JP4031840B2 - 積層体および容器 - Google Patents
積層体および容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4031840B2 JP4031840B2 JP11534395A JP11534395A JP4031840B2 JP 4031840 B2 JP4031840 B2 JP 4031840B2 JP 11534395 A JP11534395 A JP 11534395A JP 11534395 A JP11534395 A JP 11534395A JP 4031840 B2 JP4031840 B2 JP 4031840B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ethylene
- layer
- group
- density
- olefin copolymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性、柔軟性、耐熱性、口開き性(抗ブロッキング性)、耐衝撃性に優れ、しかも高分岐度あるいは低分子量成分の表面へのにじみ出しが少なく、食用油、調味料などの食品包装材、食品容器などに適した積層体およびこれら積層体からなる医療用輸液容器等の容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今、食品包装材、食品包装容器、食品包装袋等に使用される積層体においては、内容物の確認、異物の混入の有無の確認等のために透明であること、殺菌、調理等の水蒸気、煮沸処理等のための耐熱性、あるいは耐衝撃性、製袋時の高いヒートシール強度および低温ヒートシール性等のヒートシール特性が要求されている。
医療用輸液容器においても、異物の混入の有無の確認や薬剤配合変化を確認するための透明性、水蒸気殺菌処理等のための耐熱性、空気中の微生物の混入の懸念をなくすよう輸液投与時に通気針による外気の導入なしに内容液を完全に排出可能とするための柔軟性が要求されている。
【0003】
従来、このような性能を満たす医療用輸液容器用樹脂としては透明性、柔軟性が優れているエチレン・酢酸ビニル共重合体を架橋した樹脂が最も多く用いられ、さらに塩化ビニル樹脂、中低密度線状ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンなどが用いられている。しかしエチレン・酢酸ビニル共重合体は薬剤がその極性基を有する分子に吸着されるという欠点がある。また塩化ビニル樹脂はさらに添加されている可塑剤が薬液へ溶出するなどの問題が、また高圧法低密度ポリエチレンは強度が弱いという欠点がある。このためエチレン・酢酸ビニル共重合体についで中低密度線状ポリエチレンが広く使用されている。しかし中低密度線状ポリエチレンはこれらの用途に広く用いられているものの、耐熱性と同時に透明性や柔軟性を十分に満足するものとはいえない。この中低密度線状ポリエチレンの透明性や柔軟性を満たすためには密度を低くする必要があるが、密度を低くすると耐熱性が低下したり、樹脂の低分子量成分が溶出したりするなどの問題が発生する。
【0004】
上記欠点を補うために、中低密度線状ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンあるいはこれらの混合物を2層あるいは3層に積層して用いる方法が提案されている(例えば特開平4−266759号、特開平6−171039号、特開平6−246886号)が、なお透明性が不十分であったり、内層を構成している樹脂の低分子量、高分岐度成分が表面にブリードして内層同士がブロッキングしたり、とりわけ高温処理後に内溶液中に混入するなど衛生上の心配がある。また、これらの積層体をヒートシールにより製袋する場合、特に高速でヒートシールする際、そのシール部の強度も充分満足できるまでには至っていないため、落下等によるシール部からの破袋が発生しやすいなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性や柔軟性に優れ、耐熱性や耐衝撃性が強く、しかもヒートシール特性や抗ブロッキング性が優れ、樹脂成分の内容物への溶出が少ない積層体および前記の特性を有した食品包装材、食品包装容器、食品包装袋あるいは医療用輸液容器等の容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、容器の内層および中間層に分子量分布や組成分布が狭い特定の結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体またはこれらにエチレン系重合体を混合した組成物を用いることにより上記の欠点を解決し、透明性、柔軟性、耐熱性および落下強度に優れ、かつ樹脂の溶出成分が少なく食品包装材、食品包装容器、食品包装袋、各種薬剤保存容器等に使用するのに好適な積層体を提供できることを見出し本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、第1に、(A)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を必須成分として含む触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる、密度0.900〜0.940g/cm3、メルトフローレート0.05〜20g/10分、分子量分布(Mw/Mn)1.8〜4.5、組成分布(Cb)1.01〜1.2であるエチレン・α−オレフィン共重合体(I)100〜20重量%および他のエチレン系重合体(III)0〜80重量%からなりエチレン系重合体以外の重合体を含有しない最内層と、
(B)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と助触媒とを含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる、密度が0.920g/cm3以下、メルトフローレート0.05〜20g/10分、分子量分布(Mw/Mn)1.8〜4.5、組成分布(Cb)1.01〜1.2であり、かつエチレン・α−オレフィン共重合体(I)より低い密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(II)100〜20重量%および他のエチレン系重合体(III)0〜80重量%からなりエチレン系重合体以外の重合体を含有しない柔軟性と透明性を有する中間層と、(C)示差走査熱量計で測定した融解ピークが120℃以上を示す、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミドおよびポリエステルから選択される耐熱性を有する最外層からなることを特徴とする積層体である。
【0008】
