本発明に係る印刷機における一実施形態が、図1〜図8を参酌して、以下に説明されている。なお、本実施形態において、印刷される対象物は、分割するための溝状の割線11を一方の面に有する錠剤1である。
本実施形態に係る印刷機は、図1に示すように、錠剤1を搬送する搬送ユニット2と、搬送ユニット2を収容する筐体3と、搬送される錠剤1における搬送方向(図1では右側)と直交する方向(図1では上下方向)の一方側を向いた面(本実施形態では下方側の面)を撮像及び印刷する第1の撮像印刷ユニット4と、搬送される錠剤1における前記直交する方向の他方側を向いた面(本実施形態では上方側を向いた面)を撮像及び印刷する第2の撮像印刷ユニット5とを備える。また、印刷機は、当該印刷機の各構成を制御し且つ錠剤1を検査する制御ユニット(制御部)6を備える。
搬送ユニット2は、図1に示すように、上流側から供給された錠剤1を貯留する貯留装置21と、貯留装置21で貯留された錠剤1を整列させて搬入する搬入装置22と、搬入された錠剤1を搬送する搬送装置23と、搬送された錠剤1を下流側に搬出する搬出装置26とを備える。また、搬送ユニット2は、所定の錠剤1が搬出装置26から搬出されることを防止すべく、前記所定の錠剤1を排斥する排斥装置27を備える。
貯留装置21は、上方から給入された錠剤1を内部に貯留すると共に、貯留している錠剤1を下方から排出する。そして、搬入装置22は、錠剤1を搬送する方向(以下「搬送方向」という)Xに沿う部位を上部に有して無端回転する搬入ベルト221と、搬入ベルト221に載置される錠剤1を複数列(本実施形態において4列)に整列させる整列部222とを備える。これにより、搬入装置22は、複数列に整列した状態の錠剤1を搬送装置23に供給できる。
搬送装置23は、錠剤1の上方側に接した状態で錠剤1を搬送方向Xに搬送する第1の搬送部24と、第1の搬送部24の下流側に配置され、錠剤1の下方側に接した状態で錠剤1を搬送方向Xに搬送する第2の搬送部25と、を備える。なお、図示していないが、搬送装置23は、搬入装置22で整列させた錠剤1の列数に応じて、複数(本実施形態では、例えば4つ)並列されている。それに伴って、各撮像印刷ユニット4,5も、搬送装置23の数に応じて、複数(本実施形態では、例えば4つずつ)並列されている。
第1の搬送部24は、図1及び図2に示すように、搬送方向Xに沿う部位を下部に有して無端回転する第1の搬送ベルト241と、第1の搬送ベルト241が掛け渡される回転体242,242と、を備える。また、第1の搬送部24は、錠剤1を吸引するための吸引部243と、吸引効率を向上させるべく、第1の搬送ベルト241を収容する収容部244と、を備える。
これにより、吸引部243が錠剤1を吸引することで、第1の搬送部24は、第1の搬送ベルト241の下部に錠剤1を吸着させる。そして、第1の搬送部24は、錠剤1の下方側の面を露出するようにして、錠剤1を搬送している。
また、第1の搬送部24は、上流側の端部を搬入装置22の下流側の端部と上下方向に重なるように配置される。これにより、第1の搬送部24は、搬入ベルト221に載置されている錠剤1を、第1の搬送ベルト241の下部に吸着させる。第1の搬送部24の搬送速度(即ち、第1の搬送ベルト241の走行速度)は、搬入装置22の搬送速度(即ち、搬入ベルト221の走行速度)よりも速い。これにより、第1の搬送部24は、密接した状態で搬入装置22から搬入された錠剤1,1同士を離間させた状態で搬送できる。
第1の搬送ベルト241は、図3及び図4に示すように、帯状に形成されるベルト本体241aと、ベルト本体241aの幅方向の中央に配置され、長手方向に沿って延びる溝241bと、溝241bに配置され、長手方向に沿って並列される複数の吸気孔241cとを備える。そして、吸引部243が吸気孔241c及び溝241bを経由して錠剤1を吸引することにより、第1の搬送ベルト241がベルト本体241aの下面に錠剤1を吸着させる。
溝241bの幅寸法は、錠剤1の直径より小さく設定されている。また、吸気孔241cの直径は、錠剤1の直径より小さく設定されている。そして、吸気孔241c,241cの離間距離は、錠剤1の直径より小さく設定されている。これらにより、錠剤1は、複数の吸気孔241c,241cと上下方向で重なる。なお、吸気孔241cは、かかる構成に限られず、例えば、長手方向に沿って長穴状に形成される構成でもよい。
第2の搬送部25は、図1及び図5に示すように、搬送方向Xに沿う部位を上部に有して無端回転する第2の搬送ベルト251と、第2の搬送ベルト251が掛け渡される回転体252,252とを備える。また、第2の搬送部25は、錠剤1を吸引するための吸引部253と、吸引効率を向上させるべく、第2の搬送ベルト251を収容する収容部254とを備える。
吸引部253が錠剤1を吸引することにより、第2の搬送部25が第2の搬送ベルト251の上部に錠剤1を吸着させる。これにより、第2の搬送部25は、錠剤1の上方側の面を露出するようにして錠剤1を搬送する。
また、第2の搬送部25は、上流側の端部を第1の搬送部24の下流側の端部と上下方向に重なるように配置される。これにより、第2の搬送部25は、第1の搬送ベルト241の下部に吸着されている錠剤1を、第2の搬送ベルト251の上部に吸着させる。第2の搬送部25の搬送速度(即ち、第2の搬送ベルト251の走行速度)は、第1の搬送部24の搬送速度(即ち、第1の搬送ベルト241の走行速度)と同じである。なお、第2の搬送ベルト251の構成は、第1の搬送ベルト241の構成と略同じである。
排斥装置27は、制御ユニット6の制御に基づいて、所定の錠剤1を排斥する。具体的には、排斥装置27は、錠剤1が第2の搬送部25から搬出装置26に乗り移る際に、所定の錠剤1に向けて圧縮空気を噴出することで、当該錠剤1が搬出装置26から搬出されることを防止する。
第1の撮像印刷ユニット4は、図2に示すように、第1の搬送部24に搬送されている錠剤1を検出する第1の検出部41と、錠剤1の変位量を測定する第1の変位測定部42とを備える。そして、第1の撮像印刷ユニット4は、錠剤1の下方側の面を撮像する下方撮像装置(「第1の撮像装置」ともいう)43と、錠剤1の下方側の面に印刷する下方印刷装置(「第1の印刷装置」ともいう)44と、錠剤1の下方側の面における印刷された部位(以下「印刷部位」という。図3参照。)12を撮像する下方印刷部撮像装置(「第1の印刷部撮像装置」ともいう)45と、を備える。
第1の検出部41は、錠剤1が第1の搬送部24の所定の基準位置に到達したことを検出する。例えば、第1の検出部41は、光電センサ等である。また、第1の変位測定部42は、第1の搬送部24の走行量を測定することにより、錠剤1の変位量を測定する。例えば、第1の変位測定部42は、第1の搬送部24の回転体242に取り付けられるエンコーダ等である。したがって、錠剤1が基準位置に到達したことを第1の検出部41が検出すると共に、第1の変位測定部42が基準位置からの変位量を測定することにより、第1の搬送部24における錠剤1の位置が検出される。
