JP3826265B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関から排出される排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタが公知である。こうしたパティキュレートフィルタとしては多孔質の材料からハニカム構造体を形成し、このハニカム構造体の複数の通路(以下、フィルタ通路と称す)のうち幾つかのフィルタ通路をその上流端にて栓で塞ぐと共に残りのフィルタ通路をその下流端にて栓で塞ぎ、パティキュレートフィルタに流入した排気ガスがフィルタ通路を形成している壁(以下、フィルタ隔壁と称す)を必ず通ってパティキュレートフィルタから流出するようにしたものが知られている。このタイプのパティキュレートフィルタが特開平9−94434号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このタイプのパティキュレートフィルタによれば排気ガスは必ずフィルタ隔壁を通り、その後にパティキュレートフィルタから流出するのでパティキュレートフィルタの微粒子捕集率は比較的高い。しかしながらパティキュレートフィルタ本体とは別体の栓を用いてフィルタ通路を閉塞する必要があり、したがって生産性が悪く、コストが高い。また図3(A)に示すように排気ガスの一部が栓に衝突するので排気ガスはフィルタ通路内に流入しづらい。さらに栓近傍からフィルタ通路に流入する排気ガスは該フィルタ通路の入口近傍で乱流となるのでこれによっても排気ガスはフィルタ通路内に流入しづらい。さらに図3(B)に示すようにフィルタ通路の出口近傍においても乱流が形成され、排気ガスが流出しづらい。こうしたことからパティキュレートフィルタの圧損が高い。そこで本発明の目的はパティキュレートフィルタの圧損を低く維持することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための1番目の発明では、排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該隔壁の端部分が端面に向ってテーパ状に狭まる錐形となるように隔壁の端部分同士が部分的に接続されている。
【0005】
2番目の発明では1番目の発明において、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて上流端開口が小孔とされている。
【0006】
2番目の発明では1番目の発明において、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が接続されて該上流端開口が閉塞されている。
【0007】
4番目の発明では1番目の発明において、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて該通路の上流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が接続されて該下流端開口が閉塞されている。
【0008】
5番目の発明では2〜4番目の発明のいずれか1つにおいて、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に微粒子を酸化することができる酸化物質が担持されている。
【0009】
6番目の発明では2〜4番目の発明のいずれか1つにおいて、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多い。
上記課題を解決するための7番目の発明では、排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて上流端開口が小孔とされており、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多い。
上記課題を解決するための8番目の発明では、排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が接続されて該上流端開口が閉塞されており、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多い。
上記課題を解決するための9番目の発明では、排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて該通路の上流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が接続されて該下流端開口が閉塞されており、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多い。
【0010】
10番目の発明では5〜9番目の発明のいずれか1つにおいて、上記隔壁の寄せ集められた端部分の壁面のうち上流側の壁面に担持された酸化物質の量が下流側の壁面に担持された酸化物質の量よりも多い。
【0011】
11番目の発明では5〜10番目の発明のいずれか1つにおいて、パティキュレートフィルタの温度を上昇するための処理を実行するように構成されている。
【0012】
12番目の発明では5〜9番目の発明のいずれか1つにおいて、周囲に過剰酸素が存在するとNOXを取り込んで該NOXを保持し且つ周囲の酸素濃度が低下すると保持しているNOXを放出するNOX吸放出剤をパティキュレートフィルタ上に担持する。
【0013】
13番目の発明では5〜9番目の発明のいずれか1つにおいて、パティキュレートフィルタ上に貴金属触媒を担持した。
【0014】
14番目の発明では13番目の発明において、上記酸化物質が周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取り込んで酸素を保持し且つ周囲の酸素濃度が低下すると保持している酸素を活性酸素の形で放出する活性酸素放出剤であり、該活性酸素放出剤がパティキュレートフィルタ上に微粒子が付着したときに活性酸素を放出させ、放出された活性酸素によりパティキュレートフィルタ上に付着した微粒子を酸化するようにした。
【0015】
15番目の発明では14番目の発明において、上記活性酸素放出剤がアルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類または遷移金属からなる。
【0016】
16番目の発明では15番目の発明において、上記アルカリ金属およびアルカリ土類金属がカルシウムよりもイオン化傾向の高い金属からなる。
【0017】
17番目の発明では14番目の発明において、排気ガスの一部または全体の空燃比を一時的にリッチにすることによりパティキュレートフィルタ上に付着した微粒子を酸化させる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の第1実施例を説明する。図1(A)はパティキュレートフィルタの端面図であり、図1(B)はパティキュレートフィルタの縦断面図である。図1(A)および図1(B)に示したようにパティキュレートフィルタ22はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路50,51を具備する。
【0019】
これら排気流通路はその下流端においてテーパ壁(以下、下流側テーパ壁と称す)52によりその流路断面積がその他の領域の排気流通路の流路断面積よりも小さくされた排気ガス流入通路50と、その上流端においてテーパ壁(以下、上流側テーパ壁と称す)53によりその流路断面積がその他の領域の排気流通路の流路断面積よりも小さくされた排気ガス流出通路51とにより構成される。
【0020】
詳しくは後に説明するが下流側テーパ壁52はパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50を画成する隔壁の下流端隔壁部分を寄せ集めてその一部分同志が接続されることにより形成されている。一方、上流側テーパ壁53はパティキュレートフィルタ22の排気ガス流出通路51を画成する隔壁の上流端隔壁部分を寄せ集めてその一部同志が接続されることにより形成されている。
【0021】
