JP3650445B2 - 積層体、および該積層体からなる袋、チャック袋ならびに圧縮収納袋 - Google Patents

積層体、および該積層体からなる袋、チャック袋ならびに圧縮収納袋 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、耐衝撃性、ガスバリヤー性、低温ヒートシール性、成形性にすぐれた少なくとも3層構造の積層体およびその積層体からなる袋、チャック袋、圧縮収納袋に関するものである。
【0002】
該積層体は食品、新聞、雑誌、機械類などの包装資材として広く用いられ、これらの袋やチャック付き袋は透明性と気密性にすぐれており、食品、医薬品、工業製品、衣料品、雑貨等の再開閉可能な包装袋として広く用いられる。
【0003】
また、熱可塑性樹脂製チャックに気密性を付与したものは、食品の長期保存用包装袋、流動性の食品の包装袋、また、衣料品や布団等を脱気圧縮保存するための圧縮収納袋等に広く用いられる。
【0004】
【従来の技術】
従来より包装資材として高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのフィルムなどが用いられている。しかし、高圧法低密度ポリエチレンは耐衝撃性、ガスバリヤー性、腰の強さが劣り、高密度ポリエチレンは透明性、耐衝撃性が劣る。一方、線状低密度ポリエチレンは透明性、耐衝撃性にすぐれているが、ガスバリヤー性、腰の強さ、成形性に劣る。このため単層フィルムでは透明性、耐衝撃性、腰の強さ、ガスバリヤー性、成形性等を総合的に満足できる樹脂はなく、これらを満足させるために種々のポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムが提案されている。
【0005】
例えば▲1▼特開昭59−11252号公報では、中間層に高密度ポリエチレンと線状低密度ポリエチレンを配合した層を用い、両外層に線状低密度ポリエチレンを用いた積層フィルム、▲2▼特開昭58−59080号公報では中間層に高密度ポリエチレン、外層に線状低密度ポリエチレン、他の外層に高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体を用いた積層フィルム、さらに詳細には、中間層に高密度ポリエチレンとエチレン系共重合体、外層に線状低密度ポリエチレン、他の外層に高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体を用いた積層フィルム、▲3▼特開昭59−38059号公報では中間層に高密度ポリエチレン、両外層に線状低密度ポリエチレンを使用した積層体、さらに中間層に高密度ポリエチレンと線状低密度ポリエチレン、両外層に線状低密度ポリエチレンを用いた積層体などがそれぞれ開示されている。
【0006】
上記▲1▼の積層フィルムは、耐衝撃性、腰の強さ、ガスバリヤー性等にすぐれているが、透明性、成形性が劣っており、▲2▼の積層フィルムは耐衝撃性、腰の強さ、ガスバリヤー性、成形性等にすぐれているが、透明性が劣る。
【0007】
▲3▼の積層体は耐衝撃性、腰の強さ、ガスバリヤー性等にすぐれているが、透明性、成形性が劣っているという問題がある。
【0008】
昨今では、製袋して袋として使用する場合、製袋の高速化に伴い、さらに低温ヒートシール性、シール部の接着強度等の改良が強く望まれている。
【0009】
しかし、上記したような従来の積層フィルムは、製袋する際に内層のヒートシール温度が高く、製袋の際の生産性が向上しない。
【0010】
また、チャック袋では、一般的なポリエチレン系樹脂を使用したものが種々の分野に広く用いられている(例えば特公昭59−29500号公報、特公昭60−50663号公報、特開昭58−171347号公報、特開昭61−203354号公報等)。
【0011】
これらチャック袋は、一般的には単層フィルムで構成され、低密度ポリエチレン(LDPEと称す)、線状低密度ポリエチレン(LLDPEと称す)、高密度ポリエチレン(HDPEと称す)等のポリエチレン系樹脂が用いられている。しかし、LDPEは透明性に優れるものの、ガスバリヤー性や耐衝撃性が劣り、腰が弱いという欠点を有している。また、LLDPEは、ガスバリヤー性、腰の強さ、成形性が不十分である。さらに、HDPEは、ガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さなどの特性があるものの、透明性が悪いという問題点を有している。
【0012】
さらに、袋、チャック袋では、食品用が主用途であるラミネート袋がある。ポリオレフィン単層チャック袋はチャックと袋を一体成形することができ、生産性が高く、安価であるが、上述したように、透明性、耐衝撃性、腰の強さ、ガスバリヤー性、成形性等を総合的に満足できるものはない。
【0013】
一方、ラミネート袋はガスバリヤー層として、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニリデンコート二軸延伸ポリプロピレン(KOP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエステル(PET)、アルミ蒸着フィルムなどを用いている。このためガスバリヤー性は非常に高いが製造コストが高くなり高価であるという問題を有している。
【0014】
したがって、食品等の分野においても、よりガスバリヤー性が高く、透明性、耐衝撃性、腰の強さ、成形性にすぐれ、従来のラミネート袋やチャック袋よりも安価な袋、チャック袋が求められている。
【0015】
同様に、衣料品や布団などを収納する圧縮収納袋においても上記と同じような性能が要求されている。さらに、積層体をヒートシールして積層袋を作成し、開口部にチャックテープをヒートシールしてチャック袋を作成する際に積層袋内層の低温ヒートシール性が要求される。ヒートシール温度が高いとヒートシール部が平滑にならず外観が不良となり、あるいは2枚のチャックテープ同士が融着してしまい袋にならない場合が多い。また袋、チャック袋の生産性を高めるためにもヒートシール温度を下げることが求められている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、耐衝撃性、腰の強さ、ガスバリヤー性、低温ヒートシール性、成形性等にすぐれた積層体を提供することにある。またこのような積層体を用いた袋、チャック袋、圧縮収納袋、チャック付圧縮収納袋を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、特定樹脂の積層体を使用することにより上記目的を達成し本発明に到達した。またこのような特定樹脂の積層体を用いることにより、透明性、ヒートシール性、ガスバリヤー性等の諸物性に優れた袋、チャック袋、圧縮収納袋、チャック付圧縮収納袋を提供することが可能となった。
【0018】
すなわち、本願の第1発明は、(A)密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、(A’)下記(ア)〜(ウ)を満足する密度が0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体および(B)高圧ラジカル重合法によるエチレン重合体から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体からなる第1層と、
(C)密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン100〜50重量%と前記(A)成分、(A’)成分および(B)成分から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体50重量%までの樹脂からなる第II層と、
