JP4902042B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンカーコート剤を使用せずに、層間の接着強度に優れ、味覚の移行、臭気などが少なく、食品、特に液体の包装に適した積層体、さらには、引裂強度、耐衝撃性、成形加工性、ヒートシール強度、耐熱性等にも優れ、ガスバリヤ性を付与することもできる積層体であって、生産工程が少なく経済的な積層体の製造方法、およびこの積層体を用いた容器に関する。詳しくは、湿気、酸素、光等の遮断を目的とするバリヤー性包材や、レトルト食品、医療用品、電子材料等に使用されるクリーンな包装材、容器などに活用される積層体、さらには、食品、医療等の分野、特に乳等省令に適合する食品用容器に好適な積層体、その製造方法およびこの積層体を用いた容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガスバリヤ性包材、レトルト容器、酒容器、飲料用容器などには、一般的に、紙、プラスチック(ポリエステル、ポリアミドなど)等からなる基材に、アンカーコート剤等の接着剤を介して低密度ポリエチレン(LDPE)等を押出ラミネートし、さらにこの上にヒートシール層を設けた積層体が用いられている。
【0003】
アンカーコート剤などの接着剤を使用した場合、積層体の層間の接着強度は保持される。しかしながら、アンカーコート剤などの接着剤は、溶剤を含んでいるため、安全性、作業環境の汚染、設備費の増大等の問題を有していた。さらに、アンカーコート剤などの接着剤を使用した積層体からなる容器には、臭気および溶出成分(オフフレーバー)が積層体から内容物へ移行することにより、内容物の品質が悪化してしまうという問題があった。また、昨今では消費者の環境(環境ホルモン、ダイオキシン、包装容器リサイクル性など)に対する関心の高まりからも容器の無溶剤化が検討され始めている。
【0004】
一方、アンカーコート剤を使用しない場合、積層体の層間の接着強度が弱くなるため、この積層体からなる容器は、破損しやすく、容器、包装材としての品質が安定しないという実質的に包材として成り立たないという問題を有していた。
また、基材とヒートシール層との間にLDPE層を設けていたため、積層体を製造する際の工程が多くなる。
【0005】
これらの点を解決する積層体としては、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体とLDPEとの組成物を金属箔または金属蒸着フィルムの金属面に押出ラミネートした積層体が、特開平9−234837号公報に開示されている。
しかしながら、上記特定のエチレン・α−オレフィン共重合体は、通常、ハロゲン化ジルコニウムを用いたメタロセン触媒で製造されており、共重合体中にハロゲンが残存している。このような共重合体は、成形時においてハロゲン化水素が発生するため、酸吸収剤等の添加が必要となっていた。
【0006】
酸吸収剤等の添加剤は積層体から溶出し、そして、このような積層体を用いた容器にあっては、溶出した添加剤によって内容物の品質を悪化させるという問題があった。特に、積層体を乳等省令に適合する牛乳等の食品容器、包装材に使用する場合には、これら添加剤の添加は衛生上著しく制限され、特に酸化防止剤は禁止されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、アンカーコート剤を使用しなくても、基材と樹脂層との間の接着強度に優れ、臭気が少なく、容器、包材として使用しても内容物の品質を悪化させることなく、食品、特に液体の包装に適した積層体、その製造方法およびこの積層体を用いた容器を提供することにある。
また、本発明の目的は、さらに引裂強度、耐衝撃性、成形加工性、ヒートシール強度、耐熱性等にも優れ、ガスバリヤー性を付与することも可能な積層体、その製造方法およびこの積層体を用いた容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層体の製造方法は、熱可塑性樹脂、紙、不織布および織布からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなる基材層(I)の少なくとも片面に、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒によって製造された下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレンの単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であるエチレン(共)重合体(A)を含み、かつ添加剤が配合されていない、または配合された添加剤が外部に溶出しないもしくは内容物に影響を与えない添加剤である樹脂材料を、アンカーコート剤を使用せずに直接押出ラミネートして、樹脂層(II)を形成することを特徴とする。
(a)密度が0.86〜0.97g/cm3
(b)メルトフローレートが0.01〜50g/10分
(c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5
(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足すること
(式1) T75−T25≦−670×d+644
【0009】
また、前記エチレン(共)重合体(A)は、さらに下記(e)の要件を満足することが望ましい。
(e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を満足すること
(式2) d<0.950g/cm3 のとき
75−T25≧−300×d+285
d≧0.950g/cm3のとき
75−T25≧0
また、本発明の積層体の製造方法においては、基材層(I)と接していない側の樹脂層(II)の表面に接する第2の基材層(III)を積層することが望ましい。
また、本発明の積層体の製造方法においては、樹脂層(II)と接していない側の第2の基材層(III)および/または基材層(I)の表面に、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる第2の樹脂層(IV)および/または第3の樹脂層(V)を積層ることが望ましい。
【0010】
また、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料は、エチレン(共)重合体(A)100〜10重量%と、密度0.88〜0.97g/cm3 の他のエチレン系重合体(B)90重量%未満とを含有していることが望ましい。
また、前記他のエチレン系重合体(B)は、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレンであることが望ましい。
また、前記エチレン(共)重合体(A)は、さらに下記(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体であることが望ましい。
(f)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフローレート(MFR)が次の関係を満足すること
(式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
(式4)d−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
(g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在すること
【0011】
また、前記エチレン(共)重合体(A)は、さらに下記(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体であることが望ましい。
(h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであること
(i)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最も高い融点Tm1と密度dが、下記(式5)の関係を満足すること
(式5)Tm1≧150×d−17
また、前記(A2)エチレン(共)重合体は、さらに下記(j)の要件を満足することが望ましい。
(j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること
(式6)logMT≦−0.572×logMFR+0.3
また、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料中のハロゲン濃度は、10ppm以下であることが望ましい。
【0013】
