JP2007060926A - 農業用積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃強度、引裂き強度に優れ、且つ透明性と保温性がバランス良く改善され、更に流滴持続性能が向上した農業用積層フィルムの提供。
【解決手段】(I)エチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)100重量部に対して、特定量のSiO、Al、酸化鉄を含有し、屈折率が1.46〜1.54の範囲にあるガラス粉末1〜20重量部を含有するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなる外層、(II)エチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも一種類のポリエチレン樹脂からなる中間層、及び(III)エチレン・α−オレフィン共重合体からなる内層を積層してなることを特徴とする農業用積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、農業用積層フィルムに関し、詳しくは、優れた衝撃強度、引裂強度、引張強度を有し、且つ透明性と保温性能がバランス良く改善され、更に流滴持続性能が向上した農業用積層フィルムに関する。
農業上の促成栽培を目的としたハウス栽培、トンネル栽培などでは、一般に被覆資材として各種熱可塑性樹脂からなる農業用フィルムが多量に使用されている。従来、ポリ塩化ビニルフィルムは、透明性、強靱性、保温性等に優れており多く使用されていたが、使用済の廃棄物の焼却が可能であるなどの理由で、近年オレフィン系樹脂フィルムに置き換えられつつある。
オレフィン系樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムと比較して保温性が劣るため、一般には、赤外線吸収能の高いハイドロタルサイト類等の無機化合物を添加することにより保温性を改善している。
一方、農業用フィルムを展張使用する際、ハウス内面に水滴付着による曇りを防止するために、防滴剤を塗布することが行われているが、この方法では単に表面に防滴剤が付着しているだけなので効果を長期間にわたって維持することができないため、効果が失われるたびに再塗布を行わねばならず、この間は農作業を中断しなければならないという欠点があった。
このような欠点を改良するために、無機ゾルを主成分とした親水性高分子物をハウス内面に塗布すること(例えば、特許文献1〜4参照。)が提案されているが、ハウスの使用期間は徐々に長期化しており、それに応じて市場からは更なる性能改良要求が強い。また、オレフィン系樹脂にリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を配合したフィルムに無機ゾルを塗布することにより、防曇性及び防霧性の効果を長く持続させること(例えば、特許文献5参照。)も提案され、さらに、三層からなるオレフィン系樹脂フィルムの中間層にガラス粉末を配合して保温効果を改良したフィルム(例えば、特許文献6参照。)が提案されているが、いずれのフィルムも、透明性がやや低下することと、これによっても、防曇性及び防霧性の持続を十分な期間にわたって行うことができず、より長期間の持続性を有する農業用オレフィンフィルムの開発が望まれていた。
特開昭59−15473号公報 特開昭62−62884号公報 特開昭62−246984号公報 特開平7−53747号公報 特開平10−217400号公報 特開2003−253141号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、衝撃強度、引裂き強度に優れ、且つ透明性と保温性がバランス良く改善され、更に流滴持続性能が向上した農業用積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、エチレン・α−オレフィン共重合体に特定の無機粉末を特定量配合した外層、ポリエチレン樹脂を主成分とする中間層、エチレン・α−オレフィン共重合体を内層とする積層フィルム、さらに必要に応じて、外層に無機ゾルをコーティングした積層フィルムが、衝撃強度、引裂き強度に優れ、且つ透明性と保温性がバランス良く改善され、更に流滴持続性能が向上した農業用積層フィルムになり得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(I)エチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)100重量部に対して、下記の無機粉末(Ib)を1〜20重量部含有するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を主成分とする外層、
(II)エチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)又はエチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)から選ばれる少なくとも一種類のポリエチレン樹脂を主成分とする中間層、および
(III)エチレン・α−オレフィン共重合体(IIIa)を主成分とする内層
を積層してなることを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
無機粉末(Ib):SiO 40〜90重量%、Al 1.5〜55重量%、酸化鉄 0.01〜2.0重量%を含有し、屈折率が1.46〜1.54の範囲にあるガラス粉末
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、中間層が、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、保温剤(IIc)を1〜20重量部含有することを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、中間層の保温剤(IIc)含有量が、外層の無機粉末(Ib)含有量より多いことを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、外層表面に無機ゾルがコーティングされたことを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、無機ゾルがシリカゾル、アルミナゾル又またはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
