JP2003246347A - イージーピール性積層蓋材 - Google Patents

イージーピール性積層蓋材

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JP2003246347A
JP2003246347A JP2002047043A JP2002047043A JP2003246347A JP 2003246347 A JP2003246347 A JP 2003246347A JP 2002047043 A JP2002047043 A JP 2002047043A JP 2002047043 A JP2002047043 A JP 2002047043A JP 2003246347 A JP2003246347 A JP 2003246347A
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JP
Japan
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ethylene
polymer
easy
elution
temperature
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JP2002047043A
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English (en)
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Tokinori Imayama
時憲 今山
Hiroshi Kasahara
洋 笠原
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Japan Polyolefins Co Ltd
Original Assignee
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンカーコート剤等の接着剤なしでもイージ
ーピール性積層蓋材を構成する各層間の接着性が優れ、
薄肉化が可能でかつ製造も容易なイージーピール性積層
蓋材を提供する。 【解決手段】 基材層(I)11と、基材層(I)11
に接し、特定のエチレン(共)重合体(A)100〜1
0重量%および他のポリオレフィン系樹脂(B)0〜9
0重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物の組成
物層(II)12とを有し、前記エチレン(共)重合体
(A)がシングルサイト系触媒の存在下に製造されたも
のであり、エチレン(共)重合体(A)の密度が0.8
6〜0.97g/cm3 、メルトフローレートが0.1
〜200g/10分であるイージーピール性積層蓋材1
0。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通称イージーピー
ルと呼ばれ、食品、産業資材、日用雑貨などの分野で使
用される包装資材において、蓋材として使用されるイー
ジーピール性積層蓋材に関し、詳しくは、アンカーコー
ト剤等の接着剤を用いることなく、積層蓋材を構成する
各層間の接着性が優れ、薄肉化が可能で、かつ製造も容
易なイージーピール性積層蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】食品、産業資材、日用雑貨などありとあ
らゆる分野において、内容物の保護や保存のために、シ
ール性のよいヒートシール層(シーラント層)を有する
包装用積層体が、蓋材として使用されている。このよう
な積層体には、ヒートシールによる密封時に、十分なシ
ール強度が要求される。しかしながら、このような積層
体の中には、人力で開封困難もしくは開封不可なものも
含まれている。
【0003】近年、このような包装用積層体に対して、
シール時におけるシール強度(密封性)を満足するとと
もに、開封時において容易に開封できるイージーピール
性(易剥離性)が要求されている。そして、実用的な密
封性とイージーピール性を兼ね備えた種々のイージーピ
ール性積層体が実用化されている。また、特開昭60−
239238号、特開昭62−109768号、特開平
8−295003号等の多くの方法が提案されている。
【0004】このようなイージーピール性積層体は、食
品・非食品を問わず世界中で広範に利用されている優れ
た包装資材である。この積層体を使用した包装形態は、
衛生管理、品質管理、安全管理といった目的で拡大しつ
つある。このような包装形態としては、例えば、食品分
野においては、食肉、スライスハムなどを入れた深絞り
の容器本体(底材)とイージーピール性積層体からなる
蓋材とを容器本体周辺部でヒートシールした包装形態、
カップ麺、プリン、ヨーグルト、スナック菓子などをい
れたカップ状の容器本体とイージーピール性積層体から
なる蓋材とを容器本体の開口周縁部でヒートシールした
包装形態などが挙げられる。
【0005】図5は、プリン、ヨーグルトなどに用いら
れるカップ状の容器の一例を示す断面図である。この容
器21は、カップ状の容器本体22と、該容器本体21
の上面に、周辺部がヒートシールされた積層蓋材23と
から構成されるものである。また、積層蓋材23は、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)等の二軸延伸フィ
ルムからなる基材層24と、該基材層24にアンカーコ
ート剤からなるアンカーコート層25を介して接着され
た中間層26と、該中間層26に接する、ヒートシール
材からなるヒートシール層27とからなるものである。
【0006】積層蓋材23における中間層26は、ポリ
オレフィン系樹脂などからなり、ヒートシール時にヒー
トシール層27と容器本体22との界面にかかる熱と圧
力を均一にして、ヒートシール層27と容器本体22と
の間のヒートシール強度が均一になるようにするための
層である。このようにヒートシール層27と容器本体2
2との間のヒートシール強度を均一にすることにより、
積層蓋材23を容器本体22から開封時に均一に剥離す
ることができ、滑らかな剥離感が得られる。また、部分
的にシール強度が強くなりすぎることもなく、無理に開
封しようとして内容物が飛散してしまったり、手の力の
弱い幼児・老人による開封が困難になるということもな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この積層蓋材23にお
いて、基材層24に使用されるPET等の二軸延伸フィ
ルムと、中間層26に使用されるオレフィン系樹脂とは
接着性に乏しいため、これらはアンカーコート剤を介し
て積層する必要がある。しかしながら、このアンカーコ
ート剤には溶剤が含まれているため、積層蓋材23の製
造の際には、揮発した溶剤によって作業環境が悪化する
という問題があった。また、溶剤を取り扱うため、火災
予防に細心の注意を払う必要があった。また、換気設備
を整える必要があり、このような設備に対する負担によ
って製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】また、この積層蓋材23は、主に基材層2
4、中間層26およびヒートシール層27からなる3層
構造のフィルムであるため厚肉であり、使用後に廃棄さ
れる積層蓋材の量の低減や、材料コストの低減の観点か
ら、薄肉化が求められている。また、この積層蓋材23
は、3層構造のフィルムであるため製造工程が複雑にな
り、製造コストがかさむという問題もあった。
【0009】よって、本発明の目的は、アンカーコート
剤等の接着剤を用いることなく、積層蓋材を構成する各
層間の接着性が優れ、薄肉化が可能で、かつ製造も容易
なイージーピール性積層蓋材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のイー
ジーピール性積層蓋材は、基材からなる基材層(I)
と、該基材層(I)に接し、エチレン(共)重合体
(A)100〜10重量%および他のポリオレフィン系
樹脂(B)0〜90重量%を含有するポリオレフィン系
樹脂組成物からな組成物層(II)とを有し、前記エチレ
