JPH09249775A - 波長変換能を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その組成物用マスターバッチおよびその組成物を含む農業用フイルム - Google Patents

波長変換能を有するポリオレフィン系樹脂組成物、その組成物用マスターバッチおよびその組成物を含む農業用フイルム

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JPH09249775A
JPH09249775A JP8063425A JP6342596A JPH09249775A JP H09249775 A JPH09249775 A JP H09249775A JP 8063425 A JP8063425 A JP 8063425A JP 6342596 A JP6342596 A JP 6342596A JP H09249775 A JPH09249775 A JP H09249775A
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ethylene
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film
polymer
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JP8063425A
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Hiroshi Takahashi
弘 高橋
Masashi Kamiyama
昌士 神山
Atsushi Yanagisawa
篤 柳沢
Tetsuo Tsuchida
哲男 土田
Shuji Kanazawa
修治 金沢
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間光を受けても性能が劣化せず、焼却時
に有毒ガスを発生しない波長変換能を有する樹脂組成
物、その組成物用マスターバッチ及びその組成物を含む
農業用フイルムを提供する。 【解決手段】 特定のエチレン単独重合体又はエチレン
・α−オレフィン共重合体及び/又は他のオレフィン系
(共)重合体100重量部に一般式〔I〕の化合物又は
その重合体0.05〜18重量部、及びヒンダードアミン0.
05〜2重量部を含む波長変換能を有するポリオレフィン
系樹脂組成物、前記組成物用マスターバッチ、及び前記
組成物を含む農業用フイルム〔式中、R1 〜R4 は、置
換基を有してもよい二価の炭化水素基で、さらにエーテ
ル結合、エステル結合又はアミド結合を有してもよく、
1 〜X4 は少なくともーつがアクリロイルオキシ基又
はメタクリロイルオキシ基で、他は水素原子である。〕 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜、果実などの
有用植物の施設栽培等において、植物生育を促進あるい
は遅行し、色、味覚などの品質、収穫などを向上させる
ために太陽光スペクトルを意図する有効な光スペクトル
に変換する機能を有するポリオレフィン樹脂組成物、そ
の組成物用マスターバッチおよびそれらを用いたフィル
ムを含む農業用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】野菜、果物等の植物生育を促進するため
に、あるいは意図するタイミングで作物を出荷すべく植
物生育を遅行させるために、太陽光スペクトルを有効な
光スペクトルに変換する機能を有する化合物を塩化ビニ
ル樹脂やポリオレフィン樹脂などのような熱可塑性樹脂
に添加し成形したフイルムを用いてハウス、トンネル等
の施設栽培に利用し、野菜、果物等の収穫、品質を向上
させることが広く行なわれている(例えば、特開平6ー38
635 号公報、特開平 7ー123870 号公報、特開平7ー149736
号公報など)。しかし、これら従来のフイルムはいずれ
も太陽光スペクトルを意図する有効な光スペクトルに変
換する機能の長期安定性が不十分なため、施設栽培のよ
うな長期間に亘る太陽光を受けると変質し、波長変換能
が減少してしまう欠点を有している。
【0003】また、前記塩化ビニル系樹脂フイルムにお
いては、フイルムの廃棄焼却時に有毒ガスを発生すると
いう問題点を有しているため、 昨今ではこれを解消する
ために有害ガスの発生のないポリオレフィン系樹脂フイ
ルムに移行しつつあるのが現状である。一方、従来の波
長変換能を有する色素を含有するポリオレフィン系樹脂
フイルムは、波長変換能の長期安定性が極端に低く、こ
れら色素を含有するポリオレフィン系樹脂に紫外線吸収
剤などの種々の添加剤を添加する等の試みがなされてい
るが、透明性等の光学的性質が悪化する等の問題点が発
生し、かえって波長変換能が低下し実用性に乏しく、い
まだ効果的な改善はなされていない。また、農業用フィ
ルムはハウス等にフィルムを張設したり、地表にマルチ
フィルムを密着展伸したりする際の展張に耐えるに十分
な引張強度、引裂強度等の機械的強度を有することが求
められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記欠点を解
消するものであって、従来の農業フィルム等の透明性等
の諸性質を保持しながら、栽培施設において長期間太陽
光を受けても波長変換能が低下せず、長期安定性に優
れ、焼却時に有毒ガスを発生するおそれがなく、ハウス
等の張設、展張に耐えるに十分な機械的強度等を付与し
うる樹脂組成物、その組成物用マスターバッチおよびぞ
の組成物からなるフィルムを含む農業用フィルムを提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本願第1の発明は、下記一般式〔I〕
【化2】
【0006】〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
それぞれ独立して、二価の炭化水素基または次式 −Yt −A−Zu − (式中、YおよびZはそれぞれ独立して、二価の炭化水
素基を表わし、Aはエーテル結合、エステル結合または
アミド結合を表わし、tおよびuはそれぞれ独立して0
または1である。)で示される二価の基を表わし、前記
二価の炭化水素基および二価の基中の炭化水素基は置換
基を有してもよく、X1 、X2 、X3 およびX4 はそれ
ぞれ独立して、水素原子、アクリロイルオキシ基または
メタクリロイルオキシ基を表わし、X1 、X2 、X3
よびX4 のうち少なくともーつはアクリロイルオキシ基
またはメタクリロイルオキシ基である。〕で示される化
合物またはその重合体(これらは、黄色ないし赤色の物
質であり、本明細書においては、「一般式〔I〕の化合
物またはその重合体」を、「色素」と略記することがあ
る。)を含有し、後述する特定の要件を満足するエチレ
ン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体
100重量部に、ヒンダードアミン系化合物0.05〜2重
量部を添加配合してなることを特徴とする波長変換能を
有するオレフィン系樹脂組成物である。
【0007】本願第2の発明は、前記一般式〔I〕で示
される化合物またはその重合体(色素)およびヒンダー
ドアミン系化合物を、前記一般式〔I〕で示される化合
物またはその重合体の含有量が20重量%以上で可及的
に高濃度(90重量%程度まで)となるように、特定の
要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α
−オレフィン共重合体、および/またはエチレンと他の
モノマーとの共重合体(以下、本明細書においては「エ
チレンの単独重合体および/またはエチレンと他のモノ
マーとの共重合体」を「エチレン(共)重合体」と略記
する。)および/または分散剤と溶融混練してなる波長
変換能を有するポリオレフィン系樹脂組成物用マスター
バッチである。
【0008】本願第3の発明は、上記の波長変換能を有
するオレフィン系樹脂組成物を含む農業用フィルムであ
る。
【0009】以下、本発明を詳述する。本発明のポリオ
レフィン系樹脂組成物においてその波長変換能の基とな
る前記一般式〔I〕で示される化合物はシアノピラジン
誘導体である。ここで、一般式〔I〕中のR1 、R2
3 、R4 、YおよびZが表わす二価の炭化水素基と
は、飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは枝分かれのあ
る鎖状炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基または
これらの結合体であり、例えばメチレン基、エチレン
基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレ
ン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメ
チレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、エチルエ
チレン基、プロピレン基、プロペニレン基、ビニレン
基、プロピニレン基、エチニレン基等が挙げられる。こ
れら二価の炭化水素基は、例えばヒドロキシル基、アミ
ノ基、モノもしくはジアルキルアミノ基、カルボキシル
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシル基、アルキル
チオ基、フェニルのようなアリール基、アルキルシリル
基、ハロゲン原子、複素環基等の置換基で置換されても
良い。さらに、これら二価の炭化水素基の置換基はアリ
ール基または複素環基(これらの基は、さらに例えば、
アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、モノもしくは
ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシル基、アルケニルチオ基、アルキニ
ルチオ基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルス
ルホニル基、ハロゲン原子または複素環基で置換されて
もよい。)により置換されてもよい。
【0010】一般式〔I〕中、Aが表わすエーテル結
合、エステル結合、アミド結合の具体例としては、−O
−、−COO−、−OCO−、−CONH−および−N
HCO−が挙げられる。
【0011】[一般式〔I〕で示される化合物の製造方
法]前記一般式〔Ι〕で示される化合物は、下記のスキ
ームIに従い公知の反応または類似の反応を適亘選択し
て製造することができる。
【0012】
【化3】
【0013】スキームI中、R1 、R2 、R3 、R4
1 、X2 、X3 、X4 は前記と同じ意味を表わし、L
1 、L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、L7 、L8
9 、L10、L11およびL12はそれぞれ独立して、O
Η、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−ト
ルエンスルホニル基等の脱離基を表わす。R5 は水素原
子またはメチル基を表わす。ここで、1)〜4)の反応
は一工程で同時に行なうこともできる。この反応では、
必要により塩基あるいは脱水縮合剤を用いる。
【0014】塩基としては、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
水酸化リチウム、ナトリウムハイドライド、金属ナトリ
ウム、金属カリウム、ソジウムメチラート、ソジウムエ
チラート、1,5ージアザビシクロ(4.3.0)ー1
ーノンー5ーエン(DBN)、1,8ージアザビシクロ
(5.4.0)ウンデカー7ーエン(DBU)、ピリジ
ン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0015】脱水縮合剤としては、硫酸、塩酸等の鉱
酸、芳香族スルホン酸等の有機酸、1,3ージシクロヘ
キシルカルボジイミド(DCC)、1ーエチルー3ー
(3′−ジメチルアミノプロピル)カルボイミド(WS
CI)等の有機縮合剤が挙げられる。上記反応では、反
応試薬に不活性な溶媒が使用される。このような溶媒と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、ジメトキエタン(DME)テトラヒドロ
フラン(THF)等のエーテル類、ベンゼン等のBTX
系溶剤、クロロホルム等の塩素系溶剤、アセトニトリ
ル、アルコール類等が挙げられる。また、反応試薬を過
剰に用いて無溶媒で反応を行なうこともできる。さら
に、R1 、R2 、R3 およびR4 が式−Yt −A−Zu
−で示される二価の基を表わす場合のエーテル結合、エ
ステル結合またはアミド結合は、下記のスキームIIに記
載した反応(1)〜(5)に従い、通常の方法で導入す
ることができる。
【0016】
【化4】
【0017】スキームII中、L13、L14、L15、L16
よびL17は、前記L1 〜L12と同様の脱離基を表わす。
例えば、R1 、R2 およびR4 がメチレン基、R3 がポ
リメチレン基、X1 、X3 およびX4 が水素原子、X2
がメタクリロイルオキシ基の場合においては、下記スキ
ーム III〜スキームVに示す方法で製造することができ
る。スキーム III〜スキームV中、DBUは1,8ージ
アザビシクロ(5.4.0)ウンデカー7ーエン、TB
AFはテトラブチルアンモニウムフルオライド、DCC
は1,3ージシクロヘキシルカルボジイミド、nは自然
数を表わす。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】[一般式〔I〕で示される化合物の重合
体]上記一般式〔I〕で示される化合物の重合体とは、
一般式〔I〕で示されるモノマー単位からなる単独重合
体のほか、一般式〔I〕で示されるモノマー単位以外の
モノマー単位を含む共重合体をも意味する。共重合体と
しては、例えば、一般式〔I〕のアクリロイル基または
メタクリロイル基を有する化合物あるいはその化合物と
ラジカル重合可能な化合物とをラジカル重合開始剤の存
在下で、ラジカル重合することにより得られる二元また
は三元共重合体等を挙げることができる。
【0022】他の共重合体の例としては、架橋構造を有
する重合体が挙げられる。すなわち、一般式〔I〕で示
されるモノマーと重合性二重結合を二つ以上有するモノ
マーとの共重合体、カルボキシル基、ヒドロキシル基等
の官能基を有するモノマー、例えば、メタクリル酸やメ
タクリル酸2ーヒドロキシエチル等と共重合した後、適
当な架橋剤、例えば、アミノ樹脂、イソシアネート化合
物、エポキシ樹脂等を併用して架橋構造を持ったポリマ
ーを得ることができる。その架橋度は、重合性二重結合
を二つ以上有するモノマーのモル%で表わすと、0.01〜
99.999%、好ましくは 0.1〜50%である。
【0023】また、他の共重合体の例としては、線状低
密度ポリエチレン、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン
等のポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エ
チレンー(アクリル酸あるいはメタクリル酸)エチル共
重合体(以下、「アクリル酸あるいはメタクリル酸」を
「(メタ)アクリル酸」と表記する。)等のポリオレフ
ィン系樹脂にラジカル重合開始剤の存在下で、一般式
〔I〕で示される化合物をグラフトしたグラフト変性ポ
リオレフィン系樹脂が挙げられる。本発明で使用する一
般式〔I〕で構成される単独重合体は、公知のラジカル
重合法、例えば塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、
懸濁重合法等で製造することができる。その重合度は1
0〜10,000、好ましくは200〜 5,000である。
【0024】本発明で使用する一般式〔I〕のモノマー
成分を含む共重合体において、前記一般式〔I〕で表わ
されるモノマーとラジカル重合可能な他のモノマー化合
物の割合は、重量比で1:0〜1:10,000、好ましくは
1:5〜1: 2,000である。重合体は、通常、均一な組
成物とし易いように粉砕して使用するが、乳化重合、懸
濁重合法等を採用する場合には、得られる粉または粒状
の色素をそのまま使用することができる。
【0025】上記ラジカル重合可能なモノマー化合物と
しては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tーブチル等の(メ
タ)アクリル酸エステルや無水マレイン、クロトン酸、
クロトン酸メチル等のα,βー不飽和カルボン酸または
その誘導体;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロ
ニトリル、スチレンまたはその誘導体;ブタジエン、ア
クロレイン、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート等に代表される多官能性メ
タクリレートモノマー類;ジビニルベンゼン、トリアリ
ルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ビニルブチ
ラート等に代表される多官能性ビニルモノマー類;N,
N′ーm−フェニレンビスマレイミド、N,N′−エチ
レンビスマレイミドに代表されるビスマレイミド類;p
−キノンジオキシム等のジオキシム類等の多官能モノマ
ー類等が挙げられる。
【0026】上記ラジカル開始剤としては、アゾイソブ
チルニトリル、アゾビスー2,4ージメチルバレロニト
リル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビ
スー2ーアミジノプロパン・塩酸塩、ペルオキソ二硫酸
カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、tーブチル
クメンヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化
ラウロイル等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、モ
ノマー100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲で
添加使用される。
【0027】[エチレン単独重合体またはエチレン・α
−オレフィン共重合体]本発明において用いられるエチ
レン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合
体(A)は、少なくともシクロペンタジエン化合物と周
期律表第IV族の遷移化合物を含む少なくとも1種の触媒
の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素数3〜20の
α−オレフィンとを重合または共重合(以下、本明細書
においては「重合または共重合」を「(共)重合」と略
記する。)させることにより得られる下記(イ)〜
(ニ): (イ)密度が0.86〜0.96g/cm3 、(ロ)メルトフロ
ーレート0.01〜100g/10分、(ハ)分子量分布
(Mw/Mn)が 1.5〜 5.0、(ニ)組成分布パラメー
