明細書
関連出願の記載
本出願は、 2 0 0 2年 9月 1 3日に出願された日本国特許出願 2 0 0 2 _ 2 6 7 8 1 9号、 2 0 0 3年 3月 4日に出願された日本国特許出願 2 0 0 3 - 5 7 6 3 1号を基礎出願として優先権主張する出願である。 技術分野 '
本発明は、 ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガス中のパ ティキュレート等を除去する目的等で用いられるフィルタに関する。
背景技術
バス、 トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に 含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となって いる。
この排気ガスを多孔質セラミックに通過させ、 排気ガス中のパティキュレート を捕集して、 排気ガスを浄化することができるセラミックフィルタが種々提案さ れている。
このようなセラミックフィルタとしては、 図 9に示したような、 多数の貫通孔 1 4 1が隔壁 1 4 3を隔てて、 長手方向に並設された円柱状のハニカム構造体 1 4 0が知られている。
貫通孔 1 4 1は、 図 9 ( b ) に示したように、 排気ガスの流入側又は排出側 の端部のいずれかが封止材 1 4 2により目封じされ、 一の貫通孔 1 4 1に流入し た排気ガスは、 必ず貫通孔 1 4 1同士を隔てる隔壁 1 4 3を通過した後、 他の貫 通孔 1 4 1から流出するようになっている。
即ち、 このようなハニカム構造体 1 4 0が内燃機関の排気通路に設置されると、 内燃機関より排出された排気ガス中のパティキュレートは、 このハニカム構造体
1 40を通過する際に隔壁 1 4 3により捕捉され、 排気ガスが浄化される。
また、 このような排気ガスフィルタとして、 排気ガス流出側の端部が封止さ れた貫通孔 (以下、 流入側貫通孔ともいう) を容積の大きな貫通孔 (以下、 大容 積貫通孔ともいう) とし、 排気ガス流入側の端部が封止された貫通孔 (以下、 流 出側貫通孔ともいう) を容積の小さな貫通孔 (以下、 小容積貫通孔ともいう) と することにより、 排気ガス流入側の開口率を排気ガス流出側の開口率よりも相対 的に大きく したものが開示されている。
図 1 0は、 米国特許第 44 1 7 908号明細書 (対応日本特許は特開昭 58— 1 9 6 8 20号、 特公平 3— 49608号公報 (以下、 特許文献 1という) ) に 開示された排気ガスフィルタの長手方向に垂直な断面を模式的に示したものであ る。
この排気ガスフィルタ 60は、 碁盤目の交点に、 該碁盤目を構成する正四角形 よりも小さな四角形が配置されたような断面形状を有し、 小さな四角形に相当す る小容積貫通孔 6 1 bとその周囲に存在する大容積貫通孔 6 1 aとからなり、 こ れらの貫通孔の間に隔壁 6 2 a、 6 2 bが形成されている。
また、 図 1 1 (a) 〜 (d) は、 米国特許第 43647 6 1号公報 (対応する 日本出願は特開昭 56— 1 244= 1 7号、 特開昭 6 2— 9 6 7 1 7号) (以下、 特許文献 2という) 、 米国特許第 42 760 7 1号公報 (対応する日本出願は特 開昭 56— 1 2441 8号) ) に開示された排気ガスフィルタの長手方向に垂直 な断面を模式的に示したものである。
この排気ガスフィルタ 300〜 3 30は、 様々な形状の大容積貫通孔 30 1 a、 3 1 1 a、 3 2 1 a、 33 1 aと、 小容積貫通孔 30 1 b、 3 1 1 b、 3 2 1 b、 3 3 l bとからなり、 これらの貫通孔の間に隔壁 302、 3 1 2、 3 2 2、 3 3 2が形成されている。
隔壁 30 2、 3 1 2、 3 22、 3 3 2は、 いずれも大容積貫通孔 30 1 a、 3 1 1 a、 3 2 1 a、 3 3 1 aと小容積貫通孔 30 1 b、 3 1 1 b、 3 2 1 b、 3 3 1 bとを隔てるものであり、 大容積貫通孔 30 1 a、 3 1 1 a、 3 2 1 a、 3 3 1 a同士を隔てる隔壁は、 存在しないといってもよい。
一般に、 このようなフィルタでは、 排気ガス中のパティキュレートを捕集する ことにより、 圧力損失が大きくなる。 それにつれて背圧が高くなり、 この背圧が 一定値以上になると、 エンジン等に与える負荷が大きくなるため、 再生処理を行 つてパティキュレートを除去する必要が生じる。 従って、 経過時間に対する圧力 損失の程度は、 フィルタの性能を評価するための重要なファクタ一となる。 図 1は、 圧力損失に影響を及ぼす主な要因を記載した概念図である。
図 1に示すように、 圧力損失に影響を及ぼす主な要因としては、 ①フィルタ入 口側の開口率; Δ Ρ 3 Ν ②貫通孔を通過する際の摩擦 (入口側②一 1 ; A P b一い 出口側②一 2 ; A P b _ 2) 、 ③隔壁を通過する際の抵抗; Δ Ρ。等があげられる。 また、 図 2は、 各種 ^気ガスフィルタにおける圧力損失の経過時間による変化 の様子を模式的に示したグラフである。
上記特許文献 1、 2等に記載された 2種類の貫通孔を有する排気ガスフィルタ は、 図 9に示す断面形状が四角形で、 全ての貫通孔の容積がほぼ等しい排気ガス フィルタに比べ、 パティキュレートを捕集する前の状態においては、 フィルタ入 口側の開口率及ぴ貫通孔入口側を通過する際の摩擦 (①; Δ Ρ 3 +®—1 ; 厶 Ρ b -i) に起因する圧力損失は若干低くなるが、 貫通孔出口側を通過する際の摩擦 及び隔壁を通過する際の抵抗 (②— 2 ; A P b _ 2 +③; A P C) に起因する圧力 損失が高くなる。 その結果、 パティキュレートを捕集する前の圧力損失は、 図 9 に示すような全ての貫通孔の容積が略等しい排気ガスフィルタよりも高くなつて しまうことが判明した。
さらに、 排気ガスフィルタの壁部の大部分は長手方向に垂直な断面における一 の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部 (ァ) と、 長手方向に垂 直な断面における一の大容積貫通孔が隣り合う小容積貫通孔と共有する壁部 (ィ ) とからなる排気ガスフィルタでは、 この 2種類の壁部の比率によって、 圧力損 失が変動する。
例えば、 開口比率を一定とした場合、 このうちの壁部 (ァ) の占める割合が大 きいと、 大容積貫通孔から直接的に壁部 (ィ) を通過して、 小容積貫通孔へ排気 ガスが流れにくくなるために、 パティキュレートを捕集する前 (T 0) の圧力損
失が高くなる傾向が生じる。
し力 し、 パティキュレートを捕集するに従って、 壁部 (ィ) の表面にパティキ ュレートが捕集されるために、 大容積貫通孔から直接的に壁部 (ィ) を通過して、 小容積貫通孔へ排気ガスが流れるよりも、 一旦壁部 (ァ) に進入し多孔質壁を伝 わって壁部 (ィ) へ流れる方が、 抵抗が低くなり、 結果的に、 大容積貫通孔の構 成する壁部の全体に均一にパティキュレートが蓄積されることになる。 従って、 壁部に蓄積されるパティキュレートの厚みを下げることになり、 パティキュレー トの捕集に従って上昇する圧力損失の上昇率 (ΔΡ3/ (T!-To) ) は小さく なる。
また、 逆に、 この割合が小さいと、 パティキュレートを捕集する前 (T0) の 圧力損失は低くなるが、 パティキュレートの捕集に従って上昇する圧力損失の上 畀率 (Δ Ρ3Ζ (Τ\— Τ0) ) が大きくなる傾向が表れる。
特許文献 1 (図 10) に開示された排気ガスフィルタ 60では、 この大容積貫 通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部 (ァ) の占める割合が比較的大きい ものである。 そのため図 2に示すように、 パティキュレートを捕集する前 (T。 ) の圧力損失 (以下、 初期の圧力損失ともいう) が、 隔壁を通過する際の抵抗 ( ③; Δ Ρ。) が高いことに起因して高くなるとともに、 初期の圧力損失が高すぎ るため、 パティキュレートの捕集時 (T においても圧力損失が高くなつてし まう。
従って、 エンジンマネージメントの点から、 規定量のパティキュレートをため る前に再生処理を行う必要がある。 すなわち、 排気ガスフィルタ 60は、 初期の 圧力損失が高くなりすぎるために、 実質的にパティキュレートの捕集量が制限さ れてしまうという問題があった。
また、 特許文献 2 (図 1 1) に開示された排気ガスフィルタ 300〜 330で は、 大容積貫通孔 3 O l a, 31 1 a、 321 a、 331 a同士を隔てる隔壁 ( ァ) は、 ほぼ点接触の状態となっており、 殆ど存在しない。
そのため、 図 2に示すように、 パティキュレートを蓄積するに従って上昇する 圧力損失の上昇率 (ΔΡ3ノ (1 — Τ0) ) が大きいことに起因して、 パティキ
ュレートを捕集時 (1 ) の圧力損失が高くなりすぎる。
従って、 同様にエンジンマネージメントの点から、 規定量のパティキュレート をためる前に再生処理を行う必要がある。 すなわち、 排気ガスフィルタ 3 0 0〜 3 3 0は、 捕集中の圧力損失の上昇率が大きいために、 実質的にパティキュレー トの捕集量が制限されるという問題があった。
次に、 他の従来技術として、 実願昭 5 6 - 1 8 7 8 9 0号マイクロフィルム (実開昭 5 8 _ 9 2 4 0 9号 (第 4頁、 第 6図参照) 、 以下、 特許文献 3という ) には、 大容積貫通孔のセルピッチをほぼ 1 . 0〜2 . 5 mmとしたハニカム構 造体が開示されている。
また、 特開平 5— 6 8 8 2 8号公報 (特許第 3 1 3 0 5 8 7号明細書 (第 1 頁) 、 以下、 特許文献 4という) には、 大容積貫通孔の容積率が 6 0〜 7 0 %で、 小容積貫通孔の容積率が 2 0〜 3 0 %で、 大容積貫通孔のセルピツチをほぼ 2 . 5〜 5 . O mmとしたハニカム構造体が開示されている。
図 1 9は、 これらのハニカム構造体 2 0 0の長手方向に垂直な断面 (以下、 単に断面ともいう) を模式的に示した断面図であり、 このハニカム構造体 2 0 0 では、 断面の形状が 6角形の大容積貫通孔 2 0 1の周囲に断面の形状が 3角形の 小容積貫通孔 2 0 2を配している。
さらに、 特開 2 0 0 1— 3 3 4 1 1 4号公報 (第 5頁、 図 2参照) (WO 0 2 / 1 0 0 5 1 4号公報、 以下、 特許文献 5という) には、 大容積貫通孔の断面 の総面積に対する小容積貫通孔の断面の総面積の比の百分率が 4 0〜 1 2 0 %の ハエカム構造体が開示されている。
図 2 0は、 このようなハニカム構造体の長手方向に垂直な断面を模式的に示 した断面図であり、 このハニカム構造体 2 1 0では、 上記断面の形状が正 6角形 の大容積貫通孔 2 1 1の周囲に上記断面の形状が横長 6角形の小容積貫通孔 2 1 2を配している。 また、 外周近傍には、 正 6角形の大容積貫通孔 2 1 1と台形の 大容積貫通孔 2 1 3とを並存させている。
また、 流入側貫通孔の数を流出側貫通孔の数よりも多くすることにより、 排気 ガス流入側の開口率を排気ガス流出側の開口率よりも相対的に大きくしたものも
