JP2013218787A - 正極活物質、正極、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器 - Google Patents

正極活物質、正極、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器 Download PDF

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一顕 遠藤
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Kazunari Motohashi
一成 本橋
Masahito Sato
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Abstract

【課題】優れた電池特性を得ることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物は、いずれもLi1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e (MはAl等,0.1<a<0.25,0.5≦b<0.7,0≦c<1−b,0≦d≦1,0≦e≦1)で表される。第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2は350nm≦D2≦900nmを満たす。第1リチウム含有化合物と第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である。
【選択図】図1

Description

本技術は、リチウム含有化合物である正極活物質、その正極活物質を用いた正極および二次電池、ならびにその二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器に関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末機器(PDA)などの多様な電子機器が広く普及しており、その電気機器のさらなる小型化、軽量化および長寿命化が要望されている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。この二次電池は、最近では、上記した電子機器に限らず、多様な他の用途への適用も検討されている。この他の用途の代表例は、電子機器などに着脱可能に搭載される電池パック、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システム、または電動ドリルなどの電動工具である。
電池容量を得るためにさまざまな充放電原理を利用する二次電池が提案されているが、中でも、電極反応物質の吸蔵放出を利用する二次電池、または電極反応物質の析出溶解を利用する二次電池が注目されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池などよりも高いエネルギー密度が得られるからである。
二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その正極は、充放電反応に関与する正極活物質を含んでいる。この正極活物質としては、一般的に、LiCoO2 またはLiNiO2 などのリチウム含有化合物が広く用いられている。充放電反応に直接関わる正極活物質は電池性能に大きな影響を及ぼすため、その正極活物質の組成などについてはさまざまな検討がなされている。
具体的には、集電体近傍と電極板表層との充填密度を均一化するために、正極活物質粒子の平均粒子径およびBET比表面積を適正化している(例えば、特許文献1参照。)。この場合には、さらに、正極板前駆体の加圧工程で加圧ロール径、加圧力、活物質充填密度および活物質密度比も適正化している。合剤層の充填率を向上させるために、略球状の活物質粒子と、その略球状の活物質粒子の粉砕物である非球状の活物質粒子とを用いている(例えば、特許文献2参照。)。この場合には、略球状の活物質粒子間の空隙を満たすように非球状の活物質粒が充填されている。プレス圧を高くしても充填密度を均一化するために、LiCoO2 などの粒度分布の標準偏差とLiMn2 4 の粒度分布の標準偏差との比を適正化している(例えば、特許文献3参照。)。体積容量密度などを向上させるために、一般式Lip Nix Coy Mnz q 2-a a で表される2種類のリチウム複合酸化物の微粒子(第1粒状粉末および第2粒状粉末)の凝集物を用いている(例えば、特許文献4参照。)。式中、MはNi等であると共に、0.9≦p≦1.1、0.2≦x≦0.8、0≦y≦0.4、0≦z≦0.5、y+z>0、0≦q≦0.05、1.9≦2−a≦2.1、x+y+z+q=1および0≦a≦0.02を満たす。この第1および第2粒状粉末では、平均粒子径および重量比が適正化されていると共に、圧縮破壊強度が異なっている。
特開2006−278265号公報 特開2009−283354号公報 特開2005−190786号公報 国際公開第2005/020354号パンフレット
近年、二次電池が適用される電子機器などは益々高性能化および多機能化しており、その電子機器などの使用頻度も高まっているため、二次電池の電池特性についてさらなる改善が求められている。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池特性を得ることが可能な正極活物質、正極、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器を提供することにある。
本技術の正極活物質は、第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、その第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物がいずれも下記の式(1)で表されるものである。第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たす。第1リチウム含有化合物と第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
(MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
本技術の正極は、上記した正極活物質を含むものである。本技術の二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、その正極が上記した正極活物質を含むものである。また、本技術の電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具または電子機器は、上記した二次電池を備えたものである。
なお、結晶子径(いわゆる結晶子サイズ)D1,D2は、X線回折法を用いて第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を分析することで特定される。
本技術の正極活物質、正極または二次電池によれば、第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物の結晶子径D1,D2および混合比が上記した範囲内であるので、優れた電池特性を得ることができる。また、本技術の二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器でも同様の効果を得ることができる。
本技術の一実施形態の二次電池(円筒型)の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本技術の一実施形態の他の二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。 図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。 二次電池の適用例(電池パック)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動車両)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電力貯蔵システム)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動工具)の構成を表すブロック図である。
以下、本技術の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.正極活物質
2.正極活物質の適用例(リチウム二次電池)
2−1.正極およびリチウムイオン二次電池(円筒型)
2−2.正極およびリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)
2−3.正極およびリチウム金属二次電池
3.二次電池の用途
3−1.電池パック
3−2.電動車両
3−3.電力貯蔵システム
3−4.電動工具
<1.正極活物質>
[正極活物質の構成]
本技術の一実施形態の正極活物質は、Liを構成元素として含む化合物(リチウム含有化合物)であり、例えば、リチウム二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)などの正極に用いられる。
より具体的には、正極活物質は、第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含んでおり、その第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物は、いずれも下記の式(1)で表される。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
(MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
第1および第2リチウム含有化合物は、Liと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物であり、層状岩塩型の結晶構造を有している。この第1および第2リチウム含有化合物は、aが取り得る値の範囲から明らかなように、いわゆるリチウムリッチの化合物である。第1および第2リチウム含有化合物が1または2以上の遷移金属元素を構成元素として含んでいるのは、高いエネルギー密度が得られるからである。
第1リチウム含有化合物のうちの少なくとも一部は、複数の一次粒子が集合(凝集)したものであり、いわゆる二次粒子を形成している。このように一次粒子の凝集体(二次粒子)であることは、第2リチウム含有化合物についても同様である。
第1リチウム含有化合物の一次粒子は、相対的に大きな結晶子径D1(nm)を有していると共に、第2リチウム含有化合物の一次粒子は、相対的に小さな結晶子径D2(nm)を有している。この結晶子径D1,D2は、上記したように、X線回折法を用いて第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を分析することで特定される。X線回折装置としては、例えば、株式会社リガク製のX線回折装置RINT2000を用いることができる。
より具体的には、結晶子径D1,D2は、1200nm≦D1≦1900nmおよび350nm≦D2≦900nmを満たしている。結晶子径D1,D2が異なる2種類のリチウム含有化合物を用いる場合に、その結晶子径D1,D2間の関係が適正化されるため、第1および第2リチウム含有化合物の充填性が向上するからである。これにより、後述する正極活物質層の形成工程で、圧縮成型時の圧力(プレス圧)が低くても体積密度が高くなるため、エネルギー密度が向上する。また、圧縮成型時に正極活物質が割れにくくなるため、その正極活物質(新生面)の反応性に起因するガスの発生が抑制される。
詳細には、結晶子径D1が1900nmよりも大きいと、第1リチウム含有化合物間の隙間(空隙)が大きすぎるため、その隙間を第2リチウム含有化合物で十分に埋めることができない。また、結晶子径D2が350nmよりも小さいと、第2リチウム含有化合物が小さすぎるため、その第2リチウム含有化合物が第1リチウム含有化合物間の隙間を十分に埋めることができない。さらに、結晶子径D1が1200nmよりも小さいか、結晶子径D2が900nmよりも大きいと、結晶子径D1,D2間の差異がほとんどなくなる。このため、第1リチウム含有化合物間、第2リチウム含有化合物間、ならびに第1および第2リチウム含有化合物間に隙間が生じやすくなる。すなわち、やはり第1リチウム含有化合物間の空隙を第2リチウム含有化合物で十分に埋めることができない。
正極活物質中において、相対的に大きな結晶子径D1を有する第1リチウム含有化合物の含有量W1(重量%)は、相対的に小さな結晶子径D2を有する第2リチウム含有化合物の含有量W2(重量%)よりも多くなっている。
より具体的には、第1リチウム含有化合物と第2リチウム含有化合物との混合比(重量比)は、第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である。すなわち、第1リチウム含有化合物の含有量W1および第2リチウム含有化合物の含有量W2は、70重量%≦W1≦80重量%および20重量%≦W2≦30重量%を満たしている。結晶子径D1,D2が異なる2種類のリチウム含有化合物を用いる場合に、その含有量W1,W2間の関係が適正化されるため、第1および第2リチウム含有化合物の充填性がより向上するからである。これにより、エネルギー密度がより向上すると共に、ガスの発生がより抑制される。
