラスチンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、限定されないが、ATG5(これは、オートファジーに関係があるとされる)を含むタンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAを使用することもできる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の心血管疾患を治療する方法、及び/又は該疾患を治療するための医薬組成物であって、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、並びに心血管疾患の治療に使用されるある量の1以上の治療剤を含む、方法及び医薬組成物である。
心血管疾患用途で使用するための例示的な薬剤は、抗血栓剤、例えば、プロスタサイクリン及びサリチレート、血栓溶解剤、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、及びアニソイル化プラスミノーゲン-ストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)、抗血小板剤、例えば、アセチルサリチル酸(ASA)及びクロピドロゲル(clopidrogel)、血管拡張剤、例えば、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬、抗増殖剤、例えば、コルヒチン及びアルキル化剤、インターカレート剤、成長調節因子、例えば、インターロイキン、形質転換成長因子-ベータ、及び血小板由来成長因子の同類物、成長因子に対するモノクローナル抗体、ステロイド性と非ステロイド性の両方の抗炎症剤、並びに血管の緊張、機能、動脈硬化、及び介入後の血管又は器官損傷に対する治癒応答を調節することができる他の薬剤である。抗生物質を組合せで又はコーティングに含めることもできる。さらに、コーティングを用いて、血管壁内に局所的に治療的送達をもたらすことができる。膨潤性ポリマーへの活性剤の組込みにより、該活性剤は、ポリマーの膨潤時に放出される。
一実施態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、滑沢剤としても知られる液体又は固体の組織バリアとともに製剤化又は投与することができる。組織バリアの例としては、多糖類、ポリグリカン、セプラフィルム、インターシード、及びヒアルロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)とともに投与することができる薬剤としては、吸入によって有用に送達される任意の好適な薬物、例えば、鎮痛薬、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、又はモルヒネ;狭心症製剤、例えば、ジルチアゼム;抗アレルギー薬、例えば、クロモグリケート、ケトチフェン、又はネドクロミル;抗感染症薬、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、又はペンタミジン;抗ヒスタミン薬、例えば、メタピリレン;抗炎症薬、例えば、ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン、トリアムシノロンアセトニド、又はフルチカゾン;鎮咳薬、例えば、ノスカピン;気管支拡張薬、例えば、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、又は(-)-4-アミノ-3,5-ジクロロ-α-[[[6-[2-(2-ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]-アミノ]メチル]ベンゼンメタノール;利尿薬、例えば、アミロライド;抗コリン薬、例えば、イプラトロピウム、アトロピン、又はオキシトロピウム;ホルモン薬、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロン;キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネート、又はテオフィリン;並びに治療用タンパク質及びペプチド、例えば、インスリン又はグルカゴンが挙げられる。必要に応じて、薬剤を、塩の形態で(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩として、又は酸付加塩として)、或いはエステル(例えば、低級アルキルエステル)としてとして用いて、薬剤の活性及び/又は安定性を最適化することができることが当業者に明らかであろう。
組合せ療法に有用な他の例示的な治療剤としては、上記の薬剤、放射線療法、ホルモンアンタゴニスト、ホルモン及びその放出因子、甲状腺及び抗甲状腺薬、エストロゲン及びプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質刺激ホルモン;コルチコステロイド及びその合成類似体;副腎皮質ホルモンの合成及び作用の阻害剤、インスリン、経口血糖降下剤、及び内分泌膵臓の薬理、石灰化及び骨代謝回転に作用する薬剤:カルシウム、リン酸塩、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニン、ビタミン、例えば、水溶性ビタミン、ビタミンB群、アスコルビン酸、脂溶性ビタミン、ビタミンA、K、及びE、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ムスカリン受容体アゴニスト及びアンタゴニスト;抗コリンエステラーゼ剤;神経筋接合部及び/又は自律神経節で作用する薬剤;カテコールアミン、交感神経興奮様薬、及びアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はアンタゴニスト;並びに5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT、セロトニン)受容体アゴニスト及びアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
治療剤としては、疼痛及び炎症のための薬剤、例えば、ヒスタミン及びヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニン及びブラジキニンアンタゴニスト、5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、膜リン脂質の選択的加水分解産物の生体内変換によって生成される脂質物質、エイコサノイド、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛解熱剤、プロスタグランジン及びトロンボキサンの合成を阻害する薬剤、誘導型シクロオキシゲナーゼの選択的阻害剤、誘導型シクロオキシゲナーゼ2の選択的阻害剤、オータコイド、傍分泌ホルモン、ソマトスタチン、ガストリン、体液性及び細胞性免疫応答に関与する相互作用を媒介するサイトカイン、脂質由来オータコイド、エイコサノイド、β-アドレナリン作動性アゴニスト、イプラトロピウム、グルココルチコイド、メチルキサンチン、ナトリウムチャネル遮断薬、オピオイド受容体アゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、膜安定化剤、及びロイコトリエン阻害剤を挙げることもできる。
本明細書で想定されるさらなる治療剤としては、利尿薬、バソプレッシン、腎臓の水保持に作用する薬剤、レニン、アンジオテンシン、心筋虚血の治療で有用な薬剤、降圧剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、高コレステロール血症の治療のための薬剤、及び脂質異常症の治療のための薬剤が挙げられる。
本明細書で想定される他の治療剤としては、胃液酸性度の制御に使用される薬物、消化性潰瘍の治療のための薬剤、胃食道逆流症の治療のための薬剤、運動促進剤、制吐剤、過敏性腸症候群で使用される薬剤、下痢に使用される薬剤、便秘に使用される薬剤、炎症性腸疾患に使用される薬剤、胆道疾患に使用される薬剤、膵疾患に使用される薬剤が挙げられる。治療剤としては、原虫感染症を治療するために使用されるもの、マラリア、アメーバ症、ジアルジア症、トリコモナス症、トリパノソーマ症、及び/もしくはリーシュマニア症を治療するために使用される薬物、並びに/又は蠕虫症の化学療法で使用される薬物が挙げられるが、これらに限定されない。他の治療剤としては、抗菌剤、スルホンアミド、トリメトプリム-スルファメトキサゾールキノロン、及び尿路感染症のための薬剤、ペニシリン、セファロスポリン、及び他のβ-ラクタム系抗生物質、アミノグリコシドを含む薬剤、タンパク質合成阻害剤、結核、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)複合体疾患、及びハンセン病の化学療法で使用される薬物、抗真菌剤、非レトロウイルス剤及び抗レトロウイルス剤を含む抗ウイルス剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される化合物と組み合わせることができる治療用抗体の例としては、抗受容体チロシンキナーゼ抗体(セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ)、抗CD20抗体(リツキシマブ、トシツモマブ)、並びに他の抗体、例えば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、及びゲムツズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、免疫調節に使用される治療剤、例えば、免疫調節物質、免疫抑制剤、寛容原、及び免疫賦活剤が、本明細書における方法によって想定される。さらに、血液及び造血器官に作用する治療剤、造血剤、成長因子、ミネラル、及びビタミン、抗凝固剤、血栓溶解剤、並びに抗血小板薬もまた、本明細書における方法によって想定される。
例例示的な実施態様において、腎臓癌を治療するために、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物をソラフェニブ及び/又はアバスチンと組み合わせることができる。子宮内膜障害を治療するために、本明細書に提供される化合物をドキソルビシン、タキソテール(タキソール)、及び/又はシスプラチン(カルボプラチン)と組み合わせることができる。卵巣癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、トポテカン、及び/又はタモキシフェンと組み合わせることができる。乳癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、パクリタキセルもしくはドセタキセル、ゲムシタビン、カペシタビン、タモキシフェン、レトロゾール、エルロチニブ、ラパチニブ、PD0325901、ベバシズマブ、トラスツズマブ、OSI-906、及び/又はOSI-930と組み合わせることができる。肺癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ペメトレキセド、エルロチニブ、PD0325901、及び/又はベバシズマブと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害は、血液癌、例えば、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫; NHL)、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、及び白血病(例えば、CLL)であり、本明細書に提供される化合物は: HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、及びACY-1215; mTOR阻害剤、例えば、エベロリムス;抗葉酸剤、例えば、プララトレキセート;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベンダムスチン;任意にオキサリプラチンとさらに組み合わせたゲムシタビン;リツキシマブとシクロホスファミドの組合せ; PI3K阻害剤、例えば、RP-6530、TG 100-115、RV1729、GS-1101、XL 499、GDC-0941、及びAMG-319;血管新生阻害剤、例えば、ポマリドミド、又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ、AVL-292、ダサチニブ、LFM-AI3、ONO-WG-307、及びGDC-0834と組み合わせて使用される。いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はDLBCLであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるHDAC阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該HDAC阻害剤はACY-1215である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はDLBCLであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるBTK阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はDLBCLであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるIRAK阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該IRAK4阻害剤は、ND-2110又はND-2158である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はWMであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるBTK阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はWMであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるIRAK4阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該IRAK4阻害剤は、ND-2110又はND-2158である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はT-ALLであり、対象/患者はPTEN欠損を有し、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ドキソルビシン及び/又はビンクリスチンと組み合わせて使用される。
炎症(例えば、関節炎、喘息)が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば: PI3K阻害剤、例えば、RP-6530、TG 100-115、RV1729、GS-1101、XL 499、GDC-0941、及びAMG-319; BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ及びAVL-292;JAK阻害剤、例えば、トファシチニブ及びGLPG0636; SYK阻害剤、例えば、ホスタマチニブと組み合わせることができる。
喘息が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:ベータ2-アゴニスト、例えば、限定されないが、アルブテロール(Proventil(登録商標)、又はVentolin(登録商標))、サルメテロール(Serevent(登録商標))、ホルモテロール(Foradil(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、ピルブテロール(MaxAir(登録商標))、及び硫酸テルブタリン;コルチコステロイド、例えば、限定されないが、ブデソニド(例えば、Pulmicort(登録商標))、フルニソリド(例えば、AeroBid Oral Aerosol Inhaler(登録商標)又はNasalide Nasal Aerosol(登録商標))、フルチカゾン(例えば、Flonase(登録商標)又はFlovent(登録商標))、及びトリアムシノロン(例えば、Azmacort(登録商標));肥満細胞安定化剤、例えば、クロモグリク酸ナトリウム(例えば、Intal(登録商標)又はNasalcrom(登録商標))及びネドクロミル(例えば、Tilade(登録商標));キサンチン誘導体、例えば、限定されないが、テオフィリン(例えば、Aminophyllin(登録商標)、Theo-24(登録商標)、又はTheolair(登録商標));ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えば、限定されないが、ザフィルルカスト(Accolate(登録商標))、モンテルカスト(Singulair(登録商標))、及びジレウトン(Zyflo(登録商標));並びにアドレナリン作動薬、例えば、限定されないが、エピネフリン(Adrenalin(登録商標)、Bronitin(登録商標)、EpiPen(登録商標)、又はPrimatene Mist(登録商標))と組み合わせることができる。
関節炎が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば: TNFアンタゴニスト(例えば、TNF抗体もしくは断片、可溶性TNF受容体もしくは断片、その融合タンパク質、又は小分子TNFアンタゴニスト);他の生物学的抗リウマチ薬(例えば、IL-6アンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト、共刺激モジュレーター);抗リウマチ薬(例えば、メトトレキセート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、クルロロキン(chrloroquine)、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン(sulfasalzine)、ペニシラミン);筋弛緩剤;睡眠薬;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);鎮痛薬;麻酔薬;鎮静薬;局所麻酔薬;神経筋遮断薬;抗微生物薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、他の抗微生物薬);抗乾癬薬;コルチコステロイド;タンパク同化ステロイド;サイトカイン又はサイトカインアンタゴニスト;カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス)と組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体)は、関節リウマチの治療のための薬剤と組み合わせて投与される。関節リウマチの治療のための薬剤の例としては、様々なNSAID、コルチコステロイド、スルファサラジン、オーラノフィン、メトトレキセート、アザチオプリン、ペニシラミン、シクロスポリン、Arava(レフルノミド)、TNF阻害剤(例えば、Enbrel(エタネルセプト)、Remicade(インフリキシマブ)、Humira(アダリムマブ)、Simponi(ゴリムマブ)、及びCimzia(セルトリズマブ))、IL-1阻害剤(例えば、Kineret(アナキンラ))、T細胞共刺激調節剤(例えば、Orencia(アバタセプト))、抗CD20(例えば、Rituxan(リツキシマブ))、及びIL-6阻害剤(例えば、Actemra(トシリズマブ))が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該薬剤は、Cimzia(セルトリズマブ)である。別の実施態様において、該薬剤は、Actemra(トシリズマブ)である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体)は、リウマチのための薬剤と組み合わせて投与される。リウマチのための薬剤の例としては、Rayos(プレドニゾン)、Stendra(アバナフィル)、Actemra(トシリズマブ)、Duexis(イブプロフェン及びファモチジン)、Actemra(トシリズマブ)、Krystexxa(ペグロティカーゼ)、Vimovo(ナプロキセン+エソメプラゾール)、Cimzia(セルトリズマブペゴール)、Colcrys(コルヒチン)、Pennsaid(ジクロフェナクナトリウム局所用溶液)、Simponi(ゴリムマブ)、Uloric(フェブキソスタット)、Orencia(アバタセプト)、Elaprase(イデュルスルファーゼ)、Orencia(アバタセプト)、Vioxx(ロフェコキシブ)、Enbrel(エタネルセプト)、Humira(アダリムマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、Bextra、Kineret、Remicade(インフリキシマブ)、Supartz、Mobic(メロキシカム)、Vivelle(エストラジオール経皮システム)、Lodine XL(エトドラク)、Arava、Salagen、Arthrotec、エトドラク、ケトプロフェン、Synvisc、トルメチンナトリウム、Azulfidine EN-tab錠(スルファサラジン遅延放出錠、USP)、及びNaprelan(ナプロキセンナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、ベリムマブ、AGS-009、ロンタリズマブ、ビタミンD3、シファリムマブ、AMG 811、IFNαキノイド(Kinoid)、CEP33457、エプラツズマブ、LY2127399、オクレリズマブ、アタシセプト、A-623、SBI-087、AMG557、ラキニモド、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノレート、レフルノミド、メトトレキセート、CNTO 136、タミバロテン、N-アセチルシステイン、CDP7657、ヒドロキシクロロキン、リツキシマブ、カルフィルゾミブ、ボルテゾミブ、ONX 0914、IMO-3100、DV1179、スルファサラジン、及びクロロキノンから選択される。一実施態様において、第2の薬剤は、メトトレキセート、スルファサラジン、クロロキン、又はヒドロキシクロロキンである。一実施態様において、第2の薬剤はメトトレキセートである。
乾癬が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:ブデソニド、上皮成長因子、コルチコステロイド、シクロスポリン、スルファサラジン、アミノサリチレート、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、メトロニダゾール、リポキシゲナーゼ阻害剤、メサラミン、オルサラジン、バルサラジド、抗酸化剤、トロンボキサン阻害剤、IL-1受容体アンタゴニスト、抗IL-1βモノクローナル抗体、抗IL-6モノクローナル抗体、成長因子、エラスターゼ阻害剤、ピリジニル-イミダゾール化合物、TNF、LT、IL-1、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、EMAP-II、GM-CSF、FGF、及びPDGFの抗体又はアゴニスト、CD2、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD90、又はこれらのリガンドの抗体、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、NSAID、イブプロフェン、コルチコステロイド、プレドニゾロン、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、抗血栓剤、補体阻害剤、アドレナリン作動薬、IRAK、NIK、IKK、p38、MAPキナーゼ阻害剤、IL-1β変換酵素阻害剤、TNFα変換酵素阻害剤、T細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体、可溶性p55 TNF受容体、可溶性p75 TNF受容体、sIL-1RI、sIL-1RII、sIL-6R、抗炎症性サイトカイン、IL-4、IL-10、IL-11、IL-13、並びにTGFβと組み合わせることができる。
骨髄の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、Jak2阻害剤(限定されないが、INCB018424、XL019、TG101348、又はTG101209を含む)、免疫モジュレーター、例えば、IMID(登録商標)(限定されないが、サリドマイド、レナリドマイド、又はパノリノマイド(panolinomide)を含む)、ヒドロキシウレア、アンドロゲン、赤血球生成刺激剤、プレドニゾン、ダナゾール、HDAC阻害剤、又は他の薬剤もしくは治療モダリティ(例えば、幹細胞移植、もしくは放射線)と組み合わせることができる。
心臓の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、エプレレノン、フロセミド、ピクノジェノール、スピロノラクトン、TcNC100692、トラセミド(例えば、トラセミドの持続放出形態)、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
腎臓の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、シクロスポリン、シクロスポリンA、ダクリズマブ、エベロリムス、ガドホベセット三ナトリウム(gadofoveset trisodium)(ABLAVAR(登録商標))、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、メシル酸マチニブ(matinib mesylate)、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾン、シロリムス、スピロノラクトン、STX-100、タモキシフェン、TheraCLEC(商標)、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
皮膚の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、ボセンタン(Tracleer)、p144、ペントキシフィリン;ピルフェニドン;プラバスタチン、STI571、ビタミンE、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
消化器系の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、ALTU-135、ブセリパーゼアルファ(INN)、DCI1020、EUR-1008(ZENPEP(商標))、イブプロフェン、Lym-X-Sorb粉末、パンクレアーゼMT、パンクレリパーゼ(例えば、遅延放出型パンクレリパーゼ)、ペンタデカン酸(PA)、レパグリニド、TheraCLEC(商標)、トリヘプタデカノイン(THA)、ULTRASE MT20、ウルソジオール、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
肺の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、18-FDG、AB0024、ACT-064992(マシテンタン)、エアロゾルインターフェロン-ガンマ、エアロゾル化ヒト血漿由来アルファ-1アンチトリプシン、アルファ1-プロテイナーゼ阻害剤、アンブリセンタン、アミカシン、アミロライド、アミトリプチリン、抗シュードモナスIgYガーグル、ARIKACE(商標)、AUREXIS(登録商標)(テフィバズマブ)、AZAPRED、アザチオプリン、アジスロマイシン、アジスロマイシン、AZLI、アズトレオナムリジン、BIBF1120、Bio-25プロバイオティック、ボセンタン、Bramitob(登録商標)、カルファクタントエアロゾル、カプトプリル、CC-930、セフタジジム、セフタジジム、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シプロフロキサシン(CIPRO(登録商標)、BAYQ3939)、CNTO 888、コリスチンCF、血漿交換(PEX)とリツキシマブとコルチコステロイドの組合せ、シクロホスファミド、ダプソン、ダサチニブ、デヌホソル四ナトリウム(INS37217)、ドルナーゼアルファ(PULMOZYME(登録商標))、EPI-hNE4、エリスロマイシン、エタネルセプト、FG-3019、フルチカゾン、FTI、GC1008、GS-9411、高張食塩水、イブプロフェン、イロプロスト吸入、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、吸入型重炭酸ナトリウム、吸入型ピルビン酸ナトリウム、インターフェロンガンマ-1b、インターフェロン-アルファロゼンジ、等張食塩水、IW001、KB001、ロサルタン、ルシナクタント、マンニトール、メロペネム、メロペネム点滴液、ミグルスタット、ミノサイクリン、Moli1901、MP-376(吸入用レボフロキサシン溶液)、ムコイド型菌体外多糖緑膿菌(P. aeruginosa)免疫グロブリンIV、ミコフェノール酸モフェチル、n-アセチルシステイン、N-アセチルシステイン(NAC)、6%NaCl、吸入用酸化窒素、オブラマイシン、オクトレオチド、オリゴG CF-5/20、オマリズマブ、ピオグリタゾン、ピペラシリン-タゾバクタム、ピルフェニドン、ポマリドマイド(CC-4047)、プレドニゾン、プレバスタチン、PRM-151、QAX576、rhDNAse、SB656933、SB-656933-AAA、シルデナフィル、タモキシフェン、テクネチウム[Tc-99m]硫黄コロイド及びインジウム[In-111] DTPA、テトラチオモリブデート、サリドマイド、チカルシリン-クラブラネート、臭化チオトロピウム、チオトロピウムRESPIMAT(登録商標)吸入剤、トブラマイシン(GERNEBCIN(登録商標))、トレプロスチニル、ウリジン、バルガンシクロビル(VALCYTE(登録商標))、バルデナフィル、ビタミンD3、キシリトール、ジレウトン、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
肝臓の線維症又は線維症状態が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、アデホビルジピボキシル、カンデサルタン、コルヒチン、ATGとミコフェノール酸モフェチルとタクロリムスの組合せ、シクロスポリンマイクロエマルジョンとタクロリムスの組合せ、弾性率測定法、エベロリムス、FG-3019、扶正化(Fuzheng Huayu)、GI262570、グリチルリチン(グリチルリチン酸一アンモニウム、グリシン、L-システイン一塩酸塩)、インターフェロンガンマ-1b、イルベサルタン、ロサルタン、オルチプラズ、ORAL IMPACT(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2aとリバビリンの組合せ、ペグインターフェロンアルファ-2b(SCH 54031)、ペグインターフェロンアルファ-2bとリバビリンの組合せ、プラジカンテル、プラゾシン、ラルテグラビル、リバビリン(REBETOL(登録商標)、SCH 18908)、リトナビルブースト型プロテアーゼ阻害剤、ペントキシフィリン(pentoxyphilline)、タクロリムス、タウロウルソデオキシコール酸、トコフェロール、ウルソジオール、ワルファリン、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