前記(A’)成分を主成分とするエチレン系(共)重合体から構成される第III層とを含み、かつ第II層を中間層とする積層体を提供するものである。
〔ア〜ウ〕
(ア)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる
(イ)分子量分布Mw/Mnが1.5〜5.0
(ウ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2
【0019】
本願の第2発明は、前記第1発明に記載の積層体からなる袋体を提供するものである。
【0020】
本願の第3発明は、前記第1発明に記載の積層体からなる袋体の開口部に、雄爪および雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャックを形成してなることを特徴とするチャック袋を提供するものである。
【0021】
本願の第4発明は、前記第1発明に記載の積層体からなる圧縮収納袋を提供するものである。
【0022】
【作用】
本発明の積層体は、(A)密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を満足する密度が0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、(B)高圧ラジカル重合法によるエチレン重合体から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体からなる第I層と、
(C)密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン(C)100〜50重量%と前記(A)成分、(A’)成分および(b)成分から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体50重量%までの樹脂からなる第II層と、
前記(A’)成分を主成分とするエチレン系(共)重合体から構成される第III層とを含み、かつ第II層を中間層とする構成にすることにより、密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレンを主体とした樹脂を中間層としているにもかかわらず、予測し得なかったほどの透明性を備え、かつガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さ等を保持し、かつ低温ヒートシール性にすぐれた積層体となり、製袋時のヒートシールサイクルが短縮され、生産性が大幅に向上する。
〔ア〜ウ〕
(ア)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる
(イ)分子量分布Mw/Mnが1.5〜5.0
(ウ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2
【0023】
また、このような積層体を用いた袋、チャック袋および圧縮収納袋は、高速製袋性に優れ、チャック形成等の生産性が高く、かつこれらの袋は透明性がすぐれ、かつガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さ等をも有している。
【0024】
以下本発明を図面に基づいてさらに詳述する。
【0025】
図1は本発明の積層体の一実施例の断面図を示したものである。
図1において、本発明の積層体1は、(A)密度が0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、(A’)下記(ア)〜(ウ)を満足する密度が0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体および(B)高圧ラジカル重合法によるエチレン重合体から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体とで構成された第I層2と、(C)密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン100〜50重量%と前記(A)成分、(A’)成分、(B)成分の少なくとも1種のエチレン系(共)重合体50重量%までの樹脂層で構成された第II層3を中間層とし、(A’)下記(ア)〜(ウ)を満足する密度が0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系(共)重合体から構成される第III層4とする積層体である。
〔ア〜ウ〕
(ア)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる
(イ)分子量分布Mw/Mnが1.5〜5.0
(ウ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2
【0026】
図1において、本発明の第I層2は積層体1の耐衝撃性、透明性、成形加工性等を保持させる役割を有するものであり、前記(A)成分、(A’)成分または(B)成分のいずれかの単独でも良いが、成形加工性、耐衝撃性等の最もよいバランスを考慮すると(A)成分および/または(A’)成分と(B)成分の混合組成物が好ましい。
【0027】
上記第I層2の好ましい組合せである(A)成分および/または(A’)成分と(B)成分の混合組成物の混合割合は、(A)成分および/または(A’)成分の合計が60〜95重量%、(B)成分40〜5重量%、好ましくは前者が70〜90重量%、後者が30〜10重量%、さらに好ましくは前者75〜90重量%、後者25〜10重量%の範囲である。
【0028】
該(B)成分の配合量が40重量%を超える場合には、成形加工性と耐衝撃性とのバランスが保てないおそれが生じる。また、上記第I層の成形加工性を向上させるために高級脂肪酸またはその金属塩、アミド等の滑剤を配合することが望ましい。
【0029】
上記(A)密度が0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体とは、密度が0.91〜0.94g/cmのチーグラー系触媒やフイリップス系触媒等の触媒(以下略してチーグラー型触媒と称する)を用いた高・中・低圧法およびその他の公知の方法によるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(以下LLDPEと称す)であって、密度が0.86〜0.94g/cmの超低密度ポリエチレン(以下VLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cmのエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを包含する。
【0030】
上記チーグラー型触媒によるLLDPEとは、密度が0.91〜0.94g/cm、好ましくは0.91〜0.93g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲で選択される。
【0031】
分子量分布(Mw/Mn)は特に限定はないが、3.0〜13、好ましくは3.5〜8の範囲にあるのが一般的である。
【0032】
上記LLDPEのα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、さらに好ましくは炭素数6〜12の範囲のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
【0033】
上記MFRが0.05g/10分未満では、成形性が悪化し、30g/10分を超えるものは耐衝撃性やヒートシール強度等が低下するおそれを生じる。
【0034】