下方撮像装置43は、第1の検出部41よりも下流側に配置されると共に、第1の搬送部24よりも下方側に配置される。そして、下方撮像装置43は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の下方側の面を撮像する。なお、図示していないが、下方撮像装置43は、錠剤1に向けて光を発する光源と、錠剤1の下方側で反射した光を発散や反射させる光学系(レンズ及びミラー等)と、光学系を経由した光を受光する撮像素子(エリアイメージセンサ又はラインイメージセンサ等)とを備える。
下方印刷装置44は、下方撮像装置43よりも下流側に配置されると共に、第1の搬送部24よりも下方側に配置される。そして、下方印刷装置44は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の下方側の面に印刷する。本実施形態において、下方印刷装置44は、装置自身が錠剤1に接触しない非接触式の印刷機構である。例えば、下方印刷装置44は、錠剤1に向けてインクを吐出するインクジェットプリンタ等である。
下方印刷部撮像装置45は、下方印刷装置44よりも下流側に配置されると共に、第1の搬送部24よりも下方側に配置される。そして、下方印刷部撮像装置45は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の下方側の印刷部位12を撮像する。なお、図示していないが、下方印刷部撮像装置45は、錠剤1に向けて光を発する光源と、錠剤1の下方側で反射した光を発散や反射させる光学系と、光学系を経由して光を受光する撮像素子とを備える。
第2の撮像印刷ユニット5は、第2の搬送部25に搬送されている錠剤1を検出する第2の検出部51と、錠剤1の変位量を測定する第2の変位測定部52とを備える。そして、第2の撮像印刷ユニット5は、錠剤1の側方を撮像する側方撮像装置53と、錠剤1の上方側の面を撮像する上方撮像装置(「第2の撮像装置」ともいう)54と、錠剤1の上方側の面に印刷する上方印刷装置(「第2の印刷装置」ともいう)55と、錠剤1の上方側の印刷部位12を撮像する上方印刷部撮像装置(「第2の印刷部撮像装置」ともいう)56とを備える。
第2の検出部51は、錠剤1が第2の搬送部25の所定の基準位置に到達したことを検出する。また、第2の変位測定部52は、第2の搬送部25の走行量を測定することで、錠剤1の変位量を測定する。このように、錠剤1が基準位置に到達したのを第2の検出部51が検出すると共に、第2の変位測定部52が基準位置からの変位量を測定することにより、第2の搬送部25における錠剤1の位置が検出される。
側方撮像装置53は、第2の検出部51よりも下流側に配置されると共に、第2の搬送部25よりも上方側に配置される。そして、側方撮像装置53は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の側方の面を撮像する。なお、図示していないが、側方撮像装置53は、錠剤1に向けて光を発する光源と、錠剤1の側方で反射した光を発散や反射させる光学系と、光学系を経由した光を受光する撮像素子とを備える。
上方撮像装置54は、側方撮像装置53よりも下流側に配置されると共に、第2の搬送部25よりも上方側に配置される。そして、上方撮像装置54は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の上方側の面を撮像する。なお、図示していないが、上方撮像装置54は、錠剤1に向けて光を発する光源と、錠剤1の上方側の面において反射した光を発散及び反射させる光学系と、光学系を経由した光を受光する撮像素子とを備える。
上方印刷装置55は、上方撮像装置54よりも下流側に配置されると共に、第2の搬送部25よりも上方側に配置される。そして、上方印刷装置55は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の上方側の面に印刷する。本実施形態において、上方印刷装置55は、上方印刷装置55自身が錠剤1に接触しない非接触式の印刷機構(インクジェットプリンタ等)である。
上方印刷部撮像装置56は、上方印刷装置55よりも下流側に配置されると共に、第2の搬送部25よりも上方側に配置される。そして、上方印刷部撮像装置56は、制御ユニット6の制御に基づいて、錠剤1の上方側の面における印刷部位12を撮像する。なお、図示していないが、上方印刷部撮像装置56は、錠剤1に向けて光を発する光源と、錠剤1の上方側の面において反射した光を発散及び反射させる光学系と、光学系を経由した光を受光する撮像素子とを備える。
制御ユニット6は、図6に示すように、各情報を入力する入力装置61と、各装置を制御する制御装置62と、各情報を出力する出力装置63とを備える。
入力装置61は、検査及び印刷する錠剤1の情報を制御装置62に入力する。例えば、入力装置61は、キーボード(テンキー)、セレクトスイッチ等である。そして、錠剤1の情報(種類に応じた番号等)が入力装置61を経由して制御装置62に入力されることで、制御装置62は、対象となる錠剤1の情報(割線11の有無、形状等)を認識する。 制御装置62は、錠剤1の位置を演算する位置演算部621と、下方印刷装置44を制御する下方印刷制御部(「第1の印刷制御部」ともいう)622と、錠剤1の下方側を検査する下方検査部(「第1の検査部」ともいう)623と、錠剤1の下方側における印刷部位12を検査する下方印刷検査部624とを備える。また、制御装置62は、錠剤1の側方を検査する側方検査部625を備える。
そして、制御装置62は、上方印刷装置55を制御する上方印刷制御部(「第2の印刷制御部」ともいう)626と、錠剤1の上方側の面を検査する上方検査部(「第2の検査部」ともいう)627と、錠剤1の上方側の面における印刷部位12を検査する上方印刷検査部628とを備える。さらに、制御装置62は、割線11の判定結果を検査する割線検査部629を備える。
位置演算部621は、各検出部41,51及び各変位測定部42,52からの情報に基づいて、錠剤1の位置を演算する。そして、制御装置62は、位置演算部621で演算された結果に基づいて、所定のタイミングで各撮像装置43,45,53,54,56により錠剤1を撮像させると共に、所定のタイミングで各印刷装置44,55に錠剤1へ印刷させる。
下方印刷制御部622は、下方撮像装置43で撮像された画像に基づいて、錠剤1の下方側の面における割線11の有無を判定する下方割線判定部(「第1の割線判定部」ともいう)622aと、下方撮像装置43で撮像された画像に基づいて、錠剤1の下方側の面に印刷するか否かを判定する下方印刷判定部(「第1の印刷判定部」ともいう)622bとを備える。また、下方印刷制御部622は、印刷情報を記憶する印刷情報記憶部622cを備える。
下方割線判定部622aは、下方撮像装置43で撮像された画像から、割線11の有無を判定する。具体的には、下方割線判定部622aは、記録されている基準画像情報と下方撮像装置43で撮像された画像情報とを比較し、「割線有り」か「割線無し」かを判定する。
下方印刷判定部622bは、下方割線判定部622aの判定結果に基づいて判定する。具体的には、下方印刷判定部622bは、下方割線判定部622aが「割線無し」と判定した際に、下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷する」と判定する。反対に、下方印刷判定部622bは、下方割線判定部622aが「割線有り」と判定した際に、下方印刷装置44で当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。