したがって排気流通路のうち一部の排気流通路50はその下流端にて下流側テーパ壁52によりその流路断面積よりも小さい開口面積を有する小孔55を有し、残りの排気通路51はその上流端にて上流側テーパ壁53によりその流路断面積よりも小さい開口面積を有する小孔56を有する。
【0022】
第1実施例ではこれら排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は薄肉の隔壁54を介して交互に配置される。云い換えると排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は各排気ガス流入通路50が4つの排気ガス流出通路51により包囲され、各排気ガス流出通路51が4つの排気ガス流入通路50により包囲されるように配置される。すなわち隣接する2つの排気流通路のうち一方の排気流通路50はその下流端にて下流側テーパ壁52によりその流路断面積が小さくされ、他方の排気流通路51はその上流端にて上流側テーパ壁53によりその流路断面積が小さくされている。
【0023】
パティキュレートフィルタ22は予め定められた平均径の細孔を内包する例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、したがって排気ガス流入通路50内に流入した排気ガスは図1(B)において矢印で示したように周囲の隔壁54の細孔を通って隣接する排気ガス流出通路51内に流入する。もちろんテーパ壁52,53も隔壁54と同じ材料から形成されているので排気ガスは図2(A)に示したように上流側テーパ壁53の細孔を通って排気ガス流出通路51内に流入することができ、また図2(B)に示したように下流側テーパ壁52の細孔を通って流出することができる。
【0024】
また排気ガスは上流側テーパ壁53の先端に形成された小孔56を介しても排気ガス流出通路51内に流入することができ、下流側テーパ壁52の先端の小孔55を介しても流出することができる。
【0025】
なお本発明においてテーパ壁52,53の先端に形成された小孔55,56の大きさはテーパ壁52,53の細孔径よりも大きい。また小孔56,55の大きさはパティキュレートフィルタ22に単位時間当たりに流入する微粒子の量とパティキュレートフィルタ22の微粒子捕集率とから算出されるパティキュレートフィルタ22から流出する微粒子の量が許容量以下となるように決定される。云い換えれば本発明によれば目標とする微粒子捕集率に応じて小孔55,56の大きさを変えることによりパティキュレートフィルタ22の微粒子捕集率と圧損の値とを容易に変更することができる。
【0026】
ところで上流側テーパ壁53は排気ガス流出通路51の流路断面積が徐々に小さくなるように上流へ向かって円錐状に狭まる形状をしている。したがって4つの上流側テーパ壁53により囲まれて形成される排気ガス流入通路50の上流端は排気ガス流入通路50の流路断面積が徐々に大きくなるように上流へ向かって円錐状に広がる形状をしている。これによれば図3(A)に示したように排気ガス流入通路の入口開口が構成されている場合に比べて排気ガスはパティキュレートフィルタに流入しやすい。
【0027】
すなわち図3(A)に示したパティキュレートフィルタでは排気ガス流出通路の上流端が栓72により閉塞される。この場合、73で示したように排気ガスの一部が栓72に衝突するのでパティキュレートフィルタの圧損が大きくなる。また栓72近傍から排気ガス流入通路に流入する排気ガスは74で示したように入口近傍にて乱流となるのでこれによっても排気ガスは排気ガス流入通路内に流入しづらくなる。このためパティキュレートフィルタの圧損がさらに大きくなる。
【0028】
一方、本発明のパティキュレートフィルタ22では図2(A)に示したように排気ガスは乱流となることなく排気ガス流入通路50に流入することができる。このため本発明によれば排気ガスはパティキュレートフィルタ22に流入しやすい。したがってパティキュレートフィルタ22の圧損は低い。
【0029】
さらに図3に示したパティキュレートフィルタでは排気ガス中の微粒子は栓72の上流端面およびその近傍の隔壁の表面に多く堆積しやすい。これは排気ガスが栓72に衝突し、しかも栓72近傍にて排気ガスが乱流となることに起因する。ところが本発明のパティキュレートフィルタ22では上流側テーパ壁53が円錐状であるので排気ガスが強く衝突する上流端面が存在せず、しかも上流端面近傍にて排気ガスは乱流とはならない。したがって本発明によれば微粒子がパティキュレートフィルタ22の上流端の領域に多く堆積することはなく、パティキュレートフィルタ22の圧損が高くなることはない。
【0030】
一方、下流側テーパ壁52は排気ガス流入通路50の流路断面積が徐々に小さくなるように下流へ向かって円錐状に狭まる形状をしている。したがって4つの下流側テーパ壁52により囲まれて形成される排気ガス流出通路51の下流端は排気ガス流出通路51の流路断面積が徐々に大きくなるように下流へ向かって円錐状に広がる形状をしている。これによれば図3(B)に示したように排気ガス流出通路の出口開口が構成されている場合に比べて排気ガスはパティキュレートフィルタから流出しやすい。
【0031】
すなわち図3(B)に示したパティキュレートフィルタでは排気ガス流入通路の下流端が栓70により閉塞され、排気ガス流出通路はその出口開口まで直線的に延びる。この場合、排気ガス流出通路の出口開口から流出した排気ガスの一部が栓70の下流端面に沿って流れ、したがって排気ガス流出通路の出口開口近傍に乱流71が形成される。このように乱流が形成されると排気ガスは排気ガス流出通路から流出しづらくなる。
【0032】
一方、本発明のパティキュレートフィルタ22では図2(B)に示したように排気ガスは乱流となることなく排気ガス流出通路51の端部の出口開口から流出することができる。このため本発明によれば排気ガスはパティキュレートフィルタ22から比較的流出しやすい。したがってこれによってもパティキュレートフィルタ22の圧損が低い値とされる。
【0033】
なおテーパ壁はパティキュレートフィルタ22の外側に向かって徐々に狭くなる形状であれば円錐状以外の形状、例えば四角錐状であってもよい。
【0034】
ところでパティキュレートフィルタの圧損は潜在的に低いほど好ましい。また例えばパティキュレートフィルタが内燃機関に搭載されている場合、内燃機関の運転制御はパティキュレートフィルタの潜在的な圧損を考慮して設計されるので内燃機関の運転中においてパティキュレートフィルタの圧損が高くなって潜在的に達成可能な値からずれると内燃機関全体としてはその性能が低下してしまう。
【0035】
このようにパティキュレートフィルタにおいてはその圧損が潜在的に低く、さらにその使用中においてその圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれないようにすることがその性能上は重要である。
【0036】
そこで本発明によれば上述したようにパティキュレートフィルタの排気流通路の上流端領域を画成する隔壁をテーパ状の壁とすることにより排気ガスが排気流通路に流入するときに乱流となることを防止し、これによりパティキュレートフィルタ22の圧損が潜在的に低くなるようにしている。
【0037】
また上述したようにパティキュレートフィルタ22の排気流通路の上流端領域を画成する隔壁がテーパ状の壁とされていることにより当該テーパ状の壁の壁面には微粒子は堆積しづらくなる。すなわちパティキュレートフィルタ22の使用中においてテーパ状の壁の壁面上に微粒子が堆積して排気流通路に流入する排気ガス流が乱流となってしまうことが抑制されている。これにより本発明によればパティキュレートフィルタ22の使用中において圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0038】
ところで排気ガス中には微粒子以外にも燃料が燃焼した後に残る無機質や不燃性残留物(以下、アッシュと称す)が含まれている。したがってパティキュレートフィルタ22にはこうしたアッシュも流入し、排気ガス流入通路50内にアッシュが堆積する。
【0039】
