JP4313441B2 - シートユニット - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートユニット（seating unit）に関する。特に、本発明は、航空機の客室用のシートユニットに関する。
【０００２】
【従来の技術】
多くの航空機においては、旅行中に乗客にゆとりや快適さを与えるため、ファーストクラスの客室には、広い間隔が設けられた大型のシートが据え付けられている。実際、現在では、全てのファーストクラスの客室に大型のダブルシートが、少なくとも１５００ｍｍのピッチ（シート間の前後方向間隔（longitudinal distance ））で取り付けられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
現在のシートデザインには幾つかの問題点がある。即ち、現在のシートは平らに倒すように設計されていないが、これは睡眠を不快にするものである。また、２つのシートの間におけるプライバシーの欠如ということもある。これは、特に睡眠中、乗客を非常に狼狽させるものとなり得る。乗客がいうには、その感覚は見知らぬ者とベッドの中にいるのと似ているそうである。勿論、これらのシートを平らに倒せるように設計することはできる。しかし、これは、シートを倒す方法に関して他の問題を生ずる。シートが倒される場合、その背もたれは乗客の収容スペースの中へと後方に傾動する。これは、自己の居住空間が侵されていると感じる乗客にとり、心理的に不快なものとなる。また、それは、倒されたシートの後側の乗客にとり、自分のシートを更に他の乗客に迷惑をかけない状態にしておくことを困難なものとする。これは、特に、窓側のシートを使用している乗客にとり困難であり、この者は、シートを離れる時、前の傾倒シートの乗客と隣の通路側シートの乗客に迷惑をかけることとなろう。この問題を解決する方法の一つは、勿論、シート間のピッチを約２ｍまで広げることである。これは、たった一つの目的（比較的マイナーな利点）のために客室内の収容能力を減じることは明らかであるので、望ましくない。
【０００４】
更に、従来のファーストクラスのシートのデザインは、乗客各人のための個々の荷物保管スペースを提供するのに役立つものではない。乗客は手の届く範囲で私有物を収納ないしは保管することを好むものであるが、現在、これは、バッグや枕、新聞等が客室の床の上に置く場合のみ可能である。従って、飛行中、特に長時間の夜通しの飛行の場合、客室は非常に乱雑な状態となる可能性がある。
【０００５】
本発明は上記問題点を解決又は少なくとも減ずることを目的としている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の一面によれば、傾倒可能な背もたれを有する第１のシートを収容する固定されたハウジングを備えており、前記背もたれが前記ハウジング内に残るようにして傾倒するよう配列されているシートユニットを提供することとしている。
【０００７】
また、本発明の別の面によれば、背もたれ及び座部分を備える傾倒可能な第１のシートと、対向配置された第２のシートとを具備する収容ユニットであって、第１のシートが傾倒位置に可動であり、当該傾倒位置において背もたれ及び座部分が第２のシートと共に略平坦な寝台面を形成するようになっているものを提供することとしてる。
【０００８】
更に、本発明の別の面によれば、背もたれ部分と、座部分と、この座部分に関連されるトロリーとを備えるシートであって、トロリーが引込み位置と引伸し位置との間で座部分を移動させるように駆動可能であり、座部分及び背もたれ部分は、座部分が引込み位置と引伸し位置との間で移動された場合に背もたれ部分が略直立位置と傾倒位置との間で移動されるように協働するようになっているシートを提供することとしている。
【０００９】
また、本発明は、車両用のシートユニットを提供するものであり、このシートユニットは、第１のシートと、当該第１のシートに隣接配置され且つ第１のシートから構造的に分離されている、第１のシートの占有者により個人的に使用されるユーティリティを収容するためのユーティリティユニットとを備えている。
【００１０】
ここで述べるシートユニットにおいては、各ユニットは、乗客が座るためのサポートを提供することを目的とした第１のシートを備えている。また、ユーティリティ、すなわち、テーブルやテレビスクリーン、保管所のような補助的な特別物（ancillary features）が、第１のシートと共にシートユニットを形成する分離型のユーティリティユニット若しくはサイドボードによって提供される。従って、飛行中、乗客がその者のユーティリティを使用しても、そのような使用はその乗客のシートユニットの領域内にほぼ限られるので、他の乗客の迷惑とならない。
【００１１】
以下では、シートがハサミ形片持ち梁配列によって傾倒される場合に、レッグサポートパネルがシートの前から片持ち梁状に突出されるリクライニングシートについて説明している。このようなハサミ形配列は航空機のシートに広く用いられている。
