JP7255155B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
接着剤を使用した場合、積層体の層間の接着強度は保持されるものの、接着剤を多量に使用することによる製造コストの増大や、有機溶剤を使用することによる安全性の低下および環境面での問題、最終製品への匂いの残留などの問題がある。一方、接着剤を使用しない場合、積層体の層間の接着強度が弱くなるため、この積層体からなる包装体は破損しやすく、包材としての品質が安定しないという問題を有していた。
しかしながら、水溶性接着剤を用いた場合、一般的に接着剤自身が水溶性であるため耐水性に劣る。また、特許文献1、2、5に開示される方法では接着強度の向上が見られるが、接着剤を使用したときと比較すると不十分であった。さらに、特許文献3、4に開示される方法においても、ポリアミド樹脂層との接着性については検討されていない。
樹脂層(A)は、前記基材層(B)上に直接積層することにより形成され、樹脂層(A)および基材層(B)が、それぞれ下記の特性を満たすことを特徴とする、積層体が提供される。
樹脂層(A):下記(c-1)~(c-4)の特性を有するエチレン・プロピレン共重合体(C)を含有するポリエチレン樹脂組成物(E)を含む
(c-1)エチレンに由来する構成単位を主成分として80~98mol%、プロピレンに由来する構成単位を必須の副成分として2~20mol%含み、エチレン及びプロピレン以外の第3のα-オレフィンに由来する構成単位を副成分として5mol%以下含んでいてもよい
(ただし、前記第3のα-オレフィンに由来する構成単位を含む場合は、エチレンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位と第3のα-オレフィンに由来する構成単位の合計が100mol%を超えない)
(c-2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1~100g/10分
(c-3)密度が0.88~0.94g/cm3
(c-4)エチレン・プロピレン共重合体中のビニル、ビニリデンの合計量が0.35(個/total 1000C)以上
(ただし、ビニル、ビニリデンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
基材層(B):少なくとも樹脂層(A)と接する面がポリアミド樹脂を主成分として必須とするフィルム
(d-1)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1~20g/10分
(d-2)密度が0.915~0.930g/cm3
(c-5)エチレン・プロピレン共重合体中のコモノマーによる分岐数(Y)と密度(X)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):(Y)≧ -1157×(X)+1080
(ただし、Yは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(c-6)エチレン・プロピレン共重合体中のコモノマーによる分岐数(Y)と密度(X)が下記式(2)の関係を満たす。
式(2):(Y)≧ -1157×(X)+1084
(ただし、Yは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(e-1)MFRが1~100g/10分
(e-2)密度が0.88~0.94g/cm3
以下、本発明において用いられる各成分および、それらを用いた積層体等について詳細に説明する。
本発明のポリエチレン樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)は、エチレン・プロピレン共重合体(C)を含有することを特徴とし、更に高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)を含むことが好ましく、エチレン・プロピレン共重合体(C)95~10重量%および高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)5~90重量%を含有することが更に好ましい。
本発明において用いられるエチレン・プロピレン共重合体(C)は、下記(c-1)~(c-4)の特性を有する。
(c-1)エチレンに由来する構成単位を主成分として80~98mol%、プロピレンに由来する構成単位を必須の副成分として2~20mol%含み、エチレン及びプロピレン以外の第3のα-オレフィンに由来する構成単位を副成分として5mol%以下含んでいてもよい
(ただし、上記第3のα-オレフィンに由来する構成単位を含む場合は、エチレンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位と第3のα-オレフィンに由来する構成単位の合計が100mol%を超えない)
(c-2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1~100g/10分
(c-3)密度が0.88~0.94g/cm3
(c-4)エチレン・プロピレン共重合体中のビニル、ビニリデンの合計量が0.35(個/total 1000C)以上
(ただし、ビニル、ビニリデンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
また、プロピレン重合体において、製造過程でエチレン成分を若干量含むプロピレンエチレン共重合体も知られているが、これらもそのプロピレン含有量等の点で本発明のエチレン・プロピレン共重合体(C)と大きく異なり、物性等もまったく異なる重合体である。
