JP7163599B2 - 易剥離性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器、シート等に加熱接着して、良好なヒートシール性、接着性を有すると共に、開封時における凝集剥離による易開封性に優れ、かつ剥離外観等に優れた易剥離性フィルムに関する。本発明はまた、この易剥離性フィルムを用いた易開封性容器用蓋材及び易開封性容器に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、熱可塑性ポリエステル等の熱可塑性樹脂は、外観、機械的強度、成形性、包装作業性、経済性等に優れていることから各種包装容器において広く用いられている。中でも、食品、飲料、薬品、化粧品、医療器具等の包装手法として、紙にポリオレフィンをコーティングした基材をトレイ状又はカップ状に成形した容器本体に被包装物を入れ、容器本体の開口部に蓋材を当接してヒートシールにより密封する方法が広く採用されている。
このような形態の包装物は、被包装物を取り出す際に蓋材を引き剥がす必要があることから、容器から被包装物の漏洩等がないことに加えて、被包装物を取り出す際には、容器本体から蓋材が容易に剥離できる程度のヒートシール強度を有していること、即ち、易開封性であることが必要とされる。
一般に、易開封性容器用蓋材に用いられるシーラント(シール材)には、主として界面剥離タイプと層間剥離タイプと凝集剥離タイプの3種類がある。
界面剥離タイプは、一般的に被着体に対して粘接着によってシール状態を保つため、雰囲気温度によるシール性能変動が大きく、かつ被着体との熱融着によるシール状態を保っていないため、衝撃を加えられた際にパンク(内容物が漏えい)する欠点がある。
層間剥離タイプの蓋材は、シール層と保持層と基材とで構成され、シール層は被着体(容器の蓋材取付部)と同種の樹脂で形成することで、被着体との熱融着で強固なシール状態を保つようにし、保持層はシール層と異種の樹脂で形成して、シール層と保持層との層間で剥がれ易くすることで易開封性を持たせてある。
しかし、層間剥離タイプのシーラントでは、開封時に容器本体側にシーラントの一部が残ってしまったり、開封時膜残りが起きたりするため、このような問題のない点において凝集剥離タイプのシーラントが有利である。
凝集剥離タイプは、シール層と必要に応じて設けられる保持層と基材で形成される点においては層間剥離タイプと同様であるが、シール層は被着体と同種の樹脂及び保持層又は基材と同種の樹脂の2種の樹脂のポリマーブレンドで形成されている。これによりヒートシール時に、シール層は、部分的に被着体と熱融着し、剥離時にはポリマーブレンドした樹脂の界面でシール層自体を凝集破壊しながら剥離していく。従って、シール層がシール性と剥離性の両方の機能を持つことになる。
従来、易開封性容器用蓋材のシール層形成用樹脂組成物としては、例えば、特許文献1、2に記載されているようなポリオレフィン系樹脂及びスチレン系エラストマー、ポリスチレン系樹脂を所定の割合でブレンドしたものが挙げられる。
特開2014-55250号公報 特開2015-174349号公報
紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートの凝集剥離タイプの易剥離性シーラントとして用いられるフィルムには、凝集剥離による易開封性に優れることに加えて、ヒートシール強度が十分に高く、かつ剥離外観等に優れることが要求される。
しかしながら、従来において、このような要求特性をすべて満たす易開封性フィルムは提供されておらず、例えば、特許文献1、2に記載の樹脂組成物からなる易剥離性フィルムは、凝集剥離による易開封性が十分ではなく、剥離強度に関しても不安定であった。また、フィルムの剥離後の剥離外観については、フィルムを剥離する方向によっては剥離外観が悪化することがあった。
本発明は、紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートの凝集剥離タイプの易剥離性フィルムとして、ヒートシール強度が十分に高く、易開封性に優れ、かつ剥離外観等に優れたシール層を、安価かつ簡便に良好な成形性で形成することができる易剥離性フィルムと、この易剥離性フィルムよりなるシール層を有する易開封性容器用蓋材及び易開封性容器を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリオレフィンと、ポリスチレン系樹脂と、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマーとを含む樹脂組成物よりなる易剥離性フィルムが、紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートに対して、凝集剥離による易開封性を有し、ヒートシール強度が十分に高く、易開封性、剥離外観等に優れ、安価かつ簡便にシール層を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートの易剥離性シーラントとして用いられるフィルムであって、該フィルムが下記(A)~(C)成分を含む熱可塑性樹脂組成物よりなることを特徴とする易剥離性フィルム。
(A)成分:ポリオレフィン
(B)成分:ポリスチレン系樹脂
(C)成分:ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー
[2] 前記熱可塑性樹脂組成物が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対し、(A)成分を45~70質量部、(B)成分を20~40質量部、(C)成分を3~20質量部含有する、[1]に記載の易剥離性フィルム。
[3] 前記熱可塑性樹脂組成物が、(A)成分として、密度が0.860~0.930g/cmのポリエチレンを含む、[1]又は[2]に記載の易剥離性フィルム。
