JPH1080986A - 液体包装用積層体 - Google Patents

液体包装用積層体

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JPH1080986A
JPH1080986A JP23826896A JP23826896A JPH1080986A JP H1080986 A JPH1080986 A JP H1080986A JP 23826896 A JP23826896 A JP 23826896A JP 23826896 A JP23826896 A JP 23826896A JP H1080986 A JPH1080986 A JP H1080986A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒートシール強度や低温ヒートシール性、夾
雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、高速製袋適
性、耐熱性、柔軟性、耐突刺強度、耐衝撃強度等が良好
な液体包装用積層体。 【解決手段】 基材となる第I層と、シーラント層とな
る第II層とを少なくとも有する積層体であって、前記第
II層が下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するエチレン単
独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体
(A)からなる。(イ)密度が0.86〜0.97g/c
m3、(ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10
分、(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、
(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速自動充填適
性、耐熱性に優れると共に、低温ヒートシール性、ヒー
トシール強度等のヒートシール特性、透明性、衝撃強
度、突刺強度等に優れる液体包装用積層体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】液体スープ包材に代表される液体食品の
包装材等に使用される昨今の積層体においては、高速製
袋時の高いヒートシール強度や低温ヒートシール性、夾
雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、充填時の高
温やボイル殺菌に耐える耐熱性、柔軟性、耐突刺強度、
耐衝撃強度等が要求されている。さらに最近では、包装
機械の進歩により、従来製袋速度が約10m/分であっ
たのが、約30m/分に高速化し、従来より一段と高速
製袋に耐え得る包装材料が求められている。このような
要求から従来においては、シーラント層として高圧法に
よる重合で得られる低密度ポリエチレン(以下、LDP
Eと称する)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、
EVAと称する)、チーグラー系触媒による重合で得ら
れる直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称
する)、LLDPEにLDPEやエチレン−プロピレン
または1−ブテン共重合体等を混合したものが一般的に
用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、LDPEは、
成形加工性に優れるものの、低温ヒートシール性、ヒー
トシール強度、夾雑物ヒートシール性等のヒートシール
特性、ホットタック性等が劣る為、強度、高速充填適性
が不十分という問題を有している。EVAはLDPEに
比べると、ヒートシール特性、ホットタック性等は改良
されているが、高速充填適性という面では不十分で、ま
た、樹脂の置換に手間を要する等の取扱上の問題が有
り、また、高温で成形されるラミネーション加工時に臭
いが発生するという問題を有している。また、チーグラ
ー触媒による重合で得られるLLDPEはヒートシール
強度、機械的強度などが優れるものの、低温ヒートシー
ル性、夾雑物ヒートシール性、ホットタック性等の諸物
性が不十分で、また高速充填適性も不十分で、成形加工
性も問題となっている。
【0004】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、ヒートシール強度や低温ヒートシール性、夾
雑物ヒートシール性等のヒートシール特性、高速製袋適
性、耐熱性、柔軟性、耐突刺強度、耐衝撃強度等が良好
な液体包装用積層体を提供するものである。また、成形
時のネックイン、ドローダウン(延展性)等の成形性な
どに優れた積層体を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討の
結果、特定の触媒を用いたエチレン単独重合体またはエ
チレン・α−オレフィン共重合体用いることにより、上
記目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに
至った。
【0006】本発明の液体包装用積層体は、基材となる
第I層と、シーラント層となる第II層とを少なくとも有
する積層体であって、前記第II層が下記(イ)〜(ニ)
の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体(A)からなることを特徴とす
るものである。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3、(ロ)メルトフ
ローレートが0.01〜100g/10分、(ハ)分子量分
布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、(ニ)組成分布パラ
メーターCbが2.00以下この際、そのエチレン単独
重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)
が、少なくとも共役二重結合をもつ有機環状化合物およ
び周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下
で、エチレンまたはエチレンとα−オレフィンとを
(共)重合させることにより得られたものであることが
望ましい。さらには、そのエチレン単独重合体またはエ
チレン・α−オレフィン共重合体(A)が、下記(イ)
〜(ヘ)の要件を満足することが望ましい。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3、(ロ)メルトフ
ローレート0.01〜100g/10分、(ハ)分子量分布
(Mw/Mn)が1.5〜5.0、(ニ)組成分布パラメ
ーターCbが1.08〜2.00、(ホ)連続昇温溶出分
別法による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複
数個存在すること、(ヘ)25℃におけるオルソジクロ
ロベンゼン可溶分量X(wt%)と密度dおよびMFR
(メルトフローレート)が次の関係を満足すること、 d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)
2+2.0 また、請求項1記載の液体包装用積層体において、その
エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共
重合体(A)が、シクロペンタジエニル骨格を有する配
位子と周期律表第IV族の遷移化合物を含む少なくとも1
種の触媒の存在下で重合して得られた下記(イ)〜
(ホ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチ
レン・α−オレフィン共重合体(A2)であることが望
ましい。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3 (ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2 (ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線
のピークが実質的に1個存在する これらの液体包装用積層体において、その第II層が、前
記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン
共重合体(A)を98〜10重量%と、他のエチレン系
重合体(B)を2〜90重量%とからなる樹脂組成物か
らなることが望ましい。この際、その樹脂組成物が下記
(c1)〜(c3)の要件を満足することが望ましい。 (c1)メルトフローレートが1〜100g/10分、(c
2)190℃におけるダイスウエル比(DSR)が1.1
0〜3.00、(c3)190℃における溶融張力(M
T)が0.5〜4.0g これらの液体包装用積層体は、第II層が、押出ラミネー
ション成形または共押出ラミネーション成形で同時成形
されたものであることが望ましい。
【0007】
〔第II層〕
〈(A)エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレ
フィン共重合体〉本発明の積層体においては、その第II
層に、特定のエチレン単独重合体またはエチレン・α−
オレフィン共重合体を含有したエチレン系樹脂組成物が
用いられる。このエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体は、下記(イ)〜(ニ)の要件
を満足するものである。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3、(ロ)メルトフ
ローレートが0.01〜100g/10分、(ハ)分子量分
布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、(ニ)組成分布パラ
メーターCbが2.00以下
【0008】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体(A)におけるα−オレフィンとしては、炭素数が3
〜20、好ましくは3〜12のものが好ましい。例え
ば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これら
のα−オレフィンの含有量は、共重合体中、合計で30
モル%以下、好ましくは3〜20モル%の範囲で選択さ
れることが望ましい。
【0009】本発明におけるエチレン単独重合体または
