JP7419088B2 - フィルム、共押出フィルム、および、包装体 - Google Patents

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Description

本発明は、シール機能を有するフィルム、および、共押出フィルム、ならびに、これらフィルムを用いた包装体に関する。
ゼリー、茶わん蒸し、惣菜などを収容した個包装カップ状商品や、深絞り包装体、使い捨て注射器などの医療品や日用品、文房具を収容するブリスターパックには、従来、ポリオレフィン系樹脂製の容器底材が用いられ、蓋材には容器底材と同程度の融点を有するポリオレフィン系樹脂からなるシール層を含むフィルムが用いられてきた。例えば、蓋材フィルムには、市場の拡大や消費者のニーズの多様化に伴い、食品包装用フィルム、容器として保存時に内容物の視認が可能な透明性、酸素や水蒸気バリア性、耐衝撃性、耐熱性など様々な特性が要求される。
中でも食品包装容器の蓋材フィルムのシール層には内容物を密封するためのヒートシール性の他に開封性が必要であり、軽剥離(イージーピール)であること、剥離面の膜引き、糸引きがないこと、幅広いヒートシール温度における剥離力が一定であることなど、その要求レベルは非常に高いものとなっている。
イージーピールの形態には、ヒートシール層と容器などの被着体との界面で剥離する界面剥離機構、多層フィルム中のシール層と剥離層の界面で剥離する層間剥離機構、シール層が凝集破壊することで軽剥離となる凝集破壊機構が挙げられる。この中で凝集破壊タイプは、構成が比較的簡素であり、また水分を含んだ内容物の包装容器に対して良好な夾雑物シール性を示すことから、特にポリプロピレン容器に対する凝集破壊タイプの蓋材として、これまでに様々な検討がなされている。
例えば特許文献1には、低温シール性、耐熱性、易開封性を両立するため、ポリオレフィン系樹脂からなる支持層と、ポリプロピレン系樹脂30~90重量%とポリエチレン系樹脂10~70重量%との混合物からなるシート層とからなり、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂のメルトフローレートの比を特定した包装用複合多層シートが開示されている。
特許文献2には、密封性と易開封性のため、第1層がメルトフローレート(MFR)1~7g/10分の高圧重合法低密度ポリエチレン樹脂20~60重量部と、MFR1~15g/10分のポリプロピレン-エチレンのタンデムコポリマー40~80重量部からなり、第2層がシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン系樹脂を主成分とし、第2層の面に基材フィルムを積層する蓋材が開示されている。
しかしながら、これら開示技術における凝集破壊を起こすシール層は、非相溶のポリマーブレンドによりマトリックス中にドメインを形成する構成であるため、製膜されたフィルムのシール層表面は外部ヘーズを有し、内容物視認性の劣るフィルムであった。
また、特許文献3には、基材層、凝集破壊層、ヒートシール層の順で隣接した構成のフィルムが開示されているが、透明性の向上には、凝集破壊層の厚さを薄くする(段落0021)、ヒートシール層を凝集破壊層と隣接して配することにより、凝集破壊層の微細な凹凸による光散乱を緩和してフィルム全体の透明性を向上させる(段落0023)、ヒートシール層の透明性を向上させる(段落0031)など、凝集破壊層自体の透明性を向上させる技術ではない。
また、ポリプロピレン系樹脂からなる包装材料を用いた包装体の製造においては、一般にシール温度140~180℃条件でヒートシールが為されているため、シール温度140~180℃のいずれの温度においても凝集破壊性タイプのイージーピールを起こすことのできるフィルムが求められている。
特開2000-272064号公報 特開2006-256637号公報 特開2016-210063号公報
上記実状を鑑み、本発明の課題は、被着体のポリプロピレン系樹脂とヒートシールした場合に凝集破壊タイプのイージーピール性を有し、且つ透明性を併せ持つフィルムを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂(a)、ポリエチレン系樹脂(b)、および水素化石油樹脂(c)を配合することで、透明性、幅広いヒートシール温度に対するイージーピール特性を有する、バランスに優れたフィルムを提供できることを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
第1の本発明は、シール機能を有するフィルムにおいて、該フィルムが主成分としてポリプロピレン系樹脂(a)を含み、且つポリエチレン系樹脂(b)と水素化石油樹脂(c)とを含み、フィルムの全ヘーズが25%以下であり、且つ、ポリプロピレン系樹脂からなる被着体とヒートシールし剥離させた場合に凝集破壊することを特徴とするフィルムである。
第1の本発明において、前記ポリプロピレン系樹脂(a)と前記ポリエチレン系樹脂(b)の合計量を100質量%とした場合、前記ポリプロピレン系樹脂(a)が90~50質量%、前記ポリエチレン系樹脂(b)が10~50質量%であり、且つ、前記合計量を100質量部とした場合、水素化石油樹脂(c)が1~40質量部であることが好ましい。
