JP3872142B2 - 液体用包装材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速自動充填適性、耐熱性に優れると共に、低温ヒートシール性、ヒートシール強度等のヒートシール特性、透明性、衝撃強度、突刺強度等に優れる液体液体用包装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体スープ包材に代表される液体食品の包装材等に使用される昨今の積層体においては、高速製袋時の高いヒートシール強度や低温ヒートシール性、夾雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、充填時の高温やボイル殺菌に耐える耐熱性、柔軟性、耐突刺強度、耐衝撃強度等が要求されている。さらに最近では、包装機械の進歩により、従来製袋速度が約10m/分であったのが、約30m/分に高速化し、従来より一段と高速製袋に耐え得る包装材料が求められている。
このような要求から従来においては、シーラント層として高圧法による重合で得られる低密度ポリエチレン(以下、LDPEと称する)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと称する)、チーグラー系触媒による重合で得られる直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称する)、LLDPEにLDPEやエチレン−プロピレンまたは1−ブテン共重合体等を混合したものが一般的に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、LDPEは、成形加工性に優れるものの、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、夾雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、ホットタック性等が劣る為、強度、高速充填適性が不十分という問題を有している。
EVAはLDPEに比べると、ヒートシール特性、ホットタック性等は改良されているが、高速充填適性という面では不十分で、また、樹脂の置換に手間を要する等の取扱上の問題が有り、また、高温で成形されるラミネーション加工時に臭いが発生するという問題を有している。
また、チーグラー触媒による重合で得られるLLDPEはヒートシール強度、機械的強度などが優れるものの、低温ヒートシール性、夾雑物ヒートシール性、ホットタック性等の諸物性が不十分で、また高速充填適性も不十分で、成形加工性も問題となっている。
【0004】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、ヒートシール強度や低温ヒートシール性、夾雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、高速製袋適性、耐熱性、柔軟性、耐突刺強度、耐衝撃強度等が良好な液体用包装材を提供するものである。また、成形時のネックイン、ドローダウン(延展性)等の成形性などに優れた包装材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、特定の触媒を用いたエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体用いることにより、上記目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の液体用包装材は、基材となる第I層と、シーラント層となる第II層とを少なくとも有する積層体からなる液体用包装材(バッグインボックス用内袋を除く)であって、
前記第II層が下記(イ)〜()の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)100〜10重量%と、他のエチレン系重合体(B)0〜90重量%とからなり、
前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、少なくとも共役二重結合をもつ有機環状化合物および周期律表第 IV 族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、エチレンまたはエチレンとα−オレフィンとを(共)重合させることにより得られたものであることを特徴とするものである。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3
(ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分、
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、
(ニ)組成分布パラメーターCbが . 08〜2 . 00
(ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること、
(ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン可溶分量X( wt% )と密度dおよびMFR(メルトフローレート)が次の関係を満足すること、
d−0 . 008 log MFR≧0 . 93の場合
X<2 .
d−0 . 008 log MFR<0 . 93の場合
X<9 . 8× 10 3 × ( . 9300−d+0 . 008 logMFR) 2 +2 .
前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線の複数のピークの高温側の温度が85〜100℃の間に存在することが望ましい。
前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、下記a 1 〜a 4 の触媒を用いて重合されたものであることが望ましい。
1 :一般式Me 1 1 p 2 q (OR 3 r 1 4-p-q-r で表される化合物。
(式中、Me 1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R 1 およびR 3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基またはトリアルキルシリル基、R 2 2,4- ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X 1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p<4、0≦q<4、0≦r<4、0≦ p+q+r ≦4の範囲を満たす整数である。)
2 :一般式Me 2 4 m (OR 5 n 2 z-m-n で表される化合物。
(式中、Me 2 は周期律表第I〜 III 族元素、R 4 およびR 5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X 2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X 2 が水素原子の場合はMe 2 は周期律表第 III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe 2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。)
3 :共役二重結合を持つ有機環状化合物。
4 :Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物及び / 又はホウ素化合物。
これらの液体用包装材において、その第II層が、前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を98〜10重量%と、他のエチレン系重合体(B)を2〜90重量%とからなる樹脂組成物からなることが望ましい。
この際、その樹脂組成物が下記(c1)〜(c3)の要件を満足することが望ましい。
(c1)メルトフローレートが1〜100g/10分、
(c2)190℃におけるダイスウエル比(DSR)が1.10〜3.00、
(c3)190℃における溶融張力(MT)が0.5〜4.0g
これらの液体用包装材は、第II層が、押出ラミネーション成形または共押出ラミネーション成形で同時成形されたものであることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は種々の液体を収容する袋に使用される包装材料であって、その包装材料を基材層(第I層)とシーラント層(第II層)の少なくとも2層を有する積層体としたものである。
〔第II層〕
〈(A)エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体〉
