JP5257381B2 - 近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物およびその成形体、並びに、その積層体 - Google Patents
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Description
当該温度上昇を解消するために、近年、各種建築物や車両の窓材等の分野では、可視光線を十分に取り入れながら熱線を遮蔽し、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制する近赤外線遮蔽成形体の需要が急増しており、近赤外線遮蔽成形体に関する提案が多数されている。
布液、当該熱線遮蔽膜形成用塗布液を基材に塗布後加熱して得られる近赤外線遮蔽能を有する微粒子分散膜を提案している(特許文献5参照)。
しかし、当該金属窒化物微粒子を添加してポリエステル樹脂中へ分散させて成形しようとすると、成形時に黄変が発生し、さらに、ポリエステル樹脂中における微粒子の分散の均一性に不足があり、十分な近赤外線遮蔽機能を得ることが出来ないことを知見した。
その課題とするところは、透明性及び近赤外線遮蔽機能を有する様々な形状の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を、物理成膜法などを用いることなく簡便な方法で作製でき、成形時に黄変等の変化が起こらず、且つ近赤外線遮蔽機能を有する微粒子が均一に分散し、優れた近赤外線遮蔽機能を有するポリエステル樹脂組成物を提供すること。併せて当該樹脂組成物から製造した、近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体、並びに、近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体を提供することである。
成形体が期待される可視光線透過能及び近赤外線遮蔽機能が得られない原因が、いずれも樹脂組成物中に含まれる分散剤の熱変性に起因するとの知見を得た。
つまり、近赤外線遮蔽樹脂組成物中に含まれる分散剤の耐熱性が低いため、当該近赤外線遮蔽樹脂組成物を加熱しながら混練混合する際、当該分散剤が熱変性し、当該分散剤の分散能力が劣化して近赤外線遮蔽樹脂組成物中に含まれる近赤外線遮蔽微粒子の分散に支障をきたし、期待される近赤外線遮蔽機能が得られず、さらには、当該熱変性した分散剤が黄から茶色に着色し、近赤外線遮蔽樹脂成形体が黄変する原因となっていたのである。
近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を製造するために用いられる近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物であって、
ポリエステル樹脂(A)と、平均粒径30nm以下の窒化チタン微粒子(B)と、熱分解温度が230℃以上であって、ポリエステル主鎖に塩基性官能基をもつ分散剤(C)と、を含むことを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物である。
前記ポリエステル樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選択される1種類以上であることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物である。
前記窒化チタン微粒子(B)が、熱プラズマ法によって製造されたことを特徴とする第1または第2の発明のいずれかに記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物である。
前記窒化チタン微粒子(B)が、シラン化合物、チタン化合物、ジルコニア化合物から選択される少なくとも1種類の化合物によって表面処理されたことを特徴とする第1〜第3の発明のいずれかに記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物である。
第1〜4の発明のいずれかに記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物が、所定の形状に成形されていることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体である。
第5の発明に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体が、他の透明成形体上に積層されていることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体である。
第5の発明に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の表面に、近赤外線遮蔽膜が形成されていることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体である。
前記近赤外線遮蔽膜が、六ホウ化物微粒子分散液、アンチモンドープ酸化錫微粒子分散液、一般式MYWOZ(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦Y≦0.5、2.2≦Z≦3.0)で示され且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子分散液、の少なくとも1種と、UV硬化樹脂または常温硬化樹脂と、を混合した塗布液を塗布し、その後硬化して得られる膜であることを特徴とする第7の発明に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体である。
本発明の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を製造するために用いられる近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)と、平均粒径30nm以下の窒化チタン微粒子(B)と、熱分解温度が230℃以上であって、ポリエステル主鎖に塩基性官能基をもつ分散剤(C)と、を含み、上記窒化チタン微粒子(B)がポリエステル樹脂(A)中において、均一に分散していることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物である。
そこで、本発明の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物を構成する、
(1)窒化チタン微粒子(B)
(2)高耐熱性を有する分散剤(C)
(3)ポリエステル樹脂(A)
(4)窒化チタン微粒子のポリエステル樹脂への分散方法、
(5)近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物の製造方法、
(6)近赤外線遮蔽樹脂成形体
について順に説明する。
本発明に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物において、近赤外線遮蔽材料として用いられる窒化チタン微粒子(B)は、窒化チタンそのものの特性として自由電子を多量に保有している。当該窒化チタンを超微粒子化し、かつポリエステル樹脂に均一に分散させることにより、可視光領域に透過率の極大を持つとともに、可視光領域に近い近赤外域に強いプラズマ反射を発現して透過率の極小を持つという特性を発揮する。また、本発明に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物に用いられる窒化チタン微粒子は、可視光領