また、本発明の積層体の製造方法においては、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を基材層(I)上にアンカーコート剤を使用せずに直接押出ラミネートする際、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料の溶融樹脂にオゾン処理を施しながら、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料の融点以上330℃以下の成形温度で押出ラミネートすることが望ましい
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)とは、エチレンの単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。ここで、α−オレフィンとは、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的には、プロピレン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは3〜20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0015】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)の(a)密度は、0.86〜0.97g/cm3 、好ましくは、0.89〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.90〜0.93g/cm3 の範囲である。密度が0.86g/cm3 未満のものは、剛性(腰の強さ)、耐熱性が劣るものとなる。また、0.97g/cm3 を超えるものは工業的に生産することは難しい。
【0016】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)の(b)メルトフローレート(以下、MFRと記す)は、0.01〜50g/10分、好ましくは0.03〜30g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では成形加工性が劣り、50g/10分を超えると引裂強度、耐衝撃性等が劣る。
【0017】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)の(c)分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.5の範囲、好ましくは2.0〜4.0、さらに好ましくは2.5〜3.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、4.5を超えるものは引裂強度、耐衝撃性等が劣る。
ここで、エチレン(共)重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができる。
【0018】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)は、例えば図1に示すように、(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足するものである。
(式1) T75−T25≦−670×d+644
75−T25と密度dが上記(式1)の関係を満足しない場合には、ヒートシール強度と耐熱性が劣ることになる。
【0019】
また、本発明におけるエチレン(共)重合体(A)は、さらに下記(e)の要件を満足することが好ましい。
(e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を満足すること
(式2) d<0.950g/cm3のとき
75−T25≧−300×d+285
d≧0.950g/cm3のとき
75−T25≧0
上記(式2)の関係を満足しない場合には、低温ヒートシール性が劣るものとなる。
【0020】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)は、図3に示される一般のメタロセン触媒によって得られる従来のエチレン(共)重合体とは、(式1)もしくは(式2)の関係式によって明確に区別される。
【0021】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)は、さらに後述の(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体、または、さらに後述の(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体のいずれかであることが好ましい。
【0022】
本発明における(A1)エチレン(共)重合体の(f)25℃におけるODCB可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRは、下記(式3)および(式4)の関係を満足しており、
(式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<2.0
(式4)d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
好ましくは、d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<1.0
d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0
の関係を満足しており、さらに好ましくは、d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<0.5
d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5
の関係を満足している。
【0023】
ここで、上記25℃におけるODCB可溶分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるこのろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0024】
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン(共)重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、耐熱性の低下や成形体表面のべたつきの原因となり、衛生性の問題や成形体内面のブロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。また、低分子量成分は成形時の発煙の原因ともなる。ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの含有量および分子量、即ち、密度とMFRに影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
【0025】
また、本発明における(A1)エチレン(共)重合体は、図2に示すように、(g)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在するものである。この複数のピーク温度は85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、融点が高くなり、また結晶化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性が向上する。
【0026】
このTREFの測定方法は下記の通りである。まず、酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料を試料濃度が0.05重量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着させる。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン(共)重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。
TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0027】
本発明における(A2)エチレン(共)重合体は、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンは、炭素数が好ましくは5〜10のものであり、具体的には1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは3〜20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0028】
本発明における(A2)エチレン(共)重合体は、図1に示すように、(h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであり、かつ(i)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最も高い融点Tm1と密度dが、下記(式5)の関係を満足するものである。