本発明の積層体においては、その第II層に、特定のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体を含有したエチレン系樹脂組成物が用いられる。
このエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体は、下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するものである。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3
(ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分、
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、
(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下
【0008】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)におけるα−オレフィンとしては、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12のものが好ましい。例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
また、これらのα−オレフィンの含有量は、共重合体中、合計で30モル%以下、好ましくは3〜20モル%の範囲で選択されることが望ましい。
【0009】
本発明におけるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、密度が0.86〜0.97g/cm3である。好ましくは0.86〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.86〜0.910g/cm3の範囲にある。密度が0.86g/cm3未満のものは柔らかすぎて耐熱性が不良となり、抗ブロッキング性が劣るものとなる。また0.97g/cm3を越えると硬すぎて、引き裂き強度、衝撃落下強度等が低くなる。
また、成分(A)のメルトフローレート(以下、MFRと称す)は0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分、さらに好ましくは0.5〜30g/10分、さらに好ましくは1.5〜20g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では加工性(ドローダウン性等)が不良となり、100g/10分を越えると機械的強度が弱いものとなる。
【0010】
成分(A)の分子量分布Mw/Mnは、1.5〜5.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、5.0を越えるものは耐衝撃性等の機械的強度が劣る。
尚、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求められる。
【0011】
本発明の成分(A)の組成分布パラメーター(Cb)は2.00以下である必要がある。組成分布パラメーター(Cb)が2.00よりも大きいと、ブロッキングしやすく、ヒートシール性も不良となり、また低分子量あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみ出しが多く衛生上の問題が生じるからである。
組成分布パラメーター(Cb)は下記の通り測定される。
酸化防止剤を加えたオルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料を濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解した後、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、共重合体試料をセライト表面に沈着させる。次に、この試料が沈着されているカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃刻みに120℃迄段階的に昇温する。すると各温度に対応した溶出成分を含んだ溶液が採取される。この溶液を冷却後、メタノールを加え、試料を沈澱後、ろ過、乾燥し、各温度における溶出試料を得る。この分別された各試料の、重量分率および分岐度(炭素数1000個当たりの分岐数)を測定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0012】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小二乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0013】
次ぎにそれぞれのフラクションの重量分率wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi−bi-1)で割って相対濃度ciを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
Cb=(Σcj・bj 2/Σcj・bj)/(Σcj・bj/Σcj
ここで、cjとbjはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0014】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を表現する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号公報では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0015】
上述した成分(A)は、チーグラー触媒、フィリップス触媒等の周知の触媒を用いて製造しても良いが、以下に示す2つの態様で調製したものが特に好適である。
その1つは、少なくとも共役二重結合をもつ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、エチレンを単独重合、またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させたものである。
そのようなものの中でも、下記(イ)〜(ヘ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、成分(A1)とする)が好適である。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3
(ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0
(ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.0
(ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること
(ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン可溶分量X(wt%)と密度d及びメルトフローレート(MFR)が次の関係を満足すること
(a)d−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
(b)d−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
【0016】
もう1つは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子と周期律表第IV族の遷移化合物を含む少なくとも1種の触媒の存在下で得られた下記(イ)〜(ホ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、成分(A2)とする)である。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3
(ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0
(ニ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2
(ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に1個存在する
【0017】
