JP4703506B2 - 感熱転写受像シート - Google Patents
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Description
そこで、断熱性及びクッション性をもたせるために受像シートの基材として、ミクロボイドを含有する二軸延伸ポリオレフィンフィルムを用いた複合支持体を用いることがある(例えば、特許文献1、2)。しかし、この方法では、延伸時の残留応力がプリント時の熱や、受像層塗工時の熱で緩和して収縮し、受像シートにシワやカールが発生するなどの問題が発生することがある。
受像シートに断熱性及びクッション性をもたせる他の方法として、支持体と受容層との間に、例えば樹脂と発泡剤からなる発泡層(例えば特許文献3)や中空ポリマーを含む多孔質層などのクッション性の高い層を形成する方法(例えば特許文献4)も知られている。これらの方法は、基材に塗布方式にて断熱層を形成させることができるため、前記ミクロボイドを含有する二軸延伸ポリオレフィンフィルムを用いた複合支持体を用いる方法において見られた受像シートにシワやカールの発生が抑えられるという利点はあるが、一般に不均一で平滑な受像シートを得るのが困難であり、インクシートと受像紙との密着不良に起因する転写不良等の問題が発生する。
この問題を解決するために、断熱層が中空ポリマーと耐有機溶剤性の高分子を主成分とする層で構成されている受像シートが開示されているが(特許文献5)、十分なレベルとは言いがたい。また、シート状基材上に中空粒子を含有する樹脂を主成分として含む中間層を形成するに際し、シート状基材に中間層形成用塗料を塗工後、塗工面をキャストドラムに圧着させて受像シートを形成する方法(特許文献6)が開示されているが、このような方法は、十分な平滑性は得られるものの、製造工程が複雑になり生産性の観点で不利を生じる。
一方、銀塩写真業界では、支持体上に複数の機能の異なる複数の層を同時に水性重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている(特許文献7、非特許文献3)。このような水性重層塗布を用いて受像シートを作製する方法(特許文献8)が知られている。しかし、この方法では十分なクッション性を得ることが難しく、インクシートと受像シートとの密着不良に起因する転写不良が発生する。これは、中空ポリマーが硬く、前記「ミクロボイドを含有する二軸延伸ポリオレフィンフィルムを用いた複合支持体」と比較し、十分なクッション性を得ることが難しいためである。
溶剤塗布に対して、生産性だけでなく、大気汚染、火災の危険性、作業衛生面等でも好ましい水系重層塗布技術を応用した、転写不良の起こらない、クッション性の高い感熱転写受像シート及び製造方法が望まれている。
(1)支持体上に、弾性率の異なる2種類以上のポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、該受容層と支持体の間に設けた、中空ポリマーラテックス及びゼラチンを含有する少なくとも1層の断熱層とを有し、該受容層中の該ポリマーラテックスの少なくとも1種が、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体のポリマーラテックスであり、該断熱層中の該中空ポリマーラテックスが、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂で形成された、平均粒子サイズが0.1〜2μmの非発泡型の中空ポリマー粒子のラテックスであり、かつ該断熱層に接して下塗層を有し、該下塗層以上の層(該下塗層を含む)がいずれもラテックスを含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)前記受容層のポリマーラテックスが、弾性率の最も小さいポリマーラテックスの弾性率が1500Mpa以下であって、弾性率の最も大きなポリマーラテックスの弾性率が1600Mpa以上、2200Mpa以下であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記受容層を形成するポリマーラテックスの組成が、受容層中の上層と下層とで異なることを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)前記受容層中の上層に、弾性率の最も高いポリマーラテックスが最も多く含有し、該受容層中の下層に、弾性率の最も小さなポリマーラテックスが最も多く含有することを特徴とする(3)に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記受容層にゼラチンを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含むポリマーラテックスまたはポリエステルであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(7)前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、モノマーの組成比が異なった塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体またはポリエステルであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(8)前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、モノマーの組成比が異なった塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(9)前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、ポリエステルであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(10)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートが、該シートの製造工程において、前記受容層と前記断熱層とを同時に塗布して製造されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
(11)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートが、該シートの製造工程において、前記受容層、前記断熱層および前記下塗層を同時に塗布して製造されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
最初に本発明で使用する感熱転写受像シートを説明する。
本発明に用いられる感熱転写受像シートは、少なくとも支持体上に染料受容層(受容層)と断熱層が形成されている。受容層と支持体との間には下地層(下塗層とも称す)が形成されていることが好ましく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。本発明においては、受容層と下塗層との間でかつ下塗層に接して、断熱層が形成されている。さらに、支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われるが、スライドコート、カーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明に用いられる受像シートは、少なくとも染料を受容し得る熱可塑性の受容ポリマーを有する少なくとも1層の受容層を有する。
