JP2012095601A - 農業用フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の光質変換剤を含有することで、農作物の増収及び栄養素の増大を生じることができ、かつフィルム中に気泡が発生することがなく、良好な光質変換能が長期間安定して保持されるポリエチレン系の農業用フィルム、及びその製造方法の提供。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対し、光質変換剤(D)を0.01〜5重量部含有した樹脂組成物層を少なくとも一層有する農業用フィルムであって、農業用フィルムを構成する全てのポリエチレン系樹脂(X)のMFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が1.0〜10g/10分であり、かつ光質変換剤(D)が、縮合生成物系の物質。
【選択図】なし

Description

本発明は、農業用フィルム、特に光質変換能を有する農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムに関し、より詳しくは、特定の光質変換剤を含有することで、農作物の増収及び栄養素の増大を生じることができ、かつフィルム中に気泡が発生することがなく、良好な光質変換能が長期間安定して保持されるポリエチレン系の農業用フィルム、及びその製造方法を提供するものである。
従来より、農作物の成長促進や抑制に光の量や性質が関係することに着目し、光の波長分布や強度を変換する光質変換技術を農業用フィルムに適用して、作物の増収や品種の改良、害虫防除、菌の成長抑制などの病害防除に役立てようとする試みが行われている。
たとえば、蛍光剤を用いて短波長光を長波長に変換する技術(特許文献1:特公昭46−24376号公報、特許文献2:特開昭50−88147号公報)が古くから知られている。また、可視光を長波長光に変換し、光合成の増強が可能とした方法(特許文献3:特開平6−41524号公報)や、紫外線領域の波長を有する光を長波長光に変換する方法も知られている(特許文献4:特開平6−46684号公報、特許文献5:特開平6−46685号公報、特許文献6:特開平6−36685号公報)。
また、昨今では、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレンに、特定のシアノピラジン誘導体の光質変換剤を配合したポリオレフィン系農業用フィルムも提案されている(特許文献7:特開平9−249775号公報)。
しかしながら、これら従来知られている光質変換剤は、一般的に熱に弱く、高温に晒されると退色や変換効率の低下が起きるため、長期にわたる光質変換能の保持が難しい。また、光質変換剤には色々な種類があるため、真に農作物に有用な光質変換を行う光質変換剤を選ぶのも難しい。したがって、農業用ハウスに展張して数年用いられるような農業用フィルムにおいて、良好で安定的な光質変換能とその他の農業用フィルムの性能を有する実用的なものは、なかなか得られていないというのが実情である。
また、農業用フィルムは従来、塩化ビニル系樹脂フィルムが多用されていたが、フィルム廃棄焼却時に有毒ガスを発生するために、このような懸念がないポリオレフィン系樹脂フィルムが積極的に用いられてきている。
そのため、本発明者らは、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる農業用フィルムにおいて、農作物の増収又は品質の向上を図るべく、種々の光質変換剤を用いて農作物への効果を調べたところ、ある特定の光質変換剤、すなわち縮合生成物系の光質変換剤において、農作物の増収及び栄養素の向上が見られ、かつ、良好な光質変換能の長期安定性が見られることを見出した。しかし、一方で、かかる縮合生成物系の光質変換剤を、通常の農業用ポリエチレン系樹脂組成物に含有して農業用フィルムを成形しようとすると、フィルム中に気泡が発生してしまい、製品としては使えないという問題が新たに浮上してきた。
特公昭46―24376号公報 特開昭50―88147号公報 特開平06―41524号公報 特開平06―46684号公報 特開平06−46685号公報 特開平06−36685号公報 特開平09―249775号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、特定の光質変換剤を含有することで、農作物の増収及び栄養素の増大を生じることができ、かつフィルム中に気泡が発生することがなく、良好な光質変換能が長期間安定して保持されるポリエチレン系の農業用フィルム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点を解消するために鋭意検討の結果、特定の光質変換物質を含有する層を構成するエチレン系樹脂として、特定の性状のエチレン系樹脂を選択することにより、均質で柔軟性に富み、強度を保持し、優れた光質変換能力を有する農業用フィルムが得られ、更には、該エチレン系樹脂組成物からなるフィルムを160℃以下という、通常より低温の成形温度で成形することにより、フィルム中に気泡が発生することがなく、より良好な農業用フィルムが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本願第1の発明によれば、ポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対し、光質変換剤(D)を0.01〜5重量部含有した樹脂組成物層を少なくとも一層有する農業用フィルムであって、農業用フィルムを構成する全てのポリエチレン系樹脂(X)のMFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が1.0〜10g/10分であり、かつ光質変換剤(D)が、縮合生成物系の物質であることを特徴とする農業用フィルムが提供される。
また、本願第2の発明によれば、第1発明において、前記ポリエチレン系樹脂(X)が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)、又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)から選ばれる1種以上の樹脂であり、該樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、1.5 〜5.0であることを特徴とする農業用フィルムが提供される。
また、本願第3の発明によれば、前記第1または第2発明において、前記縮合生成物系の物質が、バルビツール酸誘導体であることを特徴とする農業用フィルムが提供される。
また、本願第4の発明によれば、前記第1〜3のいずれかの発明において、前記農業用フィルム中に含まれる平均径0.5mm以上の気泡の数が、1m当たり、2個以下であることを特徴とする農業用フィルムが提供される。
また、本願第5の発明によれば、前記第1〜4のいずれかの発明において、前記農業用フィルムが、少なくとも外層/中間層/内層の3層構成であり、前記光質変換剤(D)が中間層に含有されることを特徴とする農業用フィルムが提供される。
また、本願第6の発明によれば、第5の発明において、前記外層及び/又は内層が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)を主成分とすること特徴とする農業用フィルムが提供される。
