JPH0623215A - パティキュレートトラップフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱伝導性の良好なフィルタ構造を採用し、ク
ラックや溶損等の発生防止を図る。 【構成】 筒状のフィルタ１内をこれと同心的な筒状の
隔壁３，４および径方向に延びる隔壁５，５…で仕切っ
て複数のガスセル６，６…を放射状に形成し、これらガ
スセル６，６…をフィルタ周方向に沿って交互に入口セ
ル１０と出口セル１１とになすと共に、上記入口セル１
０を上記筒状の隔壁３又は４を介してその内外に隣接さ
せた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼルエンジン等
の排ガス中に含まれるパティキュレートを捕集するパテ
ィキュレートトラップフィルタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ディーゼルエンジンの排ガス中
には、ススを主成分とする排気微粒子（パティキュレー
ト）が高濃度で含まれており、これが公害の原因となっ
ている。このため、ディーゼルエンジンを搭載した車両
の排気系には、排ガス中のパティキュレートを捕集する
トラップフィルタが設けられている。この種のトラップ
フィルタとして、従来から様々なものが検討されている
が、捕集性能や取扱い易さ等の面からウォールフローモ
ノリスが普及している。

【０００３】従来、ウォールフローモノリスは、図２に
示すように、円筒状のフィルタ内を縦横に延びる多数の
多孔質薄壁ｄで仕切って断面略正方形のガスセル（通
路）ａ，ａ…を形成し、これらガスセルａ，ａ…をその
排ガス出口側端を市松模様状に塞いだ入口セルｂと排ガ
ス入口側端を同様に塞いだ出口セルｃとに区分して構成
されている。そのため、このフィルタの上流側より流れ
てきた排ガスは、図に矢印で示す如く、入口セルｂに流
入した後、薄壁ｄを透過して出口セルｃ内に流入する
が、その際に排ガス中のパティキュレートが捕集され、
パティキュレートが除去された清浄な排ガスとなって出
口セルｃから下流側に流出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記トラッ
プフィルタを継続して使用するためには、適宜、捕集し
たパティキュレートの除去、即ち再生処理を施す必要が
あり、その処理方法としてパティキュレートを燃焼する
方法が一般的に行われている。しかし、従来のフィルタ
は、熱伝導性の悪い多孔質材料により形成されるため、
パティキュレートを燃焼させた際、その発生熱によって
多孔質薄壁が局部的に温度上昇して温度差を生じ、この
温度差に起因した熱応力によってクラックが発生するこ
とがあった。また、極端な場合には薄壁自体溶損するお
それもある。

【０００５】なお、関連技術として、セラミックスのハ
ニカム構造よりなるフィルタを直接的に通電加熱するも
の (特開昭 58-119317号公報) がある。

【０００６】本発明の目的は、熱伝導性の良好なフィル
タ構造を採用することにより、クラックの発生やフィル
タ自体の溶損等を防止することができるパティキュレー
トトラップフィルタを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のパティキュレートトラップフィルタは、筒
状のフィルタ内をこれと同心的な筒状の隔壁および径方
向に延びる隔壁で仕切って複数のガスセルを放射状に形
成し、これらガスセルをフィルタ周方向に沿って交互に
入口セルと出口セルとに形成すると共に、上記入口セル
を上記筒状の隔壁を隔ててその内外に隣接させたもので
ある。

【０００８】

【作用】筒状のフィルタ内をこれと同心的な筒状の隔壁
で仕切り、その筒状隔壁の内外の入口セルを互いに隣接
させることで、パティキュレート燃焼時の発生熱を随時
フィルタの径方向外方に伝えて放熱することができる。
即ち、従来構造のように、入口セルを区画する隔壁内面
が出口セルで囲まれていないため、出口セルの断熱層
（空間）としての働きを大幅に軽減でき、径方向の熱伝
導性を促進させることができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

【００１０】図１に、本発明のパティキュレートトラッ
プフィルタの一実施例である、多孔質セラミックス材よ
りなるハニカム構造フィルタを示す。図において、２は
トラップフィルタ１の外観をなす円筒状の外壁部で、そ
の外壁部２の内部には、２つの円筒状隔壁３，４が互い
に同心的に形成され、外壁部２内の空間を内側、中間お
よび外側の各層７〜９に区画している。円筒状隔壁３，
４で仕切られた各層７〜９は、更にその径方向に延びる
板状隔壁５，５…によって仕切られて、排ガス入口側端
面から出口側端面に延びる多数のガスセルを形成してい
る。本例では、互いに間隔をおいて対向する一対の板状
隔壁５，５を一組として、その隔壁対６をフィルタ１の
中心線に対して等角度間隔で配し、これにより各層７〜
９に断面形状の異なる２種類のガスセル１０，１１を形
成している。

