JP2009000984A - ポリオレフィン系多層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
環境汚染を与える可能性の少ないシートであり、最適シール温度幅が広く、易開封性とヒートシール性のバランスに優れたシートを安価に提供することである。
【解決手段】
ポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)との混合比率が(A):(B)=50:50〜25:75であるポリオレフィン系樹脂(C)90〜80重量%とオリゴマー樹脂(D)10〜20重量%とからなるシール層と、ポリオレフィン系樹脂(E)からなる基材層とを有してなるポリオレフィン系多層シートであり、上記シール層中のオリゴマー樹脂(D)をシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂とすることである。

【選択図】 なし

Description

本発明は、易開封性とヒートシール性を兼ね備えたポリオレフィン系多層シートに関するものである。
近年、食の多様化に伴い、様々な包装材料が提案されている。中でも易開封性を有する容器は豆腐容器、菓子容器、その他の食品容器として広く用いられるようになってきている。易開封性を有する容器には、密封性と易開封性という相反する性能を同時に満足することが要求されている。その中で、従来から行われている一般的な容器の開封方法としては、シール層を構成する樹脂の組成を変えることによりシール強度を制御し、蓋材と容器との界面をピールして開封を行う凝集剥離タイプ、界面剥離タイプが一般的であった。ところが、シール強度はシール時の条件、内容物の付着等の影響を受けやすく、シール強度のバラツキの原因となっていた。
これらの問題を解決するために密封性、易開封性とも優れた容器として、剥離層と隣接層との切り離しを容易にするためフランジ部に切り込みを設ける構造も提案されている(特許文献1、2参照)。しかしながら、これらの構造の容器の場合には、製造段階において切り込み部分の外側をシールしなければならないため、シール時の位置設定の管理が必要となる問題点がある。その上、容器本体のシール層を剥離する方式においては、そのフランジ部の周辺端部までシールを行う関係上、剥離を周辺端部から開始する必要があり、容器形状の面にも制約を受ける欠点がある。
また、凝集剥離タイプとしてシール層に高密度ポリエチレン系樹脂55〜92重量%、直鎖状ポリエチレン系樹脂5〜30重量%、ポリスチレン系樹脂3〜15%及びこれらの樹脂合計100重量部に対して相溶化剤を1〜10重量部の比率で配合されたもの(特許文献3参照)、長鎖分岐化ポリプロピレンホモポリマーあるいはブロックポリマー(樹脂A)に対し、ポリスチレン(樹脂B)を1〜50wt%配合し、樹脂A+樹脂Bを100重量部に対し、ポリプロピレン樹脂にポリスチレン樹脂がグラフトされたグラフトポリマー(樹脂C)を0.01〜20重量部配合されたものを使用するもの(特許文献4参照)が提案されている。しかし、これらのものは密封性と易開封性には優れているが、ポリオレフィン系樹脂に対して非相溶系の樹脂としてポリスチレン系樹脂を配合しているため、焼却時に黒煙が発生しやすいなど環境負荷が大きくなってしまう。
特開昭62−251363号公報 特開昭63−025037号公報 特開2000−158610号公報 特開2003−105143号公報
本発明は、最適シール温度幅が広く、易開封性とヒートシール性のバランスに優れた容器成形用多層シートを提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明を達成するに至った。すなわち本発明は、ポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)との混合比率が(A):(B)=50:50〜25:75であるポリオレフィン系樹脂(C)90〜80重量%とオリゴマー樹脂(D)10〜20重量%とからなるシール層と、ポリオレフィン系樹脂(E)からなる基材層とを有してなるポリオレフィン系多層シートとしたことであり(請求項1)、上記オリゴマー樹脂(D)をシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂としたことである。(請求項2)。
本発明のポリオレフィン系多層シートは、上記のような構成をとることにより、最適シール温度の幅が広く、易開封性とヒートシール性のバランスが優れており、さらに環境汚染を与える可能性が少ないものである。