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、密度が
0.86〜0.97g/cm3である。好ましくは0.86〜
0.925g/cm3、さらに好ましくは0.86〜0.910
g/cm3の範囲にある。密度が0.86g/cm3未満のものは
柔らかすぎて耐熱性が不良となり、抗ブロッキング性が
劣るものとなる。また0.97g/cm3を越えると硬すぎ
て、引き裂き強度、衝撃落下強度等が低くなる。また、
成分(A)のメルトフローレート(以下、MFRと称
す)は0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50
g/10分、さらに好ましくは0.5〜30g/10分、さらに
好ましくは1.5〜20g/10分の範囲である。MFRが
0.01g/10分未満では加工性(ドローダウン性等)が
不良となり、100g/10分を越えると機械的強度が弱い
ものとなる。
【0010】成分(A)の分子量分布Mw/Mnは、
1.5〜5.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未満で
は成形加工性が劣り、5.0を越えるものは耐衝撃性等
の機械的強度が劣る。尚、分子量分布(Mw/Mn)
は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GP
C)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(M
n)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出すること
により求められる。
【0011】本発明の成分(A)の組成分布パラメータ
ー(Cb)は2.00以下である必要がある。組成分布
パラメーター(Cb)が2.00よりも大きいと、ブロ
ッキングしやすく、ヒートシール性も不良となり、また
低分子量あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみ出
しが多く衛生上の問題が生じるからである。組成分布パ
ラメーター(Cb)は下記の通り測定される。酸化防止
剤を加えたオルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料
を濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解
した後、けい藻土(セライト545)を充填したカラム
に移送した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷
却し、共重合体試料をセライト表面に沈着させる。次
に、この試料が沈着されているカラムにODCBを一定
流量で流しながら、カラム温度を5℃刻みに120℃迄
段階的に昇温する。すると各温度に対応した溶出成分を
含んだ溶液が採取される。この溶液を冷却後、メタノー
ルを加え、試料を沈澱後、ろ過、乾燥し、各温度におけ
る溶出試料を得る。この分別された各試料の、重量分率
および分岐度(炭素数1000個当たりの分岐数)を測
定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0012】このような方法で30℃から90℃で採取
した各フラクションについては次のような、分岐度の補
正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度
をプロットし、相関関係を最小二乗法で直線に近似し、
検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。
この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度と
する。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクショ
ンについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成
立しないのでこの補正は行わない。
【0013】次ぎにそれぞれのフラクションの重量分率
iを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi
−bi-1)で割って相対濃度ciを求め、分岐度に対して
相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成
分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメ
ーターCbを算出する。 Cb=(Σcj・bj 2/Σcj・bj)/(Σcj・bj
Σcj) ここで、cjとbjはそれぞれj番目の区分の相対濃度と
分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成
が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに
従って値が大きくなる。
【0014】なお、エチレン・α−オレフィン共重合体
の組成分布を表現する方法は多くの提案がなされてい
る。例えば特開昭60−88016号公報では、試料を
溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重
量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して
数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐
度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の
分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度
が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関
係数R2はかなり低く、値の精度は充分でない。また、
このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明の
Cbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、C
w/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0015】上述した成分(A)は、チーグラー触媒、
フィリップス触媒等の周知の触媒を用いて製造しても良
いが、以下に示す2つの態様で調製したものが特に好適
である。その1つは、少なくとも共役二重結合をもつ有
機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を
含む触媒の存在下で、エチレンを単独重合、またはエチ
レンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させ
たものである。そのようなものの中でも、下記(イ)〜
(ヘ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチ
レン・α−オレフィン共重合体(以下、成分(A1)と
する)が好適である。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3 (ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.0 (ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線
のピークが実質的に複数個存在すること (ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン可溶分量
X(wt%)と密度d及びメルトフローレート(MFR)
が次の関係を満足すること (a)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (b)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)
2+2.0
【0016】もう1つは、シクロペンタジエニル骨格を
有する配位子と周期律表第IV族の遷移化合物を含む少な
くとも1種の触媒の存在下で得られた下記(イ)〜
(ホ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチ
レン・α−オレフィン共重合体(以下、成分(A2)と
する)である。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3 (ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2 (ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線
のピークが実質的に1個存在する
【0017】ここで、成分(A1)は、図1に示される
ように、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた
溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個
の特殊な新規エチレン単独重合体またはエチレン・α−
オレフィン共重合体であり、成分(A2)は、図2に示
されるように、同連続昇温溶出分別法(TREF)によ
り求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピーク
を1個有し、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む少なくとも1
種の触媒の存在下で得られる典型的なメタロセン系触媒
によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフ
ィン共重合体であり、成分(A1)と(A2)とは明白に
区別されるものである。
【0018】《成分(A1)》成分(A1)においては、
分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.5のものがよ
り好ましく、さらに好ましくは1.8〜4.0、より好ま
しくは2.0〜3.5の範囲にあることが望ましい。ま
た、成分(A1)においては、組成分布パラメーターC
bは、1.08〜2.00であることがより好ましく、さ
らに好ましくは1. 10〜1.80、より好ましくは1.