開示されている。 (例えば、 特許文献 1の図 3参照)
このようなハニカムフィルタにおいても、 流入側のセルの個数と流出側のセル の個数が異なるものであって、 図 9に示す断面形状が四角形で、 全ての貫通孔の 容積がほぼ等しい排気ガスフィルタに比べ、 パティキュレートを捕集する前の状 態においては、 フィルタ入口側の開口率及び貫通孔入口側を通過する際の摩擦 ( ①; Δ Ρ 3 +®— 1 ; A P b- に起因する圧力損失は若干低くなるが、 貫通孔 出口側を通過する際の摩擦及び隔壁を通過する際の抵抗 (②ー 2 ; A P b一 2 +③ ; 厶 P c) に起因する圧力損失が高くなる。 その結果、 パティキュレートを捕集 する前の圧力損失は、 図 9に示すような全ての貫通孔の容積が略等しい排気ガス フィノレタよりも高くなつてしまう。
また、 米国特許第 4 4 1 6 6 7 6号明細書及ぴ米国特許第 4 4 2 0 3 1 6号明 細書 (以下、 特許文献 6という) には、 壁の厚みや、 物性値を調整する技術が公 開されているが、 この技術のみでは、 低い圧損とすることが、 困難であった。 また、 特開昭 5 8— 1 5 0 0 1 5号公報には、 正方形と長方形とからなるフィ ルタが開示されているが、 断面を変更した形であるので、 押出し成形で製造する のが困難であり、 量産製造が難しい。 また、 断面の変更がないとしても、 上述し たように、 流出側の貫通孔の断面積が相対的に大きいものと小さいものとの差が あるので、 流出側のガスの抵抗が高くなり、 圧損が高くなることになる。
このような技術に対応したものとして、 2種類の貫通孔の形状からなるフィル タ、 とりわけ、 八角形と四角形からなるフィルタが開示されている (仏国特許発 明第 2 7 8 9 3 2 7号明細書、 WO 0 2 / 1 0 5 6 2号公報参照) 。
フィルタをこのような形状のものとすることによって、 圧力損失が向上するこ とがわかったが、 様々な、 形状、 開口比率で試験を行なった結果、 低い圧力損失 と、 高いクラック限界といった両方を満足させることは難しいものであって、 結 果的に、 パティキュレートの捕集量が制限されるという問題があった。 加えて、 これらのフィルタは、 ァイソスタティック強度、 圧縮強度に劣るものであった。 さらに、 従来技術として、 WO 0 3 Z 2 0 4 0 7号公報に記載されているフィ ルタには、 相対的に大きな正方形と小さな貫通孔の 2種類の貫通孔からなるハニ
カム構造体が開示されてなる。
し力 し、 このフィルタにおいても、 圧損が高く、 ァイソスタティック強度、 圧 縮強度が低いものであり、 クラック限界を高くすることが困難であった。
以上、 全ての従来技術に開示されたハニカム構造体では、 排気ガス流入側の開 口率と排気ガス流出側の開口率とが等しいハニカム構造体と比較して、 排気ガス 流入側の開口率を相対的に大きくしているため、 排気ガス浄化用フィルタとして 用いた際に、 パティキュレートの捕集限界量を多くして再生までの期間を長期化 すること等が可能となる。
しかしながら、 これらのフィルタは通常のフィルタ (即ち、 排気ガス流入側 と流出側の開口率が同じフィルタ) に比べて、 初期の圧力損失がかなり高いもの であることがわかった。 あるいは、 低い強度になってしまうという問題が生じて いた。 従って、 低い圧力損失を持ちながら、 高いアイソスタティック強度、 高い 圧縮強度を持ち、 高いクラック限界というものを満たすことができなかった。 発明の要約
本発明は、 これらの課題を解決するためになされたものであり、 パティキユレ 一トを捕集した際の圧力損失が低く、 パティキュレートを多量に捕集することが 可能なフィルタを提供することを目的とするものである。 なお、 本明細書におい て、 多量に捕集できるとは、 単純にフィルタの捕集部分の容積が増すというだけ でなく、 再生によってクラックが入りにくくなるために、 多量にま甫集できるとい うことも含むものとする。
本発明のフィルタは、 多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハ 二カム構造を有する柱状のフィルタであって、
上記貫通孔は、 長手方向に垂直な断面の面積が相対的に大きい大容積貫通孔 と、 上記断面の面積が相対的に小さい小容積貫通孔との実質的に同数である 2種 類の貫通孔からなり、
上記大容積貫通孔は、 上記フィルタの一端部で封止される一方、 上記小容積 貫通孔は、 上記フィルタの他端部で封止され、
長手方向に垂直な断面における上記一の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通 孔と共有する壁部の長さの合計 (a) と、 長手方向に垂直な断面における上記一 の大容積貫通孔が隣り合う上記小容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 ( b ) との比 (a/b) を Q;とし、 上記大容積貫通孔の上記断面の面積 (A) と、 上記 小容積貫通孔の上記断面の面積 (B) の比 (A/B) を とした際、 上記ひと上 記 とが下記式 (1 ) の関係を有することを特徴とするものである。
β≥ ( 2 0/ 9) α 2+ 1 (ただし、 0く α ^ Ι . 5、 1 < β≤ 6) … (1) 上記フィルタにおいて、 大容積貫通孔及ぴ 又は小容積貫通孔の長手方向に 垂直な断面の形状は、 八角形及び四角形の 2種からなることが望ましく、 加えて、 その形状が、 大容積貫通孔と小容積貫通孔とが共有する隔壁を小容積側にある曲 率をもって広げた形状であることが望ましい。
以下、 本発明のフィルタについて説明する。
本発明において、 長手方向に垂直な断面における一の大容積貫通孔が隣り合う 小容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 (b) は、 フィルタの断面を見た時、 排気ガスが隔壁に対して垂直に通過できる隔壁の長さの合計を表しており、 一の 大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 (a) は、 フ ィルタの断面を見た時、 排気ガスが隔壁に対して垂直に通過できない隔壁の長さ の合計を表している。 この a (a/b) を、 隔壁長さ比ともいうこととする。 こ の a (隔壁長さ比) が大きくなると、 排気ガスが隔壁に対して垂直に通過できる 隔壁の面積の割合が小さくなることになり、 一方、 α (隔壁長さ比) が小さくな ると、 排気ガスが隔壁に対して垂直に通過できる隔壁の面積の割合が大きくなる。 この (隔壁長さ比) は、 前述したように圧力損失及びパティキュレートの蓄積 状態等に大きな影響を与える。
—方、 大容積貫通孔の断面の面積 (Α) と、 小容積貫通孔の断面の面積 (Β) の比 ]3 (Α/Β) は、 本発明のフィルタの開口比率を表しており、 開口比率が高 くなると、 気ガスが流入する側の大容積貫通孔の総容積が相対的に大きくなる。 上記 (1) 式は、 初期 (Τ。) 及びパティキュレート捕集時 (Τ\) において、 これらに起因する圧力損失のトータルの値が、 α、 の値との関係において、 ど
のように推移するかを計算し、 又は、 実験により測定し、 これらの結果に基づい て決定したものである。
この際、 a (a/b) は、 0く α^ Ι . 5を満足する必要がある。 α = 0では、 —の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部が存在しなくなるため、 特許文献 2に記載のフィルタのように、 圧力損失の上昇率が高くなる。 一方、 α が 1. 5を超えると、 一の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部 の長さの合計 (a) が大きすぎるため、 ③隔壁を通過する際の抵抗; A P cが增 大し、 初期の圧力損失が大きくなりすぎる。
また、 (A/B) は、 1 < ≤ 6を満足する必要がある。 ]3 = 1では、 小容 積貫通孔と大容積貫通孔とが同じ容積となってしまい、 が 6を超えると、 小容 積貫通孔の容積が小さくなりすぎて、 貫通孔出口側を通過する際の摩擦及び隔壁 を通過する際の抵抗 (②ー 2 ; A Pb_2+③; Δ Ρ。) に起因する圧力損失が増 大し、 初期の圧力損失が大きくなつてしまう。
(1) 式を満足しないフィルタ、 すなわち、 βく ( 20/9) Χ α2+ 1を満 たすフィルタでは、 i3に対して αが大きすぎる。 すなわち、 一の大容積貫通孔が 隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 (a) 力 一の大容積貫通孔 が隣り合う上記小容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 (b) に対して長すぎ ることになる。 このため、 ③隔壁を通過する際の抵抗; Δ Ρ。による圧力損失が 大きくなり、 特許文献 1に記載のフィルタのように、 初期の圧力損失が大きくな りすぎてしまう。
上記 αと上記 ]3とが (1) 式の関係を有するように、 上記 a、 b、 A及び Bを 設定することにより、 図 2に示すように初期 (T0) の圧力損失が高くなるのを、 できるだけ抑制することができるとともに、 パティキュレートの蓄積に従って上 昇する圧力損失の上昇率 (A P t/ (T\— T0) ) を抑えることができ、 その結 果、 規定量のパティキュレートを蓄積した時 (1 ) の圧力損失を低くすること ができる。
このため、 フィルタ使用している期間をトータルで考えた際の圧力損失を低減 することができ、 これによつて、 エンジンに与える負荷を低減することができ、
エンジン停止等の不具合をおこす恐れを減らすことができるとともに、 パティキ ュレートを多量に捕集することも可能となる。
なお、 「大容積貫通孔と小容積貫通孔との実質的に同数である 2種類の貫通孔 からなり」 とは、 本発明のフィルタを、 長手方向に垂直な断面で見た際、 その輪 郭の形状等に起因して、 大容積貫通孔と小容積貫通孔とが同数でない場合がある が、 大容積貫通孔と小容積貫通孔とからなる一定のパターンで判断すると、 両者 が同数の 2種類の貫通孔からなることを意味する。
従って、 例えば、 大容積貫通孔の周囲に多数の小容積貫通孔が存在したり、 そ の逆であるようなフィルタ、 例えば、 図 1 9に示すフィルタは、 本発明のフィル タに含まれない。 また、 図 1 1に示すような一の大容積貫通孔が隣り合う大容積 貫通孔と共有する壁部を有さないものは、 本発明のフィルタに含まれない。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明のような種類のフィルタにおいて、 圧力損失に影響を及ぼす主 な要因を図示した概念図である。
図 2は、 各種排気ガスフィルタにおける圧力損失の経過時間による変化の様子 を模式的に示したグラフである。
図 3は、 本宪明の排気ガス浄化用フィルタの一例を模式的に示す斜視図である。 図 4 ( a ) は、 図 3に示したフィルタを構成する多孔質セラミック部材の一例 を模式的に示した斜視図であり、 (b ) は、 (a ) に示した多孔質セラミック部 材の A— A線断面図である。
