JP5256816B2 - リチウムイオン電池用正極材料 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用正極材料およびその製造方法、並びに該リチウムイオン電池用正極材料を用いたリチウムイオン電池に関する。本発明のリチウムイオン電池用正極材料及びこれを用いたリチウムイオン電池は、例えば、電気自動車、燃料電池車及びハイブリッド電気自動車等のモータ等の駆動用電源として用いられる。
近年、環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の実用化の鍵を握るモータ駆動用電源などの車載電源として、二次電池の開発が鋭意行われている。しかしながら、広く普及するためには電池を高性能にして、より安くする必要がある。また、電気自動車については、一充電走行距離をガソリンエンジン車に近づける必要があり、より高エネルギーの電池が望まれている。
電池を高エネルギー密度にするためには、正極と負極の単位質量あたりの蓄えられる電気量を大きくする必要がある。この要請に応えられる可能性のある正極材料として、いわいる固溶体系正極が検討されている。なかでも、電気化学的に不活性の層状のLiMnOと、電気化学的に活性な層状のLiMO(ここでMは、Co、Niなどの遷移金属)との固溶体は、200mAh/gを超える大きな電気容量を示しうる高容量正極候補材料として期待されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−55211号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の高容量正極候補材料であるLiMnOを用いた固溶体系の正極では、放電容量は大きいものの、充放電電位を高くして使用すると、サイクル特性が悪く充放電の繰り返しで容易に劣化してしまうという問題があった。そのため、こうした固溶体系の正極を高容量正極として用いたリチウムイオン電池でも、高容量使用条件でのサイクル耐久性が悪く、高電位にして充放電を行うとすぐに劣化してしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、高容量でかつ高電位での充放電での劣化を抑制したリチウムイオン電池用正極材料、およびこれを用いてなるリチウムイオン電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、下記の知見を得ることで、本発明を完成するに至ったものである。即ち、正極の主要な活物質として高容量正極候補材料を酸化処理、更に詳しくは電極を形成して所定の電位を越えない電位範囲で充放電することにより、高容量使用条件でのサイクル耐久性を改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、一般式
で表されるリチウムイオン電池用正極材料において、酸化処理が施されていることを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料により達成することができる。ここで、上記一般式中のxは、0<x<1を満たす数であり、Mは、平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属であり、Nは、平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属である。
本発明のリチウムイオン電池用正極材料およびこれを用いたリチウムイオン電池では、LiMnO電気化学的不活性な層状のリチウム複合酸化物との固溶体正極の高電圧での高容量充放電でのサイクル特性が大幅に向上する。その結果、サイクル耐久性がよい高エネルギーのリチウムイオン電池を製造することができる。
本発明リチウムイオン電池用正極材料は、一般式
で表されるリチウムイオン電池用正極材料において、酸化処理が施されていることを特徴とするものである。ここで、上記一般式中のxは、0<x<1を満たす数であり、Mは、平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属であり、Nは、平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属である。また、本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用正極材料を正極の主要な活物質として用いてなることを特徴とするものである。
このような一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される、いわいる固溶体系の正極材料は、高容量材料として期待されるが、高容量を発現させるような高電位まで充電して使用すると、充放電での劣化が早いという問題点があった。これに対して、その効果のメカニズムはまだよくわからないが、酸化処理をすると当該問題点が大幅に改善されることを見出したものである。その結果、本発明の固溶体系の正極材料では、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン電池用正極材料を提供することができるものである。さらに、本発明のリチウムイオン電池では、本発明の固溶体系の正極材料を正極の主要な活物質として用いることにより、高エネルギー密度で、サイクル耐久性のよい電池を構成できる点で優れている。
即ち、本発明により懸案の高容量でのサイクル耐久性を大幅に改善できるようになったものである。本発明のサイクル劣化メカニズムはまだ確定できないものの、次のように考えている。初期の充電曲線に見られるプラトーの部分(後述する実施例の図を参照のこと)は、まだ明確に理解されているとはいえないが、一説によれば固溶体正極結晶内の酸素のジアニオンが酸化されるとともに、リチウムイオンが放出されるプロセスと考えられている。この反応が起こると結晶構造の大幅な変化が起こるため、その結果としてその後の充放電サイクル劣化が起こってしまうと推察される。本発明は、この結晶構造の大幅な変化を最初から引き起こすことなく、より低い電位領域で充電、充放電、充電に対応する酸化剤での酸化、レドックスメディエーターを用いての酸化などの酸化処理により構成元素のより安定配置、安定構造への穏やかな移行が進行する。かかる穏やかな移行により、さらに電圧を上げて、上記のプラトー領域を経て充電を行っても既に、構造的に安定化が済んでいるため、高容量を発現できる高電位領域を含めた充放電のサイクルに耐えられるようになるのではないかと考えている。別の考えとしては、所定の電位以下で酸化処理(充電などの)を行うことで、負極の表面保護被膜(SEI)に対応する被膜が正極活物質表面に形成される。該被膜が形成されることにより、活物質粒子表面で、上記の初期充電曲線のプラトー領域の構成元素の移動が激しい状態でも表面がこの安定被膜により、保護あるいは固定されることにより安定化すると考えることもできる。本発明(の酸化処理)は、正極活物質粉体の状態での適用、電極を構成しても適用、負極とあわせて電池を組んでからの適用でもよい。電池への適用に際しては、組み合わせる負極の電気容量の電位プロファイルを考えて、本発明の適用条件(酸化処理条件)を適用することによって実施できる。
以下、図面を参照しながら、本発明のリチウムイオン電池用正極材料及びこれを用いてなるリチウムイオン電池の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、高容量とできることから、車両の駆動電源用等として好適に利用できるほか、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
すなわち、本発明の対象となるリチウムイオン二次電池は、上記した本発明のリチウムイオン電池用正極材料を正極の主要な活物質として用いてなるものであればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン二次電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。
また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、上述した(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。
リチウムイオン二次電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
また、積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
したがって、以下の説明では、本発明の正極材料を用いてなる(内部並列接続タイプ)リチウムイオン二次電池及び双極型(内部直列接続タイプ)のリチウムイオン二次電池につき図面を用いてごく簡単に説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である、扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に非双極型リチウムイオン二次電池、または非双極型二次電池ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態の非双極型リチウムイオン二次電池10では、電池外装材22に高分子−金属を複合したラミネートフィルムを用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素(電池要素)17を収納し密封した構成を有している。ここで発電要素17は、正極集電体11の両面に正極(正極活物質層)12が形成された正極板、電解質層13、および負極集電体14の両面(発電要素の最下層および最上層用は片面)に負極(負極活物質層)15が形成された負極板を積層した構成を有している。この際、一の正極板片面の正極(正極活物質層)12と前記一の正極板に隣接する一の負極板片面の負極(負極活物質層)15とが電解質層13を介して向き合うようにして、正極板、電解質層13、負極板の順に複数積層されている。
