JP2002246017A - 非水系2次電池用負極材料とその製造方法および負極 - Google Patents
非水系2次電池用負極材料とその製造方法および負極Info
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Abstract
オン2次電池用負極材料を提供する。 【解決手段】 Liイオンを可逆的に吸蔵・放出できる1
相以上の活性相から構成される合金の粉体、又は(2) 前
記活性相とアルカリ金属元素を可逆的に吸蔵・放出しな
い1相以上の不活性相とから構成する合金の粉体、の何
れかである非水系2次電池用負極材料であって、粒径45
μm以下の前記合金の粉体を9800 Pa の応力を用いて加
圧したときの25℃での比電気抵抗が 100×1O7 Ω・m以
下であることを特徴とする負極材料。この負極材料は、
材料温度が300 ℃以上にある間の雰囲気を非酸化性雰囲
気とすることにより製造できる。
Description
負極材料に関し、より具体的には、リチウムイオン2次
電池で代表されるアルカリ金属イオンの可逆的な吸蔵・
放出を利用した非水系2次電池用負極材料に関する。
い、ニッケル−水素電池やリチウムイオン電池といった
新型の2次電池の需要が増加し、大容量化および充放電
のサイクル寿命向上に関する開発も盛んに行われてい
る。
極と負極のいずれもLiイオンを可逆的に吸蔵・放出でき
る材料から構成し、電極間のLiイオンの移動を利用して
充放電を行う2次電池であり、電解液として非水系溶媒
を使用することから、非水系2次電池とも呼ばれてい
る。
るリチウム電池は、Liが卑な金属であるため、高電圧を
取り出すことができ、エネルギー密度の高い電池とな
る。この利点を生かして、リチウム電池は一次電池とし
て大量に使用されている。しかし、リチウム電池を2次
電池に適用すると、充放電の繰り返しに伴って、負極に
Liがデンドライド状に成長し、絶縁体であるセパレータ
ーを貫通し、正極と短絡するようになるため、充放電の
サイクル寿命が極めて短く、実用電池としては使用でき
ない。
的に吸蔵・放出することができる炭素質材料を用い、正
極にもLiイオンを可逆的に吸蔵・放出することができる
リチウム化合物であるコバルト酸リチウム等の材料を用
いた非水系2次電池である、リチウムイオン2次電池が
実用化された。
池の負極材料となる炭素質材料には、結晶性の高い黒鉛
(グラファイト)が用いられることが多い。充電中に
は、負極材料の黒鉛結晶の層間にLiイオンが挿入される
ことによりLiイオンの吸蔵が起こり、LiC6という化合物
を生成する。しかし、黒鉛系の炭素質材料では、上記反
応による理論放電容量が372 mAh/g と低く、体積当たり
のエネルギー密度の点でも、黒鉛の比重が2g/cc程度と
低いことから、高エネルギー密度の材料を得ることはで
きない。
材料とすることも試みられており、重量当たりの放電容
量容量は黒鉛系より大きくなるものの、黒鉛より比重が
小さいため、体積当たりのエネルギー密度は思うように
増大させることができない。また、非黒鉛系の炭素質材
料は不可逆容量が大きく、電池設計の段階で大きなロス
を生むことが予想されるという欠点もある。
用いる炭素質材料の放電容量や充放電効率を改善する研
究はいまも盛んに行われているが、上述したように、炭
素質材料では放電容量や体積当たりのエネルギー密度を
飛躍的に向上させることは理論的に不可能である。その
ため、Liイオンと金属元素が可逆的に金属間化合物の形
成・解離反応を行うことで充電・放電を繰り返すことを
利用して、そのような金属元素を負極材料として使用す
ることも提案されている。
材料の数倍ないし10倍以上という高い理論放電容量を示
すものが多く、また比重も大きいので、体積当たりのエ
ネルギー密度も高くなる。しかし、充放電を繰り返すと
割れが発生し、負極材料が微粉化して電極から脱落し、
充放電に寄与しなくなるため、サイクル特性が悪いとい
う、実用電池にとって致命的な欠点があり、未だに実用
化されていない。
密度) が大きく、充放電サイクル寿命にも優れた、リチ