以下、本発明のポリオレフィン系多層シートについて具体的に説明する。本発明のポリオレフィン系多層シートは、ポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)との混合比率が(A):(B)=50:50〜25:75であるポリオレフィン系樹脂(C)90〜80重量%とオリゴマー樹脂(D)10〜20重量%とからなるシール層とポリオレフィン系樹脂(E)からなる基材層とを有して、シール層中の上記オリゴマー樹脂(D)がシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂である。
本発明のシール層に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)成分には特に制限はなく、ホモポリマー、プロピレンと30%以下のエチレンを共重合したブロック共重合体やランダム共重合体、また、プロピレンと30%以下のエチレンおよび他のα−オレフィンよりなる三元共重合体などが使用できる。ポリプロピレン系樹脂(A)のMFR1(測定温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトインデックス)は特に規定するものではないが、混合状態を考えると0.5〜15g/10分の範囲が好ましい。ポリプロピレン系樹脂は場合によっては2種以上を混合することも可能である。
本発明のシール層に用いられる高密度ポリエチレン(B)のMFR2(190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトインデックス)は特に規定するものではないが、混合状態を考えると0.05〜5g/10分の範囲が好ましい。
本発明のシール層で使用されているポリオレフィン系樹脂(C)はポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)両者を用いることが必要である。一般に(A)と(B)との混合比率が(A):(B)=50:50〜25:75の範囲で選定する必要がある。好ましくは(A)と(B)との混合比率が(A):(B)=45:55〜30:70である。ここで(A)ポリプロピレン系樹脂の混合比率が50より多くなると高温条件でヒートシールした場合、シール強度が強くなって凝集剥離を起こさず完全融着してしまい易開封性が悪化する。逆に(B)高密度ポリエチレンの混合比率が75より多くなると低温条件でヒートシールした場合、シール強度が弱くなり良好なシール性が得られなくなる。従ってこれらの配合量は(A)、(B)樹脂それぞれの樹脂特性、後に述べるオリゴマー樹脂の配合量によって最適配合比を決定すればよい。
本発明のシール層に用いるオリゴマー樹脂(D)はシール強度を調整するために添加する。オリゴマー樹脂(D)としては、石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、マレイン酸樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。臭気、相溶性といった点から水素添加した石油樹脂が好ましく、シクロペンタジエン系水素添加石油樹脂がより好ましい。
本発明のポリオレフィン多層シートのシール層はポリオレフィン系樹脂(C)とオリゴマー樹脂(D)成分からなり、ポリオレフィン系樹脂(C)90〜80重量%に対し、オリゴマー樹脂10〜20重量%の範囲で選定する必要がある。好ましくはポリオレフィン(C)88〜82重量%、オリゴマー樹脂12〜18重量%の範囲である。オリゴマー樹脂の添加量が10重量%より少なくなるとオリゴマー樹脂の効果が得られない。添加量が20重量%より多くなると成形性が悪化する。
上記オリゴマー樹脂の軟化温度は、樹脂の操作性、ブレンド加工性を勘案すると、100〜140℃であることが好ましく、より好ましくは115℃〜140℃である。
本発明のポリオレフィン系多層シートのシール層の厚みは5〜100μmであることが好ましく、15〜80μmであることがより好ましい。シール層の厚さが5μm未満であると、易開封性の強度がやや強くなる傾向となる。100μmを超えるとコスト的に高くなる。
本発明に用いられる基材層のポリオレフィン系樹脂(E)はポリプロピレン、ポリエチレン、それらの共重合体などの熱可塑性樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の選択は用途により使い分けができ、場合によっては2種以上を混合することも可能である。また、耐熱性を向上する目的で無機フィラーを添加してもよく、無機フィラーの添加は10〜60wt%の範囲が好ましい。10wt%未満では耐熱性の改良効果がなく、60wt%を超えると耐衝撃性が悪化する傾向となる。