JP2015198579A - 農業用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】遮熱性及び保温性に優れ、且つ、透明性及び耐久性にも優れた農業用フィルムを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有し、更に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する。
【選択図】図1
【解決手段】熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有し、更に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、農業用フィルムに関する。
従来、農業の分野では、農業用作物を栽培する場合、市場性及び生産性を向上させるために、塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いた農業用フィルムにより被覆して栽培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。
上述のハウス栽培等での農業用作物の栽培においては、農業用ハウス等の内部の温度を適温に調整することが重要である。ハウス栽培やトンネル栽培では、昼間に農業用ハウスや農業用トンネルが日光を受けて内部の温度が上昇してしまい、農業用作物の栽培に悪影響を及ぼすという問題がある。
このような問題を解消するための農業用フィルムとして、例えば、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面上に、特定の無機酸化物微粒子および紫外線吸収剤を含有する層を有する屋外展張用フィルムが提案されている(特許文献1及び2参照)。
しかしながら、農業用ハウス等では、地面が昼間に日光を受けて吸熱し、当該熱を夜間に農業用ハウス等の内部に放出する輻射熱を、農業用ハウス等の外に散逸することを抑制して、農業用ハウス等の内部の地温及び気温が夜間にできるだけ下がらないようにする必要がある。上述の屋外展張用フィルムでは、保温性が十分でないという問題がある。
また、上述の屋外展張用フィルムは、透明性が十分に検討されていない。農業用ハウス等の内部で栽培される農業用作物には、日光が十分に当たる必要があり、農業用フィルムには透明性が要求される。
更に、上述の屋外展張用フィルムは、耐久性が十分に検討されていない。ハウス栽培等に用いられる農業用フィルムは、長期間屋外で日光等に曝されるため、遮熱剤として添加されている無機酸化物微粒子が劣化し易く、遮熱性が低下するという問題がある。
従って、遮熱性及び保温性に優れ、且つ、透明性及び耐久性にも優れた農業用フィルムの開発が望まれている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、遮熱性及び保温性に優れ、且つ、透明性及び耐久性にも優れた農業用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂が、特定の含有量のタングステン酸セシウム微粒子、及び特定の含有量のハイドロタルサイト類微粒子を含有する構成の農業用フィルムとすれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の農業用フィルムに関する。
1.熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有する、
ことを特徴とする農業用フィルム。
2.前記タングステン酸セシウム微粒子の平均粒子径は、50〜500nmである、上記項1に記載の農業用フィルム。
3.前記ハイドロタルサイト類微粒子の平均粒子径は、100〜1000nmである、上記項1又は2に記載の農業用フィルム。
4.更に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
1.熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有する、
ことを特徴とする農業用フィルム。
2.前記タングステン酸セシウム微粒子の平均粒子径は、50〜500nmである、上記項1に記載の農業用フィルム。
3.前記ハイドロタルサイト類微粒子の平均粒子径は、100〜1000nmである、上記項1又は2に記載の農業用フィルム。
4.更に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
本発明の農業用フィルムは、熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有する。本発明の農業用フィルムは、遮熱剤としてタングステン酸セシウム微粒子を特定の含有量で含有するので遮熱性に優れ、含有量が適切であるので透明性にも優れている。また、本発明の農業用フィルムは、保温剤としてハイドロタルサイト類微粒子を特定の含有量で含有するので保温性に優れ、含有量が適切であるので透明性にも優れている。更に、本発明の農業用フィルムは、遮熱剤としてタングステン酸セシウムを用いているので、長期間屋外で日光等に曝されても遮熱性が低下し難く、耐久性にも優れている。
即ち、本発明によれば、遮熱性及び保温性に優れ、且つ、透明性及び耐久性にも優れた農業用フィルムを提供することが可能となる。