受容ポリマーはポリマーラテックスとして水溶性の分散媒中に分散して使用することが好ましい。更に、受容層は該ポリマーラテックス以外に水溶性ポリマーを含有することが好ましい。ポリマーラテックスと水溶性ポリマーとを含有させることで、染料に染着し難い水溶性ポリマーをポリマーラテックス間に存在させ、ポリマーラテックスに染着した染料が拡散するのを防止することができ、この結果、受容層の経時による鮮鋭性の変化を少なくし、転写画像の経時変化が小さい記録画像を形成することができる。
受容層は、受容ポリマーのポリマーラテックス以外にも、例えば、膜の弾性率を調整するなどの目的で、他の機能を有するポリマーラテックスも併用して用いることができる。
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。
一般的なポリマーラテックスは次に示すような文献に記載されている。奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64-538号公報。
本発明の感熱転写受像シートにおいて受容層に用いうるポリマーラテックスは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。ポリマーラテックスとしては、特に制限はないが、塩化ビニル類、アクリレート類、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリオレフィン類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。より好ましくは塩化ビニル類、アクリルレート類、ゴム類(例えばSBR類)、ポリ酢酸ビニル類である。本発明においては、弾性率の異なるポリマーラテックスを2種類以上含み、このうちの少なくとも1種のポリマーラテックスが塩化ビニルとアルキルアクリレートの共重合体のポリマーラテックスである。
ポリマーラテックスの種類が異なるとは、ポリマーラテックスを形成する繰り返し単位のモノマー種が異なっていても良いし、それぞれのモノマー組成比が異なっていても良い。
(a)共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b)オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
(e)不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f)スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g)ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h)ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i)α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j)その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用できる。
Z−1:ベンジルアルコール
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
Z−4:ジエチレングルコール
本発明における受容層においては塩化ビニルをモノマー単位として含むポリマーラテックスは層中の全固形分に占める比率で50%以上であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
受容層は水溶性ポリマーを含有することが好ましい。本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
本発明において、水溶性ポリマーを前記ポリマーラテックスと区別するためにバインダーと標記することもある。
本発明においてはゼラチンが好ましい態様の一つである。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
アクリル系としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩またはその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、アクリル酸又はその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドまたはその共重合体、ポリアミジンまたはその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、水溶性ポリエステル(互応化学(株)製プラスコートZ-221、Z-446、Z-561、Z-450、Z-565、Z-850、Z-3308、RZ-105、RZ-570、Z-730、RZ-142(いずれも商品名))などである。
以下に、ポリビニルアルコールについてさらに詳しく説明する。
完全けん化物としては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0質量%以上、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以下、揮発分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20℃)5.6±0.4CPS]、PVA−110[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)11.0±0.8CPS]、PVA−117[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)28.0±3.0CPS]、
受容層における水溶性ポリマーの添加量は、当該受容層全体の1〜25質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
架橋剤として本発明に用いられる硬膜剤は、受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
本発明においてさらに好ましい硬膜剤は下記一般式(B)または(C)で表される化合物である。
一般式(B)
(CH2=CH−SO2)n−L
一般式(C)
(X−CH2−CH2−SO2)n−L
一般式(B)、(C)中でXはハロゲン原子を表し、Lはn価の有機連結基を表す。一般式(B)または(C)で表される化合物が低分子化合物である場合nは1ないし4の整数を表す。高分子化合物である場合Lはポリマー鎖を含む有機連結基であり、このときnは10〜1000の範囲である。