図 5 ( a ) は、 本発明の排気ガス浄化用フィルタの別の一例を模式的に示した 斜視図であり、 (b ) は、 (a ) に示したフィルタの B— B線断面図である。 図 6 ( a ) 〜 (d ) は、 本発明のフィルタを構成する多孔質セラミック部材の 長さ方向に垂直な断面を模式的に示した断面図であり、 (e ) は、 従来のフィル タを構成する多孔質セラミック部材の長さ方向に垂直な断面を模式的に示した断 面図である。
図 7は、 本努明のハニカムフィルタを製造するための一工程の様子を模式的に
示した側面図である。
図 8は、 本発明の排気ガス浄化用ハニカムフィルタを用いた排気ガス浄化装置 の一例を模式的に示した断面図である。
図 9は、 従来の排気ガス浄化用ハュカムフィルタの一例を模式的に示した斜視 図である。
図 1 0は、 従来の排気ガス浄化用ハニカムフィルタの別の一例を模式的に示し た縦断面図である。
図 1 1 ( a ) 〜 (d ) は、 従来の排気ガス浄化用ハニカムフィルタの別の例を 模式的に示した縦断面図である。
図 1 2 ( a ) 〜 (f ) は、 本楽明のフィルタの例を模式的に示した縦断面図で める。
図 1 3は、 実施例及び比較例に係るフィルタの α (隔壁長さ比) と /3 (開口比 率) との関係を示すグラフである。
図 1 4は、 実施例 1において、 フィルタの入口から異なる位置で観察されるパ ティキュレートの捕集状態を示す写真である。
図 1 5は、 実施例及び比較例に係るフィルタにおけるアッシュ重量とアッシュ 層の長さとの関係を示すグラフである。
図 1 6は、 実施例及び比較例に係るフィルタにおけるフィルタのパティキユレ 一ト捕集前もしくは再生直後のパティキュレートがフィルタに堆積されていない 状態での圧力損失とアッシュ重量との関係を示すグラフである。
図 1 7は、 実施例及ぴ比較例に係るフィルタにおけるパティキュレートの捕集 量と圧力損失との関係を示すグラフであり、 (b ) は、 上記実施例及び比較例に 係るフィルタにおける (開口比率) と、 初期の圧力損失及ぴパティキュレート を 6 ( g Z L ) 捕集した際の圧力損失との関係を示すグラフである。
図 1 8は、 実施例に係るフィルタにおける j3 (開口率比) と再生限界値との関 係を示すグラフである。
図 1 9は、 大容積貫通孔と小容積貫通孔の数が実質的に 1 : 2となるように 構成された従来の多孔質セラミック部材の長さ方向に垂直な断面を模式的に示し
た断面図である。
図 20は、 従来のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面を模式的に示した 断面図である。
図 2 1は、 従来のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面を模式的に示した 断面図である。
図 2 2は、 従来のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面を模式的に示した 断面図である。 符号の説明
1 0, 30 フィルタ
1 3、 1 4 シーノレ材層
1 5 セラミックブ口ック
20、 40、 5 0、 70 多孔質セラミック部材
1 60、 1 70、 1 80、 2 60、 2 70、 28 0 多孔質セラミック部材 2 1 a、 3 1 a、 4 1 a、 5 1 a、 7 1 a 大容積貫通孔
1 6 1 a、 1 7 1 a、 1 8 1 a、 26 1 a、 2 7 1 a、 28 1 a 大容積貫通孔
2 1 b、 3 1 b、 4 1 b、 5 1 b、 7 1 b 小容積貫通孔
1 6 1 b、 1 7 1 b、 1 8 1 b、 26 1 b、 2 7 1 b、 28 1 大容積貫通孔
2 2 封止材
2 3、 4 3、 5 3、 7 3 隔壁
1 6 3、 1 7 3、 1 8 3、 26 3、 2 7 3、 2 8 3 隔壁
3 3 壁部 発明の詳細な開示
本発明のフィルタは、 多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニ カム構造を有する柱状のフィルタであって、
上記貫通孔は、 長手方向に垂直な断面の面積が相対的に大きい大容積貫通孔 と、 上記断面の面積が相対的に小さい小容積貫通孔との実質的に同数である 2種
類の貫通孔からなり、
上記大容積貫通孔は、 上記フィルタの一端部で封止される一方、 上記小容積 貫通孔は、 上記フィルタの他端部で封止され、
長手方向に垂直な断面における上記一の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通 孔と共有する壁部の長さの合計 (a) と、 長手方向に垂直な断面における上記一 の大容積貫通孔が隣り合う上記小容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 ( b ) との比 (aZb) をひとし、 上記大容積貫通孔の上記断面の面積 (A) と、 上記 小容積貫通孔の上記断面の面積 (B) の比 (A/B) を! 3とした際、 上記ひと上 記 jSとが下記式 (1) の関係を有することを特徴とするものである。
/3 (20ノ9) (¾2+ 1 (ただし、 0く α^ Ι. 5、 1 < |3≤ 6 ) … (1) 本発明のフィルタは、 多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニ カム構造を有する柱状のフィルタである。 上記フィルタにおいては、 少なくとも 1 つの多孔質セラミックプロックを含んで構成されていることが好ましい。 上記 多孔質セラミックプロックは、 複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され た柱状の多孔質セラミック部材がシール材層を介して複数個結束されることによ り構成されていてもよく (以下、 上記フィルタを集合体型フィルタともいう) 、 全体が一体として焼結形成されたセラミック部材から構成されていてもよい (以 下、 上記フィルタを一体型フィルタともいう) 。
上記集合体型フィルタの場合、 壁部は、 多孔質セラミック部材の貫通孔を隔て る隔壁と、 多孔質セラミック部材の外壁及び多孔質セラミック部材間の接着材層 として機能しているシール材層とから構成されており、 上記一体型フィルタの場 合、 一種類の隔壁のみにより構成されている。
図 3は、 本発明のフィルタの一例である集合体型フィルタの具体例を模式的に 示した斜視図であり、 図 4 (a) は、 図 1に示したフィルタを構成する多孔質セ ラミック部材の一例を模式的に示した斜視図であり、 (b) は、 (a) に示した 多孔質セラミック部材の A— A線断面図である。
図 3に示したように、 本発明のフィルタ 10は、 多孔質セラミック部材 20が シール材層 14を介して複数個結束されてセラミックプロック 15を構成し、 こ
のセラミックブロック 1 5の周囲には、 排気ガスの漏れを防止するためのシール 材層 1 3が形成されている。
また、 この多孔質セラミック部材 2 0は、 その長手方向に多数の貫通孔 2 1が 並設されているが、 この貫通孔 2 1は、 長手方向に垂直な断面の面積が相対的に 大きい大容積貫通孔 2 1 aと、 上記断面の面積が相対的に小さい小容積貫通孔 2 l bとの 2種類からなり、 大容積賞通孔 2 l aは、 フィルタ 1 0の排気ガス出口 側の端部で封止材 2 2により封止される一方、 小容積貫通孔 2 l bは、 フィルタ 1 0の排気ガス入口側の端部で封止材 2 2により封止され、 これらの貫通孔同士 を隔てる隔壁 2 3がフィルタとして機能するようになっている。 即ち、 大容積貫 通孔 2 1 aに流入した排気ガスは、 必ずこれらの隔壁 2 3を通過した後、 小容積 貫通孔 2 1 bから流出するようになっている。
本発明のフィルタでは、 貫通孔 2 1は大容積貫通孔 2 1 a .と小容積貫通孔 2 1 bとの 2種類からなり、 その貫通孔の数は実質的に同数である。 このような構成 にし、 貫通孔の不必要な分割をなくすことで、 貫通孔入口側を通過する際の摩擦 及び/又は賞通孔出口側を通過する際の摩擦 (②ー 1 ; Δ Ρ ^ ^ ②ー 2 ; 厶 P b _ 2) に起因する圧力損失が必要以上に上昇することのを抑えることが可能であ る。 例えば、 図 1 9に示すような貫通孔の数が実質的に 1 : 2であるフィルタと 比較すると、 本宪明のフィルタのような貫通孔の数が実質的に同数であるフィル タでは、 貫通孔出口側を通過する際の摩擦 (②ー 2 ; A P b _ 2 ) による圧力損失 が低いため、 トータルの圧力損失が低くなる。
また、 本発明のフィルタは、 一の大容積貫通孔 2 1 aが隣り合う大容積貫通孔 2 1 bと共有する壁部と、 一の大容積貫通孔 2 1 aが隣り合う小容積貫通孔 2 1 bと共有する壁部の両方を有する。
図 1 4 ( a ) 〜 (c ) は、 実施例において、 フィルタの入口から異なる位置で 観察されるパティキュレートの捕集状態を示す写真であるが、 この写真より明ら かなように、 本努明のフィルタでは、 隣り合う大容積貫通孔と小容積貫通孔が共 有する壁部のみでなく、 隣り合う大容積貫通孔同士が共有する壁部にも一様にパ ティキュレートが蓄積する。 これは、 排気ガスは、 大容積貫通孔から小容積貫通
孔へ向かって、 フィルタの壁を直接流入する以外にも、 孔のなかで渦をまいたり するような多様な流れを生じさせ、 パティキュレートが捕集されるに従って、 一 旦、 隣り合う大容積貫通孔同士が共有する壁部に侵入した後、 隣り合う大容積貫 通孔と小容積貫通孔が共有する壁部を通って小容積貫通孔に抜ける排気ガスの流 れが形成されるようになるためであると考えられる。
その結果、 大容積貫通孔と小容積貫通孔の容積比を一定にした際、 両方の壁部 を有するフィルタにおいても、 使用するに従って、 大容積貫通孔の壁全てに一様 にパティキュレートが蓄積される。 従って、 開口比率を一定とした時、 大容積貫 通孔同士が共有する壁部のないフィルタと比較すると、 本発明のフィルタでは、 実質的にろ過するための壁部の表面積が大きいこととなり、 同じ量のパティキュ レートを蓄積させたとき、 隔壁部分に蓄積するパティキュレートの厚みを減少さ せることができる。 このため、 本発明のフィルタでは、 使用を開始してから時間 が経過するに従って上昇する圧力損失の上昇率が小さくなり、 フィルタ使用して いる期間トータルで考えた際の圧力損失を低減することができるのである。 また、 フィルタを再生するためには、 パティキュレートを燃焼させるが、 パテ ィキュレート中には、 燃焼して消滅する炭素等のほかに、 燃焼により酸化物とな る金属等が含まれており、 これらがフィルタ中にアッシュとして残留する。 アツ シュは、 通常、 フィルタの出口に近いところに残留し、 そのためフィルタを構成 する貫通孔は、 出口に近いところからアッシュが充填されていき、 アッシュが充 填された部分の容積が次第に大きくなるとともに、 フィルタとして機能する部分 の容積 (面積) が次第に小さくなつていく。
そして、 アッシュの蓄積量が多くなりすぎると、 フィルタは、 最早、 フィルタ として機能しなくなり、 排気管から取り出して逆洗浄を行ってァッシュをフィノレ タから取り除く力 \ フィルタを廃棄することとなる。
上述した本発明のフィルタは、 貫通孔の容積が全て同じものと比べると、 排気 ガス流入側の貫通孔の容積が大きいことに起因して、 ァッシュが蓄積していく際 のフィルタとして機能する部分の容積は減少量が小さく、 アッシュに起因する圧 力損失も小さくなる。 従って、 逆洗浄等を必要とするまでの期間も長くなる。