ン(共)重合体(A)が、シングルサイト系触媒の存在
下に製造されたものであり、該エチレン(共)重合体
(A)の(a)密度が0.86〜0.97g/cm3
(b)メルトフローレートが0.01〜200g/10
分であることを特徴とする。
【0011】また、前記エチレン(共)重合体(A)
は、下記(a)から(d)の要件を満足するものである
ことが望ましい。 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、 (b)メルトフローレートが0.01〜200g/10
分、 (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、 (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
の差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を
満足すること (式1) T75−T25≦−670×d+644
【0012】また、前記エチレン(共)重合体(A)
は、さらに下記(e)の要件を満足することが望まし
い。 (e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
の差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を
満足すること (式2) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3のとき T75−T25≧0
【0013】また、前記エチレン(共)重合体(A)
は、さらに下記(f)および(g)の要件を満足するエ
チレン(共)重合体(A1)、または、さらに下記
(h)および(i)の要件を満足するエチレン(共)重
合体(A2)であることが望ましい。 (f)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
B)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフロー
レート(MFR)が下記(式3)および(式4)の関係
を満足すること (式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (式4)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが複数個存在すること(h)連続
昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲
線のピークが一つであること (i)融点ピークを1ないし2個以上有し、かつそのう
ち最も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を
満足すること (式5) Tml≧150×d−19
【0014】また、前記エチレン(共)重合体(A2)
は、さらに下記(j)の要件を満足することが望まし
い。 (j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式6)を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
【0015】また、前記エチレン(共)重合体(A)中の
(k)ハロゲン含有量が10ppm以下であることが望
ましい。また、本発明のイージーピール性積層蓋材にお
いては、前記ポリオレフィン系樹脂組成物に、(l)実
質的に添加剤が配合されていないものであることが望ま
しい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のイージーピール性積層蓋材の一例を示
す断面図である。このイージーピール性積層蓋材10
は、基材からなる基材層(I)11と、該基材層(I)
11に接する、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる組
成物層(II)12とを有して概略構成されるものであ
る。
【0017】本発明における基材層(I)に用いられる
基材とは、フィルムまたはシート、板状体等を包含する
ものである。このような基材としては、例えば、ポリプ
ロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリカーボネート等のプラスチックフイルム
またはシート(これらの延伸物、印刷物、金属等の蒸着
物等の二次加工したフイルム、シートを包含する)、ア
ルミニウム、鉄、銅、これらを主成分とする合金等の金
属箔または金属板、セロファン、紙、織布、不織布等が
用いられる。
【0018】中でも、イージーピール性積層蓋材10用
の基材としては、耐熱性に優れ、機械的強度、剛性、ガ
スバリヤー性等の点から、ポリエチレンテレフタレート
(PET)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6等のポ
リアミド系樹脂およびポリプロピレン系樹脂等の二軸延
伸フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等が
好適に用いられる。
【0019】本発明における組成物層(II)は、ヒート
シールによって容器本体にイージーピール性積層蓋材を
接着するための層であるとともに、ヒートシール時に組
成物層(II)と容器本体との界面にかかる熱と圧力を均
一にし、組成物層(II)と容器本体との間のヒートシー
ル強度が均一になるようにするための層である。
【0020】この組成物層(II)は、エチレン(共)重
合体(A)100〜10重量%および他のポリオレフィ
ン系樹脂(B)0〜90重量%を含有するポリオレフィ
ン系樹脂組成物からなるものである。そして、組成物層
(II)に使用されるエチレン(共)重合体(A)は、シ
ングルサイト系触媒の存在下に製造されたものであり、
該エチレン(共)重合体(A)の(a)密度は0.86
〜0.97g/cm3 、(b)メルトフローレートが
0.01〜200g/10分であるものである。
【0021】エチレン(共)重合体(A)は、エチレン
と炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のα−オ
レフィンとを共重合させることにより得られるものであ
る。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピ
レン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンな
どが挙げられる。また、これらα−オレフィンの含有量
は、合計で通常30モル%以下、好ましくは3〜20モ
ル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0022】エチレン(共)重合体(A)の(a)密度
は、0.86〜0.97g/cm3の範囲であり、好ま
しくは0.89〜0.94g/cm3 の範囲、さらに好
ましくは0.90〜0.94g/cm3 の範囲である。
密度が0.86g/cm3 未満では、剛性(腰の強
さ)、耐熱性が劣るものとなる。また、密度が0.97
g/cm3 を超えると、引裂強度、耐衝撃性等が不十分
となる。
【0023】エチレン(共)重合体(A)の(b)メル
トフローレート(以下、MFRと記す)は、0.01〜
200g/10分の範囲であり、好ましくは0.1〜1
00g/10分、さらに好ましくは1.0〜80g/分
の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では、
成形加工性が劣るものとなる。また、MFRが200g
/10分を超えると、引裂強度、耐衝撃性等が劣るもの
となる。
【0024】また、エチレン(共)重合体(A)は、下
記(c)および(d)の要件をさらに満足するものであ
ることが好ましい。エチレン(共)重合体(A)の
(c)分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5
〜4.5、より好ましくは2.0〜4.0、さらに好ま
しくは2.5〜3.0の範囲である。Mw/Mnが1.