[4] 前記(C)成分のスチレン含有量が8~40質量%である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の易剥離性フィルム。
[5] [1]乃至[4]のいずれかに記載の易剥離性フィルムにより形成されたシール層を有する易開封性容器用蓋材。
[6] [5]に記載の易開封性容器用蓋材を有する易開封性容器。
本発明によれば、紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートに対し、凝集剥離による易開封性に優れることに加えて、ヒートシール強度が十分に高く、特に高温のヒートシール温度下において、高いヒートシール強度を発現し、かつ剥離方向によらずに剥離外観等に優れた易剥離性フィルムが提供される。本発明の易剥離性フィルムを用いて、易開封性に優れ、剥離外観等にも優れたシール層を有する商品価値の高い易開封性容器用蓋材及び易開封性容器を高い生産性で製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、以下において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
また、本発明において、樹脂のメルトフローレート(MFR)、密度、硬度は、以下のようにして測定された値である。
<MFR>
(A)成分のうち、ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210またはASTM D1238に従い、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
(B)成分のMFRはISO 1133に従い、温度200℃、荷重5kg、10分の条件で測定される。
(C)成分のMFRはISO 1133に従い、温度200℃、荷重5kg、10分の条件で測定される。
<密度>
(A)成分の密度はJIS K7112またはASTM D1505に従い、水中置換法で測定される。
(B)成分、(C)成分の密度はISO 1183に従い測定される。
<硬度>
(C)成分のショアA硬度は、ISO 7619により測定される。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本発明の易剥離性フィルムは、下記(A)~(C)成分を含む熱可塑性樹脂組成物(以下、「本発明の熱可塑性樹脂組成物」と称す場合がある。)よりなることを特徴とする。
(A)成分:ポリオレフィン
(B)成分:ポリスチレン系樹脂
(C)成分:ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー
[(A)成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる(A)成分はポリオレフィンである。
(A)成分として用いることのできるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1等の炭素数2~20程度のオレフィンの単独重合体又は共重合体、或いはこれらのオレフィンと共重合性ビニル単量体、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等の不飽和有機酸又はその無水物等との共重合体が挙げられる。なお、オレフィンと共重合性ビニル単量体との共重合体において、オレフィン単位の含有量は50質量%以上である。また、ここで、共重合体とはランダム、ブロック及びグラフト共重合体を包含する。
(A)成分として用いることのできるポリオレフィンとしてはより具体的には、高圧法、中圧法又は低圧法により製造されたポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、プロピレン・ブテン-1ランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン-1ランダム共重合体、プロピレンと炭素数5~12のα-オレフィンと場合により更にエチレン又はブテン-1とからなる共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位の含有量が50質量%未満であるもの)等が好ましい。なお、「ポリプロピレン」は構成単位としてプロピレン単位を50質量%より多く含有するものを意味し、また、「ポリエチレン」は構成単位としてエチレン単位を50質量%より多く含有するものを意味する。
(A)成分としては成形性の観点から、特にポリエチレンが好ましい。
(A)成分として用いることのできるポリプロピレンとしては、成形性の観点から、MFR(230℃、荷重2.16kg)が1.0~60g/10分であることが好ましく、2.0~40g/10分であることがより好ましい。
(A)成分として好適なポリエチレン系樹脂は、MFR(190℃、荷重2.16kg)が0.05~100g/10分、好ましくは1~50g/10分で、密度0.850~0.950g/cmのエチレン単独重合体又はエチレン・α-オレフィン共重合体である。エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンは、通常炭素数3~20の環状分子を含まないα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等であり、それぞれ単独或いは2種以上の混合物からなる。また、エチレン・α-オレフィン共重合体は共重合成分としてビニルエステル(酢酸ビニル等)、不飽和カルボン酸又はそのエステル(アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル等)等を使用したものでもよい。
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低結晶性エチレン・1-ブテンランダム共重合体(EBM)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