図 3に示したフィルタ 1 0では、 フィルタの形状は円柱状であるが、 本発明の フィルタは、 円柱状に限定されることはなく、 例えば、 楕円柱状や角柱状等任意 の形状、 大きさのものであってもよい。
本発明のフィルタにおいて、 ハニカム構造は、 流入側から、 流出側にかけて、 断面積を変更させていないことが望ましい。 なぜなら、 圧縮強度等の向上をはか ることができるし、 押出成形での製造が容易になるからである。
本 ¾明のフィルタにおいて、 多孔質セラミック部材の材料としては特に限定さ れず、 例えば、 窒化アルミニウム、 窒化ケィ素、 窒化ホウ素、 窒化チタン等の窒 化物セラミック、 炭化珪素、 炭化ジルコニウム、 炭化チタン、 炭化タンタル、 炭 化タングステン等の炭化物セラミック、 アルミナ、 ジルコユア、 コージユライト、 ムライト、 等の酸化物セラミック等を挙げることができる。 また、 シリコンと炭 化珪素の複合体、 チタン酸アルミ二ゥムといった 2種類以上の材料から形成され ていてもよいが、 これらのなかでは、 耐熱性が大きく、 機械的特性に優れ、 かつ、 熱伝導率も大きい炭化珪素が望ましい。
また、 多孔質セラミック部材の気孔率は特に限定されないが、 2 0〜8 0 %程 度であることが望ましい。 気孔率が 2 0 %未満であると、 本発明のフィルタがす ぐに目詰まりを起こすことがあり、 一方、 気孔率が 8 0 %を超えると、 多孔質セ ラミック部材の強度が低下して容易に破壌されることがある。
なお、 上記気孔率は、 例えば、 水銀圧入法、 アルキメデス法及び走査型電子顕 微鏡 (S E M) による測定等、 従来公知の方法により測定することができる。 また、 上記多孔質セラミック部材の平均気孔径は 1〜 1 0 0 μ mであることが 望ましい。 平均気孔径が 1 μ ηι未満であると、 パティキュレートが容易に目詰ま りを起こすことがある。 一方、 平均気孔怪が 1 0 0 /i mを超えると、 パティキュ レートが気孔を通り抜けてしまい、 該パティキュレートを捕集することができず、 フィルタとして機能することができないことがある。
このような多孔質セラミック部材を製造する際に使用するセラミックの粒径と しては特に限定されないが、 後の焼成工程で収縮が少ないものが望ましく、 例え ば、 0 . 3〜5 0 ;x m程度の平均粒径を有する粉末 1 0 0重量部と、 0 . 1〜1 .
0 μ m程度の平均粒径を有する粉末 5〜 6 5重量部とを耝み合わせたものが望ま しい。 上記粒径のセラミック粉末を上記配合で混合することで、 多孔質セラミツ ク部材を製造することができるからである。
上記封止材は、 多孔質セラミックからなるものであることが望ましい。
本発明のフィルタにおいて、 上記封止材が封止された多孔質セラミック部材は、 多孔質セラミックからなるものであるため、 上記封止材を上記多孔質セラミック 部材と同じ多孔質セラミックとすることで、 両者の接着強度を高くすることがで きるとともに、 封止材の気孔率を上述した多孔質セラミック部材と同様に調整す ることで、 上記多孔質セラミック部材の熱膨張率と封止材の熱膨張率との整合を 図ることができ、 製造時や使用時の熱応力によって封止材と隔壁との間に隙間が 生じたり、 封止材ゃ封止材に接触する部分の隔壁にクラックが発生したりするこ とを防止することができる。
上記封止材が多孔質セラミックからなる場合、 その材料としては特に限定され ず、 例えば、 上述した多孔質セラミック部材を構成するセラミック材料と同様の 材料を挙げることができる。
本発明のフィルタにおいて、 シーノレ材層 1 3、 1 4は、 多孔質セラミック部材 2 0間、 及び、 セラミックプロック 1 5の外周に形成されている。 そして、 多孔 質セラミック部材 2 0間に形成されたシール材層 1 4は、 複数の多孔質セラミツ ク部材 2 0同士を結束する接着剤としても機能し、 一方、 セラミックプロック 1 5の外周に形成されたシール材層 1 3は、 本発明のフィルタ 1 0を内燃機関の排 気通路に設置した際、 セラミックプロック 1 5の外周から排気ガスが漏れ出すこ とを防止するための封止材として機能する。
上記シール材層を構成する材料としては特に限定されず、 例えば、 無機バイン ダー、 有機バインダー、 無機繊維及び/又は無機粒子からなるもの等を挙げるこ とができる。
なお、 上述した通り、 本発明のフィルタにおいて、 シール材層は、 多孔質セラ ミック部材間、 及び、 セラミックプロックの外周に形成されているが、 これらの シール材層は、 同じ材料からなるものであってもよく、 異なる材料からなるもの
であってもよい。 さらに、 上記シール材層が同じ材料からなるものである場合、 その材料の配合比は同じものであってもよく、 異なるものであってもよい。
上記無機バインダーとしては、 例えば、 シリカゾル、 アルミナゾル等を挙げる ことができる。 これらは、 単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよい。 上 記無機バインダ一のなかでは、 シリカゾルが望ましい。
上記有機バインダーとしては、 例えば、 ポリビュルアルコール、 メチルセル口 ース、 ェチゾレセノレロース、 力/レポキシメチノレセノレロース等を挙げることができる。 これらは、 単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよい。 上記有機パインダ 一のなかでは、 カルポキシメチルセルロースが望ましい。
上記無機繊維としては、 例えば、 シリカ一アルミナ、 ムライト、 アルミナ、 シ リカ等のセラミックファイバ一等を挙げることができる。 これらは、 単独で用い てもよく、 2種以上を併用してもよい。 上記無機繊維のなかでは、 シリカ一アル ミナファイバーが望ましい。
上記無機粒子としては、 例えば、 炭化物、 窒化物等を挙げることができ、 具体 的には、 炭化珪素、 窒化珪素、 窒化硼素等からなる無機粉末又はウイスカ一等を 挙げることができる。 これらは、 単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよ い。 上記無機粒子のなかでは、 熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
シール材層 1 4は、 緻密体からなるものであってもよく、 その内部への排気ガ スの流入が可能なように、 多孔質体であってもよいが、 シーノレ材層 1 3は、 緻密 体からなるものであることが望ましい。 シール材層 1 3は、 本発明のフィルタ 1 0を内燃機関の排気通路に設置した際、 セラミックブロック 1 5の外周から排気 ガスが漏れ出すことを防止する目的で形成されているからである。
図 5 ( a ) は、 本発明のフィルタの一例である一体型フィルタの具体例を模式 的に示した斜視図であり、 (b ) は、 その B— B線断面図である。
図 5 ( a ) に示したように、 フィルタ 3 0は、 多数の貫通孔 3 1が壁部 3 3を 隔てて長手方向に並設された柱状の多孔質セラミックプロック 3 5から構成され ている。
貫通孔 3 1は、 長手方向に垂直な断面の面積が相対的に大きい大容積貫通孔 3
1 aと、 上記断面の面積が相対的に小さい小容積貫通孔 3 1 bとの 2種類の貫通 孔からなり、 大容積貫通孔 3 l aは、 フィルタ 3 0の排気ガス出口側の端部で封 止材 3 2により封止される一方、 小容積貫通孔 3 1 bは、 フィルタ 3 0の排気ガ ス入口側の端部で封止材 3 2により封止され、 これらの貫通孔 3 1を隔てる隔壁 3 3がフィルタとして機能するようになっている。
図 5には示していないが、 多孔質セラミックプロック 3 5の周囲には、 図 3に 示したフィルタ 1 0と同様に、 シーノレ材層が形成されていてもよい。
このフィルタ 3 0では、 多孔質セラミックプロック 3 5が焼結により製造され た一体構造のものであるほかは、 集合体型フィルタ 1 0と同様に構成されており、 大容積貫通孔 3 1 aに流入した排気ガスは、 貫通孔 3 1を隔てる壁部 3 3を通過 した後、 小容積貫通孔 3 1 bから流出するようになっている。 従って、 一体型フ ィルタ 3 0においても、 集合体型フィルタの場合と同様の効果が得られる。
また、 一体型フィルタ 3 0においても、 集合体型フィルタ 1 0同様、 形状、 大 きさは任意のものであってよく、 その気孔率は集合体型フィルタ同様 2 0〜8 0 %であることが望ましく、 その気孔径は 1〜1 0 0 μ πι程度であることが望まし い。
多孔質セラミックブロック 3 5を構成する多孔質セラミックとしては特に限定 されず、 集合体型フィルタと同様の窒化物、 炭化物、 酸化物セラミックを挙げる ことができるが、 通常、 コージエライ ト等の酸化物セラミックが使用される。 安 価に製造することができるとともに、 比較的熱膨張係数が小さいため、 製造中、 及ぴ使用中に熱応力によってフィルタが破損する恐れが少ないからである。 このような一体型フィルタ 3 0における封止材 3 2は、 同様に多孔質セラミツ クからなるものであることが望ましく、 その材料としては、 特に限定されないが、 例えば、 上述した多孔質セラミック 3 5を構成するセラミック材料と同様の材料 を挙げることができる。
図 3及ぴ図 5に示したような構成からなる本発明のフィルタにおいて、 大容積 貫通孔及ぴ /又は小容積貫通孔の長手方向に垂直な断面の形状は、 多角形である ことが望ましい。
多角形にすることにより、 大容積貫通孔及びノ又は小容積貫通孔を排気ガスが 通過する際に貫通孔の形状による摩擦の大きい部分をなくし、 貫通孔を通過する 際の摩擦 (©— 1 ; APb_い ②ー 2 ; APb_2) に起因する圧力損失を低くす ること、 もしくは、 隔壁の厚みの不均一な部分、 つまり、 排気ガスが局所的に通 過しにくくなる部分をなくし、 隔壁を通過する際の抵抗; Δ P。に起因する圧力 損失を低くすること、 このどちらかの効果を得ることができるからであると考え られる。
また、 多角形のなかでも、 4角形以上の多角形が望ましく、 その角の少なくと も 1つが鈍角であることがより望ましい。 このようにすることで、 貫通孔入口側 を通過する際の摩擦及び貫通孔出口側を通過する際の摩擦 (②一 1 ; APb_1 + ②一 2 ; Δ Pb_2) に起因する圧力損失を低くすることができるからである。 具体的には、 八角形と四角形との組み合わせがより望ましい。
大容積貫通孔及ぴ /又は小容積貫通孔の断面の角部の近傍は、 曲線により構成 されていることが望ましい。 曲線にすることにより、 貫通孔入口側を通過する際 の摩擦及び貫通孔出口側を通過する際の摩擦 (②ー 1 ; APb_1+②— 2 ; 厶 P b— 2) に起因する圧力損失をさらに低くすることができるからである。 また、 角 部での応力集中に起因するクラックの発生を防ぐこともできるからである。 なお、 本発明において、 「隣り合う上記大容積貫通孔の上記断面の重心間距離 」 とは、 一の大容積貫通孔の長手方向に垂直な断面における重心と、 隣り合う大 容積貫通孔の長手方向に垂直な断面における重心との最小の距離をいい、 一方、 「隣り合う上記小容積貫通孔の上記断面の重心間距離」 とは、 一の小容積貫通孔 の長手方向に垂直な断面における重心と、 隣り合う小容積貫通孔の重心との最小 の距離のことをいう。