【００１２】
本発明の更に別の面によれば、前述のシートユニット又は収容ユニットを複数備える客室を有する航空機を提供している。
【００１３】
従来、航空機の客室におけるシートは、シートの横列が航空機の軸線に垂直に位置決めされる形態で、統一的に配列されている。一般的に、シートの各横列は、各乗客が同じ大きさのスペースを有するよう、前の横列から一定距離で離隔されている。また、等しい間隔により、一のシートの背もたれが、後ろのシートの占有者のために、テーブルの支持や保管スペースの形成を可能とし、場合によってはテレビスクリーンや他の付属品、ユーティリティの収容も可能とする。しかし、このように後ろのシートのためのユーティリティを支持するようにシートの後部を使用するということは、飛行中に乗客の一人の動作が他の乗客に迷惑をかける結果となる望ましくない妥協案である。
【００１４】
そこで、本発明は、主軸線を有しており且つこの主軸線の各側に１つずつ設けられた少なくとも２つの壁により画成されている客室を備える車両であって、前記客室が、それぞれ主軸線を有し且つ個々の乗客により使用されるのに適した複数の収容ユニットを含んでおり、少なくとも一部の収容ユニットは各壁にて所定のラインに沿って千鳥配列され、前記ラインに沿う収容ユニットの各々の主軸線が客室の主軸線と非整列状態となる配列を画成し、それによって、ラインに沿う収容ユニットのいずれもが他のいずれの前記収容ユニットとも完全に隣合うのを避けることにより当該収容ユニットにおける各乗客に対してプライバシーを確保するようになっている車両を提供している。
【００１５】
以下の説明から明らかとなろうが、千鳥配列状態により各乗客に対してより程度の高いプライバシーの保護が与えられる。このような配列によって、スクリーンを隣合うシートユニット間に配置することができ、各乗客の領域の限界を画すことができる。千鳥配列状態はまた、同一の客室空間内で、個々の乗客のスペースを殆どロスすることなく、より多くのシートを設けることを可能とする。
【００１６】
本発明の上記及びその他の特徴は、特に特許請求の範囲に記載されている。また、本発明の特徴はその利点と共に、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明を添付図面を参照して検討することで、更に明らかとなろう。
【００１７】
【発明の実施の形態】
添付図面の図１を参照すると、収容ユニット若しくはシートユニット１が示されており、このシートユニット１は、傾倒可能（reclinable）な第１のシート（主シート）２と、固定された第２のシート（副シート）３とを備えている。シートユニット１における両シート２，３は、ファーストクラスの一人の乗客により使用されるために設けられている。勿論、シート２，３をどのように使用するかは乗客次第であるが、旅行中、乗客は自分自身で第１のシート２の使用をし、旅行中に一緒にいるよう招いた他の乗客のために第２のシート３を使用することを予定している。
【００１８】
第１のユニット１の隣には、第１のシート５及び第２のシート６を備える第２のユニット４が配置されるとよい。そのような場合、第１のユニット１と第２のユニット４は、これら２つのユニット１，４の間のプライバシーを守る仕切り壁７により互いに分離される。このために、仕切り壁７は、２つのユニットにおける第１のシート２，５の間のスクリーン８と、第２のシート３，６の間のスクリーン９とを備えている。更にプライバシーを守るために、更なるスクリーン１０が２つの第２のシート３，６の後ろに延びている。
【００１９】
図１に示す２つにユニット１，４は、客室の中央部に配置されるように、且つ、一緒に旅行をしているカップルに提供されるように、設計されている。このために、２つのスクリーン８，９は控え目に寸法決めされ、２つのユニット１，４に座っている乗客が互いに談話するのを妨げることはない。なお、これらの乗客が一緒に旅行していない場合には、２つのユニット１，４を互いに完全に分離するために、仕切り壁の上方に延びるよう、スクリーン８，９の一方又は両方に引出し可能なスクリーン（図示せず）を設けるのが好適である。
【００２０】
各ユニットにおける第１のシート２と第２のシート３との間のスペースは大きく、実際には、テーブルが２つのシート２，３間に有効に配置されるのに十分な大きさとされている。仕切り壁７はテーブル収納部分１１を含んでいる。図２に示すように、収納部分１１に収納されたテーブル１２は、飛行中、乗客が望むならば、第１のシート２と第２のシート３との間に配置され得る。
【００２１】
第２のシート２とスクリーン１０との間の平坦な領域、すなわちカウンタートップ（counter top ）１３は、そこの乗客が使用することができ、望むならば、その者のブリーフケースや新聞、その他の私財を置くことができる。更に、面１３の下にテレビスクリーン（図示せず）が蝶番で設けられるのも好適である。
【００２２】