第1の本発明において、前記ポリプロピレン系樹脂(a)のメルトフローレートに対する前記ポリエチレン系樹脂(b)のメルトフローレートの比が、0.05~1.5であることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明のフィルムをシール層とし、ポリオレフィン系樹脂層を隣接層として有する、共押出フィルムである。
第2の本発明において、シール層の厚みが1~10μmであることが好ましい。
第3の本発明は、第1の本発明のフィルム、あるいは、第2の本発明の共押出フィルムを用いてなる包装体である。
第4の本発明は、第1の本発明のフィルム、あるいは、第2の本発明の共押出フィルムを用いた蓋材と、ポリプロピレン系樹脂からなる底材とをヒートシールしてなる包装体である。
本発明のフィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなる被着体とヒートシールして包装体を作製し開封させる際に、フィルム自体が凝集破壊し、その際に、毛羽立ちや糸引きが発生し難い。また、本発明のフィルムは、被着体とヒートシールする際において、十分な夾雑物シール性も併せ持つ。
本発明の共押出フィルムも同様の効果を有する。
よって、上記フィルムを用いた本発明の包装体、特に食品包装体は、食の安全性、衛生性に秀でる。更に、本発明のフィルムは透明性を有するので、本発明の包装体は、内容物の視認性が良好である。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明のフィルム(以下「本フィルム」と称することがある)について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<フィルム>
本フィルムは、シール機能を有するフィルムであり、主成分としてポリプロピレン系樹脂(a)を含み、且つポリエチレン系樹脂(b)と水素化石油樹脂(c)とを含む構成により、シール機能を発現する。以下、当該構成の層を「シール層」と称することがある。
本フィルムの形態は、単層フィルムでも、多層フィルムでもよい。単層フィルムの場合は、シール層のみからなるフィルムである。
(ポリプロピレン系樹脂(a))
本フィルムのポリプロピレン系樹脂(a)は、特に制限なく、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等を用いることができる。柔軟性、透明性の観点からプロピレン-エチレンランダム共重合体であることが好ましい。プロピレンを重合する際の触媒については特に制約はないが、シングルサイト触媒が好ましい。シングルサイト触媒を用いて重合されるポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒を用いた場合よりも、分子量分布が狭く、結晶性分布が狭く、低結晶性成分の生成量が少ないために、剛性が高く、耐ブロッキング性能に優れるという特徴があることに加え、特に空冷インフレーション成形を行った際、得られるフィルムが透明性に優れるという特徴がある。
シングルサイト触媒の種類は特に限定されないが、代表的な例としてメタロセン触媒が挙げられる。メタロセン系ポリプロピレンの製造には一般的に、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒を用いる。この助触媒は必要により、有機アルミニウム化合物などで反応処理されていてもよい。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性を有する重合が可能となる架橋メタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソタクチック規則性を有する重合が可能となる架橋メタロセン化合物である。
ポリプロピレン系樹脂(a)のメルトフローレート(MFR)は、2.0~15.0g/10分が好ましく、5.0~10.0g/10分がより好ましい。MFRが2.0g/10分未満の場合は、ポリプロピレン系樹脂からなる被着体とヒートシールした場合に密着が強大となり、易開封性が得難い。
140~180℃の幅広い温度範囲(好ましくは、140~200℃の幅広い温度範囲)においてヒートシールで密着するシール性を得るためには、ポリプロピレン系樹脂(a)の融点は120~160℃が好ましく、上限は150℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましい。ポリプロピレン系樹脂(a)の密度は、一般に880~920kg/mが好ましく、890~910kg/mがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(a)のMFRは、JIS K7210-1:2014法に基づき、試験温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
融点は、JIS K7121:2012法に基づき測定する。
密度は、JIS K7112:1999法に基づき測定する。
ポリプロピレン系樹脂(a)の製造方法は、特に制限はなく、公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等を用いることができる。また、多段重合法を利用して製造することも可能である。