ターCbが2.00以下、の要件を満足するエチレン単独重
合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体であっ
て、図1に示されるような連続昇温溶出分別法(TRE
F)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的
にピークを1個有する、シクロペンタジエニル骨格を有
する配位子と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む少
なくとも1種の触媒下の存在下で得られる典型的なメタ
ロセン触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体(A1)、および/または図2
に示すように、連続昇温溶出分別法(TREF)により
求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークを
複数個有する特殊な新規エチレン単独重合体またはエチ
レン・α−オレフィン共重合体(A2)を包含するもの
である。
【0028】上記本発明で使用するエチレン単独重合体
またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−
オレフィンとは、炭素数が3〜20、好ましくは3〜1
2のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げ
られる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合
計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の
範囲で選択されることが望ましい。
【0029】また、本発明のエチレン単独重合体または
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、(イ)密
度が0.86〜0.96g/cm3 、好ましくは0.90〜0.94g/
cm3 、さらに好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲
であり、(ロ)メルトフロレート(以下MFRと称
す。)が0.01〜100g/分、好ましくは 0.1〜50g
/分、さらに好ましくは 0.5〜40g/10分の範囲の
ものである。密度が0.86/cm3 未満のものは柔らかす
ぎて耐熱性が不良となり、抗ブロッキング性が劣る。ま
た0.96g/cm3 を超えると硬すぎて、引き裂き強度、
衝撃落下強度等が低くなる。MFRが0.01g/10分未
満では加工性が不良となり、100g/10分を超える
と強度が弱いものとなる。
【0030】一般にエチレン単独重合体またはエチレン
・α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)
は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GP
C)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(M
n)を求めて、それらの比(Mw/Mn)を算出するこ
とにより求めることができるが、本発明で用いるエチレ
ン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体
(A)の(ハ)Mw/Mnは、 1.5〜 5.0の範囲のもの
である。
【0031】またTREFにより求めた溶出温度−溶出
量曲線が図1に示されるような典型的なメタロセン触媒
によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフ
ィン共重合体(A1)においては、Mw/Mnは好まし
くは 1.5〜 4.5、さらに好ましくは 1.8〜 3.5の範囲に
あることが望ましい。
【0032】さらに、TREFにより求めた溶出温度−
溶出量曲線が図2に示される特殊なエチレン単独重合体
またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)にお
いては、Mw/Mnは好ましくは 1.5〜 4.5、さらに好
ましくは 1.8〜 4.0、より好ましくは 2.0〜 3.0の範囲
にあることが望ましい。上記Mw/Mnが 1.5未満では
成形加工性が劣り、 5.0を超えるものは耐衝撃性が劣
る。
【0033】本発明におけるエチレン単独重合体または
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の(ニ)組成
分布パラメーター(Cb)の測定法は下記の通りであ
る。すなわち、酸化防止剤を加えたオルソジクロルベン
ゼン(ODCB)に試料を濃度が 0.2重量%となるよう
に135℃で加熱溶解した後、けい藻土(セライト54
5)を充填したカラムに移送した後、 0.1℃/minの
冷却速度で25℃まで冷却し、共重合体試料をセライト
表面に沈着する。次に、この試料が沈着されているカラ
ムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5
℃きざみに120℃まで段階的に昇温して行く。すると
各温度に対応した溶出成分を含んだ溶液が採取される。
この溶液にメタノールを加え、試料を沈殿後、ろ過、乾
燥し、各温度における溶出試料を得る。各試料の、重量
分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)
を測定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0034】このような方法で30℃から90℃で採取
した各フラクションについては、次のような分岐度の補
正を行なう。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐
度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似
し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大き
い。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐
度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラク
ションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係
が成立しないのでこの補正は行わない。
【0035】次ぎに、それぞれのフラクションの重量分
率wi を、溶出温度5℃当たりの分岐度bi の変化量
(bi −bi-1 )で割って相対濃度ci を求め、分岐度
に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。
この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分
布パラメーターCbを算出する。
【0036】
【数1】Cb=(Σcj j 2 /Σcj j )÷(Σc
j j /Σcj
【0037】ここで、cj とbj はそれぞれj番目の区
分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターC
bは試料の組成が均一である場合に 1.0となり、組成分
布が広がるに従って値が大きくなる。
【0038】なお、エチレン・α−オレフィン共重合体
の組成分布を表現する方法については多くの提案がなさ
れている。例えば、特開昭60-88016号では、試料を溶剤
分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分
率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値
処理を行ない、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度
(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分
岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が
下がり、市販のLLDPEについて測定を行なうと相関
係数(Rx )はかなり低く、値の精度は充分でない。ま
た、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発
明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行え
ば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0039】本発明におけるエチレン単独重合体または
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の(ニ)組成
分布パラメーター(Cb)は2.00以下であり、典型的な
メタロセン触媒によるエチレン単独重合体またはエチレ
ン・α−オレフィン共重合体(A1)においては、好ま
しくは1.01〜 1.2、さらに好ましくは1.02〜1.18、より
好ましくは1.03〜1.17の範囲にあることが望ましい。ま
た本発明の特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体(A2)においては、好ましく
は1.08〜2.00、さらに好ましくは1.10〜1.80、より好ま
しくは1.15〜1.50の範囲にあることが望ましい。組成分
布パラメーター(Cb)が2.00より大きいとブロッキン
グしやすく、ヒートシール性も不良となり、また低分子
量あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみ出しが多
く衛生上の問題が生じる。
【0040】本発明における、特殊なエチレン単独重合
体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の
(ヘ)25℃におけるODCB可溶分の量X(重量%)
と密度dおよびMFRの関係は、dおよびMFRの値
が、d− 0.008 logMFR ≧0.93の条件を充たす場合は、
Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、d− 0.0
08 logMFR <0.93の条件を充たす場合は、 X< 9.8×103 ×(0.9300−d+ 0.008 logMFR )2
+ 2.0、 好ましくは、 X< 7.4×103 ×(0.9300−d+ 0.008 logMFR )2
+ 1.0、 さらに好ましくは、 X< 5.6×103 ×(0.9300−d+ 0.008 logMFR )2
+ 0.5 の関係を満足していることが必要である。
【0041】上記25℃におけるODCB可溶分の量
は、下記の方法により測定する。試料 0.5gを20ml
のODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に
溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で
一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採
取する。このろ液のメチレンの非対称伸縮振動の波数29
25cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、予め作成した検
量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃に
おけるODCB可溶分量が求められる。
【0042】25℃におけるODCB可溶分は、エチレ
ン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分お
よび低分子量成分であり、フィルムのブロッキングの原
因となるため、この含有量は少ないことが望ましい。O
DCB可溶分の量は、コモノマーの含有量および分子量
に影響される。従ってこれらの指標である密度およびM
FRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすこと
は、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少
ないことを示す。
【0043】本発明における特殊なエチレン単独重合体
またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は、
(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶
出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在し、
図1の典型的なメタロセン触媒による重合体(A1)と
は明確に区別されるものである。この複数のピーク温度
は85℃から100℃の間に存在することが特に好まし
い。このピークが存在することにより、成形体の耐熱性
が向上する。
【0044】本発明に係るTREFの測定方法は下記の
通りである。試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロ
キシトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重量
%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試
料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入
し、 0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料を
ガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにOD
CBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/時
間の一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。
この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非
対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出
機で測定することにより連続的に検出される。この値か
ら、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度
を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。T
REF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対す
る溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法で
は検出できない比較的細かいピークの検出が可能であ
る。
【0045】前記典型的なメタロセン触媒による、エチ
レン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合
体(A1)は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位
子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により
助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む触媒の
存在下にエチレンまたはエチレンおよび炭素数3〜20
のα−オレフィンを(共)重合させることにより得られ
るものである。
【0046】このエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体(A1)を製造する触媒である
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律
表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格
とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエ
ニル基等である。置換シクロペンタジエニル基として
は、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置
換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シア
ノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロア
ルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種
の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等であ
る。置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上あ
ってもよく、また係る置換基同士が互いに結合して環を
形成してもよい。
【0047】上記炭素数1〜10の炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シク
ロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のア
ラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基
が好ましい。
【0048】置換シクロペンタジエニル基の好適なもの
としては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシク
ロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニ
ル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,
3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3
−n−プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基等
が具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジエ
ニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアルキ
ル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、特
に1,3−置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
【0049】置換基同士、すなわち炭化水素同士が互い
に結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シ
クロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数
1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により
置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜
8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換
された置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(ア
ルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレ
ニル基等が好適なものとして挙げられる。
【0050】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属とし
ては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げら
れ、特にジルコニウムが好ましい。前記遷移金属化合物
は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を通常1
〜3個有し、また2個以上有する場合は架橋基により互
いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭
素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、
シランジイル基等が挙げられる。
【0051】周期律表第IV族の遷移金属化合物において
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子
としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20
の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール
基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基
等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基等が
挙げられる。
【0052】これらの具体例としては以下のものがあ
る。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタ
ジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ハフニウムジフェニル等がある。モノアルキル
メタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)チ
タニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペン
タジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス(シ
クロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロライド
等がある。また、モノシクロペンタジエニルチタノセン
であるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムト
リクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタ
ニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシクロペ
ンタジエニル)チタニウムジフェニル等が挙げられる。
【0053】置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジ
フェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペン
タジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライ
ド;ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたは
ペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物
としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニ
ル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス
(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウム
ジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯
体;シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエ
ン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニル
チタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジ
シクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジク
ロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0054】ジルコノセン化合物としては、ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、
ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリク
ロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジフェニル;アルキル置換シクロペンタジ
エンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロア
ルキルまたはジハライド錯体;ジアルキル、トリアルキ
ル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタ
ジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそ
れらのジハライド錯体;シリコン、炭素連結シクロペン
タジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタ
ジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチ
レンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまた
はジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコ
ニウムジメチルまたはジハライド等が挙げられる。
【0055】さらに他のメタロセンとしては、ビス(シ
クロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス
(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド等が
挙げられる。
【0056】本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化
合物の例として、下記一般式〔II〕で示されるシクロペ
ンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子お
よび遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0057】
【化8】
【0058】式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨
格を有する配位子、X2 は水素、ハロゲン、炭素数1〜
20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ
基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表
し、Y2 はSiR2 、CR2 、SiR2 SiR2 、CR
2 CR2 、CR=CR、SiR2 CR2 、BR2 、BR
からなる群から選ばれる2価の基、Z2 は−O−、−S
−、−NR−、−PR−またはOR、SR、NR2 、P
2 からなる群から選ばれる2価中性リガンドを示す。
ただし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲ
ン化アリール基、またはY2 、Z2 またはY2 とZ2
双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成
するものである。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を
表わす。
【0059】式〔II〕で示される化合物の例としては、
(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタ
ジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライ
ド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、
(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)
ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン
チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル
(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニ
ウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラ
メチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライ
ド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシ
クロペンタジエニル)シランチタンジクロライド等が挙
げられる。
【0060】本発明で用いる助触媒とは、前記周期律表
第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効化し得る
もの、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷
を均衝させ得るものをいう。助触媒の具体例としては、
有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミ
ノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合
物、ホウ素化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、
酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノキサ
ンが最も好ましい。
【0061】また、触媒は無機または有機化合物の担体
に担持して使用してもよい。このような担体としては無
機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的
にはSiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO
2 、B2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等ま
たはこれらの混合物、例えば、SiO2 −Al2 3
SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、SiO2
MgO、SiO2 −Cr2 3 等が挙げられる。
【0062】有機アルミニウム化合物としては、トリエ
チルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等の
トリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハ
ライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキ
ルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイ
ドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げら
れる。
【0063】本発明で用いる、特殊なエチレン単独重合
体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)
は、下記のa1〜a5の触媒を用いて重合したものが望
ましい。 a1:一般式Me1 5 p (OR6 q 1 4-p-q で表
される化合物(式中、Me1 はジルコニウム、チタンま
たはハフニウムを示し、R5 およびR6 はそれぞれ独立
して、炭素数1〜24の炭化水素基を表わし、X1 はハ
ロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、
0≦p+q≦4の条件を満たすを整数である。)。 a2:一般式Me2 7 m (OR8 n 2 z-m-n で表
される化合物(式中、Me2 は周期律表第I〜 III族元
素、R7 およびR8 はそれぞれ独立して炭素数1〜24
の炭化水素基を表わし、X2 はハロゲン原子または水素
原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律
表第III 族元素に限られる。)を示し、zはMe2 の価
数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦
zの条件を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zで
ある)。 a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物。 a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物。 a5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体を相
互に接触させて得られる触媒。
【0064】以下、さらに詳説する。上記触媒成分a1
の一般式Me1 5 p (OR6 q 1 4-p-q で表わさ
れる化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタンまた
はハフニウムを示し、これらの遷移金属の種類単独は限
定されるものではなく、複数を用いることもできるが、
共重合体の耐候性に優れるジルコニウムが含まれること
が特に好ましい。R5およびR6 はそれぞれ独立して、
炭素数1〜24の炭化水素基を表わし、好ましくは炭素
数1〜12、さらに好ましくは1〜8である。具体的に
はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアル
ケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチ
ル基、インデニル基、ナフチル基等のアリール基;ベン
ジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベン
ズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基等のア
ラルキル基等が挙げられる。これらは分岐があってもよ
い。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素等のハロゲ
ン原子を示す。pおよびqはそれぞれ、0≦p<4、0
≦p+q≦4の条件を満たすを整数である。
【0065】上記触媒成分a1の一般式で示される化合
物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエ
チルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テト
ラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロ
ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブ
トキシチタン、テトラブトキシハフニウム等が挙げら
れ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキ
シジルコニウム等のZr(OR)4 化合物が好ましく、
これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0066】上記触媒成分a2の一般式Me2
7 m (OR8 n 2 z-m-n で表わされる化合物の式中
のMe2 は周期律表第I〜 III族元素を示し、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等である。R7 および
R8 はそれぞれ独立して、炭素数1〜24の炭化水素基
を表わし、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましく
は1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビ
ニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリ
ル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチ
ル基等のアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネ
チル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチ
ル基、ネオフイル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、
塩素および臭素等のハロゲン原子または水素原子を示
す。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、
アルミニウム等に例示される周期律表第III族元素の場
合に限られる。また、zはMe2 の価数を示し、mおよ
びnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの条件を満た
す整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0067】上記触媒成分a2の一般式で示される化合
物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウム等の