15〜1.50の範囲にあることが望ましい。
【0019】本発明における特殊なエチレン単独重合体
またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)は、
上記したように、(ホ)連続昇温溶出分別法(TRE
F)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピー
クが複数個存在する。この複数のピーク温度は85℃か
ら100℃の間に存在することが特に好ましい。このピ
ークが存在することにより、融点が高くなり、また結晶
化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性が向上する。
【0020】このTREFの測定方法は下記の通りであ
る。まず、試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキ
シトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重
量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この
試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入
し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料
をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにO
DCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/
hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。
この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非
対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検
出機で測定することにより連続的に検出される。この値
から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃
度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。
TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対
する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法
では検出できない比較的細かいピークの検出が可能であ
る。
【0021】また、上述したように、この成分(A1)
においては、(ヘ)25℃におけるODCB可溶分の量
X(重量%)と密度dおよびMFRの関係は、dおよび
MFRの値が、d−0.008logMFR≧0.93を満たす
場合は、Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、
d−0.008logMFR<0.93の場合は、 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)
2+2.0 好ましくは、 X<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)
2+1.0 さらに好ましくは、 X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)
2+0.5 の関係を満足していることが望ましい。
【0022】尚、上記25℃におけるODCB可溶分の
量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5gを
20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を
完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を2
5℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ
液を採取する。このろ液を赤外分光器によりメチレンの
非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強
度を測定し、予め作成した検量線により試料濃度を算出
する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が
求まる。
【0023】25℃におけるODCB可溶分は、エチレ
ン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分お
よび低分子量成分であり、耐熱性の低下や成形品表面の
べたつきの原因となり、衛生性の問題や成形品内面のブ
ロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが
望ましい。ODCB可溶分の量は、コモノマーの含有量
および分子量に影響される。従ってこれらの指標である
密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を
満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィン
の偏在が少ないことを示す。
【0024】このエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体(A1)は分子量分布が狭く、
組成分布が適度な広さを有し、機械的強度が強く、ヒー
トシール性、抗ブロッキング性等に優れ、しかも耐熱性
の良い重合体である。この成分(A1)は、特に以下の
a1〜a4の触媒で重合することが望ましい。 a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-rで表さ
れる化合物。 (式中、Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを
示し、R1およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水
素基またはトリアルキルシリル基、R2は2,4-ペンタン
ジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト
配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導
体、X1はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロ
ゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p<
4、0≦q<4、0≦r<4、0≦p+q+r≦4の範囲を
満たす整数である。) a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-nで表される化
合物。 (式中、Me2は周期律表第I〜III族元素、R4および
5はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロ
ゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場
合はMe2は周期律表第III族元素の場合に限る)を示
し、zはMe2の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0
≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、か
つ、0≦m+n≦zである。) a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物。 a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物及び/又はホウ素化合物。
【0025】これらの各触媒成分について詳説する。上
記触媒成分a1について、その一般式Me11 p2 q(O
3r1 4-p-q-rで表される化合物の式中、Me1はジ
ルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、複数を用いる
こともできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウ
ムが含まれることが特に好ましい。R1及びR3の炭素数
1〜24の炭化水素基は、炭素数が1〜12であること
がより好ましく、さらに好ましくは1〜8である。具体
的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基な
どのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリ
ール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチ
リル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフ
イル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは
分岐があってもよい。
【0026】上記触媒成分a1の一般式で示される化合
物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエ
チルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テト
ラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロ
ジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テ
トラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジ
ルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラ
ブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げ
られ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブト
キシジルコニウムなどのZr(OR)4化合物が好まし
く、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
また、R2の2,4ーペンタンジオナト配位子またはその
誘導体等の具体例には、テトラ(2,4ーペンタンジオ
ナト)ジルコニウム、トリ(2,4ーペンタンジオナ
ト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジ
オナト)ジクロライドジルコニウム、(2,4ーペンタ
ンジオナト)トリクロライド、ジ(2,4ーペンタンジ
オナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4ーペ
ンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウ
ム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサ
イドジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナト)ジ
ベンジルジルコニウム、ジ(2,4ーペンタンジオナ
ト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベンゾイル
メタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)
ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナ
ト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4
ーペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウ
ム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジルコ
ニウム、ジ(ジベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロポ
キサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ
−n−ブトキサイドジルコニウム等が挙げられる。
【0027】触媒成分a2について、その一般式Me2
4 m(OR5n2 z-m-nで表される化合物の式中Me2
周期律表第I〜III族元素を示し、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ
素、アルミニウム等である。R4及びR5はそれぞれ炭素
数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、
さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基
などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニ
ル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル
基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベン
ジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベン
ズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などの
アラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があって
もよい。X2はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などの
ハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただ
し、X2が水素原子の場合はMe2はホウ素、アルミニウ
ムなどに例示される周期律表第III族元素の場合に限る
ものである。
【0028】上記触媒成分a2の一般式で示される化合
物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなど
の有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチ
ルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチ
ルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合
物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合
物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボ
ロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシル
アルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアル
ミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライ
ド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルア
ルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイド
ライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げ
られる。
【0029】触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環
状化合物には、環状で共役二重結合を2個以上、好まし
くは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1
個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましく
は4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水
素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的に
は、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)
で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個
以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個
有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜2
4、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する
有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜
6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウム
またはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含
まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペン
タジエン構造をもつものが望ましい。
【0030】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物
がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは
2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用い
られる。
【0031】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式で表示することができる。 ALSiR4-L ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペン
タジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示
される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアル
キル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブト
キシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール
基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基
などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好まし
くは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1
≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0032】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の
具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペン
タジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチ
ルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−イ
ンデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリ
エン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテト
ラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのよ
うな炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロ
ポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシク
ロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニル
シラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラ
ン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0033】触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む
変性有機アルミニウムオキシ化合物及び/又はホウ素化
合物は、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させ
ることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機
アルミニウムオキシ化合物が得られ、分子中に通常1〜
100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合
を含有する。該変性有機アルミニウムオキシ化合物は線
状でも環状でもいずれでもよい。また、ホウ素化合物と
してはテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエ
チルアルミニウム(トリエチルアンモニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフル
オロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム(ジメチル
アニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト、ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、N,Nージメチルアンリニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,Nージメチ
ルアンリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート等があげられる。
【0034】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との
反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/
1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望まし
い。
【0035】上記触媒成分a1〜a4は、そのまま混合接
触させて使用しても差し支えないが、好ましくは無機物
担体及び/又は粒子状ポリマー担体(a5)に担持させ
て使用させることが望ましい。該無機物担体および/ま
たは粒子状ポリマー担体(a5)としては、炭素質物、
金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれ
らの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙
げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金
属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げら
れる。具体的には、SiO2、Al23、MgO、Zr
2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、Th
2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al
23、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2
25、SiO2−MgO、SiO2−Cr23等が挙げ
られる。これらの中でもSiO2およびAl23からな
る群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とす
るものが好ましい。また、有機化合物としては、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的に
は、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、
ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およ
びこれらの混合物等が挙げられる。
【0036】上記無機物担体及び/又は粒子状ポリマー
担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは
予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物
やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキ
シ化合物などに接触処理させた後に成分a5として用い
ることもできる。
【0037】《成分(A2)》メタロセン系触媒による
エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共
重合体成分(A2)においては、その分子量分布は、1.
5〜4.5であることがより好ましく、1.8〜3.5の
範囲にあることがさらに望ましい。また、成分(A2)
においては、組成分布パラメーターは、好ましくは1.