嚢胞性線維症が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、552-02、5-メチルテトラヒドロフォレート及びビタミンB12、Ad5-CB-CFTR、アデノ随伴ウイルス-CFTRベクター、アルブテロール、アレンドロネート、アルファトコフェロール+アスコルビン酸、アミロライドHCl、aquADEKTM、アタルレン(PTC124)、AZD1236、AZD9668、アジスロマイシン、ベバシズマブ、ビアキシン(クラリスロマイシン)、BIIL 283 BS(アメルベント)、ブプロフェン(buprofen)、炭酸カルシウム、セフタジジム、コレカルシフェロール、コリン補充、CPX、嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子、DHAが豊富なサプリメント、ジギトキシン、ココサヘキサエン酸(cocosahexaenoic acid)(DHA)、ドキシサイクリン、ECGC、組換え(ecombinant)ヒトIGF-1、還元型(educed)グルタチオンナトリウム塩、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、フルオロメトロン、ガドブトロール(GADOVIST(登録商標)、BAY86-4875)、ゲンタマイシン、グレリン、グラルギン、グルタミン、成長ホルモン、GS-9411、H5.001CBCFTR、ヒト組換え成長ホルモン、ヒドロキシクロロキン、高圧酸素、高張食塩水、IH636ブドウ種子プロアントシアニジン抽出物、インスリン、インターフェロンガンマ-1b、IoGen(ヨウ素分子)、イオサルタンカリウム(iosartan potassium)、等張食塩水、イトラコナゾール、IV硝酸ガリウム(GANITE(登録商標))点滴液、酢酸ケトロラク、ランソプラゾール、L-アルギニン、リネゾリド、ルビプロストン、メロペネム、ミグルスタット、MP-376(吸入用レポフロキサシン溶液)、生理食塩水IV、Nutropin AQ、ω-3トリグリセリド、pGM169/GL67A、pGT-1遺伝子脂質複合体、ピオグリタゾン、PTC124、QAU145、サルメテロール、SB656933、SB656933、シンバスタチン、シタグリプチン、ナトリウム4-フェニルブチレート、標準化されたウコンの根の抽出物、tgAAVCF、TNF遮断薬、TOBI、トブラマイシン、トコトリエノール、非抱合型イソフラボン100、1:1のビタミン:酒石酸水素コリン(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム塩、VX-770、VX-809、酢酸亜鉛、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、PI3Kδ阻害剤)は、mTORの阻害剤と組み合わせて投与される。IgE産生を阻害する薬剤は当技術分野で公知であり、それらには、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。IgE活性を阻害する薬剤には、例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ及びTNX-901などが含まれる。
強皮症が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:免疫抑制剤(例えば、メトトレキセート、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル(Cellcept(登録商標))、及びシクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))); T細胞指向性療法(例えば、ハロフジノン、バシリキシマブ、アレムツズマブ、アバタセプト、ラパマイシン); B細胞指向性療法(例えば、リツキシマブ);自家造血幹細胞移植;ケモカインリガンド受容体アンタゴニスト(例えば、CXCL12/CSCR4軸を標的とする薬剤(例えば、AMD3100)); DNAメチル化阻害剤(例えば、5-アザシチジン);ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、トリコスタチンA);スタチン(例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン);エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、ボセンタン(登録商標)); V型ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、Sildenafil(登録商標));プロスタサイクリン類似体(例えば、トレポスチニル(trepostinil));サイトカイン合成及び/又はシグナル伝達の阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブ、ロシグリタゾン、ラパマイシン、抗形質転換成長因子β1(抗TGFβ1)抗体、ミコフェノール酸モフェチル、抗IL-6抗体(例えば、トシリズマブ));コルチコステロイド;非ステロイド性抗炎症薬;光線療法;並びに血圧の薬(例えば、ACE阻害剤)と組み合わせることができる。
炎症性筋疾患が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:局所クリーム剤もしくは軟膏剤(例えば、局所コルチコステロイド、タクロリムス、ピメクロリムス);シクロスポリン(例えば、局所シクロスポリン);抗インターフェロン療法、例えば、AGS-009、ロンタリズマブ(rhuMAb IFNα)、ビタミンD3、シファリムマブ(MEDI-545)、AMG 811、IFNαキノイド、又はCEP33457と組み合わせることができる。いくつかの実施態様において、他の療法は、IFN-α療法、例えば、AGS-009、ロンタリズマブ、ビタミンD3、シファリムマブ(MEDI-545)、又はIFNαキノイド;コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン(例えば、経口プレドニゾン);免疫抑制療法、例えば、メトトレキセート(Trexall(登録商標)、Methotrexate(登録商標)、Rheumatrex(登録商標))、アザチオプリン(Azasan(登録商標)、Imuran(登録商標))、静脈内免疫グロブリン、タクロリムス(Prograf(登録商標))、ピメクロリムス、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、及びシクロスポリン(Gengraf(登録商標)、Neoral(登録商標)、Sandimmune(登録商標));抗マラリア剤、例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(登録商標))及びクロロキン(Aralen(登録商標));全身放射線照射;リツキシマブ(Rituxan(登録商標)); TNF阻害剤(例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))); AGS-009;ロンタリズマブ(rhuMAb IFNα);ビタミンD3;シファリムマブ(MEDI-545); AMG 811; IFNαキノイド; CEP33457; IgE産生を阻害する薬剤、例えば、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物; IgE活性を阻害する薬剤、例えば、抗IgE抗体(例えば、オマリズマブ及びTNX-90);並びにさらなる療法、例えば、理学療法、運動、休養、言語療法、日光回避、温熱療法、及び外科手術である。
筋炎(例えば、皮膚筋炎)が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:コルチコステロイド;コルチコステロイド節減薬、例えば、限定されないが、アザチオプリン及びメトトレキセート;静脈内免疫グロブリン;免疫抑制剤、例えば、限定されないが、タクロリムス、シクロホスファミド、及びシクロスポリン;リツキシマブ; TNFα阻害剤、例えば、限定されないが、エタネルセプト及びインフリキシマブ;成長ホルモン;成長ホルモン分泌促進物質、例えば、限定されないが、MK-0677、L-162752、L-163022、NN703イパモレリン、ヘキサレリン、GPA-748(KP102、GHRP-2)、及びLY444711(Eli Lilly);他の成長ホルモン放出刺激物質、例えば、限定されないが、Geref、GHRH(1-44)、ソマトレリン(GRF 1-44)、ThGRFジェノトロピン、L-DOPA、グルカゴン、及びバソプレッシン;並びにインスリン様成長因子と組み合わせることができる。
シェーグレン症候群が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:ピロカルピン;セビメリン;非ステロイド性抗炎症薬;関節炎治療薬;抗真菌剤;シクロスポリン;ヒドロキシクロロキン;プレドニゾン;アザチオプリン;及びシクロファミドと組み合わせることができる。
本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態の投与は、該化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって達成することができる。有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態は、同様の有用性を有する薬剤の許容された投与様式のいずれかによって、単回用量又は複数回用量のいずれかで投与することができ、該投与様式には、直腸、口腔、鼻腔内、及び経皮経路、動脈内注射によるもの、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、もしくは吸入剤としてのもの、或いは例えば、ステントなどの含浸もしくは被覆されたデバイス、又は動脈に挿入される円筒形ポリマーを介するものが含まれる。
本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有している場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び第2の薬剤は、別々の組成物、例えば、医薬組成物中で投与される。いくつかの実施態様において、該PI3Kモジュレーター及び該薬剤は別々に投与されるが、同じ経路(例えば、両方とも経口又は両方とも静脈内)を経由する。他の実施態様において、該PI3Kモジュレーター及び該薬剤は、同じ組成物、例えば、医薬組成物中で投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体)は、肺又は呼吸器疾患のための薬剤と組み合わせて投与される。肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、Dymista(塩酸アゼラスチン及びプロピオン酸フルチカゾン)、Kalydeco(アイバカフトール)、Qnasl(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)鼻エアロゾル、Rayos(プレドニゾン)遅延放出錠、Surfaxin(ルシナクタント)、Tudorza Pressair(臭化アクリジニウム吸入粉末)、Arcapta(マレイン酸インダカテロール吸入粉末)、Daliresp(ロフルミラスト)、Xalkori(クリゾチニブ)、Cayston(吸入溶液用のアズトレオナム)、Dulera(フロ酸モメタゾン+フマル酸ホルモテロール二水和物)、Teflaro(セフタロリンフォサミル)、Adcirca(タダラフィル)、Tyvaso(トレプロスチニル)、Alvesco(シクレソニド)、Patanase(塩酸オロパタジン)、Letairis(アンブリセンタン)、Xyzal(二塩酸レボセチリジン)、Brovana(酒石酸アルホルモテロール)、Tygacil(チゲサイクリン)、Ketek(テリスロマイシン)、Spiriva HandiHaler(臭化チオトロピウム)、Aldurazyme(ラロニダーゼ)、Iressa(ゲフィチニブ)、Xolair(オマリズマブ)、Zemaira(アルファ1-プロテイナーゼ阻害剤)、Clarinex、Qvar(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)、Remodulin(トレプロスチニル)、Xopenex、Avelox I.V.(塩酸モキシフロキサシン)、DuoNeb(硫酸アルブテロール及び臭化イプラトロピウム)、Foradil Aerolizer(フマル酸ホルモテロール吸入粉末)、Invanz、NasalCrom鼻スプレー、Tavist(フマル酸クレマスチン)、Tracleer(ボセンタン)、Ventolin HFA(硫酸アルブテロール吸入エアロゾル)、Biaxin XL(クラリスロマイシン遅延放出錠)、セファゾリン及びデキストロースUSP、Tri-鼻スプレー(トリアムシノロンアセトニドスプレー)、Accolate、Cafcit注射液、Proventil HFA吸入エアロゾル、Rhinocort Aqua鼻スプレー、Tequin、Tikosynカプセル、Allegra-D、フマル酸クレマスチンシロップ、Curosurf、Dynabac、Infasurf、Priftin、Pulmozyme(ドルナーゼアルファ)、Sclerosol胸腔内エアロゾル、Singulair、Synagis、Ceftin(セフロキシムアキセチル)、Cipro(シプロフロキサシンHCl)、Claritin RediTabs(10mgロラタジン速崩錠)、Flonase鼻スプレー、Flovent Rotadisk、硫酸メタプロテレオール(Metaprotereol Sulfate)吸入溶液(5%)、Nasacort AQ(トリアムシノロンアセトニド)鼻スプレー、Omnicef、Raxar(グレパフロキサシン)、Serevent、Tilade(ネドクロミルナトリウム)、Tobi、Vanceril 84mcgダブルストレングス(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、84mcg)吸入エアロゾル、Zagam(スパルフロキサシン)錠剤、Zyflo(ジレウトン)、Accolate、Allegra(塩酸フェキソフェナジン)、Astelin鼻スプレー、Atrovent(臭化イプラトロピウム)、Augmentin(アモキシシリン/クラブラネート)、Azmacort(トリアムシノロンアセトニド)吸入エアロゾル、Breathe Right、Claritinシロップ(ロラタジン)、Claritin-D 24時間遅延放出錠(10mgロラタジン、240mg硫酸プソイドエフェドリン)、Covera-HS(ベラパミル)、Nasacort AQ(トリアムシノロンアセトニド)鼻スプレー、OcuHist、Pulmozyme(ドルナーゼアルファ)、RespiGam(呼吸器多核体ウイルス免疫グロブリン静注)、Tavist(フマル酸クレマスチン)、Tripedia(吸収ジフテリア・破傷風トキソイド・無細胞百日咳ワクチン)、Vancenase AQ 84mcgダブルストレングス、Visipaque(イオジキサノール)、Zosyn(滅菌ピペラシリンナトリウム/タゾバクタムナトリウム)、Cedax(セフチブテン)、並びにZyrtec(セチリジンHCl)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、肺又は呼吸器疾患のための薬剤は、Arcapta、Daliresp、Dulera、Alvesco、Brovana、Spiriva HandiHaler、Xolair、Qvar、Xopenex、DuoNeb、Foradil Aerolizer、Accolate、Singulair、Flovent Rotadisk、Tilade、Vanceril、Zyflo、又はAzmacort吸入エアロゾルである。一実施態様において、肺又は呼吸器疾患のための薬剤は、Spiriva HandiHalerである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体)は、免疫又は感染性疾患のための薬剤と組み合わせて投与される。免疫又は感染性疾患のための薬剤の例としては、Horizant(ガバペンチンエナカルビル)、Qnasl(ベクロメタゾン二プロピオン酸塩)鼻エアロゾル、Rayos(プレドニゾン)遅延放出錠、Stribild(エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)、Tudorza Pressair(臭化アクリジニウム吸入粉末)、Arcapta(マレイン酸インダカテロール吸入粉末)、Benlysta(ベリムマブ)、Complera(エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)、Daliresp(ロフルミラスト)、Dificid(フィダキソマイシン)、Edurant(リルピビリン)、Firazyr(イカチバント)、Gralise(ガバペンチン)、Incivek(テラプレビル)、Nulojix(ベラタセプト)、Victrelis(ボセプレビル)、Cayston(吸入溶液用のアズトレオナム)、Egrifta(注射用テサモレリン)、Menveo(髄膜炎ワクチン)、Oravig(ミコナゾール)、Prevnar13(肺炎球菌13価コンジュゲートワクチン)、Teflaro(セフタロリンフォサミル)、Zortress(エベロリムス)、Zymaxid(ガチフロキサシン眼科用溶液)、Bepreve(ベシル酸ベポタスチン眼科用溶液)、Berinert(C1エステラーゼ阻害剤(ヒト))、Besivance(ベシフロキサシン眼科用懸濁液)、Cervarix〔ヒトパピローマウイルス2価(16型及び18型)ワクチン、組換え〕、Coartem(アルテムエーテル/ルメファントリン)、Hiberix(ヘモフィルスbコンジュゲートワクチン;破傷風トキソイドコンジュゲート)、Ilaris(カナキヌマブ)、Ixiaro(日本脳炎ワクチン、不活化、沈降)、Kalbitor(エカランチド)、Qutenza(カプサイシン)、Vibativ(テラバンシン)、Zirgan(ガンシクロビル眼科用ゲル)、Aptivus(チプラナビル)、Astepro(塩酸アゼラスチン鼻スプレー)、Cinryze(C1阻害剤(ヒト))、Intelence(エトラビリン)、Moxatag(アモキシシリン)、Rotarix(ロタウイルスワクチン、生、経口)、Tysabri(ナタリズマブ)、Viread(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)、Altabax(レタパムリン)、AzaSite(アジスロマイシン)、Doribax(ドリペネム)、Extina(ケトコナゾール)、Isentress(ラルテグラビル)、Selzentry(マラビロク)、Veramyst(フロ酸フルチカゾン)、Xyzal(レボセチリジン二塩酸塩)、Eraxis(アニデュラファンギン)、Gardasil(4価ヒトパピローマウイルス(6、11、16、18型)組換えワクチン)、Noxafil(ポサコナゾール)、Prezista(ダルナビル)、Rotateq(ロタウイルスワクチン、生、経口、5価)、Tyzeka(テルビブジン)、Veregen(クネカテチン)、Aptivus(チプラナビル)、Baraclude(エンテカビル)、Tygacil(チゲサイクリン)、Ketek(テリスロマイシン)、Tindamax、tinidazole、Xifaxan(リファキシミン)、Amevive(アレファセプト)、FluMist(インフルエンザウイルスワクチン)、Fuzeon(エンフビルチド)、Lexiva(ホスアンプレナビルカルシウム)、Reyataz(硫酸アタザナビル)、Alinia(ニタゾキサニド)、Clarinex、Daptacel、Fluzone防腐剤無添加、Hepsera(アデホビルジピボキシル)、Pediarixワクチン、Pegasys(PEGインターフェロンアルファ-2a)、Restasis(シクロスポリン眼科用エマルジョン)、Sustiva、Vfend(ボリコナゾール)、Avelox I.V.(塩酸モキシフロキサシン)、Cancidas、Peg-Intron(PEGインターフェロンアルファ-2b)、Rebetol(リバビリン)、Spectracef、Twinrix、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、Viread(フマル酸テノホビルジソプロキシル)、Xigris(ドロトレコギンアルファ[活性化])、ABREVA(ドコサノール)、Biaxin XL(クラリスロマイシン遅延放出錠剤)、Cefazolin及びDextrose USP、小児用モトリンコールド、Evoxac、Kaletraカプセル及び経口溶液、Lamisil(塩酸テルビナフィン)溶液(1%)、Lotrisone(クロトリマゾール/ジプロピオン酸ベタメタゾン)ローション、Malarone(アトバクオン;塩酸プログアニル)錠剤、Rapamune(シロリムス)錠剤、Rid Mousse、Tri-Nasalスプレー(トリアムシノロンアセトニドスプレー)、Trivagizole 3(クロトリマゾール)膣用クリーム、Trizivir(硫酸アバカビル;ラミブジン;ジドブジンAZT)錠剤、Agenerase(アンプレナビル)、Cleocin(リン酸クリンダマイシン)、Famvir(ファムシクロビル)、Norvir(リトナビル)、Panretinゲル、Rapamune(シロリムス)経口溶液、Relenza、Synercid I.V.、Tamifluカプセル、Vistide(シドホビル)、Allegra-D、CellCept、フマル酸クレマスチンシロップ、Cleocin(リン酸クリンダマイシン)、Dynabac、REBETRON(商標)組合せ療法、Simulect、Timentin、Viroptic、INFANRIX(沈降ジフテリア・破傷風トキソイド・無細胞百日咳ワクチン)、Acyclovirカプセル、Aldara(イミキモド)、Aphthasol、Combivir、Condyloxゲル0.5%(ポコフィロックス)、Famvir(ファムシクロビル)、Flagyl ER、Flonase鼻スプレー、Fortovase、INFERGEN(インターフェロンアルファコン-1)、Intron A(インターフェロンアルファ-2b、組換え)、Norvir(リトナビル)、Rescriptor錠剤(メシル酸デラビルジン錠剤)、SPORANOX(イトラコナゾール)、Stromectol(イベルメクチン)、Taxol、Trovan、VIRACEPT(メシル酸ネルフィナビル)、Zerit(スタブジン)、Albenza(アルベンダゾール)、Apthasol(アンレキサノクス)、Carringtonパッチ、Confide、Crixivan(硫酸インジナビル)、Gastrocrom経口濃縮物(クロモリンナトリウム)、Havrix、Lamisil(塩酸テルビナフィン)錠剤、Leukine(サルグラモスチム)、経口Cytovene、RespiGam(呼吸器多核体ウイルス免疫グロブリン静注)、Videx(ジダノシン)、Viramune(ネビラピン)、Vistide(シドホビル)、Vitrasertインプラント、Zithromax(アジスロマイシン)、Cedax(セフチブテン)、Clarithromycin(ビアキシン)、Epivir(ラミブジン)、Intron A(インターフェロンアルファ-2b、組換え)、Invirase(サキナビル)、Valtrex(バラシクロビルHCl)、ウエスタンブロット確認装置、Zerit(スタブジン)、並びにZyrtec(セチリジンHCl)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、HDAC阻害剤、例えば、ベリノスタット、ボリノスタット、パノビノスタット、ACY-1215、又はロミデプシンなどである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、mTOR阻害剤、例えば、エベロリムス(RAD001)などである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ又はカルフィルゾミブなどである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、PKC-β阻害剤、例えば、エンザスタウリン(LY317615)などである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、JAK/STAT阻害剤、例えば、INCB16562又はAZD1480などである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、抗葉酸剤、例えば、プララトレキセートなどである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、ファルネシル基転移酵素阻害剤、例えば、チピファルニブなどである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、抗体又は生物薬剤、例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、又はブレンツキシマブベドチン(SGN-035)などである。一実施態様において、第2の薬剤はリツキシマブである。一実施態様において、第2の薬剤はリツキシマブであり、組合せ療法は、iNHL、FL、脾臓辺縁帯、節性辺縁帯、節外性辺縁帯、及び/又はSLLを治療、予防及び/又は管理するためのものである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ベンダムスチン及び1つの追加の活性剤と組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、リツキシマブ及び1つの追加の活性剤と組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ベンダムスチン及びリツキシマブと組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブと組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗体又は生物剤、例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、又はブレンツキシマブベドチン(SGN-035)などと組み合わせて使用される。一実施態様において、該第2の薬剤はリツキシマブである。一実施態様において、該第2の薬剤はリツキシマブであり、該組合せ療法は、iNHL、FL、脾臓辺縁帯、節性辺縁帯、節外性辺縁帯、及び/又はSLLを治療、予防、及び/又は管理するためのものである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗体-薬物コンジュゲート、例えば、イノツズマブオゾガマイシン又はブレンツキシマブベドチンなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、細胞毒性剤、例えば、ベンダムスチン、ゲムシタビン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシンもしくはダウノマイシン、ドキソルビシン)、アクチノマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、クロファラビン、ネララビン、クラドリビン、アスパラギナーゼ、メトトレキセート、又はプララトレキセートなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、1以上の他の抗癌剤又は化学療法剤、例えば、フルダラビン、イブルチニブ、ホスタマチニブ、レナリドマイド、サリドマイド、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、又はR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシンもしくはヒドロキシダウノマイシン、ビンクリスチンもしくはオンコビン、プレドニゾン)などと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、サイトカインに対する抗体(例えば、IL-15抗体、IL-21抗体、IL-4抗体、IL-7抗体、IL-2抗体、IL-9抗体)と組み合わせて使用される。いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、JAK1阻害剤、JAK3阻害剤、汎JAK阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、又はPI3K-デルタ阻害剤である。いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、ケモカインに対する抗体である。
特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に記載される標的組合せ療法は、副作用を軽減し、及び/又は効力を増強する。例えば、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを、本明細書に記載される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)、並びに第2の活性剤(例えば、IL-15抗体、IL-21抗体、IL-4抗体、IL-7抗体、IL-2抗体、IL-9抗体、JAK1阻害剤、JAK3阻害剤、汎JAK阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、及び/又はPI3K-デルタ阻害剤)で治療するための組合せ療法である。
