JP5321916B2 - 熱線遮蔽ポリエステルフィルム及び熱線遮蔽ポリエステルフィルム積層体 - Google Patents
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Description
また、本発明者らの検討によると、熱線遮蔽ポリエステルフィルムは、可視光領域においては透明で、近赤外線領域においては吸収を持つ複合タングステン酸化物微粒子を媒体に分散させたものである。ところが当該熱線遮蔽ポリエステルフィルムは、長期間にわたって紫外線を受けると、色調が変化し、透過率が低下する可能性があることを見出し、解決すべき課題とした。
当該研究の結果、微粒子を樹脂に分散するときに使用する分散剤に問題があることに想
到した。具体的には、当該分散剤として、アクリル主鎖、またはポリエステル主鎖に有機官能基を有する高分子分散剤を使用すると、ポリエステルフィルム成形時の熱により、当該高分子分散剤が分解し、溶融樹脂の粘度低下、発泡等が起こることを知見した。
その結果、ポリエステルフィルム中へ、複合タングステン酸化物微粒子と、シリコーンレジンと、着色防止剤とを含有させることで、上述の課題が解決することに想到し、本発明に至ったものである。
熱線遮蔽機能を有する微粒子と、シリコーンレジンと、着色防止剤とを、含有するポリエステルフィルムであって、
前記熱線遮蔽機能を有する微粒子が、一般式MYWOZ(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素であり、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0である。)で示され、六方晶の結晶構造を持ち、且つ、平均分散粒子径が1nm以上、200nm以下である複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記シリコーンレジンが、シロキサン結合を主骨格とし、分子構造中にシラノール基、および、メチル基とフェニル基とから選択される1種類以上の基を有するシリコーンレジンであり、
前記着色防止剤が、リンを含む着色防止剤、アミドを含む着色防止剤、アミンを含む着色防止剤、ヒンダードアミンを含む着色防止剤、ヒンダードフェノールを含む着色防止剤、硫黄を含む着色防止剤から選択される1種類以上の着色防止剤であり、
前記熱線遮蔽機能を有する微粒子の含有量が、0.1重量%以上、10重量%以下である、ことを特徴とする熱線遮蔽ポリエステルフィルムである。
前記リンを含む着色防止剤が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスフィン基の内から選択される1種以上の基を含有する着色防止剤である、ことを特徴とする第1の構成に記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムである。
前記シリコーンレジンの含有量が、前記熱線遮蔽機能を有する微粒子100重量部に対して、50重量部以上、1000重量部以下である、ことを特徴とする第1または第2の構成のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムである。
前記着色防止剤の含有量が、0.1重量%以上、5重量%以下である、ことを特徴とする第1から第3の構成のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムである。
前記ポリエステルフィルムの厚さが、6μm以上、600μm以下である、ことを特徴とする第1から第4の構成のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムである。
可視光透過率が、60%以上、70%以下であり、
前記着色防止剤を含有しない他は、前記熱線遮蔽ポリエステルフィルムと同組成を有する熱線遮蔽ポリエステルフィルムへ、強度が100mW/cm2の紫外線を2時間照射した後の可視光透過率の低下率を100%と規格化したとき、前記熱線遮蔽ポリエステルフィルムへ、同強度の紫外線を同時間照射した後の可視光透過率の低下率が70%以下である、ことを特徴とする第1から第5の構成のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムである。
第1から第6の構成のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムを、他の透明基材に積層することにより得られることを特徴とする熱線遮蔽ポリエステルフィルム積層体である。
本発明の熱線遮蔽ポリエステルフィルムに適用される熱線遮蔽機能を有する微粒子(B)は、一般式MYWOZ(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuのうちの1種類以上の元素。0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子である。熱線遮蔽機能を有する微粒子(B)の平均分散粒子径は1nm以上、200nm以下であり、含有量は0.1重量%以上、10重量%以下である。前記一般式、結晶構造、平均分散粒子径を有する複合タングステン酸化物微粒子を、前記含有量で含むことにより、本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルムは、所望の光学特性を発揮することができる。