ウムイオン2次電池をはじめとする非水系2次電池に使
用するための負極材料を提供することを課題とする。
化合物の形成によってLiイオンを吸蔵し得る種類のリチ
ウムイオン2次電用負極材料は、例えば、Siを例にとる
と、Liイオンとの反応が進むにつれて、Siから、Li10Si
5 等の種々の形態の金属間化合物を経て、最終的にLi22
Si5 になり、放電時には逆向きの反応が起こる。この反
応からわかるように、Siは充電時にモル比で4倍以上の
Liイオンを吸蔵できるため、放電容量が非常に高くなる
のに対し、炭素質材料は、黒鉛の場合で炭素の1/6 倍の
Liイオンしか吸蔵できないため、放電容量が低い。
のLiイオンを吸蔵する過程で結晶構造が変化し、かつ体
積が4倍以上と大きく膨張するともいわれている。逆
に、放電時には、結晶構造の変化と体積の収縮が起こ
る。そのため、充電・放電を繰り返すと、負極材料が体
積変化や結晶構造の変化に追随できず、割れが発生し
て、サイクル寿命が極端に短くなる。
いずれにも優れたリチウムイオン2次電池用負極材料の
条件について検討を重ねた結果、負極材料の粉体の比電
気抵抗とサイクル特性との間に相関関係があることを見
出した。即ち、負極の作製に用いた負極材料の粉体の比
電気抵抗が低いほど、作製された負極のサイクル特性が
高くなることがわかった。
それ自体の比電気抵抗に加え、粉体表面の酸化状態によ
っても大きく変動し、表面が酸化されているほど、比電
気抵抗は大きくなる。従って、全く同じ材質の負極材料
でも、その粉体の比電気抵抗は、その粉体の製造方法や
製造後の保存条件によって著しく変動する。
作製に用いる負極材料の粉体の比電気抵抗を一定値以下
に制限することにより、負極材料のサイクル特性を改善
することができる。その結果、放電容量が高く、従って
充電・放電中の体積変化が大きいため、従来はサイクル
寿命が短くて実用化しにくかったような負極材料でも、
実用に十分なサイクル寿命を持たせることが可能とな
り、放電容量とサイクル特性が両立した負極材料の提供
が可能となることが判明した。
蔵・放出が可能な活性相のみから構成してもよいが、Li
イオンを実質的に吸蔵しない不活性な相が共存した負極
材料とすることも可能である。この不活性相は、活性相
のLiイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化を拘束する作用
を果たすこため、サイクル特性に有利に作用する。
的に吸蔵・放出できる1相以上の活性相から構成される
合金の粉体、又は(2) 前記活性相とアルカリ金属元素を
可逆的に吸蔵・放出しない1相以上の不活性相とから構
成する合金の粉体、の何れかである非水系2次電池用負
極材料であって、粒径45μm以下の前記合金の粉体を98
00 Pa の応力を用いて加圧したときの25℃での比電気抵
抗が 100×1O7 Ω・m以下であることを特徴とする、非
水系2次電池用負極材料である。
溶融物を得る工程と、得られた溶融物を凝固させる工程
とを含む上記非水系2次電池用負極材料の製造方法も提
供される。この方法は、原料を溶融する工程と溶融物を
凝固させる工程において、材料の温度が300 ℃以上の温
度域にある過程をすべて非酸化性雰囲気 (例、真空また
は不活性ガス雰囲気) とすることを特徴とする。
(2) の合金の粉体からなる負極材料から作製された非水
系2次電池用負極であって、負極作製直前の前記負極材
料が、粒径45μm以下の前記合金の粉体を9800 Pa の応
力を用いて加圧したときの25℃での比電気抵抗が 100×
1O7 Ω・m以下であることを特徴とする、非水系2次電
池用負極である。
は、吸蔵されるアルカリ金属イオンがLiイオンではな
く、例えば、Naイオンであっても、原理的には非水系二
次電池の負極材料として機能する。しかし、イオン半径
が小さく、最も卑な金属のイオンであるLiイオンが容量
とエネルギー密度の点で有利であるので、通常はリチウ
ムイオン電池の負極材料として使用される。従って、以
下では、吸蔵されるイオンがLiイオンである場合につい
て説明するが、他のアルカリ金属イオンである場合にも
基本的には同じことである。