(式5) Tm1≧150×d−17
融点Tm1と密度dが上記(式5)の関係を満足しないと、耐熱性が劣るものとなる。
【0029】
また、(A2)エチレン(共)重合体の中でも、さらに下記(j)の要件を満足するエチレン(共)重合体が好適である。
(j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること
(式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
MTとMFRが上記(式6)の関係を満足することにより、フィルム成形等の成形加工性が良好なものとなる。
【0030】
ここで、エチレン(共)重合体(A1)は、図2に示されるように、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊なエチレン・α−オレフィン共重合体である。一方、図3は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、実質的にピークを1個有するエチレン・α−オレフィン共重合体を示したものであり、従来の典型的なメタロセン系触媒による共重合体がこれに該当する。また、本発明のエチレン(共)重合体(A2)はTREFピークが1つであるものの、従来の典型的なメタロセン系触媒による共重合体は上述のように(式2)を満足していないことから明確に区別されるものである。
【0031】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)は、前記のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法等に特に限定されるものではないが、好ましくは少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレンを単独重合、またはエチレンとα−オレフィンを共重合させて得られる直鎖状のエチレン(共)重合体であることが望ましい。このような直鎖状のエチレン(共)重合体は、分子量分布および組成分布が狭いため、機械的特性に優れ、ヒートシール性、耐熱ブロッキング性等に優れ、しかも耐熱性の良い重合体である。
【0032】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)の製造は、特に以下のa1〜a4の化合物を混合して得られる触媒で重合することが望ましい。
a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表される化合物(式中Me1 ジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1 はハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である)
a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物
a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物および/またはホウ素化合物
【0033】
以下、さらに詳説する。
上記触媒成分a1の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表される化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示す。これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできる。中でも、耐候性に優れる共重合体が得られるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞれ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たすを整数である。
【0034】
上記触媒成分a1の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジオナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等が挙げられる。
【0035】
上記触媒成分a2の一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される化合物の式中、Me2 は周期律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0036】
上記触媒成分a2の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0037】
上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上持ち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0038】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0039】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
LSiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0040】
上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、ブチルシクロヘプタジエン、1−メチル−3−プロピルシクロペンタジエンとインデン、1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエンとインデン、プロピルシクロペンタジエン、1−メチル−3−エチルシクロペンタジエン、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエンシクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン、メチルシクロペンタジエントリメチルシランなどが挙げられる。
【0041】
本発明においては、a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物および/またはホウ素化合物が使用される。
Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物の具体例としては、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより得られる、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。この変性有機アルミニウムオキシ化合物としては、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有するものが挙げられる。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0042】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0043】
ホウ素化合物としては、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(3,5ージフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0044】
上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが望ましい。
該無機物担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2 −MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl23からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0045】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いることもできる。
【0046】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0047】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)は、上述の触媒成分の中に塩素等のハロゲンを含まない触媒を使用して製造することにより、ハロゲン濃度としては多くとも10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは実質的に含まない(ND:2ppm以下)ものとすることが可能である。
