JP3562398B2 - 非水電解質二次電池用負極材料の製造方法と二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極材料の製造方法と二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Li等のアルカリ金属を多量に、かつ可逆的に吸蔵・放出することができる非水電解質二次電池用の粉末状の負極材料の製造方法に関する。本発明はまた、この負極材料を備えた負極の製造方法、ならびにこの負極材料を利用した、充電・放電容量とサイクル寿命が共に改善された非水電解質二次電池にも関する。
【0002】
なお、本発明でいう非水電解質二次電池は、支持電解質を有機溶媒に溶解した非水電解質を用いた電池と、高分子電解質やゲル電解質等の非水電解質を用いた電池とを包含する。
【0003】
【従来の技術】
携帯可能な小型の電気・電子機器の普及と性能向上に伴い、リチウムイオン二次電池で代表される非水電解質二次電池の生産量は大きく伸びており、その容量やサイクル寿命の向上が引き続き求められている。
【0004】
現在の一般的な非水電解質二次電池では、負極材料として主に炭素材が使用されている。しかし、炭素材からなる負極では、LiCの組成までしかLiを吸蔵できないため、容量の理論的最大値は372 mAh/g と、金属リチウムの場合の約1/10に過ぎず、容量の向上に限界がある。
【0005】
負極材料として当初使用された金属リチウムは、高容量を得ることができるものの、電池の充電・放電を繰り返すとデンドライトが析出して短絡が発生するため、充電・放電のサイクル寿命が短く、実用的ではなかった。
【0006】
高容量化を図るため、金属間化合物の形成によりLiを可逆的に吸蔵・放出することができる、Alといった元素を負極材料に用いる提案もあったが、吸蔵・放出に伴う体積変化により割れが生じ、微粉化する。そのため、この負極材料を用いた二次電池は、充電・放電のサイクルが進むと急激に容量が低下し、サイクル寿命が短いものになる。
【0007】
この体積変化による負極材料の微粉化を防止するための対策として、負極材料のAlにLi、Si、B等を添加してAl材の格子定数を予め大きくすることが提案されている (特開平3−280363号公報) 。しかし、効果が不十分で、サイクル寿命を十分に向上させることができない。
【0008】
また、珪化物や他の金属間化合物の格子間にLiを吸蔵・放出させる提案もなされているが (特開平7−240201号、同9−63651 号各公報等) 、何れも大きな効果があるものではなかった。
【0009】
更に、各種の非水電解質二次電池用負極材料やその材料を備えた負極電極の提案はあっても、その材料の性能を最もよく発揮させるための組織を持つ負極材料やその製造方法の提案はなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、Liを吸蔵・放出する量が大きく、従って非水電解質二次電池の負極材料として用いた場合の充電・放電容量が大きく、しかも充電・放電を繰り返すことによる容量低下が少なく、サイクル寿命に優れている、非水電解質二次電池の負極材料を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の別の目的は、この負極材料からなる負極を備えた非水電解質二次電池がその性能を最もよく発揮するような組織を持つ負極材料および負極の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
シリコン(Si)は、Liとの金属間化合物 (Li22Si等) の生成を通して、Liを可逆的に吸蔵・放出することができる。Siを非水電解質二次電池の負極材料に用いた場合のSiの充電・放電容量は、理論的には約4020 mAh/g (9800 mAh/cc : 比重2.33) と大きい。この理論的最大容量は、現在実用化されている炭素材の理論的最大容量の372 mAh/g (844 mAh/cc : 比重2.27として) より遙かに大きく、金属リチウムの理論的最大容量3900 mAh/g (2100 mAh/cc : 比重0.53) と比較しても、電池の小型化という観点から重要な単位体積あたりの電極の容量は遙かに大きい。従って、Siは高容量の負極材料となりうる。
【0013】
しかし、Siからなる負極材料は、Alの場合と同様に、Liの吸蔵・放出に伴う体積変化による割れで微粉化し易いため、充電・放電サイクルに伴う容量の低下が甚だしく、サイクル寿命が短いので、Siを負極材料にする試みはこれまでほとんどなされたことがない。
【0014】
本発明者らは、Siからなる負極材料の持つ高い理論容量という特性に着目し、そのサイクル寿命の向上を目的として検討した結果、Si相粒の表面を、Siを含む固溶体又は金属間化合物の相で包囲すると、Liの吸蔵・放出に伴う体積変化が拘束されるため、Siの割れおよび微粉化が防止され、サイクル寿命が向上することを見出した。この効果を十分に得るには、包囲に用いた固溶体や金属間化合物相の拘束が効くように、Si相を小さな粒径にした方が好ましく、そのような小さな粒径のSi相は、急冷凝固法により効率よく形成することができる。
【0015】
本発明により、1または2以上のSi相粒と、このSi相粒を少なくとも部分的に包囲するSi含有固溶体又は金属間化合物の相とを含んでいる合金粒子からなる非水電解質二次電池用負極材料であって、該合金粒子の平均粒径が0.1 μm以上、50μm以下であり、負極材料の5wt%以上、99wt%以下をSi相粒が占める、非水電解質二次電池用負極材料、が提供される。
【0016】
この合金粒子においてSi相粒を包囲する「Si含有固溶体又は金属間化合物」は、Siと、長周期型周期表の2A族元素、遷移元素、3B族元素、並びにSiを除く4B族元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素とから構成することができる。
【0017】
上記の非水電解質二次電池用負極材料は、下記の方法により製造することができる。
【0018】
一つの方法は、合金粒子を構成する原料 (Si元素+Siと固溶体又は金属間化合物を形成する少なくとも1種の元素) の溶融物を凝固速度が100 ℃/秒以上となるように冷却して凝固させて、Si相粒とこれを少なくとも部分的に包囲するSi含有固溶体又は金属間化合物の相とを含む合金を形成する工程を含む。この方法は、凝固工程で得られた合金を該固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度で熱処理する工程をさらに含んでいてもよい。この熱処理は、急冷凝固により合金内に生じた歪みを除去することが目的であり、歪みの程度が大きい場合には実施してもよい。凝固速度が100 ℃/秒以上となる溶融物の冷却は、アトマイズ法、ロール急冷法及び回転電極法よりなる群から選ばれた方法で行うことができる。
【0019】
別の製造方法は、Si金属又はSi相を含む合金の粉末の表面に、Siと固溶体又は金属間化合物を構成する元素を含む材料の付着層を形成する工程、および付着層を形成した粉末を、該固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度で熱処理して、付着層の材料をSi含有固溶体又は金属間化合物に変化させる工程を含む。付着層の形成は、メッキ法又はメカニカルアロイング法により行うことができる。
