JP4096205B2 - 赤外線遮蔽材料微粒子分散体、赤外線遮蔽体、及び赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法、並びに赤外線遮蔽材料微粒子 - Google Patents
赤外線遮蔽材料微粒子分散体、赤外線遮蔽体、及び赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法、並びに赤外線遮蔽材料微粒子 Download PDFInfo
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Description
赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有し、
一般式MxWyOzで表記される前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子の、いずれか1種類以上を含み、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有し、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
一般式MxWyOzで表記される前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含む、もしくは全て六方晶の結晶構造を有することを特徴とする第1または第2の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
前記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上であることを特徴とする第3の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子を含有し、
前記タングステン酸化物微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
前記赤外線遮蔽材料微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることを特徴とする第1から第5の発明のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
前記媒体が、樹脂またはガラスであることを特徴とする第1から第6の発明のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
前記樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちのいずれか1種類以上であることを特徴とする第7の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第1から第8の発明のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体が、板状またはフィルム状または薄膜状に形成されたものであることを特徴とする赤外線遮蔽体である。
一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化
物微粒子が、六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子の、いずれか1種
類以上を含む赤外線遮蔽材料微粒子、
または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含む赤外線遮蔽材料微粒子、
の製造方法であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の出発原料を、還元性ガス雰囲気中、または/及び、不活性ガス雰囲気中で熱処理して、前記赤外線遮蔽材料微粒子を製造することを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で
表記されるタングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含む赤外線
遮蔽材料微粒子の製造方法であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の出発原料を、還元性ガス雰囲気中、または/及び、不活性ガス雰囲気中で熱処理して、前記赤外線遮蔽材料微粒子を製造することを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
前記熱処理は、前記赤外線遮蔽材料微粒子の出発原料を、還元性ガス雰囲気中にて10
0℃以上850℃以下で熱処理し、次いで、不活性ガス雰囲気中にて650℃以上1200℃以下の温度で熱処理するものであることを特徴とする第10または第11の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
前記一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子の出発原料が、
3酸化タングステン粉末、
2酸化タングステン粉末、
タングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステン粉末、
タングステン酸アンモニウム粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させ、当該沈殿を乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、
金属タングステン粉末、から選択されるいずれか1種類以上の粉末であることを特徴とする第11の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、
3酸化タングステン粉末、
2酸化タングステン粉末、
タングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステン粉末、
タングステン酸アンモニウム粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させ、当該沈殿を乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、
金属タングステン粉末、から選択されるいずれか1種類以上の粉末と、前記M元素を含有する単体または化合物の粉末とを、混合した粉末であることを特徴とする第10の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、
6塩化タングステンのアルコール溶液またはタングステン酸アンモニウム水溶液と、前記M元素を含有する化合物の溶液とを、混合した後乾燥した粉末であることを特徴とする第10の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させた分散液と、
前記M元素を含有する単体または化合物の粉末、または、前記M元素を含有する化合物の溶液とを、混合した後乾燥した粉末であることを特徴とする第10の発明に記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法である。
第10から第16の発明のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法により製造された、
一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で
表記されるタングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、粒子
直径は1nm以上800nm以下であるタングステン酸化物微粒子、
一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化
物微粒子が、六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子のいずれか1種類
以上を含み、粒子直径は1nm以上800nm以下である複合タングステン酸化物微粒子、
一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸
素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化
物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦
2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、粒子直径は1nm以上800nm以下である複合タングステン酸化物微粒子、
のいずれか1種以上のタングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子を含むことを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子である。
一般に、三酸化タングステン(WO3)中には有効な自由電子が存在しないため近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線遮蔽材料としては有効ではない。ここで、三酸化タングステンのタングステンに対する酸素の比率を3より低減することによって、当該タングステン酸化物中に自由電子が生成されることが知られているが、本発明者等は、当該タングステン酸化物におけるタングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線遮蔽材料として特に有効な範囲があることを見出した。
