JP3851243B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−53442号公報に、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化するための排気浄化装置が開示されている。ここでの排気浄化装置は、排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化してNO2(二酸化窒素)に酸化するための酸化触媒と、排気ガス中の煤を捕集するためのパティキュレートフィルタ(以下、更に、フィルタと称す)と、排気ガス中のNOxを吸収するためのNOx吸収剤とを機関排気通路内に具備する。そして、酸化触媒が最も上流に配置されており、その下流にフィルタが配置されており、さらにその下流にNOx吸収剤が配置されている。すなわち、これら酸化触媒、フィルタ、および、NOx吸収剤は、直列的に機関排気通路内に配置されている。
【0003】
ところで、上記公報に記載されている排気浄化装置では、酸化触媒とフィルタとNOx吸収剤とが離れて配置されていることから、排気浄化装置全体が大型化してしまい、車両への搭載性が優れているとは言えない。また、酸化触媒において酸化反応を生じさせ、この酸化反応によって生じる熱をフィルタに伝達する必要がある場合、これら酸化触媒とフィルタとが離れていることから、フィルタに対する酸化触媒からの熱伝達が低い。
【0004】
そこで、車両への搭載性に優れ且つ酸化触媒やフィルタやNOx吸収剤のような排気浄化材間の熱伝達が良好な排気浄化装置として、特開2000−199423号公報に記載されている排気浄化装置を挙げることができる。当該公報に記載の排気浄化装置では、酸化触媒とフィルタとNOx触媒とが共通のケーシング内に直列的に収容されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した2つの公報において、酸化触媒、フィルタ、および、NOx吸収剤(NOx触媒)はそれぞれ圧力損失の原因となる。ここで、特開平9−53442号公報では、これら排気浄化材が離れて配置されているので、これら排気浄化材が直列的に配置されているとしても、排気浄化装置全体の圧力損失は比較的小さい。ところが、特開2000−199423号公報では、これら排気浄化材が共通のケーシング内に配置されているので、排気浄化装置全体の圧力損失は比較的大きい。
【0006】
しかも、これら公報に記載の酸化触媒およびNOx吸収剤(NOx触媒)は比較的圧力損失が小さいいわゆるモノリスタイプであり、フィルタは比較的圧力損失が高いいわゆるウォールフロータイプである。ここで、特開2000−199423号公報のように、圧力損失が異なる排気浄化材が共通のケーシング内に直列的に配置されている場合、排気浄化装置全体の圧力損失はさらに増大するが、当該公報では、こうした圧力損失の増大を抑制するための方策は何ら考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、圧力損失が異なる排気浄化材を共通のケーシング内に直列的に具備する排気浄化装置において、排気浄化装置全体の大きさをコンパクトにして車両への搭載性を高め、且つ、排気浄化材間の熱伝達率を高くし、且つ、排気浄化装置全体の圧力損失を小さく抑えることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、1番目の発明では、上流から順に、第1の排気浄化材と、該第1の排気浄化材の圧力損失よりも圧力損失が大きい第2の排気浄化材と、該第2の排気浄化材の圧力損失よりも圧力損失が小さい第3の排気浄化材とを機関排気通路に設けられた共通のケーシング内に具備する排気浄化装置において、第1の排気浄化材と第2の排気浄化材との間の容積空間が、第2の排気浄化材と第3の排気浄化材との間の容積空間よりも大きい。ここで、第1の排気浄化材、第2の排気浄化材、第3の排気浄化材、および、機関排気通路は、後述する実施形態において、それぞれ、NOx触媒、パティキュレートフィルタ、酸化触媒、および、排気管に相当する。
【0009】