【００１１】ここに、隣接する隔壁対６，６間の断面略
楔状のガスセル１０は、その排ガス出口側端部がセラミ
ックス製の目封じ材により塞がれて入口セルとされ、ま
た隔壁対６をなす隔壁５，５間の断面略四角状のガスセ
ル１１は、その排ガス入口側端部が同様の目封じ材によ
り塞がれて出口セルとされており、いわば大径の入口セ
ル１０と小径の出口セル１１とを周方向に沿って交互に
形成した構造となっている。そして、上記内側層９内の
各入口セル１０は中間層８内の入口セル１０と上記円筒
状隔壁４を隔てて隣接される一方、中間層８内の各入口
セル１０は外側層７内の入口セル１０と円筒状隔壁３を
隔てて隣接されており、いわば各円筒状隔壁３，４にそ
の内外の入口セル１０，１０同志を互いに隣接させる隣
接領域１２を形成した構造となっている。即ち、内側層
９は９０°ごとの隔壁対６により４分割される一方、中
間層８は４５°ごとの隔壁対６により８分割されてお
り、内側層９における任意の１の入口セル１０が中間層
８の２つの入口セル１０，１０と隣接するようになって
いる。さらに、外側層７は２２．５°ごとの隔壁対６に
より分割され、中間層８における任意の１の入口セル１
０が外側層７の２つの入口セル１０，１０と隣接する。

【００１２】次に、上記構成のフィルタの排ガス洗浄作
用について述べる。

【００１３】ディーゼルエンジンより排出された排ガス
は、排気管内を流れて、フィルタ１の一端より各入口セ
ル１０内に流入する。入口セル１０内に流入した排ガス
は、その後板状隔壁５を透過して両側の出口セル１１，
１１に入るが、その際、排ガス中に含まれるパティキュ
レートが隔壁５の内面側に捕集されて、清浄な排ガスと
なって出口セル１１から下流側に流出される。

【００１４】このとき、フィルタ１内の隔壁３〜５には
あらかじめ触媒が担持されており、捕集したパティキュ
レートはその触媒との反応熱等によって燃焼除去される
が、同時に、この燃焼によって隔壁５上に堆積したパテ
ィキュレート近傍の温度が上昇し、フィルタ１内に局部
的な温度上昇が生じる。ここに、本実施例のフィルタ１
では、円筒状隔壁３，４の内外の入口セル１０，１０が
互いに隣接しているため、パティキュレートの燃焼によ
って発生した熱は順次径方向外方に入口セル１０を通じ
て伝えられて排気管外に放出され、フィルタ１内部にお
ける極端な温度差が抑えられる。即ち、外側層７の入口
セル１０内の熱が排気管外に放出されるに伴って、その
外側層７の入口セル１０に中間層８の入口セル１０から
熱が伝えられ、更に中間層８の入口セル１０に内側層９
の入口セル１０から熱が伝えられるため、パティキュレ
ート燃焼時の発生熱は迅速に除去されて、フィルタ１内
の極端な温度差が抑えられる。

【００１５】このように本実施例では、筒状のフィルタ
１内をこれと同心的な円筒状隔壁３，４で仕切ると共
に、その円筒状隔壁３，４の内外に区画される入口セル
１０，１０を互いに隣接させるため、パティキュレート
燃焼時の発生熱を随時径方向外方（放射状）に伝えて放
熱することができ、径方向の熱伝導性を向上させたフィ
ルタ構造を得ることができる。このため、パティキュレ
ート燃焼時には、フィルタ１内の極端な温度差を抑制し
て隔壁３〜５に加わる熱応力を低減でき、これに起因し
たクラックの発生を大幅に低減することができる。しか
も、隔壁３〜５の極端な温度上昇も抑制できるため、そ
の隔壁３〜５自体が溶損することも防止できる。従来の
フィルタ構造 (図２) では、入口セルがその四方から出
口セルで囲まれているため、出口セル内の空気が断熱層
として機能して放熱性を阻害するのに対し、本実施例で
は、内側、中間および外側の各層７〜９の入口セル１０
を円筒状隔壁３，４を隔てて直接に隣接されているた
め、出口セル１１の断熱機能が抑えられて放熱性が向上
される。

【００１６】また本実施例では、入口セル１０の径を出
口セル１１の径よりも大きくしたので、この点でも、出
口セル１１の断熱効果を抑え、より一層のクラックの発
生等の防止を図ることができる。

【００１７】なお、上記実施例においては、ハニカムに
担持された触媒の反応熱を利用してパティキュレートを
燃焼除去したが、別途電気ヒータやバーナ等を用いてパ
ティキュレートを燃焼させるようにしてもよい。また、
上記実施例では、出口セル１１の断面形状を略四角形と
したが、その他の形状、例えば楔形状としてもよい。要
は、入口セル１０よりも小径に形成すると共に入口セル
１０の両側部に配するようにすればよい。

【００１８】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、フィルタ
の径方向における熱伝導性を促進させることができるの
で、再生時におけるフィルタ内の温度差を小さく保ち、
熱応力によるクラックの発生等フィルタの損壊を抑制す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のパティキュレートトラップフィルタの
一実施例を示す図である。

【図２】パティキュレートトラップフィルタの従来例で
あるウォールフローモノリスを示す図である。

【符号の説明】

１ パティキュレートトラップフィルタ ２ 外壁部 ３，４ 円筒状隔壁 ５ 板状隔壁 ７ 外側層 ８ 中間層 ９ 内側層 １０ 入口セル １１ 出口セル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状のフィルタ内をこれと同心的な筒状
   の隔壁および径方向に延びる隔壁で仕切って複数のガス
   セルを放射状に形成し、これらガスセルをフィルタ周方
   向に沿って交互に入口セルと出口セルとに形成すると共
   に、上記入口セルを上記筒状の隔壁を隔ててその内外に
   隣接させたことを特徴とするパティキュレートトラップ
   フィルタ。