詳細には、含有量W1が80重量%よりも多いか、または含有量W2が20重量%よりも少ないと、第1リチウム含有化合物の含有割合が相対的に多くなりすぎるのに対して、第2リチウム含有化合物の含有割合が相対的に少なくなりすぎる。これにより、第1リチウム含有化合物間の隙間を第2リチウム含有化合物で十分に埋めることができない。また、含有量W1が70重量%よりも少ないか、または含有量W2が30重量%よりも多いと、第1リチウム含有化合物の含有割合が相対的に少なくなりすぎるのに対して、第2リチウム含有化合物の含有割合が相対的に多くなりすぎる。このため、第1リチウム含有化合物間の隙間を第2リチウム含有化合物で効率よく埋めることができない。
なお、第1および第2リチウム含有化合物の組成は、上記した結晶子径D1,D2および含有量W1,W2の条件を満たしていれば、同じでもよいし、異なってもよい。
ここで、第1および第2リチウム含有化合物がリチウムリッチであるのは、多量のLiを構成元素として含むため、初回充電時の負極で不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができるからである。
詳細には、二次電池の初回充放電時には、負極の表面に被膜(SEI膜など)が形成されるため、不可逆容量が生じることが知られている。これに伴い、初回充電時に正極活物質から放出されるリチウムイオンは、不可逆容量を生じさせるために消費される。この場合には、二次電池の初回充電時の充電電圧を高電圧(例えば4.4V以上)にすれば、正極活物質から十分な量のリチウムイオンが放出されるため、そのリチウムイオンが負極で不可逆容量を生じさせるために消費される。これにより、初回充放電時に不可逆容量の発生反応が完了する。このため、二次電池の実質的な使用時である初回以降の充放電時では、正極活物質から放出されたリチウムイオンが電池容量を生じさせるために消費される。これにより、初回以降の充放電時に高い電池容量が安定して得られる。
なお、正極活物質と一緒に二次電池に用いられる負極活物質が金属系材料またはその酸化物であると、そのことによっても不可逆容量が生じ得る。初回充電時に正極活物質から放出されたリチウムイオンは、金属系材料中の元素またはその酸化物中の酸素と不可逆的に反応しやすいからである。金属系材料は、例えば、SiおよびSnのうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料である。高いエネルギー密度が得られるからである。より具体的には、例えば、Siの単体、合金および化合物、ならびにSnの単体、合金および化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上である。金属系材料の酸化物は、例えば、SiOv (0.2<v<1.4)などである。中でも、負極活物質が金属系材料の酸化物であると、不可逆容量が増大する傾向にある。なお、不可逆容量が増大しやすいことは、負極活物質が低結晶性炭素または非晶質炭素などである場合でも同様である。
式(1)中のa〜eの値が上記した範囲内である理由は、以下の通りである。
a>0.1であるのは、a≦0.1であると、リチウムイオンの絶対量が不足するため、初回充電時に不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができないと共に、初回以降の充放電時に高い電池容量が安定して得られないからである。一方、a<0.25であるのは、a≧0.25であると、リチウム由来の副生成物を形成するためにリチウムイオンが消費されるため、十分な電池容量が得られないからである。しかも、リチウム含有化合物を形成するためにLi源として水酸化物を用いた場合には、その水酸化物由来のガスが発生するため、二次電池が膨れやすくなるからである。
b≧0.5であるのは、b<0.5であると、Mnの絶対量が不足して、リチウム含有化合物が十分な量のLiを構成元素として含むことができないからである。このため、初回充電時に不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができないと共に、初回以降の充放電時に高い電池容量が安定して得られない。一方、b<0.7であるのは、b≧0.7であると、電池容量に寄与しないLi2 MnO4 が形成されるため、電池容量が低下するからである。
c<1−bであるのは、c≧1−bであると、Coの絶対量に対してNiの絶対量が相対的に減少しすぎるため、十分な電池容量が得られないからである。
d≦1であるのは、d>1であると、価数補償の面からリチウムリッチのリチウム含有化合物を安定に得ることができないと共に、そのリチウム含有化合物の結晶性が低下するため、十分な電池容量が得られないからである。
e≦1であるのは、e>1であると、価数補償の面からリチウムリッチのリチウム含有化合物を安定に得ることができないため、十分な電池容量が得られないからである。
bおよびcが取り得る値の範囲から明らかなように、第1および第2リチウム含有化合物は、必ずMnおよびNiを構成元素として含んでいるが、Coを構成元素として含んでいてもいなくてもよい。Coの有無にかかわらず、上記した利点が得られるからである。
中でも、cは0<c<1−bを満たしており、すなわち第1および第2リチウム含有化合物はCoを構成元素として含んでいることが好ましい。電池容量およびサイクル特性などがより向上するからである。
dが取り得る値の範囲から明らかなように、第1および第2リチウム含有化合物は、元素Mを構成元素として含んでいてもいなくてもよい。元素Mの有無にかかわらず、上記した利点が得られるからである。
中でも、dは0<d≦1を満たしており、すなわち第1および第2リチウム含有化合物は元素Mを構成元素として含んでいることが好ましい。正極活物質の反応性に起因する電解液の分解反応が抑制されるため、ガスの発生がより抑制されるからである。
この元素Mの種類は、Al、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiまたはFeなどのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されないが、中でも、Al、MgまたはTiであることが好ましく、Alであることがより好ましい。より高い効果が得られるからである。
なお、二次電池で充放電が行われる領域(正極と負極との対向領域)では、充放電反応に起因して第1および第2リチウム含有化合物の組成などが変化し得る。このため、X線回折法などを用いて充放電後に正極活物質を分析しても、第1および第2リチウム含有化合物の当初(充放電前)の組成などを正確に特定できない可能性がある。しかしながら、正極に充放電が行われない領域(未充放電領域)が存在する場合には、その未充放電領域で正極活物質を分析することが好ましい。この未充放電領域では充放電前の第1および第2リチウム含有化合物の組成などがそのまま維持されているため、充放電の有無に関係せずに当初の組成などを確認できるからである。この「未充放電領域」は、例えば、安全性確保のために正極(正極活物質層)の端部表面に絶縁性の保護テープが貼り付けられており、その絶縁性の保護テープの存在に起因して充放電を行うことができない領域などである。
[正極活物質の使用方法]
この正極活物質を用いた二次電池を充放電させる場合には、初回充電時の充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)を高電圧にすることが好ましく、具体的には4.4V以上にすることが好ましい。初回充電時に正極活物質から十分な量のリチウムイオンが放出されるため、負極で不可逆容量の発生反応を実質的に完了させることができるからである。ただし、正極活物質の分解反応を抑制するために、初回充電時の充電電圧は、極端に高すぎないことが好ましく、具体的には4.6V以下であることが好ましい。
なお、初回以降の充電時の充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)は、特に限定されないが、中でも、初回充電時の充電電圧よりも低いことが好ましく、具体的には4.3V前後であることが好ましい。電池容量を得るために正極活物質からリチウムイオンが円滑に放出されると共に、電解液の分解反応およびセパレータの溶解反応などが抑制されるからである。
[正極活物質の作用および効果]
この正極活物質によれば、第1および第2リチウム含有化合物の結晶子径D1,D2および混合比(含有量W1,W2)が上記した条件を満たしている。この場合には、上記したように、結晶子径D1,D2が異なる第1および第2リチウム含有化合物を用いる場合に、その結晶子径D1,D2および含有量W1,W2が適正化されるため、第1および第2リチウム含有化合物の充填性が向上する。よって、エネルギー密度が向上すると共にガスの発生が抑制されるため、正極活物質を用いた二次電池の電池特性を向上させることができる。
特に、式(1)中の元素MがAl、MgまたはTiであり、または式(1)中のcおよびdが0<c<1−bおよび0<d≦1を満たしていれば、より高い効果を得ることができる。
<2.正極活物質の適用例(リチウム二次電池)>
次に、上記した正極活物質の適用例について説明する。この正極活物質は、例えば、リチウム二次電池の正極に用いられる。
<2−1.正極およびリチウムイオン二次電池(円筒型)>
図1および図2は、二次電池の一例である円筒型のリチウムイオン二次電池の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。
[二次電池の全体構成]
ここで説明する二次電池は、電極反応物質であるLi(リチウムイオン)の吸蔵放出により負極22の容量が得られるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、例えば、いわゆる円筒型であり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されている。巻回電極体20は、例えば、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層されてから巻回されたものである。
電池缶11は、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、例えば、鉄、アルミニウムまたはそれらの合金などにより形成されている。なお、電池缶11の表面にニッケルなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟むと共にその巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられており、その電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、大電流に起因する異常な発熱を防止するものであり、その熱感抵抗素子16の抵抗は、温度の上昇に応じて増加するようになっている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、その表面にアスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。ただし、センターピン24はなくてもよい。正極21には、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、例えば、ニッケルなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされていると共に、電池蓋14と電気的に接続されている。負極リード26は、電池缶11に溶接などされており、その電池缶11と電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、正極集電体21Aの片面または両面に正極活物質層21Bを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。正極活物質層21Bは、上記した正極活物質を含んでおり、必要に応じて、正極結着剤または正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極結着剤は、例えば、合成ゴムまたは高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはポリイミドなどである。
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上である。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックまたはケチェンブラックなどである。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料または導電性高分子などでもよい。
なお、正極活物質層21Bは、正極活物質として上記した第1および第2リチウム含有化合物を含んでいれば、さらに他の種類の正極活物質を含んでいてもよい。このような他の種類の正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物またはリチウム遷移金属リン酸化合物などのリチウム含有化合物(上記したリチウム含有化合物に該当するものを除く)である。リチウム遷移金属複合酸化物とは、Liと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物であると共に、リチウム遷移金属リン酸化合物とは、Liと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物である。リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 または下記の式(20)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物などである。リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiFePO4 またはLiFe1-u Mnu PO4 (u<1)などである。高い電池容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。
