JP2012142155A - リチウム二次電池、正極活物質、正極、電動工具、電動車両および電力貯蔵システム - Google Patents

リチウム二次電池、正極活物質、正極、電動工具、電動車両および電力貯蔵システム Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電池性能を得ることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】正極21の正極活物質層21Bは、正極活物質を含む。この正極活物質は、Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e (M1はアルミニウム等、aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に元素M1とは異なる元素M2が取り込まれたものである。この元素M2は、マグネシウム等である。
【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムおよび遷移金属を構成元素として含む複合酸化物を含有する正極活物質、その正極活物質を用いた正極およびリチウム二次電池、ならびにそのリチウム二次電池を用いた電動工具、電動車両および電力貯蔵システムに関する。
近年、携帯用端末機器などに代表される小型の電子機器が広く普及しており、そのさらなる小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。この二次電池は、最近では、小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器への応用も検討されている。
二次電池としては、さまざまな充放電原理を利用するものが広く提案されているが、中でも、リチウム二次電池が注目されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池などよりも高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム二次電池は、リチウムイオンの吸蔵放出を利用するリチウムイオン二次電池や、リチウムの析出溶解を利用するリチウム金属二次電池である。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その正極および負極は、それぞれリチウムイオンを吸蔵放出する正極活物質および負極活物質を含んでいる。リチウム金属二次電池は、負極活物質がリチウム金属であることを除き、リチウムイオン二次電池と同様の構成を有している。正極活物質としては、リチウムおよび遷移金属を構成元素として含む複合酸化物が広く用いられているが、充放電反応に直接関わる正極活物質は電池性能に大きな影響を及ぼすため、その複合酸化物の組成に関してはさまざまな検討がなされている。
具体的には、充放電サイクル特性を向上させるために、Lix Ni1-y Coy z (0<x<1.3、0≦y≦1、1.8<z<2.2)で表される正極活物質を含む正極の表面に、金属酸化物の被膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この金属酸化物は、BeOまたはMgOなどである。
正極活物質の構造的安定性および熱的安定性を向上させるために、LiA1-x-y x y 2 (AはCo等、BはNi等、CはAl等、0<x≦0.3、0≦y≦0.01)で表される正極活物質の表面に、金属酸化物をコーティングすることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この金属酸化物は、MgまたはAlなどの酸化物である。
サイクル寿命および初期容量を向上させるために、金属元素を含む酸化物を用いて、Lia Mnb c 4 (MはMg等、1.0≦a≦1.15、1.8≦b≦1.94、0.01≦c≦0.10、a+b+c=3)で表されるスピネル型の正極活物質の表面を被覆することが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この金属元素を含む酸化物は、AlまたはCoなどの酸化物であり、その酸化物中の金属元素は、Lia Mnb c 4 と固体体を形成している。
容量特性、寿命特性および熱的安定性を向上させるために、内部バルク部および外部バルク部を含む正極活物質において、内部バルク部と外部バルク部との境界面から活物質表面に向かって金属組成を連続的な濃度勾配で存在させることが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この内部バルク部は、Lia Ni1-x-y-z Cox Mny z 2-δ Xδ (MはMg等、XはF等、0.95≦a≦1.2、0.01≦x≦0.5、0.01≦y≦0.5、0.005≦z≦0.3、0.05≦x+y+z≦0.4)で表されるLiNi0.8 Co0.13Mn0.072 などである。外部バルク部は、Lia Ni1-x-y-z Cox Mny z 2-δ Xδ (MはMg等、XはF等、0.95≦a≦1.2、0.01≦x≦0.4、0.01≦y≦0.5、0.002≦z≦0.2、0.4<x+y+z≦0.95)で表されるLiNi0.4 Co0.4 Mn0.2 2 などである。
Si系またはSn系の負極活物質の高容量特性を十分に活用するために、正極活物質としてリチウムリッチの複合酸化物(Lih Mni Coj Nik 2 )を用いることが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。ここで、h=[3(1+x)+4a]/3(1+a)、i=[3α(1+x)+2a]/3(1+a)、j=β(1−x)/(1+a)、k=γ(1−x)/(1+a)、0<a<1、α>0、β>0、γ>0、α+β+γ=1、0≦x<1/3である。この複合酸化物は、Li1+x (Mnα Coβ Niγ 1-x 2 ・aLi4/3 Mn2/3 2 で表される固溶体である。
電池容量および充放電サイクル特性を向上させるために、Li1+w Co1-x-y Gax y 2-z (MはMg等、−0.01≦w≦0.1、0.0001<x<0.05、0≦y<0.4、−0.1≦z≦0.2)で表される正極活物質の表面に、LiとNi等とを含む酸化物を形成することが提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
高容量で優れたサイクル特性を得ると共に、高温時の電池内部におけるガス発生を抑制するために、リチウムおよび遷移金属を含む複合酸化物粒子の表面に、被覆層を設けることが提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この被覆層は、2族〜13族から選ばれる少なくとも1種の元素M(複合酸化物粒子に含まれる遷移金属とは異なる)と、リン、ケイ素およびゲルマニウムのうちの少なくとも1種の元素Xとを含み、被覆層において、元素M,Xは異なる分布を呈している。
特許第3172388号明細書 特許第3691279号明細書 特開2009−206047号公報 特表2009−525578号公報 特開2009−158415号公報 特開2007−335169号公報 特開2009−054583号公報
近年、電子機器はますます高性能化および多機能化しており、その使用頻度は増加しているため、リチウム二次電池の充放電は頻繁に繰り返される傾向にある。また、電子機器の使用環境は拡大する傾向にあるため、高温環境中などの厳しい条件下でリチウム二次電池が使用されることもある。そこで、電池容量特性、サイクル特性、保存特性および膨れ特性などの電池性能に関して、さらなる改善が望まれている。
特に、最近では、さらなる高容量化を実現するために、負極活物質として黒鉛などの炭素材料に代えて、ケイ素、スズまたはそれらの酸化物などの金属系材料を用いることが有望視されている。しかしながら、金属系材料を用いると、初回(1サイクル目)の充電時において負極で生じる不可逆容量が増大するため、初回以降(2サイクル目以降)の充放電時において電池容量特性およびサイクル特性などが低下しやすくなる。しかも、充放電時において金属系材料が激しく膨張収縮し、場合によっては金属系材料が破断して活性面が生じるため、電解液が分解しやすくなると共に電池内にガスが発生しやすくなる。そこで、金属系材料を用いた場合においても高容量化と併せてサイクル特性などを確保する必要がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池性能を得ることが可能な正極活物質、正極、リチウム二次電池、電動工具、電動車両および電力貯蔵システムを提供することにある。
本発明の正極活物質は、下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に元素M1とは異なる元素M2が取り込まれたものである。この元素M2は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、硫黄(S)、フッ素(F)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、リン(P)、炭素(C)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも1種である。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
(M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム(Ba)、ホウ素、ケイ素(Si)および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
本発明の正極は、上記した正極活物質を含むものである。また、本発明のリチウム二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、その正極が上記した正極活物質を含むものである。また、本発明の電動工具、電動車両および電力貯蔵システムは、上記したリチウム二次電池を用いるものである。
「表層領域」とは、複合酸化物のうちの外側部分(内側部分(中心部分)の周囲を囲む部分)を意味し、具体的には、粒子状の複合酸化物において、その複合酸化物のうちの最表面から粒径(メジアン径)の0.1%に相当する厚さ(深さ)に至る部分である。この「表層領域」である外側部分は、内側部分と一体的(連続的)な結晶構造を形成するものであり、その内側部分の表面に別層として形成されたものではない。
また、「元素M2が複合酸化物の表層領域における結晶構造中に取り込まれている」とは、複合酸化物の表層領域における結晶構造中において、その結晶構造を構成する複合酸化物の構成元素のうちの少なくとも一部が元素M2により置換されていることを意味する。
本発明の正極活物質、正極またはリチウム二次電池によれば、式(1)に示した元素M1(アルミニウム等)を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に元素M1とは異なる元素M2(マグネシウム等)が取り込まれている。この場合には、正極活物質を用いたリチウム二次電池が初回において高充電電圧(例えば4.4V以上)で充電されると、負極における不可逆容量の発生反応が実質的に完了するため、初回以降の充放電時において高い電池容量が安定して得られる。しかも、充放電時において正極活物質の中心部分が表層領域により電解液などから保護されると共に、その表層領域によりリチウムイオンの吸蔵放出が阻害されにくい。このため、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなると共に、複合酸化物の分解反応によりガス(酸素ガス等)が発生しにくくなる。よって、電池容量特性、サイクル特性、保存特性および膨れ特性などに関して優れた電池性能を得ることができる。また、上記したリチウム二次電池を用いた電動工具、電動車両および電力貯蔵システムにおいても、同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池(円筒型)の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施形態の正極活物質を用いた他のリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。 図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.正極活物質
2.正極活物質の適用例(リチウム二次電池)
2−1.正極およびリチウムイオン二次電池(円筒型)