一方、このz/yの値が、2.999以下であれば、当該タングステン酸化物中に必要とされる量の自由電子が生成され、効率よい赤外線遮蔽材料となる。
同様に、z/y=3の時、立方晶、正方晶のそれぞれの複合タングテン化合物にも構造に由来した添加元素Mの添加量の上限があり、1モルのタングステンに対する添加元素Mの最大添加量は、立方晶の場合は1モルであり、正方晶の場合は0.5モル程度(M元素の種類により変化するが、工業的製造が容易なのは、0.5モル程度である。)である。但し、これらの構造は、単純に規定することが困難であり、当該範囲は特に基本的な範囲を示した例であることから、本発明がこれに限定されるわけではない。
また、上述の複合タングステン酸化物微粒子が、上述の六方晶以外に、正方晶、立方晶のタングステンブロンズの構造をとるときも赤外線遮蔽材料として有効である。当該複合タングステン酸化物微粒子がとる結晶構造によって、近赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、この近赤外線領域の吸収位置は、立方晶よりも正方晶のときが長波長側に移動し、さらに六方晶のときは正方晶のときよりも長波長側に移動する傾向がある。また、当該吸収位置の変動に付随して、可視光線領域の吸収は六方晶が最も少なく、次に正方晶であり、立方晶はこの中では最も大きい。よって、より可視光領域の光を透過して、より赤外線領域の光を遮蔽する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によっても変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
上記一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、および/または、MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子は、当該タングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン酸化物微粒子の出発原料であるタングステン化合物を、不活性ガス雰囲気もしくは還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。当該熱処理を経て得られたタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子は、十分な近赤外線吸収力を有し、赤外線遮蔽微粒子として好ましい性質を有している。
一般式WyOzで表されるタングステン酸化物微粒子を得るための出発原料であるタングステン化合物には、3酸化タングステン粉末、2酸化タングステン粉末、もしくはタングステン酸化物の水和物、もしくは、6塩化タングステン粉末、もしくはタングステン酸アンモニウム粉末、もしくは、6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、もしくは、6塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、もしくはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末から選ばれたいずれか一種類以上を用いることが出来るが、製造工程の容易さの観点より、タングステン酸化物の水和物粉末、3酸化タングステン粉末、またはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末を用いることがさらに好ましい。
当該観点より、複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、6塩化タングステンのアルコール溶液またはタングステン酸アンモニウム水溶液と、前記M元素を含有する化合物の溶液とを、混合した後乾燥した粉末であることがさらに好ましい。
同様に、複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させた分散液と、前記M元素を含有する単体または化合物の粉末、または、前記M元素を含有する化合物の溶液とを、混合した後乾燥した粉末であることも好ましい。
前記M元素を含有する化合物としては、M元素のタングステン酸塩、塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、炭酸塩、水酸化物、等が挙げられるが、これらに限定されず、溶液状になるものであればよい。さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子を工業的に製造する場合に、タングステン酸化物の水和物粉末や三酸化タングステンと、M元素の炭酸塩や水酸化物とを用いると、熱処理等の段階で有害なガス等が発生することが無く、好ましい製造法である。
本発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子の適用方法として、上記微粒子を適宜な媒体中に分散し、所望の基材表面に形成する方法がある。この方法は、あらかじめ高温で焼成した赤外線遮蔽材料微粒子を、基材中、もしくはバインダーによって基材表面に結着させることが可能なので、樹脂材料等の耐熱温度の低い基材材料への応用が可能であり、形成の際に大型の装置を必要とせず安価であるという利点がある。
例えば、本発明に係る赤外線遮蔽材料を微粒子化した赤外線遮蔽材料微粒子を、適宜な溶媒中に分散させて赤外線遮蔽材料微粒子の分散液を得るか、または、当該赤外線遮蔽材料を適宜な溶媒と混合し、当該混合物を湿式粉砕して赤外線遮蔽材料微粒子の分散液を得る。得られた赤外線遮蔽材料微粒子の分散液に媒体樹脂を添加した後、基材表面にコーティングし溶媒を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散した薄膜の形成が可能となる。コーティングの方法は、基材表面に赤外線遮蔽材料微粒子含有樹脂が均一にコートできればよく、特に限定されないが、例えば、バーコート法、グラビヤコート法、スプレーコート法、ディップコート法等が挙げられる。また、赤外線遮蔽材料を直接バインダー樹脂中に分散したものは、基材表面に塗布後、溶媒を蒸発させる必要が無く、環境的、工業的に好ましい。
また、本発明に係る赤外線遮蔽材料を微粒子として応用する別の方法として、微粒子を基材中に分散させても良い。微粒子を基材中に分散させるには、基材表面から浸透させても良く、基材の溶融温度以上に温度を上げて溶融させた後、微粒子と樹脂とを混合しても良い。このようにして得られた微粒子含有樹脂は、所定の方法でフィルムや板(ボード)状に形成し、赤外線遮蔽材料として応用可能である。
本発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散体の光学特性を、建築窓ガラス用フィルムJIS A 5759(1998)(光源:A光)に基づき測定を行い、可視光透過率、日射透過率を算出した。ただし、測定用試料は、ガラスに貼付せず、試料フィルム自体を使用した。ヘイズ値は、JISK 7105に基づき測定を行なった。平均分散粒子直径は、動的光散乱法を用いた測定装置(ELS−800(大塚電子株式会社製))により測定した平均値をとった。
尚、実施例で使用した基材PETフィルム(HPE−50(帝人製))の光学特性は、可視光透過率89%、日射透過率89%、ヘイズ0.8%である。
以下の実施例も同様である。
このWO2.72は、X線回折による結晶相の同定の結果、W18O49の結晶相が観察され、比表面積は30m2/gであった。
実施例1から10にて基材として使用した、PET樹脂フィルム(HPE−50)自体の光学特性を測定した。すると、上述したように、可視光透過率は88%で可視光領域の光を十分透過しているが、日射透過率は88%であり、太陽光線の直接入射光を約12%しか遮蔽しておらず断熱効果が低いことが判明した。
W18O49粉末の替わりにWO3(三酸化タングステン)粉末を使用した以外は、実施例2と同様の方法で、微粒子分散膜を作製した。当該微粒子分散膜の光学特性を測定したところ、可視光透過率は83.44%、日射透過率は81.76%であり、太陽光線の直接入射光を約17.24%遮蔽していることが判明した。
[図2]本発明に係る六方晶Cs0.33WO3複合タングステン酸化物微粒子分散膜の透過プロファイル測定結果例である。
[図3]本発明に係る六方晶Rb0.33WO3複合タングステン酸化物微粒子分散膜の透過プロファイル測定結果例である。
[図4]本発明に係る六方晶を有する複合タングステン酸化物の結晶構造の模式図である。
[図5]本発明の実施例に係る赤外線遮蔽材料の製造条件、粉体特性、および光学特性の一覧表である。
2.元素M
3.六方晶の結晶構造
Claims (17)
- 赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有し、
