JP6400616B2 - 両面反転印字錠剤 - Google Patents

両面反転印字錠剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6400616B2
JP6400616B2 JP2016036769A JP2016036769A JP6400616B2 JP 6400616 B2 JP6400616 B2 JP 6400616B2 JP 2016036769 A JP2016036769 A JP 2016036769A JP 2016036769 A JP2016036769 A JP 2016036769A JP 6400616 B2 JP6400616 B2 JP 6400616B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
display
area
solid preparation
active ingredient
name
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016036769A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016108345A (ja
JP2016108345A5 (ja
Inventor
史典 松原
史典 松原
達夫 遠藤
達夫 遠藤
悦子 一川
悦子 一川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemiphar Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemiphar Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=56123203&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6400616(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Nippon Chemiphar Co Ltd filed Critical Nippon Chemiphar Co Ltd
Publication of JP2016108345A publication Critical patent/JP2016108345A/ja
Publication of JP2016108345A5 publication Critical patent/JP2016108345A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6400616B2 publication Critical patent/JP6400616B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Description

本発明は、分割可能な固形製剤であって、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能な固形製剤に関する。また、本発明は、PTPシートに包装された状態の固形製剤のすべてについて、PTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能な固形製剤に関する。本発明は、特に、医薬品分野の分割可能な固形製剤に関する。
一般に、固形製剤は、分割して使用可能なように割線を入れることが多く、割線部分以外の部分に製品の品番等の製品を特定する情報が記されることが多い。特に、医薬品分野においては、しばしば、商品名の略称もしくは記号、活性成分に関連する略称もしくは記号、販売会社名の略称もしくは記号、活性成分の含有量に関連する略称もしくは記号などが表示される。
しかし、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能な固形製剤は知られていない。また、PTPシートに包装された状態の固形製剤のすべてについて、PTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能な固形製剤は知られていない。
分割可能な固形製剤は、特に、医薬品分野において、割線錠として知られており、略円盤状の錠剤の片面の中央に直線状の溝を設けることが多い。この場合、固形製剤の表面に表示される情報は、例えば、非特許文献1(アムロジピンOD錠「ケミファ」の医薬品添付文書)、非特許文献2(ゾルピデム酒石酸塩錠「ケミファ」の医薬品添付文書)、非特許文献3(アゼルニジピン錠「ケミファ」の医薬品添付文書)、非特許文献4(エピナスチン塩酸塩錠「ケミファ」の医薬品添付文書)、特許文献1(意匠登録1040188−1)、特許文献2(意匠登録1040188−2)、特許文献3(意匠登録1040188−4)、特許文献4(意匠登録1061256−2)に記載されるように、錠剤の打錠と同時に表面上の溝ないし刻印として(1)商品名もしくは活性成分に関連する略称もしくは記号の表示、および/または、(2)販売会社もしくは活性成分の含有量に関連する略称もしくは記号が表示される場合が多い(図1および図2参照)。
刻印表示の割線錠には、例えば、非特許文献5(ピオグリタゾン錠「ケミファ」の医薬品添付文書)のように、略円盤状の錠剤の両面の対応する位置に溝を設けることもある(図3参照)。固形製剤の両面に割線が形成される場合には、分割が容易となるように表および裏の面の対応する位置に割線が形成されることが多い。非特許文献5に記載されるように、表の面の1本の直線状の割線と、裏の面の十文字状の割線を併せ持つ割線錠も知られている。この場合も、分割が容易となるように、表の面の1本の直線状の割線の位置と裏の面の十文字状の割線を構成する1本の直線状の割線の位置とは対応する位置に形成されている。
刻印で表示された割線錠では、(1)商品名もしくは活性成分に関連する略称もしくは記号の表示、および/または、(2)販売会社名もしくは活性成分の含有量に関連する略称もしくは記号と割線とが一度に形成されることから、これらの相対位置が固定されるという利点を有するものの、刻印できる情報量が限られることから、十分な情報量を表示できないという問題点がある。
刻印表示の割線錠では、十分な情報量を表示できない結果として、商品名もしくは活性成分の表示も、販売会社の表示も、活性成分の含有量の表示も、略称ないし記号程度の表示にならざるを得ないという問題点がある。刻印表示の割線錠において避けることのできない簡略化された表示では、高齢者、子供、弱視者などの薬を必要とすることの多い社会的弱者はもとより、健常人にとっても、医薬品の内容を理解できないため、薬品の適正使用の妨げとなり、場合によっては医療事故の原因のひとつともなりうる。
打錠の際に刻印すれば、固形製剤の両面の対応する位置に割線を設けることができるとともに、割線の上下に(1)商品名もしくは活性成分に関連する略称もしくは記号の表示、および/または、(2)販売会社もしくは活性成分の含有量に関連する略称もしくは記号を位置決めして刻印することは容易である。しかしながら、刻印表示された割線錠では、刻印できる情報量が限られることから、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能なように表示することは困難である。