より大きなプライバシーは、シートユニットを千鳥配置若しくはオーバーラップ配置とすることにより得られると考えられる。シートユニットが千鳥配置された一態様が添付図面の図３に示されている。この配列において、複数のシートユニット１５が客室１６のエッジ（へり）に沿って設けられている。ユニット１５の各々は、第１のシート１７と第２のシート１８とを備えている。乗客がいずれかのユニット１５の第１シート１７に座った場合、その乗客は航空機の外側の方を向くこととなる。便宜上、このオーバーラップ形態を本明細書では「機外向き配列（outboard-facing arrangement ）」という。なお、２対のユニット１，４及び１′，４′が客室の中心線１９に沿って設けられていることに注意すべきである。これらのユニット１，４及び１′，４′は図１及び図２に示されたユニットと同等であるが、ユニット１′，４′間の間隔がユニット１，４間の間隔よりも大きくなっていることが分るであろう。ユニット間の間隔の大きさは、乗客の予想される好みや客室内の利用可能なスペースに応じて選択され得るものである。
【００２３】
シートユニットの千鳥配列の他の態様としては図４に示すものがある。これもまた、複数のシートユニット２１が客室１６のエッジに沿って設けられ、各シートユニット２１は第１のシート２２と第２のシート２３とを備えている。乗客がいずれかのシートユニット２１の第１のシート２２に座った時、その乗客は航空機の客室の内側に向く。便宜上、このオーバーラップ形態を本明細書では「機内向き配列（inboard-facing arrangement）」という。図３に示す配列と同様に、ユニット１，４の対とユニット１′，４′の対は客室の中心線１９に沿って設けられている。
【００２４】
これらの千鳥配列は共に、２ｍ以上の間隔で従来から知られている２ｍ以上の間隔を有する二重シート配列（double-seating arrangement）を用いて収容できるのと同数の乗客を収容できる程度まで、客室のスペースを有効利用するものである。機内向き配列を使用するか或は機外向き配列を使用するかの選択は、いずれの配列も他の配列を越えるほどのコスト上の利点は殆どないので、任意である。事前調査では、機外向き配列が乗客により好まれる傾向があることが示された。これは機外向き配列の方が機内向き配列よりもプライバシーの感覚がより優れているからである。機外向き配列の場合、乗客は客室内の他の乗客を見るためには、からだごと回さなければならず、一方、機内向き配列の場合、乗客は既に他の乗客の方に内側に向いている。
【００２５】
シートユニットの設計ないしはデザインは、そのシートユニットが中央部分のためのものであるか、或は、機内向き配列でエッジ部分のためのもの若しくは機外向き配列でエッジ部分のためのものであるかによって、僅かに異なる。図５及び図６はそれぞれ、図３の機外向き配列用に設計された２つのシートユニットの斜視図である。第１のシート１７と第２のシート１８が互いに対して離隔され且つ対向して配置されている限りでは、各シートユニットの全体的な設計は上述のシートユニット１と実質的に同様であるが、その設計の細かい部分の多くは相違している点を注意されたい。
【００２６】
第１のシート１７と第２のシート１８の一側の間には壁２４が延びている。この壁２４からはカウンタートップ２５が客室の内壁（図示せず）まで延びており、このカウンタートップ２５は、乗客が望ならば、個人所有物を置くための面をその者に提供するものである。勿論、必要ならば、更に別の保管スペースが壁２４の内部に設けられてもよい。また、第１のシート１７の後ろからはカウンタートップ２５を横切ってスクリーン２６が延びている。このスクリーン２６は、連続したシートユニット１５間の境界を画成するものであり、他の乗客からプライバシーを保護する。図６に示すように、アクセススロット２８の後ろでカウンタートップ２５内にテーブル２７が設けられてもよい。
【００２７】
図７及び図８はそれぞれ、図４の機内向き配列用に適したシートユニット２１の斜視図である。シートユニット２１が互いに離隔され対向配置された第１と第２のシート２２，２３から成る限りでは、シートユニット２１の基本的な設計は上述のシートユニット１，１５と実質的に同様であるが、この場合も、その設計のいくつかの詳細部分は上述のユニット１，１５と相違している。
【００２８】
まず、第１のシート２２と第２のシート２３との一側に沿って壁２９が延びており、この壁２９の上部から客室の壁３１にカウンタートップ３０が延びている。カウンタートップ３０に設けられたスロット３２はテーブル３３を含んでおり、このテーブル３３は、乗客により引き出され図８に示すように第１と第２のシート２２，２３間に配置されるよう、摺動可能又は枢動可能に取り付けられるとよい。連続するシートユニット２１はプライバシースクリーン３４により互いに仕切られている。壁３５と面３６とから成る更に別の構造体が、乗客による使用のために、スクリーン３４と第１のシート２２との間に設けられている。カップボードやその他の保管スペース（図示せず）が壁２９及び／又は壁３５に設けられてもよい。
【００２９】
