JP3624026B2 - 耐寒性シートパレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高耐寒性のシートパレットに関し、さらに詳しくは、プロピレン系重合体、特定のエチレン(共)重合体および所望によりエチレン系重合体を含むシートからなり、かつ上面の摩擦係数が下面のそれより大きく、厚さが0.3〜10mmであるシートパレットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の省資源化に伴って、貨物の流通分野においても、従来の木製パレットやプラスチック製パレットなどの代わりに、軽便なシートパレットを利用する流通システムか急速に普及しつつある。
シートパレットは、
(イ)保管のためのスペースが節約できること、
(ロ)安価であること、
(ハ)場合によっては回収を省略できること、
(ニ)製作が簡単であること、および
(ホ)作業能率を向上しうること
など多くの利点を有している。
このシートパレットは、プラスチックを主原料として製作し、その構造や形状さらに組成にも特徴を持たせた種々のものが提案されている。
たとえば、実公昭55−16821号公報に開示された「荷運び用の台」は、包装貨物の運搬、移送を行う際に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の厚さ0.5ないし3.2mmのシートパレットの少なくとも上面に粗面が形成されており、かつ上面は下面よりも荒い面に形成することにより、上面と貨物との間の静的摩擦係数を下面とプラテンとの間の滑り摩擦係数よりも高くしたことを特徴とし、これにより荷役作業を円滑ならしめている。
また、特公昭58−1023号公報に開示された「スリップパレット」は、ポリオレフィン樹脂を主成分とし、見掛け比重が0.4〜0.7の発泡シートに罫線を刻設し、周縁の1箇所以上にタブを設けたことを特徴とし、罫線部の破断防止や耐衝撃性などの改良を目的とするシートパレットが提案されている。
これらの方法により、シートパレットの耐水性、耐油性、耐薬品性、強度、耐熱性、耐衝撃性などの基本的性状は一応満足できるものが得られている。また耐寒性、耐衝撃性を向上させる材料としてはプロピレン・ブロックコポリマーあるいはポリプロピレンとエチレン・プロピレンゴムとのブレンド組成物なども開発されており、たとえば特開昭62−174233号公報に開示された「耐寒性シートパレット」は、プロピレン重合体と特定のエチレン・α−オレフィン共重合体とからなる組成物を用いて、耐寒性を改良することを目的としたシートパレットを提案している。さらにポリプロピレンにエチレン・プロピレンゴムおよびポリエチレンを配合した組成物(たとえば特公昭39−18746号、特公昭41−7345号、特開昭55−104334号各公報など)も知られている。
しかし近年は物流がより複雑化し、使用範囲の拡大に伴い高温・低温両面の特性が要望され、特に寒冷地、冷凍庫内などの超低温下の使用を考慮して、強度、耐熱性などと同時に耐低温衝撃性の向上が極めて重要になりつつある。
通常プラスチック材料において強度、剛性、耐熱性などは耐衝撃性とくに耐低温衝撃性と相反する性状であるため、公知の組成物でこれらを同時に満足させることは困難であり、これら諸性質間のバランスを考慮したシートパレットの開発が強く望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、特に剛性および耐低温衝撃性のバランスの点で優れた耐寒性シートパレットを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に沿って鋭意検討した結果、プロピレン系重合体、特定のエチレン(共)重合体および所望によりエチレン重合体を添加してなるシートを用いることにより、著しく耐寒性、剛性、引張強度等の優れたシートパレットが得られることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(A)プロピレン系重合体95〜50重量%、および(B)下記の(イ)〜(へ)の性状を満足するエチレン(共)重合体5〜50重量%からなり、かつ上面の摩擦係数が下面の摩擦係数より大きく、厚さが0.3〜10mmであるシート状の耐寒性シートパレットを提供するものである。
(イ)密度 0.86〜0.97g/cm3
(ロ)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn) 1.5〜4.5
(ニ)組成分布パラメーターCb 2.0以下
(ホ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足すること
1)密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR≧0.93の場合
X<2.0
2)密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR<0.93の場合
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.008
×logMFR)2 +2.0
(ヘ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数であること
また、本発明は、前記(A)プロピレン系重合体95〜50重量%と前記(B)エチレン(共)重合体5〜50重量%および(C)他のエチレン系重合体45重量%以下(ただし、A+B+C合計100重量%)とからなり、かつ上面の摩擦係数が下面の摩擦係数より大きく、厚さが0.3〜10mmであるシート状の耐寒性シートパレットを提供するものである。
【0005】
以下に本発明の内容を詳述する。
本発明に使用する(A)プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体およびそれらの混合物などが使用されるが、耐熱性の点から結晶性のプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などが好ましい。
上記プロピレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含量はそれぞれ1〜20重量%が好ましい。α−オレフィンの含量が1重量%未満の場合は衝撃強度が十分ではない。また、α−オレフィンの含量が20重量%を超える場合は剛性が低くシート等として適さなくなる虞が生じる。
上記プロピレン系重合体のメルトフローレート(以下MFRという)は0.1〜20g/10分の範囲が好ましく、特に0.3〜10g/10分が好ましい。
MFRが0.1g/10分未満では溶融樹脂の流動性が悪く、押出機のスクリュー動力が高くなり過ぎ、良好なシートの生産が困難となる。一方、MFRが20g/10分を超える場合は、溶融樹脂のウェブが垂れ下がり、良好な成形ができない。またシートの強度その他の物性が低下する懸念が生ずる。
【0006】
本発明の(B)エチレン(共)重合体は、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれた一種以上との共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは3〜20モル%の範囲で選択されることが望ましい。
【0007】