2−2.正極およびリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)
2−3.正極およびリチウム金属二次電池
3.リチウム二次電池の用途
<1.正極活物質>
[正極活物質の構成]
本発明の一実施形態の正極活物質は、例えば、リチウム二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)などの正極に用いられるものである。
この正極活物質は、下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に、元素M1とは異なる元素M2が取り込まれたものである。この元素M2は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、硫黄、フッ素、鉄、銅、ホウ素、アルミニウム、リン、炭素、マンガン、ニッケルおよびコバルトのうちの少なくとも1種である。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
(M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム、ホウ素、ケイ素および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
正極活物質では、上記したように、式(1)に示したリチウムリッチのMnCoNi系複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」という。)をベース材料として、その複合酸化物の表層領域における結晶構造中だけに元素M1とは異なる元素M2が取り込まれている。この「表層領域」とは、複合酸化物の最表面から中心に向かって所定の距離の領域であり、その複合酸化物のうちの外側部分(内側部分(中心部分)の周囲を囲む部分)を意味する。具体的には、粒子状の複合酸化物において、その複合酸化物のうちの最表面から粒径(メジアン径)の0.1%に相当する厚さ(深さ)までの部分である。この「表層領域」である外側部分は、内側部分と一体的(連続的)な結晶構造を形成するものであり、その内側部分の表面に別層として形成されたものではない。
また、「元素M2が複合酸化物の表層領域における結晶構造中に取り込まれている」とは、複合酸化物の表層領域における結晶構造中において、その結晶構造を形成する複合酸化物の構成元素のうちの少なくとも一部が元素M2により置換されていることを意味する。なお、元素M2は、表層領域において、中心部分から最表面に向かう方向において均一に分布していてもよいし、同方向において存在量が次第に増加または減少するように分布していてもよい。
ここで、複合酸化物の表層領域における結晶構造中だけに元素M2が存在しており、その表層領域における結晶構造中だけに元素M2が取り込まれているのは、正極活物質を用いた二次電池の充放電時において、優れた電池性能が得られるからである。
詳細には、第1に、複合酸化物の構造安定性が向上すると共にその抵抗が低下するため、充放電を繰り返しても正極活物質が破損しにくくなると共に放電容量が低下しにくくなる。これにより、電池容量特性およびサイクル特性が向上する。
第2に、元素M2を含む表層領域により複合酸化物の中心部分(元素M2を含んでいない部分)が保護されるため、その中心部分が電解液から隔離される。この場合には、二次電池の充電状態において正極が強い酸化状態になっても、電解液の分解反応が抑制されると共に、複合酸化物(中心部分)の分解反応および溶出反応も抑制される。このため、充放電を行っても放電容量が低下しにくくなると共に、複合酸化物の分解反応によりガス(酸素ガスなど)が発生しにくくなる。これらの利点は、特に、高温環境中において充放電を行った場合において顕著になる。これにより、電池容量特性、サイクル特性、保存特性および膨れ特性が向上する。
第3に、複合酸化物の表面に元素M2を含む化合物(以下、「M2含有化合物」という。)を成膜し、そのM2含有化合物で複合酸化物の表面を被覆した場合と比較して、複合酸化物におけるリチウムイオンの吸蔵放出が阻害されにくいため、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなる。この利点は、上記したように電解液の分解反応が抑制されるため、リチウムイオンの移動を阻害する不活性な被膜が形成されにくくなることによっても得られる。これにより、電池容量特性およびサイクル特性が向上する。
第4に、元素M2が複合酸化物の結晶構造中に取り込まれているため、その結晶構造中に元素M2が取り込まれていない場合と比較して、充放電を繰り返しても元素M2が複合酸化物から脱落しにくくなる。結晶構造中に元素M2が取り込まれていない場合とは、上記したように、M2含有化合物により複合酸化物の表面が被覆されている(M2含有化合物が別層として形成されている)場合などである。これにより、充放電を繰り返しても、上記した一連の利点が継続して得られる。
また、正極活物質のベース材料が式(1)に示したリチウムリッチのMnCoNi系複合酸化物であるのは、多量のリチウムを構成元素として含むため、初回の充電時において負極における不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができるからである。
詳細には、二次電池の初回の充放電時には、負極の表面に被膜(SEI:Solid Electrolyte Interface 膜など)が形成されるため、不可逆容量が生じることが知られている。これに伴い、初回の充放電時において正極活物質から放出されるリチウムイオンは、不可逆容量を生じさせるために消費される。この場合には、二次電池の初回の充電時における充電電圧を高電圧(例えば4.4V以上)にすれば、正極活物質から十分な量のリチウムイオンが放出されるため、そのリチウムイオンが負極で不可逆容量を生じさせるために消費される。これにより、初回の充放電時において不可逆容量の発生反応が完了する。このため、二次電池の実質的な使用時である初回以降の充放電時では、正極活物質から放出されたリチウムイオンが電池容量を生じさせるために消費される。これにより、初回以降の充放電時において高い電池容量が安定して得られる。
なお、負極の負極活物質がケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を構成元素として含む金属系材料、またはその酸化物(例えばSiO等)である場合には、そのことによっても不可逆容量が生じる場合もある。初回の充電時において正極活物質から放出されたリチウムイオンは、金属系材料またはその酸化物中の酸素と不可逆的に反応しやすいからである。上記した金属系材料は、例えば、ケイ素の単体、合金および化合物、ならびにスズの単体、合金および化合物のうちの少なくとも1種などであり、その金属系材料の酸化物は、例えば、酸化ケイ素(SiOv :0.2<v<1.4)などである。中でも、負極活物質が金属系材料の酸化物であると、不可逆容量が増大する傾向にある。
さらに、式(1)に示したa〜eの値が上記した範囲内である理由は、以下の通りである。
aが0であると、リチウムイオンの絶対量が不足するため、初回の充電時において不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができないと共に、初回以降の充放電時において高い電池容量が安定して得られない。一方、aが0.25以上であると、リチウム由来の副生成物を形成するためにリチウムイオンが消費されるため、十分な電池容量が得られない。また、正極活物質を形成するためにリチウム源として水酸化物を用いた場合には、その水酸化物由来のガスが発生するため、二次電池が膨れやすくなる。中でも、aは、0.1<a<0.25であることが好ましい。より高い効果が得られるからである。
bが0.5よりも小さいと、マンガンの絶対量が不足し、複合酸化物が十分な量のリチウムを構成元素として含むことができないため、初回の充電時において不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができないと共に、初回以降の充放電時において高い電池容量が安定して得られない。一方、bが0.7以上であると、電池容量に寄与しないマンガン酸リチウム(Li2 MnO4 )が形成されるため、電池容量が低下してしまう。
cが1−b(=0.7)以上であると、コバルトの絶対量に対してニッケルの絶対量が相対的に減少しすぎるため、十分な電池容量が得られない。
dが0.01よりも小さいと、元素M1の絶対量が少なすぎるため、表層領域が十分な保護機能を発揮できない。一方、dが0.2よりも大きいと、価数補償の面からリチウムリッチのMnCoNi系複合酸化物を安定に得ることができないと共に、複合酸化物の結晶性も低下するため、十分な電池容量が得られない。
eが1よりも大きいと、価数補償の面からリチウムリッチのMnCoNi系複合酸化物を安定に得ることができないため、十分な電池容量が得られない。
式(1)に示したM1は、上記した元素群のうちの1種類または2種類以上であれば特に限定されないが、中でも、アルミニウム、マグネシウムまたはチタンであることが好ましく、アルミニウムであることがより好ましい。より高い効果が得られるからである。また、元素M2は、上記した元素群のうちの1種類または2種類以上であれば特に限定されないが、中でも、マグネシウム、硫黄、フッ素、アルミニウム、リン、炭素またはニッケルであることが好ましく、マグネシウムまたは炭素であることがより好ましく、マグネシウムであることがさらに好ましい。より高い効果が得られるからである。
正極活物質(複合酸化物)における元素M2の含有量は、特に限定されないが、中でも、リチウムの含有量に対して十分に少ないことが好ましい。複合酸化物の表層領域に存在する元素M2の量が多すぎると、リチウムイオンの吸蔵放出が阻害される可能性があるからである。また、電池容量が低下する可能性もあるからである。中でも、元素M2の含有量は、複合酸化物におけるリチウムの含有量に対して0.01mol%〜5mol%であることが好ましい。表層領域による保護機能を維持しつつ、十分な電池容量が得られるからである。
なお、正極活物質は、例えば、複合酸化物およびM2含有化合物を用いて、メカノケミカル反応により複合酸化物の表面にM2含有化合物が被着されてから焼成されたものである。この場合には、M2含有化合物が複合酸化物と固溶体を形成していることが好ましい。また、元素M2は、複合酸化物の表層領域における結晶構造中において、過剰(リチウムリッチ)に存在するリチウムの一部と置き換わっていることが好ましい。より高い効果が得られるからである。ただし、元素M2は、リチウム以外の他の元素と置き換わっていてもよい。なお、M2含有化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、元素M2を含む酸化物、水酸化物またはリン酸化物などである。
[正極活物質の分析方法]
正極活物質が上記した構成を有していることを確認するためには、各種の元素分析法を用いて正極活物質を分析すればよい。この元素分析法は、例えば、X線回折(XRD:x-ray diffraction )法、飛行時間型二次イオン質量分析 (TOF−SIMS:time of flight secondary ion mass spectrometry )法、高周波誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)発光分光分析法、ラマン分光分析法またはエネルギー分散X線分光法(EDX:energy dispersive x-ray spectrometry)などである。この場合には、複合酸化物の表層領域を酸などで溶解してから分析してもよい。
特に、元素M2は複合酸化物の結晶構造中に取り込まれているため、その元素M2が結晶構造の一部を形成していることや、複合酸化物中における元素M2の存在範囲などを調べるためには、XRD法を用いることが好ましい。
なお、二次電池において充放電が行われる領域(正極と負極とが対向している領域)では、充放電により複合酸化物の結晶構造が変化するため、X線回折法などでは充放電後において結晶構造を確認できない可能性がある。しかしながら、正極に充放電が行われない領域(未充放電領域)が存在する場合には、その領域において正極活物質を分析することが好ましい。この未充放電領域では充放電前における複合酸化物の結晶構造が維持されているため、充放電の有無に関係せずに正極活物質の構成を分析できるからである。この「未充放電領域」は、例えば、安全性確保のために正極(正極活物質層)の端部表面に絶縁性の保護テープが貼り付けられているため、その絶縁性の保護テープの存在に起因して正極と負極との間で充放電を行うことができない領域などである。