ここで、成分(A1)は、図1に示されるように、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊な新規エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体であり、成分(A2)は、図2に示されるように、同連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークを1個有し、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む少なくとも1種の触媒の存在下で得られる典型的なメタロセン系触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体であり、成分(A1)と(A2)とは明白に区別されるものである。
【0018】
《成分(A1)》
成分(A1)においては、分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.5のものがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜4.0、より好ましくは2.0〜3.5の範囲にあることが望ましい。
また、成分(A1)においては、組成分布パラメーターCbは、1.08〜2.00であることがより好ましく、さらに好ましくは1. 10〜1.80、より好ましくは1.15〜1.50の範囲にあることが望ましい。
【0019】
本発明における特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)は、上記したように、(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在する。この複数のピーク温度は85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、融点が高くなり、また結晶化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性が向上する。
【0020】
このTREFの測定方法は下記の通りである。まず、試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。
TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0021】
また、上述したように、この成分(A1)においては、(ヘ)25℃におけるODCB可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRの関係は、dおよびMFRの値が、
d−0.008logMFR≧0.93を満たす場合は、
Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、
d−0.008logMFR<0.93の場合は、
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
好ましくは、
X<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0
さらに好ましくは、
X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5
の関係を満足していることが望ましい。
【0022】
尚、上記25℃におけるODCB可溶分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。このろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0023】
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、耐熱性の低下や成形品表面のべたつきの原因となり、衛生性の問題や成形品内面のブロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、コモノマーの含有量および分子量に影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
【0024】
このエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)は分子量分布が狭く、組成分布が適度な広さを有し、機械的強度が強く、ヒートシール性、抗ブロッキング性等に優れ、しかも耐熱性の良い重合体である。
この成分(A1)は、特に以下のa1〜a4の触媒で重合することが望ましい。
a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-rで表される化合物。
(式中、Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基またはトリアルキルシリル基、R2は2,4-ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p<4、0≦q<4、0≦r<4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である。)
a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-nで表される化合物。
(式中、Me2は周期律表第I〜III族元素、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe2の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。)
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物。
a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物及び/又はホウ素化合物。
【0025】
これらの各触媒成分について詳説する。
上記触媒成分a1について、その一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-rで表される化合物の式中、Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1及びR3の炭素数1〜24の炭化水素基は、炭素数が1〜12であることがより好ましく、さらに好ましくは1〜8である。
具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。
【0026】
上記触媒成分a1の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
また、R2の2,4ーペンタンジオナト配位子またはその誘導体等の具体例には、テトラ(2,4ーペンタンジオナト)ジルコニウム、トリ(2,4ーペンタンジオナト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジクロライドジルコニウム、(2,4ーペンタンジオナト)トリクロライド、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、
テトラ(ジベンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等が挙げられる。
【0027】
触媒成分a2について、その一般式Me24 m(OR5n2 z-m-nで表される化合物の式中Me2は周期律表第I〜III族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等である。R4及びR5はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2が水素原子の場合はMe2はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III族元素の場合に限るものである。
【0028】
上記触媒成分a2の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0029】
触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環状化合物には、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0030】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0031】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
LSiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0032】