また上記チーグラー型触媒による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.91g/cm、好ましくは0.88〜0.905g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.01〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲で選択される。該VLDPEは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンであり、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)60℃以上、好ましくは、100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、LLDPEが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である耐衝撃性、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0035】
また上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、密度が0.86〜0.94g/cm未満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0036】
本発明の(A’)成分は、下記(ア)〜(ウ)を満足する密度0.86〜0.94g/cm、MFRは0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体である。
〔ア〜ウ〕
(ア)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる
(イ)分子量分布Mw/Mnが1.5〜5.0
(ウ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2
【0037】
前記(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.86〜0.94g/cm、好ましくは0.88〜0.94g/cm、さらに好ましくは0.89〜0.935g/cmの範囲である。密度が0.86g/cm未満であると耐熱性が低下し、フィルムのブロッキング性が悪化し、低結晶性成分の内容物への溶出が多くなる。他方0.94g/cmを超えるものは透明性が悪くまた柔軟性が無くなる。
【0038】
またメルトフローレート(MFR)は0.01〜50g/分、好ましくは0.1〜30g/分、さらに好ましくは0.3〜20g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では成形加工性が劣り、50g/10分以上では強度が低下する。また、該共重合体のヒートシール温度は、120℃以下、好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下であることが望ましい。
【0039】
上記(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体は、(ア)シクロペンタニル骨格を有する配位子を少なくとも1種含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む触媒の存在下にエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものである。また、上記触媒にあらかじめエチレンおよび/前記α−オレフィンを予備重合させて得られるものを触媒に供してもよい。
【0040】
上記α−オレフィンとしては、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0041】
本発明の上記エチレン・α−オレフィン共重合体を製造する触媒である(ア)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等である。該置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
【0042】
上記炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基が好ましい。
【0043】
置換シクロペンタジエニル基の好適なものとしては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3−n−プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基などが具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジエニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、特に1,3−置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
【0044】
置換基同士すなわち炭化水素同士が互いに結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニル基等が好適なものとして挙げられる。
【0045】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましい。
【0046】
該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0047】
周期律表第IV族の遷移金属化合物においてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基などが挙げられる。
【0048】
これらの具体例としては以下のものがある。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジフェニルなどがある。モノアルキルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロライドなどがある。
またモノシクロペンタジエニルチタノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げられる。
【0049】
置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯体、シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0050】
ジルコノセン化合物としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、アルキル置換シクロペンタジエンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロアルキルまたはジハライド錯体、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそれらのジハライド錯体、シリコン、炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0051】
さらに他のメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0052】
本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化合物の例として、下記一般式で示されるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0053】
【数1】