本発明の農業用積層フィルムは、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂に特定の無機粉末を特定量配合した外層を配することにより相反する性能である保温性と透明性をバランスよく改善し、更に大幅な高強度化を計ることが出来、衝撃強度、引裂き強度に優れ、且つ透明性と保温性がバランス良く改善され、更に流滴持続性能が向上したフィルムである。
本発明の農業用積層フィルムは、(I)外層、(II)中間層、(III)内層の三層を積層したフィルムであり、(I)外層はエチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)と無機粉末(Ib)を含有する組成物を主成分とし、(II)中間層はエチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)又はエチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)から選ばれるポリエチレン樹脂を主成分とし、必要に応じて、保温剤(IIc)を含有し、(III)内層はエチレン・α−オレフィン共重合体(IIIa)を主成分とする積層フィルムである。以下、各層の構成成分、積層体の構成、積層体の製法等について詳細に説明する。
1.各層の構成成分
(I)外層
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)
本発明の積層フィルムの外層に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)は、エチレンとα−オレフィンの共重合体樹脂である。α−オレフィンとしては、炭素数3〜18のα−オレフィンが好ましく、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらα−オレフィンの中で、好ましくは炭素数4〜12のもの、特に好ましくは炭素数6〜10のものが望ましい。このα−オレフィンは、1種選んで用いても、所望に応じて2種以上を併用することもできる。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、2〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜35重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)の物性は特に制限されるものではないが、以下に示す範囲内であれば成形性、衝撃強度などが向上するので好ましい。
(i)MFR
JIS−K7210による190℃、荷重2.16kgでのMFR(メルトフローレート:溶融流量)は、0.1〜10g/10分、好ましくは0.3〜7g/10分、より好ましくは0.7〜5g/10分である。該MFRが上記範囲より大きいと、フィルムの強度が低下することと、成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、成形時の樹脂圧力が高くなり樹脂発熱を生じたり、あるいは、押出しエネルギーが増大する等加工性が悪化する。
(ii)密度
JIS−K7112により測定される密度は、外層に用いられる樹脂は0.910〜0.923g/cmである。該密度が上記範囲より大きいと、透明性、衝撃強度が不良となる。また、密度が小さすぎるとフィルム表面にベタツキを生じたり、結晶性低下に伴い成形時にフロストラインが上昇し成膜不安定となったりする。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)は、種々の方法により製造することができる。メタロセン触媒、チーグラー触媒、フィリップス触媒などのオレフィン重合触媒の存在下にエチレン及びα−オレフィンを共重合して製造することができる。共重合の方法としては、気相法、スラリー法、溶液法、高圧イオン重合法等が挙げられるが、何れの方法を用いても構わない。
(2)無機粉末(Ib)
本発明の積層フィルムの外層に用いられる無機粉末(Ib)は、下記のガラス粉末である。
ガラス粉末は、SiO、Al、酸化鉄を含有し、屈折率が1.46〜1.54の範囲にあるガラス粉末である。その平均粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。平均粒径が大きすぎるとフィルムの透明性が損なわれるので好ましくない。
酸化鉄としては、Fe、FeOなどが挙げられ、Feが好ましい。
本発明で用いるガラス粉末を構成する成分の組成割合は、SiOは40〜90重量%、好ましくは45〜85重量%であり、Alは1.5〜55重量%、好ましくは2.0〜50重量%であり、酸化鉄は0.01〜2.0重量%、好ましくは0.03〜1.5重量%である。
本発明で用いるガラス粉末は、上記範囲内でシリカ分(SiO)、アルミナ分(Al)及び鉄分(Feなど)を含有しているが、特に重要なことは、一定量のアルミナ分(Al)及び鉄分(Feなど)を含有している点にある。
すなわち、ガラス粉末を樹脂用配合剤として使用するためには、鉄分は、着色の原因となるため、酸処理により全て除去するのが望ましいが、これを実現させるためには非常に高度な酸処理を要する。従って後述するように本発明では、上記の範囲において鉄分を含有しているが、粒子表面での鉄分濃度を低く抑えているため実用上の問題は小さい。このような量で鉄分が存在している結果、紫外領域(200nm〜400nm)に大きな吸収ピークを示すものとなる。また、鉄分量が上記範囲よりも多いと、着色等の問題が無視し得ないレベルになってしまい、上記範囲よりも少ないと樹脂用配合剤を天然原料から合成することはコスト的にも技術的にも難しく、紫外線吸収作用が望めない。