LiNi1-z z 2 …(20)
(MはCo、Mn、Fe、Al、V、Sn、Mg、Ti、Sr、Ca、Zr、Mo、Tc、Ru、Ta、W、Re、Yb、Cu、Zn、Ba、B、Cr、Si、Ga、P、SbおよびNbのうちの少なくとも1種であり、zは0.005<z<0.5を満たす。)
この他、正極活物質は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子などでもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどである。ただし、正極材料は、上記した一連の材料に限られない。
[負極]
負極22は、負極集電体22Aの片面または両面に負極活物質層22Bを有している。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域で負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理を利用して微粒子を形成する方法などである。この電解処理とは、電解槽中で電解法を用いて負極集電体22Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法により作製された銅箔は、一般的に、電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて、負極結着剤または負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤および正極導電剤と同様である。ただし、充電途中に負極22にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は、正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は、正極21の電気化学当量よりも大きくなっていることが好ましい。
負極材料は、例えば、炭素材料である。リチウムイオンの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性が得られるからである。また、炭素材料は負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素、または(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などである。このコークス類は、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂またはフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素または非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料は、例えば、金属元素または半金属元素のいずれか1種類または2種類を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、合金には、2種類以上の金属元素からなる材料に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種類以上の共存物などがある。
上記した金属元素または半金属元素は、例えば、Liと合金を形成可能である金属元素または半金属元素のいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、例えば、Mg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、PdまたはPtなどである。中でも、SiおよびSnのうちの少なくとも一方が好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出する能力が優れているため、高いエネルギー密度が得られるからである。
SiおよびSnのうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料は、SiまたはSnの単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、単体とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)であり、必ずしも純度100%を意味しているわけではない。
Siの合金は、例えば、Si以外の構成元素として、Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbまたはCrなどのいずれか1種類または2種類以上の元素を含んでいる。Siの化合物は、例えば、Si以外の構成元素として、CまたはOなどのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、Siの化合物は、例えば、Si以外の構成元素として、Siの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
Siの合金または化合物は、例えば、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)、またはLiSiOなどである。なお、SiOv におけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
Snの合金は、例えば、Sn以外の構成元素として、Si、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbまたはCrなどの元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。Snの化合物は、例えば、Sn以外の構成元素として、CまたはOなどのいずれか1種類または2種類以上の構成元素として含んでいる。なお、Snの化合物は、例えば、Sn以外の構成元素として、Snの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。Snの合金または化合物は、例えば、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOまたはMg2 Snなどである。
また、Snを含む材料は、例えば、Snを第1構成元素とし、それに加えて第2および第3構成元素を含む材料であることが好ましい。第2構成元素は、例えば、Co、Fe、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Ce、Hf、Ta、W、BiまたはSiなどのいずれか1種類または2種類以上である。第3構成元素は、例えば、B、C、AlおよびPなどのいずれか1種類または2種類以上である。第2および第3構成元素を含むことで、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、Sn、CoおよびCを構成元素として含む材料(SnCoC含有材料)が好ましい。SnCoC含有材料の組成としては、例えば、Cの含有量が9.9質量%〜29.7質量%、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%〜70質量%である。高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、Sn、CoおよびCを含む相を有しており、その相は、低結晶性または非晶質であることが好ましい。この相は、Liと反応可能な反応相であり、その反応相の存在により優れた特性が得られる。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合、回折角2θで1°以上であることが好ましい。リチウムイオンがより円滑に吸蔵放出されると共に、電解液に対する反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがLiと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、Liとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば容易に判断できる。例えば、Liとの電気化学的反応の前後で回折ピークの位置が変化すれば、Liと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した各構成元素を有しており、主に、Cの存在に起因して低結晶化または非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素であるCの少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。Snなどの凝集または結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(XPS)で確認できる。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線またはMg−Kα線などが用いられる。Cの少なくとも一部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、Cの1s軌道(C1s)の合成波のピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、Au原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているため、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析して、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、構成元素がSn、CoおよびCだけからなる材料(SnCoC)に限られない。すなわち、SnCoC含有材料は、例えば、必要に応じて、さらにSi、Fe、Ni、Cr、In、Nb、Ge、Ti、Mo、Al、P、GaまたはBiなどのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいてもよい。
このSnCoC含有材料の他、Sn、Co、FeおよびCを構成元素として含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意である。一例を挙げると、Feの含有量を少なめに設定する場合の組成は、以下の通りである。Cの含有量は9.9質量%〜29.7質量%、Feの含有量は0.3質量%〜5.9質量%、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は30質量%〜70質量%である。また、Feの含有量を多めに設定する場合の組成は、以下の通りである。Cの含有量は11.9質量%〜29.7質量%、Sn、CoおよびFeの含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))は26.4質量%〜48.5質量%、CoおよびFeの含有量の割合(Co/(Co+Fe))は9.9質量%〜79.5質量%である。このような組成範囲で高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料と同様である。
この他、負極材料は、例えば、金属酸化物または高分子化合物などでもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法または焼成法(焼結法)、あるいはそれらの2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質を負極結着剤などと混合したのち、有機溶剤などの溶媒に分散させてから負極集電体22Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法または化学堆積法などである。より具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法またはプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法または無電解鍍金法などである。溶射法とは、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体22Aに噴き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法を用いて負極集電体22Aに塗布したのち、負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。この焼成法としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法などの公知の手法を用いることができる。
この二次電池では、上記したように、充電途中で負極22にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は正極の電気化学当量よりも大きくなっていることが好ましい。また、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、4.2Vである場合と比較して、同じ正極活物質を用いても単位質量当たりのリチウムイオンの放出量が多くなるため、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより、高いエネルギー密度が得られるようになっている。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離して、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、合成樹脂またはセラミックなどの多孔質膜であり、2種類以上の多孔質膜が積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどである。
