JP2008246924A - 感熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上にポリマーラテックスを少なくとも1種含む受容層を少なくとも1層有し、該受容層と支持体の間に断熱層を少なくとも1層有し、支持体上の少なくとも1層が水系塗布により形成され、支持体上の少なくとも1層が消泡剤を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
【選択図】なし
Description
しかも、ドライであること、デジタルデーターから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っており、フルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。
従来上記受像シートにクッション性を持たせるためにミクロボイドを含有する二軸延伸ポリオレフィンフィルムを用いた複合支持体を用いることがある(例えば、特許文献1および2)。この上に受容ポリマーを有機溶剤に溶解し塗布することにより受容層を作製する方法が知られている。
水系塗布方式により受像シートを作製する場合、界面活性剤等を使用して塗工液の表面張力を下げ塗布時のハジキを減少し塗布性を良化させることは広く行われている。しかしこのような界面活性剤の使用は一方で塗布液の撹拌等により泡を発生しやすくするという問題を生じる。
特に本発明のように受容層をポリマーラテックスで作製する場合、泡の発生はプリント画質の著しい悪化を招くという問題が発生する。
この原因は明確ではないが、第一に上記ラテックス系で泡発生により泡表面での皮張りによるブツが発生することによると推定している。第二に熱拡散転写方式では従来の銀塩写真系に比較し微小な泡の影響を受けやすいこともわかってきた。
また、断熱層に中空ポリマーを含有させ水系で作製する場合、泡の発生がプリント画質の悪化を招く問題も発生した。この原因は泡表面で中空ポリマーの濃縮が起こり、凝集が促進されることであることがわかってきた。
本発明は、上記問題点を克服し良好なプリント仕上がりを達成することを目的とする。
(1)支持体上にポリマーラテックスを少なくとも1種含む受容層を少なくとも1層有し、該受容層と支持体の間に断熱層を少なくとも1層有し、支持体上の少なくとも1層が水系塗布により形成され、支持体上の少なくとも1層が消泡剤を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)前記断熱層が少なくとも1種の中空ポリマーを含有し水系塗布により形成されることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記支持体上の少なくとも2層が同時重層塗布により形成されることを特徴とする(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)支持体上にポリマーラテックスを少なくとも1種含む受容層を少なくとも1層有し、該受容層と支持体の間に断熱層を少なくとも1層有し、支持体上の少なくとも1層に消泡剤を含有する感熱転写受像シートの製造方法であって、支持体上の少なくとも1層を水系塗布により形成する工程を含む感熱転写受像シートの製造方法。
(5)前記断熱層が少なくとも1種の中空ポリマーを含有し、該断熱層を水系塗布により形成することを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(6)前記支持体上に少なくとも2層を同時重層塗布により形成することを特徴とする(2)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の受容層(染料受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。また、支持体と受容層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層、下塗層などの中間層が形成されていてもよい。
本発明においては、受容層の少なくとも1層および断熱層の少なくとも1層が水系塗布で塗設されることが好ましい。これらの層は同時重層塗布により形成されることが好ましい。また、中間層を含む場合は、受容層、断熱層および中間層を同時重層塗布により形成することができる。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。支持体の裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
本発明で用いる消泡剤とは、起泡の原因物質に代わって、それ自体が液体表面に存在し、それ自体には泡膜の薄化に抵抗する反発力を付与する作用を有していない化合物を意味する。具体的には、例えば、アルコール類、エーテル類、ポリオール類、脂肪酸エステル類、金属石鹸類、燐酸エステル類、シリコーン類、およびノニオン性界面活性剤類等を挙げることができる。これらの構造を有する市販の消泡剤および化合物等の内、消泡効果を有するものであれば単独または併用して、あるいは混合物として使用することができる。
炭素原子数1〜10の脂肪酸アルコール、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、オクチノール、または2−エチルヘキサノール等を挙げることができる。
しかし炭素数1〜3の脂肪酸アルコールは明確に効果を発現させるには1%以上添加することが必要でありラテックスまたは中空ポリマー等を膨潤させ凝集を促進する場合があるため、炭素数4以上の脂肪酸アルコールが好ましい。
(B)脂肪酸エステル類
ステアリン酸イソアミル、コハク酸ジエステル、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル、オキシエチレンソルビタンラウリル酸モノエステル、ジエチレングリコールジステアレート、または低分子量ポリエチレングリコールオレイン酸エステル等を挙げることができる。
(C)エーテル類
エチレングリコールのモノフェニルエーテル(例えば、ジ−tert−ジアミノフェノキシエタノール)、エチレングリコールのジアルキルエーテル(例えば、3−ヘプチルセロソルブ、またはノニルセロソルブ)、ジエチレングリコールのジアルキルエーテル(例えば、3−ヘプチルカルビトール)等を挙げることができ、市販品としては、例えばバイオニンK−17(竹本油脂(株)製)、またはノプコDF122−NS(サンノプコ(株)製)を用いることができる。
(D)ポリオール類
