JP3710562B2 - ラップフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はラップフィルムに関し、さらに詳しくは自己粘着性や耐引き裂き伝播性、突き刺し強度、破断強さ、破断伸び等の機械強度、さらには透明性、延伸性、結束性等に優れたラップフィルムをに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラップフィルムは、スーパーマーケット、デパート等の店舗、飲食店、家庭等で青果、鮮魚、肉類、惣菜、調理品等の食品を、直接またはプラスチックトレー、皿等の上にのせてこれらを包装する包装材として広く用いられている。ラップフィルムには、自己粘着性を有し、ストレッチ包装時に延伸ムラ、延伸切れ(延伸性)等を起こすことなく、かつ突起物に対する強度が強いことが要求されている。
従来これらのラップフィルムとしてはポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等からなるフィルムが一般的に用いられている。
また最近ではこのポリエチレン系樹脂やエチレン・酢酸ビニル共重合体系樹脂の他に、機械的強度、透明性、延伸性、粘着性等に優れることから、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の単独またはエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物や積層物の形で急速に用いられてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
昨今では、食品包装用ラップフィルムの省力化、作業性の簡略化等の観点から、より高度のフィルムが要求され、特に前記LLDPEフィルムの性能、すなわち自己粘着性や耐引裂き伝播性、突き刺し強度、破断強さ、破断伸び等の機械強度、透明性、延伸性、結束性等のより一層の向上が望まれている。本発明の目的はこのような要求を高度に満足するラップフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、特定のパラメーターを満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた単層フィルムあるいは他の樹脂成分との積層フィルムが上記目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明の第1は、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを(共)重合させることにより得られる、下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)100〜20重量%および他のエチレン系(共)重合体(B)0〜80重量部からなるラップフィルムを提供するものである。
(イ)密度が0.86〜0.96g/cm3
(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0
(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下
【0006】
本発明の第2は、前記第1発明の樹脂または樹脂組成物からなるフィルムと、他のフィルムを含む積層フィルムからなることを特徴とするラップフィルムを提供するものである。
本発明のラップフィルムは自己粘着性や耐引裂き伝播性、突き刺し強度、破断強さ、破断伸び等の機械強度、さらには透明性、延伸性、結束性等に優れるという顕著な効果を示す。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移化合物を含む少なくとも1種の触媒の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを(共)重合させることにより得られる下記(イ)〜(ニ)の要件、
(イ)密度が0.86〜0.96g/cm3
(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0
(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下
を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体であって、好ましくは図1に示されるような、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークを1個有し、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む少なくとも1種の触媒下の存在下で得られるメタロセン系触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)および/または図2に示されるような、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊な新規エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)を包含するものである。
【0008】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィンとは、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0009】
また本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の(イ)密度は0.86〜0.96g/cm3 、好ましくは0.90〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲であり、(ロ)メルトフロレート(以下MFRと称す)は0.01〜100g/分、好ましくは0.1〜50g/分、さらに好ましくは0.5〜40g/10分の範囲である。密度が0.86g/cm3 未満のものは柔らかすぎて耐熱性が不良となり、抗ブロッキング性が劣るものとなる。また0.96g/cm3 を越えると硬すぎて、引裂き強度、衝撃落下強度等が低くなる。MFRが0.01g/10分未満では加工性が不良となり、100g/10分を越えると強度が弱いものとなる。
【0010】
一般にエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができ、本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の(ハ)Mw/Mnは、1.5〜5.0の範囲である。
また図1に示されるメタロセン系触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)においては、好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは1.8〜3.5の範囲にあることが望ましい。
さらに、図2に示される特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)においては、好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは1.8〜4.0、より好ましくは2.0〜3.0の範囲にあることが望ましい。
上記Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、5.0を越えるものは耐衝撃性が劣る。
【0011】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の(ニ)組成分布パラメーター(Cb)の測定法は下記の通りである。