排気ガス流入通路50内に堆積するアッシュの量(以下、堆積アッシュ量と称す)が多くなるとパティキュレートフィルタ22の圧損が上昇する。上述したようにパティキュレートフィルタ22においてはその使用中において圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれないようにすることがその性能上は重要である。そしてこうするためには堆積アッシュ量を少なくすることが必要であり、これに加えて排気ガス流入通路50内に堆積したアッシュを排除することができれば好ましい。
【0040】
本発明のパティキュレートフィルタ22では下流側テーパ壁52に小孔55が形成されているので排気ガス流入通路50に流入したアッシュは小孔55を介して流出することができる。このため排気ガス流入通路50内にアッシュが堆積することが抑制されるのでパティキュレートフィルタ22の圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0041】
また排気ガス流入通路50内に堆積しているアッシュの量が多くなると下流側テーパ壁52の小孔55および上流側テーパ壁53の小孔56を介して流出する排気ガスの量が多くなる。したがって排気ガス流入通路50内に新たに堆積するアッシュの量が少なくなるのでパティキュレートフィルタ22の圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0042】
さらに排気ガス流入通路50内に堆積しているアッシュや微粒子の量が多くなって排気ガス流入通路50内の圧力が増大するとその圧力により排気ガス流入通路50内に堆積しているアッシュが下流領域へと移動せしめられ、最終的には小孔55から排出される。したがってパティキュレートフィルタ22の圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。また排気ガス流入通路50内に堆積しているアッシュが排気ガス流入通路50内の圧力によりパティキュレートフィルタ22から排出されるので本実施例によればアッシュをパティキュレートフィルタ22から排出するための特別な処理を実行する必要が少なくなる。
【0043】
さらに排気ガス流入通路50内に堆積しているアッシュや微粒子の量が多くなると排気ガスは隔壁54を通過しづらくなり、したがって排気ガス流入通路50内の圧力は高くなる。このとき下流側テーパ壁52の小孔55および上流側テーパ壁53の小孔56から流入する排気ガスの量が多くなる。したがって排気ガス流入通路50内の圧力が高くなったとしてもパティキュレートフィルタ22の圧損が潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0044】
またパティキュレートフィルタ22内に多量の微粒子が堆積されるとこれら微粒子が一気に燃焼したときにその燃焼熱によりパティキュレートフィルタ22が溶損する可能性がある。しかしながら本発明によればパティキュレートフィルタ22内に多量の微粒子が堆積されることはないのでパティキュレートフィルタ22が微粒子の燃焼熱により溶損せしめられることが抑制される。
【0045】
次にパティキュレートフィルタの製造方法について簡単に説明する。始めにコージライトなどの多孔質材料から図4に示したような円筒形のハニカム構造体80が押出成形される。次に図5に示した型90がハニカム構造体80の端面に押し付けられる。
【0046】
図5(A)に示したように型90は円錐状の複数の突起91を有する。図5(B)には1つの突起91を示した。型90は所定の排気流通路それぞれに突起91が挿入されるようにしてハニカム構造体80の端面に押し付けられる。このとき所定の排気流通路を形成する隔壁の端部分が寄せ集められて当該端部分同志が部分的に接続され、テーパ壁と小孔とが形成される。
【0047】
次いでハニカム構造体が乾燥せしめられる。次いでハニカム構造体が焼成せしめられる。こうしてパティキュレートフィルタ22が形成される。
【0048】
上述したようにパティキュレートフィルタ22の排気流通路の端部は隔壁54と同じ多孔質材料にて構成されたテーパ壁52,53によって狭くされている。したがってパティキュレートフィルタ22の排気流通路50,51の端部を狭くすることは上述したようにハニカム構造体80の端面に型90を押し付けるという極めて簡単な方法により達成される。
【0049】
なお型90をハニカム構造体80の端面に押し付ける工程はハニカム構造体が乾燥せしめられた後に実行されてもよい。あるいはハニカム構造体80が焼成された後にハニカム構造体80の端部分を軟化し、その後、この軟化せしめられた端部分に型90を押し付けるようにしてもよい。なおこの場合にはその後にハニカム構造体80の端部分が再び焼成される。
【0050】
ところで上述したように本発明のパティキュレートフィルタ22においてはその使用中において上流側テーパ壁53に微粒子は堆積しづらい。とはいえ上流側テーパ壁53に微粒子が堆積することもありうる。この場合、パティキュレートフィルタ22の使用中においてその圧損が高くなってしまう。上述したようにパティキュレートフィルタ22においてはその使用中において圧損が潜在的に達成可能な値から大きくずれないようにすることがその性能上は重要である。そしてパティキュレートフィルタ22の圧損がその使用中において微粒子の堆積により潜在的に達成可能な値から大きくずれないようにするためにはパティキュレートフィルタ22から微粒子を排除する必要がある。
【0051】
そこで本発明では上流側テーパ壁53に微粒子を酸化除去することができる酸化物質を担持させ、上流側テーパ壁53に堆積した微粒子を酸化除去するようにする。これによれば上流側テーパ壁53に捕集された微粒子は継続的に酸化除去されるので上流側テーパ壁53上に多量の微粒子が堆積することはない。したがってパティキュレートフィルタ22の使用中において圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0052】
このように本発明によればパティキュレートフィルタ22の圧損を潜在的に低くするために排気ガス流出通路51の上流端をテーパ状の多孔質の壁とするという構成から特有に生じる問題、すなわちパティキュレートフィルタ使用中において圧損が達成可能な値から大きくずれるという問題が回避される。
【0053】
なお本実施例では酸化物質はパティキュレートフィルタ22全体、すなわち上流側テーパ壁53のみならず隔壁54および下流側テーパ壁52にも担持される。また酸化物質は上流側テーパ壁53、下流側テーパ壁52、および隔壁54の壁面のみならずその内部の細孔壁にも担持される。また本実施例では単位体積当たりに上流側テーパ壁53に担持させる酸化物質の量は単位体積当たりに隔壁54および下流側テーパ壁52に担持させる酸化物質の量よりも多くされる。
【0054】
ところでパティキュレートフィルタ22のテーパ壁52,53は排気ガスの流れに対する向きの理由から隔壁54に比べて排気ガスを通しやすい。すなわち単位面積当たりのテーパ壁52,53を通過する排気ガス量は単位面積当たりの隔壁54を通過する排気ガス量よりも多い。したがって堆積する可能性のある微粒子の量は隔壁54よりもテーパ壁52,53のほうが多く、テーパ壁52,53は隔壁54よりも微粒子により閉塞されやすい。
【0055】
そこで単位体積当たりにテーパ壁52,53に担持させる酸化物質の量は単位体積当たりに隔壁54に担持させる酸化物質の量よりも多くされる。これによればテーパ壁52,53において単位時間当たりに酸化除去可能な微粒子量が隔壁54において単位時間当たりに酸化除去可能な微粒子量よりも多くなる。したがってテーパ壁52,53に微粒子が多量に堆積することが防止される。
【0056】
またテーパ壁52,53に酸化物質を多く担持させることにより若干ではあるがテーパ壁52,53を排気ガスが通過しづらくなる。このため排気ガスはテーパ壁52,53と隔壁54とを比較的均等に通過するようになる。斯くしてテーパ壁52,53に微粒子が多量に堆積することが防止される。しかもこれによればパティキュレートフィルタ22のテーパ壁52,53と隔壁54とが微粒子の捕集のために効率良く利用される。
【0057】