有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチル
マグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチル
マグネシウムクロライド等の有機マグネシウム化合物;
ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;トリ
メチルボロン、トリエチルボロン等の有機ボロン化合
物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチ
ルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウ
ムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライド等
の有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0068】上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有
機環状化合物には、環状で共役二重結合を2個以上、好
ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環
を1個または2個以上持ち、全炭素数が4〜24、好ま
しくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭
化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型
的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル
基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を
2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜
3個有する環を1個または2個以上持ち、全炭素数が4
〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有
する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に
1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリ
ウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物
が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロ
ペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0069】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体等が挙げられる。また、これらの化合物が
アルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2
〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いら
れる。
【0070】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式〔III 〕で表示することができる。 AL SiR9 4-L 〔III 〕 ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペン
タジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示
される前記環状水素基を示し、R9 はメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキ
ル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキ
シ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;フ
ェノキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基等のアラ
ルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜1
2の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、
好ましくは1≦L≦3である。
【0071】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の
具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペン
タジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチ
ルシロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−イン
デン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエ
ン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラ
エン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのよう
な炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポ
リエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロ
ペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシ
ラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、
トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0072】触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む
変性有機アルミニウムオキシ化合物は、アルキルアルミ
ニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アル
ミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合
物として得られるものであり、分子中に通常1〜100
個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有
する。また、変性有機アルミニウム化合物は線状でも環
状でもいずれでもよい。
【0073】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行なわれる。不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との
反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、
好ましくは 0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0074】触媒成分a5の無機物担体および/または
粒子状ポリマー担体としては、炭素質物、金属、金属酸
化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あ
るいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、
鉄、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。具体的に
は、SiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO
2 、B2 3、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等ま
たはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al
2 3 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、S
iO2 −V25 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr
2 3 等が挙げられる。これらの中でもSiO2 および
Al2 3 からなる群から選択される少なくとも1種の
成分を主成分とするものが好ましい。
【0075】また、有機化合物としては、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。具体的には、
粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、
ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ
スチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこ
れらの混合物等が挙げられる。
【0076】上記無機物担体および/または粒子状ポリ
マー担体は、このまま使用することもできるが、好まし
くは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化
合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物等に接触処理させた後に成分a5として用
いることもできる。
【0077】本発明のエチレン単独重合体またはは分子
量分布および組成分布が狭いため、機械的強度が強く、
ヒートシール性、抗ブロッキング性に優れ、しかも耐熱
性の良い重合体である。このような機械的強度やヒート
シール性等の特性は農業用フィルムの展張性フィルム同
士を溶着して幅広のフィルムとして使用する際に好適な
効果をもたらす。
【0078】本発明のエチレン単独重合体またはエチレ
ン・α−オレフィン共重合体(A)の製造方法は、前記
触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、
スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸
素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される
不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造され
る。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常1
5〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ま
しくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場
合、通常、常圧〜70kg/cm2 G 、好ましくは常圧
〜20kg/cm2 G であり、高圧法の場合通常1500k
g/cm2 G 以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場
合、通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度
が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好まし
くは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重
合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、
重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上
の多段重合法等特に限定されるものではない。
【0079】本発明で使用するポリオレフィン系樹脂
(B)とは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹
脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4−メチル−1−ぺン
テン樹脂、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレ
ン・プロピレンージエン共重合体ゴム、エチレン・ブテ
ン−1共重合体ゴムなどのオレフィン系ゴム等を包含
し、これらの中でもポリエチレン系樹脂、ポリプロピレ
ン系樹脂が、機械的強度や経済性、汎用性等の点で好ま
しく、とりわけポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリプ
ロピレン系樹脂とは、公知の技術によって重合されたプ
ロピレン単独重合体、プロピレンーエチレンブロック共
重合体、プロピレンーエチレンランダム共重合体を含
む。これらの中でもプロピレン単独重合体やプロピレン
ーエチレンランダム共重合体が透明性に優れて好ましい
ものである。上記ポリオレフィン系樹脂の中ではエチレ
ンの単独重合体および/またはエチレンの共重合体(エ
チレン(共)重合体)が透明性、柔軟性、強度のバラン
スがよく、好ましく用いられる。
【0080】前記エチレン系(共)重合体(B)として
は、まず、(A)成分とは異なるエチレン単独重合体ま
たはエチレン・α−オレフィン共重合体、すなわち従来
公知のチーグラー触媒あるいはフィリップス触媒等を用
いる、高・中・低圧法およびその他の公知の方法による
エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜12の
α−オレフィンとの共重合体が挙げられる。これは、
(A)成分より一般的には分子量分布あるいは組成分布
が広く、密度が0.94以上の高密度ポリエチレン(以下、
HDPEと略す。)、密度が0.91〜0.94g/cm3 の線
状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略す。)、
密度が0.86〜0.91g/cm3 の超低密度ポリエチレン
(以下、VLDPEと略す。)、密度が0.86〜0.91g/
cm3 のエチレン・プロピレン共重合体ゴム(以下、E
PRと略記する。)、エチレン・プロピレン・ジエン共
重合体ゴム等(以下、EPDMと略記する。)のエチレ
ン・α−オレフィン共重合体ゴムを包含する。
【0081】上記HDPEとは、密度が0.94〜0.97g/
cm3 、好ましくは0.95g/cm3以上の、公知のチー
グラー触媒等を用いてスラリー法、溶液法または気相法
による公知のプロセスにより製造されるエチレン単独重
合体またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン
との共重合体およびそれらの混合物である。α−オレフ
ィンの具体的例としては、プロピレン、1−ブテン、4
−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらのα
−オレフィンのうち特に好ましいのは炭素数3〜8のα
−オレフィンである。これらの重合体のMFRは、0.01
〜30g/10分、好ましくは0.02〜20g/分の範囲
で選択される。
【0082】上記LLDPEとは、密度が0.91〜0.94g
/cm3 、好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲のエ
チレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.05
〜30g/10分、好ましくは 0.1〜20g/10分の
範囲のものが選択される。分子量分布(Mw/Mn)は
特に限定はないが、 3.0〜13、好ましくは 3.5〜8の
範囲にあるのが一般的である。上記LLDPEのα−オ
レフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜1
2、さらに好ましくは炭素数6〜12の範囲のα−オレ
フィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4
−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン
等が挙げられる。上記MFRが0.05g/10分未満で
は、成形性が悪化し、30g/10分を超えるものは耐
衝撃性やヒートシール強度等が低下するおそれを生じ
る。
【0083】また上記VLDPEとは、密度が0.86〜0.
91g/cm3 、好ましくは0.88〜 0.905g/cm3 の範
囲のエチレン−α−オレフィン共重合体であり、MFR
が0.01〜20g/10分、好ましくは 0.1〜10g/1
0分の範囲のものが選択される。このVLDPEは、線
状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−
オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の
性状を示すポリエチレンであり、示差走査熱量測定法
(DSC)による最大ピーク温度(Tm)60℃以上、
好ましくは、100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶
分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−
オレフィン共重合体であり、LLDPEが示す高結晶部
分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶
部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である耐
衝撃性、耐熱性等と、後者の特徴であるゴム状弾性、耐
低温衝撃性等がバランスよく共存している。
【0084】また上記エチレン・α−オレフィン共重合
体ゴムとは、密度が0.86〜 0.1g/cm3 未満のエチレ
ン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・
ジエン共重合体ゴム等であり、このようなエチレン・プ
ロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを
主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3
成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エ
チリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とする
ランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0085】さらに本発明におけるエチレン系(共)重
合体(B)としては、高圧ラジカル重合法による密度0.