図示するように、壁２９は第１のシート２２の近傍までは延びていない。その代りに、乗客がカウンタートップ３０の下のスペースを個人のバッグ類を収容するために使用できるように、一部が取り除かれている。第１のシート２２（実際には第１のシート２又は１７も）は、前向きの位置に枢動され得るように（離陸及び着陸に関する安全規則に必要な場合）、シートユニット２１内で枢動可能に取り付けられるとよい。この場合、壁２９の一部の除去により、シート２２は、乗客の足がカウンタートップ３０の下に置かれる位置に枢動され得る。
【００３０】
第１のシート２，１７，２２は傾倒可能である。添付図面の図９、図１０及び図１１は、第１のシートの一つ、例えば第１のシート２が立直位置（図９）と略水平位置（図１１）との間でどのようにして連続的に倒されるかが概略的な形で示されている。第１のシート２は、背もたれ部分４２を収納する固定ハウジング４１と、座部分４３と、レッグレスト４４とを備えている。飛行中、シート２は、乗客（図示せず）が背を背もたれ部分４２により支持され且つ足をレッグサポート４４により支持される状態でシート内に横たわる位置（図１０）に倒されることができる。
【００３１】
乗客が睡眠をとりたい場合、レッグレスト４４が第２のシート３の座部分４５に接するまで、座部分４３とレッグレスト４４をハウジング４１から出すことができる。この位置において、背もたれ部分４２はハウジング４１内で略平坦になる。このように、第１のシートにおける背もたれ部分４２、座部分４３及びレッグレスト４４は、第２のシートの座部分４５と共に略平坦な面を形成し、その上で乗客は眠ることができる。第１のシートのリクライニング機構は、その設計構造自体、周知であるので、図において点線４６，４７により概略的に表されており、ここでは詳細な説明は行わない。なお、このリクライニング機構は、手動又は電気モータ等（図示せず）により自動的に作動される。
【００３２】
第１のシートは、その背もたれ部分４２がハウジング４１内に常に残り、それにより後ろの他の乗客の収容スペースを侵すことがないように配置されていることに注意すべきである。
【００３３】
図１２は機外向きシートユニット１５の斜視図であり、背もたれ部分４２、座部分４３及びレッグレスト４４が水平な寝台面（sleeping surface）を形成するように第１のシートが完全に倒された状態を示している。また、この図は、他のシートユニットのハウジング４８を示している。ハウジングの背面における扉１４９，１５０はカップボード又はワードロープスペース１５１への出し入れを可能とし、下部扉１５２は更に別のスペース１５３への出し入れを可能とする。
【００３４】
図１３は機内向きユニット２１を同様に示しており、第１のシート２２における背もたれ部分４２、座部分４３及びレッグレスト４４が完全に倒されて、第２のシート２３の座部分４５と協働して略平坦な水平の寝台面を形成しているところを示している。
【００３５】
次に、添付図面の図１４〜図１７を見ると、固定構造体、すなわちハウジング４１内にある第１のシート２が示されており、このハウジング４１は背もたれ部分４２、座部分４３及びレッグレスト４４を収容している。
【００３６】
図１４は、背もたれ部分がほぼ完全に立てられた引込み位置にあるシート２を示している。このシートは、支持点５１で背もたれ部分４２が連結される背もたれ案内路ないしはバックランナー（back runner ）５０を備えるライニング機構を含んでいる。このライニング機構は、更に、座案内路ないしはシートランナー（seating runner）５２を備えており、このランナー５２に座部分４３が支持点５４で案内部材５３を介して連結されている。座部分４３は、背もたれ部分４２の一端にピボット点５５で連結されており、客室の床５８上を転動するホイール５７を有するトロリー部材５６により支持されている。床５８の過度の摩耗を防止し且つシートの円滑な動作を容易にするために、床５８上に軌道（図示せず）を設けるのがよい。ランナー及び軌道は、シートの色々な部分をバランスよく支持するために、シートの両側に設けられることは理解されよう。
【００３７】
シートはコントロールパネル（図示せず）により制御される電気モータ（図示せず）によって駆動される。乗客がコントロールパネルの「リクライン」を選択すると、モータが座部分４３をねじ軸５９の回転により、ハウジング４１から、背もたれ部分が図１５に示すような傾倒位置にある引伸し位置（extended position ）へと、前方に駆動させる。この座部分４３の前方への駆動により、背もたれ部分４２はバックランナー５０により画成される経路に沿って案内される。ランナー５０，５２の形状は、背もたれ部分４２の勾配が減じられている間、座部分４３が水平に対して快適に傾斜されたままとされるよう、座部分４３の向きを案内するように、トロリー部材５６の高さに関係して選ばれている。
【００３８】