一般式MxWyOzで表記される前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子の、いずれか 1 種類以上を含み、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体。 - 赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有し、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z / y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体。 - 一般式MxWyOzで表記される前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含む、もしくは全て六方晶の結晶構造を有することを特徴とする請求項1または2記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
- 前記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの
うちの1種類以上であることを特徴とする請求項3記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体。 - 赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子を含有し、
前記タングステン酸化物微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z / y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体。 - 前記赤外線遮蔽材料微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
- 前記媒体が、樹脂またはガラスであることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
- 前記樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちのいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項7記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
- 請求項1から8のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散体が、板状またはフィルム状または薄膜状に形成されたものであることを特徴とする赤外線遮蔽体。
- 一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化
物微粒子が、六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子の、いずれか 1 種類以上を含む赤外線遮蔽材料微粒子、
または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0 . 001≦x / y≦1、2 . 2≦z / y≦3 . 0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z / y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含む赤外線遮蔽材料微粒子、
の製造方法であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の出発原料を、還元性ガス雰囲気中、または/及び、不活性ガス雰囲気中で熱処理して、前記赤外線遮蔽材料微粒子を製造することを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。 - 一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で
表記されるタングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z / y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含む赤外線
遮蔽材料微粒子の製造方法であって、
前記赤外線遮蔽材料微粒子の出発原料を、還元性ガス雰囲気中、または/及び、不活性ガス雰囲気中で熱処理して、前記赤外線遮蔽材料微粒子を製造することを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。 - 前記熱処理は、前記赤外線遮蔽材料微粒子の出発原料を、還元性ガス雰囲気中にて100℃以上850℃以下で熱処理し、次いで、不活性ガス雰囲気中にて650℃以上1200℃以下の温度で熱処理するものであることを特徴とする請求項10または11記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。
- 前記一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子の出発原料が、
3酸化タングステン粉末、
2酸化タングステン粉末、
タングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステン粉末、
タングステン酸アンモニウム粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させ、当該沈殿を乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、
金属タングステン粉末、から選択されるいずれか1種類以上の粉末であることを特徴とする請求項11記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。 - 前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、
3酸化タングステン粉末、
2酸化タングステン粉末、
タングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステン粉末、
タングステン酸アンモニウム粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させ、当該沈殿を乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、
タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、
金属タングステン粉末、から選択されるいずれか1種類以上の粉末と、前記M元素を含有する単体または化合物の粉末とを、混合した粉末であることを特徴とする請求項10記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。 - 前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、
6塩化タングステンのアルコール溶液またはタングステン酸アンモニウム水溶液と、前記M元素を含有する化合物の溶液とを、混合した後乾燥した粉末であることを特徴とする請求項10記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。 - 前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子の出発原料が、
6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後、水を添加して沈殿を生成させた分散液と、
前記M元素を含有する単体または化合物の粉末、または、前記M元素を含有する化合物の溶液とを、混合した後乾燥した粉末であることを特徴とする請求項10記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法。 - 請求項10から16のいずれか記載の赤外線遮蔽材料微粒子の製造方法により製造された、
一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2 . 2≦z / y≦2 . 999)で表記されるタングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z / y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、粒子直径は1nm以上800nm以下であるタングステン酸化物微粒子、
一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子のいずれか 1 種類以上を含み、粒子直径は1nm以上800nm以下である複合タングステン酸化物微粒子、
一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0 . 001≦x / y≦1、2 . 2≦z / y≦3 . 0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z / y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含み、粒子直径は1nm以上800nm 以下である複合タングステン酸化物微粒子、
のいずれか1種以上のタングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子を含むことを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子。
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