これにより、隣接する正極(正極活物質層)12、電解質層13、および負極(負極活物質層)15は、一つの単電池層16を構成する。従って、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素(電池要素;積層体)17の両最外層に位置する最外層正極集電体11aには、いずれも片面のみに正極(正極活物質層)12が形成されている。なお、図1と正極板と負極板の配置を変えることで、発電要素(電池要素)17の両最外層に最外層負極集電体(図示せず)が位置するようにし、該最外層負極集電体の場合にも片面のみに負極(負極活物質層)15が形成されているようにしてもよい。
また、上記の各電極板(正極板及び負極板)と導通される正極タブ18および負極タブ19が、正極端子リード20および負極端子リード21を介して各電極板の正極集電体11及び負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられている。これにより、正極集電体11及び負極集電体14に電気的に接続された正極タブ18および負極タブ19は、上記熱融着部に挟まれて上記の電池外装材22の外部に露出される構造を有している。
図2は、本発明のリチウムイオン電池の他の代表的な一実施形態である双極型の扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に双極型リチウムイオン二次電池、または双極型二次電池とも称する)の全体構造を模式的に表わした概略断面図である。
図2に示すように、本実施形態の双極型リチウムイオン二次電池30は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素(電池要素)37が、電池外装材42の内部に封止された構造を有する。図2に示すように、本実施形態の双極型二次電池30の発電要素37は、1枚または2枚以上で構成される双極型電極34で電解質層35を挟み、隣合う双極型電極34の正極(正極活物質層)32と負極(負極活物質層)33とが対向するようになっている。ここで、双極型電極34は、集電体31の片面に正極(正極活物質層)32を設け、もう一方の面に負極(負極活物質層)33を設けた構造を有している。即ち、双極型二次電池30では、集電体31の片方の面上に正極(正極活物質層)32を有し、他方の面上に負極(負極活物質層)33を有する双極型電極34を、電解質層35を介して複数枚積層した構造の発電要素(電池要素)37を具備してなるものである。
隣接する正極(正極活物質層)32、電解質層35および負極(負極活物質層)33は、一つの単電池層(=電池単位ないし単セル)36を構成する。従って、双極型二次電池30は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層35からの電解液の漏れによる液絡を防止するために単電池層36の周辺部にはシール部(絶縁層)43が配置されている。該シール部(絶縁層)43を設けることで隣接する集電体31間を絶縁し、隣接する電極(正極32及び負極33)間の接触による短絡を防止することもできる。
なお、発電要素(電池要素)37の最外層に位置する正極側電極34a及び負極側電極34bは、双極型電極構造でなくてもよい。例えば、集電体31a、31b(または端子板)に必要な片面のみの正極(正極活物質層)32または負極(負極活物質層)33を配置した構造としてもよい。発電要素(電池要素)37の最外層に位置する正極側の最外層集電体31aには、片面のみに正極(正極活物質層)32が形成されているようにしてもよい。同様に、発電要素(電池要素)37の最外層に位置する負極側の最外層集電体31bには、片面のみに負極(負極活物質層)33が形成されているようにしてもよい。また、双極型リチウムイオン二次電池30では、上下両端の正極側最外層集電体31a及び負極側最外層集電体31bにそれぞれ正極タブ38および負極タブ39が、必要に応じて正極端子リード40及び負極端子リード41を介して接合されている。但し、正極側最外層集電体31aが延長されて正極タブ38とされ、電池外装材42であるラミネートシートから導出されていてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bが延長されて負極タブ39とされ、同様に電池外装材42であるラミネートシートから導出される構造としてもよい。
また、双極型リチウムイオン二次電池30でも、発電要素(電池要素;積層体)37部分を電池外装材(外装パッケージ)42に減圧封入し、正極タブ38及び負極タブ39を電池外装材42の外部に取り出した構造とするのがよい。かかる構造とすることで、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止することができるためである。この双極型リチウムイオン二次電池30の基本構成は、複数積層した単電池層(単セル)36が直列に接続された構成ともいえるものである。
上記した通り、非双極型リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池の各構成要件および製造方法に関しては、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)が異なることを除いては、基本的には同様である。よって、上記した非双極型リチウムイオン二次電池の各構成要件を中心に、以下説明するが、双極型リチウムイオン二次電池の各構成要件および製造方法に関しても、同様の構成要件及び製造方法を適宜利用して構成ないし製造することができることは言うまでもない。また、本発明の非双極型リチウムイオン二次電池および/または双極型リチウムイオン二次電池を用いて、組電池や車両を構成することもできる。
まず、本発明では、その特徴的な構成として、前記正極(正極活物質層)の主要な活物質として、一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される、いわいる固溶体系のリチウムイオン電池用正極材料において、酸化処理が施されていることを特徴とする。
ここで、上記式中のxは、0<x<1を満たす数であればよい。
また、上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体のうちの電気化学的に活性な、LiMOのMとしては、平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属であればよく、特に制限されるものではない。前記式中のMとしては、Mn、Ni、Co、Fe、V、Crから選ばれてなる1種類以上の元素であればよいが、好ましくは、Mn、Ni、CoおよびFeから選ばれてなる1種類以上の元素が望ましい。これらの遷移金属を用いる場合には、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン電池用正極を製造できるからである。
上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体のうちの電気化学的に不活性な、LiNOのNとしては、平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属であればよく、特に制限されるものではない。前記式中のNとしては、Mn、Zr、Ti、から選ばれてなる1種類以上の元素であればよい。これらの遷移金属を用いる場合には、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン電池用正極を製造できるからである。
本発明のリチウムイオン電池用正極材料では、上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体の正極材料において、酸化処理が施されているものである。かかる酸化処理としては、特に制限されるものではない。例えば、
(1)所定の電位範囲での充電あるいは、充放電、詳しくは上記した本発明のサイクル耐久性メカニズムの中で説明したように固溶体正極結晶構造の大幅な変化を最初から引き起こすことのない低い電位領域での充電あるいは充放電;
(2)充電に対応する酸化剤(例えば、臭素、塩素などのハロゲン)での酸化;
(3)レドックスメディエーターを用いての酸化;
などの酸化処理を挙げることができる。
ここで、上記(1)の酸化処理方法に関しては、後述する本発明のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法において、詳しく説明するので、ここでの説明は省略する。
また、上記(2)の酸化処理方法で用いられる酸化剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、臭素、塩素などのハロゲンなどを用いることができる。これらの酸化剤は単独であるいは併用で使用しても良い。酸化剤による酸化は、例えば、固溶体が溶解しない溶媒に固溶体微粒子を分散させて、その分散溶液に酸化剤を吹き込んで溶解させて徐々に酸化させることができる。