01〜1.2、さらに好ましくは1.02〜1.18、よ
り好ましくは1.03〜1.16の範囲にあることが望ま
しい。
【0038】このメタロセン系触媒によるエチレン単独
重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A
2)はシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む
周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助触媒、
有機アルミニウム化合物、担体とを含む触媒の存在下に
エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共
重合させることにより得られるものである。
【0039】このエチレン単独重合体またはエチレン・
α−オレフィン共重合体(A2)を製造する触媒である
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律
表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格
とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエ
ニル基等である。置換シクロペンタジエニル基として
は、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置
換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シア
ノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロア
ルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種
の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等であ
る。該置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上
有していてもよく、また係る置換基同士が互いに結合し
て環を形成してもよい。
【0040】上記炭素数1〜10の炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シク
ロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のア
ラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基
が好ましい。置換シクロペンタジエニル基の好適なもの
としては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシク
ロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニ
ル基、1,3-ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3-n-ブ
チルメチルシクロペンタジエニル基、1,3-n-プロピルメ
チルエチルシクロペンタジエニル基などが具体的に挙げ
られる。本発明の置換シクロペンタジエニル基として
は、これらの中でも炭素数3以上のアルキル基が置換し
たシクロペンタジエニル基が好ましく、特に1,3-置換シ
クロペンタジエニル基が好ましい。置換基同士すなわち
炭化水素同士が互いに結合して1または2以上の環を形
成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、イ
ンデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基
等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナ
フチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)
等の置換基により置換された置換ナフチル基、炭素数1
〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置
換された置換フルオレニル基等が好適なものとして挙げ
られる。
【0041】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属とし
ては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げら
れ、特にジルコニウムが好ましい。該遷移金属化合物
は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては
通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基
により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基と
しては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジ
イル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0042】周期律表第IV族の遷移金属化合物において
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子
としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20
の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール
基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基
等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基など
が挙げられる。
【0043】これらの具体例としては以下のものがあ
る。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタ
ジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ハフニウムジフェニルなどがある。モノアルキ
ルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロラ
イドなどがある。また、モノシクロペンタジエニルチタ
ノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニ
ウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニ
ルチタニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げ
られる。
【0044】置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジ
フェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペン
タジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライ
ド、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたは
ペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物
としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニ
ル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス
(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウム
ジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯
体、シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエ
ン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニル
チタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジ
シクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジク
ロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0045】ジルコノセン化合物としては、ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、
ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリク
ロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジフェニル、アルキル置換シクロペンタジ
エンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロア
ルキルまたはジハライド錯体、ジアルキル、トリアルキ
ル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタ
ジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそ
れらのジハライド錯体、シリコン、炭素連結シクロペン
タジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタ
ジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチ
レンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまた
はジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコ
ニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0046】さらに他のメタロセンとしては、ビス(シ
クロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス
(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなど
が挙げられる。
【0047】本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化
合物の例として、下記化学式で示されるシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および遷
移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【化1】 化学式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨格を有す
る配位子、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアル
キル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アルコ
キシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表し、YはSi
2、CR2、SiR2SiR2、CR2CR2、CR=C
R、SiR2CR2、BR2、BRからなる群から選ばれ
る2価基、Zは−O−、−S−、−NR−、−PR−ま
たはOR、SR、NR2、PR2からなる群から選ばれる
2価中性リガンドを示す。ただし、Rは水素または炭素
数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル基、ハロ
ゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、またはY、
ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基
は縮合環系を形成するものである。Mは周期律表第IV族
の遷移金属原子を表す。
【0048】上記化学式で表される化合物の例として
は、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタ
ジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロ
ライド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペ
ンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロラ
イド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジ
エニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロラ
イド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジ
エニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、
(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)
ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン
チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル
(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニ
ウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラ
メチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライ
ド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシ
クロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが
挙げられる。
【0049】本発明でいう助触媒としては、前記周期律
表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になし
得る、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷
を均衡させうるものをいう。本発明において用いられる
助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベン
ゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミ
ニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなど
のランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの
中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0050】また、触媒は無機または有機化合物の担体
に担持して使用されてもよい。該担体としては無機また
は有機化合物の多孔質酸化物が好ましい。具体的には、
SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B2
3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの
混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2
5、SiO2−TiO2、SiO2−MgO、SiO2
Cr23等が挙げられる。
【0051】有機アルミニウム化合物として、トリエチ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のト
リアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハラ
イド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキル
アルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイド
ライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられ
る。
【0052】《製造方法》本発明のエチレン単独重合体
またはエチレン・α−オレフィン共重合体(成分
(A))の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶
媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合
法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、
ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化
水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族
炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下ま
たは不存在下で製造される。重合条件は特に限定されな
いが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20
〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、
重合圧力は低中圧法の場合、通常、常圧〜70kg/cm
2G、好ましくは、常圧〜20kg/cm2Gであり、高圧法の
場合通常1500kg/cm2G以下が望ましい。重合時間は
低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜
5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30
分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重
合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、
重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる
2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではな
い。
【0053】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体において、重合時の触媒成分を実質的に塩素等のハロ
ゲンを含まないものとすると、得られる重合体にもこれ
らハロゲンが含まれず、したがって化学的安定性、衛生
性が優れ、食品、衛生、医療関連用途に好適である。ま
た電気部品、電線部材、電子レンジに関する包装材料お
よび容器に適用した場合、周辺の金属部品等の錆の発生
が抑えられるといった特徴を有する。
【0054】〈(B)他のエチレン系重合体〉本発明で
の第II層を構成する樹脂としては、上述した成分(A)
に加えて、他のエチレン系重合体を(成分(B))を混
合しておくことが望ましい。そのような他のエチレン系
重合体としては、高圧ラジカル重合法によるエチレン系
重合体(B1)及び又は密度が0.86〜0.97g/cm3
エチレン−α−オレフィン共重合体(B2)が好まし
い。
【0055】上記(B1)高圧ラジカル重合法によるエ
チレン系重合体としては、高圧ラジカル重合法による密
度が0.91〜0.94g/cm3のエチレン単独重合体(低
密度ポリエチレン(LDPE):B11)、エチレン・ビ
ニルエステル共重合体(B12)、エチレンとα,β−不
飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B13)
等が挙げられる。
【0056】(B11)低密度ポリエチレンは、MFRが
0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分の
範囲で選択される。この範囲内であれば組成物の溶融張
力が適切な範囲となり押出ラミネート成形等が容易であ
る。該LDPEの密度は0.91〜0.94g/cm3、好ま
しくは0.912〜0.935g/cm3、さらに好ましくは
0.912〜0.930g/cm3の範囲で選択される。ま
た、分子量分布(Mw/Mn)は3.0〜12、好まし
くは4.0〜8.0である。これらLDPEの製法は、公
知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー
法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
【0057】また、上記(B12)エチレン・ビニルエス
テル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エ
チレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニ
ル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニル
などのビニルエステル単量体との共重合体である。これ
らの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙
げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビ
ニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不
飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ま
しい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、
特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。こ
れら共重合体のMFRは、0.1〜50g/10分、好まし
くは0.3〜30g/分の範囲で選択される。
【0058】さらに上記(B13)エチレンとα,β−不
飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的
な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸ま
たはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これら
のコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタク
リル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル
酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル
酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステ
アリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいも
のとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアル
キルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アク
リル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5
〜15重量%の範囲である。 これら共重合体のMFR
は、0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/分
の範囲で選択される。
【0059】また、上記密度が0.86〜0.97g/cm3
のエチレン−α−オレフイン共重合体(B2)は、従来
公知のチーグラー系触媒あるいはフィリップス系触媒等
を用いる、高・中・低圧法およびその他の公知の方法に
よるエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共
重合体である。これは、(A)成分より一般的には分子
量分布あるいは組成分布が広く、密度が0.94〜0.9
7g/cm3の高密度ポリエチレン、0.91〜0.94g/cm3
の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、密度が0.