本発明の特定の(B)エチレン(共)重合体は、(イ)密度が0.86〜0.97、好ましくは0.89〜0.95g/cm3、より好ましくは0.90〜0.94g/cm3の範囲である。密度が0.86g/cm3未満では剛性耐熱性が劣り、0.97g/cm3以上では耐衝撃性(低温脆化温度)が十分でない。特に、0.90〜0.94g/cm3の範囲であれば、剛性耐熱性と耐衝撃性とがバランスされるシートパレットが得られる。
また、(B)エチレン(共)重合体の(ロ)メルトフローレートは0.01〜50g/10分、好ましくは0.03〜30g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では成形加工性が劣り、50g/10分以上では強度が低下する。
【0008】
本発明のエチレン(共)重合体の分子量分布(Mw/Mn)の算出方法は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比Mw/Mnを求めるものである。
本発明のエチレン(共)重合体の(ハ)Mw/Mnは1.5〜4.5であり、好ましくは1.8〜4.0、さらに好ましくは2.0〜3.5の範囲にあることが望ましい。Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、4.5以上では耐衝撃性が劣る虞が生じる。
【0009】
本発明のエチレン(共)重合体の(ニ)組成分布は2.00以下であり、好ましくは1.08〜2.00、さらに好ましくは1.10〜1.80の範囲にあることが望ましい。
1.08未満では、シート成形加工性が劣り、2.00以上では、機械的強度の格段なる改良が望めない虞がある。
【0010】
本発明のエチレン(共)重合体の組成分布パラメーターの測定法は下記の通りである。
試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに濃度0.2重量%となるように135℃で加熱溶解する。溶液を、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し、0.1℃/分で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に沈着する。次に、ODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温し、試料を溶出させ試料を分別する。溶液をメタノールで再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度の試料を得る。各試料の重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度(測定値)は13C−NMRにより求める。
【0011】
30℃から90℃のフラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。溶出温度95℃以上では溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0012】
次にそれぞれのフラクションの重量分率Wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi−bi−1)で割って相対濃度Ciを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0013】
【数1】
ここでCjとbjはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0014】
ポリマーの組成分布を測定する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試科の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnの測定法は、本発明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0015】
本発明のエチレン(共)重合体の25℃におけるODCB可溶分(X重量%)は、下記の方法により測定する。
試料0.5gを20mlのODCBに加え135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液のメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1付近の吸収ピーク面積を求め、あらかじめ作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分を求める。
【0016】
本発明のエチレン(共)重合体は、(ホ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが、密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR≧0.93を満たす場合は、Xは2重量%未満であり、d−0.008×logMFR<0.93の場合はX<9.8×103 ×(0.9300−d+0.008×logMFR)2 +2.0の関係を満足しており、好ましくは密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR≧0.93を満たす場合は、Xは1重量%未満であり、d−0.008×logMFR<0.93の場合は、X<7.4×103 ×(0.9300−d+0.008×logMFR)2 +1.0であり、さらに好ましくは密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR≧0.93を満たす場合は、Xは0.5重量%未満であり、d−0.008×logMFR<0.93の場合は、X<5.6×103 ×(0.9300−d+0.008×logMFR)2 +0.5の関係を満足していることが望ましい。
【0017】
25℃におけるオルソジクロロベンゼン可溶分は、ポリマーに含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、耐熱性の低下、成形品表面のベタツキの原因となるためこの含有量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、コモノマーの含有量および分子量に影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合したコモノマーのうち、ポリマーの高分岐度成分に含まれるものの割合が少ないことを示す。
【0018】
本発明のエチレン(共)重合体は、(ヘ)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数である。さらに85℃から100℃の間にピークが存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、成形体の耐熱性および剛性が向上する。
また、図1には本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示し、図2は代表的なメタロセン触媒による共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示したものである。
この図から明らかなように本発明の(B)成分のエチレン共重合体は、一般的なメタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体とは明確に区別されるものである。
【0019】