以下、本発明の農業用フィルムについて詳細に説明する。
本発明の農業用フィルムは、熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては特に限定されず、農業用フィルムに用いられる従来公知のものを用いることができる。このような熱可塑性樹脂としてはポリオレフィン系樹脂が挙げられ、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。中でも、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂としては特に限定されず、農業用フィルムに用いられる従来公知のものを用いることができる。このような熱可塑性樹脂としてはポリオレフィン系樹脂が挙げられ、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。中でも、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(タングステン酸セシウム微粒子)
タングステン酸セシウム微粒子を形成するタングステン酸セシウムは特に限定されないが、下記一般式(1);
CsxWyOz (1)
で表されるタングステン酸セシウムであることが好ましい。なお、上記一般式(1)において、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素を示し、x、y、zは、0.30≦x/y≦0.33、2.2≦z/y<3.0を満たす数である。
タングステン酸セシウム微粒子を形成するタングステン酸セシウムは特に限定されないが、下記一般式(1);
CsxWyOz (1)
で表されるタングステン酸セシウムであることが好ましい。なお、上記一般式(1)において、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素を示し、x、y、zは、0.30≦x/y≦0.33、2.2≦z/y<3.0を満たす数である。
上記一般式(1)のタングステン酸セシウムは、高い可視光透過率を維持したまま、赤外線を遮蔽することができ、且つ耐熱性に優れた日射遮蔽微粒子である。また、z/yの値が2.2以上であるので、日射遮蔽機能を有しないWO2の生成が回避され、3.0未満であれば、十分な伝導電子が生成されるので、十分な日射遮蔽機能を発揮することができる。更に、x/yの値が0.30以上であるので、伝導電子が生成し、0.33以下であるので、不純物の生成を回避でき、耐熱性に特に優れる。更に優れた耐熱特性を発揮することができる点で、x/yの値が0.32以上0.33以下であることがより好ましい。
農業用フィルム中のタングステン酸セシウム微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.05〜0.8質量部である。タングステン酸セシウム微粒子の含有量が0.05質量部未満であると、農業用フィルムが十分な遮熱性を発揮できない。また、タングステン酸セシウム微粒子の含有量が0.8質量部を超えると、農業用フィルムの透明性(全光線透過率)が低下する。上記タングステン酸微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜0.3質量部が好ましい。
タングステン酸セシウム微粒子の平均粒子径は、50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。タングステン酸セシウム微粒子の平均粒子径が大き過ぎると、農業用フィルムの透明性が低下するおそれがあり、平均粒子径が小さ過ぎても、タングステン酸セシウム微粒子同士が凝集し易くなり、農業用フィルムの透明性が低下するおそれがある。
タングステン酸セシウム微粒子の平均粒子径は、特開2013−173642号公報に記載の方法により測定することができる。具体的には、予め、透過散乱光強度とTEMにより測定した平均粒子径との関係を調べておき、透過散乱光強度から一次粒子の大きさを測定する測定方法により測定することができる。
(ハイドロタルサイト類微粒子)
ハイドロタルサイト微粒子を形成するハイドロタルサイト類は、下記一般式(2)
M2+ 1−xAl3+ x(OH−)2(A1 n−)x/n・mH2O (2)
で表される化合物である。上記一般式(2)において、M2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群から選ばれた2価の金属イオンを示し、A1 n−はn価のアニオン、xは、0<x<0.5の範囲にある数、mは、0≦m≦2の範囲にある数、nは、1≦n≦3の範囲にある数を示す。
ハイドロタルサイト微粒子を形成するハイドロタルサイト類は、下記一般式(2)
M2+ 1−xAl3+ x(OH−)2(A1 n−)x/n・mH2O (2)
で表される化合物である。上記一般式(2)において、M2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群から選ばれた2価の金属イオンを示し、A1 n−はn価のアニオン、xは、0<x<0.5の範囲にある数、mは、0≦m≦2の範囲にある数、nは、1≦n≦3の範囲にある数を示す。