また、いわゆる通常の直鎖状の分子構造を有するエチレン・α-オレフィン共重合体(例えばLLDPE)は主にフィルム用途として開発されているために、通常、高強度の共重合体を得るためのC4やC6といったC4以上のα-オレフィンを主のコモノマー成分とするのが常であり、低強度となるC3コモノマーを主の副成分として用いたエチレンとプロピレンからなる共重合体であって、密度が0.88g/cm3以上の共重合体は、今まで殆ど注目されず、少なくとも本出願人からは市販等されていなかった。
今般、新たに、かかる密度領域の、C3コモノマーを主の副成分として用いてエチレン・プロピレン共重合体を試作すると共に、種々検討したところ、特に(c-1)~(c-4)といった新たな領域の物性を有するエチレン・プロピレン共重合体を用いたポリエチレン樹脂組成物を含む積層体において、本発明の効果が得られることを見出した。
(c-1)モノマー構成
本発明に用いられるエチレン・プロピレン共重合体(C)は、エチレンに由来する構成単位を主成分として80~98mol%、プロピレンに由来する構成単位を副成分として2~20mol%含むことを特徴とする、エチレン・プロピレン共重合体であり、具体例としては触媒重合法により重合してなる共重合体であって、実質的に直鎖状にランダムに重合してなる共重合体である。具体例としては、エチレンとプロピレンのランダム共重合体である。好ましくは、エチレンに由来する構成単位が82~97mol%、プロピレンに由来する構成単位が3~18mol%、更に好ましくはエチレンに由来する構成単位が85~95mol%、プロピレンに由来する構成単位が5~15mol%である。ここで、エチレン含有量等のモノマー量は、13C-NMRにより、後述する実施例に記載の条件で測定し、算出した値である。
また、エチレン・プロピレン共重合体(C)は、(c-1)~(c-4)、更に好ましくは(c-5)、(c-6)を充足する範囲で、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
本発明に用いるエチレン・プロピレン共重合体(C)は、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1~100g/10分であり、好ましくは1~80g/10分であり、より好ましくは5~70g/10分である。MFRが0.1g/10分未満であると成形時の延展性が悪くなり、押出機内のモーター負荷が高くなるため好ましくない。一方、MFRが100g/10分を超えると成形時の溶融膜の状態が不安定になるので好ましくない。
ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、コモノマー量などを適宜調節する方法がとられる。エチレン・プロピレン共重合体のMFRは、JIS-K6922-2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
本発明に用いるエチレン・プロピレン共重合体(C)は、密度が0.88~0.94g/cm3であり、好ましくは0.885~0.94g/cm3であり、より好ましくは0.89~0.93g/cm3である。密度が0.88g/cm3未満であると、ブロッキングが不良になるので好ましくない。一方、密度が0.94g/cm3を超えると、接着性が不良となるので好ましくない。
ポリマーの密度を調節するには、例えばコモノマー含有量、重合温度、触媒量などを適宜調節する方法がとられる。なお、エチレン・プロピレン共重合体の密度は、JIS-K6922-2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(測定温度23℃)。
エチレンとα-オレフィンの1種以上を共重合してなる共重合体においては、積極的なジエンモノマーの添加を行わない場合でも、製造過程のメカニズムの違いに起因して、種々の二重結合(ビニル、ビニリデン、シス-ビニレン、トランス-ビニレン、三置換オレフィン)を生じる場合があり、その量や種類も様々である。
従来、太陽電池封止材として良好な架橋特性を得るためには、エチレン・α-オレフィン共重合体に含まれる二重結合数が多いと架橋特性が良好であることは知られていたが、積層用樹脂組成物分野においては、二重結合の量や種類による違いについては検討されていなかった。
本発明では、エチレン・プロピレン共重合体に含まれる種々の二重結合のうち、特にビニルとビニリデンが接着強度において重要であることを見出し、かつ、ビニルとビニリデンの合計数が、通常のエチレン・α-オレフィン共重合体よりも多いエチレン・プロピレン共重合体を製造し、積層用樹脂組成物用のエチレン・プロピレン共重合体として用いることによって、本発明の効果を達成することを見出し、完成したものである。
ビニル、ビニリデンの合計数が上記範囲であると、接着強度に優れた樹脂組成物となり、0.35個未満であると、接着強度が十分なものとならない。ビニル、ビニリデンの合計数は、適当なメタロセン触媒の選択、重合温度、コモノマー種、コモノマー量を適宜調節することにより、上記範囲に制御することができる。
なお、これら二重結合の数は、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数であり、1H-NMRスペクトルの特性ピークの積算強度を用いて算出した値であり、後述の実施例に記載の条件で測定し、算出した値である。
また、本発明においては、エチレン・プロピレン共重合体(C)中のビニリデンの個数は、0.12(個/total 1000C)以上の範囲を満たすことが好ましい。
本発明で用いるエチレン・プロピレン共重合体(C)は、コモノマーによる分岐数(Y)と密度(X)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):(Y)≧ -1157×(X)+1080