(ポリエチレン系樹脂(b))
本フィルムのポリエチレン系樹脂(b)は、特に制限されない。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)等のエチレン・α-オレフィン共重合体、または、アクリル酸エステルとの共重合体であるエチレン・アクリル酸エステル共重合体(EMAなど)、メタクリル酸エステルとの共重合体であるエチレン・メタクリル酸エステル共重合体(EMMAなど)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などを用いることができるが、中でも低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が成形時のフィッシュアイが少ないことから好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)がエチレン・α-オレフィン共重合体の場合、用いられるα-オレフィンとしては、炭素数3~20のα-オレフィンが好ましく、より好ましくはプロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセンなどを挙げることができ、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンがさらに好ましい。エチレンとの共重合に供される炭素数3~20のα-オレフィンは1種類でもよく、2種類以上を用いても良い。
ポリエチレン系樹脂(b)のメルトフローレート(MFR)は0.5~20g/10分が好ましく、1.5~15g/10分がさらに好ましく、2~10g/10分が特に好ましい。この範囲であれば成形加工性が良好であり、フィルム、シートなどの作製が容易である。
ポリエチレン系樹脂(b)の融点は、90~140℃が好ましく、100~130℃がより好ましい。融点が140℃を超える場合は満足なフィルム製膜性、二次成形が得られない。一方、耐熱性の観点から融点は90℃以上であることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)の密度は900~950kg/mが好ましく、910~940kg/mがより好ましい。密度950kg/mを超える場合は、ポリプロピレン系樹脂(a)との分散構造を満足に形成せず、十分なイージーピール性が発現されない。一方、汎用性の観点から密度900kg/m以上であることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)のMFRは、JIS K7210-1:2014法に基づき、試験温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
融点は、JIS K7121:2012法に基づき測定する。
密度は、JIS K7112:1999法に基づき測定する。
ポリプロピレン系樹脂(a)のMFRに対するポリエチレン系樹脂(b)のMFRの比は、0.05~1.5であることが好ましい。下限は0.07以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましい。上限は1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。
本フィルムでは、ポリプロピレン系樹脂(a)とポリエチレン系樹脂(b)が海/島の分散構造をとり、ヒートシール後の剥離の際には、シール層の海の凝集破壊が島から島へ伝播して起こり、凝集破壊タイプの易剥離性を発現する。
上記のMFR比は、島であるポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子の大きさに影響し、MFR比が上記範囲であると良好な凝集破壊性を付与できると共に、ヘーズの増大を抑制できる。上記のMFR比の範囲では、MFR比が小さいほど、分散粒子径が大きくなり凝集破壊が起きやすい反面、透明性が低めになり、他方、MFR比が大きいほど、分散粒子径が小さくなり凝集破壊時に糸引き等が発生しやすい反面、透明性は高めになる傾向を有する。
フィルムの透明性の点からは、MFR比は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。
フィルムの易開封性(凝集破壊性)の点からは、MFR比は、1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の製造方法が採用できる。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)等のエチレン・α-オレフィン共重合体の製造方法として、高圧ラジカル重合法や、チーグラー系、フィリップス型又はメタロセン触媒を用いた高中低圧法及びその他の公知の方法を例示する事ができる。