さらに、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)は、BTK経路にもMEK経路にも影響を及ぼさないことが分かった。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、BTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、MEK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該MEK阻害剤は、トラメチニブ/GSK1120212(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、セルメチノブ(selumetinob)(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、ピマセルチブ/AS703026/MSC1935369((S)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-3-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド)、XL-518/GDC-0973(1-({3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル}カルボニル)-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-3-オール)、ラファメチニブ/BAY869766/RDEA119(N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド)、PD-0325901(N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド)、TAK733((R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン)、MEK162/ARRY438162(5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド)、RO5126766(3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)-4-ピリジル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン)、WX-554、RO4987655/CH4987655(3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-((3-オキソ-1,2-オキサジナン-2-イル)メチル)ベンズアミド)、又はAZD8330(2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、EZH2阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該EZH2阻害剤は、EPZ-6438、GSK-126、GSK-343、El1、又は3-デアザネプラノシンA(DNNep)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、bcl-2阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該BCL2阻害剤は、ABT-199(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[[3-ニトロ-4-[[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル]アミノ]フェニル]スルホニル]-2-[(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)オキシ]ベンズアミド)、ABT-737(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)、ABT-263((R)-4-(4-((4'-クロロ-4,4-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-((4-((4-モルホリノ-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3((トリフルオロメチル)スルホニル)フェニル)スルホニル)ベンズアミド)、GX15-070(メシル酸オバトクラックス、(2Z)-2-[(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)メチリデン]-4-メトキシピロール-2-イリデン]インドール;メタンスルホン酸)))、又はG3139(オブリメルセン)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は高齢患者である。別の実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、レナリドマイドと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は高齢患者である。別の実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、レナリドマイドと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は高齢患者である。別の実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、R-GDP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。別の実施態様において、該治療は、R-CHOPによる治療の後に行われる。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、イブルチニブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ロミデプシンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、イブルチニブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
さらに、特定の理論によって限定されるものではないが、癌細胞は、ドキソルビシン及び本明細書に提供される化合物に対する示差感受性プロファイルを示すことが分かった。したがって、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ドキソルビシンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、AraCと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はAMLである。
具体的な実施態様において、化合物1、又はその医薬として許容し得る形態は、本明細書に提供される1以上の第2の薬剤又は第2の療法と組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、抗体-薬物コンジュゲート、例えば、イノツズマブオゾガマイシン又はブレンツキシマブベドチンなどである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、細胞毒性剤、例えばベンダムスチン、ゲムシタビン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン又はダウノマイシン、ドキソルビシン)、アクチノマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、クロファラビン、ネララビン、クラドリビン、アスパラギナーゼ、メトトレキセート、又はプララトレキセートなどである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、1以上の他の抗癌剤又は化学療法剤、例えば、フルダラビン、イブルチニブ、ホスタマチニブ、レナリドミド、サリドマイド、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、又はR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシンもしくはヒドロキシダウノマイシン、ビンクリスチンもしくはオンコビン、プレドニゾン)などである。
いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、サイトカインに対する抗体(例えば、IL-15抗体、IL-21抗体、IL-4抗体、IL-7抗体、IL-2抗体、IL-9抗体)である。いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、JAK1阻害剤、JAK3阻害剤、汎JAK阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、又はPI3K-デルタ阻害剤である。いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、ケモカインに対する抗体である。
特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に記載される標的組合せ療法は、副作用を軽減し、及び/又は効力を増強する。例えば、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを、本明細書に記載される化合物(例えば、化合物1)、並びに第2の活性剤(例えば、IL-15抗体、IL-21抗体、IL-4抗体、IL-7抗体、IL-2抗体、IL-9抗体、JAK1阻害剤、JAK3阻害剤、汎JAK阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、及び/又はPI3K-デルタ阻害剤)で治療するための組合せ療法である。
さらに、特定の理論によって限定されることなく、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)は、BTK経路にもMEK経路にも影響を及ぼさないことが分かった。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩又は溶媒和物)を、BTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩又は溶媒和物)を、MEK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該MEK阻害剤は、タメチニブ、セルメチノブ(selumetinob)、AS703026/MSC1935369、XL-518/GDC-0973、BAY869766/RDEA119、GSK1120212(トラメチニブ)、ピマセルチブ、レファメチニブ、PD-0325901、TAK733、MEK162/ARRY438162、RO5126766、WX-554、RO4987655/CH4987655又はAZD8330である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩又は溶媒和物)を、bcl-2阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該BCL2阻害剤は、ABT-199、ABT-737、ABT-263、GX15-070(メシル酸オバトクラックス)又はG3139(Genasense)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
さらに、特定の理論によって限定されるものではないが、癌細胞は、ドキソルビシン及び本明細書に提供される化合物に対する示差感受性プロファイルを示すことが分かった。したがって、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩又は溶媒和物)を、ドキソルビシンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩又は溶媒和物)を、AraCと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はAMLである。
具体的な実施態様において、化合物1、又はこれらの医薬として許容し得る形態は、本明細書に提供される1以上の第2の薬剤又は第2の療法との組み合わせにおいて使用される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態、及びPI3K-デルタ阻害剤を含む、医薬組成物である。
一実施態様において、該PI3K-デルタ阻害剤は、PI3K-デルタ選択的阻害剤である。一実施態様において、該PI3K-デルタ阻害剤は、GS-1101(Cal-101)、GSK-2269557、GS-9820、AMG319、もしくはTGR-1202、又はこれらの混合物である。一実施態様において、該PI3K-デルタ阻害剤は、次式のもの又はその医薬として許容し得る形態である:
。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態と該PI3K-デルタ阻害剤のモル比は、約10000:1〜約1:10000の範囲にある。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態と該PI3K-デルタ阻害剤のモル比は、約10:1〜約1:10の範囲にある。一実施態様において、該組成物は、約0.01mg〜約75mgの範囲の量の該化合物又はその医薬として許容し得る形態、及び約0.01mg〜約1100mgの範囲の量の該PI3K-デルタ阻害剤を含む。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態、及び該PI3K-デルタ阻害剤は、唯一の治療的活性成分である。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態、及び該PI3K-デルタ阻害剤は、単一の剤形中にある。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態、及び該PI3K-デルタ阻害剤は、別々の剤形中にある。一実施態様において、該組成物は、医薬として許容し得る賦形剤をさらに含む。
一実施態様において、該組成物は、癌、炎症性疾患、又は自己免疫疾患の治療において相乗的である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介障害を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の該組成物を投与することを含む、方法である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介障害を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態を、PI3K-デルタ阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該PI3K-デルタ阻害剤と同時に投与される。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該PI3K-デルタ阻害剤の後に投与される。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該PI3K-デルタ阻害剤の前に投与される。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態は、該PI3K-デルタ阻害剤の投与を中止した後に、単独で投与される。
一実施態様において、該PI3K媒介障害は、癌、自己免疫疾患、又は炎症性疾患である。一実施態様において、該癌は、造血系起源のものである。一実施態様において、該癌は、白血病又はリンパ腫である。一実施態様において、該白血病又はリンパ腫は、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、又は未分化大細胞型リンパ腫である。
一実施態様において、該癌は固形腫瘍である。一実施態様において、該癌は:肺系統の癌、脳腫瘍、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、膵癌、肺癌、髄芽腫、基底細胞癌、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、黒色腫、神経外胚葉腫瘍、頭頸部癌、肉腫、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、平滑筋肉腫、子宮頸癌、子宮癌、子宮内膜癌、上皮性悪性腫瘍、膀胱癌、上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍、びまん型巨細胞腫、及び膠芽腫のうちの1つ又は複数から選択される。
一実施態様において、該PI3K-デルタ阻害剤はPI3K-デルタ選択的阻害剤である。一実施態様において、該PI3K-デルタ阻害剤は、次式のもの又はその医薬として許容し得る形態である:
。
一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態、及び該PI3K-デルタ阻害剤は、単一の剤形中にある。一実施態様において、該化合物又はその医薬として許容し得る形態、及び該PI3K-デルタ阻害剤は、別々の剤形中にある。
一実施態様において、50%阻害を達成するのに必要とされる該化合物の濃度は、該化合物を該PI3K-デルタ阻害剤と組み合わせて投与する場合、該化合物を個別に投与する場合よりも少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い。一実施態様において、50%阻害を達成するのに必要とされる該PI3K-デルタ阻害剤の濃度は、該PI3K-デルタ阻害剤を該化合物と組み合わせて投与する場合、該PI3K-デルタ阻害剤を個別に投与する場合よりも少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い。一実施態様において、50%阻害を達成するのに必要とされる該化合物の用量は、該化合物を該PI3K-デルタ阻害剤と組み合わせて投与する場合、該化合物を個別に投与する場合よりも少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い。一実施態様において、50%阻害を達成するのに必要とされる該PI3K-デルタ阻害剤の用量は、該PI3K-デルタ阻害剤を該化合物と組み合わせて投与する場合、該PI3K-デルタ阻害剤を個別に投与する場合よりも少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い。
一実施態様において、該組合せは、該化合物と該PI3K-デルタ阻害剤の組合せについての0.7、0.5、又は0.1未満である組合せ指数値によって示されるように相乗的である。一実施態様において、該組合せ指数値は50%阻害において評価される。一実施態様において、該組合せ指数値は50%成長阻害において評価される。一実施態様において、該組合せは、化合物1と該PI3K-デルタ阻害剤の組合せについての1、2、又は3よりも大きい相乗作用スコアによって示されるように相乗的である。一実施態様において、該組合せは、阻害又は成長阻害に関して、該化合物と該PI3K-デルタ阻害剤の組合せについての1、2、又は3よりも大きい相乗作用スコアによって示されるように相乗的である。
一実施態様において、該PI3K媒介障害は癌であり、該組合せによってもたらされる抗癌作用は、化合物1、又はその医薬として許容し得る形態のみによってもたらされる抗癌作用よりも少なくとも2倍大きく、少なくとも3倍大きく、少なくとも5倍大きく、又は少なくとも10倍大きい。一実施態様において、該PI3K媒介障害は癌であり、該組合せによってもたらされる抗癌作用は、該PI3K-デルタ阻害剤のみによってもたらされる抗癌作用よりも少なくとも2倍大きく、少なくとも3倍大きく、少なくとも5倍大きく、又は少なくとも10倍大きい。
一実施態様において、該組合せを同じ治療効果を達成する用量で投与したとき、該化合物又はその医薬として許容し得る形態のみの投与と関連する1以上の副作用は軽減される。一実施態様において、該組合せを同じ治療効果を達成する用量で投与したとき、該PI3K-デルタ阻害剤のみの投与と関連する1以上の副作用は軽減される。
(免疫モジュレーターとの組合せ)
理論によって束縛されることを望むものではないが、腫瘍成長は、腫瘍微小環境の少なくとも2種類の免疫細胞:抗腫瘍活性を有するエフェクター細胞(細胞傷害性細胞及びM1マクロファージを含む)、並びにエフェクター細胞を阻害し、又は腫瘍細胞もしくは腫瘍血管系に直接的な成長刺激を提供するので腫瘍促進活性を有する腫瘍関連サプレッサー細胞(M2マクロファージ、MDSC、Treg、及び制御性樹状細胞を含む)による影響を受けると考えられている。大量のサプレッサー細胞は、腫瘍免疫寛容と腫瘍成長の増強とをもたらし得る。組合せ癌療法は、この機構を考慮して設計することができる。
例えば、実施態様において、本明細書に記載されるPI3K-γ阻害剤(又は本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1))は、エフェクターT細胞におけるT細胞応答の恒常性維持的な下方調節を遮断する第2の治療薬と組み合わせて投与される。この第2の薬剤は、下記の免疫チェックポイント療法であってもよい。別の例として、実施態様において、本明細書に記載されるPI3K-γ阻害剤は、腫瘍微小環境の抑制性細胞を減少又は消失させる、例えば、MDSC、TAM、もしくはM2マクロファージ、又はこれらの任意の組合せを枯渇させることができる第2の治療薬と組み合わせて投与される。この薬剤は、例えば、CSF1R阻害剤、CCL2阻害剤、CXCR4阻害剤、MEK阻害剤、もしくはMTOR阻害剤、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。いくつかの実施態様において、該第2の薬剤は、免疫療法、例えば、腫瘍ワクチン、例えば、本明細書に記載される腫瘍ワクチンである。いくつかの実施態様において、該第2の薬剤は、細胞療法、例えば、本明細書に記載される、例えば、樹状細胞又はキメラT細胞である。いくつかの実施態様において、該第2の薬剤は、インターロイキン、例えば、IL7、IL12、IL15、又はIL21である。非限定的な理論によれば、一部のインターロイキンは、免疫細胞集団の成長を刺激することによって、抗癌作用を発揮する。
別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)は、ワクチン、例えば、癌ワクチン(例えば、樹状細胞腎臓癌(DC-RCC)ワクチン)と組み合わせて投与される。ある実施態様において、化合物とDC-RCCワクチンの組合せは、癌、例えば、本明細書に記載される癌(例えば、腎臓癌、例えば、転移性腎細胞癌(RCC)又は明細胞腎細胞癌(CCRCC))を治療するために使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、1以上の免疫チェックポイント療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の癌を治療する方法であって、該対象に、PI3Kガンマ阻害剤又は本明細書に記載される化合物(例えば、化合物1)を、1以上の免疫チェックポイント療法(例えば、PD-1又はPD-L1阻害剤)と組み合わせて投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形癌を治療する方法であって、該対象に、化合物1、又はその医薬として許容し得る形態を、1以上のPD-1又はPD-L1阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌は、黒色腫、膀胱癌、頭頸部癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、又は腎細胞癌である。一実施態様において、該癌は黒色腫である。一実施態様において、該癌は膀胱癌である。一実施態様において、該癌は肺癌である。一実施態様において、該癌は非小細胞肺癌である。一実施態様において、該癌は腎細胞癌である。一実施態様において、該癌は頭頸部癌である。一実施態様において、該癌は乳癌である。一実施態様において、該癌はトリプルネガティブ乳癌である。一実施態様において、該癌は結腸癌である。一実施態様において、該癌は膠芽腫である。一実施態様において、該癌は卵巣癌である。
いくつかの実施態様において、該対象は、免疫療法治療を受けていない。いくつかの実施態様において、該対象は、放射線療法治療を受けていない。いくつかの実施態様において、該対象は、化学療法治療を受けていない。
いくつかの実施態様において、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該対象は、免疫療法による事前の治療又は過去の治療に応答する。一実施態様において、該免疫療法治療は、チェックポイント治療、例えば、PD-1又はPD-L1阻害剤である。一実施態様において、該対象は喫煙者である。
一実施態様において、該癌は黒色腫であり、該対象は、1以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。一実施態様において、該対象は、2以上の免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。
一実施態様において、該癌は、頭頸部癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、腎細胞癌、又は膀胱癌であり、該対象は、1つの免疫療法治療で事前に治療されているか又は過去に治療されたことがある。
一実施態様において、該癌は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、膠芽腫、又は結腸癌であり、該対象は、免疫療法治療を受けたことがない。
いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法は、CTLA-4、PD-1、もしくはPD-L1、又はこれらの任意の組合せを阻害する。該免疫チェックポイント療法は、例えば、小分子又は抗体であってもよい。いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法は、プログラム細胞死1(別名、PD-1)を阻害する抗体である。別の実施態様において、該免疫チェックポイント療法はニボルマブ(別名、Opdivo)である。いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法は、抗PD-L1(プログラム細胞死リガンド1、別名、分化抗原群274(CD274))、抗PDL2、又は抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原4、別名、分化抗原群(CD152))抗体である。特定の抗PD-1、抗PD-L1、及び抗CTLA-4抗体は、前臨床及び臨床腫瘍モデルにおいて活性を有する。Cancer Res; 73(12) June 15, 2013; Curran M Aらの文献、PNAS 2010; 107: 4275-4280; Topalianらの文献、N Engl J Med 2012; 366: 2443-2454; Wolchokらの文献、2013. NEJM 369。
2つの主なタイプの免疫チェックポイント療法:共刺激分子の活性化因子、及び免疫チェックポイント分子の阻害剤がある。
該免疫チェックポイント療法が共刺激分子の活性化因子である場合、それは、例えば、OX40、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、又はCD83リガンドのアゴニスト(例えば、作動性抗体もしくはその抗原結合性断片、又は可溶性融合体)から選択することができる。ある実施態様において、該免疫チェックポイント療法は、OX40の阻害剤又は抗OX40 abである。
第2の状況において、該免疫チェックポイント療法は、免疫チェックポイント分子、例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、及び/又はTGFRベータの阻害剤である。例えば、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、もしくはCTLA4、又はこれらの任意の組合せを阻害することができる。
阻害性分子の阻害は、DNA、RNA、又はタンパク質レベルで実施することができる。例えば、阻害性核酸(例えば、dsRNA、siRNA、又はshRNA)を用いて、阻害性分子の発現を阻害することができる。他の実施態様において、阻害性シグナルの阻害剤は、ポリペプチド、例えば、可溶性リガンド(例えば、PD-1-IgもしくはCTLA-4 Ig)、又は該阻害性分子に結合する抗体もしくはその抗原結合性断片;例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、及び/もしくはTGFRベータに結合する抗体もしくはその断片(本明細書において「抗体分子」とも呼ばれる)、又はこれらの組合せである。
抗体分子は、例えば、完全抗体又はその断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、もしくは単鎖Fv断片(scFv))であってもよい。抗体分子は、例えば、二重特異性抗体分子の形態のものであってもよい。一実施態様において、該二重特異性抗体分子は、PD-1又はPD-L1に対する第1の結合特異性、及び第2の結合特異性、例えば、TIM-3、LAG-3、又はPD-L2に対する第2の結合特異性を有する。ある実施態様において、抗体分子は、注射(例えば、皮下又は静脈内)により、約1〜30mg/kg、例えば、約5〜25mg/kg、約10〜20mg/kg、約1〜5mg/kg、又は約3mg/kgの用量で投与される。投与スケジュールは、例えば、1週間に1回から2、3、又は4週間に1回まで様々であり得る。
ある実施態様において、該免疫チェックポイント療法は、PD-1、例えば、ヒトPD-1の阻害剤である。別の実施態様において、該免疫チェックポイント療法は、PD-L1、例えば、ヒトPD-L1の阻害剤である。一実施態様において、該PD-1又はPD-L1の阻害剤は、PD-1又はPD-L1に対する抗体分子である。該PD-1又はPD-L1阻害剤は、単独で、又は他の免疫チェックポイント療法と組み合わせて、例えば、LAG-3、TIM-3、もしくはCTLA4の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施態様において、該PD-1又はPD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-1又はPD-L1抗体分子は、LAG-3阻害剤、例えば、抗LAG-3抗体分子と組み合わせて投与される。別の実施態様において、該PD-1又はPD-L1の阻害剤、例えば、該抗PD-1又はPD-L1抗体分子は、TIM-3阻害剤、例えば、抗TIM-3抗体分子と組み合わせて投与される。また他の実施態様において、該PD-1又はPD-L1の阻害剤、例えば、該抗PD-1抗体分子は、LAG-3阻害剤、例えば、抗LAG-3抗体分子、及びTIM-3阻害剤、例えば、抗TIM-3抗体分子と組み合わせて投与される。また本明細書に提供されるのは、免疫チェックポイント療法とPD-1阻害剤(例えば、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、及び/又はTGFRのうちの1つ又は複数)との他の組合せである。当技術分野で公知の又は本明細書に開示されるPI3K阻害剤分子はいずれも、前述のチェックポイント分子の阻害剤の組合せで使用することができる。
いくつかの実施態様において、該抗PD-1抗体はニボルマブである。ニボルマブの代替名としては、MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、又はBMS-936558が挙げられる。いくつかの実施態様において、該抗PD-1抗体は、ニボルマブ(CAS登録番号: 946414-94-4)である。ニボルマブは、PD1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)及びPD1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、US 8,008,449号及びWO2006/121168号に開示されている。