5未満では、成形加工性が劣るものとなる虞がある。M
w/Mnが4.5を超えると、引裂強度、耐衝撃性等が
不十分となる虞がある。
【0025】ここで、エチレン(共)重合体の分子量分
布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグ
ラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数
平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)
を算出することにより求めることができる。
【0026】エチレン(共)重合体(A)は、例えば、
図2に示すように、(d)連続昇温溶出分別法(TRE
F)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求
めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が
溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下
記(式1)の関係を満足するものが好ましい。 (式1) T75−T25≦−670×d+644 T75−T25と密度dが上記(式1)の関係を満足しない
場合には、低温ヒートシール性が劣るものとなるおそれ
がある。
【0027】このTREFの測定方法は下記の通りであ
る。まず、試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキ
シトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重
量%となるように加え、140℃で加熱溶解する。この
試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注
入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試
料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムに
ODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃
/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させ
る。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレン
の非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を
赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。
この値から、溶液中のエチレン(共)重合体の濃度を定
量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TRE
F分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶
出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検
出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0028】また、エチレン(共)重合体(A)は、さ
らに、(e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶
出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の2
5%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度
75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の
関係を満足することが好ましい。 (式2)d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3のとき T75−T25≧0 T75−T25と密度dが上記(式2)の関係を満足する場
合には、ヒートシール強度、耐熱性、ホットタック性等
が良好となる。
【0029】エチレン(共)重合体(A)は、さらに後
述の(f)および(g)の要件を満足するエチレン
(共)重合体(A1)、または、さらに後述の(h)お
よび(i)の要件を満足するエチレン(共)重合体(A
2)のいずれかであることが好ましい。
【0030】エチレン(共)重合体(A1)の(f)2
5℃におけるODCB可溶分の量X(重量%)と密度d
およびMFRは、下記(式3)および(式4)の関係を
満足しており、 (式3)d−0.008logMFR≧0.93の場
合、 X<2.0 (式4)d−0.008logMFR<0.93の場
合、 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足しており、好ましくは、 d−0.008logMFR≧0.93の場合、 X<1.0 d−0.008logMFR<0.93の場合、 X<7.4×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足しており、さらに好ましくは、 d−0.008logMFR≧0.93の場合、 X<0.5 d−0.008logMFR<0.93の場合、 X<5.6×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足している。
【0031】ここで、上記25℃におけるODCB可溶
分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5
gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、
試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶
液を25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィ
ルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるこの
ろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波
数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め
作成した検量線により試料濃度を算出する。この値よ
り、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0032】25℃におけるODCB可溶分は、エチレ
ン(共)重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量
成分であり、耐熱性の低下や成形体表面のべたつきの原
因となり、衛生性の問題や成形体内面のブロッキングの
原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。O
DCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの
含有量および分子量、即ち、密度とMFRに影響され
る。従ってこれらの指標である密度およびMFRとOD
CB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体
全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示
す。
【0033】また、エチレン(共)重合体(A1)は、
(g)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶
出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在する
ものである。この複数のピーク温度のうち高温側のピー
クは85℃から100℃の間に存在することが特に好ま
しい。このピークが存在することにより、融点が高くな
り、また結晶化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性
が向上する。
【0034】ここで、エチレン(共)重合体(A1)
は、図3に示されるように、連続昇温溶出分別法(TR
EF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質
的にピークが複数個の特殊なエチレン(共)重合体であ
る。一方、図4のエチレン(共)重合体は、連続昇温溶
出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲
線において実質的にピークを1個有するエチレン(共)
重合体であり、従来の典型的なメタロセン系触媒による
エチレン(共)重合体がこれに該当する。
【0035】本発明におけるエチレン(共)重合体(A
2)は、図5に示すように、(h)連続昇温溶出分別法
(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一
つである。
【0036】また、本発明におけるエチレン(共)重合
体(A2)は、(i)融点ピークを1ないし2個以上有
し、かつそのうち最も高い融点Tmlと密度dが、下記
(式5)の関係を満足するものである。 (式5) Tml≧150×d−19 融点Tm1と密度dが上記(式5)の関係を満足しない
と、耐熱性が劣るものとなるおそれがある。
【0037】また、エチレン(共)重合体(A2)の中
でも、さらに下記(j)の要件を満足するエチレン
(共)重合体が好適である。 (j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3 MTとMFRが上記(式6)の関係を満足することによ
り、フィルム成形等の成形加工性が良好なものとなる。
【0038】ここで、エチレン(共)重合体(A2)
は、図5に示されるように、TREFピークが1つであ
るものの、従来の典型的なメタロセン系触媒によるエチ
レン(共)重合体は上記(式2)を満足せず、従来の典
型的なメタロセン系触媒によるエチレン(共)重合体と
は区別されるものである。
【0039】本発明のエチレン(共)重合体(A)は、
シングルサイト系触媒の存在下に、エチレンまたはエチ
レンとα−オレフィンとを(共)重合させて得られる直
鎖状のエチレン(共)重合体である。このような直鎖状
のエチレン(共)重合体は、基材等に対する接着性に優
れている。また、分子量分布および組成分布が狭いた
め、機械的特性に優れ、ヒートシール性、耐熱ブロッキ
ング性等に優れ、しかも耐熱性の良い重合体である。
【0040】本発明におけるシングルサイト系触媒とし
ては、従来の典型的なメタロセン触媒の他に、CGC触
媒等が挙げられ、少なくとも共役二重結合を持つ有機環
状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒
が挙げられるが、特に本発明のエチレン(共)重合体
(A)は以下のa1〜a4の化合物を混合して得られる
触媒で製造することが望ましい。 a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表
される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハ
フニウムを示し、R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜
24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト
配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、
ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1
ハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p
≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の
範囲を満たす整数である) a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される
化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4
およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X
2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素
原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限
る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそ
れぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であ
り、かつ、0≦m+n≦zである) a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物 a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物および/またはホウ素化合物
【0041】以下、さらに詳説する。上記触媒成分a1
の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表され
る化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフ
ニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるも
のではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の
耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ま
しい。R1 およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化
水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましく
は1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;
ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナ
フチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、
フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニ
ルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙
げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,
4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾ
イルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子また
はその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素およ
び臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞ
れ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q
+r≦4の範囲を満たすを整数である。
【0042】上記触媒成分a1の一般式で示される化合
物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエ
チルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テト
ラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロ
ジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブ
トキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブ
トキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキ
シジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZ
r(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合
して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタ
ンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナ
ト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導
体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)
クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジ
オナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペ
ンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ
(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイド
ジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n
−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジ
オナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタ
ンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベ
ンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメ
タナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイ
ルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ
(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコ
ニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジ
ルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロ
ポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)
ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等があげられる。
【0043】上記触媒成分a2の一般式Me24 m(O
5n2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期
律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、
アルミニウムなどである。R4およびR5 はそれぞれ炭
素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜1
2、さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケ
ニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル
基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベン
ジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベン
ズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などの
アラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があって
もよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などの
ハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただ
し、X2が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニ
ウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限
るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよ
びnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満た
す整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0044】上記触媒成分a2の一般式で示される化合
物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなど
の有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチ
ルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチ
ルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合
物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合
物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボ
ロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチ
ルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセス
キクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジ
エチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウ
ム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0045】上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有
機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ま
しくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を
1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好まし
くは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化
水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的
には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル
基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を
2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜
3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4
〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有
する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に
1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリ
ウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物
が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロ
ペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0046】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物
がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは
2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用い
られる。
【0047】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式で表示することができる。 ALSiR4-L ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペン
タジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示
される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアル
キル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブト
キシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール
基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基
などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好まし
くは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1
≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0048】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の
具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペン
タジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロ
ペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、1,3−ジ
メチルシクロペンタジエン、1−メチル−3−エチルシ
クロペンタジエン、1−メチル−3−プロピルシクロペ
ンタジエン、1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエ
ン、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエン、ペン
タメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−
1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプ
タトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオク
タテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレ
ンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換
シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビ
スシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジ
エニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニル
シラン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0049】触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む
変性有機アルミニウムオキシ化合物とは、アルキルアル
ミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常ア
ルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化
合物が得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは
1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変
性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもい
ずれでもよい。
【0050】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との
反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2
/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ま
しい。
【0051】ホウ素化合物としては、テトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム、トリ
エチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ
メチルアニリニウム、ジメチルアニリニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウム
テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−
ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ
(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテ
トラキスペンタフルオロボレート、フェロセニウムテト
ラキスペンタフルオロボレート、トリスペンタフルオロ
ボラン等が挙げられる。中でも、N,N’−ジメチルア
ニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト、トリチルテトラキスペンタフルオロボレート、フェ
ロセニウムテトラキスペンタフルオロボレート、トリス
ペンタフルオロボランが好適である。
【0052】上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使
用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒
子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが
望ましい。該無機物担体および/または粒子状ポリマー
担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属
塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体
に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミ
ニウム、ニッケルなどが挙げられる。具体的には、Si
2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23
CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混
合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V
25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2
MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの
中でもSiO2およびAl23からなる群から選択され
た少なくとも1種の成分を主成分とするものが好まし
い。また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリ
オレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポ
リノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物
等が挙げられる。
【0053】上記無機物担体および/または粒子状ポリ
マー担体は、このまま使用することもできるが、好まし
くは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化
合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いる
こともできる。
【0054】エチレン(共)重合体(A)の製造方法
は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相
重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実
質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示
される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製
造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は
通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さら
に好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧
法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましくは常
圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常15
00kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低中圧
法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間
程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好
ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一
段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧
力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階
以上の多段重合法など特に限定されるものではない。特
に好ましい製造方法としては、特開平5−132518
号公報に記載の方法が挙げられる。
【0055】エチレン(共)重合体(A)は、上述の触
媒成分の中に塩素等のハロゲンのない触媒を使用するこ
とにより、(k)ハロゲン濃度としては多くとも10p
pm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは
実質的に含まない2ppm以下(ND:Non−Det
ect)のものとすることが可能である。このような塩
素等のハロゲンフリーのエチレン(共)重合体を用いる
ことにより、従来のような酸中和剤(ハロゲン吸収剤)
を使用する必要がなくなり、化学的安定性、衛生性が優
れ、特に食品用包装材料等の分野において好適に使用さ
れるクリーンなイージーピール性積層蓋材およびこのイ
ージーピール性積層蓋材を用いた容器を提供することが
できる。
【0056】他のポリオレフィン系樹脂(B)として
は、高圧ラジカル重合法によって得られた低密度ポリエ
チレン(LDPE)、エチレン・ビニルエステル共重合
体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘
導体との共重合体などが挙げられる。
【0057】前記LDPEのMFRは、0.01〜10
0g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分、さ
らに好ましくは1.0〜30g/10分の範囲である。
この範囲であれば、メルトテンションが適切な範囲とな
り、成形加工性が向上する。また、LDPEの密度は、
0.91〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.