また、一般に、PTPシートの裏面にはアルミ等の不透明な素材が使用されることが多く、PTPシートの表の面にのみ透明なプラスチック素材が使用されるところ、固形製剤をPTPシートに包装する際にPTPシートの表裏と固形製剤の表裏を一致させる技術は知られていないことから、固形製剤の表の面がPTPシートの表の面に位置する包装状態と、固形製剤の裏の面がPTPシートの表の面に位置する包装状態とがランダムに生じる。そして、前述のとおり、刻印表示された割線錠では、刻印できる情報量が限られることから、PTPシートに包装された状態の固形製剤のすべてについて、PTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能なように表示ないし包装することは困難である。
近年、印刷技術の発達により、固形製剤の表面に酸化チタン等を存在させた上で、錠剤表面に紫外波長のレーザー光を照射して、固形製剤表面の酸化チタンを変色させるレーザー印字技術が開発されたことにより、グレーの鮮明な文字で詳しい情報を印字することが可能になっている。レーザー印字は解像度に優れることから、レーザー印字を用いれば、小さな医薬品錠剤の表面であっても、商品名の表示、活性成分の表示、販売会社の表示、活性成分の含有量の表示のすべてを視認可能なように表示することも可能である。
しかし、レーザー印字では、固形製剤の割線を基準とした特定の位置に印字する技術は開発されていない。そのため、レーザー印字を用いて、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能なようにレーザー印字された固形製剤は知られていない。特に、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能なようにレーザー印字された固形製剤は知られていない。
一方、近年、固形製剤の表面に解像度に優れたインクジェット方式で印字することにより、カラーの鮮明な文字で詳しい情報を印字することが可能になっている。そして、特許文献5に記載されているように、錠剤の割線の向きに応じて特定の位置にインクジェット印字する技術が開発されたことにより、非特許文献6(バルサルタンOD錠「トーワ」の医薬品添付文書)、および非特許文献7(ピタバスタチンCa・OD錠「トーワ」の医薬品添付文書)に記載されているように、片面割線錠の割線面において、割線で区分けされた両側に、割線部分に重ならないように、互いに180°回転させた点対称な配置で活性成分の一般名称と含有量を類推可能な表示を一つの面に重複して表示する固形製剤が販売されるようになった(以下、これらを「片面点対称表示」という。図4を参照)。これらの片面点対称表示された固形製剤は、分割した後の夫々の分割片から活性成分の一般名称と含有量を類推可能な表示が視認可能なようにジェットインク印字されている点で、従来の刻印された錠剤よりも視認性が向上している。
しかしながら、非特許文献6および非特許文献7に記載された片面点対称表示の割線錠においては、分割した後の夫々の分割片から視認可能な製剤内容は、「バルサ20」、「バルサ40」、「バルサ80」、「バルサ160」、「ピタバス1」、「ピタバス2」に過ぎないので、これらが、何を意味するのか分かりにくい(図4)。また、これらの表示は、分割した後の夫々の分割片の片方の面からのみ視認可能であるにすぎない。
非特許文献6および非特許文献7に記載された片面点対称表示の割線錠の割線のない面には「バルサルタンOD20トーワ」等と表示されていることから、活性成分の一般名称の表示、口腔内速崩壊性錠剤である旨の「OD」の表示、活性成分の含有量を類推可能な表示、および販売会社名の表示を視認可能である。しかしながら、かかる表示は、割線のない面の中央の全体にひとつ表示されているだけであるので、分割した後の表示は、分割によって文字列が分断される結果、意味不明な表示が残る結果となる。
さらにまた、割線のない面の表示は、反対側の割線の向きに対してランダムな角度でジェットインク印字されているので、なおさら、分割した後の表示は、分割によって文字列が斜めに分断されて意味不明な表示が残る結果となる。
その上、非特許文献6および非特許文献7に記載された片面点対称表示の片面割線錠をPTP包装した場合、割線面のみ、または、割線を有さない面のみを透明なプラスチック素材の側に向けてPTP包装する技術は開発されていないため、1シートのPTPに包装される固形製剤の約半数は、活性成分の一般名称と含有量を類推可能であるにすぎない略称の表示のみがPTPシートの表の面に来るようにPTP包装されることにならざるをえない。このような略称の表示ではかえって、他の活性成分と誤解される可能性があり、医薬品の表示として十分に好ましいとは言いにくい。
また、1シートのPTPに包装される固形製剤の当該約半数が、販売会社名の表示および口腔内速崩壊性錠剤である旨の「OD」の表示が視認可能ではない向きでPTP包装されることになる。さらに、「バルサルタンOD20トーワ」等と表示される面がPTPシートの表の面を向いて包装される錠剤と、「バルサ20」等と表示される面がPTPシートの表の面を向いて包装される錠剤とが約半数ずつ併存するため、ひとつのPTPシートに異なる2種類の錠剤が包装されているかのような混乱をもたらす懸念があるので、改善の余地がある。仮に割線を有する面(表の面)のみまたは割線を有する面の反対の面(裏の面)のみを透明なプラスチック素材の側に向けてPTP包装しうる包装装置を新たに開発したとしても、コストが増加するため、製造上好ましいとは言えない。
このように、分割した後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能な固形製剤は知られておらず、かかる表示の固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。また、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能な固形製剤は知られておらず、かかる表示の固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。
ところで、高齢者など多種類の医薬品を服用する患者のために、病院や調剤薬局で医薬品を1回分毎にまとめて包装する、いわゆる一包化を行うことが多い。一包化自体は公知の課題であるが、分割した後の夫々の分割片を用いて一包化するために、分割した後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が読み取れる固形製剤は知られておらず、かかる表示により視認性が向上した固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。特に、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能なようにレーザー印字された固形製剤は知られておらず、かかる表示により視認性が向上した固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。
