JP7081235B2 - 易開封性容器 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は以下を要旨とする。
(A)成分:ポリオレフィン
(B)成分:ポリスチレン系樹脂
(C)成分:ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー
なお、以下において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
(A)成分のうち、ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210またはASTM D1238に従い、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
(B)成分のMFRはISO 1133に従い、温度200℃、荷重5kg、10分の条件で測定される。
(C)成分のMFRはISO 1133に従い、温度200℃、荷重5kg、10分の条件で測定される。
(A)成分の密度はJIS K7112またはASTM D1505に従い、水中置換法で測定される。
(B)成分、(C)成分の密度はISO 1183に従い測定される。
(C)成分のショアA硬度は、ISO 7619により測定される。
本発明の易開封性容器は、下記(A)~(C)成分を含む熱可塑性樹脂組成物(以下、「本発明の熱可塑性樹脂組成物」と称す場合がある。)よりなることを特徴とする。
(A)成分:ポリオレフィン
(B)成分:ポリスチレン系樹脂
(C)成分:ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる(A)成分はポリオレフィンである。
(A)成分としては成形性の観点から、特にポリエチレンが好ましい。
(B)成分のポリスチレン系樹脂とは、下記一般式(I)で示される構造単位を樹脂中に少なくとも50質量%以上含有する樹脂(ただし、後述の(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーを除く。)であり、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン等のうちの1種又は2種以上を好ましく用いることができる。
(C)成分のスチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体(水添ブロック共重合体)よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるものである。なお、ここで、ジブロック共重合体は水素添加されたジブロック共重合体を包含するものである。
P-(Q-P)m (1)
(P-Q)n (2)
(式中Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQをそれぞれ表し、mは1~5の整数を表し、nは2~5の整数を表す。)
P-Q (2A)
スチレン系熱可塑性エラストマーのブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体中のジブロック体及び/又は水添ジブロック体の含有量が20質量%以上であることにより上述のポリオレフィンとポリスチレン系樹脂との相溶化効果が良好であり、易剥離強度がヒートシール温度に依存せず、安定的に得ることができる。この観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーを構成するブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体中のジブロック体及び/又は水添ジブロック体の割合は、23質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。ジブロック体及び/又は水添ジブロック体の割合の上限は100質量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の添加剤や樹脂等(以下、これらを「その他の成分」と称す。)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
(A)成分、成分(B)及び(C)成分と、必要に応じて添加されるその他の成分を用いて、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するための配合方法は、溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
本発明の易開封性容器は、基材層と、上述の本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなるヒートシール層を積層してなる積層体(以下、「本発明の積層体」と称す場合がある。)により形成される。この積層体の基材層の材料としては、アルミ箔、紙、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂フィルム、例えば延伸ポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂フィルム、例えば延伸ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエステルフィルム、アルミ蒸着延伸ポリエステルフィルム、その他バリア性フィルム等、一般に軟包装材の基材として使用されるものであれば適用可能であり、内容物や用途によって、適宜最適な基材を選定して用いることができる。
一方、基材層の厚さは、基材層の構成材料や易開封性容器の用途、形状等によっても異なり特に制限はないが、通常10~200μm程度である。
以下の実施例及び比較例で用いた原料は、次の通りである。
A-1:低密度ポリエチレン(密度(JIS K7112):0.919g/cm3、MFR(190℃、2.16kg(JIS K7210)):7g/10分)
A-2:ポリプロピレン系樹脂(密度(ASTM D1505):0.874g/cm3、MFR(230℃、2.16kg(ASTM D1238)):3g/10分)
B-1:PSジャパン社製 汎用ポリスチレン(GPPS)「679K29」(MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):18g/10分、密度(ISO 1183):1.05g/cm3、スチレン含有量:100質量%))