域に近い近赤外線領域である波長600〜1000nm付近の光を強く吸収するため、その透過色調は濃紺系の色調となるものが多い。
これに対し、本発明においては、窒化チタン微粒子を用いることで、近赤外から長波長可視光領域において、高い日射遮蔽特性を有する本発明の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体に付与することが可能となり有用である。
上述の通り、窒化チタンの平均粒径は、工業的に製造可能な限り、より小さいほうが好ましい。よって、粒径の小さな窒化チタンを製造する方法としては、熱プラズマ法等の乾式プロセスや、還元雰囲気下での固相反応法が挙げられる。その中でも、不純物の混入が少なく、粒子径が揃いやすく、また生産性も高い熱プラズマ法が好ましい。熱プラズマを発生させる方法としては、直流アーク放電、多層アーク放電、高周波(RF)プラズマ、ハイブリッドプラズマ等が挙げられ、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマがより好ましい。熱プラズマ法による窒化チタン微粒子の具体的な製造方法としては、チタン粉末を高周波熱プラズマにより蒸発させ、窒素をキャリアーガスとして導入し冷却過程にて窒化させ合成する方法や、プラズマの周縁部にアンモニアガスを吹き込む方法、その他、プラズマ炎中で四塩化チタンとアンモニアガスを反応させる方法等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、上記の、所望とする物性を有する窒化チタン微粒子とすることができる製造方法であれば良い。
lの1種類以上を含有する酸化物で被覆することで、耐候性が向上し好ましい。
従来、酸化物微粒子を分散させた塗液を用いて塗膜を得る時の塗料用として一般的に使用されている分散剤は、様々な酸化物微粒子を有機溶剤中に均一に分散する目的で使用されている。しかし本発明者等の検討によれば、これらの分散剤は、200℃以上の高温で使用されることを想定されて設計されてはいない。具体的には、本発明の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物を得るために、窒化チタン微粒子(B)とポリエステル樹脂(A)とを溶融混練する際に、耐熱性の低い分散剤を使用すると、当該分散剤中の官能基が熱により分解され、分散能が低下するとともに、分散剤が黄から茶色に変色する等の不具合を起こすことを確認した。
高耐熱性を有する分散剤(C)の熱分解温度が230℃以上であるので、溶融混練時または成形時に熱分解することがなく、分散能を維持できると伴に、分散剤自体が黄から茶色に変色することもない。この結果、製造されるポリエステル樹脂成形体において、近赤外線遮蔽微粒子が十分に分散され、可視光透過率が良好に確保されて、本来の光学特性を得ることが出来るとともに、成形体が黄色に着色することもない。
塩基性官能基としては、アミノ基を有するものが好ましく、具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などが挙げられる。また、芳香族複素環化合物であるピリジン、ピロール、イミダゾールなどを末端に持つ官能基も好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A)と分散剤(C)の相溶性の観点より、分散剤の主鎖としては、同じ構造を持つポリエステル骨格であることが好ましい。ポリエステル主鎖を有する分散剤を使用することで、より透明度の高い成形体が得られる。
ポリエステル樹脂(A)として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートといった、溶融混練温度が高い樹脂を使用する場合には、熱分解温度が230℃以上である高耐熱性を有する分散剤(C)を使用する効果が明確である。
の重量/複合タングステン酸化物微粒子(B)の重量)が0.5以上あれば、窒化チタン微粒子(B)を十分に分散することが出来、微粒子同士の凝集が発生せず、十分な光学特性が得られる。一方、当該重量比が9以下あれば、近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体自体の機械特性(引っ張り強度、曲げ強度、表面硬度)が損なわれることがない。
本発明に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体は、建築物、自動車、電車、航空機などの開口部に使用される窓材、フラットパネルディスプレイの近赤外線吸収フィルター等に広く利用される。これは、当該成形体に用いられるポリエステル樹脂の可視光領域における光線透過率が高く、当該成形体の透明性が優れていることによると考えられる。
近赤外線遮蔽機能を有する微粒子である窒化チタン微粒子(B)のポリエステル樹脂(A)への分散方法は、当該微粒子が均一に樹脂中に分散できる方法であれば任意に選択できる。
具体例としては、まず、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用い、窒化チタン微粒子(B)を任意の溶剤に分散した分散液を調製する。次に、当該分散液と、高耐熱性を有する分散剤(C)と、ポリエステル樹脂(A)の粉粒体またはペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機を用いて均一に混合し混合物とする。続いて、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して、当該混合物から前記溶剤を除去しながら均一に溶融混合して、ポリエステル樹脂(A)に窒化チタン微粒子(B)を均一に分散した近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物を調製することができる。尚、混錬時の温度は、使用するポリエステル樹脂(A)が分解しない温度に維持する。
本発明に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体は、上述した近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物を、所定の形状に成形することによって得られる。
本発明に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体は、高耐熱性を有する分散剤(C)を用いて製造されていることから、成形時においても熱劣化が非常に少ない。この為、窒化チタン微粒子(B)は、近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体中においても十分に分散される結果、当該成形体の透明性が良好に確保される。そして、高耐熱性を有する分散剤(C)が、黄色から茶色に変色することもないので、当該成形体が黄色に着色することもない。
押出成形により板状、フィルム状の成形品を得るには、Tダイなどの押出機を用いて押出した溶融樹脂組成物を冷却ロールで冷却しながら引き取る方法により製造される。また必要に応じて、当該溶融樹脂組成物を延伸加工し、成形品の厚みを調整することも可能である。押出成形により得られた板状品は、アーケードやカーポート等の建造物用に好適に使用され、フィルム状の成形品は、窓ガラスへの貼り付け用に好適に使用される。また、上記射出成形で得られた成形品は、自動車の窓ガラスやルーフ等の車体用に好適に使用される。