これらのうち特に、(A)成分のポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレンが好ましい。特に、高圧法低密度ポリエチレンは、成形加工性の安定性や剥離強度の安定性を高めると共に、剥離外観を良好なものとするために有効である。なお、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.860~0.930g/cmのものが好ましく、0.880~0.930g/cmのものがより好ましく、特に0.910g/cm以上0.930g/cm未満のものが好ましい。
(A)成分で使用するポリオレフィンは、1種類のポリオレフィンを単独で用いても、2種類以上のポリオレフィンを組み合わせて用いてもよいが、1種類のポリオレフィン単独で用いる、若しくは2種類のポリオレフィンを組み合わせて用いることが好ましい。(A)成分としては成形性の観点から、より好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレンであり、特に好ましくはポリエチレンを単独で用いる、若しくはポリエチレンとポリプロピレンを併用することである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、(A)成分と後述の(B)成分、及び(C)成分との合計100質量部に対して、好ましくは45~70質量部である。(A)成分は融着成分であり、(A)成分の含有量が上記下限よりより少ない場合、ヒートシール強度が十分でない傾向があり、上記上限より多いと、易開封性が低下する傾向にある。以上の観点から、(A)成分の含有量は、(A)成分と後述の(B)成分及び(C)成分との合計100質量部に対して、より好ましくは50質量部以上であり、また、より好ましくは65量部以下である。
[(B)成分]
(B)成分のポリスチレン系樹脂とは、下記一般式(I)で示される構造単位を樹脂中に少なくとも50質量%以上含有する樹脂(ただし、後述の(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーを除く。)であり、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン等のうちの1種又は2種以上を好ましく用いることができる。
Figure 0007163599000001
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Zはハロゲン原子又はメチル基を表し、pは0~3の整数である。)
(B)成分のポリスチレン系樹脂のMFR(200℃、荷重5kg)は、成形加工性の観点から0.1~50g/10分であることが好ましく、1~30g/10分であることがより好ましい。
また、(B)成分のポリスチレン系樹脂の密度は、(A)成分との相溶性の観点から、0.93~1.10g/cmであることが好ましく、0.95~1.07g/cmであることがより好ましい。
ポリスチレン系樹脂は市販品として入手することができる。例えば、ポリスチレン系樹脂の市販品としては、PSジャパン社製 PSJ-ポリスチレン GPPSシリーズ、PSJ-ポリスチレン HIPSシリーズ等が挙げられる。
これら(B)成分は、1種のみを用いてもよく、共重合成分組成や物性の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(B)成分の含有量は、前述の(A)成分と(B)成分及び後述の(C)成分との合計100質量部に対して好ましくは20~40質量部である。(B)成分は凝集剥離性(易開封性)を担う凝集剥離成分であり、成分(B)の含有量が上記下限より少ない場合、易開封性が低下する傾向があり、上記上限より多いと、ヒートシール強度が十分でない傾向がある。以上の観点から、成分(B)の含有量は、前述の(A)成分と成分(B)及び後述の(C)成分との合計100質量部に対して、より好ましくは25質量部以上であり、また、より好ましくは35質量部以下である。
[(C)成分]
(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体(水添ブロック共重合体)よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるものである。なお、ここで、ジブロック共重合体は水素添加されたジブロック共重合体を包含するものである。
(C)成分の重合体ブロックPは、ビニル芳香族化合物を主体とする単量体の重合体ブロックであり、一方、重合体ブロックQは、共役ジエンを主体とする単量体の重合体ブロックである。ここで「主体とする」とは、50モル%以上であることを意味する。
重合体ブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は限定されないが、スチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。これらの中でも、スチレンを主体とすることが好ましい。なお、当該重合体ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
重合体ブロックQを構成する単量体は、好ましくはブタジエン単独、イソプレン単独、ブタジエン及びイソプレンのいずれかである。なお、重合体ブロックQには、ブタジエン及びイソプレン以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
また、重合体ブロックQは、重合後に有する二重結合を水素添加した水素添加誘導体、即ち水添ブロック共重合体であってもよい。重合体ブロックQの水素添加率は限定されないが、50~100質量%が好ましく、80~100質量%が好ましい。重合体ブロックQを前記範囲で水素添加することにより、熱安定性が向上する傾向にある。なお、重合体ブロックPが、原料としてジエン成分を用いた場合についても同様である。水素添加率は、13C-NMRにより測定することができる。