91〜0.94g/cm3 のエチレン単独重合体(低密度ポリ
エチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体および
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
との共重合体等が挙げられる。
【0086】上記低密度ポリエチレン(以下、LDPE
と略す。)は、MFRが0.05〜30g/10分、好まし
くは 0.1〜20g/10分の範囲で選択される。この範
囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となり、フ
ィルムへの成形等が容易に行なえる。このLDPEの密
度は0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは 0.912〜 0.935
g/cm3 、さらに好ましくは 0.912〜 0.930g/cm
3 の範囲のものが選択される。また、分子量分布(Mw
/Mn)は 3.0〜12、好ましくは 4.0〜 8.0である。
これらLDPEは、公知の高圧ラジカル重合法(チュー
ブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい)により
製造される。
【0087】また、上記エチレン・ビニルエステル共重
合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エチレンを
主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロ
ン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ス
テアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニル等のビニル
エステル単量体との共重合体である。これらの中でも特
に好ましいものとして、酢酸ビニルを挙げることができ
る。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル 0.5〜
50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重
量%からなる共重合体、さらに好ましくはビニルエステ
ル含有量が3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重
量%の範囲で選択される。これら共重合体のMFRは、
0.1〜20g/10分、好ましくは 0.3〜10g/分の
範囲で選択される。
【0088】さらに上記エチレンとα、β−不飽和カル
ボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な例とし
ては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキ
ルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーと
しては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)ア
クリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル
酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル等を挙げ
ることができる。この中でも特に好ましいものとして
(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエス
テルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エ
ステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重
量%の範囲である。これら共重合体のMFRは、 0.1〜
30g/10分、好ましくは 0.2〜20g/分の範囲で
選択される。
【0089】前記(A)成分と(B)成分の配合割合
は、(A)成分が100〜20重量%、(B)成分は0
〜80重量%であり、フィルム強度を重視する場合は
(A)成分を主成分とすることが望ましいが、強度、低
温ヒートシール特性をある程度保有し、かつ加工性、柔
軟性、風合いを考慮した場合には(B)成分を適度に配
合することが望ましい。
【0090】前記一般式〔I〕で表わされる化合物また
はその重合体からなる色素の配合量は樹脂成分100重
量部に対して0.05〜15重量部、好ましくは 0.1〜12
重量部である。0.05重量部未満では植物の育成促進効果
が顕著でなく、15重量部を超えると効果が頭打ちとな
り不経済であり、場合によると透明性が悪化したり強度
が低下する等の弊害が生じるおそれがある。
【0091】本発明におけるヒンダードアミン系化合物
としては、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、
{4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェ
ニル)プロピオニル}−N−(4−ヒドロキシ−3,5
−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン、1,1′−(1,2−エタン
ジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジ
ノン)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジニル)セバケート、ビス−{N−メチル−2,
2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル}セバケー
ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,
2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコール
との縮合物、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと
トリアシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,
2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキ
ス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレー
ト、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイ
ル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)
イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジニル)イミノ]}、ポリ{6−モルフォリ
ノ−s−トリアジン−2,4−ジイル[(2,2,6,
6−テトラメチルピペリジル)イミノ−ヘキサメチレ
ン][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)
イミノ]}、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール
とβ,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−(2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン)ジエタノールとの縮合物、N,N′−ビス(3−ア
ミノプロピル)エチレンジアミン2,4−ビス[N−ブ
チル−N(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)アミノ]−クロロ−1,3,5−トリアジン
縮合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエス
テル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと
β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9(2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)
ジエタノールとの縮合物、トリメチルプロピル−3−オ
キシ−[4(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジ
ニル]シロキサン等が挙げられ、中でも最も好ましいも
のとして4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸との縮合物等
が挙げられる。
【0092】本発明のヒンダードアミン系化合物を、樹
脂成分100重量部に対して0.05〜2重量部配合する。
0.05重量部未満の場合は色素の蛍光強度保持率が改良さ
れず、波長変換能は長期安定性がないものとなり、2重
量部を超える場合はフィルム表面にブリードアウトし外
観が悪化する。また蛍光強度保持率の改良効果も頭打ち
となり不経済となる。
【0093】上記ヒンダードアミン系化合物は、従来の
フィルム等樹脂の耐光性を保持する機能と、一般式
〔I〕で表わされる化合物またはその重合体からなる色
素の蛍光強度を低下させず、その植物育成促進効果を長
時間保つという相乗効果を有している。色素が架橋重合
体の場合この相乗効果は充分に解析されていないが、樹
脂中に配合されたヒンダードアミン系化合物が、架橋共
重合体粒子表面で特異な働きをすることにより、マトリ
ックスの光劣化によって発生した活性なラジカルが重合
体粒子中に侵入することを防ぐ効果によるものと考えら
れる。
【0094】前記本願の第1発明の波長変換能を有する
組成物は、各々所望の組成をドライブレンド等のように
ヘンシェルミキサー、押出機等で単純ブレンドして調製
してもよいが、好ましくはあらかじめ、高濃度に色素を
配合したマスターバッチとして供されることが望まし
い。
【0095】すなわち、本願第2の発明は、一般式
〔I〕で表わされる化合物またはその重合体からなる色
素、本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−
オレフィン共重合体(A)および/またはエチレン系
(共)重合体(B)の樹脂成分、および/または分散剤
とヒンダートアミン系化合物とを溶融混練し、樹脂成分
および/または分散剤に対して色素を20重量%以上9
0重量%程度の範囲で可及的高濃度に含むペレット状と
したことを特徴とする波長変換能を有するオレフィン系
樹脂組成物用マスターバッチである。このように色素を
均一高濃度に含有するペレット状化したマスターバッチ
とすることにより、取り扱いや運搬・作業性が容易とな
り、かつ色素を目的とする組成物中に均一に分散するこ
とができ、フィルムの色むらを生ぜず、透明性等光学的
性質を損なうことが回避されるので、フィルムの波長変
換効率が飛躍的に向上し、かつ長期安定性が維持できる
こととなる。
【0096】上記マスターバッチに便用される樹脂のう
ちエチレン(共)重合体(B)は、前記色素および分散
剤とブレンドされるものであるから、前記色素および分
散剤と相溶性を有し、かつ高濃度に色素が配合される樹
脂が望ましい。具体的には、前記線状ポリエチレンおよ
び/または分岐状ポリエテレン、望ましくは密度が0.94
g/cm3 以下のエチレン・α−オレフィン共重合体、
とりわけ、VLDPE、EPR、EPDM等の軟質のポ
リエチレン、あるいはエテレンー酢酸ビニル共重合体
(ΕVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(E
EA)等のエチレンと極性基含有モノマーとの共重合体
等が好ましい。
【0097】本発明で使用する分散剤とは、マイクロリ
ンワックス、ポリエチレンワックス、アタクチックポリ
プロピレン等のワックス類;石油樹脂;あるいはこれら
ワックス類、石油樹脂を無水マレイン等で変性した変性
物;ポリブテン;鉱油等のオイル類こららの混合物等が
挙げられる。これら分散剤と色素との配合は可及的高濃
度に調整されることが望ましく、一般に色素(顔料)を
堅いペースト状にするために必要な油(ボイル油、ワニ
ス等)の量で評価される吸油量(JIS K5500)
を調整したものをも包含する。しかし、取り扱いや作業
性等の観点から樹脂成分および/または分散剤に対して
色素濃度20〜90重量%の範囲で調製されることが好
ましい。