その構造中にアルキレンオキサイド基(特に、エチレンオキサイド基)を多く有する化合物(例えば、ポリエーテル類)を挙げることができ、これらの化合物は水への分散安定性に優れているので、液中の抑泡効果に優れている。ポリエーテル系の消泡剤の市販品としては、例えば、アデカプルロニックシリーズやアデカノールシリーズLG−109、LG−121、LG−294、LG−297など〔旭電化工業(株)〕、またはSNデフォーマー157、247、375、470〔サンノプコ(株)〕を用いることができる。
(E)金属石鹸類
種々の有機酸金属塩を用いることができ、例えば、ナフテン酸系金属石鹸、合成酸系金属石鹸、またはステアリン酸系金属石鹸等を挙げることができる。具体的には、ステアリン酸アルミニウム等を挙げることができ、ナフテネート、ディックネート、またはステアレート(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)等を挙げることができる。
オイル型、コンパウンド型、自己乳化型、またはエマルジョン型シリコーン消泡剤等を挙げることができ、特にオイル型としては、一般的なジメチルポリシロキサン構造のシリコーンオイルの他にメチル基の一部を変性させた変性シリコーンオイルを挙げることができ、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種官能基変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸含有、またはフッ素変性等の変性シリコーンオイルを挙げることができる。市販品としては、オイル型としてSH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KF96、KS604、KI−6702(信越シリコーン(株)製)、コンパウンド型としてSNデフォーマー5016(サンノプコ(株)製)、SH5500,SC5540(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、自己乳化型としてBY28−503(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KS508、KS530、KS−538(信越シリコーン(株)製)、エマルジョン型としてSM5511、SM5512、SM5515(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KM72、KM73、KM98(信越シリコーン(株)製)等を挙げることができ、また変性シリコーンオイル型としては、アミノ変性としてSF5417、エポキシ変性としてSF8411、SF8413、カルボキシル変性としてBY16−880、フッ素変性としてFS1265(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、ポリエーテル変性としてKF−6017(信越シリコーン(株)製)、アルキル変性シリコーンとポリエーテル変性を含有したFORM BAN MS−575(Ultra Additives Inc.製)、カルビノール変性としてKF−6001、KF−6003(信越シリコーン(株)製)等を挙げることができる。
(G)ノニオン性界面活性剤類
以下の例を挙げることができる。
(1)アルキルアリールエーテルエチレンオキシド付加体、
(2)式:HO−(C2H4O)n−(C3H6O)m−(C2H4O)n−OHで表され、分子量が500〜10000で、C2H4O含有量が0〜55%の化合物、
(3)式:R1(R2)CHCOO(C2H4O)n−R4(式中、R1およびR2は、炭素原子数1〜15のアルキル基であり、nは1〜8である。R4は水素原子または炭素原子数1〜15のアルキル基である)で表されるアルキルエステル型化合物R1およびR2はそれぞれ炭素原子数5以上が好ましく、10以上がさらに好ましい。R4は水素、原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、さらに水素原子が好ましい。
(4)アセチレンジオール類およびそのエチレンオキシド0〜8モル付加体。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明に用いられる受像シートは、少なくとも染料を受容し得る熱可塑性の受容ポリマーを有する少なくとも1層の受容層を有する。
受容ポリマーはポリマーラテックスとして水溶性の分散媒中に分散して使用することが好ましい。さらに、受容層は該ポリマーラテックス以外に水溶性ポリマーを含有することが好ましい。ポリマーラテックスと水溶性ポリマーとを含有させることで、染料に染着し難い水溶性ポリマーをポリマーラテックス間に存在させ、ポリマーラテックスに染着した染料が拡散するのを防止することができ、この結果、受容層の経時による鮮鋭性の変化を少なくし、転写画像の経時変化が小さい記録画像を形成することができる。
受容層は、受容ポリマーのポリマーラテックス以外にも、例えば、膜の弾性率を調整するなどの目的で、他の機能を有するポリマーラテックスも併用して用いることができる。
また受容層には、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、その他の添加物を含有させることができる。
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64−538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒子サイズは1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。
分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
(a) 共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b) オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
(e) 不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f) スチレンおよびその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g) ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h) ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i) α,β−不飽和カルボン酸およびその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j) その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