無機フィラーとしてはタルク、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、クレーなどが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系多層シートのシール層または基材層には、上述したポリプロピレン系樹脂(A)、高密度ポリエチレン(B)、オリゴマー樹脂(D)、ポリオレフィン系樹脂(E)の他に、必要に応じて各種添加剤、例えば、フェノール系、ホスファイト系等の酸化防止剤、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド等の滑剤、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸エステル或いはエタノールアミド、モノ及びジグリセリド、エトキシル基脂肪酸アミド等の帯電防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤、結晶造核剤、アンチブロッキング剤、酸化チタン、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、酸化鉄、群青等の着色剤などを、目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明のポリオレフィン系多層シートを製造するには、通常の共押出法、ドライラミネート法、押出ラミネート法を採用することができる。共押出法としては、通常、複数の押出機とダイスを設置した装置が用いられ、マルチマニホールド法、フィードブロック法等を採用することが一般的である。
本発明のポリオレフィン多層シートには性能を損なわない範囲で、その他の樹脂層、発泡樹脂層、紙、金属ホイル等を積層しても良い。
本発明のポリオレフィン多層シートは、単独で包装材として使用可能であるとともに、容器に成形して使用することも可能である。容器に成形する方法に特に制限はなく、例えば、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法などの公知の成形法を用いることができる。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、各実施例及び比較例において実施した評価方法及び評価基準を以下に示す。
<評価方法及び評価基準>
PET/CPPのフィルムのCPP面を150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃の温度で圧力0.4MPaの圧力で1秒間シールした後放冷し、次いで該試料から15mm幅の試験片を切り取り、定速度引張試験機を用いて引張速度200mm/minでヒートシール部を剥離した際の強度をヒートシール強度(g/15mm)とし、以下の基準で評価した。
(ヒートシール性評価)
○:シール温度に関係なくフィルム破断も含みシール強度が500g/15mm以上 。
×:シール温度に関係なくシール強度が500g/15mm未満。
(易開封性評価)
○:シール温度に関係なくシール強度が1500g/15mm未満。
△:シール温度に関係なくシール強度が1500g/15mm以上、1800g/1 5mm未満
×:シール温度に関係なく1800g/15mm以上。又はフィルム破断したもの。
(成形性)
○:樹脂の操作性、ブレンド加工性が良く、外観的に良好なシートが得られる。
△:樹脂の操作性、ブレンド加工性がやや悪いが、外観的に良好なシートが得られる 。
×:樹脂の操作性、ブレンド加工性が悪く、外観的に良好なシートが得られない。
(総合評価)
○:ヒートシール性が○、易開封性、成形性が○又は△であったもの。
×:ヒートシール性、易開封性共、成形性の何れかに×のあったもの。
<実施例1〜20>
表1、2及び3に示す基材層のポリオレフィン系樹脂、シール層の所定量のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン樹脂とオリゴマー樹脂を、多層押出機設備を使用して総厚み500μmの2種3層ポリオレフィン系多層シートを得た。この多層シートはシール層+基材層+シール層の3層構造であり、上下のシール層の厚みは同じに設定した。得られた多層シートのシール強度、ヒートシール性、易開封性、成形性、総合評価の評価結果を表1、2及び3に示す。
<比較例1〜11>
表4、5に示す基材層のポリオレフィン系樹脂、シール層の所定量のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレンとオリゴマー樹脂を、実施例1〜20と同じように多層押出機設備を使用して総厚み500μmの2種3層ポリオレフィン系多層シートを得た。この多層シートはシール層+基材層+シール層の3層構造であり、上下のシール層の厚みは同じに設定した。得られたシートのシール強度、ヒートシール性、易開封性、成形性、総合評価の評価結果を表4、5に示す。