Figure 0003650445
【0054】
式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表し、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−またはOR、SR、NR、PRからなる群から選ばれる2価中性リガンド、ZはSiR、CR、SiRSiR、CRCR、CR=CR、SiRCR、BR、BRからなる群から選ばれる2価基を示す。ただし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、またはY、ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成するものである。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0055】
式1で表される化合物の例としては、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが挙げられる。
【0056】
本発明でいう助触媒としては、前記周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衡させうるものをいう。
【0057】
本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0058】
また、触媒は無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Cr等が挙げられる。
【0059】
有機アルミニウム化合物として、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0060】
本発明の(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cmG、好ましくは常圧〜20kg/cmGであり、高圧法の場合通常1500kg/cmG以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0061】
上記触媒で得られる本発明の特定の(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体は分子量分布と組成分布が極めて狭いものであり、上記積層体としては用いられると本共重合体の特性が発揮されるものである。これらの重合体は、従来のチーグラー型触媒やフイリップス型触媒(総称してチーグラー型触媒という)で得られるこれらのエチレン・α−オレフィン共重合体とは性状が異なるものである。すなわち、上記触媒で得られる本発明の特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(A’)は、触媒の活性点が均一であるため分子量分布が狭くなることと、組成分布が狭くなるものである。このため短鎖分岐が効率よく融点を低下させるため、密度の割には、融点が低くなる。このためヒートシール時に樹脂が早く融解し、低温でのヒートシール強度が強く、高速でのヒートシールが可能となると考えられる。また短鎖分岐量が極めて多い成分や低分子量成分が少ないため樹脂表面へのにじみ出しが少なく(低溶出性)、また抗ブロッキング性も良好であり、しかも強度も優れ、前記積層体として用いられると本共重合体の特性が発揮されるものである。
【0062】
本発明の(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体の(イ)分子量分布の広さMw/Mnは、1.5〜5.0、好ましくは1.8〜4.5である。Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、5.0を超えるものは耐衝撃性が劣る虞が生じる。
【0063】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布の広さを表す(ウ)組成分布パラメーター(Cb)は1.01〜1.2である。Cbの値が1.2を超える場合は、低温ヒートシール特性不良、あるいは樹脂成分の表面へのにじみ出しを生じる等のおそれがある。
【0064】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の(ウ)組成分布パラメーター(Cb)の測定法は下記の通りである。
すなわち、酸化防止剤を加えたオソルジクロルベンゼン(ODCB)に試料を濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解した後、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、共重合体試料をセライト表面に沈着する。次に、この試料が沈着されているカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温して行く。すると各温度に対応した溶出成分を含んだ溶液が採取される。この溶液にメタノールを加え、試料を沈澱後、濾過、乾燥し、各温度における溶出試料を得る。各試料の、重量分率および分岐度(炭素数1000個当たりの分岐数)を測定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0065】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0066】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度bの変化量(b−bi−1)で割って相対濃度cを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0067】
【数2】
Figure 0003650445
【0068】
ここで、cとbはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0069】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を表現する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号公報では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数Rはかなり低く、値の精度は十分でない。また、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbより大きくなる。
【0070】
本発明の(B)高圧ラジカル重合法によるエチレン重合体とは、高圧ラジカル重合法による密度0.91〜0.94g/cmのエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられる。
【0071】
上記低密度ポリエチレン(LDPEと称す)は、MFRが0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲で選択される。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形等が容易である。該LDPEの密度は0.91〜0.94g/cm、好ましくは0.912〜0.935g/cm、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cmの範囲で選択される。
【0072】
また、分子量分布(Mw/Mn)は3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。これらLDPEの製法は、公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