ところで微粒子はテーパ壁52,53の壁面のうち上流側の壁面に多く堆積する。すなわちテーパ壁52,53はその下流側の壁面よりも上流側の壁面のほうが閉塞されやすい。そこで単位体積当たりにテーパ壁52,53に担持させる酸化物質の量が下流側の壁面よりも上流側の壁面のほうが多くされる。これによればテーパ壁52,53の細孔が微粒子により閉塞されることが防止される。
【0058】
次にパティキュレートフィルタ22に担持される酸化物質について詳細に説明する。第1実施例では各排気ガス流入通路50および各排気ガス流出通路51の周壁面、すなわち各隔壁54の両側表面上、テーパ壁52,53の両側表面上、に全面に亘って例えばアルミナからなる担体の層が形成されており、この担体上に貴金属触媒と、周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取り込んで酸素を保持し且つ周囲の酸素濃度が低下すると保持している酸素を活性酸素の形で放出する活性酸素放出剤とが担持されている。第1実施例の酸化物質はこの活性酸素放出剤である。
【0059】
第1実施例では貴金属触媒として白金Ptが用いられており、活性酸素放出剤としてカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRbのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCa、ストロンチウムSrのようなアルカリ土類金属、ランタンLa、イットリウムY、セリウムCeのような希土類、鉄Feのような遷移金属、およびスズSnのような炭素族元素から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
【0060】
なお活性酸素放出剤としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属またはアルカリ土類金属、すなわちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましい。
【0061】
次にパティキュレートフィルタ22による排気ガス中の微粒子除去作用について担体上に白金PtおよびカリウムKを担持させた場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属を用いても同様な微粒子除去作用が行われる。
【0062】
例えばパティキュレートフィルタ22に流入する排気ガスが空気過剰のもとで燃焼が行われる圧縮着火式内燃機関から排出されるガスであるとして説明するとパティキュレートフィルタ22に流入する排気ガスは多量の過剰空気を含んでいる。すなわち吸気通路および燃焼室5内に供給された空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると圧縮着火式内燃機関では排気ガスの空燃比はリーンとなっている。また圧縮着火式内燃機関の燃焼室内ではNOが発生するので排気ガス中にはNOが含まれている。また燃料中には硫黄成分Sが含まれており、この硫黄成分Sは燃焼室内で酸素と反応してSO2となる。したがって排気ガス中にはSO2が含まれている。このため過剰酸素、NOおよびSO2を含んだ排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内に流入することになる。
【0063】
図6(A)および(B)は排気ガス流入通路50の内周面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表わしている。なお図6(A)および(B)において60は白金Ptの粒子を示しており、61はカリウムKを含んでいる活性酸素放出剤を示している。
【0064】
上述したように排気ガス中には多量の過剰酸素が含まれているので排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内に流入すると図6(A)に示したようにこれら酸素O2がO2 -またはO2-の形で白金Ptの表面に付着する。一方、排気ガス中のNOは白金Ptの表面上でO2 -またはO2-と反応し、NO2となる(2NO+O2→2NO2)。次いで生成されたNO2の一部は白金Pt上で酸化されつつ活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら図6(A)に示したように硝酸イオンNO3 -の形で活性酸素放出剤61内に拡散し、硝酸カリウムKNO3を生成する。
【0065】
一方、上述したように排気ガス中にはSO2も含まれており、このSO2もNOと同様なメカニズムにより活性酸素放出剤61内に吸収される。すなわち上述したように酸素O2がO2 -またはO2-の形で白金Ptの表面に付着しており、排気ガス中のSO2は白金Ptの表面でO2 -またはO2-と反応してSO3となる。次いで生成されたSO3の一部は白金Pt上でさらに酸化されつつ活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら硫酸イオンSO4 2-の形で活性酸素放出剤61内に拡散し、硫酸カリウムK2SO4を生成する。このようにして活性酸素放出剤61内には硝酸カリウムKNO3および硫酸カリウムK2SO4が生成される。
【0066】
一方、燃焼室5内においては主にカーボンCからなる微粒子が生成され、したがって排気ガス中にはこれら微粒子が含まれている。排気ガス中に含まれているこれら微粒子は排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内を流れているとき、或いは排気ガス流入通路50から排気ガス流出通路51に向かうときに図6(B)において62で示したように担体層の表面、例えば活性酸素放出剤61の表面上に接触し、付着する。
【0067】
このように微粒子62が活性酸素放出剤61の表面上に付着すると微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面では酸素濃度が低下する。酸素濃度が低下すると酸素濃度の高い活性酸素放出剤61内との間で濃度差が生じ、斯くして活性酸素放出剤61内の酸素が微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向けて移動しようとする。その結果、活性酸素放出剤61内に形成されている硝酸カリウムKNO3がカリウムKと酸素OとNOとに分解され、酸素Oが微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かい、その一方でNOが活性酸素放出剤61から外部に放出される。外部に放出されたNOは下流側の白金Pt上において酸化され、再び活性酸素放出剤61内に吸収される。
【0068】
またこのとき活性酸素放出剤61内に形成されている硫酸カリウムK2SO4もカリウムKと酸素OとSO2とに分解され、酸素Oが微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かい、その一方でSO2が活性酸素放出剤61から外部に放出される。外部に放出されたSO2は下流側の白金Pt上において酸化され、再び活性酸素放出剤61内に吸収される。ただし硫酸カリウムK2SO4は安定で分解しづらいので硫酸カリウムK2SO4は硝酸カリウムKNO3よりも活性酸素を放出しづらい。
【0069】
また活性酸素放出剤61は上述したようにNOXを硝酸イオンNO3 -の形で吸収するときにも酸素との反応過程において活性な酸素を生成し放出する。同様に活性酸素放出剤61は上述したようにSO2を硫酸イオンSO4 2-の形で吸収するときにも酸素との反応過程において活性な酸素を生成し放出する。
【0070】
ところで微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かう酸素Oは硝酸カリウムKNO3や硫酸カリウムK2SO4のような化合物から分解された酸素である。化合物から分解された酸素Oは高いエネルギを有しており、極めて高い活性を有する。したがって微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かう酸素は活性酸素Oとなっている。同様に活性酸素放出剤61におけるNOXと酸素との反応過程、或いはSO2と酸素との反応過程にて生成される酸素も活性酸素となっている。これら活性酸素Oが微粒子62に接触すると微粒子62は短時間(数秒〜数十分)のうちに輝炎を発することなく酸化せしめられ、微粒子62は完全に消滅する。したがって微粒子62がパティキュレートフィルタ22上に堆積することはほとんどない。