すなわち、酸化防止剤を加えたオルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料を濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解した後、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送した後、0.1℃/min の冷却速度で25℃まで冷却し、共重合体試料をセライト表面に沈着する。次に、この試料が沈着されているカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温して行く。すると各温度に対応した溶出成分を含んだ溶液が採取される。この溶液にメタノールを加え、試料を沈澱後、ろ過、乾燥し、各温度における溶出試料を得る。各試料の、重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0012】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0013】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wi を、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi −bi-i )で割って相対濃度ci を求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0014】
【数1】
Figure 0003710562
【0015】
ここで、cj とbj はそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0016】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を表現する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0017】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の(ニ)組成分布パラメーター(Cb)は2.00以下であり、メタロセン系触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)においては、好ましくは1.01〜1.2、さらに好ましくは1.02〜1.18、より好ましくは1.03〜1.17の範囲にあることが望ましい。また本発明の特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)においては、好ましくは1.08〜2.00、さらに好ましくは1. 10〜1.80、より好ましくは1.15〜1.50の範囲にあることが望ましい。
組成分布パラメーター(Cb)が2.00より大きいとブロッキングしやすく、ヒートシール性も不良となり、また低分子量あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみ出しが多く衛生上の問題が生じる。
【0018】
本発明の、特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の(ヘ)25℃におけるODCB可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRの関係は、dおよびMFRの値が、
d−0.008logMFR≧0.93を満たす場合は、
Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、
d−0.008logMFR<0.93の場合は、
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
好ましくは、
X<7.4×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0
さらに好ましくは、
X<5.6×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5
の関係を満足していることが必要である。
【0019】
上記25℃におけるODCB可溶分の量は、下記の方法により測定する。
試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。このろ液のメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0020】
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、衛生性の問題や成形品内面のブロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、コモノマーの含有量および分子量に影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
【0021】
本発明の特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は、(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在し、図1のメタロセン系触媒による重合体(A1)と明確に区別されるものである。この複数のピーク温度は85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、成形体の耐熱性が向上する。
【0022】
本発明にかかわるTREFの測定方法は下記の通りである。試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0023】
本発明の共役二重結合を持つ有機環状化合物とは、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0024】
本発明の共役二重結合を持つ有機環状化合物を用いた例として前記エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)が挙げられ、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含むメタロセン系触媒の存在下にエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより製造されるものである。
このエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を製造する触媒であるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等である。該置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
【0025】
上記炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のアラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基が好ましい。
置換シクロペンタジエニル基の好適なものとしては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニル基、1,3-ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3-n-プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基などが具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジエニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、特に1,3-置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
置換基同士すなわち炭化水素同士が互いに結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニル基等が好適なものとして挙げられる。
【0026】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましい。
該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0027】
周期律表第IV族の遷移金属化合物においてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基などが挙げられる。
【0028】
これらの具体例としては以下のものがある。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジフェニルなどがある。モノアルキルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロライドなどがある。
またモノシクロペンタジエニルチタノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げられる。
【0029】
置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯体、シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0030】
ジルコノセン化合物としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、アルキル置換シクロペンタジエンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロアルキルまたはジハライド錯体、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそれらのジハライド錯体、シリコン、炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0031】
さらに他のメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0032】
本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化合物の例として、下記一般式で示されるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0033】
【化1】
Figure 0003710562
【0034】
式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表し、YはSiR2 、CR2 、SiR2 SiR2 、CR2 CR2 、CR=CR、SiR2 CR2 、BR2 、BRからなる群から選ばれる2価基、Zは−O−、−S−、−NR−、−PR−またはOR、SR、NR2 、PR2 からなる群から選ばれる2価中性リガンドを示す。ただし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、またはY、ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成するものである。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0035】
式1で表される化合物の例としては、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テ トラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが挙げられる。
【0036】
本発明でいう助触媒としては、前記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。
本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0037】
また、触媒は無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr2 3 等が挙げられる。
【0038】
有機アルミニウム化合物として、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0039】
本発明の共役二重結合を持つ有機環状化合物を用いた他の例として特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造には、好ましくは以下のa1 〜a5 の重合触媒で重合することが望ましい。
a1 :一般式Me1 1 p (OR2 q 1 4-p-qで表される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1 およびR2 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X1 はハロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦p+q ≦4の範囲を満たすを整数である)
a2 :一般式Me2 3 m (OR4 n 2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)
a3 :共役二重結合を持つ有機環状化合物
a4 :Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物
a5 :無機担体および/又は粒子状ポリマー担体
を相互に接触させて得られる触媒。
【0040】
以下、さらに詳説する。
上記触媒成分a1 の一般式Me1 1 p (OR2 q 1 4-p-qで表される化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性をより向上させるにはジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR2 はそれぞれ炭素数1〜24、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8の炭化水素基である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞれ、0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たすを整数である。
【0041】
上記触媒成分a1 の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0042】
上記触媒成分a2 の一般式Me2 3 m (OR4 n 2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0043】
上記触媒成分a2 の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0044】
上記触媒成分a3 の共役二重結合を持つ有機環状化合物には、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0045】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0046】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
L SiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基を具体例とする、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0047】
上記成分a3 の有機環状炭化水素化合物の具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0048】
触媒成分a4 のAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウムオキシ化合物と水とを反応させることにより得られる。通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物があり、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0049】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0050】
触媒成分a5 の無機物担体および/または粒子状ポリマー担体としては、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的には、SiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr2 3 等が挙げられる。これらの中でもSiO2 およびAl2 3 からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0051】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物などに接触処理させた後に成分a5 として用いることもできる。