座部分が図１５に示す傾倒位置を越えて図１６の引伸し位置の方に駆動され続けると、第２のモータ（図示せず）がトロリーの駆動とは無関係に作動され、ねじ機構６０を駆動し、それによりレッグレスト部分４４を、図１４及び図１５に示す略立直位置ないしは垂直（鉛直）位置から図１６に示す略水平位置ないしは傾倒位置に移動させる。シートが図１６の平坦面位置の方に移動しその位置で停止する場合に、背もたれ部分４２の自由端を支持できるように、ハウジングの後部にダンパー６１を設けるとよい。
【００３９】
レッグレスト４４を垂直から水平に移動している際にレッグレスト４４と第２のシート３との間に乗客の足が挟まる可能性をなくすために、第２のシート３は、添付図面の図１７に示すように、固定の後部座部分６２と、この後部座部分６２に枢動可能に連結された前部座部分６３とから成るのがよい。乗客が足又は他の物体をレッグレスト４４と第２のシート３との間に置いた場合、前部部分６３はその物体によって上方に枢動する。乗客が第２のシート３の使用を望まない場合、シートユニット内に乗客のためのより有用なスペースを提供すべく、前部部分６３は後部部分６２の上方の位置に枢動されてもよい。
【００４０】
安定した飛行において、航空機の主軸は水平に対して傾斜されている。典型的には、航空機は３゜のピッチで、すなわちその先端を僅かに上方に向けて飛行する。シートユニットが、略平坦な寝台面を航空機の面に対して水平である状態に形成するように倒れるよう設計されているならば、航空機がその通常の３゜ピッチで飛んでいる際、乗客は頭部が足よりも低くなる状態で横たわることとなる。このような位置状態は、特に乗客が不快と感じるので、望ましくない。このような位置状態における乗客の問題を回避するために、リクライニング機構は、航空機の面に関して、頭が足よりも高くなる状態で乗客が横たわるように約３゜だけ僅かに傾斜される平坦な寝台面を画成するよう設計されている。その結果として、通常の安定した飛行においては、乗客の頭は足と同じ水平面に置かれることとなる。好ましいことには、寝台面を僅かに傾斜して置くことにより、乗客が横になっている間、乗客の肩のために大きな隙間を提供するようハウジング内のアームレスト等を設計することが可能となる。
【００４１】
図１８は、別の第２のシートの構造、いわゆる重ね折構造（bi-fold arrangement ）を示している。この第２のシートは、固定された座部分６４と、この固定座部分６４に継手６６で枢動可能に連結された後部座部分６５と、後部座部分６５に継手６８で枢動可能に連結された前部座部分６７とを備えている。第２のシートは、完全に伸ばした引伸し位置（この位置において、前部座部分及び後部座部分は符号６５，６７で示す位置にある）と、部分的に伸ばした引伸し位置（この位置において、前部座部分は、符号６５，６７′で示すように、後部部分の上面に載置されるよう継手６８を中心として枢動されている）と、格納（stowing ）位置（この位置において、後部部分は、符号６５″，６７″で示すような位置に前部部分と後部部分を配置するよう継手６６を中心として回動されている）との間で動作できる。
【００４２】
図１９は、傾倒可能なシート７１と、サイドボード若しくはユーティリティユニット７２とを備えるシートユニット７０を示している。また、シートユニット７０の近傍に配置され且つ傾倒可能なシート７４を備える第２のシートユニット７３は、それ自体のユーティリティをユーティリティユニット７２内に有している。図示していないが、２つのユニット７０，７３は仕切り壁により互いに分離され、２つのユニット間のプライバシーを確保するようにするのがよい。図１９に示す２つのユニット７０，７３は、客室の中心に配置されるように設計され、また、一緒に旅行する２人の乗客に提供されるよう設計されている。ユーティリティユニット７２は、各シートユニット７０，７３に対して、テーブル７５、ＴＶ型モニター７６及びカップボード７７を含んでおり、ティーカップ等の小物のための平坦な面を有用に形成している。カップボード７７は、乗客が洗面バッグ、ヘッドホーン等のような個人の品物を収納するように用いられてもよく、また、雑誌や新聞等を収納するためのスペースが設けられてもよい。好ましくは、ライフベストをユーティリティユニット７２内に収納することができる。
【００４３】
図１９に示すように、テーブル７５は互いに蝶番で連結された２つの部分７５ａ，７５ｂから成り、外側の部分はリフト・アンド・ドロップ配列（lift and drop arrangement ）でユーティリティユニットに枢動可能に取り付けられている。すなわち、テーブル７５の２つの部分７５ａ，７５ｂは一体に折り畳まれ、次いで、上方に回動されてユーティリティユニット７２のカバー（図示せず）の下側の収納スペースへと垂直に落とし込まれるようになっている。テーブルを再び必要とするときには、テーブルを収納エリアから持ち上げ、水平位置に回動した後、使用のために２つの部分を開くことができる。勿論、必要に応じて、航空機に用いられる他の周知のテーブル収納装置のいずれも、このリフト・アンド・ドロップ配列に代えて使用することができる。
【００４４】
