JP5407117B2 - リチウムイオン電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池およびこれを搭載する車両に関する。特に本発明によれば、リチウムイオン電池の電気容量およびエネルギー密度のより一層の改善が図られる。
環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の普及の鍵を握るモータ駆動用電池の開発が盛んに行われている。モータ駆動用電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン電池は、一般にバインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが電解液を含浸したセパレータ層を介して接続され、電池ケースに収納された構成を有している。
しかしながら、こうした電気自動車が広く普及するためには、リチウムイオン電池を高性能にして、より安くする必要がある。また、電気自動車については、一充電走行距離をガソリンエンジン車に近づける必要があり、より高エネルギーの電池が望まれている。電池を高エネルギー密度にするためには、正極と負極の単位質量当たりの蓄えられる電気量を大きくする必要がある。
この要請に応えられる可能性のある正極材料として、いわゆる固溶体系正極が検討されている。なかでも、電気化学的に不活性の層状のLiMnOと、電気化学的に活性な層状のLiMO(ここでMは、Co、Niなどの遷移金属)の固溶体は、200mAh/gを超える大きな電気容量を示しうる高容量正極候補材料として期待されている(特許文献1参照)。
特開平9−55211号公報
しかしながら、特許文献1に記載の固溶体系正極材料は、初期充放電効率が非常に悪いという問題があった。そのため、この種の固溶体系正極材料を用いてリチウムイオン電池を構成すると、電池の充放電容量に寄与できない大量の負極材料が必要となる上、電池の電気容量及びエネルギー密度を大きくできないという問題があった。
そこで本発明は、高容量正極材料の初期充放電効率を改善し、電気容量及びエネルギー密度を向上してなるリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、リチウムイオン電池の正極材料として、電池を構成する段階で充電状態にある正極活物質を第二の正極活物質として合わせて用いる電池構成とすることにより上記の問題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、電池を構成する段階で放電状態である第一の正極活物質と、電池を構成する段階で充電状態である第二の正極活物質の2種類からなる正極活物質を用いてなるリチウムイオン電池である。
本発明によれば、第一の正極活物質の初期の充放電効率が低くても、電池容量に寄与する負極活物質量を増加させることができる為、電池の電気容量とエネルギー密度の向上を図れる。
本発明のリチウムイオン電池は、主要正極活物質が2種類からなり、第一の主要正極活物質が電池を構成する段階(以下、電池構成段階ともいう)で放電状態であり、第二の主要正極活物質が電池を構成する段階で充電状態であることを特徴とするものである。
以下、図面を参照しながら、本発明のリチウムイオン電池の代表的な実施形態につき説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、本発明に係るリチウムイオン電池は、高容量で高エネルギー密度にできることから、車両の駆動電源用等として好適に利用できる。このほか、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン電池にも十分に適用可能である。特に本発明の電池を車両の搭載用電源として用いれば、電池のエネルギー密度が高いので、電気自動車の航続距離を拡張でき、プラグインハイブリッド電気自動車の積載電池量を削減でき、ハイブリッド電気自動車の更なる高性能化が可能となる点で優れている。
すなわち、本発明の対象となるリチウムイオン電池は、上記した電池構成段階で放電状態と充電状態の2種類の主要正極活物質を用いてなるものであればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点で有利である。
また、リチウムイオン電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)のリチウムイオン電池および双極型(内部直列接続タイプ)のリチウムイオン電池のいずれにも適用し得るものである。本発明では、非双極型(内部直列接続タイプ)のリチウムイオン電池が望ましい。上述したように充放電電位を高くして高容量正極としての使用に適した電池構成((内部並列接続タイプ)となっているためである。
リチウムイオン電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
したがって、以下の説明では、本発明の2種類の主要正極活物質を用いてなる非双極型(内部並列接続タイプ)のリチウムイオン二次電池につき図面を用いて簡単に説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である、扁平型(積層型)の非双極型リチウムイオン二次電池(以下、単にリチウムイオン電池ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン電池10では、電池外装材22に高分子−金属を複合したラミネートフィルムを用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素(電池要素)17を収納し密封した構成を有している。発電要素17は、正極集電体11の両面に正極(正極活物質層)12が形成された正極板、電解質層(あるいはセパレータ層)13、および負極集電体14の両面(発電要素の最下層及び最上層用は片面)に負極(負極活物質層)15が形成された負極板を積層した構成を有している。この際、一の正極板片面の正極(正極活物質層)12と前記一の正極板に隣接する一の負極板片面の負極(負極活物質層)15とが電解質層13を介して向き合うようにして、正極板、電解質層13、負極板の順に複数積層されている。以下、正極板、電解質層13、負極板の順に積層された一組(電池の最小ユニット)を単電池層(単セル)16とも称する。
これにより、隣接する正極(正極活物質層)12、電解質層13、および負極(負極活物質層)15は、一つの単電池層16を構成する。従って、本実施形態のリチウムイオン電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素(電池要素;積層体)17の両最外層に位置する最外層負極集電体14aには、いずれも片面のみに負極(負極活物質層)15が形成されている。なお、図1と正極板と負極板の配置を変えることで、発電要素(電池要素)17の両最外層に最外層正極集電体(図示せず)が位置するようにし、該最外層正極集電体の場合にも片面のみに正極(正極活物質層)12が形成されているようにしてもよい。
また、上記の各電極板(正極板及び負極板)と導通される正極タブ18および負極タブ19が、正極端子リード20および負極端子リード21を介して各電極板の正極集電体11及び負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられている。これにより正極タブ18および負極タブ19は、上記熱融着部に挟まれて上記の電池外装材22の外部に露出される構造を有している(図4も参照のこと)。