【0052】
上記本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は分子量分布および組成分布が狭いため、機械的強度が強く、ヒートシール性、抗ブロッキング性に優れしかも耐熱性の良い重合体である。
【0053】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造される。より具体的には実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2G、好ましくは常圧〜20kg/cm2Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0054】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体において、重合時の触媒成分を実質的に塩素等のハロゲンを含まないものとすると、得られる重合体にもこれらハロゲンが含まれず、したがって化学的安定性、衛生性が優れ、食品、衛生、医療関連用途に好適である。また電気部品、電線部材、電子レンジに関する包装材料および容器に適用した場合、周辺の金属部品等の錆の発生が抑えられるといった特徴を有する。
【0055】
本発明におけるエチレン系(共)重合体(B)としては、まず、(A)成分とは異なるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体、すなわち従来公知のチーグラー系触媒あるいはフィリップス系触媒等を用いる、高・中・低圧法およびその他の公知の方法によるエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。これは、(A)成分より一般的には分子量分布あるいは組成分布が広く、密度が0.94以上の高密度ポリエチレン(以下HDPEと称す)、密度が0.91〜0.94g/cm3 の線状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cm3 の超低密度ポリエチレン(以下VLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cm3 のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを包含する。
【0056】
上記HDPEとは、密度が0.94〜0.97g/cm3 、好ましくは0.95g/cm3 以上の、公知のチーグラー触媒等を用いてスラリー法、溶液法または気相法による公知のプロセスにより製造されるエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体およびそれらの混合物であり、具体的なα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらのα−オレフィンのうち特に好ましいのは炭素数3〜8のα−オレフィンである。
これらの重合体のMFRは、0.01〜30g/10分、好ましくは0.02〜20g/分の範囲で選択される。
【0057】
上記LLDPEとは、密度が0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲で選択される。
分子量分布(Mw/Mn)は特に限定はないが、3.0〜13、好ましくは3. 5〜8の範囲にあるのが一般的である。
上記LLDPEのα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、さらに好ましくは炭素数6〜12の範囲のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。 上記MFRが0.05g/10分未満では、成形性が悪化し、30g/10分を超えるものは耐衝撃性やヒートシール強度等が低下するおそれを生じる。
【0058】
また上記VLDPEとは、密度が0.86〜0.91g/cm3 、好ましくは0.88〜0.905g/cm3 の範囲のエチレン−α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.01〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲で選択される。該VLDPEは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンであり、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm )60℃以上、好ましくは、100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、LLDPEが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である耐衝撃性、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0059】
また上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3 未満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0060】
さらに本発明におけるエチレン系(共)重合体(B)としては、高圧ラジカル重合法による密度0.91〜0.94g/cm3 のエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられる。
【0061】
上記低密度ポリエチレン(以下LDPEと称す)は、MFRが0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲で選択される。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形等が容易である。該LDPEの密度は0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは0.912〜0.935g/cm3 、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3 の範囲で選択される。
また、分子量分布(Mw/Mn)は3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。これらLDPEの製法は、公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
【0062】
また上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/分の範囲で選択される。
【0063】
さらに上記エチレンとα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/分の範囲で選択される。
【0064】
本発明の第2の積層構造からなるラップフィルムは、前記した樹脂または樹脂組成物からなるフィルムと他のフィルムとの積層体からなり、少なくとも2層の積層体から構成される。該他のフィルムとしては、特に限定されないがラップフィルムとしての透明性、機械強度、経済性等の観点から特にポリオレフィン系樹脂、すなわち前記のエチレン系(共)重合体(B)が使用されとりわけ密度0.94g/cm3 以下の線状低密度ポリエチレン、高圧ラジカル法エチレン(共)重合体が好ましい。またこれら以外にはポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
具体的な積層体の例としては、MLL/LL、MLL/VL、MLL/EVA、MLL/EEA、MLL/LL+LD、MLL/VL+LD、MLL/VL+LL、MLL+LD/EVA、MLL+LL/LL、LL/MLL/LL、LL+LD/MLL/LL+LD、EVA/MLL/EVA、LL+LD/MLL+LD/LL+LD、EVA/LL/MLL+LD、LL/HD+VL/MLL、LL/HD/MLL等が挙げられる。
(ただし、MLL:本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体、LL:従来の線状低密度ポリエチレン、VL:超低密度ポリエチレン、HD:高密度ポリエチレン、LD:高圧ラジカル法低密度ポリエチレン、EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体、EEA:エチレン・アクリル酸エチル共重合体を表す。)