このようなポリ塩化ビニル類としては、前述のものが挙げられるが、なかでもビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株))が好ましい。
併用することのできるポリマーとしては、染料を受容するために使用されてもよいが、上記ポリマーラテックスを保持するためのバインダーとして使用することもできる。
このようなポリマーとしては透明または半透明で、無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマーおよびコポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリビニルピロリドン類、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸類、ポリメチルメタクリル酸類、ポリ塩化ビニル類、ポリメタクリル酸類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用できる。
なお、本発明における染料を受容するための前記ポリマーラテックスや後述の中空ポリマーのガラス転移温度は、実測値で規定するものであるが、上記の計算方法で推定することも可能である。
受容層は水溶性ポリマーを含有することが好ましい。本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
本発明において、水溶性ポリマーを前記ポリマーラテックスと区別するためにバインダーと標記することもある。
本発明においてはゼラチンが好ましい態様の一つである。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
以下に、ポリビニルアルコールについてさらに詳しく説明する。
完全けん化物としては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0質量%以上、鹸化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以下、揮発分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20℃)5.6±0.4CPS]、PVA−110[PVA含有率94.0質量%、鹸化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)11.0±0.8CPS]、PVA−117[PVA含有率94.0質量%、鹸化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)28.0±3.0CPS]、
併用することのできるポリマーとしては、染料を受容するために使用されてもよいが、上記ポリマーラテックスを保持するためのバインダーとして使用することもできる。このようなポリマーとしては透明または半透明で、一般に無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマーおよびコポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゴム類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリビニルピロリドン類、デンプン、ポリアクリル酸類、ポリメチルメタクリル酸類、ポリ塩化ビニル類、ポリメタクリル酸類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル類、ポリオレフィン類、セルロースエステル類、ポリアミド類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
受容層における水溶性ポリマーの添加量は、当該受容層全体の1〜25質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。また、水溶性ポリマーを使用しないことも好ましい態様の一つである。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
なお、本発明の感熱転写受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤を添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤をグラフトしたポリマーをラテックス化する場合、前記の染着性受容ポリマーのラテックスと混合してから塗布することで紫外線吸収剤が均一に分散した受容層を形成することができる。
また、受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物、および各種ワックス分散物を用いることができる。特にシリコーンオイル、ワックス分散物が好ましく用いられる。
<乳化物>
滑剤、酸化防止剤などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号明細書に記載の方法などの公知の方法により受像シートの層(例えば、受容層、断熱層、中間層、下塗層など)中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同第4,536,466号、同第4,536,467号、同第4,587,206号、同第4,555,476号、同第4,599,296号、特公平3−62256号の公報または明細書などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。またこれら滑剤や酸化防止剤、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類;シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。各種ワックス類、フッ素系界面活性剤等に代表されるフッ素系化合物、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイルおよび/またはその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることができる。その中でも、受容層および中間層中に含有させることが好ましい。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
界面活性剤を含有しない場合でも塗布は可能であるが、塗布液の表面張力が高いために塗布面状が不均一となり、ムラとなる場合がある。界面活性剤を塗布液に含有させることで表面張力を下げ、塗布時のムラを無くし、塗布面状を均一とし、安定的に塗布することができる。