上記したリチウムイオン電池の各構成要件を中心に、以下説明する。
まず、本発明では、その特徴的な構成として、前記正極(正極活物質層)12の主要正極活物質に、電池構成段階で放電状態の第一の正極活物質と、電池構成段階で充電状態の第二の正極活物質の2種類を用いた点にある。
かかる特徴的構成は、以下の知見を見出しなされたものである。即ち、上記したように大きな電気容量が期待されるLiMnOとLiMOの固溶体は、充放電電位を高くして高容量正極材料として使用すると、電池構成後初期の充放電時に何らかの原因により使用できなくなる容量がある(これを初期ロス容量という)。そのため初期の充電に必要な電気量に比べて放電できる電気容量がかなり小さい。この原因はまだよくわかっていない。しかし発表された論文等をみると、リチウム金属基準で4.5Vを超える高電位で充電する場合には、充電の進行と共に、LiOが結果として材料中から放出されると考えられ、少なくとも酸素の一部は酸素ガスとして検出されている。この種の正極材料を用いてリチウムイオン電池を構成すると、相対する負極は、この初期の充電電気量に相当する電気量以上の容量を持つ必要がある。なお、正極の充電容量よりも多目の負極容量を用いる理由は、充電の際、負極上にリチウム金属が析出しないようにするためである。とにかく、このような事情のため、実際に電池が何回も充放電して使用される段階では、電池容量に寄与できない負極活物質が大量に必要になってしまう。この事情は、模式的に図2に示してある。本発明では、この問題を解決するために、正極に充電状態の第二の活物質をあわせて使用することにより、初期の充電のみで使用される負極の容量を活用できるようにしたものである。この事情は、模式的に図3に示してある。
即ち、図2は、正極活物質として電池構成段階で放電状態にある固溶体系正極(例えば、LiMnOとLiMOの固溶体)を高容量正極材料として使用した場合の既存のリチウムイオン二次電池における充放電メカニズムを説明するための模式図である。図3は、本発明のリチウムイオン電池における充放電メカニズムを説明するための模式図である。詳しくは、主要正極活物質が2種類からなり、そのうちの一方の第一の正極活物質として、電池構成段階で放電状態である図2と同様の固溶体系正極を用い、もう一方の第二の正極活物質が電池構成段階で充電状態である場合を例にとり説明した模式図である。
なお、図2、3のいずれも、負極活物質は、特に制限されるものではなく、リチウムイオン電池の負極活物質として、通常一般的に用いられるものでよい。図2、3の各図は、リチウムイオン電池の、充放電の各時点における状態を示す図である。また、縦軸は各活物質の容量密度(dQ/dE)を示し、横軸は電位(V)を示す。さらに、直線Pは正極の電位を示し、直線Nは負極の電位を示す。よって、直線Pと直線Nとの距離は電池電圧を示す。また、斜線部は放電可能な充電容量(可逆容量)を示し、網掛け部は放電不可能な充電容量(不可逆容量)を示す。
図2(a)は、既存のリチウムイオン二次電池での電池作製直後(即ち、電池構成段階)の状態を示す図である。電池作製直後、初期充電前においては、電池電圧は約1V程度である。電池作製直後の充電前において電極に電位が生じ、一定の電池電圧が発生する理由は完全に明らかとはなっていないが、極微量の不純物などが関与しているものと考えられる。図中の符号31のブロックは、正極活物質材料である固溶体系正極材料の理論容量の大きさを示す。符号33のブロックは、負極活物質材料の理論容量の大きさを示す。
図2(b)は、既存のリチウムイオン二次電池での初期充電の中間充電状態を示す図である。初期充電を開始すると、正極及び負極活物質の充電が進行する。
図2(c)は、既存のリチウムイオン二次電池での初期充電が完了した状態(満充電状態)を示す図である。図2(b)の状態からさらに初期充電を続けると、高い充放電電位を有する既存の正極活物質材料の充電が更に進行する。一方、負極においても同様に充電が進行する。実際には負極の可逆容量を少し多めにするが、わかりやすくするために模式的に可逆容量が釣り合うようにして示している。他の場合(図3(c))でも同様にして説明する。正負極双方の活物質が完全に充電されると、初期充電は完了する。上記したようにリチウム金属基準で4.5Vを超える高電位で充電する場合には、充電の進行と共に、LiOが結果として正極活物質材料中から放出され、不可逆容量(=初期ロス容量31a)部分が形成される。因みに、後述する実施例1で用いた固溶体の初期充電電気量(1回目充電量)は340mAh/g以上と高容量である反面、初期放電電気量は256mAh/g程度であり、初期充電時にLiOとして放出され不可逆容量(=初期ロス容量)部分は図示する程度の相当大きいものといえる。
図2(d)は、既存のリチウムイオン二次電池での初期放電が完了した状態を示す図である。次に初期充電が完了した電池の初期放電を開始すると、正極においては、理論容量31のうち、可逆容量に対応する分31bのみの放電が進行し、正極活物質の初期ロス容量31aに対応する負極側の初期ロス容量対応容量分33aの放電は行われない。
このように、固溶体系の高容量正極材料を使用すると、電池の充放電容量に寄与できない大量の負極材料が必要となる上、初期の充電に必要な電気量に比べて放電できる電気容量がかなり小さくなってしまい初期の充放電効率が低くなる。また、上記正極活物質の初期ロス容量31a及び対応する負極側の初期ロス容量対応容量分33aは、2サイクル目以降の充放電にも寄与し得ないため、電池の電気容量及びエネルギー密度を大きくできない問題があった。
一方、図3(a)は、本発明のリチウムイオン二次電池での電池作製直後(即ち、電池構成段階)の状態を示す図である。本発明では、図2に示す問題を解決するために、正極に充電状態の第二の活物質をあわせて使用することにより、初期の充電のみで使用される負極の容量を活用できるようにしたものである。なお、図2で説明したと同様に、当該電池電圧には極微量の不純物なども関与しているものと考えられる。即ち、図中の符号41のブロックは、図2の正極活物質と同じ固溶体系正極活物質材料を用いてなる第1の正極活物質の理論容量の大きさを示す。符号42のブロックは、第二の正極活物質の理論容量の大きさを示す。また、符号43のブロックは、図2と同様の負極活物質の理論容量の大きさを示す。
図3(b)は、本発明のリチウムイオン二次電池での初期充電の中間充電状態を示す図である。初期充電を開始すると、正極及び負極活物質の充電が進行する。特に正極では、第2の正極活物質は既に充電が完了した状態(満充電状態)となっているので、第1の正極活物質材料の充電が進行する。
図3(c)は、本発明のリチウムイオン二次電池での初期充電が完了した状態(満充電状態)を示す図である。図3(b)の状態からさらに初期充電を続けると、高い充放電電位を有する第1の正極活物質材料の充電が更に進行する。一方、負極においても同様に充電が進行する。正負極双方の活物質が完全に充電されると、初期充電は完了する。上記したようにリチウム金属基準で4.5Vを超える高電位で充電する場合には、充電の進行と共に、LiOが結果として正極活物質材料中から放出され、不可逆容量(=初期ロス容量41a)部分が形成される。