本発明は第2に、上記(A)層を最内層、(B)層を中間層、(C)層を外層として有する積層体からなる医療用輸液容器等の容器である。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(I)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(II)は、前記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助触媒および有機アルミニウム化合物および/または担体とを含む触媒の存在下にエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる。また、上記触媒に予めエチレンおよび/または前記α−オレフィンを予備重合させて得られるものを触媒に供してもよい。
【0010】
上記α−オレフィンとしては、炭素数3〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1などが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、通常30モル%以下、好ましくは3〜20モル%の範囲で選択されることが望ましい。
【0011】
本発明の上記エチレン・α−オレフィン共重合体(I)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(II)を製造する触媒である(イ)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等がある。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数3〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等がある。該置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同志が互いに結合して環を形成してもよい。
【0012】
上記炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のアラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基が好ましい。
【0013】
置換シクロペンタジエニル基の好適なものとしては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3−n−プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基などが具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジエニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、特に1,3−置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
【0014】
置換基同志すなわち炭化水素同志が互いに結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニル基等が好適なものとして挙げられる。
【0015】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましい。
該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0016】
周期律表第IV族の遷移金属化合物においてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基などが挙げられる。
【0017】
上記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の具体例としては以下のものがある。すなわちモノアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロライドなどがある。ジアルキルメタロセンとしてビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハウニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハウニウムジフェニルなどがある。トリアルキルメタロセンとしてはシクロペンタジエニルチタニウムトリメチル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリフェニル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリネオペンチル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリメチル、シクロペンタジエニルハウニウムトリフェニル、シクロペンタジエニルハウニウムトリネオペンチル、シクロペンタジエニルハウニウムトリメチルなどがある。
【0018】
またモノシクロペンタジエニルチタノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げられる。
【0019】
置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはハライド;ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯体;シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0020】
ジルコノセン化合物としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル;アルキル置換シクロペンタジエンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロアルキルまたはジハライド錯体;ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそれらのジハライド錯体;シリコン、炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0021】
本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化合物の例として、下記一般式で示されるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0022】
【式1】
【0023】
式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子、xは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表し、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−またはOR、SR、NR2、PR2からなる群から選ばれる2価中性リガンド、ZはSiR2、CR2、SiR2SiR2、CR2CR2、CR=CR、SiR2CR2、BR2、BRからなる群から選ばれる2価基を示す。ただし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、またはY、ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成するものである。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0024】