このような塩素等のハロゲンフリーのエチレン(共)重合体を用いることにより、従来のような酸中和剤(酸吸収剤)を使用する必要がなくなり、化学的安定性、衛生性が優れ、特に食品用包装材料等の分野において好適に活用される積層体および容器を提供することができる。また、ハロゲンフリーのエチレン(共)重合体を用いることにより、ステアリン酸カルシウムを添加する必要もなくなる。そのため、ステアリン酸カルシウムによる接着阻害がなく、層間の接着強度の良好な積層体を提供することができる。
【0048】
本発明における他のエチレン系重合体(B)としては、チーグラー型触媒等を用いる高・中・低圧法およびその他の公知の方法によるエチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体、および高圧ラジカル重合法によるエチレン系(共)重合体などが挙げられる。
【0049】
上記チーグラー型触媒等を用いる高・中・低圧法およびその他の公知の方法によるエチレン単独重合体もしくはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体とは、密度0.94〜0.97g/cm3 の高ポリエチレン、密度が0.91〜0.94g/cm3 の線状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cm3 の超低密度ポリエチレン(以下VLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cm3 のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを包含する。
【0050】
上記チーグラー型触媒によるLLDPEとは、密度が0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、α−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
【0051】
また、上記チーグラー型触媒による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.91g/cm3 、好ましくは0.88〜0.905g/cm3 の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンである。
【0052】
また、上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3 未満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0053】
また、前記高圧ラジカル重合法によるエチレン系(共)重合体とは、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられる。
【0054】
上記低密度ポリエチレンは公知の高圧ラジカル重合法により製造される。高圧ラジカル重合法は、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
高圧ラジカル重合法によって得られた低密度ポリエチレン(LDPE)は、MFRが0.05〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲である。また、密度は0.91〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.91〜0.935g/cm3 の範囲である。メルトテンションは、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。また、分子量分布(Mw/Mn)は、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。
【0055】
また、上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるものであり、エチレンと、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
【0056】
さらに、上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられる。これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら他のエチレン系重合体(B)の中でも高圧ラジカル法低密度ポリエチレンが、成形加工性に優れることから最も好適に用いられる。
【0057】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料が前記他のエチレン系重合体(B)を含む組成物である場合、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料は、エチレン(共)重合体(A)100〜10重量%および他のエチレン系重合体(B)90重量%未満を含有する樹脂組成物であり、好ましくは、エチレン(共)重合体(A)95〜50重量%および高圧ラジカル重合法によって得られた低密度ポリエチレン(以下LDPEと称す)5〜50重量%、より好ましくはエチレン(共)重合体(A)90〜60重量%、他のエチレン系重合体(B)10〜40重量%を含有する樹脂組成物である。エチレン(共)重合体(A)が10重量%以下では、積層体の低温ヒートシール性が劣るものとなり、好ましくない。
【0058】
本発明におけるエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料は、理由は明確でないが、低温成形が可能であり、オゾン処理などの表面処理が効きやすい。上記低温成形を行えば、熱による樹脂の劣化が起きにくく、酸化防止剤を添加する必要がなくなる利点を有する。また、低温で成形されることにより、樹脂のブロッキングも少なくなるので、アンチブロッキング剤なども添加する必要がない。
また、ハロゲンを含まない触媒を用いてエチレン(共)重合体(A)を製造すれば、酸吸収剤を添加する必要がない。さらに、従来の成形温度もしくはそれより高温で成形した場合においても、本質的に低分子量が少ないことから、発煙や臭気の発生を抑えることができる。
【0059】
エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料には、用途によっては公知の添加剤、例えば酸吸収剤、酸化防止剤およびアンチブロッキング剤の他、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、有機系あるいは無機系顔料、造核剤、架橋剤などの公知の添加剤がなんら含まないことが望ましい。添加剤を使用する場合においても、その添加剤が実質的に外部に溶出しない添加剤もしくは内容物に影響を与えない添加剤であることが本発明における特徴の一つである。ここで、内容物に影響を与えない添加剤とは、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を含む積層体を容器とした際に、容器の内容物に、臭気、溶出成分(オフフレーバー)が移行することがない添加剤のことである。
本発明においては、外部に溶出してしまうような添加剤、例えば、内容物が液体の場合は、該液体に溶出されてしまうような添加剤、臭気が移行してしまう添加剤、あるいは時間とともにフイルム表面に偏在するような添加剤がエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料に含まれていないことにより、クリーンな積層体、容器を提供することが可能となる。
【0060】
外部に溶出しない添加剤とは、有機あるいは無機フィラーのような充填剤であって、容器の内容物を変質させず、かつ本発明の積層体や容器の特性を本質的に阻害しない範囲で添加が可能な添加剤である。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、カリオン、アルミナ、水酸化アルミニウム、マグネシア、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、マイカ、ガラスフレーク、ゼオライト、珪藻土、パーライト、パーミキュライト、シラスバルーン、ガラスマイクロフェアー、フライアッシュ、ガラスビーズなどが挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート架橋物、ポリエチレンテレフタレート架橋物、フェノール樹脂その他の合成樹脂の粉末および微小ビーズ、木粉、パルプ粉等が挙げられる。
なお、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料には、基材層(I)や熱可塑性樹脂フィルム層(III)との接着性を低下させてしまうおそれがある添加剤、例えばステアリン酸カルシウムなどの滑剤が配合されていないことが望ましい。