2番目の発明では、1番目の発明において、第1の排気浄化材および第3の排気浄化材が互いに平行に延びる複数の通路を有し、これら通路の両端の開口が開放されており、第2の排気浄化材が互いに平行に延びる複数の通路を有し、該第2の排気浄化材の通路のうち一部の通路においては一方の開口が閉塞され且つ他方の開口が開放されており、該第2の排気浄化材の残りの通路においては一方の開口が開放され且つ他方の開口が閉塞されている。
【0010】
3番目の発明では、2番目の発明において、第2の排気浄化材の開口が栓によって閉塞されている。
【0011】
4番目の発明では、2番目の発明において、第2の排気浄化材の通路を画成する隔壁の端部を少なくとも部分的に接続することによって閉塞されている。
【0012】
5番目の発明では、1〜4番目の発明のいずれか1つにおいて、第1の排気浄化材の両端面の面積と、第2の排気浄化材の両端面の面積と、第3の排気浄化材の両端面の面積とがほぼ等しく、第1の排気浄化材と第2の排気浄化材との間の距離が第2の排気浄化材と第3の排気浄化材との間の距離よりも大きくなっている。
【0013】
6番目の発明では、1〜5番目の発明のいずれか1つにおいて、第1の排気浄化材が排気ガス中のNOxを還元浄化するためのNOx触媒であって、該NOx触媒がそこに流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときにはNOxを保持し、そこに流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチとなると保持しているNOxを還元剤によって還元浄化し、第2の排気浄化材が排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタであり、第3の排気浄化材が排気ガス中のCOおよびHCを酸化除去するための酸化触媒である。
【0014】
7番目の発明では、1〜6番目の発明のいずれか1つにおいて、第1の排気浄化材と第2の排気浄化材との間に排気ガスの温度を検出するための温度センサが取り付けられている。
【0015】
8番目の発明では、1〜7番目の発明において、上記共通のケーシングの部分のうち第1の排気浄化材を収容している部分と、第2の排気浄化材を収容している部分と、第3の排気浄化材を収容している部分とがそれぞれ分割可能に接続されている。ここで、第1の排気浄化材を収容している部分、第2の排気浄化材を収容している部分、および、第3の排気浄化材を収容している部分は、後述する実施形態において、それぞれ、第1のケーシング部分、第2のケーシング部分、および、第3のケーシング部分に相当する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の排気浄化装置を備えた内燃機関を示す図である。図1に示した内燃機関は、圧縮自着火式のディーゼル内燃機関である。図1において、1は機関本体、2は燃焼室、3は燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを示している。各燃料噴射弁3は共通のリザーバ(いわゆる、コモンレール)6に接続されている。コモンレール6は燃料を高圧下でもって一時的に溜めておくことができる。各燃料噴射弁3にはこのコモンレール6から燃料が供給される。
【0017】
吸気マニホルド4には吸気管7が接続されている。吸気管7には燃焼室2に吸入される空気を冷却するためのインタークーラ8が取り付けられている。また、インタークーラ8下流の吸気管7内には、燃焼室2に吸入される空気の量を制御するためのスロットル弁9が配置されている。さらに、インタークーラ8上流において、吸気管7は排気ターボチャージャ10のコンプレッサ11の出口部に接続されている。コンプレッサ11の入口部にも吸気管7が接続されており、この吸気管7には、燃焼室2に吸入される空気の量を検出するためのエアフローメータ12が取り付けられている。
【0018】
一方、排気マニホルド5には排気管13が接続されている。排気管13は排気ターボチャージャ10の排気タービン14の入口部に接続されている。また、排気タービン14の出口部にも排気管13が接続されている。この排気管13の途中には、上流から順に、排気ガス中のNOxを還元浄化するためのNOx触媒15、排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタ(以下、単に、フィルタと称す)16、および、排気ガス中のCO(一酸化炭素)およびHC(未燃炭化水素)を酸化除去するための酸化触媒17を互いに間を開けて収容した共通のケーシング13aが配置されている。