一方、添加元素Mの添加量yは、0.1以上0.5以下が好ましく、さらには0.33付近が好ましい。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出される値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。
また、zの範囲については、2.2≦z≦3.0が好ましい。これは、MYWOZで表
記される複合タングステン酸化物材料において、上述した元素Mの添加による自由電子の供給がある為である。尤も、光学特性の観点から、より好ましくは、2.2≦z≦3.0、さらに好ましくは、2.45≦z≦3.0である。
業的な製造は容易である。
以上のことから、ポリエステルフィルムの厚さについては、後述の「4.熱線遮蔽ポリエステルフィルムの製造方法、熱線遮蔽ポリエステルフィルム」の項で詳説するが、6〜600μmの範囲にあることが肝要である。
本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルムにおいて、熱線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子をポリエステル樹脂中に均一に分散させる目的で、シロキサン結合を主骨格とし、分子構造中にシラノール基(Si−OH)とメチル基とを有するシリコーンレジン(当該シリコーンレジンの一例を(化1)に示す。)、分子構造中にシラノール基(Si−OH)とメチル基とフェニル基とを有するシリコーンレジン(当該シリコーンレジンの一例を(化2)に示す。)から選ばれる1種以上を有するシリコーンレジン(C)を用いることが肝要である。
本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルムには、前記複合タングステン酸化物微粒子とともに、リンを含む着色防止剤、アミドを含む着色防止剤、アミンを含む着色防止剤、ヒンダードアミンを含む着色防止剤、ヒンダードフェノールを含む着色防止剤、硫黄を含む着色防止剤から選ばれる1種類以上の着色防止剤(D)を、ポリエステルフィルム中に含有させ、分散させることが肝要である。着色防止剤(D)を、ポリエステルフィルム中に含有させ、分散させることで、紫外線による色調変化が抑制された熱線遮蔽ポリエステルフィルムが得られる。
連鎖開始阻害機能とは、ポリエステルフィルムに紫外線が照射された際に、有害な過酸
化物ラジカルを発生させる触媒となる金属イオンを不活性化し、当該過酸化物ラジカルによる連鎖反応の開始を阻害する機能のことである。また、連鎖禁止機能とは、発生した過酸化物ラジカルを不活性化させ、過酸化物ラジカルの作用による新たな過酸化物ラジカルの発生という連鎖反応を抑制する機能のことである。さらに、過酸化物分解機能とは、過酸化物を不活性な化合物に分解し、過酸化物が分解してラジカル化する反応を阻害する機能のことである。
本発明に用いられる着色防止剤(D)は、上述した複合タングステン酸化物微粒子中のタングステン原子を還元する有害な過酸化物ラジカルの発生や増加を、上述の機能により阻害する。
上記のように、本発明の熱線遮蔽ポリエステルフィルムには、(a)リンを含む着色防止剤、(b)アミド基を含む着色防止剤、(c)アミン基を含む着色防止剤、(d)ヒンダードアミンを含む着色防止剤(e)ヒンダードフェノールを含む着色防止剤、(f)硫黄を含む着色防止剤、のいずれの系統の着色防止剤も使用可能である。中でも、(a)リンを含む色防止剤が望ましく、特に、分子内にホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスフィン基の内いずれか1種以上の基を含有するリンを含む着色防止剤が、紫外線照射時の着色抑制効果が高い為、望ましい。
尚、着色防止剤(D)は、単独で用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いても良い。具体的には、主に連鎖開始阻害機能を有する着色防止剤と、主に連鎖禁止機能を有する着色防止剤と、主に過酸化物分解機能を有する着色防止剤とを併用することで、高い着色抑制効果を得られる場合がある。
熱線遮蔽ポリエステルフィルム中の着色防止剤(D)の含有量が0.01重量%以上であれば、紫外線によって発生したラジカルを十分に捕捉出来、有害ラジカルが連鎖的に発生するのを抑制することが出来、5価のタングステンの生成を抑制することが出来るので、熱線遮蔽ポリエステルフィルムが紫外線により着色するのを、抑制する効果が得られる。
一方、分散媒体中における含有量が20重量%以下であれば、たとえ分散媒体としてUV硬化樹脂を用いた場合であっても、着色防止剤(D)が樹脂高分子のラジカル重合をほとんど阻害しない為、熱線遮蔽ポリエステルフィルムの透明性や強度を保つことが出来好ましいからである。尤も、分散媒体として、熱硬化性樹脂または/および熱可塑性樹脂を用いる場合は、着色防止剤(D)を当該分散媒体中に20重量%以上含有させても良い。