下方検査部623は、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の下方側の面を検査する。具体的には、下方検査部623は、記録されている基準画像情報と下方撮像装置43で撮像された画像情報とを比較し、当該錠剤1の下方側の面が「正常」か「異常」かを判定する。なお、図示していないが、下方検査部623は、大きさが適正か否かを検査する形状検査部と、異物が有るか否かを検査する異物検査部と、欠けが有るか否かを検査する欠け検査部等を備えている。
下方印刷検査部624は、下方印刷部撮像装置45によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の下方側の面における印刷部位12を検査する。具体的には、下方検査部623は、記録されている基準画像情報と下方印刷部撮像装置45で撮像された画像情報とを比較し、当該錠剤1の印刷部位12が「正常」か「異常」かを判定する。
側方検査部625は、側方撮像装置53で撮像された画像に基づいて、錠剤1の側方を検査する。具体的には、側方検査部625は、記録されている基準画像情報と側方撮像装置53で撮像された画像情報とを比較し、当該錠剤1の側方が「正常」か「異常」かを判定する。なお、図示していないが、側方検査部625は、形状検査部と、異物検査部と、欠け検査部等を備えている。
上方印刷制御部626は、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の上方側の面における割線11の有無を判定する上方割線判定部(「第2の割線判定部」ともいう)626aと、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の上方側の面に印刷するか否かを判定する上方印刷判定部(「第2の印刷判定部」ともいう)626bとを備える。また、上方印刷制御部626は、印刷情報を記憶する印刷情報記憶部626cを備える。
上方割線判定部626aは、上方撮像装置54によって撮像された画像から、割線11の有無を判定する。具体的には、上方割線判定部626aは、記録されている基準画像情報と上方撮像装置54によって撮像された画像情報とを比較し、「割線有り」か「割線無し」かを判定する。
上方印刷判定部626bは、上方割線判定部626aの判定結果に基づいて判定する。具体的には、上方印刷判定部626bは、上方割線判定部626aが「割線無し」と判定した際に、上方印刷装置55によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷する」と判定する。反対に、上方印刷判定部626bは、上方割線判定部626aが「割線有り」と判定した際に、上方印刷装置44によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。
上方検査部627は、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の上方側の面を検査する。具体的には、上方検査部627は、記録されている基準画像情報と上方撮像装置54によって撮像された画像情報とを比較し、当該錠剤1の上方側の面が「正常」か「異常」かを判定する。なお、上方検査部627は、図示していないが、形状検査部と、異物検査部と、欠け検査部等を備えている。
上方印刷検査部628は、上方印刷部撮像装置56によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の上方側の面における印刷部位12を検査する。具体的には、上方印刷検査部628は、記録されている基準画像情報と上方印刷部撮像装置56によって撮像された画像情報とを比較し、当該錠剤1の印刷部位12が「正常」か「異常」かを判定する。
割線検査部629は、下方割線判定部622aの判定結果と上方割線判定部626aの判定結果とに基づいて、各割線判定部622a,626aの判定結果を検査する。具体的には、割線検査部629は、双方の割線判定部622a,626aの判定結果が異なる(「割線有り」と「割線無し」である)際に、「正常」と判定する。一方、割線検査部629は、双方の割線判定部622a,626aの判定結果が同じ(「割線有り」と「割線有り」、又は「割線無し」と「割線無し」である)際に、「異常」と判定する。
出力装置63は、各撮像装置43,45,53,54,56が撮像して制御装置62に記憶された画像、及び各検査部623,624,625,627,628,629が検査した検査結果及び集計結果等を出力する。例えば、出力装置63は、モニタやプリンタ等である。
次に、本実施形態に係る印刷機を用いた錠剤1の製造方法が、図7を参酌して、以下に説明されている。なお、印刷される対象物は、分割するための割線11を一方側の面に有する錠剤1である。
まず、下方撮像装置43は、第1の搬送部24で搬送されている錠剤1の下方側の面を撮像する(ステップ101)。その後、下方割線判定部622aは、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定する(ステップ102)。その後、下方検査部623は、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の下方側の面が正常か異常かを検査する(ステップ103)。
そして、錠剤1の下方側の面に割線11が無い場合(ステップ104の「N」)には、下方印刷装置44が、搬送されている錠剤1の下方側の面に印刷する(ステップ105)。続いて、下方印刷部撮像装置45は、搬送されている錠剤1の下方側の面における印刷部位12を撮像する(ステップ106)。その後、下方印刷検査部624は、下方印刷部撮像装置45で撮像された画像に基づいて、印刷部位12が正常か異常かを検査する(ステップ107)。反対に、錠剤1の下方側の面に割線11が有る場合(ステップ104の「Y」)には、錠剤1は、印刷、撮像及び検査されることなく、搬送される。
錠剤1が、第1の搬送部24から第2の搬送部25に移ると、側方撮像装置53は、搬送されている錠剤1の側方を撮像する(ステップ108)。その後、側方検査部625は、側方撮像装置53によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の側方が正常か異常かを検査する(ステップ109)。
そして、上方撮像装置54は、第2の搬送部25で搬送されている錠剤1の上方側の面を撮像する(ステップ110)。その後、上方割線判定部626aは、上方撮像装置54で撮像した画像に基づいて、割線11の有無を判定する(ステップ111)。続いて、上方検査部627は、上方撮像装置54で撮像された画像に基づいて、錠剤1の上方側の面が正常か異常かを検査する(ステップ112)。
そして、錠剤1の上方側の面に割線11が無い場合(ステップ113の「N」)には、上方印刷装置55が、搬送されている錠剤1の上方側の面に印刷する(ステップ114)。続いて、上方印刷部撮像装置56は、搬送されている錠剤1の上方側の面における印刷部位12を撮像する(ステップ115)。その後、上方印刷検査部628は、上方印刷部撮像装置56によって撮像した画像に基づいて、印刷部位12が正常か異常かを検査する(ステップ116)。反対に、錠剤1の上方側の面に割線11が有る場合(ステップ113の「Y」)には、錠剤1は、印刷、撮像及び検査されることなく、搬送される。