【0019】
NOx触媒15は、そこに流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときに排気ガス中のNOxをそこに吸着させることによって、或いは、そこに吸収することによって保持する。一方、NOx触媒15は、そこに流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比およびリッチとなると保持しているNOxを還元剤(すなわち、排気ガス中のHC)によって還元浄化する。
【0020】
また、NOx触媒15上流の排気管13には、当該排気管13内に軽油(すなわち、燃料)を噴射するための軽油添加装置18が取り付けられている。この軽油添加装置18は、NOx触媒15に燃料を供給し、すなわち、リッチ空燃比の排気ガスを供給することによって、NOx触媒15においてNOxを還元浄化するために用いられる。また、この軽油添加装置18は、NOx触媒15に燃料を供給し、この燃料をNOx触媒15にて燃焼させることによって、排気ガスの温度を上昇させるために用いられる。この温度を上昇せしめられた排気ガスは、フィルタ16の温度を上昇させ、これによって、フィルタ16に捕集されている微粒子を燃焼除去するために用いられる。
【0021】
なお、酸化触媒17は、NOx触媒15やフィルタ16において酸化除去されずにフィルタ16から流出するCOを酸化除去し、或いは、軽油添加装置18から燃料を噴射したときにNOx触媒15およびフィルタ16において消費されなかったHCを酸化除去する。
【0022】
また、軽油添加装置18上流の排気管13には、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ19が取り付けられている。この空燃比センサ19によって検出される排気ガスの空燃比に基づいて、燃焼室2内における混合気の空燃比が所望の空燃比となるように、燃料噴射弁3からの燃料噴射量が制御される。
【0023】
なお、排気ガスの空燃比とは、燃料噴射弁3から噴射された燃料と軽油添加装置18から噴射された燃料との総量に対する燃焼室2に吸入された空気の量の比である。
【0024】
さらに、NOx触媒15とフィルタ16との間には、排気ガスの温度を検出するための温度センサ20が取り付けられている。この温度センサ20によって検出される排気ガスの温度に基づいて、NOx触媒15の温度またはフィルタ16の温度が推定される。そして、これら温度に基づいて、例えば、NOx触媒15の温度がNOx触媒15の活性温度よりも高くなるようにNOx触媒15の温度が制御され、或いは、NOx触媒15の温度またはフィルタ16の温度がNOx触媒15の熱劣化またはフィルタ16の熱劣化を引き起こすほど高くならないように、NOx触媒15の温度またはフィルタ16の温度が制御される。また、本発明によれば、NOx触媒15とフィルタ16とは密着して配置されているわけではなく、距離を開けて配置されているので、こうした温度センサ20をこれらNOx触媒15とフィルタ16との間に配置することができる。
【0025】
また、酸化触媒17下流の排気管13には、排気ガスの温度を検出するための温度センサ21が取り付けられている。この温度センサ21によって検出される排気ガスの温度に基づいて、酸化触媒17の温度が推定される。そして、この温度に基づいて、例えば、酸化触媒17の温度が酸化触媒17の活性温度よりも高くなるようにNOx触媒15の温度が制御され、或いは、酸化触媒17の温度が酸化触媒17の熱劣化を引き起こすほど高くならないように酸化触媒17の温度が制御される。
【0026】
また、酸化触媒17下流の排気管13には、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ22が取り付けられている。この空燃比センサ22によって検出される排気ガスの空燃比に基づいて、燃焼室2内における混合気の空燃比が所望の空燃比となるように、燃料噴射弁3からの燃料噴射量が制御される。
【0027】