【0061】
本発明における基材層(I)に使用される材料は、熱可塑性樹脂、紙、不織布、織布である。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリプロピレン、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のフィルムが挙げられ、これらの延伸物、印刷物を包含する。
本発明における第2の基材層(III)としては、上記基材層(I)と同種または異種の熱可塑性樹脂フィルム、金属箔、金属蒸着フィルム、紙、不織布、織布、セロファンなどが挙げられる。該金属箔または金属蒸着フィルムとしては、アルミニウム、金、銀、鉄、鋼、銅、ニッケル、これらを主成分とする合金等の金属箔;ポリエステル、ポリアミド等のフィルムの表面に、アルミニウム、ケイ素等の金属又はそれらの金属酸化物等を蒸着した蒸着フィルム等が挙げられる。
【0062】
本発明の積層体は、基材層(I)の少なくとも片面に、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる樹脂層(II)が、アンカーコート剤を介さずに直接接着したものである。
本発明の積層体の第1は、基材層(I)とエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる樹脂層(II)とが直接接合した、(I/II)構造を含む積層体である。
具体的な例としては、PAフィルム/SLL、紙/SLL、不織布/SLL、織布/SLL、PAフィルム/(SLL+LD)、PETフィルム/SLL、(SLL+LD)/PETフィルム、SLL/PAフィルム/SLL、(SLL+LD)/PETフィルム/(SLL+LD)、(SLL+LL+LD)/PETフィルム/(SLL+LL+LD)、(SLL+HD+LD)/PETフィルム/(SLL+HD+LD)、SLL/PETフィルム/LD、SLL/PETフィルム/LD等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(ここで、SLL:エチレン(共)重合体(A)、LD:高圧ラジカル低密度ポリエチレン、LL:線状低密度ポリエチレン、HD:高密度ポリエチレン、PA:ポリアミド樹脂、PET:ポリエステル樹脂を表す。)
【0063】
本発明の第2の積層体は、基材層(I)とエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる樹脂層(II)とが直接接合し、かつ前記樹脂層(II)に接して第2の基材層(III)が積層された(I/II/III)構造を含む積層体である。
具体的な例としては、セロファン/SLL/PETフィルム/SLL、PP/SLL/紙/SLL、LD/紙/(SLL+LD)/PETフィルム、LD/(SLL+LD)/PAフィルム、LD/PETフィルム/SLL/紙、HDフィルム/(SLL+LD)/紙/LD等が挙げられる。
【0064】
また、本発明の積層体は、樹脂層(II)と接していない側の第2の基材層(III)および/または基材層(I)の表面に、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる第2の樹脂層(IV)および/または第3の樹脂層(V)が積層された(I/II/III/IV)または(V/I/II/III)または(V/I/II/III/IV)構造を含む積層体であってもよい。
【0065】
本発明の積層体は、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料が基材との接着性に優れているので、アンカーコート剤を使用しなくても、基材と樹脂層との間の接着強度に優れる。しかも、シーラント層であるエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を直接基材に積層してしまうので、従来のにおけるLDPE層を不要とすることもできるし、従来のLDPE層に代わるものとしてエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を設ければ、より強固な積層体となり、包材としての安定性を高めることができる。
また、樹脂材料に配合された添加剤が外部に溶出しないもしくは内容物に影響を与えない添加剤であるので、臭気が少なく、容器、包材として使用しても内容物の品質を悪化させることがない。
【0066】
本発明の積層体の製造方法としては、基材上に、(A)エチレン(共)重合体を主成分とする樹脂材料を押出ラミネート法、ドライラミネート法、タンデムラミネート法などによってアンカーコート剤を使用せずにラミネートする方法が挙げられる。中でも、特に押出ラミネート法が好ましい。
【0067】
本発明の積層体の製造方法においては、添加剤が配合されていないエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料、または、添加剤として実質的に外部に溶出しない添加剤、内容物に影響を与えない添加剤のみが配合されたエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料が用いられる。このようなエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を用いることによって、添加剤による臭気の移行、溶出がなく、味覚や変質が生じにくいクリーンな積層体、容器を製造することが可能となる。
また、基材との接着性に優れたエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を用いているので、アンカーコート剤を使用する必要がない。しかも、従来の積層体の基材層とヒートシール層との間に設けられていたLDPE層が不要となるので、少ない工程で積層体を製造することができる。
【0068】
また、エチレン(共)重合体(A)を樹脂材料を押出ラミネートする際には、溶融樹脂にオゾン処理を施しながら、融点以上〜330℃、好ましくは200〜300℃の成形温度で押出ラミネートすることが望ましい。オゾン処理を施すことによって、低温による押出ラミネートであっても、基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を維持することができる。
また、ラミネート時においては、基材にコロナ放電処理等の表面処理を行うことが好ましい。また、溶融膜と基材の両者に表面処理を行うことにより、基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度をさらに良好にすることができる。
【0069】
本発明の容器は、上記のガスバリア性に優れた積層体を容器の形状に成形したものである。本発明の容器の用途としては、牛乳、酒、ジュース、コーヒー、飲料水、油等の液体用容器;羊羹、ゼリー等の冷菓、乾燥品食品、油脂、菓子類等の包装用容器などが挙げられる。
【0070】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
本実施例における試験方法は以下の通りである。
[密度]
JIS K6760に準拠した。
[MFR]
JIS K6760に準拠した。
[Mw/Mn]
GPC(ウォータース社製150C型)を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カラムはショウデックス HT806Mを使用した。
[DSCによるTmlの測定]
厚さ0.2mmのシートを熱プレスで成形し、シートから約5mgの試料を打ち抜いた。この試料を230℃で10分保持後、2℃/分にて0℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で170℃迄昇温し、現れた最高温ピークの頂点の温度を最高ピーク温度Tmlとした。
[TREF]
カラムを140℃に保った状態で、カラムに試料を注入して4℃/hrで25℃まで降温し、ポリマーをガラスビーズ上に沈着させた後、カラムを下記条件にて昇温して各温度で溶出したポリマー濃度を赤外検出器で検出した。(溶媒:ODCB、流速:1ml/分、昇温速度:50℃/hr、検出器:赤外分光器(波長2925cm-1)、カラム:0.8cmφ×12cmL(ガラスビーズを充填)、試料濃度:0.05重量%)
【0071】
[メルトテンション(MT)]
溶融させたポリマーを一定速度で延伸したときの応力をストレインゲージにて測定することにより決定した。測定試料は造粒してペレットにしたものを用い、東洋精機製作所製MT測定装置を使用して測定した。使用するオリフィスは穴径2.09mmφ、長さ8mmであり、測定条件は樹脂温度190℃、シリンダー下降速度20mm/分、巻取り速度15m/分である。
[塩素濃度]
