JP2016175413A - 農業用多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】全光線透過率を十分に確保しつつ栽培物の葉焼けを抑制する効果、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性の長期持続性に優れた農業用多層フィルムを提供する。
【解決手段】A層、B層及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムであって、
(1)前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及び雲母を含み、当該A層の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記雲母の含有量が1〜10質量部であり、
(2)前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
(3)前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、
ことを特徴とする農業用多層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、農業用多層フィルムに関する。
従来、農業の分野では、農業用作物を栽培する場合、市場性及び生産性を高めるために、塩化ビニルフィルムや、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリオレフィン系樹脂を主体とした特殊フィルム等の農業用フィルムにより被覆して有用作物を栽培する、ハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。
上述のハウス栽培においては、特に夏場の高温障害として葉焼け現象が知られている。葉焼け現象とは、ハウス内に直達光線が多く入ることで栽培物の葉に強い光が当たり葉が焼けることを意味する。この葉焼け防止対策として、ハウスを酸化チタンなどで着色して直達光線量を低減する方法があるが、その場合には全光線透過率も低下してしまう。全光線透過率が低下するとハウス内への太陽光線の透過が少なくなり、作物自体の栽培に悪影響を及ぼしてしまう。かかるハウス内への太陽光線の透過と散乱のバランスを調整し、全光線透過率を過度に下げずに栽培物の葉焼けを抑制する、作物の栽培に適した農業用フィルムを提案する先行文献として特許文献1がある。特許文献1には具体的に、農業用フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂フィルムに雲母を添加することが開示されている。
また、ハウス栽培等に用いられる農業用フィルムは、長期間屋外で日光等に曝されるため劣化し易く、十分な耐候性を備えていないと破損してしまうという問題がある。
更に、上述のハウス栽培等に用いられる農業用フィルムが紫外線を透過すると、ハウス等の内部に紫外線が照射され、当該紫外線が原因となって害虫が集まり、農作物が被害を受けるという問題がある。また、夜間にハウス等の内部で照明を点灯した場合も、照明から照射されて漏れ出る紫外線が原因となって害虫が集まり、農作物が被害を受けるという問題がある。
このような問題が解消された農業用フィルムとして、3層以上を有する多層フィルムにおいて、Si等の特定の原子を含有する無機化合物をフィルム全層中に3%以上含有し、トリアジン系紫外線吸収剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とを含有する農業用多層フィルムが提案されている(特許文献2参照)。当該農業用多層フィルムは、上述の構成であることにより紫外線の透過を抑制し、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制している(特許文献2の[0011]参照)。
特許第5638901号公報 特許第4279573号公報
しかしながら、上述の農業用フィルムは、紫外線吸収剤を含有する層構成について十分に検討されていない。上述の農業用フィルムでは、トリアジン系紫外線吸収剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とが同一の層に含有されて用いられており、同一層内で紫外線吸収剤の濃度が高くなることに起因する押出効果により、ブリードアウトし易いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が層外へ押出され、紫外線抑制効果の長期持続性に劣るという問題がある。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、カットできる紫外線の波長領域が広いので、上述の農業用フィルムでは、長期間に亘って紫外線に対する広いカット領域を維持することが困難である。
また、上述の農業用フィルムは、耐候性についても十分に検討されていない。従来の農業用フィルムにおいては、耐候性を付与するために、光安定剤が用いられるが、光安定剤には即効性・高失活性型のNH型と、遅行性・低失活性型のNR型及びNOR型とが存在する。農業用多層フィルムにおいては、遅行性・低失活性型のNR型又はNOR型の光安定剤がハウス等の外側に含有されていない場合、耐候性の長期持続性に劣るという問題がある。更に、近年では農業就業者の高齢化に伴い、農業用フィルム張り替え作業の手間や経済的な問題により、できるだけ長期間同じフィルムを使用し続ける傾向がある。その場合、フィルム耐久性は勿論のこと、その機能(紫外線カット効果)の持続がこれまで以上に求められている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、全光線透過率を十分に確保しつつ栽培物の葉焼けを抑制する効果、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性の長期持続性に優れた農業用多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、A層、B層及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムにおいて、A層、B層及びC層を特定の成分により構成する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の農業用多層フィルムに関する。
1.A層、B層及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムであって、
(1)前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及び雲母を含み、当該A層の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記雲母の含有量が1〜10質量部であり、
(2)前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
(3)前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、
ことを特徴とする農業用多層フィルム。
2.前記雲母の平均粒子径が5〜40μmである、上記項1に記載の農業用多層フィルム。
3.前記C層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含む、上記項1又は2に記載の農業用多層フィルム。
4.前記トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤である、上記項1〜3のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
5.前記A層、前記B層及び前記C層の少なくとも1層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有する、上記項1〜4のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
本発明の農業用多層フィルムは、特に、
(1)前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及び雲母を含み、当該A層の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記雲母の含有量が1〜10質量部であり、
(2)前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
(3)前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、