さらに、表と裏で対称な形状の分割可能な固形製剤において、インクの滲み、インクの褪色、印字の欠損などの印字不良が生じたときにその原因を究明して故障部分を修理するために、表示により固形製剤の表と裏を識別し得るようにした固形製剤は知られておらず、かかる表示により製造時の不具合に対処しやすくした表示の固形製剤が望ましいという課題が存在することも知られていない。
さらに、分割した後の夫々の分割片の一方を朝用、もう一方を夜用として用いることができるように、互いに区別し得る形で(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が読み取れる固形製剤は知られておらず、かかる表示により服用を忘れにくくした固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。特に、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示が視認可能なようにレーザー印字された固形製剤は知られておらず、かかる表示により服用を忘れにくくした固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。
さらにまた、分割可能な固形製剤において、分割した後の分割片の夫々に、7文字以上の活性成分の一般名称を、略称を用いずに、かつ、美観を保ったままで表示するという課題は知られておらず、かかる表示により視認性が向上した固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。同様に、分割可能な固形製剤において、分割した後の分割片の夫々に、4文字以上の販売会社名を、略称を用いずに、かつ、美観を保ったままで表示するという課題は知られておらず、かかる表示により視認性が向上した固形製剤が必要であるという課題が存在することも知られていない。
意匠登録1040188−1 意匠登録1040188−2 意匠登録1040188−4 意匠登録1061256−2 特開2013−121432
アムロジピンOD錠「ケミファ」の医薬品添付文書 ゾルピデム酒石酸塩錠「ケミファ」の医薬品添付文書 アゼルニジピン錠「ケミファ」の医薬品添付文書 エピナスチン塩酸塩錠「ケミファ」の医薬品添付文書 ピオグリタゾン錠「ケミファ」の医薬品添付文書 バルサルタンOD錠「トーワ」の医薬品添付文書 ピタバスタチンCa・OD錠「トーワ」の医薬品添付文書
したがって、本発明の課題は、固形製剤を分割した後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示が読み取れるようにして視認性を向上させた固形製剤を開発することにある。また、本発明の課題は、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を読み取れるようにして視認性を向上させた固形製剤を開発することにある。
また、本発明の課題は、一包化の際に、分割した後の夫々の分割片を用いても、誤りなく一包化し、一包化した医薬品を服用する際にも医薬品の種類を確認し得るように、分割した後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を読み取れるようにして視認性を向上させた固形製剤を開発することにある。
特に、本発明の課題は、固形製剤を分割した後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示が読み取れるようにして視認性を向上させた固形製剤を開発することにある。また、特に、本発明の課題は、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示が読み取れるようにして視認性を向上させた固形製剤を開発することにある。
さらに、本発明の課題は、表と裏で対称な形状の分割可能な固形製剤において、インクの滲み、インクの褪色、印字の欠損などの印字不良が生じたときにその原因を究明して不具合部分を改善することができるように、表示により固形製剤の表と裏を識別し得るようにした固形製剤を開発することにある。
さらに、本発明の課題は、分割した後の夫々の分割片の一方を朝用、もう一方を夜用として区別して用いることにより服用を忘れにくくするために、分割した後の夫々の分割片を互いに区別し得る固形製剤を開発することにある。
さらにまた、本発明の課題は、分割可能な固形製剤において、分割した後の分割片の夫々に、7文字以上の活性成分の一般名称を、略称を用いずに、かつ、美観を保ったままで表示することにより視認性が向上した固形製剤を開発することにある。同様に、本発明の課題は、分割可能な固形製剤において、分割した後の分割片の夫々に、4文字以上の販売会社名を、略称を用いずに、かつ、美観を保ったままで表示することにより視認性が向上した固形製剤を開発することにある。
これらの課題に対して、本願発明者は、高齢者、子供、弱視者などでも識別し得る、視認性に優れた固形製剤を開発して患者に届けたいという動機に駆られて独自の考察を重ね深く洞察した結果、2分割または4分割後の断片の夫々の一方の面に、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示のうちの何れか1つ以上の共通の表示がなされるように表示を行い、当該表示が分割前の固形製剤のひとつの面に前記(1)と(2)の両方とも表示されるように当該断片を組み合わせた形に固形製剤を設計することにより、これらの課題を解決することに成功した。
さらに、本願発明者は、2分割または4分割後の夫々の断片の一方の面に(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示がなされるとともに、夫々の断片の他方の面には(2)販売会社名の表示もしくは活性成分の含有量の表示がなされるようにし、かつ、当該表示が分割前の固形製剤のひとつの面に前記(1)の表示のみが重複して表示されるのでも前記(2)の表示のみが重複して表示されるのでもなく、分割前の固形製剤のひとつの面に前記(1)と(2)の表示が両方とも表示されるように当該断片を組み合わせた形に固形製剤を設計することにより、これらの課題をすべて一度に解決することに成功した。
そして、本発明者は、図5に記載のように、表裏両面の対応する位置に直線状の割線を有する両面割線の固形製剤を、表の面を正面にして割線が水平に位置するように置いた場合に、割線で区分けされた表の面の上半分の領域の円周に沿って活性成分名を表示し、表の面の下半分の領域の円周に沿って販売会社名を表示するとともに、裏の面の上半分の領域の円周に沿って販売会社名を表示し、裏の面の下半分の領域の円周に沿って活性成分名を表示した場合に、本発明の課題をすべて一度に解決することができ、高齢者、子供、弱視者などでも容易に識別することができ、また、分割した後の夫々の分割片から活性成分名および販売会社名を視認することができ、かつ、PTPシートに包装された状態の固形製剤のすべてについてPTPシートの表の面から固形製剤に表示された活性成分名および販売会社名を視認することができるという格別優れた効果を奏することを確認して、本発明を完成した。
本発明を以下に詳しく説明する(図6参照)。