式Iで表される他の周期律表第IV族の遷移金属化合物の例としては、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メチレンチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが挙げられる。
【0025】
本発明の助触媒としては、前記周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衡させうるものをいい、具体的な助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0026】
上記触媒は無機または有機の担体に担持して使用されてもよい。
該担体としては無機または有機の多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2O5、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−MgO、SiO2−Cr2O3等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl2O3からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機担体としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0027】
本発明の有機アルミニウム化合物として、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0028】
周期律表第IV族の遷移金属化合物とは、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましく、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−n−プロピルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられ、特に、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等の1,3−置換シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドが好ましい。
【0029】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(I),(II)は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2G、好ましくは常圧〜20kg/cm2Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0030】
上記触媒で得られる本発明の特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(I)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(II)は分子量分布と組成分布が、極めて狭いものであり、透明性と衝撃強度が優れているとともに、高分岐度低分子量成分が少なく樹脂成分の溶出が少ないことから、衛生性あるいは抗ブロッキング性にも優れ、上記積層体として用いられる本共重合体の特性が発揮されるものである。これらの重合体は、従来のチーグラー型触媒やフィリップス型触媒(総称してチーグラー型触媒という)で得られるこれらのエチレン・α−オレフィン共重合体とは性状が異なるものである。すなわち上記触媒で得られる本発明の特定の(I)エチレン・α−オレフィン共重合体は、触媒の活性点が均一であるため分子量分布と組成分布が狭くなる。このため分岐の分子間での遍在が少なく、分岐をほとんど有しない高結晶性を示す分子や、分岐が極端に多い無定型を示す分子が存在しない。その結果、前記のように透明性や強度、柔軟性に優れ、また密度の割りには融点も相対的に低いためヒートシール特性も優れている。また分子量分布も狭いことから低分子量高分岐度成分の表面へのにじみ出しが少ないためブロッキングしにくく、衛生性にも優れたものとなる。
【0031】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体(I)と所望により、他のエチレン系重合体(III)を配合した樹脂層で構成した容器の最内層として用いられると上記の特徴を生かすことができる。
【0032】
エチレン・α−オレフィン共重合体(I)の密度は0.900〜0.940g/cm3、好ましくは0.910〜0.935g/cm3の範囲である。0.900g/cm3未満であると耐熱性が低下し、積層体のブロッキング性が悪化し、低結晶性低分子量成分の内容物への溶出が多くなる。他方0.940g/cm3を超えるものは透明性が悪くまた柔軟性が無くなる。
【0033】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体(I)のメルトフローレート(MFR)は0.05〜20g/10minが好ましく、更に好ましくは0.1〜10g/10minの範囲である。MFRが0.05g/10min未満であると成形性が不良となり、20g/10minを超えると強度が不足する。
【0034】
また上記エチレン・α−オレフィン共重合体(I)の分子量分布の広さMw/Mnは1.5〜5.0、好ましくは1.8〜4.5の範囲であり、1.5未満のものは成形性が悪く、5.0を超えるものは強度が弱くなる。
【0035】
さらにまた上記エチレン・α−オレフィン共重合体(I)の組成分布の幅を表す指標である組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2である。この範囲を超える場合は積層体がブロッキングしやすく、樹脂表面の樹脂成分のにじみ出しが多く、内容物への移行が多く、衛生上問題が生じる。
【0036】
組成分布パラメーターCbの測定法は以下の通りである。すなわち酸化防止剤を加えたオルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料濃度が0.2重量%となるように試料を135℃で加熱溶解する。この加熱溶液を、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し、0.1℃/minの速度で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に沈着する。次にこのカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温し、試料を溶出させ分別する。溶出液にメタノールを混合し、試料を再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度におけるフラクション試料を得る。各温度における溶出試料の重量分率およびその分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を13C−NMRにより測定する。