上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシ クロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルイ ンデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0033】
触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物及び/又はホウ素化合物は、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物が得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。該変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。また、ホウ素化合物としてはテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム(トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム(ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,Nージメチルアンリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,Nージメチルアンリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート等があげられる。
【0034】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/ 1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0035】
上記触媒成分a1〜a4は、そのまま混合接触させて使用しても差し支えないが、好ましくは無機物担体及び/又は粒子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用させることが望ましい。該無機物担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)としては、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl23からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0036】
上記無機物担体及び/又は粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いることもできる。
【0037】
《成分(A2)》
メタロセン系触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体成分(A2)においては、その分子量分布は、1.5〜4.5であることがより好ましく、1.8〜3.5の範囲にあることがさらに望ましい。
また、成分(A2)においては、組成分布パラメーターは、好ましくは1.01〜1.2、さらに好ましくは1.02〜1.18、より好ましくは1.03〜1.16の範囲にあることが望ましい。
【0038】
このメタロセン系触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)はシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む触媒の存在下にエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものである。
【0039】
このエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)を製造する触媒であるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等である。該置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
【0040】
上記炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のアラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基が好ましい。
置換シクロペンタジエニル基の好適なものとしては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニル基、1,3-ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3-n-プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基などが具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジエニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、特に1,3-置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
置換基同士すなわち炭化水素同士が互いに結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニル基等が好適なものとして挙げられる。
【0041】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましい。
該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0042】
周期律表第IV族の遷移金属化合物においてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基などが挙げられる。
【0043】
これらの具体例としては以下のものがある。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジフェニルなどがある。モノアルキルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロライドなどがある。
また、モノシクロペンタジエニルチタノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げられる。
【0044】
置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯体、シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0045】
ジルコノセン化合物としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、アルキル置換シクロペンタジエンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロアルキルまたはジハライド錯体、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそれらのジハライド錯体、シリコン、炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0046】
さらに他のメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0047】
本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化合物の例として、下記化学式で示されるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【化1】
Figure 0003872142
化学式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表し、YはSiR2、CR2、SiR2SiR2、CR2CR2、CR=CR、SiR2CR2、BR2、BRからなる群から選ばれる2価基、Zは−O−、−S−、−NR−、−PR−またはOR、SR、NR2、PR2からなる群から選ばれる2価中性リガンドを示す。ただし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、またはY、ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成するものである。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0048】
上記化学式で表される化合物の例としては、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが挙げられる。