【0020】
上記の何れの製造方法においても、生成した合金粒子は、平均して5wt%以上、99wt%以下のSi相粒を含み、合金粒子の平均粒径が0.1 μm以上、50μm以下であることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、非水電解質二次電池用負極の製造方法も提供される。この方法は、Si金属又はSi相を含む合金の粉末を負極基板上に付着させて該基板上に粉末層を形成した後、この粉末層に、Siと固溶体又は金属間化合物を構成する元素を含む材料をメッキし、次いで前記固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度で熱処理を施して、該メッキをSi含有固溶体又は金属間化合物に変化させることを特徴とする。
【0022】
本発明はまた、非水電解質と、リチウムを可逆的に吸蔵および放出することができる正極と負極を備えた非水電解質二次電池において、該負極が上記の負極材料を含有する負極であるか、または上記の負極材料の製造方法で製造された負極材料を含有する負極であるか、または上記の負極の製造方法で製造された負極であることを特徴とする非水電解質二次電池にも関する。
【0023】
この負極は、上記負極材料に対して5wt%以上、80wt%以下の炭素材料を含有するものでよい。正極はリチウム含有遷移金属化合物を活物質とするものが好ましく、非水電解質はリチウム塩を炭酸エステルを含む有機溶媒に溶かした溶液が好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る負極材料とその製造方法、およびこの負極材料からなる負極の製造方法、さらにこの負極材料を利用した非水電解質二次電池について詳述する。なお、以下の説明において、材料組成に関する%は、特に指定のない限り、重量%である。
【0025】
負極材料
本発明に係る負極材料は、コアの1または2以上のSi相粒と、このSi相粒を少なくとも部分的に包囲するSi含有固溶体又は金属間化合物の相 (以下、包囲材ともいう) とを含む合金粒子からなる。包囲材は、Si含有固溶体と金属間化合物との混合物であってもよく、さらに他の相を含有していてもよい。
【0026】
コアのSi相粒は、負極活物質であって、金属間化合物 (例、Li22Si)を形成することにより、リチウムと可逆的に化合・解離することができる。即ち、充電時にはLiと化合することでLiを吸蔵し、放電時にはLiを解離することでLiを放出する。Si相粒は、Si相がマトリックスであれば、その中に他相が分散していてもよい。
【0027】
包囲材であるSi含有固溶体又は金属間化合物の相は、Liの吸蔵・放出に伴うSi相の体積変化を拘束して、その割れと微粉化を抑制し、サイクル寿命を向上させる。負極活物質であるSi相粒が包囲材で完全に包囲されていても、Liイオンはイオン半径が非常に小さいため、包囲材の格子間を容易に通り抜けて、コアのSi相に到達し、これと化合することができる。Si相から解離したLiイオンも同様に包囲材を通過して電解液中に放出される。即ち、包囲材は、Liイオンの通過を実質的に妨げずに、Si相粒を体積変化に対して拘束することができる。
【0028】
包囲の目的は、負極活物質であるSi相粒の体積変化を拘束することであるので、原理的には、包囲材はSiを含まない材料でもよい。しかし、包囲が剥離すると、この目的を達成することができない。この剥離を防止するために、包囲材は、Si相との同時凝固や包囲されたSi元素からのSiの拡散で形成できる、Siを含有する固溶体または金属化合物の相とする。
【0029】
包囲材は、コアのSi相粒を完全に包囲したものでも、部分的に包囲したものでもよい。部分的に包囲した場合でも、上記拘束の目的を実質的に達成することができる。特に工業的生産では、すべてのSi相粒について厳密な意味で完全に包囲することは難しいし、又その確認も難しい。
【0030】
この粉末状の負極材料を構成する個々の合金粒子は、単一のSi相粒を含んでいても、複数のSi相粒を含んでいてもよい。単一のSi相粒を含む場合、合金粒子は、この単一のSi相粒の周囲が包囲材で少なくとも部分的に包囲された粒子からなる。複数のSi相粒を含む合金粒子では、Si相粒が包囲材のマトリックス中に散在した形態 (Si相粒が比較的微細で、包囲材の割合が比較的多い) が一般的であるが、上記の単一のSi相粒を含む合金粒子が複数個結合したような、包囲材の割合が比較的少ないものも可能である。一つの負極材料の中で、この単一のSi相粒を含む合金粒子と、複数のSi相粒を含む合金粒子が混在していてもよい。
【0031】
合金粒子中のSi相粒の平均粒径は、0.01μm以上、40μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上、35μm以下である。コアのSi相粒の平均粒径が40μmを超えると、上記の拘束が効きにくくなることがある上、合金粒子の平均粒径が50μmを越えることがあり、Siの微粉化とサイクル寿命の悪化を防止することが困難となる。Si相粒の平均粒径が0.01μm未満であると、合金粒子の製造時に表面酸化等が発生し易く、取扱いがむずかしくなる。なお、合金粒子中が複数のSi相粒を含む場合には、Si相粒の平均粒径は好ましくは20μm以下である。
【0032】
合金粒子の平均粒径は0.1 μm以上、50μm以下である。合金粒子の平均粒径が50μmを超えると、電極中の負極材料の充填密度が小さくなり、その容量が低下する。また、Si相粒の平均粒径は上記のように40μm以下が好ましいので、平均粒径が50μmを超えると包囲材の厚さが大きくなりすぎ、Si相の占める割合が減って、結果として負極材料としての容量が小さくなる。合金粒子の平均粒径が0.1 μmより小さいと、包囲材が薄すぎて前記の拘束が効きにくくなる。合金粒子の好ましい平均粒径は1μm以上、40μm以下、より好ましくは5μm以上、35μm以下である。
【0033】
Si相粒および合金粒子のいずれについても、粒子形状が、例えばフレーク (薄片) のように不規則 (非球形) である場合には、合金粒子の粒径は短径と長径の平均値をとる。こうして求めた合金粒子の粒径の粒子体積に対する平均値を平均粒径とする。
【0034】
Si相粒の粒径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM) により測定することができる。合金粒子の粒径については各種の測定法が可能である。例えば、レーザー回折型粒度測定装置により測定した体積粒度分布のメジアン径を平均粒径とすることができ、実施例ではこの方法を採用した。
【0035】
負極材料の5〜99wt%をSi相粒が占める。残りは本質的にSi含有固溶体又は金属間化合物の相が占める (即ち、本質的にこの相とSi相粒とから合金粒子が構成される) ことが好ましいが、負極性能に著しい悪影響がなければ、Siを含有しない第3の相が合金粒子中に共存していもよい。Si相の比率が99wt%を越えると、包囲材の厚さが小さくなり過ぎ、上記拘束が効きにくくなる。Si相の比率が5wt%未満では、負極材料として容量が小さくなりすぎる。Si相の比率は、好ましくは8wt%以上、95wt%以下、より好ましくは10wt%以上、50wt%以下である。