また、本願第7の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明において、前記ポリエチレン樹脂(X)のMFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が、1.3〜7.0g/10分の範囲内であることを特徴とする農業用フィルムが提供される。
一方、本願第8の発明によれば、MFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対し、縮合生成物系の光質変換剤(D)を0.01〜5重量部含有させ、得られた樹脂組成物をポリエチレン系樹脂(X)の融点以上、160℃以下となる成形温度でフィルム成形することを特徴とする農業用フィルムの製造方法が提供される。
さらに、本願第9の発明によれば、第8の発明のフィルムを中間層として、その両側に外層と内層が積層された3層構成の農業用フィルムが得られるように、すべての層の樹脂組成物がポリエチレン系樹脂(X)の融点以上、160℃以下となる成形温度で成形されることを特徴とする農業用フィルムの製造方法が提供される。
本発明によれば、特定の光質変換剤と、低温で成形し得る特定の性状のエチレン系樹脂を組み合わせているので、均質で、柔軟性に富み、強度等を保持し、優れた光質変換能力を有する農業用フィルムを提供することができる。
また、特定の温度条件で成形するので、フィルム中に気泡が発生することがなく、より良好な農業用フィルムを製造することができる。
次に、本発明の農業用フィルム、その製造方法について詳細に説明する。
1.[農業用フィルム]
本発明の農業用フィルムは、ポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対し、光質変換剤(D)を0.01〜5重量部含有した樹脂組成物を成形してなる農業用フィルムである。
[ポリエチレン系樹脂(X)]
本発明においてポリエチレン系樹脂(X)とは、イオン重合法すなわち、イオン系触媒で製造されるエチレン系共重合体(A)及び/又は高圧ラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレン、エチレン共重合体(B)であり、下記のものが包含される。
[イオン重合法によるエチレン系重合体(A)]
イオン重合法によるエチレン系重合体とは、イオン重合法によって製造されるエチレン系重合体であって、密度0.86〜0.97g/cmのエチレン単独重合体もしくはエチレンを主成分とするα−オレフィンとの共重合体を包含する。密度は0.86〜0.91g/cmが好ましく、エチレン−α−オレフィン共重合体(以下、超低密度ポリエチレン(A1)、またはVLDPEとも称す)、0.91〜0.94g/cmのエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、直鎖状低密度ポリエチレン(A2)、またはLLDPEとも称す)を挙げることができる。
[超低密度ポリエチレン(A1)]
本発明の超低密度ポリエチレン(A1)とは、密度0.860〜0.910g/cm未満、好ましくは密度0.870〜0.905g/cm、より好ましくは密度0.880〜0.900g/cmの範囲で選択される。
この範囲であれば、フィルムの柔軟性(しなやかさ)を維持しながら、低温ヒートシール性、機械的強度等を保持することが可能となる。
[直鎖状低密度ポリエチレン(A2)]
本発明において直鎖状低密度ポリエチレン(A2)とは、密度0.910〜0.940g/cm、好ましくは密度0.915〜0.935g/cm、より好ましくは密度0.920〜0.930g/cmの範囲で選択される。この範囲であれば、直鎖状低密度ポリエチレンの利点である、柔軟性を損なわずに機械的強度、ヒートシール強度等を得ることが可能となる。
本発明において、イオン重合法によるエチレン系共重合体(A)を単独で機能性フィルムの原材料であるポリエチレン系樹脂(X)として使用する場合、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)は1〜10g/10分の範囲で選択されることが肝要であり、密度は、0.860〜0.940g/cmの範囲で選択されることが望ましい。
また、上記超低密度ポリエチレン(VLDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.3〜4.0の範囲で選択される。この範囲であると、均質で、柔軟性、透明性、機械的強度等のバランスのとれた組成物の提供が可能である。
上記の範囲であればインフレーション成形、Tダイ成形等の押出成形がし易い。なお、ここでいうMw/MnはGPC分析による重量平均分子量/数平均分子量である。
本発明のイオン重合法によるポリエチレン系樹脂の中で、エチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができる。これらα−オレフィンの含有量は3〜40モル%の範囲で選択されることが好ましい。
イオン重合法によるエチレン系重合体は、チーグラー系触媒、バナジウム系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒を包含する)等を用いて製造され、特にシングルサイト系触媒(メタロセン触媒を包含する)を使用して製造されることが望ましい。
イオン重合法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられ、特に、メタロセン触媒を使用し、高圧イオン重合法で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
シングルサイト系触媒としては、特に限定されるわけではないが、好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。
上記シングルサイト触媒で製造されるエチレン−α−オレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズ等が挙げられる。
[高圧ラジカル重合法ポリエチレン樹脂(B)]
高圧ラジカル重合法ポリエチレン樹脂(B)は、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B1)、エチレン−ビニルエステル共重合体(B2)、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B3)から選択された少なくとも1種の樹脂を包含する。
[高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B1)](以下LDPEと称す)
上記高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B1)は、密度が0.905〜0.940g/cm、好ましくは0.910〜0.935g/cm、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cmの範囲である。溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gの範囲であるとフィルム成形性が良好である。
[エチレン−ビニルエステル共重合体(B2)]
エチレン−ビニルエステル共重合体(B2)とは、高圧ラジカル重合法で製造されエチレンを主成分とするビニルエステル単量体との共重合体である。ビニルエステル単量体としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニル等のビニルエステル単量体が挙げられ、他の共重合可能な不飽和単量体を使用することができる。