91〜0.935g/cm3 の範囲である。この範囲で
あれば、メルトテンションが適切な範囲となり、成形加
工性が向上する。LDPEのメルトテンションは、1.
5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは
3〜15gである。また、LDPEの分子量分布Mw/
Mnは、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0であ
る。また、LDPEの分子量分布Mw/Mnは、3.0
〜12、好ましくは、4.0〜8.0である。
【0058】前記エチレン・ビニルエステル共重合体と
は、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分
とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビ
ニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリ
ン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエス
テル単量体との共重合体である。中でも、特に好ましい
ものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。ま
た、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル
0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0
〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特に、
ビニルエステルの含有量は3〜30重量%、好ましくは
5〜25重量%の範囲である。エチレン・ビニルエステ
ル共重合体のMFRは、0.01〜100g/10分、
好ましくは0.1〜50g/10分、さらに好ましくは
1.0〜30g/10分の範囲である。
【0059】前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体としては、エチレン・
(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合
体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソ
プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、
メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中で
も特に好ましいものとして、(メタ)アクリル酸のメチ
ル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができ
る。特に、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は3〜
30重量%、好ましくは5〜25重量%の範囲である。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
との共重合体のMFRは0.01〜100g/10分、
好ましくは0.05〜50g/10分、さらに好ましく
は0.1〜10g/10分である。
【0060】本発明における組成物層(II)は、エチレ
ン(共)重合体(A)100〜10重量%および他のポ
リオレフィン系樹脂(B)0〜90重量%を含有するポ
リオレフィン系樹脂組成物からなるものである。エチレ
ン(共)重合体(A)が10重量%未満、もしくは他の
ポリオレフィン系樹脂(B)が90重量%を超えるもの
は、低温ヒートシール性に劣るものとなる虞が生じる。
上記(A)成分と(B)成分の配合比を適宜選択するこ
とにより、接着性とイージピール性をコントロールする
ことが可能である。
【0061】また、組成物層(II)に用いられるポリオ
レフィン系樹脂組成物に(l)酸化防止剤、アンチブロ
ッキング剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収
剤、有機系あるいは無機系顔料、造核剤、架橋剤などの
公知の添加剤が配合されてない、もしくは、前記樹脂組
成物に添加剤が配合されたとしても、配合された添加剤
が実質的に内容物等の被接触物に移行しない添加剤であ
ることが望ましい。本発明においては、外部に溶出また
は滲出してしまうような添加剤、例えば、内容物が液体
の場合は、該液体に溶出してしまうような添加剤、臭気
が移行してしまう添加剤、あるいは時間とともにフィル
ム表面に偏在するような添加剤等が挙げられ、該添加剤
が、ポリオレフィン系樹脂組成物に含まれていないこと
により、臭いの少なく、衛生的で、クリーンなイージー
ピール性積層蓋材を提供することが可能となる。
【0062】本発明における、実質的に被接触物に移行
しない添加剤とは、有機あるいは無機フィラーのような
充填剤であって、被接触物(内容物等)を変質させず、
かつ本発明のクリーンなイージーピール性積層蓋材の特
性を本質的に阻害しない範囲で添加が可能な添加剤であ
る。また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、
イージピール性を制御するために石油樹脂等の粘着付与
剤を配合しても差し支えない。
【0063】本発明のイージーピール性積層蓋材は、ハ
ロゲンを含まない触媒を用いて製造され、低分子量成分
の少ないエチレン(共)重合体(A)に、酸化防止剤、
酸中和剤等の従来の添加剤を配合しないか、または配合
する添加剤が、実質的に被接触物、内容物に影響を及ぼ
さない添加剤であることから、乳等省令に適合し、乳製
品等の食品分野あるいは容器用の医療用分野、電子部品
等に使用される容器の蓋材に好適である。
【0064】上記エチレン(共)重合体(A)および他
のポリオレフィン系樹脂(B)を、ヘンシェルミキサ
ー、リボンミキサー等により混合するか、混合したもの
をさらにオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、押出機等を用いて混練する方法によって得ることが
できる。混練の温度は、通常、樹脂の融点以上〜350
℃である。
【0065】本発明のイージーピール性積層蓋材を製造
する方法としては、基材上に、ポリオレフィン系樹脂組
成物を押出ラミネートし、基材層(I)上に組成物層
(II)を積層する方法;基材層(I)と組成物層(II)
とをドライラミネート成形によって貼り合わることによ
って基材層(I)上に組成物層(II)を積層する方法;
多層押出成形法;多層インフレ−ション成形法などが挙
げられ、特に押出ラミネート法が好ましい。
【0066】上記押出ラミネート法において、基材上へ
ポリオレフィン系樹脂組成物を押出ラミネートする際の
成形温度は、240〜330℃の範囲、好ましくは26
0〜320℃、さらに好ましくは280〜310℃の範
囲である。また、特に300℃程度以下の比較的低温で
のラミネート時には、基材との貼り合せ面の溶融樹脂を
空気、オゾン等で酸化させておくことが望ましい。ま
た、基材においても貼り合せ面をコロナ放電処理等の表
面処理することが望ましい。上記成形温度が240℃未
満では接着強度が十分でない場合が生じ、330℃を超
える場合には、樹脂の劣化等が生じ好ましくない。
【0067】上記オゾン処理量は、基材の種類、条件等
により、異なるものの、5g/Nm 3×1Nm3/hr〜
100g/Nm3×20Nm3/hrの範囲、好ましくは
10g/Nm3×1.5Nm3/hr〜70g/Nm3×1
0Nm3/hr、さらに好ましくは15g/Nm3×2N
3/hr〜50g/Nm3×8Nm3/hrの範囲で選
択される。また、コロナ放電処理量は、1〜300w分
/m2 の範囲、好ましくは5〜200w分/m2 、さら
に好ましくは10〜100w分/m2 の範囲で選択され
ることが望ましい。特に、オゾン処理とコロナ放電処理
を併用することにより、接着強度を飛躍的に向上させる
ことができる。
【0068】このようなイージーピール性積層蓋材にあ
っては、組成物層(II)に用いられるポリオレフィン系
樹脂組成物が、前述のように基材に直接押出ラミネート
等によって積層されることにより、実用的に十分な接着