【0036】
前述したように、包囲材の材料は、コアのSi相粒との剥離を防止するために、Siを含有する固溶体又は金属間化合物から構成する。Siと固溶体又は金属間化合物を形成する元素は、好ましくは長周期型周期表の2A族元素 (アルカリ土類金属) 、遷移元素、3B族 (ホウ素族) 元素、並びにSi以外の4B族 (炭素族) 元素よりなる群から選ばれた1種もしくは2種以上の金属元素である。
【0037】
上記元素の好ましい例を挙げると、2A族元素ではMg、Ca、Ba;遷移元素ではNd、Pr、Ce等の希土類元素と、Ti、Cr、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu;3B族元素ではAl、Ga、In、Tl;4B族元素ではGe、Sn、Pbである。これらのうち、より好ましい元素はMg、Ca、W、Fe、Co、Niである。
【0038】
負極材料の製造方法
1または2以上のSi相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物からなる包囲材で少なくとも部分的に包囲された合金粒子からなる、本発明に係る非水電解質二次電池用負極材料は、次に説明する2つの製造方法のいずれかにより製造することができる。
【0039】
(製造方法1)
合金粒子を構成する原料 (即ち、Siと、Siと固溶体又は金属間化合物相を形成できる1種もしくは2種以上の元素、との混合物) を溶融して得た溶融物を、凝固速度が100 ℃/秒以上となるように冷却して凝固させ、Si相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物で少なくとも部分的に包囲された合金を生成させる。必要であれば、凝固物を、包囲材を構成するSi含有固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度を用いて熱処理を行い、および/または粉砕を行う。熱処理する場合には、粉砕は熱処理の前と後のいずれで行ってもよい。
【0040】
この第1の方法では、前記溶融物の凝固により、Si相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物で少なくとも部分的に包囲された合金が生成する。凝固速度が100 ℃/秒以上となる急冷により凝固させると、多くの析出核が生成するため、多相系合金の場合には、最初に析出する初晶の相と、引き続き析出する相のどちらも微細となる。即ち、上記合金の場合には、Si相粒とSi含有固溶体又は金属間化合物の相のどちらも微細な結晶粒となる。
【0041】
凝固中の合金の析出形態は一定ではない。共晶系の合金原料の場合、Si相とSi含有固溶体又は金属間化合物の相とが同時に析出し、Si相とSi含有固溶体又は金属間化合物の相が微細に混ざり合った組織の合金が得られる。Si相が初晶である場合、最初に析出した微細なSi相粒が、後から析出したSi含有固溶体又は金属間化合物の微細な相 (この相がSi相との共晶となることもある) で少なくとも部分的に包囲され、またはその中に閉じ込められた組織を持つ合金が得られる。Si含有固溶体又は金属間化合物の相が初晶である場合、この相からなる多くの微細な結晶粒が最初に析出し、その粒界に後から微細なSi相 (これも共晶となりうる) が析出する。その結果、微細なSi相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物の相の中に点在した組織の合金が得られる。いずれ合金組織も、微細なSi相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物の相で少なくとも部分的に包囲された合金ということができる。
【0042】
溶融原料は、包囲材となるSi含有固溶体又は金属間化合物相に対してSiリッチとする。原料中のSiと他の元素との割合により、凝固中に生成するSi相粒が負極材料中で占める比率が決まる。第1の方法で製造される合金粒子は、単一のSi相粒を含む場合もあるが、通常は複数のSi相粒を含むことが多い。この方法は、製造工程が比較的単純である。
【0043】
凝固速度が100 ℃/秒未満であると、析出したSi相粒が成長して粗大となり、その平均粒径が40μmを越えることがある。好ましい凝固速度は1000℃/秒以上である。凝固速度の上限は制限されないが、工業的には10℃/秒台以下とすることが好ましい。
【0044】
凝固速度が100 ℃/秒以上になるような冷却方法 (以下、急冷凝固法という) としては、製造技術の完成度、量産性、コスト等を考慮すれば、アトマイズ法、急冷ロール法、および回転電極法が好ましい。これらの方法のうち、アトマイズ法と回転電極法では粉末状の合金が得られる。それぞれの凝固方法について、添付図面を参照して次に詳述する。
【0045】
アトマイズ法は、ガスアトマイズ法と液体アトマイズ法のいずれも可能であるが、球形に近い粒子が得られるガスアトマイズ法の方が好ましい。なお、いずれの場合も、粒子の酸化を防ぐために、非酸化性の雰囲気または環境を保持することが好ましい。
【0046】
図1(a) はガスアトマイズ法の装置を模式的に示した説明図であり、図1(b) はそのノズル部の拡大断面図である。所定割合で配合された原料は、通常、真空または不活性雰囲気で高周波誘導溶解炉で溶解する。溶解した溶融物 (溶湯) は、直接給湯管12に注湯されることもあるが、通常はタンディッシュや保熱炉等の貯湯装置に一旦貯められて、給湯管12を介してアトマイズタンク11内に滴下される。タンク11内は通常不活性ガス雰囲気に保たれており、生成したアトマイズ粉末の酸化を防ぐようにしている。
【0047】
図1(b) に示すように、タンク11内では、前記給湯管12の近傍にガスアトマイズノズル13を配置する。アトマイズガス13b を、ガス供給系15よりガス供給管14を介してノズル13に供給し、17として示すように、ノズル13に設けられた孔またはスリット13aから、滴下中の溶湯に向けて噴出させる。溶湯は噴出ガス17のエネルギーにより四散し、凝固し、粉末化する。生成した粉末は、アトマイズタンク11の下部より粉末収納装置 (図示せず) へ導かれ、収納される。
【0048】
ガスアトマイズ法で生成した粉末の粒径は、滴下中の溶湯に与える噴出ガスのエネルギーが大きくなるほど通常は小さくなる。噴出ガスのエネルギーは、例えばガスの圧力や、ノズルの孔またはスリット大きさや配置により調節できる。また、噴出ガスのエネルギーが同一であれば、単位時間当たりの溶湯の滴下量が少ないほど粉末の粒径は小さくなるのが普通である。溶湯の滴下量は、給湯管の内径や給湯管内の溶湯に加える圧力により調節できる。
【0049】