上記ハイドロタルサイト類により形成されたハイドロタルサイト類微粒子の市販品としては、例えば、協和化学社から商品名「DHT−4A」、「アルカマイザー」等が挙げられる。
農業用フィルム中のハイドロタルサイト類微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して3〜15質量部である。ハイドロタルサイト類微粒子の含有量が3質量部未満であると、農業用フィルムが十分な保温性を発揮できない。また、ハイドロタルサイト類微粒子の含有量が15質量部を超えると、農業用フィルムの透明性(全光線透過率)が低下する。上記ハイドロタルサイト類微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して5〜10質量部が好ましい。
ハイドロタルサイト類微粒子の平均粒子径は、100〜1000nmが好ましく、300〜700nmがより好ましい。ハイドロタルサイト類微粒子の平均粒子径が大き過ぎると、農業用フィルムの透明性が低下するおそれがあり、平均粒子径が小さ過ぎても、ハイドロタルサイト類微粒子同士が凝集し易くなり、農業用フィルムの透明性が低下するおそれがある。
なお、本明細書においてハイドロタルサイト類微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した粒度分布におけるD50の値である。ここで、粒度分布におけるD50の値とは、粒度分布において、小粒子側からの体積累積値が、全粒子体積の50%になる粒径である。
(光安定剤)
本発明の農業用フィルムは、光安定剤を含有していてもよい。光安定剤としては、従来公知のものを用いることができるが、中でもヒンダードアミン系光安定剤を含有することが好ましい。
本発明の農業用フィルムは、光安定剤を含有していてもよい。光安定剤としては、従来公知のものを用いることができるが、中でもヒンダードアミン系光安定剤を含有することが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)にアルキル基(R)が直接結合しているNR型ヒンダードアミン系光安定剤、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)に酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているNOR型ヒンダードアミン系光安定剤、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)に水素原子(H)が結合しているNH型ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。NH型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」等が挙げられる。NR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」等が挙げられる。NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 123」、商品名「TINUVIN NOR 371」、株式会社ADEKA製 商品名「LA−81」、クラリアントジャパン社製 商品名「Hostavin NOW」等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。特に、即効性・高失活型のNH型ヒンダードアミン系光安定剤と、遅行性・低失活性型のNR型及び/又はNOR型のヒンダードアミン系光安定剤とを併用することにより、初期耐候性及び耐候性の長期持続性に優れることとなり、農業用フィルムの耐久性を更に向上させることが可能となる。
(他の添加剤)
本発明の農業用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保湿剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の農業用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保湿剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
(層構成)
本発明の農業用フィルムは、単層であってもよく、複数層で形成されていてもよい。図1は、本発明の農業用フィルムの層構成の一例を示す断面図である。図1において、本発明の農業用フィルムは3層で形成されており、上からA層、B層、及びC層が順に積層されている。図1のように、本発明の農業用フィルムを複数層で形成する場合、タングステン酸セシウム微粒子及びハイドロタルサイト類微粒子は、どの層に含まれていてもよい。また、タングステン酸セシウム微粒子及びハイドロタルサイト類微粒子は、同一の層に含まれていてもよいし、別々の層に含まれていてもよい。この場合、タングステン酸セシウム微粒子の含有量は、農業用フィルム全体に含まれる熱可塑性樹脂を100質量部として、農業用フィルムを形成する全ての層に含まれるタングステン酸セシウム微粒子の合計が0.05〜0.8質量部であればよい。また、同様に、ハイドロタルサイト類微粒子の含有量は、農業用フィルム全体に含まれる熱可塑性樹脂を100質量部として、農業用フィルムを形成する全ての層に含まれるハイドロタルサイト類微粒子の合計が3〜15質量部であればよい。