また、クロロトリアジン系硬膜剤としては、少なくとも1個のクロル原子が、2位、4位または6位に置換した1,3,5−トリアジン化合物が好ましい。塩素原子は、2位、4位または6位に、2個または3個置換したものもがより好ましい。2位、4位または6位に、少なくとも1個の塩素原子が置換して、残りの位置に、塩素原子以外の基が置換してもよく、これらの基としては、水素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルオキシもしくはアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
クロロトリアジン系硬膜剤の具体的な例は、4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンもしくはこのNa塩、2−クロロ−4,6−ジフェノキシトリアジン、2−クロロ−4,6−ビス〔2,4,6−トリメチルフェノキシ〕トリアジン、2−ク
ロロ−4,6−ジグリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(n−ブトキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−クロロエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ブロモエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,6−キシレノキシ)−1,3,5−トリアジン等であるが、本発明においてこれらに限定されない。
このような化合物は、塩化シアヌル(すなわち2,4,6−トリクロロトリアジン)を、複素環上の置換基に対応するヒドロキシ化合物、チオ化合物またはアミノ化合物等と反応させることによって容易に製造できる。
本発明に用いられる感熱転写受像シートの受容層には、乳化物を含有することが好ましい。本発明に好ましく用いられる乳化物について、以下に説明する。
滑剤、酸化防止剤などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号明細書に記載の方法などの公知の方法により受像シートの層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同第4,536,466号、同第4,536,467号、同第4,587,206号、同第4,555,476号、同第4,599,296号、特公平3−62256号の公報または明細書などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。またこれら滑剤や酸化防止剤、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。R42〜R46は水素原子または置換基を表す。該置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を包含する)、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、メルカプト基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などが挙げられる。Ra1〜Ra4は各々独立に、水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチル)を表す。
一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
一般式(E−1)〜(E−3)において、R41は脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R42、R43、R45及びR46は各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R41は脂肪族基であって、R42、R43、R45及びR46は各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合はさらに好ましい。
以下に、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
できる。反応性シリコーンオイルには、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシ変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性・異種官能基変性がある。アミノ変性シリコーンオイルとしては、KF−393、KF−857、KF−858、X−22−3680、X−22−3801C、KF−8010、X−22−161A、KF−8012(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、エポキシ変性シリコーンオイルとしては、KF−100T、KF−101、KF−60−164、KF−103、X−22−343、X−22−3000T(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。カルボキシル変性シリコーンオイルとしては、X−22−162C(商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、ヒドロキシ変性シリコーンオイルとしては、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003、X−22−170DX、X−22−176DX、X−22−176D、X−22−176DF(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、メタクリル変性シリコーンオイルとしては、X−22−164A、X−22−164C、X−24−8201、X−22−174D、X−22−2426(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
好ましくは以下の化合物が用いられる。
疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭59−157636号公報の37〜38頁に記載の界面活性剤として挙げたものを使うことができる。また、特開平7−56267号、同7−228589号、西独公開特許第1,932,299A号の公報または明細書に記載のリン酸エステル型界面活性剤も使用することができる。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤が添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤をグラフトしたポリマーをラテックス化する場合、前記の染着性受容ポリマーのラテックスと混合してから塗布することで紫外線吸収剤が均一に分散した受容層を形成することができる。
また、受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物、及び各種ワックス分散物を用いることができる。特にシリコーンオイル、ワックス分散物が好ましく用いられる。
このワックスは融点が25℃〜120℃のものから選ばれ、好ましくは40℃〜100℃、更に好ましくは60℃〜90℃のものから選ばれる。