強度を発揮するため、アンカーコート剤を使用する必要
がない。そのため、溶剤の使用による作業環境等の汚染
がない。また、アンカーコート剤を使用しないので、イ
ージーピール性積層蓋材中の残留溶剤がない。また、ア
ンカーコート剤を使用することなく十分な接着強度が得
られるので、高速成形が可能となり、かつコストが低減
される。また、接着強度が高いので、油性の内容物等に
よるデラミ等のトラブル発生が低減する。
【0069】また、従来のイージーピール性積層蓋材に
おける中間層に相当する層を、ヒートシール層として用
いているので、従来のイージーピール性積層蓋材におけ
るヒートシール材からなるヒートシール層が不要とな
り、フィルムの薄肉化が可能となる。また、イージーピ
ール性積層蓋材の層の数を、従来の3層から2層に減ら
すことができるので、製造工程が簡略化され、製造が容
易となる。
【0070】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるも
のではない。
【0071】本実施例における試験方法は以下の通りで
ある。 [密度]JIS K6760に準拠した。 [MFR]JIS K6760に準拠した。 [Mw/Mn]GPC(ウォータース社製150C型)
を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カ
ラムとしては東ソー(株)製、GMMHR−H(S)を
使用した。
【0072】[TREF]カラムを135℃に保った状
態で、カラムに試料を注入して0.1℃/分で25℃ま
で降温し、ポリマーをガラスビーズ上に沈着させた後、
カラムを下記条件にて昇温して各温度で溶出したポリマ
ー濃度を赤外検出器で検出した。(溶媒:ODCB、流
速:1ml/分、昇温速度:50℃/hr、検出器:赤
外分光器(波長2925cm-1)、カラム:0.8cm
φ×12cmL(ガラスビーズを充填)、試料濃度:
0.05重量%) [DSCによるTmlの測定]厚さ0.2mmのシートを
熱プレスで成形し、シートから約5mgの試料を打ち抜
いた。この試料を230℃で10分保持後、2℃/分に
て0℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で170
℃まで昇温し、現れた最高温ピークの頂点の温度を最高
ピーク温度Tmlとした。
【0073】[ODCB可溶分量]試料0.5gを20
mlのODCBに加え、135℃で2時間加熱し、試料
を完全に溶解した後、25℃まで冷却した。この溶液を
25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィルタ
ーでろ過してろ液を採取した。赤外分光器により、試料
溶液であるろ液におけるメチレンの非対称伸縮振動の波
数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、あら
かじめ作成した検量線により、ろ液中の試料濃度を算出
した。この値より、25℃におけるODCB可溶分量を
求めた。
【0074】[メルトテンション(MT)]溶融させた
ポリマーを一定速度で延伸したときの応力をストレイン
ゲージにて測定することにより決定した。測定試料は造
粒してペレットにしたものを用い、東洋精機製作所製M
T測定装置を使用して測定した。使用するオリフィスは
穴径2.09mmφ、長さ8mmであり、測定条件は樹
脂温度190℃、シリンダー下降速度20mm/分、巻
取り速度15m/分である。 [ハロゲン濃度]蛍光X線法により測定し、10ppm
以上の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とし
た。10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメ
ンツ(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて
測定し、2ppm以下については、実質的に含まないも
のとし、ND(non−detect)とした。
【0075】実施例に用いた各種成分は以下の通りであ
る。エチレン(共)重合体(A)は次の方法で重合し
た。 [エチレン(共)重合体(A1)] [固体触媒の調製] 〔固体触媒〕電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、
窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラプロポ
キシジルコニウム(Zr(OPr)4 )26gおよびイ
ンデン22gおよびメチルブチルシクロペンタジエン8
8gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミ
ニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温
度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルア
ルモキサンのトルエン溶液(濃度3.3mmol/m
l)を2424ml添加し2時間撹拌した。次にあらか
じめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(表面積30
0m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の
後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性
のよい固体触媒(イ)を得た。
【0076】[気相重合]連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度65℃、全圧20kgf/cm 2 Gで
エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触
媒(イ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンお
よび水素等を所定のモル比に保つように供給して重合を
行い、エチレン共重合体(A11)を得た。その共重合
体の物性の測定結果を表1に示した。
【0077】エチレン(共)重合体(A12)は次の方
法で重合した。 [固体触媒の調製] 〔固体触媒〕電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、
窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラブトキ
シジルコニウム(Zr(OBu)4 )31gおよびイン
デン74gを加え、90℃に保持しながらトリイソブチ
ルアルミニウム127gを100分かけて滴下し、その
後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、
メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度3.3mmo
l/ml)を2424mlを添加し2時間撹拌した。次
にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(表
面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間
攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、
流動性のよい固体触媒(ロ)を得た。
【0078】[気相重合]連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm 2 Gで
エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触
媒(ロ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンお
よび水素を所定のモル比に保つように供給しての重合を
行い、エチレン共重合体(A12)を得た。その共重合
体の物性の測定結果を表1に示した。
【0079】エチレン(共)重合体(A2)は次の方法
で重合した。 [固体触媒の調製] 〔固体触媒〕電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、
窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラプロポ
キシジルコニウム(Zr(OPr)4 )26gおよびイ
ンデン74gおよびメチルプロピルシクロペンタジエン
78gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアル
ミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同
温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチル
アルモキサンのトルエン溶液(濃度3.3mmol/m
l)を2133ml添加し2時間撹拌した。次にあらか
じめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(表面積30
0m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の
後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性
のよい固体触媒(ハ)を得た。
【0080】[気相重合]連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm 2 Gで
エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触
媒(ハ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンお
よび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行
い、エチレン共重合体(A2)を得た。その共重合体の
物性の測定結果を表1に示した。
【0081】[メタロセン触媒によるエチレン・ヘキセ
ン−1共重合体(A3)の製造]窒素で置換した撹拌機
付き加圧反応器に精製トルエンを入れ、次いで、1−ヘ
キセンを添加し、更にビス(n−ブチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロライド、メチルアルモキサ
ン(MAO)の混合液を(Al/Zrモル比=200)
を加えた後、80℃に昇温し、メタロセン触媒を調整し
た。ついでエチレンを張り込み、エチレンを連続的に重
合しつつ全圧を8kg/cm3 に維持して重合を行い、
エチレン・ヘキセン−1共重合体(A3)を製造した。
その共重合体の物性の測定結果を表1に示した。
【0082】[市販のチーグラー系触媒による線状低密
度ポリエチレン(A4)] (LLDPE)密度:0.910g/cm3 、MFR:
10g/10分、コモノマー:4−メチル−ペンテン−
1 上記エチレン共重合体の物性を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】他のポリオレフィン系樹脂(B)として
は、以下のものを用いた。 [高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B
1)] 密度:0.917g/cm3、MFR:7.0g/10分
【0085】基材としては以下のものを用いた。 S1:2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
(ユニチカ製、商品名:エンブレットPET、厚さ25
μm) S2:2軸延伸ポリアミドフィルム(ユニチカ製、商品
名:ONU、厚さ15μm)
【0086】[実施例1〜6]表2に示す各成分をヘン
シェルミキサーにて混合し、田辺工業(株)製、φ50
mm単軸押出機を用いて、樹脂温度200℃、押出量3
5kg/hrの条件下で、溶融混練し、ペレット化し
た。このペレットを、φ90mm径の押出機を有する押
出ラミネート成形機(モダンマシナリー社製)を用い
て、Tダイからニップロールまでの距離120mm、成
形時のダイ直下樹脂温度320℃、ラミネート速度10
0m/分、ラミネート厚さ25μm、コート幅860m
mの条件下で、基材(2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、ユニチカ製、商品名:エンブレットPE
T、厚さ25μm:以下S1と称す)上に、に押し出し
て、押出ラミネーションを行い、イージーピール性積層
蓋材を製造した。この時、放電出力6kW、電極幅1m
のピラー社製コロナ処理機を用いて、押出サンドラミネ
ーションの直前に、インラインコロナ放電処理を行っ
た。
【0087】得られたイージーピール性積層蓋材を40
℃のギヤオーブン中で2日間エージングした後、23℃
の恒温室で1日間状態調整を行った。M方向を長手方向
として、長さ20cm、幅15mmの短冊状のサンプル
をイージーピール性積層蓋材から切り出し、オリエンテ
ック(株)製、万能引張試験機にて基材層(I)と組成
物層(II)との界面における接着強度を、引張速度30
0mm/分、初期チャック間距離50mm、T型剥離の
条件で測定した。また、イージピール性の評価として、
上記蓋材を発泡ポリスチレンのカップ容器に面シール
(シール温度130℃、シール圧力2kg/cm2 、シ
ール時間0.4秒)した後、シール部のイージピール性
を以下の基準により評価してその結果を表2に示した。 ○:糸引き現象がなく、剥離面が美麗である。 △:糸引き現象があったり、剥離面が若干ざらざらす
る。 ×:糸引き現象があり、剥離面がざらざらする。
【0088】[実施例7〜10]各成分を表2に示す組
成に酸化防止剤としてBHT(2,6−ジ−tert−
ブチル−4−メチルフェノール)を配合し、表2に示す
基材を用いた以外は、実施例1と同様にイージーピール
性積層蓋材を製造し、基材層(I)と組成物層(II)と
の界面における接着強度およびイージピール性を評価し
た。結果を表2に示した。ここで、表中の添加剤の添加
量は、(A)成分および(B)成分からなる樹脂成分1
00重量部に対する添加量(重量部)である。
【0089】[実施例11〜13]各成分を表2に示す
組成に酸化防止剤として酸吸収剤としてステアリン酸カ
ルシウムを配合し、表2に示す基材(2軸延伸ポリアミ
ドフィルム(ユニチカ製、商品名:ONU、厚さ15μ
m)を用いた以外は、実施例1と同様にイージーピール
性積層蓋材を製造し、基材層(I)と組成物層(II)と
の界面における接着強度を測定した。結果を表2に示し
た。
【0090】[比較例1〜2]樹脂として低密度ポリエ
チレン(B1)100重量%を用いて実施例7と同様に
して行い、その結果を表2に示した。また、基材をS2
に代えて同様に行いその結果を表2に示した。
【0091】[比較例3]樹脂としてチーグラー系触媒
による線状低密度ポリエチレン(A4)70質量%と低
密度ポリエチレン(B1)30質量%および酸化防止剤
としてBHT、酸吸収剤としてステアリン酸カルシウム
(CaSt)を配合した組成物を用いて、実施例11と
同様にして評価した結果を表2に示した。
【0092】[比較例4〜7]樹脂としてシングルサイ
ト触媒によるエチレン共重合体(A11)、(A1
2)、(A2)、(A3)および低密度ポリエチレン
(B1)を表2に示す割合で配合し、実施例7と同様に
評価した結果を表2に示した。
【0093】
【表2】
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のイージー
ピール性積層蓋材は、基材からなる基材層(I)と、該
基材層(I)に接し、エチレン(共)重合体(A)10
0〜10重量%および他のポリオレフィン系樹脂(B)
0〜90重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物
からなる組成物層(II)とを有し、前記エチレン(共)
重合体(A)が、シングルサイト系触媒の存在下に製造
されたものであり、該エチレン(共)重合体(A)の
(a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、(b)メ
ルトフローレートが0.1〜200g/10分であり、
アンカーコート剤等の接着剤を用いることなく、基材層
(I)と組成物層(II)との間の接着性とイージピール
性が優れている。また、薄肉化が可能であり、製造も容
易である。
【0095】さらに、前記ポリオレフィン系樹脂組成物