図3(d)は、本発明のリチウムイオン二次電池での初期放電の中間放電状態を示す図である。次に初期充電が完了した電池の初期放電を開始すると、正極においては、第1の正極活物質の理論容量41のうち、可逆容量に対応する分41bの放電が進行し、第1の正極活物質の初期ロス容量41aに対応する負極側の初期ロス容量対応容量分43aが残る。本発明では、第1の正極活物質の可逆容量分の他に、更に第2の正極活物質の容量分42が充電状態(可逆容量)で存在する。そのため、第1の正極活物質の初期ロス容量41aに対応する負極側の初期ロス容量対応容量43aを、電池構成段階で充電状態で加えられていた第2の正極活物質が引き受けて放電を継続することができる。
図3(e)は、本発明のリチウムイオン二次電池での初期放電が完了した状態を示す図である。図3(d)の状態からさらに初期充電を続けると、正極においては、第2の正極活物質の容量分42の放電が進行し、負極においては、正極活物質の初期ロス容量41aに対応する負極側の初期ロス容量対応容量分43aの放電が進行する。正負極双方の活物質の可逆容量分が完全に放電されると、初期放電は完了する。このように、本発明では、初期充放電効率の低い固溶体系の高容量正極材料を用いても、電池の充放電容量に寄与できない大量の負極材料が生じることなく活用でき、初期の充放電効率を高めることができる。また、第2回目以降の充放電時には、初期ロス容量分41aに変えて、第2の正極活物質の容量分42が有効活用できる。また第2回目以降の充放電では、初期ロス容量41aのような大きな不可逆容量分の形成が認められないことも判明した(図7の実施例1、5及び比較例1における第2回目の放電曲線を対比参照のこと。)。そのため、第2回目以降も高充放電効率を保持することができ、長期間にわたって電池の電気容量及びエネルギー密度向上を達成することができる。
また、図3では、正極においては、便宜的に第1の正極活物質と第2の正極活物質が順に充放電されていくように表しているが、実際の充放電では、第1の正極活物質と第2の正極活物質が平行して充放電されうるものであってもよい。
また、図3では、第1の正極活物質及び第2の正極活物質、更には負極活物質の初期放電が完全に行われるように表しているが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるわけではない。意図的に負極(活物質層)の容量(理論容量)と正極(活物質層)の容量(理論容量)が異なるように設計することもあり、そうした場合には、より大きな容量とされた電極側では一部未充電状態とされる場合もある。
尚、本発明では、従来のリチウムイオン電池に係る発明と同様に、電池を構成する段階=製品段階での状態を発明品として規定しており、わざわざ電池を構成する段階なる要件を加える必要性はないといえる。しかしながら、例えば、上記図2、3で説明したような初期の充放電を行った電池を製品(=発明品)とした場合、即ち、初期の充放電を行うことを発明の構成要件(製品製造段階)としている場合にも、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれるものであることを明確にするために、電池を構成する段階との要件を規定したものである。よって、上記したように本発明の同様の主要正極活物質の構成を具備する電池製造段階、あるいは電極製造段階において、初期の充放電を行うことを要件とするものについても、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれるものであることはいうまでもない。電極製造段階を含めたのは、図3で示す電池構成に変えて、例えば、負極側を適当な対象電極として、正極のみ本発明の構成電極として、初期の充放電を行うことによっても、図3で説明したと同様のメカニズムが正極側でなされるためである。従って、こうした正極を用いて電池を構成したものも本発明に含まれるものとする。この際の「電池を構成する段階」とは、初期の充放電を行う前の正極製造段階を指すことはいうまでもない。即ち、初期の充放電を行う前の正極製造段階において、第一の正極活物質が放電状態であり、第二の正極活物質が充電状態であればよい。よって、初期の充放電を行った後の正極を用いて組み立てられた電池(第2回目の充電前の状態)では、第一正極活物質及び第二の正極活物質のいずれも放電状態となっているものといえる。こうした電池も本発明の技術範囲に含まれるものである。
本発明では、主要正極活物質が2種類からなり、第1の正極活物質が、電池構成段階で放電状態であり、第2の正極活物質が電池構成段階で充電状態であればよい。好ましくは、第1の正極活物質としては、電池の電気容量及びエネルギー密度を高めることができるように、200mAh/gを超える大きな電気容量を持つ高容量材料として期待されている固溶体系正極材料を用いるのが望ましい。一方、第2の正極活物質としては、第1の正極活物質と異なる種類ものであって、電池構成段階で充電状態であるものならば特に制限されるものではなく、従来公知の各種正極活物質を幅広く利用することができる。好ましくは、第1の正極活物質、特に高容量の固溶体系正極材料のように初期充放電効率が低い材料でないものが望ましい。以下、本発明の特徴的な構成要件である主要正極活物質を中心に詳しく説明する。
(第1の正極活物質)
本発明に用いることのできる第1の正極活物質は、主要正極活物質の1種であって電池構成段階で放電状態である。好ましくは、上記したように電池の電気容量及びエネルギー密度を高めることができるように、200mAh/gを超える大きな電気容量を持つ高容量材料として期待されている固溶体系正極材料を用いるのが望ましい。具体的には、下記一般式
Figure 0005407117
(ここで、xは0<x<1であり、Mは平均酸化状態が3+の1つ以上の遷移金属で、Nは平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属である。)で表される、いわいる固溶体系の高容量正極材料が望ましい。一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表されるいわいる固溶体系の正極材料を用いるリチウムイオン電池において電池構成段階(電池作製時)にすでに充電状態にある第二の正極材料を合わせて正極活物質として用いることにより、負極の容量を有効活用でき、電池で容量が大きく、エネルギー密度に優れるリチウムイオン電池を構成できるためである。
ここで、上記式中のxは、0<x<1を満たす数であればよい。
また、上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体のうちの電気化学的に活性な、LiMOのMとしては、平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属であればよく、特に制限されるものではない。前記式中のMとしては、Mn、Ni、Co、Fe、V、Crから選ばれてなる1種類以上の元素であればよいが、好ましくは、Mn、Ni、CoおよびFeから選ばれてなる1種類以上の元素が望ましい。これらの遷移金属を用いる場合には、より高容量で、高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できるからである。
上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体のうちの電気化学的に不活性な、LiNOのNとしては、平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属であればよく、特に制限されるものではない。前記式中のNとしては、Mn、Zr、Tiから選ばれてなる1種類以上の元素であればよい。これらの遷移金属を用いる場合には、より高容量で、高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できるからである。