これらビニルエステル単量体の中で、特に好ましいものとして酢酸ビニルを挙げることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。該ビニルエステル含有量は3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲である。
[エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B3)]
上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B3)とは、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、またはその誘導体、および所望により他の不飽和単量体との共重合体、およびそれらの金属塩(アイオノマー)、アミド、イミド等が挙げられる。
共重合成分であるα,β−不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類を挙げることができる。
またその誘導体の具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。これらの共重合体の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸―酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体等の二元または多元共重合体が挙げられる。
上記における他の不飽和単量体とは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10のオレフィン類、C2〜C3アルカンカルボン酸のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物類などの群から選ばれた少なくとも1種である。
上記の具体的な製品としては、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体(住友化学製、アクリフト(登録商標)CM502)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ユニカー製、NUC(登録商標)−6570)が市販されている。
上記エチレン共重合体は、エチレン65〜99.5重量%、不飽和カルボン酸またはそのエステル0.5〜35重量%および他の不飽和単量体0〜25重量%からなる共重合体が好ましい。
また、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)を単独で機能性フィルムの原材料であるポリエチレン系樹脂(X)として使用する場合においては、MFR1〜10g/10分の範囲で選択されることが肝要である。
[他のポリオレフィン系樹脂(C)]
本発明においては、上記イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)のポリエチレン系樹脂には、他のポリオレフィン系樹脂(C)を混合することができる。すなわち、他のポリオレフィン系樹脂(C)は、本発明において任意成分である。
具体的には、中・高密度ポリエチレン(C1)、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(C2)、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフイン共重合体等のポリプロピレン系樹脂(C3)、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)から選択された少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を包含するものである。
本発明においては、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなるメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)100〜50重量%と他のポリオレフィン樹脂(C)0〜50重量%で構成されることが好ましい。
[中・高密度ポリエチレン(C1)]
本発明において中・高密度ポリエチレン(C1)とは、密度0.94〜0.97g/cm、好ましくは密度0.945〜0.965g/cmの範囲で選択されるポリエチレンである。
[エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(C2)]
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(C2)としては、エチレンと炭素数3〜10のαーオレフィンとの共重合体ゴムが挙げられ、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。
これらのゴム成分は、シーラントフィルムの衝撃強度、耐ピンホール性等の性能を向上させる効果を果たすものである。
また、ジエンモノマーを共重合させた共重合体としては、エチレン・プロピレン・ジシクペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5 − エチリデン− 2 − ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・1 ,6 − ヘキサジエン共重合体等を例示することができる。
[ポリプロピレン系樹脂(C3)]
本発明においてポリプロピレン系樹脂とは、シンジオタクチックポリプロピレン樹脂、アイソタクチックポリプロピレン樹脂等のポリプロピレン単独重合体、プロピレンと他のαーオレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、非晶質ポリプロピレン等が挙げられる。
[官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)]
さらに、本発明に係る官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)とは、下記の官能基含有化合物(a)(d)(e)(f)とオレフィンとの共重合体、またはポリオレフィン系樹脂にラジカル発生剤の存在下で官能基含有化合物(a)〜(f)を変性グラフトして得られる官能基変性ポリオレフィン系樹脂を包含するものである。
官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)は、一種でも、二種以上の併用であってもよい。
本発明に係る官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)の官能基含有化合物は、エポキシ基含有化合物(a)、不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体(b)、エステル基含有化合物(c)、ヒドロキシル基含有化合物(d)、アミノ基含有化合物(e)、及びシラン基含有化合物(f)の群から選択される少なくとも1種の化合物であり、エポキシ基含有化合物(a)、又は不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体(b)が好ましい。