架橋剤として本発明に用いられる硬膜剤は、受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の各公報または明細書等の各公報に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
本発明においてさらに好ましい硬膜剤は下記一般式(B)または(C)で表される化合物である。
一般式(B)
(CH2=CH−SO2)n−L
一般式(C)
(X−CH2−CH2−SO2)n−L
一般式(B)、(C)中でXはハロゲン原子を表し、Lはn価の有機連結基を表す。一般式(B)または(C)で表される化合物が低分子化合物である場合nは1ないし4の整数を表す。高分子化合物である場合Lはポリマー鎖を含む有機連結基であり、このときnは10〜1000の範囲である。
塗布液、受像シートおよび印画画像等を保存しておくと、保存中にこれらの材料に微生物(特に細菌、カビ、酵母等)が付着し、それらの性能を低下させることが多い。これを防止する為に、その他の性能に影響を与えない範囲で防腐剤を含有させることができる。
本発明でいう防腐剤とは受像シートに用いられる化合物が該微生物の生育により分解反応を受けることを抑制する為に用いられる化合物であって、一般式による定義と具体的化合物は、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されている。
本発明の感熱転写受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩、ホルムアルデヒドドナー系抗菌剤等が挙げられる。これらの中でも、フェノールまたはその誘導体、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が好ましい。
R5、R6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、−COR9、またはSO2R10を表わす。R9、R10は同じでも異なっていてもよく、低級アルキル基、またはN(R11)R12を表し、R7、R8、R11、R12は同じであっても異なっていてもよく、水素原子または低級アルキル基を表す。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、または1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表わし、lは2〜6の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、nは6−mを表す。ただし、R1、R2、Xが複数存在する時はそれぞれが互いに異なっていてもよい。
R16、R17は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
これらの中でも、R14、R15が水素原子であり、R13がメチル基であるもの(以下、化合物II−aと称する)が好ましい。また、R14とR15が互いに結合して芳香環を形成しR13が水素原子であるものと化合物II−aとの組み合わせ、および、R14が塩素原子、R15が水素原子、R13がメチル基であるものと化合物II−aとの組み合わせはさらに好ましい。
R22、R23は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、-COR26、または−SO2R26を表し、互に同じであっても異なっていてもよく、R24、R25は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、R26は低級アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、Mは水素原子、アルカリ金属原子、または1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表し、pは0または1を表わし、qは0〜5の整数を表わす。
本発明において、離型性付与のためにマット剤を添加するのが好ましい。マット剤は感熱転写受像シートの最外表面層若しくは最外表面層として機能する層、または外表面に近い層に含有されるのが好ましい。最外表面層は必要に応じて2層にすることもできる。最も好ましいのは、最外層である受容層に添加する場合である。マット剤は、画像形成層面の最外層およびバック面の最外層いずれにも添加することが可能であり、両層に添加することもできる。特に、支持体に対し、すべり剤を含有する面側にマット剤を含有させることが好ましい。
特に、熱分解温度が200℃以上のポリマーであることが好ましい。より好ましくは、熱分解温度が240℃以上のポリマーである。
また、画像プリント時、熱だけでなく圧力も受容層表面にかかるため、マット剤は硬いものが好ましい。
断熱層は、サーマルヘッド等を用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、支持体として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、好ましくはポリマーラテックスであり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれかまたはそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
また、中空ポリマーは、中空率が20〜70%程度のものが好ましく、20〜50%のものが特に好ましい。中空率が小さすぎると望まれる断熱性が得られなくなり、大きすぎると割れやすい中空ポリマー粒子および不完全な中空粒子の比率が増えて、印画欠陥が生じ、また、十分な膜強度が得られない。
中空ポリマーは必要に応じて2種以上混合して使用することができる。前記1)の具体例としてはローアンドハース社製ローペイク1055、大日本インキ社製ボンコートPP−1000、JSR社製SX866(B)、日本ゼオン社製ニッポールMH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。前記2)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30、F−50(いずれも商品名)などが挙げられる。前記3)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30E、日本フェライト社製エクスパンセル461DE、551DE、551DE20(いずれも商品名)が挙げられる。断熱層に用いられる中空ポリマーはラテックス化されていてもよい。
中空ポリマー粒子の粒子サイズは0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