一方、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体であるエチレン・アクリル酸エステル共重合体(EMAなど)、エチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体であるエチレン・メタクリル酸エステル共重合体(EMMAなど)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等の製造方法に関しては、ポリエチレン樹脂に対し極性基含有モノマーをグラフト変性させる方法、ビニル基を有したポリエチレン樹脂のビニル基部分を化学修飾する方法、高圧ラジカル重合法プロセスを用いて、エチレンと極性基含有モノマーを共重合させる方法、遷移金属触媒の存在下にエチレンと極性基含有モノマーを共重合させる方法等が例示される。特に直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法には、前述の性状を満足する限り制限はないが、重量平均分子量と数平均分子量の比が比較的小さいものが得られやすい、メタロセン触媒を用いて製造することが好ましい。
(水素化石油樹脂(c))
本フィルムの水素化石油樹脂(c)は、特に限定されないが、石油樹脂の例としては、ナフサの熱分解などによる副生物から得られるC4~C10の脂肪族オレフィン類やジオレフィン類、オレフィン性不飽和結合を有するC8以上の芳香族化合物で、それらの中に含まれる化合物の一種又は二種以上を単独若しくは共重合することにより得られる脂肪族系、芳香族系及び共重合系石油樹脂が挙げられ、中でも、C5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂、それらの共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂を好ましく挙げることができる。水素化石油樹脂(c)は、これら石油樹脂を慣用の方法によって水素化することにより得られ、例えば、水素化脂肪族系石油樹脂、水素化芳香族系石油樹脂、水素化共重合系石油樹脂及び水素化脂環族系石油樹脂、並びに水素化テルペン系樹脂が挙げられる。中でも、水素化脂環族系石油樹脂として、シクロペンタジエン系化合物、芳香族ビニル系化合物、インデン系化合物とを共重合して水素添加したものが特に好ましい。
水素化石油樹脂(c)の水素化率は、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂(a)、および、ポリエチレン系樹脂(b))、特にポリプロピレン系樹脂(a)との相溶性、形成されたフィルムの色調、熱安定性、耐透湿性などの観点から、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。また、水素化石油樹脂(c)は、水酸基、カルボキシル基、ハロゲンなどの極性基、あるいは二重結合などの不飽和結合を実質上含有しないものが好ましい。
水素化石油樹脂(c)は、軟化点が80℃以上150℃以下であることが好ましく、90℃以上140℃以下がより好ましい。軟化点が80℃以上であれば、樹脂ペレットの固着や、本フィルム製膜時、本フィルムの二次加工時、輸送・保管時等におけるフィルムのブロッキングや表面のベタつきが生じることがない。また、軟化点が150℃以下であれば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂(a)、および、ポリエチレン系樹脂(b))、特にポリプロピレン系樹脂(a)との相溶性が良好となり、フィルムからブリードアウトし粉吹きなどの発生が低減される。
水素化石油樹脂(c)の軟化点は、JIS K6863:1994法によって測定される。
水素化石油樹脂(c)は、フィルム製膜でポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂(a)、および、ポリエチレン系樹脂(b))の結晶化過程において樹脂の結晶部から排出され、主にポリプロピレン系樹脂(a)の非晶部に存在するようになり、水素化石油樹脂(c)がポリプロピレン系樹脂(a)の非晶部の分子鎖の運動を抑制して樹脂の柔軟性を低下させ、凝集破壊を促進する作用に働く。その結果、凝集破壊における糸引き・膜引き現象の発生を低減することができる。
また、水素化石油樹脂(c)はポリプロピレン系樹脂(a)と相溶性がよいことから、本フィルムやシール層の透明性を低下させることなく凝集破壊性を向上させることができる。
(組成比)
本フィルムは、主成分としてポリプロピレン系樹脂(a)を含み、且つポリエチレン系樹脂(b)と水素化石油樹脂(c)とを含む。「主成分としてポリプロピレン系樹脂(a)を含む」とは、ポリプロピレン系樹脂(a)、ポリエチレン系樹脂(b)、水素化石油樹脂(c)の中で、ポリプロピレン系樹脂(a)の組成比が最も大きいことを意味する。
ポリプロピレン系樹脂(a)とポリエチレン系樹脂(b)の合計量を100質量%とした場合、ポリプロピレン系樹脂(a)とポリエチレン系樹脂(b)の比は、90~50質量%:10~50質量%であり、好ましくは、85~60質量%:15~40質量%である。
また、ポリプロピレン系樹脂(a)とポリエチレン系樹脂(b)の合計量を100質量部とした場合、水素化石油樹脂(c)は1~40質量部であり、好ましくは5~30質量部である。
各樹脂の組成比は、1H-NMR法、FT-IR法、DSC法によって分析される。