他の実施態様において、該抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。ペンブロリズマブ(商標名KEYTRUDA、旧名ランブロリズマブ、別名、Merck 3745、MK-3475、又はSCH-900475)は、PD1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブは、例えば、Hamid, O.らの文献(2013) New England Journal of Medicine 369(2): 134-44、WO2009/114335号、及びUS 8,354,509号に開示されている。
いくつかの実施態様において、該抗PD-1抗体はピジリズマブである。ピジリズマブ(CT-011; Cure Tech)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピジリズマブ及び他のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体は、WO2009/101611号に開示されている。他の抗PD1抗体は、US 8,609,089号、US 2010028330号、及び/又はUS 20120114649号に開示されている。他の抗PD1抗体としては、AMP 514(Amplimmune)が挙げられる。
いくつかの実施態様において、該PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-Ll又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施態様において、該PD-1阻害剤はAMP-224である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤、例えば、本明細書に記載されるPI3K-γ阻害剤(例えば、化合物1)は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-Ll又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)と一緒に投与される。いくつかの実施態様において、該組合せ療法は、本明細書に記載される癌の治療方法で使用される。
いくつかの実施態様において、該PD-Ll阻害剤は抗PD-Ll抗体である。いくつかの実施態様において、該抗PD-Ll阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C、又はMDX-1105から選択される。
一実施態様において、該PD-L1阻害剤はMDX-1105である。MDX-1105、別名、BMS-936559は、WO2007/005874号に記載の抗PD-Ll抗体である。
一実施態様において、該PD-L1阻害剤はYW243.55.S70である。YW243.55.S70抗体は、WO 2010/077634号に記載の抗PD-Ll(それぞれ、配列番号20及び21に示される、重鎖及び軽鎖可変領域配列)である。
一実施態様において、該PD-L1阻害剤はMDPL3280A(Genentech/Roche)である。MDPL3280Aは、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280A及びPD-L1に対する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号及び米国公開第20120039906号に開示されている。
他の実施態様において、該PD-L2阻害剤はAMP-224である。AMP-224は、PD1とB7-H1の相互作用を遮断するPD-L2 Fc融合可溶性受容体(B7-DCIg; Amplimmune;例えば、WO2010/027827号及びWO2011/066342号に開示されている)である。
一実施態様において、該LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体分子である。一実施態様において、該LAG-3阻害剤はBMS-986016である。
いくつかの実施態様において、抗PD-Ll結合アンタゴニストは、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C、又はMDX-1105から選択される。MDX-1105、別名、BMS-936559は、WO2007/005874号に記載の抗PD-Ll抗体である。抗体YW243.55.S70(それぞれ、配列番号20及び21に示される、重鎖及び軽鎖可変領域配列)は、WO 2010/077634号に記載の抗PD-Llである。
いくつかの実施態様において、該抗PD-1抗体はニボルマブである。ニボルマブの代替名としては、MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、又はBMS-936558が挙げられる。いくつかの実施態様において、該抗PD-1抗体は、ニボルマブ(CAS登録番号: 946414-94-4)である。ニボルマブ(BMS-936558又はMDX1106とも呼ばれる; Bristol-Myers Squibb)は、PD-1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)及びPD-1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、US 8,008,449号、EP2161336号、及びWO2006/121168号に開示されている。
いくつかの実施態様において、該抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。ペンブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475、又はKEYTRUDA(登録商標)とも呼ばれる; Merck)は、PD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブ及び他のヒト化抗PD-1抗体は、Hamid, O.らの文献(2013) New England Journal of Medicine 369(2): 134-44、US 8,354,509号、及びWO2009/114335号に開示されている。
ピジリズマブ(CT-011; Cure Tech)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピジリズマブ及び他のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体は、WO2009/101611号に開示されている。
他の抗PD1抗体としては、とりわけ、AMP 514(Amplimmune)、例えば、US 8,609,089号、US 2010028330号、及び/又はUS 20120114649号に開示されている抗PD1抗体が挙げられる。
いくつかの実施態様において、該抗PD-L1抗体はMSB0010718Cである。MSB0010718C(A09-246-2とも呼ばれる; Merck Serono)は、PD-L1に結合するモノクローナル抗体である。ペンブロリズマブ及び他のヒト化抗PD-L1抗体は、WO2013/079174号に開示されている。
MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280A及びPD-L1に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号及び米国公開第20120039906号に開示されている。他の抗PD-L1結合剤としては、YW243.55.S70(重鎖及び軽鎖可変領域はWO2010/077634号の配列番号20及び21に示されている)並びにMDX-1105(BMS-936559とも呼ばれる、例えば、WO2007/005874号に開示されている抗PD-L1結合剤)が挙げられる。
AMP-224(B7-DCIg; Amplimmune;例えば、WO2010/027827号及びWO2011/066342号に開示されている)は、PD1とB7-H1の相互作用を遮断するPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。
いくつかの実施態様において、該抗LAG-3抗体はBMS-986016である。BMS-986016(BMS986016とも呼ばれる; Bristol-Myers Squibb)は、LAG-3に結合するモノクローナル抗体である。BMS-986016及び他のヒト化抗LAG-3抗体は、US 2011/0150892号、WO2010/019570号、及びWO2014/008218号に開示されている。
ある実施態様において、本明細書に開示される組合せ療法には、共刺激分子又は阻害分子、例えば、共阻害リガンド又は受容体のモジュレーターが含まれる。
一実施態様において、共刺激分子の共刺激モジュレーター、例えば、アゴニストは、OX40、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、又はCD83リガンドのアゴニスト(例えば、作動性抗体もしくはその抗原結合性断片、又は可溶性融合体)から選択される。
別の実施態様において、本明細書に開示される組合せ療法には、共刺激分子、例えば、CD28、CD27、ICOS、及びGITRの共刺激ドメインを含む陽性シグナルと関連するアゴニストが含まれる。
例示的なGITRアゴニストとしては、例えば、GITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)、例えば、米国特許第6,111,090号、欧州特許第090505B1号、米国特許第8,586,023号、PCT公開WO 2010/003118号及び2011/090754号に記載されているGITR融合タンパク質、又は例えば、米国特許第7,025,962号、欧州特許第1947183B1号、米国特許第7,812,135号、米国特許第8,388,967号、米国特許第8,591,886号、欧州特許第EP 1866339号、PCT公開WO 2011/028683号、PCT公開WO 2013/039954号、PCT公開WO2005/007190号、PCT公開WO 2007/133822号、PCT公開WO2005/055808号、PCT公開WO 99/40196号、PCT公開WO 2001/03720号、PCT公開WO99/20758号、PCT公開WO2006/083289号、PCT公開WO 2005/115451号、米国特許第7,618,632号、及びPCT公開WO 2011/051726号に記載されている抗GITR抗体が挙げられる。
一実施態様において、該阻害剤は、可溶性リガンド(例えば、CTLA-4-Ig)、又はPD-L1、PD-L2、もしくはCTLA4に結合する抗体もしくは抗体断片である。例えば、癌(例えば:黒色腫、例えば、転移性黒色腫;肺癌、例えば、非小細胞肺癌;又は前立腺癌から選択される癌)を治療するために、例えば、本明細書に開示される化合物、例えば、化合物1を、抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブと組み合わせて投与することができる。例示的な抗CTLA4抗体としては、トレメリムマブ(かつてはチシリムマブ、CP-675,206として知られた、Pfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体)及びイピリムマブ(CTLA-4抗体、別名、MDX-010、Yervoy、CAS番号477202-00-9)が挙げられる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、抗PD-L1阻害剤(例えば、ニボルマブ)及びCTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ)と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、ニボルマブ及びイピリムマブと組み合わせて投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗PD-L1又は抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗PD-L1抗体と組み合わせて投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、該抗PD-L1抗体は、BMS-936559、MPDL3280A、及びMDX-1105から選択される。いくつかの実施態様において、該抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ及びトレメリムマブから選択される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、乳癌、結腸癌、膵癌、黒色腫、膠芽腫、又は肺癌を治療する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、抗PD-L1又は抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与することを含む、方法である。別の実施態様において、該癌は、上皮性悪性腫瘍(例えば、進行性もしくは転移性癌)、黒色腫、又は肺癌、例えば、非小細胞肺癌から選択される。一実施態様において、該癌は、肺癌、例えば、非小細胞肺癌である。一実施態様において、該癌は、黒色腫、例えば、進行性黒色腫である。一実施態様において、該癌は、他の療法に応答しない進行性又は切除不能黒色腫である。他の実施態様において、該癌は、BRAF突然変異(例えば、BRAF V600E突然変異)を有する黒色腫である。別の実施態様において、該癌は、肝細胞癌、例えば、ウイルス感染を伴う又は伴わない、進行性肝細胞癌、例えば、慢性ウイルス性肝炎である。別の実施態様において、該癌は、前立腺癌、例えば、進行性前立腺癌である。また別の実施態様において、該癌は、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫である。また別の実施態様において、該癌は、腎臓癌、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性RCC又は明細胞腎細胞癌(CCRCC))である。
例えば、癌(例えば:黒色腫、例えば、転移性黒色腫;肺癌、例えば、非小細胞肺癌;又は前立腺癌から選択される癌)を治療するために、例えば、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)を、抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブと組み合わせて投与することができる。一実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)は、BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブもしくはダブラフェニブ)とともに又は該阻害剤なしで、抗CTLA4抗体(例えば、イピリムマブ)で治療した後に投与される。
いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法は共刺激リガンドである。いくつかの実施態様において、該共刺激リガンドは、OX40L、41BBL、CD153、ICOSL、又はCD40Lである。
いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法はMCSF/CSF-1R阻害剤である。抗CSF-1RはTAMを枯渇させ、腫瘍成長阻害をもたらすことができる。Cancer Cell 25, 1-14, June 16, 2014。いくつかの実施態様において、該CSF-1R阻害剤は、BLZ945、GW2850、RO5509554、又はPLX3397である。いくつかの実施態様において、該CSF-1R阻害剤は、BLZ945又はGW2850である。いくつかの実施態様において、該CSF-1R阻害剤はPLX3397である。
いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法は免疫刺激剤である。いくつかの実施態様において、該免疫刺激剤は、GMCSF、TLRリガンド、41BBL、又はICOSLである。
いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント療法はCXCR4/CXCL12阻害剤である。いくつかの実施態様において、該CXCR4/CXCL12阻害剤は、AMD3100、AMD11070、AMD12118、AMD11814、又はAMD13073である。いくつかの実施態様において、該CXCR4/CXCL12阻害剤はAMD3100である。
いくつかの実施態様において、該免疫療法は、CCL2及び/又はCCR2アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、該CCL2及び/又はCCR2のアンタゴニストは、抗CCL2又はCCR2抗体である。CCL2はケモカインであり、CCR2はケモカイン受容体である。CCL2及びCCR2は、非限定的な理論によれば、MDSC遊走において役割を果たす。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、BTK阻害剤と組み合わせて投与される。一実施態様において、該BTK阻害剤は、イブルチニブ、AVL-292、ダサチニブ、LFM-AI3、ONO-WG-307、及びGDC-0834などのBTK阻害剤である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、IDO(インドールアミン 2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤又はTDO(トリプトファン 2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤と組み合わせて投与される。一実施態様において、該IDO阻害剤は、インドキシモド、NLG919、INCB024360、F001287、ノルハルマン、ロスマリン酸、又はアルファ-メチル-トリプトファンである。IDO阻害剤はTMEの内部で作用するが、それらはMDSCを特異的に標的とするものではない。樹状細胞によるIDOの過剰発現は、免疫抑制性腫瘍微小環境を生み出す。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、Tyro-3(Skyとも呼ばれる)、Axl、及びMerを含む受容体チロシンキナーゼ(RTK)サブファミリーであるTAMファミリーの1以上のメンバーの阻害剤と組み合わせて投与される。一実施態様において、該TAM阻害剤は、BGB324(R428)、S49076、TP0903、CEP-40783、ONO-9330547、ボスチニブ(SKI606、PF5208763)、カボザンチニブ(XL184)、スニチニブ(SU11248)、フォレチニブ(XL880、GSK1363089)、MGCD265、BMS777607(ASLAN002)、LY2801653、SGI7079、アムバチニブ(SGI-0470-02、MP470)、SNS314、PF-02341066、ジアミノピリミジン、スピロインドリン、UNC569、UNC1062、UNC1666、UNC2025、又はLDC1267である。さらなるTAM阻害剤としては、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、Mollardらの文献、Med. Chem. Lett. 2011, 2, 907-912、及び2014年8月19日にオンラインで最初に発表されたFeneyrollesらの文献、Mol. Cancer Ther. 13(9)に記載されているものが挙げられる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、免疫チェックポイント療法の投与と同時又はその前に対象に投与される。いくつかの実施態様において、免疫刺激剤は、免疫チェックポイント療法の投与と同時又はその前に対象に投与される。いくつかの実施態様において、化学療法(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン、又は放射線)は、免疫チェックポイント療法の投与と同時又はその前に対象に投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、ARG1阻害剤と組み合わせて投与される。理論によって束縛されることを望むものではないが、腫瘍関連骨髄細胞は、腫瘍微小環境からアルギニンを枯渇させるアルギナーゼ-1の発現、それによる抗腫瘍免疫細胞の死又は阻害によって、腫瘍内に免疫抑制性微小環境を樹立することが報告されている。Schmidらの文献、会報: AACR第103回年次総会2012, Cancer Research: April 15, 2012;第72巻、第8号、補遺1。PI3K-ガンマ又はアルギナーゼ-1発現の抑制がインビトロにおける骨髄細胞誘導性のT細胞の死を遮断したことが報告されている(同上)。非限定的な理論によれば、PI3K-ガンマ阻害は、アルギナーゼ-1発現を遮断し、それにより、腫瘍内のCD8+ T細胞の数を増加させ、腫瘍細胞のT細胞媒介性細胞傷害性を刺激し、腫瘍の成長及び転移を抑制する。組合せ療法は、この機構に一致して設計することができる。
例えば、いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤、例えば、化合物1は、ARG1阻害剤と組み合わせて投与される。該ARG1阻害剤は、例えば、阻害性核酸、例えば、siRNA、阻害性抗ARG-1抗体、又はアルギニンの類似体であってもよい。ARG1の他の例示的な阻害剤としては、N-ヒドロキシ-グアニジウム又はN-ヒドロキシ-ノル-l-アルギニン、及びボロン酸誘導体、例えば、2(S)-アミノ-6-ボロノヘキサン酸、及びS-(2-ボロノエチル)-l-システイン、α-α-二置換アミノ酸に基づくアルギナーゼ阻害剤[例えば、(R)-2-アミノ-6-ボロノ-2-(2-(ピペリジン-1-イル)エチル)ヘキサン酸]、並びにピセアタンノール-3'-O-β-d-グルコピラノシド(PG)が挙げられる。Steppanらの文献、「内皮機能不全の治療のための新規アルギナーゼ阻害剤の開発(Development of novel arginase inhibitors for therapy of endothelial dysfunction.)」、Front Immunol. 2013 Sep 17; 4: 278. doi: 10.3389/fimmu.2013.00278。
本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤は、T細胞活性化に対するPI3Kδ阻害剤の抑制効果と比較したとき、T細胞活性化に対する最小限の効果を有し得る。ルイス肺癌の腫瘍成長は、PI3K-γノックアウトマウスで低下させることができ、腫瘍関連抑制性骨髄細胞浸潤の減少を有することができる。腫瘍関連抑制性骨髄細胞としては、例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)及び腫瘍関連マクロファージ(TAM)を挙げることができる。PI3K-γノックアウトマウスは、M2表現型が失われているTAMを有する。M2細胞は免疫抑制性であり、腫瘍成長を支持する。本明細書に提供されるPI3K阻害剤は、M2表現型を(例えば、インビトロ分化系で)遮断し、それにより、腫瘍成長を減速させることができる。
例えば、ConAに応答したIFN-γの阻害によって測定されるT細胞活性化に対するPI3K-γ阻害剤及びPI3Kδ阻害剤の効果から、PI3K-δがT細胞活性化を媒介する際に役割を果たす一方、PI3K-γは、T細胞活性化に対して最小限の効果しか有しないことが示された。このアッセイにおけるPI3K-δ阻害剤のIC50は3nMであり、PI3K-γ阻害剤のIC50は2500nMである。PI3K-γ阻害剤の投与は、T細胞遊走の障害をもたらすことができるが、T細胞の増殖又は活性化に対して低下した効果を有し得る。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤は、エフェクターT細胞を阻害することなく、腫瘍関連抑制性骨髄細胞に対する強い効果を有することができる。本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤は、抗腫瘍T細胞効果を遮断することなく、腫瘍関連抑制性骨髄細胞に対する強い効果を有することができ、したがって、T細胞活性を増大させることができる。一実施態様において、この効果は、CTLA4アンタゴニスト並びに/又はPD-1及びPDL1アンタゴニストを投与することによって増強することができる。本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤は、T細胞の活性化及び増殖を増大させることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗腫瘍T細胞に対する効果を阻害することなく、腫瘍関連抑制性骨髄細胞を遮断する方法であって、有効量の本明細書に開示されるPI3K-γ阻害剤又はその医薬として許容し得る塩を対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗腫瘍T細胞に対する効果を阻害することなく、腫瘍関連抑制性骨髄細胞を遮断する方法であって、有効量の本明細書に開示される化合物又はその医薬として許容し得る塩を対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、該対象は、肺癌、乳癌、膠芽腫、又はリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)を有する。
さらに本明細書に提供されるのは、キナーゼを、キナーゼの活性を調節するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによる、キナーゼ活性を調節する方法である。調節することは、キナーゼ活性を阻害すること又は活性化することであり得る。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キナーゼを、キナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、溶液を、該溶液中のキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該溶液中のキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、細胞を、該細胞におけるキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該細胞におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、組織を、該組織におけるキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該組織におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、生物を、該生物体におけるキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該生物体におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、動物を、該動物におけるキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該動物におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、哺乳動物を、該哺乳動物におけるキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該哺乳動物におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトを、該ヒトにおけるキナーゼの活性を阻害するのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該ヒトにおけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、キナーゼを本明細書に提供される化合物と接触させた後のキナーゼ活性の%は、該接触する工程がないときのキナーゼ活性の1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、又は99%未満である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療的有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はその医薬として許容し得る形態、及び免疫モジュレーターを含む医薬組成物である。
一実施態様において、該免疫モジュレーターは、PD-1、PD-L1、LD-L2、CTLA-4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFR-ベータ、もしくはIDO/TDOの阻害剤、又はこれらの組合せである。一実施態様において、該免疫モジュレーターはPD-L1の阻害剤である。一実施態様において、該免疫モジュレーターは、抗体もしくはその断片、阻害性核酸、可溶性リガンド、又はPD-1リガンドと免疫グロブリンのFc領域との融合体である。一実施態様において、該免疫モジュレーターは、共刺激リガンド、MCSF/CSF-1R阻害剤、免疫刺激剤、CXCR4/CXCL12阻害剤、CCL2阻害剤、又はCCR2阻害剤である。一実施態様において、該免疫モジュレーターは、シクロホスファミド、ドセタキセル、パクリタキセル、5-FU、又はテモゾロミドである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のPI3K媒介障害を治療する方法であって、該対象に治療的有効量の該組成物を投与することを含む、方法である。
(肺及び呼吸器疾患のための組合せ療法)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1以上の療法と組み合わせて投与される。そのような療法としては、治療剤及び他の医療介入、行動療法(例えば、日光を避けること)などが挙げられる。