さらに上記(3)の酸化処理方法で用いられるレドックスメディエーター(電子伝達剤)としては、適度な酸化還元ポテンシャルや電子移動性を有し、ラジカルを形成する化合物、あるいは電子を受容又は供与する電気化学的に活性な任意化合物とすることができる。レドックスメディエーターとしては、例えば、トリフェニルアミンのパラ位がブロックされて安定化した一連の誘導体を用いることができる。中でもパラ位、及びもしくはメタ位の水素が臭素などのハロゲンで置換されたものが好ましく使用できる。これらは、置換基の位置、種類、数により酸化還元電位を微妙に制御できるので好ましく使用できる。このほか、適当な酸化還元電位をもって安定な各種遷移金属錯体も好ましく使用できる。この例としては、ルテニウムやオスミウムなどの2,2’−ビピリジン及びその誘導体の錯体がある。その他、いわいるリチウムイオン電池の過充電を防止するためのレドックスシャトルとして使用できるもので、適当な酸化還元電位をもつものは好適に使用できる。これらのレドックスメディエーターは単独であるいは併用で使用しても良い。酸化還元電位の低いものから段階的に高いものへと段階的に使用してもよい。更に、酸化還元電位の高いものをもちいて反応量を確実に制御しながら段階的に酸化していくことも有効である。これを逆に使用して還元して、電池電極の放電に対応するプロセスを入れたり、充電(酸化)と放電(還元)に対応するプロセスを繰り返して行うことも好適である。レドックスメディエーターを用いての酸化は、例えば、作用極に白金網を用い、イオン導電性の隔膜で隔てられた対極と、必要に応じて参照電極を用いて、次のように行うことができる。即ち、レドックスメディエーターを溶解させた電解液中に固溶体を分散させて、作用極の電位を参照電極に対して制御しながらレドックスメディエーターを電極酸化して、それを用いて固溶体系の正極材料を酸化させることができる。
次に、本発明のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法としては、特に制限されるものではないが、好ましくは酸化処理が、所定の電位範囲での充電あるいは、充放電であることを特徴とするものが望ましい。すなわち、本発明の固溶体系正極材料の有効な酸化処理方法として、電池を構成した状態、または電極または電極相当の構成にて、所定の最高電位を超えないようにして、充電あるいは、充放電をすることが有効である。これにより、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン電池用正極、及び高エネルギー密度の電池を製造できるためである。
好ましくは、所定の電位範囲の最高の電位が、リチウム金属対極に対して3.9V以上4.6V未満、より好ましくは4.4V以上4.6V未満となる条件下で充放電を1〜30サイクル行うことが望ましい。すなわち、充放電の上限電位として、リチウム金属またはリチウム金属に換算した電位で、3.9V以上4.6V未満で、より好ましくは4.4V以上4.6V未満で、充放電を行えばよく、充放電の必要なサイクル回数は、1回から30回が効果的に適用できる。上記範囲内で充放電による酸化処理を行うことにより、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン電池用正極、及び高エネルギー密度の電池を製造できる点で優れている(詳しくは、後述する実施例を参照のこと)。特に、後述する実施例に示すように、上記酸化処理後に高容量とすべく、最高の電位を4.8V程度として充電あるいは充放電を行う場合に、特に顕著なサイクル耐久性等の効果を有効に発現することができるものである。更に、この場合には初期の所定上限電位にての充放電のあと、上限電位を徐々に(段階的に)上げていくことが耐久性向上に好ましい。
上記したように、本発明では、上記所定の電位範囲の最高の電位を、リチウム金属対極に対して4.4V以上4.6V未満となる条件下で充放電を1〜30サイクル行ったあとさらに、充放電の所定の電位範囲の最高の電位を段階的に上げていくのが望ましい。特に、4.7V、4.8Vvs.Liという高電位の容量分まで使用(高容量使用)する場合において、上記の如く酸化処理での充放電電位の最高電位を段階的に上げていくことで、短時間の酸化処理でも電極の耐久性を改善することができる点で優れている(後述する実施例参照のこと)。
ここで、充放電の所定の電位範囲の最高電位(上限電位)を段階的に上げていく際の各段階ごとの充放電に必要なサイクル回数は、1回から10回の範囲内が効果的である。但し、上記範囲に制限されるものではなく、上記効果を奏することができるものであれば、より多くのサイクル回数であってもよい。また、充放電の所定の電位範囲の最高電位(上限電位)を段階的に上げていく際の酸化処理工程を通じた充放電サイクル回数(各段階ごとの充放電に必要なサイクル回数を足し合わせた回数)は、4回〜20回の範囲内が効果的である。但し、上記範囲に制限されるものではなく、上記効果を奏することができるものであれば、より多くのサイクル回数であってもよいし、より少ないサイクル回数であってもよい。
また、充放電の所定の電位範囲の最高電位(上限電位)を段階的に上げていく際の各回の電位の上げ幅(上げ代)は、0.05V〜0.1Vが効果的である。但し、上記範囲に制限されるものではなく、上記効果を奏することができるものであれば、より大きな電位の上げ幅(上げ代)で行ってもよいし、より小さな電位の上げ幅(上げ代)で行ってもよい。
充放電の所定の電位範囲の最高電位(上限電位)を段階的に上げていく際の最終的な最高電位(終止最高電位)は、4.6V〜4.9Vとするのが効果的である。但し、上記範囲に制限されるものではなく、上記効果を奏することができるものであれば、より高い終止最高電位まで酸化処理を行ってもよい。
ただし、本発明では、上記した所定の電位範囲での充電を行うだけでもよい。この際の所定の電位範囲の最高の電位に関しても、上記したようにリチウム金属対極に対して3.9V以上4.6V未満、より好ましくは4.4V以上4.6V未満となる条件下で充電を行うことが望ましい。
なお、所定の電位範囲の最低の電位は、特に制限されるものではなく、リチウム金属対極に対して2V以上3.5V未満、より好ましくは2V以上3V未満となる条件下で充放電を1〜30サイクル行うことが望ましい。上記範囲内で充電あるいは充放電による酸化処理を行うことにより、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン電池用正極、及び高エネルギー密度の電池を製造できる点で優れている(詳しくは、後述する実施例を参照のこと)。
なお、上記充放電の電位(V)は、単電池(単セル)当たりの電位を指すものとする。
また、本発明のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法では、上記酸化処理として充放電する電極材料の温度としては、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、任意に設定することができる。具体的には、室温下で行ってもよいし、室温より高い温度で行ってもよいし、室温より低い温度で行ってもよい。
経済性の観点からは、特段の加熱冷却を要しない室温下で行うのが望ましい(後述する実施例1〜5などを参照)。
また、より大きな容量を発現でき、なおかつ短時間の充放電処理によりサイクル耐久性が向上し得る点からは、室温より高い温度で行うのが望ましい(後述する実施例6〜8と、実施例1〜5を対比参照のこと)。この際の、上記酸化処理として充放電する電極材料の温度としては、室温より高い温度であればよいが、35℃以上80℃以下が好ましく、より好ましくは40〜60℃の範囲である。なお、ここでいう室温は、特段の加熱冷却を行っていない状態での温度をいうものであるが、概ね15℃以上35℃未満といえる範囲である。ただし、上記範囲を外れる場合であっても、特段の加熱冷却を行っていない状態での温度であれば、室温下での実施ともいえる。
上記本発明のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法を適用する工程(時期)としては、特に制限されるものではない。例えば、かかる酸化処理は、上記したように、電池を構成した状態、または電極または電極相当の構成にて、行うことができる。即ち、正極活物質粉体の状態での適用、電極を構成しての適用、負極とあわせて電池を組んでからの適用のいずれであってもよい。電池への適用に際しては、組み合わせる負極の電気容量の電位プロファイルを考えて、本発明の適用条件(酸化処理条件)を適用することによって実施できる。ここで、電池を構成した状態の場合には、個々の電極または電極相当の構成ごとに行うよりも、一度にまとめて多くの電極の酸化処理が行える点で優れている。一方、個々の電極または電極相当の構成ごとに行う場合には、電池を構成した状態よりも、酸化電位等の条件の制御が容易であるほか、個々の電極への酸化の度合いのバラツキが生じにくい点で優れている。
また、酸化処理前の上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体の作製方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の作製方法を適宜利用して行うことができる。例えば、実施例に示すように、複合炭酸塩法を用い以下のように行うことができる。即ち、上記式中のM及びNに相当する金属元素の各硫酸金属塩、硝酸金属塩など、例えば、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを所定量秤量し、これらの混合溶液を調製する。これにアンモニア水をpH7になるまで滴下して、さらにNaCO溶液を滴下して、Ni−Co−Mnの複合炭酸塩(ただし、上記式中のM及びNの組み合わせにより当該M−Nの金属複合炭酸塩の種類は異なる)を沈殿させる。その後、吸引ろ過した後、水洗して、所定の温度、時間で(例えば、120℃にて5時間)乾燥する。これを所定の温度、時間で(例えば、500℃にて5時間)仮焼成する。これに小過剰のLiOH・HOを加えて、自動乳鉢で所定時間(例えば、30分間)混合した。このあと、所定の温度、時間で(例えば、900℃にて12時間)本焼成してから、液体窒素を用い急速冷却することで、酸化処理前の上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体を作製することができる。なお、最後の液体窒素を用いた急速冷却は、特に必要ないが、かかる処理を行うことで、固溶体状態が非常に綺麗なものを作製することができる点で有用な処理操作と言えるものである。