さらに、NOx触媒15上流の排気管13と酸化触媒17下流の排気管13とには、NOx触媒15、フィルタ16、および、酸化触媒17、すなわち、排気浄化装置全体に起因する圧力損失を検出するための背圧センサ23a、23bが取り付けられている。この背圧センサ23a、23bによって検出される排気浄化装置全体の圧力損失に基づいて、フィルタ16内に捕集されている微粒子の量が推定される。そして、この微粒子の量に基づいて、フィルタ16内に捕集されている微粒子の量が許容上限値を超えないようにフィルタ16内に捕集されている微粒子を燃焼除去するタイミングが決定される。
【0028】
また、燃焼室2から排出される排気ガスを排気マニホルド5から吸気マニホルド4へ導入し、結果として、燃焼室2内へ導入するための排気再循環(EGR)通路24が、排気マニホルド5から吸気マニホルド4まで延びる。燃焼室2内に排気ガスが導入されると、燃焼室2内における燃料の燃焼温度が低下する。これによって、燃焼室2内において発生するNOxの量が低下する。
【0029】
また、EGR通路24には、排気ガスを冷却するためのEGRクーラ25が取り付けられている。また、EGRクーラ25上流のEGR通路24内には、排気ガス中のCOおよびHCを酸化浄化するための酸化触媒26が配置されている。さらに、EGRクーラ25下流のEGR通路24には、燃焼室2内に導入される排気ガス(以下、EGRガスと称す)の量を制御するためのEGR制御弁27が取り付けられている。EGR制御弁27の開度が大きくされるとEGRガス量が多くなり、EGR制御弁27の開度が小さくされるとEGRガス量が少なくなる。
【0030】
図2は本発明の排気浄化装置を詳細に示し、図3はNOx触媒15を詳細に示している。図2および図3に示されているように、NOx触媒15は、多孔質の隔壁30によって画成される互いに平行に延びる複数の通路31を有し、これら通路31の両端の開口は全て開放されている。すなわち、NOx触媒15はいわゆるモノリスタイプの触媒である。したがって、図3(B)の矢印で示したように、NOx触媒15の通路に流入したほとんどの排気ガスは、該通路31を画成する隔壁30を通ることなく、その通路31内を流れ続け、その通路31の下流側の開口から流出する。このため、NOx触媒15の圧力損失は比較的小さい。
【0031】
一方、図2および図4に示されているように、フィルタ16も、多孔質の隔壁40によって画成される互いに平行に延びる複数の通路41,42を有する。しかしながら、これら通路41,42のうちの一部41においては、上流側の開口が栓43によって閉塞され且つ下流側の開口が開放されている。一方、残りの通路42においては、上流側の開口が開放され且つ下流側の開口が栓44によって閉塞されている。すなわち、フィルタ16はいわゆるウォールフロータイプのフィルタ16である。したがって、図4(B)の矢印で示したように、上流側の開口が開放されているフィルタ16の通路42に流入した排気ガスは、該通路42を画成する隔壁40を通って別の通路41に流入し、この別の通路41の下流側の開口から流出する。このため、フィルタ16の圧力損失は比較的大きい。
【0032】
さらに、図2に示されているように、酸化触媒17も、NOx触媒15と同様に、多孔質の隔壁50によって画成される互いに平行に延びる複数の通路51を有し、これら通路51の両端の開口は全て開放されている。すなわち、酸化触媒17も、いわゆるモノリスタイプの触媒である。したがって、酸化触媒17の通路51に流入したほとんどの排気ガスは、該通路51を画成する隔壁50を通ることなく、その通路51内を流れ続け、その通路51の下流側の開口から流出する。このため、酸化触媒17の圧力損失は比較的小さい。
【0033】
このように、本発明では、NOx触媒15の圧力損失はフィルタ16の圧力損失よりも小さく、また、酸化触媒17の圧力損失もフィルタ16の圧力損失よりも小さい。
【0034】
ところで、本発明では、NOx触媒15とフィルタ16との間の容積空間V1が、フィルタ16と酸化触媒17との間の容積空間V2よりも大きくなっている。詳細には、本発明では、NOx触媒15の両端面の面積と、フィルタ16の両端面の面積と、酸化触媒17の両端面の面積とがほぼ等しくなっており、NOx触媒15とフィルタ16との間の距離X1が、フィルタ16と酸化触媒17との間の距離X2よりも大きくなっている。さらに詳細には、本発明では、NOx触媒15の通路31の数と、フィルタ16の通路41の数と、酸化触媒17の通路51の数とがほぼ等しくなっており、NOx触媒15とフィルタ16との間の距離X1がフィルタ16と酸化触媒17との間の距離X2よりも大きくなっている。