(1)片面または両面に1以上の割線を有する固形製剤であって、割線を有する一方の面を表の面とし、表の面の反対側の面を裏の面とし、表の面のうちで1つの割線で区分けされた片方の領域を表領域Aとし、表の面のうちで1つの割線で区分けされた他方の領域を表領域Bとし、表領域Aの裏側に位置する裏の面の領域を裏領域A‘とし、表領域Bの裏側に位置する裏の面の領域を裏領域B‘とした場合に、下記(i)および(ii)の何れかまたは両方を具える固形製剤:
(i)表領域Aと裏領域B’に共通する情報Xの表示が含まれていること、
(ii)表領域Bと裏領域A’に共通する情報Yの表示が含まれていること。
(2)情報Xが、商品名の表示もしくは活性成分の表示である、(1)に記載の固形製剤。
(3)情報Yが、販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示である、(1)または(2)に記載の固形製剤。
(4)両面に割線を有する、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(5)直線状の割線または十文字状の割線を有する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(6)固形製剤が、錠剤である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(7)裏の面の表示が、表の面に対して180°回転した表示となっている、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(8)表の面の割線を水平方向に位置するように置いたときに、割線の上に位置する表領域Aに表示される情報Xが、そのままの上下方向の表示の状態で裏領域B’に表示されるとともに、割線の下に位置する表領域Bに表示される情報Yが、そのままの上下方向の表示の状態で裏領域A’に表示される、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(9)情報Xが、商品名の表示もしくは活性成分名の一般名称の完全表示である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(10)情報Yが、販売会社の屋号の略称の表示、販売会社の屋号の通称の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示である、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(11)表示が、インクジェット印字もしくはレーザー印字による表示である、(1)〜(10)のいずれか一項に記載の固形製剤。
(12)情報Xおよび/または情報Yが、固形製剤の内縁部に沿って円弧状に表示される、(1)〜(11)のいずれか一項に記載の固形製剤。
本発明の固形製剤は、高齢者、子供、弱視者などであっても、固形製剤を分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を容易に読み取ることができる。また、本発明の固形製剤は、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を容易かつ確実に読み取ることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の固形製剤は、高齢者、子供、弱視者などであっても、固形製剤を分割した後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示を容易に読み取ることができる。また、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の固形製剤は、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示を容易かつ確実に読み取ることができる。
また、本発明の固形製剤は、分割した後の夫々の分割片を用いて薬剤を取り違えることなく一包化することができ、高齢者や子供が一包化した医薬品を服用する際にも一包化後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を容易かつ確実に読み取ることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の固形製剤は、分割した後の夫々の分割片を用いて薬剤を取り違えることなく一包化することができ、高齢者や子供が一包化した医薬品を服用する際にも一包化後の夫々の分割片から(1)商品名の表示もしくは活性成分の一般名称の完全表示、および/または、(2)販売会社の屋号の表示、販売会社を表す図形商標の表示、もしくは活性成分の含有量の表示を容易かつ確実に読み取ることができる。
さらに、本発明の固形製剤によれば、たとえ表と裏で同一形状の固形製剤であっても、分割後の固形製剤の表と裏を表示により識別し得るので、印字した錠剤に、インクの滲み、インクの褪色、印字の欠損などの印字不良が生じたときにその原因を究明して故障部分を修理することが容易である。
さらに、本発明の固形製剤は、分割した後の夫々の分割片の一方を朝用、もう一方を夜用として区別して用いることができるので、忘れずに服用することができる。
さらにまた、本発明の固形製剤は、分割可能な固形製剤であるにもかかわらず、分割した後の分割片の夫々について、7文字以上の活性成分の一般名称であっても略称を用いずに完全表示することができ、かつ、錠剤の縁にそって円弧状に表示することによる高いデザイン性を併せ持つ事ができる。同様に、分割可能な固形製剤であるにもかかわらず、分割した後の分割片の夫々について、4文字以上の販売会社名であっても、販売会社の屋号の略称ないし通称を内縁部に沿って円弧状に表示することによって、わかりにくい記号を用いずに販売会社を表示することができ、かつ、美しい外観を併せ持つことができる。
非特許文献1〜4に記載の、刻印で表示された片面割線錠剤の例。 特許文献1〜4(意匠公報)に記載の、刻印で表示された片面割線錠剤の例。 特許文献5(意匠公報)に記載の、刻印で表示された両面割線錠剤の例。 非特許文献6および7に記載された片面点対称表示。 カンデサルタン錠「ケミファ」における、両面反転表示(裏面上下置換表示)の模式図。 本発明の説明図。本発明の構成における、表領域A、表領域B,裏領域A’、裏領域B’の位置関係を示す。裏領域A’は表領域Aの裏側に位置している。裏領域B’ は表領域Bの裏側に位置している。 裏面半回転表示の具体的な実施形態の図。表示する文字の下方向が割線のある方向となるように表示する実施形態を示す。裏領域A’は表領域Aの裏側に位置している。裏領域B’ は表領域Bの裏側に位置している。 裏面半回転表示の具体的な実施形態の図。表示する文字の上方向が割線のある方向となるように表示する実施形態を示す。裏領域A’は表領域Aの裏側に位置している。裏領域B’ は表領域Bの裏側に位置している。 裏面半回転表示の具体的な実施形態の図。割線の上側の文字の上下と割線の下側の文字の上下が一致するように表示する実施形態を示す。裏領域A’は表領域Aの裏側に位置している。裏領域B’ は表領域Bの裏側に位置している。 裏面上下置換表示の具体的な実施形態の図。裏領域A’は表領域Aの裏側に位置している。裏領域B’ は表領域Bの裏側に位置している。観察者と対面している表の面の割線が水平方向に位置するように置いたときに、表示される文字等の上下はそのままにして、表の面の割線の上に位置する表示と同じ文字等の表示を裏の面の割線の下に位置する領域に表示されるとともに、表の面の割線の下に位置する表示と同じ文字等の表示を裏の面の割線の上に位置する領域に表示されている。 カンデサルタン錠「ケミファ」の具体的な形態および表示を示す図。本願実施例1に記載のカンデサルタン錠「ケミファ」の具体的な両面反転表示を有する両面割線錠剤の形態および表示を示す。