なお、酸化処理前の上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOで表される固溶体の同定は、後述する実施例で行ったような、X線回折(XRD)、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析を用いて分析することができる。
以上が、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件に関する説明であり、他の構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件以外の他の構成要件に関し、図1及び図2に示す非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池に関し、非双極型リチウムイオン二次電池を中心に説明する。ただし、本発明は、がこれらに制限されるものではない。
[集電体]
集電体は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、特に制限されるものではない。具体的には、集電体として、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種類の集電体材料で構成された集電体を用いることができる。また本発明では、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの集電体材料の組み合わせのめっき材なども好ましく使える。また、上記集電体材料である金属(アルミニウムを除く)表面に、他の集電体材料であるアルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の上記集電体材料である金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度である。
[電極(正極及び負極)]
正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)の構成は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、特に限定されず、公知の正極および負極が適用可能である。電極には、電極が正極であれば正極活物質、電極が負極であれば負極活物質が含まれる。
正極活物質および負極活物質の材料(材質)としては、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件を具備するものであればよく、特に制限されるものではなく、電池の種類に応じて適宜選択すればよい。
具体的には、正極活物質としては、上記一般式;xLiMO・(1−x)LiNOで表される本発明のリチウムイオン電池用正極材料を正極の主要な活物質として用いるものである。
正極活物質としては、上記一般式;xLiMO・(1−x)LiNOで表される本発明のリチウムイオン電池用正極材料を単独で使用してもよいほか、さらに必要に応じて、従来公知の他の正極活物質を併用してもよい。
負極活物質としては、通常リチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質なら何でもよく、具体的には、カーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物を好適に用いることができる。上記負極活物質材料であるカーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物としては、特に制限されるものではなく、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンファイバ、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)などの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等のカーボン;リチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、さらにこれらに他の元素を添加したリチウム合金;リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)などのリチウム−移金属複合酸化物などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
物質それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。
正極(正極活物質層:片面)の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm程度である。
負極(負極活物質層:片面)の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm程度である。
負極(負極活物質層)は、通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティングおよび溶射のいずれかの方法によっても形成することもできる。こうした形成法に適した負極活物質としては、チタン酸リチウムのほか、カーボン、リチウム金属、リチウムアルミ合金、リチウムスズ合金、リチウムケイ素合金などが好適に利用可能である。
電極(正極および負極)は、電子伝導性を高めるための導電材(以下、導電助剤とも称する)、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などが含まれ得る。
上記導電材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。導電助剤を含ませることによって、電極で発生した電子の伝導性を高めて、電池性能を向上させることができる。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム、ポリイミドなどが挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
また、上記導電材とバインダの機能を併せ持つ導電性結着剤をこれら導電材とバインダに代えて用いてもよいし、あるいはこれら導電材とバインダの一方ないし双方と併用してもよい。導電性結着剤としては、既に市販のTAB−2(宝泉株式会社製)などを用いることができる。
電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、それらの共重合体などのリチウム塩を含むイオン伝導性高分子(固体高分子電解質)などが挙げられる。
使用されるリチウム塩は、電池の種類に応じて選択すればよい。電解質支持塩(リチウム塩)としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
活物質、導電材、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、電解質支持塩(リチウム塩)等の電極の構成材料の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定することが好ましい。
[電解質層]
電解質層は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、液体、ゲル、固体のいずれの相であってもよい。電池が破損した際の安全性や液絡の防止を考慮すると、電解質層は、ゲルポリマー電解質層、全固体電解質層のような固体電解質を用いることが好ましい。電解質層として固体電解質(詳しくは、後述するが、高分子ゲル電解質、固体高分子型電解質、無機固体型電解質すべてを含めるものとする)を用いることにより漏液を防止することが可能となり、液絡を防ぎ信頼性の高いリチウムイオン電池を構成できるからである。
電解質層としてゲルポリマー電解質層(高分子ゲル電解質)を用いることで、電解質の流動性がなくなり、集電体への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる。ゲル電解質のホストポリマーとしては、PEO、PPO、PVdF、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVdF−HFP)、PAN、PMA、PMMAなどが挙げられる。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。
上記ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)は、PEO、PPOなどの全固体型高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含ませることにより作製される。PVdF、PAN、PMMAなど、リチウムイオン伝導性をもたない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものもゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)にあたる。ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)を構成するポリマーと電解液との比率は、特に限定されず、ポリマー100%を全固体高分子電解質、電解液100%を液体電解質とすると、その中間体はすべてゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)の概念に含まれる。また、セラミックなどの無機固体などイオン伝導性を持つ無機固体型電解質も全固体型電解質にあたる。よって、上記高分子ゲル電解質、固体高分子型電解質、無機固体型電解質すべてを含めて固体電解質とする。