本発明にかかわる連続昇温溶出分別法(TREF)の測定方法は下記の通りである。試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに濃度0.05重量%となるように135℃で加熱溶解する。試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料について、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1に対する吸収を赤外検出機で検出し、定量分析する。この値から、溶液中PEの重量濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分析は極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0020】
本発明の特定のエチレン(共)重合体の製造は、上記(イ)〜(ニ)の性状を満足すればよく、さらに好ましくは、(ホ),(ヘ)の性状をさらに満足すればよく、好ましくは以下のD1〜D5からなる触媒で重合することが望ましい。
すなわち、D1:一般式Me1R1p(OR2)qX14−p−qで表される化合物(式中Me1はZr、Ti、Hfを示し、R1およびR2は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1はハロゲン原子を示し、p、qおよびrは各々0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、D2:一般式Me2R3m(OR4)nX2z−m−nで表される化合物(式中Me2は周期律表第I〜III族元素、R3およびR4は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe2の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)、D3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、およびD4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、D5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体を相互に接触させて得られる触媒である。
【0021】
上記触媒成分(D1)の一般式Me1R1p(OR2)qX14−p−qで表される化合物の式中Me1はZr、Ti、Hfを示す。これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるZrが含まれることが特に好ましい。R1およびR2は各々炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X1はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦q<4、0≦p+q≦4の範囲を満たし、好ましくは0≦p+q≦4の範囲である。
【0022】
上記触媒成分(D1)の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0023】
上記触媒成分(D2)の一般式Me2R3m(OR4)nX2z−m−nで表される化合物の式中Me2は周期律表第I〜III族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R3およびR4は各々炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2が水素原子の場合はMe2はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III族元素の場合に限るものである。また、zはMe2の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0024】
上記触媒成分(D2)の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0025】
上記触媒成分(D3)の共役二重結合を持つ有機環状化合物とは、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0026】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0027】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
【0028】
【化1】
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0029】
上記成分(D3)の有機環状炭化水素化合物の具体例は、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数7〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0030】
触媒成分(D4)の有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムが得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウム化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0031】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0032】
触媒成分(D5)の無機物担体および/または粒子状ポリマー担体とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2O5、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−MgO、SiO2−Cr2O3等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl2O3からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分(D5)として用いることもできる。
【0034】
本発明の(B)エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は、気相法、スラリー法、溶液法等で製造され、一段重合法、多段重合法など特に限定されるものではないが、特に気相法で製造されることが好ましい。
【0035】
本発明の組成物を形成するエチレン系重合体(C)成分は、大別して2種類があり、その第1の成分(C1)は、従来のイオン重合法によるチグラー型触媒またはフィリップス触媒(以下総称してチグラー型触媒という)で得られる密度0.86〜0.97g/cm3のエチレン重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体であって、具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)、線状中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が挙げられる。
【0036】
上記チグラー型触媒による高密度・線状中・低密度ポリエチレン(HDPE、MDPE、LLDPE)とは、密度が0.91〜0.97g/cm3、好ましくは0.91〜0.96g/cm3の範囲であり、MFRが0.05〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分、さらに好ましくは0.3〜10g/10分の範囲で選択される。Mw/Mnは特に限定はないが、3.0〜13、好ましくは3.5〜8の範囲であるのが一般的である。組成分布は特に限定はないが、1.5以上好ましくは2.0以上であるのが一般的である。