B-2:PSジャパン社製 耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)「HT478」(MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):3.0g/10分、密度(ISO 1183):1.04g/cm3)
C-1:クレイトンポリマー社製 スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン-ブタジエン-スチレン水添ブロック共重合体)「KRATON G1657MU」(スチレン含有量:13質量%、密度(ISO 1183):0.91/cm3、MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):8g/10分、硬度ショアA(ISO 7619):47、ジブロック体及び/又は水添ジブロック体含有量:30質量%、数平均分子量:1.09×105、水素添加率:90質量%以上)、
C-2:クレイトンポリマー社製 スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン-ブタジエン-スチレン水添ブロック共重合体)「KRATON G1726MU」(スチレン含有量:30質量%、密度(ISO 1183):0.91/cm3、MFR(200℃、5kg(ISO 1133)):65g/10分、硬度ショアA(ISO 7619):70、ジブロック体及び/又は水添ジブロック体含有量:70質量%、数平均分子量:1.45×105、水素添加率:90質量%以上)
[積層体の作製]
易開封性(イージーピール性)を確認するために、各原料成分を表-1に示す配合割合で二軸押出機を用い、160~200℃で混練し、三層フィルム成形機を用い、ポリエチレン系樹脂(日本ポリエチレン社製 「ノバテック(登録商標) SF8402」)と、成形温度200~220℃でそれぞれ共押出を行うことで、厚さ50μm(ヒートシール層:20μm/ポリエチレン系樹脂層:30μm)の積層体を作製した。
評価用フィルムの作製に用いたPETフィルムとしては、東洋紡社製「東洋紡ポリエステルフィルム」(厚さ25μm)を用い、接着剤としては、東洋モートン社製二液硬化型ポリウレタン系接着剤の主剤「TM329」と硬化剤「CAT-8B」を酢酸エチルで希釈したものを用いた。
PETフィルムの一方の面にコーター(テスター産業製)を用いて接着剤を塗布し、溶剤を蒸発させた後、この接着剤塗布面に上記で作製した積層体のポリエチレン系樹脂層のヒートシール層が積層されていない面を張り合わせ、40℃のオーブン中にて1昼夜乾燥させて、各々評価フィルムとした。
各評価用フィルムを50mm×100mmの大きさに切り出し、2枚の評価用フィルムのヒートシール層同士が合わさるように置いた。ヒートシーラー((有)佐川製作所製)を用いて以下の条件でヒートシールを行って、評価用フィルムの長さ方向の中央部分を10mmの幅にヒートシールした。
圧力:0.2MPa
時間:1.0秒
シールバー:10mm
温度:120~160℃
上記ヒートシールした積層体から幅15mm、長さ50mmの試験片を5片作成した。これらの試験片について23℃の温度および50%の相対湿度の雰囲気下で引張速度300mm/minで180度剥離させた時の剥離強度の平均値を測定し、試験片5片の平均値をもってヒートシール強度を評価した。結果を表-1に示した。このヒートシール強度は1~20N/15mm程度であることが易開封性とヒートシール強度との両立の面で好ましい。
上記の160℃でのヒートシール強度測定の際に、剥離外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。結果を表-1に示す。
○:剥離した際に、糸引きがなく、剥離外観が良好である。
△:剥離した際に、若干の糸引きがあるが、剥離外観が良好である。
×:剥離した際に、糸引きが発生しかつ滑らかな剥離外観が得られない。
表-1に示すように、(C)成分であるジブロック体(及び/又は水添ジブロック体)含有量が20質量%以上のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いた本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなる易開封性容器に該当する実施例1~5は、高温のヒートシール温度において易開封性とヒートシール強度との両立が可能なヒートシール強度を得ることができると共に、剥離時における剥離外観が優れる。一方、(C)成分を用いていない比較例1は剥離時において良好な剥離外観が得られない。
Claims (4)
- 基材層及びヒートシール層を含む積層体からなり、該積層体のヒートシール層同志が接合されることにより形成された容器において、該ヒートシール層が、下記(A)~(C)成分を含み、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対し、(A)成分を45~70質量部、(B)成分を20~40質量部、(C)成分を3~20質量部含有する、熱可塑性樹脂組成物よりなることを特徴とする易開封性容器。
(A)成分:ポリオレフィン
(B)成分:ポリスチレン系樹脂
(C)成分:ビニル芳香族化合物を主体とする単量体の重合体ブロックPの少なくとも1個と、共役ジエンを主体とする単量体の重合体ブロックQの少なくとも1個とを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのブロック共重合体よりなり、重合体ブロックQを構成する単量体がブタジエン単独であり、該ブロック共重合体に含まれるジブロック共重合体の合計量が20質量%以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー - 前記熱可塑性樹脂組成物が、(A)成分として、密度が0.860~0.930g/cm3のポリエチレンを含む、請求項1に記載の易開封性容器。
- 前記(C)成分のスチレン含有量が8~40質量%である、請求項1又は2に記載の易開封性容器。
- 前記容器が袋である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の易開封性容器。
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