JP2002260637A - リチウム二次電池用負極及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用負極及びその製造方法

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厚史 福井
Takuya Hashimoto
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Yasuyuki Kusumoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い放電容量を得ることができ、かつ充放電
サイクル特性に優れたリチウム二次電池用負極及びその
製造方法を得る。 【解決手段】 表面粗さRaが0.2μm以上である銅
箔または銅合金箔などの導電性金属箔11を集電体と
し、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む活物質粒子1
2と、銅または銅合金などの導電性金属粉末13の混合
物を、集電体11の表面上で非酸化性雰囲気下に焼結し
て得られることを特徴とするリチウム二次電池用負極及
びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
用電極及びその製造方法並びにリチウム二次電池に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池の負極にリチウム金属
を用いると、高い充放電容量を得ることができるが、充
電の際にリチウム金属が負極上にデンドライト状に析出
するため、内部短絡等を発生し易いという問題を有して
いる。
【0003】このような問題を生じず、かつ高い充放電
容量を期待することができるものとして、Si、Sn、
Alなどのリチウムと合金化する金属を負極活物質とし
て用いることが考えられる。しかしながら、このような
合金化する金属を活物質として用いると、高容量を期待
することはできるが、充放電の繰り返しにより、その体
積が大きく変化するため、活物質が微粉化し、集電体か
ら剥離するという問題がある。
【0004】特開平11−339777号公報では、活
物質としてケイ素粉末を含有するスラリーを集電体上に
塗布した後、非酸化性雰囲気下でこれを焼成することに
より、集電体と活物質の間の接触抵抗を低減することが
提案されている。
【0005】また、特公平11−2948205号で
は、リチウム二次電池の負極として、ケイ素またはケイ
素とカーボンの複合物を導電性金属基材上に塗布し、非
酸化性雰囲気下で焼結したものを用いることが提案され
ている。
【0006】また、特開平2000−12089号公報
では、ケイ化銅またはケイ素と導電性カーボンまたは導
電性金属との複合体を導電性金属箔と焼結したものを用
いることが提案されている。また、特開2000−12
088号公報では、平均粗さ0.03μm以上の集電体
上に活物質を結着剤により付着させたものを用いること
が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の方法によっても、十分に良好な充放電サイクル特
性を得ることができず、実用的なリチウム二次電池用負
極とすることができないという問題があった。
【0008】本発明の目的は、高い充放電容量を得るこ
とができ、かつ充放電特性に優れたリチウム二次電池用
電極及びその製造方法並びにこれを用いたリチウム二次
電池に関するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の局面に従
うリチウム二次電池用負極は、表面粗さRaが0.2μ
m以上である導電性金属箔を集電体とし、ケイ素及び/
またはケイ素合金を含む活物質粒子と導電性金属粉末の
混合物の層を集電体の表面上で非酸化性雰囲気下に焼結
して得られることを特徴としている。
【0010】本発明の第2の局面に従うリチウム二次電
池用負極は、表面粗さRaが0.2μm以上である導電
性金属箔を集電体とし、ケイ素及び/またはケイ素合金
を含む活物質粒子の層を集電体の表面上で非酸化性雰囲
気下に焼結して得られることを特徴としている。
【0011】本発明の第3の局面に従うリチウム二次電
池用負極の製造方法は、表面粗さRaが0.2μm以上
である導電性金属箔の表面上に、ケイ素及び/またはケ
イ素合金を含む活物質粒子と導電性金属粉末の混合物の
層を形成する工程と、該混合物の層を導電性金属箔の表
面上に配置した状態で非酸化性雰囲気下で焼結する工程
とを備えることを特徴としている。
【0012】本発明の第4の局面に従うリチウム二次電
池用負極の製造方法は、表面粗さRaが0.2μm以上
である導電性金属箔の表面上に、ケイ素及び/またはケ
イ素合金を含む活物質粒子の層を形成する工程と、該活
物質粒子の層を導電性金属箔の表面上に配置した状態で
非酸化性雰囲気下で焼結する工程とを備えることを特徴
としている。
【0013】本発明の第5の局面に従うリチウム二次電
池用電極は、リチウムと合金化する材料からなる活物質
粒子の層が集電体上に設けられており、活物質粒子の層
において活物質粒子が焼結によって互いに結合されてお
り、かつ活物質粒子中にリチウムと合金化しない成分が
拡散していることを特徴としている。
【0014】本発明のリチウム二次電池は、上記本発明
の第1または第2の局面の負極、本発明の第3または第
4の局面の方法から製造された負極、または本発明の第
5の局面の電極からなる負極と、正極活物質を含む正極
と、非水電解質とからなることを特徴としている。
【0015】以下、本発明の第1〜第5の局面において
共通する事項については、「本発明」として説明する。
本発明においては、表面粗さRaが0.2μm以上であ
る導電性金属箔を集電体として用いることが好ましい。
この表面粗さRaの値は、焼結する前の値である。この
ような表面粗さRaを有する導電性金属箔を集電体とし
て用いることにより、活物質粒子と導電性金属粉末の混
合物と金属箔表面との接触面積が大きくなるため、非酸
化性雰囲気下での焼結が効果的に起こり、活物質粒子と
導電性金属粉末と集電体との密着性が大きく向上する。
このため、充放電反応においてリチウムを吸蔵・放出す
る際に生じる活物質の大きな体積膨張及び収縮と、微粉
化による活物質の集電体からの剥離が抑制される。ま
た、導電性金属粉末を混合せずに、活物質粒子のみを用
いた場合にも、集電体との接触面積を大きくすることが
でき、活物質粒子と集電体との密着性を高めることがで
きる。
【0016】導電性金属箔の表面粗さRaの上限は、特
に限定されるものではないが、後述するように、導電性
金属箔の厚みが10〜100μmの範囲にあることが好
ましいので、実質的には表面粗さRaの上限は10μm
以下である。
【0017】また、表面粗さRaと局部山頂の平均間隔
Sは、100Ra≧Sの関係を有することが好ましい。
表面粗さRa及び局部山頂の平均間隔Sは、日本工業規
格(JIS B 0601−1994)に定められてお
り、例えば、表面粗さ計により測定することができる。
【0018】また、本発明において、導電性金属粉末を
活物質粒子に混合した状態で焼結した場合、活物質粒子
の周囲に導電性金属粉末による強固な導電性のネットワ