【0049】
本発明でいう助触媒としては、前記周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になし得る、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衡させうるものをいう。
本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0050】
また、触媒は無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましい。具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2−MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。
【0051】
有機アルミニウム化合物として、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0052】
《製造方法》
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合、通常、常圧〜70kg/cm2G、好ましくは、常圧〜20kg/cm2Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0053】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体において、重合時の触媒成分を実質的に塩素等のハロゲンを含まないものとすると、得られる重合体にもこれらハロゲンが含まれず、したがって化学的安定性、衛生性が優れ、食品、衛生、医療関連用途に好適である。また電気部品、電線部材、電子レンジに関する包装材料および容器に適用した場合、周辺の金属部品等の錆の発生が抑えられるといった特徴を有する。
【0054】
〈(B)他のエチレン系重合体〉
本発明での第II層を構成する樹脂としては、上述した成分(A)に加えて、他のエチレン系重合体を(成分(B))を混合しておくことが望ましい。
そのような他のエチレン系重合体としては、高圧ラジカル重合法によるエチレン系重合体(B1)及び又は密度が0.86〜0.97g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体(B2)が好ましい。
【0055】
上記(B1)高圧ラジカル重合法によるエチレン系重合体としては、高圧ラジカル重合法による密度が0.91〜0.94g/cm3のエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン(LDPE):B11)、エチレン・ビニルエステル共重合体(B12)、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B13)等が挙げられる。
【0056】
(B11)低密度ポリエチレンは、MFRが0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分の範囲で選択される。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となり押出ラミネート成形等が容易である。該LDPEの密度は0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.912〜0.935g/cm3、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3の範囲で選択される。
また、分子量分布(Mw/Mn)は3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。これらLDPEの製法は、公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
【0057】
また、上記(B12)エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
これら共重合体のMFRは、0.1〜50g/10分、好ましくは0.3〜30g/分の範囲で選択される。
【0058】
さらに上記(B13)エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。 これら共重合体のMFRは、0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/分の範囲で選択される。
【0059】
また、上記密度が0.86〜0.97g/cm3のエチレン−α−オレフイン共重合体(B2)は、従来公知のチーグラー系触媒あるいはフィリップス系触媒等を用いる、高・中・低圧法およびその他の公知の方法によるエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。これは、(A)成分より一般的には分子量分布あるいは組成分布が広く、密度が0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン、0.91〜0.94g/cm3の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、密度が0.86〜0.91g/cm3の超低密度ポリエチレン(以下、VLDPEと称する)、密度が0.86〜0.91g/cm3のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを包含する。
【0060】
その高密度ポリエチレンは、密度が0.94〜0.97g/cm3、好ましくは0.95〜0.97g/cm3、メルトフローレートが0.01〜50g/10分、好ましくは0.05〜30g/10分、特に好ましくは0.1〜20g/10分である。
【0061】
上記LLDPEとは、密度が0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.91〜0.93g/cm3の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分の範囲で選択される。分子量分布(Mw/Mn)は特に限定はないが、3.0〜13、好ましくは3. 5〜8.0の範囲にあるのが一般的である。
上記LLDPEのα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、さらに好ましくは炭素数6〜12の範囲のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。上記MFRが0.05g/10分未満では、成形加工性が悪化し、50g/10分を超えるものは耐衝撃性やヒートシール特性等が低下する虞を生じる。
【0062】
また上記VLDPEとは、密度が0.86〜0.91g/cm3、好ましくは0.88〜0.905g/cm3の範囲のエチレン−α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.01〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分の範囲で選択される。
該VLDPEは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンであり、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)60℃以上、好ましくは、100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、LLDPEが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である耐衝撃性、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0063】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3未満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0064】
上記(B)他のエチレン系重合体のなかでも、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレンおよび/または密度が0.86〜0.95g/cm3のエチレン−α−オレフイン共重合体が好ましい。
【0065】