フィルムなどの他の透明成形体へ任意の方法で積層し、一体化した近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体として、構造材に使用することも出来る。例えば、予めフィルム状に成形した近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を、熱ラミネート法により、無機ガラスへ積層し一体化することで、近赤外線遮蔽機能、ガラスの飛散防止機能を有する近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体を得ることができる。当該近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体は、相互の成形体の持つ利点を有効に発揮させつつ相互の欠点を補完するので、より有用な構造材として使用することが出来る。
一方、近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の一部の用途においては、透明性よりも不透明な光透過性を要求されることがある。そのような要求の下では、ATO粒子の粒径を大きくして散乱を助長する構成が望ましい。しかし、ATO粒子の粒径が大きすぎると赤外線吸収能そのものも減衰するため、やはり200nm以下の平均粒径が好ましい。
六ホウ化物微粒子としては、CeB6、GdB6、TbB6、DyB6、HoB6、YB6、SmB6、EuB6、ErB6、TmB6、YbB6、LuB6、SrB6、Cr
B6、LaB6、PrB6、NdB6微粒子が挙げられる。これら六ホウ化物微粒子は、単独または2種以上を混合して使用することもできる。これら六ホウ化物微粒子は、暗い青紫などに着色した粉末であるが、粒径を可視光波長に比べて十分に小さくし、且つ薄膜中に分散させた状態では、当該膜に可視光透過性が生じるものの、近赤外線遮蔽能は十分強く保持できる。
当該本発明に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物並びに近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体は、ポリエステル樹脂(A)と、平均粒径30nm以下の窒化チタン微粒子(B)と、熱分解温度が230℃以上であって、ポリエステル主鎖に塩基性官能基をもつ分散剤(C)と、を含み、上記窒化チタン微粒子(B)がポリエステル樹脂(A)中において、均一に分散している近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物である。
当該近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形等公知の方法により、板状、フィルム状、球面状等の任意の形状に成形することによって得られる近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体並びに近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体は、可視光領域に透過率の極大を持つと共に近赤外域に強い吸収を持ち、太陽光に含まれる、近赤外線に加えて可視光領域の一部をも吸収することで、近赤外から長波長可視光領域において、効率的に太陽光線を吸収することが出来、工業的に有用である。
尚、各実施例において、近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の可視光透過率並びに日射透過率は、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。この日射透過率は近赤外線遮蔽性能を示す指標である。また、ヘイズ値は村上色彩技術研究所(株)社製HR−200を用い、JISK 7105に基づいて測定した。
(実施例1)
上記A液へ、さらに、高耐熱性分散剤αを添加し、この高耐熱性分散剤αと窒化チタン微粒子a微粒子の重量比[高耐熱性分散剤/窒化チタン微粒子]が3となるように調整した。次に、窒化チタン微粒子分散液A液と高耐熱性分散剤αとの混合物からスプレードライヤーを用いてトルエンを除去し、窒化チタン微粒子aと高耐熱性分散剤αとの混合粉を得た(以下、本実施例において「A粉」と記載する。)。
得られたA粉と、ポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットとを、窒化チタン微粒子a濃度が0.2重量%となるように混合し、ブレンダーを用いて均一に混合した後、二軸押出機で240℃で熔融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、近赤外線遮蔽機能を持つポリエステル樹脂成形体用のコンパウンドを得た(以下、本実施例において「コンパウンドA」と記載する。)。
得られたコンパウンドAを、一軸押出機を用い240℃で熔融混練した後、Tダイより押し出し、二軸延伸加工し、0.05mm厚に成形することで窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂全体に均一に分散した実施例1に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
当該実施例1に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率35.0%のときの日射透過率は33.8%で、ヘイズ値は1.1%であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認出来た。
ポリエステル樹脂を、ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットからポリエチレンナフタレート樹脂ペレットへ代替した以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
実施例2に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率34.8%のときの日射透過率は34.1%で、ヘイズ値は1.0%であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認できた。
ポリエステル樹脂を、ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットからポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットへ代替した以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
実施例3に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率35.1%のときの日射透過率は34.1%で、ヘイズ値は1.1%であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認できた。