構成とすることにより、全光線透過率を十分に確保しつつ栽培物の葉焼けを抑制する効果、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性の長期持続性に優れている。
先ず、ハウス等に用いられる際に外側の層となるA層に、ブリードアウトし難いトリアジン系紫外線吸収剤を含むことにより、紫外線の抑制効果、及び耐候性の長期持続性に優れている。また、A層のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して雲母を1〜10質量部含有することにより、全光線透過率を十分に確保しつつ栽培物の葉焼けを抑制する効果が得られるだけでなく、トリアジン系紫外線吸収剤のブリードアウトがより効率的に抑制されている。ここで、雲母を含有することによるトリアジン系紫外線吸収剤のブリードアウトをより効率的に抑制する効果は、雲母が層状鉱物であることにより、A層に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤が外側にブリードアウトするには層状鉱物である雲母の隙間をくぐるように移動しなければならず、雲母を含有しない場合と比較してブリードアウトまでに要する時間がより長くなることに起因すると考えられる。更に、同様の理由から、後述するB層に含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がA層を通って外側にブリードアウトすることも効率的に抑制されている。
また、A層及びC層に被覆された中間層となるB層に、カットできる紫外線の波長領域が広いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むので、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果に優れている。
更に、トリアジン系紫外線吸収剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とが、それぞれ異なる層に含まれるので、同一層内で紫外線吸収剤の濃度が高くなることに起因する押出効果が生じないため、紫外線吸収剤のブリードアウト、特に、ブリードアウトし易いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制されており、紫外線抑制効果の長期持続性に優れている。当該ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、カットできる紫外線の波長領域が広いので、本発明の農業用フィルムは、長期間に亘って紫外線に対する広いカット領域を維持することができる。
本発明の農業用多層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の農業用多層フィルムについて詳細に説明する。
本発明の農業用多層フィルムは、A層、B層及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムであって、
(1)前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及び雲母を含み、当該A層の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記雲母の含有量が1〜10質量部であり、
(2)前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
(3)前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、
ことを特徴とする。
上記農業用多層フィルムは、先ず、ハウス等に用いられる際に外側の層となるA層に、ブリードアウトし難いトリアジン系紫外線吸収剤を含むことにより、紫外線の抑制効果、及び耐候性の長期持続性に優れている。また、A層のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して雲母を1〜10質量部含有することにより、全光線透過率を十分に確保しつつ栽培物の葉焼けを抑制する効果が得られるだけでなく、トリアジン系紫外線吸収剤のブリードアウトがより効率的に抑制されている。ここで、雲母を含有することによるトリアジン系紫外線吸収剤のブリードアウトをより効率的に抑制する効果は、雲母が層状鉱物であることにより、A層に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤が外側にブリードアウトするには層状鉱物である雲母の隙間をくぐるように移動しなければならず、雲母を含有しない場合と比較してブリードアウトまでに要する時間がより長くなることに起因すると考えられる。更に、同様の理由から、後述するB層に含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がA層を通って外側にブリードアウトすることも効率的に抑制されている。
また、A層及びC層に被覆された中間層となるB層に、カットできる紫外線の波長領域が広いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むので、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果に優れている。
更に、トリアジン系紫外線吸収剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とが、それぞれ異なる層に含まれるので、同一層内で紫外線吸収剤の濃度が高くなることに起因する押出効果が生じないため、紫外線吸収剤のブリードアウト、特に、ブリードアウトし易いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制されており、紫外線抑制効果の長期持続性に優れている。当該ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、カットできる紫外線の波長領域が広いので、本発明の農業用フィルムは、長期間に亘って紫外線に対する広いカット領域を維持することができる。
以下、本発明の農業用多層フィルムの各層について説明する。
(A層)
A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及び雲母を含む。A層は、本発明の農業用フィルムを、例えばハウス栽培のハウスに用いる場合には、ハウスの外側(即ち最外層)に位置する層である。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、エチレンまたはα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンまたはα−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、エチレンまたはα−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等を用いることができ、例えば、高密度、低密度又は直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.890〜0.935g/cmの低密度ポリエチレンや、エチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30質量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜10g/10分が好ましく、0.1〜5g/10分がより好ましい。該MFRを好ましい範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS K7112により測定される密度は、0.880〜0.930g/cmが好ましく、0.890〜0.920g/cmがより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムの透明性が確保し易いとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は0.5〜3.5が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。該分子量分布を好ましい範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行を減らして成形性を高めることができるとともに、農業用多層フィルムの機械的強度を確保し易くなる。