【0073】
また上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/分の範囲で選択される。
【0074】
さらに上記エチレンとα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
【0075】
これら共重合体のMFRは、0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分の範囲で選択される。
【0076】
本発明の第I層2を形成する樹脂の具体的な好ましい組合せのなかでも透明性、成形性、耐衝撃性の点で(A)成分のLLDPEと(B)LDPEとの混合組成物が最も好ましい。また、(A’)成分を(A)成分の代わりに用いることや(A)+(A’)に(B)LDPEを配合することも可能である。
【0077】
図1において、本発明の第II層3は、積層体1の中間層に使用され、腰の強さと、ガスバリヤー性等の諸物性を保持するため、(C)密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレン(HDPEと称す)を主成分とする樹脂で構成される。
【0078】
該第II層3はHDPE単独でもよいが、好ましくは上記HDPEと、(A)成分、(A’)成分、(B)成分からなる選択された少なくとも1種のエチレン(共)重合体との混合組成物が、上記諸物性をバランスよく満足することから望ましい。
【0079】
本発明の第II層3を形成する樹脂の混合組成比は、HDPE95〜60重量%に対して、該エチレン(共)重合体が5〜40重量%、好ましくはHDPEが90〜70重量%、エチレン(共)重合体が10〜30重量%の範囲で選択されることが望ましい。該エチレン系(共)重合体の配合量が40重量%を超える場合には腰の強さ、ガスバリヤー性等の性能が低下するおそれが生じる。
【0080】
本発明の第II層3の具体的な好ましい組合せは、密度が0.95〜0.97g/cmのHDPEと、LLDPE、VLDPE、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、(A’)密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられるが、積層体1の透明性、耐衝撃性、腰の強さ、成形安定性等の種々の諸物性を満足する点からHDPEと(A’)密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、あるいはVLDPEとの組合せが最も好ましい。
【0081】
上記(C)HDPEとは、密度が0.94〜0.97g/cm、好ましくは0.95g/cm以上であって、公知のチーグラー型触媒を用いてスラリー法、溶液法または気相法による公知のプロセスにより製造されるエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体およびそれらの混合物であり、具体的なα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらのα−オレフィンのうち特に好ましいのは炭素数3〜8のα−オレフィンである。
【0082】
本発明の第III層4は、積層体1の透明性、ヒートシール特性、成形加工性、耐衝撃性等を保持する役割を担うものである。該第III層4は、製袋時の高速生産性を維持するために、低温でのヒートシール強度が高いことおよび透明性を向上させる効果が求められている。このような第III層4を形成する樹脂は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる(A’)密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系(共)重合体から構成されるものである。
【0083】
第III層4を形成する樹脂は(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体単独でもよいが、透明性、ヒートシール特性、耐衝撃性を保持し、さらに成形加工性等を向上させるためには前記(A)エチレン・α−オレフィン共重合体および/または(B)エチレン重合体成分から選択される少なくとも1種のエチレン系(共)重合体の少量を配合することが望ましい。これらエチレン系(共)重合体の配合量は5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で選択される。該配合量が40重量%を超える場合は透明性、ヒートシール特性、耐衝撃性等が損なわれる虞が生じる。
該第III層4は、望ましくはヒートシール温度が120℃以下、好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下であることが望ましい。
【0084】
本発明のヒートシール温度とは、積層体のヒートシール層に使用される樹脂の単層フィルム(80μm)を作成し、ヒートシール幅を15mm、長さ80mmの試験片を作成し、ヒートシール時間として1.0秒、ヒートシール圧力1.5kgf/cmの条件でヒートシールし、ついで引張速度300mm/minで引張試験を行い、ヒートシール強度(gf/15mm幅)を求める。シール温度を数点かえてヒートシールを行い、引張試験で上記のようにヒートシール強度を求める。シール温度とヒートシール強度のグラフを作成し、ヒートシール強度が500g/15mm幅となるシール温度を本発明におけるヒートシール温度とした。
【0085】
本発明の積層体は、少なくとも3層構造からなる積層体であって、必要により同種、異種の他の熱可塑性樹脂層を図における外層2とヒートシール層4との間設けても差し支えない。また、各層の層比については特別な制限はなく、一般的には0.5/9/0.5〜3/4/3の範囲で適宜決定すればよい。さらに優れたガスバリヤー性を有するポリアミド層やエチレン・ビニルアルコール共重合体層、ポリエステル層や酸変性ポリオレフィンなどの接着性樹脂からなる接着層を本積層体に付加しても良い。また、本発明の積層体において、表面の両層がヒートシール性を要求する場合には、両層とも第III層4で形成されていてもよい。
【0086】
本発明の積層体の具体的な例示は、第I層/中間の第II層/第III層として、A/C/A’、A/B/C/A’、A/C/B/A’、A+B/C/A’、A+B/C+A/A’、A+B/C+A/A’+B、A/C/M/A’、A/M/C/A’、A’/C/A’、A’+B/C+A/A’+B、A/C+A’/A’、等が挙げられる
(ただし、A:LLDPE等、B:LDPE等、C:HDPE等、A’:本発明の(A’)成分、M:他の樹脂である)
【0087】
本発明の積層体の製造方法としては、共押出法、押出ラミネーション法、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法およびこれらの組み合わせなどの種々の公知の方法を採用することができる。
【0088】
具体的には、図1における第I層2、第III層4、および中間層の第II層3をそれぞれ別個の押出機で押出し多層構造のダイに供給する共押出インフレーション法または共押出Tダイ法で成形する方法、予め第I層2を成形しておき、中間の第II層3を溶融押出して第I層2と中間の第II層3の押出ラミネーションを行い、さらに第III層4を溶融押出しを行う押出ラミネーション方法、予め第I層2と第III層4を成形しておいて、両層の間に中間の第II層3を溶融押出するサンドイッチラミネーション法、または予め第I層2、第III層4および中間の第II層3をそれぞれ別個に成形し接着剤等を用いて積層するドライラミネーション法などが挙げられる。