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)と、その基材層の片面または両面に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。正極21および負極22に対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20の歪みが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制されるため、充放電を繰り返しても抵抗が上昇しにくくなると共に、電池膨れが抑制される。
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。ただし、高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン以外の他の材料でもよい。この高分子化合物層を形成する場合には、例えば、高分子材料が溶解された溶液を準備したのち、その溶液を基材層に塗布してから乾燥させる。なお、溶液中に基材層を浸漬させてから乾燥させてもよい。
[電解液]
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒および電解質塩を含んでおり、必要に応じて、添加剤などのなどの他の材料を含んでいてもよい。
溶媒は、有機溶媒などの非水溶媒のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この非水溶媒は、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステルまたはニトリルなどである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレンまたは炭酸ブチレンなどであり、鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルまたは炭酸メチルプロピルなどである。ラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンまたはγ−バレロラクトンなどである。カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルまたはトリメチル酢酸エチルなどである。ニトリルは、例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリルまたは3−メトキシプロピオニトリルなどである。
この他、非水溶媒は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、またはジメチルスルホキシドなどでもよい。同様の利点が得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。より優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルまたは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、不飽和環状炭酸エステルのいずれか1種類または2種類以上を含んでいることが好ましい。充放電時に主に負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。この不飽和環状炭酸エステルとは、1または2以上の不飽和炭素結合(炭素間二重結合)を有する環状炭酸エステルである。不飽和環状炭酸エステルの具体例は、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンまたは炭酸メチレンエチレンなどであり、これ以外の化合物でもよい。溶媒中における不飽和環状炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%〜10重量%である。
また、溶媒は、ハロゲン化炭酸エステルのいずれか1種類または2種類以上を含んでいることが好ましい。充放電時に主に負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。このハロゲン化炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む環状または鎖状の炭酸エステルである。環状のハロゲン化炭酸エステルは、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンまたは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。鎖状のハロゲン化炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)または炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。ただし、ハロゲン化炭酸エステルの具体例は、上記以外の化合物でもよい。溶媒中におけるハロゲン化炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%〜50重量%である。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。このスルトンは、例えば、プロパンスルトンまたはプロペンスルトンなどであり、これ以外の化合物でもよい。溶媒中におけるスルトンの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。この酸無水物は、例えば、例えば、カルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物、またはカルボン酸スルホン酸無水物などである。カルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸または無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸または無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸または無水スルホ酪酸などである。ただし、酸無水物の具体例は、上記以外の化合物でもよい。溶媒中における酸無水物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの塩のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の他の塩(例えばリチウム塩以外の軽金属塩)を含んでいてもよい。
このリチウム塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)、または臭化リチウム(LiBr)であり、これ以外の化合物でもよい。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 およびLiAsF6 のうちの少なくとも1種類が好ましく、LiPF6 がより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、中でも、溶媒に対して0.3mol/kg〜3.0mol/kgであることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
なお、正極21(正極活物質層21B)、負極22(負極活物質層22B)および電解液のうちの少なくとも1つは、2種類以上のオキソ酸の縮合物であるヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。初回充電時に電極表面に被膜(SEI膜)が形成されるからである。リチウムイオンを吸蔵放出できるヘテロポリ酸化合物由来の被膜は、優れたリチウムイオン透過性を有する。このため、電極と電解液との反応を抑制しながら、サイクル特性を低下させずに、正極活物質などの分解反応に起因するガス(酸素ガスなど)の発生(特に高温環境中)を抑制できる。また、酸素ガス由来の副生成物により正極活物質層21Bなどの内部に余計な空隙が形成されにくくなる。
ヘテロポリ酸化合物およびヘテロポリ酸化合物を構成するヘテロポリ酸は、下記の元素群(a)から選択されるポリ原子を含む化合物、または、元素群(a)から選択されるポリ原子を含むと共にそのポリ原子の一部が元素群(b)から選択される少なくともいずれかの元素により置換された化合物である。
である。
元素群(a):Mo,W,Nb,V
元素群(b):Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Zr,Tc,Rh,Cd,In,Sn,Ta,Re,Tl,Pb
また、ヘテロポリ酸化合物およびへテロポリ酸は、下記の元素群(c)から選択されるヘテロ原子を含む化合物、または、元素群(c)から選択されるヘテロ原子を含むと共にそのへテロ原子の一部が元素群(d)から選択される少なくともいずれかの元素により置換された化合物である。
元素群(c):B,Al,Si,P,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,As
元素群(d):H,Be,B,C,Na,Al,Si,P,S,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,As,Se,Zr,Rh,Sn,Sb,Te,I,Re,Pt,Bi,Ce,Th,U,Np
具体的には、ヘテロポリ酸化合物に含まれるヘテロポリ酸は、例えば、リンタングステン酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリタングステン酸や、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸などのヘテロポリモリブデン酸である。また、複数のポリ元素を含む材料としては、リンバナドモリブデン酸、リンタングトモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、ケイタングトモリブデン酸などが挙げられる。
ヘテロポリ酸化合物は、例えば、下記の式(2)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種である。
x y (BD6 24)・zH2 O ・・・(2)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦8、0≦y≦8、0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (BD1240)・zH2 O ・・・(3)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦4、0≦y≦4、0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (B2 1862)・zH2 O ・・・(4)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦8、0≦y≦8、0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (B5 30110 )・zH2 O ・・・(5)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦15、0≦y≦15、0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
中でも、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸およびケイタングステン酸のうちの少なくとも1種が好ましい。より高い効果が得られるからである。また、正極活物質層22B中におけるヘテロポリ酸などの含有量は、0.01重量%〜3重量%であることが好ましい。電池容量などを大幅に低下させずに、ガス発生が抑制されるからである。
ヘテロポリ酸化合物は、例えばLi+ 、Na+ 、K+ 、Rb+ およびCs+ 、ならびにR4 + 、R4 + (なお、式中、RはHあるいは炭素数10以下の炭化水素基である)等の陽イオンを含むことが好ましい。また、陽イオンは、Li+ 、テトラ−ノルマル−ブチルアンモニウムまたはテトラ−ノルマル−ブチルホスホニウムであることがより好ましい。
具体的には、ヘテロポリ酸化合物は、例えば、ケイタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸アンモニウム、ケイタングステン酸テトラ−テトラ−n−ブチルホスホニウム塩などのヘテロポリタングステン酸化合物である。また、ヘテロポリ酸化合物は、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸トリ−テトラ−n−ブチルアンモニウム塩などのヘテロポリモリブデン酸化合物である。さらに、複数のポリ元素を含む化合物としては、リンタングトモリブデン酸トリ−テトラ−n−アンモニウム塩などが挙げられる。これらのヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、2種類以上混合して用いてもよい。これらのヘテロポリ酸やヘテロポリ酸化合物は、溶媒に溶解しやすく、また電池中で安定しており、他の材料と反応する等の悪影響を及ぼしにくい。