の粉体からなる。この合金は、(1)Liイオンを可逆的に
吸蔵・放出することのできる活性相のみから構成される
合金であってもよく、あるいは(2) 前記活性相に加え
て、Liイオンを実質的に吸蔵しない不活性相が共存した
合金であってもよい。
金属−非金属化合物 (例、炭化物、硫化物、リン化物、
ホウ化物、窒化物、ハロゲン化物、水酸化物) から選ん
だ1種または2種以上の結晶質材料の相から構成するこ
とが好ましい。活性相は、体積基準で、現行の非水系2
次電池用負極材料である炭素質材料、特に黒鉛の理論容
量(720 mAh/cm3)より理論容量の大きいものとすること
が好ましい。
晶質でも非晶質でもよく、やはり金属単体、金属間化合
物および金属−非金属化合物から選んだ1種または2種
以上の相から構成することができる。この不活性相は、
充電・放電時の活性相の体積変化を拘束する作用を果た
す。
は金属−非金属化合物も含むものとする。本発明の第1
の好適態様では、前記合金が、長周期型周期律表におい
て、 ・2A族に属する1以上の元素と4B族に属する1以上
の元素とから構成される合金、 ・遷移元素に属する1以上の元素と遷移元素、3B族、
4B族、5B族及び6B族の何れかに属する1以上の元
素とから構成される合金、 ・3B族に属する1以上の元素と4B族、5B族及び6
B族の何れかに属する1以上の元素とから構成される合
金、又は ・4B族に属する1以上の元素と6B族に属する1以上
の元素とから構成される合金、の何れかである。
が、長周期型周期律表において、 ・2A族に属する1以上の元素と4B族に属する1以上
の元素とから構成される活性相、 ・遷移元素に属する1以上の元素と遷移元素、3B族、
4B族、5B族及び6B族の何れかに属する1以上の元
素とから構成される活性相、 ・3B族元素に属する1以上の元素と4B族、5B族及
び6B族の何れかに属する1以上の元素とから構成され
る活性相、 ・4B族に属する 1以上の元素と6B族に属する1以上
の元素とから構成される活性層、又は ・4B族に属する1以上の元素から構成される活性相、
の何れか1または2以上の相からなる。
る:2A族に属する元素がMgであり、遷移元素に属する
元素が希土類元素、Ti、Zr、V、Cr、Mo、Mn、Fe、Ni、
Pd、Cu及びAuから選ばれ、3B族に属する元素がB、Al
及びInから選ばれ、4B族に属する元素がSi及びSnから
選ばれ、5B族に属する元素がP及びSbから選ばれ、6
B族に属する元素がSである。
Al10Mn3, Al23V4, FeS2, TiS2, ZrS2, Cr2S3, In2S3,
MnSn2, FeSn2, PdSn, PdSn4, AuSn, Ag3Sn, ZrSn2, Cu6
Sn5,InSn4, NdSn3, Mn3C, Fe3C, Fe3P, Ni3B, NiCl2, N
i(OH)2, AlP, InP, SSn, S2Sn, Mn23C6, InSb, Mg2Si,
Mo2Zr, Si, Sb, Sn, In等が挙げられる。本発明の負極
材料は合金であるので、Si, Sb, Sn, Inといった金属単
体からなる活性相は、少なくとも不活性相が共存する
か、好ましくは活性相の中に、この金属単体からなる活
性相のほかに他の活性相が共存している。
の合金の粉体からなる非水系2次電池用負極材料は、粒
径45μm以下の前記合金の粉体を9800 Pa の応力を用い
て加圧したときの25℃での比電気抵抗が 100×1O7 Ω・
m以下であることを特徴とする。それにより、後述する
実施例で採用した条件に従って測定した場合に、80%以
上という良好なサイクル寿命を持つ負極材料となる。好
ましくは、上記比電気抵抗は10×107 Ω・m以下であ
り、この場合はサイクル寿命が90%以上とさらに向上す
る。
え、粉体間の接触面積に影響を受ける。この粉体間の接
触面積は、粉体の形状、粒度構成、充填率 (換言すると
空隙率) 等の因子により変動する。本発明では、上記の
ように、粒径45μm以下の粉体 (即ち、45μmのふるい
を通過する粉体) を9800 Pa の応力で加圧した場合の比