本発明の両面反転表示の具体的な形態としては、下記に述べる「裏面半回転表示」と「裏面上下置換表示」がある。
裏面半回転表示
本発明の具体的な実施形態としては、例えば、2分割可能な固形製剤の場合、割線を有する一方の面を表の面とみなし、観察者と対面している表の面の割線が水平方向に位置するように置いたときに、裏の面の表示が表の面に対して180°回転した表示とすることができる(図7、図8および図9を参照,以下、「裏面半回転表示」という。)。この場合、裏の面には割線があってもなくても良い。
裏面半回転表示のさらに具体的な実施形態としては、割線に沿って分割した後の夫々の分割片の表の面と裏の面の表示の組み合わせが、(A)活性成分の表示と販売会社の表示の組み合わせ(図7A、図8A、図9A)、(B)活性成分の表示と活性成分の含有量の表示の組み合わせ(図7B、図8B、図9B)、(C)販売会社の表示と活性成分の含有量の表示の組み合わせ(図7C、図8C、図9C)のいずれかを含むように選択することができる。
この場合、上記(A)〜(C)の夫々の組み合わせに挙げられていない表示要素については、固形製剤の表面上のいずれのスペースに表示しても良い。例えば、(C)販売会社の表示と活性成分の含有量の表示の組み合わせ(図7C、図8C、図9C)を選択した場合には、活性成分の表示は、活性成分の含有量の表示と同じ区分けのスペースに表示することができる。また、例えば、(A)活性成分の表示と販売会社の表示の組み合わせ(図7A、図8A、図9A)を選択した場合には、活性成分の含有量の表示は、割線成分名と同じ区分けの領域に表示してもよく、あるいは、分割前の固形製剤の表裏いずれかの面あるいは両方の面の中央に表示しても良い。
裏面上下置換表示
本発明の具体的な実施形態としては、例えば、2分割可能な固形製剤の場合、割線を有する一方の面を表の面とみなし、観察者と対面している表の面の割線が水平方向に位置するように置いたときに、表示される文字等の上下はそのままにして、表の面の割線の上に位置する表示と同じ文字等の表示を裏の面の割線の下に位置する領域に表示するとともに、表の面の割線の下に位置する表示と同じ文字等の表示を裏の面の割線の上に位置する領域に表示することができる(図10を参照,以下、「裏面上下置換表示」という。)。この場合も、裏の面には割線があってもなくても良い。
裏面上下置換表示のさらに具体的な実施形態としては、割線に沿って分割した後の夫々の分割片の表の面と裏の面の表示の組み合わせが、(A)活性成分の表示と販売会社の表示の組み合わせ(図10A)、(B)活性成分の表示と活性成分の含有量の表示の組み合わせ(図10B)、(C)販売会社の表示と活性成分の含有量の表示の組み合わせ(図10C)のいずれかを含むように選択することができる。
この場合、上記(A)〜(C)の夫々の組み合わせに挙げられていない表示要素については、固形製剤の表面上のいずれのスペースに表示しても良い。例えば、(C)販売会社の表示と活性成分の含有量の表示の組み合わせ(図10C)を選択した場合には、活性成分の表示は、活性成分の含有量の表示と同じ区分けの領域に表示することができる。また、例えば、(A)活性成分の表示と販売会社の表示の組み合わせ(図10A)を選択した場合には、活性成分の含有量の表示は、活性成分の表示と同じ区分けの領域に表示してもよく、あるいは、分割前の固形製剤の表裏いずれかの面あるいは両方の面の中央に表示しても良い。
裏面半回転表示と裏面上下置換表示に共通する事項
なお、本発明において、活性成分の表示は、活性成分を明確に理解できれば特に限定されないが、簡潔かつ明りょうに理解できることから活性成分の一般名称の表示であることが好ましい。活性成分の一般名称の表示は、活性成分の一般名称の完全表示であってもその略称でも良いが、完全表示がより好ましい。本発明において活性成分名の一般名称の完全表示とは、活性成分名を一言一句科学的に完全な形で表示する場合(以下、「フル表示」という。)もしくはフル表示に準じる表示(以下、「準フル表示」という。)をいう。
フル表示に準じる表示(準フル表示)としては、活性成分名が生体内で代謝されて活性体に変化するプロドラッグである場合に活性体の名称を表示する場合や、活性成分名が塩形である場合に塩を表示する部分を省いた表示が該当する。例えば、一般名称のフル表示がカンデサルタンシレキセチルである場合、フル表示では字数が多すぎてかえって識別しにくいので、活性体である「カンデサルタン」を準フル表示として用いた方が、視認性が向上する。また例えば、一般名称のフル表示がクロピドグレル硫酸塩である場合、フル表示では字数が多く漢字が細かくてかえって識別しにくいので、塩を表示する部分を省いた「クロピドグレル」を準フル表示として用いた方が、視認性が向上する。
本発明において、販売会社の表示は、販売会社の商号の完全表示であっても良いが、商号中に含まれる「株式会社」等の会社形態を示す部分は漢字が細かくてかえって識別しにくく、これを含めると字数が多くなりすぎてかえって識別しにくいので、商号から「株式会社」等の会社形態を示す部分を省いた部分の表示(以下、「屋号」という。)を販売会社の表示として使用することがより好ましい。商号から「株式会社」等の会社形態を示す部分を省いた部分(屋号)の表示は、屋号の完全表示であっても略称であっても通称であっても良いが、簡潔かつ明瞭に表示できることから、屋号のうちで識別性の高い部分を用いた略称もしくは通称を用いることが好ましい。また、販売会社を表す図形商標が簡潔かつ明瞭である場合には、本発明における販売会社の表示として、文字による販売会社名の表示を用いる代わりに、販売会社を表す図形商標を用いることによって視認性を向上させることができる。
例えば、日本ケミファ株式会社の場合、商号である「日本ケミファ株式会社」と完全表示すると「株式会社」等の会社形態を示す部分は漢字が細かくてかえって識別しにくく、これを含めると字数が多くなりすぎてかえって識別しにくいので、屋号である「日本ケミファ」を表示することが好ましく、さらに好ましくは屋号の略称である「ケミファ」を表示した方が、簡潔かつ明瞭に表示できるので視認性が向上する。また例えば、全日本空輸株式会社の場合、商号である「全日本空輸株式会社」と完全表示すると「株式会社」等の会社形態を示す部分は漢字が細かくてかえって識別しにくく、これを含めると字数が多くなりすぎてかえって識別しにくいので、屋号である「全日本空輸」を表示することが好ましく、さらに好ましくは屋号の通称である「ANA」を表示した方が、画数の多い漢字を使用せずに簡潔かつ明瞭に表示できるので視認性が向上する。また例えば、販売会社を表す図形商標としては、武田薬品工業株式会社の社章である〇印の中に正三角形を組み合わせたマークや、塩野義製薬株式会社の社章である丸印の中に分銅があしらわれたマーク等が該当する。