密度と分岐数が上記式(1)の関係を満たすと、コモノマーによる分岐数が十分に確保され、接着強度に優れた樹脂組成物となる。
ここで、コモノマーによる分岐数(Y)は、エチレン・プロピレン共重合体(C)をNMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数(個/total 1000C)である。
また、密度(X)は、エチレン・プロピレン共重合体(C)の密度であり、上記の通り測定される。
密度と分岐数の関係は、共重合するコモノマーの種類と比率、重合温度等の重合条件により調整することができる。
本発明で用いるエチレン・プロピレン共重合体(C)は、コモノマーによる分岐数(Y)と密度(X)が、下記式(2)を満たすことがより好ましい。
式(2):(Y)≧ -1157×(X)+1084
密度と分岐数が上記式(2)の関係を満たすと、モノマーによる分岐数が十分に確保され、接着強度に優れた樹脂組成物となる。
ここで、コモノマーによる分岐数(Y)は、エチレン・プロピレン共重合体(C)をNMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数(個/total 1000C)である。
また、密度(X)は、エチレン・プロピレン共重合体(C)の密度であり、上記の通り測定される。
本発明で使用されるエチレン・プロピレン共重合体(C)の製造に用いられる触媒としては、特に限定されないが、より好ましくはメタロセン触媒を用いる。
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。特に、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物を使用するのが好ましい。
製造法としては、特に限定されず、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等を用いることができるが、本発明に係る二重結合を調整したエチレン・プロピレン共重合体(C)を得るためには150~330℃の高温で重合を行うことが望ましいため、高圧イオン重合法を利用するのが好ましい(「ポリエチレン技術読本」第4章、松浦一雄・三上尚孝 編著、2001年)。
本発明において用いられる高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)(以下、単に低密度ポリエチレン(D)ともいう)は、下記(d-1)~(d-2)の特性を有する高圧ラジカル重合法により得られた低密度ポリエチレン(LDPE)であり、好ましくは長鎖分岐状低密度ポリエチレンである。
(d-1)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1~20g/10分
(d-2)密度が0.915~0.930g/cm3
(d-1)MFR
本発明に用いる低密度ポリエチレン(D)のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1~20g/10分であり、好ましくは0.5~15g/10分であり、より好ましくは1~15g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では延展性が不十分となり高速成形時に膜切れを生じる。一方、MFRが20g/10分を超えると溶融膜が不安定となる。
ここで、MFRは、JIS-K6922-2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
本発明に用いる低密度ポリエチレン(D)の密度は、0.915~0.930g/cm3であり、好ましくは0.916~0.926g/cm3であり、より好ましくは0.917~0.925g/cm3である。密度が0.915g/cm3未満ではベタツキが多くなる。一方、0.93g/cm3を超えると接着性が不良となる。
ここで、密度は、JIS-K6922-2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(測定温度23℃)。
本発明で使用する低密度ポリエチレン(D)の製造は、一般に槽型反応器または管型反応器を用いて、ラジカル発生剤の存在下、重合圧力1000~3000kg/cm2、重合温度150~300℃の条件下でエチレンを重合することによって行われる。分子量調節剤として水素やメタン、エタンなどの炭化水素を用いることによってMFRを調節することができる。
本発明で用いられるポリエチレン樹脂組成物(E)がエチレン・プロピレン共重合体(C)及び低密度ポリエチレン(D)を含有する場合において、エチレン・プロピレン共重合体(C)と高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)との比率は、(C):(D)が、10~95重量%:5~90重量%であり、好ましくは20~95重量%:5~80重量%であり、より好ましくは30~95重量%:5~70重量%である。更に好ましくは40~95重量%:5~60重量%である。エチレン・プロピレン共重合体(C)が多すぎると、溶融膜の安定性が低下するおそれがあり、また、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)が多いと接着強度が低下するおそれがある。
特に、エチレン・プロピレン共重合体(C)と高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)との比率(C:D)が、50~95重量%:5~50重量%であると、より接着強度が高くなるため、好ましい。
(e-1)MFR