図2は、単ロール急冷法の装置の例を模式的に示した説明図である。図1の場合と同様に原料を溶解して得た原料溶融物 (溶湯) を溶湯タンディッシュ22に注湯する。溶湯タンディッシュ22には、溶湯を急冷ロール21の外周部へ注ぐために、底部にタンディッシュノズル23が配置されている。タンディッシュノズル23の孔の形状は、単独の孔でもよいし、孔を1列または2列以上に並べたものでもよく、またスリット状のものでもよい。溶湯タンディッシュ22の形状も、箱状、円筒状等周囲の装置部品の配置等を考慮して設計すればよい。内部に、耐火物や溶湯のスラグ等の混入を防止するために堰を設けることもよく行われている。
【0050】
急冷ロール21は、外周部には銅等の熱伝導性の良い材料を用い、その内側の芯金部には通常鋼材を用いていることが多い。これらの急冷ロールの材料は、これに限ることなく、使用目的に沿ったものであれば特に限定されない。ロールの寿命を延長するためにロール内部に冷却水を通すことも周知の方法である。また同様の目的でロール21の外周部にNi、W、Cr等の金属や炭化物等の化合物等のメッキや溶射を施すこともある。
【0051】
急冷ロール21は矢印25の方向に回転させておく。ロール回転時のロール外周の周速度の値は種々の値が用いられているが、通常1×10−2〜6×10m/秒の範囲内であることが多い。急冷ロールの直径も特に限定されるものではないが、直径100〜600 mmのものが比較的よく用いられている。実用的見地からは、ロール直径 400〜600mm 、ロール周速6×10−2〜1.3 ×10m/秒が好ましい。
【0052】
溶湯タンディッシュ22に貯められた溶湯をタンディッシュノズル23を介して急冷ロール21の外周部に注ぐと、溶湯はロールによって抜熱されて急速に冷却され、凝固する。凝固した合金の形状は、箔帯状または/あるいは片状 (以後、急冷片と言う) をなしていることが多い。得られた急冷片は、急冷片回収フード24を介して、矢印で示すように落下させて、急冷片収納装置 (図示せず) に収納すればよい。
【0053】
急冷片の凝固速度を制御する方法は、例えば、急冷ロール21の回転速度や溶湯タンディッシュ23から急冷ロール21へ注ぐ単位時間当たりの溶湯の量を調整する方法がある。すなわち、回転速度を大きくしたり、急冷ロール21へ注ぐ単位時間当たりの溶湯の量を減らすと、前記急冷片の厚みが薄くなり凝固速度は大きくなる。
【0054】
得られた急冷片は一般に厚みが非常に薄いので、機械的な粉砕手段 (例、ボールミル、ジェットミル等) により容易に粉末にすることができる。この粉砕も含めて、ロール急冷法も不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
【0055】
図3(a) には、回転電極法の例として、プラズマ回転電極法による冷却装置の模式図を示す。この冷却装置30は、密閉チャンバー31で覆われ、チャンバー内は通常排気装置39により10−2〜10−1torr程度に減圧されている。対極32と消耗電極33を対向して配置し、それぞれ駆動軸35、36を介して矢印方向に設けた駆動装置(図示せず) に連結し、回転できるようにする。
【0056】
対極32の構造の例は、図3(b) に示すように、銅製のノズル321 とタングステン製の電極部322 で構成される。それぞれを冷却水324 で冷却できるようにして、プラズマ発生時の高温の環境に耐えられるようにしておく。プラズマアーク用の不活性ガス323 をタングステン製の電極部322 に図に示すように供給し、両電極間に作用させた電圧30Vの電場で高温のプラズマアーク34が発生し、消耗電極33を構成する材料を溶解させる。
【0057】
この間、両電極32, 33をそれぞれの駆動軸35、36およびそれに連結された適宜駆動装置 (図示せず) により互いに反対方向に回転させる。該回転の回転数は種々の値をとることができ、通常は1000〜5000 rpm程度であるが、20,000 rpmのものもある。
【0058】
消耗電極33は、粉末化しようとする材料 (即ち、Si+他の元素) で構成する。原料を上記のように溶解し、この溶融物を所望の形状に鋳込み、電極とする。円筒状の形状にすることが多い。円筒の直径も種々の値をとることができ、直径30〜50 mm のものを用いることが多いが、直径120 mm程度のものもある。
【0059】
電極33は、上記のように発生したプラズマアーク34により先端から順次溶解され、その回転に伴って四散して、急冷凝固し、粉末となる。四散した粉末はチャンバー31の下部より矢印方向に取り出され、粉末収納装置 (図示せず) に導かれ収納される。
【0060】
粉末の粒径は、主として電極33の回転数およびビレット径で決まる。例えば、粉末の粒径をより小さくしようとする場合は、陰極33の回転数を大きくすればよいし、ビレット径を小さくすればよい。また、プラズマアーク用ガスは、ArまたはHeを用いることが多い。
【0061】
第1の方法に従って急冷凝固法により形成された合金は、Ni−Si合金を例にとると、Si相粒と、金属間化合物 NiSi相およびNiSi相とが共存した状態になる。この例では、3相の中で最も凝固温度が高いSi相が凝固中に析出して初晶を形成し、引き続き初晶Si相の周囲に、液相とSi相との反応でNiSiが晶出する。その後、残った液相はNiSiとNiSiとの共晶を晶出して凝固する。ガスアトマイズ法または回転電極法により凝固させた球形合金粒子は、図4に示すように、NiSi相42で包囲されたSi相粒40が(NiSi+NiSi) 相41からなるマトリックス中に散在した凝固組織を持つ。この合金粒子は1個の粒子中に複数個のSi相粒を有する組織を持つことが多い。
【0062】
急冷凝固では、析出したどの相も微細であるので、生成した合金中のSi相粒は、平均粒径が通常25μm以下となり、特に凝固速度の大きいアトマイズ法や急冷ロール法では平均粒径が10μm以下となることが多い。Si相と共に析出する、Siを含有する金属間化合物は、1種類の場合もあるし、2種類以上になることもある。また、Si以外の元素の種類によっては、金属間化合物の代わりに、および/または金属間化合物と一緒に、Siを含有する固溶体が生成することもある。いずれの場合も、通常は最も凝固温度の低い相が、微細な結晶粒から構成されるマトリックス相となり、その中にSi相粒が存在する。
【0063】
急冷凝固により生成した合金を必要に応じて粉砕して、平均粒径が0.1 μm以上、50μm以下の合金粒子を得る。合金が粉末状で得られるアトマイズ法や回転電極法でも、必要または所望により、得られた合金粉末を粉砕してもよい。粉砕はボールミル等の慣用手段により実施できる。
【0064】
急冷凝固法を利用して製造した合金粒子は、急冷による歪みが残る場合がある。歪みがある材料は使用中に微粉化し、サイクル寿命が短くなる傾向がある。従って、急冷歪みを取り除くために熱処理を行ってもよい。粉砕を行う場合には、熱処理は粉砕前と粉砕後のいずれの時点で行ってもよい。熱処理雰囲気は、熱処理中の負極材料の酸化を防止するため、真空または不活性ガス雰囲気といった非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。
【0065】
熱処理温度は、包囲材を構成するSi含有金属間化合物または固溶体の固相線温度より10℃以上低い温度で行う。なお、この包囲材を構成する相が、図4に示すように2以上ある場合には、量が多い主要なSi含有金属間化合物又は固溶体の相(主要な相は、組成や状態図から判定できる;図4の場合はNiSi相) の固相線温度より10℃以上低温とする。好ましい熱処理温度は、該固相線温度より20℃以上低温である。
