JP3686725B2 - ポリエチレン組成物および容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、衝撃強度、低温ヒートシール性、ヒートシール強度等のヒートシール特性が良好で、抗ブロッキング性に優れたフィルム、および例えばガスバリアー性や強い腰を有する基材と積層することにより、前記特性を備えた積層体の一部に用いられるシーラントフィルムを得るに好適なポリエチレン組成物およびそれを用いた容器に関する。該組成物によるフィルムあるいはフィルムをシーラントに用いた積層体は、例えば漬物、乳製品、レトルト食品あるいは冷凍食品、菓子などの食品あるいは衣類などの各種包装材、医療用薬剤や輸液容器、各種液体輸送用包材、ボトル、容器などに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
昨今、食品包装材、食品包装容器、食品包装袋、衣料品、雑貨等の各種一般容器等においては、内容物の確認等のための透明性をはじめ、柔軟性、耐衝撃性、製袋時の高いヒートシール強度や低温ヒートシール性等のヒートシール特性あるいは殺菌、調理等の水蒸気、煮沸処理等のための耐熱性が要求されている。
また、医療用輸液容器においても、異物の混入の有無の確認や薬剤配合変化を確認するための透明性、水蒸気殺菌処理等のための耐熱性、空気中の微生物の混入の懸念をなくすため、輸液投与時に通気針による外気の導入なしに内容液を完全に排出可能である柔軟性が要求されている。
【0003】
このような各種容器には線状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンなどが用いられている。しかし高圧法低密度ポリエチレンは強度が十分ではなく、線状低密度ポリエチレンは透明性あるいはヒートシール特性が十分ではなかった。また医療用輸液容器にはエチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンなどが用いられている。しかしエチレン・酢酸ビニル共重合体は耐熱性を付与するために架橋することが必要であることや、薬剤がその極性基分子に吸着されること、塩化ビニル樹脂は添加されている可塑剤が薬液へ溶出すること、ポリプロピレンは柔軟性が乏しいこと、また高圧法低密度ポリエチレンは強度が弱いことなどの欠点から、線状低密度ポリエチレンが主に使用されている。
【0004】
線状低密度ポリエチレンを用いた医療用容器としては、低密度エチレン・α−オレフィン共重合体単独(特開昭62−57555号、特開昭62−94165号、特開平3−94756号など)や高圧ラジカル重合低密度ポリエチレンとのブレンド物(特開昭59−203560号や特開平3−168231号、特開平3−29659号など)からなる容器が提案されているが、これらの容器はいずれも耐熱性と同時に透明性や柔軟性を十分に満足するものとはいえない。この線状低密度ポリエチレンの透明性や柔軟性を満足するためには密度を低くする必要があるが、過剰なα−オレフィンの導入は、医療用容器としては好ましくない低結晶成分のブリードアウトを増やしたり、高圧蒸気滅菌処理工程における耐熱性を減少させるなどの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、柔軟性、耐熱性、耐衝撃性に優れると共に、ヒートシール特性や抗ブロッキング性にも優れ、さらに樹脂成分の内容物への溶出が少ないフィルムやシート等に適した組成物およびそれを用いた容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる現状を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、分子量分布が狭く、適度な組成分布を有し透明性、柔軟性に寄与する低結晶成分および耐熱性に寄与する高結晶成分を適度に含む特性の結晶性エチレン・α−オレフィン重合体と他の低密度ポリエチレン等を混合した組成物を用いることにより上記の欠点を解決し、高衝撃強度、低分子量樹脂成分の低溶出および優れた低温ヒートシール性を有し、透明性に優れた組成物が得られることを見いだし本発明に至った。
【0007】
本発明は第1に、典型的なメタロセン系触媒で重合されるエチレン・α−オレフィン共重合体とは異なり、狭い分子量分布と適度な広さの組成分布を有する新規なエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることによって従来のものに比べ透明性に優れ、強度が更に強くなり、低温ヒートシール性が優れ、フィルム表面のべたつきが少ないフィルムが得られる組成物を提供するものである。
本発明は第2に、前記エチレン・α−オレフィン共重合体に、特に、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレンとα・β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体との共重合体、または一般の線状低密度ポリエチレンを添加することによって、さらに柔軟性、加工性に優れたフィルムに好適な組成物を提供するものである。
本発明は第3に、前記エチレン・α−オレフィン共重合体に、特に、高密度ポリエチレンを添加することによって、さらに耐熱性、耐衝撃性に優れ、低分子量成分の溶出の少ない、容器等に好適な組成物を提供するものであり、第4にこれら組成物を用いた容器を提供することが可能であることを見いだし本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、第1に、
(A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体98〜20重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.08〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR)2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)他のエチレン系重合体2〜80重量%からなることを特徴とするポリエチレン組成物である。
【0009】
本発明は第2に、
(A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体98〜20重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.8〜3.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.10〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR)2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)高圧ラジカル重合によって得られた低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体との共重合体、または以下の(キ)〜(ク)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体(ただし、(A)と(B)は異なる)2〜80重量%
(キ)密度が0.860〜0.945g/cm3
(ク)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
からなることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物である。
【0010】
本発明は第3に、
(A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体98〜50重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.8〜3.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.10〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR)2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)以下の(ケ)〜(コ)を満足する高密度ポリエチレン(ただし、(A)と(B)は異なる)2〜50重量%
(ケ)密度が0.945〜0.980g/cm3
(コ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
からなることを特徴とするポリエチレン組成物である。
【0011】
本発明は第4に、
(A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体100〜20重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.8〜3.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.10〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR)2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)他のエチレン系重合体0〜80重量%からなるポリエチレン組成物を必須構成材料とする容器である。