本発明において用いられるポリエチレン樹脂組成物(E)のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、好ましくは1~100g/10分であり、より好ましくは1~80g/10分であり、更に好ましくは2~70g/10分である。MFRが1g/10分未満であると成形時の延展性が悪くなり、押出機内のモーター負荷が高くなるため好ましくない。一方、MFRが100g/10分を超えると成形時の溶融膜の状態が不安定になるので好ましくない。
ここで、MFRは、JIS-K6922-2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
本発明において用いるポリエチレン樹脂組成物(E)の密度は、好ましくは0.88~0.94g/cm3であり、より好ましくは0.885~0.94g/cm3であり、更に好ましくは0.89~0.935g/cm3である。密度が0.88g/cm3未満であると、ブロッキングが不良になるので好ましくない。一方、密度が0.94g/cm3を超えると、接着性が不良となるので好ましくない。
ここで、密度は、JIS-K6922-2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(測定温度23℃)。
本発明において用いられるポリエチレン樹脂組成物(E)またはそれを含有する樹脂層(A)には、必要に応じて、ポリエチレン系樹脂に通常使用されるフェノール系、リン系等の酸化防止剤、金属石鹸等の安定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、分散剤、有機系または無機系の着色剤等の顔料、不飽和脂肪酸エステル等の防曇剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤などの添加剤を配合しても良い。
また、ポリエチレン組成物層の特性を損ねない範囲で、LDPE、C4-LLDPE、HAO-LLDPE、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エステル共重合体(EEA、EMA、EMMA等)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン系樹脂、エチレン-無水マレイン酸共重合体などの接着性樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン樹脂等、他の熱可塑性樹脂を配合しても構わない。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物(E)は架橋剤を含有しないことが好ましい。
本発明において用いられる基材層(B)は、少なくとも樹脂層(A)と接する面がポリアミド樹脂を主成分として必須とするフィルムであり、ナイロンの単層フィルムまたは、ナイロンと同種もしくは異種材料からなる積層フィルムが例示される。上記フィルムは延伸フィルムであることが好ましい。基材層(B)中に含まれるポリアミド樹脂の量は、例えば50重量%~100重量%である。基材層(B)がポリアミド樹脂以外の樹脂を含む場合、後述の他基材層の例として挙げた樹脂を使用することができる。
基材層には、印刷、蒸着、各種コーティング等が施されていてもよい。
本発明の積層体は、上述したポリエチレン樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)及び基材層(B)の少なくとも2層を有し、樹脂層(A)は、基材層(B)上に直接接着することにより形成されている積層体である。基材層(B)の少なくとも一方の面には、ポリエチレン樹脂組成物(E)を含有する樹脂層(A)が直接接着することにより形成されている。
積層体の構成についての制約はないが、例えば下記のような構成を含む積層体が例示される。
基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)、樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)、基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/基材層(B)、樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/基材層(B)、基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/基材層(B)、基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/他基材層、他樹脂層/基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)、他基材層/基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)、基材層(B)/樹脂組成物(E)を含む樹脂層(A)/他樹脂層
ここで、他基材層としては、基材層(B)とは異なる基材層であり、例としてポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムまたはシート、上記フィルムまたはシートの延伸物、印刷物、金属等の蒸着物等の二次加工したフィルムまたはシート、アルミニウム、鉄、銅、これらを主成分とする合金等の金属箔または金属板、セロファン、紙、織布、不織布等が挙げられる。