正極活物質における元素M2の含有量を調べるためには、例えば、ICP発光分光分析法、TOF−SIMS法またはEDX法などを用いて正極活物質を分析すればよい。この場合においても、正極の未充電放電領域を分析することが好ましい。
ICP発光分光分析法を用いる場合の手順は、例えば、以下の通りである。最初に、正極活物質の粒子に緩衝溶液を加えて攪拌する。続いて、正極活物質の粒子表面が溶解した緩衝溶液を所定時間ごとに採取して、フィルタで濾過する。続いて、ICP発光分光分析法により、時間ごとに採取した緩衝溶液中におけるリチウムおよび元素M2の質量を測定する。最後に、測定した質量からリチウムおよび元素M2の物質量(mol)を算出して、リチウムに対する元素M2のモル比(mol%)を求める。
[正極活物質の使用方法]
この正極活物質を用いた二次電池を充放電させる場合には、初回の充電時における充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)を高電圧にすることが好ましく、具体的には4.4V以上にすることが好ましい。初回の充電時において正極活物質から十分な量のリチウムイオンが放出されるため、負極における不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができるからである。ただし、複合酸化物の分解反応を抑制するために、初回の充電時における充電電圧は、極端に高すぎないことが好ましく、具体的には4.6V以下であることが好ましい。
なお、初回以降の充電時における充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)は、特に限定されないが、中でも、初回の充電時における充電電圧よりも低いことが好ましく、具体的には4.3V前後であることが好ましい。電池容量を得るために正極活物質からリチウムイオンが円滑に放出されると共に、電解液の分解反応およびセパレータの溶解反応などが抑制されるからである。
[正極活物質の作用および効果]
この正極活物質によれば、式(1)に示した元素M1(アルミニウム等)を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に元素M1とは異なる元素M2(マグネシウム等)が取り込まれている。この場合には、正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池が初回において高充電電圧(例えば4.4V以上)で充電されると、負極における不可逆容量の発生反応が実質的に完了するため、初回以降の充放電時において高い電池容量が安定して得られる。しかも、充放電時において複合酸化物の中心部分が表層領域(外側部分)により電解液などから保護されると共に、その表層領域によりリチウムイオンの吸蔵放出が阻害されないため、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなると共に、複合酸化物の分解反応によりガス(酸素ガス等)が発生しにくくなる。よって、電池容量特性、サイクル特性、保存特性および膨れ特性などに関して優れた電池性能を得ることができる。
<2.正極活物質の適用例(リチウム二次電池)>
次に、上記した正極活物質の適用例について説明する。この正極活物質は、例えば、リチウム二次電池の正極に用いられる。
<2−1.正極およびリチウムイオン二次電池(円筒型)>
図1および図2は、二次電池の一例である円筒型のリチウムイオン二次電池の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に巻回電極体20および一対の絶縁板12,13が収納されたものである。この巻回電極体20は、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回された巻回積層体である。
電池缶11は、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、例えば、鉄、アルミニウムまたはそれらの合金などにより形成されている。なお、電池缶11が鉄製である場合には、その電池缶11の表面にニッケルなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられている。これにより、電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度上昇に応じた抵抗増加により、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、その表面には、アスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。正極21には、アルミニウムなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、ニッケルなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされ、電池蓋14と電気的に接続されていると共に、負極リード26は、電池缶11に溶接などされ、それと電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、例えば、正極集電体21Aの片面または両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。正極活物質層21Bは、上記した正極活物質を含んでおり、必要に応じて正極結着剤または正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極結着剤は、例えば、合成ゴムまたは高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはポリイミドなどである。
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上である。炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックまたはケチェンブラックなどである。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料または導電性高分子などでもよい。
[負極]
負極22は、例えば、負極集電体22Aの片面または両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域において、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理で微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中で電解法により負極集電体22Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法で作製された銅箔は、一般に電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて負極結着剤または負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、それぞれ正極結着剤および正極導電剤と同様である。この負極活物質層22Bでは、例えば、充放電時において意図せずにリチウム金属が析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は正極21の放電容量よりも大きくなっていることが好ましい。
負極材料は、例えば、炭素材料である。リチウムイオンの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性が得られるからである。また、負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素、または(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などである。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノールこの他、炭素材料は、約1000℃以下で熱処理された低結晶性炭素または非晶質炭素でもよい。樹脂またはフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。この他、炭素材料は、約1000℃以下で熱処理された低結晶性炭素または非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料は、例えば、金属元素および半金属元素のいずれか1種類あるいは2種類以上を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、金属元素または半金属元素の単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。なお、本発明における合金には、2種類以上の金属元素からなる材料に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種類以上の共存物などがある。
上記した金属元素または半金属元素は、例えば、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素であり、具体的には、以下の元素の1種類または2種類以上である。マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズまたは鉛(Pb)である。ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウムイットリウム、パラジウム(Pd)または白金(Pt)である。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方が好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出する能力が優れているため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を含む材料は、ケイ素またはスズの単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。なお、単体とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)であり、必ずしも純度100%を意味しているわけではない。
ケイ素の合金は、例えば、ケイ素以外の構成元素として以下の元素の1種類または2種類以上を含む材料である。スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンまたはクロムである。ケイ素の化合物としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として酸素または炭素を含むものが挙げられる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
ケイ素の合金または化合物は、例えば、以下の材料などである。SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 またはTaSi2 である。VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)またはLiSiOである。なお、SiOv におけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
スズの合金は、例えば、スズ以外の構成元素として以下の元素の1種類または2種類以上を含む材料などである。ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンまたはクロムである。スズの化合物としては、例えば、酸素または炭素を構成元素として含む材料などが挙げられる。なお、スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素としてスズの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。スズの合金または化合物としては、例えば、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOまたはMg2 Snなどが挙げられる。