着色防止剤(D)の第1の具体例は、リンを含有するリン系着色防止剤である。さらには、リンを含むリン系官能基を備えた化合物が好ましい。ここで、リン系官能基には、3価のリンを含むものと、5価のリンを含むものとがある。本発明における「リン系官能基」はいずれであっても良い。
以下に、3価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系着色防止剤の一般式を(化3)に、5価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系着色防止剤の一般式を(化4)に示す。
た、R1、R2およびR3は、一般式CmHnで表される直鎖、環状、もしくは分岐構造のある炭化水素基、または、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、または、水素原子である。さらに、yまたはzが1の場合には、R2またはR3は金属原子でもよい。
一方、ホスフィン基等の3価のリンを含有するリン系官能基は、主として過酸化物分解機能(すなわち、P原子が自ら酸化することによって過酸化物を安定な化合物に分解する機能)を有していると考えられている。
これらのリン系官能基の中でも、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系着色防止剤は、金属イオンを効率よく捕捉でき、耐加水分解性などの安定性に優れるので、着色防止剤として特に好適である。
型ポリ(トリフルオロスチレン)樹脂、架橋型(トリフルオロスチレン)樹脂、ポリ(2,3−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(アリルエーテルケトン)樹脂、ポリ(アリレンエーテルスルホン)樹脂、ポリ(フェニルキノサンリン)樹脂、ポリ(ベンジルシラン)樹脂、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン−グラフト−ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリスチレン−グラフト−テトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
着色防止剤(D)の第2の具体例は、分子内にアミド結合(−CO−NH−)を有する化合物(本発明において「アミド系着色防止剤」という場合がある。)からなる着色防止剤である。アミド系着色防止剤は、主として連鎖開始阻害機能(すなわち、アミド結合のO原子とN原子によって金属イオンがキレート的に捕捉される機能)を有していると考えられる。
尚、分散媒体の種類によっては、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい場合があること、および、高分子型の化合物を用いる場合には、さらに架橋構造を導入しても良ことは、上述したリン系着色防止剤の場合と同様である。
着色防止剤(D)の第3の具体例は、分子内にベンゼン核と、当該ベンゼン核に結合するアミノ基(−NH2)またはイミノ結合(−NH−)を有する化合物(本発明において「アミン系着色防止剤」という場合がある。)からなる着色防止剤である。
当該アミン系着色防止剤は、主として連鎖禁止機能(すなわち、ベンゼン核に結合したアミノ基またはイミノ結合がラジカルを捕捉することで、ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能)を有していると考えられている。
ン系着色防止剤の構造が主鎖に組み込まれた重合体等、が挙げられる。
尚、分散媒体の種類によっては、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい場合があること、および高分子型の化合物を用いる場合には、さらに架橋構造を導入しても良ことは、上述したリン系着色防止剤の場合と同様である。
着色防止剤(D)の第4の具体例は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン誘導体(本発明において「ヒンダードアミン系着色防止剤」という場合がある。)である。当該ヒンダードアミン系着色防止剤は、主として連鎖禁止機能(すなわち、ラジカルを捕捉して、ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能)を有していると考えられる。
オン、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、トリデシル・トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり、より好ましくは、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)2−ブチル−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン、トリデシル・トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンがある。
着色防止剤(D)の第5の具体例は、フェノール性OH基のo−位に第三ブチル基等の大きな基が導入された化合物(本発明において、「ヒンダードフェノール系着色防止剤」という場合がある。)である。ヒンダードフェノール系着色防止剤は、上記ヒンダードアミン系着色防止剤と同様、主として連鎖禁止機能(すなわち、フェノール性OH基がラジカルを捕捉して、ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能)を有していると考えられる。
