JP4849879B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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Description
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、膜面pHが高いと、この反応が起きやすく着色が悪化するが、膜面pHを低くすることにより、塩化ビニル系ポリマーの変色を防止できることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
(1)支持体上に、染色性受容ポリマーが塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスである色素受容層を有し、該支持体と該受容層の間に、粒子サイズが0.1〜2μmでスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空粒子およびバインダー樹脂として水溶性ポリマーを含有する断熱層を有し、かつ該断熱層に含有する樹脂が該中空粒子および該水溶性ポリマーのみである感熱転写受像シートであって、該感熱転写受像シートの該色素受容層の表面の膜面pHが5〜10であることを特徴とする染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(2)前記塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスが、塩化ビニルとアルキルアクリレートが重合したコポリマーのポリマーラテックスであることを特徴とする(1)に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(3)前記中空粒子の粒子サイズが0.1〜1μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(4)前記支持体と前記断熱層の間に、水溶性ポリマーを含有する下引き層を設けてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(5)前記支持体と前記断熱層の間に、ゼラチンを含有する下引き層を設けてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(6)前記受容層と前記断熱層の間に、水溶性ポリマーを含有する中間層を設けてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(7)前記受容層と前記断熱層の間に、ゼラチンを含有する中間層を設けてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(8)前記断熱層に含有する水溶性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(9)前記受容層にゼラチンを含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(10)前記受容層に少なくとも1種の離型剤を含有することを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(11)前記受容層に少なくとも2種の離型剤を含有することを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(12)前記支持体が、原紙の両面にポリオレフィンをラミネートしたラミネート紙であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
(13)支持体上に、染色性受容ポリマーが塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスである色素受容層を有し、該支持体と該受容層の間に、粒子サイズが0.1〜2μmでスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空粒子およびバインダー樹脂として水溶性ポリマーを含有する断熱層を有し、かつ該断熱層に含有する樹脂が該中空粒子および該水溶性ポリマーのみである感熱受像シートの製造方法であって、該感熱受像シートの該色素受容層の表面の膜面pHが5〜10とし、かつ該断熱層と該受容層を重層塗布することを特徴とする染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シートの製造方法。
本発明において、「水系ラテックス」とは、ポリマーラテックスを含有する水系の塗布液をいう。
また、「膜面pH」とは、測定対象層の受容層側の表面のpH、受容層においては、受容層の表面のpHをいい、受像シートの、測定対象層の表面の上に水0.05ml添加し、25℃2分間放置後のpH値を読み取った値をいう。
本発明の感熱転写受像シートにおいて、色素受容層は、水系ラテックスを塗布後乾燥して調製してなる。
ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に色素受容層(受容層)が形成されている。受容層と支持体との間には中間層が形成されていることが好ましく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。また、中間層と支持体との間には断熱層が形成されていることが好ましい。
また、支持体と断熱層との間には、下引き層が形成されていることがより好ましい。
受容層と断熱層との間には、中間層として、水溶性ポリマーを含有する層が設けられていることがさらに好ましい。
本発明において、前記膜面pHの調整は特に制限はないが、例えば、塗布液のpHを調整する方法等が挙げられる。
本発明において、前記膜面pHを5〜10とするためには塗布液に任意の酸又はアルカリを含有させることが好ましい。支持体、下引き層、断熱層、中間層、受容層等任意の層に含有させてもよい。
本発明において、前記膜面pHは、6.0〜9.0が好ましく、6.0〜8.0がより好ましい。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。そのため受容層には染着しやすい樹脂(染着性受容ポリマー)が用いられる。
本発明において、前記染着性受容ポリマーは塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスである限り特に制限はなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、前記ハロゲン化樹脂と、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等任意の樹脂との共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
本発明に用いるポリマーラテックスについて説明する。本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64-538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
ただし、本発明においては、塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスを使用する。
ただし、本発明の塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスは、塩化ビニルモノマーを必須とする。
(a)共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b) オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等