電解質層としては、従来公知の材料を用いることができる。具体的には、(a)高分子ゲル電解質(ゲルポリマー電解質)、(b)全固体高分子電解質(高分子固体電解質、無機固体型電解質)、(c)液体電解質(電解液)または(d)これら電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)を用いることができる。
(a)ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)
ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)とは、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させたものをいう。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、導電性高分子膜などの集電体層への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。
高分子ゲル電解質として用いるポリマーマトリックス(高分子)ないしゲル電解質のホストポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が望ましく、中でもPEO、PPOおよびそれらの共重合体、あるいは、PVdF−HFPを用いることが望ましい。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。かかる電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものであり、電解質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種が、溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびそれらの混合物が望ましい。
本発明におけるゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本発明では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
(b)全固体型電解質(全固体高分子電解質、高分子固体電解質、無機固体型電解質)
電解質として全固体型電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体層への電解質の流出がなくなり各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる点で優れている。
全固体高分子電解質としては、例えば、PEO、PPO、これらの共重合体などの公知の固体高分子電解質、セラミックなどのイオン伝導性を持つ無機固体型電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。
(c)液体電解質(電解液)
電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものが挙げられる。ここで、電解質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種が、溶媒としては、EC、PC、GBL、DMC、DECおよびそれらの混合物が望ましい。
(d)上記電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)
セパレータに含浸させることのできる電解質としては、既に説明した(a)〜(c)と同様のものを用いることができる。
上記セパレータとしては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーからなる多孔性シートおよび不織布を挙げることができる。
多孔性シートとしては、例えば、微多孔質セパレータを用いることができる。該ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。上記セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。ただし、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。上記セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その空孔率は20〜80%であることが望ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
[シール部(シーラントないし周辺絶縁層とも称されている)]
シール部は、双極型リチウムイオン二次電池に関して、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止するために単電池層の周辺部に配置されている。双極型リチウムイオン二次電池では、電解質層の漏れによる液絡を防止するために有効に活用されている。該シール部としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
[正極および負極タブ]
本発明の非双極型および双極型リチウムイオン電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に、あるいは最外層集電体に、電気的に接続されたタブ(正極タブおよび負極タブ)が電池外装材の外部に取り出されている。具体的には、図1に示すように各正極集電体に電気的に接続された正極タブと各負極集電体に電気的に接続された正極タブとが、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。あるいは図2に示すように正極用最外層集電体に電気的に接続された正極タブと、負極用最外層集電体に電気的に接続された負極タブとが、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブ(正極タブおよび負極タブ)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、各集電体あるいは最外層集電体を延長することにより正極および負極タブとしてもよいし、別途準備した正極および負極タブを各集電体あるいは最外層集電体に接続してもよい。
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しても、必要に応じて使用する。例えば、各集電体あるいは最外部の集電体から出力電極端子となる正極タブ及び負極タブを直接取り出す場合には、正極および負極リードは用いなくてもよい。
正極および負極リードの材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができほか、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた発電要素(電池要素)を覆うことができる袋状のケースを用いることができる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図3は、本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な非双極型あるいは双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図3に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)57は、正極タブ58及び負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)57は、先に説明した図1あるいは図2に示す非双極型あるいは双極型のリチウムイオン二次電池10、30の発電要素(電池要素)17、37に相当するものである。具体的には、正極(正極活物質層)12、32、電解質層13、35および負極(負極活物質層)15、33で構成される単電池層(単セル)16、36が複数積層されたものである。
なお、本発明のリチウムイオン電池は、図1、2に示すような積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。例えば、巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図3に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。例えば、正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図3に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
本発明のリチウムイオン電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
[組電池]
本発明の組電池は、本発明のリチウムイオン二次電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本発明の組電池では、本発明の非双極型リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池を用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