【0037】
また、上記チグラー型触媒による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.91g/cm3未満、好ましくは0.88〜0.905g/cm3、MFRは0.01〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲で選択される。該超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)との中間の性状を示すポリエチレンを有しており、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)60℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、少なくともチタンおよび/またはバナジウムを含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合され、直鎖状低密度ポリエチレンが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である機械的強度、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0038】
上記チグラー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲であって、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
こねらα−オレフィンの含有量は3〜40モル%の範囲で選択されることが好ましい。
【0039】
本発明のエチレン系重合体の第2の成分(C2)は、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体である。
【0040】
上記低密度ポリエチレン(LDPE)は、MFR(メルトフローレート)が0.05〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分、さらに好ましくは1.0〜10g/10分の範囲である。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりシート成形等がし易い。また密度は0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.912〜0.935g/cm3、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3である。
また、Mw/Mnは3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。
【0041】
本発明のエチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特にビニルエステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分である。
【0042】
本発明のエチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分である。
【0043】
本発明のシートパレットの組成は、
(A)プロピレン系重合体:95〜50重量%、好ましくは93〜60重量%、さらに好ましくは87〜65重量%
(B)エチレン(共)重合体:5〜50重量%、好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは13〜35重量%
(C)他のエチレン系重合体:0〜45%、好ましくは0〜35重量%、さらに好ましくは0〜30重量%
で、構成される。
耐熱性等を重視する場合には、(A)成分と(B)成分の2成分で構成されることが好ましいが、耐寒性、加工性、経済性を考慮した場合には(C)成分を45重量%までを配合することが望ましい。上記(A)成分の配合量が50重量%未満ではシートの剛性が低下し、(B)成分の配合量が5重量%未満では低温衝撃性が改良されず、また、(C)成分が45重量%を超えると引張強度等の機械強度特性等が改良されない虞を生じる。
【0044】
本発明に用いられる配合組成物が有する性状の目標値は、曲げ剛性率5,000kg/cm2以上、好ましくは5,500kg/cm2以上、さらに好ましくは6,000kg/cm2以上であり、脆化温度−50℃以下、好ましくは−55℃以下である。
【0045】
上記三成分(A)、(B)および(C)の配合方法としては任意の公知技術が使用でき、代表的な例としてはヘンシェルミキサー、押出機、タンブラーなどの通常の混練機を用いて、ドライブレンド、溶融混合などの方法によって行われる。
本発明は上記のように(A)、(B)および(C)成分を所望の割合で混合した後、押出成形(たとえばTダイ法)またはカレンダー法などの通常の方法でシート成形される。
【0046】
シート上面の全部または所望部にエンボス加工、サンドブラスト、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理などの表面処理を施して粗面化するか、あるいはシートの上面にエチレン−酢酸ビニル共重合体、合成ゴムなどの防滑材を張り合わせまたは積層することにより、上面の摩擦係数を大きくして荷滑りや荷くずれを防止する。上記の摩擦係数については、紙製あるいはプラスチック製など貨物の包装材料により、また貨物底部の形状、貨物の重量などにより異なるが、たとえばボール紙の表面に対しては上面静止摩擦係数として0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.7の範囲が適当である。
シート上面が前記の摩擦係数の範囲であるためには、シート粗面化を例えばエンボス加工処理で行う場合、エンボスの程度である表面粗度Rmaxが10〜300μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜150μmである。なお、Rmaxとは粗面の山谷差の最大値である。
【0047】
本発明のシートパレットの厚さは0.3〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.8〜2.5mmの範囲において適宜選択する。シートパレットの厚さが0.3mm未満においては、シートの剛性などの機械的強度が劣り、また厚さが10mmを超える場合には、本発明において要求される特性は充足されるが、重量が大となり、荷役の自動化や取扱いに支障を来す懸念がある。本発明のシートパレットの形状は、矩形、正方形、楕円形、円形など適宜の形状でよい。
【0048】
本発明はまた溶融混合時にシート材料中に、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、金属繊維などの各種充てん材または酸化防止剤、難燃化剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤など通常の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0049】
【発明の効果】