また、上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体の作製方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の作製方法を適宜利用して行うことができる。例えば、実施例に示すように、複合炭酸塩法を用い以下のように行うことができる。即ち、上記式中のM及びNに相当する金属元素の各硫酸金属塩、硝酸金属塩など、例えば、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを所定量秤量し、これらの混合溶液を調製して、これにアンモニア水をpH7になるまで滴下して、さらにNaCO溶液を滴下して、Ni−Co−Mnの複合炭酸塩(ただし、上記式中のM及びNの組み合わせにより当該M−Nの金属複合炭酸塩の種類は異なる)を沈殿させ、吸引ろ過後、水洗して、所定の温度、時間で(例えば、120℃にて5時間)乾燥する。これを所定の温度、時間で(例えば、500℃にて5時間)仮焼成する。これに小過剰のLiOH・HOを加えて、自動乳鉢で所定時間(例えば、30分間)混合した。このあと、所定の温度、時間で(例えば、900℃にて12時間)本焼成してから、液体窒素を用い急速冷却することで、上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体を作製することができる。なお、最後の液体窒素を用いた急速冷却は、特に必要ないが、かかる処理を行うことで、固溶体状態が非常に綺麗なものを作製することができる点で有用な処理操作と言えるものである。
なお、上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体の同定は、後述する実施例で行ったような、X線回折(XRD)、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析を用いて分析することができる。
(第2の正極活物質)
本発明に用いることのできる第2の正極活物質は、主要正極活物質の1種であって第1の正極活物質と異なる種類ものであって、電池構成段階で(電池製造時に)充電状態にあればよい。よって、従来公知の各種正極活物質を幅広く利用することができるものであり、特に制限されるものではないが、第1の正極活物質、特に高容量の固溶体系正極材料のように初期充放電効率が低い材料でないものが望ましい。
具体的には、第二の正極活物質は、電池を構成する段階での充電状態が、リチウム金属に対して5Vから2Vの電位範囲の放電により活物質内に吸蔵可能なリチウム全量に対して、リチウムを70%以上取り込める充電状態にあるものが望ましい。これは、正極活物質は、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵して正極活物質内部に取り込む。そのため満充電状態では正極活物質内のリチウムが実質的に100%放出され、リチウム吸蔵部位は空の状態(=リチウムを100%取り込める充電状態)になっている。逆に所定電位(2V)までほぼ完全に放電した状態では、正極活物質内のリチウム吸蔵部位にリチウムを吸蔵して(取り込んで)、ほぼ満充填状態(=それ以上、リチウムを取り込む余地がない放電状態)になっている。よって、上記に規定する要件を言い換えれば、第二の正極活物質は、電池構成段階での充電状態がリチウム金属に対して2Vから5Vの電位範囲の放電容量に対して70%以上の充電状態が好ましいといえる。電池構成段階(電池製造時)の充電状態が低すぎると本発明の効果が小さいためである。
従って、より好ましくはリチウムを85%以上、特に好ましくはリチウムを実質的に100%取り込める充電状態のもの、即ち、後述するように実質的にリチウムを含まないものが更に好ましい。換言すれば、リチウム金属に対して2Vから5Vの電位範囲の放電容量に対して、より好ましくは85%以上、特に好ましくは実質的に100%充電状態のものが更に好ましいともいえる。
また、第2の正極活物質として、充放電容量が大きいものは、作製するリチウムイオン電池のエネルギー密度を大きくできることから、実質的にリチウムを含まず、充放電容量が大きいものが特に望ましいものである。こうした充放電容量が大きく高い充電状態の第二の正極活物質を併用することで、より高容量で、高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できる点で優れている。
こうした観点から、上記電池構成段階で充電状態である第2の正極活物質は、実質的にリチウムを含まないことが望ましい。ここでいう、「実質的に」とは、第2の正極活物質全量に対して5質量%以下のリチウムの混入が許容されるものとする。但し、本発明の作用効果を損なうことのないものであれば、上記に規定する範囲を超えて実質的にリチウムを含む活物質材料を第2の正極活物質として用いてもよいことはいうまでもない。
こうした実質的にリチウムを含まない第二の正極活物質としては、特に制限されるものではないが、好ましくは、遷移金属の酸化物、リン酸化合物、硫酸化合物、タングステン酸化合物、モリブデン酸化合物およびバナジン酸化合物から選ばれる1種類以上のものからなるものが望ましい。リチウムを実質的に含まない効果的な第二の正極活物質となりうるためである。かかる第二の正極活物質を併せて使用することにより、高容量で、高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できる。
上記遷移金属の酸化物としては、特に制限されるものではなく、例えば、二酸化マンガン、五酸化バナジウムなどのバナジウム酸化物などを用いることができる。なかでも充放電容量も大きく、酸化還元電位も適切である二酸化マンガンは、好ましい第二正極活物質として用いることができる。二酸化マンガンを第二の正極活物質として使用することにより、より一層高容量で、高エネルギー密度のリチウムイオン電池を製造できる点で優れている。
上記リン酸化合物としては、特に制限されるものではなく、例えば、FePOなどを用いることができる。酸化還元電位が適切であるFe(SOは、好ましい第二正極活物質として用いることができる。
第2の正極活物質の含有量は、正極活物質全量に対して5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。第2の正極活物質の含有量が5質量%以上の場合には、第1の正極活物質との配合バランスに優れ、第1の正極活物質の初期ロス容量に見合う充電状態の第二の正極活物質による充電容量を確保することができる。その結果、電池容量に寄与しない負極活物質量をより一層低減でき、リチウムイオン電池の電気容量及びエネルギー密度を増加できる。また、第2正極活物質の含有量が50質量%以下の場合には、正極活物質の質量が大幅に増えないほか、高容量の第1の正極活物質を所定量確保することができ、第1の正極活物質との配合バランスに優れ、第一の正極活物質の初期の充放電効率が低くても、正極の単位質量当たりの蓄えられる電気量を大きくでき、高エネルギーの電池を提供できる点で優れている。
本発明では、正極活物質として、上記した充電状態と放電状態の2種類の主要正極活物質のいずれかに区分(分類)される。但し、必要に応じて他の正極活物質を含んでいてもよい。