また、スズを含む材料としては、例えば、スズを第1構成元素とし、それに加えて第2および第3構成元素を含む材料が好ましい。第2構成元素は、例えば、以下の元素の1種類または2種類以上である。コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムまたはジルコニウムである。ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、セリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、ビスマスまたはケイ素である。第3構成元素は、例えば、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリンの1種類または2種類以上である。第2および第3構成元素を含むと、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、スズ、コバルトおよび炭素を含む材料(SnCoC含有材料)が好ましい。SnCoC含有材料の組成としては、例えば、炭素の含有量が9.9質量%〜29.7質量%であり、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%〜70質量%である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、その相は、低結晶性または非晶質であることが好ましい。この相は、リチウムと反応可能な反応相であり、その反応相の存在により優れた特性が得られる。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。リチウムイオンがより円滑に吸蔵放出されると共に、電解液との反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがリチウムと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば容易に判断できる。例えば、リチウムとの電気化学的反応の前後で回折ピークの位置が変化すれば、リチウムと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した各構成元素を含んでおり、主に、炭素の存在に起因して低結晶化または非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。スズなどの凝集または結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(XPS:x-ray photoelectron spectroscopy)で確認できる。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線またはMg−Kα線などが用いられる。炭素の少なくとも一部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、炭素の1s軌道(C1s)の合成波のピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているため、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析して、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。このような他の構成元素としては、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムおよびビスマスの1種類または2種類以上が挙げられる。
このSnCoC含有材料の他、スズ、コバルト、鉄および炭素を含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、鉄の含有量を少なめに設定する場合の組成は、以下の通りである。炭素の含有量は9.9質量%〜29.7質量%であり、鉄の含有量は0.3質量%〜5.9質量%であり、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は30質量%〜70質量%である。また、例えば、鉄の含有量を多めに設定する場合の組成は、以下の通りである。炭素の含有量は11.9質量%〜29.7質量%である。また、スズ、コバルトおよび鉄の含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))は26.4質量%〜48.5質量%であり、コバルトおよび鉄の含有量の割合(Co/(Co+Fe))は9.9質量%〜79.5質量%である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料と同様である。
また、他の負極材料は、例えば、金属酸化物または高分子化合物などである。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法または焼成法(焼結法)、あるいはそれらの2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、有機溶剤などの溶媒に分散させて塗布する方法である。気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法などが挙げられる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition )法またはプラズマ化学気相成長法などである。液相法としては、例えば、電解鍍金法または無電解鍍金法などが挙げられる。溶射法とは、負極活物質を溶融状態または半溶融状態で吹き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法と同様の手順で塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法については、公知の手法を用いることができる。一例としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法などが挙げられる。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離して、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23には、液状の電解質(電解液)である電解液が含浸されている。セパレータ23は、例えば、合成樹脂またはセラミックからなる多孔質膜などにより構成されており、それらの2種類以上の多孔質膜が積層されたものでもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどである。
[電解液]
電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、例えば、以下で説明する非水溶媒(有機溶媒)のいずれか1種類または2種類以上である。炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランである。2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンまたは1,4−ジオキサンである。酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルまたはトリメチル酢酸エチルである。アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンまたはN−メチルオキサゾリジノンである。N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。より優れた特性が得られるからである。この場合には、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルまたは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、1または2以上の不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステル(不飽和炭素結合環状炭酸エステル)でもよい。充放電時において負極22表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルは、例えば、炭酸ビニレンまたは炭酸ビニルエチレンなどである。なお、非水溶媒中における不飽和炭素結合環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%以上10重量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
また、溶媒は、1または2以上のハロゲン基を有する鎖状炭酸エステル(ハロゲン化鎖状炭酸エステル)、および1または2以上のハロゲン基を有する環状炭酸エステル(ハロゲン化環状炭酸エステル)のうちの少なくとも1種でもよい。充放電時において負極22表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。ハロゲン基の種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素基、塩素基または臭素基が好ましく、フッ素基がより好ましい。高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲン基の数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)または炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。ハロゲン化環状炭酸エステルは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンまたは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。なお、非水溶媒中におけるハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%以上50重量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)でもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。スルトンは、例えば、プロパンスルトンまたはプロペンスルトンなどである。なお、非水溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
さらに、溶媒は、酸無水物でもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。酸無水物は、例えば、例えば、ジカルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物またはカルボン酸スルホン酸無水物などである。ジカルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸または無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸または無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸または無水スルホ酪酸などである。なお、非水溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
[電解質塩]
電解質塩は、例えば、以下で説明するリチウム塩のいずれか1種類または2種類以上である。ただし、電解質塩は、リチウム塩以外の他の塩(例えばリチウム塩以外の軽金属塩)でもよい。
リチウム塩は、例えば、以下の化合物などである。六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )または六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )である。テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )またはテトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )である。六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)または臭化リチウム(LiBr)である。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムのうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