そして、割線検査部629は、各割線判定部622a,626aの判定結果に基づいて、各割線判定部622a,626aの判定結果が正常か異常かを検査する(ステップ117)。その後、各検査部623,624,625,627,628,629で検査した結果のうち、一つでも異常が有る場合(ステップ118の「Y」)には、排斥装置27は、搬送されている当該錠剤1を排斥する(ステップ119)。反対に、各検査部623,624,625,627,628,629で検査した結果が全て正常である場合(ステップ118の「N」)には、錠剤1は、排斥されることなく、搬出装置26に搬送される。
次に、本実施形態に係る印刷機を用いた別の錠剤1の製造方法が、図8を参酌して、以下に説明されている。なお、印刷される対象物は、割線11を有していない錠剤1である。
対象物が割線11のない錠剤1であるため、下方割線判定部622aが割線の有無を判定すること(ステップ102、104)、上方割線判定部626aが割線の有無を判定すること(ステップ111、113)、割線検査部629が各割線判定部622a,626aの判定結果を検査すること(ステップ117)は、実施されない。そして、ステップ101、103、105〜110、112、114〜116及118〜119は、上述しているので、説明を繰り返さない。
以上より、本実施形態に係る印刷機によれば、搬送装置23は、錠剤1を搬送する。そして、下方撮像装置43は、搬送される錠剤1の下方側の面を撮像する。その後、下方検査部623は、下方撮像装置43で撮像された画像に基づいて、当該錠剤1の下方側の面を検査する。また、上方撮像装置54は、搬送される錠剤1の上方側の面を撮像する。その後、上方検査部627は、上方撮像装置54で撮像された画像に基づいて、当該錠剤1の上方側の面を検査する。
さらに、下方撮像装置43の下流側に配置される下方印刷装置44は、搬送される錠剤1の下方側の面に印刷すると共に、上方撮像装置54の下流側に配置される上方印刷装置55は、搬送される錠剤1の上方側の面に印刷する。これにより、印刷機は、搬送されている錠剤1の両方側の面を検査できる。また、印刷機は、搬送されている錠剤1の両方側の面に印刷したり、搬送されている錠剤1の上方側の面及び下方側の面のうち、所望の一方の面に印刷したりできる。
また、本実施形態に係る印刷機によれば、下方印刷判定部622bは、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、当該錠剤1の下方側の面に印刷するか否かを判定すると共に、上方印刷判定部626bは、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、当該錠剤1の上方側の面に印刷するか否かを判定する。これにより、印刷機は、各印刷判定部622b,626bの判定に基づいて、搬送されている錠剤1の両方側の面に印刷したり、搬送されている錠剤1の上方側の面及び下方側の面のうち、所望の一方の面に印刷したりできる。
また、本実施形態に係る印刷機において、搬送装置23は、分割するための割線11を一方側の面及び他方側の面の何れか一方に有する錠剤1を搬送する。また、下方割線判定部622aは、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定する。そして、下方割線判定部622aが、「割線有り」と判定した際に、下方印刷判定部622bは、当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。
また、上方割線判定部626aは、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定する。そして、上方割線判定部626aが、「割線有り」と判定した際に、上方印刷判定部626bは、当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。これにより、印刷機は、搬送されている錠剤1のうち、割線11を有する面に印刷することを防止できる。即ち、印刷機は、割線11を有していない面に確実に印刷できる。
また、本実施形態に係る印刷機によれば、割線検査部629は、双方の割線判定部622a,626aの判定結果が異なる際に、「正常」と判定する。一方、割線検査部629は、双方の割線判定部622a,626aの判定結果が同じ際に、「異常」と判定する。これにより、印刷機は、双方の割線判定部622a,626aが共に「割線有り(又は、割線無し)」と判定した際、例えば、割線判定部622a,626aの判定結果が誤りである際、及び両側に割線11を有する錠剤1(又は、両側に割線11を有しない錠剤1)が搬送された際に、当該錠剤1を異常と判定する。
なお、本発明に係る印刷機及び錠剤は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
例えば、本発明に係る印刷機において、第1の印刷判定部(下方印刷判定部)622bは、第1の検査部(下方検査部)623が異常と判定した際に、当該対象物(錠剤)1の一方側(下方側)を向いた面に印刷しないと判定すると共に、第2の印刷判定部(上方印刷判定部)626bは、第2の検査部(上方検査部)627が異常と判定した際に、当該対象物(錠剤)1の他方側(上方側)を向いた面に印刷しないと判定する構成が採用されてもよい。
かかる構成によれば、第1の検査部(下方検査部)623は、第1の撮像装置(下方撮像装置)43によって撮像された画像に基づいて、正常か異常かを判定する。そして、第1の印刷判定部(下方印刷判定部)622bは、第1の検査部(下方検査部)623が異常と判定した際に、当該対象物(錠剤)1の一方側(下方側)を向いた面に印刷しないと判定する。
また、第2の検査部(上方検査部)627は、第2の撮像装置(上方撮像装置)54によって撮像された画像に基づいて、正常か異常かを判定する。そして、第2の印刷判定部(上方印刷判定部)626bは、第2の検査部(上方検査部)627が異常と判定した際に、当該対象物(錠剤)1の他方側(上方側)を向いた面に印刷しないと判定する。これにより、印刷機は、各検査部623,627において異常と判定された当該対象物(錠剤)1への印刷を防止できる。
かかる構成の印刷機の一例が、図9〜図11を参酌して、以下に説明されている。
図9に示す印刷機は、排斥装置27によって排斥されることが決定した錠剤1に対し、決定した後の撮像、検査、判定及び印刷の実施を停止するように構成されている。なお、各検査部623,625,627は、形状検査、異物検査、欠け検査を順番に実施している。しかし、各検査部623,625,627は、所定の検査で異常と判定した際には、それ以降の他検査の実施を停止するように構成されている。
これは、排斥装置27によって排斥されることが決定した錠剤1は、決定した後の検査結果及び判定結果に関わらず、排斥される。したがって、図9に示す印刷機では、排斥することが決定した錠剤1が、撮像、検査、判定及び印刷を実施されない。このため、検査及び判定に必要な処理時間、及び印刷に必要なインク等が削減できる。