以上が、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件に関する説明であり、他の構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件以外の他の構成要件に関し、図1を用いて説明した代表的なリチウムイオン電池の構成要件を中心に説明する。ただし、本発明は、がこれらに制限されるものではない。
[集電体(正極集電体及び負極集電体)]
正極集電体11及び負極集電体14としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができる。具体的には、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種類の集電体材料で構成された集電体を用いることができる。
正極集電体11及び負極集電体14の厚さは、特に限定されないが、いずれの集電体も通常は1〜100μm、好ましくは5〜20μm程度である。但し、上記範囲を外れる場合であっても、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、本発明の技術範囲に含まれるものである。
[電極(正極及び負極)]
正極(正極活物質層)12および負極(負極活物質層)15の構成は、上記した本発明の特徴的構成である主要正極活物質を用いているものであればよく、そのほかの構成に関しては、特に限定されず、公知の負極が適用可能である。
正極活物質は、本発明の特徴的構成である主要正極活物質を用いていればよく、該主要正極活物質に関しては既に説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
負極活物質としては、特に制限されるものではなく、電池の種類や使用用途に応じて適宜選択すればよい。通常リチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質なら何でもよい。具体的には、カーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物を好適に用いることができる。上記負極活物質材料であるカーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物としては、特に制限されるものではなく、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボンやハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)等の結晶性炭素材や非結晶性炭素材等のカーボン;リチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、さらにこれらに他の元素を添加したリチウム合金;リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)などのリチウム−移金属複合酸化物などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
物質それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。
正極(正極活物質層:片面)12の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm、好ましくは20〜300μm程度である。
負極(負極活物質層:片面)15の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm、好ましくは30〜200μm程度である。
正極(正極活物質層:片面)12及び負極(負極活物質層)15は、いずれも通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティングおよび溶射のいずれかの方法によっても形成することができる。
電極(正極12および負極15)は、電子伝導性を高めるための導電助材、バインダ、リチウム塩を含む電解質(全固体ポリマー、ゲル、電解液など)が含まれ得る。
上記導電助材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。導電助剤を含ませることによって、電極で発生した電子の伝導性を高めて、電池性能を向上させることができる。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム、ポリイミドなどが挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
全固体ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、それらの共重合体などのリチウム塩を含むイオン伝導性高分子(固体高分子電解質)などが挙げられる。
電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどから選ばれる非水溶媒が用いられるが、これらに限られるわけではない。また、種々の添加剤が用いられてもよい。
ゲル電解質は、PEOやPVdFなどのマトリックスポリマーに前述の電解液を含ませたものなどが利用できるがこれらに限られるわけではない。
使用されるリチウム塩は、電池の種類に応じて選択すればよい。電解質支持塩(リチウム塩)としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
活物質、導電助材、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、電解質支持塩(リチウム塩)などの電極の構成材料の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定することが好ましい。
[電解質層]
電解質層としては、具体的には、従来公知の材料として、(a)高分子ゲル電解質(ゲルポリマー電解質)、(b)全固体高分子電解質(高分子固体電解質、無機固体型電解質)、(c)液体電解質(電解液)または(d)これら電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータや、ポリエチレンやポリプロピレンの微多孔膜セパレータを含む)を用いることができる。
(a)ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)
ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)とは、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させたものをいう。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、導電性高分子膜などの集電体層への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。
高分子ゲル電解質として用いるポリマーマトリックス(高分子)ないしゲル電解質のホストポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が望ましく、中でもPEO、PPOおよびそれらの共重合体、あるいは、PVdF−HFPを用いることが望ましい。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。かかる電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものであり、電解質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種が、溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびそれらの混合物が望ましい。