第II層を構成する樹脂組成物を(A)成分と(B)成分とで構成した場合、その配合割合は、(A)成分が少なくとも20重量%以上あることが好ましく、さらには、(A)成分が98〜20重量%、(B)成分が2〜80重量%とすることが好ましい。より好ましくは(A)成分が90〜60重量%、(B)成分が10〜40重量%、さらに好ましくは(A)成分が85〜70重量%、(B)成分が15〜30重量%である。該組成物中に(B)成分があることにより、ドローダウン性、ネックイン等の成形加工性が向上するものの、(A)成分が20重量%より少ない場合には、突刺強度、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、夾雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、ホットタック性等の改良効果が小さいからである。
【0066】
上記本発明の組成物の具体的な例としては、(A1+B11)、(A2+B11)、(A1+B11+B21)、(A2+B11+B21)、(A1+B12+B21)、(A2+B12+B21)、(A1+B11+B22)、(A2+B11+B22)(A1+A2+B11)、(A1+A2+B11+B21)(A1+A2+B11+B22)などの種々の組み合わせが挙げられる(ただし、A1:,A2:上述した成分(A)の2態様、B11:LDPE、B12:EVA、B21:LLDPE、B22:VLDPEを示す)。
特に((A1またはA2)+B11+(B21またはB22))、すなわち、本発明のエチレン−α−オレフイン共重合体(A1またはA2)とLDPE、LLDPEの組み合わせの場合の配合量は(A)成分60〜90重量%、(B1)成分5〜35重量%、(B2)成分5〜35重量%の範囲で選択されることが望ましい。
【0067】
この(A)成分と(B)成分を含む組成物は、(c1)メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分、(c2)190℃におけるダイスウエル比(DSR)が1.10〜3.00、(c3)190℃における溶融張力(MT)が0.5〜4.0gの範囲であることが望ましい。上記(c1)MFRが1g/10分未満であると成形加工性が劣り、100g/10分を超えるものは突刺強度等の機械的強度が改良されない虞がある。また、(c2)ダイスウエル比(DSR)が1.10未満であるとネックインが大きく、3.00を超える場合には高速成形性に難がある。(c3)溶融張力(MT)が0.5g未満であるとドローダウン性が劣り、4.0gを超えるものは高速成形性が低下する虞がある。
【0068】
この際、(A)成分として上述した(A1)成分を用いた場合には、メルトフローレートは、1〜50g/10分とすることがより好ましく、さらには、1.5〜40g/10分、さらに好ましくは2.0〜30g/10分である。
さらに、190℃におけるダイスウエル比(DSR)は、1.10〜2.00とすることがより好ましく、さらには1.10〜1.70、さらに好ましくは1.10〜1.65である。
また、190℃における溶融張力(MT)は、0.5〜4.0gとすることがより好ましく、さらには0.5〜2.5gの範囲であることが望ましい。
【0069】
また(A)成分として上述した(A2)成分を用いた場合には、メルトフローレート(MFR)は、1〜50g/10分であることがより好ましく、さらには1.5〜40g/10分、さらに好ましくは2.0〜30g/10分の範囲であることが好ましい。
さらに、190℃におけるダイスウエル比(DSR)が1.30〜3.00であることが好ましく、より好ましくは1.30〜2.80、さらに好ましくは1.30〜2.50である。
また、190℃における溶融張力(MT)は、0.5〜4.0g、好ましくは0.5〜3.5gの範囲であることが望ましい。
【0070】
尚、DSRは例えば次のようにして求めることができる。
JIS K6760で使用されるメルトインデクサーを使用し、シリンダーにサンプルを充填し、シリンダー温度190℃で4分間予熱の後、定荷重2.16kgをかける。ピストンの降下が定常状態になったところでストランドを一旦カットし、そこから順次長さ約1インチのストランドを採取し、水道水を入れたビーカーの中に入れて冷却する。採取したサンプルの先端から1/2インチのところの直径(D)をマイクロメーターで測定しダイスのオリフィス径をD0とし、次式により求まる。
DSR=D/D0
【0071】
これらの成分(A)と成分(B)の配合は従来の樹脂組成物配合法として一般に用いられる公知の方法により配合することができる。その一例としては(A)成分、(B)成分、およびその他の添加可能なポリオレフィン樹脂等をフィルム成形時に単にドライブレンドすることにより行える。また、他の例としては(A)成分、(B)成分および所望により各種添加剤をタンブラー、リボンブレンダーまたはヘンシェルミキサー等の混合機を使用してドライブレンドした後、単軸押出機、二軸押出機等の連続式溶融混練機をにより溶融混合し、押出してペレットを調製することによって該樹脂組成物を得ることができる。また、必要に応じて、バンバリーミキサー等のバッチ式溶融混練機を併用しても良い。
【0072】
尚、第II層を構成する樹脂層には、有機あるいは無機フィラー、粘着付与剤、酸化防止剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、分散剤、核剤、発泡剤、難燃剤、架橋剤、紫外線防止剤、(不)飽和脂肪酸アミド、(不)飽和高級脂肪酸の金属塩等の滑剤などの公知の添加剤を本願発明の特性を本質的に阻害しない範囲で添加することができる。
これらの添加剤の中でも、滑剤、粘着付与剤、無機フィラーは作業性をより向上させるために好適に用いられる。
滑剤としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、等の脂肪酸アミド;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸ジグリセライド等の脂肪酸グリセリンエステル化合物およびそれらのポリエチレングリコール付加物等が挙げられる。
また無機フィラーとしては、軽質および重質炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ゼオライト、炭酸マグネシウム、長石等が挙げられる。
粘着付与剤としては、ポリブテン、ヒマシ油誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ロジンおよびロジン誘導体、石油樹脂およびそれらの水添物等のタッキファイヤー、ゴム等が挙げられる。これら粘着付与剤は0.5〜20重量部の範囲で配合することができる。
顔料としてはカーボンブラック、チタン白等の他、市販の各種着色剤マスターバッチが好適に用いられる。
【0073】
さらに適度の滑り性、帯電防止性、防曇性を得るための添加剤についても配合することができる。
具体的には、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート等;グリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート等;ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート等の他、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびこれらのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アミドおよびこれらのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの添加剤は単独あるいは混合組成物として使用されるが、添加量としては通常0.01〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%である。添加量が0.01重量%未満ではフィルムの改質効果が十分ではなく、0.5重量%を越える場合にはフィルム表面への浮き出し量が多く、フィルムがべたつき、その結果、作業性が著しく低下するなどの問題が起こるため好ましくない。
【0074】
〔第I層〕
本発明の第I層の基材層としては、上質紙、クラフト紙、薄葉紙、ケント紙等の紙、アルミニウム箔等の金属箔、セロファン、織布、不織布、延伸ナイロン、無延伸ナイロン、特殊ナイロン(MXD6等)、Kーナイロン(ポリフッ化ビニリデンコート)等のナイロン系基材、延伸PET、無延伸PET、KーPET、アルミニウム蒸着PET(VMPET)等のPET(ポリエチレンテレフタレート)系基材、延伸PP(OPP)、無延伸PP(CPP)、アルミニウム蒸着PP、K−PP、共押出フイルムPP等のポリプロピレン系基材、LDPEフイルム、LLDPEフィルム、EVAフイルム、延伸LDPEフイルム、延伸HDPEフイルム、ポリスチレン系フイルム等の合成樹脂フイルム系基材等が挙げられ、これらは印刷されたものでも差し支えない。また必要に応じて、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理、紫外線処理、アンカーコート処理等の各種前処理がなされていても良い。