蛍光X線法により測定し、10ppm以上の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とした。10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメンツ(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて測定し、2ppm以下についてはNDとし、実質的には含まれないものとした。
[接着強度]
引張試験機を用いて、引張速度300mm/分の条件で積層体の試験片(15mm幅)の各層間の剥離を行い、そのときの180度剥離強度を求めた。
[ラミ時発煙]
押出ラミネート時における樹脂材料からの発煙の量を目視にて観察し、以下の基準にて評価した。
○:発煙が極めて少ない。
△:発煙があるものの運転が可能である。
×:発煙が多く運転に支障がある(長時間の運転においてはロール等に劣化物の付着する虞がある)。
【0072】
実施例および比較例に用いた各種成分は以下の通りである。
1)エチレン(共)重合体(A)(A11およびA12)は、次の方法で重合した。
(A11)エチレン共重合体は次の方法で重合した。
[固体触媒の調製]
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよびインデン75gおよびメチルブチルシクロペンタジエン88gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(イ)を得た。
【0073】
[気相重合]
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度65℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒(イ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、エチレン共重合体(A11)を得た。
【0074】
(A12)エチレン共重合体は次の方法で重合した。
[固体触媒の調製]
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよびインデン74gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(ロ)を得た。
【0075】
[気相重合]
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒(ロ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、エチレン共重合体(A12)を得た。
【0076】
(A2)エチレン共重合体は次の方法で重合した。
[固体触媒の調製]
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラブトキシジルコニウム(Zr(OBu)4 )22gおよびインデン40gおよびメチルプロピルシクロペンタジエン21gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を2000ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(ハ)を得た。
【0077】
[気相重合]
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒(ハ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、エチレン共重合体(A2)を得た。
【0078】
(mLL)一般メタロセン触媒によるエチレン・ヘキセン−1共重合体
窒素で置換した撹拌機付き加圧反応器に精製トルエンを入れ、次いで、1−ヘキセンを添加し、更にビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチルアルモキサン(MAO)の混合液を(Al/Zrモル比=500)を加えた後、80℃に昇温し、メタロセン触媒を調整した。ついでエチレンを張り込み、エチレンを連続的に重合しつつ全圧を6kg/cm3 に維持して重合を行い、エチレン・ヘキセン−1共重合体(A3)を製造した。その物性を表1に示した。
【0079】
【表1】
Figure 0004902042
【0080】
市販のチグラー触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:B1)の物性を表1に示した。
市販の高圧法低密度ポリエチレン(LDPE:C1)
密度:0.918g/cm3 、MFR:7g/10分
市販の高圧法低密度ポリエチレン(LDPE:C2)
密度:0.919g/cm3 、MFR:7g/10分
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA:D1)
MAA濃度11重量%、 MFR:8g/10分
【0081】
[実施例1]
12μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)基材の表面に、エチレン(共)重合体(A11)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を、コロナ処理(6kW)およびオゾン処理(50g/m3 )を溶融樹脂膜の基材に接する側の面に施しながら、290℃で30μm厚で押出ラミネートした。ライン速度は150m/minであった。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0082】
[実施例2]
12μm厚のPET基材の表面に、エチレン(共)重合体(A11)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を、コロナ処理(6kW)をPET基材の樹脂をラミネートする面に施しながら、316℃で30μm厚で押出ラミネートした。ライン速度は150m/minであった。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
[実施例3]
15μm厚の延伸ナイロン(ONy)基材の表面に、エチレン(共)重合体(A12)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を、コロナ処理(6kW)およびオゾン処理(50g/m3 )を溶融樹脂膜の基材に接する側の面に施しながら、290℃で30μm厚で押出ラミネートした。ライン速度は150m/minであった。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例4]
基材として12μm厚のPETフィルム、サンド側基材として7μm厚のアルミニウム箔(AL#7)を用い、これらの間にエチレン(共)重合体(A12)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を、オゾン処理(50g/m3 )をPET面およびAL面に施しながら、かつコロナ処理(6kW)をPET面に施しながら、310℃で30μm厚で押出サンドラミネートした。さらに、アルミニウム箔(第2の基材層(III))上にエチレン(共)重合体(A12)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を、オゾン処理(50g/m3 )をAL面に施しながら、290℃で30μm厚で押出ラミネートした。ライン速度はいずれも150m/minであった。各層間の接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0085】
[実施例5]
基材として52.5g/m3 の上質紙、サンド側基材として12μm厚のPETフィルムを用い、これらの間にエチレン(共)重合体(A2)70重量%とLDPE(C2)30重量%とからなる樹脂材料を、オゾン処理(50g/m3 )を紙面およびPET面に施しながら、かつコロナ処理(6kW)を紙面に施しながら、310℃で30μm厚で押出サンドラミネートした。さらに、PETフィルム(第2の基材層(III))上にエチレン(共)重合体(A12)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を、オゾン処理(50g/m3 )をPET面に施しながら、290℃で30μm厚で押出ラミネートした。ライン速度はいずれも150m/minであった。各層間の接着強度を測定した。
結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
Figure 0004902042
【0087】
[比較例1]
樹脂層(II)にLDPE(C1)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表3に示す。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度が劣っていた。また、後述の相対臭気試験の結果も、実施例1に比べ劣っていた。
【0088】
[比較例2]