図9に示す印刷機において、下方印刷判定部622bは、下方割線判定部622a及び下方検査部623の判定結果に基づいて判定する。具体的には、下方割線判定部622aが「割線有り」と判定する場合、及び、下方検査部623が異常と判定する場合のうち、何れか一つに該当する場合に、下方印刷判定部622bは、下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。
また、上方印刷判定部626bは、下方検査部623、下方印刷検査部624、側方検査部625、上方割線判定部626a及び上方検査部627の判定結果に基づいて判定する。具体的には、上方割線判定部626aが「割線有り」と判定する場合、下方検査部623が異常と判定する場合、下方印刷検査部624が異常と判定する場合、側方検査部625が異常と判定する場合、及び上方検査部627が異常と判定する場合のうち、何れか一つに該当する場合に、上方印刷判定部626bは、上方印刷装置55によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。
次に、図9に示す印刷機を用いた錠剤1の製造方法が、図10を参酌して、以下に説明されている。なお、印刷される対象物は、分割するための割線11を一方側の面に有する錠剤1である。
上記実施形態に係る印刷機と比較すると、図9に示す印刷機においては、下方割線判定部622aが、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定した(ステップ102)後に、下方検査部623が、下方撮像装置43で撮像された画像に基づいて、錠剤1の下方側の面が正常か異常かを検査する(ステップ103)点で異なる。また、上方割線判定部626aが、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定した(ステップ111)後に、上方検査部627が、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、錠剤1の上方側の面が正常か異常かを検査する(ステップ112)点で異なる。
さらに、各検査部623,624,625,627,628が異常と判定した場合(ステップ103a、107a、109a、112a、116a、117aの「Y」)には、当該錠剤1に対し、それ以降の撮像、検査、判定及び印刷が停止される。そして、当該錠剤1は、排斥装置27によって排斥される(ステップ119)。なお、ステップ101〜117及び119は、上記実施形態に係る内容と略同じであるので、説明を繰り返さない。
次に、図9に示す印刷機を用いた別の錠剤1の製造方法が、図11を参酌して、以下に説明されている。なお、印刷される対象物は、割線11を有していない錠剤1である。
対象物が割線11を有していない錠剤1であるので、下方割線判定部622aが割線の有無を判定すること(ステップ102、104)、上方割線判定部626aが割線の有無を判定すること(ステップ111、113)、割線検査部629が各割線判定部622a,626aの判定結果を検査すること(ステップ117、117a)は、実施されない。 なお、ステップ103a、107a、109a、112a、116a及び117aは、上述しているので、説明を繰り返さない。また、ステップ101、103、105〜110、112、114〜116及び119は、上記実施形態に係る内容と略同じであるので、説明を繰り返さない。
また、上記実施形態に係る印刷機において、吸気孔241c,241cの離間距離は、錠剤1の直径より小さく設定されている。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。例えば、図12及び図13に示すように、吸気孔241c,241cの離間距離は、錠剤1の直径より大きく設定されてもよい。
図12及び図13に示す構成によれば、一つの吸気孔241cが一つの錠剤1を吸引できる。この吸引によって、錠剤1は、吸気孔241cを閉塞する。例えば、錠剤1は、第1の搬送部24における搬送ベルト241の下部に位置する吸気孔241cを閉塞する。したがって、下方印刷装置44は、吐出するインクが吸気孔241cに吸引される空気によって乱れることを防止でき、インクを安定して吐出できる。なお、かかる構成は、第2の搬送部25にも採用できる。
また、上記実施形態に係る印刷機において、搬送装置23は、直線状の搬送方向Xに沿って錠剤1を搬送する構成である。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。例えば、図14に示すように、搬送装置23は、曲線状の搬送方向Xに沿って錠剤1を搬送する構成でもよい。
図14に示す印刷機の搬送装置23は、貯留装置21から受け取った錠剤1を表面に吸着した状態で回転する第1の搬送部24と、第1の搬送部24から錠剤1を受け取り、表面に錠剤1を吸着した状態で回転する第2の搬送部25と、を備える。また、印刷機は、第2の搬送部25の下流側に、搬出装置26と排斥装置27とを備える。
そして、印刷機は、第1の搬送部24の外方に、第1の撮像装置43、第1の印刷装置44及び第1の印刷部撮像装置45を備える。さらに、印刷機は、第2の搬送部25の外方に、第2の撮像装置54、第2の印刷装置55及び第2の印刷部撮像装置56をそれぞれ備える。
また、上記実施形態に係る印刷機において、第1の搬送部24は、錠剤1の上方側に接した状態で錠剤1を搬送すると共に、第2の搬送部25は、錠剤1の下方側に接した状態で錠剤1を搬送する。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。
例えば、第1の搬送部24は、錠剤1の側方の他方側(水平方向における他方側)を向いた部位に接した状態で錠剤1を搬送すると共に、第2の搬送部25は、錠剤1の側方の一方側を向いた部位と接した状態で錠剤1を搬送する構成でもよい。そして、第1の撮像印刷ユニット4は、錠剤1の側方の一方側を向いた部位を撮像及び印刷すると共に、第2の撮像印刷ユニット5は、錠剤1の側方の他方側を向いた部位を撮像及び印刷してもよい。
また、上記実施形態に係る印刷機は、下方割線判定部622a(上方割線判定部626a)が判定(割線判定)した後に、下方検査部623(上方検査部627)が検査(形状検査、異物検査、欠け検査)する構成である。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。具体的に、印刷機は、割線判定が各検査部623,627の形状検査、異物検査、欠け検査の何れかの検査間に実施される構成でもよい。例えば、印刷機は、形状検査、割線判定、異物検査、欠け検査の順番に、実施される構成でもよい。
また、上記実施形態に係る印刷機において、印刷装置44,55は、インクを吐出する非接触式の印刷機構(インクジェットプリンタ等)である。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。例えば、印刷装置44,55は、レーザを照射して錠剤1に刻印や印刷する非接触式の印刷機構(レーザーマーカー等)であってもよい。また、印刷装置44、45は、錠剤1に接することで印刷する接触式の印刷機構(スタンプ等)であってもよい。