ワックスは水分散物が好ましく、更に微粒子化したものがより好ましい。水分散の方法、および微粒子化させる方法は、「改定 ワックスの性質と応用」(幸書房、1989年)に記載の方法で達成される。
ワックスの添加量は、受容層全固形量の0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、1.5質量%〜15質量%が更に好ましい。
特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましく、より好ましくは1〜8g/m2、更に好ましくは2〜7g/m2の塗布量が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
断熱層は、サーマルヘッド等を用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
ここで、中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、例えば、[1]ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の分散媒が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、[2]ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、[3]上記の[2]をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。本発明における中空ポリマーラテックスはこの中空ポリマーをラテックスとしたものである。以後、中空ポリマーとも称す。
なお、本発明では上記の中空ポリマーのうち、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂で形成された非発泡型の中空ポリマーを使用する。
中空ポリマーの中空率は、20〜70%程度のものが好ましく、20〜50%のものがより好ましい。これは、中空率が20%未満になると十分な断熱性が得られなくなり、中空率が過剰に高くなると、粒子サイズが好ましい範囲では不完全な中空粒子の比率が増えて、十分な膜強度が得られなくなるからである。
本発明での中空ポリマーの中空率とは、中空粒子の透過顕微鏡写真により撮影される透過画像において、下式(a)で算出される値Pである。
ここで、「有機溶剤に耐性の無い」とは、有機溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)への溶解度が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であることをいう。例えば前記ポリマーラテックスは、「有機溶剤に耐性の無い樹脂」に含まれる。
断熱層における水溶性ポリマーの添加量は、当該断熱層全体の1〜75質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
本発明において断熱層の空隙率、下式(b)にて算出される値Vである。
支持体と断熱層との間には下地層(下塗層)が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。本発明においては断熱層に接して下塗層を有す。
本発明では、支持体として耐水性支持体が用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の受容層、中間層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することで形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に画像欠陥を大幅に減少させることができる。
本発明では米国特許2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させる事が好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げることが好ましい場合もある。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
することによって所期の目的を十分に達成することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)50質量部及びアスペンからなるLBKP 50質量部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
次いで、上記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC(株)製CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC(株)製 DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学(株)製サイズパインK)O.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
合成例(エマルジョン−1の合成)
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素で充分置換した後、脱イオン水1,150g、エチルアクリレート100g、ドデベシベルベンゼンスルホン酸ソーダ30gを仕込み、さらに重合器内を減圧して塩化ビニル900部を仕込んだ。重合器内を60℃に昇温した後、過硫酸アンモニウムの1%水溶液50部を圧入して反応を開始し、内温を60℃に保持しながら16時間反応させて重合を終了した。その後30℃まで冷却し、25%アンモニア水を使用してpHを7〜8に調整した。合成後、エマルジョンをガラス乾板に塗布し、ポリマー成分のみをクロロホルムで抽出した。この抽出物を1H−NMR測定で解析し、合成したエマルジョン−1の組成を塩ビ:メチルアクリレート=90:10と決定した。
(エマルジョン−2の合成)
塩化ビニルの使用量を変更する以外は、エマルジョン−1と同様にして作製した。作製したポリマーラテックスの弾性率とともに、表1に示す。
上記のように作製した支持体上に下層から順に下塗層、断熱層、受容層の構成の多層構成塗布物を同時重層塗布した。塗工液の組成と塗布量を以下に示す。
(組成)
スチレンブタジエンラテックス 93質量部
(日本エイアンドエル社製 SR103)
PVA 8.7%水溶液 57質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 21ml/m2
(組成)
中空ポリマーラテックス 38質量部
(日本ゼオン(株)製 MH5055)
16%ゼラチン水溶液 26質量部
水 4質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 45ml/m2
(組成)
合成したポリマーラテックス1(固形分40%) 50質量部
(上記エマルジョン−1)
10%ゼラチン水溶液 10質量部
先に調製した乳化物A 13質量部
マイクロクリスタリンワックス 7質量部
(日本製蝋(株)製 EMUSTAR−42X)