尚、分散媒体の種類によっては、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい場合があること、および高分子型の化合物を用いる場合には、さらに架橋構造を導入して
も良ことは、リン系着色防止剤の場合と同様である。
着色防止剤(D)の第6の具体例は、分子内に2価の硫黄を有する化合物(本発明において「硫黄系着色防止剤」という場合がある。)である。硫黄系着色防止剤は、主として過酸化物分解機能(すなわち、S原子が自ら酸化することによって過酸化物を安定な化合物に分解する機能)を有していると考えられる。
低分子型の硫黄系着色防止剤の好適な例としては、ジラウリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC12H25)2)、ジステアリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC18H37)2)、ラウリルステアリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC18H37)(CH2CH2COOC12H25))、ジミリスチルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC14H29)2)、ジステアリルβ、β’−チオジブチレート(S(CH(CH3)CH2COOC18H39)2)、2−メルカプトベンゾイミダゾール(C6H4NHNCSH)、ジラウリルサルファイド(S(C12H25)2)等が挙げられる。
尚、分散媒体の種類によっては、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい場合があること、および高分子型の化合物を用いる場合には、さらに架橋構造を導入しても良いことは、リン系着色防止剤の場合と同様である。
まず、本発明者らが検討した、複合タングステン酸化物微粒子の紫外線による着色機構について説明する。
本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂に紫外線が照射された際、当該紫外線のエネルギーによって、媒体樹脂の高分子鎖が切断され分解される。この高分子鎖が切断され分解される過程の反応において、有害なラジカルであるプロトン、重金属イオン、水素脱離ラジカル、過酸化ラジカル、ヒドロキシラジカル等の二次的な物質が次々に発生する。
すると、今度は当該二次的な物質である有害ラジカルが、当該媒体樹脂の高分子鎖を切断するので、高分子の劣化と有害ラジカルの発生とが連鎖的に進む。
尤も、媒体樹脂中に発生したラジカルが、複合タングステン酸化物微粒子を着色させるメカニズムに関しては、未解明な部分も多い。しかし、一つの仮説として、上述のような機構が推察される。
させることにつながる。
つまり、複合タングステン酸化物微粒子を含有する熱線遮蔽ポリエステルフィルム中へ上記着色防止剤を存在させることで、この着色防止剤が紫外線により発生した有害ラジカルを捕捉する。この有害ラジカルの捕捉によって、複合タングステン酸化物微粒子の着色(新たな5価のタングステンの生成)が抑制され、当該熱線遮蔽ポリエステルフィルムの紫外線による色調変化を抑制出来るのだと考えられる。
本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)に使用されるポリエステル樹脂は、酸性分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を用い、アルコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの芳香族グリコールを用いたものである。具体的には、コスト、特性からみて、ポリエチレンテレフタレート、あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好適である。
これらのポリエステル樹脂は、単独で分散媒体として用いてもよく、他の成分と共重合した後、分散媒体として用いてもよい。
無機粒子として、前記ポリエステル樹脂に機械強度を与えるため、シリカ粒子を添加できる。また、必要に応じて、前記ポリエステル樹脂へ任意の色調を与える為、銅マンガン複合酸化物微粒子、窒化チタン微粒子、酸化鉄微粒子、酸化コバルト微粒子等の顔料を使用できる。
有機粒子として、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、フッ素樹脂、イミド樹脂などの熱可塑性樹脂からなる粒子を添加できる。
さらに、必要に応じて前記ポリエステル樹脂へ任意の色調を与える為、アゾ系染料、シアニン系染料、キノリン系、ペリレン系染料、カーボンブラック等、一般的にポリエステル樹脂の着色に用いられている染料を使用できる。
