JP6576723B2 - 農業用多層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、農業用多層フィルムに関する。
従来、農業の分野では、農作物を栽培する場合、市場性及び生産性を高めるために、塩化ビニルフィルムや、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリオレフィン系樹脂を主体とした特殊フィルム等の農業用フィルムにより被覆して有用作物を栽培する、ハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。
上述のハウス栽培等に用いられる農業用フィルムは、紫外線を透過するとハウス等の内部に紫外線が照射され、当該紫外線が原因となって害虫が集まり、農作物が被害を受けるという問題がある。また、夜間にハウス等の内部で照明を点灯した場合も、照明から照射されて漏れ出る紫外線が原因となって害虫が集まり、農作物が被害を受けるという問題がある。
このような問題が解消された農業用フィルムとして、3層以上を有する多層フィルムにおいて、Si等の特定の原子を含有する無機化合物をフィルム全層中に3%以上含有し、トリアジン系紫外線吸収剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とを含有する農業用多層フィルムが提案されている(特許文献1参照)。当該農業用多層フィルムは、上述の構成であることにより紫外線の透過を抑制し、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制している(特許文献1の[0011]参照)。
特許第4279573号公報
しかしながら、上述の農業用フィルムは、紫外線抑制効果の長期持続性について十分に検討されていない。農業用フィルムは、ハウス栽培等に用いられる際に長期間屋外で日光等に曝されるため劣化し易く、紫外線抑制効果の長期持続性に劣るという問題がある。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、カットできる紫外線の波長領域が広いが、上述の農業用フィルムでは、長期間に亘って紫外線に対する広いカット領域を維持することが困難である。
また、上述の農業用フィルムは、耐候性についても十分に検討されていない。上述の農業用フィルムは、ハウス栽培等に用いられる際に長期間屋外で日光等に曝されるため劣化し易く、十分な耐候性を備えていないと破損してしまうという問題がある。従来の農業用フィルムにおいては、耐候性を付与するために、光安定剤が用いられるが、光安定剤には即効性・高失活型のNH型と、遅行性・低失活性型のNR型及びNOR型とが存在する。農業用多層フィルムにおいては、遅行性・低失活性型のNR型又はNOR型の光安定剤がハウス等の外側に含有されていない場合、耐候性の長期持続性に劣るという問題がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性及び耐候性の長期持続性に優れた農業用多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、A層、B層、及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムにおいて、上記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含み、上記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、上記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む構成として、上記トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を、それぞれ特定の範囲とすれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の農業用多層フィルムに関する。
1.A層、B層、及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムであって、
前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含み、
前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含み、
前記農業用多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤を0.03〜0.4質量部、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0質量部、及び、前記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を0.1〜1.0質量部含有する、
ことを特徴とする農業用多層フィルム。
2.前記A層中の前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.6質量部以下である、項1に記載の農業用多層フィルム。
3.前記A層中の前記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部である、項1又は2に記載の農業用多層フィルム。
4.前記A層中の前記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部である、項1〜3のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
5.前記A層中の、前記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1000以上5000以下である、項1〜4のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
6.前記ヒンダードアミン系光安定剤は、NR型ヒンダードアミン系光安定剤であり、更に、NH型ヒンダードアミン系光安定剤を含む、項1〜5のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
7.前記C層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含む、項1〜6のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
8.前記トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤である、項1〜7のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
本発明の農業用多層フィルムは、ハウス等に用いられる際に外側の層となるA層に、ブリードアウトし難いトリアジン系紫外線吸収剤を含み、且つ、光安定剤として遅行性・低失活性型の、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含むので、紫外線の抑制効果、及び耐候性の長期持続性に優れている。また、本発明の農業用多層フィルムは、A層及びB層にカットできる紫外線の波長領域が広いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むので、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果に優れている。
更に、本発明の農業用フィルムは、上記トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、それぞれ特定の範囲となっているので、紫外線抑制効果、及び耐候性の長期持続性に優れている。
即ち、本発明によれば、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性及び耐候性の長期持続性に優れた農業用多層フィルムを得ることができる。
本発明の農業用多層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。
本発明の農業用多層フィルムは、A層、B層、及びC層がこの順に積層されており、上記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含み、上記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、上記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含み、上記農業用多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、上記トリアジン系紫外線吸収剤を0.03〜0.4質量部、上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0質量部、及び、上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を0.1〜1.0質量部含有する。
以下、本発明の農業用多層フィルムについて詳細に説明する。
(A層)
A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含む。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等を用いることができ、例えば、高密度、低密度又は直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.890〜0.935の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜10g/10分が好ましく、0.1〜5g/10分がより好ましい。該MFRがこの範囲より大きいと成形時に農業用フィルムが蛇行して安定しないおそれがある。また、該MFRがこの範囲より小さいと成形時の樹脂圧力が増大し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧力の増大を抑制しなければならくなって、実用性に乏しくなるおそれがある。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS K7112により測定される密度は、0.880〜0.930g/cmが好ましく、0.880〜0.920g/cm がより好ましい。該密度が上記範囲であることにより、本発明の農業用多層フィルムがより透明性に優れ、且つ、表面のべたつきが抑制されてブロッキングの発生を抑制することができる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜3.5が好ましく、1.5〜3.0がより好ましい。該分子量分布が上記範囲であることのより、農業用多層フィルムの機械的強度が優れ、且つ、成形時に農業用多層フィルムの蛇行が抑制されて、生産性に優れる。