また、上記実施形態に係る印刷機において、印刷する対象は、錠剤1である。しかしながら、本発明に係る印刷機は、斯かる構成に限られない。例えば、印刷する対象は、菓子等の固形物でもよい。
また、上記実施形態に係る印刷機において、錠剤1に印刷される内容は、印字である。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。例えば、錠剤1に印刷される内容は、模様及び図柄等でもよい。尚、以下では、これら文字、模様、及び図柄等を単に「符号」と称する場合がある。
また、上記実施形態に係る印刷機において、各印刷装置44,55及び各印刷制御部622,626は、錠剤1の一方側(上記実施例では下方側)を向いた面及び他方側(上記実施例では上方側)を向いた面のうち、割線11を有する面に、印刷しない構成である。しかしながら、本発明に係る印刷機は、かかる構成に限られない。例えば、各印刷装置44,55及び各印刷制御部622,626は、錠剤1の割線11を有する面にも、印刷する構成でもよい。かかる構成の印刷機の6つの具体例が、以下に説明されている。
まず、割線11を有する面にも印刷する印刷機の第1の具体例が、図15〜図20を参酌して、以下に説明されている。
かかる印刷機の制御装置62において、図15に示すように、下方印刷制御部622は、下方割線判定部622a、下方印刷判定部622b及び印刷情報記憶部622cを備える。また、下方印刷制御部622は、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて割線11の位置を演算する割線位置演算部622dと、割線位置演算部622dにおいて演算された結果に基づいて、下方印刷装置44によって印刷する情報を演算する印刷情報演算部622eと、をさらに備える。
また、上方印刷制御部626は、上方割線判定部626a、上方印刷判定部626b及び印刷情報記憶部626cを備える。また、上方印刷制御部626は、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて割線11の位置を演算する割線位置演算部626dと、割線位置演算部626dにおいて演算された結果に基づいて、上方印刷装置55によって印刷する情報を演算する印刷情報演算部626eと、をさらに備える。
そして、かかる印刷機を用いた錠剤1の製造方法では、図16〜図18に示すように、上記実施形態に係る印刷機と比較すると、錠剤1の下方側の面に印刷する方法(ステップ105a)と、錠剤1の上方側の面に印刷する方法(ステップ114a)とにおいて異なる。なお、ステップ101〜103、106〜112及び115〜119は、上記実施形態に係る内容と略同じであるので、説明を繰り返さない。
かかる印刷機においては、下方検査部623が、錠剤1の下方側の面が正常か異常かを検査した(ステップ103)後に、下方印刷装置44が、錠剤1の下方側の面に印刷する(ステップ105a)。この印刷(ステップ105a)は、以下の通りである。
まず、下方割線判定部622aは、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定する(ステップ105b)。そして、錠剤1の下方側の面に割線11が無い場合(ステップ105bの「N」)、印刷情報演算部622eが印刷情報記憶部622cに記憶されている印刷情報を呼び出し(ステップ105d)、下方印刷装置44が、印刷情報演算部622eによって呼び出された情報を、錠剤1の下方側の面に印刷する。
反対に、錠剤1の下方側の面に割線11が有る場合(ステップ105bの「Y」)、割線位置演算部622dは、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算する(ステップ105c)。その後、印刷情報演算部622eは、印刷情報記憶部622cに記憶されている印刷情報を呼び出し、呼び出した情報を、割線位置演算部622dによって演算した角度だけ回転させるように演算する(ステップ105d)。そして、下方印刷装置44は、印刷情報演算部622eにおいて演算した情報に基づいて、錠剤1の下方側の面に印刷する。
また、かかる印刷機においては、錠剤1の上方側の面が正常か異常かを上方検査部627が検査した(ステップ112)後、上方印刷装置55が錠剤1の上方側の面に印刷する(ステップ114a)。この印刷(ステップ114a)は、以下の通りである。
まず、上方割線判定部626aは、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、割線11の有無を判定する(ステップ114b)。そして、錠剤1の上方側の面に割線11が無い場合(ステップ114bの「N」)、印刷情報演算部626eは、印刷情報記憶部626cに記憶されている印刷情報を呼び出す(ステップ114d)。上方印刷装置55は、印刷情報演算部626eによって呼び出された情報を、錠剤1の上方側の面に印刷する。
反対に、錠剤1の上方側の面に割線11が有る場合(ステップ114bの「Y」)、割線位置演算部626dは、上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて、割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算する(ステップ114c)。その後、印刷情報演算部626eは、印刷情報記憶部626cに記憶されている印刷情報を呼び出し、呼び出した情報を、割線位置演算部626dにおいて演算した角度だけ回転させるように演算する(ステップ114d)。上方印刷装置55は、印刷情報演算部626eにおいて演算した情報に基づいて、錠剤1の上方側の面に印刷する。
かかる構成によれば、割線11がさまざまな位置の状態で、錠剤1が搬送ベルト241によって搬送されていても、図19及び図20に示すように、下方印刷装置44は、割線11を基準として、同じように印刷できる。したがって、例えば、印刷部位(符号)12は、錠剤1の割線11に沿って印字されたものでもよい。具体的には、下方印刷装置44は、錠剤1における割線11の設けられた面101において、割線11に対して一方側の領域111に第1の符号121を印刷すると共に、他方側の領域112に第2の符号122を印刷してもよい。
次に、割線11を有する面にも印刷する印刷機の第2の具体例が、図21〜図23を参酌して、以下に説明されている。
かかる印刷機において、図21〜23に示すように、第1の搬送部24は、下方撮像装置43と下方印刷装置44と間に、割線11の位置(即ち、真っ直ぐに延びる溝状の割線11の方向)を揃える割線位置揃え装置245を備える。そして、割線位置揃え装置245は、錠剤1の両側に配置される一対の第1の接触体245a,245bと、錠剤1の両側に配置される一対の第2の接触体245c,245dとを備える。また、制御装置62は、各接触体245a〜245dを制御する接触体制御部620を備える。
尚、この具体例では、割線位置揃え装置245が割線方向揃え部を構成する。