「と組み合わせて」とは、他の療法と本明細書に提供される化合物を同時に投与し、及び/又は一緒に送達するために製剤化しなければならないことを意味することを意図するものではないが、これらの送達方法は本開示の範囲内にある。本明細書に提供される化合物は、1以上の他の療法(例えば、1以上の他の追加の薬剤)と同時に、該療法の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、もしくは16週間前に)、又は該療法の後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、もしくは16週間後に)投与することができる。一般に、各々の治療剤は、その特定の薬剤について決定された用量及び/又は日程で投与される。他の治療剤は、本明細書に提供される化合物とともに、単一の組成物中で又は別々に異なる組成物中で投与することができる。3剤併用療法(triple therapy)も本明細書で想定される。
一般に、組み合わせて使用される追加の治療剤は、それらが個別に使用されるレベルを超えないレベルで使用されると考えられる。いくつかの実施態様において、組み合わせて使用されるレベルは、個別に使用されるレベルよりも低い。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、肺又は呼吸器疾患に対する一次治療であり、すなわち、それは、肺もしくは呼吸器疾患又は該疾患の1以上の症状を治療することを意図した別の薬物を過去に投与されたことがない対象で使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、肺又は呼吸器疾患に対する二次治療であり、すなわち、それは、肺もしくは呼吸器疾患又は該疾患の1以上の症状を治療することを意図した別の薬物を過去に投与されたことがある対象で使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、肺又は呼吸器疾患に対する三次又は四次治療であり、すなわち、それは、肺もしくは呼吸器疾患又は該疾患の1以上の症状を治療することを意図した2つ又は3つの他の薬物を過去に投与されたことがある対象で使用される。
2つの薬剤を投与する実施態様において、該薬剤を任意の順序で投与することができる。例えば、2つの薬剤を、同時に(すなわち、本質的に同時に、もしくは同じ治療において)又は逐次的に(すなわち、一方のすぐ後に他方を、もしくはその代わりに、該2つの投与の間に間隔を置いて)投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、逐次的に(すなわち、第1の治療薬の後に)投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び第2の薬剤は、別々の組成物、例えば、医薬組成物として投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び該薬剤は、別々に、しかし、同じ経路で(例えば、両方とも吸入によって)投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び該薬剤は、同じ組成物、例えば、医薬組成物中で投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、PI3Kδ阻害剤又はPI3Kγ阻害剤)は、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、PI3Kδ阻害剤又はPI3Kγ阻害剤)は、mTORの阻害剤と組み合わせて投与される。IgE産生を阻害する薬剤は当技術分野で公知であり、それらには、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。IgE活性を阻害する薬剤としては、例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ及びTNX-901などが挙げられる。
炎症(例えば、COPD、喘息)が治療、予防、及び/又は管理されるある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば: PI3K阻害剤、例えば、RP-6530、TG 100-115、RV1729、GS-1101、XL 499、GDC-0941、及びAMG-319; BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ及びAVL-292; JAK阻害剤、例えば、トファシチニブ及びGLPG0636; SYK阻害剤、例えば、ホスタマチニブと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、炎症性疾患、例えば、COPD、喘息、及び本明細書に記載される他の疾患の症状を緩和するように作用する他の薬剤と組み合わせることができる。これらの薬剤としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アセチルサリチル酸;イブプロフェン;ナプロキセン;インドメタシン;ナブメトン;及びトルメチンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、コルチコステロイドを用いて、炎症を低下させ、免疫系の活動を抑制する。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態は、肺又は呼吸器疾患のための薬剤と組み合わせて投与される。肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、アブサキサン(注射用懸濁液用のパクリタキセルタンパク質結合粒子)、Adempas(リオシグアト)、Anoro Ellipta(ウメクリジニウム及びビランテロール吸入粉末)、Breo Ellipta(フロ酸フルチカゾン及びビランテロール吸入粉末)、Opsumit(マシテンタン)、Qnasl(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)鼻エアロゾル、Sirturo(ベダキリン)、Dymista(塩酸アゼラスチン及びプロピオン酸フルチカゾン)、Kalydeco(アイバカフトール)、Qnasl(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)鼻エアロゾル、Rayos(プレドニゾン)遅延放出錠、Surfaxin(ルシナクタント)、Tudorza Pressair(臭化アクリジニウム吸入粉末)、Arcapta(マレイン酸インダカテロール吸入粉末)、Daliresp(ロフルミラスト)、Xalkori(クリゾチニブ)、Cayston(吸入溶液用のアズトレオナム)、Dulera(フロ酸モメタゾン+フマル酸ホルモテロール二水和物)、Teflaro(セフタロリンフォサミル)、Adcirca(タダラフィル)、Tyvaso(トレプロスチニル)、Alvesco(シクレソニド)、Patanase(塩酸オロパタジン)、Letairis(アンブリセンタン)、Xyzal(二塩酸レボセチリジン)、Brovana(酒石酸アルホルモテロール)、Tygacil(チゲサイクリン)、Ketek(テリスロマイシン)、Spiriva HandiHaler(臭化チオトロピウム)、Aldurazyme(ラロニダーゼ)、Iressa(ゲフィチニブ)、Xolair(オマリズマブ)、Zemaira(アルファ1-プロテイナーゼ阻害剤)、Clarinex、Qvar(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)、Remodulin(トレプロスチニル)、Xopenex(レバルブテロール)、Avelox I.V.(塩酸モキシフロキサシン)、DuoNeb(硫酸アルブテロール及び臭化イプラトロピウム)、Foradil Aerolizer(フマル酸ホルモテロール吸入粉末)、Invanz、NasalCrom鼻スプレー、Tavist(フマル酸クレマスチン)、Tracleer(ボセンタン)、Ventolin HFA(硫酸アルブテロール吸入エアロゾル)、Biaxin XL(クラリスロマイシン持続放出錠)、セファゾリン及びデキストロースUSP、Tri-鼻スプレー(トリアムシノロンアセトニドスプレー)、Accolate(ザフィルルカスト)、Cafcit注射液、Proventil HFA吸入エアロゾル、Rhinocort Aqua鼻スプレー、Tequin、Tikosynカプセル、Allegra-D、フマル酸クレマスチンシロップ、Curosurf、Dynabac、Infasurf、Priftin、Pulmozyme(ドルナーゼアルファ)、Sclerosol胸腔内エアロゾル、Singulair(モンテルカストナトリウム)、Synagis、Ceftin(セフロキシムアキセチル)、Cipro(シプロフロキサシンHCl)、Claritin RediTabs(10mgロラタジン速崩錠)、Flonase鼻スプレー、Flovent Rotadisk、硫酸メタプロテレオール(Metaprotereol Sulfate)吸入溶液(5%)、Nasacort AQ(トリアムシノロンアセトニド)鼻スプレー、Omnicef、Raxar(グレパフロキサシン)、Serevent、Tilade(ネドクロミルナトリウム)、Tobi、Vanceril 84mcgダブルストレングス(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、84mcg)吸入エアロゾル、Zagam(スパルフロキサシン)錠剤、Zyflo(ジレウトン)、Allegra(塩酸フェキソフェナジン)、Astelin鼻スプレー、Atrovent(臭化イプラトロピウム)、Augmentin(アモキシシリン/クラブラネート)、Azmacort(トリアムシノロンアセトニド)吸入エアロゾル、Breathe Right、Claritinシロップ(ロラタジン)、Claritin-D 24時間遅延放出錠(10mgロラタジン、240mg硫酸プソイドエフェドリン)、Covera-HS(ベラパミル)、OcuHist、RespiGam(呼吸器多核体ウイルス免疫グロブリン静注)、Tripedia(吸収ジフテリア・破傷風トキソイド・無細胞百日咳ワクチン)、Vancenase AQ 84mcgダブルストレングス、Visipaque(イオジキサノール)、Zosyn(滅菌ピペラシリンナトリウム/タゾバクタムナトリウム)、Cedax(セフチブテン)、並びにZyrtec(セチリジンHCl)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、肺又は呼吸器疾患のための薬剤は、Arcapta(マレイン酸インダカテロール吸入粉末)、Daliresp(ロフルミラスト)、Dulera(フロ酸モメタゾン+フマル酸ホルモテロール二水和物)、Alvesco(シクレソニド)、Brovana(酒石酸アルホルモテロール)、Spiriva HandiHaler(臭化チオトロピウム)、Xolair(オマリズマブ)、Qvar(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)、Xopenex(レバルブテロール)、DuoNeb(硫酸アルブテロール及び臭化イプラトロピウム)、Foradil Aerolizer(フマル酸ホルモテロール吸入粉末)、Accolate(ザフィルルカスト)、Singulair(モンテルカストナトリウム)、Flovent Rotadisk(プロピオン酸フルチカゾン吸入粉末)、Tilade(ネドクロミルナトリウム)、Vanceril(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、84mcg)、Zyflo(ジレウトン)、及びAzmacort(トリアムシノロンアセトニド)吸入エアロゾルである。一実施態様において、肺又は呼吸器疾患のための薬剤は、Spiriva HandiHaler(臭化チオトロピウム)である。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、Tudorza Pressair(臭化アクリジニウム)、Atrovent(イプラトロピウム)、及びSpiriva(チオトロピウム)から選択されるアセチルシステイン(ムコミスト)が挙げられるが、これらに限定されない。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、短時間作用型ベータ2作動薬及び長時間作用型ベータ2作動薬から選択されるベータ2作動薬が挙げられるが、これらに限定されない。短時間作用型ベータ2作動薬としては、Proventil(アルブテロール)、Tornalate(ビトルテロール)、Xopenex(レバルブテロール)、Maxair(ピルブテロール)、及びAlupent(メタプロテレノール)が挙げられるが、これらに限定されない。長時間作用型ベータ2作動薬としては、Brovana(酒石酸アルホルモテロール)、Foradil(ホルモテロール)、Arcapta Neohaler(マレイン酸インダカテロール)、及びSerevent(サルメテロール)が挙げられるが、これらに限定されない。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、2つの薬剤の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該組合せは、吸入によって投与される。2つの薬剤の組合せとしては、Combivent(アルブテロールとイプラトロピウム)及びAnoro Ellipta(ウメクリジニウムとビランテロールの吸入粉末)から選択されるベータ2作動薬と抗コリン作動薬が挙げられるが、これらに限定されない。2つの薬剤の組合せとしては、Advair(フルチカゾンとサルメテロール)、Breo Ellipta(フロ酸フルチカゾンとビランテロールの吸入粉末)、Dulera(フロ酸モメタゾンとフマル酸ホルモテロール)、及びSymbicort(ブデソニドとホルモテロール)から選択されるベータ2作動薬とコルチコステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、Vanceril Beclovent(ベクロメタゾン)、Pulmicort(ブデソニド)、Alvesco(シクレソニド)、Aerobid(フルニソリド)、Flovent(フルチカゾン)、Asmanex(フロ酸モメタゾン)、及びAzmacort(トリアムシノロン)から選択されるコルチコステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、Singulair(モンテルカスト)、Accolate(ザフィルルカスト)、及びZyflo(ジレウトン)から選択されるロイコトリエン阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、Intal(クロモリンナトリウム)及びTilade(ネドクロミル)から選択される肥満細胞安定化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
肺又は呼吸器疾患のための薬剤の例としては、Daliresp(ロフルミラスト)から選択されるホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物1)、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る形態は、免疫又は感染性疾患のための薬剤と組み合わせて投与される。免疫又は感染性疾患のための薬剤の例としてはKineret(アナキンラ)、Lovenox(エノキサパリンナトリウム)注射液、Makena(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン注射液)、Myalept(注射用メトレレプチン)、Qnasl(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)鼻エアロゾル、Simponi(ゴリムマブ)、Sitavig(アシクロビル)口腔錠、Tecfidera(フマル酸ジメチル)、Tivicay(ドルテグラビル)、VariZIG、水痘帯状疱疹免疫グロブリン(ヒト)、Flublok(季節性インフルエンザワクチン)、Flucelvax(インフルエンザウイルスワクチン)、Fulyzaq(クロフェレマー)、Horizant(ガバペンチンエナカルビル)、Qnasl(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)鼻エアロゾル、Rayos(プレドニゾン)遅延放出錠、Stribild(エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン、フマル酸テノホビルジソプロキシル)、Tudorza Pressair(臭化アクリジニウム吸入粉末)、Arcapta(マレイン酸インダカテロール吸入粉末)、Benlysta(ベリムマブ)、Complera(エムトリシタビン/リルピビリン/フマル酸テノホビルジソプロキシル)、Daliresp(ロフルミラスト)、Dificid(フィダキソマイシン)、Edurant(リルピビリン)、Firazyr(イカチバント)、Gralise(ガバペンチン)、Incivek(テラプレビル)、Nulojix(ベラタセプト)、Victrelis(ボセプレビル)、Cayston(吸入溶液用のアズトレオナム)、Egrifta(注射用のテサモレリン)、Menveo(髄膜炎ワクチン)、Oravig(ミコナゾール)、Prevnar 13(肺炎球菌13価コンジュゲートワクチン)、Teflaro(セフタロリンフォサミル)、Zortress(エベロリムス)、Zymaxid(ガチフロキサシン眼科用溶液)、Bepreve(ベシル酸ベポタスチン眼科用溶液)、Berinert(C1エステラーゼ阻害剤(ヒト))、Besivance(ベシフロキサシン眼科用懸濁液)、Cervarix[ヒトパピローマウイルス2価(16型及び18型)ワクチン、組換え]、Coartem(アルテメーター/ルメファントリン)、Hiberix(ヘモフィルスbコンジュゲートワクチン;破傷風トキソイドコンジュゲート)、Ilaris(カナキヌマブ)、Ixiaro(日本脳炎ワクチン、不活化、沈降)、Kalbitor(エカランチド)、Qutenza(カプサイシン)、Vibativ(テラバンシン)、Zirgan(ガンシクロビル眼科用ジェル)、Aptivus(チプラナビル)、Astepro(塩酸アゼラスチン鼻スプレー)、Cinryze(C1阻害剤(ヒト))、Intelence(エトラビリン)、Moxatag(アモキシシリン)、Rotarix(ロタウイルスワクチン、生、経口)、Tysabri(ナタリズマブ)、Viread(フマル酸テノホビルジソプロキシル)、Altabax(レタパムリン)、AzaSite(アジスロマイシン)、Doribax(ドリペネム)、Extina(ケトコナゾール)、Isentress(ラルテグラビル)、Selzentry(マラビロク)、Veramyst(フロ酸フルチカゾン)、Xyzal(レボセチリジン二塩酸塩)、Eraxis(アニデュラファンギン)、Gardasil(4価ヒトパピローマウイルス(6型、11型、16型、18型)組換えワクチン)、Noxafil(ポサコナゾール)、Prezista(ダルナビル)、Rotateq(ロタウイルスワクチン、生、経口5価)、Tyzeka(テルビブジン)、Veregen(クネカテキン)、Baraclude(エンテカビル)、Tygacil(チゲサイクリン)、Ketek(テリスロマイシン)、Tindamax、チニダゾール、Xifaxan(リファキシミン)、Amevive(アレファセプト)、FluMist(インフルエンザウイルスワクチン)、Fuzeon(エンフビルチド)、Lexiva(ホスアンプレナビルカルシウム)、Reyataz(硫酸アタザナビル)、Alinia(ニタゾキサニド)、Clarinex、Daptacel、Fluzone防腐剤無添加、Hepsera(アデホビルジピボキシル)、Pediarixワクチン、Pegasys(ペグインターフェロンアルファ-2a)、Restasis(シクロスポリン眼科用エマルジョン)、Sustiva、Vfend(ボリコナゾール)、Avelox I.V.(塩酸モキシフロキサシン)、Cancidas、Peg-Intron(ペグインターフェロンアルファ-2b)、Rebetol(リバビリン)、Spectracef、Twinrix、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、Xigris(ドロトレコギンアルファ[活性化])、ABREVA(ドコサノール)、ビアキシンXL(クラリスロマイシン持続放出錠)、セファゾリン及びデキストロースUSP、小児用モトリンコールド、Evoxac、Kaletraカプセル及び経口溶液、Lamisil(塩酸テルビナフィン)溶液(1%)、Lotrisone(クロトリマゾール/ジプロピオン酸ベタメタゾン)ローション、Malarone(アトバコン;塩酸プログアニル)錠剤、Rapamune(シロリムス)錠剤、Rid Mousse、Tri-鼻スプレー(トリアムシノロンアセトニドスプレー)、Trivagizole 3(クロトリマゾール)膣用クリーム、Trizivir(硫酸アバカビル;ラミブジン;ジドブジンAZT)錠剤、Agenerase(アンプレナビル)、Cleocin(リン酸クリンダマイシン)、Famvir(ファムシクロビル)、Norvir(リトナビル)、Panretinゲル、Rapamune(シロリムス)経口溶液、Relenza、Synercid I.V.、Tamifluカプセル、Vistide(シドホビル)、Allegra-D、CellCept、フマル酸クレマスチンシロップ、Dynabac、REBETRON(商標)組合せ療法、Simulect、Timentin、Viroptic、INFANRIX(沈降ジフテリア・破傷風トキソイド・無細胞百日咳ワクチン)、Acyclovir Capsules、Aldara(イミキモド)、Aphthasol、Combivir、Condyloxゲル0.5%(ポコフィロックス(pokofilox))、Flagyl ER、Flonase鼻スプレー、Fortovase、INFERGEN(インターフェロンアルファコン-1)、Intron A(インターフェロンアルファ-2b、組換え)、Rescriptor錠剤(メシル酸デラビルジン錠)、SPORANOX(イトラコナゾール)、Stromectol(イベルメクチン)、Taxol、Trovan、VIRACEPT(メシル酸ネルフィナビル)、Zerit(スタブジン)、Albenza(アルベンダゾール)、Apthasol(アムレキサノックス)、Carringtonパッチ、Confide、Crixivan(硫酸インジナビル)、Gastrocrom経口濃縮物(クロモリンナトリウム)、Havrix、Lamisil(塩酸テルビナフィン)錠剤、Leukine(サルグラモスチム)、経口Cytovene、RespiGam(呼吸器多核体ウイルス免疫グロブリン静注)、Videx(ジダノシン)、Viramune(ネビラピン)、Vitrasertインプラント、Zithromax(アジスロマイシン)、Cedax(セフチブテン)、クラリスロマイシン(ビアキシン)、Epivir(ラミブジン)、Invirase(サキナビル)、Valtrex(バラシクロビルHCl)、並びにZyrtec(セチリジンHCl)が挙げられるが、これらに限定されない。
対象化合物と組み合わせることができるさらなる治療剤は、どちらも引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Goodman及びGilmanの文献、「治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第10版、Hardman、Limbird、及びGilman編;又は医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)に見出すことができる。
本明細書に記載される化合物は、治療されている状態に応じて、本明細書に提供される薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、上記の他の薬剤と共投与される。組合せ療法で使用する場合、本明細書に記載される化合物は、第2の薬剤と同時に又は別々に投与することができる。この組合せ投与は、2つの薬剤の同一剤形での同時投与、別々の剤形での同時投与、及び個別投与を含むことができる。すなわち、本明細書に記載される化合物と上記の薬剤のいずれかとを、同一剤形中に一緒に製剤化して、同時に投与することができる。或いは、本明細書に提供される化合物と上記の薬剤のいずれかとを同時に投与することができ、この場合、両方の該薬剤は別々の製剤中に存在する。別の代替法では、本明細書に提供される化合物を投与し、その後すぐに、上記の薬剤のいずれかを投与することができ、又はその逆も同様にすることができる。個別投与プロトコルにおいて、本明細書に提供される化合物と上記の薬剤のいずれかとを、数分間隔、又は数時間間隔、又は数日間隔で投与することができる。
本明細書に提供される化合物の投与は、該化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって達成することができる。有効量の本明細書に提供される化合物は、同様の有用性を有する薬剤の許容された投与様式のいずれかによって、単回用量又は複数回用量のいずれかで投与することができ、該投与様式には、直腸、口腔、鼻腔内、及び経皮経路、動脈内注射によるもの、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入剤としてのもの、或いは例えば、ステントなどの含浸もしくは被覆されたデバイス、又は動脈に挿入される円筒形ポリマーを介するものが含まれる。
本明細書に提供される化合物が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有している場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
(6.実施例)
以下に提供される実施例及び調製物は、本明細書に提供される化合物及びそのような化合物の調製方法をさらに説明及び例証する。本開示の範囲は、以下の実施例及び調製物の範囲によって何ら限定されないことが理解されるべきである。以下の実施例において、別途特記されない限り、単一のキラル中心を有する分子は、ラセミ混合物として存在する。2以上のキラル中心を有する分子は、別途特記されない限り、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に公知の方法によって得ることができる。
(実施例1.化合物1の調製)
(A.方法1)
化合物1を、次の手順に従って、化合物Aから3工程で調製した:化合物Aを、次の手順に従って、2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸にカップリングさせた:化合物A(27.4mmol、1.0当量)、HOBt水和物(1.2当量)、2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(1.05当量)、及びEDCI(1.25当量)を、撹拌棒の入った200mLの丸底フラスコに添加した。N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)を添加し、懸濁液を室温で2分間撹拌した。ヒューニッヒ塩基(4.0当量)を添加すると、その後、懸濁液は均質となり、これを22時間撹拌すると、反応フラスコ中に固体ケーキが形成された。固体混合物を水(600mL)に添加し、3時間撹拌した。得られたクリーム色の固体を濾過し、水(2×100mL)で洗浄し、乾燥させた。その後、該固体を塩化メチレン(40mL)に溶解させ、その後、トリフルオロ酢酸(10当量、20mL)を添加し、反応液を室温で30分間撹拌した。その後、LC/MS分析によると、出発物質はもはや存在しない。その後、溶液を濃縮し、塩化メチレン/エタノール(1:1 v/v)混合物と共蒸発させ、その後、高真空下で一晩乾燥させた。得られた固体を60mLのエタノールで1時間研和し、その後、真空濾過により収集した。その後、ベージュ色の固体を炭酸ナトリウム溶液(100mL)で中和し、その後、塩化メチレン(350mL)の入った分液漏斗に移した。水層を追加の100mLの塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮させると、淡黄色の固体が得られ、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Combiflash、24gカラム、0〜5%のメタノール/塩化メチレンの勾配)を用いて精製すると、アミドBが得られた。ESI-MS m/z: 459.4[M+H]
+。
アミドBを密閉チューブに入れ(0.67mmol、1.0当量)、その後、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(15mol%)、X-Phos(45mol%)、及び炭酸セシウム(3.0当量)を入れた。プロピオニトリル(5mL)を添加し、混合物をアルゴンで1分間バブリングした。4-エチニル-1-メチル-1H-ピラゾール(1.24当量)を添加し、得られたオレンジ色の混合物を密閉し、油浴中で85℃で1.5時間撹拌した。得られた黒褐色の混合物を冷却させておいた。この時点で、LC/MS分析によると、出発物質はもはや存在しなかった。その後、混合物をアセトニトリル及び塩化メチレンを用いて、綿の短いプラグに通して濾過した。合わせた濾液をシリカゲル上で濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Combiflash、4gカラム、0〜5%の塩化メチレン/メタノールの勾配)を用いて精製した。得られた材料を、逆相HPLC(15〜90%の0.1%ギ酸を含むアセトニトリル/0.1%ギ酸を含む水)でさらに精製すると、所望の化合物1が得られた。化合物1を含む溶液を凍結乾燥させると、非晶質化合物1が得られた。ESI-MS m/z: 529.5[M+H]+。
(B.方法2)
第一の工程を、アセトニトリル中での化合物Aと4-エチニル-1-メチル-1H-ピラゾールとのパラジウム触媒クロスカップリングから始めて、化合物Cを形成させた。このカップリングの許容温度範囲は70±5℃であった。ひとたびクロスカップリング反応が終了すれば、反応混合物を室温に冷却し、濾過して、不溶性無機塩を除去した。得られた溶液を、まず官能性シリカゲルで、その後、常用のシリカゲルで処理した。粗化合物Cを濾過及び30%酢酸プロピル/アセトニトリル溶液によるシリカゲルの洗浄によって収集した。化合物Cの結晶化をn-PrOAcへの溶媒交換によって達成し、結晶を濾過及び規格限度内への乾燥によって単離した。典型的な化学的純度は>98%面積である。典型的な収率は70〜80%である。
より具体的には、アセトニトリル(ACS等級、MeCN)を窒素で少なくとも30分間脱気した。窒素下の脱気アセトニトリル(2容量)を反応容器に仕込んだ。窒素下の化合物A(1wt、1当量)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(0.05当量)、ジシクロヘキシル[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(XPhos)(0.1025当量)、及び炭酸セシウム(1.2当量)も反応容器に仕込んだ。反応混合物を撹拌した。4-エチニル-1-メチル-1H-ピラゾール(1.2当量、アッセイ含有量に合わせて補正)を反応容器中に仕込んだ。反応混合物を70±2℃(内部温度)に加熱する。