ポリプロピレン系樹脂(a)が50質量%未満、ポリエチレン系樹脂(b)が50質量%超の場合は、ポリプロピレン系樹脂からなる被着体、例えばカップ等の容器に対する密着性が乏しくなり十分なヒートシール強度が得られなかったり、耐熱性が損なわれたりする可能性がある。また、ポリプロピレン系樹脂(a)が90質量%超、ポリエチレン系樹脂(b)が10質量%未満の場合は、ヒートシール後の開封剥離時にシール層の凝集破壊が起きづらく易開封性を得難い。
また、水素化石油樹脂(c)を1質量部以上とすることにより、ポリプロピレン系樹脂(a)の柔軟性が低下し、シール層の凝集破壊性を向上させ糸引き等を抑制することができる。40質量部以下とすることにより、水素化石油樹脂(c)のブリードアウトが起き難く、フィルムのベタつきやブロッキング、粉吹き等の発生を抑制できる。
<共押出フィルム>
上記した本発明のフィルムは、ポリオレフィン系樹脂層を隣接して有する共押出フィルムとすることができる。
以下の共押出フィルムにおいて、主成分としてポリプロピレン系樹脂(a)を含み、且つポリエチレン系樹脂(b)と水素化石油樹脂(c)とを含む、上記したシール機能を有するフィルムを「シール層」と称し、他のポリオレフィン系樹脂層を「隣接層」と称する。
(隣接層)
隣接層に用いるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、上述のシール層を構成するポリプロピレン系樹脂(a)またはポリエチレン系樹脂(b)を用いると、シール層と隣接層との層間密着力を高めることができ好ましい。中でも、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンとαオレフィンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が共押出フィルム製膜性の観点から好ましい。例えば、インフレーション法により共押出フィルムを成形する場合に、バブルが安定し、任意のブローアップを行いやすい。
また、隣接層のポリオレフィン系樹脂には、変性された接着性樹脂を用いることができる。例えば不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。かかる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等を用いることができる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記の不飽和カルボン酸のエステルや無水物等を用いることができ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。その他、酢酸ビニル等も用いることができる。隣接層を接着性樹脂で構成すると、隣接層のシール層側と逆側に他の層を有する場合に、フィルム各層間の密着性を向上させることができる。
(他の層)
本発明の共押出フィルムは、少なくともシール層と、該シール層に隣接して上述の隣接層を有すればよいが、該隣接層のシール層側とは反対側に、さらに他の層を有していてもよい。
他の層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物や芳香族ポリアミドに代表されるガスバリア性樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6,66共重合体等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、粘着性樹脂等をフィルム要求機能に応じて用いることができる。またその他の層は複数設けてもよい。
(その他の成分)
本発明のフィルムおよび共押出フィルムの各層は、その特性を阻害しない範囲であれば、適宜、添加剤を含有することができる。例えば、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、耐ブロッキング剤、加水分解防止剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤などを挙げることができる。これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の所望とする物性を阻害することのない範囲において適宜決定することができる。
<フィルムおよび共押出フィルムの製造方法>
本発明のフィルムおよび共押出フィルムの製造方法は、特に限定されず、公知のTダイ法やインフレーション法などにより製造することができる。また、本発明の共押出フィルムの製造方法では、公知のフィードブロック方式、マルチマニホールド方式、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。また、その他の層は、熱ラミネート法や押出ラミネート法で形成することもできる。
本発明のフィルムまたは共押出フィルムは、無延伸でもよく、一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸でもよい。
また、本発明のフィルムまたは共押出フィルムは必要に応じて、コロナ処理、印刷、コーティング、蒸着などの表面処理や表面加工を行うこともできる。
本発明のフィルム(単層フィルム)の厚みは、5~30μmが好ましい。
