JP2541796B2

JP2541796B2 - 被熱転写シ−ト

Info

Publication number: JP2541796B2
Application number: JP60112766A
Authority: JP
Inventors: 善員伊藤; 順教斎藤; 均有田
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 1985-05-25
Filing date: 1985-05-25
Publication date: 1996-10-09
Anticipated expiration: 2011-10-09
Also published as: JPS61270192A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、被熱転写シートに関し、更に詳しくはサー
マルヘッド等により画像情報に応じた加熱印字が行われ
る、熱転写シートと組合わせて用いられる被熱転写シー
トに関する。

〔従来の技術〕

近年、CRTディスプレイ上の画像より直接写真のよう
な画像を記録するために採用されている熱転写記録方式
において使用されている被熱転写シートとして、従来合
成紙、上質紙、アート紙、コート紙等の基材に受容層を
設けたものが用いられている。上記熱転写記録方式は、
ポリエステルフィルム等の基材に昇華性染料とバインダ
ーとからなる色材層を設けてなる熱転写シート（必要に
応じて色材層を設けた基材の反対の面に耐熱保護層を設
けたものもある）の該色材層を、被熱転写シートの受容
層と相対して重ね合わせ、電気信号によって発熱が抑制
されるサーマルヘッド等により熱転写シートを加熱し、
熱転写シートの色材層中の昇華性染料を被熱転写シート
上に転写せしめ加熱印字するものである。

この熱転写記録方式における被熱転写シートの基材と
して合成紙を使用した場合、熱転写シートと重ね合わせ
サーマルヘッド等で加熱印字した際、合成紙が加熱によ
り部分的に熱収縮しカールが発生し易いという欠点があ
り、このため被熱転写シートの基材として一般に合成紙
以外の上質紙等が使用される場合が多い。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、合成紙以外の上質紙等を基材として用
いた被熱転写シートは、加熱印字した画像の濃度が上が
り難いという問題点がある。一般に上質紙に比べ平滑度
の高いアート紙、コート紙を被熱転写シートの基材とし
て用いて加熱印字を行った場合、上質紙に比べて均一で
白抜けが少ない画像が得られるが、単に被熱転写シート
の基材の平滑度を高めるだけでは画像濃度を上げること
はできない。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、上記問題点に鑑み鋭意研究した結果、被熱
転写シートにおいて紙基材と受容層との間に多孔層を設
けることにより加熱印字による画像濃度が上がり易い、
即ち昇華転写の感度が高くなることを見出し本発明を完
成するに至った。

即ち、本発明の被熱転写シートは実質的にセルロース
繊維からなる紙基材と、加熱された際に熱転写シートか
ら移行してくる染料が受容される上記紙基材に設けられ
た受容層を有する被熱転写シートにおいて、紙基材と受
容層との間に３μｍ以上の厚みを有し気泡を含有する多
孔層が設けられ、上記多孔層が合成樹脂エマルジョン又
は合成ゴムラテックスから形成された層であることを特
徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は、本発明の被熱転写シート１の一実施態様を
示し、該被熱転写シート１は実質的にセルロース繊維か
らなる紙基材２と、該紙基材２上に設けられた多孔層３
と、さらに多孔層３上に設けられた受容層４とから構成
されている。実質的にセルロース繊維からなる紙基材と
は、通常の紙のみならず、紙に特殊加工を施したものも
包含される。従って紙基材２としては上質紙、アート
紙、コート紙、キャストコート紙等が挙げられる。

本発明における多孔層３は厚さ３μｍ以上の厚みを有
し気泡を含有する層であり、合成樹脂エマルジョン又は
合成ゴムラテックスから形成される。具体的には、１）
ポリウレタン等の合成樹脂エマルジョン、メチルメタク
リレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックスを機械
的攪拌により起泡させた液を紙基材２上に塗布し乾燥さ
せた層、２）上記合成樹脂エマルジョン、上記合成ゴム
ラテックスに発泡剤を混合させた液を紙基材２上に塗布
し乾燥させた層、３）塩ビプラスチゾル、ポリウレタン
等の合成樹脂又はスチレン−ブタジエン系等の合成ゴム
に発泡剤を混合した液を紙基材２上に塗布し加熱するこ
とにより発泡させた層、４）熱可塑性樹脂又は合成ゴム
を有機溶媒に溶解した溶液と、該有機溶媒に比べ蒸発し
にくく該有機溶媒に対し相溶性を有し且つ熱可塑性樹脂
又は合成ゴムに対して溶解性を有しない非溶媒（水を主
成分とするものも含む）との混合液を、紙基材２上に塗
布し乾燥させることによりミクロ状に凝集した膜を形成
してなるミクロポーラス層等が用いられる。上記の発泡
剤としては、熱で分解して酸素、炭酸ガス、窒素等のガ
スを発生するジニトロペンタメチレンテトラミン、ジア
ゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチルニトリル、アゾ
ジカルボアミド等の分解型発泡剤、ブタン、ペンタン等
の低沸点液体をポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニト
リル等の樹脂でマイクロカプセル化したマイクロバルー
ン等の発泡剤、これらのマイクロバルーンを予め発泡さ
せたもの等が挙げられる。上記１）〜３）の層は気泡の
大きさが大きいため、該層上に受容層４の形成用溶液を
塗布し乾燥させた場合、乾燥させて形成された受容層４
の表面に凹凸が生じる虞れがある。そのため上記凹凸が
小さくまた均一性の高い画像を転写せしめることが可能
な受容層４の表面を得るためには、多孔層３として、上
記４）のミクロポーラス層を設けることが好ましい。