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体はいわゆる典型的なメタロセン系触媒で重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体とは異なる新規なエチレン・α−オレフィン共重合体であり、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれた一種以上との共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0013】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度(ア)は、0.86〜0.96g/cm3 、好ましくは0.88〜0.94g/cm3 の範囲である。密度が0.86g/cm3 未満では製品の剛性や耐熱性が劣り、0.96g/cm3 以上では耐衝撃性が十分でないおそれがある。
【0014】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFR(イ)は0.01〜200g/10min、好ましくは0.1〜100g/10min、さらに好ましくは0.2〜50g/10minの範囲にあることが望ましい。MFRが0.01g/10min未満では成形加工性が劣り、200g/10min以上では強度が低下する。
【0015】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)(ウ)の算出方法は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比Mw/Mnを求めるものである。これらはMw/Mnは1.5〜4.5、好ましくは1.8〜3.5であり、さらに好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.2〜2.8の範囲にあることが望ましい。Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、4.5以上では耐衝撃性が劣る。
【0016】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布パラメーターCb(エ)は1.08〜2.00、好ましくは1.10〜2.00であり、さらに好ましくは1.12〜1.70、より好ましくは1.15〜1.50の範囲にあることが望ましい。1.08未満では密度の割りには剛性が劣り、2.00を超えると、ブロッキングしやすく、ヒートシール特性も不良となり、透明性が低下し、低分子量成分あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみだしが多く衛生上の問題が生じる。
【0017】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布パラメーターCbの測定法は下記の通りである。
すなわち、試料に酸化防止剤を加え、ODCBに試料濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱された溶液をけい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に沈着する。次に、ODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温しながら、試料を溶出させ各温度ごとに試料を分別採取する。この溶液を試料の沈殿剤であるメタノールを加え再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度ごとの試料を得る。各試料の重量分率および分岐度(炭素質1000個あたりの分岐数)を13C−NMRにより測定し求める。
【0018】
溶出温度が30℃から90℃で採取したフラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上では溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わず実測値を用いる。
【0019】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wi を、溶出温度5℃当たりの分岐度bi の変化量(bi −bi-1 )で割って相対濃度ci を求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【数1】
ここで、cj とbj はそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0020】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を記述する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2 はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnと本発明のCbとは、定義および測定方法が異なる。
【0021】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、25℃における(オ)ODCB可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが
d−0.008logMFR≧0.93を満たす場合は、
Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満
d−0.008logMFR<0.93の場合は、
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2 +2.0 好ましくは
X<7.4×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2 +1.0 さらに好ましくは
X<5.6×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2 +0.5
を満足している必要がある。
【0022】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の25℃におけるODCB可溶分(エ)は、下記の方法により測定した。
試料0.5gを20mlのODCBに加え135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却した。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取した。試料溶液のメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、あらかじめ作成した検量線によりろ液中の試料濃度を算出した。この値より、25℃におけるODCB可溶分を求めた。
【0023】
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、衛生上の問題や耐熱性の低下、成形品表面のベタツキの原因となるため該可溶分量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、共重合体のコモノマーの含有量および分子量に影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、α−オレフィンが局所的に高濃度で共重合したものの割合が少ないことを示す。
【0024】
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個ある必要があり、さらにその高温側のピークが85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、成形体の耐熱性が向上する。図1は本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線である。図2はいわゆる一般メタロセン触媒による共重合体の溶出温度−溶出量曲線であり両者は顕著に異なる。
【0025】
本発明にかかわる連続昇温溶出分別法(TREF)の測定方法は下記の通りである。試料に酸化防止剤を加え、ODCBに試料濃度0.05重量%となるように135℃で加熱溶解する。加熱された試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出している試料濃度を、赤外線検出器を用いメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1により連続的に検出する。この値から、溶液中に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体濃度と、溶出温度との関係を求める。TREF分析は極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0026】