また、図4は、本発明に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。
図4に示すように本発明に係る組電池300は、本発明のリチウムイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して形成することもできる。これにより、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することができる。図4Aは、組電池の平面図、図4Aは正面図、図4Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型ないし双極型のリチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作成するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本発明の車両は、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本発明の高容量正極を用いると高エネルギー密度の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。かかる車両としては、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車などの四輪車ほか、バイクなどの二輪車や三輪車を含む)等が挙げられる。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図5は、本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。
図5に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。本発明の組電池を搭載した車両としては、図4に示すような電気自動車のほか、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに幅広く適用できるものである。
[リチウムイオン電池の製造方法]
次に、本発明のリチウムイオン電池の製造方法としては、上記にて説明した本発明の正極材料の酸化処理方法を適当な工程にて行うこと以外は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用して作製することができる。
よって、以下では、上記にて説明した本発明の正極材料の酸化処理方法以外の本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法につき説明する。ただし、本発明の製造方法は、これらに何ら制限されるものでない。
電解質が電解液の電池の作製は、前記のようにして作製した正極と負極から、少し負極を大きくして切り出し、それぞれを90℃の真空乾燥機にて1日乾燥して用いた。正極と負極の間に、厚さ25μmのポリプロピレンの多孔質膜を介して最外側が負極になるようにして正極と負極を交互に積層して、各正極と負極を束ねてリードを溶接して、この積層体を形成する。この積層体に正負極のリードを取り出した構造にて、アルミニウムのラミネートフィルムバックに収めて、注液機により電解液を注液して、減圧下シールをして電池とする。
電解質が電解液の電池の他、電解質がゲルの電池、全固体ポリマーの電池、及びここで挙げた電解質を用いた双極電池の作製は、公知になった我々の技術により実施できるのでここでは省略する。
次に、本発明の構成要件(技術範囲)を満足するか否かを、製造履歴によらずに判定する基準(言い換えれば、本発明の権利の侵害発見方法ともいえる)について説明する。
(1)本発明の基本構成は、次の2つの発明(即ち、リチウムイオン電池用正極材料の発明(第1の発明)と、このリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法(製法)の発明(第2の発明))である。
第1の発明:一般式:xLiMO・(1−x)LiNOにおいて、使用前に酸化処理(以下、酸化前処理ともいう)を施したことを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料である。ここで、式中のxは0より大きく1より小さく、Mは、平均酸化状態が3+の1つ以上の遷移金属で、Nは平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属である。
第2の発明:第1の発明のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法であって、使用前に酸化処理が、所定電位範囲での充電あるいは、充放電であることを特徴としたリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法である。
(2)本発明の構成要件(技術範囲)を満足するか否かの判定基準(侵害発見方法)(後述する実施例9と比較例6を対比参照のこと)
(i)本発明の構成要件(技術範囲)を満足する(権利を侵害している)と考えられる電池を準備(入手)して、放電状態にして電池を解体して正極を取り出し、リチウムを対極とした電池を構成する。なお、機器に搭載される電池は、電池構成後単電池の段階で数回の初期充放電、モジュール電池(図4の小型の組電池250)、組電池に構成されてから、更に機器に搭載されてからの初期充放電検査をへて市場へ出回ることもある。従って、準備(入手)できる電池は、電池構成後5〜50回程度充放電試験を経たものと考えられる。
(ii)そこで、解体した電池から取り出した正極を用いて構成した電池について、室温で、電圧範囲2.0V〜4.8Vにて定電流充放電試験を行う。
(iii)得られたデータから電気量(Q)の電位微分(dQ/dE)を計算して電位(E)に対してプロットする。
本発明に従って酸化前処理(=使用前に酸化処理)を施した場合と、施さない場合について比較したのが、図13(50サイクル後)である。図13では、本発明の酸化前処理である充放電前処理(=使用前に充放電処理)を施した場合のデータをプロットして表したdQ/dE曲線を“前処理あり”としている。一方、本発明の酸化前処理を施さない場合のデータをプロットして表したdQ/dE曲線を“前処理無し”としている。
図13より、3.0V〜3.3V領域での波形の比較をすると、本発明の酸化前処理を施した正極材料は、3.2Vに特徴的なピークを示す。他方、本発明の酸化前処理を施していないものはこのピークがない。
このピークの有無により本発明の構成要件(技術範囲)を満足しているか否かを判定できる(言い換えれば、本発明の権利の侵害を発見できる)。また、もし電池が50サイクルに至らない充放電サイクルで出荷されていても、いくつかの電池を取り出して、それぞれ10サイクル、20サイクル、30サイクル、40サイクルの充放電を行なって、同様な電池解体検査を行なえば、同様の判定基準(3.2Vの特徴的なピークの有無)にて本発明の構成要件(技術範囲)を満足しているか否かを判定できる(言い換えれば、本発明の権利の侵害を発見できる)。
(3)本発明の酸化前処理の物理的意味について
本発明の酸化前処理により、正極材料(xLiMO・(1−x)LiNO)の高電位領域での充放電サイクル特性が顕著に改善されるが、このメカニズムについては次のように考えている。この材料はLiCoOのような層状構造であるが、遷移金属層にもLiを含む。高容量を発現させるため高電位領域まで充電すると、Li層のLiのみならずこの遷移金属層のLiと結晶骨格の酸素が放出され、結晶内部で大きなイオンの移動(再配列)が起こると考えられる。本発明の酸化前処理をしないと、この急激に起こるイオンの再配列の際に、劣化が進行してしまうと考えられる。劣化のメカニズムとしては、従来の層状LiMnOでそうであったように、結晶内の小さな領域で充放電で層状構造からスピネル構造へ変化してしまうことにより劣化してしまうと考えられる。
高電位にて溶媒の酸化分解によって発生する可能性のあるHによるLiのイオン交換は、この急激なイオンの再配列のさいに結晶表面が開いたり、欠陥ができて起こりやすくなり、さらにこれが劣化を加速しうる。
これに対して、本発明の酸化前処理により、上記の結晶内部でのイオンの再配列が徐々に進行するため、初期の層構造を大きく乱すことなく、安定な層状構造へ到達するためサイクル耐久性が改善されると考えられる。安定な層状構造の候補としては、相対的により欠陥の少ない結晶構造や、ごくわずかのNi2+が結晶内のリチウム層に入ってピラーとして機能しているものや、ごくわずかのナノ結晶がこのピラーの役目をしているものなどが考えられる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
1.固溶体正極材料の合成
試料の合成は、複合炭酸塩法を用い以下のように行った。硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを所定量秤量し、これらの混合溶液を調製して、これにアンモニア水をpH7になるまで滴下して、さらにNaCO溶液を滴下してNi−Co−Mnの複合炭酸塩を沈殿させた。NaCO溶液を滴下している間、アンモニア水でpH7を保持した。その後、吸引ろ過し、水洗して、120℃にて5時間乾燥した。これを500℃にて5時間仮焼成した。これに小過剰のLiOH・HOを加えて、自動乳鉢で30分間混合した。このあと900℃にて12時間本焼成してから、液体窒素を用い急速冷却した。
2.合成試料の分析
(1)XRD:得られた試料(5種類の固溶体正極材料)のXRDパターンを図6に示す。