本発明の熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)の製造方法は、熱線遮蔽機能を有する微粒子(B)である複合タングステン酸化物微粒子をポリエステル樹脂中に均一に分散できる方法であれば任意に選択できる。例えば、熱線遮蔽機能を有する微粒子(B)を樹脂に直接添加し、均一に溶融混合する方法を用いることができる。特に、有機溶剤中にシリコーンレジン(C)、着色防止剤(D)と伴に熱線遮蔽機能を有する微粒子(B)を分散させた分散液を作製し、この分散液から有機溶剤を除去した粉末原料を作製し、当該原料粉末と、樹脂または樹脂原料とを混合した成形用組成物を調製し、当該成形用組成物を成形して熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)とするのが簡便であり好ましい。
蔽ポリエステルフィルム(A)を作製することもできる。
上述した本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)を、他の透明基材に積層することにより、本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム積層体を得ることができる。ここで適用される透明基材としては、無機ガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)を、上記透明基材に積層することにより、透明基材が本来有する耐衝撃性、耐擦傷性、透明性、防音性などの特性を損なうことなく、新たな機能として熱線遮蔽能を容易に付与すること出来る。
本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)において、紫外線照射による着色変化の抑制効果の評価方法について説明する。
(1)本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)と異なり、着色防止剤を含有しない熱線遮蔽ポリエステルフィルムを調製する。そして、当該熱線遮蔽ポリエステルフィルムへ所定量の紫外線を照射し、当該紫外線照射による色調変化に起因する可視光透過率の低下量を測定する。
(2)本発明に係る着色防止剤(D)を含有する以外は、前記(1)と同様の熱線遮蔽ポリエステルフィルムを調製する。そして、当該熱線遮蔽ポリエステルフィルムへ所定量の紫外線を照射し、当該照射による色調変化に起因する可視光透過率の低下量を測定する。(3)前記(1)で得られた可視光透過率の低下量を100%と規格化したときの(2)で得られた可視光透過率の低下量を算定し、当該算定値から、本発明に係る着色防止剤(D)を含有する熱線遮蔽ポリエステルフィルムの紫外線変色抑制能を評価する。
この場合、着色防止剤(D)を含有しない熱線遮蔽ポリエステルフィルムにおける可視光透過率の変化量△は、70%−50%=20%である。一方、本発明に係る着色防止剤(D)を含有する熱線遮蔽ポリエステルフィルムにおける可視光透過率の変化量△は70%−68%=2%である。
従って、本発明の着色防止剤を含有しない熱線遮蔽ポリエステルフィルムの可視光透過率の変化量△を100%と規格化したとき、本発明に係る着色防止剤(D)を含有する熱線遮蔽ポリエステルフィルムの可視光透過率の変化量△は10%と算定される。
但し、上記所定量の紫外線とは、岩崎電気社製アイスーパーUVテスター(SUV−W131)を使用して、紫外線を100mW/cm2の強度で2時間連続照射したものである(このとき、ブラックパネル温度は60℃とした。)。
さらに、本発明者らの検討によれば、本発明に係る着色防止剤(D)を含有する熱線遮蔽ポリエステルフィルムの可視光透過率の変化量△が70%以下であれば、本発明に係る着色防止剤(D)の耐紫外線変色抑制能を十分に確認することが出来、実用上も太陽光線等に含まれる紫外線に起因する本発明に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(A)の着色変化が抑制される。
尚、本実施例において、複合タングステン酸化物微粒子の組成式は、フレーム原子吸光法とICP発光分析法とを用いて、定量分析することで決定した。分散液中における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は、大塚電子(株)粒度分布計ELS−800で測定した。また、得られた熱線遮蔽ポリエステルフィルム中の当該複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は、フィルム断面のTEM観察により測定した。さらに、複合タングステン酸化物微粒子の粉体色(10°視野、光源D65)および熱線遮蔽ポリエステルフィルムの可視光透過率並びに日射透過率は、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。当該日射透過率は熱線遮蔽性能を示す指標である。そして、ヘイズ値は村上色彩技術研究所(株)社製HR−200を用い、JISK 7105に基づい
て測定した。
H2WO450gとCs(OH)217.0g(Cs/W=0.33相当)とを、メノウ乳鉢を用いて十分混合した粉末を、N2ガスをキャリアーとした5%H2ガスを供給しながら加熱し、600℃の温度で1時間の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、30分間焼成して微粒子aを得た。微粒子aの組成式はCs0.33WO3、粉体色はL*が35.2745、a*が1.4918、b*が−5.3118であった。