上記第I層2、中間の第II層3、第III層4が予め成形されている場合にはこれらの層は一軸または二軸方向に延伸または圧延されていてもよい。
【0089】
本発明においては樹脂成分に対して必要に応じて酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、有機あるいは無機フィラー、有機系あるいは無機系顔料、造核剤、架橋剤などの公知の添加剤を本願発明の特性を本質的に阻害しない範囲で添加することができる。
【0090】
本願の第2発明は、前記積層体からなる袋体であるが、代表して第3発明のチャック袋を説明する。本発明のチャック袋とは、前記積層体からなる袋体の開口部に、雄爪および雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャックを形成したチャック袋に関するものである。
【0091】
従来からポリエチレン系樹脂を使用したチャック袋も周知である。例えば特公昭59−29500、特公昭60−50663、特開昭58−171347、特開昭61−203354等が挙げられる。これらチャック袋は、一般的には単層フィルムで構成され、LDPE、LLDPE、HDPE等のポリエチレン系樹脂が用いられている。しかし、LDPEは透明性に優れるものの、ガスバリヤー性や耐衝撃性が劣り、腰が弱いという欠点を有している。また、LLDPEは、ガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さが不十分である。さらに、HDPEは、ガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さなどの特性があるものの、透明性が悪いという問題点を有し、かついずれも低温ヒートシール性が劣り、製袋時等の高速成形性を有する樹脂が要望されている。
【0092】
本発明は、前記特定の積層体を使用することにより、製袋時やチャックテープの融着時のヒートシールサイクルの短縮等の高速成形性等の改良をなしたものである。
【0093】
すなわち、本第3発明は、前記第1発明の積層体からなる袋体の開口部に、雄爪および雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャックを形成してなることを特徴とするチャック袋を提供するものである。
【0094】
以下図面を参照して本発明を更に詳述する。
図2は本発明の一例のチャック袋の平面図を示したものである。
図2に示すごとく本発明のチャック袋は、袋体5の開口部6の近傍に、雄爪と雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャック7を1〜複数列を設けてなるものである。図2において、本発明の袋体5は、図2のA−A切線で切断した場合に図1と同じ構造の積層フィルム1となる。
【0095】
図3は、本発明において用いられる雄爪および雌爪を具備する熱可塑性樹脂製チャックテープの一例の断面図を示したものである。熱可塑性樹脂製チャックテープ8は、鉤型の雄爪9および雌爪10の少なくとも1対を1組とする熱可塑性樹脂製チャックが一体的に成形され、図2に示すように、チャックの気密性をより向上させるためには袋体開口部にチャックを上下1〜複数列形成してもよく、複数列の場合は雄爪および雌爪それぞれ同方向に並列に配列するか、または雄爪9および雌爪10が交互に反対位置に配列することもできる。このように熱可塑性樹脂製チャックを袋体開口部に形成することにより、袋体内の内容物を包装保存し、さらに必要なときに内容物を必要量だけ取出し、残りを保存する再開閉の機能を付与することができる。
【0096】
図4は、熱可塑性樹脂製チャックに施したシール材の施工断面図であって、前記図3で示したチャックテープ8の2組の雄爪(9、9)および雌爪(10、10)が交互に反対位置に配列し、嵌合している状態を示したものであり、雌爪10の内壁にシール材として凸条11を複数本設けたものである。このように複数の凸条11のシール材を設けることにより、さらに高気密性を保持することができる。上記シール材はシリコンまたは軟質ウレタン、熱可塑性ゴム等の軟質物質で構成し、複数の凸条11を設けることにより、雄爪が雌爪と嵌合する際に雄爪の先端が凸条11に密着した状態となり、気体または液体の内容物に対しても密閉度が極めて良好となる。
【0097】
該熱可塑性樹脂製チャックを図2において袋体5の開口部6に接着する方法としては、袋体5の開口部6に予め製造した雄爪9および雌爪10をそれぞれ接着剤を用いて接着する方法、袋体5の開口部6にダイスから押出した雄爪9および雌爪10を溶融状態で融合接着する方法および図3に示すように予め雄爪9および雌爪10を形成した熱可塑性樹脂製チャックテープ8を製造し、このテープ8を袋体5の開口部6に融着する方法等が挙げられる。
【0098】
本発明では、積層体にチャックを付与するためにこれらの中でも予め雄爪および雌爪を形成した熱可塑性樹脂製チャックテープを製造し、このテープを袋体5の開口部6に融着する方法が最も好ましい。
【0099】
該熱可塑性樹脂製チャックに用いられる熱可塑性樹脂とは、特に限定されるものではないが、前記積層体の内外層と同種の樹脂を用いることが好ましい。
具体的には、高中低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・−酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等の単独樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。また、雄爪および雌爪を2種以上の硬軟の樹脂で組合せてもよい。
【0100】
該熱可塑性樹脂製チャックテープを袋体に融着する際に、雄爪および雌爪を形成したテープの表面の非融着部となる部分に、予めコロナ放電処理、紫外線処理、オゾン処理、酸処理または架橋処理等による表面処理を施すことにより、チャックテープ同士が融着しないという効果が付与され、従来使用されている剥離紙等を省略することができる。上記表面処理は、表面張力42dyn/cm以上とすることが好ましい。またこれらの表面処理の内では、コロナ放電処理が最も好ましい。
【0101】
本願の第4発明は、前記第1発明の積層体からなる袋体を使用した圧縮収納袋であり、好ましくは袋体の開口部に、雄爪および雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャックを形成した構成からなり、透明性を備え、かつガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さ、気密性等を保持した圧縮収納袋である。
【0102】
該減圧収納袋とは、布団や衣装等の被包装物を袋に収納し、ついで袋内を真空にして脱気圧縮し、布団、衣装等の被包装物の防カビ、防菌、防ダニや長期保存等を図るために使用する袋である。さらに保管場所の省スペースを図ることができる特徴を有する。
【0103】
従来、高い気密性、ガスバリヤー性や耐衝撃性、腰の強さ等が要求される布団収納用包装袋や衣装袋等の圧縮収納袋は周知である。例えば特開昭53−21689号公報、特開昭56−13362号公報、特開昭58−193269号公報、特開平1−139346号公報、特開平1−254554号公報、特開平3−98856号公報、特開平4−114867号公報、特開平4−142255号公報、特開平4−154556号公報、特開平6−24455号公報等が挙げられる。これら気密性を有する圧縮収納袋等は、一般的にはポリアミド、ポリエステル、エチレン・酢酸ビニルけん化物等の高ガスバリヤー性を有する樹脂を中間層とし、少なくともその内層にポリエチレン系樹脂等のヒートシール層を設けた積層袋が用いられている。しかし、これらの高ガスバリヤー性樹脂とポリエチレン系樹脂とは一般的に接着しないため、高ガスバリヤー性樹脂とポリエチレン系樹脂との間に接着性樹脂を介在させて、共押出成形法、押出ラミネーション、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法等により積層する必要があり、設備費、原材料費等の高騰という経済性の問題や工程の煩雑さ等の問題を有していたものである。