本発明の特定の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の製造は、上記(ア)〜(カ)の性状を満足すればよく、好ましくは以下のD1〜D5からなる触媒で重合することが望ましい。
すなわち、D1:一般式Me1 R1 p (OR2 )q X1 4-p-q で表される化合物(式中Me1 はZr,Ti,Hfを示し、R1 およびR2 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1 はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p<4,0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、D2:一般式Me2 R3 m (OR4 )n X2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III族元素、R3 およびR4 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ0≦m+n≦zである)、D3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、およびD4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物、D5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体を相互に接触させて得られる触媒である。
【0027】
上記触媒成分(D1)の一般式Me1 R1 p (OR2 )q X1 4-p-qで表される化合物の式中Me1 は前述のようにジルコニウム、チタン、ハフニウムを示すが、これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR2 は各々炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4,0≦q<4,0≦p+q≦4の範囲を満たし、好ましくは0≦p+q≦4の範囲である。
【0028】
上記触媒成分(D1)一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0029】
上記触媒成分(D2)の一般式Me2 R3 m (OR4 )n X2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期律表第I〜III族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R3 およびR4 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ0≦m+n≦zである。
【0030】
上記触媒成分(D2)の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0031】
上記触媒成分(D3)の共役二重結合を持つ有機環状化合物とは、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0032】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0033】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
AL SiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0034】
上記成分(D3)の有機環状炭化水素化合物の具体例は、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0035】
触媒成分(D4)Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムが得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0036】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0037】
触媒成分(D5)無機物担体および/または粒子状ポリマー担体とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的にはSiO2 、Al2 O3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 O3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al2 O3 、SiO2 −V2 O5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −V2 O5 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr2 O3 等が挙げられる。これらの中でもSiO2 およびAl2 O3 からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このままで使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分(D5)として用いることもできる。
【0039】
本発明の(I)エチレン・α−オレフィン共重合体は、気相法、スラリー法、溶液法等で製造され、一段重合法、多段重合法など特に限定されるものではない。
【0040】
上記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と(B)他のエチレン系重合体を配合して用いると上記の特徴を生かすことができる。
【0041】
本発明の(B)他のエチレン系重合体は、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の遷移金属化合物を含有する固体触媒成分と有機アルミニウム等の助触媒とからなるチーグラー系触媒またはフィリップス系触媒を用いるイオン重合法で得られるエチレン・α−オレフィン共重合体および高圧ラジカル重合によって得られる低密度ポリエチレン(HPLDPE)を含むものである。イオン重合法によるエチレン・α−オレフィン共重合体は密度0.860〜0.945g/cm3 、MFRが0.01〜200g/10minのものであって、具体的には線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。
【0042】
上記(B)他のエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲であって、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等を挙げることができる。
【0043】
さらにもう一つの(B)他のエチレン系重合体は、高圧ラジカル重合によるエチレン重合体あるいはエチレン共重合体などである。好ましくは、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体である。
【0044】
上記低密度ポリエチレン(LDPE)は、MFRは0.1〜20g/10min、好ましくは0.2〜15g/10minである。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形がし易い。また密度は0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは0.912〜0.935g/cm3 、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3 であり、溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3〜20gである。溶融張力は樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であればフィルム成形がし易い。
また、Mw/Mnは3.0〜10、好ましくは4.0〜8.0である。
【0045】
本発明のエチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニル(EVA)を挙げることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特にビニルエステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10min、好ましくは0.3〜10g/10minであり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
【0046】