【0075】
本発明の積層体とは、前記基材となる第I層と、第II層とを少なくとも有するもので、その第II層をシーラント層として最内層に位置させることが好適である。第II層と第I層とは隣接するように配置しても良いが、場合により、第I層と第II層の間、あるいは第I層の外側にさらに、LDPE、LLDPE、EVA、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、これらの酸または酸無水物グラフト共重合体等の樹脂層、あるいは、上質紙、クラフト紙、薄葉紙、ケント紙等の紙、アルミニウム箔等の金属箔、セロファン、織布、不織布、延伸ナイロン、無延伸ナイロン、特殊ナイロン(MXD6等)、Kーナイロン(ポリフッ化ビニリデンコート)等のナイロン系基材、延伸PET、無延伸PET、KーPET、VMPET等のPET系基材、OPP、CPP、アルミニウム蒸着PP、K−PP、共押出フイルムPP等のポリプロピレン系基材、LDPEフイルム、LLDPEフイルム、EVAフィルム、延伸LDPEフイルム、延伸HDPEフイルム、ポリスチレン系フイルム等の合成樹脂フイルム系基材等が積層されていてもよい。
例えば、紙/PEラミ/Al/II層、紙/PEラミ/Al/PEラミ/II層、紙/酸変性PE/EVOH/II層、K−PP/PEラミ/Al/II層、K−ナイロン/酸変性PE/EVOH/II層、延伸HDPE/酸変性PE/EVOH/II層、不織布/酸変性PE/EVOH/II層等が挙げられる(但し、PEラミ:ポリエチレン系樹脂のラミネート層、Al:アルミニウム箔、酸変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン、II層:シーラント層を示す)。
【0076】
本発明の積層体を製造する方法としては、第I層に第II層を押出ラミネーション成形によって積層する方法、第I層の基材に、LDPEやLLDPE等の樹脂を押出ラミネーション成形にて積層した後に、第II層を押出ラミネーション成形にて積層する方法、あるいはそれらの際に第II層と第I層の間に接着剤及び/又はエチレン系重合体を介在させる方法をはじめ、種々の方法で行っても良い。
【0077】
【実施例】
以下に実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0078】
実施例および比較例における試験法は以下のとおりである。
(物性試験方法)
密度:
JIS K6760に準拠した。
MFR:
JIS K6760に準拠した。
Mw/Mn:
GPC(ウオーターズ150型)ODCB 135℃ カラムには東ソー(株)製GMMHR−H(S)を使用した。PS標準試料による検量線法による。
NMR:
日本電子(株)製 GX−270,ODCB 135℃で測定。
【0079】
(積層体評価法)
突刺試験:
JAS 1019Aに準拠した。貫通部は直径1mmφの半球状のものを用いた。サンプルのシール面側からと、基材側からの両方について、貫通速度100mm/minにて、貫通時の荷重を測定した。
低温ヒートシール性:
ヒートシール試験器(テスター産業(株)製)を使用し、シールバー幅5mm、圧力2kg/cm2でシール温度を5℃刻みで1秒間シール後、放冷した。シール部を15mm幅に短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/minでシール部を剥離し、その際の荷重が500gとなる温度を内挿により求めた。この温度が低い方が低温ヒートシール性に優れたものである。
ヒートシール強度:
前述のヒートシーラーを用い、圧力2kg/cm2、シール温度150℃、シール時間3秒でヒートシールした後、放冷した。シール部を15mm幅に短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/minでシール部を剥離し、強度を求めた。
高速充填適性:
縦型液体自動包装充填機(コマツ(株)製)にてシール温度190℃、ピッチ6cm/1袋、内容物を酢+醤油+食用油(1:1:1)の混合液として、製袋した。剥離、浮き等のシール不良の発生しない最大運転速度を求めた。
耐熱性:
上記ヒートシーラーを用い、圧力を2kg/cm2、シール温度を150℃、シール時間を3秒としてヒートシールし、内部に100ccの水を入れた20cm×20cmの袋を3つ作成した。これらを98℃の熱水中に30分間保持し、取り出して放冷後、剥離、浮き、白化等のシール不良を検査し、3袋とも問題の無い場合を表中に○で示し、それ以外を×で示した。
【0080】
(エチレン・α−オレフイン共重合体A1の製造)
▲1▼固体触媒の調製
窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2Cl2)28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この溶液をA液とした。
次に窒素下で別の攪拌器付き触媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とした。次に窒素下で攪拌器付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Dとした。
【0081】
▲2▼試料の重合
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記触媒Dを連続的に供給して重合を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。生成した共重合体を樹脂成分A1とする。樹脂成分A1の物性は以下に示すとおりである。
(A1)エチレン・1−ヘキセン共重合体
(イ)密度:0.910g/cm3
(ロ)MFR:11g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn):2.6
(ニ)組成分布パラメーターCb:1.22
(ホ)TREFピーク温度:83.2、96.5℃
(ヘ)d−0.008logMFR:0.902
ODCB可溶分(%)=1.5<9.8×103×(0.9300ーd+0.008logMFR)2+2.0
【0082】
(エチレン−α−オレフィン共重合体A2の製造)
攪拌機を付したステンレス製オートクレーブを窒素置換し精製トルエンを入れた。次いで、1−ヘキセンを添加し、更にエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.02mモル)メチルアルモキサン[MAO](MAO/Zr=100[モル比]の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次ぎにエチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつつ全圧を維持して1時間重合を行い、(A2)エチレン・1−ヘキセン共重合体を得た。 (A2)エチレン・1−ヘキセン共重合体
(イ)密度:0.907g/cm3
(ロ)MFR:11g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn):2.4
(ニ)組成分布パラメーター(Cb):1.05
(ホ)TREFピーク温度:82.9℃
【0083】
(他のエチレン系重合体(B))
B11:高圧法低密度ポリエチレン(MFR:7.0g/10分、密度:0.917g/cm3、日本ポリオレフィン(株)製);LDPE
B12:高圧法エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル濃度:6重量%、MFR:9.0g/10分、日本ポリオレフィン(株)製);EVA
B21:線状低密度ポリエチレン重合体(気相法チグラー触媒品、コモノマー:ブテン−1、MFR:7.0g/10分、密度:0.920g/cm3、日本ポリオレフィン(株)製);LLDPE
【0084】
[実施例1]
樹脂成分(A1)のエチレン−α−オレフィン共重合体および樹脂成分(B11)のLDPEを重量比で75:25の割合で配合した組成物に対して、酸化防止剤0.09重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.1重量部を加え、ヘンシェルミキサーで約30秒間均一に混合した後ペレット化し、組成物C1を得た。
第I層として厚さが15μm、片面にコロナ処理の施された2軸延伸ポリアミドフィルムを基材とし、このフィルムのコロナ処理面に、イソシアネート系アンカーコート剤(大日精化工業製、3600A/B、配合比7:3)を塗工し、(B11)を樹脂温度320℃、厚さ20μmで押出ラミネートした。さらに(B11)層の上に、第II層として組成物C1を樹脂温度280〜290℃、厚さ30μmでラミネートして最終的な積層体を得た。