なお、正極21(正極活物質層21B)、負極22(負極活物質層22B)および電解液のうちの少なくとも1つは、2種類以上のオキソ酸の縮合物であるヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。初回の充電時において電極の表面に被膜(SEI膜)が形成されるからである。リチウムイオンを吸蔵放出できるヘテロポリ酸化合物由来の被膜は優れたリチウムイオンの透過性を有するため、電極と電解液との反応を抑制しながら、サイクル特性を低下させずに、正極活物質などの分解反応に起因するガス(酸素ガスなど)の発生(特に高温環境中)を抑制できる。また、酸素ガス由来の副生成物により正極活物質層21Bなどの内部に余計な空隙が形成されにくくなるからである。
ヘテロポリ酸化合物およびヘテロポリ酸化合物を構成するヘテロポリ酸は、下記の元素群(a)から選択されるポリ原子を有する化合物、または、元素群(a)から選択されるポリ原子を有すると共にそのポリ原子の一部が元素群(b)から選択される少なくともいずれかの元素により置換された化合物である。
である。
元素群(a):Mo、W、Nb、V
元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pb
また、ヘテロポリ酸化合物およびへテロポリ酸は、下記の元素群(c)から選択されるヘテロ原子を有する化合物、または、元素群(c)から選択されるヘテロ原子を有すると共にそのへテロ原子の一部が元素群(d)から選択される少なくともいずれかの元素により置換された化合物である。
元素群(c):B、Al、Si、P、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As
元素群(d):H、Be、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U、Np
具体的には、ヘテロポリ酸化合物に含まれるヘテロポリ酸は、例えば、リンタングステン酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリタングステン酸や、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸などのヘテロポリモリブデン酸である。また、複数のポリ元素を含む材料としては、リンバナドモリブデン酸、リンタングトモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、ケイタングトモリブデン酸などが挙げられる。
ヘテロポリ酸化合物は、例えば、下記の式(2)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種である。
x y (BD6 24)・zH2 O ・・・(2)
(Aはリチウム、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Ce)、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム(NH4 )、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素(As)またはゲルマニウム(Ge)である。Dはチタン、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ロジウム(Rh)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)およびタリウム(Tl)のうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦8、0≦y≦8、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (BD1240)・zH2 O ・・・(3)
(Aはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素またはゲルマニウムである。Dはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、カドミウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、レニウムおよびタリウムのうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦4、0≦y≦4、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (B2 1862)・zH2 O ・・・(4)
(Aはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素またはゲルマニウムである。Dはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、カドミウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、レニウムおよびタリウムのうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦8、0≦y≦8、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (B5 30110 )・zH2 O ・・・(5)
(Aはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素またはゲルマニウムである。Dはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、カドミウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、レニウムおよびタリウムのうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦15、0≦y≦15、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
中でも、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸およびケイタングステン酸のうちの少なくとも1種が好ましい。より高い効果が得られるからである。また、正極活物質層22Bにおけるヘテロポリ酸等の含有量は、0.01重量%〜3重量%であることが好ましい。電池容量などを大幅に低下させずに、ガス発生が抑制されるからである。
ヘテロポリ酸化合物は、例えばLi+ 、Na+ 、K+ 、Rb+ およびCs+ 、ならびにR4 + 、R4 + (なお、式中、RはHあるいは炭素数10以下の炭化水素基である)等の陽イオンを有することが好ましい。また、陽イオンとしては、Li+ 、テトラ−ノルマル−ブチルアンモニウムあるいはテトラ−ノルマル−ブチルホスホニウムであることがより好ましい。
具体的には、ヘテロポリ酸化合物は、例えば、ケイタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸アンモニウム、ケイタングステン酸テトラ−テトラ−n−ブチルホスホニウム塩などのヘテロポリタングステン酸化合物である。また、ヘテロポリ酸化合物は、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸トリ−テトラ−n−ブチルアンモニウム塩などのヘテロポリモリブデン酸化合物である。さらに、複数のポリ元素を含む化合物としては、リンタングトモリブデン酸トリ−テトラ−n−アンモニウム塩などが挙げられる。これらのヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、2種類以上混合して用いてもよい。これらのヘテロポリ酸やヘテロポリ酸化合物は、溶媒に溶解しやすく、また電池中において安定しており、他の材料と反応する等の悪影響を及ぼしにくい。
上記したように、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、ガス発生の抑制などに寄与する。このため、正極21および負極22のうちの少なくとも一方に、ゲル状の被膜、より具体的にはヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方に由来するゲル状の被膜が設けられていることが好ましい。このゲル状の被膜は、充電時や予備充電時にヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸化合物が電解して3次元網目構造に析出した析出物を含んでいる。すなわち、ゲル状の被膜は、1種類以上のポリ元素を有する非晶質のポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方を含んでおり、その非晶質のポリ酸およびポリ酸化合物が電解液を含むことでゲル状になっている。この被膜は、厚さ方向に成長するが、リチウムイオンの伝導性に悪影響を及ぼしにくい。そして、セパレータ23と正極21や負極22とが接触して急激に大電流が流れることを防止し、二次電池の瞬間的な発熱を抑制する。ゲル状の被膜は、正極21等の表面の少なくとも一部に設けられていればよい。なお、ゲル状の被膜の存在および組成などに関しては、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、X線吸収微細構造(XAFS:X-ray absorption fine structure )解析、TOF−SIMS法などで確認できる。
上記したゲル状の被膜は、負極22におけるポリ酸およびポリ酸化合物のうちの少なくとも一方の一部が還元され、ポリ原子の価数が6価未満になっており、一方で、還元されず、ポリ原子イオンの価数にして6価として存在するポリ酸およびポリ酸化合物の少なくとも一方も同時に存在していることが好ましい。このように還元状態にあるポリ原子イオンと非還元状態にあるポリ原子イオンとが混在することにより、ガス吸収効果を有するポリ酸およびポリ酸化合物の安定性が高くなり、電解液に対する耐性向上が見込まれる。析出したポリ酸およびポリ酸化合物の少なくとも一方の還元状態は、X線光電子分光(XPS)分析により確認することができる。この場合、電池を解体後に、炭酸ジメチルで洗浄を行う。表面に存在する低揮発性の溶媒成分および電解質塩を除去するためである。サンプリングは可能な限り、不活性雰囲気下で行うことが望ましい。また、複数のエネルギーに帰属されるピークの重畳が疑われる場合には、測定したスペクトルに対して波形解析を行ってピークを分離することで、6価および6価未満のタングステンまたはモリブデンイオンに帰属されるピークの有無を判断することができる。
[二次電池の動作]
この二次電池では、例えば、充電時において、正極21から放出されたリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵される。また、例えば、放電時において、負極22から放出されたリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。この場合には、上記したように、初回の充電時において負極22における不可逆容量の発生反応を完了させるために、初回の充電時の充電電圧(例えば4.6V)を初回以降の充電時(例えば4.35V)よりも高くすることが好ましい。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤などに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。最後に、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
次に、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。この場合には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合した負極合剤を有機溶剤などに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、必要に応じて負極活物質層22Bを圧縮成型する。
なお、正極21とは異なる手順により、負極22を作製してもよい。この場合には、例えば、蒸着法などの気相法を用いて負極集電体22Aの両面に負極材料を堆積させて、負極活物質層22Bを形成する。
最後に、正極21および負極22を用いて二次電池を組み立てる。最初に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などして取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら、巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接などして取り付けると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接などして取り付ける。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。