ＴＶ型モニター７６は、ユーティリティユニット７２上の揺動アーム７８に取り付けられた状態で図示されている。このモニター７６は飛行中の娯楽を乗客に提供するものであり、図示の如く取り付けられる必要はない。図示の構成に代え、他の配置構成、例えばモニター７６がユーティリティユニット７２内に引っ込められる構成や、モニター７６がユーティリティユニット７２に取外し可能に固定される構成を用いることもできる。
【００４５】
サイドボード、すなわちユーティリティユニット７２の使用により、多数の補助的な特別品をシートとは別個に用いることが可能となる。テーブル及びモニターを全てシートから取り外すことは、これらのユーティリティの荷重を除去することによりシートの応力を減ずることとなる。このように、シート及びユーティリティユニットは協働して、乗客に快適で有用な旅行環境を与えるシートユニットを提供する。
【００４６】
シートユニット７０は、シートに真っ直ぐな姿勢で座っている乗客のほぼ頭の高さの位置に設けられた１対のシールド７９，８０を備えている。このシールド７９，８０は、シートの占有者に対してプライバシーが保護されているという感覚を強めるものである。必要ならば、ライト８１，８２を、乗客が使用できるよう、シールドに設けてもよい。
【００４７】
添付図面の図２０は、数対のシートユニットがどのようにして客室の中心に沿って配置されるかを示している。各乗客エリアは、シート７１自体、ユーティリティユニット７２、前のシートユニット８３の背もたれ、及び、シートユニット８３の後ろからユーティリティユニット７２の前に延びるスクリーン８４，８５により画成される。以下の説明から明らかとなる理由から、各シートの上部部分はシートユニットの後部に突出部８６を画成している。突出部８６の下側のスペースは、後ろのシートの乗客のためのブリーフケース等の保管エリアを提供するために、図２０に示されるように開放されたままとしてもよいし、或いはまた、部分的に囲まれるようにしてもよい。保管エリアに置かれたブリーフケース等を固定するために、ばね付勢クランプ８８が設けられてもよい。また、ライフベストのような物品のための他の保管スペースをシートのアーム８８ａ，８８ｂに設けることもできる。
【００４８】
図３及び図４に示すオーバーラップ配列が好ましいが、他のシート配列も適用可能であることは勿論である。添付図面の図２２は、複数対のユニット９０，９１，９２から成る中央の一連のシートが客室の中心線９３に沿って離隔配置され且つ３つの独立のユニット９４，９５，９６と１対のユニット９７が客室の各側に沿って配置されている配列を示している。プライバシーのために、最も前側にある１対の中央ユニット９０の前に保管ユニット９８が設けられている。同様に、特にシート９７ａの占有者に対するプライバシーを守るために、スクリーン９９が、１対の側部ユニット９７の前方であって、シングルシート９６の側方に配置されている。図２３に明示されているように、スクリーン９９は、シングルシート９６の側方にあるサイドコンソール１００の後方に配置され、そのシートのシールド８０の後部に固定されている。必要ならば、サイドコンソール１００に更に保管スペースを設けてもよい。
【００４９】
図２３から理解されるであろうが、シート９６は、図１〜図１７に示したシートユニットが傾倒し得る方法と同様な態様で傾倒可能である。前述のシートと同様に、シート９６は、背もたれ部分１０２と、座部分１０３と、レッグレスト１０４とを収容する固定構造体、すなわちハウジング１０１を備えている。シートの傾倒はコントロールパネル１０５（例えば図２０を参照）によってシート占有者により制御され、このコントロールパネル１０５は、図１４〜図１７を参照して上述したものと同様に、モータの作動及び軸の駆動を制御するものである。
【００５０】
シート８６が傾倒する態様は図２４及び図２５に明示されている。図２４においては、乗客１１０がシート１１１に真っ直ぐな姿勢で座っている状態が示されており、他の乗客１１２が他のシート１１３でリクライン状態にあるところが示されている。また、図２５には、乗客１１４がシート１１５に真っ直ぐな姿勢が座っている状態が示されており、乗客１１６，１１７がそれぞれのシート１１８，１１９で寝ている状態が示されている。
【００５１】
シート１１３が傾倒された場合、背もたれ部分１０２がハウジング１０１内に移動される。これは、突出部８６がハウジングの上部部分に形成されている理由の一つである。背もたれ部分がハウジング内に移動すると、座部分１０３及びレッグレスト１０４はハウジングから前方に移動し、そして、レッグレスト１０４は垂直状態からより水平の状態へと上方に移動する。シートが更に傾倒されると、最終的には、背もたれ部分１０２、座部分１０３及びレッグレスト１０４は図２５のシート１１８，１１９の位置状態に達する。この位置状態において、背もたれ部分１０２、座部分１０３及びレッグレスト１０４は互いに協働して、航空機の面に対して小さな角度で傾斜された略平坦な寝台面を形成する。この角度は限定的なものではないが、その角度がきつくなればなるほど、シートユニットの間に必要とされるスペースは小さくなる。調査により、水平から約８°以上の角度の場合、乗客は前方に滑るように感じるため、不快と感じることが分かっている。殆どの航空機は３°で傾くことを鑑みると、これは、約１１°の角度を用いることができることを意味している。