[農業用フィルムの原料樹脂]
本発明の農業用フィルムの原料樹脂は、(i)イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)、(ii)高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)、(iii)イオン重合法エチレン系樹脂(A)+高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂との混合樹脂(A+B)、(iv)イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)+他のポリオレフィン樹脂(C)、(v)高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)+他のポリオレフィン樹脂(C)、(vi)イオン重合法エチレン系樹脂(A)+高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)との混合樹脂+他のポリオレフィン樹脂(C)、(vii)(A)及び/又は(B)+官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)などの組み合わせが挙げられる。
[原料樹脂の配合割合]
本発明において、ポリエチレン系樹脂(X)は、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)と、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)が混合される場合は、樹脂(A)90〜10重量%に対して、樹脂(B)10〜90重量%、好ましくは樹脂(A)80〜20重量%/樹脂(B)20〜80重量%、より好ましくは樹脂(A)75〜25重量%/樹脂(B)25〜75重量%の範囲の割合で配合される。
また、樹脂(C)を配合する場合には、上記樹脂(A)及び/樹脂(B)からなるポリエチレン系樹脂(X)100〜50重量%/樹脂(C)0〜50重量%の範囲の割合で配合される。好ましくは樹脂(X)95〜55重量%/樹脂(C)5〜45重量%とし、より好ましくは樹脂(X)90〜60重量%/樹脂(C)10〜40重量%の範囲で選択されることが望ましい。
本発明の農業用フィルムの光質変換剤を含有する層を構成するポリエチレン系樹脂(混合樹脂である場合は、その混合樹脂の性質として)は、下記(a1)の性状を満足することが肝要である。
すなわち、ポリエチレン系樹脂(X)の(a1)190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は、1.0〜10g/10分、好ましくは1.3〜7.0g/10分、より好ましくは1.5〜5.0g/10分である。該MFRが、小さすぎると低温成形時の押出負荷が増大すると共に樹脂の発熱も過大となり、発泡現象を生起させる。また、MFRが大きすぎると、成膜安定性が悪化し、フィルムの強度の低下が懸念される。
特に、本発明の農業用フィルムが積層フィルムである場合であって、該光質変換剤を含有する層がそのうちの一部であっても、全ての層を構成するポリエチレン樹脂のMFRが上記の特定範囲であることを特徴とする。
また、ポリエチレン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.5〜4.0の範囲で選択される。この範囲であると、均質で、柔軟性、透明性、機械的強度等のバランスのとれた組成物の提供が可能である。また、上記の範囲であればインフレーション成形、Tダイ成形等の押出成形がし易い。なお、ここでいうMw/MnはGPC分析による重量平均分子量/数平均分子量である。
[光質変換剤(D)]
本発明において光質変換剤(D)は、主に太陽光中の可視領域以外の紫外線領域及び/または赤外線領域の波長を、植物に利用可能な光線に変換する性質を有するものであり、たとえば吸収極大を350nmないし550nmに有し、発光極大を550nmないし700nmを有する光質変換剤が、農業用途として好ましい。
本発明は、光質変換剤として、種々存在する光質変換剤の中でも、縮合生成物系の光質変換剤を用いることを特徴とし、特に好ましくは有機発光顔料の一種である、バルビツール酸誘導体である縮合生成物を用いることが挙げられる。
バルビツール酸誘導体である縮合生成物の中でも、特にバルビツール酸と、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物は、メルトフローレート(MFR)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)と併用し、成形温度を160℃以下とすることで、気泡の発生もなく、均質なシートが得られるという顕著な効果を期待できる。
該バルビツール酸誘導体としては、例えば、下記式であらわされるバルビツール酸(d2)とp−(ジアルキル)メチルアミノベンズアルデヒド(d1)との縮合生成物が挙げられる。
Figure 2012095601
(式中、R1及びR2は、独立して水素原子、又は例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二−ブチル基、イソブチル基、第三−ブチル基、n−アミル基、第三−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基のような炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)
この縮合生成物のR1及びR2は、メチル基であることが好ましい。
該縮合生成物は、例えば、下記の式(D1)または(D2)で表されるバルビツール酸誘導体である。この縮合反応及び生成物の(D1)は、No.1753−47−5のCAS番号を有するものであり、(D2)はNo.152734−34−4のCAS番号を有するものである。具体的には、例えば欧州特許第1413599号明細書において記載されるように調製される化合物で、商品名としてはチバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)の商品名:スマートライトRL1000等が挙げられる。
Figure 2012095601
上記光質変換剤(D)の配合量は、ポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜4重量部、より好ましくは0.03〜3重量部の範囲である。該光質変換剤(D)が0.01重量部未満では、光質変換効果が発揮されず、5重量部を超える量を添加しても光質変換効果が発揮されず、過多になるとかえって光質変換効率が低下する現象が生じるので好ましくない。
本発明の縮合生成物系の光質変換剤を有する樹脂組成物は、各々所望の組成をドライブレンド等のようにヘンシェルミキサー、押出機等で単純ブレンドして調製してもよいが、好ましくはあらかじめ、高濃度に光質変換剤を配合したマスターバッチとして供してもよい。ペレット状化したマスターバッチとすることにより、取り扱いや運搬・作業性が容易となり、かつ光質変換を目的とする組成物中に均一に分散することができ、フィルムの色むらを生ぜず、透明性等の光学的性質を損なうことが回避されるので、フィルムの波長変換効率が飛躍的に向上し、かつ長期安定性が維持できることとなる。ただし、本発明における縮合生成物系、特にバルビツール酸誘導体である光質変換剤は熱により分解しやすく、吸湿しやすいため、ブレンド時及びマスターバッチ作成時の混練温度が160℃以下となるようにすると良い。