次に、当該微粒子a10重量%、シリコーンレジン4重量%、メチルイソブチルケトン90重量%を秤量し、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーで6時間粉砕し分散処理することによって、複合タングステン酸化物微粒子分散液(A液)を調製した。シリコーンレジンとしては、重量平均分子量3000で、メチル基を含有し、メチル基含有量はSi/メチル基=1/1(モル比)であるシリコーンレジンを用いた。
ここで、分散液(A液)内における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を測定したところ、32nmであった。
次に、得られた分散液(A液)にシリコーンレジンを添加し、微粒子aと当該シリコーンレジンの重量比をa:シリコーンレジン=1:1となるように調整した後、減圧蒸留し
てメチルイソブチルケトンを除去し、粉末原料(A粉)を得た。
ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用い、該ポリエチレンテレフタレート樹脂へ、粉末原料(A粉)とリンを含む着色防止剤であるレゾルシノール−ビス(ジフェニル−ホスフェート)[味の素(株)製、商品名:レオフォスRDP]とを添加し、ブレンダーで混合し、二軸押出機で均一に溶融混錬した。このとき、当該ポリエステル樹脂粉末に対し、粉末原料(A粉)に含有される微粒子aの含有量が1.2重量%、リンを含む着色防止剤が0.4重量%となるように添加した。
得られた混練物を、Tダイを用いて厚さ50μmに成形し、熱線遮蔽微粒子が全体に均一に分散した実施例1に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料1)を作製した。
得られた試料1中の酸化物微粒子の分散粒子径は、34nmであった。
さらに、可視光透過率77.3%のときの試料1の日射透過率は48.2%、ヘイズ値は1.5%であった。
試料1に紫外線を2時間照射した後、光学特性を測定したところ、可視光透過率は76.1%、ヘイズ値は1.5%であった。紫外線照射による可視光透過率の低下量は1.2%と小さく、色調変化も少ないことがわかった。また、当該紫外線照射後も、ヘイズ値は
変化しておらず、透明性を保持していることがわかった。
さらに、「8.熱線遮蔽ポリエステルフィルムの特性評価」にて説明した紫外線照射による着色変化の抑制効果を測定したところ、低下率は18%であった。尚、後述する比較例4における低下率を100%と規格化した。
尚、2時間の紫外線照射は、岩崎電気社製アイスーパーUVテスター(SUV−W131)を使用し、100mW/cm2の強度で連続照射した(このとき、ブラックパネル温度は60℃とした)。
ポリエステル樹脂へ、微粒子aの含有量が当該ポリエステル樹脂の10重量%となるように粉末原料(A粉)を添加し、得られた混練物を厚さ6μmに成形した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例2に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料2)を作製した。
得られた試料2中の酸化物微粒子の分散粒子径は、35nmであった。
さらに、可視光透過率77.5%のときの試料2の日射透過率は48.3%、ヘイズ値は1.4%であった。
ポリエステル樹脂へ、微粒子aの含有量が当該ポリエステル樹脂の0.1重量%となるように粉末原料(A粉)を添加し、得られた混練物を厚さ600μmに成形した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例3に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料3)を作製した。
得られた試料3中の酸化物微粒子の分散粒子径は、33nmであった。
さらに、可視光透過率78.2%のときの試料3の日射透過率は48.9%、ヘイズ値は1.4%であった。
実施例1で調整した分散液(A液)にシリコーンレジンを添加し、微粒子aと当該シリコーンレジンの重量比をa:シリコーンレジン=1:10となるように調整した後、減圧蒸留してメチルイソブチルケトンを除去し、粉末原料(B粉)を得た。
粉末原料をA粉からB粉へ代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例4に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料4)を作製した。
得られた試料4中の酸化物微粒子の分散粒子径は、30nmであった。
さらに、可視光透過率76.8%のときの試料4の日射透過率は47.9%、ヘイズ値は1.2%であった。
実施例1で調整した分散液(A液)にシリコーンレジンを添加し、微粒子aと当該シリコーンレジンの重量比をa:シリコーンレジン=1:0.5となるように調整した後、減圧蒸留してメチルイソブチルケトンを除去し、粉末原料(C粉)を得た。