反応をHPLCにより3時間後にモニタリングした。反応が終了していることが決定されたら、加熱するのを止め、反応混合物を最低2時間かけて室温(22±3℃)に冷却し、室温で2時間以上保持した。懸濁液を濾過し、ケーキをアセトニトリル(2×2容量)で洗浄した。洗浄液を濾液(生成物層)と合わせた。濾液(生成物層)を反応容器中に移し戻した。該容器に窒素を少なくとも2分間フラッシュし、撹拌を再開した。2-メルカプトエチルエチルスルフィドシリカ[PhosphonicS SEM26](化合物Aに対して0.5wt%)を室温(22±3℃)で仕込んだ。混合物を室温で4時間以上撹拌した。樹脂を濾過除去し、アセトニトリル(2×2容量)で洗浄した。洗浄液を濾液(生成物層)と合わせた。
アセトニトリル溶液(生成物層)をプレパックシリカカートリッジ(流速≒50mL/分)に通して注入し、濾液をきれいな容器に収集した。シリカカラムをアセトニトリル(5×4容量)中の30%酢酸プロピルで洗浄した。洗浄液を先の濾液と合わせた。アセトニトリル/酢酸プロピル溶液をきれいな蒸留容器中に移した。容量を真空(200トール、45℃)下で10容量まで減少させた。酢酸プロピル(10容量)を蒸留容器に仕込んだ。反応容量を真空(140トール、50℃)下で10容量まで減少させた。真空を解除し、酢酸プロピル(10容量)を蒸留容器に仕込んだ。反応容量を真空(100トール、50℃)下で10容量まで減少させた。
PrOAc溶液/混合物を、窒素下で撹拌しながら、加熱還流させ(目標102℃)、30分間以上保持した。加熱するのを止め、混合物を4時間かけて室温(22±3℃)に冷却した。ヘプタン(10容量、ACS等級)を室温(22±3℃)で30分かけて懸濁液に仕込んだ。混合物を室温(22±3℃)で1時間以上ねかせた。固体を濾過除去し、ヘプタン(2×5容量)で洗浄した。固体を真空下で2時間以上脱液した。固体を乾燥トレイに移し、真空オーブンに入れ、一定重量が達成されるまで、窒素を流しながら、真空下、40℃で乾燥させた。
第二の工程は、EDCI及びHOBtを利用した30℃での化合物Cとカルボン酸のアミドカップリング反応である。化合物Cを、DMF中、カルボン酸、HOBt、EDCI、及びDIPEAで処理し、HPLCにより終了したと判断されるまで、窒素下、30℃で撹拌した。反応混合物を仕上げ濾過し、0.1M炭酸カリウム水溶液中にゆっくりと注入した。ねかせた後、得られた懸濁液を濾過した。その後、粗化合物1を再結晶化により精製した。固体を熱いIPA/水(1:1)の混合物に溶解させ、水で処理した。冷却すると、化合物1が溶液から析出した。結晶を濾過により単離し、水で洗浄し、乾燥させた。典型的な化学的純度は>98%面積である。典型的な収率は60〜70%である。
具体的には、反応容器に、室温(22±3℃)の化合物C(1wt、1当量)、2-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジンカルボン酸(1.05当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.1当量)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、無水(1.2当量)、N,N-ジメチルホルムアミド、ACS等級(10容量)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン、ReagentPlus(3当量)を、窒素下、室温で仕込んだ。反応混合物を、窒素下、30±5℃で加熱した。反応液を30±5℃(目標30℃)で撹拌した。反応を16時間後にHPLCによりモニタリングした。この反応は、塩基のN-ジイソプロピルエチルアミンなしで実施することもできた。
反応混合物を次のようにクエンチした。0.1Mの炭酸カリウム水溶液を調製した。クエンチ容器に、炭酸カリウム(3.2当量)、次いで、水(80容量)を仕込んだ。混合物を、完全に溶解するまで、室温で撹拌した。DMF反応溶液(生成物層)を仕上げ濾過した。反応容器を少量のDMF(0.5容量)ですすいだ。DMFすすぎ液を仕上げ用フィルターに通した。DMF溶液(生成物層)を室温(22±3℃)で2時間以上かけて炭酸カリウム溶液中にゆっくりと移した。懸濁液を室温(22±3℃)で1時間以上ねかせた。固体を家庭用真空装置(卓上フィルター)の下で濾過除去し、脱液し、水(2×10容量)で洗浄した。これを、一定重量が達成されるまで、真空下、室温で脱液した。
容器に、粗化合物1、イソプロピルアルコール(10容量)、次いで、水(10容量)を仕込んだ。混合物を撹拌した。懸濁液を80±3℃(目標80℃)に加熱した。混合物を15分以上ねかせた。内部温度を80±5℃(目標80℃)で維持するような速度で、水(10容量)を容器に仕込んだ。内部温度を80℃に調整し、20分間以上保持した後、次の工程に進んだ。懸濁液を4時間かけて室温(22±3℃)に冷却した。該懸濁液を室温で4時間以上ねかせた。固体を真空下で濾過した。固体を水(2×5容量)中の20%イソプロピルアルコールで洗浄した。固体を真空下で1時間以上脱液した。固体を乾燥トレイに移し、真空オーブンに入れ、一定重量が達成されるまで、窒素を流しながら、真空下、40℃で乾燥させた。固体の特徴解析により、それが形態1であることが示された。
(C.方法3)
第一の工程は、化合物Cを形成させるためのアセトニトリル中での化合物Aと4-エチニル-1-メチル-1H-ピラゾールとのパラジウム触媒クロスカップリングである。上記の方法2と同じ手順を用いて、化合物Cを生成させることができる。化合物Cを化合物Dとカップリングさせて、化合物1を形成させた。
化合物Dは、カルボン酸をそのNHS活性化エステルに変換することにより調製した。
反応容器に窒素を15分間以上フラッシュした。DMF(2容量)を該容器に仕込んだ。ジャケット温度を23℃に設定した。N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu又はNHS)(1.3当量)を、窒素下、23℃で反応容器に仕込み、次いで、2-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジンカルボン酸(1wt、1当量)及びEDCI(1.3当量)及びDMF(13容量)を仕込んだ。
反応混合物を、窒素下、23℃で撹拌した。反応をHPLCによりモニタリングした。終了したと判断されたら、反応内容物を0±5℃に冷却した。内部温度を0±5℃で維持するような速度で、水(20容量)を、窒素下で蠕動ポンプにより、4時間以上かけて反応混合物に添加した。懸濁液を0±5℃で1時間ねかせた。固体を真空下で濾過除去し、水(2×5容量)で洗浄した。固体を1時間以上脱液し、その後、真空オーブンに移し、一定重量が達成されるまで、少し窒素パージしながら、真空下、40℃で乾燥させた。別の例では、反応をDIPEAなしで実行した。
化合物Cと化合物Dとのカップリングは、次のように実施した。反応容器を排気し、窒素で15分間以上パージした。化合物C(1wt、1当量)、化合物D(1.05当量)、及びアセトニトリル(15容量)を、窒素下、22±3℃で反応容器に仕込んだ。該反応容器を排気し、窒素を充填し戻した。混合物を撹拌した。22±3℃のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(1.1当量)を窒素下で反応容器に仕込んだ。反応混合物を60±2℃に加熱し、窒素下で撹拌した。反応をHPLCによりモニタリングした。
HPLCにより反応が終了したと判断されたら、内部温度を52〜60℃で維持するような速度で、1M水酸化カリウム溶液(0.5当量、1.21容量)を反応容器に仕込んだ。懸濁液を60±2℃で2時間ねかせ、その後、1時間かけて22±3℃に冷却した。固体を真空下で濾過除去し、その後、アセトニトリル(2×2.5容量)、次いで、4:1/水:アセトニトリル(2×2.5容量)で洗浄した。これを、真空下、室温で12時間以上脱液した。
水(8容量)、粗化合物1(1wt)、及びアセトン(32容量)を再結晶化容器に仕込んだ。混合物を撹拌し、55±5℃に加熱した。溶液を55±5℃(目標50℃)で10分間ねかせ、その後、溶液を23±3℃に冷却した。反応溶液を支持ドラムに移した。再結晶化容器をアセトンですすいだ(2回)。還流冷却器を再結晶化容器上で短経路蒸留装置に交換し、窒素を最低15分間フラッシュした。反応溶液を仕上げ用のインラインフィルター(媒体PTFE、孔径1μm)に通して、再結晶化容器中に移し戻した。アセトン(2容量)を支持ドラムに仕込み、すすぎ液をインラインフィルターに通して再結晶化容器中に移した。混合物を撹拌し、ジャケット温度を45℃に設定した。
内部温度を30℃以上(目標35℃)で維持しながら、溶媒容量を減圧下で20容量まで減少させた。真空を解除し、3:2/イソプロピルアルコール:水(20容量)の混合物を再結晶化容器に仕込んだ。内部温度を30℃以上(目標35℃)で維持しながら、溶媒容量を減圧下で20容量まで減少させた。真空を解除し、3:2/イソプロピルアルコール:水(20容量)の混合物を再結晶化容器に仕込んだ。内部温度を30℃以上(目標35℃)で維持しながら、溶媒容量を減圧下で20容量まで減少させた。真空を解除し、3:2/イソプロピルアルコール:水(10容量)の混合物を再結晶化容器に仕込んだ。短経路蒸留ヘッドを還流冷却器と交換した。
反応槽を窒素で少なくとも15分間パージした。撹拌した懸濁液を60±2℃(目標60℃)に加熱した。該懸濁液を60±2℃(目標60℃)で14±2時間ねかせ、その後、1時間以上かけて23±3℃に冷却した。少量の試料を取って、形態1への変換が終了していることをを確認した。懸濁液を3時間以上ねかせた。固体を真空下で濾過除去し、固体を水(2×5容量)中の20%イソプロピルアルコールで洗浄した。固体を真空下で1時間以上脱液し、乾燥トレイに移し、真空オーブンに入れ、一定重量が達成されるまで、窒素を流しながら、真空下、40℃で乾燥させた。固体の特徴解析により、それが形態1であることが示された。
方法3の場合の典型的な収率は約75〜85%である。
(実施例2.多形スクリーン)
(A.溶解性スクリーン)
非晶質化合物1(30mg)を計量し、100μl(〜3容量)の溶媒を室温で添加した。多くの試料は、最初は溶解したが、数分間撹拌した後、再び完全に析出した。これらの試料は結晶化したと考えられたので、追加分の溶媒を添加して、結晶性材料の溶解性を決定した。非晶質化合物1の溶解性評価については、表1を参照されたい。
試料を50℃で1時間撹拌し、その後、0.1℃/分の線形冷却速度を用いて、5℃に冷却した。試料を5℃で〜9時間撹拌し、その後、観察を行い、固体を含む少量分の試料を濾過し、風乾させ、XRPDにより分析した。
結晶性試料を濾過し、真空オーブン中、室温で3日間乾燥させた後、特徴解析した。非晶質試料を成熟させ(室温で4時間/50℃で4時間のサイクルで振盪させ)、32日後、XRPDにより分析した。溶液をフリーザーで保存し、その後、析出物が-20℃で形成されない場合、周囲環境で蒸発させておいた。蒸発により生成した固体をXRPDにより分析した。
(B.成熟スクリーン)
このスクリーンは、DMF(溶解性が高すぎて、スラリーを作製することができないため)及び極めて難溶性の溶媒(溶解性スクリーンから得たこれらの溶媒中の懸濁液が既に成熟しているため)を除く、溶解性スクリーンから得た全ての溶媒を用いて実施された。アニソールを、このスクリーン用の追加の溶媒として添加した。
非晶質化合物1(30mg)をガラスバイアル中に調製し、500μl(〜17容量)の溶媒を25℃で添加した。試料を成熟チャンバー中で3日間振盪させた(室温で4時間/50℃で4時間のサイクル)。固体を含む試料の少量のアリコートを濾過し、XRPDにより分析した。結晶を含む試料を光学顕微鏡観察により分析して、XRPD分析前のSXRD測定の好適性を評価した。溶液を周囲条件で蒸発させておき、その後、得られた固体をXRPDにより分析した。選択された固体を濾過し、真空オーブン中で2日間乾燥させた後、特徴解析した。
(C.低温スクリーン)
このスクリーンは、溶解性スクリーンで使用されたのと同じ溶媒セットと1つの追加の溶媒(アニソール)とを用いて実施された。
非晶質化合物1(30mg)をガラスバイアル中に調製し、5℃に冷却した。溶媒(溶解性スクリーンの結果に基づいて、500μl(〜17容量)又は250μl(〜8容量)のいずれか)を添加し、試料を5℃で一晩撹拌した。固体を含む試料の少量のアリコートを濾過し、XRPDにより分析した。溶液を周囲条件で蒸発させておき、その後、得られた固体をXRPDにより分析した。選択された固体を濾過し、真空オーブン中で2日間乾燥させた後、特徴解析した。難結晶性固体を含む試料を5℃で合計40日間撹拌させておき、その後、XRPDにより再分析した。
(D.成熟スクリーン−混合溶媒)
非晶質化合物1(30mg)をガラスバイアル中に調製し、500μl(〜17容量)の混合溶媒(50/50 v/vを用いて予め混合したもの)を室温で添加した。試料を2日間成熟させた(25℃で4時間/50℃で4時間のサイクルで振盪させた)。固体を含む試料の少量のアリコートを濾過し、XRPDにより分析した。溶液を周囲条件で蒸発させておき、その後、得られた固体をXRPDにより分析した。
(E.結果)
表1は、非晶質化合物1の溶解性評価をまとめたものである。非晶質材料の最初の溶解性評価において、多くの試料が最初は溶解するが、数分間撹拌した後、再び完全に析出することが観察された。これらは、遊離塩基の結晶性形態として析出したと考えられた。さらなる溶媒を添加して、該結晶性形態の溶解性を評価し、これが、非晶質材料よりもはるかに溶解性が低いことが分かった。
多形スクリーンの結果は、表2にまとめられている。混合溶媒中での成熟スクリーンの結果は、表3にまとめられている。多形スクリーンは、遊離塩基の合計6つの異なる形態を示した。形態1、2、3、及び4は、様々な溶媒から結晶化した。形態5及び6は、それぞれ、アニソール中で成熟させることにより、及びニトロメタン中で低温でスラリー化させることにより作製された。良好な結晶度を示す全ての試料を濾過し、乾燥させた後、高分解能XRPDにより分析した。
表4は、様々な試料の湿試料及び乾燥試料の結果を提供している。表5は、化合物1の様々な形態の特徴解析結果をさらに提供している。
形態2、3、及び4は、1組の擬似同形溶媒和物であることが分かった。XRPD回折図は、形態2、3、及び4にグループ分けされるが、各々のグループにおいて、回折図の違いはわずかであり、異なる大きさの溶媒分子の包含による結晶格子のわずかな差異を示している。形態2の結晶構造の代表的なORTEP(オークリッジ熱楕円プロット)プロットが図21に示されており、この図は、化合物1の各々の分子に1分子の溶媒が存在することを示している。同じ関係性は、例えば、それらが全て、乾燥させると部分的に脱溶媒和する単一溶媒和物である、形態2、3、及び4の全ての試料に当てはまる可能性がある。これは、1H NMRデータ(図示せず)に見られる残留溶媒レベルによって裏付けられ、このレベルは、ほとんどは、溶媒1モル弱程度である。
乾燥後に分析された試料の大部分は、湿試料と同じ形態であったが、一部は、低下した結晶度を有していた。溶媒の大部分を乾燥により除去した場合、試料は、形態7(部分結晶性、部分溶媒和形態)への変換を示した。
これらの試料全ての熱挙動は、TGA及びDSCにおける溶媒の損失に関する事象と、それに続く、融解、その後の再結晶化事象を示している。再結晶化した試料は形態1と一致し、ひとたび溶媒が加熱によって除去されると、これらの溶媒和物が全て形態1に変換することを示している。
形態5は、真空オーブン中で乾燥させると形態1に変換する準安定なアニソール溶媒和物であった。この乾燥試料の特徴解析データは、形態1と一致した。
形態6は、多形スクリーンで(ニトロメタンから)作製され、また、本明細書に提供される共結晶実験での超音波処理によって(50/50 v/vのACN/水から)作製された。試料は、アセトニトリルの存在も立体配座異性体の存在も示さなかった。この形態は、化合物1の水和形態である。TGA実験で見られた重量損失を用いると、この形態は、遊離塩基の三水和物形態である。
形態1〜7の代表的なXRPD、TGA、DSC、及びGVS特徴解析は、図1〜19に示されている。
表1.非晶質化合物1の溶解性評価
表2.多形スクリーンの結果のまとめ
表3.混合溶媒を用いた多形スクリーンの結果のまとめ
表4.化合物1の湿スクリーニング試料及び乾燥スクリーニング試料
表5.化合物1の結晶性形態の特徴解析
(実施例3.化合物1の形態1及び形態6の調製)
(A.化合物1の形態1の調製)
形態1を調製するための例示的な方法は、実施例1の方法2及び方法3に記載されている。
形態1を調製するための別の方法を以下に記載する。形態1をエタノールを用いてスケールアップした。エタノールを好適なICHクラス3溶媒として選んだ。非晶質化合物1(1g)を大きいガラスバイアル中に調製し、50℃に温めた。エタノール(17ml、17容量)を50℃で添加し、試料を500rpmで撹拌した。最初、試料はゴム状物を形成したが、数分間撹拌した後、該ゴム状物は、鮮黄色の懸濁液に変換した。該試料を50℃で1時間撹拌し、その後、固体のアリコートを濾過し、風乾させ、XRPDにより分析した。試料を2日間成熟させ(25℃で4時間/50℃で4時間のサイクルで振盪させ)、その後、別のアリコートを濾過し、XRPDにより分析した。
残りの試料を室温に冷却させておき、0.45μmのPTFEフィルターに通して濾過した。試料を真空下で1時間風乾させ、真空オーブン中、30℃で一晩乾燥させた。得られた固体930mg(93wt%)を、XRPD、1H NMRにより分析し、純度についてはHPLCにより分析した。この方法により、結晶性形態1材料を93wt%収率で生成させることに成功した。
形態1を調製するための別の方法を以下に記載する。IPA-水(2ml-2ml IPA-水)を非晶質化合物1(106mg)と混合した。化合物1が全て溶解するまで、試料に熱を加えた。該試料を室温で一晩放置した。固体を収集し、真空中、45℃で2時間乾燥させた。XRPDは、材料が形態1であることを示している。
(B.化合物1の形態6の調製)
形態6の小規模調製を実施した。非晶質化合物1(30mg)をガラスバイアル中に調製し、5℃に冷却した。溶媒1を添加し(溶媒及び容量は実験によって決まる、表6を参照)、観察を行った。試料を5℃で数秒間撹拌し、その後、溶媒2を添加し(溶媒及び容量は実験によって決まる、表6を参照)、さらなる観察を行った。試料を5℃で〜10分間撹拌し、その後、該試料のアリコートを濾過し、風乾させ、XRPDにより分析した。試料を5℃でさらに2時間撹拌させておき、その後、別の組のアリコートを濾過し、風乾させ、XRPDにより分析した。実験は全て、5℃で実施した。
表6.形態6を作製する方法を同定するための小規模実験のまとめ
Obs.−観察
形態6の材料を5回の実験のうちの3回で調製することに成功し;残りの実験では、非晶質材料が生成した。最高の結晶度は、ニトロメタン及び水/ACN(50/50 v/v)での実験から得られた。結果は、水/ACN実験を除く全ての試料がゴム状物を形成した(その一部は、撹拌により、固体に変換した)ことを示している。アセトニトリルの前に水を添加すると、ゴム状物の形成が妨げられるように思われるが、水中の試料は、粒子を効果的に湿らせるのに激しい振盪を必要とした。さらに、結晶度は、撹拌を延長した後、より悪いように思われた。最良のスケールアップ法は、単離前に短い撹拌時間を伴う水/ACN(50/50 v/v)法である。
形態6を調製するための大きいスケールアップを実施した。非晶質化合物1(1g)を大きいガラスバイアル中に調製し、5℃に冷却した。水(11.8ml、12容量)を5℃で添加し、試料を激しく振盪させて、粒子を湿らせた。試料を500rpmで数分間撹拌して、懸濁液を形成させた。アセトニトリル(7.2ml、7容量)を添加すると、最初は、黄色のゴム状物が形成された。試料を5℃で〜5分間撹拌すると、その後、ゴム状物は、粉末状の固体に変換した。該試料に数ミリグラムの形態6をシード添加した。該試料のアリコートを濾過し、風乾させ、XRPDにより分析した。該試料を0.45μmのNylonフィルターに通して濾過した。
濾過中、硬い固体の大きい塊が(ゴム状物由来の)懸濁液中に見られた。この固体をスパチュラで粉砕して、粉末状の懸濁液を生成させ、5℃でさらに10分間撹拌させておいた。アリコートを採取し、XRPDにより分析した。残りの試料を同じフィルターに通して濾過し(最初の産生物に添加し)、全試料を真空下で2.5時間風乾させ、真空オーブン中、室温で1時間乾燥させた。得られた固体796mg(80wt%)をXRPDにより分析した。この方法は、結晶性形態6の材料を80wt%収率で生成させるのに成功した。この方法を繰り返し、形態6を87wt%収率で得た。
形態1の結果と形態6の結果の比較を表7に示す。形態6試料は、遊離塩基の水和形態であることが分かった。該試料の水含有量は、分析及び時間によって様々に異なっていた。2つのわずかに異なるXRPD回折図を約24時間の間隔を置いて記録し、その間、試料を周囲条件で保存した。
TGAにおける重量損失とカール・フィッシャー法(Karl Fischer)による水含有量は、厳密には一致しない。これらの結果は、GVSデータによって説明することができる。等温線プロットは、大きな重量変化、すなわち、20〜60%RHでの大きな水の取込み/放出を示している。これは、周囲条件において、試料の水含有量が周囲湿度に非常に敏感であることを意味する。水含有量は、周囲条件(約40%RH)で約1〜1.5モルの水であるように思われるが、これは一定量ではない。GVS結果は、0〜90%RHでの約5モルの水の全体的な変化を示しているが;任意の特定の水含有量に対する安定な区域を示す、等温線プロットの平坦域は存在しない。したがって、水含有量は湿度に関して安定ではない。様々な水含有量は、XRPD回折図にもわずかな変化をもたらす。
表7.化合物1の形態1及び形態6の特徴解析
(実施例4.化合物1の形態8の調製)
形態8を調製する方法を以下に記載する。加熱すると、形態6は比較的低い温度で水分を損失し、形態を形態8に変化させる。形態8は、非溶媒和形態1とも、多形スクリーンで見られる他の形態のいずれとも一致しない。これは、化合物1の別の非溶媒和形態である可能性がある。形態8のさらなる加熱は、DSCにおける融解吸熱を示す(開始156℃、VTXにより融解と確認、データは示さない)。冷却すると、材料は非晶質のままである。形態8の代表的なXRPDを図20に示す。
(実施例5.形態1及び形態6を用いる競合的スラリー/水分活性実験)
IPA/水及びACN/水を競合的スラリー/水分活性実験のための好適な溶媒として選択した。これらの溶媒混合物は、化合物1の遊離塩基のある程度の溶解性を有するように及び水含有量を変化させることにより広範囲の水分活性を得ることができるように選択された。IPA/水は、この溶媒が遊離塩基の溶媒和形態を形成することが多いので選択され、ACN/水は、この溶媒が多形スクリーニング実験において遊離塩基の形態1のみを生成させるので選択された。
飽和溶液の調製の結果は、表8に与えられており、これは、IPA/水混合物中でスラリー化した非晶質材料が結晶化して、溶媒和した形態4を生じたことを示している。ACN/水混合物も、非晶質材料が全ての条件で形態1として結晶化することを示した。これには1つ例外があり−50℃及び0.8の水分活性でのIPA/水試料は、形態4ではなく、形態1を生じさせた。競合的スラリー実験の結果は、表9に与えられている。
表8.実験の詳細及び飽和溶液の調製からのXRPD結果
*濾過時に再溶解したもの
表9.競合的スラリー/水分活性実験からのXRPD結果
結果は、形態1が、温度又は水分活性とは無関係に、全てのIPA/水実験で形態6よりも安定であることを示している。4日間のスラリー化の後、形態6の材料が残っている証拠は、どのIPA/水実験でも見られなかった。
形態1は、50℃、0.8の水分活性(この場合、形態3が作製された)及び5℃、0.8の水分活性(この場合、形態6が作製された)を除き、全てのACN/水実験で最も安定な形態でもある。形態3の材料を生じる実験は、該材料がバイアルの壁にくっつき、液体中に固体が存在しなかったので、視覚的には、固体がある時点で完全に溶解しているかのように見えた。これにより、予期しなかった溶媒和形態がこの実験で生成した理由を説明することができる。
したがって、形態6が形態1よりも安定となる唯一の条件は、ACN/水中5℃で、水分活性が0.8(15vol%の水)、すなわち、低温及び非常に高い水分活性である。したがって、低い水分活性を有する結晶化溶媒が選ばれる場合、該溶媒が湿性であるならば、形態6は生成しない可能性がある。水分活性(したがって、水含有量)は、溶媒によって決まり、アルコールは、所与の水含有量に関して、酢酸塩、アセトニトリル、又はアセトンよりもはるかに低い水分活性を有する。
(実施例6.単結晶実験)
形態2の完全な結晶構造を収集し、解明した。化合物1の形態2の構造データのまとめは、表10に提供されている。形態2は、直方晶系の空間群P2
12
12
1で、最終R1[I>2σ(I)]=4.93%で結晶化する。
表10.化合物1の形態2の試料の詳細及び結晶データ
形態2の非対称単位は、完全な秩序のある1分子の化合物1と1分子のジクロロメタンとを含有する。図21を参照されたい。非水素原子に関する異方性原子変位楕円体が50%の確率水準で示されている。水素原子は、任意に小さい半径で示されている。
化合物1の絶対配置は、以下で示されているように、フラックパラメータ=0.005(9)を用いて決定された。Parsons, S及びFlack, H.の文献、Acta Cryst. 2004, A60, s61を参照されたい。キラル中心は、S立体配置を有する。
DCM分子は、構造体の隙間に位置し、API分子に結合していない。特定の理論に束縛されるものではないが、これにより、溶媒の一部を、結晶格子を破壊することなく、乾燥時に除去することができる理由、さらには、同じ結晶性形態を様々な溶媒から作製することができる理由を説明することができる。
表11は、データ収集及び構造精密化に関する詳細を提供している。
表11.化合物1の形態2についてのデータ収集及び構造精密化
精密化のまとめ:
規則非H原子、XYZ 自由に精密化
規則非H原子、U 異方性
H原子(炭素上)、XYZ 結合した原子上にある理想的な位置
H原子(炭素上)、U 結合した原子に対する適当な倍数のU(eq)
H原子(ヘテロ原子上)、XYZ 自由に精密化
H原子(ヘテロ原子上)、U 等方性
不規則原子、OCC 一体となるように拘束された2パートモデル
不規則原子、XYZ 自由に精密化
不規則原子、U 異方性
(実施例7.共結晶スクリーニング)
(材料)
28種の医薬として許容し得る共形成物の多様なセットを化合物1の潜在的な結合モチーフに基づいて選択した。別途明記されない限り、本実施例で使用された化合物1は非晶質である。共結晶スクリーンに使用された立体配座異性体のリストは:クエン酸、L-リンゴ酸、L-酒石酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、ソルビン酸、ケトグルタル酸、サリチル酸、安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、4-アミノ安息香酸、オロチン酸、ウレア、ニコチン酸、イソニコチン酸、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、サッカリン、L-乳酸、L-セリン、L-プロリン、グリシン、マルトール、スクシンイミド、スルファセタミド、及びp-トルエンスルホン酸一水和物である。
(溶媒滴摩砕)
化合物1と共形成物の1:1の定比混合物を計量して、7mmの摩砕ボールが1つ入った2mlのステンレス鋼の摩砕ジャーで合計50mgを生成させた。該材料を溶媒(10μlのニトロメタン)で湿らせ、Retsch Mixer Miller MM300を用いて、30Hzで30分間摩砕した。摩砕後に得られた固体を最初にXRPDにより分析した。摩砕後に得られた粘着性のある固体又は液体を1日間乾燥させておき、得られた固体を最初にXRPDにより分析した。立体配座異性体が存在しない対照実験も同じ手順に従って実施した。
(乾燥摩砕)
化合物1と共形成物の1:1の定比混合物を計量して、7mmの摩砕ボールが1つ入った2mlのステンレス鋼の摩砕ジャーで合計50mgを生成させた。該材料をRetsch Mixer Miller MM300を用いて、30Hzで30分間摩砕した。摩砕後に得られた固体を最初にXRPDにより分析した。立体配座異性体が存在しない対照実験も同じ手順に従って実施した。
(超音波処理)
化合物1(25mg)と共形成物の1:1の定比混合物を2mlのHPLCバイアルに入れ、MeCN:水1:1(1ml)に懸濁させた。その後、超音波を、カップホーン中、50%出力で、パルスを30秒間オン及び1分間オフにして、10分間適用した。超音波処理後に得られた固体を濾過し、吸引下で10分間乾燥させ、残渣を最初にXRPDにより分析した。超音波処理後に得られた溶液を5℃及び-20℃で1日間置き、得られた固体を濾過し、XRPDにより分析した。冷却後に固体が得られなかった場合は、試料を室温で蒸発させておき、得られた固体をXRPDにより分析した。
共形成物を使用しない最初の対照実験は、化合物1が水のみでは湿らせることができないことを示した。MeCNを添加すると、懸濁液が生成し、MeCN:水の1:1混合物が懸濁液を生成させることを示している。
実験の結果は、下の表12に提供されている。
表12 共結晶スクリーンの結果
-:実施されず
表13 共結晶スクリーン試料の予備的特徴解析
-=実施されず
溶媒滴摩砕実験及び乾燥摩砕実験は、大抵、非晶質パターンの形態1又は形態1及び形態3と共形成物との混合物を生じさせた。わずかな実験のみが、XRPD分析に適さない粘着性のある固体又は液体を生成させた。溶媒滴摩砕実験のうちの1つ(L-酒石酸)は、化合物1又は共形成物の既知の結晶性形態のいずれにも対応しない新しい結晶性パターン(形態P1C3)を生じさせた。形態P1C3のXRPD、TGA、及びDSC特徴解析は、図22〜23に示されている。形態P1C3のGVS分析は、図28に示されている。
実施された超音波処理実験は、大抵、形態1、形態6、又は形態1及び形態6と共形成物との混合物を生じさせた。実験のうちの1つ(サリチル酸)は、化合物1又は共形成物の既知の結晶性形態のいずれにも対応しない新しい結晶性パターン(形態P1C9)を生じさせた。形態P1C9のXRPD、TGA、及びDSC特徴解析は、図24〜25に示されている。
新しい結晶性形態P1C3及びP1C9を示す両方の試料をさらに特徴解析した。多形スクリーンで得られた形態6の初期の量は非常に限られていたので、形態6を示す試料のうちの1つも特徴解析した。結果は、表13にまとめられている。
潜在的な共結晶形態P1C3の高分解能XRPD分析は、低分解能XRPDと一致しており、出発材料が存在しないことを示した。1H-NMRは、該材料が化合物1の構造と一致し、分解の証拠がないことを示した。1H-NMRは、1.1当量の共形成物の存在及び水の存在も示した。形態P1C3の熱分析は、TGAにおける0.45%の重量損失と相関する〜室温から〜100℃での小さく幅広い吸熱事象及びTGAにおける1.9%の重量損失と相関する第2の大きい吸熱事象(開始129.2℃)を有するDSCを示している。形態P1C3の熱データは、1当量の水を有する共結晶溶媒和物と一致している。予備的安定性試験を形態P1C3について40℃/75%RH及び25℃/97%RHで実施し、1週間後、XRPDパターンの変化は観察されなかった。