本発明の共押出フィルムの場合は、ヒートシール性と、糸引き、膜引きのない良好な凝集剥離性との両立、透明性の点から、シール層の厚みは1~10μmが好ましく、2~8μmがより好ましく、3~5μmが更に好ましい。隣接層、他の層を含めた共押出フィルムの総厚は、フィルム強度、ハンドリング性、二次加工性の点から、2~50μmが好ましく、下限は3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。上限は40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。
フィルムの厚み、および、共押出しフィルムの総厚や各層厚は、触針式厚み計、フィルム断面観察から計測できる。
<フィルム特性>
本発明のフィルムまたは共押出フィルム(以下、これらをまとめて、「本フィルム」という場合がある。)は、以下の特性を有することが好ましい。
(ヒートシール性、易開封性)
本フィルムは、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂からなる被着体に対してヒートシール密着性と、凝集破壊タイプの易開封性とを有することが好ましい。更に、シール温度140~180℃でヒートシールし剥離させた場合に、少なくとも140℃において、凝集破壊し、剥離面が美麗になることが好ましく、140~180℃において、凝集破壊することがより好ましく、140~180℃において、凝集破壊し、剥離面が美麗になることがさらに好ましく、特に、140~200℃でヒートシールし剥離させた場合に、140~200℃の何れのシール温度条件においても凝集破壊し、剥離面が美麗になることがさらに好ましい。被着体のポリプロピレン系樹脂には、ホモポリプロピレン、ランダム共重合ポリプロピレンが挙げられる。本フィルムは、被着体が高融点であるホモポリプロピレンであっても、良好なヒートシール性と易開封性を発現することができる。
評価方法は、例えば、被着体として300μm厚のホモポリプロピレンシートを用いて、これに本フィルムを重ね合わせ(共押出フィルムについては、シール層側を重ね合わせる)、シール温度140~200℃、シール幅5mm、シール圧0.2MPa、シール時間1秒の条件で、ヒートシールし評価用サンプルを作製する。ヒートシール密着性と易開封性の測定は、ヒートシールしたサンプルを15mm幅の短冊状にカットして試験片を作製し、JIS Z0238:1998に基づき、ヒートシール部を中央にし、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で引張試験を行い、ヒートシール強度(単位:N/15mm幅、「剥離強度」とも称する)を測定する。
ヒートシール強度の下限は、7N/15mm幅以上が好ましく、10N/15mm幅以上がより好ましい。上限は25N/15mm幅以下が好ましく、20N/15mm幅以下がより好ましく、18N/15mm幅以下が更に好ましい。係る範囲の剥離強度を有していれば、被着体に対して十分な強度で密着しており、また、手で容易に剥離開封できる。また、本フィルムは、シール層内部が凝集破壊して剥離開封でき、糸引きや膜引きが起きずに易剥離すること、剥離後の両剥離面に樹脂が不定形に残る毛羽立ちや樹脂千切れが生じずに美麗な剥離外観になることがより好ましい。
(透明性)
本フィルムの透明性は、内容物の視認性、美観性、意匠性等の観点から、全ヘーズ25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましい。下限は特に限定されず、値がより小さいと透明性が良好であり好ましい。
また、外部ヘーズは、25%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
ヘーズは、JIS K7136:2000に基づき測定される。
<包装体>
本フィルムは、良好なヒートシール性、易剥離性を有するので、収容物に応じた形状で被着体とヒートシールし包装体を為すことができる。特に、本フィルムから構成される蓋材と、ポリプロピレン系樹脂から構成される底材とをヒートシールした包装体が有用である。
なお、共押出フィルムを用いる場合は、シール層側を、被着体(例えば、底材)側にして、底材とヒートシールして、包装体が作製される。
底材を構成するポリプロピレン系樹脂には、ホモポリプロピレン、ランダム共重合ポリプロピレンが挙げられる。本フィルムでは、被着体が高融点であるホモポリプロピレンであっても、良好なヒートシール性と易開封性を発現することができる。
また、本フィルムは、他のプラスチックフィルム及びシート、金属箔、紙などと、例えばドライラミネート等の公知の方法で積層し、包装材料とすることもでき、それらを用いて包装体を作製できる。
以下の実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等によって制限を受けるものではない。
下記の原材料と方法によりフィルムを作製し、また試験、評価を行い、結果を表1、表2に纏めた。
<原材料(シール層)>
(ポリプロピレン系樹脂(a))
m-PP: メタロセン触媒で重合したプロピレン-エチレン共重合体(MFR:7.0g/10分、融点:124℃、密度900kg/m
(ポリエチレン系樹脂(b))
PE-1: 高圧重合法で重合したポリエチレン樹脂(MFR:0.7g/10分、融点:112℃、密度924kg/m