本発明のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン−(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル(EEA)等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10min、好ましくは0.3〜10g/10minであり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
【0047】
また、本発明の高密度ポリエチレンとは、いわゆるチーグラー系触媒または遷移金属酸化物触媒あるいは類似の触媒のような配位金属触媒または有機金属触媒の存在下、エチレン単独もしくはエチレンと10モル%以下のα−オレフィンとを中、低圧で重合して得られる重合体あるいはこれらの混合物などである。このα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。該HDPEのdは0.945〜0.980g/cm3 の範囲であり、MFRは0.01〜200g/10分、好ましくは0.950〜0.970g/cm3 、MFRは0.1〜50g/10分である。
【0048】
本発明の組成物によるフィルムの透明性、低温ヒートシール性、強度、抗ブロッキング性、低溶出性等を向上させることを目的とする場合には上記(A)特定のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とする組成物で形成することが好ましい。また、これらの特性をある程度保有し、且つ加工性、経済性を考慮した場合には(B)成分を適度に配合することが望ましい。該組成物の好ましい配合割合は(A)成分98〜20重量%、(B)成分は80重量%までである。上記(A)成分の配合量が20重量%未満、(B)成分の配合量が80重量%以上であるとこれらの低温ヒートシール性等の特性が発揮されないおそれがある。
【0049】
本発明の組成物によるフィルムやシートは前記(A)および、または(B)成分を、インフレーション成形法やTダイ成形法等によって成形したもので滑性、抗ブロッキング性、低温ヒートシール性、透明性および機械的強度が強く樹脂成分の包装内容物への低移行性などが優れ、各種包装材、容器等に用いられ、中でもヒートシールして用いられる用途に適している。その厚みは、目的、用途等により異なるが、通常20〜1000μm、好ましくは3〜500μmのものである。
【0050】
該組成物からなるフィルムまたはシートにおいてはヒートシールにより袋状に加工して、中空成形によるものは、そのまま食用油、調味料などの食品容器、各種薬剤保存容器等として用いるのに適している。
【0051】
本発明における容器としては上記成形法により単層あるいはガスバリアー層などの機能を有する層と積層され食用油、調味料、漬物などの食品容器、衣料用品、文房具その他日用雑貨品用の容器や医療用輸液容器等がある。
【0052】
本発明における医療用輸液容器は、単層あるいはガスバリアー層などの機能を有する層と積層され例えば生理食塩液、糖類、動物用ワクチン等の各種輸液用容器および各種薬剤の保存容器を含むものである。これらの容器は、中空成形法によるものは栓等を取り付け、またフィルムまたはシートの場合は端部をヒートシールして袋状の容器とすると柔軟性があり、輸液滴下時に通気針による外気の導入なしに内容液を完全に排出可能となる。
【0053】
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、紫外線防止剤、分散剤などの公知の添加剤を添加することができる。
【0054】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお行った試験法を以下に示す。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
(Tダイフィルム成形条件)
装置 :ユニオンプラスチック(株)製
押出機スクリュー径:30mmφ
Tダイ :面長300mm
スクリュー回転数 :50r.p.m
押し出し量 :4.8kg/hr
ダイリップギャップ:1.2mm
引取速度 :6.1〜6.3m/min
成形樹脂温度 :210〜240℃
フィルム厚み :50μm
メチロール温度 :40℃
スクリーンメッシュ:80メッシュ/120メッシュ/80メッシュ
コロナ処理 :約45dyn/cm
【0059】
【0060】
使用した樹脂の内PE−1〜PE−6については以下の方法で重合した。
(固体触媒の調製)
窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2 Cl2 )28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウム45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この溶液をA液とした。次に窒素下で別の攪拌機付き触媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とした。
次に窒素下で攪拌機付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2 /g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとした。
【0061】
(試料の重合)
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ブテンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。なお、生成した共重合体の物性は表1に示した。
【0062】
(他のエチレン系重合体)
HDPE:高密度ポリエチレン(スラリー法チグラー触媒品、日本ポリオレフィン(株)製)
LL :線状低密度ポリエチレン重合体(気相法チグラー触媒品、コモノマー:ブテン−1、日本ポリオレフィン(株)製)
VL :線状超低密度ポリエチレン重合体(気相法チグラー触媒品、コモノマー ブテン−1、日本ポリオレフィン(株)製)
HPLD:高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製)
EVA :高圧法エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル濃度5%、日本ポリオレフィン(株)製)
EEA :高圧法エチレン−アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル濃度5%、日本ポリオレフィン(株)製)
【0063】
実施例1
樹脂成分(I)PE−1を80重量部および樹脂成分(II)のLLを20重量部、イルガノックス1076(チバガイギー(株)製)0.24重量部、イルガフォス168(チバガイギー(株)製)0.12重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.1重量部を加え、ヘンシェルミキサーで約30秒間均一に混合した後ペレット化し、プレスにて厚さ0.5mmのシートを作成し引張弾性率、引張衝撃試験、ヘイズの測定を行い、さらに前記の条件でTダイ成形を行い50μmのフィルム(原紙)を得てブロッキング強度、低温ヒートシール性を測定した。
【0064】
実施例2〜7
表1および2に示した樹脂を用い実施例1と全く同様の操作を行った。結果を表3に示した。
【0065】
実施例8
PE−1およびHDPEを用い実施例1と同様の条件で得られたフィルムをヒートシールして内容量500mlの容器を作成しその評価を行った。結果を表4に示した。
【0066】
実施例9〜10
表1および2に示した樹脂を用い実施例7と全く同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0067】
比較例1
表2に示したLLのみを用い実施例1と全く同様の操作を行った。結果を表3に実施例に加えて示した。
【0068】
比較例2〜4
表1および2に示した樹脂を用い実施例1と全く同様の操作を行った。結果を表3に示した。
【0069】
比較例5〜7
表1および2に示した樹脂を用い実施例8と全く同様の操作を行った。結果を実施例に加えて表4に示した。
【0070】
【発明の効果】
本発明の組成物は透明性、柔軟性、耐熱性、耐衝撃性に優れると共に、ヒートシール特性や抗ブロッキング性にも優れ、さらに樹脂成分の内容物への溶出が少ないフィルムやシート等に適した組成物である。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体のTREFにより求めた溶出温度−溶出量曲線を示す線図。
【図2】 一般メタロセン触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体のTREFにより求めた溶出温度−溶出量曲線を示す線図。
Claims (11)