本発明におけるゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本発明では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
(b)全固体型電解質(全固体高分子電解質、高分子固体電解質、無機固体型電解質)
電解質として全固体型電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体層への電解質の流出がなくなり各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる点で優れている。
全固体高分子電解質としては、例えば、PEO、PPO、これらの共重合体などの公知の固体高分子電解質、セラミックなどのイオン伝導性を持つ無機固体型電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。
(c)液体電解質(電解液)
電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものが挙げられる。ここで、電解質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種が、溶媒としては、EC、PC、GBL、DMC、DECおよびそれらの混合物が望ましい。
(d)上記電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータ、ポリエチレンやポリプロピレンの微多孔膜セパレータを含む)
セパレータに含浸させることのできる電解質としては、既に説明した(a)〜(c)と同様のものを用いることができる。
上記セパレータとしては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーからなる多孔性シートおよび不織布を挙げることができる。
多孔性シートとしては、例えば、微多孔質セパレータを用いることができる。該ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。上記セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできないが、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。上記セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その空孔率は20〜80%であることが望ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
[シール部]
シール部(周辺絶縁層とも称されている)は、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止するために単電池層の周辺部に配置されている(図1では、図示せず)。シール部としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
[タブ(正極タブおよび負極タブ)]
電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に電気的に接続されたタブ(正極タブ18および負極タブ19)が電池外装材の外部に取り出されている。具体的には、図1に示すように各正極集電体11に電気的に接続された正極タブ18と各負極集電体14に電気的に接続された負極タブ19とが、電池外装材22であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブ(正極タブ18および負極タブ19)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、ニッケルなどが好ましい。
[正極および負極端子リード]
正極端子リード20および負極端子リード21に関しても、必要に応じて使用する。例えば、各集電体11、14から出力電極端子となる正極タブ18及び負極タブ19を直接取り出す場合には、正極端子リード20および負極端子リード21は用いなくてもよい。
正極端子リード20および負極端子リード21の材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材22から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材22としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができほか、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた発電要素(電池要素)を覆うことができる袋状のケースを用いることができる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。
[リチウムイオン電池の外観構成]
図4は、本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な(非双極型の)リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図4に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)57は、正極タブ58及び負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)57は、先に説明した図1に示す非双極型のリチウムイオン二次電池10の発電要素(電池要素)17に相当するものであり、正極(正極活物質層)12、電解質層13および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)16が複数積層されたものである。
なお、本発明のリチウムイオン電池は、図1に示すような積層型の扁平な形状のものに制限されるものではなく、巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図4に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではなく、正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図4に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
本発明のリチウムイオン電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
[組電池]
本発明の組電池は、本発明のリチウムイオン電池を複数個接続して構成したものである。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本発明の組電池では、本発明の非双極型リチウムイオン電池と双極型リチウムイオン電池を用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
また、図5は、本発明に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図5Aは組電池の平面図であり、図5Bは組電池の正面図であり、図5Cは組電池の側面図である。