【0104】
本発明の圧縮収納袋は、適度のガスバリヤー性を有する高密度ポリエチレンを主体とする中間層に、外層として、好ましくは比較的成形加工性が良く、耐衝撃性の高い線状低密度ポリエチレン主体とするエチレン系(共)重合体を積層し、内層として、低温ヒートシール性が良好で、ヒートシール強度が高い、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体からなるヒートシール層を積層することにより、高密度ポリエチレン単独層の場合より飛躍的に透明性を向上させることができ、かつ成形加工性、ガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さ等に優れたものとなる。
【0105】
また、同種の安価なポリエチレン系樹脂のみで構成されているので、従来のような接着性樹脂が必要なく、設備費、原材料費等の高騰という経済性の問題や工程の煩雑さ等の問題が解消される。
【0106】
他の利点としては、本発明の圧縮収納袋では、開口部をチャックテープをヒートシールする場合に、ヒートシールサイクルが短く生産性が良好となる。
【0107】
また、チャックの内壁にシール材を施すことにより、再開閉が容易であり、高気密性が保持されるものとなる。
【0108】
以下図面に基づいて、さらに詳述する。
図5(a)は、従来の布団圧縮収納袋の一例の平面図であり、図5(b)は、図5aのB−B切線での積層フィルム1’の断面図を示し、また図5(c)は、布団圧縮収納袋を密閉するための一対のリム18とバー19の密閉補助具を示したものである。図5(a)、(b)、(c)において、圧縮収納袋20は、ポリアミド樹脂等の高ガスバリヤー性樹脂からなる中間層13と、その両面に酸変性ポリオレフィン樹脂等の接着性樹脂層14を介してポリエチレン樹脂等のシール用の樹脂層12とからなる積層フィルム15で構成され、開口部16と、袋の底部に設けた逆止弁を具備した通気管17を有している。図6(a)、(b)は、通気管17の拡大断面図であり、図6(a)は、フィルム状の逆止弁21aを具備した通気管17aを示したものであり、図6(b)は、弁板状の逆止弁21bを具備した通気管17bを示したものである(矢印は排気の流れ方向を示す)。
【0109】
上記圧縮収納袋の使用法は、上記圧縮収納袋20の開口部16から布団を入れた後、開口部16を図5(c)に示した一対のリム18とバー19の密閉補助具でピンチして密閉し、通気管17から掃除機等の吸引機で袋体内部の空気を吸引し脱気し、内容物を脱気状態下に保存するものである。
【0110】
図7は、本発明の圧縮収納袋の一実施例の平面図である。
図7において、圧縮収納袋25の開口部26の近傍にチャック28を融着し、袋底部には脱気を行うための逆止弁を具備した通気管27を有している。この通気管27は、底部に限定されるものではなく、開口部、側部、開口部側端等に設けてもよい。このような通気管27を設けることにより袋体内部の空気を電気掃除機などの吸引機で吸引し、袋体を効率的に脱気圧縮し、内容物を脱気状態下に保存することができる。また、内容物を収納した収納袋は、前記逆止弁により空気の流入を防止することができる。
【0111】
また、本発明の圧縮収納袋25は、開口部26の近傍に複数列のチャック28を設けることにより、容易に再開閉ができ、かつ気密性を保持することができる。特に、チャック内に前記シール材を設けることによりさらに高気密性が得られ、従来の布団圧縮収納袋で使用されている図5(c)での開口部を密閉するための一対のリム18とバー19の補助具が不要となる。
【0112】
本発明のチャック袋および圧縮収納袋は、耐衝撃性にすぐれ、腰の強い袋体であることから、内容物の重量や、転倒や圧縮により袋体をゆがめる力がかかることによって熱可塑性樹脂製チャックが容易に離脱することもなく、確実な密閉性を確保することができる。
【0113】
また、チャック内にシール材を設けることにより高気密性を保有させることができ、ガスバリヤー性を有しているので食品の長期保存用包装、流動体の食品や薬品等の包装容器、空気に触れると発錆する金属類の包装、防虫、防黴を目的とした衣類等の包装、また衣類や布団等を脱気圧縮保存するための圧縮収納袋等に広く用いることができる。
【0114】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例および比較例において使用する樹脂成分を以下に示す。
【0115】
使用した樹脂の内A’(A’1〜A’2)については以下の方法で重合した。
(固体触媒の調製)
窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)Cl)28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の攪拌機付き触媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
【0116】
次に窒素下で攪拌機付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0117】
(試料の重合)
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cmGでエチレンと1−ブテンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。
【0118】
(A)成分
A1:チグラー触媒による線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
密度=0.922g/cm、MFR=0.9g/10分
コモノマー:1−ブテン
分子量分布Mw/Mn=3.8
組成分布パラメーターCb=1.5
A2:チグラー触媒による超低密度ポリエチレン(VLDPE)
密度=0.900g/cm、MFR=0.5g/10分
コモノマー:1−ブテン
分子量分布Mw/Mn=4.1
組成分布パラメーターCb=1.52
(B)成分
B1:高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(LDPE)
密度=0.924g/cm、MFR=2.0g/10分
(C)成分
C1:チグラー触媒による高密度ポリエチレン(HDPE)
密度=0.950g/cm、MFR=0.9g/10分
(A’)成分
A’1:コモノマー;1−ブテン
密度=0.910g/cm、MFR=1.0g/10分
分子量分布Mw/Mn=2.4
組成分布パラメーターCb=1.05
A’2コモノマー;1−ヘキセン
密度=0.913g/cm、MFR=1.0g/10分
分子量分布Mw/Mn=2.5
組成分布パラメーターCb=1.05
【0119】
Figure 0003650445
【0120】
実施例1