【0035】
このようにNOx触媒15、フィルタ16、および、酸化触媒17を共通のケーシング13aに配置することによって、以下の理由から、排気浄化装置全体の圧力損失を小さく抑えることができる。すなわち、第1実施形態のように、NOx触媒15、フィルタ16、および、酸化触媒17が構成されている場合において、NOx触媒15とフィルタ16との間の距離と、フィルタ16と酸化触媒17との間の距離とが等しい場合には、NOx触媒15から流入した排気ガスがフィルタ16から受ける排気抵抗は大きく、フィルタ16から流出した排気ガスが酸化触媒17から受ける排気抵抗は小さい。詳細には、NOx触媒15から流入した排気ガスがフィルタ16から受ける排気抵抗は、フィルタ16から流出した排気ガスが酸化触媒17から受ける排気抵抗のほぼ2倍となる。
【0036】
ところが、第1実施形態のように、NOx触媒15とフィルタ16との間の距離X1がフィルタ16と酸化触媒17との間の距離X2よりも大きくなっていると、排気ガスはNOx触媒15から比較的容積が大きい空間V1に流出することになる。したがって、排気ガスがフィルタ16に流入するときに排気ガスがフィルタ16から受ける排気抵抗は小さくなる。
【0037】
一方、排気ガスはフィルタ16から比較的容積が小さい空間V2に流入することになるが、酸化触媒17の排気抵抗が比較的小さいことから、結果的に、酸化触媒17に流入するときに排気ガスが酸化触媒17から受ける排気抵抗は小さい。したがって、第1実施形態によれば、排気浄化装置全体の圧力損失が小さく維持されることとなる。
【0038】
また、第1実施形態では、NOx触媒15とフィルタ16とが間を開けて配置され且つフィルタ16と酸化触媒17とが間を開けて配置されているとは言え、これらの間の距離は比較的短いことから、排気浄化装置は非常にコンパクトである。このため、第1実施形態の排気浄化装置は車両への搭載性に非常に優れている。
【0039】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、図5に示されているように、NOx触媒15を収容した共通のケーシング13aの部分(以下、第1のケーシング部分と称す)13bと、フィルタ16を収容した共通のケーシング部分(以下、第2のケーシング部分と称す)13cとがボルト28およびナット29によって分離可能に接続されている。また、フィルタ16を収容した第2のケーシング部分13cと酸化触媒17を収容した共通のケーシング部分(以下、第3のケーシング部分と称す)13dとがボルト28およびナット29によって分離可能に接続されている。このように、第1のケーシング部分13bと、第2のケーシング部分13cと、第3のケーシング部分13dとが分離可能に接続されていることには、以下のような利点がある。
【0040】
すなわち、フィルタ16は微粒子を捕集するが、フィルタ16に捕集されている微粒子の量が多くなると、フィルタ16の圧力損失が大きくなる。したがって、フィルタ16の圧力損失が許容上限値を超える前に、フィルタ16に捕集されている微粒子を除去する必要がある。そこで、本発明では、フィルタ16の圧力損失を監視し、フィルタ16の圧力損失が許容上限値を超える前に、フィルタ16に捕集されている微粒子を燃焼除去するようにしている。
【0041】
ところが、このように微粒子を燃焼除去すると、フィルタ16内には微粒子の燃え残り(いわゆる、アッシュ)が堆積する。こうしたアッシュはフィルタ16から除去されるべきである。このためには、フィルタ16に圧縮空気を吹き付けるか、或いは、フィルタ16に圧縮水を吹き付け、フィルタ16を洗浄すればよい。ここで、第2実施形態のように、フィルタ16を収容している第2のケーシング部分13bが、NOx触媒15を収容している第1のケーシング部分13bと酸化触媒17を収容している第3のケーシング部分13dとから分離されれば、フィルタ16を洗浄しやすい。
【0042】