- (A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体98〜20重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.08〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR)2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)他のエチレン系重合体2〜80重量%からなることを特徴とするポリエチレン組成物。 - (B)他のエチレン系重合体が、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体との共重合体、または以下の(キ)〜(ク)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1記載のポリエチレン組成物。
(キ)密度が0.860〜0.945g/cm3
(ク)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min - (A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体98〜50重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.8〜3.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.10〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR)2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)以下の(ケ)〜(コ)を満足する高密度ポリエチレン2〜50重量%からなることを特徴とするポリエチレン組成物。(ただし、(A)と(B)は異なる。)
(ケ)密度が0.945〜0.980g/cm3
(コ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min - 前記エチレン・α−オレフィン共重合体の (カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在し、かつその高温側のピークが85〜100℃の間に存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン組成物。
- 前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、下記D1〜D5の触媒形成化合物を相互に接触させて得られる触媒で重合されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン組成物。
<触媒形成化合物>
D1:一般式Me 1 R 1 p (OR 2 ) q X 1 4−p−q で表される化合物
(式中Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R 1 およびR 2 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p<4,0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、
D2:一般式Me 2 R 3 m (OR 4 ) n X 2 z−m−n で表される化合物
(式中Me 2 は周期律表第I〜III族元素、R 3 およびR 4 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X 2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X 2 が水素原子の場合はMe 2 は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe 2 の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ0≦m+n≦zである)、
D3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、および
D4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、
D5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体。 - (A)以下の(ア)〜(カ)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体100〜20重量%
(ア)密度が0.86〜0.96g/cm 3
(イ)メルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10min
(ウ)分子量分布(Mw/Mn)が1.8〜3.5
(エ)組成分布のパラメーターCbが1.10〜2.00
(オ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X( wt %)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)密度dおよびMFRの値がd−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)密度dおよびMFRの値がd−0.008logM
FR<0.93の場合
X<9.8×10 3 ×(0.9300−d+0.0081ogMFR) 2 +2.0
(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在する
および(B)他のエチレン系重合体0〜80重量%からなるポリエチレン組成物を必須構成材料とする容器。 - (A)エチレン・α−オレフィン共重合体の(ア)密度が0.90〜0.93g/cm 3 である請求項6記載の容器。
- ポリエチレン組成物が(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体98〜20重量%、(B)他のエチレン系重合体2〜80重量%からなる請求項6または7記載の容器。
- 前記エチレン・α−オレフィン共重合体の(カ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在し、かつその高温側のピークが85〜100℃の間に存在することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の容器。
- 前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、下記D1〜D5の触媒形成化合物を相互に接触させて得られる触媒で重合されたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の容器。
<触媒形成化合物>
D1:一般式Me 1 R 1 p (OR 2 ) q X 1 4−p−q で表される化合物
(式中Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R 1 およびR 2 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X 1 はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p<4,0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、
D2:一般式Me 2 R 3 m (OR 4 ) n X 2 z−m−n で表される化合物
(式中Me 2 は周期律表第I〜III族元素、R 3 およびR 4 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X 2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X 2 が水素原子の場合はMe 2 は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe 2 の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ0≦m+n≦zである)、
D3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、および
D4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、
D5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体。 - 前記容器が医療用輸液容器である請求項6〜10のいずれか1項記載の容器。
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JPH0931263A (ja) | 1997-02-04 |
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