【0065】
本発明のラップフィルムは従来公知の成形方法によりフィルムに成形して得ることができる。
すなわち、単層フィルムの場合は通常のインフレーション成形法、Tダイ成形法、積層フィルムの場合は多層ダイを用いて押出機で溶融された樹脂をダイス先端で接合させ積層構造とする多層インフレーション成形法、多層Tダイ成形法等の共押出成形法等の通常の成形法が適用され特に限定されない。
また積層フィルムは予め成形されたフィルムを基材として、それに押出ラミネーション法、ドライラミネーション法、サンドラミネーション法などによって積層する方法によっても得ることができる。
【0066】
フィルムの厚みは、通常8〜40μm、好ましくは10〜30μmである。該フィルムの厚みが8μm未満では、フィルムの強度や腰の低下によってフィルムの取扱い性が著しく低下し、40μmを越えるとフィルムの引き延ばし時の応力が大きくなりトレーや被包装物を変形してしまうという問題が起こる。
【0067】
本発明で用いる樹脂組成物には必要に応じて、酸化防止剤、紫外線など特定波長の光線を吸収する光線吸収剤、抗ブロッキング剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、耐熱性付与剤、可塑剤などの各種添加剤を適宜配合することが可能である。
【0068】
本発明の特定の条件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体に対しては、滑剤、有機あるいは無機フィラー、粘着付与剤、酸化防止剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、分散剤、核剤、発泡剤、難燃剤、架橋剤などの公知の添加剤を、本願発明の特性を本質的に阻害しない範囲で添加することができる。
これらの添加剤の中でも、滑剤、粘着付与剤、無機フィラーは作業性をより向上させるために好適に用いられる。
滑剤としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、等の脂肪酸アミド;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸ジグリセライド等の脂肪酸グリセリンエステル化合物およびそれらのポリエチレングリコール付加物等が挙げられる。
また無機フィラーとしては、軽質および重質炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ゼオライト、炭酸マグネシウム、長石等が挙げられる。
粘着付与剤としては、ポリブテン、ヒマシ油誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ロジンおよびロジン誘導体、石油樹脂およびそれらの水添物等のタッキファイヤー、ゴム等が挙げられる。これら粘着付与剤は樹脂成分100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜15重量部の範囲で選択される。
顔料としてはカーボンブラック、チタン白等の他、市販の各種着色剤マスターバッチが好適に用いられる。
【0069】
さらに適度の滑り性、帯電防止性、防曇性を得るための添加剤も配合することができる。
具体的には、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート等;グリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート等;ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート等の他、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびこれらのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アミドおよびこれらのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの添加剤は単独あるいは混合組成物として使用されるが、添加量としては通常0.01〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%である。添加量が0.01重量%未満ではフィルムの改質効果が十分ではなく、0.5重量%を越える場合にはフィルム表面への浮き出し量が多く、フィルムがべたつき、その結果、作業性が著しく低下するなどの問題が起こるため好ましくない。
【0070】
【発明の実施の態様】
以下に実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例および比較例において使用した樹脂を以下に示すが、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体については以下の方法で重合した。
【0071】
(A1)成分については次の方法で重合した。
撹拌機を付したステンレス製オートクレーブを窒素置換し精製トルエンを入れ、次いで1−ブテン、あるいは1−ヘキセンを添加し、更にビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.02mmol)、メチルアルモキサン[MAO](MAO/Zr=500[モル比])の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次ぎに、エチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつつ、全圧を維持し1時間重合を行った。なお、各実施例に必要な量は、これらの重合を繰り返して製造した。
【0072】
(A2)成分については次の方法で重合した。
(固体触媒の調製)
窒素下で電磁誘導撹拌機付き触媒調製器(No. 1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2 Cl2 )28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間撹拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の撹拌器付き触媒調製器(No. 2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
次に窒素下で撹拌器付き調製器(No. 1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2 /g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で撹拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0073】
(試料の重合)
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ブテンあるいは1−ヘキセンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行ない、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。
【0074】
(樹脂成分)
(A1):エチレン・α−オレフィン共重合体
A11:エチレン・1−ブテン共重合体
密度=0.913g/cm3 MFR=0.5g/10分
分子量分布(Mw/Mn)=2.3
組成分布パラメーター(Cb)=1.06
TREFピーク温度=83.5℃
A12:エチレン・1−ヘキセン共重合体
密度=0.915g/cm3 MFR=0.8g/10分
分子量分布(Mw/Mn)=2.4
組成分布パラメーター(Cb)=1.05
TREFピーク温度=82.9℃
(A2)成分:エチレン・α−オレフィン共重合体
(A21)エチレン・1−ブテン共重合体
密度=0.910g/cm3 、MFR=0.5g/10分
分子量分布(Mw/Mn)=2.7
組成分布パラメーターCb=1.24
d−0.008logMFR =0.912