(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーはスチレン含有量が8~45質量%であることが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が上記下限以上であるとフィルムのハンドリング性が良好となる傾向があり、上記上限以下であると、(A)成分との相溶性が良好となる傾向がある。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、より好ましくは10~40質量%である。(C)成分における「スチレン含有量」とはスチレン単位の含有量のみならず、スチレン単位の芳香環に水素原子以外の原子又は原子団が置換した構成単位の含有量も含む意味で用いられる。スチレン含有量は13C-NMRにより測定することができる。
(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーにおける前記の重合体ブロックP及び重合体ブロックQを有する共重合体の化学構造は、直鎖状、分岐状、放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
さらに、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体は、水素添加誘導体(水添ブロック共重合体)であることが好ましい。下記式(1)又は(2)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、本発明の易剥離性フィルムの接着性が良好となる傾向にある。
P-(Q-P) (1)
(P-Q) (2)
(式中Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQをそれぞれ表し、mは1~5の整数を表し、nは2~5の整数を表す。)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序-無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。
本発明で用いる(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーは、上記式(1),(2)で表されるブロック共重合体のうち、下記式(2A)で表される重合体ブロックPと重合体ブロックQとを各々1個ずつ有するジブロック体或いはその水素添加物(水添ジブロック体)を20質量%以上含むことを特徴とする。
P-Q (2A)
スチレン系熱可塑性エラストマーのブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体中のジブロック体及び/又は水添ジブロック体の含有量が20質量%以上であることにより上述のポリオレフィンとポリスチレン系樹脂との相溶化効果が良好であり、易剥離強度がヒートシール温度に依存せず、安定的に得ることができる。この観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーを構成するブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体中のジブロック体及び/又は水添ジブロック体の割合は、23質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。ジブロック体及び/又は水添ジブロック体の割合の上限は100質量%である。
なお、スチレン系熱可塑性エラストマーのブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体(以下、まとめて「(水添)ブロック共重合体」と記す)中のジブロック体及び/又は水添ジブロック体以外の(水添)ブロック共重合体としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(1)で表される(水添)ブロック共重合体の方が好ましく、mが3以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が更に好ましい。
(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーの製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。具体的には、例えば、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。この際、ジブロック体を上記の割合で製造するには、トリブロック体及びジブロック体をそれぞれ上述の触媒等を用いて重合し、その後、ドライブレンドまたは溶融混練を行い、適宜必要な割合でブレンドを行えばよい。また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行う等の公知の方法を採用することができる。
(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は限定されないが、通常250,000以下、好ましくは230,000以下、より好ましくは210,000以下、更に好ましくは200,000以下である。また、スチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は限定されないが、通常20,000以上、好ましくは40,000以上、より好ましくは50,000以上である。スチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量が前記内であると、成形性が良好となる傾向にある。なお、(C)成分スチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により測定したポリスチレン換算の値である。