ークが形成される。このため、微粉化が生じても集電性
が保たれ、接触抵抗が大きくなるのを抑制することがで
きる。
【0019】本発明において集電体として用いる導電性
金属箔としては、例えば銅、ニッケル、鉄、チタン、コ
バルト等の金属またはこれらの組み合わせからなる合金
のものを挙げることができる。特に、活物質粒子中に拡
散し易い金属元素を含有するものが好ましい。このよう
な観点からは、銅箔または銅合金箔であることが好まし
い。銅元素は、熱処理により活物質粒子中に拡散し易
く、焼結における活物質粒子との結合性の向上を期待す
ることができる。表面粗さRaが0.2μm以上である
銅箔としては、例えば、電解銅箔及び電解銅合金箔が挙
げられる。電解銅箔及び電解銅合金箔は、銅箔の表面に
電解法により、銅または銅合金を析出させたものであ
る。また、表面に電解法による銅または銅合金を形成し
たその他の金属箔であってもよい。このようなものとし
て、ニッケル箔の表面に電解法により銅または銅合金を
析出させたものを挙げることができる。
【0020】また、本発明において、活物質粒子と混合
する導電性金属粉末としては、上記導電性金属箔と同様
の材質のものを好ましく用いることができる。具体的に
は、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属また
はこれらの組み合わせからなる合金または混合物であ
る。特に、導電性金属粉末としては銅粉末が好ましく用
いられる。活物質粒子と導電性金属粉末の混合物を集電
体の表面上で焼結することにより、導電性金属箔及び/
または導電性金属粉末中の金属成分が活物質粒子中に拡
散し、活物質粒子の周辺にこの金属成分が偏在した状態
になると考えられる。金属成分として、銅などのよう
な、リチウムと合金化しない金属成分を用いることによ
り、この金属成分が偏在した箇所において充放電反応時
の体積の膨張収縮が抑制されるため、集電体からの活物
質の剥離及び集電体材料の微粉化が抑制され、充放電サ
イクル特性に優れたものとすることができる。
【0021】本発明において用いる活物質粒子として、
ケイ素及び/またはケイ素合金の粉末が挙げられる。ケ
イ素合金としては、ケイ素と他の1種以上の元素との固
溶体、ケイ素と他の1種以上の元素との金属間化合物、
ケイ素と他の1種以上の元素との共晶合金などが挙げら
れる。合金の作製方法としては、アーク溶解法、液体急
冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化
学気相成長法、焼成法などが挙げられる。特に、液体急
冷法としては、単ロール急冷法、双ロール急冷法、及び
ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイ
ズ法などの各種アトマイズ法が挙げられる。
【0022】また、本発明において用いる活物質粒子と
しては、ケイ素及び/またはケイ素合金の粒子表面を金
属等で被覆したものを用いてもよい。被覆方法として
は、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着
法、スパッタリング法、化学気相成長法などが挙げられ
る。粒子表面を被覆する金属としては、導電性金属箔や
導電性金属粉末と同じ金属であることが好ましい。導電
性金属箔及び導電性金属粉末と同じ金属を、被覆するこ
とにより、焼結の際の集電体及び導電性金属粉末との結
合性が大きく向上し、さらに優れた充放電サイクル特性
を得ることができる。
【0023】本発明において用いる活物質粒子として、
リチウムと合金化する材料からなる粒子を用いてもよ
い。リチウムを合金化する材料としては、上記のケイ素
及びケイ素合金の他に、ゲルマニウム、錫、鉛、亜鉛、
マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、
インジウム及びこれらの合金などが挙げられる。
【0024】本発明において用いる活物質粒子の平均粒
径は、特に限定されないが、効果的な焼結を生じるため
には、100μm以下であることが好ましく、さらに好
ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下で
ある。活物質粒子の平均粒径が小さいほど、良好なサイ
クル特性が得られる傾向にある。また、本発明において
用いる導電性金属粉末の平均粒径も、特に限定されるも
のではないが、100μm以下であることが好ましく、
さらに好ましくは50μm以下であり、さらに好ましく
は10μm以下である。
【0025】本発明において導電性金属粉末の混合割合
は、重量比で活物質粒子1に対して、0.05〜50の
範囲内であることが好ましい。導電性金属粉末の混合割
合が少な過ぎると、良好な充放電サイクル特性が得られ
ない場合があり、多過ぎると、活物質粒子の混合割合が
相対的に少なくなるので、充放電容量が小さくなる。
【0026】しかしながら、活物質粒子の平均粒径が小
さい場合には、導電性金属粉末が混合されていなくと
も、すなわち活物質粒子のみでも良好な充放電サイクル
特性が得られる場合がある。
【0027】本発明において、導電性金属箔の厚みは特
に限定されるものではないが、10μm〜100μmの
範囲であることが好ましい。また、導電性金属箔上の活
物質粒子と導電性金属粉末の混合物の層または活物質粒
子の層からなる焼結体の厚みは、特に限定されるもので
はないが、1000μm以下が好ましく、さらに好まし
くは10μm〜100μmである。
【0028】本発明における非酸化性雰囲気下での焼結
は、例えば、窒素雰囲気下またはアルゴンなどの不活性
ガス雰囲気下で行う。水素雰囲気などの還元性雰囲気下
で行ってもよい。焼結する際の熱処理の温度は、導電性
金属箔、導電性金属粉末及び活物質粒子の融点以下の温
度であることが好ましい。例えば、導電性金属箔及び導
電性金属粉末として銅を用いた場合には、融点である1
083℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは
200〜500℃であり、さらに好ましくは300〜4
50℃である。焼結する方法として、放電プラズマ焼結
法やホットプレス法を用いてもよい。
【0029】活物質粒子として、ケイ素及び/またはケ
イ素合金を含む粉末を用い、活物質粒子中に銅元素を拡
散させる場合、焼結する際の熱処理の温度を高くする
と、多量の銅元素が活物質粒子中に拡散し、ケイ素と銅
の金属間化合物であるケイ化銅が形成される場合があ
る。ケイ化銅が形成されると、充放電サイクル特性が悪
くなる傾向にあるので、X線回折でケイ化銅の析出が検
出されないような条件で焼結することが好ましい。
【0030】以上のような観点から、上記温度範囲で焼
結することが好ましい。また、本発明においては、活物
質粒子と導電性金属粉末とバインダーを含むスラリー、
または活物質粒子及びバインダーを含むスラリーを塗布
して、集電体である導電性金属箔の上に、混合物の層ま
たは活物質粒子の層を形成することができる。バインダ
ーは、焼結のための熱処理後も完全に分解せずに残存し
ていることが好ましい。熱処理後もバインダーが分解せ
ずに残存していることにより、焼結による活物質粒子と
集電体との間の密着性の向上及び活物質粒子間の密着性