また、他樹脂層としては、樹脂層(A)とは異なる樹脂層であり、例としてLDPE、C4-LLDPE、HAO-LLDPE、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エステル共重合体(EEA、EMA、EMMA等)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン系樹脂、エチレン-無水マレイン酸共重合体などの接着性樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン樹脂等、他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
(1)メルトフローレート(MFR)
前述の通り、エチレン・プロピレン共重合体、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンまたはポリエチレン樹脂組成物のMFRは、JIS-K6922-2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度
前述の通り、エチレン・プロピレン共重合体、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンまたはポリエチレン樹脂組成物の密度は、JIS-K6922-2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
コモノマー量およびコモノマーによる分岐数(Y)は、13C-NMRにより、二重結合数(ビニル、ビニリデン)は、1H-NMRにより、次の条件で測定し、主鎖および側鎖の合計1000個の炭素あたりの個数で求めた。
装置:ブルカー・バイオスピン(株)AVANCE III cryo-400MHz
溶媒:o-ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン=8/2混合溶液
<試料量>
試料460mg/溶媒2.3ml
<13C-NMR>
・1Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
<1H-NMR>
・積算回数:1400scan
・フリップ角:1.03°
・AQ(取り込み時間)=1.8s D1(待ち時間)=0.01s
得られた積層体を、流れ方向に15mm幅の短冊状に切出し、樹脂層(A)と基材層(B)との層間の界面で剥離し、被検体数5、剥離速度300mm/分、T剥離試験での剥離強度をもって接着強度とした。基材層(B)に対して樹脂層(A)を引っ張って剥離しながらこの層が切れた場合にはチャートの最高点の数値をもって接着強度とした。また、接着強度値のばらつきを評価するため、変動係数を求めた。
(1)基材層(B)
少なくとも樹脂層(A)と接する面がポリアミド樹脂を主成分として必須とするフィルムとして、東洋紡社製 ハーデンフィルムN2102(厚さ15μm)を用いた。
下記製造方法により得られたPE-1をエチレン・プロピレン共重合体(C)として用いた。その物性値を表1に示す。
(i)触媒の調製
特開平10-218921号公報に記載された方法で調製した錯体「rac-ジメチルシリレンビスインデニルハフニウムジメチル」0.05molに、等molの「N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート」を加え、トルエンで50Lに希釈して触媒溶液を調製した。
内容積5.0Lの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を80MPaに保ち、エチレン、プロピレン、1-ヘキセンを適宜調整しながら、55kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記「(i)触媒の調整」の項に記載の触媒溶液を連続的に供給し、重合温度は200~250℃の範囲内で適宜調整することでPE-1のエチレン・プロピレン共重合体を得た。
表1に示す物性値を有する高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(PE-2)~(PE-3)を用いた。
エチレン・プロピレン共重合体(PE-1)70重量%と、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(PE-2)30重量%を配合した。これを十分に混合し、40mmφ単軸押出機を用いてポリエチレン樹脂組成物(E)のペレットを得た。
上記で得られたペレットを、押出ラミネート成形機を使用し、引取速度100m/分、被覆厚み15μmとなるように調整し、幅500mm、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製 ハーデンフィルムN2102)を基材層(B)とし、厚み30μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(フタムラ化学社製 LL-XMTN)をサンド基材層として押出サンドラミネート加工を行い、積層体を製造した。押出ラミネート成形機は、口径90mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が320℃になるように設定し、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅560mm、ダイリップ開度0.7mmで引取加工速度が100m/分の場合に被覆厚みが15μmになるように押出量を調整した。次いで、得られた積層体を用いて、上述の接着強度の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、エチレン・プロピレン共重合体(C)を用いずに、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)であるPE-3のみからなるポリエチレン樹脂組成物(E)を使用した以外は、実施例1と同様に積層体を製造した。評価結果を表1に示す。