水 35質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 18ml/m2
感熱転写受像シート101において、受容層に用いたポリマーラテックス1(上記エマルジョン−1)の代わりに、合成したポリマーラテックス2(上記エマルジョン−2)を用いた以外は同様にして、感熱転写受像シート102を作製した。なお、ポリマーラテックス量は、固形分量が等しくなるように添加した。
感熱転写受像シート101において、受容層に用いたポリマーラテックス1の代わりに、市販品のポリマーラテックスZ446(互応化学(株))を用いた以外は同様にして、感熱転写受像シート103を作製した。
感熱転写受像シート101において、受容層に用いたポリマーラテックス1の代わりに、ポリマーラテックス1とポリマーラテックス2との混合物(ポリマーラテックス1:ポリマーラテックス2=50:50)を用いた以外は同様にして、感熱転写受像シート104を作製した。
感熱転写受像シート101において、ポリマーラテックス1とポリマーラテックス2とポリマーラテックスZ446(互応化学(株))との混合物(ポリマーラテックス1:ポリマーラテックス2:ポリマーラテックスZ446=40:40:20)を用いた以外は同様にして、感熱転写受像シート105を作製した。
感熱転写受像シート101において、受容層に用いたポリマーラテックス1(ポリマーラテックス1が入った受容層塗工液(1)を18ml/m2塗布)の代わりに、ポリマーラテックス1の受容層塗工液(1)9ml/m2を上層に、ポリマーラテックス2の入った受容層塗工液(2)9ml/m2を下層として、重層塗布した以外は同様にして、感熱転写受像シート106を作製した。
感熱転写受像シート101において、受容層に用いたポリマーラテックス1(ポリマーラテックス1が入った受容層塗工液(1)を18ml/m2塗布)の代わりに、ポリエステル系ポリマーラテックスZ446の入った受容層塗工液(3)9ml/m2を下層に、ポリマーラテックス2の入った受容層塗工液(2)9ml/m2を上層として、重層塗布した以外は同様にして、感熱転写受像シート107を作製した。
インクシートと、感熱転写受像シート101〜107を装填可能なように加工し、昇華型熱転写プリンターASK2000(富士写真フィルム(株)社製)を用いて、高速プリントモードで出力した。出力画像は、最高濃度の全面黒画像(黒ベタ画像)を用い、20枚連続で出力を行った。このとき、1枚目が排出されてから、2枚目が排出されるまでの時間は8秒間であった。
(1)Dmax評価
上記の条件で得られた黒画像のVisual濃度をPhotographic Densitometer(X−Rite incorporated社製)で測定した。
(2)離型性(接着性)の評価
インクシートと受像シートの離型性は、最高濃度の全面黒画像(黒ベタ画像)を出力し、その表面を観察し、スジ状のムラ(スティッキング)を評価した。あわせて、この処理を行う際に発生する処理音を聞き取り、その大小を評価した。これらスティッキング、処理音の性能結果を下記の評価ランクで、下記表3に記載した。
◎:○レベルより、より良好な結果が得られた。
○:問題なく、良好な結果が得られた。
△:悪化傾向にあるが、許容できるレベルである。
×:問題であり許容できないレベルである。
白抜け画像故障は、ハイライトのグレーを出力し、低感度域のカスレ程度を評価した。
◎:○レベルより、より良好な結果が得られた。
○:問題なく、良好な結果が得られた。
△:悪化傾向にあるが、許容できるレベルである。
×:問題であり許容できないレベルである。
実施例1で作製した感熱転写受像シートを、昇華型熱転写プリンターCW01(シチズン(株)社製)によって画像形成を行った。プリンターを変更したこと以外は、実施例1と同様に行ったところ、本発明の感熱転写受像シートは同様に良好な結果が得られた。
Claims (11)
- 支持体上に、弾性率の異なる2種類以上のポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、該受容層と支持体の間に設けた、中空ポリマーラテックス及びゼラチンを含有する少なくとも1層の断熱層とを有し、該受容層中の該ポリマーラテックスの少なくとも1種が、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体のポリマーラテックスであり、該断熱層中の該中空ポリマーラテックスが、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂で形成された、平均粒子サイズが0.1〜2μmの非発泡型の中空ポリマー粒子のラテックスであり、かつ該断熱層に接して下塗層を有し、該下塗層以上の層(該下塗層を含む)がいずれもラテックスを含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
- 前記受容層のポリマーラテックスが、弾性率の最も小さいポリマーラテックスの弾性率が1500Mpa以下であって、弾性率の最も大きなポリマーラテックスの弾性率が1600Mpa以上、2200Mpa以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層を形成するポリマーラテックスの組成が、受容層中の上層と下層とで異なることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層中の上層に、弾性率の最も高いポリマーラテックスが最も多く含有し、該受容層中の下層に、弾性率の最も小さなポリマーラテックスが最も多く含有することを特徴とする請求項3に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層にゼラチンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含むポリマーラテックスまたはポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、モノマーの組成比が異なった塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体またはポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、モノマーの組成比が異なった塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層中の、塩化ビニルとアルキルアクリレートとの共重合体の前記ポリマーラテックスとは弾性率が異なるポリマーラテックスが、ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートが、該シートの製造工程において、前記受容層と前記断熱層とを同時に塗布して製造されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートが、該シートの製造工程において、前記受容層、前記断熱層および前記下塗層を同時に塗布して製造されてなることを特徴とする感熱転写受像シート。
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