の向上に加え、バインダーによる結着力も加わり、密着
性をさらに高めることができる。従って、活物質粒子の
微粉化及び活物質粒子の集電体からの剥離が抑制され、
さらに良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
【0031】本発明におけるバインダーとしては、ポリ
イミドが好ましく用いられる。ポリイミドは、例えばポ
リアミド酸を熱処理することによって得ることできる。
この熱処理によりポリアミド酸が脱水縮合して、ポリイ
ミドが生成する。本発明においては、ポリイミドのイミ
ド化率が80%以上のものが好ましい。ポリイミドのイ
ミド化率が80%未満であると、活物質粒子及び集電体
との密着性が良好でなくなる場合がある。ここで、イミ
ド化率とは、ポリイミド前駆体に対する生成したポリイ
ミドのモル%である。イミド化率80以上のものは、例
えば、ポリアミド酸のNMP(N−メチルピロリドン)
溶液を100℃〜400℃の温度で1時間以上熱処理す
ることにより得ることができる。例えば、350℃で熱
処理する場合、熱処理時間が約1時間でイミド化率が約
80%となり、約3時間でイミド化率は約100%とな
る。本発明では、焼結のための熱処理後もバインダーは
完全に分解せずに残存しているものであることが好まし
いので、バインダーとしてポリイミドを用いる場合に
は、ポリイミドが完全に分解しない600℃以下の温度
で焼結することが好ましい。
【0032】また、バインダーとして、フッ素原子を含
むバインダーも好ましく用いることができる。フッ素原
子を含むバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン及
びポリテトラフルオロエチレンが特に好ましい。ポリフ
ッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンをバ
インダーとして用い、バインダーが完全に分解しないよ
うな温度で焼結のための熱処理を行なうことにより、さ
らに良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
【0033】以上のような観点から、焼結の際の熱処理
温度は、上述のように、200〜500℃が好ましく、
さらに好ましくは300〜450℃である。また、本発
明においては、集電体としての導電性金属箔の上に、活
物質粒子と導電性金属粉末の混合物の層または活物質粒
子の層を形成した後、焼結する前に、これらの層を導電
性金属箔とともに圧延することが好ましい。このような
圧延により、混合物の層または活物質粒子の層における
充填密度を高めることができ、粒子間の密着性及び粒子
と集電体との密着性を高めることができるので、良好な
充放電サイクル特性を得ることができる。
【0034】また、本発明においては、導電性金属箔の
表面の凹部に活物質粒子及び/またはバインダーが入り
込んでいることが好ましい。導電性金属箔表面の凹部に
活物質粒子及び/またはバインダーが入り込むことによ
り、混合物の層または活物質粒子の層と集電体との密着
性をさらに高めることができる。
【0035】本発明のリチウム二次電池は、上記本発明
の負極もしくは上記本発明の電極からなる負極または上
記本発明の製造方法により製造された負極と、正極活物
質を含む正極と、非水電解質とからなることを特徴とし
ている。
【0036】本発明のリチウム二次電池に用いる電解質
の溶媒は、特に限定されるものではないが、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボ
ネートなどの環状カーボネートと、ジメチルカーボネー
ト、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート
などの鎖状カーボネートとの混合溶媒が例示される。ま
た、前記環状カーボネートと1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒と
の混合溶媒も例示される。また、電解質の溶質として
は、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3 SO3 、Li
N(CF3 SO2)2、LiN(C25 SO2)2 、Li
N(CF3 SO2)( C49 SO2)、LiC(CF3
2)3 、LiC(C25 SO2)3 など及びそれらの混
合物が例示される。さらに電解質として、ポリエチレン
オキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質
に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、
Li3Nなどの無機固体電解質が例示される。本発明の
リチウム二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させ
る溶媒としてのリチウム化合物とこれを溶解・保持する
溶媒が電池の充電時や放電時あるいは保存時の電圧で分
解しない限り、制約なく用いることができる。
【0037】本発明のリチウム二次電池の正極活物質と
しては、LiCoO2 、LiNiO 2 、LiMn2
4 、LiMnO2 、LiCo0.5 Ni0.52 、LiN
0.7Co0.2 Mn0.12 などのリチウム含有遷移金
属酸化物や、MnO2 などのリチウムを含有していない
金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウム
を電気化学的に挿入・脱離する物質であれば、制限なく
用いることができる。
【0038】図2は、本発明のリチウム二次電池用負極
の一例を示す模式的断面図である。導電性金属箔11の
上には、活物質粒子12と導電性金属粉末13が設けら
れており、これらは焼結されている。活物質粒子12に
は、導電性金属箔11からの金属成分が拡散した領域1
2a及び導電性金属粉末13からの金属成分が拡散した
領域12bが形成されている。導電性金属箔11から拡
散する金属成分、及び導電性金属粉末13から拡散する
金属成分が、リチウムと合金化しない金属成分である場
合、これらの拡散領域12a及び12bにおいては、活
物質粒子12がリチウムを吸蔵する際に生じる体積の膨
張が小さくなる。従って、活物質粒子12の導電性金属
箔11からの剥離や、導電性金属粉末13からの剥離が
抑制され、さらに活物質粒子12自身の微粉化も抑制さ
れるので、充放電サイクル特性を向上させることができ
ると考えられる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいて
さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら
限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲に
おいて適宜変更して実施することが可能なものである。
【0040】(実験1) 〔負極の作製〕導電性金属粉末としての平均粒径10μ
mのフレーク状銅粉末と、活物質粒子としての平均粒径
50μmのケイ素粉末とを、重量比で4:1(=1:
0.25)となるように秤量し、乳鉢で乾式混合した。
この混合物90重量部を、結着剤としてのポリフッ化ビ