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、当該酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が3〜25重量%の範囲が好ましく、5〜20重量%の範囲がより好ましい。酢酸ビニル含有量を上記範囲とすることにより、農業用多層フィルムの硬化が抑制されてハウスへの展張時にシワや弛みの発生が抑制され、且つ、より優れた防曇性を示す。また、酢酸ビニル含有量を上記範囲とすることにより、樹脂の融点の低下によるハウス展張時の夏場の高温下での農業用多層フィルムの弛みが抑制され、風でばたついてハウス構造体との擦れを生じることによる破れの発生を抑制することができる。
A層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含む。トリアジン系紫外線吸収剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤、ビスレゾルシニルトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン)、オクチルトリアゾン(2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン)等が挙げられる。中でも、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
上記トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤の分子量は600以上が好ましい。分子量が600以上のトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤を用いることにより、本発明の農業用多層フィルムが、より優れた紫外線抑制効果の長期持続性を示す。
上記トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤としては特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
ここで、式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。好ましくは、Rは炭素数6〜10のアルキル基、より好ましくは、炭素数6〜8のアルキル基であり、R〜Rは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 1577F」、「TINUVIN 1600」やサイテック社製 商品名「UV1164」等が挙げられる。
A層中の上記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、A層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部が好ましく、0.2〜0.7質量部がより好ましい。A層中の上記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示し、且つ、これらの長期持続性にも優れる。
A層は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては特に限定されないが、例えば、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ‐3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 326」、「TINUVIN 329」等が挙げられる。
A層中の上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、A層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.6質量部以下が好ましく、0.4質量部以下がより好ましい。また、上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。A層中の上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムが優れた透明性を示し、且つ、透明性の長期持続性にも優れる。
A層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含む。このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、いわゆるNR型ヒンダードアミン系光安定剤や、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(2)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNR型ヒンダードアミンが挙げられる。
ここで、式(2)中、Rは、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基、又は有機の官能基である。
上記ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基又は有機の官能基としては、例えば、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチレン基を含む官能基又は化合物が挙げられる。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチレン基を含む化合物としては、例えばアルキル基が挙げられ、オリゴマーやポリマーも含む。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(3)〜(11)で表されるものが挙げられる。
ここで、式(11)中、nは重合度を示す自然数である。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(11)で表されるものを用いることが好ましい。
上記式(11)で表されるNR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」等が挙げられる。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。重量平均分子量が低過ぎると、NR型ヒンダードアミン系光安定剤がブリードアウトし易くなるおそれがある。上記重量平均分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(12)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNOR型ヒンダードアミンが挙げられる。
ここで、式(12)中、Rは有機基、又は有機の官能基である。
上記有機基、又は有機の官能基としては、例えば、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチレン基を含む官能基又は化合物を表す。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチレン基を含む化合物は、オリゴマーやポリマーも含む。具体的には、Rとしては、例えば、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(13)で表されるものが挙げられる。
上記式(13)で表されるNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 123」等が挙げられる。また、他のNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN NOR 371」、株式会社ADEKA製 商品名「LA−81」、クラリアントジャパン社製 商品名「Hostavin NOW」が挙げられる。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。重量平均分子量が低過ぎると、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤がブリードアウトし易くなるおそれがある。上記重量平均分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
A層中の上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、A層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.4質量部がより好ましい。A層中の上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示し、且つ、これらの長期持続性にも優れる。
A層は、更に、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては、いわゆるNH型ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(14)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNH型ヒンダードアミンが挙げられる。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(15)〜(18)で表されるものが挙げられる。