【0037】
30℃から90℃のフラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上の成分については溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わず実測値を用いる。
【0038】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi−bi−1)で割って相対濃度ciを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0039】
【式2】
【0040】
ここで、cjとbjはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0041】
ポリマーの組成分布を測定する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号公報では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からはずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明のCbのそれとは異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きな値となる。
【0042】
本発明のチーグラー型触媒または高圧ラジカル重合によるエチレン系重合体(III)は、従来のイオン重合法によるチーグラー型触媒またはフィリップス触媒イオン重合法で得られるエチレン・α−オレフィン共重合体および高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン(HPLDPE)を含むものである。エチレン・α−オレフィン共重合体は密度0.920〜0.965g/cm3、MFRが0.05〜20g/minのものであって、具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。
【0043】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲であって、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
【0044】
他のエチレン系重合体(III)である高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン(HPLDPE)は、MFRは0.1〜20g/min、好ましくは0.5〜15g/min、さらに好ましくは1.0〜10g/minである。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形がし易い。また密度は0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.912〜0.935g/cm3、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3であり、溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。溶融張力は樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であればフィルム成形がし易い。また、Mw/Mnは3.0〜10、好ましくは4.0〜8.0である。
【0045】
該重合体(III)はエチレン・α−オレフィン共重合体(I)と配合され最内層として用いられ、積層体の透明性、耐衝撃性、ヒートシール特性を重視する場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体(I)を主成分とすることが好ましいが、透明性、耐衝撃性、ヒートシール特性をある程度保持し、かつ耐熱性をより向上させるような場合は、密度0.940〜0.965g/cm3の重合体を5〜35重量%配合することが望ましい。また流動性や溶融張力を高くしたい場合はHPLDPEを5〜35重量%配合することが望ましい。
【0046】
エチレン・α−オレフィン共重合体(II)は積層体の中間層を構成するものであり前記したようにエチレン・α−オレフィン共重合体(I)と同様の製造法によって製造されたものであり、同様の特性を有したものであるが、その密度がエチレン・α−オレフィン共重合体(I)より低い値を有するものが使用される。該中間層は積層体の内で最も厚さの比率が大きく積層体の性状を左右するもので、積層体に優れた透明性と柔軟性を付与するものである。
【0047】
エチレン・α−オレフィン共重合体(II)の密度は0.920g/cm3以下、好ましくは0.915g/cm3以下であり、しかもエチレン・α−オレフィン共重合体(I)よりも低いものである必要がある。最内層に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体(I)はブロッキング性や樹脂成分の内容物への移行性が悪化することなどの理由から余り密度を下げることができない。しかし中間層を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(II)は柔軟性や透明性を向上させるため密度を低くする必要がある。このような用途には透明性に優れたエチレン・α−オレフィン共重合体(II)が用いられる。該共重合体は組成分布が狭く短鎖分岐量が極端に多い分子や少ない分子がほとんど存在しないところから透明性が優れたものであると考えられる。なお該共重合体の密度が0.920g/cm3を超えるものは積層体の透明性が悪くまた柔軟性が無くなる。
【0048】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体(II)のメルトフローレート(MFR)は0.05〜20g/10minが好ましく、さらに好ましくは0.1〜10g/10minの範囲である。MFRが0.05g/10min未満であると成形性が不良となり、20g/10minを超えると強度が不足する。
【0049】
また上記エチレン・α−オレフィン共重合体(II)の分子量分布の広さMw/Mnは1.5〜5.0、好ましくは1.8〜4.5の範囲であり、1.5未満のものは成形性が悪く、5.0を超えるものは強度が弱くなる。
【0050】
さらにまた上記エチレン・α−オレフィン共重合体(II)の組成分布の幅を表す指標である組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2であり、1.2を超えるものは積層体の透明註が低下する。