【0066】
この熱処理は、急冷歪みの解消に加えて、拡散効果を生ずる。本発明者らの観察では、図4に示した合金に熱処理を施した場合の各相の変化の状況は次の通りであった。
【0067】
熱処理の初期の段階では、(NiSi+NiSi) 相からなるマトリックス41中のNiSiが、粒状Si相40の周囲のNiSi相42からSiの供給を受けて、NiSiへ転換する。一方、NiSi相42は、この供給により不足するSiを、隣接するSi相40から取り込む。その結果、Si相40は収縮して平均粒径が小さくなる。(NiSi+NiSi) 相41中のNiSiが全てNiSiに転換した後は、合金粒子はマトリックスのNiSi相と散在する粒状Si相40の2相からなる合金となる。さらに熱処理を続けると、比較的粒径の大きなSi相は肥大し、比較的粒径の小さなSi相は消滅するオストワルド成長により、Si相の平均粒径は大きくなる。合金粒子の平均粒径には実質的な変化はない。
【0068】
熱処理は、熱処理後のSi相粒40の平均粒径が40μmを超えないように設定した条件で行うことが好ましい。熱処理温度が前記固相線温度より10℃低い温度よりも高くなると、コアのSi相粒の粒径が大きくなりすぎることや、使用する熱処理炉の温度制御の精度によっては固相線を越えてしまって、粉末の焼結が起こり、後で粉砕が必要となるため、適当ではない。熱処理温度の下限は、急冷歪みがとれれば制限されないが、300 ℃以上が望ましく、500 ℃以上がさらに好ましい。熱処理の時間は、合金粒子を構成する各元素の拡散速度を考慮すれば2時間以上、特に4時間以上とすることが望ましい。
【0069】
熱処理により、Si相粒の平均粒径が大きくなる一方で、合金中のSi相粒の重量比率が通常は低下する。これは前述したNiSiからNiSiへの転換にSi相のSiが消費されたためである。負極活物質であるSi相の重量比率が小さくなるため、熱処理すると、充電・放電容量は低下する傾向がある。
【0070】
急冷凝固法により本発明の負極材料を製造した場合、アトマイズ法や急冷ロール法といった凝固速度が高い方法では、急冷によりSiが微細に分散した組織になるので、多少の歪みが残存していても、熱処理なしでサイクル寿命が良好な負極材料が得られることが判明した。従って、時間のかかる熱処理工程を省略した生産性の高い方法により、容量が著しく高く、サイクル寿命も良好な負極材料を製造することができる。
【0071】
(製造方法2)
Si金属又はSi相を含む合金からなる粉末 (以下、Si相粉末という) の表面に、Siと固溶体又は金属間化合物を構成する元素を含む材料の付着層を形成し、次いで、前記固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度で熱処理を行う。即ち、予めコアのSi相粒を作製し、その周囲に包囲材を付着と熱拡散を利用し、後から形成する方法である。
【0072】
この第2の方法では、熱処理により、Si相粉末中のSiが付着層に拡散して、付着層の材料がSi含有固溶体又は金属間化合物に変化し、コアのSi相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物で少なくとも部分的に包囲された合金粒子が生成する。このような粒子も、本発明ん「合金」粒子に含まれる。粉末がSi金属からなる場合には、各合金粒子は通常は単一のSi相粒を含むことが多い。
【0073】
Si相粉末は、Si金属の粉末でもよいが、Si相が析出していればSi合金の粉末であってもよい。このような合金の例としては、これに限られないが、Ni−Si合金が例示される。
【0074】
Si相粉末の形状は、鋭い角がない形状が好ましく、さらに長軸径/短軸径の比が3以下の球形状であることが好ましい。鋭い角があると、前記付着層が均一になりにくい。球形状であると、微粉化しにくいし、付着層の厚さが均一になりやすい点でも有利である。Si相粉末は、機械的粉砕法で製造してもよいが、ロール急冷法、アトマイズ法又は回転電極法で製造することが有利である。中でも、ほぼ球形の粉末が得られるガスアトマイズ法又は回転電極法が好ましい。
【0075】
Si相粉末は、何れの方法で製造した場合でも、平均粒径が40μm以下であることが好ましい。平均粒径が40μmを超えると、コアのSi相粒が大きくなり、周囲に形成する金属間化合物の拘束が効きにくくなり、Liを吸蔵・放出する際に発生する微粉化を防止することができにくくなる。
【0076】
Si相粉末は、単一粒子からなる必要はなく、複数の粒子が例えば焼結により結合したような複合粒子であってもよい。粉末の粒径が10μm以下であるような微粉末の場合、そのまま表面に前記付着層を形成すると、粉末の量に対して付着層の元素の占める割合が多くなり好ましくない。そのような場合、微粉末を部分的に焼結して複合粒子化することで付着層の元素の付着粉末の割合を低くすることができる。複合粒子の場合は、複合粒子の平均粒径が40μm以下であることが好ましい。
【0077】
Si相粉末の表面に、Siと金属間化合物又は固溶体を形成することができる1種または2種以上の元素 (以下、第2の元素という) を含む材料の相を付着させる。この付着層は、第2の元素以外にSiを含有していてもよく、またSiと金属間化合物又は固溶体を形成しない他の元素も少量であれば含有しうる。第2の元素の付着の方法は、メッキといった化学的方法、並びにメカニカルアロイング法 (MA法) といった物理的方法の何れも可能である。
【0078】
第2の元素からなる付着層の厚さは0.05〜10μm程度が望ましい。0.05μm未満の場合は、付着層から形成される包囲材 (Si含有金属間化合物又は固溶体) の厚みが小さくなり、Liを吸蔵・放出する際の体積変化に対する拘束が効きにくくなり、電極のサイクル寿命が低下する。付着層の厚みが10μmを越えると、負極活物質であるSi相粒の量が相対的に少なくなり、電極の容量が小さくなる。
【0079】
付着層の形成法のうち、メッキ法では、電解メッキ法を用いることも可能であるが、粉末全体に通電することは煩雑な手順を用するので、無電解メッキ法が適している。無電解メッキ法を用いることができる第2の元素としては、Ni、Co、Pd、Cu、Ag、Au、Pt、Pb、Rh、およびRuが挙げられる。Si相粉末の表面が酸化膜等で覆われメッキしにくい場合は、適宜酸洗等により酸化膜を除去した後、無電解メッキを施せばよい。また、Pd、Sn等のメッキ助剤を用いることも無電解メッキの付着性を向上させるので有効である。
【0080】
付着層を構成する第2の元素がメッキしにくい元素である場合は、MA法によって第2の元素をSi相粉末に付着させることができる。MA法は、Si相粉末と第2の元素の粉末 (Si相粉末と同様の方法で作製できる)を遊星ボールミルや攪拌型ミル等の高エネルギーミルに一緒に投入して混合する方法で、Si相粉末の表面部に第2の元素の粉末が付着して得られる。
【0081】