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、当該酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が3〜25質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲がより好ましい。該酢酸ビニル含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの硬さを好適化することができるため、ハウスへの展張時にシワや弛みの発生を効果的に抑制することができる。また、夏季の高温下でも農業用多層フィルムの弛みを抑制することができるため、弛みによるバタツキやハウス構造体との擦れ等による破れを抑制し易くなる。
A層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含む。トリアジン系紫外線吸収剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤、ビスレゾルシニルトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン)、オクチルトリアゾン(2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン)等が挙げられる。中でも、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜10質量部であればよいが、0.1〜1質量部が好ましく、0.2〜0.7質量部がより好ましく、0.3〜0.6質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムの紫外線抑制効果を十分に確保できるとともにトリアジン系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
上記トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤の分子量は600以上が好ましい。分子量が600以上のトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤を用いることにより、本発明の農業用多層フィルムが、より優れた紫外線抑制効果の長期持続性を示す。
上記トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤としては特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
ここで、式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。好ましくは、Rは炭素数6〜10のアルキル基、より好ましくは、炭素数6〜8のアルキル基であり、R〜Rは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 1577F」、「TINUVIN 1600」やサイテック社製 商品名「UV1164」等が挙げられる。
A層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい(なお、当該ヒンダードアミン系光安定剤はA層だけでなく、A層、B層及びC層の少なくとも1層に含めることができ、特にA層、B層及びC層の全層に含めることが好ましい。)。なお、前記有機基はそれ自体で反応性の少ない、例えばメチル基などを意味し、前記有機の官能基はそれ自体で反応性を有する官能基を意味する。
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、いわゆるNR型ヒンダードアミン系光安定剤や、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。なお、NR型ヒンダードアミン系光安定剤とは、ヒンダードアミン系光安定剤のうち、ピペリジン環の窒素原子に炭素原子が直接結合しているものをいい、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤とは、ヒンダードアミン系光安定剤のうち、ピペリジン環の窒素原子に、酸素原子を介して炭素原子が結合しているものをいう。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(2)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNR型ヒンダードアミンが挙げられる。
ここで、式(2)中、Rは、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基、又は有機の官能基である。
上記ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基又は有機の官能基としては、例えば、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む官能基又は化合物が挙げられる。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む化合物としては、例えばアルキル基が挙げられ、オリゴマーやポリマーも含む。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(3)〜(11)で表されるものが挙げられる。
ここで、式(11)中、nは重合度(繰り返し単位の数)を示す自然数である。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(11)で表されるものを用いることが好ましい。
上記式(11)で表されるNR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」等が挙げられる。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NR型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(12)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNOR型ヒンダードアミンが挙げられる。
ここで、式(12)中、Rは有機基、又は有機の官能基である。
上記有機基、又は有機の官能基としては、例えば、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む官能基又は化合物を表す。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む化合物は、オリゴマーやポリマーも含む。具体的には、Rとしては、例えば、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(13)で表されるものが挙げられる。
上記式(13)で表されるNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 123」等が挙げられる。また、他のNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN NOR 371」、株式会社ADEKA製 商品名「LA−81」、クラリアントジャパン社製 商品名「Hostavin NOW」が挙げられる。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
A層は、更に、ピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤(いわゆるNH型ヒンダードアミン系光安定剤)を含んでいてもよい(なお、当該ヒンダードアミン系光安定剤はA層だけでなく、A層、B層及びC層の少なくとも1層に含めることができ、特にA層、B層及びC層の全層に含めることが好ましい。)。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムがより耐候性に優れる。
NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(14)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNH型ヒンダードアミンが挙げられる。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(15)〜(18)で表されるものが挙げられる。
式(15)中、Rは、tert−オクチル基であり、nは重合度を示す自然数である。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(15)で表されるものを用いることが好ましい。