本発明において、活性成分の含有量の表示とは、活性成分の含有量を明確かつ簡潔に理解できる表示であれば特に限定されない。活性成分の含有量の表示は、活性成分の含有量を単位とともに表示しても良いし、医薬品の固形製剤である場合には活性成分の含有量の表示は通常ミリグラム単位であることから、ミリグラムないしmgの表示を省略した数字のみの表示であっても良い。また、配合剤である場合には、活性成分の含有量の組み合わせが厚生労働省によって規定されているので、厚生労働省の定める規格に従って、当該規格を表す「LD」、「HD」等の表示であっても良い。
これらの文字の表示方法としては、人間の眼が横に2つ並んでいることから、和英混合の文章において通常採用される一般的な表記方法に倣って左から右へ横に水平に表示することが好ましいが、デザイン性を重視して、錠剤の内縁部にそって円弧状に文字を配置しても良い。表示する文字の大きさは、十分に読みやすい大きさが好ましく、表示する文字の種類としては、読みやすさの観点からカタカナ、ひらがなまたは英数字が好ましい。
固形製剤の形態ないし作製方法としては、2面以上を有する分割可能な固形製剤であれば限定されないが、飲みやすさから錠剤が好ましく、製造しやすさから打錠して製造する錠剤が望ましい。本発明において、表の面とは、固形製剤の対をなして向かい合った面のうちで割線を有する面をいい、裏の面とは、表の面と対をなして向かい合うもう一方の面をいう。
固形製剤が錠剤である場合、半分量または1/4量を使用したい場合を想定して、割線錠とする場合がある。例えば、半分量の使用が想定される場合には固形製剤の中央に略直線状の割線を入れることが通常であり、1/4量の使用が想定される場合には、固形製剤の中央に略十文字状の割線を入れることが通常である。
割線は、固形製剤表面の溝として形成されることが多く、この場合、通常は手指で押すことによって分割可能である。割線は、手指で押すことによって分割可能であるように、略直線状の溝ないし略直線状の溝の組み合わせによって形成されるのが通常である。しかし、医薬品の固形製剤に関しては、医療機関などで錠剤を分割する器具を具えている場合もあるので、この場合、視認可能な直線または十文字が印字された飾り割線でも分割可能である。
割線が形成される固形製剤の形状は特に限定されないが、丸みを帯びた平板状の錠剤であることが多く、丸みを帯びた四角い平板上でも、丸みを帯びた楕円形の平板状でも、ラグビーボールに近い平板状でも良いが、最も一般的な形状は、丸みを帯びた略円盤状の形状である。割線は、固形製剤の片面または両面に形成される。
固形製剤を包装容器から取り出した後でも(1)商品名(ブランド名)の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を視認できるように、固形製剤の表面には、これらの情報を表示することが多い。
本発明の割線錠は、片面にのみ割線を有していても、両面に割線を有していても良い。片面にのみ割線を有する場合には、割線を有さないもう一方の面にはより大きな文字で表示できるので好ましい。両面に割線を有する場合には、より分割しやすいので好ましい。
本発明の割線は、一つの略直線状の割線であっても、または略直線状の割線が交差して+の文字状になった割線であってもよい。十分な表示スペースを確保できる大きさの固形製剤である場合には、3本以上の割線を有していても良い。ただし、通常の医薬品の錠剤の大きさはおよそ直径9mm以下の円盤状であることから、一つの略直線状の割線または+の文字状の割線が好ましく、一つの略直線状の割線がもっとも好ましい。
(1)商品名(ブランド名)の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示の表示手段は、表示できればどのような表示方法であってもよく、刻印であっても良いが、きめ細かい文字で印刷できることからレーザー印刷またはジェットインク印刷が好ましく、酸化チタンを使用しなくても印刷でき、精細な文字でカラー印刷できることからジェットインク印刷が最も好ましい。
本発明の固形製剤の活性成分、添加物等は、固形製剤であれば特に限定されるものではなく、いかなる成分を含有していても良い。また、医薬品分野の錠剤に限定されるものではなく、食品分野であっても、衛生分野であっても、分割可能な固形製剤であれば特に限定されない。
本発明の特に好ましい具体的な態様を実施例1として示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
高血圧症治療剤である「カンデサルタン錠『ケミファ』」の具体的な形態および表示を図11に示す。
「カンデサルタン錠『ケミファ』」は、両面の中央に直線状の割線を有する両面割線錠であって裏面上下置換表示されている。より具体的には、割線を有する一方の面を表の面とみなし、観察者と対面している表の面の割線が水平方向に位置するように置いたときに、文字の上下はそのままにして、表の面の割線の上に位置する領域の「カンデサルタン」の表示と同じ「カンデサルタン」の文字の表示が裏の面の割線の下に位置する領域に表示されるとともに、表の面の割線の下に位置する「ケミファ」の表示と同じ「ケミファ」の文字の表示が裏の面の割線の上に位置する領域に表示されている。
また、夫々の文字は、文字の上下はそのままにして、錠剤の内縁に沿って円弧上に配置されている。そして、活性成分の含有量の表示である「4」、「8」、「12」の文字は、表の面および裏の面の夫々中央部分に配置されている。
「カンデサルタン錠『ケミファ』」は、かかる構成を有することにより、
固形製剤を分割した後の夫々の分割片から、活性成分の一般名称および販売会社名を容易に読み取ることができ、また、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から活性成分の一般名称の完全表示および販売会社の屋号の略称を容易に読み取ることができ、その結果、分割した後の夫々の分割片を用いて薬剤を取り違えることなく一包化することができ、高齢者、子供、弱視者などであっても、一包化後の夫々の分割片から、活性成分の一般名称の完全表示および販売会社の屋号の略称を容易かつ間違えずに読み取ることができるという格別顕著な効果を奏する。
同時に、「カンデサルタン錠『ケミファ』」は、表と裏で対象な形状の両面割線錠剤であるにもかかわらず、その表示によって分割後の固形製剤の表と裏を識別し得るので、印字不良の原因の特定が容易であるとともに、分割した後の夫々の分割片の一方を朝用、もう一方を夜用として区別して用いることができるので、忘れずに服用することができ、さらに、7文字以上の活性成分の一般名称と4文字以上の販売会社名を分割後の夫々の分割片の内縁に沿って円弧状に美しく表示することができるという、デザイン性と機能性を兼ね備えた機能美を有する。
本発明の両面反転表示を施した固形製剤は、医師、看護婦、薬剤師はもちろん、高齢者、子供、弱視者等であっても、分割した後の夫々の分割片から、(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を容易に読み取ることができ、また、PTPシートに包装した状態のすべての固形製剤についてPTPシートの表の面から(1)商品名の表示もしくは活性成分の表示、および/または、(2)販売会社の表示もしくは活性成分の含有量の表示を容易に読み取ることができ、その結果、分割した後の夫々の分割片を用いて薬剤を取り違えることなく安心して一包化することができるので、産業上有用である。