本発明の農業用フィルムは、単層であってもよく、複数層で形成されていてもよい。図1は、本発明の農業用フィルムの層構成の一例を示す断面図である。図1において、本発明の農業用フィルムは3層で形成されており、上からA層、B層、及びC層が順に積層されている。図1のように、本発明の農業用フィルムを複数層で形成する場合、タングステン酸セシウム微粒子及びハイドロタルサイト類微粒子は、どの層に含まれていてもよい。また、タングステン酸セシウム微粒子及びハイドロタルサイト類微粒子は、同一の層に含まれていてもよいし、別々の層に含まれていてもよい。この場合、タングステン酸セシウム微粒子の含有量は、農業用フィルム全体に含まれる熱可塑性樹脂を100質量部として、農業用フィルムを形成する全ての層に含まれるタングステン酸セシウム微粒子の合計が0.05〜0.8質量部であればよい。また、同様に、ハイドロタルサイト類微粒子の含有量は、農業用フィルム全体に含まれる熱可塑性樹脂を100質量部として、農業用フィルムを形成する全ての層に含まれるハイドロタルサイト類微粒子の合計が3〜15質量部であればよい。
本発明の農業用フィルムが3層以上の層構成で形成される場合、最も外側に積層される2層がタングステン酸セシウム微粒子を含み、内側の層がタングステン酸セシウム微粒子及びハイドロタルサイト類微粒子を含む構成であることが好ましい。例えば、3層で形成されている図1の農業用フィルムにおいて、A層(2)及びC層(4)がタングステン酸セシウム微粒子を含み、B層(3)がタングステン酸セシウム微粒子及びハイドロタルサイト類微粒子を含む構成であることが好ましい。このような構成とすることで、外側の層が比較的平均粒子径が大きいハイドロタルサイト類微粒子を含まないので、農業用フィルムの表面が平滑になり、農業用フィルムの透明性をより向上させることができる。
本発明の農業用フィルムが上述の3層以上の層構成で形成される場合、最も外側に積層される2層以外の内側の層の厚みの合計の割合は、農業用フィルムの総厚みを100%として、40〜80%が好ましい。内側の層の厚みの合計の割合が40%未満であると、ハイドロタルサイト類微粒子を含有する層の厚みが薄くなり、本発明のハイドロタルサイト類微粒子の含有量を3質量部以上とすることが困難になるおそれがあり、農業用フィルムの保温性が十分でないおそれがある。内側の層の厚みの合計の割合が80%を超えると、ハイドロタルサイト類微粒子の含有量が15質量部を超えるおそれがあり、農業用フィルムの透明性が低下するおそれがある。
本発明の農業用フィルムの厚みは特に限定されないが、30〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましく、75〜150μmが更に好ましい。農業用フィルムの厚みが薄過ぎると、コシが弱くなるため作業性に劣るおそれがあり、また、破損し易くなるおそれがある。農業用フィルムの厚みが厚過ぎると、柔軟性に劣り、施工し難くなるおそれがある。
本発明の農業用フィルムは、遮熱剤としてタングステン酸セシウム微粒子を特定の含有量で含有するので遮熱性に優れ、含有量が適切であるので透明性にも優れている。また、本発明の農業用フィルムは、保温剤としてハイドロタルサイト類微粒子を特定の含有量で含有するので保温性に優れ、含有量が適切であるので透明性にも優れている。更に、本発明の農業用フィルムは、遮熱剤としてタングステン酸セシウムを用いているので、長期間屋外で日光等に曝されても遮熱性が低下し難く、耐久性にも優れている。
即ち、本発明によれば、遮熱性及び保温性に優れ、且つ、透明性及び耐久性にも優れた農業用フィルムを得ることができる。
(実施例)
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例1〜9、比較例1〜12
3層押出機のそれぞれの押出機内に、A層、B層、及びC層の各層が表1に記載の配合となるように熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂)、ヒンダードアミン系光安定剤、遮熱剤、及び保温剤(複合水酸化物)を投入し、溶融混練した。
3層押出機のそれぞれの押出機内に、A層、B層、及びC層の各層が表1に記載の配合となるように熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂)、ヒンダードアミン系光安定剤、遮熱剤、及び保温剤(複合水酸化物)を投入し、溶融混練した。
A層、B層、及びC層の各層の厚さがA層:B層:C層=1:3:1(厚み比20:60:20)になるようインフレーション法で3層を共押出しし、厚さ100μmの農業用フィルムを得た。
各層を形成する熱可塑性樹脂、ヒンダードアミン系光安定剤、遮熱剤、及び保温剤は、表2に示すものを用いた。
実施例10
3層押出機のうち、中間層を形成するための1層の押出機内に、表1に記載の配合となるように熱可塑性樹脂、ヒンダードアミン系光安定剤、遮熱剤、及び保温剤を投入し、溶融混練して、層構成が1層となるよう押出しを行った。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmの農業用フィルムを得た。