ニリデン10重量部を含む8重量%のN−メチルピロリ
ドン溶液に混合し、負極合剤スラリーとした。
【0041】この負極合剤スラリーを、集電体である表
面粗さRaが0.5μmである電解銅箔(厚み15μ
m)の片面に塗布し、乾燥した後これを圧延した。得ら
れたものを、直径20mmの円板状に切り抜き、これを
アルゴン雰囲気下で700℃10時間熱処理し、焼結し
て負極とした。焼結体の厚み(集電体は含まない)は5
0μmであった。
【0042】〔正極の作製〕出発原料として、Li2
3 及びCoCO3 を用いて、Li:Coの原子比が
1:1となるように秤量して乳鉢で混合し、これを直径
17mmの金型でプレスし、加圧成形した後、空気中に
おいて、800℃24時間焼成し、LiCoO 2 の焼成
体を得た。これを乳鉢で粉砕し、平均粒径20μmに調
製した。
【0043】得られたLiCoO2 粉末90重量部と、
導電剤として人口黒鉛粉末5重量部を、結着剤としての
ポリフッ化ビニリデン5重量部を含む5重量%のN−メ
チルピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーとし
た。この正極合剤スラリーを、集電体であるアルミニウ
ム箔の上に塗布し、乾燥した後圧延した。得られたもの
を直径20mmの円板状に切り抜き、正極とした。
【0044】〔電解液の作製〕電解液として、エチレン
カーボネートとジエチレンカーボネートとの等体積混合
溶媒に、LiPF6 を1モル/リットル溶解したものを
作製した。
【0045】〔電池の作製〕上記の正極、負極、及び電
解液を用いて、扁平型のリチウム二次電池A1を作製し
た。
【0046】図1は、作製したリチウム二次電池の断面
模式図であり、正極1、負極2、セパレーター3、正極
缶4、負極缶5、正極集電体6、負極集電体7及びポリ
プロピレン製の絶縁パッキング8などからなる。
【0047】正極1及び負極2は、セパレーター3を介
して対向している。これらは正極缶4及び負極缶5が形
成する電池ケース内に収納されている。正極1は、正極
集電体6を介して正極缶4に接続され、負極2は負極集
電体7を介して負極缶5に接続され、二次電池としての
充電及び放電が可能な構造となっている。
【0048】(実験2)ケイ素と、ニッケルまたは銅を
原子比で9:1となるように混合し、単ロール急冷法に
より、Si9 Ni合金及びSi9 Cu合金を作製した。
これらの合金を乳鉢で平均粒径50μmとなるように粉
砕した。実験1において、ケイ素粉末の代わりに、これ
らの合金粉末を用いる以外は、実験1と同様にして電池
A2及びA3を作製した。電池A2はSi9 Ni合金を
用いたものであり、電池A3はSi9 Cu合金を用いた
ものである。
【0049】(実験3)平均粒径50μmのケイ素粉末
の表面を、無電解めっき法によりニッケルで被覆した。
得られたものについて原子吸光法(ICP)で確認した
ところ、ニッケルによるケイ素粉末の被覆量は、全体に
対して0.5重量%であった。実験1において、ケイ素
粉末の代わりに、このニッケルを被覆したケイ素粉末を
用いる以外は、実験1と同様にして電池A4を作製し
た。
【0050】(実験4)ニッケル箔及びステンレス箔の
表面に電解法により、銅を析出させ、銅被覆ニッケル箔
(厚み15μm)及び銅被覆ステンレス箔(厚み15μ
m)を作製した。これらの表面粗さRaは、いずれも
0.5μmであった。
【0051】実験1において、電解銅箔の代わりに、こ
れらの銅被覆ニッケル箔及び銅被覆ステンレス箔を用い
る以外は、実験1と同様にして、電池A5及びA6を作
製した。電池A5は銅被覆ニッケル箔を用いたものであ
り、電池A6は銅被覆ステンレス箔を用いたものであ
る。
【0052】また、表面粗さRaが0.5μmである電
解ニッケル箔及び電解鉄箔を、実験1において電解銅箔
の代わりに用いる以外は、実験1と同様にして電池A7
及びA8を作製した。電池A7は電解ニッケル箔を用い
たものであり、電池A8は電解鉄箔を用いたものであ
る。
【0053】(実験5)実験1において、フレーク状銅
粉末の代わりに、平均粒径10μmのフレーク状ニッケ
ル粉末または平均粒径10μmのフレーク状鉄粉末を用
いる以外は、実験1と同様にして電池A9及びA10を
作製した。電池A9はフレーク状ニッケル粉末を用いた
ものであり、電池A10はフレーク状鉄粉末を用いたも
のである。
【0054】また、実験1で用いたフレーク状銅粉末
と、平均粒径10μmのフレーク状ニッケル粉末を等重
量で混合したものを作製し、これを実験1においてフレ
ーク状銅粉末の代わりに用いる以外は、実験1と同様に
して電池A11を作製した。
【0055】(実験6)実験1において、表面粗さRa
が0.5μmである電解銅箔の代わりに、表面粗さRa
が0.2μmである電解銅箔を用いて、電池A12を作
製した。また、実験1において、表面粗さRaが0.5
μmである電解銅箔の代わりに、表面粗さRaが0.1
μmである圧延銅箔を用いて、電池B1を作製した。
【0056】〔充放電サイクル特性の評価〕上記の電池
A1〜A12及びB1について、充放電サイクル特性を
評価した。各電池を、25℃において、電流値1mAで
4.2Vまで充電した後、電流値1mAで2.7Vまで
放電し、これを1サイクルの充放電とした。1サイクル
目の放電容量の80%に達するまでのサイクル数を測定
し、サイクル寿命とした。結果を表1に示す。なお、各
電池のサイクル寿命は、電池A1のサイクル寿命を10
0とした指数である。
【0057】
【表1】
【0058】表1から明らかなように、表面粗さRaが
0.2μm以上である金属箔を用いた電池A1〜A12
は、表面粗さRaが0.1μmである金属箔を用いた電
池B1に比べ、サイクル寿命が長いことがわかる。これ
は、表面粗さRaが0.2μm以上の金属箔を用いるこ
とにより、活物質粒子と導電性金属粉末及び導電性金属
箔との焼結が効果的に生じ、活物質粒子の集電体に対す
る密着性が多く向上したためと考えられる。
【0059】(実験7)ここでは、サイクル特性に与え
る焼結の影響について検討した。実験1において、負極
合剤スラリーを電解銅箔に塗布し、乾燥して圧延した
後、熱処理を行わなかった負極を作製し、これを用いて
電池B2を作製した。この電池について、上記と同様に
サイクル特性を評価した。なお、サイクル寿命は電池A
1のサイクル寿命を100とした指数である。表2に
は、電池A1のサイクル寿命も併せて示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2から明らかなように、熱処理を行った
電池A1の方が、熱処理を行わなかった電池B2に比
べ、遥かに優れたサイクル特性を示している。これは、
熱処理を行うことにより、活物質粒子と導電性金属粉末
及び導電性金属箔の密着性が向上するとともに、導電性
金属箔及び導電性金属粉末からの金属成分が活物質粒子
中に拡散し、この拡散領域のネットワークが形成され、
集電性が向上したことによるものと考えられる。
【0062】(実験8)ここでは、導電性金属粉末の混
合量とサイクル特性との関係を検討した。実験1におい
て、フレーク状銅粉末の混合量を、重量比で、ケイ素粉
末1に対して、1(銅粉末量50重量%)、0.5(銅
粉末量33.3重量%)、0.125(銅粉末量11.