受容層と支持体との間には中間層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層、下塗層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号明細書、特許第2925244号明細書などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が表面平滑性の点で好ましい。銀塩写真分野で印画紙に用いられているポリエチレンラミネート紙(WP紙と略称されることがある)類似のもの、すなわち、セルロースを主成分とする支持体であって、少なくとも受容層が塗布される面がポリオレフィン樹脂で被覆された支持体を好適に用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックスまたは高分子材料を片面または両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂またはポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムまたは高分子シートまたはフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、これらのシートまたはフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシートまたはフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。これは銀塩写真分野において、印画紙用の支持体として一般的に用いられている(WP紙と略称されることがある)。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の受容層および少なくとも1層の断熱層を水系塗布により、支持体上に塗布して製造されるものである。塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。
受容層および断熱層がそれぞれ2層以上もしくは一方が2層以上の場合も好ましい態様であるが、少なくとも隣接する構成層が、いずれも水系塗布するものであれば、これらを同時重層塗布することが好ましい。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号各明細書、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の各公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。これらの塗布方法では、複数の塗布液を塗布装置に同時に供給して異なる複数の層を形成する。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、本発明の効果が効果的に発現されると同時に、インクシートと重ね合わせて印画するときの走行性に優れた感熱転写受像シートを得ることができる。また、塗布層間の密着性が優れ、粘着テープによる掲示を繰り返しても膜剥れの起きにくい感熱転写受像シートを得ることができる。さらに、生産性を大幅に向上させることができる。
同時重層塗布においては、均質な塗膜形成および良好な塗布性の点で、各層を構成する塗布液の粘度および表面張力を調整する必要がある。塗布液の粘度は、公知の増粘剤や減粘剤を他の性能に影響を与えない範囲で使用することにより容易に調整できる。また、塗布液の表面張力は各種の界面活性剤により調整可能である。
これらの塗布液温度は、25℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃であることがさらに好ましい。
本発明では米国特許第2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げ、塗膜を冷却固化させ、その後温度を上げて乾燥させることが好ましい場合もある。
温度を下げる方法の一例として、冷風等を塗膜に当てる方法がある。冷風の温度としては、25℃以下が好ましく、15℃以下であることがさらに好ましく、10℃以下であることが特に好ましい。また、塗膜が冷風に曝される時間は、塗布搬送速度にもよるが、15秒以上が好ましい。ゲル化の促進には、バインダー質量比率を高める以外に、公知のゲル化剤も用いられる。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
この様な要件を満足させるため、乾燥工程は、乾燥温度、乾燥風の風量、乾燥風の露点を調節し、乾燥速度を調節しながら乾燥させる必要がある。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)50質量部およびアスペンからなるLBKP 50質量部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
次いで、上記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC(株)製、商品名、CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC(株)製、商品名、DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学(株)製、商品名、サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製、商品名、アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
上記のように作製した支持体上に下層から順に下塗層1、下塗層2、断熱層、受容層の構成の受像シートを作製した。試料101の作製に用いた塗工液の組成と塗布量を以下に示す。
塗布は下記の全ての層を同時に重層塗布した。塗布は前述したスライドコーティングで行い、塗布後6℃のセットゾーンを30秒通過させて液の流動性をなくした後、22℃・相対湿度45%の乾燥風を2分塗布面に吹き付けて乾燥させることで行った。
(組成)
ゼラチン3%水溶液にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1%加えた水溶液。
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(日本エイアンドエル(株)社製 SR103)
ポリビニルアルコール(PVA) 6%水溶液 40質量部
界面活性剤1%水溶液(BFS−1) 2質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(塗布液粘度) 50cp
(組成)
下で調製した乳化物A 21質量部