粉末原料をA粉からC粉へ代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例5に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料5)を作製した。
得られた試料5中の酸化物微粒子の分散粒子径は、31nmであった。
さらに、可視光透過率77.2%のときの試料5の日射透過率は48.2%、ヘイズ値は1.4%であった。
ポリエステル樹脂へ、微粒子aの含有量が当該ポリエステル樹脂の0.09重量%となるように粉末原料(A粉)を添加し、得られた混練物を厚さ300μmに成形した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例1に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料
6)を作製した。
得られた試料6中の酸化物微粒子の分散粒子径は、34nmであった。
さらに、可視光透過率87.3%のときの試料6の日射透過率は75.3%、ヘイズ値は1.2%であった。
この結果から、試料6は、微粒子aの含有量が0.09重量%と少ない為、日射透過率が高く、実用的な熱線遮蔽特性を発揮しないことが判明した。
ポリエステル樹脂へ、微粒子aの含有量が当該ポリエステル樹脂の10.1重量%となるように粉末原料(A粉)を添加し、得られた混練物を厚さ10μmに成形した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例2に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料7)を作製した。
得られた試料7中の酸化物微粒子の分散粒子径は、38nmであった。
さらに、可視光透過率70.2%のときの試料7の日射透過率は36.9%、ヘイズ値は1.6%であった。
そして、試料7は、微粒子aの含有量が10.1重量%と多い為、熱線遮蔽ポリエステルフィルム表面の摩耗強度が著しく低下し、爪で擦ると簡単に傷がついてしまい、実用的ではないことが判明した。
シリコーンレジン4重量%を、官能基としてアミン基を有するアクリル系高分子分散剤4重量%に代替した以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(B液)調製した。
ここで、分散液(B液)内における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を測定したところ、40nmであった。
比較例3で調整した分散液(B液)に高分子分散剤を添加し、微粒子aと当該高分子分散剤の重量比をa:高分子分散剤=1:1となるように調整した後、減圧蒸留してメチルイソブチルケトンを除去し、粉末原料(D粉)を得た。
粉末原料をA粉からD粉へ代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例3に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料8)を作製した。
得られた試料8中の酸化物微粒子の分散粒子径は、38nmであった。
さらに、可視光透過率76.5%のときの試料8の日射透過率は47.3%、ヘイズ値は3.5%であった。
試料8では、シリコーンレジンを、高分子分散剤に代替した為、当該高分子分散剤の分解によりポリエステル樹脂が発泡し、熱線遮蔽ポリエステルフィルムに気泡が見られ、外観不良となった。
リンを含む着色防止剤であるレゾルシノール−ビス(ジフェニル−ホスフェート)[味の素(株)製、商品名:レオフォスRDP]を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料9)を作製した。
得られた試料9中の酸化物微粒子の分散粒子径は、37nmであった。
さらに、可視光透過率77.5%のときの試料8の日射透過率は48.3%、ヘイズ値は1.6%であった。
試料9に対し、実施例1と同様に紫外線を2時間照射した後、光学特性を測定したところ、可視光透過率は71.0%、ヘイズ値は1.5%であった。紫外線照射による可視光透過率の低下量は6.5%となった。着色防止剤を添加していない為、紫外線による変色が起こり、可視光透過率が低下することが判明した。
さらに、「8.熱線遮蔽ポリエステルフィルムの特性評価」にて説明した紫外線照射による着色変化の抑制効果を測定し、本比較例における低下率を100%と規格化した。
リンを含む着色防止剤であるレゾルシノール−ビス(ジフェニル−ホスフェート)[味の素(株)製、商品名:レオフォスRDP]を5重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料10)を作製した。
得られた試料10中の酸化物微粒子の分散粒子径は、35nmであった。
さらに、可視光透過率76.5%のときの試料10の日射透過率は47.3%、ヘイズ値は1.5%であった。
試料10に対し、実施例1と同様に紫外線を2時間照射した後、光学特性を測定したところ、可視光透過率は76.1%、ヘイズ値は1.5%であった。紫外線照射による可視光透過率の低下量は0.4%と小さく、色調変化も少ないことがわかった。また、当該紫外線照射後も、ヘイズ値は変化しておらず、透明性を保持していることがわかった。
さらに、「8.熱線遮蔽ポリエステルフィルムの特性評価」にて説明した紫外線照射による着色変化の抑制効果を測定したところ、低下率は6%であった。