上記ミクロポーラス層の形成に当たって用いられる熱
可塑性樹脂としては、飽和ポリエステル、ポリウレタ
ン、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、セルロースアセト
プロピオネート等が挙げられ、また同様に用いられる上
記合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン系、イソプ
レン系、ウレタン系等が挙げられる。また該ミクロポー
ラス層の形成に当たって用いられる有機溶媒及び非溶媒
としては種々のものが可能であるが、通常、有機溶媒と
してメチルエチルケトン、アルコール等の親水性溶媒が
用いられ、また、非溶媒として水が用いられる。

本発明における多孔層３の厚みは、３μｍ以上のもの
が用いられ、特に５〜20μｍ厚のものが好ましい。多孔
層３の厚みが３μｍ未満のものは、クッション性、断熱
性の効果が発揮されない。

また本発明における受容層４の材質としては、飽和ポ
リエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ナイ
ロン等の熱可塑性樹脂が用いられ、必要により該樹脂に
炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の顔料を含有
させることができる。該受容層４の形成方法としては、
上記熱可塑性樹脂の有機溶媒溶液に、必要により上記顔
料を分散させた液を多孔層３上に塗布し乾燥させること
により形成することができる。上記受容層４の厚みは、
一般に５〜10μｍのものが好ましい。

上記受容層４の表面に多孔層３の気泡によって凹凸が
生じ、そのため加熱印字により転写される画像が不均一
となる場合は、第２図、第４図に示すように該多孔層３
と受容層４との間に平滑度調整層５を設けることが望ま
しい。

上記平滑度調整層５の材質としては飽和ポリエステ
ル、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が用いられ、必要
により該樹脂に酸化チタン、炭酸カルシウム等の顔料を
含有させることもできる。該平滑度調整層５を多孔層３
上に設ける方法としては、１）熱可塑性樹脂のフィルム
をラミネートする方法、２）熱可塑性樹脂をホットメル
トコーティング等により塗布する方法、３）熱可塑性樹
脂の高粘度溶液をリバースロールコーティング等により
塗布する方法等が挙げられる。上記１）におけるラミネ
ート方法としては、押出法、ドライラミネート法、ウェ
ットラミネート法等を使用できる。上記平滑度調整層５
を設けることにより、受容層形成面を平滑にでき、多孔
層３の気泡による凹凸の影響を受けずに受容層４の表面
を平滑性良好なものに形成でき、その結果、加熱印字に
より転写される画像が均一なものになる利点がある。

上記多孔層３を形成するために該多孔層３の形成用溶
液を塗布する紙基材２としては、平滑度が高く且つ有機
溶媒溶液に浸透しにくいアート紙、コート紙、キャスト
コート紙等が望ましいが、これらの紙基材２上に多孔層
３の形成用溶液を塗布した際、該溶液の浸透が顕著な場
合には、第３図、第４図に示すように、有機溶媒溶液に
対してバリヤー性を有するバリヤー層６を紙基材２と多
孔層３の間に設けることができる。該バリヤー層６を設
けることにより、多孔層４の形成用溶液が紙基材２に浸
透することを防止し、多孔層４を形成した際、該多孔層
４を所定の厚みに維持できると共に表面の凹凸が少ない
多孔層４を形成することができ、その結果、加熱印字に
より転写される画像が鮮明なものが得られる。