上記したように、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、ガス発生の抑制などに寄与する。このため、正極21および負極22のうちの少なくとも一方に、ゲル状の被膜、より具体的にはヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方に由来するゲル状の被膜が設けられていることが好ましい。このゲル状の被膜は、充電時または予備充電時にヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸化合物が電解することで3次元網目構造に析出した析出物を含んでいる。すなわち、ゲル状の被膜は、1種類以上のポリ元素を有する非晶質のポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方を含んでおり、その非晶質のポリ酸およびポリ酸化合物が電解液を含むことでゲル状になっている。この被膜は、厚さ方向に成長するが、リチウムイオンの伝導性に悪影響を及ぼしにくい。そして、セパレータ23と正極21または負極22との接触に起因して急激に大電流が流れることを防止すると共に、二次電池の瞬間的な発熱を抑制する。ゲル状の被膜は、正極21等の表面の少なくとも一部に設けられていればよい。なお、ゲル状の被膜の存在および組成などは、走査型電子顕微鏡(SEM)、X線吸収微細構造(XAFS)解析またはTOF−SIMS法などを用いて確認可能である。
上記したゲル状の被膜は、負極22でポリ酸およびポリ酸化合物のうちの少なくとも一方の一部が還元され、ポリ原子の価数が6価未満になっており、一方で、還元されず、ポリ原子イオンの価数にして6価として存在するポリ酸およびポリ酸化合物の少なくとも一方も同時に存在していることが好ましい。このように還元状態にあるポリ原子イオンと非還元状態にあるポリ原子イオンとが混在することで、ガス吸収効果を有するポリ酸およびポリ酸化合物の安定性が高くなるため、電解液に対する耐性向上が見込まれる。析出したポリ酸およびポリ酸化合物の少なくとも一方の還元状態は、X線光電子分光(XPS)分析で確認することができる。この場合には、電池の解体後に炭酸ジメチルを用いて洗浄を行うことが好ましい。表面に存在する低揮発性の溶媒成分および電解質塩を除去するためである。サンプリングは可能な限り、不活性雰囲気下で行うことが望ましい。また、複数のエネルギーに帰属されるピークの重畳が疑われる場合には、測定したスペクトルに対して波形解析を行ってピークを分離することで、6価および6価未満のタングステンまたはモリブデンイオンに帰属されるピークの有無を判断することができる。
[二次電池の動作]
この二次電池では、例えば、充電時において、正極21から放出されたリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵されると共に、放電時において、負極22から放出されたリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
この場合には、上記したように、初回充電時に負極22で不可逆容量の発生反応を完了させるために、初回充電時の充電電圧(例えば4.6V)を初回以降の充電時(例えば4.35V)よりも高くすることが好ましい。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、正極21を作製する。上記した正極活物質(第1および第2リチウム含有化合物)と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。続いて、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
また、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとが混合された負極合剤を有機溶剤などに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、必要に応じて負極活物質層22Bを圧縮成型する。
最後に、正極21および負極22を用いて二次電池を組み立てる。溶接法などを用いて、正極集電体21Aに正極リード25を取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層してから巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて、正極リード25の先端部を安全弁機構15に取り付けると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に取り付ける。続いて、電池缶11の内部に、溶媒に電解質塩などが分散された電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。続いて、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。
[二次電池の作用および効果]
この円筒型の二次電池によれば、正極21の正極活物質層21Bが上記した正極活物質を含んでいるので、その正極活物質について詳細に説明したように、エネルギー密度が向上すると共にガスの発生が抑制される。よって、優れた電池特性を得ることができる。特に、負極22の負極活物質として、不可逆容量を増大させる金属系材料またはその酸化物を用いれば、より高い効果を得ることができる。また、負極活物質として低結晶性炭素または非晶質炭素などを用いても不可逆容量が増大するため、同様の効果を得ることができる。これ以外の作用および効果は、正極活物質と同様である。
<2−2.正極およびリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)>
図3は、ラミネートフィルム型の二次電池の分解斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面を拡大している。以下では、既に説明した円筒型のリチウムイオン二次電池の構成要素を随時引用する。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池であり、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30が収納されている。巻回電極体30は、例えば、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層されてから巻回されたものである。この巻回電極体30では、正極33に正極リード31が取り付けられていると共に、負極34に負極リード32が取り付けられている。なお、巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成されていると共に、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。これらの導電性材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。このラミネートフィルムでは、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着されている。ただし、2枚のフィルムは、接着剤などにより貼り合わされていてもよい。融着層は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材40は、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムであることが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、または金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。この密着性の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを有していると共に、負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを有している。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。すなわち、正極活物質層33Bは、正極活物質として第1および第2リチウム含有化合物を含んでいる。また、セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
[電解質層]
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、いわゆるゲル状の電解質である。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。この電解質層36は、必要に応じて、添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
高分子化合物は、高分子材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この高分子材料は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、またはポリカーボネートなどであり、この他、共重合体でもよい。この共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。中でも、ポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、円筒型の場合と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
[二次電池の動作]
この二次電池では、例えば、充電時において、正極33から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵されると共に、放電時において、負極34から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して正極21に吸蔵される。この場合でも、初回充電時に負極34で不可逆容量の発生反応を完了させるために、初回充電時の充電電圧を初回以降の充電時の充電電圧よりも高くすることが好ましい。
[二次電池の製造方法]
ゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。この場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などの溶媒とを含む前駆溶液を調製したのち、その前駆溶液を正極33および負極34に塗布して、ゲル状の電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層してから巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を接着させて、その外装部材40の内部に巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード52を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を積層してから巻回させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。続いて、モノマーを熱重合させて、高分子化合物を形成する。これにより、ゲル状の電解質層36が形成される。
第3手順では、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物は、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体または多元共重合体)などである。具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体、またはフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種類または2種類以上の高分子化合物を用いてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。続いて、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸するため、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36とが十分に密着する。
[二次電池の作用および効果]
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極33の正極活物質層33Bが上記した正極活物質を含んでいるので、円筒型の場合と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型の場合と同様である。
<2−3.正極およびリチウム金属二次電池>
ここで説明する二次電池は、負極の容量がリチウム金属の析出および溶解により表されるリチウム金属二次電池である。この二次電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により構成されていることを除き、上記した円筒型のリチウムイオン二次電池と同様の構成を有していると共に、同様の手順により製造される。