電気抵抗により、合金粉体の比電気抵抗を評価する。
は、適当な合金の原料、好ましくは、前述した本発明の
第1の好適態様に説明した合金の原料から、原料を加熱
して溶融する工程と、溶融工程で得られた溶融物を凝固
させる工程とを含む方法によって製造することができ
る。
表面の酸化が進むと、酸化物は高抵抗であるため、比電
気抵抗が著しく増大する。従って、上記工程を含む負極
材料の製造中に、合金または合金表面が酸化しないよう
な条件を採用する。具体的には、原料を加熱して溶融す
る工程において材料温度が300 ℃以上である過程、なら
びに溶融物を凝固させる工程の凝固開始以前の過程およ
び凝固開始から凝固物の温度が300 ℃以上の温度域にあ
る過程を非酸化性雰囲気中で実施する。
る時の雰囲気を非酸化性雰囲気とすることにより、合金
への酸素の溶解や合金粉体の表面酸化が防止され、上記
の比電気抵抗を有する本発明に係る負極材料を製造する
ことができる。非酸化性雰囲気は、還元性雰囲気とする
ことも可能であるが、好ましくは中性の真空または希ガ
ス等の不活性ガス雰囲気である。不活性ガスは通常はア
ルゴンである。
ば、周囲雰囲気を特に問わないが、製造された合金粉体
の表面酸化が進行しないように、製造された合金粉体を
非酸化性ガス中で保管するといった酸化防止策を講じて
もよい。
不活性ガス雰囲気中で、アーク溶解、高周波誘導加熱等
の周知の方法により行うことができる。溶融工程では、
材料温度が300 ℃に達するまでの昇温過程は大気雰囲気
でもよいが、通常は昇温過程の最初から上記のような非
酸化性雰囲気中で行う方が簡便である。
鋳型に鋳込むインゴット法、回転する単ロールまたは双
ロール等の外周面に溶融物を流下して箔帯を形成するロ
ール急冷法、溶湯ノズルから流下する溶融物に不活性ガ
スを噴霧して粉体を作製するガスアトマイズ法等の公知
の方法により行うことができる。
と、その後の冷却過程において凝固物の温度が300 ℃以
上である間は、合金の表面酸化を防止するため、真空ま
たは不活性ガス中で行うことが好ましい。しかし、凝固
物の温度が300 ℃以下に低下すれば、大気等の酸化性ガ
スに露出してもよい。例えば、合金温度が300 ℃以下に
下がれば、大気中に取り出したり、大気を導入したりす
ることができる。なお、次に述べる熱処理についても、
その昇温過程、温度保持過程、および冷却過程を含め
て、合金の温度が300 ℃以上にある間は、真空または不
活性ガス等の非酸化性雰囲気とすることが好ましい。
工程に急冷処理を施すことにより得られた合金は、必要
に応じて、熱処理を施して内部歪みを除去してもよい。
但し、活性相と不活性相を有する上記(2) の合金の場
合、熱処理温度が高すぎると、各相の粒径が大きくなり
すぎ、粉砕後に活性相または不活性相のみの粉体ができ
ることがあり、不活性相による活性相の体積変化を拘束
する効果が減少することがあるので、熱処理温度を500
℃以下とすることが好ましい。
された合金は、粉砕して粉体にする。ガスアトマイズ法
では一般に球形形状の粉体が得られるが、粒径が大きす
ぎる場合には、得られた粉体を粉砕することもできる。
粉体の表面酸化を防止するため、粉砕は不活性ガス中で
行うことが好ましい。
る上、酸化されていない新鮮な割断面を表出させるの
で、比電気抵抗の低下に寄与する。その意味で、本発明
の負極材料の製造では、粉砕を行うことが好ましい。粉
砕後の粉体を大気中に長く放置しておくと、次第に酸化
皮膜が厚くなって比電気抵抗が増加することがある。量
産時には、粉砕した粉体を非酸化性ガス中で保管すると
いった酸化防止策を講じてもよい。
径は特に制限されないが、平均粒径が5〜25μm程度で
あることが好ましい。なお、比電気抵抗の測定において
は、粒子の最大粒径が45μmとなるようにする (例え
ば、45μmのふるいにより) が、実際に使用する負極材
料の最大粒径は45μmより大きくてもよい。しかし、大
粒子の混入は接触面積を小さくするので、本発明の負極
材料を構成する合金粉体の最大粒径も45μmとすること
が好ましい。
り、非水系2次電池用の負極を作製する。例えば、本発
明の負極材料の粉体に、適当なバインダーを混合し、必