MA法に用いる第2の元素の粉末の平均粒径は、Si相粉末の平均粒径より小さく、かつ10μm以下であることが望ましい。10μmを越えると、Si相粉末の表面に付着した第2の元素の層の厚さが10μmを越える可能性があり、Si層の量に対する第2の元素の量の割合が増加して好ましくない。第2の元素の粉末の平均粒径の下限は特に限定されないが、粉末の酸化等の汚染を考慮すると、平均粒径が1μm以上であることが好ましい。Si相粉末の量に対して第2の元素の粉末の付着量は10〜30%程度が好ましい。
【0082】
MA法により付着層を形成する場合、第2の元素の粉末に、少量 (例、第2の元素の粉末の 0.1〜5重量%、好ましくは 0.5〜2重量%) のセラミック粉末を混合してもよい。セラミック粉末は、例えば、SiC 、Si、TiC 、TiB、Al等の1種もしくは2種以上のセラミックの粉末を使用することができる。セラミック粉末は、平均粒径が第2の元素の粉末より小さいものが好ましい。こうしてセラミックが微細に分散した包囲材を形成すると、包囲材の拘束効果が強まり、サイクル寿命が一層向上することがある。
【0083】
付着層の形成方法としては、他に、第2の元素の粉末を、後工程の熱処理で除去できるバインダー、例えば有機バインダー等で塗料化し、Si相粉末に塗布する方法、第2の元素の溶融物をSi相粉末に溶射する方法なども採用できる。
【0084】
上述したような適当な方法でSi相粉末の表面に第2の元素の付着層を形成した後、熱処理を施す。この熱処理で生ずる拡散現象により、付着層にSi相粉末中のSiが拡散して、Siが付着層の元素と化合するか、付着層中に固溶する。その結果、付着層は、Si含有固溶体又は金属間化合物の層に変化するので、Si相粒の表面がSi含有固溶体又は金属間化合物の層で包囲された、本発明の合金粒子が得られる。
【0085】
例えば、Si相粉末の表面にNiの無電解メッキを施してNi付着層を形成し、次いで熱処理を施すと、Ni付着層にSiが拡散し、Niと化合してNiSiの金属間化合物に変化する。その結果、Si相粒の周囲が包囲材となるNiSi相で包囲された合金粒子になる。
【0086】
この拡散のための熱処理の温度は、拡散により生成する主要な固溶体又は金属間化合物の固相線温度より低ければよいが、熱処理による粉末同士の焼結を防ぐという観点からは、固相線温度より10℃以上低い温度が好ましい。熱処理温度の下限は、Si元素と付着層の元素の拡散を早めるということに配慮して500 ℃以上であることが好ましい。熱処理時間は、拡散が十分に起こればよく、通常は2時間以上、好ましくは4時間以上である。熱処理雰囲気は、真空や不活性ガス雰囲気のような非酸化性雰囲気が好ましい。
【0087】
Si相粉末を前記急冷凝固をさせて製造した場合に生ずる急冷歪みや、付着層の元素をSi相粉末に付着させる方法としてMA法を用いた場合に生ずる歪みは、この熱処理によって除去されるので、別に歪み取り用の熱処理を施す必要はない。
【0088】
負極の製造
(製造方法A)
本発明に係るSi相粒をSi含有固溶体又は金属間化合物の相で包囲した合金粒子からなる負極材料から、当業者には周知の電極の製造方法に従って、非水電解質二次電池用負極を製造することができる。
【0089】
例えば、上記の第1または第2の方法に従って製造した本発明の負極材料の粉末に、適当な結着剤を混合し、必要に応じて導電性向上のために適当な導電粉を混合する。この混合物に、結着剤を溶解する溶媒を加え、必要であればホモジナイザー、ガラスビーズを用いて充分に攪拌してスラリー状にする。このスラリーを圧延銅箔、銅電析銅箔などの電極基板 (集電体) に、ドクターブレード等を用いて塗布し、乾燥した後、ロール圧延等で圧密化させることで非水電解質二次電池用負極を製造することができる。
【0090】
結着剤としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、スチレン−ブタジエン系ゴム等の非水溶性の樹脂 (但し、電池の非水電解質に使用する溶媒に不溶性のもの) 、並びにCMC(カルボキシメチルセルロース) 、PVA(ポリビニルアルコール) 等の水溶性樹脂が例示される。溶媒としては、結着剤に応じて、NMP (N−メチルピロリドン) 、DMF(ジメチルホルムアミド) 等の有機溶媒、または水を使用する。
【0091】
導電粉としては、炭素材料 (例、カーボンブラック、黒鉛) および金属(例、Ni)のいずれも使用できるが、好ましいのは炭素材料である。炭素材料は、その層間にLiイオンを吸蔵することができるので、導電性に加えて、負極の容量にも寄与することができ、また保液性にも富んでいる。好ましい炭素材料はアセチレンブラックである。
【0092】
負極に炭素材料を配合する場合、本発明に係る合金粒子からなる負極材料に対して5wt%以上、80wt%以下の量で炭素材料を使用することが好ましい。この量が5wt%未満では十分な導電性を付与することができず、80wt%を超えると負極の容量が低下する。より好ましい配合量は20wt%以上、50wt%以下である。
【0093】
なお、この方法の変形として、上記の製造方法2に従ってSi相粉末に付着層を形成した後、熱処理を行う前の粉末を用いて、上記のようにスラリー化し、電極基板に塗布してもよい。その場合には、乾燥工程に代えて、或いは最後のロール圧延後に、熱処理を行って、付着層にSiを拡散させ、Si含有固溶体又は金属間化合物の相からなる包囲材を形成する。即ち、製造方法2における熱処理工程は切り離して、負極製造時に行うこともできる。
【0094】
(製造方法B)
本発明に係る非水電解質二次電池用負極の別の製造方法では、Si相粉末を、付着層の形成や熱処理を施さないまま、上記のように電極の製造工程に付し、その後で第2の元素 (Siと金属間化合物又は固溶体を形成することができる1種または2種以上の元素) による付着層の形成と熱処理を行う。
【0095】
即ち、この方法では、Si相粉末を、上記と同様に、結着剤や必要により導電粉(例、炭素材料) と混合し、スラリー化して電極基板に塗布し、乾燥し、必要に応じてロール圧延等で圧密化して、電極基板の表面にSi相粉末の層を形成する。その後、Si相粉末層に第2の元素を含む材料の層を付着させる。この場合、付着層の形成は、MA法が適用できないので、メッキ法が適している。メッキ法は、無電解メッキ法は勿論のこと、Si相粉末同士が既に導通しているので電解メッキ法も可能である。メッキされた第2の元素は、Si相粉末層の表面だけでなくSi相粉末の隙間に入り込み、Si相粉末の表面を部分的に包囲する。
【0096】
メッキ後に熱処理を行うと、メッキにより形成された付着層にSi相粉末中のSiが拡散して、付着層はSi含有固溶体又は金属間化合物の相に変化し、Si相粒がSi含有固溶体又は金属間化合物の相で部分的に包囲された合金粒子からなる、本発明に係る負極材料を備えた負極が得られる。熱処理条件は、負極材料の製造方法2 (第2の元素の付着層を形成する方法) で説明した条件と同様でよい。
【0097】
Si相粉末層の厚さは40μm以下が好ましい。40μmを越えると、Liを吸蔵・放出する際のSi相粒の体積変化による微粉化を防止できなくなることがある。付着層の厚さは0.05μm以上、10μm以下が好ましい。0.1 μm未満ではSi相粒を拘束する効果が小さく、また10μmを越えると、Si相の量が相対的に少なくなってLiを吸蔵・放出する容量が少なくなる。Si相粉末層が1層のみでは、電極の厚さが少なく、負極の容量が不足する場合は、Si相粉末層及び付着層の元素をそれぞれ交互に塗布及びメッキした後で、熱処理を施して、多層構造をとるようにすることも可能である。