この二次電池は、負極活物質としてリチウム金属を用いているため、高いエネルギー密度が得られるようになっている。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に存在するようにしてもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成されるようにしてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体としても利用して、負極集電体22Aを省略してもよい。
この二次電池では、例えば、充電時において、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。また、例えば、放電時において、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池によれば、正極21の正極活物質層21Bが上記した正極活物質を含んでいるので、リチウムイオン二次電池と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、リチウムイオン二次電池と同様である。なお、ここで説明した二次電池は、円筒型に限らず、ラミネートフィルム型に適用されてもよい。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の適用例について説明する。
二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして使用可能な機械、機器、器具、装置またはシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として使用される二次電池は、主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。後者の場合、主電源の種類は二次電池に限られない。
二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビまたは携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源またはメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルまたは電動のこぎりなどの電動工具である。ノート型パソコンなどの電源として用いられる電池パックである。ペースメーカーまたは補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、上記以外の用途でもよい。
中でも、二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具または電子機器などに適用されることが有効である。優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることで、有効に性能向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源であり、いわゆる組電池などである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されており、その電力が必要に応じて消費されるため、家庭用の電気製品などが使用可能になる。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
ここで、二次電池のいくつかの適用例について具体的に説明する。なお、以下で説明する各適用例の構成はあくまで一例であるため、適宜変更可能である。
<3−1.電池パック>
図5は、電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、図5に示したように、プラスチック材料などにより形成された筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。
制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。電源62は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源62は、例えば、2以上の二次電池を含む組電池であり、それらの接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6つの二次電池を含んでいる。
スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオード(いずれも図示せず)などを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものである。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力するようになっている。この温度測定結果は、例えば、異常発熱時に制御部61が充放電制御を行う場合や、制御部61が残容量の算出時に補正処理を行うために用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定して、その測定電圧アナログ/デジタル(A/D)変換して制御部61に供給するものである。
スイッチ制御部67は、電流測定部66および電圧測定部66から入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御するものである。
このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部67(充電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に充電電流が流れないように制御するようになっている。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れた場合に、充電電流を遮断するようになっている。
また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部67(放電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に放電電流が流れないように制御するようになっている。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れた場合に、放電電流を遮断するようになっている。
なお、二次電池では、例えば、過充電検出電圧は4.2V±0.05Vであり、過放電検出電圧は2.4V±0.1Vである。
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどである。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値や、製造工程段階で測定された二次電池の情報(例えば、初期状態の内部抵抗など)が記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量を記憶させておけば、制御部10が残容量などの情報を把握できる。
温度検出素子69は、電源62の温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものであり、例えば、サーミスタなどである。
正極端子71および負極端子72は、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えばノート型のパーソナルコンピュータなど)または電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)に接続される端子である。電源62の充放電は、正極端子71および負極端子72を介して行われる。
<3−2.電動車両>
図6は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。この電動車両は、例えば、図6に示したように、金属製の筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、電動車両は、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
この電動車両は、エンジン75またはモータ77のいずれか一方を駆動源として走行可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合、エンジン75の駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力は発電機79にも伝達され、その回転力により発電機79が交流電力を発生させると共に、その交流電力はインバータ83を介して直流電力に変換され、電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換され、その交流電力によりモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。
なお、図示しない制動機構により電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達され、その回転力によりモータ77が交流電力を発生させるようにしてもよい。この交流電力はインバータ82を介して直流電力に変換され、その直流回生電力は電源76に蓄積されることが好ましい。
制御部74は、電動車両全体の動作を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源76は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源76は、外部電源と接続され、その外部電源から電力供給を受けることで電力を蓄積可能になっていてもよい。各種センサ84は、例えば、エンジン75の回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどを含んでいる。
なお、上記では電動車両としてハイブリッド自動車について説明したが、電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
<3−3.電力貯蔵システム>
図7は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。この電力貯蔵システムは、例えば、図7に示したように、一般住宅または商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。
ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車された電動車両96に接続可能になっている。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能になっている。
なお、電気機器94は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビまたは給湯器などの1または2以上の家電製品を含んでいる。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機または風力発電機などの1種類または2種類以上である。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクまたはハイブリッド自動車などの1種類または2種類以上である。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所または風力発電所などの1種類または2種類以上である。
制御部90は、電力貯蔵システム全体の動作(電源91の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源91は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要側の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信可能になっている。これに伴い、スマートメータ92は、例えば、必要に応じて外部と通信しながら、家屋89における需要・供給のバランスを制御し、効率的で安定したエネルギー供給を可能にするようになっている。
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である太陽光発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部91の指示に応じて、必要に応じて電気機器94または電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、電動車両96が充電可能になる。すなわち、電力貯蔵システムは、電源91を用いて、家屋89内における電力の蓄積および供給を可能にするシステムである。
電源91に蓄積された電力は、任意に利用可能である。このため、例えば、電気使用量が安い深夜に集中型電力系統97から電源91に電力を蓄積しておき、その電源91に蓄積しておいた電力を電気使用量が高い日中に用いることができる。
なお、上記した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
<3−4.電動工具>
図8は、電動工具のブロック構成を表している。この電動工具は、例えば、図8に示したように、電動ドリルであり、プラスチック材料などにより形成された工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この制御物99は、図示しない動作スイッチの操作に応じて、必要に応じて電源100からドリル部101に電力を供給して可動させるようになっている。
本技術の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1〜21)