要に応じて導電性向上のために適当な導電粉を混合す
る。この混合物に、バインダーを溶解する溶媒を加え、
必要であればホモジナイザー、ガラスビーズを用いて充
分に攪拌してスラリー状にする。このスラリーを、圧延
銅箔、銅電析銅箔などの集電体に、ドクターブレード等
を用いて塗布し、乾燥した後、ロール圧延等で圧密化さ
せることで非水系2次電池用負極を製造することができ
る。
化ビニリデン) 、PMMA (ポリメチルメタクリレー
ト) 、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン) 等の非
水溶性の樹脂、並びにCMC (カルボキシメチルセルロ
ース) 、PVA (ポリビニルアルコール) などの水溶性
樹脂が例示される。溶媒としては、バインダーに応じ
て、NMP (N-メチルピロリドン) 、DMF (ジメチル
ホルムアミド) 等の有機溶媒、または水を使用する。
ブラック、黒鉛) および金属 (例、Ni) のいずれも使用
できるが、好ましいのは炭素材料である。炭素材料は、
その層間にLiイオンを吸蔵することができるので、導電
性に加えて、負極の容量にも寄与することができ、また
保液性にも富んでいる。好ましい炭素材料はアセチレン
ブラックである。負極に炭素材料を配合する場合、負極
中の5質量%以上、80質量%以下の量で炭素材料を使用
することが好ましく、より好ましい配合量は20質量%以
上、50質量%以下である。
て、非水電解質2次電池を作製する。非水電解質2次電
池の代表例はリチウムイオン2次電池であり、本発明に
係る負極材料および負極は、リチウムイオン2次電池の
負極材料および負極として好適である。但し、理論的に
は、他の非水電解質2次電池にも適用できる。
負極、正極、セパレータ、非水系の電解質を含んでい
る。負極は上記のように本発明に従って製造したものを
使用するが、他の正極、セパレータ、電解質については
特に制限されず、従来より公知のもの、或いは今後開発
される材料を適当に使用すればよい。非水電解質2次電
池の形状も特に制限されず、円筒型、角形、コイン型、
シール型等何れの形でもよい。
次電池とする場合、正極は、Li含有遷移金属化合物を正
極活物質とするものが好ましい。Li含有遷移金属化合物
の例は、LiM1-xM'x O2 またはLiM2y M'y O4 (式中、0
≦X、Y≦1、MとM' はそれぞれBa、Co、Ni、Mn、C
r、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Sn、Sc、Yの少なくとも
1種) で示される化合物である。
ム酸化物およびそのLi化合物; ニオブ酸化物およびその
Li化合物; 有機導電性物質を用いた共役系ポリマー; シ
ェブレル相化合物; 活性炭、活性炭素織維等といった、
他の正極材料を用いることも可能である。
に支持電解としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解させた
非水系電解質である。リチウム塩としては、例えば、Li
ClO4、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6、iB(C6H5)、LiCF3SO3、
LiCH3SO3、Li(CF3SO2)2N、LiC4F9SO3 、Li(CF2SO2)2 、
LiCl、LiBr、LiI 等が例示され、1種もしくは2種以上
を使用することができる。
ト、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど
の炭酸エステル類が好ましい。但し、カルボン酸エステ
ル、エーテルをはじめとする他の各種の有機溶媒も使用
可能である。
絶縁体としての役割を果たす他、電解質の保持にも大き
く寄与する。通常は、ポリプロピレン、ポリエチレン、
またはその両者の混合布、ガラスフィルターなどの多孔
体が一般に使用される。
に例示する。以下の説明において合金粉体の組成に関す
る%は、特に指定のない限り、質量%である。
材料の供試材については、まずArアーク溶解で原料を予