86〜0.91g/cm3の超低密度ポリエチレン(以下、V
LDPEと称する)、密度が0.86〜0.91g/cm3
エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピ
レン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィ
ン共重合体ゴムを包含する。
【0060】その高密度ポリエチレンは、密度が0.9
4〜0.97g/cm3、好ましくは0.95〜0.97g/c
m3、メルトフローレートが0.01〜50g/10分、好ま
しくは0.05〜30g/10分、特に好ましくは0.1〜2
0g/10分である。
【0061】上記LLDPEとは、密度が0.91〜0.
94g/cm3、好ましくは0.91〜0.93g/cm3の範囲の
エチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが
0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分の
範囲で選択される。分子量分布(Mw/Mn)は特に限
定はないが、3.0〜13、好ましくは3. 5〜8.0の
範囲にあるのが一般的である。上記LLDPEのα−オ
レフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜1
2、さらに好ましくは炭素数6〜12の範囲のα−オレ
フィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4
−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン
等が挙げられる。上記MFRが0.05g/10分未満で
は、成形加工性が悪化し、50g/10分を超えるものは耐
衝撃性やヒートシール特性等が低下する虞を生じる。
【0062】また上記VLDPEとは、密度が0.86
〜0.91g/cm3、好ましくは0.88〜0.905g/cm3
の範囲のエチレン−α−オレフィン共重合体であり、M
FRが0.01〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/
10分の範囲で選択される。該VLDPEは、線状低密度
ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィ
ン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示
すポリエチレンであり、示差走査熱量測定法(DSC)
による最大ピーク温度(Tm)60℃以上、好ましく
は、100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10重
量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィ
ン共重合体であり、LLDPEが示す高結晶部分とエチ
レン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを
合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である耐衝撃性、
耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝
撃性などがバランスよく共存している。
【0063】上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴ
ムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3未満のエチレン
・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジ
エン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレ
ン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分
とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分と
してジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデ
ンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダ
ム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0064】上記(B)他のエチレン系重合体のなかで
も、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレンおよび
/または密度が0.86〜0.95g/cm3のエチレン−α
−オレフイン共重合体が好ましい。
【0065】第II層を構成する樹脂組成物を(A)成分
と(B)成分とで構成した場合、その配合割合は、
(A)成分が少なくとも20重量%以上あることが好ま
しく、さらには、(A)成分が98〜20重量%、
(B)成分が2〜80重量%とすることが好ましい。よ
り好ましくは(A)成分が90〜60重量%、(B)成
分が10〜40重量%、さらに好ましくは(A)成分が
85〜70重量%、(B)成分が15〜30重量%であ
る。該組成物中に(B)成分があることにより、ドロー
ダウン性、ネックイン等の成形加工性が向上するもの
の、(A)成分が20重量%より少ない場合には、突刺
強度、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、夾雑物
ヒートシール性等のヒートシール特性、ホットタック性
等の改良効果が小さいからである。
【0066】上記本発明の組成物の具体的な例として
は、(A1+B11)、(A2+B11)、(A1+B11+B2
1)、(A2+B11+B21)、(A1+B12+B21)、
(A2+B12+B21)、(A1+B11+B22)、(A2+
B11+B22)(A1+A2+B11)、(A1+A2+B11+
B21)(A1+A2+B11+B22)などの種々の組み合わ
せが挙げられる(ただし、A1:,A2:上述した成分
(A)の2態様、B11:LDPE、B12:EVA、B2
1:LLDPE、B22:VLDPEを示す)。特に
((A1またはA2)+B11+(B21またはB22))、す
なわち、本発明のエチレン−α−オレフイン共重合体
(A1またはA2)とLDPE、LLDPEの組み合わせ
の場合の配合量は(A)成分60〜90重量%、(B
1)成分5〜35重量%、(B2)成分5〜35重量%の
範囲で選択されることが望ましい。
【0067】この(A)成分と(B)成分を含む組成物
は、(c1)メルトフローレート(MFR)が1〜10
0g/10分、(c2)190℃におけるダイスウエル比
(DSR)が1.10〜3.00、(c3)190℃にお
ける溶融張力(MT)が0.5〜4.0gの範囲であるこ
とが望ましい。上記(c1)MFRが1g/10分未満であ
ると成形加工性が劣り、100g/10分を超えるものは突
刺強度等の機械的強度が改良されない虞がある。また、
(c2)ダイスウエル比(DSR)が1.10未満である
とネックインが大きく、3.00を超える場合には高速
成形性に難がある。(c3)溶融張力(MT)が0.5g
未満であるとドローダウン性が劣り、4.0gを超える
ものは高速成形性が低下する虞がある。
【0068】この際、(A)成分として上述した(A
1)成分を用いた場合には、メルトフローレートは、1
〜50g/10分とすることがより好ましく、さらには、
1.5〜40g/10分、さらに好ましくは2.0〜30g/10
分である。さらに、190℃におけるダイスウエル比
(DSR)は、1.10〜2.00とすることがより好ま
しく、さらには1.10〜1.70、さらに好ましくは
1.10〜1.65である。また、190℃における溶融
張力(MT)は、0.5〜4.0gとすることがより好ま
しく、さらには0.5〜2.5gの範囲であることが望ま
しい。
【0069】また(A)成分として上述した(A2)成
分を用いた場合には、メルトフローレート(MFR)
は、1〜50g/10分であることがより好ましく、さらに