1重量%)、及び0(銅粉末量0重量%)となるように
変化させた以外は、実験1と同様にして、電池A13、
電池A14、電池A15、及び電池A16を作製した。
【0063】これらの電池について、上記と同様にサイ
クル特性を評価した。結果を表3に示す。なお、各電池
のサイクル寿命は、電池A1のサイクル寿命を100と
した指数である。
【0064】
【表3】
【0065】表3から明らかなように、フレーク状銅粉
末を混合した電池A1及びA13〜A15は、フレーク
状銅粉末を混合していない電池A16に比べ、遥かに良
好なサイクル寿命を示していることがわかる。これは、
銅粉末を混合することにより、活物質粒子であるケイ素
粉末の密着性が向上し、さらにはケイ素粉末の周りに銅
粉末による強固な導電性のネットワークが形成されるた
め、集電性が向上したものと考えられる。
【0066】(実験9)ここでは、熱処理温度、ケイ素
粉末の平均粒径、及び導電性金属粉末の平均粒径とサイ
クル寿命との関係を検討した。
【0067】実験1において、熱処理条件、ケイ素粉末
の平均粒径、及び導電性金属粉末の平均粒径及び種類
を、表4に示すように変更した以外は、実験1と同様に
して、電池A17〜A24を作製した。これらの電池に
ついて、実験1と同様にしてサイクル特性を評価した。
結果を表4に示す。なお、各電池のサイクル寿命は、電
池A1のサイクル寿命を100とした指数である。
【0068】
【表4】
【0069】表4から明らかなように、熱処理温度を2
00℃〜500℃の範囲とすることにより、サイクル特
性が著しく向上することがわかる。熱処理温度として
は、400℃程度が特に好ましいことがわかる。また、
電池A1と電池A18及び電池A17と電池A20との
比較から明らかなように、ケイ素粉末の平均粒径を50
μmから3μmに小さくすることにより、著しくサイク
ル特性が向上している。
【0070】図3は、電池A18及び電池A20の負極
のX線回折プロファイルを示す図である。図3から明ら
かなように、熱処理を400℃で行った電池A20の電
極では、ケイ化銅のピークは認められていないが、70
0℃で熱処理を行った電池A18の電極では、ケイ化銅
のピークが認められる。従って、700℃の温度で熱処
理することにより、ケイ素粉末に過剰の銅元素が拡散し
ケイ化銅が析出しているものと思われる。従って、より
良好なサイクル特性を得るためには、ケイ化銅が生じな
いような熱処理条件で焼結することが好ましいことがわ
かる。
【0071】図4及び図5は、電池A20に用いた負極
の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4の倍率は1000倍であり、図5の倍率は5000
倍である。なお、観察に用いたサンプルは、樹脂で包埋
し、スライスしたものである。
【0072】図4及び図5から明らかなように、ケイ素
粉末及び導電性粉末が密に充填した状態で、電解銅箔の
表面に接触していることがわかる。また、電解銅箔表面
の凹部にケイ素粉末及びバインダーが密に入り込んでい
ることがわかる。
【0073】また、バインダーとして用いたポリフッ化
ビニリデン(PVdF)を、400℃及び700℃で熱
処理し、熱処理後の赤外線吸収スペクトル(IRスペク
トル)を観察した。400℃で熱処理したものにおいて
は、PVdF及びその分解生成物のピークが検出された
が、700℃で熱処理したものにおいては、PVdFの
ピークは完全に消失していた。従って、熱処理を400
℃で行った電極を用いた電池において優れたサイクル特
性が得られた原因として、焼結によるケイ素粒子間及び
ケイ素粒子と銅箔間の密着性の向上に加え、残存したバ
インダーによる結着力が働いていることにより、ケイ素
粒子間及びケイ素粒子と銅箔間の密着性がさらに高まっ
ていることが考えられる。
【0074】(実験10)ここでは、バインダーの種類
とサイクル寿命との関係を検討した。実験1において、
バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を用
い、ケイ素粉末として平均粒径3μmのものを用い、熱
処理温度を400℃10時間とする以外は、実験1と同
様にして、電池A25を作製した。この電池を用いてサ
イクル特性の評価を同様にして行い、その結果を表5に
示した。表5には、電池A1及び電池A21の結果も併
せて示す。なお、各電池のサイクル寿命は、電池A1の
サイクル寿命を100とした指数である。
【0075】
【表5】
【0076】表5から明らかなように、バインダーとし
てフッ素原子を含むPVdFを用いることにより、サイ
クル特性が良好になることがわかる。なお、バインダー
としてPVdFを用い、400℃で熱処理した電池A2
1の電極において、活物質であるケイ素粉末の表面に、
ケイ素のフッ化物が存在することが、電子分光分析(X
PS)により確かめられている。
【0077】(実験11)ここでは、導電性金属粉末の
種類とサイクル寿命との関係を検討した。実験1におい
て、ケイ素粉末として平均粒径3μmのものを用い、導
電性金属粉末として表6に示すものを用い、熱処理温度
を400℃、30時間としたこと以外は実験1と同様に
して電池A26〜A32を作製した。また、導電性金属
粉末の代わりにケッチェンブラックを用いて電池B3を
作製した。これらの電池を用いて同様に、サイクル特性
の評価を行なった。その結果を表6に示す。なお、サイ
クル寿命は電池A1のサイクル寿命を100とした指数
である。表6には、電池A19及び電池A24の結果も
併せて示す。
【0078】
【表6】
【0079】表6から明らかなように、いずれの導電性
金属粉末を用いた電極においても、優れたサイクル特性
を示すことがわかる。これは、導電性金属粉末によりケ
イ素粉末の周りに導電性のネットワークが形成され、高
い集電性が得られているためと考えられる。しかし、導
電性金属粉末の代わりにケッチェンブラックを用いた場
合では、サイクル寿命が短くなっていることがわかる。
これは、ケッチェンブラックの密度が小さく、かさ高い
ため、他の電池と同重量分のバインダー量では、粒子間
の結着力を得るには不十分な量であったためと考えられ
る。
【0080】(実験12)ここでは、電極作製工程にお
ける圧延の有無とサイクル寿命との関係を検討した。
【0081】実験1において、電解銅箔の表面上に負極
材料のスラリーを塗布した後、圧延しなかったこと以外
は、実験1と同様にして、電池A33を作製した。この
電池を用いて同様に、サイクル特性の評価を行った。評
価結果を表7に示した。表7に示すサイクル寿命は、電
池A1のサイクル寿命を100とした指数である。
【0082】
【表7】
【0083】表7から明らかなように、電極作製工程に
おいて圧延を行うことにより、サイクル特性が良好にな
っていることがわかる。これは、圧延を行うことによ
り、活物質粒子がさらに密に充填され、活物質粒子間の
接触が良好になるとともに、活物質粒子と導電性金属粉
末及び集電体との接触面積が増大し、効果的に焼結が行
われるとともに、集電特性が高められたためと考えられ
る。
【0084】(実験13)ここでは、導電性金属粉末で
あるフレーク状銅粉末を混合せずに、ケイ素粉末のみを
用いて電極を作製した。表8に示す銅箔及び平均粒径の
ケイ素粉末を用い、表8に示す熱処理条件とする以外
は、実験1と同様にして、電池C1〜C3及びB4を作
製した。これらの電池を用いて、サイクル特性を評価し
た。その結果を表8に示す。なお、各電池のサイクル寿
命は、電池A1のサイクル寿命を100とした指数であ
る。
【0085】
【表8】
【0086】表8から明らかなように、平均粒径の小さ
なケイ素粉末を用い、熱処理温度を400℃とすること
により、サイクル特性を飛躍的に向上できることがわか
る。これは、小さな平均粒径のケイ素粉末を用いること
により、焼結が効果的に生じ、ケイ素粒子間及びケイ素
粒子と銅箔間の密着性が向上したためと考えられる。
【0087】また、電池C1と電池B4との比較から明
らかなように、表面粗さRaが0.2μm以上の金属箔
を用いることにより、サイクル特性が良好になることが
わかる。
【0088】図6は、電池C1及び電池C3の負極のX
線回折プロファイルを示す図である。図6から明らかな
ように、400℃で熱処理した電池C1の電極ではケイ
化銅のピークは認められないが、700℃で熱処理した
電池C3の電極ではケイ化銅のピークが認められてい
る。従って、導電性金属粉末を混合せずにケイ素粉末の
みを用いた場合においても、X線回折でケイ化銅の析出
が検出されないような熱処理温度で焼結することが好ま
しいことがわかる。