(e) 不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f) スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g) ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h) ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i) α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j) その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
ポリ塩化ビニリデン類の例としては、旭化成工業(株)製L502、L513、大日本インキ化学(株)製D-5071など挙げられる(いずれも商品名)。
Z−1:ベンジルアルコール
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
Z−4:ジエチレングルコール
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用できる。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
なお、本発明の受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
また、受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物を用いることができるが、特にシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが好ましく用いられるが、中でもビニル変成シリコーンオイルとハイドロジェン変成シリコーンオイルとの反応物が良い。離型剤の添加量は、受容ポリマーに対して0.2〜30質量部が好ましい。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤を添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
受容層の塗布量は、0.5〜10g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
受容層と支持体との間には下地層(本発明においては、下引き層とも称す)が形成されていることが好ましく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号明細書、特許第2925244号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
断熱層(発泡層)は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。
本発明における中空粒子とは、粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ過熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられ、本発明においては、上記1)のうちのスチレン−アクリル樹脂より形成された非発泡型の中空粒子を使用する。
ただし、本発明においては、断熱層のバインダー樹脂としては、水溶解型樹脂、すなわち水溶性ポリマーのみ含有する。
中空ポリマーの粒子径は0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましく、本発明においては、0.1〜2μmの粒子サイズの中空ポリマーが使用される。また、中空ポリマーのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
本発明において、支持体と断熱層との間に設けた前記下引き層は、水溶性ポリマーを含有することが好ましい。前記下引き層及び断熱層についての塗布液総量に占める水溶性ポリマーの含有量は、0.5〜14質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい。
また、本発明において、受容層と断熱層との間に設けた前記中間層は、水溶性ポリマーを含有することが好ましい。前記中間層についての塗布液総量に占める水溶性ポリマーの含有量は、0.5〜14質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい。
本発明に用られる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。
支持体には、コート紙やWP紙(両面ラミネート紙)等を用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業社製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
(インクシートの作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエローインキ
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
マゼンタ
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
シアン
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
(受像シートの作製)
(1-1) 試料101〜107の作製
支持体として合成紙(ユポFPG200、厚さ200μm、商品名、ユポコーポレーション社製)を用い、この一方の面に下記組成の受容層を塗布した。受容層側の膜面pHは塗布液に2%クエン酸水溶液または1%水酸化ナトリウム水溶液を添加して調整し、表1に示すように作製した。受容層4.0g/m2となるように塗布を行い、乾燥は50℃で行った。
受容層
塩化ビニル系ラテックス 660質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
マイクロクリスタリンワックス
(EMUSTAR-042X、商品名、日本精鑞(株)製) 15質量部
フッ素系界面活性剤
(Fluorad FC-170C 商品名、3M Corporation) 0.5質量部
ゼラチン 95質量部
蒸留水 113質量部
ゼラチン硬膜剤H101(1-オキシ-3,5-ジクロロ-s-トリアジンナトリウム塩)
133質量部
膜面pHの測定は、試料の受容層側表面、すなわち、受容層の表面に蒸留水を0.05ml点着して前記の条件でガラスpH電極で行った。
参考例のインクシートと、前記試料101〜107の受像シートとを、前者のインク層と後者の受容層とが接するように重ね合わせ、熱転写型プリンターを用いて画像出力した。出力画像は、各試料にグレー、イエロー単色、マゼンタ単色、シアン単色を各々与える階調および黒色ベタの画像を用いた。
なお、画像出力を行う前に、試料101〜107を50℃80%雰囲気下で10日保存した。
熱変色評価は、80℃/Dry雰囲気下で7日、14日間置いた試料の画像白地部分のマゼンタ反射濃度を観察した。評価方法は、反射濃度については分光光度計(グレタグマクベス社 SpectroEye)を用い、白地部分の着色濃度を評価した。
◎: 着色がマゼンタ反射濃度0.02以下
○: 着色がマゼンタ反射濃度0.05以上
△: 着色がマゼンタ反射濃度0.10以上
×: 着色がマゼンタ反射濃度0.15以上
上記の条件で得られた黒画像上に目視で検知できる白抜け画像欠陥の個数を測定した。直径0.5mm以上の白抜け画像欠陥の個数を数えて、12cm×10cmサイズの画像1枚あたりの個数に基づいて画像欠陥を評価した。
◎: 12cm×10cmに1個以下
○: 12cm×10cmに2個以上10個未満
△: 12cm×10cmに10個以上100個未満