A粉と、ポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットとを、窒化チタン微粒子濃度が0.02重量%となるように混合した以外は、実施例1と同様にして近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体用のコンパウンドを得た(以下、本実施例において「コンパウンドB」と記載する。)。得られたコンパウンドBを0.5mm厚に成形した
以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。実施例4に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率35.2%のときの日射透過率は34.0%で、ヘイズ値は1.0%であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認できた。
熱プラズマ法で製造した平均粒径DBET30nmの窒化チタン微粒子bを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例5に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
実施例5に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率34.5%のときの日射透過率は33.7%で、ヘイズ値は1.1%であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認できた。
高耐熱性分散剤αを高耐熱性分散剤β(ポリエステル主鎖に、ジメチルアミノ基を官能基として有する分散剤、TG−DTAで測定した熱分解温度は230℃である。)へ代替した以外は、実施例1と同様にして実施例6に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
実施例6に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率34.8%のときの日射透過率は33.6%で、ヘイズ値は1.2%であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認できた。
実施例1と同様の方法で調製したA液へ、メチル−トリメトキシシランを添加し、メカニカルスターラーで1時間攪拌し混合した後、スプレードライヤーを用いてトルエンを除去し、シラン化合物にて表面処理を施された窒化チタン微粒子cを得た。
以下、実施例1と同様にして実施例7に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。実施例7に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率35.6%のときの日射透過率は34.3%で、ヘイズ値は1.2%であった。成形体の断面TEM観察の結果、シラン化合物にて表面処理された窒化チタン微粒子がポリエステル樹脂中に均一に分散していることが確認できた。
熱プラズマ法で製造した平均粒径DBET50nmの窒化チタン微粒子dを使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
比較例1に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率35.0%のときの日射透過率は33.8%で、ヘイズ値は9.5%であった。
平均粒径DBET50nmの窒化チタン微粒子を使用したため、ヘイズ値が9.5%と高くなり、透明度の低い成形体となった。
高耐熱性分散剤αを分散剤γ(ポリエステル主鎖に、、芳香族複素環化合物を末端に持つ官能基を有する分散剤、TG−DTAで測定した熱分解温度は200℃である。)へ代替した以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を得た。
比較例2に係る近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の光学特性を測定したところ、表1に示すように、可視光透過率29.5%のときの日射透過率は33.2%で、ヘイズ値は4.5%であった。
TG−DTAで測定した熱分解温度が200℃の分散剤γを使用した為、成形体が黄変し、窒化チタン本来の色調が得られなかった。また、ヘイズ値が4.5%と高くなり、透明度の低い成形体であった。成形体の断面TEM観察の結果、窒化チタン微粒子が一部凝集しており、ポリエステル樹脂中に均一に分散していないことが確認された。
Claims (8)
- 近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体を製造するために用いられる近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物であって、
ポリエステル樹脂と、平均粒径30nm以下の窒化チタン微粒子と、熱分解温度が230℃以上であって、ポリエステル主鎖に塩基性官能基をもつ分散剤と、を含むことを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物。 - 前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物。
- 前記窒化チタン微粒子が、熱プラズマ法によって製造されたことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物。
- 前記窒化チタン微粒子が、シラン化合物、チタン化合物、ジルコニア化合物から選択される少なくとも1種類以上の化合物によって表面処理されていることを特徴とする請求項
1から3のいずれかに記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物。 - 請求項1から4のいずれかに記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂組成物が、所定の形状に成形されていることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体。
- 請求項5に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体が、他の透明成形体に積層されていることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂積層体。
- 請求項5に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体の表面に、近赤外線遮蔽膜が形成されていることを特徴とする近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体。
- 前記近赤外線遮蔽膜が、六ホウ化物微粒子分散液、アンチモンドープ酸化錫微粒子分散液、一般式MYWOZ(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦Y≦0.5、2.2≦Z≦3.0)で示され且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子分散液、の少なくとも1種と、UV硬化樹脂または常温硬化樹脂と、を混合した塗布液を塗布し、その後硬化して得られる膜であることを特徴とする請求項7に記載の近赤外線遮蔽ポリエステル樹脂成形体。
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