【0089】(実験14)ここでは、導電性金属粉末で
あるフレーク状銅粉末を混合せずに、ケイ素粉末のみを
用いた電極におけるバインダーの種類とサイクル寿命の
関係について検討した。実験1において、平均粒径3μ
mのケイ素粉末を用い、フレーク状銅粉末を混合せず、
熱処理条件及びバインダーを表9に示すものとしたこと
以外は実験1と同様にして電池D1〜D5を作製した。
なお、バインダーとしてポリイミドを用いる場合は、ケ
イ素粉末90重量部を、ポリアミド酸10重量部を含む
18重量%のN−メチルピロリドン溶液に混合したもの
を負極合剤スラリーとし、塗布後、熱処理し、電極の作
製を行なった。電極における400℃での熱処理後のポ
リイミドのイミド化率は100%であった。また、バイ
ンダーとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)及び
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いる場合
は、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CM
C)1重量部を含む3重量%の水溶液と、スチレンブタ
ジエンゴム(SBR)10重量部を含む48重量%の水
性分散液またはポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)10重量部を含む60重量%の水性分散液との混合
物にケイ素粉末90重量部を混合したものを負極合剤ス
ラリーとして用い、電極の作製を行なった。また、バイ
ンダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を用いる
場合は、ケイ素粉末90重量部を、ポリビニルピロリド
ン(PVP)10重量部を含む8重量%のN−メチルピ
ロリドン溶液に混合したものを負極合剤スラリーとして
用い、電極の作製を行った。
【0090】これらの電極を用いて実験1と同様にして
電池D1〜D5を作製し、サイクル特性の評価を行なっ
た。その結果を表9に示す。なお、各電池のサイクル寿
命は、電池A1のサイクル寿命を100とした指数であ
る。
【0091】バインダーの熱分解開始温度は、バインダ
ーの熱重量測定において、重量が減少し始めた温度とし
た。
【0092】
【表9】
【0093】表9からわかるように、分解開始温度の高
いバインダーを用いた方が優れたサイクル特性を示すこ
とがわかる。これは、熱処理後もバインダーが完全に分
解せずに残存していることにより、焼結による活物質と
集電体間及び活物質粒子間の密着性の向上に加え、バイ
ンダーによる結着力も加わり、さらに密着性の高い電極
が得られたためと考えられる。
【0094】(実験15)ここでは、導電性金属粉末で
あるフレーク状銅粉末を混合せずに、ケイ素粉末のみを
用いた電極におけるケイ素粉末粒径とサイクル寿命の関
係について検討した。実験14でのバインダーとしてポ
リイミドを用いた場合において、熱処理条件及びケイ素
粉末の平均粒径を表10に示すものとしたこと以外は実
験1と同様にして電池D6〜D10を作製した。これら
の電池を用いて実験1と同様に、サイクル特性の評価を
行なった。その結果を表10に示す。各電池のサイクル
寿命は、電池A1のサイクル寿命を100とした指数で
ある。なお、表10には電池A1及び電池C2の結果も
併せて示す。
【0095】
【表10】
【0096】表10から明らかなように、平均粒径10
μm以下のケイ素粉末を用いた方が優れたサイクル特性
を示していることがわかる。
【0097】(実験16)ここでは、導電性金属粉末で
あるフレーク状銅粉末を混合せずに、ケイ素粉末のみを
用いた電極におけるバインダー量とサイクル特性の関係
について検討した。実験1において、平均粒径3μmの
ケイ素粉末を用いフレーク状銅粉末を混合せず、熱処理
条件及びバインダーを表11に示すものとしたこと以外
は実験1と同様にして電池D11〜D16を作製した。
なお、バインダーとして、ポリイミドを用いた場合は、
実験14でのバインダーとしてポリイミドを用いた場合
と同様にして電極を作製した。これらの電池を用いて実
験1と同様に、サイクル特性の評価を行なった。その結
果を表11に示す。各電池のサイクル寿命は、電池A1
のサイクル寿命を100とした指数である。なお、電池
A1、D1及びD2の結果も併せて表11に示す。
【0098】
【表11】
【0099】表11から明らかなように、バインダー量
が5.3重量%以上、好ましくは10重量%以上のもの
が優れたサイクル特性を示していることがわかる。これ
は、Li吸蔵放出時の活物質粒子の大きな体積変化の際
にも活物質粒子と集電体間及び活物質粒子間の密着性を
保つのに、充分な量のバインダーが存在するためと考え
られる。
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、充放電サイクル特性に
優れたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池と
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う実施例において作製したリチウム
二次電池を示す模式的断面図。
【図2】本発明に従う一例のリチウム二次電池用負極を
示す模式的断面図。
【図3】実施例において作製した電池A18及びA20
の負極のX線回折プロファイルを示す図。
【図4】実施例において作製した電池A20の負極の断
面の走査型電子顕微鏡写真を示す図(倍率1000
倍)。
【図5】実施例において作製した電池A20の負極の断
面の走査型電子顕微鏡写真を示す図(倍率5000
倍)。
【図6】実施例において作製した電池C1及びC3の負
極のX線回折プロファイルを示す図。
【符号の説明】
1…正極 2…負極 3…セパレーター 4…正極缶 5…負極缶 6…正極集電体 7…負極集電体 8…絶縁パッキング 11…導電性金属箔 12…活物質粒子 12a,12b…拡散領域 13…導電性金属粉末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 4/62 H01M 4/62 Z 4/66 4/66 A 10/40 10/40 Z (72)発明者 樟本 靖幸 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 中村 宏 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 藤本 正久 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 藤谷 伸 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 4K018 AA03 AB04 DA21 KA38 5H017 AA03 AS01 AS10 BB08 BB09 BB12 BB14 BB17 CC03 DD01 DD05 EE01 EE04 EE05 HH03 5H029 AJ02 AJ05 AK02 AK03 AL11 AL16 AM01 AM05 AM12 BJ03 BJ13 CJ02 CJ08 CJ22 CJ25 CJ28 DJ07 DJ08 DJ16 EJ01 EJ12 HJ04 HJ14 5H050 AA02 AA07 BA15 CA02 CA07 CB11 DA04 DA10 DA11 EA04 EA09 EA24 FA04 FA14 FA15 FA18 GA02 GA03 GA10 GA17 GA22 GA25 GA27 HA04 HA14

Claims (63)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面粗さRaが0.2μm以上である導
    電性金属箔を集電体とし、ケイ素及び/またはケイ素合
    金を含む活物質粒子と導電性金属粉末の混合物の層を前
    記集電体の表面上で非酸化性雰囲気下に焼結して得られ
    ることを特徴とするリチウム二次電池用負極。
  2. 【請求項2】 前記導電性金属箔及び/または前記導電
    性金属粉末中の金属成分が、前記活物質粒子中に拡散し
    ていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次
    電池用負極。
  3. 【請求項3】 前記導電性金属粉末が銅または銅合金を
    含む粉末であることを特徴とする請求項1または2に記
    載のリチウム二次電池用負極。
  4. 【請求項4】 表面粗さRaが0.2μm以上である導