2.[積層フィルム]
本発明の農業用フィルムは、単層構成もしくは多層構成で使用される。すなわち、本発明の農業用フィルムは、上記光質変換剤を含有したポリエチレン系樹脂組成物層を少なくとも一層有するフィルムであり、単層のフィルムとして用いることも可能であるが、長期のハウス展張を目的とする用途においては、3層以上の積層構成であって、上記光質変換剤が添加されたポリエチレン系樹脂組成物層を、中間層とする3層フィルムが好ましい。
3層以上の積層フィルムで構成する場合は、農業用フィルムの保温性、防曇性、防霧性、耐候性等の機能を付与するために、それぞれの層において好適な樹脂と添加剤を工夫して用いることができる。なお、本発明で以下、外層と称するのはインフレーション成形時に外側となる層であり、ハウス展張時にはハウス内面になる層である、同様に、本発明で内層というのはインフレーション成形時に内側となる層であり、ハウス展張時にはハウス外面になる層である。
例えば、内層(インフレーション成形時に内側となる層、ハウス展張時にはハウス外面になる)には、上記のイオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)であるエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分(99〜60重量%)とし、高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を1〜40重量%程度添加する樹脂組成物を用いることができる。特に、強靭性に優れたシングルサイト触媒(メタロセン触媒等)で製造されたLLDPEを主成分として用いることが好ましい。
また、中間層には、先に詳述したとおり、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)のLLDPE又は高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン樹脂(B)のEVAを単独で用いるか、LLDPEとEVAを混合した樹脂を用いることが好ましく、光質変換剤が含有されることで顕著な作用が発揮される。
外層(インフレーション成形時に外側となる層、ハウス展張時には内側となる)には、内層と同様、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)LLDPEを主成分(99〜60重量%)とし、高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン樹脂(B)を1〜40重量%程度添加する樹脂組成物を用いることができる。
より具体的には、LL:直鎖状低密度ポリエチレン、VL:超低密度ポリエチレン、mLLとmLL:メタロセン触媒を用いて製造した直鎖状低密度ポリエチレンと超低密度ポリエチレン、LD:(高圧ラジカル法)低密度ポリエチレン、EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体のように略称した場合には、本発明の多層化フィルム(内層/中間層/外層)として、以下のような例を挙げられるが、本発明ではこれらに限定されるものではない
LL/EVA+光質変換剤/LL、LL/EVA+光質変換剤/VL、LL+LD/EVA+光質変換剤/LL+LD、mLL+LD/EVA+光質変換剤/mLL+LD、mLL+LD/EVA+光質変換剤/mVL、mLL/mVL+光質変換剤/mLL、mLL+LD/mVL+光質変換剤/mLL+LD、mLL/mVL+光質変換剤/mVL、mVL/mVL+光質変換剤/EVA、mVL+LD/mVL+光質変換剤/EVA、mLL/mVL+光質変換剤/EVA、mLL+LD/mVL+光質変換剤/EVA。
本発明の好ましい積層フィルムは、外層/中間層/内層の三層を基本とし、その積層構成比は、外層の厚みが5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲にあり、中間層の厚みが10〜150μm、好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲にあり、内層の厚みが5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲である
このような3層積層フィルムにおいては、外層、中間層および内層の厚みの比(外層/中間層/内層)が、0.2〜4/1〜10/1、好ましくは0.5〜2/2〜6/1であることが望ましい。また、積層フィルム全体の厚みは、30〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜180μm、さらに好ましくは70〜150μmの範囲である。
なお、本発明の農業用フィルムは、外層/中間層/内層の三層の他に、必要に応じて、更に保護層等を追加で設けた4〜5層の層構成とすることもできる。
光質変換剤の量は、層を構成する樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部の範囲である。該光質変換剤が少なすぎると、光質変換効果が発揮されず、多すぎてもかえって光質変換効率が低下する現象が生じるので好ましくない。
[その他の添加剤]
本発明の農業用フィルムの樹脂組成物には、必要に応じて一般に農業用フィルムに用いられている公知の各種補助添加剤、例えば、保温剤、UV吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、熱安定剤、中和剤、防曇剤、防霧剤、顔料、核剤等を配合したり、或いはフィルムの外層表面に無機ゾルを主体とした公知の塗布型防曇剤を塗布したりすることが出来る。
<保温剤>
本発明の農業用フィルムで用いられる保温剤としては、赤外線吸収能を有する無機化合物を一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。用いることのできる無機化合物は、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物等が挙げられる。好ましくは、ハイドロタルサイト類、リチウム・アルミニウム複合水酸化物である。
保温剤の含有量は、樹脂100重量部当たり1〜20重量部が好ましい。
保温剤として用いられる無機化合物の平均粒径は、10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。平均粒径が10μm以下であれば、フィルムの透明性が著しく損なわれることがないので好ましい。
保温剤は、水澤化学工業(株)からミズカラック、ミズカラックL、ミックレイASi、ミックレイFVA、協和化学工業(株)からDHT4A、DHT4A2、アルカマイザー1、戸田工業(株)からOPTIMA LSAなどの商品名で入手可能である。あらかじめ表面処理剤で処理した保温剤を用いることもできる。保温剤は、積層フィルムの少なくとも中間層に含有すると好ましい。
<紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物(光安定剤)>