【0071】
従来のようにパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積した微粒子が燃焼せしめられるときにはパティキュレートフィルタ22が赤熱し、火炎を伴って燃焼する。このような火炎を伴う燃焼は高温でないと持続せず、したがってこのような火炎を伴なう燃焼を持続させるためにはパティキュレートフィルタ22の温度を高温に維持しなければならない。
【0072】
これに対して本発明では微粒子62は上述したように輝炎を発することなく酸化せしめられ、このときパティキュレートフィルタ22の表面が赤熱することもない。すなわち云い換えると本発明では従来に比べてかなり低い温度でもって微粒子62が酸化除去せしめられている。したがって本発明による輝炎を発しない微粒子62の酸化による微粒子除去作用は火炎を伴う従来の燃焼による微粒子除去作用と全く異なっている。
【0073】
ところで白金Ptおよび活性酸素放出剤61はパティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど活性化するのでパティキュレートフィルタ22上において単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量はパティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど増大する。
【0074】
図8の実線は単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量Gを示している。なお図8において横軸はパティキュレートフィルタ22の温度TFを示している。単位時間当りにパティキュレートフィルタ22に流入する微粒子の量を流入微粒子量Mと称するとこの流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子Gよりも少ないとき、すなわち図8の領域Iにあるときにはパティキュレートフィルタ22に流入した全ての微粒子がパティキュレートフィルタ22に接触すると短時間(数秒から数十分)のうちにパティキュレートフィルタ22上において輝炎を発することなく酸化除去せしめられる。
【0075】
これに対して流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多いとき、すなわち図8の領域IIにあるときには全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している。図7(A)〜(C)はこのような場合の微粒子の酸化の様子を示している。すなわち全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している場合には図7(A)に示したように微粒子62が活性酸素放出剤61上に付着すると微粒子62の一部のみが酸化され、十分に酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留する。次いで活性酸素量が不足している状態が継続すると次から次へと酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留し、その結果、図7(B)に示したように担体層の表面が残留微粒子部分63により覆われるようになる。
【0076】
担体層の表面が残留微粒子部分63により覆われると白金PtによるNO,SO2の酸化作用および活性酸素放出剤61による活性酸素の放出作用が行われなくなるために残留微粒子部分63は酸化されることなくそのまま残り、斯くして図7(C)に示したように残留微粒子部分63の上に別の微粒子64が次から次へと堆積する。すなわち微粒子が積層状に堆積することになる。
【0077】
このように微粒子が積層状に堆積すると微粒子64はもはや活性酸素Oにより酸化されることがなく、したがってこの微粒子64上にさらに別の微粒子が次から次へと堆積する。すなわち流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多い状態が継続するとパティキュレートフィルタ22上には微粒子が積層状に堆積し、斯くして排気ガス温を高温にするか、或いはパティキュレートフィルタ22の温度を高温にしない限り、堆積した微粒子を着火燃焼させることができなくなる。
【0078】
このように図8の領域Iでは微粒子はパティキュレートフィルタ22上において輝炎を発することなく短時間のうちに酸化せしめられ、図8の領域IIでは微粒子がパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積する。したがって微粒子がパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積しないようにするためには流入微粒子量Mが常時、酸化除去可能微粒子量Gよりも少ない必要がある。
【0079】
図8から判るように本発明の実施例で用いられているパティキュレートフィルタ22ではパティキュレートフィルタ22の温度TFがかなり低くても微粒子を酸化させることが可能であり、したがって流入微粒子量Mおよびパティキュレートフィルタ22の温度TFは流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも常時、少なくなるように維持されている。
【0080】
このように流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも常時、少ないとパティキュレートフィルタ22上に微粒子がほとんど堆積せず、斯くして背圧がほとんど上昇しない。
【0081】
一方、前述したようにいったん微粒子がパティキュレートフィルタ22上において積層状に堆積するとたとえ流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなったとしても活性酸素Oにより微粒子を酸化させることは困難である。しかしながら酸化されなかった微粒子部分が残留し始めているとき、すなわち微粒子が一定限度以下しか堆積していないときに流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるとこの残留微粒子部分は活性酸素Oにより輝炎を発することなく酸化除去される。
【0082】
次に本発明の第2実施例のパティキュレートフィルタについて説明する。図9に第2実施例のパティキュレートフィルタを示した。図9(A)はパティキュレートフィルタの端面図であり、図9(B)はパティキュレートフィルタの縦断面図である。第2実施例のパティキュレートフィルタ22の構成は第1実施例のパティキュレートフィルタの構成と基本的に同一である。したがって以下において説明していない第2実施例の構成および作用は第1実施例のそれと同様である。
【0083】
第2実施例のパティキュレートフィルタ22では下流側テーパ壁52の先端には第1実施例の下流側テーパ壁52と同様に小孔55が形成されている。しかしながら上流側テーパ壁53の先端には小孔は形成されていない。すなわち排気ガス流出通路51は上流側テーパ壁53により完全に閉塞されている。したがって第2実施例のパティキュレートフィルタ22の微粒子捕集率は第1実施例のそれよりも高い。
【0084】
第2実施例においては排気ガス流入通路50内にアッシュや微粒子が堆積して排気ガスが隔壁54を通過しづらくなったとしても、排気ガス流入通路50内に新たに流入した排気ガスは小孔55を介してパティキュレートフィルタ22から流出することができる。したがって本実施例によればパティキュレートフィルタ22の圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0085】