なお、図5に示した排気浄化装置は、その排気ガスの流入領域に、複数の穴70を有する入口管71が配置されている。入口管71はその中央軸線に対してほぼ垂直に延びるプレート72に取り付けられている。プレート72にも複数の穴73が設けられている。また、入口管71とプレート72と排気管13とによって混合室74が形成されている。
【0043】
図5に示した排気浄化装置では、排気ガスは始めに入口管71に流入し、次いで、入口管71の穴70を介して、混合室74内に流入する。次いで、混合室74内の排気ガスは、プレート72の穴73を介して、NOx触媒15に流入する。この構成によれば、軽油添加装置18から燃料が噴射されたときに、燃料が入口管71の穴70を介して混合室74内に流入したときに、この燃料と排気ガスとが良好に混合せしめられる。
【0044】
なお、上述したフィルタの代わりに、図6に示されているフィルタを備えた排気浄化装置にも本発明を適用可能である。図6に示したフィルタ16は、多孔質の隔壁40によって画成された互いに平行に延びる複数の通路41,42を有する。そして、これら通路41,42のうちの一部の通路41では、これら通路41を画成する隔壁40の上流側の端部がフィルタ16の外側に向かってテーパ状となるように互いに寄せ集められて接続されている。一方、残りの通路42では、これら通路42を画成する隔壁の下流側の端部がフィルタ16の外側に向かってテーパ状となるように互いに寄せ集められて接続されている。すなわち、各通路41,42はテーパ状とされた隔壁40の端部によって閉塞されている。
【0045】
詳細には、図6に示したフィルタ16では、隣接する2つの通路41,42のうちの一方41では、該通路41を画成する隔壁40の上流側の端部がフィルタ16の外側に向かってテーパ状となるように互いに寄せ集められて接続され、このテーパ状とされた隔壁45によって該通路41の上流側の開口が閉塞されている。一方、他方の通路42では、該通路を42画成する隔壁40の下流側の端部がフィルタ16の外側に向かってテーパ状となるように互いに寄せ集められて接続され、このテーパ状とされた隔壁46の端部によって該通路42の下流側の開口が閉塞されている。
【0046】
これによれば、排気ガスを流入させる通路42の入口開口がテーパ状の隔壁45によって画成されることとなる。このため、フィルタ16に到来した排気ガスはスムーズに各通路42内に流入することができるので、フィルタ16の圧力損失が小さくなっている。また、排気ガスを流出させる通路41の出口開口がテーパ状の隔壁46によって画成されることとなる。このため、排気ガスはスムーズに各通路41から流出することができるので、このことからも、フィルタ16の圧力損失が小さくなっている。
【0047】
また、上述したフィルタの代わりに、図7に示されているフィルタを備えた排気浄化装置にも本発明を適用可能である。図7に示したフィルタ16は、図6に示したフィルタと基本的には同じであるが、以下の点で図6に示したフィルタとは異なる。すなわち、図7に示したフィルタ16では、隣接する2つの通路41,42のうちの一方41では、該通路41を画成する隔壁40の上流側の端部が、フィルタ16の外側に向かってテーパ状となり且つこれらテーパ状とされた隔壁45の上流側の端部の先端によって小孔47が形成されるように、互いに向かって寄せ集められて部分的に接続されている。また、図7に示したフィルタ16では、隣接する2つの通路41,42のうちの他方42では、該通路42を画成する隔壁40の下流側の端部が、フィルタ16の外側に向かってテーパ状となり且つこれらテーパ状とされた隔壁46の下流側の端部の先端によって小孔48が形成されるように互いに向かって寄せ集められて部分的に接続されている。
【0048】
なお、上述したフィルタ16が貴金属触媒と活性酸素生成剤とを担持し、これら貴金属触媒と活性酸素生成剤とによって生成される活性酸素によって、フィルタ16に捕集された微粒子が比較的短時間のうちに酸化除去されるようになっていてもよい。すなわち、第3実施形態では、フィルタ16の隔壁の両壁面上、および、隔壁の細孔を画成する壁面上に全面に亘って、例えば、アルミナからなる担体層が形成され、この担体層上に、貴金属触媒と、活性酸素生成剤とが担持されている。
【0049】