上記式(15)で表されるNH型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」等が挙げられる。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NH型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。このようなヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、本発明の農業用多層フィルムが初期紫外線劣化抑制効果に優れ、且つ、紫外線劣化抑制効果の長期持続性に優れる。NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むヒンダードアミン系光安定剤(NR−NH混合型ヒンダードアミン系光安定剤)としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」とBASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」との混合物であるBASF社製 商品名「TINUVIN 783」などが挙げられる。
A層が上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合の含有量は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましく、0.2〜2質量部がより好ましく、0.3〜1質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムの良好な耐候性を確保することができるだけでなく、光安定剤の含有量が適切な範囲であることでA層に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
A層は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、雲母を1〜10質量部含有する。雲母の含有量が1質量部未満の場合には農業用多層フィルムの散乱光透過率が低下し、結果的に葉焼け防止効果が減少する。雲母が10質量部より多いと、全光線透過率が低下し、作物の生育を阻害する。よって、本発明では雲母の含有量を1〜10質量部に規定している。その中でも、雲母の含有量は1.5〜7質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。
雲母としては、天然に産生した白雲母、金雲母、及びこれらを乾式粉砕又は湿式粉砕したものを使用することができる。また、タルク等から製造される、合成雲母も使用することができる。特に、水熱合成、固相反応合成、溶融合成等の方法で合成することができ、特に化学的純粋性が高く、透明性を阻害する重金属等の不純物が少ないフッ素雲母や四珪素雲母等を好ましく使用することができる。この中でも、KMgAlSi20の組成式で表されるフッ素金雲母(Fluorphlogopite)やKMg2.5Si10の組成式で表されるカリウム四珪素金雲母等を好ましく使用することができる。
雲母の平均粒子径は限定的ではないが、5〜40μmが好ましく、8〜30μmがより好ましい。なお、本明細書における平均粒子径は、レーザー回折法での測定値である。
A層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。但し、無機保温剤には雲母は含まれない。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用多層フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出変動を改善することができる。ここで、押出変動とは、例えば、防曇剤(例えば高級脂肪酸エステル類)等を練り込んだフィルムを押出成膜する場合に低融点の防曇剤が多く練り込まれていると押出機内でスリップしてしまい樹脂組成物が押し出しにくくなるような現象をいう。
(B層)
B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。
B層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に使用できるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。
B層は、上記ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなる。B層の層数は特に限定されないが、1〜3層であることが好ましく、1層であることがより好ましい。
本発明の農業用多層フィルムのB層を構成する少なくとも1層には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては特に限定されないが、例えば、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
B層に含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、当該B層(B層全体)に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.3〜3質量部がより好ましく、0.5〜2質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムに良好な紫外線抑制効果を付与することができるとともに、含有量が適切であることでB層に含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 326」、「TINUVIN 329」等が挙げられる。
B層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
B層は、更にピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
B層が複数の層からなる場合、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤と同一の層に含まれていてもよいし、異なる層に含まれていてもよい。同一層内でヒンダードアミン系光安定剤の濃度が高くなることに起因する押出効果により生じる、ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制することができる点から、上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤とは異なる層に含まれることが好ましい。
B層は、前述の通り、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤及び/又はピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有していてもよい。それらの種類及び含有量については、A層における説明と基本的に同じである。B層に含まれるヒンダードアミン光安定剤の含有量については、B層が複数の層からなる場合であっても当該B層(B層全体)に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対する質量部を意味する。
B層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用多層フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出し変動を改善することができる。
(C層)
C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む層である。C層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に使用できるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。
C層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含むことが好ましい。C層がトリアジン系紫外線吸収剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より紫外線の抑制効果に優れる。C層に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるトリアジン系紫外線吸収剤と同一のものを用いることができる。
C層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。
C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