実施例1において、エチレン・プロピレン共重合体(C)を用いずに、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)であるPE-3のみからなるポリエチレン樹脂組成物(E)を使用し、かつ、押出ラミネート成形機を使用する際に、基材層(B)上に2液系アンカーコート剤(三井化学社製 タケラックA3210/タケネートA3075)と酢酸エチルを混合した溶液をボーズロールにて塗工した以外は、実施例1と同様に積層体を製造した。評価結果を表1に示す。
この表1の結果から明らかなように、本発明の実施例による積層体は、ナイロン基材との接着強度に優れた積層体である。
一方、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンのみを用いた場合(比較例1)では、接着強度が小さくなった。また、樹脂層と基材層の間にAC剤を塗工した場合、比較例3では、接着強度は良好なものの、変動係数が大きいことから接着強度のばらつきが大きくなった。
Claims (8)
- 樹脂層(A)および基材層(B)の少なくとも2層を有し、
樹脂層(A)は、前記基材層(B)上に直接接着することにより形成され、樹脂層(A)および基材層(B)が、それぞれ下記の特性を満たすことを特徴とする包装用積層体。
樹脂層(A):下記(c-1)~(c-4)の特性を有するエチレン・プロピレン共重合体(C)を含有するポリエチレン樹脂組成物(E)を含む
(c-1)実質的に直鎖状にランダムに重合してなる共重合体であり、エチレンに由来する構成単位を主成分として80~98mol%、プロピレンに由来する構成単位を必須の副成分として2~20mol%含み、エチレン及びプロピレン以外の第3のα-オレフィンに由来する構成単位を副成分として5mol%以下含んでいてもよい
(ただし、前記第3のα-オレフィンに由来する構成単位を含む場合は、エチレンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位と第3のα-オレフィンに由来する構成単位の合計が100mol%を超えない)
(c-2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1~100g/10分
(c-3)密度が0.88~0.94g/cm3
(c-4)エチレン・プロピレン共重合体中のビニル、ビニリデンの合計量が0.35(個/total 1000C)以上
(ただし、ビニル、ビニリデンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
基材層(B):少なくとも樹脂層(A)と接する面がポリアミド樹脂を主成分として必須とするフィルム - 前記ポリエチレン樹脂組成物(E)が、下記(d-1)~(d-2)の特性を有する高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の包装用積層体。
(d-1)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1~20g/10分
(d-2)密度が0.915~0.930g/cm3 - 前記ポリエチレン樹脂組成物(E)が、エチレン・プロピレン共重合体(C)95~10重量%及び高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(D)5~90重量%を含有することを特徴とする請求項2に記載の包装用積層体。
- 前記エチレン・プロピレン共重合体(C)が、さらに下記特性(c-5)を満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の包装用積層体。
(c-5)エチレン・プロピレン共重合体中のコモノマーによる分岐数(Y)と密度(X)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):(Y)≧ -1157×(X)+1080
(ただし、Yは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。) - 前記エチレン・プロピレン共重合体(C)が、さらに下記特性(c-6)を満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の包装用積層体。
(c-6)エチレン・プロピレン共重合体中のコモノマーによる分岐数(Y)と密度(X)が下記式(2)の関係を満たす。
式(2):(Y)≧ -1157×(X)+1084
(ただし、Yは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。) - 前記ポリエチレン樹脂組成物(E)が、さらに下記特性(e-1)~(e-2)を満たすことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の包装用積層体。
(e-1)MFRが1~100g/10分
(e-2)密度が0.88~0.94g/cm3 - 前記ポリエチレン樹脂組成物(E)が架橋剤を含有しないことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の包装用積層体。
- 前記積層体を、押出コーティング法により形成してなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の包装用積層体の製造方法。
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