(C)成分のMFR(200℃、荷重5kg)は限定されないが、好ましくは0.01~100g/10分、より好ましくは0.03~90g/10分であり、更に好ましくは0.05~80g/10分である。(C)成分のMFRが前記範囲内であると、成形性が良好となる傾向にある。
また、(C)成分の密度は、フィルムのブロッキング性の観点から好ましくは0.86~0.94g/cmであり、より好ましくは0.87~0.93g/cmであり、更に好ましくは0.88~0.92g/cmである。
更に(C)成分の硬度は特に制限されないが、硬度ショアA(JIS K6253)で、好ましくは20以上であり、より好ましくは25以上であり、更に好ましくは30以上であり、特に好ましくは35以上であり、一方、好ましくは95以下であり、より好ましくは90以下であり、更に好ましくは85以下である。(C)成分の硬度が上記範囲内であると、柔軟性が良好となる傾向にある。
本発明の(C)成分として用いるスチレン系熱可塑性エラストマーは、市販品を用いることも可能である。市販品としては例えば、クレイトンポリマー社製「KRATON」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「タフテック(登録商標)」シリーズ等から該当するものを適宜選択して用いることができる。
上記(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーは、1種のみを用いてもよく、共重合成分組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(C)成分の含有量は、前述の(A)成分及び成分(B)及び(C)成分との合計100質量部に対して好ましくは3~20質量部である。(C)成分は、良好な剥離外観を担う成分であり、(C)成分の含有量が上記下限よりも少ないと、剥離外観が悪化する傾向があり、上記上限より多いと、相対的に他の成分の含有量が少なくなって、ヒートシール強度が高くなりすぎ、易開封性が損なわれる傾向にある。以上の観点から、(C)成分の含有量は、前述の(A)成分及び成分(B)と(C)成分との合計100質量部に対して、より好ましくは4質量部以上であり、また、より好ましくは17質量部以下である。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の添加剤や樹脂等(以下、これらを「その他の成分」と称す。)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
添加剤としては、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、具体的には、プロセス油、中和剤、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、滑剤、充填材、相溶化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料など)等が挙げられる。
このうち、難燃剤は、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。
耐熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填材は、有機充填材と無機充填材に大別される。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
これらの添加剤を用いる場合、その含有量は限定されないが、本発明の樹脂組成物中の含有量として、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下であることが望ましい。
その他の成分として用いる樹脂としては、具体的には、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物がこれらのその他の樹脂を含有する場合、その含有量は、(A)成分、成分(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。
[製造方法]
(A)成分、成分(B)及び(C)成分と、必要に応じて添加されるその他の成分を用いて、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するための配合方法は、溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
溶融混練のための具体的な方法としては、粉状又は粒状の(A)~(C)成分、並びに必要に応じて添加されるその他の成分を、所定の配合割合にて、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸又は二軸等の多軸混練押出機等の通常の混練機を用いて混練する方法が例示できる。
各成分の溶融混練の温度は、通常100~300℃の範囲、好ましくは120~280℃の範囲、特に好ましくは150~250℃の範囲である。さらに、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、(A)~(C)成分と必要に応じて用いられるその他の成分とを一括して混練する方法、又は(A)~(C)成分と必要に応じて用いられるその他の成分の一部を予め混練しておき、その後残りの成分を混練する方法でもよい。
[フィルム成形]
本発明の易剥離性フィルムは、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて、押出ラミネート成形、Tダイ成形、空冷インフレーション成形等の各種のフィルム成形法により製造することができる。
本発明の易剥離性フィルムの厚さは、通常2~100μm、特に5~30μmであることが好ましい。易剥離性フィルムの厚さが上記範囲内であることが、十分なヒートシール強度を得る観点、凝集剥離性を得る観点、易開封性容器の易開封性容器用蓋材への適用において、蓋材の厚さを適切な範囲とする観点等から好ましい。