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤として知られている公知のものから適宜選択して使用することができるが、好適な例としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2, 4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3 ,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3 ,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2 − ( 2 − n − オクタデシルオキシ− 3 、5 − ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5,6−ジクロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3 , 5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−ブトキシカルボニルベンゾトリアゾール、2−(2−アセトキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ− 3, 5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2Hベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらは例えば、シーソーブ706 、チヌビン328 、チヌビンP、サイアソーブUV5411などの商品名で市販されている。
またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ) フェノールなどを挙げることができる。これらは例えば、サイアソーブUV1164、チヌビン1577FFなどの商品名で市販されている。
紫外線吸収剤は、樹脂成分100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部の割合で含有されていることが望ましい。
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシルジブチルヒドロキシハイドロシアナメイト等のヒンダードフェノール系、ジラウルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジブチルフェニル)ホスファイト、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系等の酸化防止剤が好ましいものとして挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部の割合で含有されていることが望ましい。
ヒンダードアミン系化合物(光安定剤)としては、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、{4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル}−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1′−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−{N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル}セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリアシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)イミノ]}、ポリ{6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ−ヘキサメチレン][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)イミノ]}、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン2,4−ビス[N−ブチル−N(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β′,β′−テトラメチル−3,9(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、トリメチルプロピル−3−オキシ−[4(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン等が挙げられ、中でも最も好ましいものとして4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸との縮合物等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物は、樹脂成分100重量部に対して0.05〜2重量部配合するとよい。
<防曇剤>
防曇剤とは、フィルム表面へ水滴が付着することによる透明性の低下による照射日光の低下及び付着水滴落下による病害虫の発生を防ぐものである。防曇剤に用いられる化合物としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンパルミチン酸エステル(エチレンオキサイド付加物)等が挙げられる。これらは単独で、または複数を組み合わせて用いられる。
防曇剤の配合量は、フィルムの厚さによって異なるが一般的には0.3〜 3.0重量部の範囲である。防曇剤は積層フィルムの少なくとも外層(ハウス展張時は内面側)、及び中間層に含有することが好ましい。
3.[農業用フィルムの製造]
本発明の農業用積層フィルムは、所定の添加剤を配合した樹脂組成物を公知の成形方法により成形加工して製造することができる。その製造方法は、特に限定されるものはなく、例えば積層数に応じた押出機と通常のフィードブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプの接合・合流部を有する積層ダイによる空冷インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形等が挙げられ、これらの何れかの方法により好適なフィルムを得ることができるが、特にインフレーションフィルム成形が好ましい。
従来より、インフレーション成形法などにより農業用フィルムを作成する場合は、通常、180〜210℃程度の温度で成形することが一般的であるが、本発明の農業用フィルムの製造方法では、上記ポリエチレン系樹脂(X)と光質変換剤(D)からなるポリエチレン系樹脂組成物からなる層の成形温度として、ポリエチレン系樹脂の融点以上、160℃以下となる温度範囲を採用して成形することが肝要である。農業用フィルムは、上限の温度として好ましくは155℃以下、より好ましくは150℃以下の範囲で成形され、下限の温度として好ましくは140℃以上、更に好ましくは145℃以上の範囲で成形される。
更に好ましくは、光質変換剤を含有する層だけでなく、3層以上からなる積層フィルム全ての層の成形温度が、上記範囲とする。成形温度がこの範囲であると、気泡せずに均質で柔軟性に富み、突き刺し強度等の機械的強度に優れた農業用フィルムの提供が可能となる。
本発明では光質変換剤として、縮合生成物系の物質、特にバルビツール酸と、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物が含有されている。そのため、通常のポリオレフィン系フィルムの成形温度、特に成形温度が160℃以上の比較的中・高温では気泡が生じ易いが、本発明では、160℃以下の低温で成形可能な特定の樹脂を選定しているので、成形時における、かかる問題の発生を防止することができる。