【0051】
前記エチレン系重合体(III)は最内層部分においてもエチレン・α−オレフィン共重合体(I)に配合されるが、中間層部分でも同様エチレン・α−オレフィン共重合体(II)に80重量%以下配合される。
なお、重合体(III)はエチレン・α−オレフィン共重合体(I)に混合されてヒートシール層に用いられるが本層に用いられる共重合体と同じMFRあるいは密度のものである場合もあるが必ずしも同一である必要はない。
【0052】
本発明の耐熱性を有する層には示差走査熱量計(DSC)で測定した融点のピークが120℃以上を有する樹脂が用いられる。該層は主として積層体の耐熱性を向上させる役割を担うものであり、例えば医療用輸液容器では水蒸気殺菌を行う際の、また食品用途では調理時あるいは殺菌時の煮沸の際、容器が変形しないようにするものである。示差走査熱量計(DSC)での測定条件は後述するが、融解ピークが複数個存在する場合には、最も高温のピークをもって上記の融点のピークとする。これらに該当する樹脂としては、具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル等を挙げることができる。これらの中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンあるいはこれらにポリプロピレンを混合したものは中間層のエチレン・α−オレフィン共重合体との接着性が良好なため特に好ましいものである。また、これらポリエチレンはエチレン・α−オレフィン共重合体(I)または(II)と同じく、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも含む触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られたものでも差し支えない。また、混合されるポリプロピレンはプロピレン単独重合体(HPP)、プロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(RPP)であり、その比率は0〜70重量%が好ましい。
【0053】
また上記示差走査熱量計(DSC)で測定した融点のピークが120℃以上を有する樹脂は、例えば二軸延伸などにより高配向することによって融点が向上したフィルムであっても差し支えない。
【0054】
該層と他層との貼り合わせは、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル接着剤、ホットメルト接着剤、などで接着したり、例えば無水マレイン酸変性ポリオレフィンやアイオノマー樹脂等の接着性樹脂とともに共押し出しにより積層することができる。
【0055】
本発明における積層体は少なくとも前記の3層構造を含む積層体であって、その厚みは約20μm程度から約1000μm程度、最も好ましいものとしては50〜500μmである。またその中間層の厚みの比率が全積層体の40〜90%を占め、最内層および耐熱層がそれぞれ5%〜30%を占めるものである。
また、前記接着剤や共押し出しの際の接着層を必要とする場合はこれらの層が追加されるので4層以上の構造となり、最外層に湿気に弱いエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いる場合、さらにその上にポリオレフィン層で保護するような場合もあり、このような場合にも4層以上の構造となる。これらの層構成は具体的には、例えばMLL(A)/MLL(B)/HTm、MLL(A)/MLL(B)/MahLL/HTm、MLL(A)/MLL(B)/接着剤/HTm、MLL(A)/MLL(B)/MahLL/HTm/LLなどが例示される。(ただしMLL(A):(A)成分樹脂層、MLL(B):(B)成分樹脂層、HTm:高融点樹脂層、MahLL:無水マレイン酸変性樹脂層)などが挙げられる。
【0056】
該積層体は、樹脂成分の低溶出性および抗ブロッキング性、ヒートシール強度、透明性、耐衝撃強度、柔軟性、耐熱性が優れている。インフレーション法またはTダイ法で成形される場合は、これらをラミネーション法や共押し出し法により積層されその厚さが約20〜500μm程度のものである。これらは透明性の観点から、多層Tダイ法または水冷インフレーション法、あるいは単層Tダイ法または水冷インフレーション法で成形後ラミネーション法で積層したものが最も好ましい。また、最外層となる延伸フィルムに中間層および内層をラミネートして積層体とすることも効果的である。また多層中空成形法で成形される場合は厚さが約100〜500μm程度のものが使用される。
【0057】
該積層体はフィルムまたはシートにおいてはヒートシールにより袋状に加工して、中空成形によるものは、そのまま食用油、調味料などの食品容器、各種薬剤保存容器等として用いられる。
【0058】
本発明の積層体が特に有効に用いられる医療用輸液容器は、例えば生理食塩液、糖類、動物用ワクチン等の各種輸液あるいは各種薬液用の容器である。これらの容器は、特に機密性、耐殺菌性、内容物への異物の混入の確認が容易であるための透明性あるいは輸液滴下時における通気針による外気の導入なしに内容液を完全に排出可能であるための柔軟性が要求され、前記積層体を多層中空成形法あるいは多層インフレーション法、多層Tダイ法あるいはインフレーション法、Tダイ法によって成形されたフィルムまたはシートをラミネーション法によって積層したものを容器状に成形して用いられる。これらの医療容器として使用される場合の層構成は、前記のMLL(A)/MLL(B)/HTm、MLL(A)/MLL(B)/MahLL/HTm、MLL(A)/MLL(B)/接着剤/HTm、MLL(A)/MLL(B)/MahLL/HTm/LLなどが例示される。(ただしMLL(A):(A)成分樹脂層、MLL(B):(B)成分樹脂層、HTm:高融点樹脂層、MahLL:無水マレイン酸変性樹脂層)が例示され、高融点樹脂層としてHDPE,MDPE,RPP,HPP,BPPなどのポリオレフィン樹脂が好ましく用いられ、ガスバリアー性を重視する場合はEVOH,ポリアミド、ポリエステルが好ましく用いられる。
【0059】
医療用輸液容器の成形時にはその用途上の特性から基本的には添加剤を加えないが、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、抗ブロッキング剤あるいは防曇剤、有機あるいは無機系顔料、紫外線防止剤、分散剤などの公知の添加剤を配合して用いられる場合もある。
【0060】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0061】
なお行った試験法を以下に示す。
【0062】
【0063】
【0064】
(使用樹脂)
1)使用した樹脂の内(PE−1〜PE−4)については以下の方法で重合した。
(エチレン・α−オレフィン共重合体の重合)