樹脂層(II)にLDPE(C1)のみを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を作製した。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表3に示す。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度が劣っていた。また、後述の相対臭気試験の結果も、実施例2に比べ劣っていた。
【0089】
[比較例3]
樹脂層(II)にEMAA(D1)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表3に示す。樹脂層(II)が切れてしまったものの(ポリ切れ)、基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度は、比較例1,2に比べ、よかった。しかしながら、後述の相対臭気試験の結果は、実施例1に比べ劣っていた。
【0090】
[比較例4]
樹脂層(II)にLDPE(C2)のみを用いた以外は、実施例3と同様にして積層体を作製した。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表3に示す。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度が劣っていた。また、後述の相対臭気試験の結果も、実施例3に比べ劣っていた。
【0091】
[比較例5]
樹脂層(II)にLLDPE(B1)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表3に示す。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度が劣っていた。また、後述の相対臭気試験の結果も、実施例1に比べ劣っていた。
【0092】
【表3】
Figure 0004902042
【0093】
[比較例6]
樹脂層(II)にLLDPE(B1)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を用いた以外は、実施例3と同様にして積層体を作製した。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度を測定した。結果を表4に示す。基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度が劣っていた。また、後述の相対臭気試験の結果も、実施例3に比べ劣っていた。
【0094】
[比較例7]
樹脂層(II)にEMAA(D1)のみを用い、成形温度を290℃とし、第2の樹脂層(IV)にLDPE(C2)のみを用いた以外は、実施例4と同様にして積層体を作製した。各層間の接着強度を測定した。結果を表4に示す。後述の相対臭気試験の結果が、実施例4に比べ劣っていた。
【0095】
[比較例8]
樹脂層(II)および第2の樹脂層(IV)にEMAA(D1)のみを用い、成形温度を290℃とした以外は、実施例5と同様にして積層体を作製した。各層間の接着強度を測定した。結果を表4に示す。後述の相対臭気試験の結果が、実施例5に比べ劣っていた。
【0096】
[比較例9]
樹脂層(II)にLLDPE(B1)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を用い、第2の樹脂層(IV)にエチレン共重合体(A3)70重量%とLDPE(C1)30重量%とからなる樹脂材料を用いた以外は、実施例5と同様にして積層体を作製した。各層間の接着強度を測定した。結果を表4に示す。第2の基材層(III)に対する樹脂層(II)および第2の樹脂層(IV)の接着強度が劣っていた。
【0097】
【表4】
Figure 0004902042
【0098】
[相対臭気]
実施例および比較例の積層体を用いて、ヒートシールにて一辺約20cmの正四面体状の容器を作製した。
相対臭気試験は、テスト#1〜#5に示す組合せで、2種類の容器ごとに臭いを相対比較することによって行った。具体的には、2種類の容器を70℃の空気中で3時間保管した後、室温にて24時間状態調節し、鋏にて開口して複数の被験者にそれらの臭いを比較してもらった。相対臭気試験の評価は、臭気の強い方に1点、弱い方に0点、区別が付かない場合には両方に0.5点の点数を付け、すべての被験者の点数を合計することによって行った。また、特記すべき種類の臭いがある場合には別途記録した。結果を表5〜表14に示す。表中、ポリ臭とは、パラフィン臭であり、酸味臭とは、鼻をつく刺激臭で酸のような臭いである。また、焦げ臭とは、ものが燃えたり、焦げたりしたときにでる臭いである。
【0099】
【表5】
Figure 0004902042
【0100】
【表6】
Figure 0004902042
【0101】
【表7】
Figure 0004902042
【0102】
【表8】
Figure 0004902042
【0103】
【表9】
Figure 0004902042
【0104】
【表10】
Figure 0004902042
【0105】
【表11】
Figure 0004902042
【0106】
【表12】
Figure 0004902042
【0107】
【表13】
Figure 0004902042
【0108】
【表14】
Figure 0004902042
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の積層体は、熱可塑性樹脂、紙、不織布および織布からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなる基材層(I)の少なくとも片面に、上述の(a)〜(d)の要件を満足するエチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる樹脂層(II)が直接接着され、かつ樹脂材料に添加剤が配合されていない、または樹脂材料に配合された添加剤が外部に溶出しないもしくは外部に影響を与えない添加剤であるので、アンカーコート剤を使用しなくても、基材と樹脂層との間の接着強度に優れ、臭気が少なく、容器、包材として使用しても内容物の品質を悪化させることがない。また、このような積層体は、さらに引裂強度、耐衝撃性、成形加工性、ヒートシール強度、耐熱性等にも優れ、ガスバリヤー性も付与することもできる。また、従来必要とされていたLDPE層が不要となり、1層少なくすることができる。
また、前記エチレン(共)重合体(A)が、さらに上述の(e)の要件を満足すれば、低温ヒートシール性にも優れた積層体となる。
【0110】
また、基材層(I)と接していない側の樹脂層(II)の表面に接する第2の基材層(III)を有していれば、水蒸気に対するバリヤー性を付与することが可能である。
また、樹脂層(II)と接していない側の第2の基材層(III)および/または基材層(I)の表面に、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる第2の樹脂層(IV)および/または第3の樹脂層(V)を積層してなるものであれば、耐水性が付与され、かつ基材の表と裏とで丈夫にシールすることができるようになる(いわゆる“背胴張り”という)。
【0111】
また、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料が、エチレン(共)重合体(A)50〜98重量%と、密度0.88〜0.97g/cm3 の他のエチレン系重合体(B)2〜50重量%とを含有していれば、押出コーティング時の成形安定性をさらに向上できる。
また、前記他のエチレン系重合体(B)が、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレンであれば、成形加工性をさらに向上できる。
【0112】
また、前記エチレン(共)重合体(A)が、さらに上述の(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体であれば、衛生性、耐熱性および剛性をさらに向上でき、ダウンゲージも可能である。
また、前記エチレン(共)重合体(A)が、さらに上述の(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体であれば、耐熱性、ヒートシール強度および低温ヒートシール性をさらに向上できる。
また、前記(A2)エチレン(共)重合体が、さらに上述の(j)の要件を満足すれば、成形加工性をさらに向上できる。
【0113】
また、前記エチレン(共)重合体(A)が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒によって製造されたものであれば、機械的特性、ヒートシール性、耐熱ブロッキング性、耐熱性等をさらに向上できる。