上記 2つの重心間距離が等しいとき、 再生時に熱が均一に拡散することで、 フ ィルタ内の局所的な温度の偏りがなくなり、 長期間繰り返し使用しても、 熱応力 に起因するクラック等が発生することのない耐久性に優れたフィルタとなると考 えられる。
図 6 (a) 〜 (d) 及び図 12 (a) 〜 (f ) は、 本発明に係る集合体型フィ
ルタを構成する多孔質セラミック部材の断面の一部を模式的に示した断面図であ り、 図 6 (e) は、 従来のフィルタにおける断面の一部を模式的に示した断面図 である。 なお、 一体型フィルタにおける大容積貫通孔及ぴ小容積貫通孔の断面の 形状も同じ組み合わせであるので、 これらの図を用いて本発明のフィルタにおけ る大容積貫通孔及び小容積貫通孔の断面形状を説明する。
図 6 (a) では、 上記開口比率がほぼ 1. 5 5、 図 6 (b) では、 ほぼ 2. 5 4、 図 6 (c) では、 ほぼ 4. 45、 図 6 (d) では、 ほぼ 6. 00である。 ま た、 図 1 2 (a) 、 (c) , (e) は、 上記開口比率がすべて、 ほぼ 4. 4 5で あり、 図 1 2 (b) 、 (d) 、 (: f ) は、 すべてほぼ 6. 00である。 図 6 (a ) 〜 (d) では全て、 大容積貫通孔の断面の形状は 8角形であり、 小容積貫通孔 の断面の形状は 4角形でそれぞれ交互に配列されており、 小容量貫通孔の断面積 を変化させ、 大容積貫通孔の断面形状を少し変化させることにより、 開口比率を 任意に変動させることが容易にできる。 同様に、 図 1 2に示すフィルタに関して も任意にその開口比率を変動させることができる。
上述したように、 八角形と四角形の組み合わせでは、 対称性がよいものとなる。 対称性がよいものであるので、 排気ガスが均等に大容積貫通孔に流入しやすくな る。 加えて、 ァイソスタティック強度、 圧縮強度等の向上がはかれる。
一例として、 A軸の圧縮強度について考察してみる。 A軸の圧縮強度とは、 ハニカム形状において、 少なくとも、 貫通孔と垂直な 2平面を構成するような立 体、 (好ましくは残りの 4面を互いに平行に切断した直方体、 立方体形状) に切 り出し、 その貫通孔を台に鉛直になるように設置し、 その上部から、 挟み込むよ うに荷重圧力をかけて、 破壌された荷重から、 強度を計算するものである。
この場合、 従来技術にあるように、 断面積の形状が全て正方形のみの形であ ると、 A軸については、 全て同じ圧力で力が加わることになる。
ところが、 八角形と四角形の形であると、 八角形が広がり、 四角形を押しつ ぶそうとする力等に圧縮の力が分散されるし、 また、 大容積貫通孔同士が共通す る壁では、 打ち消しあうことになつて、 圧縮強度が高いものとなると考えられる c 同様にアイソスタティック強度においても、 断面積が全て正方形の形状のも
のに比べて、 対角線の方向にも、 梁を設けることになるので、 同様に強度を向上 させることができやすくなると考えられる。 なお、 ァイソスタティック強度は、 等方的圧力破壊強度ともいい、 フィルタに静水圧等の等方的な圧力を印加し、 破 壊が発生したときの強度をいう。
ァイソスタティック強度は、 7MP a以上が好ましく、 9MP a以上がより 好ましい。 また、 A軸の圧縮強度は、 1 8 MP a以上が好ましく、 2 5 MP a以 上がより好ましい。
しかも、 上述した効果は、 ある数値範囲にあると、 より効果的に見出される ものであることが発明者らの研究によってわかった。
このような、 強度に関する安定性と、 ガスの流れ、 熱の伝播といった様々な 要因が合い重なって、 パティキュレートの再生に対する耐久が優れたハニカムフ イノレタになると考えられる。
また、 本発明のフィルタにおいて、 ハニカム形状は、 流入側から、 流出側に かけて、 断面積を変更させていないことが望ましい。 なぜなら、 例えば、 上述し たような圧縮強度において、 貫通孔の断面積を変更することは、 圧縮強度の減少 を引き起こすし、 押出成形での製造が困難になるからである。
なお、 図 1 2 (a) 〜 (b) に示すフィルタ 1 6 0、 26 0では、 大容積貫 通孔 1 6 1 a、 26 1 aの断面の形状は 5角形であり、 そのうちの 3つの角がほ ぼ直角となっており、 小容積貫通孔 1 6 1 b、 26 1 bの断面の形状は 4角形で、 それぞれ大きな四角形の斜めに対向する部分を占めるように構成されている。 図 1 2 (c) ~ (d) に示すフィルタ 1 70、 2 70では、 図 6 (a) 〜 (d) に 示す断面の形状を変形したものであって、 大容積貫通孔 1 7 1 a、 27 1 aと小 容積貫通孔 1 7 1 b、 2 7 1 bとが共有する隔壁を小容積貫通孔側にある曲率を 持つて広げた形状である。 この曲率は任意のものであってよい。
ここでは、 大容積貫通孔 1 7 1 a、 27 1 aと小容積貫通孔 1 7 1 b、 27 1 bとが共有する隔壁を構成する曲線が 1 Z 4円に相当するものを例示する。 この 場合、 その開口比率が最小となる形状は、 おおよそ図 1 2 (c) のような形状と なり、 そのときの開口比率は、 ほぼ 3. 6 6となる。
図 1 2 (e) 〜 ( f ) に示すフイノレタ 1 8 0、 2 8 0では、 大容積貫通孔 1 8 1 a、 2 8 1 a及ぴ小容積賞通孔 2 8 1 b, 2 8 1 bは 4角形 (長方形) からな り、 図のように、 2つの大容積貫通孔と 2つの小容積貫通孔を組み合わせると、 ほぼ正方形となるように構成されている。
貫通孔の形状及び並ぴ方が同様であるならば、 上記開口比率の変動に伴って、 長手方向に垂直な断面における一の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有 する壁部の長さの合計 (a) と、 長手方向に垂直な断面における一の大容積貫通 孔が隣り合う上記小容積貫通孔と共有する壁部の長さの合計 (b) とは、 それぞ れほぼ一定の関係で変動する。
従って、 例えば、 図 6 ( a ) 〜 (d) に示す形状のフィルタでは、 実質的に下 記の (2) 式で表すことができる。
β = (α + 21 2) 2— 1 · · · (2)
同様に、 図 1 0は下記 (3) 式、 図 1 1 (a ) 〜 (d) は下記 (4) 式、 図 1 2 ( a ) 、 (b) は下記 (5) 式、 図 1 2 (c:) 、 (d) は下記 ( 6 ) 式、 図 1 2 (e ) 、 ( f ) は下記 (7) 式で実質的に αと との関係を一意に表すことが できる。
β = (α + 1 ) 2- 1 ■ - - ( 3)
α = Ό · ■ · (4)
β = 2 { (2 - 21/2) ひ + 1 } 2_ 1 ■ · · ( 5)
β = { π 2/4 (4— π) } (α + 4/π) 2— 1 ■ · · (6 )
β =- ( 3 α + 2) / (α - 2) … (7)
ただし、 隔壁の厚みによって、 ο; (隔壁長さ比) が若干変動することがある。 そのため、 一の大容積貫通孔が隣り合う大容積貫通孔と共有する壁部、 一の大容 積貫通孔が隣り合う小容積貫通孔と共有する壁部のどちらにも属さない壁部はそ の効果を考慮し、 大容積貫通孔同士が共有する壁部として扱う場合もある。 また、 上記 (2) 、 (3) 、 (5) 、 (6) 、 (7) 式においても、 (1) 式と同様に、
0 < α≤ 1. 5、 1 < |3≤ 6である。
β (開口率比) の下限値は、 1. 5 5が好ましく、 2. 0がより望ましい。 β (
開口率比) の上限値は、 2 . 7 5が好ましく、 2 . 5 4がより望ましく、 2 . 4 2がより望ましい。
このような開口率比とすることにより、 パティキュレート捕集時の圧力損失 をより低減することができるとともに、 再生限界値を大きくすることができる。 なお、 再生限界値とは、 これ以上パティキュレートを捕集すると、 再生を行 う際に、 フィルタにクラック等が発生し、 フィルタが損傷するおそれがあるパテ ィキュレートの捕集量 (g 1 ) をいう。 従って、 再生限界値が大きくなると、 再生を行うまでに捕集することが可能なパティキュレートの量を増大させること ができ、 再生までの期間を長期化することができる。
次に、 上述した本発明のフィルタの製造方法の一例について説明する。
本発明のフィルタの構造が図 5に示したような、 その全体が一の焼結体から構 成された一体型フィルタである場合、 まず、 上述したようなセラミックを主成分 とする原料ペーストを用いて押出成形を行い、 図 5に示したフィルタ 3 0と略同 形状のセラミック成形体を作製する。
上記原料ペーストは、 製造後の多孔質セラミックブロックの気孔率が 2 0 ~ 8 0 %となるものであれば特に限定されず、 例えば、 上述したようなセラミックか らなる粉末にバインダー及び分散媒液を加えたものを挙げることができる。
上記バインダーとしては特に限定されず、 例えば、 メチルセルロース、 カルボ キシメチ/レセ/レロース、 ヒ ドロキシェチ /レセノレロース、 ポリエチレングリ コール、 フエノール樹脂、 エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記バインダーの配合量は、 通常、 セラミック粉末 1 0 0重量部に対して、 1 〜 1 0重量部程度が望ましい。
上記分散媒液としては特に限定されず、 例えば、 ベンゼン等の有機溶媒;メタ ノール等のアルコール、 水等を挙げることができる。
上記分散媒液は、 原料ペース トの粘度が一定範囲内となるように、 適量配合さ れる。
これらセラミック粉末、 バインダー及ぴ分散媒液は、 アトライター等で混合し、 エーダー等で充分に混練した後、 押出成形して上記セラミック成形体を作製する c
また、 上記原料ペース トには、 必要に応じて成形助剤を添加してもよい。 上記成形助剤としては特に限定されず、 例えば、 エチレングリコール、 デキスト リン、 脂肪酸石鹼、 ポリアルコール等を挙げることができる。
さらに、 上記原料ペーストには、 必要に応じて酸化物系セラミックを成分とす る微小中空球体であるバルーンや、 球状アクリル粒子、 グラフアイト等の造孔剤 を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、 例えば、 アルミナバルーン、 ガラスマ イクロバノレーン、 シラスバノレーン、 フライアッシュパノレーン (F Aバ /レーン) 及 びムライトバルーン等を挙げることができる。 これらのなかでは、 フライアツシ ュバルーンが望ましい。
そして、 上記セラミック成形体を、 マイクロ波乾燥機、 熱風乾燥機、 誘電乾燥 機、 減圧乾燥機、 真空乾燥機及び凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、 所定の貫 通孔に封止材となる封止材ペーストを充填し、 上記貫通孔に目封じする封口処理 を施す。
上記封止材ペーストとしては、 後工程を経て製造される封止材の気孔率が 2 0 〜 8 0 %となるものであれば特に限定されず、 例えば、 上記原料ペーストと同様 のものを用いることができるが、 上記原料ペーストで用いたセラミック粉末に潤 滑剤、 溶剤、 分散剤及びバインダーを添加したものであることが望ましい。 上記 封口処理の途中で封止材ペースト中のセラミック粒子が沈降することを防止する ことができるからである。