攪拌機を付したステレンス製オートクレーブを窒素置換し精製トルエンを入れた。次いで、ブテン−1を添加し、更にビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.02mモル)メチルアルモキサン〔MAO〕(MAO/Zr=500〔モル比〕)の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次にエチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつつ全圧を維持しつつ1時間重合を行った。なお、後述の実施例に必要量は、これらの重合を繰り返し製造した。得られたエチレン・ブテン−1共重合体の物性は以下の通りであった。
【0065】
2)高密度ポリエチレン(スラリー法チグラー触媒品)
HD−1:ホモポリエチレン(MFR 5.3g/10min、密度0.963g/cm3、日本石油化学(株)製)
HD−2:ブテン−1共重合体(MFR 1.6g/10min、密度0.956g/cm3、融点 129℃、日本石油化学(株)製)
3)中密度ポリエチレン(スラリー法チグラー触媒品)
MDPE:ブテン−1共重合体(MFR 2.0g/10min、密度0.937g/cm3、融点 126℃、日本石油化学(株)製)
4)低密度線状ポリエチレン重合体(気相法チグラー触媒品)
LL:ブテン−1共重合体(MFR 2.0g/10min、密度0.925g/cm3、融点 123℃、日本石油化学(株)製)
コモノマー ブテン−1、日本石油化学(株)製
5)超低密度線状ポリエチレン重合体(気相法チグラー触媒品)
VL:ブテン−1共重合体(MFR 3.0g/10min、密度0.905g/cm3、日本石油化学(株)製)
6)プロピレン・エチレンランダム共重合体
RPP:MFR 7.0g/10min、エチレン含有量 4重量%、融点147℃、日本石油化学(株)製)
7)高圧法低密度ポリエチレン
HPLD:MFR 2.0g/10min、 密度0.924g/cm3、融点 109℃、日本石油化学(株)製)
【0066】
実施例1
表1に示した樹脂成分で最内層20μm、中間層160μm、外層20μmの厚みの3層Tダイ成形を行い各種フィルム試験を行った。さらに得られたフィルムをヒートシールして内容量500mlの容器を制作しその評価を行った。結果を表1に示した。透明性、柔らかさの目安である引張弾性率、引張衝撃強度、抗ブロッキング性、低温ヒートシール性のいずれも良好であり、容器としての耐熱性、柔軟性、落下試験のいずれも優れている。
【0067】
実施例2〜7
表1に示した樹脂成分で実施例1と全く同様の操作を行った。結果を表1に示した。透明性、柔らかさの目安である引張弾性率、引張衝撃強度、抗ブロッキング性、低温ヒートシール性のいずれも良好であり、容器としての耐熱性、柔軟性、落下試験のいずれも優れている。
【0068】
比較例1
最内層にチグラー触媒によるLLDPE、中間層にVLDPEを用いて、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。透明性、引張衝撃強度、抗ブロッキング性、低温ヒートシール性が不良で、落下強度がやや不良である。
【0069】
比較例2
最内層にチグラー触媒によるLLDPEを用いて、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。抗ブロッキング性、低温ヒートシール性が不良で、落下強度がやや不良である。
【0070】
比較例3
中間層にチグラー触媒によるVLDPEを用いて、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。透明性、引張衝撃強度が不良、抗ブロッキング性、低温ヒートシール性がやや不良である。
【0071】
比較例4
外層に融点の低いHPLDPEを用いて、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。耐熱性が不良である。
【0072】
比較例5
最内層に密度の低いメタロセン触媒によるLLDPEを用いて、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。耐熱性、抗ブロッキング性やや不良である。
【0073】
比較例6
中間層に密度の高いメタロセン触媒によるLLDPEを用いて、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。透明性、引張弾性率、柔軟性、引張衝撃強度が不良である。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
Claims (5)
- (A)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を必須成分として含む触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる、密度0.900〜0.940g/cm3、メルトフローレート0.05〜20g/10分、分子量分布(Mw/Mn)1.8〜4.5、組成分布(Cb)1.01〜1.2であるエチレン・α−オレフィン共重合体(I)100〜20重量%および他のエチレン系重合体(III)0〜80重量%からなりエチレン系重合体以外の重合体を含有しない最内層と、
(B)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と助触媒とを含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる、密度が0.920g/cm3以下、メルトフローレート0.05〜20g/10分、分子量分布(Mw/Mn)1.8〜4.5、組成分布(Cb)1.01〜1.2であり、かつエチレン・α−オレフィン共重合体(I)より低い密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(II)100〜20重量%および他のエチレン系重合体(III)0〜80重量%からなりエチレン系重合体以外の重合体を含有しない柔軟性と透明性を有する中間層と、
(C)示差走査熱量計で測定した融解ピークが120℃以上を示す、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミドおよびポリエステルから選択される耐熱性を有する最外層からなることを特徴とする積層体。 - 最内層(A)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(I)95〜65重量%、および密度0.940〜0.965g/cm3、メルトフローレート0.05〜20g/10分の高密度ポリエチレンまたは密度0.91〜0.94g/cm3、メルトフローレート0.1〜20g/10分の高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(III)5〜35重量%からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記積層体の厚みが20〜1000μmであり、かつ中間層が40〜90%であり、最内層および最外層が5〜30%であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