[二次電池の作用および効果]
この円筒型の二次電池によれば、正極21の正極活物質層21Bが上記した正極活物質を含んでいるので、優れた電池性能を得ることができる。
特に、負極22の負極活物質として不可逆容量が増大する金属系材料またはその酸化物を用いた場合において、より高い効果を得ることができる。また、負極活物質として低結晶性炭素または非晶質炭素などを用いた場合においても不可逆容量が増大するため、同様の効果を得ることができる。
<2−2.正極およびリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)>
図3は、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池の分解斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面を拡大して示している。以下では、既に説明した円筒型のリチウムイオン二次電池の構成要素を随時引用する。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30が収納されたものである。この巻回電極体30は、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されたものである。正極33には正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には負極リード32が取り付けられている。この巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成されていると共に、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。これらの材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。このラミネートフィルムでは、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、または接着剤などにより貼り合わされている。融着層は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材40としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、または金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。このような材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。また、セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、必要に応じて添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に電解液の漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物は、例えば、以下の高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンまたはポリフッ化ビニルである。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートである。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体である。中でも、ポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、円筒型について説明した電解液の組成と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の非水溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
[二次電池の動作]
この二次電池では、例えば、充電時において、正極33から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵される。また、例えば、放電時において、負極34から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して正極53に吸蔵される。この場合においても、初回の充電時において負極34における不可逆容量の発生反応を完了させるために、初回の充電時の充電電圧を初回以降の充電時よりも高くすることが好ましい。
[二次電池の製造方法]
このゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、最初に、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。この場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などの溶媒とを含む前駆溶液を調製したのち、その前駆溶液を正極33および負極34に塗布してゲル状の電解質層36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を溶接などして取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を溶接などして取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層および巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を接着させる。最後に、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、外装部材40の外周縁部同士を熱融着などして接着させて、その外装部材40に巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード52を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を積層および巻回させて巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を接着させる。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などして接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着などして密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とし、ゲル状の電解質層36を形成する。
第3手順では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体または多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体、またはフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種類または2種類以上の高分子化合物を用いてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などで外装部材40の開口部を密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸するため、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも電池膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間において十分な密着性が得られる。
[二次電池の作用および効果]
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極33の正極活物質層33Bが上記した正極活物質を含んでいるので、優れた電池性能を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型と同様である。
<2−3.正極およびリチウム金属二次電池>
ここで説明する二次電池は、負極の容量がリチウム金属の析出および溶解により表されるリチウム金属二次電池である。この二次電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により構成されていることを除き、上記した円筒型のリチウムイオン二次電池と同様の構成を有していると共に、同様の手順により製造される。
この二次電池は、負極活物質としてリチウム金属を用いており、それにより高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に存在するようにしてもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成されるようにしてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体としても利用して、負極集電体22Aを省略してもよい。
この二次電池では、例えば、充電時において、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。また、例えば、放電時において、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池によれば、正極21の正極活物質層21Bが上記した正極活物質を含んでいるので、優れた電池性能を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型のリチウムイオン二次電池と同様である。なお、ここで説明した二次電池は、円筒型に限らず、上記したラミネートフィルム型に適用されてもよい。
<3.リチウム二次電池の用途>
次に、上記したリチウム二次電池の適用例について説明する。
この二次電池の用途は、それを駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして用いることが可能な機械、機器、器具、装置またはシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。二次電池が電源として用いられる場合、それは主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。後者の場合、主電源は二次電池に限られない。
二次電池の用途としては、例えば、以下の用途などが挙げられる。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノートパソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビまたは携帯用情報端末(PDA:personal digital assistant)などの携帯用電子機器である。電気シェーバなどの生活用電気器具である。バックアップ電源またはメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルまたは電動のこぎりなどの電動工具である。ペースメーカーまたは補聴器などの医療用電子機器である。電動車両(ハイブリッド自動車を含む)である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。
中でも、二次電池は、電動工具、電動車両または電力貯蔵システムなどに適用されることが有効である。二次電池について優れた特性が要求されるため、本発明の二次電池を用いることにより、有効に特性向上を図ることができるからである。なお、電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動するものである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)するものであり、上記したように、二次電池以外の駆動源も併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されており、その二次電池に貯蔵された電力が必要に応じて消費されることにより、家庭用電気製品などの各種機器が使用可能になる。
本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1〜1−15)
[正極活物質の合成]