第1の接触体245a,245bは、下方撮像装置43の下流側に配置されると共に、第1の搬送ベルト241の下方側に配置される。また、第1の接触体245a,245bは、底面視において(図21に示すように)、円形状に形成されると共に、それぞれ外周部が錠剤1の外周部(円筒状の周面103)に接触できるように、所定距離を離間して配置されている。そして、第1の接触体245a,245bは、異なる速度で回転することにより、同時に接触する錠剤1を回転(詳しくは、周面103の中心軸周りに回転)させる。
第2の接触体245c,245dは、第1の接触体245a,245bの下流側に配置されると共に、第1の搬送ベルト241の下方側に配置される。また、第2の接触体245c,245dは、底面視において(図21に示すように)、円形状に形成されると共に、それぞれ外周部で錠剤1の外周部(周面103)に接触できるように、所定距離を離間して配置されている。そして、第2の接触体245c,245dは、異なる速度で回転することにより、同時に接触する錠剤1を回転させる。
接触体制御部620は、下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算し、さらに、演算した角度に基づいて、各接触体245a〜245dの回転速度を演算する。そして、接触体制御部620は、各接触体245a〜245dが錠剤1と接触する際に、演算した回転速度となるように各接触体245a〜245dを制御する。
かかる構成によれば、割線11がさまざまな位置の状態で、錠剤1が搬送ベルト241によって搬送されていても、割線位置揃え装置245は、錠剤1を回転させることで、割線11を所定の位置にすることができる。これにより、下方印刷装置44は、割線11を基準として、錠剤1に対して同じように印刷できる。
なお、第2の搬送部25も、上方撮像装置54と上方印刷装置55と間に、割線11の位置を揃える割線位置揃え装置を備えてもよい。また、印刷機は、一対の接触体245a,245b(245c,245d)を2組備える構成だけでなく、1組、又は3組以上備える構成でもよい。
次に、割線11を有する面にも印刷する印刷機の第3の具体例が、図24〜図26を参酌して、以下に説明されている。
かかる印刷機において、図24〜図26に示すように、搬入装置22は、整列部222によって整列させられた錠剤1に対し、割線11の位置を揃える割線位置揃え装置223を備える。割線位置揃え装置223は、錠剤1を挟むように離間して配置される一対のガイド部223a,223bと、搬入ベルト221を振動させる振動装置223cとを備える。また、搬入ベルト221は、錠剤1の割線11に挿入する(嵌り込む)ように、幅方向中央部に突出し且つ長手方向(錠剤1の搬送方向)に延びる突条部(突条)221aを備える。
尚、この具体例では、割線位置揃え装置245と突条部221aとが、各錠剤1の割線11の方向を所定の方向に揃える割線方向揃え部を構成する。そして、これら割線位置揃え装置245と突条部221aとが協働して、各錠剤1の割線11の方向を所定の方向(この具体例では突条部221aの延びる方向)にそれぞれ揃える。
かかる構成によれば、振動装置223cが搬入ベルト221を振動させるため、搬入ベルト221で搬送される錠剤1は、一対のガイド部223a,223bの間で揺動する。これにより、割線11が設けられた面が突条部221aと接し且つ割線11の方向と突条部221aの方向とが異なる状態で突条部221aに乗った錠剤1が、その周面103の中心軸周りに回転する。このように、本実施例では、錠剤1と接触する一対のガイド部223a,223bと、突条部221aの設けられた搬入ベルト221を振動させる振動装置223cとが協働することによって、突条部221上において錠剤1を前記中心軸周り回転させることができる。即ち、本実施例の一対のガイド部223a、223bと、搬入ベルト221を振動させる振動装置223cとは、請求項における接触体に含まれる。
続いて、突条部221aの延びる方向と割線11の延びる方向が同じになったときに、錠剤1の自重等によって突条部221aが割線11に嵌り込む。具体的には、図25に示すように、錠剤1の割線11が搬入ベルト221の突条部221aと交差する位置から、図26に示すように、錠剤1の割線11が搬入ベルト221の突条部221aと平行な位置になると、突条部221aが割線11に挿入する。これにより、突条部221aが割線11を係止するため、基準位置となった錠剤1が回転することを防止できる。
したがって、割線11がさまざまな位置(向き)の状態で、錠剤1が搬入ベルト221によって搬送されていても、割線位置揃え装置223が錠剤1を揺動させることで、割線11を所定の位置(具体的には、突条部221aと平行な位置)にすることができる。これにより、下方印刷装置44は、割線11を基準として、錠剤1に対して同じように印刷できる。なお、割線11を上方側に位置して搬入装置22によって搬送された錠剤1は、下方割線判定部622aにより「割線無し」と判定され、貯留装置21や搬入装置22の上流側に戻される。
次に、割線11を有する面にも印刷する印刷機の第4の具体例が、図27〜図29を参酌して、以下に説明されている。
かかる印刷機において、図27〜図29に示すように、搬入装置22は、整列部222によって整列させられた錠剤1に対して、割線11の位置を揃える割線位置揃え装置223を備える。割線位置揃え装置223は、錠剤1の両側に配置される一対の接触体223d,223eと、各接触体223d,223eが掛け渡される複数の回転体223fとを備える。また、搬入ベルト221は、錠剤1の割線11に挿入するように、幅方向中央部に突出し且つ長手方向に延びる突条部221aと、突条部221aの位置に、錠剤1を吸引するための複数の吸気孔221bとを備える。
尚、この具体例においても、割線位置揃え装置223と、突条部221aと、が割線方向揃え部を構成する。そして、これら割線位置揃え装置223と、突条部221aと、が協働して、各錠剤1の割線11の方向を所定の方向にそれぞれ揃える。詳しくは、以下の通りである。
各接触体223d,223eは、整列部222の下流側に配置されると共に、搬入ベルト221の上方側に配置される。そして、各接触体223d,223eは、搬送方向Xに沿う部位を側部に有して無端回転する。具体的には、各接触体223d,223eは、搬入ベルト221と同方向に走行する。また、各接触体223d,223eは、それぞれ側部で錠剤1の外周部(周面103)に接触できるように、側部同士を平行に且つ離間して配置されている。そして、各接触体223d,223eは、異なる速度で走行することにより、接触する錠剤1を回転させる。即ち、割線11が設けられた面101が突条部221aと接し且つ割線11の方向と突条部221aの方向とが異なった状態で突条部221aに乗っている錠剤1が、その周面103の中心軸周りに回転する。
かかる構成によれば、異なる速度で走行する各接触体223d,223eが側部で錠剤1の外周部(周面103)と接触するため、搬入ベルト221で搬送される錠剤1は、一対の接触体223d,223eの間で回転する。即ち、割線11が設けられた面が突条部221aと接し且つ割線11の方向と突条部221aの向きとが異なった状態で突条部221aに乗っている錠剤1が、その周面103の中心軸周りに回転する。そして、図29に示すように、錠剤1の割線11が搬入ベルト221の突条部221aと平行な位置になると、突条部221aが割線11に挿入する。これにより、突条部221aが割線11を係止するため、基準位置となった錠剤1が回転することを防止できる。