【0098】
電極基板上にSi相粉末を塗布してから付着層を形成し、熱処理を施す、製造方法Bに従って負極を製造すると、付着層の元素の量が少なくて済み、また通常の電極製造ラインで付着処理を行うことが可能になり、コスト低減、設備投資の抑制、生産性の向上に効果がある。
【0099】
非水電解質二次電池
上記のようにして製造された負極を用いて、非水電解質二次電池を作製する。非水電解質二次電池の代表例はリチウムイオン二次電池であり、本発明に係る負極材料および負極は、リチウムイオン二次電池の負極材料および負極として好適である。但し、理論的には、他の非水電解質二次電池にも適用できる。
【0100】
非水電解質二次電池は、基本構造として、負極、正極、セパレーター、非水系の電解質を含んでいる。負極は上記のように本発明に従って製造したものを使用するが、他の正極、セパレーター、電解質は、従来より公知のもの、或いは今後開発される材料を適当に使用すればよい。
【0101】
リチウムイオン二次電池の正極は、Li含有遷移金属化合物を活物質とするものが好ましい。Li含有遷移金属化合物の例は、LiM1−XM’ または LiM2yM’
(式中、0≦X, Y≦1、M とM’はそれぞれBa、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Sn、Sc、Yの少なくとも1種) で示される化合物である。但し、遷移金属カルコゲン化物;バナジウム酸化物およびそのLi化合物;ニオブ酸化物およびそのLi化合物;有機導電性物質を用いた共役系ポリマー;シェブレル相化合物;活性炭、活性炭素繊維等といった他の正極材料を用いることもできる。
【0102】
正極も、上述した負極材料の製造方法Aと同様に、粉末状の正極材料を結着剤や必要に応じて導電剤と一緒にスラリー化し、電極基板に塗布し、圧密化するという方法で製造できる。正極材料の平均粒径は1〜30μmの範囲内が好ましい。正極用の結着剤としてはPVDFおよびPTFEが好ましく、導電剤は炭素材料が好ましい。
【0103】
リチウムイオン二次電池の電解質は、一般に支持電解質となるリチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水系電解質である。リチウム塩としては、例えば、LiClO, LiBF, LiAlCl, LiPF, LiAsF, LiSbF, LiB(C), LiCFSO, LiCHSO, Li(CFSON, LiCSO, Li(CFSO, LiCl, LiBr, LiI, LiSCN, 低級脂肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム等が例示され、1種もしくは2種以上を使用することができる。
【0104】
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類とエチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル類とを包含する炭酸エステル類;ギ酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;その他ジメチルスルホキシド、ジオキソラン類、アミド類、ニトリル類、スルホラン類等の各種の非プロトン性溶媒の1種もしくは2種以上を使用できる。好ましい溶媒は炭酸エステルとの混合系、およびこれにさらに脂肪族カルボン酸エステルを混合した系である。中でもエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒が好ましい。
【0105】
溶媒中の支持電解質の濃度は特に制限されないが、通常は 0.2〜2Mの範囲、特に 0.5〜1.5 Mの範囲が好ましい。
【0106】
非水電解質は、液体 (溶液) ではなく、固体であってもよい。非水電解質二次電池用の固体電解質は、無機固体電解質と有機固体電解質とに大別される。無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などが知られている。中でも、LiSiO, LiSiO−LiI−LiOH, xLiPO(1−x)LiSiO4, LiSiS, LiPO
−LiS−SiS, 硫化リン化合物等が有効である。有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等や、これらの誘導体、混合物、複合体等のポリマー材料が有効である。
【0107】
非水電解質には、充放電特性を改善する目的で、他の化合物を添加することができる。かかる化合物として、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、クラウンエーテル類、第四級アンモニウム塩、エチレングリコールジアルキルエーテル等が例示される。
【0108】
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁する絶縁膜としての役割を果たす他、非水電解質の保持にも寄与する。セパレータとしては、大きなイオン透過度と適度の機械的強度を持ち、絶縁性の微多孔質薄膜が用いられる。電池の安全性を高めるため、一定温度以上になると細孔が閉塞して、抵抗を増大させる機能を持つものが好ましい。
【0109】
耐有機溶剤性と疎水性を考慮して、セパレータにはポリオレフィン系ポリマーまたはガラス繊維から作られた微多孔質シート、不織布、織布等を用いることが多い。セパレータの細孔径は、電極から離脱した材料が透過しないように0.01〜1μm程度が好ましい。セパレータの厚みは一般には10〜300 μm程度である。その空孔率は通常は30〜80%の範囲が好ましい。
【0110】
リチウム二次電池の1種として、非水電解質溶液を吸収・保持させたポリマー材料を正極と負極に含ませ、セパレータのポリマーにも同様の非水電解質溶液を吸収・保持させて、電池を構成したものがある。この場合の有機電解液を吸収・保持させるポリマー材料としては、特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体が好ましい。
【0111】
非水電解質二次電池の形状は特に制限されず、円筒型、角形、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、偏平型、電気自動車用の大型等の何れでもよい。本発明の非水電解質二次電池は、これらに限られないが、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いることができる。
【0112】
本発明に係る負極材料または本発明に係る方法で製造した負極材料もしくは負極を使用した非水電解質二次電池は、負極活物質 (Li吸蔵物質) が理論的容量の高いSi相であるため、高容量である。また、Si相粒の周囲をSi含有固溶体又は金属間化合物の相で包囲して、Si相粒を体積変化に対して拘束することにより、Si相を負極活物質とする場合の充電・放電時の体積変化が効果的に防止されるので、微粉化によるサイクル寿命の低下が起こりにくく、サイクル寿命にも優れている。