備溶解し、小型ボタン型インゴットにする均一化処理を
行った。得られたボタン型インゴットをBN (窒化ホウ
素) 製のルツボに入れて、Ar雰囲気中で高周波誘導溶解
炉により加熱溶融させ、溶融物をロール急冷法又はガス
アトマイズ法により凝固させて負極材料を調製した。
溶融物を、断面直径1mmの溶湯ノズルから、外周の周速
度が200 m/分で回転する直径300 mmの単ロールの外周面
に流下し、薄帯を作製した。
装置および作製した薄帯の堆積物を収納する容器は、一
つの密閉容器に収納されており、密閉容器内をArガス等
の希ガス雰囲気にすることも、あるいは真空にすること
もできる。
周部の各位置に熱電対を差し込んで薄帯の温度を連続的
に測定した結果、中心部の温度が堆積物中の最高温度を
示すことを確認した。
にArガスを充填し、ボタン型インゴットの溶融から負極
材料の薄帯の作製および薄帯の堆積物の中心部の温度が
300℃に下がるまでは、全ての装置を収納するAr雰囲気
の密閉容器内で行い、その後、密閉容器内に大気を導入
して大気中で放冷し、薄帯堆積物の中心部の温度が室温
になった時点で薄帯を取り出した。
は、得られた薄帯を10-4 Torr の真空中で400 ℃に12時
間保持する熱処理を施した。熱処理に際しては、昇温過
程から熱処理温度に保持後の冷却過程で薄帯の堆積物の
中心部の温度が300 ℃に下がるまでの間は、真空に保た
れた熱処理炉内で冷却し、その後、熱処理炉から取り出
し、大気中で放冷した。
トの溶融物を断面直径4 mmの溶湯ノズルから、4 MPa の
圧力で噴射されるArガス中にに流下して、粉体を作製し
た。ロール急冷材と同様に、粉体の堆積物の中心部の温
度が300 ℃に下がるまでは、堆積物を収納する密閉容器
内で冷却し、その後、密閉容器に大気を導入して放冷し
た。No.1から43までのガスアトマイズ材もロール急冷材
と同様の熱処理を施した。
20, 38, 39, 41および43については、ロール急冷法また
はガスアトマイズ法で薄帯または粉体を作製した後、そ
れらの堆積物の中心部の温度が400 ℃になった時点で上
記と同様の要領で大気を導入して放冷し、上記と同様の
熱処理を施した。
は、薄帯または粉体を上記と同様に作製した。その後、
上記と同様にして、熱処理のために真空中、400 ℃に12
時間の温度保持を行い、熱処理後の冷却過程において、
堆積物の中心部の温度が350 ℃になるまでは真空を保持
し、350 ℃で大気を導入して放冷した。
ウ乳鉢を用いて粉砕した後、メッシュ径が20μmの金ふ
るいにより、粒径20μm以下の合金粉体を調製した。次
に、理学製2軸型自動X線回折装置を用いて室温での粉
体X線回折測定を行い、各合金粉体の回折プロファイル
を得た。供試材に含まれる元素種の数が少なく、且つ供
試材の組成が明かである場合、ASM HANDBOOKの金属相図
により合金粉体に含まれる相を容易に予測できる。その
ため、得られた回折プロファイルをリートべルト解析す
ることにより、合金粉体に含まれる相を決定することが
できた。
した粒径20μm以下の合金粉体から非水2次電池用負極
を製造した。次に、2軸型自動X線回折装置を用いて充
電前の電極の状態および充電後の電極の状態での室温で
の回折プロファイルをそれぞれ得た。ここで充電後の状
態、つまり電極にLiが挿入された状態ではLi化化合物の
酸化を防ぐためAr雰囲気中で電極をマイラ箔に封じ込め
たものを使った。充電前と充電後の回折プロファイルを
ピーク位置とピーク強度の2点で比較し、充電前に見ら
れた回折ピークに明かな変化が見られる場合、その回折
ピークを帰属していた相が活性相であると決定し、また
変化の見られない回折ピークを帰属していた相が不活性
相であると決定した。
応じてメノウ乳鉢で粉砕した後、メッシュ径が45μmの
金ふるいにより粒径45μm以下の粉体を調製した。この
負極材料の粉体に、バインダーとしてポリフッ化ビニリ
デンを粉体重量の10質量%添加し、さらに溶媒のN−メ
チルピロリドンを同様に10質量%添加してポリフッ化ビ
ニリデンを溶解した。この混合物に、導電粉として炭素
材料 (アセチレンブラック) の粉体を、この混合物の10