また、本発明で用いるガラス粉末は、11規定硫酸を用いて、95℃×2時間の酸処理を行なったときに溶出する鉄分量が、全鉄分量の20重量%以下、特に18重量%以下である。すなわち、本発明のガラス粉末は、前述した範囲内の量で鉄分を含有しているものの、上記酸処理で溶出する鉄分量は極めて少量であるか、或いは全く溶出しない。このことは、このガラス粉末に含まれる鉄分は、大部分が粒子の内部に存在しており、粒子表面には、鉄分はほとんど存在していないことを意味する。この結果、本発明で用いるガラス粉末は、鉄分を含有しているにもかかわらず、その着色傾向は比較的小さい。
さらに、本発明のガラス粉末は、1.46〜1.54、特に1.47〜1.53の屈折率を有している。この値はポリエチレン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル等の樹脂に近い屈折率を有し、これら樹脂の透光性等の光学的性質を低下させることがない。これは、アルミナ分含量が前記範囲にあることに起因しており、アルミナ分含量が範囲外であると、屈折率が上記の範囲外となってしまい、樹脂との屈折率との相違が大きくなり、透明性が低下する。
さらにまた、本発明で用いるガラス粉末は、強熱減量(1050℃)が10重量%以下であることが好ましい。すなわち、このようなガラス粉末では、成形時の発泡を抑制する効果が高い。
また、本発明で用いるガラス粉末は、シリカ分、アルミナ分及び鉄分を必須成分として含有しているが、通常、不可避的不純物として、Na、K等のアルカリ金属、Ca等のアルカリ土類金属、及びMg、Ti等を、合計で0.5〜35重量%(酸化物換算)で含有していてもよい。また、上記のような不可避的不純金属成分を少量含んでいることから、本発明で用いるガラス粉末は、9%水性スラリーで測定したときの電気伝導度が150μS・cm−1以下であり、このような電気的性質を有していることも特徴の一つである。
さらに、本発明で用いるガラス粉末は、BET比表面積が25m/g以下、25℃、75%RH及び24時間における平衡水分率が5重量%以下であることが好ましい。このような表面特性を有していることにより、ガラス粉末は、復水の問題が少なく、樹脂に練り込んだときや、フィルムをヒートシールする際に、水分の離脱に伴う発泡の問題が有効に解消することができる。また、農業用フィルムの長期使用における吸湿、吸水による失透を抑制することができる。
さらにまた、本発明で用いるガラス粉末は、レーザ回折法で測定した体積基準の中位径(D50)が0.1〜20μmの範囲となるように粒度調整されていることが好ましい。一般に、レーザ回折法で測定される体積基準の中位径(D50)は、分散粒子径(電子顕微鏡などで観察される粒子径がほぼこれに相当する)よりも微細であるが、上記範囲内の中位径であれば、粒子間の凝集の程度も適切であり、樹脂中への分散の程度も良好に保持される。
本発明で用いるガラス粉末は、合成化合物、粘土鉱物、または、真珠岩、松脂岩、黒曜石等の天然火山ガラスを出発原料として、容易に製造することができる。具体的には、カオリン等の粘土鉱物を主原料、その他の合成化合物などを配合組成調整用の副原料として用いる。また、原料すべてを単一の合成化合物とすることも可能である。例えば、シリカ源として、粉末シリカ、ケイ酸ソーダ等のケイ酸アルカリ、或いはカオリン等の粘土鉱物を使用することができる。また、アルミナ源としては、水酸化アルミニウム、アルミン酸アルカリ、及びカオリン等の粘土鉱物を使用することができる。更に、鉄源としては、硫酸第一鉄アンモニウム等の鉄化合物を使用することができる。さらに必要により、ソーダ分やカリウム分等のアルカリ源として、炭酸ソーダ、苛性ソーダ、ケイ酸ソーダ、炭酸カリウム等を使用することができ、カルシウム等のアルカリ土類金属源として、炭酸カルシウムなどを用いることができる。これらの各種金属源を混合して水性スラリー(ペースト)を調製し、これを溶融してガラス化する。また、ケイ酸ソーダ等のアルカリ源をやや過剰に配合しておくことによりフラックスとして機能し、比較的低温(例えば900〜1100℃程度)での溶融によりガラス化することができる。また、天然火山ガラスを適度に粉砕し、これを900〜1100℃に加熱して発泡せしめる。この方法で得られたガラスも、カオリン等の粘土鉱物から合成したガラスと同等の物理的化学的特性を有する。
上記のようにして得られたガラスを粉砕した後、酸処理する。酸処理は、前記の性能が得られるのであれば、どのような方法でも良い。好ましくは、過剰なアルカリ成分の溶脱を目的とした比較的マイルドな酸処理、および鉄分の溶脱を目的とした酸処理の二段階で行うのが良い。過剰なアルカリ成分の溶脱を目的とした酸処理開始時の酸濃度は、0.2〜0.6規定程度とするのがよく、また酸としては硫酸が最適であり、酸処理温度は、25〜95℃程度がよい。これよりも高濃度または高温での酸処理を行うと、過剰なアルカリ成分に加えて、必須成分であるアルミナ等の溶出が著しくなる。また鉄分の溶脱を目的とした酸処理開始時の酸濃度は、2〜33規定程度とするのがよく、酸処理温度は、60〜100℃程度がよい。これよりも高濃度または高温での酸処理を行っても、鉄分溶出量の大幅な増加は期待できず経済的で無い。なお、過剰なアルカリ成分配合量が少ない場合には前者の酸処理を省略できる。上記のような酸処理を行なうことにより、粒子表面部分に存在する鉄分のみを除去することができ、この結果、鉄分量が前述した範囲に調整されるとともに、11規定硫酸を用いての酸処理により溶出する鉄分量を前述した範囲内とすることができ、さらに所定の屈折率を有するガラス粉末を得ることが可能となる。
上記の酸処理が終了した後、充分に水洗し、乾燥後、微粉砕を行ない、本発明で用いるラス粉末を得ることができる。
なお、上記の微粉砕終了後に、必要により、表面処理を行ない、樹脂に対する分散性を高めることができる。例えば、このガラス粉末は保温剤としても機能し、樹脂中に比較的多量に配合されるため、表面処理を行なっておくことが特に好適である。このような表面処理は、有機或いは無機の助剤を用いて行なうことができる。