[正極活物質の合成]
以下の手順により、正極活物質である第1および第2リチウム含有化合物を得た。最初に、原料である硫酸マンガン(MnSO4 )と硫酸ニッケル(NiSO4 )と硫酸コバルト(CoSO4 )とを水に溶解させたのち、十分に攪拌しながら水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を加えて、共沈物(Mn−Ni−Co−複合共沈水酸化物)を得た。この場合には、MnとCoとNiとのモル比が表1〜表3に示した値となるように配合比を調整した。続いて、共沈物を水洗してから乾燥させたのち、水酸化リチウム・一水和物(Li2 (OH)2 ・H2 O)を加えて前駆体を得た。この場合には、Liと(Mn+Co+Ni)とのモル比が表1〜表3に示した値となるように添加量を調整した。続いて、空気気流中で前駆体を焼成して、2種類のリチウム含有化合物(Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e )である第1および第2リチウム含有化合物を得た。この場合には、焼成時の温度および時間を変化させることで、表1〜表3に示した値となるように結晶子径D1,D2(nm)および含有量W1,W2(重量%)を調整した。この結晶子径D1,D2は、株式会社リガク製のX線回折装置RINT2000を用いて測定された値である。なお、表1〜表3に示した各実験例において、上段は第1リチウム含有化合物の構成条件、下段は第2リチウム含有化合物の構成条件をそれぞれ表している。
第1および第2リチウム含有化合物を得る場合には、必要に応じて、原料として水酸化アルミニウム(Al(OH)3 )、炭酸マグネシウム(MgCO3 )または酸化チタン(TiO2 )を加えた。この場合には、MnとCoとNiと元素M(Al等)とのモル比が表1〜表3に示した値となるように配合比を調整した。
[二次電池の作製]
上記した正極活物質を用いて電池特性を調べるために、図3および図4に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を作製した。
正極33を作製する場合には、正極活物質(第1および第2リチウム含有化合物)90質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))5質量部と、正極導電剤(ケッチェンブラック)5質量部とを混合して、正極合剤とした。この場合には、表1〜表3に示した混合比となるように、第1および第2リチウム含有化合物の含有量W1,W2を調整した。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP))に正極合剤を分散させて、正極合剤スラリーとした。続いて、バーコータを用いて正極集電体33A(15μm厚のアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを均一に塗布したのち、温風乾燥して正極活物質層33Bを形成した。最後に、正極活物質層33Bを圧縮成型(130℃×800kg重)したのち、帯状(48mm×300mm)に切断した。圧縮成形後の正極活物質層33Bの体積密度(g/cm3 )は、表1〜表3に示した通りである。なお、圧縮成型時には、油圧式手動ポンプおよび単動式シリンダを備えた理研精機株式会社製のプレス装置(SUS製プレス治具径φ=15.5)を用いた。
負極34を作製する場合には、表1〜表3に示した負極活物質とポリイミドの20重量%NMP溶液とを7:2の質量比で混合して、負極合剤スラリーとした。この負極活物質としては、金属系材料(メジアン径=7μm)である酸化ケイ素(SiO)、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)、炭素材料(メジアン径=15μm)である黒鉛(C)を用いた。この黒鉛は、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)である。続いて、バーコータを用いて負極集電体34A(15μm厚の銅箔)の両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させたのち、上記したプレス装置を用いて圧縮成型すると共に加熱(700℃×3時間)して負極活物質層34Bを形成した。最後に、負極活物質層34Bを帯状(50mm×310mm)に切断した。
二次電池を組み立てる場合には、正極33の正極集電体33Aにアルミニウム製の正極リード25を溶接すると共に、負極34の負極集電体34Aに銅製の負極リード26を溶接した。続いて、セパレータ35(25μm厚の微孔性ポリエチレンフィルム)を介して正極33と負極34とを積層すると共に長手方向に巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付けた。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、外装部材40の3辺における外周縁部同士を熱融着して袋状にした。この外装部材40は、外側から、25μm厚のナイロンフィルムと、40μm厚のアルミニウム箔と、30μm厚のポリプロピレンフィルムとが積層された耐湿性のアルミラミネートフィルムである。最後に、外装部材40の内部に電解液を注入してセパレータ35に含浸させたのち、減圧環境中で外装部材40の残りの1辺を熱融着した。この電解液は、溶媒(炭酸エチレン(EC)および炭酸エチルメチル(EMC))に電解質塩(LiPF6 )が溶解されたものである。溶媒の組成(質量比)はEC:EMC=50:50、電解質塩の含有量は溶媒に対して1mol/dm3 (=1mol/l)とした。
なお、比較のために、表2に示したように、必要に応じて、正極活物質として第1または第2リチウム含有化合物のいずれか一方だけを用いた。
[電池特性の評価]
二次電池の電池特性(電池容量特性、サイクル特性、電池膨れ特性および保存特性)を調べたところ、表1〜表3に示した結果が得られた。
電池容量特性およびサイクル特性を調べる場合には、以下の手順により、2サイクル後の放電容量(mAh)および300サイクル後のサイクル維持率(%)を求めた。この場合には、常温環境中(23℃)で二次電池を2サイクル充放電させて、2サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。続いて、サイクル数の合計が300回になるまで二次電池を繰り返して充放電させて、300サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。最後に、サイクル維持率(%)=(300サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。なお、1サイクル目の充放電時には、1000mAの電流で電池電圧が4.6Vに到達するまで定電流充電し、引き続き4.6Vの定電圧で電流値が1mAに到達するまで定電圧充電したのち、500mAの電流で電池電圧が2.5Vに到達するまで定電流充電した。2サイクル目以降の充放電時には、定電流充電時の目標電池電圧を4.35Vに変更したことを除き、1サイクル目と同様の条件で充放電した。
電池膨れ特性を調べる場合には、充放電前の二次電池の厚さ(mm)を測定したのち、その二次電池を1サイクル充放電させて充放電後の厚さ(mm)を測定した。この測定結果から、膨れ(mm)=充放電後の厚さ−充放電前の厚さを算出した。なお、充放電条件は、電池容量特性等を調べた場合(1サイクル目の充放電条件)と同様である。
保存特性を調べる場合には、二次電池を1サイクル充放電させて、1サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。続いて、二次電池を再び充電させた状態で高温環境中(60℃)に300時間保存したのち、その二次電池を放電させて2サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。この結果から、保存維持率(%)=[2サイクル目(保存後)の放電容量/1サイクル目(保存前)の放電容量]×100を算出した。なお、充放電条件は、電池容量特性等を調べた場合(1サイクル目の充放電条件)と同様である。
Figure 2013218787
Figure 2013218787
Figure 2013218787
正極活物質として第1および第2リチウム含有化合物を用いた場合には、組成、結晶子径D1,D2および含有量W1,W2に応じて、電池特性が特異的な傾向を示した。
詳細には、第1および第2リチウム含有化合物の双方を用いると、いずれか一方だけを用いた場合と比較して、圧縮成型時の圧力が同じであるにもかかわらず、正極活物質層33Bの体積密度が高くなった。これにより、放電容量、サイクル維持率および保存維持率が増加すると共に、膨れが減少した。
第1および第2リチウム含有化合物を用いた場合には、式(1)中のa〜eがそれぞれ適正な範囲内であると、その範囲外である場合と比較して、放電容量、サイクル維持率および保存維持率が増加すると共に、膨れが減少した。
この場合には、結晶子径D1,D2および含有量W1,W2がそれぞれ適正な範囲内であると、その範囲外である場合と比較して、放電容量、サイクル維持率および保存維持率が増加すると共に、膨れが減少した。この適正な範囲とは、1200nm≦D1≦1900nmおよび350nm≦D2≦900nmであると共に、70重量%≦W1≦80重量%および20重量%≦W2≦30重量%である。
特に、第1および第2リチウム含有化合物がCoを構成元素として含んでいると、高い放電容量などが得られた。また、第1および第2リチウム含有化合物が元素M(Alなど)を構成元素として含んでいると、膨れがより減少した。
なお、負極活物質の種類に着目すると、炭素材料(C)を用いた場合よりも、金属系材料(SiOなど)を用いた場合において、放電容量がより増加した。しかも、金属系材料などを用いているにもかかわらず、高いサイクル維持率および保存維持率が得られると共に、膨れも減少した。
(実験例22〜24)
表4に示したように、正極合剤にヘテロポリ酸であるケイタングステン酸(H4 [SiW1240]・nH2 O)を加えたことを除き、実験例1〜21と同様の手順により、正極活物質を合成すると共に二次電池を作製した。正極合剤中におけるケイタングステン酸の含有量は、0.5重量%とした。この二次電池の電池特性を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
Figure 2013218787
正極活物質層33Bがヘテロポリ酸を含んでいると、そのヘテロポリ酸を含んでいない場合と比較して、放電容量、サイクル維持率および保存維持率がほぼ維持されたまま、膨れがより大幅に減少した。
表1〜表4の結果から、正極活物質が第1および第2リチウム含有化合物を含んでいると共に、結晶子径D1,D2および混合比(含有量W1,W2)がそれぞれ適正な範囲内であると、優れた電池特性が得られた。
以上、実施形態および実施例を挙げて本技術について説明したが、本技術は実施形態および実施例で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、電池構造が円筒型またはラミネートフィルム型であると共に、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。本技術の二次電池は、角型、コイン型またはボタン型などの他の電池構造を有する場合や、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても、同様に適用可能である。
また、電極反応物質としてLiを用いる場合について説明したが、これに限られない。この電極反応物質は、例えば、NaまたはKなどの他の1族元素でもよいし、MgまたはCaなどの2族元素でもよいし、Alなどの他の軽金属でもよい。本技術の効果は、電極反応物質の種類に依存せずに得られるはずであるため、その電極反応物質の種類を変更しても同様の効果を得ることができる。
また、第1および第2リチウム含有化合物の結晶子径D1,D2について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明している。しかしながら、その説明は、結晶子径D1,D2が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本技術の効果を得る上で特に好ましい範囲であるため、本技術の効果が得られるのであれば、上記した範囲から結晶子径D1,D2が多少外れてもよい。このことは、混合比(含有量W1,W2)についても同様である。
なお、本技術は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
正極および負極と共に電解液を備え、
前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
二次電池。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
(MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
(2)
前記式(1)中の元素MはAl、MgまたはTiである、
上記(1)に記載の二次電池。
(3)
前記式(1)中のcおよびdは0<c<1−bおよび0<d≦1を満たす、
上記(1)または(2)に記載の二次電池。
(4)
前記負極は金属系材料を含み、
前記金属系材料はSiおよびSnのうちの少なくとも一方を構成元素として含む、
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の二次電池。
(5)