上記バリヤー層６としては、１）アクリル酸エステル
等の合成樹脂エマルジョン、メタクリレート−ブタジエ
ン系等の合成ゴムラテックスに必要によりカゼイン、デ
ンプン、ポリビニルアルコール等の水溶液を混合しクレ
ー、炭酸カルシウム等の体質顔料を分散させた液を紙基
材２に塗布し乾燥させてなる層、２）ポリウレタン、ポ
リエステル等の合成樹脂溶媒溶液に必要により炭酸カル
シウム、酸化チロン、クレー等の顔料を分散させた液を
紙基材２に塗布し乾燥させてなる層等が挙げられる。該
バリヤー層６の厚さは、使用する紙基材によっても異な
るが、通常２〜10μｍが好ましく、有機溶媒溶液に対し
てバリヤー性のない上質紙を紙基材２として使用した場
合は、他の紙基材に比べてバリヤー層６の厚みを大きく
設けることが好ましい。また、上記１）の材質を使用し
て設けるバリヤー層の如き水系のバリヤー層６を用いた
場合は、該バリヤー層６の表面をスーパーキャレンダー
掛けによって平滑化することが望ましい。

上記の如き構成を有する本発明の被熱転写シート１
は、第５図に示すように転写シート７の色材層８と被熱
転写シート１の受容層４とが接触するように熱転写シー
ト７と重ね合わせ、熱転写シート７の支持材９側よりサ
ーマルヘッド等により画像情報に応じた加熱を行った
後、熱転写シート７を剥離することにより色材層８中の
昇華染料が被熱転写シート１の受容層４に転写され、被
熱転写シート１に画像が転写記録される。

以下に具体的実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。

実施例１市販キャストコート紙（米坪130g/m²）の平滑面上に
ポリウレタンエマルジョン（保土谷化学製：アイゼラッ
クスＳ−1040）を水により濃度が25重量％になるよう希
釈させホモミキサーで攪拌して起泡させたエマルジョン
をミヤバーコーティングにより塗布し乾燥させ４μｍ厚
の多孔層（固型分付着量6g/m²）を設けた。その多孔層
面上に下記組成の受容量組成物をミヤーバーコーティン
グにより塗布し乾燥させ６μｍ厚の受容層（固型分付着
量6g/m²）を形成し被熱転写シートとした。

受容層組成物ポリエステル樹脂：（東洋紡製バイロン200） 10重量部アミノ変性シリコーン：（信越化学製KF−393）0.5重量
部アポキシ変性シリコーン：（信越化学製Ｘ−22−343）
0.5重量部メチレン／トルエン／シクロヘキサン（重量比4:4:2）8
9重量部一方、片面に耐熱性層を設けた厚さ６μｍのポリエチ
レンテレフタレートフィルム（東レ製）を支持材とし、
該支持材の耐熱性層を設けた面の反対面上に下記の色材
層組成物をミヤーバーコーティングにより塗布し乾燥さ
せ約１μｍ厚の色材層（固型分付着量1g/m²）を形成し
熱転写シートとした。

色材層組成物分散染料：（日本化薬製KST−Ｂ−136）４重量部エチルヒドロキシエチルセルロース（ハーキュレス製）
64重量部メチルエチルケトン／トルエン（重量比1:1） 90重量部上記熱転写シートと被熱転写シートとを色材層と受容
層とが接触するように重ね合わせ、熱転写シートの耐熱
性層側よりサーマルヘッドにより加熱した後両シートを
剥離し、被熱転写シートの受容層に熱転写シートの色材
層中の単色ベタの分散染料を転写せしめた。

上記被熱転写シートに転写された画像濃度をマクベス
濃度計で測定したところ測定値が1.9であった。この印
字条件では、被熱転写シートに転写された画像濃度はマ
クベス濃度計測定値で1.5以上であれば好ましいとされ
る。従って、上記被熱転写シートによれば、転写される
画像濃度において充分なものが得られることが判明し
た。

実施例２実施例１で使用したと同様のキャストコート紙の平滑
面上にポリウレタン樹脂（ダイセル化学製プラセルEA）
のメチルエチルケトン溶液をミヤバーコーティングによ
り塗布し乾燥させ４μｍ厚のバリヤー層（固型分付着量
約3g/m²）を設けた。そのバリヤー層面上に、ポリウレ
タン樹脂（武田薬品製タケラックＴ）をトルエン−イソ
プロピレンアルコール（混合比2:1）により溶解させた
溶液（含有量15重量％）に、さらに水（水の混合量30重
量％）を混合しやや白濁した液をミヤバーコーティング
により塗布し乾燥させ約10μｍ厚のミクロポーラス層を
設けた。そのミクロポーラス層面上に実施例１と同様の
10μｍ厚の受容層を形成して被熱転写シートとした。