中空ポリマー 48質量部
(日本ゼオン(株)製 MH5055)
10%ゼラチン水溶液 28質量部
水 3質量部
防腐剤(式PR−1で示す化合物) 0.2質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 50ml/m2
(塗布液粘度) 45cp
(組成)
下で調製した乳化物B 4質量部
塩化ビニル系ポリマーラテックス 53質量部
(日信化学(株)社製 ビニブラン900)
塩化ビニル系ポリマーラテックス 10質量部
(日信化学(株)社製 ビニブラン276)
マイクロクリスタリンワックス 6質量部
(日本製蝋(株)製 EMUSTAR−42X)
水 22質量部
界面活性剤1%水溶液(BFS−1) 4質量部
マット剤 1質量部
(メラミン-シリカ樹脂 比重1.65(オプトビーズ3500M 日産化学工業(株)製))
防腐剤(式PR−1で示す化合物) 0.1質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 18ml/m2
(塗布液粘度) 7cp
乳化物Aを以下の手順で調製した。化合物EB−9を高沸点溶媒(Solv−5)42gおよび酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aの調製を行った。
ここで、化合物EB−9の添加量は乳化物A中に30mmolとなるよう調整した。ただし、実際の実験においては、必要量に応じて作製スケールを変更した。この際、各添加物および各溶媒の比率は上記と同じになるようにした。
高沸点溶媒(Solv−5)11.0g、KF−96(信越化学(株)製 ジメチルシリコーン)9g、上記化合物(EB−9)15.5g、(KAYARAD DPCA−30(日本化薬(株)製))7.5g、および酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Bの調整を行った。ただし、実際の実験においては、必要量に応じて作製スケールを変更した。この際、各添加物および各溶媒の比率は上記と同じになるようにした。
なお、試料102〜108,110,112では表1に示す消泡剤を塗布液に0.5質量%添加した。また試料101、108に対して下塗層1、下塗層2、断熱層、受容層を同時重層塗布せず、下塗り層1と2を同時塗布し乾燥後、断熱層、受像層をそれぞれ1層ずつ塗布後乾燥して試料109、110をそれぞれ作製した。試料101、108に対して断熱層の中空ポリマーを除去した以外は同様にして試料111、試料112もそれぞれ作製した。
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
インクシートの作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の保護層および接着層を塗布した。乾膜時の塗布量は保護層1g/m2、接着層0.7g/m2)した。なお接着層の塗布は、保護層を塗布乾燥後、その上に行った。
保護層
アクリル樹脂 20質量部
(ダイヤナールBR−80、商品名、三菱レーヨン(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 80質量部
接着層
ポリエステル樹脂 30質量部
(バイロン220、商品名、東洋紡(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70質量部
(画像形成)
上記インクシート、上記保護層シート、上記受像シートを用いて、熱転写型プリンター(ASK−2000 富士フイルム(株)製)により152mm×102mmサイズ画像の出力を行った。なお、搬送速度は73mm/秒であった。
下記項目について性能評価を行った。
(画像均一性、画像乱れ)
ビジュアル濃度1.0のプリントを連続5枚出力し、印画したプリントの白抜け、濃度ムラなどの発生の有無を目視観察し、下記基準に従って画像の均一性を評価した。本評価を20人の評価者について行い、その平均値を求めた。
5: プリントに画像乱れが全く確認できない
4: プリントに画像乱れをほぼ確認できない
3: プリントに画像乱れが認められるが、実用上問題ないレベルである
2: プリントに画像乱れがが散発しており、実用上問題のあるレベルである
1: プリントに画像乱れが多く、印画画像の認識に支障をきたすレベルである
(Dmax)
黒ベタ画像を出力し最大発色濃度の測定を行なった。ビジュアル濃度測定を行ないその値を試料101に対する相対値を表に示した。この値が大きいほど画像の締まりが増し好ましい。
b:2-エチルヘキサノール
c:LG-109(旭電化工業(株)製)
d:BY28-503(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
e:(C2H5)2CHCOO(C2H4O)4H
f:(C6H14)2CHCOO(C2H4O)4H
Claims (6)
- 支持体上にポリマーラテックスを少なくとも1種含む受容層を少なくとも1層有し、該受容層と支持体の間に断熱層を少なくとも1層有し、支持体上の少なくとも1層が水系塗布により形成され、支持体上の少なくとも1層が消泡剤を含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
- 前記断熱層が少なくとも1種の中空ポリマーを含有し水系塗布により形成されることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
- 前記支持体上の少なくとも2層が同時重層塗布により形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
- 支持体上にポリマーラテックスを少なくとも1種含む受容層を少なくとも1層有し、該受容層と支持体の間に断熱層を少なくとも1層有し、支持体上の少なくとも1層に消泡剤を含有する感熱転写受像シートの製造方法であって、支持体上の少なくとも1層を水系塗布により形成する工程を含む感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記断熱層が少なくとも1種の中空ポリマーを含有し、該断熱層を水系塗布により形成することを特徴とする請求項4に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記支持体上に少なくとも2層を同時重層塗布により形成することを特徴とする請求項4または5に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
Priority Applications (5)
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