式(15)中、Rは、tert−オクチル基であり、nは重合度を示す自然数である。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(15)で表されるものを用いることが好ましい。
上記式(15)で表されるNH型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」等が挙げられる。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。重量平均分子量が低過ぎると、NH型ヒンダードアミン系光安定剤がブリードアウトし易くなるおそれがある。また、上記重量平均分子量は、5000以下が好ましい。
A層中の上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、A層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.4質量部がより好ましい。A層中の上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示す。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。このようなヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、本発明の農業用多層フィルムが初期紫外線劣化抑制効果に優れ、且つ、紫外線劣化抑制効果の長期持続性に優れる。
A層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム複合水酸化物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用多層フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出し変動を改善することができる。
(B層)
B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。
B層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に含まれるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。
B層は、上記ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなる。B層の層数は特に限定されないが、1〜3層であることが好ましく、1層であることがより好ましい。
本発明の農業用多層フィルムのB層を構成する少なくとも1層には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては特に限定されず、上記A層に含まれるものと同一のものを用いることができる。
B層中の上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、B層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜2.0質量部が好ましく、0.5〜1.0質量部がより好ましい。B層中の上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムが優れた透明性を示し、且つ、透明性の長期持続性にも優れる。
B層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に含まれるものと同一のものを用いることができる。
B層中の上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、B層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.4質量部がより好ましい。B層中の上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示し、且つ、これらの長期持続性にも優れる。
B層は、更にピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に含まれるものと同一のものを用いることができる。
B層中の上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、B層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.4質量部がより好ましい。B層中の上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示す。
B層が複数の層からなる場合、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤と同一の層に含まれていてもよいし、異なる層に含まれていてもよい。同一層内でヒンダードアミン系光吸収剤の濃度が高くなることに起因する押出効果により生じる、ヒンダードアミン系光吸収剤のブリードアウトを抑制することができる点から、上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤とは異なる層に含まれることが好ましい。
B層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム複合水酸化物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用多層フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出し変動を改善することができる。
(C層)
C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む層である。C層に含まれるポリエチレン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に含まれるポリエチレン系樹脂と同一のものを用いることができる。
C層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含むことが好ましい。C層がトリアジン系紫外線吸収剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より紫外線の抑制効果に優れる。C層に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤としては特に限定されず、上記A層に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤と同一のものを用いることができる。
C層中の上記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、C層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部が好ましく、0.2〜0.7質量部がより好ましい。C層中の上記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示し、且つ、これらの長期持続性にも優れる。
C層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に含まれるものと同一のものを用いることができる。
C層中の上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、C層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.4質量部がより好ましい。C層中の上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を上述の範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示し、且つ、これらの長期持続性にも優れる。
C層は、更にピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に含まれるものと同一のものを用いることができる。
C層中の上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、C層中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.4質量部がより好ましい。C層中の上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の多層フィルムがより優れた耐候性及び紫外線抑制効果を示す。
C層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム複合水酸化物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用多層フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出し変動を改善することができる。
(農業用多層フィルム)
本発明の農業用多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、上記トリアジン系紫外線吸収剤を0.03〜0.4質量部含有する。トリアジン系紫外線吸収剤の含有量が0.03質量部より少ないと、農業用多層フィルムの紫外線の抑制効果が十分とならず、0.4質量部より多いと、トリアジン系紫外線吸収剤がブリードアウトし易くなる。上記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、0.1〜0.3質量部であることが好ましい。
本発明の農業用多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0質量部含有する。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が0.1質量部より少ないと、農業用フィルムが長期間に亘って紫外線に対する広いカット領域を維持することが困難となり、1.0質量部より多いと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がブリードアウトし易くなる。上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、0.3〜0.8質量部であることが好ましい。