有機の助剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等およびこれらのカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石鹸、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、各種ワックス類、未変性乃至変性の各種樹脂(例えばロジン、石油樹脂等)等を例示することができ、その表面処理量(コーティング量)は、未処理のガラス粉末当たり0.01〜15重量%、特に0.1〜10重量%の範囲が好適である。
また、無機の助剤としては、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、マグネシア、カルシア、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、A型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又はその金属イオン交換物から成る定形粒子を、上述した未処理の樹脂用配合剤にブレンド乃至マブシして使用することもできる。また、シラン系、チタニウム系或いはジルコニウム系のカップリング剤を用いることもできる。
これらの中では。炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩が好ましく、炭酸マグネシウムがより好ましい。とりわけ、一般式:pMgCO・Mg(OH)・qHO(式中、p=2.5〜3.5、q=0〜3)で表される塩基性炭酸マグネシウムが好ましい。
これらの無機系助剤は、未処理のガラス粉末当たり0.01〜40重量%、特に1〜35重量%、10〜30重量%の量で用いるのがよい。
上記のように、本発明で用いるガラス粉末は、合成化合物、粘土鉱物、および真珠岩、松脂岩、黒曜石等の天然火山ガラスを出発原料として使用して製造できるため、製造コストを極めて安価にすることができるという利点を有するものである。
なお、ガラス粉末には、本発明の効果を損なわない範囲で公知の保温剤を配合することができる。保温剤としては、赤外線吸収能を有する無機微粒子を一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。組み合わせて用いることのできる無機微粒子は、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物等が挙げられる。これらの保温剤は、未処理の無機粉末当たり20重量%未満、特に10重量%未満の量で用いることができる。
本発明の外層を形成するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物中における無機粉末(Ib)の配合量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)100重量部に対して、1〜20重量部であり、好ましくは2〜17重量部であり、より好ましくは3〜14重量部である。無機化合物粉末(Ib)配合量が20重量部を超えると透明性が低下するという問題に加え流滴持続性改良効果も飽和状態となり経済的にも好ましくない。配合量が1重量部未満では、保温性が低下することに加え流滴持続性改良効果もなくなる。
なお、無機粉末(Ib)のエチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)への添加は、直接添加してもよいし、マスターバッチ化としたものを添加してもよい。
(3)その他の成分
本発明の外層を形成するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂には、必要に応じて、一般に樹脂組成物用として用いられている公知の各種補助添加剤、例えば、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、熱安定剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、核剤等を配合することが出来る。
また、フィルムを成形する際の成形性をより良好なものとするために、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を必要に応じ添加することができる。この場合、その添加量は、ベースとなるエチレン・α−オレフィン共重合体の強靱性を実用上損なわない範囲として、5〜20重量%程度が好ましい。
(II)中間層
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)
本発明の積層フィルムの中間層に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)は、エチレンとα−オレフィンの共重合体樹脂である。α−オレフィンとしては、炭素数3〜18のα−オレフィンが好ましく、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらα−オレフィンの中で、好ましくは炭素数4〜12のもの、特に好ましくは炭素数6〜10のものが望ましい。このα−オレフィンは、1種選んで用いても、所望に応じて2種以上を併用することもできる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は2〜50重量%、好ましくは3〜35重量%、特に好ましくは5〜25重量%が望ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体の物性は、特に制限されるものではないが、以下に示す範囲内であれば成形性、衝撃強度などが向上するので好ましい。
(i)MFR
JIS−K7210による190℃、荷重2.16kgでのMFR(メルトフローレート:溶融流量)は、0.1〜10g/10分、好ましくは0.3〜7g/10分、より好ましくは0.7〜5g/10分である。該MFRが上記範囲より大きいと、フィルムの強度が低下することと、成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、成形時の樹脂圧力が高くなり樹脂発熱を生じたり、あるいは、押出しエネルギーが増大する等加工性が悪化する。