潜在的な共結晶形態P1C9の高分解能XRPD分析は、低分解能XRPDと一致しており、出発材料が存在しないことを示した。1H-NMRは、該材料が化合物1の構造と一致し、分解の証拠がないことを示した。1H-NMRは、0.5当量の共形成物の存在及び水の存在も示した。DSCによる形態P1C9の熱分析(TGA分析に利用可能な試料はなかった)は、出発材料との明確な違いを示し、〜30から100℃での幅広い吸熱事象を示し、これにより、これらが溶媒和形態であり得ることが示された。
遊離塩基形態6の高分解能XRPD分析は、低分解能XRPDと一致しており、共形成物も、遊離塩基の任意の他の形態も存在しないことを示した。1H-NMRは、該材料が化合物1の構造と一致し、分解の証拠がないこと及び共形成物が存在しないことを示した。1H-NMRは、大きい水のピークも示した。形態6のDSC分析は、〜30から100℃での幅広い吸熱事象を示し、これにより、これが溶媒和形態であり得ることが示された。形態6のTGAも溶媒和物と一致し、3当量の水と一致する〜30から100℃での重量損失を示している。
潜在的な共結晶を潜在的な発達について調べるために、L-酒石酸から得られた形態(形態P1C3)及びサリチル酸から得られた形態(形態P1C9)をスケールアップ及びさらなる試験のために選択した。
(実施例8.共結晶のスケールアップ調製)
別途明記されない限り、本実施例で使用される化合物1は非晶質である。
(低速冷却)
化合物1(40又は400mg)と共形成物(L-酒石酸又はサリチル酸)の1:1定比混合物を4mlバイアルに入れ、適切な溶媒量を該バイアルに添加した。試料をマルチ反応槽に入れ、(DCM実験については)40℃で、他の溶媒については50℃で放置した。10〜30分間加熱した後、試料を検査し、溶解が観察されない場合は、完全溶解に達するまで、さらに多くの溶媒を添加した。溶液中にいくらかの共形成物結晶を示した1つの実験を除き、全ての事例で溶解が観察された。この実験については、共形成物の完全溶解に達するまで、エタノールを添加した。その後、試料を0.1℃/分及び0.25℃/分で5℃に冷却した。得られた懸濁液又は溶液を5℃で約24時間放置した。得られた固体を濾過し、XRPDにより分析した。得られた溶液を-20℃で2時間置き、得られた固体を濾過し、XRPDにより分析した。冷却後に固体が得られない場合は、試料を室温で蒸発させておき、得られた固体をXRPDにより分析した。スケールアップ実験の詳細及び結果は、下の表にまとめられている。
(超音波処理)
25、50、250、又は500mgの化合物1と共形成物(サリチル酸)の1:1定比混合物をガラスバイアル中に入れ、MeCN-水又はエタノール-水混合物に懸濁させた。その後、超音波を、カップホーン中、50%又は100%出力で、パルスを30秒間オン及び1分間オフにして、10分間適用した。超音波処理後に得られた固体を室温で30〜120分間静置しておき、その後、濾過し、吸引下で10分間乾燥させ、残渣をXRPDにより分析した。本実験の詳細及び結果は、下の表にまとめられている。
(共結晶の特徴解析)
スケールアップした特定の共結晶試料を以下により特徴解析した:高分解能XRPD、VT-XRPD、DSC、TGA、1H-NMR、40℃/75%RH及び25℃/97%RHでの7日後の安定性、顕微鏡観察(PLM及びSEM)、GVS、カール・フィッシャー法、HPLC純度、並びに水中及び0.1M HCl中での30分後の動力学的溶解度。結果のまとめについては、下の表を参照されたい。
(結果)
スケールアップの結果及び選択された共結晶に対するさらなる特徴解析は、以下の表にまとめられている。
表14.共結晶のスケールアップの結果(1/3)
-=実施されず
表15.共結晶のスケールアップの結果(2/3)
-=実施されず
表16.共結晶のスケールアップの結果(3/3)
-=実施されず
表17 選択された共結晶試料の特徴解析
-=実施されず、
*=0.01及び0.01mg/mlと決定された遊離塩基化合物1の溶解度(pH 7.1及び6.8)、
**=0.01及び0.01mg/mlと決定された遊離塩基化合物1の溶解度(pH 1.5及び1.3)。
(L-酒石酸共結晶形態P1C3のスケールアップ)
L-酒石酸を用いた予備的低速冷却実験により、使用された溶媒のうちの4つは、遊離塩基又は共形成物の結晶化をもたらすが、MeNO2-5%水を用いて実施された実験は、1日間の蒸発の後に共結晶形態P1C3を生じる溶液を生成させることが示された。
小規模な検討の後、L-酒石酸共結晶形態P1C9を生成させるために、さらなる低速冷却及び蒸発実験を500mgスケールでMeNO2-5%水を用いて実施した。MeNO2を用いて実施された全ての予備的な小規模実験が、いくらかのMeNO2の混入又は分解の可能性と関連する褐色の溶液を示した。
L-酒石酸から得られた試料の特徴解析は、XRPDが、共結晶スクリーンで既に得られている形態P1C3と一致し、共形成物又は遊離塩基形態が存在する証拠がないことを示した。熱分析は、TGAにおける0.45%の重量損失と相関する、〜室温から〜100℃での第1の小さく幅広い吸熱事象を有するDSCを示した。124.6℃で開始するDSCにおける第2の大きい吸熱事象は、TGAにおける2.8%の重量損失と相関する。これら2つの熱事象は、100℃より前のいくらかの初期の残留溶媒損失と、それに続く、約1当量の水に相当する溶媒損失(1:1:1の化合物1:L-酒石酸:水共結晶の場合、2.5%の水と計算される)を示している。カール・フィッシャー分析は3.5%の水含有量を示し、これも共結晶水和物と一致する。VT-XRPDは、140℃まで変化がないことを示し、その場合、試料は非晶質パターンを示し、これは、該試料を30℃に冷却した後、変化しない。1H-NMRは、該材料が化合物1の構造と一致することを示し、それはまた、1.35当量として一体となる共形成物に対応するピークを示す(共形成物の診断的ピークが1つしかないことに留意されたい)。GVS分析は、該材料が適度に吸湿性であり、0〜90%RHで3.67%重量増加することを示している。ヒステリシスは観察されず、GVS後のXRPDは変化を示さない。PLM及びSEMによる分析は、同じラス形態を有し、かつ5〜750μmの範囲の大きさの1種類の晶癖しか示さない。様々な温度及びRH条件下の安定性は、25℃/96%RH及び40℃/75%RHで1週間後、純度の顕著な変化も、XRPDの顕著な変化も示さなかった。30分後に水中及び0.1M HCl中で測定された動力学的溶解度は、0.1M HCl実験については、遊離塩基溶解度と非常によく似た値を示したが、水実験については、わずかにより高い溶解度値が得られた。溶解度残渣のXRPDは、出発材料に対して変化しないことを示した。
(サリチル酸共結晶形態P1C9及びP2C9のスケールアップ)
サリチル酸を用いた予備的低速冷却実験は、遊離塩基の多形形態の結晶化又はゴム状物の形成のみをもたらした。
予備的超音波処理実験を、最初にサリチル酸共結晶形態P1C9を生成させる同じ手順に従って実施したが、潜在的に収率を増大させるために、該材料をより長い時間静置させておいた後で濾過した。しかしながら、これらの実験は、該試料を120分を超える間静置させておいた場合、既知の遊離塩基形態にも、共形成物にも対応しないP2C9と記載される新しいパターンが得られることを示した。また、この実験は、該試料を30分間だけ静置させた場合でも、共結晶形態P1C9が一貫して得られるわけではなく、50mgスケールの実験については、共結晶形態P1C9が生成し、25mgスケールについては、遊離塩基形態1が生成することを示した。
サリチル酸から得られた試料の特徴解析は、XRPDが形態P1C9と一致することを示した。TGA分析は、形態P1C9のDSCで観察される第1の吸熱事象と相関する100℃の前の10.15%の重量損失を示した。これは、形態P1C9について得られた先のデータと合わせて、〜4当量の水を含む共結晶水和物と一致する。
サリチル酸から得られた試料の特徴解析は、新しい潜在的共結晶形態P2C9を示した。形態P2C9のXRPD、TGA、及びDSC特徴解析は、図26〜27に示されている。熱分析は、TGAにおける5.64%の重量損失と相関する室温から〜110℃での大きく幅広い吸熱事象を有するDSCを示した。1H-NMRは、該材料が化合物1の構造と一致することを示し、それはまた、1.2当量の共形成物として一体となるピーク、及び0.48当量のMeCNとして一体となるMeCNのピークを示す。熱データは、1H-NMRデータと合わせて、P2C9がMeCNを含むサリチル酸共結晶溶媒和物(1:1:1の化合物1:サリチル酸:MeCN共結晶の場合、5.6%MeCNと計算される)であることを示している。
共結晶スクリーンを、化合物1に対して、28種の共形成物を用いて実施した。超音波処理及び溶媒滴摩砕法を共結晶スクリーンに使用した。
2つの異なる共結晶が、2つの異なる共形成物: L-酒石酸から得られた共結晶形態P1C3及びサリチル酸から得られた共結晶形態P1C9からのスクリーンで同定された。これらの潜在的共結晶は、化合物1の既知の結晶性形態のいずれにも、共形成物にも対応しない回折図を示した。共結晶形態P1C3及びP1C9に対するさらなる1H-NMR特徴解析により、それぞれ、1.1当量及び0.5当量の酸を含む共形成物の存在が確認された。熱DSC及びTGA分析によっても、出発材料に対する明確な違いを示す共結晶の形成が両方の場合で示された。
L-酒石酸及びサリチル酸から得られた共結晶形態P1C3とP1C9の両方をスケールアップ及びさらなる検討のために選択した。
L-酒石酸共結晶形態P1C3を、低速冷却及び蒸発により、約500mgにスケールアップし、完全に特徴解析することに成功し、それにより、形態P1C3が1:1:1の化合物1:L-酒石酸:水の共結晶水和物であることが確認された。共結晶形態P1C3に対する動力学的溶解度研究は、遊離塩基に対する溶解度のわずかな改善を示した。低速冷却及び蒸発実験からサリチル酸共結晶形態P1C9を生成させる試行は小規模でも成功しなかった。超音波処理から形態P1C9を生成させるより小規模の予備的な試行は、ある場合には、形態P1C9の形成をもたらしたが、これらの実験のいくつかは、新しい潜在的共結晶形態P2C9も生成させた。この新しい形態P2C9のさらなる1H-NMR及び熱特徴解析は、該材料がアセトニトリル共結晶溶媒和物である可能性があることを示したので、それ以上のスケールアップは試行しなかった。超音波処理実験から500mgスケールで形態P1C9を生成させる試行は、遊離塩基形態1を生成させただけであった。利用可能な形態P1C9に対するさらなる特徴解析は、該材料が1:0.5:4の化合物1:サリチル酸:水の共結晶水和物である可能性があることを示した。
(実施例9.固体形態の特徴解析)
(X線粉末回折(XRPD))
(Bruker AXS C2 GADDS:)
X線粉末回折パターンを、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、自動XYZステージ、自動試料ポジショニングのためのレーザービデオ顕微鏡、及びHiStar 2次元面積検出器を用いて、Bruker AXS C2 GADDS回折装置で収集した。X線光学は、0.3mmのピンホールコリメータと連結された単一のゲーベル多層ミラーからなる。週1回の性能点検を、認定標準NIST 1976コランダム(平板)を用いて実施する。ビーム発散、すなわち、試料上のX線ビームの有効径は、約4mmであった。θ-θ連続スキャンモードは、3.2°〜29.7°の有効2θ範囲を与える20cmの試料-検出器距離で利用した。通常、試料をX線ビームに120秒間曝露した。データ収集に使用されたソフトウェアはXP/2000 4.1.43用のGADDSであり、データは、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を用いて分析し、提示された。周囲条件下で操作される試料を、摩砕することなく受け取ったままの粉末を用いて、平板標本として調製した。該試料のうちの約1〜2mgをスライドガラスに軽く押し付けて、平坦な表面を得た。非周囲条件下で操作される試料を、熱伝導性化合物とともにシリコンウエハー上で標本化した。その後、該試料を10℃/分で適当な温度に加熱し、その後、等温で1分間保持した後、データ収集を開始した。
(Bruker AXS D8 Advance:)
X線分末回折パターンを、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、θ〜2θゴニオメーター、並びにV4の発散及び受光スリット、Geモノクロメーター、並びにLynxeye検出器を用いて、Bruker D8回折装置で収集した。機器は、認定コランダム標準(NIST 1976)を用いて性能点検した。データ収集に使用されたソフトウェアはDiffrac Plus XRD Commander v2.6.1であり、データは、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を用いて分析し、提示した。
(単結晶X線回折(SCXRD))
データを、Oxford Cryosystems Cobra冷却装置を備えたOxford Diffraction Supernova Dual Source, Cu at Zero, Atlas CCD回折装置で収集した。データを、CuKα放射線を用いて収集した。構造を、通常、SHELXS又はSHELXDプログラムのいずれかを用いて解明し、Bruker AXS SHELXTLスイート(V6.10)の一部としてのSHELXLプログラムで精密化した。別途明記されない限り、炭素に結合した水素原子を幾何学的に配置し、ライディング等方性変位パラメータで精密化することを可能にした。ヘテロ原子に結合した水素原子を差フーリエ合成で配置し、等方性変位パラメータで自由に精密化することを可能にした。
(核磁気共鳴(NMR))
NMRスペクトルを、オートサンプラーを備え、DRX400コンソールで制御されるBruker 400MHz機器で収集した。自動化実験を、Topspin v1.3で実行するICON-NMR v4.0.7を用いて、標準的なBruker搭載実験を用いて達成した。非ルーチンの分光法については、データを、Topspinのみを使用して獲得した。別途明記されない限り、試料をDMSO-d6中で調製した。オフライン分析を、ACD Spectrus Processor 2012を用いて実施した。
(示差走査熱量測定(DSC))
(TA Instruments Q2000:)
DSCデータを、50ポジションオートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000で収集した。熱容量の較正はサファイアを用いて実施し、エネルギー及び温度の較正は、認定インジウムを用いて実施した。通常、ピンホールの開いたアルミニウムパン中の0.5〜3mgの各々の試料を10℃/分で25℃から375℃に加熱した。50ml/分での乾燥窒素のパージを試料にわたって維持した。2℃/分の基調加熱速度と60秒毎(期間)の±0.64℃(大きさ)の温度変調パラメータとを用いて、変調温度DSCを実施した。機器制御ソフトウェアは、Advantage for Q Series v2.8.0.394及びThermal Advantage v5.5.3であり、データは、Universal Analysis v4.5Aを用いて分析した。
(Mettler DSC 823e:)
DSCデータを、34ポジションオートサンプラーを備えたMettler DSC 823Eで収集した。認定インジウムを用いて、機器をエネルギー及び温度について較正した。通常、ピンホールの開いたアルミニウムパン中の0.5〜3mgの各々の試料を10℃/分で25℃から375℃に加熱した。50ml/分での窒素パージを試料にわたって維持した。機器制御及びデータ分析ソフトウェアは、STARe v12.1であった。
(熱重量分析(TGA))
(TA Instruments Q500:)
TGAデータを、16ポジションオートサンプラーを備えたTA Instruments Q500 TGAで収集した。認定アルメル及びニッケルを用いて、機器を温度較正した。通常、5〜10mgの各々の試料を予め風袋計量したアルミニウムDSCパンに投入し、10℃/分で周囲温度から450℃に加熱した。60ml/分での窒素パージを試料にわたって維持した。機器制御ソフトウェアは、Advantage for Q Series v2.5.0.256及びThermal Advantage v5.5.3であり、データは、Universal Analysis v4.5Aを用いて分析した。
(Mettler TGA/SDTA 851e:)
TGAデータを、34ポジションオートサンプラーを備えたMettler TGA/SDTA 851eで収集した。認定インジウムを用いて、機器を温度較正した。通常、5〜30mgの各々の試料を予め風袋計量したアルミニウムるつぼに充填し、10℃/分で周囲温度から450℃に加熱した。50ml/分での窒素パージを試料にわたって維持した。機器制御及びデータ分析ソフトウェアは、STARe v12.1であった。
(カール・フィッシャー滴定(KF)による水分決定)
各々の試料の水含有量を、Hydranal Coulomat AGオーブン試薬及び窒素パージを用いて、851 Titrano Coulometerを備えた150℃のMetrohm 874 Oven Sample Processorで測定した。計量した固体試料を密閉試料バイアルに導入した。約10mgの試料を滴定毎に使用し、2回反復の測定を行った。Tiamo v2.2を用いるデータ収集及びデータ分析。
(重量蒸気収着(GVS))
収着等温線を、DVS Intrinsic Controlソフトウェアv1.0.1.2(又はv1.0.1.3)によって制御されるSMS DVS Intrinsic水分収着分析計を用いて取得した。試料温度を機器制御によって25℃に維持した。湿度は、総流量200ml/分で乾燥窒素と湿潤窒素の流れを混合することにより制御した。相対湿度は、試料の近くに位置する較正済Rotronicプローブ(1.0〜100%RHのダイナミックレンジ)によって測定した。%RHの関数としての試料の重量変化(質量緩和)は、微量天秤(精度±0.005mg)で常にモニタリングした。通常、5〜20mgの試料を、周囲条件下、風袋計量したメッシュステンレス鋼バスケットに入れた。試料を40%RH及び25℃(典型的な室内条件)で充填及び脱充填した。水分収着等温線を以下で概説した通りに実施した(2回のスキャンで1つの完全なサイクルが与えられる)。標準的な等温線を、25℃で、10%RH間隔で、0〜90%RH範囲にわたって実施した。データ分析を、DVS Analysis Suite v6.2(又は6.1又は6.0)を用いて、Microsoft Excelを用いて実施した。
(実施例10.微粒子化した化合物1の形態1)
微粒子化した化合物1の形態1を、2インチのループを備えたFluid Energy Jet-O-Mizer 00 Jet Millを用いて調製した。約9gの化合物1の形態1を、以下に概説したパラメータを用いて、ジェットミルに2回通した。
約7.3gの微粒子化した化合物1の形態1を収集した(81%収率)。各通過後の粒径分布を湿式分散法(水を分散剤として使用)により、Malvern Mastersizer 2000で測定する。結果は、下の表に提供されている。
(実施例11.化合物1の合成及び再結晶化)
オーバーヘッドスターラー、熱電対、及び冷却器を備えた50Lのジャケット式反応槽に、28.7L(化合物Cに対して28.7容量、生成物化合物1に対して20容量)の4:1 DCM:EtOH中の化合物C(1000g、2714mmol)及び化合物D(747g、2714mmol)を入れた。懸濁液を36℃で21時間撹拌し、反応変換をHPLCによりモニタリングした。
反応を停止させた後、EtOH中の1M KOH(152g、2714mmol)を反応液に仕込んだ。混合物を36℃で2時間撹拌し、その後、温度を1時間かけて20℃に調整した。7.2LのDI水を仕込み、15分間撹拌した。相を分離させておいた。下部の有機層を3つのカーボイに流した。水層を流し、取っておいた。反応槽をDI水及びEtOHで洗浄した。有機層及び別の7.2LのDI水を反応槽に仕込み戻した。カーボイを3.6Lの4:1 DCM:EtOH(生成物化合物1に対して2.5容量)ですすぎ、すすぎ液を残りの有機相と合わせた。混合物を15分間撹拌した。下部の有機層をカーボイに流し、室温で一晩保持した。水層を流し、取っておいた。反応槽を完全に取り外し、アセトン、DI水、及びEtOHで洗浄し、窒素で一晩パージした。
蒸留装置を反応槽上に組み立てた。有機層を、ポンプ(KNF lab liquiport)を用いて、カプセルフィルター(ポリキャップ、PTFE、1μm、cat# 2603T)に通して注入し、きれいな反応槽に戻した。フラスコを3.6Lの4:1 DCM:EtOH(生成物化合物1に対して2.5容量)ですすぎ、すすぎ液をカプセルフィルターに通して注入し、残りの有機層と合わせた。
撹拌しながら(コントローラは30に設定した)、蒸留を開始した。ジャケット温度は、蒸留中、45℃に合わせた。ポット温度は、蒸留中、約23〜27℃であった。最大真空は約400トールであった。溶液の容量は約14.4L(10容量)に減少させた。溶液は、蒸留の終了時に、透明のままであった。一部の固体は、溶液よりも上側の反応槽の壁に形成された。溶液を一晩撹拌した(コントローラは20に設定した)。ジャケット温度は25℃に設定した。
28.8L(20容量)のEtOHを仕込んだ。蒸留を再開した。ジャケット温度は55℃に設定した。ポット温度は約44〜47℃であった。最大真空は約250トールであった。溶液の容量は約1.5L(15容量)に減少させた。蒸留中に固体が形成された。
750ml(7.5容量)のEtOHと750ml(7.5容量)のDI水の混合物を懸濁液に仕込んだ。内部温度を60℃に調整した。温度を上昇させると、固体が再溶解した。温度が60℃に達したとき、固体は残っていなかった。1gの化合物1(1wt%)をシードとして仕込んだ。全てのシードが溶解したわけではなかった。混合物を60℃で合計6時間撹拌し、10時間かけて20℃に冷却し、その後、20℃で6時間撹拌した。固体を、濾紙を備えたブフナー漏斗に通す濾過により収集した。フィルターケーキを2×500mlの1:4 EtOH:水(2×5容量)で洗浄した。固体を、家庭用真空を用いてブフナー漏斗中で2日間乾燥させた。その後、ケーキを、窒素を一晩流しながら、真空オーブン中、40℃で、18時間乾燥させた。生成物化合物1をオフホワイト色の固体として単離した。単離された固体のHPLC(1:1のアセトニトリル:水中、〜0.3mg/ml)、NMR、及びDSCを取得した。DSCは、該固体が形態1であることを示している。NMRは、極低レベルの残留EtOHが該固体中に存在することを示している。
実施例1の方法3と比較して、同程度の化学的純度及びキラル純度が得られた。反応を仕上げ濾過及び再結晶化に短縮した(telescoped)。粗化合物1の単離を除外した。より少数の溶媒を使用した。この方法はより緩徐であり、生成物は残留エタノールを含んでいた。
生成物中の残留エタノール含有量を減少させるために、再結晶化条件に対する様々な修飾を検討した。結果は、下の表に掲載されている。
*化合物Dを含む。化合物Dは、エタノール中のKOHでクエンチすることにより除去することができる。
**0.11%面積の不純物を含む。
図29は、化合物1のエタノール/水への溶解度及び単離された化合物1中の対応するエタノール含有量を示している。これらの結果は、チェイス中により高い化合物1溶解度を有する溶媒混合物を使用すると、単離された化合物1中の残留エタノール含有量がより少なくなることを示している。長期にわたる乾燥は、残留エタノール含有量に影響を及ぼさなかった(データは示さない)。
形態1の結晶構造を収集し、解明した。図30は、13.5mg/mlの化合物1を80%エタノール/水中で60℃加熱し、その後、室温に冷却することにより得られた化合物1の形態1の結晶構造を示している。単位胞中にエタノールは存在しない。化合物1の形態1の構造データのまとめは、下の表に提供されている。形態1は、直方晶系の空間群P2
12
12
1で結晶化する。
(実施例12.化合物Cと化合物Gのアミドカップリングによる化合物Aの調製のための反応条件のスクリーニング)
化合物Cと化合物Gの直接的なアミドカップリングによる化合物1の調製のために、様々なカップリング試薬を検討した。これらの試薬には: DECP、HDMA、HBTU、COMU、PyBOP、HATU、DEPC、DPPA、及びBOPClが含まれる。
以下の条件: EDCI(1.15当量)、Et
3N(1.1当量)、4:1 MeCN/H
2O(20容量)、21℃を用いて、様々な活性化剤とのEDCIカップリング反応も検討した。結果は、下の表に掲載されている。
以下のリン系カップリング試薬: DEPBT(51時間後、59.5%のIPC純度)、BrOP(51時間後、30.4%のIPC純度)、(EtO)2P(O)-Cl(3〜10%のIPC純度)、(EtO)2P(O)-オキシマ(単離後、62.2%のIPC純度、96%純度)、及びT3P(48時間後、72.0%のIPC純度、塩基:ピリジン、温度: 40℃、溶媒: MeCN(20容量))も検討した。スケールアップ操作を、T3P(3.0当量)及びピリジン(5.1当量)を用いて、40℃で2日間実施した(63.8%のIPC純度)。
以下の混合無水物カップリング試薬:塩化ピバロイル(15.8%のIPC純度)、及びイソ-ブチルクロロフォルメート(MeCN中、34.9%のIPC純度、4:1 MeCN:H2O中、14.0%のIPC純度)も検討した。
以下のトリアジン系カップリング試薬: CDMT及びDMTMMも検討した。
DMTMMカップリングの例となる反応を次のように実施した。1.15当量のDMTMM、1.1当量のEt3N(又はDIPEA)、1.05当量の化合物Gに、4:1 MeCN:H2Oを仕込んだ。反応混合物を撹拌し、一晩活性化させた。その後、1.0当量の化合物Cを固体として1回のボーラス投与で添加した。反応により、21時間後に、84%HPLC純度が得られた
反応混合物を40℃に温めた。水(10.5容量)を2時間かけて添加した。混合物を2時間かけて21℃に冷却し、その後、濾過し、2:1 H2O:MeCN(2×5容量)ですすぎ、乾燥させると、顆粒生成物が得られた。粗収率(79.6〜84.4%)、純度(97.2〜97.5%)。
粗生成物を4:1 DCM:EtOH中での仕上げ濾過によりさらに精製し、次に、3:1 EtOH:H2O(30容量)からの再結晶化を行った。全収率(56〜62%)、最終純度(99.5〜99.6%)。
DMTMMカップリング条件のさらなるスクリーニングを、溶媒(3:1 EtOH:H2O、14.4:4.8:1 EtOH:H2O:DCM、4:1アセトン:H2O、4:1 DCM/MeOH、4:1 DCM/EtOH、及び100%DCM);反応容量(5、7.5、10、15、及び20);反応温度(5、20、及び40℃);塩基(Et3N、iPr2NEt、ピリジン、NMM、DBU、NaOH、及びDMAP);塩基当量(3.0、1.1、及び0.2); DMTMM当量(1.15、1.10、1.05、及び1.00);化合物Cの添加(固体の1回のボーラス投与として、溶液中で、時間をかけて);並びに反応が終了に達した後の水の添加についても実施した。
(実施例13.化合物1の制御された結晶化及び再結晶化)
アセトニトリルと水の混合物の溶媒からの化合物1の制御された結晶化及び再結晶化を調べた。
(制御された結晶化の手順)
90/10 v/vのアセトニトリル/水混合物中の〜124mg/mlの濃度(〜8.06L/kgの容量)の化合物1からなる反応混合物を(反応のクエンチ後)実施例1の方法3に従って生成させた。
適量のアセトニトリル/水を添加して、溶液を20L/kgの化合物1で80/20 v/vのアセトニトリル/水にした。スラリーを撹拌し、化合物1が全て溶解するまで75℃に加熱した。透明な溶液をZapcapフィルター(0.45μm)で仕上げ濾過した。溶液を反応槽に入れ戻し、65℃に冷却した。化合物1の形態1を用いて、スラリー中の10wt%の推定量の化合物1にシード添加した(シードが溶解しなかったこと確認する)。混合物を撹拌しながら16時間かけて22℃に冷却し(溶解度は、2mg/ml/時の速度で〜50mg/mlから〜18mg/mlに至った)、冷却工程の終了後、撹拌下で2時間保持した。
20L/kgの水を添加して、溶液をシリンジポンプで4時間かけて40/60 v/vのアセトニトリル/水(40L/kgの総容量の化合物1)にした(溶解度は、〜18mg/mlから〜3mg/mlに至る)。水の添加が終了した後、混合物を、撹拌下、22℃で2時間保持した。
スラリーをブフナー漏斗で濾過し、ケーキを40/60 v/vのアセトニトリル/水混合物で2回洗浄した。ブフナー漏斗を、窒素を流入させた真空下の60℃のオーブンに入れて、残留溶媒を乾燥させ、化合物1の形態1を生じさせた。ある例示的な実施において、収率は75%であり、純度は99.7面積%であった。
制御された結晶化手順を、実施例12のDMTMMカップリングに従って生成された反応混合物に対しても実施した。ある例示的な実施において、収率は約90%であり、純度は97.6面積%であった。
(制御された再結晶化手順)
化合物1を(アセトニトリル/水からの単離後)実施例1の方法3に従って合成した。
20L/kgの80/20 v/vのアセトニトリル/水を、反応槽中に仕込んだ化合物1の固体に添加した。スラリーを撹拌し、化合物1が全て溶解するまで75℃に加熱した。透明な溶液をZapcapフィルター(0.45μm)で仕上げ濾過した。溶液を反応槽に入れ戻し、65℃に冷却した。化合物1の形態1を用いて、スラリー中の10wt%の推定量の化合物1にシード添加した(シードが溶解しなかったことを確認する)。混合物を撹拌しながら16時間かけて22℃に冷却し(溶解度は、2mg/ml/時の速度で〜50mg/mlから〜18mg/mlに至った)、冷却工程の終了後、撹拌下で2時間保持した。
20L/kgの水を添加して、溶液をシリンジポンプで4時間かけて40/60 v/vのアセトニトリル/水(40L/kgの総容量の化合物1)にした(溶解度は、〜18mg/mlから〜3mg/mlに至った)。水の添加が終了した後、混合物を、撹拌下、22℃で2時間保持した。
スラリーをブフナー漏斗で濾過した。ケーキを40/60 v/vのアセトニトリル/水混合物で2回洗浄した。ブフナー漏斗を、窒素を流入させた真空下の60℃のオーブンに入れて、残留溶媒を乾燥させ、化合物1の形態1を生じさせた。ある例示的な実施において、純度は99.7面積%であった。
制御された結晶化手順を、実施例12のDMTMMカップリングに従って生成された反応混合物に対しても実施した。ある例示的な実施において、収率は約75%であり、純度は99.4面積%であった。
(実施例14.非晶質化合物1の調製)
非晶質化合物1は、結晶性固体又は結晶性固体と非晶質試料の混合物を1以上の溶媒に溶解させ、溶液に対する凍結乾燥を実施することにより調製することができる。非晶質化合物1は、カラムクロマトグラフィーによる精製の後に得られた材料の溶液に対する凍結乾燥を実施することにより調製することもできる。非晶質化合物を調製する他の方法には、噴霧乾燥が含まれる。
噴霧溶液の例が、そのそれぞれの組成とともに、以下に記載されている:
DCM及びMeOHをガラス瓶に添加し、混合した。必要であれば、ポリマーを撹拌しながら溶媒マトリックスに添加し、全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌させておいた。その後、化合物1を撹拌しながら該溶液に添加した。3つ全ての噴霧溶液を1時間混合した後、噴霧乾燥させた。噴霧乾燥は、Buchi B-290ミニ実験スケール用噴霧乾燥器を用いて行った。噴霧パラメータは、以下に提供されている:
1.