上記の条件で製造された農業用フィルムは、フィルム中の平均径0.5mm以上の気泡が、1m当たり、2個以下、好ましくは1個以下であることが望ましい。このような気泡が少ないフィルムとすることで、より性能が向上する。
本発明の農業用フィルムの厚さは、特に制限されないが20μm〜300μmの範囲で選択されることが望ましい。厚さが20μm以下では薄すぎて、成形時の作業性が悪化し、かつ機械的強度が低下し、好ましくない。また300μmを超えるものは取り扱い性が悪いものとなる。
本発明においては、積層フィルムの最外層の一つを粗面化加工し、この加工面をハウスの植物栽培側に向けて使用することも好ましい態様としてあげられる。すなわち、光質変換剤含有層における発光は樹脂の屈折率によって異なるが、発光した光は空気との界面で全反射されてフィルム内を伝わり、閉じ込められた光は吸収発光を繰り返す。このときの発光した光を有効にフィルム内面から栽培植物に放射(照射)できるように、フィルムの内面に凹凸を設ける粗面化加工をするのが好ましい。粗面化加工は、例えばワイヤーブラシ、サンドブラスト、エンボシング等通常実施されている方法で行うことができる。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例、比較例で用いた物性測定法、原材料は以下の通りである。
1.樹脂物性の評価方法
(1)メルトフローレート(MFR):ポリエチレン系樹脂のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:JIS K−7112に従い測定した。
(3)Mw/Mn:下記に示すGPCにより測定した。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.723、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
2.原材料
(1)イオン重合法ポリエチレン(A)
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1):日本ポリエチレン(株)製、カーネル KF282(MFR2.2g/10分、密度0.915g/cm、Mw/Mn:2.59
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2):日本ポリエチレン(株)製、ハーモレックス NF444A(MFR2.0g/10分、密度0.912g/cm、Mw/Mn:2.88
エチレン・α−オレフィン共重合体(A3):日本ポリエチレン(株)製、ハーモレックス NF324A(MFR1.0g/10分、密度0.906g/cm、Mw/Mn:3.01
エチレン・α−オレフィン共重合体(A4):日本ポリエチレン(株)製、ノバテックLL UH410(MFR0.45g/10分、密度0.923g/cm、Mw/Mn:3.50
(2)高圧ラジカル法ポリエチレン(B)
高圧ラジカル法ポリエチレン(B1):日本ポリエチレン(株)製、ノバテックEVA LV440(MFR2.0g/10分、酢酸ビニル含量15wt%、 Mw/Mn:4.39
高圧ラジカル法ポリエチレン(B2):日本ポリエチレン(株)製、ノバテックEVA LV211(MFR0.3g/10分、酢酸ビニル含量6.3wt%、Mw/Mn:4.95
高圧ラジカル法ポリエチレン(B3):日本ポリエチレン(株)製、ノバテックEVA LV372(MFR12g/10分、酢酸ビニル含量15wt%、Mw/Mn:4.2
高圧ラジカル法ポリエチレン(B4):日本ポリエチレン(株)製、ノバテックLD LF405M(MFR2.0g/10分、密度0.920、Mw/Mn:8.0
高圧ラジカル法ポリエチレン(B5):日本ポリエチレン(株)製、ノバテックLD LFLF440B(MFR2.8g/10分、密度0.924、Mw/Mn:4.43
(3)光質変換物質(D)
バルビツール酸と、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、SMARTLIGHT RL1000
3.フィルムの評価方法
(1)発泡性(気泡)の評価
インフレーションフィルム成形法により成形した厚さ100μmのフィルムから、ランダムに1mのサンプルを10枚採取した。その後採取したフィルム中にある0.5mm以上の大きさの気泡を目視にて数え、10枚の平均値を気泡の発生した数として評価した。気泡の発生した数が少ないほどフィルムとして好ましく、気泡の数が多くなるほどフィルムとして好ましくない。
(2)蛍光特性(光質変換)の評価
インフレーションフィルム成形法によって成形した厚さ100μmのフィルムを、コニカミノルタ製分光測色計:CM−2600d にて反射率の測定をした。白色の板をフィルムと光源の反対側において測定したときの620nm〜680nmの反射率が、光質変換物質を入れていないときの反射率を100%とした時に120%以上となった場合、良好な光質変換が行われているとして、○とした。120%より低い反射率では光質変換フィルムとして適切ではないので、×とした。
(3)打ち抜き衝撃強度
打ち抜き衝撃強は、JIS−P8134(1976)に準じて、先端に貫通部を取り付けることのできる90°弧状の腕をもち、自由に振動することができる振子、上記貫通部は、12.7mmφの球型の金属製を標準とし、表面は鏡面光沢をもち確実に振子の弧状の腕の先端に取り付けできるもの、試験片を水平均一に締め付ける内径50mmφのクランプを備えた試験機を用い、貫通破壊エネルギーを測定した。
(4)成形安定性
インフレーションフィルム成形時のフィルムの折径変動を測定し、成形安定性を下記の基準で評価した。
折径変動が所定折巾の+5mm〜−0mmの範囲内 ; 〇
折径変動が前記範囲を逸脱する場合 : ×
(5)栽培野菜の栄養価
インフレーションフィルム成形法によって成形した厚さ100μmのフィルムをトンネル用資材に展張し、その中で小松菜の栽培を行った。種をまいてから85日目に収穫し、総アスコルビン酸の含有量について測定した。光質変換剤を入れていないときの総アスコルビン酸含有量を1とした時の比率を確認した。
この比率が1より大きくなれば、光質変換フィルムによって小松菜の総アスコルビン酸の生成に有効な波長を増幅した可能性があるため、栄養価の高い作物の生成に有効であることが示唆される。比率が1より小さくなれば光質変換フィルムは小松菜の総アスコルビン酸の生成に有効な波長を阻害した可能性があり、栽培作物の栄養価を減少させる可能性がある。
総アスコルビン酸含有量は、SHIMADZU社製高速液体クロマトグラフ10Aを用いHPLC法にて定量した。
(実施例1)
まず、外層/中間層/内層の3層からなる農業用フィルムの原料樹脂組成物として、外層部にエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を100重量部、滑剤としてエルカ酸アミドを0.1重量部、抗ブロッキング剤として0.2重量部のシリカを予め混合したもの、また、中間層部に高圧ラジカル法ポリエチレン(B1)を100重量部、光質変換剤としてチバ・ジャパン株式会社製、SMARTLIGHT RL1000を1重量部、保温剤として8重量部の協和化学社製DHT4Aを予め混合したもの、さらに、内層部にエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を100重量部、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.15重量部、抗ブロッキング剤として0.25重量部のシリカを予め混合し調製した。