(ii)密度
JIS−K7112により測定される密度は、0.900〜0.915g/cmである。該密度が上記範囲より大きいと、柔軟性が損なわれることに加え衝撃強度が不良となる。また、密度が小さすぎると結晶性低下に伴い成形時にフロストラインが上昇し成膜不安定となったりする。
(2)エチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)
本発明の積層フィルムの中間層に用いられるエチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)は、エチレンと酢酸ビニルの共重合体樹脂であり、酢酸ビニル含有量が2.0〜30重量%、好ましくは3.0〜25重量%、さらに好ましくは5.0〜20重量%の範囲にある。
本発明の積層フィルムの中間層においては、エチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)又はエチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)から選ばれる少なくとも一種類のポリエチレン系樹脂を用いるが、エチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)との混合物を使用する場合には、両者の重量比[(IIa)/(IIb)]は、99/1〜1/99、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80であるのが好ましい。
(3)保温剤(IIc)
本発明の積層フィルムの中間層においては、必要に応じて、保温剤(IIc)を配合することができる。保温剤(IIc)としては、赤外線吸収能を有する無機微粒子を一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。用いることのできる無機微粒子は、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物等が挙げられる。更に、上述のガラス粉末であってもよく、これらは結晶水を脱水したものであってもよい。
これらの中でもガラス粉末、ハイドロタルサイト類化合物又はそれらの混合物が好ましい。とりわけ、ガラス粉末とハイドロタルサイト類化合物が重量比でガラス粉末:ハイドロタルサイト類化合物=9:1〜3:7の範囲で混合されたものが好適である。
上記無機微粒子は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。
さらに、上記無機微粒子は、必要により、表面処理を行ない、樹脂に対する分散性を高めることができる。例えば、この保温剤が樹脂中に比較的多量に配合されるためには、表面処理を行なっておくことが特に好適である。このような表面処理は、有機或いは無機の助剤を用いて行なうことができる。
有機の助剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等およびこれらのカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石鹸、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、各種ワックス類、未変性乃至変性の各種樹脂(例えばロジン、石油樹脂等)等を例示することができ、その表面処理量(コーティング量)は、未処理の無機微粒子当たり0.01〜15重量%、特に0.1〜10重量%の範囲が好適である。
また、無機の助剤としては、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、カルシア、マグネシア、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、A型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又はその金属イオン交換物から成る定形粒子を、上述した未処理の樹脂用配合剤にブレンド乃至マブシして使用することもできる。また、シラン系、チタニウム系或いはジルコニウム系のカップリング剤を用いることもできる。これらの無機系助剤は、未処理の無機微粒子当たり0.01〜15重量%、特に0.1〜10重量%の量で用いるのがよい。
本発明の中間層を構成するポリエチレン樹脂への保温剤(IIc)の配合量は、配合する場合は、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、より好ましくは3〜18重量部であり、特に好ましくは6〜15重量部である。保温剤の配合量が20重量部を超える透明性、衝撃強度が低下することと、成形時に発泡すると言う問題がある。配合量が1重量部未満では保温性が低下する。
なお、中間層における保温剤(IIc)の配合量は、外層の無機粉末(Ib)の配合量よりも多いことが好ましい。保温剤の平均濃度を合わせ同一の保温性を付与した場合、中間層の保温材(IIc)の含有量が、外層の無機粉末(Ib)の含有量よりも多くなると、より透明性が良くなるという効果を発揮する。
保温剤(IIc)のポリエチレン樹脂への添加は、直接添加してもよいし、マスターバッチ化としたものを添加してもよい。
(4)その他の成分
本発明の中間層を形成するポリエチレン樹脂には、必要に応じて一般に樹脂組成物用として用いられている公知の各種補助添加剤、例えば、酸化防止剤、スリップ剤、熱安定剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、核剤等を配合することが出来る。
また、フィルムを成形する際の成形性をより良好なものとするために、例えば、高圧法低密度ポリエチレン等を必要に応じ添加することができる。この場合、その添加量は、ベースとなるポリエチレン樹脂の強靱性を実用上損なわない範囲として、5〜20重量%程度が好ましい。
(III)内層