上記のように、本発明のシートパレットはプロピレン系重合体、特定のエチレン(共)重合体およびエチレン系重合体の配合組成物を用いることにより、耐水性、耐油性、耐薬品性などの化学的性質が良好で反復使用に耐えるのみならず、強度、剛性、耐熱性および耐低温衝撃性などのバランスが従来のものより格段に優れており、特に超低温の環境下における機械特性が向上し、長期間支障なく使用することができる。
【0050】
【実施例および比較例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<実施例1〜7、比較例1〜6>
(A)、(B)および(C)成分として次のものを使用した。
(A)成分:
試料A ポリプロピレンブロック共重合体
(エチレン含有量11重量%、MFR1.5g/10分)
(B)成分:
<エチレン・α−オレフィン共重合体の重合>
(固体触媒の調製)
窒素下で電磁誘導撹拌機付き触媒調製器1に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2Cl2)28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウム45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間撹拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の撹拌器付き触媒調製器2に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
次に窒素下で撹拌器付き調製器1に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で撹拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0051】
(試料B1の重合)
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2Gでエチレンと1−ブテンの共重合を行った。系内のガス組成は、1−ブテン/エチレンモル比0.12、エチレン濃度60mol%とした。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給した。
なお、生成した共重合体の物性は以下の通りであった。
MFR :1.4g/10分
密度 :0.911g/cm3
融点 :115℃
分子量分布(Mw/Mn):2.3
組成分布 :1.16
ODCB可溶分X :2.7wt%
X(計算式1) :6.0
TREFピーク :複数
【0052】
(試料B2の重合)
(B2)はコモノマーを1−ヘキセンとした以外は(B1)と同様の操作を行って重合した。共重合体の物性は以下の通りであった。
MFR :1.4g/10分
密度 :0.920g/cm3
融点 :119℃
分子量分布(Mw/Mn):2.6
組成分布 :1.38
ODCB可溶分X :1.6wt%
X(計算式1) :3.2
TREFピーク :複数
【0053】
(C)成分:
C1:チーグラー触媒による線状低密度ポリエチレン
(密度=0.925g/cm3、MFR=2.0g/10分、
Mw/Mn=4.3、組成分布=1.6
商品名:日石リニレックス、日本石油化学(株)製)
C2:チーグラー触媒による超低密度ポリエチレン
(密度=0.905g/cm3、MFR=1.0g/10分、
商品名:日石ソフトレックス D9510、日本石油化学(株)製)
C3:チーグラー触媒による高密度ポリエチレン
(密度=0.954g/cm3、MFR=0.3g/10分、
商品名:日石スタフレン E803、日本石油化学(株)製)
C4:高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン
(密度=0.924g/cm3、MFR=1.0g/10分、
商品名:日石レクスロン F22、日本石油化学(株)製)
【0054】
上記(A)、(B)および(C)成分を所定の割合になるようドライブレンドした後、押出し機(120mmφ)を用いて樹脂温度235℃、冷却ロール温度100℃、引取り速度2mm/minのシート成形条件で、厚さ1.8mm×幅1600mmのシートを押出し成形し、さらにシートの上面にエンボス加工を施してシートパレット材料を製造した。上記の各種シートパレット材料の配合組成および性状を表1に示す。
性状値の測定方法は次のとおりである。
曲げこわさ :JIS K7106
脆化温度 :JIS K6760
静止摩擦係数:傾斜板法(ダンボール紙/シート面)
【0055】
表1から明らかなように、本発明の実施例においてはいずれも曲げ剛性率、引張強度が高く、かつ脆化温度が十分に低くて、剛性と耐低温衝撃性のバランスが優れている。これに対し比較例の場合には、これらの性状のバランスが十分でなく、両者を同時に満足させることができなかった。
【0056】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示す。
【図2】代表的なメタロセン触媒による共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示す。
Claims (4)
- (A)プロピレン系重合体95〜50重量%、および
(B)下記(イ)〜(ヘ)を満足するエチレン(共)重合体5〜50重量%
(イ)密度 0.86〜0.97g/cm3
(ロ)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10分
(ハ)分子量分布(Mw/Mn) 1.5〜4.5
(ニ)組成分布パラメーターCb 2.0以下
(ホ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(wt%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足すること
1)密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR≧0.93の場合
X<2.0
2)密度dおよびMFRの値がd−0.008×logMFR<0.93の場合
X<9.8×10 3 ×(0.9300−d+0.008
×logMFR) 2 +2.0
(ヘ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数であること
からなり、かつ上面の摩擦係数が下面の摩擦係数より大きく、厚さが0.3〜10mmであるシート状の耐寒性シートパレット。 - 前記(A)プロピレン系重合体95〜50重量%と(B)エチレン(共)重合体5〜50重量%および(C)他のエチレン系重合体45重量%以下(ただし、A+B+C合計100重量%)とからなることを特徴とする請求項1に記載の耐寒性シートパレット。
- 前記(A)プロピレン系重合体が、プロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐寒性シートパレット。
- 前記(C)エチレン系重合体が、下記のエチレン(共)重合体から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐寒性シートパレット。
(C1)密度0.86〜0.97g/cm 3 のエチレン・α−オレフィン共重合体
(C2)高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体
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