質量%の量で加え、混練して、均一スラリーを作製し
た。
し、乾燥させ、ロール圧延して圧密化させた後、直径13
mm の大きさのポンチを用いて打ち抜きし、非水溶媒2
次電池の負極とした。銅箔上の負極材料層の厚みは約10
0 μmであった。
のポンチで打ち抜いた銅箔および負極電極の重量を計
り、銅箔と負極電極の重量差から銅箔上の負極材料の重
量を求めた。次に、厚みゲージを用いて銅箔および負極
電極の厚みを計り、銅箔と負極電極の厚み差から負極材
料の厚みを求めることにより、負極材料の体積を計算し
た。
負極の単極での性能を、対極、参照極にLi金属を用い
た、いわゆる3極式セルを用いて評価した。電解液とし
ては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの
3:1混合溶媒中に、支持電解質のLiPF6 を1M濃度で
溶解させた溶液を使用した。測定は25℃で行い、グロー
ブボックスのように、不活性雰囲気を維持できる装置を
用いて、雰囲気の露点が−70℃程度である条件で測定し
た。
ような条件) で参照極の電位に対して負極の電位が0V
になるまで充電を行い、同じ電流値で参照極の電位が負
極の電位に対して2Vになるまで放電を行って、この時
の1サイクル目の放電容量をその負極材料を用いた負極
の放電容量とした。放電容量の値は、上記のようにして
求めた負極の重量と体積から、単位体積当たりの容量(m
Ah/cm3) で示した。
0 サイクル目の放電容量を測定して、次式を用いてサイ
クル寿命を計算した: サイクル寿命 (%) = (A−B) /A×100 A:1サイクル目の放電容量 B:100 サイクル目放電容量 本実施例では、サイクル寿命が80%以上である場合を合
格とした。
いた、粒径45μm以下の粉体を、真空中、200 ℃の温度
で8時問乾燥させた後、三菱化学製粉体抵抗測定システ
ムを用いて、9800 Pa の圧力を加圧した時の粉体の比電
気抵抗を25℃で測定した。
性相および不活性相の同定結果ならびに試験結果 (放電
容量、サイクル寿命、負極材料の合金粉体の比電気抵
抗) をまとめて示す。
数字のない冒頭の元素は残部である。例えば、Fe-37Sと
は、63質量%Fe−37質量%Sの組成であることを意味す
る。比電気抵抗の測定値は、原則として 107×Ω・mの
単位で示したが、 107×Ω・mより低抵抗である供試材
については、例えば、No.5のように、1.1E-06 という形
で示した。これは、比電気抵抗が 1.1×10-6×107 Ω・
m (=11Ω・m) と非常に低抵抗であることを意味す
る。同様に、No.15 の4.8E-02 とは、 4.8×10-2×107
Ω・m (= 4.8×105 Ω・m) であることを意味してい
る。
の組成は複雑であるため、表には主な不活性相のみを示
した。これ以外に、量的にはわずかであるが、多様な不
活性相が一緒に析出している場合があり、特に熱処理を
施さない場合にはそうである。また、不活性相が非晶質
である場合には、上記方法では同定できないので、単に
非晶質とのみ表示した。
発明に係る負極材料は、活性相の組成や活性相の占める
割合により放電容量は様々な値をとるが、いずれもサイ
クル寿命は80%以上と合格である。即ち、負極を作製す
る直前の負極材料の比電気抵抗が本発明の要件を満たし
ている低抵抗の負極材料は、サイクル寿命が良好であ
り、特に粉体の比電気抵抗が10×107 Ω・m以下である
材料は、より高いサイクル寿命を示した。
であっても、凝固時または熱処理時の冷却過程で300 ℃
に達する前に大気に露出した比較例の負極材料は、比電
気抵抗が 100×107 Ω・mを超え、その結果サイクル寿
命が低くなった。これは、例えば、No.18 と19、または
No.42 と43の比較からわかる。
で作製した粉体がガスアトマイズ法で作製した粉体より
比電気抵抗が低くなる傾向が認められた。これは、ロー
ル急冷法では粉砕を行ったため、酸化されていない新た
な表面ができたためではないかと推定される。
明によれば、合金粉体からなる非水系2次電池用負極材