密度=0.950g/cm、MFR=0.9g/10分の(C)高密度ポリエチレン(HDPE)を中間の第II層用樹脂とし、密度=0.922g/cm、MFR=0.0g/10分、コモノマー:1−ブテンである(Al)線状低密度ポリエチレン(LLDPE)90重量%と密度=0.924g/cm、MFR=2.0g/10分の(B1)高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)10重量%のブレンド物を第I層に、密度0.912g/cm、MFR=1.0g/10分、コモノマー:1−ブテンである(A’1)を第III層になるように、3種3層共押出インフレーションフィルム成形機(スクリュー径60mm、L/D=30の単軸押出機3基)を用いて押出温度200℃、ブローアップ比2.0の条件でフィルムを成形した。積層フィルムの層厚み構成は中間の第II層を40μm、第I層および第III層を各々20μmとした。得られた積層フィルムの物性を測定し、結果を表1に示した。
【0121】
実施例2〜6および比較例1〜4
第I層、中間の第II層、第III層を表1に示す組成比の積層フィルムの物性を測定し、結果を表1に示した。
【0122】
以上の結果本発明の実施例1〜6はいずれも、ヒートシール温度は120℃以下で低温ヒートシール性に優れ、光学特性、引張弾性率(フィルムの腰)、ダート衝撃強さ、酸素透過度にバランスの取れた性能を示す。
これに対し、比較例1はHDPE単層であるため、ヒートシール温度が高く、また光学特性、ダート衝撃強さが不充分でありフィルムの腰も強すぎる。比較例2はLLDPE単層であるためフィルムの腰が弱く、酸素透過度が不充分である。
【0123】
比較例3は、第III層に本発明の要件を満足しないエチレン・α−オレフィン共重合体を用いたため、ヒートシール温度、ダート衝撃強さが不充分であった。
比較例4は、中間の第II層のHDPEの割合が50重量%未満であるため、フィルムの腰が弱くまた酸素透過度が不充分である。
【0124】
実施例7
実施例1の積層体を使用し、ついで熱可塑性樹脂製チャックの雌爪の内壁に軟質ウレタンからなる凸条を3条設けた気密性を有するチャック付テープを開口部に融着したチャック付袋を作成し、評価した結果、実施例1と同様な結果を示した。
【0125】
実施例8
実施例1で得られた袋体の1部に逆止弁を備えた通気管を形成して、脱気した状態で内容物を圧縮保存できる圧縮収納袋を製造した。その圧縮収納袋を使用して布団を収納し8ヵ月間保存したが、ほとんど元の圧縮状態を保持していた。
【0126】
【発明の効果】
本発明の積層体は、(C)密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレンを主体とする中間層に、(A)密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、(A’)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、(B)高圧ラジカル重合法によるエチレン重合体から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体からなる第I層と、(A’)密度0.86〜0.94g/cmの特定のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系(共)重合体から構成される第III層の積層体を形成することにより、密度0.94g/cm以上の高密度ポリエチレンを主体とした樹脂を中間層としているにもかかわらず、予測し得なかったほどの透明性を備え、かつガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さ等を保持し、かつ低温ヒートシール性にすぐれた積層体が得られた。
【0127】
また、このような積層体を用いたチャック袋、圧縮収納袋は、高速製袋性に優れた、チャック形成の生産性が高く、かつこれらの袋は透明性を備え、かつガスバリヤー性、耐衝撃性、腰の強さ等をも有している。
【0128】
【表1】
Figure 0003650445
【0129】
【表2】
Figure 0003650445
【0130】
【表3】
Figure 0003650445

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の積層体の一実施例の断面図を示したものである。
【図2】図2は本発明の一例のチャック袋の平面図を示したものである。
【図3】図3は雄爪および雌爪を備えた熱可塑性樹脂製チャックテープの断面図を示す。
【図4】雌爪内壁にシール材を施した嵌合チャックの断面図を示す。
【図5】(a)は従来の布団圧縮収納袋の一例の平面図、(b)はB−B切線での積層フィルムの断面図、(c)は密閉用補助具の斜視図を示したものである。
【図6】通気管13の拡大断面図である。
【図7】本発明の布団圧縮収納袋の平面図である。
【符号の説明】
1 積層体
2 外層
3 中間層
4 ヒートシール層
5 袋体
6 開口部
7 チャック
8 チャックテープ
9 雄爪
10 雌爪
11 凸部シール材
12 外層
13 中間層
14 接着層
15 積層体
16 開口部
17 a、b通気管
18 リム
19 バー
20 圧縮収納袋
21 a、b逆止弁
25 積層体
26 開口部
27 通気管
28 チャック

Claims (6)

  1. (A)密度0.86〜0.94g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体、(A’)下記(ア)〜(ウ)の性状を満足する密度が0.86〜0.94g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体および(B)高圧ラジカル重合法によるエチレン重合体から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体からなる第I層と、
    (C)密度0.94g/cm3 以上の高密度ポリエチレン100〜50重量%と前記(A)成分、(A’)成分および(B)成分から選ばれた少なくとも1種のエチレン系(共)重合体50重量%までの樹脂からなる第II層と、
    前記(A’)成分を主成分とするエチレン系(共)重合体から構成される第III 層とを含み、かつ第I層を外層とし、第 II 層を中間層、第 III 層を最内層のヒートシール性層とする少なくとも三層構造で構成したことを特徴とする袋体。
    <性状>
    (ア)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる
    (イ)分子量分布Mw/Mnが1.5〜5.0
    (ウ)組成分布パラメーターCbが1.01〜1.2
  2. 前記I層が(A)成分および/または(A’)成分60〜95重量%、(B)成分40〜5重量%からなる混合組成物であることを特徴とする請求項1に記載の袋体。
  3. 前記 II 層が、高密度ポリエチレン95〜60重量%と、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体、(A’)エチレン・α−オレフィン共重合体、(B)エチレン重合体からなる選択された少なくとも1種のエチレン(共)重合体5〜40重量%からなる混合組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の袋体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の袋体の開口部に、雄爪および雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャックを形成してなることを特徴とするチャック袋。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の袋体からなる圧縮収納袋。
  6. 請求項5の圧縮収納袋体の開口部に、雄爪および雌爪を有する熱可塑性樹脂製チャックを形成してなることを特徴とする圧縮収納袋。
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