次に、 上記封止材ペーストが充填されたセラミック乾燥体に、 所定の条件で脱 脂、 焼成を行うことにより、 多孔質セラミックからなり、 その全体が一の焼結体 から構成されたフィルタを製造することができる。
なお、 上記セラミック乾燥体の脱脂及ぴ焼成の条件等は、 従来から多孔質セラ ミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することがで さる。
また、 本発明のフィルタの構造が、 図 3に示したような、 多孔質セラミック部 材がシール材層を介して複数個結束されて構成された集合体型フィルタである場
合、 まず、 上述したセラミックを主成分とする原料ペース トを用いて押出成形を 行い、 図 4に示した多孔質セラミック部材 2 0のような形状の生成形体を作製す る。
なお、 上記原料ぺース トは、 上述した集合体型フィルタにおいて説明した原料 ペーストと同様のものを挙げることができる。
次に、 上記生成形体を、 マイクロ波乾燥機等を用いて乾燥させて乾燥体とした 後、 該乾燥体の所定の貫通孔に封止材となる封止材ペース トを充填し、 上記貫通 孔を目封じする封口処理を施す。
なお、 上記封止材ペース トは、 上述した一体型フィルタにおいて説明した封止 材ペーストと同様のものを挙げることができ、 上記封口処理は、 封止材ペースト を充填する対象が異なるほかは、 上述した一体型フィルタの場合と同様の方法を 挙げることができる。
次に、 上記封口処理を経た乾燥体に所定の条件で脱脂、 焼成を行うことにより、 複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材を製造 することができる。
なお、 上記生成形体の脱脂及び焼成の条件等は、 従来から多孔質セラミック部 材がシール材層を介して複数個結束されて構成されたフィルタを製造する際に用 いられている条件等を適用することができる。
次に、 図 7に示したように、 多孔質セラミック部材 2 0が斜めに傾斜した状態 で積み上げることができるように、 上部の断面が V字形状に構成された台 8 0の 上に、 多孔質セラミック部材 2 0を傾斜した状態で載置した後、 上側を向いた 2 つの側面 2 0 a、 2 0 bに、 シール材層 1 4となるシール材ペーストを均一な厚 さで塗布してシール材ペースト層 8 1を形成し、 このシール材ペースト層 8 1の 上に、 順次他の多孔質セラミック部材 2 0を積層する工程を繰り返し、 所定の大 きさの角柱状の多孔質セラミック部材 2 0の積層体を作製する。
なお、 上記シール材ペース トを構成する材料としては、 上述した本発明のフィ ルタにおいて説明した通りであるのでここではその説明を省略する。
次に、 この多孔質セラミック部材 2 0の積層体を加熱してシール材ペースト層
8 1を乾燥、 固化させてシール材層 1 4とし、 その後、 例えば、 ダイヤモンドカ ッタ一等を用いて、 その外周部を図 3に示したような形状に切削することで、 セ ラミックプロック 1 5を作製する。
そして、 セラミックプロック 1 5の外周に上記シール材ペーストを用いてシー ル材層 1 3を形成することで、 多孔質セラミック部材がシール材層を介して複数 個結束されて構成されたフィルタを製造することができる。
このようにして製造したフィルタはいずれも柱状であり、 その構造は、 図 3や 図 5に示した通りである。
本発明のフィルタの用途は特に限定されないが、 車両の排気ガス浄化装置に用 いることが望ましい。
図 8は、 本発明のフィルタが設置された車両の排気ガス浄化装置の一例を模式 的に示した断面図である。
図 8に示したように、 排気ガス浄化装置 6 0 0は、 主に、 本発明のフィルタ 6 0、 フィルタ 6 0の外方を覆うケーシング 6 3 0、 フィルタ 6 0とケーシング 6 3 0との間に配置された保持シール材 6 2 0、 及び、 フィルタ 6 0の排気ガス流 入側に設けられた加熱手段 6 1 0から構成されており、 ケーシング 6 3 0の排気 ガスが導入される側の端部には、 エンジン等の内燃機関に連結された導入管 6 4 0が接続されており、 ケーシング 6 3 0の他端部には、 外部に連結された排出管 6 5 0が接続されている。 なお、 図 8中、 矢印は排気ガスの流れを示している。 また、 図 8において、 フィルタ 6 0は、 図 3に示したフィルタ 1 0であっても よく、 図 5に示したフィルタ 3 0であってもよい。
このような構成からなる排気ガス浄化装置 6 0 0では、 エンジン等の内燃機関 から排出された排気ガスは、 導入管 6 4 0を通ってケーシング 6 3 0内に導入さ れ、 フィルタ 6 0の貫通孔から壁部 (隔壁) を通過してこの壁部 (隔壁) でパテ ィキュレートが捕集されて浄化された後、 排出管 6 5 0を通って外部へ排出され ることとなる。
そして、 フィルタ 6 0の壁部 (隔壁) に大量のパティキュレートが堆積し、 圧 力損失が高くなると、 フィルタ 6 0の再生処理が行われる。
上記再生処理では、 加熱手段 6 1 0を用いて加熱されたガスをフィルタ 6 0の 貫通孔の内部へ流入させることで、 フィルタ 6 0を加熱し、 壁部 (隔壁) に堆積 したパティキュレートを燃焼除去させるのである。
また、 ボストインジェクション方式を用いてパティキユレ トを燃焼除去して あよい。
また、 本発明のフィルタの気孔中には、 排気ガス中の C O、 H C及び N O x等 を浄化することができる触媒が担持されていてもよい。
このような触媒が担持されていることで、 本発明のフィルタは、 排気ガス中の パティキュレートを捕集するフィルタとして機能するとともに、 排気ガスに含有 される上記 C O、 H C及ぴ N O x等を浄化するための触媒コンバータとして機能 する。
上記触媒は、 本発明のハニカム構造体を構成する粒子表面に担持されること で気孔を残したものでもよいし、 壁部状にある厚みをもって担持されていてもよ い。 また、 上記触媒は、 貫通孔の壁部の表面に均一に担持されていてもよいし、 ある一定の場所に偏って担持されていてもよい。 特に入口側貫通孔の壁部の表面 又は表面付近の粒子の表面、 さらにはこれらの両方ともに上記触媒を担持させる と、 パティキュレートと接触しやすいためにパティキュレートの燃焼を効率よく 行なうことができる。
上記触媒としては、 例えば、 白金、 パラジウム、 ロジウム等の貴金属を挙げる ことができる。 この貴金属からなる触媒は、 所謂、 三元触媒であり、 このような 三元触媒が担持された本発明のフィルタは、 従来公知の触媒コンバータと同様に 機能するものである。 従って、 ここでは、 本発明のフィルタが触媒コンバータと しても機能する場合の詳しい説明を省略する。
但し、 本発明のフィルタに担持させることができる触媒は、 上記貴金属に限定 されることはなく、 排気ガス中の C O、 H C及ぴ N O x等を浄化することができ る触媒であれば、 任意のものを担持させることができる。 発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明はこれら実施例 のみに限定されるものではない。
(実施例 1 )
( 1 ) 平均粒径 1 1 μ mの a型炭化珪素粉末 60重量%と、 平均粒径 0. 5 μιηの J3型炭化珪素粉末 40重量%とを湿式混合し、 得られた混合物 100重量 部に対して、 有機バインダー (メチルセルロース) を 5重量部、 水を 10重量部 加えて混練して混合組成物を得た。 次に、 上記混合組成物に可塑剤と潤滑剤とを 少量加えてさらに混練した後、 押出成形を行い、 図 6 (a) 〜 (d) に示したよ うに、 断面形状を大容積貫通孔を八角形、 小容積貫通孔として、 四角形 (略正方 形) を選択して、 焼成後の β (開口比率) が 1. 50となるように生成形体を作 製した。
次に、 マイクロ波乾燥機等を用いて上記生成形体を乾燥させ、 セラミック乾 燥体とした後、 上記生成形体と同様の組成のペーストを所定の貫通孔に充填した 後、 再び乾燥機を用いて乾燥させた後、 400。Cで脱脂し、 常圧のアルゴン雰囲 気下 2200 °C、 3時間で焼成を行うことにより、 気孔率が 42%、 平均気孔径 が 9 im、 その大きさが 34. 3mmX 34. 3 mm X 1 50 mmで、 貫通孔の 数が 28個 Zl cm2 ( 1 OmmX 1 Omm) (大容積貫通孔 14個/ 1 c m2、 小容積貫通孔 14個/ 1 cm2) 、 実質的に全ての隔壁 23の厚さが 0. 4mm の炭化珪素焼結体である多孔質セラミック部材 20を製造した。
なお、 得られた多孔質セラミック部材 20の一方の端面においては、 大容積 貫通孔 21 aのみを封止剤により封止し、 他方の端面においては、 小容積貫通孔 21 bのみを封止剤により封止した。
また、 多孔質セラミック部材 20においてひ (隔壁長さ比) は、 0. 20で めった。
(2) 繊維長 0. 2mmのアルミナフアイパー 30重量%、 平均粒径 0. 6 mの炭化珪素粒子 21重量%、 シリカゾル 1 5重量0 /0、 カルボキシメチルセル ロース 5. 6重量%、 及び、 水 28. 4重量%を含む耐熱性のシール材ペースト を用いて上記多孔質炭化珪素部材を、 図 7を用いて説明した方法により多数結束
させ、 続いて、 ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、 円柱形状の セラミックプロックを作製した。
このとき、 上記多孔質セラミック部材を結束するシール材層の厚さが 1. 0 mmとなるように調整した。
次に、 無機繊維としてアルミナシリケートからなるセラミックファイバー
(ショット含有率: 3 %、 繊維長: 0. 1~100 mm) 23. 3重量%、 無機 粒子として平均粒径 0. 3 /zmの炭化珪素粉末 30. 2重量 °/0、 無機バインダー としてシリカゾル (ゾル中の S i O 2の含有率: 30重量0 /0) 7重量0 /0、 有機バ インダ一としてカルボキシメチルセルロース 0. 5重量%及び水 39重量%を混 合、 混練してシール材ペーストを調製した。
次に、 上記シール材ペーストを用いて、 上記セラミックプロックの外周部に 厚さ 0. 2 mmのシール材ペースト層を形成した。 そして、 このシール材ペース ト層を 120°Cで乾燥して、 直径が 144 mmの円柱形状のフィルタを製造した。
(実施例 2 ~ 24、 及び、 比較例 1〜 2 )
(1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 6 (a) 〜 (d) に示したよう に、 大容積貫通孔を八角形、 小容積貫通孔として、 四角形 (略正方形) の断面形 状を選択して、 その J3 (開口比率) 及び α (隔壁長さ比) をそれぞれ、 表 1に示 した値としたほかは、 実施例 1の (1) と同様にして多孔質セラミック部材を製 造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(実施例 25〜 31、 及び、 比較例 3〜 4 )