〔易開封性容器用蓋材・易開封性容器〕
本発明の易剥離性フィルムは、紙にポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートの易剥離性シーラントとして用いられる。
また、本発明の易開封性容器用蓋材は、本発明の易剥離性フィルムより形成されたシール層を有するものであり、本発明の易剥離性フィルムを、通常、蓋材の基材と積層一体化することにより製造される。この場合、本発明の易剥離性フィルムよりなるシール層の厚さは、通常2~100μm、特に5~30μmであることが好ましい。シール層の厚さが薄過ぎると十分なヒートシール強度を得ることができず、凝集剥離性も劣るものとなるが、過度に厚さが厚いものは、各種の易開封性容器の易開封性容器用蓋材への適用において、蓋材の厚さが厚くなり好ましくない。また、シール層と蓋材の基材との間に保持層としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂層を介在させることもできる。保持層の厚さは、通常5~500μm、特に10~100μm程度である。
易開封性容器用蓋材の基材としては、アルミ箔、紙、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂フィルム、例えば延伸ポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂フィルム、例えば延伸ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエステルフィルム、アルミ蒸着延伸ポリエステルフィルム、その他バリア性フィルム等、一般に軟包装材の基材として使用されるものであれば適用可能であり、内容物や用途によって、適宜最適な基材を選定して用いることができる。
このような基材に本発明の易剥離性フィルムよりなるシール層を積層一体化する方法としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の接着剤により接着する方法が挙げられる。また、基材フィルムと本発明の熱可塑性樹脂組成物とを共押出ラミネート成形により一体成形してもよい。
また、本発明の易剥離性フィルムよりなるシール層と基材との間に保持層を介在させた蓋材を製造するには、本発明の熱可塑性樹脂組成物をインフレーション法、Tダイ法等のフィルム成形法により本発明の易剥離性フィルムを製造する際に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂よりなる保持層と積層して成形したり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂との共押出ラミネート成形で保持層とシール層とを積層成形した後、更に基材を貼り合せる方法や、アルミ箔、紙、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等の各種熱可塑性樹脂からなる基材層にシール層を形成する本発明の熱可塑性樹脂組成物と保持層用のポリオレフィン系樹脂を押出ラミネート成形することによってラミネートフィルムを形成することにより製造する方法が挙げられる。
得られたシール層/基材或いはシール層/保持層/基材の積層フィルム又は積層シートよりなる易開封性容器用蓋材は、各種の容器の開口部に配置し、開口部のフランジ部に沿って加熱加圧してヒートシールすることにより、紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器の密封に用いることができる。
この際のヒートシール条件としては、本発明の熱可塑性樹脂組成物の主成分となる(A)成分の融解ピーク温度に応じて、成分(A)の融点ないし融点より20℃程度高い温度、例えば100~200℃程度で、圧力0.1~0.3MPa、ヒートシール時間1~10秒程度とすることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原料]
以下の実施例及び比較例で用いた原料は、次の通りである。
<(A)成分:ポリオレフィン>
A-1:低密度ポリエチレン(密度(JIS K7112):0.919g/cm、MFR(190℃、2.16kg(JIS K7210)):7g/10分)
A-2:ポリプロピレン系樹脂(密度(ASTM D1505):0.874g/cm、MFR(230℃、2.16kg(ASTM D1238)):3g/10分)
<(B)成分:ポリスチレン系樹脂>
B-1:PSジャパン社製 汎用ポリスチレン(GPPS)「679K29」(MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):18g/10分、密度(ISO 1183):1.05g/cm、スチレン含有量:100質量%))
B-2:PSジャパン社製 耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)「HT478」(MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):3.0g/10分、密度(ISO 1183):1.04g/cm
<(C)成分:スチレン系熱可塑性エラストマー>
C-1:クレイトンポリマー社製 スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン-ブタジエン-スチレン水添ブロック共重合体)「KRATON G1657MU」(スチレン含有量:13質量%、密度(ISO 1183):0.91/cm、MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):8g/10分、硬度ショアA(ISO 7619):47、ジブロック体及び/又は水添ジブロック体含有量:30質量%、数平均分子量:1.09×10、水素添加率:90質量%以上)、