    電性金属箔を集電体とし、ケイ素及び/またはケイ素合
    金を含む活物質粒子の層を前記集電体の表面上で非酸化
    性雰囲気下に焼結して得られることを特徴とするリチウ
    ム二次電池用負極。
  5. 【請求項5】 前記導電性金属箔中の金属成分が、前記
    活物質粒子中に拡散していることを特徴とする請求項4
    に記載のリチウム二次電池用負極。
  6. 【請求項6】 前記導電性金属箔が、銅箔もしくは銅合
    金箔、または表面に銅層を設けた金属箔もしくは表面に
    銅合金層を設けた金箔層であることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負
    極。
  7. 【請求項7】 前記導電性金属箔が、電解銅箔もしくは
    電解銅合金箔、または表面に電解銅を設けた金属箔もし
    くは表面に電解銅合金を設けた金属箔であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二
    次電池用負極。
  8. 【請求項8】 前記活物質粒子に拡散する金属成分が銅
    であることを特徴とする請求項2、3及び5〜7のいず
    れか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
  9. 【請求項9】 前記導電性金属箔表面の凹部分に前記活
    物質粒子が入り込んでいることを特徴とする請求項1〜
    8のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
  10. 【請求項10】 前記混合物の層または前記活物質粒子
    の層にバインダーが含まれていることを特徴とする請求
    項1〜9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負
    極。
  11. 【請求項11】 前記バインダーが、焼結のための熱処
    理後に残存しているバインダーであることを特徴とする
    請求項10に記載のリチウム二次電池用負極。
  12. 【請求項12】 前記バインダーが、ポリイミドである
    ことを特徴とする請求項10または11に記載のリチウ
    ム二次電池用負極。
  13. 【請求項13】 前記ポリイミドが、ポリアミド酸を熱
    処理することにより縮合させて得られたポリイミドであ
    ることを特徴とする請求項12に記載のリチウム二次電
    池用負極。
  14. 【請求項14】 前記バインダーが、フッ素原子を含む
    バインダーの熱処理後のものであることを特徴とする請
    求項11に記載のリチウム二次電池用負極。
  15. 【請求項15】 前記バインダーが、ポリフッ化ビニリ
    デンまたはポリテトラフルオロエチレンの熱処理後のも
    のであることを特徴とする請求項14に記載のリチウム
    二次電池用負極。
  16. 【請求項16】 前記導電性金属箔表面の凹部分に前記
    活物質粒子及び/または前記バインダーが入り込んでい
    ることを特徴とする請求項10〜15に記載のリチウム
    二次電池用負極。
  17. 【請求項17】 前記活物質粒子の平均粒径が10μm
    以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか
    1項に記載のリチウム二次電池用負極。
  18. 【請求項18】 前記活物質粒子に金属成分が拡散した
    領域においてX線回折でケイ化銅が検出されないことを
    特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のリチ
    ウム二次電池用負極。
  19. 【請求項19】 前記活物質粒子がケイ素粉末であるこ
    とを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の
    リチウム二次電池用負極。
  20. 【請求項20】 前記焼結のための熱処理温度が200
    ℃〜500℃の範囲内であることを特徴とする請求項1
    〜19のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負
    極。
  21. 【請求項21】 表面粗さRaが0.2μm以上である
    導電性金属箔の表面上に、ケイ素及び/またはケイ素合
    金を含む活物質粒子と導電性金属粉末の混合物の層を形
    成する工程と、 前記混合物の層を前記導電性金属箔の表面上に配置した
    状態で非酸化性雰囲気下に焼結する工程とを備えること
    を特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記活物質粒子、前記導電性金属粉
    末、及びバインダーを含むスラリーを前記導電性金属箔
    の表面上に塗布することにより、前記活物質粒子及び前
    記導電性金属粉末の混合物の層を前記導電性金属箔の表
    面上に形成することを特徴とする請求項21に記載のリ
    チウム二次電池用負極の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記導電性粉末が、銅及び/または銅
    合金を含む粉末であることを特徴とする請求項21また
    は22に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  24. 【請求項24】 表面粗さRaが0.2μm以上である
    導電性金属箔の表面上に、ケイ素及び/またはケイ素合
    金を含む活物質粒子の層を形成する工程と、前記活物質
    粒子の層を前記導電性金属箔の表面上に配置した状態で
    非酸化性雰囲気下に焼結する工程とを備えることを特徴
    とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記活物質粒子及びバインダーを含む
    スラリーを前記導電性金属箔の表面上に塗布することに
    より、前記活物質粒子の層を前記導電性金属箔の表面上
    に形成することを特徴とする請求項24に記載のリチウ
    ム二次電池用負極の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記焼結工程の前に、前記混合物の層
    または前記活物質粒子の層を前記導電性金属箔の表面上
    に配置した状態で圧延することを特徴とする請求項21
    〜25のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極
    の製造方法。。
  27. 【請求項27】 前記導電性金属箔が、銅箔もしくは銅
    合金箔、または表面に銅層を設けた金属箔もしくは表面
    に銅合金層を設けた金属箔であることを特徴とする請求
    項21〜26のいずれか1項に記載のリチウム二次電池
    用負極の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記導電性金属箔が、銅電解箔もしく
    は電解銅合金箔、または表面に電解銅を設けた金属箔も
    しくは表面に電解銅合金を設けた金属箔であることを特
    徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載のリチ
    ウム二次電池用負極の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記焼結によって、前記導電性金属箔
    及び/または前記導電性粉末の金属成分が、前記活物質
    粒子中に拡散することを特徴とする請求項21〜28の
    いずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極の製造方
    法。
  30. 【請求項30】 X線回折で前記金属成分とケイ素との
    金属間化合物の析出が検出されないような条件で焼結す
    ることを特徴とする請求項29に記載のリチウム二次電
    池用負極の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記活物質粒子中に拡散する金属成分
    が銅元素であることを特徴とする請求項29または30
    に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  32. 【請求項32】 X線回折でケイ化銅の析出が検出され