以下の手順により、正極活物質を得た。まず、原料である炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸マンガン(MnCO3 )と水酸化コバルト(Co(OH)2 )と水酸化ニッケル(Ni(OH)2 )と硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO3 3 ・9H2 O)とを混合したのち、水を分散媒とするボールミルを用いて十分に粉砕した。この場合には、得られる複合酸化物の組成(モル比)がLi:Mn:Co:Ni:Al=1.13:0.6:0.2:0.2:0.01となるように原料の配合比を調整した。続いて、得られた混合物を大気中で850℃×12時間焼成して、元素M1としてアルミニウムを含む複合酸化物(Li1.13(Mn0.6 Co0.2 Ni0.2 0.87M10.012 )を合成した。続いて、M2含有化合物であるリン酸マグネシウムを複合酸化物に対してLi:Mg=100:1のモル比となるように秤量および混合したのち、メカノケミカル装置を用いて1時間処理して、複合酸化物の表面にリン酸マグネシウムを被着させた。最後に、毎分3℃の速度で昇温して900℃×3時間焼成した。これにより、元素M1(アルミニウム)を含む複合酸化物の表層領域に元素M2(マグネシウム)が取り込まれた正極活物質を得た。この元素M2の含有量は、リチウムに対して1mol%である。
この他、さらに原料として水酸化リチウム(LiOH)、炭酸マンガン、水酸化コバルトおよび水酸化ニッケルと共にリン酸マグネシウムおよび二酸化チタン、M2含有化合物として硝酸アルミニウム九水和物、グルコース、水酸化ニッケルおよびフッ化リチウムをそれぞれ用いて、表1に示した複合酸化物の組成および元素M2の含有量となるように原料の配合比およびM2含有化合物の配合量を変更したことを除いて同様の手順により、一連の正極活物質を得た。
[二次電池の作製]
上記した正極活物質を用いて電池性能を調べるために、図3および図4に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を作製した。
まず、正極33を作製した。この場合には、正極活物質90質量部と、正極結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene difluoride )5質量部と、正極導電剤であるアモルファス性炭素粉(ケッチェンブラック)5質量部とを混合して、正極合剤とした。続いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に正極合剤を分散させて、正極合剤スラリーとした。続いて、正極集電体33A(アルミニウム箔:厚さ=15μm)の両面に正極合剤スラリーを均一に塗布したのち、温風で乾燥させて正極活物質層33Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層33Bを圧縮成型したのち、帯状(48mm×300mm)に切断した。
次に、負極34を作製した。この場合には、表1に示した負極活物質とポリイミドの20重量%NMP溶液とを7:2の質量比で混合して、負極合剤スラリーとした。この負極活物質は、黒鉛(メソカーボンマイクロビーズ(MCMB))、ケイ素の単体、スズの単体または酸化ケイ素(SiO)であり、メジアン径は、黒鉛では15μm、それ以外では7μmである。続いて、負極集電体34A(銅箔:厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して80℃で乾燥させたのち、ロールプレス機を用いて圧縮成型すると共に700℃で3時間加熱して負極活物質層34Bを形成した。最後に、負極活物質層34Bを帯状(50mm×310mm)に切断した。
最後に、正極33および負極34を用いて二次電池を組み立てた。この場合には、正極33の正極集電体33Aにアルミニウム製の正極リード25を溶接すると共に、負極34の負極集電体34Aに銅製の負極リード26を溶接した。続いて、セパレータ35(微孔性ポリエチレンフィルム:厚さ=25μm)を介して正極33と負極34とを積層すると共に長手方向に巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付けた。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、外装部材40の3辺における外周縁部同士を熱融着して袋状にした。この外装部材40は、外側から、ナイロンフィルム(厚さ=25μm)と、アルミニウム箔(厚さ=40μm)と、ポリプロピレンフィルム(厚さ=30μm)とが積層された耐湿性のアルミラミネートフィルムである。最後に、溶媒(炭酸エチレン(EC)および炭酸エチルメチル(EMC))に電解質塩(LiPF6 )が溶解された電解液を外装部材40の内部に注入してセパレータ35に含浸させたのち、減圧環境中において外装部材40の残りの1辺を熱融着した。この電解液において、溶媒の組成(質量比)はEC:EMC=50:50、電解質塩の含有量は溶媒に対して1mol/dm3 (=1mol/l)である。
[電池性能の測定]
上記したラミネートフィルム型の二次電池を用いて電池性能(電池容量特性、サイクル特性、保存特性および膨れ特性)を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
電池容量特性およびサイクル特性を調べる場合には、以下の手順により、2サイクル目の放電容量(mAh)および300サイクル後のサイクル維持率(%)を求めた。この場合には、23℃の環境中において二次電池を2サイクル充放電させて、2サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。続いて、サイクル数の合計が300回になるまで二次電池を充放電させて、300サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。最後に、サイクル維持率(%)=(300サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。なお、1サイクル目の充放電時には、1000mAの電流で電池電圧が4.6Vに到達するまで定電流充電し、引き続き4.6Vの定電圧で電流値が1mAに絞られるまで定電圧充電したのち、500mAの電流で電池電圧が2.5Vに到達するまで定電流充電した。2サイクル目以降の充放電時には、定電流充電時の目標電池電圧を4.35Vに変更したことを除いて、1サイクル目と同様の条件で充放電した。
保存特性を調べる場合には、二次電池を2サイクル目まで充電した状態で60℃の環境中に300時間保存したのち、その二次電池を放電させて2サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。この結果から、保存維持率(%)=(2サイクル目(保存後)の放電容量/2サイクル目(保存前)の放電容量)×100を算出した。なお、充放電条件は、電池容量特性等を調べた場合と同様である。
膨れ特性を調べる場合には、充放電前の二次電池の厚さ(mm)を測定したのち、その二次電池を1サイクル充放電させて充放電後の厚さ(mm)を測定した。この結果から、膨れ量(mm)=充放電後の厚さ−充放電前の厚さを算出した。なお、充放電条件は、電池容量特性等を調べた場合における1サイクル目の充放電条件と同様である。
Figure 2012142155
(実験例2−1〜2−11)
比較のために、表2に示したように、元素M1,M2の有無等を変更したことを除いて実験例1−1〜1−15と同様の手順により、正極活物質を合成すると共に二次電池を作製した。この二次電池の電池性能を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
Figure 2012142155
式(1)に示した元素M1を含む複合酸化物の表層領域における結晶構造中に元素M2が取り込まれていると共に、その構成元素の組成比(a〜e範囲)が所定の範囲内である正極活物質を用いると、それ以外の正極活物質を用いた場合と比較して、放電容量、サイクル容量維持率および保存容量維持率がいずれも高くなると共に、膨れ量が抑えられた。
詳細には、正極活物質が元素M1だけを含んでいると、膨れ量は大幅に減少するのに対して、放電容量、サイクル容量維持率および保存容量維持率は僅かしか高くならない。一方、正極活物質が元素M2だけを含んでいると、膨れ量は大幅に減少すると共にサイクル容量維持率および保存容量維持率は僅かに増加するのに対して、放電容量は大幅に減少する。これに対して、正極活物質が元素M1,M2を含んでいると、膨れ量は大幅に減少すると共に、放電容量、サイクル容量維持率および保存容量維持率も大幅に増加する。
式(1)に示したa〜eがそれぞれ適正な範囲内であると、放電容量、サイクル容量維持率および保存容量維持率がいずれも高くなると共に膨れ量が抑えられるのに対して、a〜eのいずれかが適正な範囲外であると、一部の電池性能が低下してしまう。
正極活物質が元素M1,M2を含む場合には、元素M2の含有量に依存せずに電池性能が向上するが、その添加量が0.01mol%〜5mol%であると、全ての電池性能が良好になる。
負極活物質の種類に着目すると、炭素材料(黒鉛)を用いた場合よりも金属系材料またはその酸化物(Si、SnまたはSiO)を用いた場合において高い電池容量が得られる。しかも、金属系材料等を用いているにもかかわらず、高いサイクル容量維持率および保存維持率が得られる上、膨れ量も抑えられる。
(実験例3−1〜3−4)
表3に示したように、正極合剤にヘテロポリ酸であるケイタングステン酸を加えたことを除いて実験例1−1〜1−15と同様の手順により、正極活物質を合成すると共に二次電池を作製した。この二次電池の電池性能を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
Figure 2012142155
正極活物質層33Bがヘテロポリ酸を含んでいると、それを含んでいない場合と比較して、放電容量、サイクル容量維持率および保存容量維持率がほぼ維持されたまま、膨れ量が大幅に減少した。
表1〜表3の結果から、式(1)に示した元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に元素M1とは異なる元素M2が取り込まれていると共に、その構成元素の組成比が所定の範囲内である正極活物質を用いると、優れた放電容量、サイクル容量維持率、保存容量維持率および膨れ量が得られた。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、実施形態および実施例で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の正極活物質は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出による容量とリチウム金属の析出溶解に伴う容量とを含み、それらの容量の和により表されるリチウムイオン二次電池についても、同様に適用可能である。この場合には、負極材料の充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、実施形態および実施例では、電池構造が円筒型またはラミネートフィルム型である場合、あるいは電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。本発明のリチウムイオン二次電池は、コイン型、角型またはボタン型などの他の電池構造を有する場合、あるいは電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても、同様に適用可能である。
また、実施形態および実施例では、式(1)に示した複合酸化物の組成(a〜eの値)について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明している。しかしながら、その説明は、組成が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であるため、本発明の効果が得られるのであれば、上記した範囲から組成が多少外れてもよい。
また、例えば、本発明の正極活物質または正極は、リチウム二次電池に限らず、キャパシタなどの他のデバイスに適用されてもよい。
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。

Claims (20)

  1. 正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に前記元素M1とは異なる元素M2が取り込まれた正極活物質を含有し、