前記金属系材料はSiOv (0.2<v<1.4)である、
上記(4)に記載の二次電池。
(6)
前記正極、前記負極および前記電解液のうちの少なくとも1つは、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方を含む、
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の二次電池。
(7)
前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方にゲル状の被膜が設けられており、 そのゲル状の被膜は、1種類以上のポリ元素を有する非晶質のポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方を含む、
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の二次電池。
(8)
前記ゲル状の被膜は、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方に由来する、
上記(7)に記載の二次電池。
(9)
前記ポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方は、6価のポリ原子イオンと、6価未満のポリ原子イオンとを含む、
上記(8)に記載の二次電池。
(10)
前記ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、下記の式(2)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種である、
上記(8)または(9)に記載の二次電池。
x y (BD6 24)・zH2 0 ・・・(2)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦8、0≦y≦8および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (BD1240)・zH2 0 ・・・(3)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦4、0≦y≦4および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (B2 1862)・zH2 0 ・・・(4)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦8、0≦y≦8および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
x y (B5 30110 )・zH2 0 ・・・(5)
(AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦15、0≦y≦15および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
(11)
前記ヘテロポリ酸は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸およびケイタングステン酸のうちの少なくとも1種である、
上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の二次電池。
(12)
リチウム二次電池である、
上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の二次電池。
(13)
第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
正極活物質。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
(MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
(14)
第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
正極。
Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
(MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
(15)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池の使用状態を制御する制御部と、
その制御部の指示に応じて前記二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と
を備えた、電池パック。
(16)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
前記二次電池の使用状態を制御する制御部と
を備えた、電動車両。
(17)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
を備えた、電力貯蔵システム。
(18)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から電力を供給される可動部と
を備えた、電動工具。
(19)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池を電力供給源として備えた、電子機器。
11…電池缶、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、36…電解質層、40…外装部材。

Claims (19)

  1. 正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    二次電池。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  2. 前記式(1)中のMはAl、MgまたはTiである、
    請求項1記載の二次電池。
  3. 前記式(1)中のcおよびdは0<c<1−bおよび0<d≦1を満たす、
    請求項1記載の二次電池。
  4. 前記負極は金属系材料を含み、
    前記金属系材料はSiおよびSnのうちの少なくとも一方を構成元素として含む、
    請求項1記載の二次電池。
  5. 前記金属系材料はSiOv (0.2<v<1.4)である、
    請求項4記載の二次電池。
  6. 前記正極、前記負極および前記電解液のうちの少なくとも1つは、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方を含む、
    請求項1記載の二次電池。
  7. 前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方にゲル状の被膜が設けられ、
    そのゲル状の被膜は、1種類以上のポリ元素を構成元素として含む非晶質のポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方を含む、
    請求項1記載の二次電池。
  8. 前記ゲル状の被膜は、ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物のうちの少なくとも一方に由来する、
    請求項7記載の二次電池。
  9. 前記ポリ酸およびポリ酸塩化合物のうちの少なくとも一方は、6価のポリ原子イオンと、6価未満のポリ原子イオンとを含む、
    請求項8記載の二次電池。
  10. 前記ヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、下記の式(2)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種である、
    請求項8記載の二次電池。
    x y (BD6 24)・zH2 0 ・・・(2)
    (AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦8、0≦y≦8および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
    x y (BD1240)・zH2 0 ・・・(3)
    (AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦4、0≦y≦4および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
    x y (B2 1862)・zH2 0 ・・・(4)
    (AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦8、0≦y≦8および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
    x y (B5 30110 )・zH2 0 ・・・(5)
    (AはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Al、NH4 、アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。BはP、Si、AsまたはGeである。DはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、ReおよびTlのうちの少なくとも1種である。x〜zは0≦x≦15、0≦y≦15および0≦z≦50を満たす。ただし、xおよびyのうちの少なくとも一方は0でない。)
  11. 前記ヘテロポリ酸は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸およびケイタングステン酸のうちの少なくとも1種である、
    請求項8記載の二次電池。
  12. リチウム二次電池である、
    請求項1記載の二次電池。
  13. 第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    正極活物質。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  14. 第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    正極。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  15. 二次電池と、
    その二次電池の使用状態を制御する制御部と、
    その制御部の指示に応じて前記二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    電池パック。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  16. 二次電池と、
    その二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
    その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
    前記二次電池の使用状態を制御する制御部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    電動車両。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  17. 二次電池と、
    その二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
    前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    電力貯蔵システム。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  18. 二次電池と、
    その二次電池から電力を供給される可動部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    電動工具。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
  19. 二次電池を電力供給源として備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物を含み、
    前記第1リチウム含有化合物および第2リチウム含有化合物はいずれも下記の式(1)で表され、
    前記第1リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D1(nm)は1200nm≦D1≦1900nmを満たすと共に、前記第2リチウム含有化合物の一次粒子の結晶子径D2(nm)は350nm≦D2≦900nmを満たし、
    前記第1リチウム含有化合物と前記第2リチウム含有化合物との混合比は、重量比で第1リチウム含有化合物:第2リチウム含有化合物=80:20〜70:30である、
    電子機器。
    Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a d 2-e ・・・(1)
    (MはAl、Mg、Zr、Ti、Ba、B、SiおよびFeのうちの少なくとも1種であり、a〜eは0.1<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<1−b、0≦d≦1および0≦e≦1を満たす。)
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