JP2005285580A - リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高率充放電特性に優れたリチウム二次電池用負極、及びこの負極を用いたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 活物質としてのケイ素粒子とバインダーとを含む合剤層を集電体の表面上に配置して得られるリチウム二次電池用負極であって、式1により定義される、充放電後における合剤層抵抗率が、5.0×1011Ω/m以下であるリチウム二次電池用負極。
【数1】
Figure 2005285580

【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池に関するものである。
近年、高出力、高エネルギー密度の二次電池の一つとして、非水電解液を用い、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電するリチウム二次電池が利用されている。リチウム二次電池は高エネルギー密度であることから、携帯電話やノート型パソコンなどのエレクトロニクス携帯機器の電源として実用化され、広く一般に普及している。今後、これらの携帯機器の小型化や高性能化などにより、電源として用いられるリチウム二次電池への負荷が大きくなることが予想され、リチウム二次電池のさらなる高エネルギー密度化が要望されている。
電池の高エネルギー密度化には、より大きなエネルギー密度を有する活物質を用いることが好ましい。リチウム二次電池においては、より大きなエネルギー密度を有するものとして、Al、Sn及びSiなどのリチウムと合金化する金属を負極活物質として用いることが研究されている。
これらリチウムと合金化する金属を活物質として用いると、リチウムの吸蔵・放出の際に活物質の体積が膨張・収縮する。充放電の繰り返しにより、活物質の体積が大きく変化するため、活物質が微粉化したり、また集電体から剥離したりするという問題がある。従って、これらの問題により、電極内の集電性が低下し、充放電サイクル特性が悪くなる。
リチウムと合金化する活物質を用いた負極として、特許文献1には、ケイ素を含む負極活物質と、導電性金属粉末と、バインダーとを含む合剤層を、表面に凸凹を有する導電性金属箔の集電体に、非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極が開示されている。
この特許文献1に記載の負極を用いたリチウム二次電池においては、良好な充放電サイクル特性が得られているが、電極構造の違いにより、大電流による充放電特性、すなわち、高率充放電特性が低下する場合があった。
特開2002−260637号公報
本発明の目的は、高率充放電特性に優れたリチウム二次電池用負極、及びこの負極を用いたリチウム二次電池を提供することにある。
本発明は、活物質としてのケイ素粒子とバインダーとを含む合剤層を集電体の表面上に配置して得られるリチウム二次電池用負極であって、式1により定義される、充放電後の合剤層抵抗率が、5.0×1011Ω/m以下であることを特徴としている。
Figure 2005285580
式1の合剤層抵抗は、4端子法によって測定することができる。4端子法とは、例えばA,B,C及びDの4本の電極を合剤層の表面に配置し、外側の2本の電極AD間に一定電流を流し、内側の2本の電極BC間に生じる電位差を測定し、抵抗を求める方法である。
また、合剤層厚みの測定方法としては、電極の厚みをマイクロメーターなどの厚み測定器で測定し、この値から集電体の厚みを差し引く方法が挙げられる。また、電極の断面像を撮影して、合剤層表面の平均線と、合剤層と集電体の界面平均線とを求め、この両平均線間の距離を測り、合剤層厚みを求めてもよい。
上記の方法により得られた値から、式1によって合剤層抵抗率を求めることができる。接触抵抗などの影響が少ない4端子法により、合剤層抵抗を求めているので、ここで定義される合剤層抵抗率は、合剤層のみの抵抗値であり、合剤層の電子伝導性を示す指標になると考えられる。合剤層抵抗率が5.0×1011Ω/mを超えると、合剤層内の抵抗が高くなり、充放電時に電極内の分極が大きくなって、高率充放電特性が低下すると考えられる。
また、本発明においては、負極活物質としてケイ素粒子を用いている。ケイ素粒子の粒径は、特に限定されないが、粒径が大きくなると、リチウムの吸蔵・放出に伴うケイ素粒子の体積の膨張・収縮が大きくなり、充放電特性が低下する場合がある。従って、ケイ素粒子の粒径は、100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以下である。
ケイ素粒子の粒度分布は、特に限定されないが、狭い方が好ましい。広い粒度分布の場合には、粒径が大きく異なるケイ素粒子間において、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積の膨張・収縮の絶対量に大きな差が生じることがある。従って、合剤層内で歪みが生じ、バインダーが破壊されるため、電極内の集電性が低下し、充放電特性が低下する場合がある。
本発明に用いるバインダーとしては、リチウム二次電池用のバインダーであれば、特に限定されることなく用いることができるが、充放電におけるリチウムの吸蔵・放出に伴うケイ素粒子の膨張・収縮によっても合剤層の強度を保持し、かつ電極内の集電性を保持することが好ましい。従って、機械的強度に優れたバインダーが好ましく、特に弾性に優れたバインダーが好ましい。このようなバインダーとしては、ポリイミドなどを挙げることができる。