は1.5〜40g/10分、さらに好ましくは2.0〜30g/
10分の範囲であることが好ましい。さらに、190℃に
おけるダイスウエル比(DSR)が1.30〜3.00で
あることが好ましく、より好ましくは1.30〜2.8
0、さらに好ましくは1.30〜2.50である。また、
190℃における溶融張力(MT)は、0.5〜4.0
g、好ましくは0.5〜3.5gの範囲であることが望ま
しい。
【0070】尚、DSRは例えば次のようにして求める
ことができる。JIS K6760で使用されるメルトインデク
サーを使用し、シリンダーにサンプルを充填し、シリン
ダー温度190℃で4分間予熱の後、定荷重2.16k
gをかける。ピストンの降下が定常状態になったところ
でストランドを一旦カットし、そこから順次長さ約1イ
ンチのストランドを採取し、水道水を入れたビーカーの
中に入れて冷却する。採取したサンプルの先端から1/
2インチのところの直径(D)をマイクロメーターで測
定しダイスのオリフィス径をD0とし、次式により求ま
る。 DSR=D/D0
【0071】これらの成分(A)と成分(B)の配合は
従来の樹脂組成物配合法として一般に用いられる公知の
方法により配合することができる。その一例としては
(A)成分、(B)成分、およびその他の添加可能なポ
リオレフィン樹脂等をフィルム成形時に単にドライブレ
ンドすることにより行える。また、他の例としては
(A)成分、(B)成分および所望により各種添加剤を
タンブラー、リボンブレンダーまたはヘンシェルミキサ
ー等の混合機を使用してドライブレンドした後、単軸押
出機、二軸押出機等の連続式溶融混練機をにより溶融混
合し、押出してペレットを調製することによって該樹脂
組成物を得ることができる。また、必要に応じて、バン
バリーミキサー等のバッチ式溶融混練機を併用しても良
い。
【0072】尚、第II層を構成する樹脂層には、有機あ
るいは無機フィラー、粘着付与剤、酸化防止剤、防曇
剤、有機あるいは無機系顔料、分散剤、核剤、発泡剤、
難燃剤、架橋剤、紫外線防止剤、(不)飽和脂肪酸アミ
ド、(不)飽和高級脂肪酸の金属塩等の滑剤などの公知
の添加剤を本願発明の特性を本質的に阻害しない範囲で
添加することができる。これらの添加剤の中でも、滑
剤、粘着付与剤、無機フィラーは作業性をより向上させ
るために好適に用いられる。滑剤としては、オレイン酸
アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、等の脂
肪酸アミド;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリ
ン酸ジグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、オ
レイン酸ジグリセライド等の脂肪酸グリセリンエステル
化合物およびそれらのポリエチレングリコール付加物等
が挙げられる。また無機フィラーとしては、軽質および
重質炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ゼオライト、炭
酸マグネシウム、長石等が挙げられる。粘着付与剤とし
ては、ポリブテン、ヒマシ油誘導体、ソルビタン脂肪酸
エステル、ロジンおよびロジン誘導体、石油樹脂および
それらの水添物等のタッキファイヤー、ゴム等が挙げら
れる。これら粘着付与剤は0.5〜20重量部の範囲で
配合することができる。顔料としてはカーボンブラッ
ク、チタン白等の他、市販の各種着色剤マスターバッチ
が好適に用いられる。
【0073】さらに適度の滑り性、帯電防止性、防曇性
を得るための添加剤についても配合することができる。
具体的には、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビ
タンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビ
タンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート等;
グリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンモノオレ
ート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラ
ウレート、グリセリンモノベヘネート等;ポリグリセリ
ン脂肪酸エステルとして、ジグリセリンモノラウレー
ト、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノ
オレート、テトラグリセリンモノオレート、テトラグリ
セリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレ
ート、ヘキサグリセリンモノオレート、デカグリセリン
モノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デ
カグリセリンモノオレート等の他、多価アルコールの脂
肪酸エステルおよびこれらのエチレンオキサイド付加
物、高級脂肪酸アミドおよびこれらのエチレンオキサイ
ド付加物、高級脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられ
るがこれらに限定されるものではない。これらの添加剤
は単独あるいは混合組成物として使用されるが、添加量
としては通常0.01〜0.5重量%、好ましくは0.0
5〜0.3重量%である。添加量が0.01重量%未満で
はフィルムの改質効果が十分ではなく、0.5重量%を
越える場合にはフィルム表面への浮き出し量が多く、フ
ィルムがべたつき、その結果、作業性が著しく低下する
などの問題が起こるため好ましくない。
【0074】〔第I層〕本発明の第I層の基材層として
は、上質紙、クラフト紙、薄葉紙、ケント紙等の紙、ア
ルミニウム箔等の金属箔、セロファン、織布、不織布、
延伸ナイロン、無延伸ナイロン、特殊ナイロン(MXD
6等)、Kーナイロン(ポリフッ化ビニリデンコート)
等のナイロン系基材、延伸PET、無延伸PET、Kー
PET、アルミニウム蒸着PET(VMPET)等のP
ET(ポリエチレンテレフタレート)系基材、延伸PP
(OPP)、無延伸PP(CPP)、アルミニウム蒸着
PP、K−PP、共押出フイルムPP等のポリプロピレ
ン系基材、LDPEフイルム、LLDPEフィルム、E
VAフイルム、延伸LDPEフイルム、延伸HDPEフ
イルム、ポリスチレン系フイルム等の合成樹脂フイルム
系基材等が挙げられ、これらは印刷されたものでも差し
支えない。また必要に応じて、コロナ処理、フレーム処
理、プラズマ処理、紫外線処理、アンカーコート処理等
の各種前処理がなされていても良い。
【0075】本発明の積層体とは、前記基材となる第I
層と、第II層とを少なくとも有するもので、その第II層
をシーラント層として最内層に位置させることが好適で
ある。第II層と第I層とは隣接するように配置しても良
いが、場合により、第I層と第II層の間、あるいは第I
層の外側にさらに、LDPE、LLDPE、EVA、エ
チレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、これ
らの酸または酸無水物グラフト共重合体等の樹脂層、あ
るいは、上質紙、クラフト紙、薄葉紙、ケント紙等の
紙、アルミニウム箔等の金属箔、セロファン、織布、不
織布、延伸ナイロン、無延伸ナイロン、特殊ナイロン
(MXD6等)、Kーナイロン(ポリフッ化ビニリデン
コート)等のナイロン系基材、延伸PET、無延伸PE
T、KーPET、VMPET等のPET系基材、OP
P、CPP、アルミニウム蒸着PP、K−PP、共押出
フイルムPP等のポリプロピレン系基材、LDPEフイ
ルム、LLDPEフイルム、EVAフィルム、延伸LD
PEフイルム、延伸HDPEフイルム、ポリスチレン系
フイルム等の合成樹脂フイルム系基材等が積層されてい
てもよい。例えば、紙/PEラミ/Al/II層、紙/P
Eラミ/Al/PEラミ/II層、紙/酸変性PE/EV
OH/II層、K−PP/PEラミ/Al/II層、K−ナ
イロン/酸変性PE/EVOH/II層、延伸HDPE/
酸変性PE/EVOH/II層、不織布/酸変性PE/E
VOH/II層等が挙げられる(但し、PEラミ:ポリエ
チレン系樹脂のラミネート層、Al:アルミニウム箔、