また、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料中のハロゲン濃度が、10ppm以下であれば、酸吸収剤を添加する必要が無くなり、積層体の衛生性をさらに向上できる。
【0114】
また、本発明の積層体の製造方法が、熱可塑性樹脂、紙、不織布および織布からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなる基材層(I)の少なくとも片面に、前記エチレン(共)重合体(A)を主成分とし、添加剤が配合されていない、または配合された添加剤が外部に溶出しないもしくは外部に影響を与えない添加剤である樹脂材料を直接押出ラミネートして、樹脂層(II)を形成する方法であれば、アンカーコート剤を使用しなくても、基材と樹脂層との間の接着強度に優れ、臭気が少なく、容器、包材として使用しても内容物の品質を悪化させることがなく、さらに引裂強度、耐衝撃性、成形加工性、ヒートシール強度、耐熱性等にも優れ、ガスバリヤー性も付与された積層体を得ることができる。また、従来の積層体の基材層とヒートシール層との間に設けられていたLDPE層が不要となるので、少ない工程で積層体を製造することもできる。
【0115】
また、本発明の積層体の製造方法においては、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を基材層(I)上に直接押出ラミネートする際、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料の溶融樹脂にオゾン処理を施しながら、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料の融点以上300℃以下の成形温度で押出ラミネートすれば、基材層(I)と樹脂層(II)との間の接着強度がさらに優れた積層体を製造できる。
【0116】
本発明の容器は、本発明の積層体からなるので、臭気が少ない容器となる。また、基材層(I)と樹脂層(II)との接着強度が高い積層体からなるので、破袋したり、ピンホールが発生したりしない。さらに、引裂強度、耐衝撃性、成形加工性、ヒートシール強度、耐熱性等にも優れる。そして、添加剤が含まれていない積層体からなる容器は、内容物への臭気の移行や内容物の味覚の変質を与えない。このような容器は、乳等省令に適合する牛乳等の食品容器、包装材に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における(A)または(A2)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図2】 本発明における(A1)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図3】 一般のメタロセン系触媒によるエチレン共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂、紙、不織布および織布からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなる基材層(I)の少なくとも片面に、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒によって製造された下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレンの単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であるエチレン(共)重合体(A)を含み、かつ添加剤が配合されていない、または配合された添加剤が外部に溶出しないもしくは内容物に影響を与えない添加剤である樹脂材料を、アンカーコート剤を使用せずに直接押出ラミネートして、樹脂層(II)を形成することを特徴とする積層体の製造方法
    (a)密度が0.86〜0.97g/cm3
    (b)メルトフローレートが0.01〜50g/10分、
    (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、
    (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足すること
    (式1) T75−T25≦−670×d+644
  2. 前記エチレン(共)重合体(A)が、さらに下記(e)の要件を満足することを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法
    (e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を満足すること
    (式2) d<0.950g/cm3 のとき
    75−T25≧−300×d+285
    d≧0.950g/cm3のとき
    75−T25≧0
  3. 基材層(I)と接していない側の樹脂層(II)の表面に接する第2の基材層(III)を積層することを特徴とする請求項1または2記載の積層体の製造方法
  4. 樹脂層(II)と接していない側の第2の基材層(III)および/または基材層(I)の表面に、前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料からなる第2の樹脂層(IV)および/または第3の樹脂層(V)を積層ることを特徴とする請求項3記載の積層体の製造方法
  5. 前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料が、エチレン(共)重合体(A)100〜10重量%と、密度0.88〜0.97g/cm3 の他のエチレン系重合体(B)90重量%未満とを含有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法
  6. 前記他のエチレン系重合体(B)が、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項5記載の積層体の製造方法
  7. 前記エチレン(共)重合体(A)が、さらに下記(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項に記載の積層体の製造方法
    (f)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフローレート(MFR)が次の関係を満足すること
    (式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合
    X<2.0
    (式4)d−0.008logMFR<0.93の場合
    X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
    (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在すること
  8. 前記エチレン(共)重合体(A)が、さらに下記(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項に記載の積層体の製造方法
    (h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであること
    (i)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最も高い融点Tm1と密度dが、下記(式5)の関係を満足すること
    (式5)Tm1≧150×d−17
  9. 前記(A2)エチレン(共)重合体が、さらに下記(j)の要件を満足することを特徴とする請求項8記載の積層体の製造方法
    (j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること
    (式6)logMT≦−0.572×logMFR+0.3
  10. 前記エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料中のハロゲン濃度が、10ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか一項に記載の積層体の製造方法
  11. エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料を基材層(I)上にアンカーコート剤を使用せずに直接押出ラミネートする際、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料の溶融樹脂にオゾン処理を施しながら、エチレン(共)重合体(A)を含む樹脂材料の融点以上330℃以下の成形温度で押出ラミネートすることを特徴とする請求項記載の積層体の製造方法。
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