また第2実施例においては排気ガス流入通路50内に堆積しているアッシュや微粒子の量が多くなって排気ガス流入通路50内の圧力が上昇するとその圧力によりアッシュは小孔55を介してパティキュレートフィルタ22から排出される。したがって本実施例によればパティキュレートフィルタ22内に堆積しているアッシュの量が常に少なく維持されるのでアッシュをパティキュレートフィルタ12から排除するための特別な処理をする必要が少ない。
【0086】
さらに第2実施例においては排気ガス流入通路50内に堆積している微粒子の量が多くなって排気ガスが隔壁54を通過しづらくなると排気ガス流入通路50内に新たに流入する微粒子は小孔55を介してパティキュレートフィルタ22から流出する。すなわちパティキュレートフィルタ22内に堆積している微粒子の量は或る一定量以下に維持されている。これによれば多量の微粒子がパティキュレートフィルタ22内にて一気に燃焼することがなく、したがって微粒子の燃焼熱によりパティキュレートフィルタ22が溶損することが抑制される。
【0087】
さらに第2実施例のパティキュレートフィルタ22には酸化物質が担持されているので堆積微粒子は徐々に酸化除去される。したがって堆積微粒子量が多くなって微粒子がパティキュレートフィルタ22に捕集されることなく流出し始め、結果的にパティキュレートフィルタ22に新たに捕集される微粒子の量(以下、捕集微粒子量と称す)が少なくなったときにも堆積微粒子は酸化物質により酸化除去され続けている。このように堆積微粒子が酸化除去されれば捕集微粒子量が増大し、微粒子はパティキュレートフィルタ22に捕集されるので結果的にはパティキュレートフィルタ22に捕集されずにそこから流出する微粒子の量は少ない。
【0088】
なお排気ガス流入通路50内に堆積したアッシュが排気ガス流入通路50内に圧力によりパティキュレートフィルタ22から排出される直前においては排気ガス流入通路50内に圧力が一時的に高くなることがある。第1実施例によればこのときパティキュレートフィルタ22に新たに到来する排気ガスは上流側テーパ壁53の小孔56を介して排気ガス流出通路51を通り、パティキュレートフィルタ22から流出するので排気ガス流入通路50内の圧力がこれ以上高くなることはない。
【0089】
しかしながら第2実施例ではアッシュがパティキュレートフィルタ22から排出されるまでは排気ガス流入通路50内の圧力、すなわちパティキュレートフィルタ22の圧損が一時的にではあるが高くなり続ける可能性がある。したがって第2実施例のパティキュレートフィルタはその圧損が一時的に高くなったとしてもパティキュレートフィルタ22の性能上問題ない場合、或いはより高い微粒子捕集率が要求されている場合に有効である。
【0090】
また第1実施例に関連して説明した製造方法を利用して排気ガス流出通路51を上流側テーパ壁53により完全に閉塞するためには型90をハニカム構造体80の上流側の端面に押し付ける程度を大きくすればよい
次に本発明の第3実施例のパティキュレートフィルタについて説明する。図10に第3実施例のパティキュレートフィルタを示した。図10(A)はパティキュレートフィルタの端面図であり、図10(B)はパティキュレートフィルタの縦断面図である。第3実施例のパティキュレートフィルタ22の構成は第1実施例のパティキュレートフィルタの構成と基本的に同一である。したがって以下では第1実施例のパティキュレートフィルタの構成とは異なる構成のみについて説明する。
【0091】
第3実施例のパティキュレートフィルタ22では上流側テーパ壁53の先端には第1実施例の上流側テーパ壁52を同様に小孔56が形成されている。しかしながら下流側テーパ壁52の先端には小孔は形成されていない。すなわち排気ガス流入通路50は下流側テーパ壁52により完全に閉塞されている。したがって第3実施例のパティキュレートフィルタ22の微粒子捕集率は第1実施例のそれよりも高い。
【0092】
第3実施例においては排気ガス流入通路50内にアッシュや微粒子が堆積して排気ガスが隔壁54を通過しづらくなったとしても、パティキュレートフィルタ22に新たに到来する排気ガスは上流側テーパ壁53の小孔56を介してパティキュレートフィルタ22から流出することができる。したがって本実施例によればパティキュレートフィルタの圧損が高くなったとしても潜在的に達成可能な値から大きくずれることが抑制される。
【0093】
また第3実施例においては上述したように排気ガス流入通路50内にアッシュや微粒子が堆積して排気ガスが隔壁54を通過しづらくなると上流側テーパ壁53の小孔56を介してパティキュレートフィルタ22から流出する排気ガスの量が多くなる。すなわちパティキュレートフィルタ22に新たに到来するアッシュの一部が上流側テーパ壁53の小孔56を介してパティキュレートフィルタ22から排出される。したがって排気ガス流入通路50内に堆積するアッシュの量が許容量以上になるまでにかかる時間が長くなるのでパティキュレートフィルタ22内に堆積したアッシュを排除するための特別な処理をする必要が少なくなる。
【0094】
さらに第3実施例においては上述したように排気ガス流入通路50内にアッシュや微粒子が堆積して排気ガスが隔壁54を通過しづらくなると上流側テーパ壁53の小孔56を介してパティキュレートフィルタ22から流出する排気ガスの量が多くなる。すなわちパティキュレートフィルタ22に新たに到来する微粒子の一部が上流側テーパ壁53の小孔56を介してパティキュレートフィルタ22から排出される。したがって排気ガス流入通路50内に堆積する微粒子の量が許容量以上になるまでにかかる時間が長くなるのでパティキュレートフィルタ22が微粒子の燃焼熱により溶損せしめられる可能性が低減される。
【0095】
もちろん第3実施例のパティキュレートフィルタ22には酸化物質が担持されているので排気ガス流入通路50内に堆積する微粒子の量が許容量以上となるまでにかかる時間が長ければそれまでに微粒子は酸化物質により酸化除去されるので結局のところ堆積微粒子量が許容量以上となることが抑制される。
【0096】
なお第3実施例のパティキュレートフィルタ22は排気ガス中のアッシュの量が極めて少なく且つ潜在的な圧損が第1実施例における潜在的な圧損よりも高くてもパティキュレートフィルタ22の性能上問題ない場合、或いはより高い微粒子捕集率が要求されている場合に有効である。
【0097】
また第1実施例に関連して説明した製造方法を利用して排気ガス流入通路50を下流側テーパ壁52により完全に閉塞するためには型90をハニカム構造体80の下流側の端面に押し付ける程度を大きくすればよい。
【0098】
最後に上述したパティキュレートフィルタ22を内燃機関に搭載したときの内燃機関の制御について説明する。図11は本発明のパティキュレートフィルタ22を搭載した圧縮着火式内燃機関を示している。なお本発明のパティキュレートフィルタは火花点火式内燃機関にも搭載可能である。
【0099】
図11を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
【0100】
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、さらに吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図11に示した内燃機関では冷却装置18内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水により吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口は排気管20aを介してパティキュレートフィルタ22を内蔵したケーシング23に連結される。
【0101】
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGR)通路24を介して互いに連結され、EGR通路24内には電気制御式EGR制御弁25が配置される。またEGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26が配置される。図11に示した内燃機関では冷却装置26内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。