図5に示すように、本発明に係る組電池300は、本発明のリチウムイオン電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することもできる。図5Aは、組電池の平面図、図5Aは正面図、図5Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型ないし双極型のリチウムイオン電池を接続して組電池250を作成するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本発明の車両は、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本発明では、高容量で高エネルギー密度の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図6は、本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。
図6に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。本発明の組電池を搭載した車両としては、図4に示すような電気自動車のほか、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに幅広く適用できるものである。
[リチウムイオン電池の製造方法]
次に、本発明のリチウムイオン電池の製造方法としては、上記にて説明した第1の正極活物質として好適な固溶体系正極材料の製造方法以外は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用して作製することができる。
よって、以下では、上記にて説明した固溶体系正極材料の製造方法以外の本発明のリチウムイオン電池の製造方法につき説明する。ただし、本発明の製造方法は、これらに何ら制限されるものでない。
電解質が電解液の電池の作製は、活物質や導電助材などの電極材料を含む電極スラリーを集電体両面に塗布(コーティング)して作製した正極と負極から、少し負極を大きくして切り出し、それぞれを90℃の真空乾燥機にて1日乾燥して用いた。正極と負極の間に、適当な厚さ(例えば、25μm程度)のポリプロピレン等の多孔質膜を介して最外側が負極になるようにして正極と負極を交互に積層して、各正極と負極を束ねてリードを溶接して、この積層体を正負極のリードを取り出した構造にて、アルミニウムのラミネートフィルムバックに収めて、注液機により電解液を注液して、減圧下シールをして電池とする。
電解質が電解液の電池の他、電解質がゲルの電池、全固体ポリマーの電池、及びここで挙げた電解質を用いた双極電池の作製は、公知になった我々の技術により実施できるのでここでは省略する。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
1.電極材料
まず、電池構成段階で放電状態の第一正極活物質の固溶体正極材料の合成は、複合炭酸塩法を用い以下のように行った。硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを所定量秤量し、これらの混合溶液を調製した。この混合溶液にアンモニア水をpH7になるまで滴下して、さらにNaCO溶液を滴下してNi−Co−Mnの複合炭酸塩を沈殿させ、吸引ろ過後、水洗して、120℃にて5時間乾燥した。これを500℃にて5時間仮焼成した。これに小過剰のLiOH・HOを加えて、自動乳鉢で30分間混合した。このあと900℃にて12時間本焼成してから、液体窒素を用い急速冷却した。これにより、下記表1に示す実施例1〜4及び比較例1で用いた固溶体正極材料と、実施例5及び比較例2で用いた固溶体正極材料とをそれぞれ合成した。
電池構成段階で充電状態の第二正極活物質のγ−二酸化マンガンは、電解二酸化マンガンを大気下、400℃にて6時間加熱乾燥したものを実施例1〜3及び5で用いた。また、電池構成段階で充電状態の別の第二正極活物質の無水硫酸第二鉄(Fe(SO)は、文献の方法に従って合成したものを実施例4で用いた(J.Power Soures, 26 (1987) 403.)。
負極活物質には平均粒子径20μmの黒鉛を用いた。バインダには、PVdFを用い、導電助材としてアセチレンブラックを用いた。正極集電体には、厚さ20μmのアルミ箔を用い、負極集電体には厚さ15μmの銅箔を用いた。電解液としては、1M LiPF EC:DEC(3:7(体積比))(ここで、ECはエチレンカーボネー、DECはジエチルカーボネートである。)を用いた。
2.電極の作製
正極の作製は、各実施例及び比較例ごとに、第一の正極活物質と第二の正極活物質を表1に示した組成比に従って混合して用いた。電極組成比が正極活物質(実施例は第一の正極活物質+第二の正極活物質の全量、比較例は第一の正極活物質のみ):アセチレンブラック:PVdF=86:7:7(質量比)になるようにして、これに適量のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を加えてホモジナイザーにてよく撹拌・混合した。その後、ダイコーターを用いてこのスラリーをアルミ箔に一定量塗布して乾燥した。このようにしてアルミ箔の両面に正極(正極活物質層)を形成して、ロールプレスにてプレスをかけて、正極活物質層部分が50mm×100mmになるように、しかも正極活物質層がないリード部分を残して切り出した。単位面積あたりの活物質量は、黒鉛負極の活物質密度に対して表1の比になるよう、塗工を繰り返して調節した。
負極の作製では、黒鉛(負極活物質)とアセチレンブラックとPVdFの質量比を88:4:8とした。ホモジナイザイーの容器に、負極活物質とPVdFと適量のNMPを加えてよく撹拌・混合してスラリーを調製した。このスラリーをダイコーターを用いて、銅箔上に塗布して乾燥した。正極と同様に銅箔の両面に負極(負極活物質層)を形成して、プレスをかけて、負極活物質層部分が55mm×105mmになるように、しかも負極活物質層がないリード部分を残して切り出した。負極活物質層(銅箔集電体の片面の負極活物質層)の厚さは、出来上り時点で、80μmだった。
3.電池の作製
上記で切り出した正極と負極それぞれを90℃の真空乾燥機にて1日乾燥して用いた。正極と負極の間に、厚さ25μmのポリプロピレンの多孔質膜を介して最外側が負極になるようにして5枚の正極と7枚の負極を交互に積層して、各正極と負極を束ねてリードを溶接して、この積層体を正負極のリードを取り出した構造にて、アルミニウムのラミネートフィルムバックに収めて、注液機により電解液を注液して、減圧下シールをして電池とした。なお、この時点でのシールは仮のシールであり、充放電後開封して再度シールできる構造となっている。
このようにして、実施例1〜3の電池は、固溶体0.3LiMnO・0.7LiMn0.5Ni0.5を第一の正極活物質とし、二酸化マンガンを第二正極活物質として作製した。比較例1の電池は、第一正極活物質を実施例1〜3と同じにして、第二正極活物質を用いずに電池を作製した。実施例4の電池は、第一正極活物質を実施例1〜3と同じにして、第二正極活物質を無水硫酸第二鉄として電池を作製した。また、実施例5の電池は、第一正極活物質として、固溶体0.3LiMnO・0.7LiMn0.33Ni0.33Co0.33を用いて、第二正極活物質として二酸化マンガンを用いて電池を作製した。比較例2の電池は、第一正極活物質を実施例5と同じにして、第二正極活物質を用いずに電池を作製した。各実施例及び比較例の電池の電極構成の概要を表1に示す。