リンを含む着色防止剤であるレゾルシノール−ビス(ジフェニル−ホスフェート)[味の素(株)製、商品名:レオフォスRDP]を0.1重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料11)を作製した。
得られた試料11中の酸化物微粒子の分散粒子径は、32nmであった。
さらに、可視光透過率76.9%のときの試料11の日射透過率は47.8%、ヘイズ値は1.4%であった。
試料11に対し、実施例1と同様に紫外線を2時間照射した後、光学特性を測定したところ、可視光透過率は75.0%、ヘイズ値は1.4%であった。紫外線照射による可視光透過率の低下量は1.9%と小さく、色調変化も少ないことがわかった。また、当該紫外線照射後も、ヘイズ値は変化しておらず、透明性を保持していることがわかった。
さらに、「8.熱線遮蔽ポリエステルフィルムの特性評価」にて説明した紫外線照射による着色変化の抑制効果を測定したところ、低下率は29%であった。
リンを含む着色防止剤であるレゾルシノール−ビス(ジフェニル−ホスフェート)[味の素(株)製、商品名:レオフォスRDP]を0.01重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る熱線遮蔽ポリエステルフィルム(試料12)を作製した。
得られた試料12中の酸化物微粒子の分散粒子径は、35nmであった。
さらに、可視光透過率77.5%のときの試料12の日射透過率は48.2%、ヘイズ値は1.4%であった。
試料12に対し、実施例1と同様に紫外線を2時間照射した後、光学特性を測定したところ、可視光透過率は72.90%、ヘイズ値は1.4%であった。紫外線照射による可視光透過率の低下量は4.6%と小さく、色調変化も少ないことがわかった。また、当該紫外線照射後も、ヘイズ値は変化しておらず、透明性を保持していることがわかった。
さらに、「8.熱線遮蔽ポリエステルフィルムの特性評価」にて説明した紫外線照射による着色変化の抑制効果を測定したところ、低下率は70%であった。
Claims (7)
- 熱線遮蔽機能を有する微粒子と、シリコーンレジンと、着色防止剤とを、含有するポリエステルフィルムであって、
前記熱線遮蔽機能を有する微粒子が、一般式MYWOZ(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素であり、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0である。)で示され、六方晶の結晶構造を持ち、且つ、平均分散粒子径が1nm以上、200nm以下である複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記シリコーンレジンが、シロキサン結合を主骨格とし、分子構造中にシラノール基、および、メチル基とフェニル基とから選択される1種類以上の基を有するシリコーンレジンであり、
前記着色防止剤が、リンを含む着色防止剤、アミドを含む着色防止剤、アミンを含む着色防止剤、ヒンダードアミンを含む着色防止剤、ヒンダードフェノールを含む着色防止剤、硫黄を含む着色防止剤から選択される1種類以上の着色防止剤であり、
前記熱線遮蔽機能を有する微粒子の含有量が、0.1重量%以上、10重量%以下である、ことを特徴とする熱線遮蔽ポリエステルフィルム。 - 前記リンを含む着色防止剤が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスフィン基の内から選択される1種以上の基を含有する着色防止剤である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルム。
- 前記シリコーンレジンの含有量が、前記熱線遮蔽機能を有する微粒子100重量部に対して、50重量部以上、1000重量部以下である、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルム。
- 前記着色防止剤の含有量が、0.1重量%以上、5重量%以下である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムの厚さが、6μm以上、600μm以下である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルム。
- 可視光透過率が、60%以上、70%以下であり、
前記着色防止剤を含有しない他は、前記熱線遮蔽ポリエステルフィルムと同組成を有する熱線遮蔽ポリエステルフィルムへ、強度が100mW/cm2の紫外線を2時間照射した後の可視光透過率の低下率を100%と規格化したとき、前記熱線遮蔽ポリエステルフィルムへ、同強度の紫外線を同時間照射した後の可視光透過率の低下率が70%以下である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルム。 - 請求項1から6のいずれかに記載の熱線遮蔽ポリエステルフィルムを、他の透明基材に積層することにより得られることを特徴とする熱線遮蔽ポリエステルフィルム積層体。
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