(2)元素分析:得られた試料(5種類の固溶体正極材料)をICPにより元素分析結果を表1に示す。なお、表1の各試料の下段の組成式(上記一般式:xLiMO・(1−x)LiNOの表記)の係数に、換算係数を掛けると表1の各試料の上段の組成式の表記になる。即ち、表1の各試料の上段の組成式の表記は、全てが層状のLiMO(M:平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属)とみなした場合の表記である。なお、図6〜8、更には以下の説明において、表1の各試料の上段の組成式の表記を用いているものもある。
3.電極の評価
(1)電極の作製と充放電評価方法
電極は、活物質(上記試料を用いた):導電性結着剤(TAB−2)=20:12(質量比)にして、混練法を用いて直径16mmのペレットに成形し、同径のステンレスメッシュに圧着して、真空下、20℃で4時間加熱乾燥してサンプル電極とした。ここでは、対極としてリチウム箔を用いて、ガラスろ紙(電解質膜)を用いてセルを組んで、電解液として1M LiPFのEC:DMC=1:2(体積比)の電解液を加えてセルとして充放電特性を評価した。
(2)電極の充放電試験
各試料を正極活物質材料とした電極を用いたセルの充放電は、電流値として20mA/g(電流密度:0.2mA/cm)を用いた定電流充放電を行った。
このうち、実施例1〜5では、酸化処理としての充放電条件として、充放電電位範囲が2Vから4.5V(=最高の電位)での充放電サイクル5回を繰り返した。その後、2Vから4.8Vの範囲で充放電するまでに終止電圧(上限電位)を段階的に上げていく処理を行った。上記処理後の電池使用としての充放電(ここでは、本発明の目的である高容量の電池使用条件)として、充放電範囲を2Vから4.8Vに変更して充放電を行ったときの5回目(5サイクル後)の放電容量を実施例1〜5の結果として表2にまとめた。なお、実施例1〜5での酸化処理(充放電)、その後に終止電圧(上限電位)を段階的に上げていく処理、さらにこれらの処理後の電池使用としての充放電は、室温下で行った。
また、比較例1〜5では、上記所定の電位範囲での酸化処理としての充放電を行うことなく、最初から電池使用としての充放電として、充放電電位範囲を2Vから4.8Vで充放電を行った。このときの5回目(5サイクル後)の放電容量を比較例1〜5の結果として表2にまとめた。なお、比較例1〜5での最初からの電池使用としての充放電も、実施例1〜5と同じ温度条件下(室温下)で行った。
さらに、参考例1では、酸化処理としての充放電条件として、充放電電位範囲が2Vから3.8V(=最高の電位)での充放電サイクル5回を繰り返した。その後、2Vから4.8Vの範囲で充放電するまでに終止電圧(上限電位)を段階的に上げていく処理を行った。上記処理後の電池使用としての充放電(ここでは、本発明の目的である高容量の電池使用条件)として、充放電範囲を2Vから4.8Vに変更して充放電を行ったときの5回目(5サイクル後)の放電容量を参考例1の結果として表2にまとめた。なお、参考例1での酸化処理(充放電)、その後に終止電圧(上限電位)を段階的に上げていく処理、さらにこれらの処理後の電池使用としての充放電も、実施例1〜5と同じ温度条件下(室温下)で行った。
上記表2からわかるように、充電上限電位を4.8Vにする前に、充電上限電位を4.5Vとした充放電(酸化処理)を繰り返すことによって、高容量を発現する4.8Vまでの充放電のサイクル特性が大幅に改善されているのがわかる。また、比較例1の電極の充放電条件にて充放電を行ったときの、1回目(1サイクル目、図中、1stと記す)、2回目(2サイクル目、図中、2ndと記す)及び5回目(5サイクル目、図中、5thと記す)の各充放電曲線を図7に示す。実施例1の電極の充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、初期の酸化処理条件での1回目及び酸化処理後の高容量電池使用条件での5回目の各充放電曲線を図8に示す。初期の酸化処理条件での1回目の充放電曲線を、図中、4.5V第一回目充電および4.5V第一回目放電と記す。同様に酸化処理後の高容量電池使用条件での5回目の充放電曲線を、図中、4.8V第5回目充電および4.8V第5回目放電と記す。
実施例6〜8:50℃での上記(2)の電極の充放電試験例
上記試料No.1のLi[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]Oを正極活物質材料とした電極を用いたセルの充放電は、50℃にて、電流値として20mA/g(電流密度:0.2mA/cm)を用いた定電流充放電を行った。
実施例6
実施例6では、酸化処理としての充放電条件として、充放電電位範囲が2Vから4.5V(=最高の電位)での充放電サイクル2回を繰り返した。その後、終止電圧を段階的に上げていく処理を行うことなく、上記酸化処理後の電池使用としての充放電(本発明の目的である高容量の電池使用条件)として、充放電範囲を2Vから4.6Vに変更して充放電(酸化処理時を含め充放電サイクル45回)を行った。実施例6での酸化処理(充放電)、酸化処理後の電池使用としての充放電は、50℃にて行った。
図9は、実施例6の電極の50℃での定電流充放電曲線であり、最高電位4.5Vで2回充放電酸化処理したあと、充放電電位範囲2.0V〜4.6V(リチウム対極に対して)で充放電を行った場合の充放電曲線である。詳しくは実施例6の電極の上記充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、酸化処理条件での1回目並びに高容量電池使用条件での1回目(酸化処理時を含め3回目)及び18回目(酸化処理時を含め20回目)の各充放電曲線を示したものである。即ち、実施例6の電極の充放電容量(mAh/g)と正極の電位(V vs.Li/Li)との関係を表す各充放電曲線を示したものである。図10は、実施例6の電極の50℃での充放電サイクル特性を表す図面である。詳しくは実施例6の電極の上記充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、充放電サイクル2回ごとの充電容量及び放電容量をプロットしてなるものである。即ち、実施例6の電極の充放電サイクル数と容量(mAh/g)との関係を表すものである。図10では(○)印が充電容量で、(■)が放電容量を示す。
図9の50℃での20回目放電曲線と、図8の室温での4.8V5回目放電曲線とを対比すると、50℃での充放電処理とその温度での使用により、室温より大きな放電容量を発現でき、なおかつ短時間の充放電処理によりサイクル耐久性が向上することがわかる。(50℃での充放電処理とその温度での使用の方が、短時間の充放電処理によりサイクル耐久性が向上する点は、実施例6(50℃)と実施例1(室温)の電池使用までの充放電処理に要した充放電サイクル数と、図8、9の電池使用後の放電容量を対比参照のこと)。また、図10より、300mAh/gに近い放電容量を比較的安定に発現できることがわかる。
実施例7
実施例7では、酸化処理としての充放電条件として、まず、充放電電位範囲が2Vから4.45V(最高電位)での充放電サイクル1回を行い、次に最高電位を4.5Vに上げて充放電電位範囲が2Vから4.5V(最高電位)での充放電サイクル2回を行った。これらの酸化処理後の電池使用としての充放電(本発明の目的である高容量の電池使用条件)として、充放電範囲を2Vから4.6Vに変更して充放電(酸化処理時を含め充放電サイクル25回)を行った。実施例7での酸化処理(充放電処理)、酸化処理後の電池使用としての充放電は、50℃にて行った。
図11は、実施例7の電極による、図10と同様な50℃での充放電サイクル特性を示す図である。図11では、初期充放電における酸化処理の最高電位をまず4.45Vにして1回の充放電を行い、次に最高電位を4.5Vにして2回充放電処理したあと、充放電電位範囲を2.0V〜4.6Vにして、電池使用としての充放電を行った際の充放電サイクル特性を示すものである。詳しくは実施例7の電極の上記充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、充放電サイクル2回ごとの充電容量及び放電容量をプロットしてなる、実施例7の電極の充放電サイクル数と容量(mAh/g)との関係を表すものである。図11でも、(○)印が充電容量で、(■)が放電容量を示す。
実施例7の電極の充放電試験の結果、図11に示したように実施例6と同様に300mAh/gに近い放電容量を比較的安定に発現できることがわかる。
実施例8
実施例8では、酸化処理としての充放電条件として、まず。充放電電位範囲が2Vから4.45V(最高電位)での充放電サイクル2回を行った。次に、終止電圧(最高電位)を段階的に上げていく酸化処理として、充放電電位範囲が2Vから4.5Vでの充放電サイクル2回、充放電電位範囲が2Vから4.6Vでの充放電サイクル2回、充放電電位範囲が2Vから4.7Vでの充放電サイクル2回を行った。これらの酸化処理後の電池使用としての充放電(本発明の目的である高容量の電池使用条件)として、充放電範囲を2Vから4.8Vに変更して充放電(酸化処理時を含め充放電サイクル20回)を行った。実施例8での酸化処理(充放電処理)、酸化処理後の電池使用としての充放電は、50℃にて行った。