Claims (6)

  1. 両面に1つの直線状の割線を有する固形製剤であって、割線を有する一方の面を表の面とし、表の面の反対側の面を裏の面とし、表の面のうちで1つの割線で区分けされた片方の領域を表領域Aとし、表の面のうちで1つの割線で区分けされた他方の領域を表領域Bとし、表領域Aの裏側に位置する裏の面の領域を裏領域A’とし、表領域Bの裏側に位置する裏の面の領域を裏領域B’とした場合に、下記(i)および(ii):
    (i)表領域Aと裏領域B’に共通する情報Xの表示が含まれていること、
    (ii)表領域Bと裏領域A’に共通する情報Yの表示が含まれていること
    の両方を具える固形製剤であって、
    表の面の割線を水平方向に位置するように置いたときに、割線の上に位置する表領域Aに表示される情報Xが、そのままの上下方向の表示の状態で裏領域B’に表示されるとともに、割線の下に位置する表領域Bに表示される情報Yが、そのままの上下方向の表示の状態で裏領域A’に表示され、
    情報Xが、商品名の表示もしくは活性成分の表示であり、
    情報Yが、販売会社の表示であり、
    情報Xおよび/または情報Yが、固形製剤の内縁部に沿って円弧状に表示される、錠剤である固形製剤。
  2. 7文字以上の活性成分の一般名称を表示する、請求項1に記載の固形製剤。
  3. 4文字以上の販売会社の屋号の略称又は通称を表示する、請求項1又は2に記載の固形製剤。
  4. 一包化用分割片を提供する、請求項1〜のいずれか一項に記載の固形製剤。
  5. 分割片が、それぞれ朝と夜に服用される、請求項に記載の固形製剤。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の固形製剤を含むPTPシート。
JP2016036769A 2014-09-12 2016-02-29 両面反転印字錠剤 Active JP6400616B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014187125 2014-09-12
JP2014187125 2014-09-12