Figure 2009000984
表中のシール層の厚みの数値は片側のみの値である。

















Figure 2009000984


















Figure 2009000984


















Figure 2009000984


















Figure 2009000984
比較例10、11については良好なシートが得られないため、ヒートシール性、易開封性のデータはない。
*1 ホモポリプロピレン MFR1=1.6g/10分
*2 ランダムポリプロピレン共重合体 MFR1=1.2g/10分
*3 高密度ポリエチレン MFR2=0.2g/10分
*4 高密度ポリエチレン MFR2=1.0g/10分
*5 低密度ポリエチレン MFR2=1.0g/10分
*6 シクロペンタジエン系水素添加石油樹脂 軟化点温度125℃
*7 シクロペンタジエン系水素添加石油樹脂 軟化点温度140℃
*8 シクロペンタジエン系未水素添加石油樹脂 軟化点温度85℃
*9 ホモプロピレン MFR1=0.5g/10分
*10 高密度ポリエチレン MFR2=0.35g/10分
*11 平均粒径10μmのタルク
実施例1〜9は基材層の配合を一定にし、シール層に使用しているポリプロピレン樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)とオリゴマー樹脂(D)の混合比を表1、2のようにしたものであり、実施例10、11は実施例1〜9に使用しているオリゴマー樹脂−1(シクロペンタジエン系水素添加石油樹脂、軟化点温度125℃)をオリゴマー樹脂−2(シクロペンタジエン系水素添加石油樹脂、軟化点温度140℃)に変更したものである。実施例12、13は基材層を表2のようにタルクを含有した配合に変更したものであり、実施例14、15はシール層厚み30μmを5、50μmに変更したものである。実施例16、17はPP−1(ホモポリプロピレン、MFR1=1.6g/10分)をPP−2(ランダムポリプロピレン共重合体、MFE1=1.2g/10分)に変更したものであり、実施例18、19はPP−1をPP−2にHDPE−1(高密度ポリエチレン、MFR2=0.2g/10分)をHDPE−2(高密度ポリエチレン、MFR2=1.0g/10分)に変更したものであり、実施例20は実施例2で使用しているオリゴマー樹脂−1をオリゴマー樹脂−3(シクロペンタジエン系未水素添加石油樹脂、軟化点温度85℃)に変更したものである。これら得られたポリオレフィン多層シートは、ヒートシール性、易開封性、成形性、総合評価のすべてを満足している。
比較例1〜3はシール層に石油樹脂(D)を添加せず、ポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)のみ混合物であるため、ヒートシール性と易開封性の両方を満足するものは得られない。比較例4〜7はオリゴマー樹脂(D)の添加量は10〜20重量%であるが、ポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)のブレンド比率が(A):(B)=50:50〜25:75の範囲外のため、ヒートシール性と易開封性の両方を満足するものは得られない。比較例8、9はポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)のブレンド比率が(A):(B)=50:50〜25:75の範囲内であるがオリゴマー樹脂(D)の添加量が少ないため、ヒートシール性と易開封性の両方を満足するものは得られない。逆に比較例10はオリゴマー樹脂の添加量が多いため成形性に劣り、比較例11は高密度ポリエチレン(B)を低密度ポリエチレンに変更したもので成形性に劣っており、比較例10、11共にシートが得られなかった。
本発明のポリオレフィン系多層シートは、最適シール温度幅が広く、易開封性とヒートシール性のバランスに優れるとともに、環境汚染を与える可能性の少ないポリオレフィン系多層シートであるため、食品などの包装用シートとして広く使用することができる。

Claims (2)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)と高密度ポリエチレン(B)との混合比率が(A):(B)=50:50〜25:75であるポリオレフィン系樹脂(C)90〜80重量%とオリゴマー樹脂(D)10〜20重量%とからなるシール層と、ポリオレフィン系樹脂(E)からなる基材層とを有してなる易開封性及びヒートシール性に優れたポリオレフィン系多層シート。
  2. 上記オリゴマー樹脂(D)がシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系多層シート。
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