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(IIIa)
本発明の積層フィルムの内層に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(IIIa)は、エチレンとα−オレフィンの共重合体樹脂である。α−オレフィンとしては、炭素数3〜18のα−オレフィンが好ましく、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらα−オレフィンの中で、好ましくは炭素数4〜12のもの、特に好ましくは炭素数6〜10のものが望ましい。このα−オレフィンは、1種選んで用いても、所望に応じて2種以上を併用することもできる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は2〜50重量%、好ましくは3〜35重量%、特に好ましくは5〜25重量%が望ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体の物性は、特に制限されるものではないが、以下に示す範囲内であれば成形性、衝撃強度などが向上するので好ましい。
(i)MFR
JIS−K7210による190℃、荷重2.16kgでのMFR(メルトフローレート:溶融流量)は、0.1〜10g/10分、好ましくは0.3〜7g/10分、より好ましくは0.7〜5g/10分である。該MFRが上記範囲より大きいと、フィルムの強度が低下することと、成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、成形時の樹脂圧力が高くなり樹脂発熱を生じたり、あるいは、押出しエネルギーが増大する等加工性が悪化する。
(ii)密度
JIS−K7112により測定される密度は、0.910〜0.923g/cmである。該密度が上記範囲より大きいと、透明性、衝撃強度が不良となる。また、密度が小さすぎるとフィルム表面にベタツキを生じたり、結晶性低下に伴い成形時にフロストラインが上昇し成膜不安定となったりする。
(2)その他の成分
本発明の外層を形成するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂には、必要に応じて一般に樹脂組成物用として用いられている公知の各種補助添加剤、例えば、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、熱安定剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、核剤等を配合することが出来る。
また、フィルムを成形する際の成形性をより良好なものとするために、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を必要に応じ添加することができる。この場合、その添加量は、ベースとなるエチレン・α−オレフィン共重合体の強靱性を実用上損なわない範囲として、5〜20重量%程度が好ましい。
2.フィルム積層構造
本発明の積層フィルムは、外層/中間層/内層の三層を基本とするが、必要に応じて更に保護層等を追加で設けることができる。
積層フィルムの積層構成比は、外層の厚みが5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲にあり、中間層の厚みが10〜150μm、好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲にあり、内層の厚みが5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲である
このような3層積層フィルムにおいては、外層(I)、中間層(II)および内層(III)の各層の厚みの比(外層(I)/中間層(II)/内層(III))は、0.2〜4/1〜10/1、好ましくは0.5〜2/2〜6/1であることが望ましい。
積層フィルム全体の厚みは、30〜200μm、好ましくは50〜180μm、さらに好ましくは70〜150μmの範囲である。
また、中間層にエチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)を使用する場合には、各層に使用するエチレン・α−オレフィン共重合体の密度構成(外層(I)/中間層(II)/内層(III))は、0.910〜0.923/0.900〜0.915/0.910〜0.923、好ましくは0.912〜0.920/0.903〜0.912/0.912〜0.920である。
3.農業用積層フィルムの製造
本発明の農業用積層フィルムは、所定の添加剤を配合したエチレン・α−オレフィン共重合体組成物、ポリエチレン樹脂、及びエチレン・α−オレフィン共重合体を三層の樹脂として用い、公知の成形方法により成形加工して製造することができる。その製造方法としては、積層数に応じた押出機と通常のフィードブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプの接合・合流部を有する積層ダイによる空冷インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形等が挙げられ、これらの何れかの方法により好適なフィルムを得ることができる。
4.無機ゾルコーティング
本発明の農業用積層フィルムの外層表面には、必要に応じて、無機ゾルをコーティングすることができる。無機ゾルをコーティングすることにより、流滴性が発現する。本発明では外層に無機粉末(Ib)が配合されているので、無機ゾルをコーティングすることにより、無機ゾルの流滴性能を長期間持続することが可能となる。
本発明で用いられる無機ゾルは、特に制限なく使用できるが、シリカゾルまたはアルミナゾルまたはその混合物であることが好ましい。シリカゾルは、所謂コロイダルシリカでありアルコール分散液として市販されているものがそのまま利用できる。市販品としてはシリカの粒径が100mμ以下、シリカの含量が20〜35重量%のものが一般的である。かかるもののうち、メタノールシリカゾルは触媒化成工業(株)、日産化学工業(株)より入手できる。アルミナゾルは、所謂コロイダルアルミナであり水分散液として市販されているものがそのまま利用できる。そのような具体例を挙げると、アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業社製、いずれも商品名)がある。