- (A)層を最内層、(B)層を中間層、(C)層を外層として有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体からなる容器。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体からなる医療用輸液容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11534395A JP4031840B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 積層体および容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11534395A JP4031840B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 積層体および容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08276552A JPH08276552A (ja) | 1996-10-22 |
JP4031840B2 true JP4031840B2 (ja) | 2008-01-09 |
Family
ID=14660195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11534395A Expired - Lifetime JP4031840B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 積層体および容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4031840B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4233126B2 (ja) * | 1996-11-27 | 2009-03-04 | 出光興産株式会社 | 包装袋用多層フィルム |
JPH1190981A (ja) * | 1997-09-18 | 1999-04-06 | Sumitomo Chem Co Ltd | インフレーションフィルムの製造法及びフィルム |
-
1995
- 1995-04-05 JP JP11534395A patent/JP4031840B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08276552A (ja) | 1996-10-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW505678B (en) | Sealant resin composition for use in retort film and sealant film | |
JP6565646B2 (ja) | 耐熱性及び耐突き刺し性を有する易引裂性フィルム及び包装材 | |
KR19990078223A (ko) | 적층필름 | |
JP3690867B2 (ja) | 押出ラミネート成形用樹脂組成物 | |
JP4163112B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂材料およびそれを用いた積層体ならびにその製造方法、それらの成形体 | |
JP3506538B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂シート | |
JP2004121824A (ja) | 医療用容器 | |
JP2001342306A (ja) | クリーン成形体およびその製造方法 | |
JP3686737B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれを用いた積層体 | |
JP3592816B2 (ja) | 接着性樹脂組成物およびその積層体 | |
JP3610121B2 (ja) | 積層体と積層体からなる容器 | |
JPH08269270A (ja) | 複合フィルム用ポリエチレン組成物および複合フィルム | |
JP3872141B2 (ja) | バリヤー性包装材 | |
JP2001225426A (ja) | 積層体およびその製造方法ならびにその成形体 | |
JP3872140B2 (ja) | 帯電防止性に優れた包装材 | |
JP3650445B2 (ja) | 積層体、および該積層体からなる袋、チャック袋ならびに圧縮収納袋 | |
JP4031840B2 (ja) | 積層体および容器 | |
JP2001225428A (ja) | 積層シートおよびその製造方法 | |
JP3634022B2 (ja) | フィルムおよびシーラント | |
JP4902042B2 (ja) | 積層体の製造方法 | |
JP3872142B2 (ja) | 液体用包装材 | |
JPH08295745A (ja) | 易引裂性包装材およびその製造方法 | |
JP2001191452A (ja) | 積層体、その製造方法およびこの積層体を用いた容器 | |
JP3710562B2 (ja) | ラップフィルム | |
JP4808323B2 (ja) | クリーンな押出積層体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040106 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20040213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040316 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040514 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20040514 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040928 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041126 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20050107 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20050128 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071022 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131026 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |