JP4695999B2 - 昇華型感熱転写受像シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、支持体上に中空の粒子と耐有機溶剤性の高分子を主成分とした中間層を塗布・乾燥して形成した後に、有機溶剤系の樹脂塗工液にて受容層を形成することが開示されている。ここで、中間層に用いられる耐有機溶剤性の高分子は、中間層に用いられる中空粒子が受容層の有機溶剤に溶解するのを防止する役割を果たす。しかし、受容層を有機溶剤系の樹脂塗工液にて形成する場合、感度が不十分で画像欠陥が多く、しかもコストが高いという問題があった。
また、特許文献2に記載の感熱転写受像シートは中空球状ピグメントを分散させた層と受像層(受容層)を含むことが開示されているが、特許文献1記載の感熱転写受像シートと同様に感度が不十分で画像欠陥が多いという問題があった。
(1)支持体上に、塩化ビニルとアルキルアクリレートとのコポリマーのポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、該受容層に接して、平均粒子サイズが0.1〜2μmで、かつポリスチレン樹脂又はスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層を有し、該断熱層中に水溶性ポリマーを含有する昇華型感熱転写受像シートであって、該断熱層に含まれる該中空ポリマーにおいて直径10μm以上の粒子が存在する比率が、粒子像分析装置FPIA−2100(商品名、シスメックス株式会社製)で測定して、10個/10000個以下であることを特徴とする昇華型感熱転写受像シート。
(2)前記断熱層に含有する樹脂が、中空ポリマー以外に水溶性ポリマーのみであることを特徴とする(1)項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(3)前記断熱層が中空ポリマーと水溶性ポリマーとを含有し、これら以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まないことを特徴とする(1)又は(2)項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(4)前記断熱層中の水溶性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(5)前記中空ポリマーの中空率が20〜70%であることを特徴とする(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(6)前記中空ポリマーのガラス転移温度が70℃以上であることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(7)前記中空ポリマー粒子の平均粒子サイズが0.7μm以下であることを特徴とする(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(8)前記受容層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(9)前記受容層と前記断熱層とが、同時重層塗布されてなることを特徴とする(1)〜(8)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
(10)支持体上に、塩化ビニルとアルキルアクリレートとのコポリマーのポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、該受容層に接して、平均粒子サイズが0.1〜2μmで、かつポリスチレン樹脂又はスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空ポリマー及び水溶性ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層とを同時重層塗布する昇華型感熱転写受像シートの製造方法であって、前記断熱層の塗布液に含有される中空ポリマーにおいて直径10μm以上の粒子が存在する比率が、粒子像分析装置FPIA−2100(商品名、シスメックス株式会社製)で測定して、10個/10000個以下であることを特徴とする昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
(11)前記断熱層に含有する樹脂が、中空ポリマー以外に水溶性ポリマーのみであることを特徴とする(10)項記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
(12)前記断熱層が中空ポリマーと水溶性ポリマーとを含有し、これら以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まないことを特徴とする(10)又は(11)項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
(13)前記断熱層中の水溶性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする(10)〜(12)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
(14)前記中空ポリマーの中空率が20〜70%であり、及び/又はガラス転移温度が70℃以上であることを特徴とする(10)〜(13)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
(15)前記中空ポリマー粒子の平均粒子サイズが0.7μm以下であることを特徴とする(10)〜(14)項のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
また、本発明の感熱転写受像シートは重層塗布により形成することで、更に画像欠陥を少なくすることができる。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の染料受容層(受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。また、受容層と断熱層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層などの下地層が形成されていてもよい。
受容層および断熱層は同時重層塗布により形成されることが好ましい。また、下地層を含む場合は、受容層、下地層および断熱層を同時重層塗布により形成することができる。
ただし、本発明においては、塩化ビニルとアルキルアクリレートとのコポリマーのポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、平均粒子サイズが0.1〜2μmで、かつポリスチレン樹脂又はスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空ポリマー及び水溶性ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層は接して塗設されている。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。支持体の裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明の受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。受容層は1層でも2層以上でもよい。また、受容層は後述する水溶性ポリマーを含有することが好ましい。