    ないような条件で焼結することを特徴とする請求項31
    に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記バインダーが熱処理後に残存する
    条件で焼結することを特徴とする請求項22,23及び
    25〜32のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用
    負極の製造方法。
  34. 【請求項34】 200℃〜500℃の範囲内の温度で
    熱処理して焼結することを特徴とする請求項21〜33
    のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極の製造
    方法。
  35. 【請求項35】 前記バインダーが、ポリイミドである
    ことを特徴とする請求項22,23及び25〜34のい
    ずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極の製造方
    法。
  36. 【請求項36】 前記ポリイミドが、ポリアミド酸を熱
    処理することにより縮合させて得られたポリイミドであ
    ることを特徴とする請求項35に記載のリチウム二次電
    池用負極の製造方法。
  37. 【請求項37】 前記バインダーがフッ素原子を含むバ
    インダーであることを特徴とする請求項22、23及び
    25〜34のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用
    負極の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記バインダーがポリフッ化ビニリデ
    ンまたはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴
    とする請求項37に記載のリチウム二次電池用負極の製
    造方法。
  39. 【請求項39】 前記活物質粒子の平均粒径が10μm
    以下であることを特徴とする請求項21〜38のいずれ
    か1項に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記活物質粒子がケイ素粉末であるこ
    とを特徴とする請求項21〜39のいずれか1項に記載
    のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  41. 【請求項41】 請求項1〜20のいずれか1項に記載
    の負極または請求項21〜40のいずれか1項に記載の
    方法により製造された負極と、正極活物質を含む正極
    と、非水電解質とからなることを特徴とするリチウム二
    次電池。
  42. 【請求項42】 リチウムと合金化する材料からなる活
    物質粒子の層が集電体上に設けられており、前記活物質
    粒子の層において前記活物質粒子が焼結によって互いに
    結合されており、かつ前記活物質粒子中にリチウムと合
    金化しない成分が拡散していることを特徴とするリチウ
    ム二次電池用電極。
  43. 【請求項43】 リチウムと合金化しない成分が前記集
    電体から拡散していることを特徴とする請求項42に記
    載のリチウム二次電池用電極。
  44. 【請求項44】 前記活物質粒子の層にリチウムと合金
    化しない材料からなる導電性粉末が混合されていること
    を特徴とする請求項42または43に記載のリチウム二
    次電池用電極。
  45. 【請求項45】 リチウムと合金化しない成分が前記導
    電性粉末から拡散していることを特徴とする請求項42
    〜44のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電
    極。
  46. 【請求項46】 リチウムと合金化しない成分が拡散し
    ている前記活物質粒子中の領域において、前記リチウム
    と合金化する成分と前記リチウムと合金化しない成分と
    の金属間化合物がX線回折で検出されないことを特徴と
    する請求項42〜45のいずれか1項に記載のリチウム
    二次電池用電極。
  47. 【請求項47】 前記活物質粒子の層にバインダーが含
    まれていることを特徴とする請求項42〜46のいずれ
    か1項に記載のリチウム二次電池用電極。
  48. 【請求項48】 前記バインダーが、焼結のための熱処
    理後に残存しているバインダーであることを特徴とする
    請求項47に記載のリチウム二次電池用電極。
  49. 【請求項49】 前記バインダーがポリイミドであるこ
    とを特徴とする請求項47または48に記載のリチウム
    二次電池用電極。
  50. 【請求項50】 前記ポリイミドがポリアミド酸を熱処
    理することにより縮合させて得られたポリイミドである
    ことを特徴とする請求項49に記載のリチウム二次電池
    用電極。
  51. 【請求項51】 前記バインダーが、フッ素原子を含む
    バインダーの熱処理後のものであることを特徴とする請
    求項47または48に記載のリチウム二次電池用電極。
  52. 【請求項52】 前記バインダーが、ポリフッ化ビニリ
    デンまたはポリテトラフルオロエチレンの熱処理後のも
    のであることを特徴とする請求項51に記載のリチウム
    二次電池用電極。
  53. 【請求項53】 前記導電性金属箔表面の凹部分に前記
    活物質粒子及び/または前記バインダーが入り込んでい
    ることを特徴とする請求項42〜52のいずれか1項に
    記載のリチウム二次電池用電極。
  54. 【請求項54】 前記活物質粒子の平均粒径が10μm
    以下であることを特徴とする請求項42〜53のいずれ
    か1項に基のリチウム二次電池用電極。
  55. 【請求項55】 前記活物質粒子がリチウムと合金化す
    る材料としてケイ素及び/またはケイ素合金を含むこと
    を特徴とする請求項42〜54のいずれか1項に記載の
    リチウム二次電池用電極。
  56. 【請求項56】 前記活物質粒子がケイ素粉末であるこ
    とを特徴とする請求項55に記載のリチウム二次電池用
    電極。
  57. 【請求項57】 前記活物質粒子に拡散する成分が銅元
    素であることを特徴とする請求項42〜56のいずれか
    1項に記載のリチウム二次電池用電極。
  58. 【請求項58】 前記集電体が、銅箔もしくは銅合金
    箔、または表面に銅層を設けた金属箔もしくは表面に銅
    合金層を設けた金属箔であることを特徴とする請求項4
    2〜57のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電
    極。
  59. 【請求項59】 前記集電体が、電解銅箔もしくは電解
    銅合金箔、または表面に電解銅を設けた金属箔もしくは
    表面に電解銅合金を設けた金属箔であることを特徴とす
    る請求項42〜58のいずれか1項に記載のリチウム二
    次電池用電極。
  60. 【請求項60】 前記集電体の表面粗さRaが、0.2
    μm以上であることを特徴とする請求項42〜59のい
    ずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
  61. 【請求項61】 前記導電性粉末が、銅及び/または銅
    合金を含む粉末であることを特徴とする請求項44〜6
    0のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
  62. 【請求項62】 前記活物質粒子がケイ素及び/または
    ケイ素合金を含み、かつ前記活物質粒子に拡散する成分
    が銅元素である電極であって、該電極の銅元素が拡散し
    ている領域において、X線回折でケイ化銅が検出されな
    いことを特徴とする請求項42〜61のいずれか1項に
    記載のリチウム二次電池用電極。
  63. 【請求項63】 請求項42〜62のいずれか1項に記
    載の電極からなる負極と、正極活物質を含む正極と、非
    水電解質とからなることを特徴とするリチウム二次電
    池。
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