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014187174 Division 2014-09-16

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018165662A Division JP6559859B2 (ja) 2014-09-12 2018-09-05 両面反転印字錠剤

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016108345A JP2016108345A (ja) 2016-06-20
JP2016108345A5 JP2016108345A5 (ja) 2017-10-19
JP6400616B2 true JP6400616B2 (ja) 2018-10-03

Family

ID=56123203

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016036769A Active JP6400616B2 (ja) 2014-09-12 2016-02-29 両面反転印字錠剤
JP2018165662A Active JP6559859B2 (ja) 2014-09-12 2018-09-05 両面反転印字錠剤

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018165662A Active JP6559859B2 (ja) 2014-09-12 2018-09-05 両面反転印字錠剤

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6400616B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017225784A (ja) * 2016-06-25 2017-12-28 フロイント産業株式会社 錠剤マーク印刷方法、錠剤マーク印刷機、及び錠剤
JP6745670B2 (ja) * 2016-07-29 2020-08-26 芝浦メカトロニクス株式会社 錠剤印刷装置、錠剤及び錠剤製造方法
JP6865714B2 (ja) * 2018-07-03 2021-04-28 Ckd株式会社 Ptpシートの製造方法
JP2022023555A (ja) * 2020-07-27 2022-02-08 株式会社Screenホールディングス 印刷方法、および、錠剤

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6352184B2 (ja) * 2012-07-19 2018-07-04 大塚製薬株式会社 印刷機、及び錠剤の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016108345A (ja) 2016-06-20
JP2018197267A (ja) 2018-12-13
JP6559859B2 (ja) 2019-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6559859B2 (ja) 両面反転印字錠剤
Notenboom et al. Practical problems with medication use that older people experience: a qualitative study
MX2011005409A (es) Material de empaquetado para producto farmaceutico.
Eichie et al. In vitro assessment of quality control parameters of some commercially available generics of amlodipine besylate in Nigerian drug market
Cohen The role of drug packaging and labeling in medication errors
JP5588881B2 (ja) 用量設定パッケージ
Mosena et al. The appropriateness and risks of tablet splitting: medifile: clinical review
JP2012501197A (ja) 注射可能な薬剤およびそれらの希釈剤を標準化する方法
Carrington Safe use of oral cytotoxic medicines
GB2434140A (en) Information carrier with event recording leaf
KR20090052299A (ko) 약의 복용여부를 하루의 3시기와 일자별로 표시하는 기능을갖는 약병
JP3060146U (ja) 薬剤識別ラベル
JP3068718U (ja) 薬 袋
Shankar et al. Labeling of OTC drugs in India: Dilemma whether pharmacy centred or patient centred
JP2007319479A (ja) 薬袋
CN210963106U (zh) 一种用于提醒患者按时按量服药的标签
JP5645019B2 (ja) 薬剤を識別するための器具およびその利用
Ogundeko et al. Readability of drugs and chemicals package inserts information: a survey of the Nigerian market
TW201204343A (en) Medicine package with instructions
Kumar DIRECTION TO REACH CLOSER TO THE EFFECTIVE LABELING OF DRUGS WITH CRITICAL PARAMETERS
JPH0119950Y2 (ja)
JP3074756U (ja) 薬剤用分包紙
JP3112954U (ja) 薬袋
Rees Labelling of dispensed medicines
DIRECTORATE-GENERAL A guideline on the readability of the label and package leaflet of medicinal products for human use

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170906

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180424

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180905

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6400616

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250