C-2:クレイトンポリマー社製 スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン-ブタジエン-スチレン水添ブロック共重合体)「KRATON G1726MU」(スチレン含有量:30質量%、密度(ISO 1183):0.91/cm、MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):65g/10分、硬度ショアA(ISO 7619):70、ジブロック体及び/又は水添ジブロック体含有量:70質量%、数平均分子量:1.45×10、水素添加率:90質量%以上)
[実施例1~5、比較例1]
[シーラントフィルムの製膜]
易開封性(イージーピール性)を確認するために、各原料成分を表-1に示す配合割合で二軸押出機を用い、160~200℃で混練し、三層フィルム成形機を用い、ポリエチレン系樹脂(日本ポリエチレン社製 「ノバテック(登録商標) SF8402」)と、成形温度200~220℃でそれぞれ共押出を行うことで、厚さ50μm(イージーピール層:20μm/ポリエチレン系樹脂層:30μm)のシーラントフィルムを作製した。
[評価用フィルムの作製]
評価用フィルムの作製に用いたPETフィルムとしては、東洋紡社製「東洋紡ポリエステルフィルム」(厚さ25μm)を用い、接着剤としては、東洋モートン社製二液硬化型ポリウレタン系接着剤の主剤「TM329」と硬化剤「CAT-8B」を酢酸エチルで希釈したものを用いた。
PETフィルムの一方の面にコーター(テスター産業製)を用いて接着剤を塗布し、溶剤を蒸発させた後、この接着剤塗布面に作製したシーラントフィルムのポリエチレン系樹脂層面を張り合わせ、40℃のオーブン中にて1昼夜乾燥させて、各々評価フィルムとした。
[ヒートシール強度の評価]
各評価用フィルム及び下記被着体を50mm×100mmの大きさに切り出し、被着体の上に評価用フィルムを、評価用フィルムのイージーピール層と被着体とが合わさるように置いた。なお、各評価用フィルムとしては、
I:樹脂の流れ方向(MD方向)に長さ100mm、その直角方向(TD方向)に長さ50mmとして切出したサンプル

II:樹脂の流れ方向(MD方向)に長さ50mm、その直角方向(TD方向)に長さ100mmとして切出したサンプル
とを準備した。
ここで、「樹脂の流れ方向」とは、上記の三層フィルム成形機のダイスから溶融樹脂を押出し、ロールで冷却し、固化したフィルムを巻取り、評価用フィルムを作成する際に、フィルムを巻き取る成形方向をさす。
次いで、ヒートシーラー((有)佐川製作所製)を用いて以下の条件でヒートシールを行って、評価用フィルムの長さ方向の中央部分を10mmの幅にヒートシールした。
圧力:0.2MPa
時間:1.0秒
シールバー:10mm
温度:140~180℃
被着体:ポリエチレンがコーティングされた厚み0.4mmの紙
その後、評価用フィルムの被着体にヒートシールされていない部分を被着体に対して離反方向に引っ張って引き剥がすことによりヒートシール強度を測定し、結果を表-1に示した。Iのサンプルでは剥離方向がTD方向となり、IIのサンプルでは剥離方向がMD方向となる。ヒートシール強度は、Iのサンプルの測定値とした。このヒートシール強度は7~20N/15mm程度であることが易開封性とシール強度との両立の面で好ましい。
[剥離外観]
上記の160℃でのヒートシール強度測定の際に、各々のサンプルについて剥離外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。結果を表-1に示す。
○:剥離した際に、膜引きがなく、剥離外観が良好である。
△:剥離した際に、若干の膜引きがあるが、剥離外観が良好である。
×:剥離した際に、大きく膜引きし、良好な剥離外観が得られない。
Figure 0007163599000002
[評価結果]
表-1に示すように、(C)成分として、スチレン系熱可塑性エラストマー中におけるジブロック体(及び/又は水添ジブロック体)含有量が20質量%以上のものを用いた本発明の熱可塑性樹脂組成物に該当する実施例1~5ではヒートシール強度が十分に高く、且つ剥離の方向によらず剥離外観が優れることがわかる。一方、(C)成分を用いていない比較例1は剥離方向によって剥離外観が大きく異なる。

Claims (6)

  1. 紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器またはシートの易剥離性シーラントとして用いられるフィルムであって、該フィルムが下記(A)~(C)成分を、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対し、(A)成分を45~70質量部、(B)成分を20~40質量部、(C)成分を3~20質量部含有する熱可塑性樹脂組成物よりなることを特徴とする易剥離性フィルム。
    (A)成分:ポリオレフィン
    (B)成分:ポリスチレン系樹脂
    (C)成分:ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物が、(A)成分として、密度が0.860~0.930g/cmのポリエチレンを含む、請求項1に記載の易剥離性フィルム。
  3. 前記(C)成分のスチレン含有量が8~40質量%である、請求項1又は2に記載の易剥離性フィルム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の易剥離性フィルムにより形成されたシール層を有する易開封性容器用蓋材。
  5. 請求項4に記載の易開封性容器用蓋材を有する易開封性容器。
  6. 請求項4に記載の易開封性容器用蓋材と、 紙にポリオレフィンをコーティングした基材からなる容器を有する易開封性容器。
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