図12は、実施例8の電極による、図10と同様な50℃での充放電サイクル特性を示す図である。図12では、図10とは異なり初期の充放電による酸化処理のパターンを変え、充放電を繰り返す所定の電位範囲の最高電位をより高くしてある。つまり酸化処理における所定の電位範囲の最高の電位を順次高くしていく様式を採用している。具体的には、初期充放電における最高電位を4.45Vにして2回の充放電を行い、次に最高電位を4.5Vにして2回充放電処理したあとさらに最高電位を4.6Vにして2回の充放電を行い、更に最高電位を4.7Vにして2回の充放電を行うこと(最高電位を段階的に上げていくこと)により、その後、充放電電位範囲2.0V〜4.8V(リチウム対極に対して)での電池使用としての充放電を行った際の充放電サイクル特性を示すものである。詳しくは実施例8の電極の上記充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、充放電サイクル2回ごとの充電容量及び放電容量をプロットしてなる、実施例8の電極の充放電サイクル数と容量(mAh/g)との関係を表すものである。図12でも、(○)印が充電容量で、(■)が放電容量を示す。
実施例8の電極の充放電試験の結果、300mAh/gを超える放電容量を比較的安定に発現できるようになることがわかる。
実施例9及び比較例6
実施例9及び比較例6共に、上記試料No.1のLi[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]Oを正極活物質材料とした電極を正極とし、負極にリチウム金属を用いてセルを構成して、定電流充放電試験を行なった。なお、実施例9での酸化前処理(充放電前処理)、その後に終止電圧(上限電圧)を段階的に上げていく処理、さらにこれらの処理後の電池使用としての充放電は、室温下で行った。比較例6でも、酸化前処理(充放電前処理)及びその後に終止電圧(上限電圧)を段階的に上げていく処理を行うことなく、電池使用としての充放電は、室温下で行った。セルの作製は次のように行なった。
活物質(上記試料No.1)20mg、導電性結着剤としてTAB−2 12mgを用い、ペレットを作製した後ステンレスメッシュの集電体に圧着して正極とした。電気化学試験は2032型コインセルを使用した。この際負極には金属リチウム、電解液には1M LiPFを含むEC/DMC(EC:DMC=1:2(体積比))混合有機溶媒を使用して作製した。セルの作製はアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で行った。
定電流充放電試験は、室温、電圧範囲2.0V〜4.8V、電流密度0.2mA/cmで行った。実施例9では、本発明の酸化前処理である充放電前処理として、上限電圧を4.5Vから2サイクル毎に0.1Vずつ増加させて行き、上限電圧4.8Vまで行った。この際の電流密度は0.2mA/cmであった。処理セルの50サイクルの充放電試験は処理工程(充放電前処理)の充放電サイクルはカウントしないものとした。得られた充放電データからパソコンソフトOrigin 6.0 professionalを用いて容量の電位微分を算出し、充放電前処理を実施したセル(実施例9)のデータと実施していないセル(比較例6)の結果を合わせて図13に示した。
図13に示す50サイクル後のdQ/dE曲線からは、比較例6の未処理の電極(前処理無し)では約3.1Vのピークが明瞭に現れ、実施例9の充放電前処理を実施した電極(前処理あり)では3.2Vのピークが強く現れる傾向を示した。この結果は未処理及び処理電極間での構造変化が異なることを示唆している(明細書中の「本発明の酸化前処理の物理的意味について」の項を参照のこと)。
また、上記実施例1〜8、比較例1〜6及び参考例1の結果を通じて、以下のことがわかる。
4.7V、4.8Vvs.Liという高電位の容量分まで使用(高容量使用)する場合、充放電電位の最高電位を段階的に上げていくと、短時間でも電極の耐久性が改善されることがわかった。即ち、本発明の酸化(充放電)処理にて所定の電位範囲の最高電位を、Li金属対極に対して4.4V以上4.6V未満となる条件下で充放電を1〜30サイクル行った後更に、充放電の所定の電位範囲の最高電位を段階的に上げていくと上記効果を発現できる。
また、充放電する電極材料の温度を室温より上げて、35〜80℃(実施例では50℃)とすることにより、室温下で充放電するよりも大きな放電容量を発現でき、なおかつ短時間の充放電処理によりサイクル耐久性が向上することがわかった。
本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明のリチウムイオン電池の代表的な他の一実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る組電池の代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。 本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。 得られた試料(5種類の固溶体正極材料)のXRDパターンを示した図面である。 比較例1の電極の充放電条件にて充放電を行ったときの、1回目、2回目及び5回目の各充放電曲線を示した図面である。 実施例1の電極の充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、初期の酸化処理条件での1回目及び酸化処理後の高容量電池使用条件での5回目の各充放電曲線を示した図面である。 実施例6の電極の50℃での定電流充放電曲線であり、最高電位4.5Vで2回充放電酸化処理したあと、充放電電位範囲2.0V〜4.6V(リチウム対極に対して)で充放電を行った場合の充放電曲線を示した図面である。 実施例6の電極の50℃での充放電サイクル特性を示した図面である。詳しくは実施例6の電極の上記充放電条件(酸化処理時を含む)にて充放電を行ったときの、充放電サイクル2回ごとの充電容量及び放電容量をプロットした充放電サイクル特性を示した図面である。 実施例7の電極による、図10と同様な50℃での充放電サイクル特性を示した図面である。 実施例8の電極による、図10と同様な50℃での充放電サイクル特性を示した図面である。 実施例9及び比較例6の電極による定電流充放電試験(50サイクル)により、得られた充放電データからパソコンソフト(Origin 6.0 professional)を用いて容量の電位微分を算出し、充放電前処理を実施したセルのデータと実施していないセルの結果をそれぞれ表したdQ/dE曲線を示した図面である。
符号の説明
10 非双極型リチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
11a 最外層正極集電体、
12、32 正極(正極活物質層)、
13、35 電解質層、
14 負極集電体、
15、33 負極(負極活物質層)、
16、36 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
17、37、57 発電要素(電池要素;積層体)、
18、38、58 正極タブ、
19、39、59 負極タブ、
20、40 正極端子リード、
21、41 負極端子リード、
22、42、52 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
30 双極型リチウムイオン二次電池、
31 集電体、
31a 正極側の最外層集電体、
31b 負極側の最外層集電体、
34 双極型電極、
34a、34b 最外層に位置する電極、
43 シール部(絶縁層)、
50 リチウムイオン二次電池、
250 小型の組電池(モジュール電池)、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (6)

  1. 一般式
    (ここで、xは、0<x<1を満たす数であり、Mは、平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属であり、Nは、平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属である。)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法であって、
    酸化処理が、所定の電位範囲での充電あるいは、充放電であり、
    所定の電位範囲の最高の電位が、リチウム金属対極に対して3.9V以上4.6V未満となる条件下で充放電を1〜30サイクル行ったあとさらに、充放電の所定の電位範囲の最高の電位を段階的に上げていくことを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法。
  2. 前記所定の電位範囲の最高の電位が、リチウム金属対極に対して4.4V以上4.6V未満となる条件下で充放電を1〜30サイクル行うことを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法。
  3. 充放電する電極材料の温度が、35℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項またはに記載のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法。
  4. 前記Mは、Mn、Ni、CoおよびFeから選ばれてなる1種類以上の元素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法
  5. 前記Nは、Mn、ZrおよびTiから選ばれてなる1種類以上の元素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極材料の酸化処理方法
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化処理方法により得られたリチウムイオン電池用正極材料を正極の主要な活物質として用いてなることを特徴とするリチウムイオン電池。
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