上記被熱転写シートを実施例１で使用したと同様の熱
転写シートと組合わせ、実施例１と同様の画像を被熱転
写シートに転写せしめた。

また、上記被熱転写シートに転写された画像濃度をマ
クベス濃度計で測定したところ、測定値は1.8であっ
た。

実施例３実施例１で使用したと同様のキャストコート紙の平滑
面上に実施例１と同様の約15μｍ厚の多孔層（固型分付
着量10g/m²）を設けた。次ぎに、９μｍ厚のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に実施例１と同様の約６μ
ｍ厚の受容層（固型分付着量6g/m²）を設け、その受容
量を設けた面の反対面に接着剤としてポリエステル樹脂
（東洋紡製バイロン200）溶液を塗布したものを、上記
多孔層上にドライラミネートにより接着してなるものを
被熱転写シートとした。

また、上記被熱転写シートに転写された画像濃度をマ
クベス濃度計で測定したところ、測定値は2.1であっ
た。

比較例１実施例１で使用したと同様のキャストコート紙の平滑
面上に実施例１で使用したと同様のポリウレタンエマル
ジョンを水により濃度が25重量％となるように希釈させ
たエマルジョンを攪拌せず（起泡させず）、ミヤバーコ
ーティングにより塗布し乾燥させた層（固型分付着量8g
/m²）を設け、その層上に実施例１と同様の６μｍ厚の
受容層（固型分付着量6g/m²）を形成し被熱転写シート
とした。

また、上記被熱転写シートに転写された画像濃度をマ
クベス濃度計で測定したところ、測定値は1.3であり、
従って、多孔層を設けない上記被熱転写シートによる転
写された画像濃度は低いものであった。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明は、基材と、加熱された際
に熱転写シートから移行してくる染料が受容される上記
基材に設けられた受容層を有する被熱転写シートにおい
て、実質的にセルロース繊維からなる紙基材と受容層と
の間に３μｍ以上の厚みを有する多孔層を設けたことに
より、多孔層による断熱効果が生じ熱転写記録方式にお
いてサーマルヘッド等の加熱印字時の熱が受容層で充分
に活用され、また多孔層によるクッション弾性効果が生
じサーマルヘッド等の加熱印字が満遍なく行われ画像の
白抜けがなくなり、転写される画像濃度が向上するとい
う種々の効果がある。また本発明の被熱転写シートは、
多孔層が合成樹脂エマルジョン又は合成ゴムラテックス
から形成された層であるため、該層形成の際に該層の塗
工物は有機溶媒を用いた塗工物と比較して紙基材に浸透
する度合いが低いため、安定した塗工が可能であり、均
一な多孔層の形成が可能である。しかも水系の該塗工物
は高濃度に形成することができ塗布厚みの調整が容易で
あり、更に有機溶媒系の塗工物と比較して作業時や保存
の際の安全性が高く、衛生面も有利である。また水系の
塗工物は、起泡させた場合には安定性を良好に保ちやす
く、発泡剤を用いた際は発泡剤の機能を低下させること
が少なく、良好な発泡を行い均一な発泡層を得ることが
容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の一実施例を示し第１図は、本発明の被
熱転写シートの一実施態様を示す縦断面図、第２図〜第
４図は、被熱転写シートの他の実施態様を示す縦断面
図、第５図は、熱転写シートより被熱転写シートに転写
を行う状態を示す縦断面図である。１……被熱転写シート２……紙基材３……多孔層４……受容層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭59−165688（ＪＰ，Ａ) 特開昭58−212994（ＪＰ，Ａ) 特開昭58−148794（ＪＰ，Ａ) 特開昭59−85792（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−186473（ＪＰ，Ａ) 特開昭54−92263（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−164892（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−164863（ＪＰ，Ａ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】実質的にセルロース繊維からなる紙基材
と、加熱された際に熱転写シートから移行してくる染料
が受容される上記紙基材に設けられた受容層を有する被
熱転写シートにおいて、紙基材と受容層との間に３μｍ
以上の厚みを有し気泡を含有する多孔層が設けられ、上
記多孔層が合成樹脂エマルジョン又は合成ゴムラテック
スから形成された層であることを特徴とする被熱転写シ
ート。
【請求項２】気泡が発泡剤から形成されている特許請求
の範囲第１項記載の被熱転写シート。
【請求項３】多孔層の上に平滑度調整層を設け、その上
に受容層を設けた特許請求の範囲第１項又は第２項記載
の被熱転写シート。