なお、錠剤1の割線11が突条部221aに挿入されていない際には、吸気孔221bが閉塞されていない。この場合、錠剤1を吸引する力が小さいため、錠剤1は、一対の接触体223d,223eとの間の摩擦力によって回転する。反対に、錠剤1の割線11が突条部221aに挿入された際には、吸気孔221bが閉塞される。この場合、錠剤1を吸引する力が大きくなるため、突条部221aが割線11を係止する力と協働することで、基準位置となった錠剤1が回転することをより確実に防止できる。
したがって、割線11がさまざまな位置の状態で、錠剤1が搬入ベルト221によって搬送されていても、割線位置揃え装置223は、錠剤1を回転させることで、割線11を所定の位置(具体的には、突条部221aと平行な位置)にすることができる。これにより、下方印刷装置44は、割線11を基準として、錠剤1に対して同じように印刷できる。なお、割線11を上方側に位置して搬入装置22によって搬送された錠剤1は、下方割線判定部622aにより「割線無し」と判定され、貯留装置21又は搬入装置22の上流側に戻される。
次に、割線11を有する側にも印刷する印刷機の第5の具体例が、図30及び図31を参酌して、以下に説明されている。
かかる印刷機において、図30及び図31に示すように、搬入装置22は、整列部222によって整列させられた錠剤1に対して、割線11の位置を揃える割線位置揃え装置223を備える。割線位置揃え装置223は、錠剤1が載置されるべく、搬送方向Xに沿って配置される載置部223gと、載置部223gの一側方に配置され、搬送方向Xに沿う部位を上部に有して無端回転する第1の搬入ベルト223hと、載置部223gの他側方に配置され、搬送方向Xに沿う部位を上部に有して無端回転する第2の搬入ベルト223iとを備える。尚、この具体例では、割線位置揃え装置223が割線方向揃え部を構成する。
載置部223gは、錠剤1の割線11に挿入するように、幅方向中央部に突出し且つ長手方向に延びる突条部223jを備える。そして、錠剤1を吸引するための吸気部223k,223kが、載置部223gと各搬入ベルト223h,223iとの間にそれぞれ設けられている。また、一対の搬入ベルト223h,223iは、異なる速度で走行する。
かかる構成によれば、異なる速度で走行する一対の搬入ベルト223h,223iがその上部によって錠剤1の下方側の面と接触するため、吸気部223kによって吸引されている錠剤1は、載置部223g上で回転する。そして、突条部223jに乗った錠剤1がその周面の中心軸周りに回転し、図31に示すように、錠剤1の割線11が載置部223gの突条部223jと平行な位置になる。このとき、突条部223jが割線11に挿入する。これにより、突条部223jが割線11を係止するため、基準位置となった錠剤1が回転することを防止できる。
したがって、割線11がさまざまな位置の状態で、錠剤1が搬送されていても、割線位置揃え装置223は、錠剤1を回転させることで、割線11を所定の位置(具体的には、突条部223jと平行な位置)にすることができる。これにより、下方印刷装置44は、割線11を基準として、錠剤1に対して同じように印刷できる。なお、割線11を上方側に位置して搬入装置22で搬送された錠剤1は、下方割線判定部622aにより「割線無し」と判定され、貯留装置21又は搬入装置22の上流側に戻される。
次に、割線11を有する面にも印刷する印刷機の第6の具体例が、図32〜図34を参酌して、以下に説明されている。尚、本具体例の錠剤1の表面は、図32〜図34に示すように、一方側(図34では上側)を向いた面である第1の面101と、他方側(図34では下側)を向いた面である第2の面102と、第1の面101と第2の面102との周縁同士を接続する円筒状の周面103と、によって構成されている。また、本具体例の錠剤1では、割線11が第1の面101に設けられている。
かかる印刷機において、錠剤1が割線11の設けられた第1の面101を下方に向けて第1の搬送部24によって搬送されている場合には、下方印刷装置45と上方印刷装置55とが錠剤1の各面101、102に対して以下の通りに印刷する。
下方印刷装置45は、図32及び図34に示すように、第1の面101において、割線11に対して一方側(図32では左側)の第1領域111に第1の符号121を印刷すると共に、他方側(図32では右側)の第2領域112に第2の符号122を印刷する。この第2の符号122は、第1の符号121と異なる符合である。また、上方印刷装置55は、図33及び図34に示すように、第2の面102において、第1領域111と対応する第3領域(即ち、第1の面101の割線11と対応する部位110に対して一方側(図33では左側)の領域)113に第2の符号122を印刷すると共に、第2領域112と対応する第4領域(即ち、第1の面101の割線11と対応する部位110に対して他方側(図33では右側)の領域)114に第1の符号121を印刷する。
一方、錠剤1が割線11のない第2の面102を下方に向けて第1の搬送部24によって搬送されている場合には、下方印刷装置45と上方印刷装置55が錠剤1の各面101、102に対して以下の通りに印刷する。
下方印刷装置45は、第2の面102において、第3領域113に第1の符号121を印刷すると共に第4領域114に第2の符号122を印刷する。また、上方印刷装置55は、第1の面101において、第1の領域111に第2の符号122を印刷すると共に第2領域に第1の符号121を印刷する。
かかる構成によれば、当該印刷機によって印刷された錠剤1は、割線11の位置において分割されたときにいずれの分割片においても第1の符号121と第2の符号122との両符号がそれぞれ印刷されている状態となる。
この具体例の印刷機では、第1の搬送部24によって搬送される錠剤1の向きによって、各領域111、112、113、114に印刷される符号が異なっているが、この構成に限定されない。例えば、印刷機は、第1の搬送部24によって搬送される錠剤1の向きに関わらず、第1の領域111に第1の符号121、第2の領域112に第2の符号122、第3の領域113に第2の符号122、及び第4の領域114に第1の符号121を印刷するように構成されてもよい。
尚、本具体例では、割線11が錠剤1の一方の面(第1の面101)にのみ設けられているが、図35〜図37に示すように、両面(第1及び第2の面101、102)に設けられていてもよい。
また、上記実施形態及び各具体例の印刷機は、割線11内、及び割線11と対応する部位110内に印刷しないがこの構成に限定されない。印刷機は、例えば、一方側を向いた面の割線11を避けた領域(例えば、第6の具体例では第1の面101の第1領域111及び第2領域112)、及び他方側を向いた面の割線11と対応する部位110を避けた領域(例えば、第6の具体例では第2の面101の第3領域113及び第4領域114)の少なくとも1つの領域に印刷した上で、割線11内及び前記対応する部位110内に印刷する構成であってもよい。
本発明の印刷機及び錠剤は、上記実施形態及び上記具体例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。