本発明に用いるバインダーの量は、合剤層の総重量の5〜50重量%であることが好ましく、またバインダーの占める体積が、合剤層の総体積の5〜50体積%であることが好ましい。ここで、合剤層の総体積とは、合剤層内に含まれるケイ素粒子やバインダーなどの材料の体積を総和したものである。合剤層内に空隙が存在する場合には、この空隙が占める体積は含まれない。バインダー量が、合剤層の総重量の5重量%未満、またはバインダーの占める体積が、合剤層の総体積の5体積%未満であると、ケイ素粒子に対してのバインダー量が少ないために、合剤層と集電体の密着性が不十分となる場合がある。また、合剤層の総重量の50重量%を超えるか、またはバインダーの占める体積が、合剤層の総体積の50体積%を超えると、合剤層抵抗率が増加し、高率充放電特性が大きく低下する場合がある。
本発明に用いる集電体としては、特に限定されないが、銅、ニッケル、鉄、チタン、及びコバルトなどの金属箔、またはこれらの金属の組み合わせによりできる合金箔などを挙げることができる。集電体の厚みは、特に限定されるものではないが、10〜100μmの範囲が好ましい。また、合剤層を配置する集電体の表面には、合剤層と集電体の密着性を向上させるため、凸凹が形成されていることが好ましい。
また、本発明においては、上記のケイ素粒子とバインダーからなる合剤スラリーを集電体に塗布し、合剤スラリーを乾燥させた後、圧延することが好ましい。圧延することにより、合剤層の充填密度を高めることができる。
また、ケイ素粒子間の密着性及び合剤層と集電体の密着性を向上させるために、圧延後、合剤層と集電体を非酸化性雰囲気下で焼結してもよい。
本発明のリチウム二次電池は、上記の本発明による負極と、正極活物質を含む正極と、非水電解質とを備えることを特徴としている。
本発明のリチウム二次電池における正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LiCo0.5Ni0.52、LiNi0.7Co0.2Mn0.12などのリチウム含有遷移金属酸化物、及びMnO2などのリチウムを含有していない金属酸化物を挙げることができる。また、この他にも、リチウムを電気化学的に吸蔵・放出する物質であれば、制限なく用いることができる。
本発明に用いる正極バインダーとしては、負極バインダーと同様に、リチウム二次電池用のバインダーとして用いることができるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマーや、ポリイミドなどを用いることができる。
本発明に用いる電解質の溶媒としては、特に限定されるものではないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、及びビニレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、及びジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒を挙げることができる。また、この環状カーボネートと、1,2−ジメトキシエタン及び1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒との混合溶媒も挙げることができる。
本発明に用いる電解質の溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23、LiAsF6、LiClO4、Li210Cl10、Li212Cl12など及びこれらの混合物を挙げることができる。特に、LiXFy(XはP、As、Sb、B、Bi、Al、Ga、またはInであり、XがP、As、またはSbのときyは6であり、XがB、Bi、Al、Ga、またはInのときyは4である)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(m及びnは、それぞれ独立した1〜4の整数)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(p、q及びrはそれぞれ独立した1〜4の整数)などの溶質が好ましく用いられ、この中でもLiPF6が、特に好ましく用いられる。
さらに、電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、Li3Nなどの無機固体電解質を挙げることができる。本発明のリチウム二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶質としてのリチウム化合物と、これを溶解・保持する溶媒が、電池の充放電時や保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
本発明によれば、高率充放電特性に優れたリチウム二次電池用負極、及びリチウム二次電池とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能なものである。
(実験1)
〔負極の作製〕
活物質材料としての平均粒径3μmのケイ素粉末90重量部を、バインダーとしての熱可塑性ポリイミド10重量部を含む9.1重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液に混合し、負極合剤スラリーとした。
この負極合剤スラリーを、表面粗さRaが1.0μmである電解銅箔(厚み35μm)からなる集電体の粗面側の面に塗布し、乾燥した。乾燥後、これを25mm×30mmの長方形状に切り抜き、圧延した後、アルゴン雰囲気下で400℃、1時間熱処理し、焼結して負極を得た。
〔正極の作製〕
Li:Coの原子比が1:1となるように、出発原料としてのLi2CO3及びCoCO3を秤量し、乳鉢で混合した。この混合物を、直径17mmの金型でプレスし、加圧成形した後、空気中において800℃、24時間焼成し、LiCoO2の焼成体を得た。この焼成体を乳鉢で粉砕し、平均粒径20μmに調整した。