    前記元素M2は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、硫黄(S)、フッ素(F)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、リン(P)、炭素(C)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも1種である、
    リチウム二次電池。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
    (M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム(Ba)、ホウ素、ケイ素(Si)および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
  2. 前記正極活物質における前記元素M2の含有量はリチウム(Li)の含有量に対して0.01mol%〜5mol%である、請求項1記載のリチウム二次電池。
  3. 前記元素M1はアルミニウム、マグネシウムまたはチタンであると共に、前記元素M2はマグネシウム、硫黄、フッ素、アルミニウム、リン、炭素またはニッケルである、請求項1記載のリチウム二次電池。
  4. 前記元素M1はアルミニウムであると共に、前記元素M2はマグネシウムまたは炭素である、請求項3記載のリチウム二次電池。
  5. 前記aは0.1<a<0.25である、請求項1記載のリチウム二次電池。
  6. 前記正極活物質は、メカノケミカル反応により前記複合酸化物の表面に前記元素M2を含む化合物が被着されてから焼成されたものである、請求項1記載のリチウム二次電池。
  7. 前記元素M2を含む化合物は前記複合酸化物と固溶体を形成している、請求項6記載のリチウム二次電池。
  8. 前記負極は、ケイ素およびスズ(Sn)のうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料を含有する、請求項1記載のリチウム二次電池。
  9. 前記負極活物質は酸化ケイ素(SiOv :0.2<v<1.4)である、請求項8記載のリチウム二次電池。
  10. 前記正極、前記負極および前記電解液のうちの少なくとも1つは、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方を含む、請求項1記載のリチウム二次電池。
  11. 前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方にゲル状の被膜が設けられ、そのゲル状の被膜は、1種以上のポリ元素を有する非晶質のポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方を含む、請求項1記載のリチウム二次電池。
  12. 前記ゲル状の被膜は、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方に由来する、請求項11記載のリチウムイオン二次電池。
  13. 前記ポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方は、6価のポリ原子イオンと、6価未満のポリ原子イオンとを含む、請求項12記載のリチウムイオン二次電池。
  14. 前記ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、下記の式(2)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種である、請求項10または請求項12に記載のリチウム二次電池。
    x y (BD6 24)・zH2 0 ・・・(2)
    (Aはリチウム、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Ce)、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム(NH4 )、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素(As)またはゲルマニウム(Ge)である。Dはチタン、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ロジウム(Rh)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)およびタリウム(Tl)のうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦8、0≦y≦8、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
    x y (BD1240)・zH2 0 ・・・(3)
    (Aはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素またはゲルマニウムである。Dはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、カドミウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、レニウムおよびタリウムのうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦4、0≦y≦4、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
    x y (B2 1862)・zH2 0 ・・・(4)
    (Aはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素またはゲルマニウムである。Dはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、カドミウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、レニウムおよびタリウムのうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦8、0≦y≦8、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
    x y (B5 30110 )・zH2 0 ・・・(5)
    (Aはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。Bはリン、ケイ素、ヒ素またはゲルマニウムである。Dはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、カドミウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、レニウムおよびタリウムのうちの少なくとも1種である。xは0≦x≦15、0≦y≦15、0≦z≦50であり、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
  15. 前記ヘテロポリ酸は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸およびケイタングステン酸のうちの少なくとも1種である、請求項10または請求項12に記載のリチウム二次電池。
  16. 下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に前記元素M1とは異なる元素M2が取り込まれ、
    前記元素M2は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、硫黄、フッ素、鉄、銅、ホウ素、アルミニウム、リン、炭素、マンガン、ニッケルおよびコバルトのうちの少なくとも1種である、
    正極活物質。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
    (M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム、ホウ素、ケイ素および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
  17. 下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に前記元素M1とは異なる元素M2が取り込まれた正極活物質を含み、
    前記元素M2は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、硫黄、フッ素、鉄、銅、ホウ素、アルミニウム、リン、炭素、マンガン、ニッケルおよびコバルトのうちの少なくとも1種である、
    正極。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
    (M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム、ホウ素、ケイ素(Si)および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
  18. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウム二次電池を電源として可動し、
    前記正極は、下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に前記元素M1とは異なる元素M2が取り込まれた正極活物質を含み、
    前記元素M2は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、硫黄、フッ素、鉄、銅、ホウ素、アルミニウム、リン、炭素、マンガン、ニッケルおよびコバルトのうちの少なくとも1種である、
    電動工具。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
    (M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム、ホウ素、ケイ素および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
  19. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウム二次電池を電源として作動し、
    前記正極は、正極活物質として、下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に前記元素M1とは異なる元素M2が取り込まれた正極活物質を含み、
    前記元素M2は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、硫黄、フッ素、鉄、銅、ホウ素、アルミニウム、リン、炭素、マンガン、ニッケルおよびコバルトのうちの少なくとも1種である、
    電動車両。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
    (M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム、ホウ素、ケイ素および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
  20. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウム二次電池を電力貯蔵源として用い、
    前記正極は、正極活物質として、下記の式(1)で表される元素M1を含む複合酸化物のうち、その表層領域における結晶構造中に前記元素M1とは異なる元素M2が取り込まれた正極活物質を含み、
    前記元素M2は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、硫黄、フッ素、鉄、銅、ホウ素、アルミニウム、リン、炭素、マンガン、ニッケルおよびコバルトのうちの少なくとも1種である、
    電力貯蔵システム。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a M1d 2-e ・・・(1)
    (M1はアルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バリウム、ホウ素、ケイ素および鉄のうちの少なくとも1種である。aは0<a<0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−b、dは0.01≦d≦0.2、eは0≦e≦1である。)
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