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64-538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
ただし、本発明においては、塩化ビニルとアルキルアクリレートとのコポリマーのポリマーラテックスを必須とする。
(a)共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b) オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等
(e) 不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f) スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g) ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h) ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i) α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j) その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
Z−1:ベンジルアルコール
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
Z−4:ジエチレングルコール
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用できる。
なお、本発明の受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
受容層は水溶性ポリマーを含有することが好ましい。本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
受容層における水溶性ポリマーの添加量は、当該受容層全体の1〜25質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
受容層に含まれる前記水溶性ポリマーは、その一部又は全部が架橋剤により架橋されていることが好ましい。
架橋剤としては、アミノ基やカルボキシル基あるいはヒドロキシル基などと反応する基を分子内に複数含有すればよく、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられ、架橋剤の種類については特に限定されない。T.H.James著,“THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊),77〜87頁に記載の各方法や、米国特許第4,678,739号明細書第41欄、特開昭59−116655号公報、同62−245261号公報、同61−18942号公報等に記載の架橋剤が使用に適している。無機化合物の架橋剤(例えば、クロムみょうばん、ホウ酸及びその塩)および有機化合物の架橋剤のいずれも好ましい。また、特開2003−231775号公報記載のpHが1〜7であるキレート化剤とジルコニウム化合物とを含む混合水溶液からなる架橋剤を使用していてもよい。
本発明に用いられる架橋剤の使用量としては、水溶性バインダーや架橋剤の種類により変化するが、概ね含まれる構成層の水溶性ポリマー100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、さらには1〜10質量部であることがより好ましい。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤が添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤をグラフトしたポリマーをラテックス化する場合、前記の染着性受容ポリマーのラテックスと混合してから塗布することで紫外線吸収剤が均一に分散した受容層を形成することができる。
また、受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物を用いることができるが、特にシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが好ましく用いられるが、中でもビニル変成シリコーンオイルとハイドロジェン変成シリコーンオイルとの反応物が良い。離型剤の添加量は、染料を受容するポリマー(ポリマーラテックス他)100質量部に対して0.2〜30質量部が好ましい。
断熱層は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
このうち本発明では、上記1)のポリスチレン樹脂またはスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空ポリマーを使用する。
本発明では直径10μm以上の粒子が存在する比率が10個/10000個以下であり、1個/10000個以下がさらに好ましく、1個/100000個以下が特に好ましい。
平均粒子サイズは以下の式で定義する数平均の値である。
平均粒子サイズD=(Σnidi)/(Σni)
ここで、niは粒子サイズがdiの粒子の頻度を表す。
中空ポリマーの粒子サイズは0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましく、本発明において0.1〜2μmのものを使用する。また、中空ポリマーのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
ここで、「有機溶剤に耐性の無い」とは、有機溶剤への溶解度が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であることをいう。例えば前記ポリマーラテックスは、「有機溶剤に耐性の無い樹脂」に含まれる。
断熱層における水溶性ポリマーの添加量は、当該断熱層全体の1〜75質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
断熱層中の水溶性ポリマーは、架橋剤の種類によっても異なるが、水溶性ポリマーに対して、0.1〜20質量%架橋されていることが好ましく、1〜10質量%架橋されていることがより好ましい。
受容層と断熱層との間には下地層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号明細書、特許第2925244号明細書などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明の感熱転写受像シートは、各層をロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で塗布し、これを乾燥させることで作製することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、受容層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することでも形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に画像欠陥を大幅に減少させることができる。