【0098】本願第3の発明は、前記樹脂またはその組
成物を含む農業用フィルムである。ここでいう農業用フ
イルムには、単層フィルムのほか、多層で構成されるフ
ィルムをも包含する。ハウス栽培、トンネル栽培、マル
チ栽培等に使用される農業用フィルムにおいては、耐衝
撃性、耐引裂性、耐突き刺し性等の耐久性、耐寒性、透
明性等の諸性質を保持する必要がある。上記本発明の単
層フィルムからなる農業用フィルムにおいては、前記エ
チレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重
合体(A)を用いているためにこれらの諸性質を満足す
るものである。
【0099】なお上記フィルムは、インフレーション成
形、Tダイ成形等によって成形され、厚さは約10〜5
00μm程度の範囲であり、分散性向上のため、前記マ
スターバッチと本発明で使用される樹脂と共に押出機に
投入することにより成形されることが望ましい。
【0100】また、本発明の農業用フィルムには、前記
波長変換能や透明性等を損なわない範囲で、農業用フィ
ルムに要求される他の機能を付与するために、防曇剤、
流滴剤、保温剤等の添加剤を配合することができる。さ
らにフイルム成形時の熱劣化を防止するための酸化防止
剤、滑剤、紫外線吸収剤等の通例の添加剤を配合するこ
ともできる。
【0101】本発明の多層構造から構成される農業用フ
イルムとは、前記波長変換能を有する組成物からなるフ
イルム層と他のフイルム層との少なくとも2層の積層フ
イルムから構成されるが、波長変換能を長期的に保持す
るために前記波長変換能を有する組成物からなるフイル
ム層を中間層として構成することが望ましい。
【0102】また、前記単層フイルムと同様に波長変換
能の長期安定性と耐衝撃性、耐引裂性、耐突き刺し性等
の耐久性、耐寒性、透明性等の諸性質を保持し、防曇
性、流滴性、保温性等の性能や酸化防止剤、滑剤、紫外
線吸収剤等の機能を維持するためには、3層構造として
外層に紫外線吸収剤、防曇剤や流滴剤を配合し、中間層
およびハウス室内側の層に保温剤(シリカ、アルミニウ
ムシリケート、アルミノシリケート、チタニウムシリケ
ート、ケイ酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、カ
オリナイト、ゼオライト、ガラス粉末、炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム等)等を配合することが好まし
い。
【0103】例えば、上記3層の積層フィルムの中間層
を波長変換能を有する組成物からなるフィルム層とし、
少なくとも一方の外層に防曇剤を配合し、他の外層に紫
外線吸収剤を配合し、ハウス室内側に防曇剤配合層を配
置することにより、中間層の波長変換能に影響を及ぼさ
ず、植物育成促進効果をそのまま維持しながらハウス室
内の水分による水滴の付着を防止することが可能とな
る。
【0104】上記防曇剤とはフイルム表面へ水滴が付着
することによる透明性の低下による照射日光の低下を防
ぐものである。防曇剤に用いられる化合物としては、グ
リセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘレー
ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘ
レート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンパル
ミチン酸エステル(エチレンオキサイド付加物)等が挙
げられる。これらは単独で、または複数を組み合わせて
用いられる。防曇剤の配合量はフイルムの厚さによって
異なるが一般的には0.01〜 0.5重量部の範囲である。
【0105】本発明の積層型の農業用フィルムにおいて
波長変換能層以外の層を構成する他のフィルムに用いら
れる樹脂としては、本発明のエチレン単独重合体または
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、および他の
エチレン系(共)重合体(B)を含み、その他にこれら
以外のオレフィン系樹脂(PO)、ポリアミド系樹脂
(PA)、ポリエステル系樹脂(PES)、ポリカーボ
ネート系樹脂(PC)、ポリビニルアルコール系樹脂
(PVA)、アクリル系樹脂(AN)等が挙げられ、具
体的な多層構造フィルムとしては、(A)/色素含有層
/(A)、(B)/色素含有層/(B)、(A)/色素
含有層/(B)、(A)+(B)/色素含有層/
(B)、(A)+(B)/色素含有層/(A)+
(B)、PA/酸変性ポリオレフィン(MPO)/色素
含有層/MPO/PA、PES/MPO/色素含有層/
MPO/PES、PC/MPO/色素含有層/MPO/
PC、PVA/色素含有層/PO等が挙げられが、好ま
しい組合わせとしては、エチレン(共)重合体で構成さ
れるものが望ましい。
【0106】また、添加剤含有層の組合わせでは、例え
ば本発明の色素含有層(SP)/防曇剤、紫外線吸収剤
(UV)/SP、UV/SP/防曇剤、防曇剤/SP/
防曇剤、保温剤(HO)/SP/防曇剤、ヒンダードア
ミン(HALS)/SP/防曇剤、UV+防曇剤/SP
/防曇剤、UV+防曇剤/SP/防曇剤+UV等の種々
の組合わせが挙げられる。
【0107】本発明おいては、図3に一構成例を示すよ
うに積層フイルム(1)の最外層(3a,3b)の一つ
を粗面化加工し、この加工面(4)をハウスの植物栽培
側に向けて使用することが好ましい。すなわち、色素含
有層(2)における発光は樹脂の屈折率によって異なる
が、発光した光は空気との界面で全反射されてフィルム
内を伝わり、閉じ込められた光は吸収発光を繰り返す。
このときの発光した光を有効にフィルム内面から栽培植
物に放射(照射)できるように、フィルムの内面に凹凸
を設ける粗面化加工をするのが好ましい。粗面化加工
は、例えばワイヤーブラシ、サンドブラスト、エンボシ
ング等通常実施されている方法で行なうことができる。
前記積層フィルムは予め成形されたフィルムを基材と
して、それに押出ラミネーション法、ドライラミネーシ
ョン法、サンドラミネーション法等によって積層する方
法、あるいは二層を同時に成形する共押出Tダイ法、共
押出インフレーション法等によって成形される。
【0108】フイルム成形時の熱劣化を防止するために
添加配合される酸化防止剤は公知のもので差し支えない
が、ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン
−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキ
スフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシルジ
ブチルヒドロキシハイドロシアナメイト等のヒンダード
フェノール系、ジラウルチオジプロピオネート、ジステ
アリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系、ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、トリス(ジブチルフェニル)ホス
ファイト、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テト
ラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイトなどのリン系等の酸化防
止剤が好ましいものとして挙げられる。
【0109】本発明における農業用ポリオレフィンフィ
ルムはハウス栽培、トンネル栽培等の一次被覆材として
用いられ保温性、防塵性、遮水性防曇性等があり、強
度、柔軟性のバランスがよく、焼却時に有毒ガスが発生
することがなく、植物の育成効果が長続きするフィルム
である。また、引張強度、引裂強度等の機械的強度が高
く、ハウスの張設や地表にマルチフィルムを密着展伸し
たりする際の展張等に十分耐えるものである。
【0110】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例および実験例
に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらによっ
て限定されるものではない。
【0111】実施例及び比較例における試験法は以下の
通りである。 [密度]:JIS K6760に準拠して測定した。 [MFR]:JIS K6760準拠して測定した。 [蛍光強度保持率]:反射型陽光ランプ(東芝ライテッ
ク(株)製,DR400/T(L))を使用し、試料フ
ィルムに90℃にて、20万ルックスを照射し、蛍光強
度を日立製850型蛍光分光光度計(励起波長500n
m)で測定し、蛍光強度の減少度合が照射前の強度の1
/2になった日数で評価した。 [フイルム外観]:後述の成形条件で成形したフイルム
の表面を目視により観察し以下の基準で判定した。 ○…良好、×…表面が白濁。
【0112】実施例及び比較例で使用した成分は下記の
通りである。 (1)一般式〔I〕で示される化合物 3,6ージアミノー2,5ピラジンジカルボニトリルを
出発原料とし、(A)、(B)、(C)及び(D)の化
合物を経由する方法で製造した化合物(E)を使用し
た。 (i)一般式〔I〕でR1 1 =COC6 5 、R2 2
=R3 3 =R4 4 =Hである化合物(A)の合成
【0113】
【化9】
【0114】3,6ージアミノー2,5ピラジンジカル
ボニトリル(3.52)gをピリジン(60ml)に溶解し
氷冷下、ベンゾイルクロライド(5.06)gを30分で滴
下し同温度で4時間反応を行った。反応液をろ過、濃縮
し酢酸エチル(60ml)、 0.5M HCl水溶液(6
0ml)を加え、析出した結晶をろ取し、水、酢酸エチ
ルで洗浄後乾燥して、黄色結晶(2.26g)を得た。収率
45%、DSC測定値:270℃(吸熱ピーク)。
【0115】(ii)一般式〔I〕でR1 1 =COC6
5 、R2 2 =R3 3 =R4 4 =CH3 である化合
物(B)の合成
【化10】
【0116】化合物(A)(1.98g)、ジメチルアセト
アミド(30ml)、ヨウ化メチル(9.77g)、無水炭
酸カリウム(4.15g)を混合し60〜70℃で4時間反
応を行った。反応液に水(60ml)を加えジクロロメ
タン(60ml)で抽出し、水洗、乾燥、濃縮を行な
い、酢酸エチル/n−ヘキサンから再沈殿させて黄色結
晶(B)(1.38g)を得た。収率60%、融点(mp)
159〜 159.5℃。
【0117】(iii) 一般式〔I〕でR1 1 =H、R2
2 =R3 3 =R4 4 =CH3 である化合物(C)
の合成
【化11】
【0118】化合物(B)(1.38g)、メチルアルコー
ル(50ml)、10%HCl塩溶液(27ml)を混
合し、80〜90℃で20時間反応を行った。反応液を
冷却して析出した結晶をろ取、水洗、乾燥して暗赤色結
晶(C)(0.25g)を得た。収率60%、mp208〜
209.5℃。
【0119】(iv)一般式〔I〕でR1 1 =(CH2
6 I、R2 2 =R3 3 =R4 4=CH3 である化
合物(D)の合成
【化12】
【0120】化合物(C)(3g)と1,6−ジヨード
ヘキサン( 9.7g)のジメチルアセトアミド(100m
l)溶液に撹拌しながら炭酸セシウム( 6.3g)を加え
室温下、30時間反応を行った。反応液に水(200m
l)を加え不溶物をろ取しエーテルで抽出した。エーテ
ル層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮
し、シリカゲルカラムクロマトグラフ(流出溶媒:ベン
ゼン)で精製した。更にヘキサンで再結晶することによ
り赤色結晶の目的物( 3.0g)を得た。収率49%、m
p55℃;1 HNMR(200MHz,CDCl3 )δppm: 1.
2〜 1.3(8H,m ),3.1〜 3.3(11H,m ), 3.4〜 3.6
(2H,t)。
【0121】(v)一般式〔I〕でR1 1 =(CH2
6 OCOC(CH3 )=CH2 、R22 =R3 3
4 4 =CH3 である化合物(E)の合成
【化13】
【0122】化合物(D)(2.57g)とメタクリル酸
( 0.8g)のアセトニトリル(31ml)溶液に撹拌し
ながら1,8ージアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ
ー7ーエン(DBU)(1.14g)を滴下し、加熱環流下
4時間反応を行った。放冷後水を加えエーテルで抽出
し、エーテル層を水洗、次いで無水硫酸マグネシウムで
乾燥後、減圧濃縮して赤色オイル状の目的物( 2.2g)
を得た。収率95%。1 HNMR(200MHz,CDCl3 )δppm: 1.