PE-2: 高圧重合法で重合したポリエチレン樹脂(MFR:4.0g/10分、融点:111℃、密度923kg/m
PE-3: 高圧重合法で重合したポリエチレン樹脂(MFR:8.4g/10分、融点:107℃、密度919kg/m
(水素化石油樹脂(c))
HPR: 水素化脂肪族系石油樹脂(水素化率:95%、軟化点:125℃)
<原材料(隣接層)>
PE-4:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(MFR:1.5g/10分、融点:121℃、密度923kg/m
<原材料(他の層)>
PE-5:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(MFR:2.3g/10分、融点:116℃、密度916kg/m
<実施例1~4、比較例1~4>
上記原材料を用い、シール層は表1に示した配合で、各層用の各押出機に供給し、Tダイ共押出法により押出温度200℃の条件で、シール層、隣接層を共押出し、40℃の水冷金属冷却ロールで冷却し、シール層5μm厚/隣接層25μm厚の共押出フィルムを得た。
次いで、共押出フィルムの隣接層表面をコロナ放電処理し、エーテル系ポリウレタン接着剤を用いて、12μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとドライラミネートして積層フィルムを得た。
<実施例5~7、比較例5~6>
上記原料を用い、シール層は表2に示した配合で、各層用の押出機に供給し、空冷インフレーション共押出法により押出温度200℃の条件で、シール層、隣接層、他の層の層順で共押出し、シール層5μm厚/隣接層10μm厚/他の層15μm厚の共押出フィルムを得た。
次いで、共押出フィルムの他の層表面をコロナ放電処理し、エーテル系ポリウレタン接着剤を用いて、12μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとドライラミネートして積層フィルムを得た。
<評価方法>
(1)ヒートシール試験、剥離試験
被着体として300μm厚のホモポリプロピレンシートを用い、該ホモポリプロピレンシートと、実施例および比較例で得られた積層フィルムのシール層面とを対向させて重ね、その一端を、ヒートシール機を用いてシール幅5mm、シール圧0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールした。設定シール温度は140℃、160℃、180℃、200℃で(実施例5~7、比較例5、6では、さらに150℃で)試験した。
その後、長さ50mm、幅15mmの短冊片に切り出し、JIS Z0238:1998に準拠して、ヒートシール部を中央にして2枚のフィルムの端を引張試験機の掴み具に取り付け、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で、短冊片の長さ方向に剥離又は破断するまで引張り、測定された最大応力をヒートシール強度(単位:N/15mm幅)として測定し、ヒートシール強度が7N/15mm以上の場合を密着性良好と評価した。
次いで、剥離試験後の剥離面を下記の基準で観察し、シール層が凝集破壊した場合(○と△)を易剥離性良好と評価した。
○:凝集破壊していて、糸引き等がない
△:凝集破壊しているが、糸引き、膜引き、毛羽立ち、樹脂千切れがある
▲:凝集破壊不十分で、顕著な糸引き等がある
■:剥離せず、フィルムが破れる
×:フィルムと被着体で密着していない
(2)透明性
JIS K7136:2000に準拠して、ヘーズを測定した。
全ヘーズが25%以下であるものを良好と判断とした。
主成分としてポリプロピレン系樹脂(a)を含み、ポリエチレン系樹脂(b)と水素化石油樹脂(c)を含む実施例1~4は、全ヘーズ25%以下で、シール温度140~180℃の何れの条件においても凝集破壊タイプで易剥離できた。
実施例1は、シール温度140~180℃条件で良好な凝集破壊性が得られた。水素化石油樹脂(c)の混合により、ポリプロピレン系樹脂(a)とポリエチレン系樹脂(b)の非晶部の分子鎖の運動を抑制して樹脂の柔軟性を低下させた効果であると考える。
実施例2は、実施例1に比べ、ヘーズが小さく、シール温度140~180℃条件で凝集破壊するが、160~180℃では一部糸引きがあった。これらは、ポリプロピレン系樹脂(a)に対するポリエチレン系樹脂(b)のMFR比が大きくなり、ポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子が小さくなったためと考えられる。
実施例3は、実施例1に比べ、ポリエチレン系樹脂(b)が多いことから、ヘーズは高めだが、凝集破壊性はより良かった。
実施例4は、実施例3に比べ、ポリプロピレン系樹脂(a)に対するポリエチレン系樹脂(b)のMFR比が大きくなり、ヘーズが小さかった。
比較例1は、ポリプロピレン系樹脂(a)のみの組成であり、透明性が高く、何れのシール温度条件においても被着体と強密着し、凝集破壊せず材破した。