本発明の農業用多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を0.1〜1.0質量部含有する。当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が0.1質量部より少ないと、農業用フィルムが耐候性の長期持続性に劣り、1.0質量部より多いと、同一層内の添加剤濃度が高くなることに起因する押出効果により、同一層内のトリアジン系紫外線吸収剤や、必要に応じて同一層内に添加された、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤がブリードアウトし易くなる。
本発明の農業用多層フィルムがピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部であることが好ましく、0.3〜0.6質量部であることがより好ましい。ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量が少な過ぎると、耐候性に劣るおそれがあり、多すぎると、同一層内の添加剤濃度が高くなることに起因する押出効果により、同一層内のトリアジン系紫外線吸収剤や、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤がブリードアウトし易くなるおそれがある。
本発明の農業用多層フィルムが無機保温剤を含有する場合、当該無機保温剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。無機保温剤の含有量が少な過ぎると、保温性向上効果、及びフィルム成形時の押出し変動改善効果が十分に発揮できないおそれがあり、無機保温剤の含有量が多すぎると、添加量に見合った効果が得られないために、経済性に劣るおそれがある。
本発明の農業用多層フィルムは、図1のように、上述のA層、B層、及びC層がこの順に積層されている。図1は本発明の農業用多層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。本発明の農業用多層フィルムをハウス栽培やトンネル栽培に用いる際は、A層がハウス等の外側となるようにして用いると、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性の長期持続性に優れるという本発明の効果を効率よく発揮することができる。
本発明の農業用多層フィルムの厚みは特に限定されないが、30〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましく、75〜150μmが更に好ましい。上記農業用多層フィルムの厚みが薄過ぎると、コシが弱くなるため作業性に劣るおそれがあり、また、破損し易くなるおそれがある。上記農業用多層フィルムの厚みが厚過ぎると、柔軟性に劣り、施工し難くなるおそれがある。
本発明の農業用多層フィルムを構成する各層の厚み比は、A層:B層:C層=1:1:1〜1:6:1であることが好ましく、1:1:1〜1:4:1がより好ましい。A層及びC層が薄過ぎると、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、農業用多層フィルムの表面にブリードアウトし易くなるおそれがある。また、A層及びC層が厚過ぎると、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の濃度が低下してしまい、紫外線をカットする範囲が小さくなるおそれがある。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例及び比較例
3層押出機のそれぞれの押出機内に、A層、B層、及びC層の各層が表1に記載の配合となるようにポリオレフィン系樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、及びマグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を投入し、溶融混練した。
A層、B層、及びC層の各層の厚さがA層:B層:C層=1:3:1(厚み比20:60:20)になるようインフレーション法で3層を共押出しし、厚さ150μmの農業用多層フィルムを得た。
各層を形成するポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤(NR型ヒンダードアミン系光安定剤)、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤(NH型ヒンダードアミン系光安定剤)、及びマグネシウムアルミニウム系複合水酸化物として、表2に示すものを用いた。
得られた実施例及び比較例農業用多層フィルムについて、以下の評価を行った。
<耐候性試験>
JIS K7350−2(ISO4892−2)に準拠した測定方法により、キセノンウエザー試験により4000時間、又は8000時間照射後、JIS K7128に準拠した引張破断伸度測定方法により残存伸度を測定し、下記基準に従って評価した。
◎:残存伸度が初期値の80%以上である
○:残存伸度が初期値の60%以上80%未満である
△:残存伸度が初期値の40%以上60%未満である
×:残存伸度が初期値の40%未満である
<紫外線抑制試験>(初期紫外線抑制試験)
製造直後の農業用多層フィルムについて、JIS K0115に準拠した測定方法により、分光光度計を用いて可視紫外分光スペクトルを測定し、紫外線領域のカット範囲、及びカット率を下記基準に従って評価した。
◎:300〜380nmにおける全光線透過率が2%未満である
○:300〜380nmにおける全光線透過率が2%以上5%未満である
△:300〜380nmにおける全光線透過率が5%以上10%未満である
×:300〜380nmにおける全光線透過率が10%以上である
<紫外線抑制効果の持続性試験>
3年間屋外において暴露後の農業用多層フィルムについて、JIS K0115に準拠した測定方法により、分光光度計を用いて可視紫外分光スペクトルを測定し、紫外線領域のカット率を下記基準に従って評価した。
◎:340nmにおける全光線透過率が2%未満である
○:340nmにおける全光線透過率が2%以上5%未満である
△:340nmにおける全光線透過率が5%以上10%未満である
×:340nmにおける全光線透過率が10%以上である
<透明性試験>
JIS K7350−2(ISO4892−2)に準拠した測定方法により、キセノンウエザー試験により4000時間照射後および8000時間照射後、JIS K7136に準拠したヘーズ測定方法によりヘーズを測定し、下記基準に従って評価した。
○:ヘーズ値が20%未満である
△:ヘーズ値が20%以上30%未満である
×:ヘーズ値が30%以上である
結果を表1に示す。
なお、表2において、MFRは、JIS K−7210に準拠して温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定された値である。
1…農業用多層フィルム、2…A層、3…B層、4…C層

Claims (8)

  1. A層、B層、及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムであって、
    前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含み、
    前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
    前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含み、
    前記A層中の前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.4質量部以下であり、
    前記農業用多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤を0.03〜0.4質量部、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.1〜1.0質量部、及び、前記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を0.1〜1.0質量部含有する、
    ことを特徴とする農業用多層フィルム。
  2. 前記A層中の前記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.2質量部以上である、請求項1に記載の農業用多層フィルム。
  3. 前記A層中の前記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.2〜1.0質量部である、請求項1又は2に記載の農業用多層フィルム。
  4. 前記A層中の前記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記A層中の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
  5. 前記A層中の、前記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1000以上5000以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
  6. 前記ヒンダードアミン系光安定剤は、NR型ヒンダードアミン系光安定剤であり、更に、NH型ヒンダードアミン系光安定剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
  7. 前記C層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
  8. 前記トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
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