次に、トミー機械工業社製3種3層インフレーションフィルム成形機(ダイ口径100mmφ)を用い、成形温度150℃にてインフレーションフィルム成形を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た。
そして、得られたフィルムの外層部へ日本ポリエチレン社製「ZMYPK12」を用い刷毛ロールコーターにて塗布、乾燥を行いフィルム表面にシリカゾル0.5g/mの防曇膜を形成した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
外層部及び、内層部のベース樹脂として、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を80重量部、および高圧ラジカル法ポリエチレン(B5)を20重量部混合したものを用いた以外は、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
外層部及び、内層部のベース樹脂として、エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)100重量部とし、中間層部のベース樹脂としてエチレン・α−オレフィン共重合体(A3)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
中間層部のベース樹脂を高圧ラジカル法ポリエチレン(B2)100重量部とした以外、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
中間層部のベース樹脂を高圧ラジカル法ポリエチレン(B3)100重量部とした以外、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
外層部及び、内層部のベース樹脂をエチレン・α−オレフィン共重合体(A4)100重量部とした以外、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
中間層部の光質変換剤SMARTLIGHT RL1000の添加量を7重量部とした以外、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例5)
中間層部に光質変換剤SMARTLIGHT RL1000を含有させない(添加量を0重量部とした)以外は、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例6)
インフレーションフィルム成形温度を180℃とした以外、実施例1と同様に配合、成形、塗布を行い、外層の厚みが20μ、中間層の厚みが60μ、内層の厚みが20μの3層フィルムを得た、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2012095601
(評価結果)
表1の結果から、実施例1〜3は、特定のMFR範囲の樹脂に所定量の光質変換剤を配合しており、いずれも成形温度が160℃以下で成形することにより、気泡がなく均質で、蛍光特性(光質変換能)も良好な農業用フィルムが得られた。
一方、比較例1、2は、中間層に用いたポリエチレン系樹脂のMFRが本発明の範囲外であったことにより、気泡が多いか成膜安定性が悪いものであった。また、比較例3は、内層、外層に用いたポリエチレン系樹脂のMFRが本発明の範囲外であったことにより、気泡が多いものであった。
また、比較例4〜6は、光質変換物質を含有させないか、配合量が本発明の範囲外であり、その効果が発揮されなかった。特に比較例4は光質変換剤の配合量が7重量部と過剰であり、蛍光特性(光質変換能)はかえって低下するものであった。
本発明の農業用フィルムは、特定の性状を有するポリエチレン系樹脂(X)に光質変換剤を特定量配合した樹脂組成物を用いているので、成形時に気泡の発生もなく均質で、柔軟性を有し、光質変換能にも優れるので、農業用ハウスのシートとして有用である。

Claims (9)

  1. ポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対し、光質変換剤(D)を0.01〜5重量部含有した樹脂組成物層を少なくとも一層有する農業用フィルムであって、農業用フィルムを構成する全てのポリエチレン系樹脂(X)のMFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が1.0〜10g/10分であり、かつ光質変換剤(D)が、縮合生成物系の物質であることを特徴とする農業用フィルム。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂(X)が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)、又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)から選ばれる1種以上の樹脂であり、該樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、1.5 〜5.0であることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム。
  3. 前記縮合生成物系の物質が、バルビツール酸誘導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用フィルム。
  4. 前記農業用フィルム中に含まれる平均径0.5mm以上の気泡の数が、1m当たり、2個以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
  5. 前記農業用フィルムが、少なくとも外層/中間層/内層の3層構成であり、前記光質変換剤(D)が中間層に含有されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
  6. 前記外層及び/又は内層が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)を主成分とすること特徴とする請求項5記載の農業用フィルム。
  7. 前記ポリエチレン樹脂(X)のMFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が、1.3〜7.0g/10分の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
  8. MFR(190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)100重量部に対し、縮合生成物系の光質変換剤(D)を0.01〜5重量部含有させ、得られた樹脂組成物をポリエチレン系樹脂(X)の融点以上、160℃以下となる成形温度でフィルムを成形することを特徴とする農業用フィルムの製造方法。
  9. 請求項8記載のフィルムを中間層として、その両側に外層と内層が積層された3層構成の農業用フィルムが得られるように、すべての層の樹脂組成物がポリエチレン系樹脂(X)の融点以上、160℃以下となる成形温度で成形されることを特徴とする農業用フィルムの製造方法。
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