ODCB可溶分(%)=3.0 <9.8 ×103 ×(0.9300ーd+0.008logMFR)2+2.0
TREFピーク温度=70.3℃、75.1℃、95.1℃
(A22)エチレン・1−ヘキセン共重合体
密度=0.912g/cm3 、MFR=0.7g/10分
分子量分布(Mw/Mn)=2.6
組成分布パラメーターCb=1.23
d−0.008logMFR =0.913
ODCB可溶分(%)=2.8 <9.8 ×103 ×(0.9300ーd+0.008logMFR)2+2.0
TREFピーク温度=69.7℃、92.1℃
(B1)チーグラー系触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体
(B11)
エチレン・ブテン−1共重合体
密度0.918g/cm3 、MFR0.9g/10分
(B12)
エチレン・ブテン−1共重合体
密度0.900g/cm3 、MFR1.0g/10分
(B2)高圧ラジカル法エチレン(共)重合体
(B21)エチレン−酢酸ビニル共重合体
MFR=2.0g/10分;酢酸ビニル含量=5重量%
(B22)低密度ポリエチレン
密度0.924g/cm3 、MFR1.0g/10分
(B23)エチレン−アクリル酸エチル共重合体
MFR=2.0g/10分;アクリル酸エチル含量=5重量%
(C1)粘着付与剤
ポリブテン(日本石油化学(株)製 HV300)のマスターバッチ(ポリブテン濃度40%)
【0075】
実施例および比較例における試験法は以下のとおりである。
Figure 0003710562
Figure 0003710562
【0076】
【実施例】
実施例1〜8のうち、実施例3、4、7、8が本発明の実施例であり、実施例1、2、5、6は本発明外の参考実施例である。
(実施例1)
前記重合法により得られた樹脂A11を空冷インフレーション成形装置を用いて、厚み20μmのフィルムを成形した。成形条件は次のとおりである。
押出機:内径50mm、スクリューL/D 26
ダイ :外口径100mm、ダイリップ間隙2.0mm
樹脂温:180℃
膨張比:2.0
いずれも食品包装用ラップフィルムに要求される各物性値を満足している。
【0077】
(実施例2〜4)
表1に示した樹脂組成とし、実施例1と同様にフィルム成形を行いフィルム物性評価を行った。結果を併せて表1に示した。
【0078】
(実施例5)
下記の条件で空冷多層インフレーション成形装置を用いて、外層がA11、内層がB21成分となるように成形し、外層10μm、内層10μmの積層フィルムを得た。結果を表1に示した。
外層、中間層、内層各40mmφ押出機、
成形温度 160〜180℃
ブローアップ比 2.5
【0079】
(実施例6〜8)
表1に示した層構成、樹脂組成とし、実施例5と同様にフィルム成形を行いフィルム物性評価を行った。結果を併せて表2に示した。
【0080】
【表1】
Figure 0003710562
【0081】
【表2】
Figure 0003710562
以上実施例1〜8のフィルムは、いずれもラップフィルムに要求される物性を満足している。
【0082】
(比較例1)
樹脂にB21を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表3に示した。引張破断強度、引張伸び、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
(比較例2)
樹脂にB11を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表3に示した。自己粘着性、引裂き強度、ダート衝撃強さ、結束性(保持応力、ストレッチ回復性)で劣るものとなった。
(比較例3)
樹脂にA12とB21を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表3に示した。A12の量が少ないため引張破断強度、引張伸びで劣るものとなった。
(比較例4)
樹脂にA21とB11を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表3に示した。A21成分の量が少ないため、自己粘着性、引裂き強度、ダート衝撃強さ、結束力(保持応力)で劣るものとなった。
【0083】
(比較例5)
樹脂にB11とB21を使用し、その他は実施例5と同様にフィルム評価を行った。結果を表4に示した。A成分を用いていないため自己粘着性、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
(比較例6)
樹脂にB11とB21を使用し、その他は実施例7と同様にフィルム評価を行った。結果を表4に示した。A成分を用いていないため引張破断強度、引張伸びで劣るものとなった。
(比較例7)
樹脂にB11、B12、B21を使用し、その他は実施例7と同様にフィルム評価を行った。結果を表4に示した。A成分を用いていないため引張破断強度、ダート衝撃強さ、結束性(保持応力)で劣るものとなった。
(比較例8)
樹脂にB11、B21、B22、B23を使用し、その他は実施例7と同様にフィルム評価を行った。結果を表4に示した。A成分を用いていないため引張破断強度、ダート衝撃強さ、結束性(ストレッチ回復率)で劣るものとなった。
【0084】
【表3】
Figure 0003710562
【0085】
【表4】
Figure 0003710562
【0086】
【発明の効果】
本発明は、特定の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体をラップフィルムに用いることにより、自己粘着性や耐引裂き伝播性、突き刺し強度、破断強さ、破断伸び等の機械強度、透明性、延伸性、結束性等に優れた、食品包装用に好適なラップフィルムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)のTREF曲線
【図2】 本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)のTREF曲線

Claims (4)

  1. 少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを(共)重合させることにより得られる下記(イ)〜(ヘ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)100〜20重量%および他のエチレン系(共)重合体(B)0〜80重量部からなるラップフィルム。
    (イ)密度が0.86〜0.96g/cm
    (ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分
    (ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0
    (ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.00
    (ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること
    (ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(wt%)と密度d及びMFR(メルトフローレート)が次の関係を満足すること
    a)d−0.008logMFR≧0.93の場合
    X<2.0
    b)d−0.008logMFR<0.93の場合
    X<9.8×10 ×(0.9300−d+0.008logMFR ) +2.0
  2. (ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在し、この複数のピークの高温側の温度が85℃から100℃の間に存在することを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム。
  3. 樹脂成分100重量部に対する粘着付与剤0.1〜20重量部を含有する請求項1または2に記載のラップフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂または樹脂組成物からなるフィルムと他のフィルムを含む積層フィルムからなることを特徴とするラップフィルム。
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