これら無機ゾルのコーティングに際しては、その塗布性、流滴性を高めるために親水性高分子化合物、界面活性剤、有機シラン誘導体等、公知の配合手法を適宜用いれば良い。
シリカゾルとアルミナゾルの混合物を用いる場合には、シリカゾルおよびアルミナゾルの重量比(シリカゾル/アルミナゾル)が(10/90)〜(40/60)である。
無機ゾルのフィルム表面へのコーティング方法は、各種のロール印刷法、バーコート法、どぶ浸け法、吹き付け法等何れでも構わない。また、コーティングは、フィルム成形後に連続的に行うインラインコートや、フィルム成形、巻き取り後にフィルムの巻き戻し工程で行うアウトラインコート、さらにはフィルム展張後にその内面に吹き付けコートする方法等で実施できる。
無機ゾルの塗布後は、必要に応じて、50〜150℃程度の温度で熱風乾燥して被膜層を形成するすることができる。
なお、本発明の農業用積層フィルムの外層がハウス内面になるように展張される。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性の測定と評価は、以下に示す方法によって実施し、樹脂と無機化合物は以下のものを用いた。
1.物性の測定方法と評価方法
(1)MFR:JIS−K7210に準拠して測定した。
(2)密度:JIS−K7112に準拠して測定した。
(3)ヘイズ:JIS−K7105に準拠して測定した。
(4)打ち抜き衝撃強度:JIS−P8134(1976)に準じて、先端に貫通部を取り付けることのできる90°弧状の腕をもち、自由に振動することができる振子、上記貫通部は、12.7mmφの半球型の金属製を標準とし、表面は鏡面光沢をもち確実に振子の弧状の腕の先端に取り付けできるもの、試験片を水平均一に締め付ける内径50mmφのクランプを備えた試験機を用い、貫通破壊エネルギーを測定した。
(5)ブロッキング性:ASTM D1893に準拠して測定した。内面同士を密着させたフィルムを短冊状に切り出し、密着面積10cm2(2cm×5cm)のせん断剥離荷重(g)を測定しブロッキング性能とした。数値が大きい程ブロッキング性が悪い。
(6)保温性:赤外線分光光度計で得られるフィルムの各波長に対応した吸収率でプランクの放射法則によって得られる各波長の分光放射発散度を重みづけし、その吸収率で重みづけされた分光放射発散度と、元の分光放射発散度との比を持って保温性とした。数値が大きい程赤外線吸収能が高く保温性に優れる。
(7)流滴持続性:80℃にコントロールされた恒温水槽の上部にアーチ状にセットされたミニハウスに各評価フィルムを展張し水滴付着状態を観察した。評価面積の約1/3が有滴状態となった時点の通算日数を持って流滴持続性能とした。
(8)成形時の発泡:実施例の成形条件で成形を行った際、フィルム外観を目視観察し、気泡が全くない状態を「○」、気泡が僅かでも認められたら「×」とした。
2.使用した樹脂と無機化合物
(1)メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(共重合体A):日本ポリエチレン社製カーネル「KF282」MFR2.2g/10分、密度0.915g/cm、Mw/Mn=3.1
(2)メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(共重合体B):日本ポリエチレン社製ハーモレックス「NF324A」MFR2.0g/10分、密度0.906g/cm、Mw/Mn=3.0
(3)エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(共重合体C):日本ポリエチレン社製ノバテックEVA「LV430」MFR1.0g/10分、酢酸ビニル含有量15wt%
(4)無機化合物B(無機A):ガラス粉末Bとして、ガラス粉末(水澤化学工業社製「MICLAY−ASi2」、主成分がSiO 63.6重量%、Al 9.16重量%、Fe 0.41重量%、屈折率1.49)を用いた。
(5)無機化合物B(無機B):無機化合物Bとして、ハイドロタルサイト化合物(協和化学工業社製「DHT4A」)を用いた。
(6)無機化合物C(無機C):リチウムアルミニウム複合水酸化物塩(水澤化学工業社製「ミズカラック」)を用いた。
(7)無機ゾルA:日産化学工業社製メタノールシリカ(商品名)を用い、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、シランカップリング剤を調合し、シリカ5.6重量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11重量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル1.7重量%、シランカップリング剤1.7重量%であるアルコール分散流滴剤組成物(日本ポリエチレン社製「ZMYPK12」)を用いた。
(8)無機ゾルB:日産化学工業社製アルミナゾル200(商品名)及び、日産化学工業社製スノーテックス(商品名)を用い、カプロン酸ナトリウム、シランカップリング剤を調合し、アルミナ6.2重量%、シリカ3.1重量%、カプロン酸ナトリウム0.7重量%、シランカップリング剤0.4重量%である水分散流滴剤組成物(日本ポリエチレン社製「ZSB1」)を用いた。
(実施例1)