*ポンプは80:20 DCM:MeOHを用いて較正されたが、粘度の違いのため、ポリマーを含む溶液の噴霧速度を代表していない可能性がある。
噴霧乾燥した生成物を、真空オーブン中、25℃で〜22時間乾燥させた。乾燥後の生成物をTGA及びDSCで分析した。結果は、下の表に提供されている。
化合物1噴霧乾燥SDDのサーモグラム−t=0
(実施例15.化合物1の製剤化)
化合物1を本明細書に記載される方法に従って噴霧乾燥させた。試料を賦形剤とブレンドし、その後、これをカプセル化し、研磨し、包装した。下記は、5mgカプセル剤及び30mgカプセル剤の製剤の表である。
(実施例16.化合物Cの調製のための反応条件のスクリーニング)
(金属及びPd源スクリーン)
様々な金属源をXPhos及び別の塩基とともに検討した。Pd触媒は、通常、Ni触媒(NiCl
2(PPh
3)
2)よりも良好に作用する。Cu触媒(CuI)も、Pd触媒又はNi触媒の共触媒として検討した。
Xphos-Pd-G3及びPd2(dba)3/Xphos(1:1 L:M)は、対照反応物と同じくらい良好に作用したが、遅延は観察されなかった。Pd2(dba)3:Xphos(1:1 L:M)は、K2CO3及びK3PO4と良好に作用した。PdCl2(MeCN)2:XPhos(2:1 L:M)は、K2CO3及びK3PO4と良好に作用した。Pd(OAc)2:XPhosは、1:1の比よりも2:1のL:M比で良好に作用した。Pd(PPh3)4及びPdCl2(PPh3)2も作用した。相対的な反応速度は(速い順から遅い順に): Pd(OAc)2>Pd2(dba)3>PdCl2(CH3CN)2である。Pd(OAc)2及びPd2(dba)3は5時間で100%近い変換を達成した。PdCl2(CH3CN)2は5時間で>80%の変換を達成し、24時間で100%近い変換を達成した。Pd2(dba)3(1mol%)は24時間で>60%の変換を達成した。
アルキン出発材料及び生成物の安定性も反応条件下で検討した。PdCl2(MeCN)2、Pd2(dba)3、又はPd(OAc)2を触媒として使用したとき、生成物は安定であるように見えた。PdCl2(MeCN)2又はPd2(dba)3を触媒として使用したとき、アルキン出発材料は安定であるように見えたが、Pd(OAc)2を使用したとき、アルキン出発材料の分解が観察された。
(塩基スクリーン)
K2CO3、K3PO4、及びDIPEAを、2つの異なる金属源PdCl2(MeCN)2及びPd2(dba)3とともに用いて、塩基の効果を調べた。実験は全て、アセトニトリルを溶媒として用いて、70℃で行われた。K2CO3及びK3PO4を塩基として用いる実験は、DIPEAよりも速くかつ良好な変換を示した。
(配位子スクリーン)
様々な配位子を、以下の反応条件: Pd(OAc)
2 5mol%、単座配位子については2:1のL:M比、二座配位子については1:1のL:M比、1.2当量のアルキン、1.2当量のK
2CO
3、MeCN(30 rv)、70℃を用いてスクリーニングした。XPhosを対照反応物として使用した。結果は、下の表に掲載されている。配位子MePhos及びcBRIDPも試験した。cBRIDPは、XPhos対照以外で最も高い変換をもたらした。
(溶媒スクリーン)
5つの水不混和性溶媒を、以下の反応条件: Pd2(dba)3 5mol%、単座配位子については2:1のL:M比、二座配位子については1:1のL:M比、1.5当量のアルキン、1.2当量のK2CO3、溶媒(30rv)、70℃を用いてスクリーニングした。結果は、スクリーニングされた全ての溶媒が作用し、相対的な反応速度が(速い順から遅い順に): MeCN(対照)>iPrOAc>2-MeTHF>EtCN、MEK>>トルエンであることを示した。スクリーニングされた全ての溶媒(トルエンを除く)は5時間で>90%の変換を達成し、性能はMeCN対照に近かった。トルエンは24時間で>90%の変換を達成した。水不混和性溶媒は、Pd残留物を除去するための後処理で好都合であり得る。
全体的な反応条件をスクリーニングするために、さらなる試験を実施した。3つの配位子(XPhos、cBRIDP、及びCataCXiumPICy)、2つの塩基(K3PO4及びK2CO3)、3つの溶媒(MeCN、2-Me-THF、及びトルエン)、1〜5mol%のPdを投入する場合のPd源としてのPd2(dba)3を調べた。結果に基づいて、Pd2(dba)3(1mol%)、XPhos(2mol%)、MeCN中の塩基としてのK3PO4の条件をさらなる試験のために選択した。
(実施例17.化合物Cのスケールアップ)
オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、冷却器、及び撹拌子を備えた、1Lのジャケット式反応容器に、窒素を最低1時間パージした。リン酸三カリウム(1.2当量、42.65g)、4-エチニル-1-メチル-1H-ピラゾール(1.2当量、21.34g)、及び化合物A(1wt、1当量、50.05g)を反応容器に仕込んだ。アセトニトリル(14容量、700mL)を反応容器に仕込んだ。少量を用いて、固体を仕込むのに使用したボトルをさっとすすいだ。撹拌を開始した。撹拌を、全ての固体を懸濁させるのに十分であることが分かっている470rpmに設定した。反応混合物を40±2℃(内部温度)に加熱した。
第2の容器(100mlの丸底フラスコ)に、窒素不活性化グローブボックス中で、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.01当量、1.533g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)(0.02当量、1.595g)、及びアセトニトリル(1容量、50mL)を仕込んだ。触媒/配位子溶液を40℃で40分間撹拌した。
第1の反応容器に、窒素をさらに30分間パージした後、触媒溶液を該反応容器に移した。空気/水分への曝露を最小限に抑えるために、触媒溶液を注射針と注射器を用いて移した。反応混合物を70℃(内部温度)に加熱した。反応をHPLCによりモニタリングした。20.5時間でサンプリングしたとき、反応は終了していた。加熱を止め、反応混合物を25℃まで2.5時間冷却させておいた。
懸濁液を、ガラス製の焼結漏斗を用いて濾過し、残渣をアセトニトリル(1×2容量、100mL)で洗浄した。洗浄液を濾液(生成物層)と合わせた。濾液(生成物層)を反応容器に移し戻した。反応容器を窒素パージ下に置いた。2-メルカプトエチルエチルスルフィドシリカ[PhosphonicS SEM26](50wt%wrt化合物A、25g)を該容器に仕込んだ。捕捉剤を28℃で6時間撹拌した。捕捉剤を濾過除去し、アセトニトリル(1×2容量、100mL)で洗浄した。洗浄液を濾液(生成物層)と合わせた。溶液をきれいな蒸留容器に移した。反応容量を大気圧(95〜100℃のジャケット温度)で5容量まで減少させた。容器を75分かけて50℃(内部温度)に冷却した。バッチ温度を45℃超に維持しながら、MTBEをゆっくりと添加した(50mLアリコート)。ひとたび結晶化が始まったら、MTBEの添加を15分間保持した。合計15容量(750mL)を添加するまで、残りのMTBEをゆっくりと添加した。1時間保持した。反応混合物を冷却して、2時間かけて25℃に戻し、一晩保持した。5容量(250mL)の追加のMTBEを5分かけて添加した。1時間保持した。生成物を濾過除去し、アセトニトリル(2×2容量、2×100mL)で洗浄した。洗浄液を母液と合わせた。固体を真空下で15分間脱液した。固体を結晶化皿に移し、真空オーブンに入れ、空気を流しながら、真空下、40℃で40時間乾燥させた。回収された固体=52.88g、収率=85.8%。
(実施例18.化合物Eの調製)
工程1: i) DIPA(1.3当量)/CuI(0.02当量)/PdCl
2(PPh
3)
2(0.01当量)/TMSアセチレン(1.2当量)/CH
2Cl
2(10容量)/室温〜-40℃/2時間; ii)室温に冷却し、濾過し; iii) 2M HCl(1.3当量)で洗浄し; iv) SiliaMetSジアミンを室温で処理し; v)濾過し、CH
2Cl
2を減圧下で5容量まで減少させ; vi)溶媒を減圧下でヘキサン(5容量)に交換し; vii)室温に冷却し;及びviii)濾過し、洗浄し、乾燥させた。
工程2:化合物Fをそのまま工程2(粗生成物)に取り入れ; MeOHに溶解させ、室温でK2CO3で処理し;反応が終了したとき、塩基を濾過除去し;溶媒を蒸発乾固させ;油状物をMTBEに溶解させ、Silicaの栓に通し;濾液を濃縮乾固させ;生成物を真空蒸留(2〜3回)により単離した。収率=68%。
(実施例19.化合物Fの調製のための反応条件のスクリーニング)
実施例18の工程1では、0.01当量のPdCl
2(PPh
3)
2及び0.02当量のCuIを使用した。20回の実験を行って、触媒の量を減少させて、パラジウム/色を除去するために必要とされる捕捉を回避し又は減少させることができるかどうかを調べた。これらの実験は、PdCl
2(PPh
3)
2の5つの投入量(0.001、0.002、0.004、0.0055、及び0.01当量)並びにCuIの4つの投入量(0.001、0.005、0.0125、及び0.02当量)を用いて、2gのスケールで実施した。様々な時点: 4分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、及び24時間における反応混合物のIPC。試料をHPLCにより分析して、変換の発生並びに出発材料及び不純物(特に、ホモカップリングしているジイン副生成物
)の%面積を決定した。
図34Aは2時間での反応変換(%面積)を示し;図34Bは24時間での反応変換(%面積)を示し;図34Cは24時間での生成物/ジイン比(%面積)を示し;図34Dは24時間でのジイン含有量(%面積)を示している。結果は、反応変換がPd含有量とCu含有量の両方による影響を受けるが、ジイン形成は主にPd含有量による影響を受けることを示している。銅は、Pd含有量が低いときに、より大きい影響を及ぼす。反応は、より低いレベルのPdの場合に終了に達することができる。Pdの量を減少させることにより、ジイン不純物の形成を減少させることができる。これらの結果を基にすると、0.003当量のPd触媒及び0.0175当量のCuIが最適条件であり得る。
0.003当量のPd触媒及び0.0175当量のCuIを用いる例示的な試験を次のように実施した。4-ヨード-1-メチルピラゾール(250g、1190mmol)、ヨウ化銅(3.99g、20.82mmol、0.0175当量)、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(2.53g、3.57mmol、0.003当量)を、窒素下、室温で反応槽に仕込んだ。DIPA(219mL、1547mmol)を、窒素下、22℃で、シリンジにより一度に反応槽に仕込んだ。ACS等級のDCM(2500mL)を仕込んだ。反応槽に窒素を5分間以上フラッシュし、温度を15℃に設定した。トリメチルシリルアセチレン(205mL、1428mmol)を15℃で30分かけて(又は82mL/時もしくは1.4ml/分)、シリンジポンプにより仕込んだ。添加の終了時に、10mLのトルエンをフラスコに添加して、容器をすすいだ。反応を24時間後にHPLCによりモニタリングした(反応は8〜24時間で終了した)。
HCl(1785mL、3570mmol)を15±3℃で仕込み、混合物を15分間以上激しく撹拌した。その後、該混合物を静置させておき、層を10分以上かけて分離した。上の層は透明な黄色であり、下の層は透明なオレンジ色であった。これらの層を分離し、上の層を廃棄した。10容量(2500mL)の20%wtチオ硫酸ナトリウムを下の層に仕込んで、パラジウム及び銅を捕捉した。混合物を、窒素下、室温で一晩撹拌した。相を10分間以上分離させておいた。層を分離した。
有機層を洗浄済み反応槽に移し戻し、5容量(1250mL)まで蒸留した。5容量のヘキサン(1250mL)を添加し、5容量まで蒸留した。5容量のヘキサン(1250mL)を再添加し、5容量まで蒸留した。さらに5容量のヘキサン(1250mL)を添加し、1時間加熱還流させ、その後、室温にまで冷却した。混合物をWhatman濾紙で濾過して、アルキン二量体副生成物を除去した。母液及びその中に形成された結晶をきれいな反応槽に移し戻した。溶媒を5容量(1250mL)まで蒸留し、1時間かけて24℃にまで冷却し、その後、0℃にまで冷却し、1時間ねかせた。結晶生成物を濾過し、2×1容量の冷ヘキサンで洗浄し、乾燥させ、収集した。
(実施例20.化合物Eの調製のための反応条件のスクリーニング)
二相溶媒系(水性塩基性溶液と水不混和性溶媒の混合物)中での化合物Fの脱保護を調べた。結果は、下の表にまとめられている。実験は100mgスケールで実施した。熱及び相間移動触媒を用いて、収率は改善しなかった。
(実施例21.化合物Eのスケールアップ)
工程1:
きれいで乾燥した500Lのガラスライニング反応槽Aを-0.08〜-0.05MPaまで排気し、窒素を標準圧まで充填した。これを3回繰り返した。反応槽を酸素含有量についてサンプリングして、酸素が3%以下であることを保証した。
ジイソプロピルアミン(106.0kg)及び1-メチル-4-ヨード-1H-ピラゾール(24.3kg、23.6kgに補正)を15〜25℃で反応槽Aに添加した。ヨウ化第1銅(0.37kg)を、窒素の保護下、15〜25℃で、反応槽Aに添加した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.09kg)を、窒素の保護下、15〜25℃で、混合物に添加した。混合物を20〜30分間撹拌した。トリメチルシリルアセチレン(22.2kg、14.0kgに補正)を、該混合物に、各々の分について4〜5kg及び20〜30分の間隔で、15〜30℃で少しずつ添加した。混合物を20〜30℃で反応させておいた。2時間後、混合物を、1-メチル-4-ヨード-1H-ピラゾールの面積%が0.5%以下となるまで、HPLCによる純度分析用に1〜2時間毎にサンプリングした。
反応終了後、混合物をステンレス鋼の遠心分離機で濾過した。フィルターケーキをメチル tert-ブチルエーテル(9.2kg×2)で2回すすいだ。濾液を反応槽Aに移し、40〜60Lが残るまで、減圧下(P≦-0.08MPa)、T≦45℃で濃縮した。メチル tert-ブチルエーテル(92.5kg)を混合物に添加し、40〜60Lが残るまで、濃縮を継続した。メチル tert-ブチルエーテル(92.2kg)を濃縮混合物に添加し、混合物をジイソプロピルアミン残留分析用にサンプリングして、ジイソプロピルアミンが1%以下であることを保証した。活性炭(4.9kg)を15〜25℃で混合物に添加し、混合物を撹拌しながら6〜8時間保持した。該混合物を、15〜25℃で、ステンレス鋼のヌッチェフィルターで濾過した。フィルターケーキをメチル tert-ブチルエーテル(9.2kg×2)で2回すすいだ。クエン酸一水和物(6.1kg)の精製水(121.6kg)溶液を15〜25℃で濾液に添加した。混合物を20〜30分間撹拌し、20〜30分間静置した後、分離した。エマルジョン層を水相に対して分離した。水相をpH分析及びwt%分析用にサンプリングして、pHが確実に7未満となるようにした。活性炭(4.9kg)を15〜25℃で混合物に添加し、混合物を撹拌しながら6〜8時間保持した。該混合物を、15〜25℃で、ステンレス鋼のヌッチェフィルターで濾過した。フィルターケーキをメチル tert-ブチルエーテル(9.2kg×2)で2回すすいだ。濾液を検査して、それが黄色の溶液であることを保証した。
濾液を反応槽Bに移し、30〜40Lが残るまで、減圧下(P≦-0.08MPa)、T≦35℃で濃縮した。無水エタノール(96.3kg)を混合物に添加し、30〜40Lが残るまで、T≦45℃で濃縮を継続した。混合物をメチル tert-ブチルエーテル残留分析用にサンプリングして、メチル tert-ブチルエーテルが0.5%以下であることを保証した。該混合物を15〜25℃に冷却した。精製水(121.3kg)を、蠕動ポンプにより、15〜25℃で、25〜50kg/時の基準速度で、該混合物に添加した。黄褐色の固体が析出した。
混合物を15〜25℃で結晶化させておいた。2時間後、母液が0.5%以下となるか、又は2つの試料の差が0.3%以下となるまで、混合物を母液wt%分析用に1〜2時間毎にサンプリングした。混合物をステンレス鋼のヌッチェフィルターで濾過した。フィルターケーキを精製水(12.1kg×2)で2回すすいだ。該フィルターケーキをステンレス鋼のヌッチェフィルター中で洗い流した。12時間後、エタノールが1%以下となるまで、固体をエタノール残留について6〜8時間毎にサンプリングした。生成物を1つのプラスチック袋に包装した。生成物重量=12.0kg、収率=52.3%、純度(HPLC)=98.9%。
工程2:
きれいで乾燥した1000Lのガラスライニング反応槽A及びガラスライニング反応槽の500L反応槽Bを-0.08〜-0.05MPaまで排気し、窒素を標準圧まで充填した。これを3回繰り返した。これらの反応槽を酸素含有量についてサンプリングして、酸素が3%以下であることを保証した。
メチル tert-ブチルエーテル(88.8kg)及び化合物F(工程1からの12.0kg粗製物、10.5kgに調整)を15〜25℃で反応槽Aに添加した。撹拌を開始した。その後、水酸化カリウム(12.0kg)の精製水(108.0kg)溶液を15〜25℃で混合物に添加した。混合物を15〜25℃で反応させておいた。4時間後、化合物Fの面積%が1.0%以下となるまで、混合物をHPLCによる純度分析用に2〜4時間毎にサンプリングした。
活性炭(1.2kg)を15〜25℃で混合物に添加した。混合物を2〜3時間撹拌した。該混合物を、15〜25℃で、ステンレス鋼のヌッチェフィルターで濾過した。フィルターケーキをメチル tert-ブチルエーテル(22.2kg×2)で2回すすいだ。濾液を20〜30分間撹拌し、15〜25℃で20〜30分間静置した後、分離した。工程1の母液(354.9kg)及びメチル tert-ブチルエーテル(205.6kg)を反応槽Bに添加した。混合物を30〜40分間撹拌し、15〜25℃で20〜30分間静置した後、分離した。活性炭(1.2kg)を15〜25℃で有機相に添加した。混合物を2〜3時間撹拌した。該混合物を、15〜25℃で、ステンレス鋼のヌッチェフィルターで濾過した。フィルターケーキをメチル tert-ブチルエーテル(22.2kg×2)で2回すすいだ。有機相と濾液を合わせて、反応槽Bに入れ、160〜190Lが残るまで、減圧下、T≦25℃で濃縮した。混合物を200Lの鉄製ドラムに移した。メチル tert-ブチルエーテル(24.2kg)を反応槽Bに添加して、反応槽の壁をすすぎ、すすぎ母液を混合物と合わせた。
きれいで乾燥した80Lのガラス反応槽Cを-0.08〜-0.05MPaまで排気し、窒素を標準圧まで充填した。これを3回繰り返した。反応槽を酸素含有量についてサンプリングして、酸素が確実に3%以下であることを保証した。混合物を反応槽Cに少しずつ移し、(25Lが残るまで)、減圧下、T≦25℃で濃縮した。
n-ヘプタン(16.3kg)を15〜25℃で混合物に添加し、混合物をメチル tert-ブチルエーテル残留分析用にサンプリングした。混合物を撹拌しながら55〜60℃に加熱した。その後、該混合物を10〜15℃/時の基準速度で-10〜0℃に冷却した。該混合物を結晶化のために-10〜0℃で撹拌した。1〜2時間後、母液が3wt%以下となるまで、該混合物を母液のwt%分析用に2〜3時間毎にサンプリングした。混合物をフィルターフラスコで濾過し、フィルターケーキを予め冷却しておいたn-ヘプタン(合計8.1kg、-10〜0℃)で2回すすいだ。フィルターケーキ及びメチル tert-ブチルエーテル(8.9kg)を15〜25℃で20Lフラスコに添加した。混合物を、全ての固体が目視検査で完全に溶解するまで撹拌した。
混合物を反応槽Cに移し、メチル tert-ブチルエーテル(35.5kg)を15〜25℃でインライン式フィルターから該混合物に添加した。10〜15Lが残るまで、混合物を、減圧下、T≦25℃で濃縮した。メチル tert-ブチルエーテル(〜26.6kg×2)を混合物に添加し、濃縮を継続した。メチル tert-ブチルエーテル(26.7kg)を混合物に添加し、混合物をKF分析用にサンプリングして、KFが0.4%以下であることを保証した。蒸留液が観察されなくなる(〜10Lが残る)まで、混合物を、減圧下、T≦25℃で濃縮した。混合物を10LフラスコEに移し、固体が形成されるまで、減圧下、オイルポンプで排気した。生成物を25〜30℃に加熱し、その後、6つの液体バケツに移した。内部包装:医薬等級のHDPE液体バケツを袋詰めしたもの。外部包装:食品等級のセキュリティシールを備えた医薬等級のLDPEバッグ。生成物重量6.1kg、収率=94.4%、純度(HPLC)=98.9%。
(実施例22.化合物Eの調製)
工程1を実施例18の工程1のような手順に従って実施した。
工程2:反応の終了時に、有機層を分離除去した。溶媒、次いで、化合物Eを真空下で蒸留除去した。無色の結晶性固体として、収率=85〜88%。
化合物Fの粗生成物を、それ以上精製しないで、工程2にはめ込んだ(telescoped)とき、2つの工程の全収率は約57%であった。どちらの層も茶褐色であり、かつ固体材料が存在していたので、相分離は難しかった。色の一部を除去するためには、炭素処理が必要となる場合がある。蒸留された化合物Eは、黄色の油状物として与えられた。
或いは、化合物Fを工程1の後に再結晶化させ、その後、工程2で使用した。再結晶化収率は、約71〜78%であり、化合物Fの約25%が母液となって失われた。2つの工程の全収率は、約85〜88%であった。化合物Eを無色の結晶として得るためには、相分離と1回の蒸留のみが必要とされた。はめ込み手法(telescope approach)のブライン洗浄及び炭素処理は回避することができる。
(実施例23.化合物Mの調製)
MeOHからの再結晶化は、適度な溶解度のために、比較的大きな損失をもたらした。
1-プロパノールによる再スラリー化は、より大きいスケールのとき、又は塊が存在するとき、あまり効果的ではなかった。
1-ブタノールを結晶化に使用する例示的な試験を次のように実施した。1-BuOHの溶媒は、次の反応のための溶媒でもあるので、好都合である。
MeCN(15容量)及びNaOH(2当量)を適当な大きさのジャケット式反応槽に仕込んだ。混合を開始し、15℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。エチルシアノアセテートを20〜30分かけて反応槽に仕込み、温度を維持するように、ジャケットを必要に応じて調整した。ひとたび仕込みが終了したら、20℃を維持するように、ジャケットを設定し、2時間撹拌し続けた。脱プロトン化による発熱は軽微であり、より大きいスケールでも制御しやすかった。2時間後、10℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。2-クロロエチルクロロフォルメート(1当量)のMeCN(2容量)溶液を少なくとも1時間かけて反応槽に仕込んだ。内部温度を10〜15℃で維持するように、ジャケットを必要に応じて調整した。ひとたび仕込み終わったら、溶液を1時間還流させた。還流後、反応槽の内容物を室温に冷却し、発生したNaClを濾過により除去した。必要であれば、溶液をこの時点で一晩保持することができる。
溶液を洗浄済み反応槽に仕込み、5容量が残るまで、真空下で蒸留して、MeCNを除去した。ひとたび5容量になったら、真空を遮断し、5容量の1-BuOHを反応槽に仕込んだ。蒸留を再開し、5容量になるまで継続した。この蒸留の間に、材料が析出し始めた。ひとたび5容量に達したら、真空を遮断し、母液の試料をNMR又はGCによる分析用に採取した。この時点でのIPC(工程内管理)の合格には、1-BuOH中、5mol%未満のMeCNが必要とされた。IPCが失敗した場合、蒸留を継続し、後の時点で再サンプリングし、IPCは、最終的には、合格した。ひとたびIPCの合格が得られれば、スラリーを室温に冷却し、必要であれば、一晩保持した。
スラリーを、ブフナー漏斗を用いて濾過し、ケーキを1.33容量の1-BuOHで1回スラリー洗浄し、1.33容量の1-BuOHで1回置換洗浄した。ケーキを一定重量に達するまで真空オーブン中で乾燥させた。この工程の典型的な収率は75〜80%であり、反応は225gスケールで実施されていた。
(実施例24.化合物Jの調製)
1-ブタノールを溶媒として使用する例示的な試験を次のように実施した。
化合物M及び1-BuOH(6.5容量)を適当な大きさのジャケット式反応槽に仕込んだ。混合を開始し、25℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。水性アンモニア(1.1当量)を反応槽に仕込んだ。アンモニアの溶解による吸熱が最初にあり、その後、反応が始まるにつれて非常に軽微な発熱があった。IPC試料を最低1.5時間後に採取すべきであり、合格基準は、1面積%未満の出発材料の残存である。ひとたびIPCの合格が得られれば、ヒドラジン一水和物(1.5当量)を反応槽に仕込み、70℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。2時間後、IPC試料を採取することができ、試験の合格は、1面積%未満の中間体(化合物L)の残存である。このIPCの合格が得られれば、105〜110℃の内部温度(還流)を維持するように、ジャケットを設定した。その後、反応を約40時間進行させておいた。
その後、溶液を80℃に冷却し、IPC試料を採取した。その後、反応液をこの時点で再び加熱還流させた。合格基準は、1面積%未満の中間体(化合物K)の残存であった。ひとたびこのIPCの合格が得られれば、溶液を2時間かけて20℃に冷却し、その温度に達したら、スラリーを2時間保持した。該スラリーを、ブフナー漏斗を用いて濾過し、ケーキスラリーを2容量の1-BuOHで2回洗浄し、1容量の1-BuOHで1回置換洗浄した。ケーキを真空オーブン中で一定重量になるまで乾燥させた。この手順は200gスケールで実施されていた。
(実施例25.化合物Gの調製)
例示的な試験において、3容量のAcOHを使用した。AcOHを、軽真空下、高温で蒸留除去して、溶液状態で維持した。ひとたび蒸留が終了すれば、LiOH溶液を直接添加した。全体的な純度は約95%であった。
別の例示的な試験を次のように実施した:化合物J及びAcOH(7.5容量)を適当な大きさのジャケット式反応槽に仕込んだ。混合を開始し、25℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。テトラメトキシプロパン(1.01当量)を反応槽に仕込み、95℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。温度に達したら、反応液を1.5時間混合し続け、その後、IPC試料を採取した。このIPCの合格基準は、1面積%未満の化合物Jの残存であった。必要であれば、0.05当量のテトラメトキシプロパンのさらなる添加を加えて、反応の終了を促進することができる。ひとたびIPCの合格が得られれば、早すぎる析出を防ぐために溶液温度を60℃超に維持しながら、溶液を真空蒸留により3容量まで濃縮した。ひとたび目標容量に達したら、50℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。その後、4M NaOH溶液をカニューレから反応槽に仕込み、残りのAcOHを中和した。これには、通常、約10容量の塩基溶液が必要とされた。中和をpHプローブによりモニタリングした。仕込みの間に、固体が析出し始めた。
ひとたび中和されれば、スラリーを20℃に冷却し、その温度で1時間保持した後、ブフナー漏斗により単離した。ケーキを2容量の水で2回及び2容量のMeOHで1回洗浄した。その後、固体を真空オーブン中で一定重量まで乾燥させると、化合物Hが得られた。この手順は110gスケールで実施されて、顆粒状の薄茶色の固体を生成していた。
化合物H及びMeOH(3.6容量)を適当な大きさのジャケット式反応槽に仕込んだ。混合を開始し、25℃の内部温度を維持するように、ジャケットを設定した。LiOH(4.4当量)の水(12容量)溶液を数分かけて反応槽にゆっくりと仕込んだ。仕込んだときにわずかな発熱があったが、それはわずかであり、かつ管理しやすかった。ひとたび仕込みが終了すれば、スラリーを最低2時間50℃に加熱した。この後、IPC試料を1面積%未満の化合物Hという目標合格規格で採取した。ひとたびIPCの合格が得られれば、スラリーを10℃で維持するように、ジャケットを設定した。カニューレを介して移される6M及び1M HClを用いて、pHを4に調整した。6M HClを初期の調整に使用し、1M HClを滴定の最後に使用した。必要であれば、スラリーをこの時点で一晩保持した。
スラリーをブフナー漏斗で濾過し、ケーキを3容量の水で2回及び3容量のMeOHで1回洗浄した。その後、該ケーキを真空オーブン中で一定重量まで乾燥させて、化合物Gを生じさせた。この手順を122gスケールで実施すると、淡黄色の固体が生成されていた。
別の例では、AcOHの代わりにHClを酸として用いて、反応を実施した。
3工程(化合物Mの調製、化合物Jの調製、及び化合物Gの調製)での全平均収率は約40〜45%であり、生成物はオフホワイト色で得られた。
本開示の例示的実施態様が本明細書に示され、記載されているが、そのような実施態様はほんの一例として提供されていることが当業者には明白であろう。多くの変化、変更、及び置換が、本開示を逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載される実施態様に対する様々な改変を本開示の主題を実施する際に利用することができることが理解されるべきである。そのような等価物は全て、特許請求された主題の範囲内にあると考えられ、付随する特許請求の範囲に包含される。