3層押出機のうち、中間層を形成するための1層の押出機内に、表1に記載の配合となるように熱可塑性樹脂、ヒンダードアミン系光安定剤、遮熱剤、及び保温剤を投入し、溶融混練して、層構成が1層となるよう押出しを行った。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmの農業用フィルムを得た。
得られた実施例1〜10、及び比較例1〜12の農業用フィルムについて、以下の評価を行った。
<遮熱性評価>
密閉したパイプハウス(縦1.5m×横1.0m×奥行2.5m)に農業用フィルムを展張し、夏場(8月)の日中の気温を測定した。気温の測定は、温度計を用い、快晴時の午後2時にパイプハウスの内外でそれぞれ行った。得られた測定値から、下記式に基づいて気温差を算出した。
[気温差(℃)]=[パイプハウス内の気温(℃)]−[パイプハウス外の気温(℃)]
算出された気温差から、以下の評価基準に従って評価した。
◎:気温差が5℃以上であった。
○:気温差が3℃以上5℃未満であった。
△:気温差が1℃以上3℃未満であった。
×:気温差が1℃未満であった。
密閉したパイプハウス(縦1.5m×横1.0m×奥行2.5m)に農業用フィルムを展張し、夏場(8月)の日中の気温を測定した。気温の測定は、温度計を用い、快晴時の午後2時にパイプハウスの内外でそれぞれ行った。得られた測定値から、下記式に基づいて気温差を算出した。
[気温差(℃)]=[パイプハウス内の気温(℃)]−[パイプハウス外の気温(℃)]
算出された気温差から、以下の評価基準に従って評価した。
◎:気温差が5℃以上であった。
○:気温差が3℃以上5℃未満であった。
△:気温差が1℃以上3℃未満であった。
×:気温差が1℃未満であった。
<保温性評価>
農業用フィルムの吸収スペクトルを赤外線分光光度計(日本分光社製、商品名「FT/IR−410」)を用いて測定し、各波長の赤外線吸収率に15℃の黒体輻射エネルギー吸収率を乗じて規格化し、400〜2000cm−1の波長範囲に亘って積算した。得られたエネルギー吸収率の総黒体輻射エネルギーに対する百分率を保温指数とし、以下の評価基準に従って評価した。
◎:保温指数が80%以上であった。
○:保温指数が50%以上80%未満であった。
×:保温指数が50%未満であった。
農業用フィルムの吸収スペクトルを赤外線分光光度計(日本分光社製、商品名「FT/IR−410」)を用いて測定し、各波長の赤外線吸収率に15℃の黒体輻射エネルギー吸収率を乗じて規格化し、400〜2000cm−1の波長範囲に亘って積算した。得られたエネルギー吸収率の総黒体輻射エネルギーに対する百分率を保温指数とし、以下の評価基準に従って評価した。
◎:保温指数が80%以上であった。
○:保温指数が50%以上80%未満であった。
×:保温指数が50%未満であった。
<透明性評価>
作製直後の農業用フィルムの全光線透過率を、ヘーズ測定器(日本電色工業社製 商品名「MDH2000」)により測定し、以下の評価基準に従って評価した。
◎:全光線透過率が90%以上であった。
○:全光線透過率が80%以上90%未満であった。
△:全光線透過率が65%以上80%未満であった。
×:全光線透過率が65%未満であった。
作製直後の農業用フィルムの全光線透過率を、ヘーズ測定器(日本電色工業社製 商品名「MDH2000」)により測定し、以下の評価基準に従って評価した。
◎:全光線透過率が90%以上であった。
○:全光線透過率が80%以上90%未満であった。
△:全光線透過率が65%以上80%未満であった。
×:全光線透過率が65%未満であった。
<耐久性(遮熱性能持続性)評価>
作製直後の農業用フィルムについて、キセノンランプ式耐候性促進試験機(アトラス社製 商品名「Ci4000」)を用いて、ISO4892−2に準拠した測定方法により、2000時間ランプ照射を行った。ランプ照射後の農業用フィルムの耐久性(遮熱性能が持続されているかどうか)について、上記遮熱性評価試験を行い評価した。
作製直後の農業用フィルムについて、キセノンランプ式耐候性促進試験機(アトラス社製 商品名「Ci4000」)を用いて、ISO4892−2に準拠した測定方法により、2000時間ランプ照射を行った。ランプ照射後の農業用フィルムの耐久性(遮熱性能が持続されているかどうか)について、上記遮熱性評価試験を行い評価した。
結果を表1に示す。
なお、表2において、MFRは、JIS K−7210に準拠して温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定された値である。
1…農業用フィルム、2…A層、3…B層、4…C層
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂100質量部に対して、タングステン酸セシウム微粒子0.05〜0.8質量部、及び、ハイドロタルサイト類微粒子3〜15質量部を含有する、
ことを特徴とする農業用フィルム。 - 前記タングステン酸セシウム微粒子の平均粒子径は、50〜500nmである、請求項1に記載の農業用フィルム。
- 前記ハイドロタルサイト類微粒子の平均粒子径は、100〜1000nmである、請求項1又は2に記載の農業用フィルム。
- 更に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
Priority Applications (1)
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