×: 12cm×10cmに100個以上
得られた結果を、表1に示す。
これに対し、参考例の画像試料102〜105は加温下の変色が14日後でも著しく抑制され、画像欠陥の発生も殆んどなくなった。
(受像シートの作製)
(2−1) 試料201〜204の作製
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、下記組成の中間層A(断熱層)、前記組成の受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で重層塗布を行った。受容層側の膜面pH、すなわち、受容層の膜面pHは各層の塗布液に2%クエン酸水溶液または1%水酸化ナトリウム水溶液を添加して調整し、表2に示すように作製した。それぞれの乾燥時の塗布量は中間層A:15.0g/m2、受容層4.0g/m2となるように塗布を行い、乾燥は50℃で行った。
中間層A(断熱層)
中空ポリマーラテックス 563質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン 120質量部
ここで、中空ポリマーラテックスは外径0.5μm中空構造ポリマーの水分散体である。
膜面pHの測定は、参考例1と同様な方法によって行った。
参考例のインクシートと、前記試料201〜204の受像シートとを、前者のインク層と後者の受容層とが接するように重ね合わせ、熱転写型プリンターを用いて参考例1と同様にして画像出力した。
(熱変色・画像欠陥評価)
上記画像試料について参考例1と同様にして熱変色試験及び画像欠陥試験をし、評価した。得られた結果を表2に示す。
(受像シートの作製)
(3−1) 試料301〜304の作製
実施例1で作製された受像シートと同様な方法により、下記組成の中間層B(下引き層)、前記組成の中間層A、前記組成の受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で重層塗布を行った。受容層側の膜面pH、すなわち、受容層の膜面pHは各層の塗布液に2%クエン酸水溶液または1%水酸化ナトリウム水溶液を添加して調整し、表3に示すように作製した。それぞれの乾燥時の塗布量は中間層B:7.5g/m2、中間層A:15.0g/m2、受容層4.0g/m2となるように塗布を行い、乾燥は50℃で行った。
中間層B(下引き層)
ゼラチン 340質量部
膜面pHの測定は、参考例1と同様な方法によって行った。
参考例のインクシートと、前記試料301〜304の受像シートとを、前者のインク層と後者の受容層とが接するように重ね合わせ、熱転写型プリンターを用いて参考例1と同様にして画像出力した。
(熱変色・画像欠陥評価)
上記画像試料について参考例1と同様にして熱変色試験及び画像欠陥試験をし、評価した。得られた結果を表3に示す。
表3から明らかなように、参考例1と同様にして評価したところ、本発明の試料302〜303は耐熱変色性、画像欠陥の発生のいずれについても優れた結果が得られた。さらに、著しい効果として中間層B(下引き層)を加えることにより、細線の経時変化も良化していた。
(受像シートの作製)
(4−1) 試料401〜404の作製
実施例1で作製された受像シートと同様な方法により、前記組成の中間層A、下記組成の中間層C、前記組成の受容層を支持体側からこの順に積層させた状態で重層塗布を行った。受容層側の膜面pH、すなわち、受容層の膜面pHは各層の塗布液に2%クエン酸水溶液または1%水酸化ナトリウム水溶液を添加して調整し、表4に示すように作製した。それぞれの乾燥時の塗布量は中間層A:15.0g/m2、中間層C:3.0g/m2、受容層4.0g/m2となるように塗布を行い、乾燥は50℃で行った。
中間層C
ゼラチン 130質量部
膜面pHの測定は、参考例1と同様な方法によって行った。
参考例のインクシートと、前記試料401〜404の受像シートとを、前者のインク層と後者の受容層とが接するように重ね合わせ、熱転写型プリンターを用いて参考例1と同様にして画像出力した。
(熱変色・画像欠陥評価)
上記画像試料について参考例1と同様にして熱変色試験及び画像欠陥試験をし、評価した。得られた結果を表4に示す。
表4から明らかなように、参考例1と同様にして評価したところ、本発明の試料402〜403は耐熱変色性、画像欠陥の発生のいずれについても優れた結果が得られた。また実施例2と同様に、中間層Cを加えても細線の経時変化が良化していた。
Claims (13)
- 支持体上に、染色性受容ポリマーが塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスである色素受容層を有し、該支持体と該受容層の間に、粒子サイズが0.1〜2μmでスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空粒子およびバインダー樹脂として水溶性ポリマーを含有する断熱層を有し、かつ該断熱層に含有する樹脂が該中空粒子および該水溶性ポリマーのみである感熱転写受像シートであって、該感熱転写受像シートの該色素受容層の表面の膜面pHが5〜10であることを特徴とする染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスが、塩化ビニルとアルキルアクリレートが重合したコポリマーのポリマーラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記中空粒子の粒子サイズが0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記支持体と前記断熱層の間に、水溶性ポリマーを含有する下引き層を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記支持体と前記断熱層の間に、ゼラチンを含有する下引き層を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記受容層と前記断熱層の間に、水溶性ポリマーを含有する中間層を設けてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記受容層と前記断熱層の間に、ゼラチンを含有する中間層を設けてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記断熱層に含有する水溶性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記受容層にゼラチンを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記受容層に少なくとも1種の離型剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記受容層に少なくとも2種の離型剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 前記支持体が、原紙の両面にポリオレフィンをラミネートしたラミネート紙であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シート。
- 支持体上に、染色性受容ポリマーが塩化ビニル骨格を有するポリマーラテックスである色素受容層を有し、該支持体と該受容層の間に、粒子サイズが0.1〜2μmでスチレン−アクリル樹脂により形成された非発泡型の中空粒子およびバインダー樹脂として水溶性ポリマーを含有する断熱層を有し、かつ該断熱層に含有する樹脂が該中空粒子および該水溶性ポリマーのみである感熱受像シートの製造方法であって、該感熱受像シートの該色素受容層の表面の膜面pHが5〜10とし、かつ該断熱層と該受容層を重層塗布することを特徴とする染料拡散転写記録方式の感熱転写受像シートの製造方法。
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