本発明では米国特許2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げることが好ましい場合もある。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
(インクシートの作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
(受像シートの作製)
(1−1)試料101の作製
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。さらに下記組成の断熱層および受容層を、それぞれの乾燥時の層の厚みが、断熱層A:15μm、受容層A:3.5μmとなるように同時重層塗布した。断熱層及び受容層を塗布直後、10℃で10秒間放置した後、50℃で乾燥させた。
中空ポリマーラテックス 60質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
10%ゼラチン水溶液 40質量部
ここで、中空ポリマーラテックスは外径0.5μm中空構造ポリマーの水分散体である。
断熱層Aの塗布液は、pH=7.5となるようにゼラチン水溶液のpHを調整した。
塩化ビニル系ラテックス 95質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
マイクロクリスタリンワックス 5質量部
(MUSTAR042X、商品名、日本精鑞(株)製)
受容層Aの塗布液は、pH=7.5となるように調整した。
中空ポリマーラテックス(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)をエポセル カートリッジグレード EG(商品名、日本ポール社製)でろ過し粗大粒子を除去し、直径10μm以上の中空ポリマー粒子の個数を上記と同様にして測定したところ、中空ポリマー粒子10万個あたり9個であった。さらにエポセル カートリッジグレード EC(商品名、日本ポール社製)でろ過したところ、中空ポリマー粒子10万個あたり0.7個であった。いずれも平均粒子サイズは0.5μmであった。
試料101に対して、断熱層における中空ポリマー粒子を、それぞれ表1に示した直径10μm以上の粒子数および平均粒子サイズの中空ポリマー粒子に変更したこと以外は試料101と同様にして試料102および103を作製した。
参考例のインクシートおよび前記試料101〜103の受像シートを、日本電産コパル社製昇華型プリンターDPB1500(商品名)に装填可能なように加工し、高速プリントモードで最高濃度を得られる設定で黒色ベタの画像を出力した。
出力した黒色ベタ画像上に存在する白色スポットの数を目視で数え、100cm2あたりの白色スポットの個数を求めた。結果を表2に示す。
本発明により、中空ポリマーを用いる際の画像劣化という弊害を伴わずに中空ポリマーの利点である高感度化を実現することができる。
Claims (15)
- 支持体上に、塩化ビニルとアルキルアクリレートとのコポリマーのポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、該受容層に接して、平均粒子サイズが0.1〜2μmで、かつポリスチレン樹脂又はスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層を有し、該断熱層中に水溶性ポリマーを含有する昇華型感熱転写受像シートであって、該断熱層に含まれる該中空ポリマーにおいて直径10μm以上の粒子が存在する比率が、粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社製)で測定して、10個/10000個以下であることを特徴とする昇華型感熱転写受像シート。
- 前記断熱層に含有する樹脂が、中空ポリマー以外に水溶性ポリマーのみであることを特徴とする請求項1に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記断熱層が中空ポリマーと水溶性ポリマーとを含有し、これら以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記断熱層中の水溶性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記中空ポリマーの中空率が20〜70%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記中空ポリマーのガラス転移温度が70℃以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記中空ポリマー粒子の平均粒子サイズが0.7μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記受容層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 前記受容層と前記断熱層とが、同時重層塗布されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シート。
- 支持体上に、塩化ビニルとアルキルアクリレートとのコポリマーのポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、該受容層に接して、平均粒子サイズが0.1〜2μmで、かつポリスチレン樹脂又はスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空ポリマー及び水溶性ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層とを同時重層塗布する昇華型感熱転写受像シートの製造方法であって、前記断熱層の塗布液に含有される中空ポリマーにおいて直径10μm以上の粒子が存在する比率が、粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社製)で測定して、10個/10000個以下であることを特徴とする昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記断熱層に含有する樹脂が、中空ポリマー以外に水溶性ポリマーのみであることを特徴とする請求項10に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記断熱層が中空ポリマーと水溶性ポリマーとを含有し、これら以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まないことを特徴とする請求項10又は11に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記断熱層中の水溶性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記中空ポリマーの中空率が20〜70%であり、及び/又はガラス転移温度が70℃以上であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
- 前記中空ポリマー粒子の平均粒子サイズが0.7μm以下であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の昇華型感熱転写受像シートの製造方法。
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