酸変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン、II層:
シーラント層を示す)。
【0076】本発明の積層体を製造する方法としては、
第I層に第II層を押出ラミネーション成形によって積層
する方法、第I層の基材に、LDPEやLLDPE等の
樹脂を押出ラミネーション成形にて積層した後に、第II
層を押出ラミネーション成形にて積層する方法、あるい
はそれらの際に第II層と第I層の間に接着剤及び/又は
エチレン系重合体を介在させる方法をはじめ、種々の方
法で行っても良い。
【0077】
【実施例】以下に実施例および比較例に基づいて本発明
を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定さ
れるものではない。
【0078】実施例および比較例における試験法は以下
のとおりである。 (物性試験方法) 密度:JIS K6760に準拠した。 MFR:JIS K6760に準拠した。 Mw/Mn:GPC(ウオーターズ150型)ODCB
135℃ カラムには東ソー(株)製GMMHR−H
(S)を使用した。PS標準試料による検量線法によ
る。 NMR:日本電子(株)製 GX−270,ODCB 1
35℃で測定。
【0079】(積層体評価法) 突刺試験:JAS 1019Aに準拠した。貫通部は直径1mm
φの半球状のものを用いた。サンプルのシール面側から
と、基材側からの両方について、貫通速度100mm/min
にて、貫通時の荷重を測定した。 低温ヒートシール性:ヒートシール試験器(テスター産
業(株)製)を使用し、シールバー幅5mm、圧力2k
g/cm2でシール温度を5℃刻みで1秒間シール後、
放冷した。シール部を15mm幅に短冊状に切り出し、
引張試験機にて300mm/minでシール部を剥離し、
その際の荷重が500gとなる温度を内挿により求め
た。この温度が低い方が低温ヒートシール性に優れたも
のである。 ヒートシール強度:前述のヒートシーラーを用い、圧力
2kg/cm2、シール温度150℃、シール時間3秒
でヒートシールした後、放冷した。シール部を15mm
幅に短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/mi
nでシール部を剥離し、強度を求めた。 高速充填適性:縦型液体自動包装充填機(コマツ(株)
製)にてシール温度190℃、ピッチ6cm/1袋、内容
物を酢+醤油+食用油(1:1:1)の混合液として、
製袋した。剥離、浮き等のシール不良の発生しない最大
運転速度を求めた。 耐熱性:上記ヒートシーラーを用い、圧力を2kg/c
m2、シール温度を150℃、シール時間を3秒としてヒ
ートシールし、内部に100ccの水を入れた20cm×
20cmの袋を3つ作成した。これらを98℃の熱水中に
30分間保持し、取り出して放冷後、剥離、浮き、白化
等のシール不良を検査し、3袋とも問題の無い場合を表
中に○で示し、それ以外を×で示した。
【0080】(エチレン・α−オレフイン共重合体A1
の製造) 固体触媒の調製 窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に精
製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコ
ニウム(Zr(OPr)2Cl2)28gおよびメチルシ
クロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しなが
らトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了
後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この
溶液をA液とした。次に窒素下で別の攪拌器付き触媒調
製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、
ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶
液を添加し反応させた。これをB液とした。次に窒素下
で攪拌器付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、
ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリ
カ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積30
0m2/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量
を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒
を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触
媒Dとした。
【0081】試料の重合 連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70
℃、全圧20kgf/cm2Gでエチレンと1−ヘキセンの共
重合を行った。前記触媒Dを連続的に供給して重合を行
い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的
に供給しながら重合を行った。生成した共重合体を樹脂
成分A1とする。樹脂成分A1の物性は以下に示すとおり
である。 (A1)エチレン・1−ヘキセン共重合体 (イ)密度:0.910g/cm3 (ロ)MFR:11g/10分 (ハ)分子量分布(Mw/Mn):2.6 (ニ)組成分布パラメーターCb:1.22 (ホ)TREFピーク温度:83.2、96.5℃ (ヘ)d−0.008logMFR:0.902 ODCB可溶分(%)=1.5<9.8×103×(0.9300ーd+0.008log
MFR)2+2.0
【0082】(エチレン−α−オレフィン共重合体A2
の製造)攪拌機を付したステンレス製オートクレーブを
窒素置換し精製トルエンを入れた。次いで、1−ヘキセ
ンを添加し、更にエチレンビス(インデニル)ジルコニ
ウムジクロライド(Zrとして0.02mモル)メチル
アルモキサン[MAO](MAO/Zr=100[モル
比]の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次ぎに
エチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的
に重合しつつ全圧を維持して1時間重合を行い、(A
2)エチレン・1−ヘキセン共重合体を得た。 (A2)
エチレン・1−ヘキセン共重合体 (イ)密度:0.907g/cm3 (ロ)MFR:11g/10分 (ハ)分子量分布(Mw/Mn):2.4 (ニ)組成分布パラメーター(Cb):1.05 (ホ)TREFピーク温度:82.9℃
【0083】(他のエチレン系重合体(B)) B11:高圧法低密度ポリエチレン(MFR:7.0g/10
分、密度:0.917g/cm3、日本ポリオレフィン(株)
製);LDPE B12:高圧法エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル濃度:6重量%、MFR:9.0g/10分、日本ポリオ
レフィン(株)製);EVA B21:線状低密度ポリエチレン重合体(気相法チグラー
触媒品、コモノマー:ブテン−1、MFR:7.0g/10
分、密度:0.920g/cm3、日本ポリオレフィン(株)
製);LLDPE
【0084】[実施例1]樹脂成分(A1)のエチレン
−α−オレフィン共重合体および樹脂成分(B11)のL
DPEを重量比で75:25の割合で配合した組成物に
対して、酸化防止剤0.09重量部、ステアリン酸カル
シウム(日本油脂(株)製)0.1重量部を加え、ヘン
シェルミキサーで約30秒間均一に混合した後ペレット
化し、組成物C1を得た。第I層として厚さが15μ
m、片面にコロナ処理の施された2軸延伸ポリアミドフ
ィルムを基材とし、このフィルムのコロナ処理面に、イ
ソシアネート系アンカーコート剤(大日精化工業製、3
600A/B、配合比7:3)を塗工し、(B11)を樹
脂温度320℃、厚さ20μmで押出ラミネートした。