4.電極の評価
電池の評価は、温度45℃の高温槽中で行った。0.125Aにて、電圧範囲を2V〜4.6Vとして定電流にて行った。本発明の効果を説明するため、第二回目の放電曲線を図7に示した。図7では、比較例1の電池と実施例1と実施例5の電池の放電曲線が比べられている。比較例1に比べて第二正極活物質として二酸化マンガンを用いた実施例1の電池の放電容量が増加しているのがわかる。また、第二正極活物質として無水硫酸第二鉄(Fe(SO)を用いた実施例5でも同様に放電容量が増加しているのがわかる。
作製した電池の評価結果まとめて表1に示した。表1には、電池の放電容量のみでなく、放電曲線をもとに算出した電池のエネルギー密度の比を示している。表1の電池容量比は、比較例1の電池の第二回目の放電容量を1としたときの、実施例1〜4の各電池の第二回目の放電容量の比率をそれぞれ示している。同様に比較例2の電池の第二回目の放電容量を1としたときの、実施例5の電池の第二回目の放電容量の比率を示している。表1の電池のエネルギー密度比も、比較例1の電池の第二回目の放電曲線から算出した電池のエネルギー密度を1としたときの、実施例1〜4の各電池の第二回目の放電曲線から算出した電池のエネルギー密度の比率をそれぞれ示している。同様に比較例2の電池の第二回目の放電曲線から算出した電池のエネルギー密度を1としたときの、実施例5の電池の第二回目の放電曲線から算出した電池のエネルギー密度の比率を示している。
Figure 0005407117
表1中の固溶体1は、固溶体0.3LiMnO・0.7LiMn0.5Ni0.5を表すものである。
表1中の固溶体2は、固溶体0.3LiMnO・0.7LiMn0.33Ni0.33Co0.33(=0.3LiMnO・0.7LiMn1/3Ni1/3Co1/3)を表すものである。
上記表1から解るように電池作成段階で充電状態の第二正極活物質を用いることで、初期充放電効率がかなり悪い高容量の固溶体系正極活物質を用いても、負極(活物質容量)を無駄にすることなく電池電気量及びエネルギー密度に優れた電池を構成できることがわかる。
更に、本発明のリチウムイオン電池を用いて、電動車両を構成すると、電池のエネルギー密度が高いので、電気自動車の航続距離を拡張でき、プラグインハイブリッド電気自動車の積載電池量を削減でき、ハイブリッド電気自動車の更なる高性能化が可能となる。その結果、電動車両の普及を促進できることが期待され、環境・エネルギー問題に寄与すること大である。
本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 正極活物質として電池構成段階で放電状態にある固溶体系正極を高容量正極材料として使用した場合の既存のリチウムイオン二次電池における充放電メカニズムを説明するための模式図である。 正極活物質として、電池構成段階で放電状態にある固溶体系の第1の正極活物質と、電池構成段階で放電状態にある第2の正極活物質の2種類を使用した本発明のリチウムイオン電池における充放電メカニズムを説明するための模式図である。 本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る組電池の代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。 本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。 実施例1、実施例5及び比較例1の電池の第2回目の放電曲線を表すグラフである。
符号の説明
10 リチウムイオン電池、
11 正極集電体、
12 正極(正極活物質層)、
13 電解質層、
14 負極集電体、
14a 最外層負極集電体、
15 負極(負極活物質層)、
16 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
17、57 発電要素(電池要素;積層体)、
18、58 正極タブ、
19、59 負極タブ、
20 正極端子リード、
21 負極端子リード、
22、52 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
31 固溶体系の正極活物質の理論容量の大きさを表すブロック、
31a 正極活物質の初期ロス容量、
31b 正極活物質の初期の可逆容量、
33、43 負極活物質材料の理論容量の大きさを表すブロック、
33a 正極活物質の初期ロス容量に対応する負極側の初期ロス容量対応容量分、
41 第1の正極活物質の理論容量の大きさを表すブロック、
41a 第1の正極活物質の初期ロス容量、
41b 第1の正極活物質の初期の可逆容量、
42 第二の正極活物質の理論容量の大きさを表すブロック、
43a 第1の正極活物質の初期ロス容量に対応する負極側の初期ロス容量対応容量、
50 リチウムイオン電池、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車、
P 正極の電位を表す直線、
N 負極の電位を表す直線。

Claims (7)

  1. リチウムイオン電池において、主要正極活物質が2種類からなり、
    前記主要正極活物質の1種である第一の正極活物質が、電池を構成する段階で放電状態であり、
    前記主要正極活物質の1種である第二の正極活物質が、電池を構成する段階で充電状態であり、
    前記第一の正極活物質が、下記一般式
    Figure 0005407117
    (ここで、xは0<x<1であり、Mは平均酸化状態が3の1つ以上の遷移金属で、Nは平均酸化状態が4である1つ以上の遷移金属である。)であり、
    前記第二の正極活物質は、電池を構成する段階での充電状態が、リチウム金属に対して5Vから2Vの電位範囲の放電により吸蔵可能なリチウム全量に対して、リチウムを70%以上取り込める充電状態にあり、
    負極活物質が、カーボンであることを特徴とするリチウムイオン電池。
  2. 前記Mは、Mn、Ni、CoおよびFeから選ばれる1種類以上の元素であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記Nは、Mn、ZrおよびTiから選ばれる1種類以上の元素であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池。
  4. 前記電池を構成する段階で充電状態である前記第二の正極活物質が、実質的にリチウムを含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  5. 前記第二の正極活物質が、遷移金属の酸化物、リン酸化合物、硫酸化合物、タングステン酸化合物、モリブデン酸化合物およびバナジン酸化合物から選ばれる1種類以上のものからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  6. 前記遷移金属の酸化物が、二酸化マンガンであることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池。
  7. 前記硫酸化合物が、Fe(SOであることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池。
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