比較例2は、水素化石油樹脂(c)を含まず、ポリプロピレン系樹脂(a)に対するポリエチレン系樹脂(b)のMFR比が小さいため、ポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子が大きく、ヘーズが大きかった。また、比較例1に比べ、ポリエチレン系樹脂(b)の混合によりシール温度140℃では凝集破壊したが、シール温度160℃以上では強密着するため、シール層の凝集破壊よりもシール層と隣接層との間の層間剥離が起きた。
比較例3は、比較例2に比べ、ポリプロピレン系樹脂(a)に対するポリエチレン系樹脂(b)のMFR比が大きいため、ポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子が小さく、ヘーズは小さく、シール温度180℃以上では密着強度が大きく剥離では材破した。
比較例4は、ポリエチレン系樹脂(b)を含まず、ポリプロピレン系樹脂(a)と水素化石油樹脂(c)とは相溶性が良いためヘーズは小さいが、ポリエチレン系樹脂(b)を含まないため凝集破壊が起きず、シール層が伸びてしまった。
実施例5は、シール温度140~200℃条件で良好な凝集破壊性が得られた。また比較例5に比べ、水素化石油樹脂(c)の混合により、易破壊性が向上すると共に、ポリプロピレン系樹脂(a)をマトリックスとするシール層全体の結晶性を下げることができたため、透明性が向上した。
実施例6は、比較例3に比べ、空冷インフレーション押出法により製膜したため、外部ヘーズ起因により全ヘーズがやや高くなってしまったものの、水素化石油樹脂(c)を含んでいることから、シール温度140~200℃条件で凝集破壊し、良好なイージーピール性が得られた。
実施例7は、実施例6に比べ、ポリエチレン系樹脂(b)に対するポリプロピレン系樹脂(a)のMFR比が大きいため、ポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子が小さくなることから、透明性が良好であった。またシール温度140~200℃条件でほぼ良好なイージーピール性を示した。
比較例5は、水素化石油樹脂(c)を含まず、またポリエチレン系樹脂(b)に対するポリプロピレン系樹脂(a)のMFR比が小さいため、ポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子が大きく、ヘーズが大きかった。
比較例6は、比較例5に比べ、ポリプロピレン系樹脂(a)に対するポリエチレン系樹脂(b)のMFR比が大きいため、ポリエチレン系樹脂(b)の分散粒子が小さく、シール温度160℃以上では糸引きが生じ、シール温度180℃以上では密着強度大きく材破した。
本発明のフィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなる被着体とのヒートシールによって十分な密着強度をもち、夾雑物シール性が得られる。また、包装体を作製し開封させる際に、シール層が凝集破壊し、軽い力で剥離開封することができると共に、毛羽立ちや糸引きが発生し難いので食の安全性や衛生性に秀でる。更に、透明性を有するので、包装体の内容物視認性に有効である。

Claims (7)

  1. シール機能を有するシール層とポリオレフィン系樹脂層を隣接層として有する、共押出フィルムにおいて、
    該シール層が主成分としてメタロセン触媒で重合したプロピレン-エチレン共重合体であるポリプロピレン系樹脂(a)を含み、且つポリエチレン系樹脂(b)と水素化石油樹脂(c)とを含み、
    前記シール層の全ヘーズが25%以下であり、
    前記水素化石油樹脂(c)の水素化率が60%以上であり、且つ、
    ポリプロピレン系樹脂からなる被着体と前記シール層とをヒートシールした場合のヒートシール強度の下限が7N/15mm幅以上であり、ヒートシールした前記被着体と前記ヒートシール層とを剥離させた場合に前記シール層が凝集破壊することを特徴とする共押出フィルム。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂(a)の融点が、124℃以下である請求項1に記載の共押出フィルム。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂(a)と前記ポリエチレン系樹脂(b)の合計量を100質量%とした場合、前記ポリプロピレン系樹脂(a)が90~50質量%、前記ポリエチレン系樹脂(b)が10~50質量%であり、且つ、
    前記合計量を100質量部とした場合、水素化石油樹脂(c)が1~40質量部である請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂(a)のメルトフローレートに対する前記ポリエチレン系樹脂(b)のメルトフローレートの比が、0.05~1.5である請求項1~のいずれかに記載のフィルム。
  5. シール層の厚みが1~10μmである請求項1~に記載の共押出フィルム。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の共押出フィルムを用いてなる包装体。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の共押出フィルムを用いた蓋材と、ポリプロピレン系樹脂からなる底材とをヒートシールしてなる包装体。
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