【0102】
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28から燃料が供給され、コモンレール27内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29が取り付けられ、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量が制御される。
【0103】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31により互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。燃料圧センサ29の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。またパティキュレートフィルタ22にはパティキュレートフィルタ22の温度を検出するための温度センサ39が取り付けられ、この温度センサ39の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0104】
アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25、および燃料ポンプ28に接続される。
【0105】
ところで上述したようにいったん微粒子がパティキュレートフィルタ22上において積層状に堆積するとたとえ流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなったとしても活性酸素Oにより微粒子を酸化させることは困難である。特に機関始動直後はパティキュレートフィルタ22の温度TFは低く、したがってこのときには流入微粒子量Mのほうが酸化除去可能微粒子量Gよりも多くなる。
【0106】
しかしながら酸化されなかった微粒子部分が残留し始めているとき、すなわち微粒子が一定限度以下しか堆積していないときに流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるとこの残留微粒子部分は活性酸素Oにより輝炎を発することなく酸化除去される。
【0107】
したがって流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも通常少なくなり、かつ流入微粒子量Mが一時的に酸化除去可能微粒子量Gより多くなったとしても図7(B)に示したように担体層の表面が残留微粒子部分63により覆われないように、すなわち流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gより少なくなったときに酸化除去しうる一定限度以下の量の微粒子しかパティキュレートフィルタ22上に積層しないように流入微粒子量Mおよびパティキュレートフィルタ22の温度TFを維持する。
【0108】
ところがこのように流入微粒子量Mおよびパティキュレートフィルタ22の温度TFを制御していたとしてもパティキュレートフィルタ22上に微粒子が積層状に堆積する場合がある。このような場合には排気ガスの一部または全体の空燃比を一時的にリッチにすることによりパティキュレートフィルタ22上に堆積した微粒子を輝炎を発することなく酸化させることができる。
【0109】
すなわち排気ガスの空燃比がリーンである状態が一定期間に亘って継続すると白金Pt上に酸素が多量に付着し、このために白金Ptの触媒作用が低下してしまう。ところが排気ガスの空燃比をリッチにして排気ガス中の酸素濃度を低下させると白金Ptから酸素が除去され、斯くして白金Ptの触媒作用が回復する。これにより排気ガスの空燃比をリッチにすると活性酸素放出剤61から外部に活性酸素Oが一気に放出されやすくなる。斯くして一気に放出された活性酸素Oにより堆積している微粒子が酸化されやすい状態に変質せしめられると共に微粒子が活性酸素により輝炎を発することなく燃焼除去される。斯くして排気ガスの空燃比をリッチとすると全体として酸化除去可能微粒子量Gが増大する。
【0110】
なおこの場合、パティキュレートフィルタ22上において微粒子が積層状に堆積したときに排気ガスの空燃比をリッチにしてもよいし、微粒子が積層状に堆積しているか否かに係わらず周期的に排気ガスの空燃比をリッチにしてもよい。
【0111】
排気ガスの空燃比をリッチにする方法としては例えば機関負荷が比較的低いときにEGR率(EGRガス量/(吸入空気量+EGRガス量))が65パーセント以上となるようにスロットル弁17の開度およびEGR制御弁25の開度を制御し、このとき燃焼室5内における平均空燃比がリッチになるように噴射量を制御する方法を用いることができる。
【0112】
ところで上述したようにパティキュレートフィルタ22に酸化除去することができないほど微粒子が堆積したときに排気ガスの空燃比をリッチにすることにより微粒子を酸化除去するようにしている場合、第1実施例のパティキュレートフィルタ22はその上流領域への炭化水素の付着が防止されるという点で優れている。すなわち排気ガスの空燃比をリッチとすると炭化水素がパティキュレートフィルタ22に流入する。このときパティキュレートフィルタ22には上流側ほど炭化水素が付着しやすい。
【0113】
ここでパティキュレートフィルタ22は上流領域ほどその温度が低いので付着した炭化水素は消費されずらく、徐々に堆積してしまう傾向にある。ところが本発明ではパティキュレートフィルタ22の上流領域の部分に多くの酸化物質が担持されているので炭化水素は堆積することなく良好に消費される。斯くしてパティキュレートフィルタ22の上流領域が炭化水素により閉塞されることが防止される。
【0114】
以上説明した内燃機関の運転制御ルーチンの一例を図12に示した。図12を参照するとまず初めにステップ100において燃焼室5内の平均空燃比をリッチにすべきか否かが判別される。燃焼室5内の平均空燃比をリッチにする必要がないときには流入微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるようにステップ101においてスロットル弁17の開度が制御され、ステップ102においてEGR制御弁25の開度が制御され、ステップ103において燃料噴射量が制御される。
【0115】
一方、ステップ100において燃焼室5内の平均空燃比をリッチにすべきであると判別されたときにはEGR率が65パーセント以上になるようにステップ104においてスロットル弁17の開度が制御され、ステップ105においてEGR制御弁25の開度が制御され、燃焼室5内の平均空燃比がリッチとなるようにステップ106において燃料噴射量が制御される。
【0116】
ところで燃料や潤滑油はカルシウムCaを含んでおり、したがって排気ガス中にカルシウムCaが含まれている。このカルシウムCaはSO3が存在すると硫酸カルシウムCaSO4を生成する。この硫酸カルシウムCaSO4は固体であって高温になっても熱分解しない。したがって硫酸カルシウムCaSO4が生成されるとこの硫酸カルシウムCaSO4によってパティキュレートフィルタ22の細孔が閉塞されてしまい、その結果、排気ガスがパティキュレートフィルタ22内を流れづらくなる。
【0117】
この場合、活性酸素放出剤61としてカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばカリウムKを用いると活性酸素放出剤61内に拡散するSO3はカリウムKと結合して硫酸カリウムK2SO4を形成し、カルシウムCaはSO3と結合することなくパティキュレートフィルタ22の隔壁54を通過して排気ガス流出通路51内に流出する。したがってパティキュレートフィルタ22の細孔が目詰まりすることがなくなる。したがって前述したように活性酸素放出剤61としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属またはアルカリ土類金属、すなわちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましいことになる。
【0118】