【００５２】
シートが図２５に示す睡眠用位置にある状態で、背の高い乗客の足は、前のシートにおける突出部の下側のスペース内に達することとなる。これは、各シートユニットに突出部を設ける他の理由である。（図１〜図１３に示す実施形態における第２のシートと同様に）レッグレスト１０４と協働するフリップダウン式の拡張ユニット１２０を前のシートに設けることによって、寝台面を拡張してもよい。
【００５３】
図１９〜図２５に示されるシートユニットのデザインは、図１１〜図１３に示されるシートユニットのデザインと美的処理の面で相違しているが、そのデザインは機能的には極めて近似していることは上記説明から明らかであろう。両デザインは乗客に対して望ましいプライバシーを提供する。また、両デザインは、シートを傾倒・睡眠位置に移動する場合に、前又は後ろのシートにおける他の乗客の領域を侵さない傾倒・睡眠用シート（reclining/sleeping seat ）を提供する。スクリーンの使用は更に個々の乗客のプライバシーを増強する。シートユニットの一部としてシート分離配列（off-seat arrangement）で附属品を提供することにより、シートそれ自体の荷重を減じ、シート内のより多くのスペースを乗客に与えることが可能となる。
【００５４】
図１９〜図２５に示されるシートユニットのデザインは、第２のシートを含んでおらず、ほぼ水平の寝台面を形成することはできない。その代わりとして、フリップダウン式の拡張手段を設けることができる。また、寝台面は平坦であるが、水平に対して所定角度で傾斜されている。これらの形態ないしは特徴部分は共に、航空機の客室内での各シートユニットに必要とされるスペースの大きさを減じ、それによって、より多くのユニットを所定の客室空間に取り付けることを可能とする。
【００５５】
図２２は、航空機の客室内におけるシートユニットの配列の一つ及びデザインの一つを示しているが、この配列で他のデザインのシートユニットを配置したり、他の配列（例えば、梯形配列）を前記デザインのシートユニットに使用したりできることは理解されよう。一実施形態に関して上述した特徴部分は他の実施形態の使用に適合され得ることは勿論であり、特徴部分の所定のデザインや配列の選択は、シートユニットが取り付けられるべき航空機の型式、飛行の種類、或いは、本発明の範囲から十分に離れた他のファクターに依存するものである。
【００５６】
このように、好適な実施形態に沿って本発明を説明したが、上記実施形態は例示に過ぎず、当業者により行われるような変形や変更は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲及びその均等物から逸脱することなく為され得ることは理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を具現化した第１の収容ユニットを示す第１の斜視図である。
【図２】第１の収容ユニットを示す第２の斜視図である。
【図３】機外向き状態で複数の収容ユニットを包含している航空機の客室を示す平面図である。
【図４】機内向き状態で複数の収容ユニットを包含している航空機の客室を示す平面図である。
【図５】図３の機外向き状態で使用するための、本発明による第２の収容ユニットを示す斜視図である。
【図６】第２の収容ユニットを示す第２の斜視図である。
【図７】図４の機内向き状態で使用するための、本発明による第３の収容ユニットを示す斜視図である。
【図８】第３の収容ユニットを示す第２の斜視図である。
【図９】シートの第１の概略図である。
【図１０】シートの第２の概略図である。
【図１１】シートの第３の概略図である。
【図１２】第２の収容ユニットを示す第３の斜視図である。
【図１３】第３の収容ユニットを示す第３の斜視図である。
【図１４】シートを示す第１の概略断面図である。
【図１５】図１４のシートを示す第２の概略断面図である。
【図１６】図１４のシートを示す第３の概略断面図である。
【図１７】図１４のシートを示す第４の概略断面図である。
【図１８】第２のシートの別の構成を示す概略断面図である。
【図１９】本発明を具現化した第４の収容ユニットを示す第１の斜視図である。
【図２０】第４の収容ユニットを示す第２の斜視図である。
【図２１】本発明を具現化した第５の収容ユニットを示す第１の斜視図である。
【図２２】複数の収容ユニットを有する航空機の客室を示す平面図である。
【図２３】第５の収容ユニットを示す第２の斜視図である。
【図２４】着座位置と傾倒位置にある収容ユニットを示す側面図と平面図である。
【図２５】着座位置と睡眠位置にある収容ユニットを示す側面図と平面図である。
【符号の説明】