(1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 1 2 (a) 、 (b) に示したよ うに、 大容積貫通孔を五角形、 小容積貫通孔として、 四角形 (略正方形) の断面 形状を選択して、 その & (開口比率) 及び α (隔壁長さ比) をそれぞれ、 表 1に 示した値としたほかは、 実施例 1の (1) と同様にして多孔質セラミック部材を 製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、
実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(実施例 3 2〜 3 5、 及び、 比較例 5〜 6 )
( 1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 1 2 (c) 、 (d) に示したよ うに、 大容積貫通孔を八角形の四隅を曲率をもって広げ、 小容積貫通孔として、 四角形 (略正方形) を曲率をもって縮めた断面形状を選択して、 その β (開口比 率) 及ぴ《 (隔壁長さ比) をそれぞれ、 表 1に示した値としたほかは、 実施例 1 の (1) と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(実施例 3 6〜 44、 及び、 比較例 7〜 8 )
(1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 1 2 (e) 、 ( f ) に示したよ うに、 大容積貫通孔を長方形、 小容積貫通孔として、 長方形 (場合によっては正 方形) の断面形状を選択して、 その β (開口比率) 及び α (隔壁長さ比) をそれ ぞれ、 表 1に示した値としたほかは、 実施例 1の (1) と同様にして多孔質セラ ミック部材を製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(比較例 9〜 1 9 )
( 1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 1.0に示した断面形状と略同様 (十二角形と四角形) にし、 その (開口比率) 及び α (隔壁長さ比) をそれぞ れ、 表 1に示した値としたほかは、 実施例 1の (1) と同様にして多孔質セラミ ック部材を製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(比較例 20〜 2 7 )
(1) 多孔質セラミック部材の断面形状を、 図 1 1 (a) (比較例 20) 、 図 1 1 ( b ) (比較例 2 1、 2 2) 、 図 1 1 (c) (比較例 2 3〜2 5) 、 図 1 1 (d) (比較例 26〜27) にそれぞれ示した断面形状と略同様にし、 その β (
開口比率) 及び α (隔壁長さ比) を、 それぞれ表 1に示した値 (α = 0) とした ほかは、 実施例 1の (1) と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(比較例 2 8〜 2 9 )
( 1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 6 (e) に示した断面形状 (全 て正方形でかつ市松模様に封止) と略同様にし、 その β (開口比率) = 1及ぴ α (隔壁長さ比) を、 それぞれ表 1に示した値 (a = 0) としたほかは、 実施例 1 の (1) と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(比較例 3 0 ~ 3 3 )
( 1) 多孔質セラミック部材の断面形状を図 1 9 (比較例 3 0) 、 図 20 ( 比較例 3 1) 、 図 2 1 (比較例 32) 、 図 22 (比較例 33) に、 それぞれ示し た断面形状と略同様にしたほかは、 実施例 1の (1) と同様にして多孔質セラミ ック部材を製造した。 なお、 比較例 30に示したフィルタ 200 (図 1 9) の断 面形状は、 大容積貫通孔 (六角形) と小容積貫通孔 (三角形) の数が実質的に 1 : 2である。 また、 比較例 3 2に示したフィルタ 220 (図 2 1) の断面は、 大 きな正方形の貫通孔 2 2 1 aと小さな正方形の貫通孔 2 2 1 と長方形の貫通孔 2 2 2が組み合わされて格子状に形成されたものであり、 比較例 3 3に示したフ ィルタ 230 (図 22 ) の断面は、 正方形の貫通孔 23 1とそれよりほんのわず かに小さい正方形の貫通孔 23 2が交互に組み合わされて形成されたものである。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、 実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
(比較例 34 )
(1) 貫通孔の長手方向に平行な断面の形状をテーパ形状にしたほかは、 実 施例 1の (1) と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2) 上記 (1) で製造した多孔質セラミック部材をそれぞれ用いたほかは、
実施例 1の (2) と同様にしてフィルタを製造した。
得られたフィルタの貫通孔の長手方向に垂直な断面の面積は、 徐々に大きく なったり小さくなつたりしており、 図 6 (a) を用いて説明すると、 排気ガス入 口側における大容積貫通孔 2 1 aは、 排気ガス出口側では、 小容量貫通孔 2 1 b となっており、 排気ガス入口側における小容積貫通孔 2 1 bは、 排気ガス出口側 では、 大容量貫通孔 2 1 aとなっている。
(評価方法)
( 1 ) 圧力損失変化
図 8に示したように、 各実施例及び比較例に係るフィルタをエンジンの排気 通路に配設して排気ガス浄化装置とし、 上記エンジンを回転数 3 00 Om i n— \ トルク 5 0 Nmで運転し、 初期 (運転前) の圧力損失及び所定量のパティキ ュレート捕集した際の圧力損失を測定した。 表 1〜 3に全ての実施例及び比較例 の断面形状、 β (開口率比) 、 ο= (隔壁長さ比) 、 (20Ζ9) ひ2 + 1の値と、 そのときの初期の圧力損失、 パティキュレートを 0. 5、 4. 0、 6. 0、 8. 0 (g/L) 捕集した際の圧力損失のデータを示す。
(2) 再生限界値の測定
図 8に示したように、 各実施例及び比較例に係るフィルタをエンジンの排気 通路に配設して排気ガス浄化装置とし、 上記エンジンを回転数 3 00 Om i n一 トルク 5 O Nmで所定の時間運転し、 その後に再生処理を行う実験を、 運転 する時間を増加させながら継続して行い、 フィルタにクラックが発生するか否か を調査した。 上記実験は、 各実施例及ぴ比較例に係るフィルタ 5個について行つ た。 そして、 クラックが発生した際に、 捕集していたパティキュレートの量を測 定し、 5個サンプルの平均値を再生限界値とした。 その結果を下記の表 1〜3に 示した。
図 1 3に、 実施例 1〜 44及ぴ比較例 1〜 3 3における ]3 (開口率比) と a ( 隔壁長さ比) との値の関係をグラフ上で示す。 図 1 3のグラフ中の点は、 上記実 施例及び比較例から選んだものであり、 数値を〇中に記載したもの (例えば⑯、 ⑰、 ⑬ · · ■ ) は、 実施例の番号を表し、 単に番号のみを記載したもの (例えば
1、 10、 20 · · · ) は、 比較例の番号を表す。 また、 線分 Aは、 3= (20 /9) 2+ 1を表す。 線分 Bは図 1 1に示す断面形状のフィルタにおける αと βとの関係を表し、 曲線 C〜Gはそれぞれ図 1 2 (c) 〜 (d) 、 図 1 2 (e) 〜 (f ) 、 図 6 (a) 、 図 12 (a) 〜 (b) 、 図 10に示す断面形状のフィル タにおけるひと との関係を表す線である。
(3) アツシュ重量とアッシュ層の長さ又はフィルタの圧力損失との関係 図 8に示したように、 各実施例及び比較例に係るフィルタをエンジンの排気 通路に配設して排気ガス浄化装置とし、 上記エンジンを回転数 300 Om i η- \ トルク 5 ONmで所定の時間運転し、 その後に再生処理を繰り返す実験を行 い、 フィルタを構成する貫通孔に充填されたアッシュ層の長さ (排気ガスの流れ る方向の長さ) とアッシュ重量との関係、 フィルタの圧力損失とアッシュ重量と の関係を実施例 2、 実施例 13、 比較例 28について測定した。 その結果を図 1 5、 図 16に示す。
(3) フィルタの圧縮強度とァイソスタティック強度
表に記載のフィルタを、 実施のように、 3 Omm程度の立方体に切断し、 ィ ンストロン 5582により A軸の圧縮強度を測定した。
また、 直径 144 mmで長さ 1 5 Ommのフイノレタのアイソスタティック強 度を測定した。 測定の際には、 サンプルの上下にアルミニウム板 (1mmの厚み ) をあて、 ウレタンシート (1mmの厚み) で包んで密封し、 水を満たした圧力 容器に入れて加圧し、 破壊された圧力をァイソスタティック強度とした。
これらの結果も、 同様に表 1〜3に記した。
開口率比 (20/9) Of 2 初期比損 ティキュレ-ト Ag/L捕集時の圧力損失 (kPa)再生限界
断面形状 ァイソスタティック 圧縮強度 比(α ) + 1 (kPa) A=0.5 A=4.0 A=6.0 A=8.0 値 (g/L) 強度 (MPs) (MPa) 実施例 1 図 6(a)〜(d) 1.50 0.20 1.09 1.5 2.6 6.6 9.3 11.7 8.6 7.0 29.4 実施例 2 図 6(a)~(d) 1.55 0.18 1.07 1.5 2.6 6.5 9.0 11.3 8.6 7.2 29.4 実施例 3 図 6(a)〜(d) 1.55 0.18 1.07 1.5 2.6 6.5 9.0 11.3 8.6 7.3 29.4 実施例 4 図 6(a)〜(d) 1.60 0.20 1.09 1.5 2.6 6.5 9.0 11.3 8.6 7.5 29.1 実施例 5 図 6(a)〜(d) 1.75 0.24 1.13 1.5 2.6 6.5 9.0 11.3 8.9 8.3 29.1 実施例 6 図 6(a)~(d) 1.92 0.29 1.19 1.5 2.6 6.5 8.9 11.3 9.0 8.7 29.1 実施例 7 図 6(a)~(d) 2.01 0.32 1.23 1.5 2.7 6.5 8.9 11.2 9.1 9.0 28.8 実施例 8 図 6(a)〜(d) 2.10 0.35 1.27 1.6 2.7 6.5 8.8 11.2 9.2 9.1 28.8 実施例 9 図 6(a)〜(d) 2.20 0.37 1.31 1.6 2.7 6.5 8.8 11.2 9.4 9.2 28.5 実施例 10図 6(a)〜(d) 2.30 0.40 1.36 1.6 2.8 6.5 8.8 11.1 9.5 9.4 28.2 実施例 11 H6(a)~(d) 2.40 0.43 1.41 1.6 2.9 6.5 8.7 11.1 9.5 9.4 28.2 実施例 12図 6(a)〜(d) 2.51 0.46 1.47 1.6 2.9 6.5 8J 11.1 9.3 9.1 27.8 実施例 13図 6(a)〜(d) 2.54 0.47 1.49 1.6 2.9 6.5 8.7 11.1 9.3 9.1 27.8 実施例 14図 6(aト (d) 2.54 0.47 1.49 1.6 2.9 6.5 8.7 11.1 9.2 .