貴金属触媒としては、白金(Pt)が用いられる。一方、活性酸素生成剤としては、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)のようなアルカリ土類金属、ランタン(La)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)のような希土類、鉄(Fe)のような遷移金属、およびスズ(Sn)のような炭素族元素から選ばれた少なくとも一つが用いられる。
【0050】
排気ガスがフィルタ16に流入すると、図8(A)に示したように、排気ガス中の酸素(O2)がO2 -またはO2-の形で白金70の表面に付着する。排気ガス中のNOはこれらO2 -またはO2-と反応し、NO2となる。斯くして生成されたNO2の一部は、白金70上で酸化されつつ活性酸素生成剤71内に吸収によって保持され、図8(A)に示したように、カリウム(K)と結合しながら硝酸イオン(NO3 -)の形で活性酸素生成剤71内に拡散し、硝酸カリウム(KNO3)を生成する。すなわち、排気ガス中の酸素が硝酸カリウム(KNO3)の形で活性酸素生成剤71内に吸収によって保持される。
【0051】
ここで、図8(B)において、72で示したように、微粒子が活性酸素生成剤71の表面上に接触して付着すると、微粒子72と活性酸素生成剤71との接触面では酸素濃度が低下する。すなわち、活性酸素生成剤71の周囲の酸素濃度が低下する。酸素濃度が低下すると酸素濃度の高い活性酸素生成剤71内との間で濃度差が生じ、斯くして、活性酸素生成剤71内の酸素が微粒子72と活性酸素生成剤71との接触面に向けて移動しようとする。その結果、活性酸素生成剤71内に形成されている硝酸カリウム(KNO3)がカリウム(K)と酸素(O)とNOとに分解され、酸素(O)が微粒子72と活性酸素生成剤71との接面に向かい、その一方で、NOが活性酸素生成剤71から外部に放出される。
【0052】
ここで、微粒子と活性酸素生成剤71との接触面に向かう酸素は、硝酸カリウムといった化合物から分解された酸素であるので、不対電子を有し、したがって、極めて高い反応性を有する活性酸素となっている。こうして活性酸素生成剤71は活性酸素を生成する。なお、外部に放出されたNOは下流側の白金上において酸化され、再び活性酸素生成剤71内に保持される。
【0053】
活性酸素生成剤71によって生成される活性酸素はそこに付着した微粒子72を酸化除去するために消費される。すなわち、フィルタ16に捕集された微粒子72は活性酸素生成剤71によって生成される活性酸素によって酸化除去される。
【0054】
このように、フィルタ16に捕集されている微粒子72が反応性の高い活性酸素によって輝炎を発することなく酸化除去されるので、フィルタ16の温度が過剰に高くなることがなく、したがって、フィルタ16が熱劣化することがない。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の排気浄化材が共通のケーシング内に収容されているので、排気浄化装置全体の大きさがコンパクトであり、したがって、車両への搭載性に優れている。また、本発明によれば、排気浄化材が共通のケーシング内に比較的近接して配置されているので、排気浄化材間における熱伝達率が高い。また、本発明によれば、第1の排気浄化材から流出する排気ガスは、この第1の排気浄化材の圧力損失よりも大きい圧力損失を有する第2の排気浄化材に流入することとなるが、ここで、排気ガスは、容積の大きい空間を介して第2の排気浄化材に流入することになる。したがって、排気ガスが第1の排気浄化材から第2の排気浄化材に流入するときの流抵抗の上昇は小さく抑えられる。また、第2の排気浄化材から流出する排気ガスは、容積の小さい空間を介して第3の排気浄化材に流入することとなるが、ここで、第3の排気浄化材の圧力損失が第2の排気浄化材の圧力損失よりも小さい。したがって、排気ガスが第2の排気浄化材から第3の排気浄化材に流入するときの流抵抗の上昇も低く抑えられる。こうしたことから、排気浄化装置全体の圧力損失が低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関の全体図である。
【図2】第1実施形態の排気浄化装置を詳細に示す断面図である。
【図3】NOx触媒を詳細に示す図である。
【図4】パティキュレートフィルタを詳細に示す図である。