外層部にエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂Aを100重量部と無機化合物Aを8重量部とを混合したものを用い、中間層部にエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂Bを100重量部と無機化合物Bを12重量部とを混合したものを用い、内層部にエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂Aを100重量%とした樹脂を用い、三菱化学エンジニアリング社製三種三層インフレーションフィルム成形機にて、設定温度185℃で成膜を行い、外層部の厚み20μm、中間層部の厚み60μm、内層部の厚み20μmの三層インフレーションフィルムを得た。なお、外層部には、ブロッキング防止剤としてシリカを0.16重量部、滑剤としてオレイン酸アミドを0.13重量部を添加し、内層部には、ブロッキング防止剤としてシリカ0.35重量部、滑剤としてオレイン酸アミド0.18重量部を添加した。また耐候安定剤として光安定剤共重合樹脂(日本ポリエチレン社製ノバテックXJ100H)を各層に3.0重量部を添加した。前述の無機化合物A、B及び、ブロッキング防止剤、滑剤は予め基材樹脂と同一の樹脂を用い高濃度のマスターバッチを作成し、それを希釈添加した。作成された三層フィルムの外層側表面に無機ゾルAをバーコーターにて塗布を行い、直後に90℃温風で乾燥を実施し、固形分量として0.6g/mの塗布膜を付与した。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。
(実施例2)
中間層部へ添加する無機化合物Aを6重量部、無機化合物Bを6重量部とした以外は実施例1と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。
(実施例3)
外層部表面へ塗布する無機ゾルを、無機ゾルBとした以外は実施例2と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。
(実施例4)
外層部へ添加する無機化合物Aを12重量部、中間層部へ添加する無機化合物Aを12重量部とした以外は実施例1と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。
(比較例1)
外層部へ添加する無機化合物Aを24重量部とした以外は実施例1と同様に成形を行った。本比較例は成形時、フィルム中に発泡を生じ正常なフィルムが採取出来なかったため、品質評価は行えなかった。
(比較例2)
外層部への無機化合物Aの添加量を0重量部とした以外実施例2と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。流滴持続性が90日と実施例の約50〜60%程度しか発現しなかった。
(実施例5)
中間層部に使用するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂をエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂とした以外、実施例2と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。
(実施例6)
外層部及び内層部に使用するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂をエチレン・α−オレフィン共重合体Bとした以外、実施例1と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2において、外層部への無機化合物Aの添加量0重量部とし、外層部に添加していた無機化合物Aの添加量に相当する量の無機化合物Aを、中間層に増量した以外、実施例2と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。流滴持続性が90日と実施例の約50〜60%程度しか発現しなかった。
(比較例4)
外層部へ添加する無機化合物として、無機化合物Cを8重量部とした以外は実施例2と同様に成形及び塗布を行い三層フィルムを得た。得られたフィルムの品質評価結果を表1に示す。実施例のものより透明性が低下した他、流滴持続性も劣るものであった。
Figure 2007060926
本発明の農業用積層フィルムは、衝撃強度、引裂き強度に優れ、且つ透明性と保温性がバランス良く改善され、更に流滴持続性能が向上したフィルムであり、また当該層に無機ゾルを塗布することにより元来有する流滴性能以上の流滴性が発現し、従来のフィルムでは得られなかった長期展張性能が得られ、ハウス促成栽培等に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. (I)エチレン・α−オレフィン共重合体(Ia)100重量部に対して、下記の無機粉末(Ib)を1〜20重量部含有するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を主成分とする外層、
    (II)エチレン・α−オレフィン共重合体(IIa)又はエチレン・酢酸ビニル共重合体(IIb)から選ばれる少なくとも一種類のポリエチレン樹脂を主成分とする中間層、および
    (III)エチレン・α−オレフィン共重合体(IIIa)を主成分とする内層
    を積層してなることを特徴とする農業用積層フィルム。
    無機粉末(Ib):SiO 40〜90重量%、Al 1.5〜55重量%、酸化鉄 0.01〜2.0重量%を含有し、屈折率が1.46〜1.54の範囲にあるガラス粉末
    を含有する混合物
  2. 中間層が、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、保温剤(IIc)を1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1記載の農業用積層フィルム。
  3. 中間層の保温剤(IIc)含有量が、外層の無機粉末(Ib)含有量より多いことを特徴とする請求項2記載の農業用積層フィルム。
  4. 外層表面に無機ゾルがコーティングされたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用積層フィルム。
  5. 無機ゾルがシリカゾル、アルミナゾル又またはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の農業用積層フィルム。
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