さらに(B11)層の上に、第II層として組成物C1を樹
脂温度280〜290℃、厚さ30μmでラミネートし
て最終的な積層体を得た。
【0085】[実施例2](B11)を用いずに、第I層
の上に第II層として、組成物C1を樹脂温度280〜2
90℃、厚さ30μmでイソシアネート系アンカーコー
ト剤(大日精化工業製、3600A/B、配合比7:
3)とオゾン処理を併用して押出ラミネートして最終的
な積層体を得た。
【0086】[実施例3]樹脂成分(A2)のエチレン
−α−オレフィン共重合体、樹脂成分(A1)のエチレ
ン−α−オレフィン共重合体、樹脂成分(B12)のEV
Aを、重量比が各々30、40、30となるように配合
し、それに対して酸化防止剤0.09重量部、ステアリ
ン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.1重量部を加
え、ヘンシェルミキサーで約30秒間均一に混合した
後、ペレット化し、組成物C2を得た。第I層として厚
さ12μmの2軸延伸PETフィルムに、イソシアネー
ト系アンカーコート剤(大日精化工業製、3600A/
B、配合比7:3)を塗布したものを基材とし、これに
サンド基材として7μm厚のアルミニウム箔を用い、
(B11)のLDPEを樹脂温度320℃、厚さ15μm
で押出サンドラミネートした。この積層体のアルミニウ
ム箔側にさらに第II層として組成物C2をイソシアネー
ト系アンカーコート剤(大日精化工業製、3600A/
B;配合比7:3)とオゾン処理を併用して樹脂温度2
80〜290℃、厚さ30μmでラミネートして最終的
な積層体を得た。評価結果を表1に示した。 [比較例1]第II層として組成物C1の代りに、エチレ
ン系重合体(B21)を樹脂温度290℃、厚さ30μm
で押出ラミネートする以外は、実施例1と同様にして積
層体を得た。評価結果を表1に示す。低温シール性、ヒ
ートシール強度が劣るものであった。
【0087】[比較例2]第II層として組成物C2の代
わりに、樹脂成分(B12)のEVAを樹脂温度250℃
で押出ラミネートした以外は実施例3と同様の操作を行
った。評価結果を表1に示す。耐熱性、ヒートシール強
度が劣ることがわかる。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】本発明は高速自動充填適性、耐熱性に優
れると共に、低温ヒートシール性、ヒートシール強度等
のヒートシール特性、透明性、衝撃強度、突刺強度等に
優れる液体包装用積層体であり、押出成形時のネックイ
ン、ドローダウン(延展性)等の成形性に優れるもので
ある。この積層体は、例えば、液体スープ、液体調味
料、ジュース、酒などの各種液体輸送用包材や、漬物、
レトルト食品等、液体を含む製品の包材として好適に用
いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 成分(A1)についての連続昇温溶出分別法
による溶出温度−溶出量曲線のグラフである。
【図2】 成分(A2)についての連続昇温溶出分別法
による溶出温度−溶出量曲線のグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材となる第I層と、シーラント層とな
    る第II層とを少なくとも有する積層体であって、前記第
    II層が下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するエチレン単
    独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体
    (A)からなることを特徴とする液体包装用積層体。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3、 (ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分、 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、 (ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下
  2. 【請求項2】 前記エチレン単独重合体またはエチレン
    ・α−オレフィン共重合体(A)が、少なくとも共役二
    重結合をもつ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷
    移金属化合物を含む触媒の存在下で、エチレンまたはエ
    チレンとα−オレフィンとを(共)重合させることによ
    り得られたものであることを特徴とする請求項1記載の
    液体包装用積層体。
  3. 【請求項3】 前記エチレン単独重合体またはエチレン
    ・α−オレフィン共重合体(A)が、下記(イ)〜
    (ヘ)の要件を満足することを特徴とする請求項1また
    は2記載の液体包装用積層体。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3、 (ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分、 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.00、 (ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線
    のピークが実質的に複数個存在すること、 (ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン可溶分量
    X(wt%)と密度dおよびMFR(メルトフローレー
    ト)が次の関係を満足すること、 d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)
    2+2.0
  4. 【請求項4】 前記エチレン単独重合体またはエチレン
    ・α−オレフィン共重合体(A)が、シクロペンタジエ
    ニル骨格を有する配位子と周期律表第IV族の遷移化合物
    を含む少なくとも1種の触媒の存在下で重合して得られ
    た下記(イ)〜(ホ)の要件を満足するエチレン単独重
    合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)
    であることを特徴とする請求項1記載の液体包装用積層
    体。 (イ)密度が0.86〜0.97g/cm3 (ロ)メルトフローレートが0.01〜100g/10分 (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (ニ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2 (ホ)連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線
    のピークが実質的に1個存在する
  5. 【請求項5】 前記第II層が、前記エチレン単独重合体
    またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を98
    〜10重量%と、他のエチレン系重合体(B)を2〜9
    0重量%とからなる樹脂組成物からなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の液体包装用積層体。
  6. 【請求項6】 前記樹脂組成物が下記(c1)〜(c3)
    の要件を満足することを特徴とする請求項5記載の液体
    包装用積層体。 (c1)メルトフローレートが1〜100g/10分、 (c2)190℃におけるダイスウエル比(DSR)が
    1.10〜3.00、 (c3)190℃における溶融張力(MT)が0.5〜
    4.0g
  7. 【請求項7】 前記第II層が、押出ラミネーション成形
    または共押出ラミネーション成形で同時成形されたもの
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の液体包装用積層体。
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