また本発明はパティキュレートフィルタ22の両側面上に形成された担体の層上に白金Ptのような貴金属のみを担持した場合にも適用することができる。ただしこの場合には酸化除去可能微粒子量Gを示す実線は図8に示す実線に比べて若干、右側に移動する。この場合には白金Ptの表面上に保持されるNO2またはSO3から活性酸素が放出される。
【0119】
また活性酸素放出剤としてNO2またはSO3を吸着保持し、これら吸着されたNO2またはSO3から活性酸素を放出しうる触媒を用いることもできる。
【0120】
【発明の効果】
本発明によればパティキュレートフィルタの通路は隔壁の端部分が寄せ集められてこの端部分同志が部分的に接続されることによりその流路断面積が小さくされている。このように通路の端部が寄せ集められた隔壁の端部分により画成されていることにより排気ガスは乱流を生じることなく通路内に流入し、或いは通路から流出するのでパティキュレートフィルタの圧損は低い。
【0121】
さらに本発明によれば通路の端部には小孔が存在するのでパティキュレートフィルタ内に堆積している微粒子やアッシュの量が多くなるとパティキュレートフィルタに新たに到来する微粒子やアッシュはこの小孔を介してパティキュレートフィルタから排出される。したがってこのことからもパティキュレートフィルタの圧損は低い値に維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパティキュレートフィルタを示す図である。
【図2】本発明のパティキュレートフィルタの一部を示す図である。
【図3】従来のパティキュレートフィルタを示す図である。
【図4】ハニカム構造体を示す図である。
【図5】型を示す図である。
【図6】微粒子の酸化作用を説明するための図である。
【図7】微粒子の堆積作用を説明するための図である。
【図8】酸化除去可能微粒子量とパティキュレートフィルタの温度との関係を示す図である。
【図9】第2実施例のパティキュレートフィルタを示す図である。
【図10】第3実施例のパティキュレートフィルタを示す図である。
【図11】本発明のパティキュレートフィルタを搭載した内燃機関を示す図である。
【図12】機関の運転を制御するためのフローチャートである。
【符号の説明】
22…パティキュレートフィルタ
50,51…排気流通路
52,53…テーパ壁

Claims (17)

  1. 排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該隔壁の端部分が端面に向ってテーパ状に狭まる錐形となるように隔壁の端部分同士が部分的に接続されていることを特徴とする排気浄化装置。
  2. 複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて上流端開口が小孔とされていることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が接続されて該上流端開口が閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  4. 複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて該通路の上流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が接続されて該下流端開口が閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  5. 上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に微粒子を酸化することができる酸化物質が担持されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  6. 微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  7. 排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて上流端開口が小孔とされており、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多いことを特徴とする排気浄化装置。
  8. 排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が部分的に接続されて該通路の下流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部 分が寄せ集められて該上流端部分同士が接続されて該上流端開口が閉塞されており、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多いことを特徴とする排気浄化装置。
  9. 排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されている排気浄化装置において、上記通路の端部開口が隔壁の細孔の細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、複数の通路を具備し、これら通路のうち一部の通路においては該通路を画成する隔壁の上流端部分が寄せ集められて該上流端部分同士が部分的に接続されて該通路の上流端開口が小孔とされ、残りの通路においては該通路を画成する隔壁の下流端部分が寄せ集められて該下流端部分同士が接続されて該下流端開口が閉塞されており、微粒子を酸化することができる酸化物質が隔壁に担持されており、上記隔壁の寄せ集められた上流端部分に担持されている酸化物質の量が上記隔壁の寄せ集められた下流端部分に担持されている酸化物質の量よりも多いことを特徴とする排気浄化装置。
  10. 上記隔壁の寄せ集められた端部分の壁面のうち上流側の壁面に担持された酸化物質の量が下流側の壁面に担持された酸化物質の量よりも多いことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  11. パティキュレートフィルタの温度を上昇するための処理を実行するように構成されていることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  12. 周囲に過剰酸素が存在するとNO X を取り込んで該NO X を保持し且つ周囲の酸素濃度が低下すると保持しているNO X を放出するNO X 吸放出剤をパティキュレートフィルタ上に担持することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  13. パティキュレートフィルタ上に貴金属触媒を担持したことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  14. 上記酸化物質が周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取り込んで酸素を保持し且つ周囲の酸素濃度が低下すると保持している酸素を活性酸素の形で放出する活性酸素放出剤であり、該活性酸素放出剤がパティキュレートフィルタ上に微粒子が付着したときに活性酸素を放出させ、放出された活性酸素によりパティキュレートフィルタ上に付着した微粒子を酸化するようにしたことを特徴とする請求項13に記載の排気浄化装置。
  15. 上記活性酸素放出剤がアルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類または遷移金属からなることを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
  16. 上記アルカリ金属およびアルカリ土類金属がカルシウムよりもイオン化傾向の高い金属からなることを特徴とする請求項15に記載の排気浄化装置。
  17. 排気ガスの一部または全体の空燃比を一時的にリッチにすることによりパティキュレートフィルタ上に付着した微粒子を酸化させるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
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