【図5】第2実施形態の排気浄化装置を示す断面図である。
【図6】別の構成のパティキュレートフィルタを詳細に示す図である。
【図7】さらに別の構成のパティキュレートフィルタを詳細に示す図である。
【図8】パティキュレートフィルタの微粒子酸化除去作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1…機関本体
2…燃焼室
3…燃料噴射弁
13…排気管
15…NOx触媒
16…パティキュレートフィルタ
17…酸化触媒
18…軽油添加装置
20…温度センサ
30…NOx触媒の隔壁
31…NOx触媒の通路
40…パティキュレートフィルタの隔壁
41,42…パティキュレートフィルタの通路
43,44…栓
45,46…テーパ状の隔壁
50…酸化触媒の隔壁
51…酸化触媒の通路
V1、V2…容積空間
X1、X2…距離

Claims (8)

  1. 上流から順に、第1の排気浄化材と、該第1の排気浄化材の圧力損失よりも圧力損失が大きい第2の排気浄化材と、該第2の排気浄化材の圧力損失よりも圧力損失が小さい第3の排気浄化材とを機関排気通路に設けられた共通のケーシング内に具備する排気浄化装置において、第1の排気浄化材と第2の排気浄化材との間の容積空間が、第2の排気浄化材と第3の排気浄化材との間の容積空間よりも大きいことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 第1の排気浄化材および第3の排気浄化材が互いに平行に延びる複数の通路を有し、これら通路の両端の開口が開放されており、第2の排気浄化材が互いに平行に延びる複数の通路を有し、該第2の排気浄化材の通路のうち一部の通路においては一方の開口が閉塞され且つ他方の開口が開放されており、該第2の排気浄化材の残りの通路においては一方の開口が開放され且つ他方の開口が閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 第2の排気浄化材の開口が栓によって閉塞されていることを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
  4. 第2の排気浄化材の通路を画成する隔壁の端部を少なくとも部分的に接続することによって閉塞されていることを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
  5. 第1の排気浄化材の両端面の面積と、第2の排気浄化材の両端面の面積と、第3の排気浄化材の両端面の面積とがほぼ等しく、第1の排気浄化材と第2の排気浄化材との間の距離が第2の排気浄化材と第3の排気浄化材との間の距離よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  6. 第1の排気浄化材が排気ガス中のNOxを還元浄化するためのNOx触媒であって、該NOx触媒がそこに流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときにはNOxを保持し、そこに流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチとなると保持しているNOxを還元剤によって還元浄化し、第2の排気浄化材が排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタであり、第3の排気浄化材が排気ガス中のCOおよびHCを酸化除去するための酸化触媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  7. 第1の排気浄化材と第2の排気浄化材との間に排気ガスの温度を検出するための温度センサが取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の排気浄化装置。
  8. 上記共通のケーシングの部分のうち第1の排気浄化材を収容している部分と、第2の排気浄化材を収容している部分と、第3の排気浄化材を収容している部分とがそれぞれ分割可能に接続されていることを特徴とする請求項1〜7に記載の排気浄化装置。
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