2〜 1.8(8H,m),1.95(3H,s),3.15(3H,s),3.16
(6H,s),3.51(2H,t),4.15(2H,t),5.55(1H,
m), 6.1(1H,s); 可視・赤外吸収スペクトル(CHCl3 ) λmax:
241,300,509nm; 蛍光スペクトル(CHCl3 )λem:592(λex
500nm)。
【0123】(2)一般式〔I〕で示される化合物の重
合体(F) 以下の方法で得た一般式〔I〕で示される化合物の重合
体(F)を使用した。前記(5)に記載した化合物
(E)(0.05g)、メチルメタクリレート(1.35g)、
アゾビスイソブチロニトリル(45mg)を混合した。
得られた均一な溶液を窒素置換後、封印し、70℃の湯
浴中で重合させた。3時間の重合硬化後、得られた重合
体をクロロホルムに溶解させ、メタノールで再沈し、減
圧乾燥した。得られた重合体は赤い蛍光色を呈してい
た。重合度を粘度式によって求めたところ2,200 であっ
た。収量1.23g(収率88%)。
【0124】(3)一般式〔I〕で示される化合物の架
橋重合体(G) 以下の方法で調製した一般式〔I〕で示される化合物の
架橋重合体(G)を使用した。前記(5)に記載した化
合物(E)(0.05g)、メチルメタクリレート(1.35
g)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(0.
12g)、アゾビスイソブチロニトリル(49mg)を混
合した。得られた均一な溶液を窒素置換後封印し、70
℃の湯浴中で3時間重合硬化させた。得られた重合体を
クロロホルムに浸したが、重合体は溶解しなかった。更
に20時間クロロホルムに浸し、砕いた後、ろ過し、ク
ロロホルムで洗浄した。クロロホルムで若干膨潤した重
合体を減圧乾燥した。得られた重合体は前記重合体と同
様に赤い蛍光色を呈していた。収量1.2g(収率78
%)。
【0125】(4)ヒンダードアミン系化合物(HAL
S):4ーヒドロキシ2,2,6,6ーテトラメチルー
1ーピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル 商品名;T−622(チバガイギー(株)製)。 (5)紫外線吸収剤:2ーヒドロキシー4ーnーオクト
キシベンゾフェノン 商品名;V−130(共同薬品(株)製)。
【0126】(6)樹脂成分: [A1成分]:エチレン・α−オレフィン共重合体 次の方法で重合してエチレン・1−ブテン共重合体(A
11)およびエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1
2)を調製した。撹拌機を付したステンレス製オートク
レーブを窒素置換し精製トルエンを入れ、次いで1−ブ
テン、あるいは1−ヘキセンを添加し、更にビス(n−
ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライ
ド(Zrとして0.02mmol)、メチルアルモキサン
[MAO](MAO/Zr=500(モル比))の混合
溶液を加えた後、80℃に昇温した。次に、エチレンを
張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつ
つ、全圧を維持し1時間重合を行なった。
【0127】A11:エチレン・1−ブテン共重合体 密度= 0.920g/cm3 、MFR= 0.6g/10mi
n、分子量分布(Mw/Mn)= 2.4、組成分布パラメ
ーター(Cb)=1.04、TREFピーク温度=83.5℃。 A12:エチレン・1−ヘキセン共重合体 密度= 0.921g/cm3 、MFR= 0.7g/10mi
n、分子量分布(Mw/Mn)= 2.4、組成分布パラメ
ーター(Cb)=1.05、TREFピーク温度=82.9℃。
【0128】[A2成分]:エチレン・α−オレフィン
共重合体 次の方法で重合してエチレン・1−ブテン共重合体(A
21)およびエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2
2)を調製した。固体触媒の調製 窒素下で電磁誘導撹拌機付き触媒調製器( No.1)に精
製トルエンを加え、次いでジプロポキシジクロロジルコ
ニウム(Zr(OPr)2 Cl2 )(28g)およびメ
チルシクロペンタジエン(48g)を加え、0℃に系を
保持しながらトリデシルアルミニウム(45g)を滴下
し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間撹
拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の撹拌
器付き触媒調製器( No.2 )に精製トルエンを加え、前
記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン( 6.4mo
l)のトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液と
する。次に窒素下で撹拌器付き調製器( No.1 )に精製
トルエンを加え、次いで予め400℃で所定時間焼成処
理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、
表面積300m2 /g)(1400g)を加えた後、前記B
溶液の全量を添加し、室温で撹拌した。ついで窒素ブロ
ーにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末(C)
を得た。
【0129】試料の重合 連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70
℃、全圧20kgf/cm2 G でエチレンと1−ブテン
あるいは1−ヘキセンの共重合を行なった。前記触媒
(C)を連続的に供給して重合を行ない、系内のガス組
成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重
合を行ない、下記物性値を有するとエチレン・1−ブテ
ン共重合体(A21)あるいはエチレン・1−ヘキセン
共重合体(A22)を得た。
【0130】A21:エチレン・1−ブテン共重合体 密度= 0.922g/cm3 、MFR= 0.5g/10mi
n、分子量分布(Mw/Mn)= 2.6、組成分布パラメ
ーターCb=1.20、d−0.008logMFR =0.924 、ODC
B可溶分(%)= 1.2< 9.8×103 ×(0.9300−d+
0.008logMFR )2+2.0 、TREFピーク温度=82.5,9
4.3℃。 A22:エチレン・1−ヘキセン共重合体 密度= 0.923g/cm3 、MFR= 0.5g/10mi
n、分子量分布(Mw/Mn)= 2.6、組成分布パラメ
ーターCb=1.22、d−0.008logMFR =0.925 、ODC
B可溶分(%)= 1.5< 9.8×103 ×(0.9300−d+
0.008logMFR )2+2.0 、TREFピーク温度=83.2,9
6.5℃
【0131】[LLDPE]:チタン系触媒によるエチ
レン・ブテン−1共重合体 密度 0.923g/cm3 、MFR 0.5g/10min;商
品名:ジェイレクスLL BF1310(日本ポリオレ
フィン(株)製)。
【0132】[LDPE]:高圧ラジカル法ポリエチレ
ン 密度= 0.923g/cm3 、MFR= 1.0g/10mi
n;商品名:ジェイレクスLD F22N(日本ポリオ
レフィン(株)製)。
【0133】[エチレン−酢酸ビニル共重合体] 密度= 0.929g/cm3 、MFR= 0.3g/10mi
n;商品名:ジェイレクスEVA V141(日本ポリ
オレフィン(株)製)。
【0134】[一般式〔I〕で示される化合物またはそ
の重合体の高濃度マスターバッチ(MAB)]前記A2
成分の内、A21を70重量%、一般式〔I〕で示され
る化合物またはその重合体として、前記重合体(F)を
30重量%となるよう配合し、二軸押出機を用い、押出
温度200℃でペレット化し、マスターバッチとした。
【0135】実施例1〜7:一般式〔I〕で示される化
合物またはその重合体を含有するポリオレフィン樹脂組
成物の調製と物性評価 表1に示すように、A11、A12、A21、A22、
LLDPE、LDPE、EVAの各所定量、上記一般式
〔I〕で示される化合物(E)、その重合体(F)、そ
の架橋重合体(G)または重合体(F)を含有するマス
ターバッチ(MAB)の所定量、ヒンダードアミン化合
物(HALS)、およびUV吸収剤を配合してヘンシェ
ルミキサーで混合後、混練押出機により7種のペレット
を得た。これらの各ペレットを使用し、30mmφイン
フレーション成形装置にて、成形温度160〜200
℃、ブローアップ比 1.9の条件で、厚み110μmのフ
イルム試料(実施例1〜7)を調製した。各フィルムに
ついて蛍光強度半減日数、引張破壊強さ、フイルムの外
観を測定乃至評価した。その結果を併せて表1に示す。
表1から蛍光強度半減日数、引張破壊強さ、フイルムの
外観のいずれも良好であることが分かる。
【0136】
【表1】
【0137】比較例1〜5 表2に示すように、A12、A21、LLDPE、PV
Cの各所定量、上記一般式〔I〕で示される化合物
(E)の所定量、ヒンダードアミン化合物(HAL
S)、及びUV吸収剤を配合して実施例1〜7と同様に
してペレット化し、フィルム試料(比較例1〜5)を調
製し、蛍光強度半減日数、引張破壊強さ、フイルムの外
観を測定乃至評価した。その結果を併せて表2に示す。
表2から前記表1(実施例1〜7)の本発明によるフィ
ルムに比較して、LDPEに一般式〔I〕で示される化
合物(E)を配合してもHALSを添加しないものでは
蛍光強度半減日数が大幅に短くなること(比較例1)、
HALSを上限を超える量(3重量%)添加したもので
はフイルム表面に白濁が生じること(比較例2)、エチ
レン・α−オレフィン共重合体(A)に配合量を20重
量%未満としたものでは引張破壊強さが劣ること(比較
例3)、色素の量を20重量部と上限を超える量とした
ときにはフィルムの外観が不良で引張破壊強さも劣るこ
と(比較例4)、ベース樹脂としてPVCを用い、HA
LSを添加したもの(比較例5)ではHALSを添加し
ても蛍光強度半減日数14日と著しく短くなることが分
かる。また比較例5のフィルムでは焼却時に有害ガスを
発生するという問題がある。
【0138】
【表2】
【0139】実験例1〜3 下記の成形条件で中間層を本発明の実施例3で使用の色
素 0.5重量部含有のエチレン・α−オレフィン共重合体
とし、外層を紫外線吸収剤 0.1重量部含有LLDPE、
他の外層を防曇剤 0.1重量部含有LLDPEとして下記
の条件で3層インフレーションフイルム成形により厚み
構成を外層25μm/中間層50μm/内層25μmの
3層フイルムを成形した(実験例1)。比較のため中間
層を色素無添加LDPEとし、外層を紫外線吸収剤 0.1
重量部含有LLDPE、他の外層を防曇剤 0.1重量部含
有LLDPEとして3層インフレーションフイルム成形
により厚み構成が外層25μm/中間層50μm/内層
25μmの3層フイルムを成形した(実験例2)。
【0140】〈多層インフレーションフイルム成形条
件〉3層インフレーション成形装置、外層、中間層、内
層各40mmφ押出機を使用し、ダイス径100mm、
成形成形温度160〜200℃、ブローアップ比 1.9に
て成形し3層フィルムを得た。上記実験例1及び2の3
層フイルムの防曇剤含有フイルム面を内側にして各々約
40m2 の小型ハウスを組立てた。播種(培地:WEDGE
OASIS 5631,日本曹達(株))したキユウリ(天馬)の
苗をポット(猪苗代葉山土壌51、完熟堆肥51、ジシ
アン(昭和電工(株))7g、過石51gを混合した土
を用いた。)に移植し、これを10ポットずつ、気温2
5〜30℃に維持した各ハウスに12月12日に移動し
て実験を開始した。灌水は自動灌水装置をセットし、灌
水を施した。なお、施肥は適当な間隔を置いてOASI