【0085】
[実施例2]
(B11)を用いずに、第I層の上に第II層として、組成物C1を樹脂温度280〜290℃、厚さ30μmでイソシアネート系アンカーコート剤(大日精化工業製、3600A/B、配合比7:3)とオゾン処理を併用して押出ラミネートして最終的な積層体を得た。
【0086】
[実施例3]
樹脂成分(A2)のエチレン−α−オレフィン共重合体、樹脂成分(A1)のエチレン−α−オレフィン共重合体、樹脂成分(B12)のEVAを、重量比が各々30、40、30となるように配合し、それに対して酸化防止剤0.09重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.1重量部を加え、ヘンシェルミキサーで約30秒間均一に混合した後、ペレット化し、組成物C2を得た。第I層として厚さ12μmの2軸延伸PETフィルムに、イソシアネート系アンカーコート剤(大日精化工業製、3600A/B、配合比7:3)を塗布したものを基材とし、これにサンド基材として7μm厚のアルミニウム箔を用い、(B11)のLDPEを樹脂温度320℃、厚さ15μmで押出サンドラミネートした。この積層体のアルミニウム箔側にさらに第II層として組成物C2をイソシアネート系アンカーコート剤(大日精化工業製、3600A/B;配合比7:3)とオゾン処理を併用して樹脂温度280〜290℃、厚さ30μmでラミネートして最終的な積層体を得た。評価結果を表1に示した。
[比較例1]
第II層として組成物C1の代りに、エチレン系重合体(B21)を樹脂温度290℃、厚さ30μmで押出ラミネートする以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示す。低温シール性、ヒートシール強度が劣るものであった。
【0087】
[比較例2]
第II層として組成物C2の代わりに、樹脂成分(B12)のEVAを樹脂温度250℃で押出ラミネートした以外は実施例3と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。耐熱性、ヒートシール強度が劣ることがわかる。
【0088】
【表1】
Figure 0003872142
【0089】
【発明の効果】
本発明は高速自動充填適性、耐熱性に優れると共に、低温ヒートシール性、ヒートシール強度等のヒートシール特性、透明性、衝撃強度、突刺強度等に優れる液体用包装材であり、押出成形時のネックイン、ドローダウン(延展性)等の成形性に優れるものである。この包装材は、例えば、液体スープ、液体調味料、ジュース、酒などの各種液体輸送用包材や、漬物、レトルト食品等、液体を含む製品の包材として好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 成分(A1)についての連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線のグラフである。
【図2】 成分(A2)についての連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線のグラフである。

Claims (6)

  1. 基材となる第I層と、シーラント層となる第II層とを少なくとも有する積層体からなる液体用包装材(バッグインボックス用内袋を除く)であって、
    前記第II層が下記(イ)〜()の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)100〜10重量%と、他のエチレン系重合体(B)0〜90重量%とからなり、
    前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、少なくとも共役二重結合をもつ有機環状化合物および周期律表第 IV 族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、エチレンまたはエチレンとα−オレフィンとを(共)重合させることにより得られたものであることを特徴とする液体用包装材
    (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3
    (ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分、
    (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、
    (ニ)組成分布パラメーターCbが . 08〜2 . 00
    (ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること、
    (ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン可溶分量X( wt% )と密度dおよびMFR(メルトフローレート)が次の関係を満足すること、
    d−0 . 008 log MFR≧0 . 93の場合
    X<2 .
    d−0 . 008 log MFR<0 . 93の場合
    X<9 . 8× 10 3 × ( . 9300−d+0 . 008 logMFR) 2 +2 .
  2. 前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線の複数のピークの高温側の温度が85〜100℃の間に存在することを特徴とする請求項1に記載の液体用包装材。
  3. 前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、下記a 1 〜a 4 の触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体用包装材。
    1 :一般式Me 1 1 p 2 q (OR 3 r 1 4-p-q-r で表される化合物。
    (式中、Me 1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R 1 およびR 3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基またはトリアルキルシリル基、R 2 2,4- ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X 1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p<4、0≦q<4、0≦r<4、0≦ p+q+r ≦4の範囲を満たす整数である。)
    2 :一般式Me 2 4 m (OR 5 n 2 z-m-n で表される化合物。
    (式中、Me 2 は周期律表第I〜 III 族元素、R 4 およびR 5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X 2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X 2 が水素原子の場合はMe 2 は周期律表第 III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe 2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。)
    3 :共役二重結合を持つ有機環状化合物。
    4 :Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物及び / 又はホウ素化合物。
  4. 前記第II層が、前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を98〜10重量%と、他のエチレン系重合体(B)を2〜90重量%とからなる樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液体用包装材
  5. 前記樹脂組成物が下記(c1)〜(c3)の要件を満足することを特徴とする請求項記載の液体用包装材
    (c1)メルトフローレートが1〜100g/10分、
    (c2)190℃におけるダイスウエル比(DSR)が1.10〜3.00、
    (c3)190℃における溶融張力(MT)が0.5〜4.0g
  6. 前記第II層が、押出ラミネーション成形または共押出ラミネーション成形で同時成形されたものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液体用包装材
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