料の粉体の比電気抵抗を一定以下とすることにより、良
好なサイクル寿命を示す負極材料を確実に得ることがで
きる。従って、負極材料の材質として、放電容量が高い
合金を選定することにより、放電容量とサイクル寿命の
いずれも良好で、現行の炭素質材料より優れた性能を示
す非水系2次電池負極材料および負極の提供が可能であ
る。
Claims (8)
- 【請求項1】 (1) アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵
・放出できる1相以上の活性相から構成される合金の粉
体、又は(2) 前記活性相とアルカリ金属元素を可逆的に
吸蔵・放出しない1相以上の不活性相とから構成する合
金の粉体、の何れかである非水系2次電池用負極材料で
あって、 粒径45μm以下の前記合金の粉体を9800 Pa の応力を用
いて加圧したときの25℃での比電気抵抗が 100×1O7 Ω
・m以下であることを特徴とする、非水系2次電池用負
極材料。 - 【請求項2】 前記合金が、長周期型周期律表におい
て、 ・2A族に属する1以上の元素と4B族に属する1以上
の元素とから構成される合金、 ・遷移元素に属する1以上の元素と遷移元素、3B族、
4B族、5B族及び6B族の何れかに属する1以上の元
素とから構成される合金、 ・3B族に属する1以上の元素と4B族、5B族及び6
B族の何れかに属する1以上の元素とから構成される合
金、又は ・4B族に属する1以上の元素と6B族に属する1以上
の元素とから構成される合金、の何れかである、請求項
1に記載の非水系2次電池用負極材料。 - 【請求項3】 前記活性相が、長周期型周期律表におい
て、 ・2A族に属する1以上の元素と4B族に属する1以上
の元素とから構成される活性相、 ・遷移元素に属する1以上の元素と遷移元素、3B族、
4B族、5B族及び6B族の何れかに属する1以上の元
素とから構成される活性相、 ・3B族元素に属する1以上の元素と4B族、5B族及
び6B族の何れかに属する1以上の元素とから構成され
る活性相、 ・4B族に属する 1以上の元素と6B族に属する1以上
の元素とから構成される活性層、又は ・4B族に属する1以上の元素から構成される活性相、
の何れか1または2以上からなる、請求項1又は2に記
載の非水系2次電池用負極材料。 - 【請求項4】 2A族に属する元素がMgであり、 遷移元素に属する元素が希土類元素、Ti、Zr、V、Cr、
Mo、Mn、Fe、Ni、Pd、Cu及びAuから選ばれ、 3B族に属する元素がB、Al及びInから選ばれ、 4B族に属する元素がSi及びSnから選ばれ、 5B族に属する元素がP及びSbから選ばれ、 6B族に属する元素がSである、請求項1〜3の何れか
に記載の非水系2次電池用負極材料。 - 【請求項5】 原料を加熱して溶融して溶融物を得る工
程と、溶融物を凝固させる工程とを含む、請求項1〜4
の何れかに記載の非水系2次電池用負極材料の製造方法
であって、原料を溶融する工程と溶融物を凝固させる工
程において材料の温度が300 ℃以上の温度域にある過程
を非酸化性雰囲気中で実施することを特徴とする方法。 - 【請求項6】 前記非酸化性雰囲気が真空または不活性
ガス雰囲気である、請求項5記載の方法。 - 【請求項7】 (1) アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵
・放出できる1相以上の活性相から構成される合金の粉
体、又は(2) 前記活性相とアルカリ金属元素を可逆的に
吸蔵・放出しない1相以上の不活性相とから構成する合
金の粉体、の何れかである負極材料から作製された非水
系2次電池用負極であって、 前記負極材料が、粒径45μm以下の前記合金の粉体を98
00 Pa の応力を用いて加圧したときの25℃での比電気抵
抗が 100×1O7 Ω・m以下であることを特徴とする、非
水系2次電池用負極。 - 【請求項8】 請求項5または6記載の方法により製造
された負極材料から作製された非水系2次電池用負極。
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