S液肥、フチンゴールド(日本曹達(株))等を用いて
行ない、キュウリ栽培の成育状況を観察した。その結果
(16周後までの総収量(本数))を、従来のポリ塩化
ビニル樹脂(カジュホット,三菱化成ビニル(株)製)
を用いた実験例3の結果と共に下記の表3に示す。
【0141】
【表3】 フイルム 収量(16周後までの総収量;本数) 実験例1(本発明品) 657 実験例2(無添加品) 619 実験例3(PVC品) 572
【0142】実験例4〜6 上記実験例1〜3で使用したフイルムを用い、静岡県榛
原町坂口の水田で平成7年10月16日から平成8年1
月15日までレタスのトンネル栽培試験を行なった。す
なわちウインダム種の苗をポット(猪苗代葉山土壌5
1、完熟堆肥51、ジシアン(昭和電工(株))7g、
過石51gを混合した土を用いた。)に移植し、これを
10ポットづつ各ハウスに移動して実験を開始し、自動
灌水装置をセットして灌水した。施肥は適当な間隔を置
いてOASIS液肥、フチンゴールド(日本曹達
(株))等を用いて行ないレタスの収穫重量(全量、可
食部重量、可食部重率)を記録した。その結果を表4に
示す。
【0143】
【表4】 フイルム 調 査 全 量(*) 可食部重量 可食部重率(**) 個体数 (g) (g) (%) 実験例4 20 583 ±72 463 ±78 79.0±4.38 実験例5 20 554 ±75 423 ±67 76.1±4.21 実験例6 20 499 ±66 378 ±62 75.2±4.72 * 結球していない葉を2枚残したレタスの重量 ** 個々のレタスの可食部重率の平均値
【0144】
【発明の効果】本発明の波長変換能を有する樹脂組成物
は、色素成分が高分子鎖に化学結合され、優れた耐光
性、耐水性を有し、かつ特定範囲の耐光性に優れるヒン
ダードアミン化合物との相互作用により、飛躍的に光変
換能の長期の安定性の向上が図れ、エレクトロルミネッ
センス、波長変換能の機能性材料として有用である。ま
た、本発明の組成物を含む農業用フィルムは、ハウス栽
培、トンネル栽培等の一次被覆材として用いると、保温
性、防塵性、遮水性があり、強度、柔軟性のバランスが
よく、焼却時に有毒ガスが発生するおそれがなく、長期
にわたって使用を行っても植物の育成効果が低下せず、
野菜、果実等の収穫を大幅に上げることができるもので
ある。さらに防曇剤、帯電防止剤等の添加剤を配合した
フィルムと積層することにより、これら防曇性、帯電防
止性等の特性を保持し、かつハウス等にフィルムを張設
したり、地表にマルチフィルムを密着、展伸したりする
際の展張に耐えるに十分な引張強度、引裂強度等の機械
的強度を有する農業用フィルムを提供することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体
(A1)について連続昇温溶出分別法(TREF)によ
り求めた溶出温度−溶出量曲線である。
【図2】本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体
(A2)について連続昇温溶出分別法(TREF)によ
り求めた溶出温度−溶出量曲線である。
【図3】 本発明による積層型農業用フィルムの構成例
を示す。
【符号の説明】
1 積層フィルム 2 色素含有層 3a,3b 外層 4 粗面化加工面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/32 B32B 27/32 C07D 241/10 C07D 241/10 C08J 3/22 CES C08J 3/22 CES 5/18 CES 5/18 CES C08K 5/3435 C08K 5/3435 5/3462 KFB 5/3462 KFB C08L 23/02 LCL C08L 23/02 LCL 23/16 LCY 23/16 LCY 45/00 LKB 45/00 LKB // B29K 23:00 B29L 7:00 (72)発明者 土田 哲男 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 日本 ポリオレフィン株式会社川崎研究所内 (72)発明者 金沢 修治 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 日本 ポリオレフィン株式会社川崎研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)少なくともシクロペンタジエン化
    合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む少なくと
    も1種の触媒の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素
    数3〜20のα−オレフィンとを(共)重合させること
    により得られる下記(イ)〜(ニ) (イ)密度が0.86〜0.96g/cm3 、 (ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分、 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が 1.5〜 5.0、 (ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下、の要件を
    満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレ
    フィン共重合体100〜20重量%および(B)他のオ
    レフィン系(共)重合体0〜80重量%からなる樹脂1
    00重量部に対して、下記一般式〔I〕 【化1】 〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立し
    て、二価の炭化水素基または次式 −Yt −A−Zu − (式中、YおよびZはそれぞれ独立して、二価の炭化水
    素基を表わし、Aはエーテル結合、エステル結合または
    アミド結合を表わし、tおよびuはそれぞれ独立して0
    または1である。)で示される二価の基を表わし、前記
    二価の炭化水素基および二価の基中の炭化水素基は置換
    基を有してもよく、X1 、X2 、X3 およびX4 はそれ
    ぞれ独立して、水素原子、アクリロイルオキシ基または
    メタクリロイルオキシ基を表わし、X1 、X2 、X3
    よびX4 のうち少なくともーつはアクリロイルオキシ基
    またはメタクリロイルオキシ基である。〕で示される化
    合物またはその重合体0.05〜18重量部、およびヒンダ
    ードアミン系化合物0.05〜2重量部を含むことを特徴と
    する波長変換能を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記のエチレン単独重合体またはエチレ
    ン・α−オレフィン共重合体(A)が、シクロペンタジ
    エニル骨格を有する配位と周期律表第IV族の遷移化合物
    を含む少なくとも1種の触媒の存在下で得られる下記
    (イ)〜(ホ): (イ)密度が0.86〜0.96g/cm3 、 (ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分、 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が 1.5〜 5.0、 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.01〜 1.2、 (ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが実質的に1個存在すること、の
    要件を満足するものである請求項1に記載の波長変換能
    を有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記のエチレン単独重合体またはエチレ
    ン・α−オレフィン共重合体(A)が、下記(イ)〜
    (ヘ): (イ)密度が0.86〜0.96g/cm3 、 (ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分、 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が 1.5〜 5.0、 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜 2.00、 (ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること、 (ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
    B)可溶分量X(wt%)と密度dおよびMFR(メル
    トフローレート)が次の a)d− 0.008 logMFR ≧0.93の場合は、X< 2.0、 b)d− 0.008 logMFR <0.93の場合は、X< 9.8×1
    3 ×(0.9300−d+0.008 logMFR )2 + 2.0の条件
    を充たす要件を満足するものである請求項1または2に
    記載の波長変換能を有するポリオレフィン系樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の一般式〔I〕で示され
    る化合物またはその重合体およびヒンダードアミン系化
    合物を、前記一般式〔I〕で示される化合物またはその
    重合体の含有量が20重量%以上で可及的に高濃度とな
    るように、下記(イ)〜(ニ): (イ)密度が0.86〜0.96g/cm3 、 (ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分、 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が 1.5〜 5.0、 (ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下の要件を満
    足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフ
    ィン共重合体(A)、エチレン系(共)重合体(B)、
    分散剤の少なくとも1種と溶融混練してなる波長変換能
    を有すポリオレフィン系樹脂組成物用マスターバッチ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の波長変換能を有する樹
    脂組成物を含む農業用フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の波長変換能を有するポ
    リオレフィン系樹脂組成物のフイルムと他のフイルムと
    の積層フイルムである請求項5に記載の農業用フイル
    ム。
  7. 【請求項7】 積層フイルムの最外層の一つが粗面化加
    工されている請求項6に記載の農業用フイルム。
  8. 【請求項8】 前記積層フィルムの少なくとも1層が紫
    外線吸収剤、耐侯剤、防曇剤、防霧剤、流滴剤、保温剤
    から選択される少なくとも1種の添加剤を含有する請求
    項6または7に記載の農業用フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012095601A (ja) * 2010-11-02 2012-05-24 Japan Polyethylene Corp 農業用フィルム及びその製造方法
JP2022507232A (ja) * 2018-11-20 2022-01-18 スージョウ シンシュオ ナノテック カンパニー リミテッド 蛍光ナノ材料-ポリマー複合体、波長変換素子の製造方法及び発光装置

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