C層は、更にピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用多層フィルムが、より耐候性に優れる。C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
C層は、前述の通り、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤及び/又はピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有していてもよい。それらの種類及び含有量については、A層における説明と同じである。
C層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。無機保温剤を含有することで、得られる農業用多層フィルムの保温性が向上するとともに、フィルム成形時の押出変動を改善することができる。樹脂組成物に無機保温剤が含まれていると押出変動が抑制される効果が得られる。
本発明の農業用多層フィルムがピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部であることが好ましく、0.3〜0.6質量部であることがより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、良好な耐候性が得られ易くなるとともに、同一層内にトリアジン系紫外線吸収剤や、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤が含まれる場合にこれらの紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。
本発明の農業用多層フィルムが無機保温剤を含有する場合、当該無機保温剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムに良好な保温性を付与し易いことに加えて、押出成形による製膜時の押出変動改善効果が十分に得られ易い。
本発明の農業用多層フィルムが上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部がより好ましく、0.3〜1質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムの良好な耐候性を確保できることに加えて、光安定剤の含有量が適切な範囲であることで農業用多層フィルムに含まれる紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
本発明の農業用多層フィルムは、図1のように、上述のA層、B層、及びC層がこの順に積層されている。図1は本発明の農業用多層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。本発明の農業用多層フィルムをハウス栽培やトンネル栽培に用いる際は、A層がハウス等の外側となるようにして用いることにより、広い範囲の波長領域の紫外線の抑制効果、及び、紫外線抑制効果の長期持続性に優れ、且つ、耐候性の長期持続性に優れるという本発明の効果を効率よく発揮することができる。
本発明の農業用多層フィルムの厚みは特に限定されないが、30〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましく、75〜150μmが更に好ましい。該厚みを好ましい範囲に設定することにより、農業用多層フィルムが適度なコシを有し、良好な取扱い性と施工性が得られ易くなる。
本発明の農業用多層フィルムを構成する各層の厚み比は、A層:B層:C層=1:1:1〜1:6:1であることが好ましく、1:2:1〜1:4:1がより好ましい。各層の厚み比を好ましい範囲に設定することにより、B層に含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の農業用多層フィルムへのブリードアウトを抑制し易くなるだけでなく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤による耐候性向上の効果が得られ易くなる。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例1〜10、比較例1〜4
3層押出機のそれぞれの押出機内に、A層、B層、及びC層の各層が表1に記載の配合となるようにポリオレフィン系樹脂、雲母、紫外線吸収剤、光安定剤、及びマグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を投入し、溶融混練した。
A層、B層、及びC層の各層の厚さがA層:B層:C層=1:3:1(厚み比20:60:20)になるようインフレーション法で3層を共押出しし、厚さ150μmの農業用多層フィルムを得た。
各層を形成するポリオレフィン系樹脂、雲母、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、NR−NH混合型ヒンダードアミン系光安定剤、及びマグネシウムアルミニウム系複合水酸化物として、表2に示すものを用いた。
得られた実施例1〜10、及び比較例1〜4の農業用多層フィルムについて、以下の評価を行った。
<全光線透過率測定試験>
JIS K7105に準拠し、農業用多層フィルムを作製直後にヘーズメーターを使用して全光線透過率を測定した。
<拡散光透過率測定試験>
JIS K7105に準拠し、農業用多層フィルムを作製直後にヘーズメーターを使用して拡散光透過率を測定した。
<耐候性試験>
JIS K7350−2(ISO4892−2)に準拠した測定方法により、キセノンウエザー試験により4000時間照射後、JIS K7128に準拠した引張破断伸度測定方法により残存伸度を測定し、下記基準に従って評価した。
◎:残存伸度が初期値の80%以上である
○:残存伸度が初期値の60%以上80%未満である
△:残存伸度が初期値の40%以上60%未満である
×:残存伸度が初期値の40%未満である
<紫外線抑制試験>(初期紫外線抑制試験)
生産直後の農業用多層フィルムについて、JIS K0115に準拠した測定方法により、分光光度計を用いて可視紫外分光スペクトルを測定し、紫外線領域のカット範囲、及びカット率を下記基準に従って評価した。
◎:300〜380nmにおける全光線透過率が2%未満である
○:300〜380nmにおける全光線透過率が2%以上5%未満である
△:300〜380nmにおける全光線透過率が5%以上10%未満である
×:300〜380nmにおける全光線透過率が10%以上である
<紫外線抑制効果の持続性試験>
3年間屋外において暴露後の農業用多層フィルムについて、JIS K0115に準拠した測定方法により、分光光度計を用いて可視紫外分光スペクトルを測定し、紫外線領域のカット範囲、及びカット率を下記基準に従って評価した。
◎:340nmにおける全光線透過率が2%未満である
○:340nmにおける全光線透過率が2%以上5%未満である
△:340nmにおける全光線透過率が5%以上10%未満である
×:340nmにおける全光線透過率が10%以上である
結果を表1に示す。
なお、表2において、MFRは、JIS K−7210に準拠して温度190℃、荷重
21.18Nの条件で測定された値である。
1…農業用多層フィルム
2…A層
3…B層
4…C層

Claims (5)

  1. A層、B層及びC層がこの順に積層された農業用多層フィルムであって、
    (1)前記A層は、ポリオレフィン系樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及び雲母を含み、当該A層の前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記雲母の含有量が1〜10質量部であり、
    (2)前記B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
    (3)前記C層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、
    ことを特徴とする農業用多層フィルム。
  2. 前記雲母の平均粒子径が5〜40μmである、請求項1に記載の農業用多層フィルム。
  3. 前記C層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含む、請求項1又は2に記載の農業用多層フィルム。
  4. 前記トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
  5. 前記A層、前記B層及び前記C層の少なくとも1層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
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