１，４，１５，２１…収容ユニット（シートユニット）、２，５，１７，２２…第１のシート、３，６，１８，２３…第２のシート、７…仕切り壁、８，９，１０…スクリーン、１１…テーブル収納部分、１２…テーブル、４１…ハウジング、４２…背もたれ部分、４３…座部分、４４…レッグレスト、４５…座部分、５０…バックランナー（背もたれ案内手段）、５２…シートランナー（座案内手段）、５６…トロリー部材、７０，７３…シートユニット、７１，７４…シート、７２…ユーティリティユニット、７５…テーブル、７６…ＴＶ型モニター、７７…カップボード。

Claims (20)

1. 航空機の客室用のシートユニットであって、
   第１のシートを収容する固定ハウジングと、前記第１のシートから分離した拡張面とを具備しており、
   前記第１のシートが、
   実質的に前記固定ハウジング内で保持されるような態様で傾倒可能となっている傾倒可能な背もたれと、
   前記背もたれに連結された座部分であり、前記背もたれを略直立位置と略水平位置との間で連続的に傾倒することができるように前記背もたれの傾倒動作と共に前方に移動するようになっている座部分と、
   前記座部分に連結されており、引込み位置と引伸し位置との間で移動するようになっているレッグレストと、
   前記背もたれの前記傾倒動作、前記座部分の動作及び前記レッグレストの動作を行わせるための駆動手段と、
   を備え、
   前記略水平位置に前記背もたれがあり且つ前記引伸し位置に前記レッグレストがある場合に、前記座部分、前記背もたれ及び前記レッグレストが協働して略平坦面を形成するように配置され、
   前記拡張面は、前記レッグレストが前記引伸し位置にある場合に前記レッグレストと協働して前記略平坦面を拡張すると共に、前記レッグレストが前記引込み位置と前記引伸し位置との間で移動される場合に前記拡張面と前記レッグレストとの間で物体が挟まれるのを防止するように前記拡張面が少なくとも一部で枢動可能となっている、シートユニット。
2. プライバシー用のスクリーンを更に備えている、請求項１に記載のシートユニット。
3. 前記固定ハウジングは、前記第１のシートにおける前記傾倒可能な背もたれの後ろに設けられた収納スペースを備えている、請求項１又は２に記載のシートユニット。
4. 出し入れ可能なテーブルを更に備えている、請求項１〜３のいずれか１項に記載のシートユニット。
5. 前記第１のシートの占有者により個人的に使用されるユーティリティを収容するためのユーティリティユニットを更に備えている、請求項１〜４のいずれか１項に記載のシートユニット。
6. 前記ユーティリティユニットは前記占有者の個人所有物のための収納スペースを提供する、請求項５に記載のシートユニット。
7. 前記ユーティリティユニットはテレビ型モニターを含んでいる、請求項５又は６に記載のシートユニット。
8. 前記ユーティリティユニットは、前記第１のシートの前で広げることのできるテーブルを含んでいる、請求項５〜７のいずれか１項に記載のシートユニット。
9. 前記拡張面は、前記第１のシートに面するように配置された第２のシートを備えている、請求項１〜８のいずれか１項に記載のシートユニット。
10. 前記第２のシートは座部分を有しており、
    前記座部分は、前記第１のシートの前記背もたれが前記略水平位置に傾倒された場合に前記略平坦面の一部分を形成するように、前記第１のシートの前記レッグレストと協働するよう配置されている、請求項９に記載のシートユニット。
11. 前記ユーティリティユニットは、前記第２のシートと前記第１のシートの一側に配置され、前記第２のシートと前記第１のシートとの間で延びている、請求項５〜８のいずれか１項に従属する請求項９又は１０に記載のシートユニット。
12. 第２の占有者により使用される別の第１のシートを更に備えており、
    前記ユーティリティユニットは、前記第２の占有者により個人的に使用される更なるユーティリティを収容する、請求項５〜９のいずれか１項に従属する請求項１０又は１１に記載のシートユニット。
13. 請求項１〜１２のいずれか１項に記載のシートユニットを複数備える客室を有している航空機。
14. 前記シートユニットが機外向き状態で配列されている、請求項１３に記載の航空機。
15. 前記シートユニットが機内向き状態で配列されている、請求項１３に記載の航空機。
16. 請求項１〜１２のいずれか１項に記載のシートユニットを複数含む客室を備えている航空機であって、前記シートユニットの少なくとも一部が梯形に配列されている、航空機。
17. 前記客室が、その各側に沿って梯形に配列されている一連の前記シートユニットを有している、請求項１６に記載の航空機。
18. 各側に沿う前記シートユニットが前記客室の外方に向くように方向が定められている、請求項１７に記載の航空機。
19. 各側に沿う前記シートユニットが前記客室の内方に向くように方向が定められている、請求項１７に記載の航空機。
20. 前記客室が一連の中央部の前記シートユニットを有している、請求項１３〜１９のいずれか１項に記載の航空機。

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