実施例 15 H6(a)~(d) 2.63 0.49 1.54 1.7 3.0 6.6 8.8 11.1 9.0 8.8 27.4 実施例 16図 6(a)~(d) 2.75 0.52 1.61 1.7 3.1 6.6 8.8 11.1 8.9 8.3 27.0 実施例 17図 6(a)〜(d) 2.88 0.56 1.69 1.7 3.1 6.6 8.8 11.2 8.8 8.2 26.7 実施例 18図 6(a)〜(d) 3.00 0.59 1.76 1.7 3.1 6.6 8.8 11.2 8.8 8.1 26.4 実施例 19図 6(a)〜(d) 3.02 0.59 1.78 1.8 3.2 6.9 9.0 11.2 8.8 7.9 26.3 実施例 20図 6(a)~(d) 3.16 0.63 1.87 1.8 3.2 6.9 9.0 11.2 8.7 7.5 26.0 実施例 21図 6(a)〜(d) 4.45 0.92 2.88 2.0 3.5 7.1 9.2 11.4 8.7 7.0 24.0 実施例 22図 6(a)〜(d) 4.45 0.92 2.88 2.0 3.5 7.1 9.2 11.4 8.7
実施例 23図 6(a)~(d) 6.00 1.23 4.37 2.4 4.1 8.0 10.0 11.8 8.5 6.1 17.7 実施例 24図 6(a)~(d) 6.00 1.23 4.37 2.4 4.1 8.0 10.0 11.8 8.5
比較例 1 図 6(a)~(d) 6.50 1.32 4.90 2.6 4.7 8.6 10.7 12.4 8.2 5.5 16.6 比較例 2 図 6(a)~(d) 6.50 1.32 4.90 2.6 4.7 8.6 10J 12.4 8.2
πα m
開 P率比隔壁長さ (20/9) Of 初期圧損 Λ τィキュレート Ag/L捕集時の圧力損失 (kPa)再生限界
断面形状 アイ 'ノスタ亍イツク 圧縮強度
) Άι \ Οί ) + 1 (jKド aノ A=0.5 A=4.0 A=6.0 A=8.0 強度 (MPa) (MPa) 実施例 25図 12(a),(b) 2.54 0.56 1.71 1.8 3.2 6.8 8.9 11.3 8.6 8.7 19.5 実施例 26図 12(a),(b) 2.54 0.56 1.71 1.8 3.2 6.8 8.9 11.3 8.6 —― ,. ― 実施例 27図 12(a),(b) 3.00 0.71 2.11 1.9 3.4 7.0 9.0 1 1.4 8.6 8.4 18.4 実施例 28図 12(a)ズ b) 4.45 1.1 1 3.74 2.2 3.9 7.7 9.7 11.7 8.5 7.3 18.2 実施例 29図 12(a),(b) 4.45 1.11 3.74 2.2 3.9 7.7 9.7 11.7 8.5 ——一1
実施例 30図 12(a),(b) 6.00 1.49 5.91 2.6 4.7 8.4 10.2 12.0 8.3 6.0 18.3 実施例 31図 12(a)ズ b) 6.00 1.49 5.91 2.6 4.7 8.4 10.2 12.0 8.3
比較例 3 図 12(a)ズ b) 6.50 1.60 6.68 2.8 5.1 9.1 11.0 12.9 8.2 5.7 17.6 比較例 4 図 12(a),(b) 6.50 1.60 6.68 2.8 5.1 9.1 11.0 12.9 8.2 一―
実施例 32図 12(c),(d) 4.45 0.10 1.02 1.9 3.1 7.5 10.0 13.0 8.6 6.9 23.7 実施例 33図 12(c),(d) 4.45 0.10 1.02 1.9 3.1 7.5 10.0 13.0 8.6 一一一
実施例 34図 12(c),(d) 6.00 0.29 1.18 2.1 3.3 7.5 9.8 12J 8.3 5.9 17.5 実施例 35図 12(c),(d) 6.00 0.29 1.18 2.1 3.3 7.5 9.8 12.7 8.3 一一一 比較例 5 図 12(c),(d) 6.50 0.34 1.26 2.4 4.0 8.2 10.4 13.2 8.1 5.2 16.1 比較例 6 図 12(c),(d) 6.50 0.34 1.26 2.4 4.0 8.2 10.4 13.2 8.1 ―
実施例 36図 12(e),( 2.39 0.37 1.30 1.7 3.0 6.6 9.0 11.5 8.6 8.4 18.5 実施例 37図 12(e),(f) 2.54 0.56 1.69 1.8 3.1 6.7 8.9 1 1.3 8.6 8.6 19.2 実施例 38図 12(e),(fD 2.54 0.56 1.69 1.8 3.1 6.7 8.9 11.3 8.6
実施例 39図 12(e),(f) 3.00 0.67 1.99 1.9 3.4 6.8 8.9 11.3 8.6 8.2 1 8.2 実施例 40図 12(e),(f) 4.19 0.72 2.15 2.0 3.4 6.8 8.8 11.1 8.6 7.9 17.2 実施例 41図 12(e),(f) 4.45 0.93 2.91 2.1 3.7 7.3 9.4 11.5 8.6 7.1 17.3 実施例 42図 12(e),( 4.45 0.93 2.91 2.1 3.7 7.3 9.4 11.5 8.6
実施例 43図 12(e),(fl 6.00 1.11 3.74 2.4 4.0 7.8 10.0 12.1 8.4 5.8 15.6 実施例 44図 12(e),( 6.00 1.1 1 3.74 2.4 4.0 7.8 10.0 12.1 8.4
比較例 7 図 12(e),(f) 6.50 1.16 3.98 2.5 4.5 8.2 10.6 12.8 8.2 5.3 15.8 比較例 8 図 12(e),(fD 6.50 1.16 3.98 2.5 4.5 8.2 10.6 12.8 8.2
*3
表 1〜3及び図 1 7に示した結果より明らかなように、 実施例に係るフィル タでは、 比較例に係るフィルタに比べてパティキュレートを一定の量捕集したと きの圧力損失を低くすることができるため、 再生までの期間をトータルで見たと きの圧力損失が低いものであることがわかる。 また、 圧力損失が低いため、 パテ ィキュレートを多量に捕捉することが可能であるといえる。
さらに、 図 1 5、 図 1 6に示すように、 比較例 2 8のフィルタに比べ、 実施例 2、 1 3に係るフィルタでは、 アッシュ重量に対して、 アッシュ層の長さが短く、 それによる圧力損失が小さいため、 逆洗浄等を必要とするまでの期間も長くなる。 また、 実施例に係るフィルタでは、 比較例に係るフィルタに比べて、 再生限界値 が大きいため、 再生までに多量のパティキュレートを捕集することができ、 再生 までの時間を延長することができる。
また、 図 1 8に示すように、 図 6 ( a ) 〜 (d ) に示した断面形状を有する フィルタでは、 (開口比率) が 2 . 3〜2 . 4付近において、 再生限界値が最 も大きい。 従って、 実施例 1〜4 4及び比較例 1 ~ 3 3で得られた結果を考慮す ると、 /3は 1 . 5 5〜 2 . 7 5が好ましく、 2 . 0〜2 . 5 4がより好ましい。 産業上の利用可能性
本発明のフィルタは、 初期の圧力損失を抑制することができ、 パティキュレー トが蓄積するに従って上昇する圧力損失の上昇率も低いため、 パティキュレート を規定量捕集したときの圧力損失が低くなり、 再生までの期間をトータルで見た ときの圧力損失が低いものである。 また、 実際に、 再生までの捕集量の最大値を 表す再生限界値も、 比較例に比べて大きくなつている。 従って、 再生まで、 パテ ィキュレートを多量に捕捉することが可能となり、 再生までの期間を延長するこ とができる。 また、 アッシュ重量に対して、 アッシュ層の長さが短く、 アッシュ 層に起因する圧力損失も小さいため、 逆洗浄等を必要とするまでの期間も長くな る。