このLiCoO2粉末94重量部と、導電剤としての人工黒鉛粉末3重量部を、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン3重量部を含む6重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーとした。
この正極合剤スラリーを、集電体として用いるアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥した後、圧延した。これを2cm×2cmの正方形状に切り抜き、正極とした。
〔電解液の作製〕
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを、体積比3:7となるように混合した溶媒に、濃度が1モル/リットルとなるようにLiPF6を溶解し、LiPF6溶液を調製した。この溶液に、その総重量に対して5重量%のビニレンカーボネートを混合し、電解液を調製した。
〔電池の作製〕
上記の正極、負極、及び電解液を、アルミニウムラミネートの外装体内に挿入して、リチウム二次電池A1を作製した。
図1は、作製したリチウム二次電池A1を示す図である。図1(a)は平面図、図1(b)は(a)をA−Aで切断したときの断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、リチウム二次電池は、正極1、負極2、ポリエチレン多孔質体のセパレーター3、正極集電タブ4、負極集電タブ5、アルミニウムラミネートの外装体6、及びアルミニウムラミネートの端部同士をヒートシールした閉口部7などからなる。
図1(b)に示すように、正極1及び負極2は、セパレーター3を介して対向している。これらは図1(a)に示す正極集電タブ4及び負極集電タブ5にそれぞれ接続され、二次電池としての充電及び放電が可能な構造となっている。
この電池においては、初期の充電で電池電圧が4.2Vになるまでの電池容量が14mAhとなり、かつ正負極容量比が2となるように、正極及び負極の合剤の塗布量を調整した。正負極容量比は、下記の式2により求めた。
ケイ素粉末活物質の理論比容量を4199mAh/g、正負極対向面積を4cm2として計算した。
Figure 2005285580
(実験2)
実験1において負極作製の際に用いたバインダー量を、ケイ素粉末とバインダーの総量の6重量%としたこと以外は実験1と同様にして、電池A2を作製した。
(実験3)
実験1において負極作製の際に用いたバインダー量を、ケイ素粉末とバインダーの総量の18重量%としたこと以外は実験1と同様にして、電池B1を作製した。
(実験4)
負極作製の際の圧延強度を実験1における圧延強度の70%にしたこと以外は実験1と同様にして、電池A3を作製した。
(実験5)
負極作製の際の圧延強度を実験1における圧延強度の10%にしたこと以外は実験1と同様にして、電池B2を作製した。
(実験6)
正負極容量比を1.5にしたこと以外は実験1と同様にして、電池A4を作製した。
(実験7)
正負極容量比を2.5にとしたこと以外は実験1と同様にして、電池A5を作製した。
〔放電特性の評価〕
上記の電池A1〜A5及びB1〜B2の放電特性を測定した。各電池を、25℃において、14mAで4.2Vまで充電した。充電後、2.8mA、14mA、及び42mAの各条件で2.75Vまで放電した。それぞれの放電電流値での放電容量を測定し、放電特性を下記の式3及び式4により求めた。
Figure 2005285580
Figure 2005285580
〔合剤層抵抗率の評価〕
放電特性評価のための充放電試験後、再び14mAで4.2Vまで充電し、14mAで2.75Vまで放電した後に、各電池を分解して負極を取り出した。この取り出した負極を、ジエチルカーボネートで洗浄して、乾燥後、4端子法により合剤層抵抗を測定した。また、この取り出した負極の合剤層厚みを測定し、得られた測定値を用いて、式1により合剤層抵抗率を求めた。ここで、合剤層厚みは、負極の異なる5点における電極厚みをマイクロメーターにより測定し、平均値を求め、この平均値から集電体の厚み35μmを差し引くことにより得られた値である。
表1に、電池A1〜A5及びB1〜B2の初期充放電後の合剤層厚み、合剤層抵抗、合剤層抵抗率及び放電特性を示す。
Figure 2005285580
表1に示すように、負極の合剤層抵抗率が5.0×1011Ω/m以下の電池A1〜A5は、負極の合剤層抵抗率が5.0×1011Ω/mを超える電池B1及びB2と比較して、高率放電特性が高いことがわかる。これは、電池A1〜A5の負極が、電池B1及びB2の負極と比較して、合剤層内の抵抗が低いため、充放電時の電極内の分極が小さいことによるものと考えられる。
(a)は本発明に従う実施例において作製したリチウム二次電池を示す平面図、(b)は(a)のA−Aで切断したときの断面図。
符号の説明
1…正極
2…負極
3…セパレーター
4…正極集電タブ
5…負極集電タブ
6…アルミニウムラミネートの外装体
7…アルミニウムラミネートの端部同士をヒートシールした閉口部

Claims (2)

  1. 活物質としてのケイ素粒子とバインダーとを含む合剤層を、集電体の表面上に配置して得られるリチウム二次電池用負極であって、
    下記の式1により定義される、充放電後の合剤層抵抗率が、5.0×1011Ω/m以下であることを特徴とするリチウム二次電池用負極。
    Figure 2005285580
  2. 請求項1に記載の負極と、正極活物質を含む正極と、非水電解質とを備えることを特徴とするリチウム二次電池。
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