に、添加剤を配合せず、もしくは実質的に被接触物に移
行しない添加剤を配合し、また、前記エチレン(共)重
合体中のハロゲン含有量が10ppm以下であれば、ク
リーンなイージーピール性積層蓋材を提供することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のイージーピール性積層蓋材の一例を
示す断面図である。
【図2】 本発明に係るエチレン(共)重合体(A)の
溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図3】 本発明に係るエチレン(共)重合体(A1)
の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図4】 メタロセン系触媒によるエチレン(共)重合
体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図5】 本発明に係るエチレン(共)重合体(A2)
の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図6】 従来のイージーピール性積層蓋材を用いた容
器の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 イージーピール性積層蓋材 11 基材層(I) 12 組成物層(II)
フロントページの続き (72)発明者 笠原 洋 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社技術本部研 究開発センター内 Fターム(参考) 3E084 AA02 AA12 BA01 BA09 CA01 CC01 CC02 CC03 CC04 CC05 CC08 FD13 GB08 3E086 AA01 AB01 AC07 AD24 BA04 BA15 BB51 BB90 CA01 CA11 CA21 CA28 CA35 DA08 4F100 AK03B AK04B AK04J AK42A AL05B AT00A BA02 BA10A BA10B BA15 DA03 EJ38A GB18 JA04B JA06B JA07B JA13B JA20B JL14 YY00B 4J100 AA02P AA03Q AA07Q AA15Q AA16Q AA17Q AA19Q AA21Q DA04 DA05 DA13 DA14 DA15 DA42 FA10 JA58

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材からなる基材層(I)と、該基材層
    (I)に接し、エチレン(共)重合体(A)100〜1
    0重量%および他のポリオレフィン系樹脂(B)0〜9
    0重量%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からな
    る組成物層(II)とを有し、 前記エチレン(共)重合体(A)が、シングルサイト系
    触媒の存在下に製造されたものであり、該エチレン
    (共)重合体(A)の(a)密度が0.86〜0.97
    g/cm3 、(b)メルトフローレートが0.01〜2
    00g/10分であることを特徴とするイージーピール
    性積層蓋材。
  2. 【請求項2】 前記エチレン(共)重合体(A)が、下
    記(a)から(d)の要件を満足することを特徴とする
    請求項1記載のイージーピール性積層蓋材。 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、 (b)メルトフローレートが0.01〜200g/10
    分、 (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、 (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
    溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
    の差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を
    満足すること (式1) T75−T25≦−670×d+644
  3. 【請求項3】 前記エチレン(共)重合体(A)が、さ
    らに下記(e)の要件を満足することを特徴とする請求
    項2記載のイージーピール性積層蓋材。 (e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
    溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
    の差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を
    満足すること (式2) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3のとき T75−T25≧0
  4. 【請求項4】 前記エチレン(共)重合体(A)が、さ
    らに下記(f)および(g)の要件を満足するエチレン
    (共)重合体(A1)であることを特徴とする請求項3
    記載のイージーピール性積層蓋材。 (f)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
    B)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフロー
    レート(MFR)が下記(式3)および(式4)の関係
    を満足すること (式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (式4)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
    logMFR)2+2.0 (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが複数個存在すること
  5. 【請求項5】 前記エチレン(共)重合体(A)が、さ
    らに下記(h)および(i)の要件を満足するエチレン
    (共)重合体(A2)であることを特徴とする請求項3
    記載のイージーピール性積層蓋材。 (h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが一つであること (i)融点ピークを1ないし2個以上有し、かつそのう
    ち最も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を
    満足すること (式5) Tml≧150×d−19
  6. 【請求項6】 前記エチレン(共)重合体(A2)が、
    さらに下記(j)の要件を満足することを特徴とする請
    求項5記載のイージーピール性積層蓋材。 (j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
    (MFR)が、下記(式6)を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
  7. 【請求項7】 前記エチレン(共)重合体(A)中の
    (k)ハロゲン含有量が10ppm以下であることを特
    徴とする請求項1ないし6いずれか一項に記載のイージ
    ーピール性積層蓋材。
  8. 【請求項8】 前記ポリオレフィン系樹脂組成物に、
    (l)実質的に添加剤が配合されていないことを特徴と
    する請求項1ないし7いずれか一項に記載のイージーピ
    ール性積層蓋材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015108259A1 (ko) * 2014-01-15 2015-07-23 주식회사 씰앤팩 개봉 탭을 갖는 용기 봉합체 및 이에 적합한 제조 방법
JP2020093394A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 日本ポリエチレン株式会社 積層体

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