【0113】
【実施例】
非水電解質二次電池用負極材料と負極の評価に用いた負極試験について説明する。
【0114】
<負極試験>
供試する負極材料を、分級して、平均粒径30μmの粉末に調整した。この負極材料の粉末に、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを粉末重量の10wt%添加し、さらに溶媒のN−メチルピロリドンを同様に10wt%添加してポリフッ化ビニリデンを溶解した。この混合物に、導電粉として炭素材料 (アセチレンブラック) の粉末を、この混合物の10wt%の量で加え、混練し均一なスラリーを作成した。
【0115】
このスラリーを30μm厚の電解銅箔に塗布し、乾燥させ、ロール圧延して圧密化させた後、直径13 mm の大きさのポンチを用いて打ち抜きし、非水溶媒二次電池の負極とした。銅箔上の負極材料層の厚みは約100 μmであった。
【0116】
上記負極の単極での性能を、対極、参照極にLi金属を用いた、いわゆる3極式セルを用いて評価した。電解液としては、エチレンカーボネートとジメトシキエタンの1:1混合溶媒中に、支持電解質のLiPFを1M濃度で溶解させた溶液を使用した。測定は25℃で行い、グローブボックスのように、不活性雰囲気を維持できる装置を用いて、雰囲気の露点が−70℃程度である条件で測定した。
【0117】
まず、1/10充電 (10時間で満充電になるような条件) で参照極の電位に対して負極の電位が 0Vになるまで充電を行い、同じ電流値で参照極の電位が負極の電位に対して 2Vになるまで放電を行って、この時の1サイクル目の放電容量をその負極材料を用いた負極の放電容量とした。この充電・放電のサイクルを繰り返し、300 サイクル目の放電容量を測定して、次式からサイクル寿命を計算した。サイクル寿命が80%以上である場合を合格とした。
【0118】
サイクル寿命(%) =(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量) ×100
但し1サイクル目の放電容量とは、第1回目の充電を行い、次いで放電したときの放電容量を言う。また、300 サイクル目の放電容量とは、300 回目の充電を行い、放電したときの放電容量を言う。
【0119】
なお、上記の製造方法Bに従って製造された負極の評価も、上記の3極式セルにより同様に実施した。
各実施例において、放電容量はmAh/ccの単位 (ccは負極板の容積、負極板の面積と負極材料層の厚みで算出) で示す。
【0120】
【実施例1】
本実施例は、上記の製造方法1 (急冷凝固法) に従って本発明の負極材料を製造する場合を例示する。冷却方法としては、それぞれ図1ないし図3に示す装置を用いたガスアトマイズ法、単ロール急冷法、および回転電極法を実施した。
【0121】
先ず、各方法の凝固速度 (凝固時の冷却速度) をAl−4wt%Cu合金を用いて測定した。
【0122】
凝固速度の測定
(単ロール急冷法)
直径20 mm の芯金部を炭素鋼で、10 mm 厚さの外周部をCuで、それぞれ構成した単ロールを2000 rpmの回転速度で回転させ、その外周部にAl−4wt%Cu合金の溶融原料を滴下して凝固させた。凝固物を光学顕微鏡で観察し、デンドライトの二次アーム間の距離を測定して、凝固速度を求めた。
【0123】
(ガスアトマイズ法)
40 kg/cmの圧力のArガスをガス噴出ノズルを介して噴出させ、Al−4wt%Cu合金の溶融原料を150 g/分の速度で噴出ガス中に滴下して、凝固させた。生成した凝固粒子の顕微鏡観察により、単ロール急冷法の場合と同様に凝固速度を測定した。
【0124】
(回転電極法)
Al−4wt%Cu合金の溶融原料の鋳込みにより直径20 mm の電極を作製し、これをアノード側に装着して500 rpm の回転速度で回転させて、凝固粒子を得た。凝固速度は上記と同様の方法で求めた。
【0125】
比較のために、インゴット法で原料溶湯を鋳込んで凝固させたものも、上記と同様の方法で凝固速度を求めた。
表1に結果を示す。
【0126】
【表1】
Figure 0003562398
【0127】
表1からわかるように、単ロール急冷法、ガスアトマイズ法、回転電極法は、いずれも凝固速度が100 ℃/秒以上と急冷凝固である。中でも、単ロール法およびガスアトマイズ法が凝固速度が1000℃/秒以上と大きくなった。一方、インゴット法の凝固速度は30℃/秒であり、100 ℃/秒より小さくなった。
【0128】
負極材料の製造
Ni−52wt%Si合金を用いて、非水電解質二次電池負極材料としてのLiの充電・放電特性に対する凝固速度 (冷却方法) の影響を調査した。
【0129】
Ni:48wt%、Si:52wt%の組成割合になるように、単体元素と母合金を適宜配合し、高周波誘導溶解炉で溶解して、均一溶融物とし、各冷却法による供試材として使用した。なお、回転電極法には、この合金溶湯を直径20mmの丸棒に鋳込んで得た電極を供試材として用いた。いずれの冷却方法も、冷却雰囲気はアルゴン雰囲気であった。
【0130】
各冷却方法で得られた凝固物の一部について、アルゴン雰囲気中で900 ℃×4時間の熱処理を行った。Ni−52wt%Si合金の凝固中に析出して包囲材を構成する可能性があるNi−Si金属間化合物の主要なものはNiSiであり、このNiSiの固相線温度は993 ℃である。熱処理後に、単ロール法とインゴット法の凝固物は粉砕した。
【0131】
各方法で得られた合金粒子の熱処理した供試材 (熱処理材) 及び熱処理しなかった供試材 (凝固まま材) を用いて、上記の負極試験を行い、放電容量およびサイクル寿命を評価した。また、各冷却方法で得られた凝固物 (粉砕した場合は粉砕前) の断面をSEMで調べたところ、いずれの場合も、図4に示すように、マトリックスがNiSi相であり、その中にNiSi相で包囲され、または包囲されていないSi相粒が存在する組織を有していた。このコアのSi相粒の平均粒径と全体での重量割合 (重量%) をSEM写真 (平均粒径はランダムに選択した100 個の平均値) により調べた結果を、負極試験結果と一緒に表2に示す。
【0132】
【表2】
Figure 0003562398
【0133】
本発明に従って、凝固速度 100℃/秒以上で急冷凝固させて製造した合金粒子では、どの冷却方法でもSi相粒の平均粒径が25μm以下となったのに対し、比較例の製造方法で作製した供試材はSi相粒の平均粒径は50μmを越えた。負極試験に用いた供試材、即ち合金粒子の平均粒径は30μmである。従って、本発明例では、Si相粒の平均粒径が合金粒子の平均粒径より小さいため、Si相粒は少なくとも部分的に包囲材を有していた。一方、比較例では、Si相粒の平均粒径の方が合金粒子の平均粒径よりずっと大きいので、包囲材で全く包囲されていないSi相粒が多数存在した。
【0134】
負極試験の結果を見ると、負極の放電容量は比較例のインゴット法でも本発明とさほど遜色のない値となった。しかし、注目すべきはサイクル寿命であって、Si相粒の平均粒径が40μmより小さい本発明例では何れもサイクル寿命が80%以上と高いのに対し、比較例のそれは48%または68%と不合格の値になった。なお、本発明例の中でもSi相粒の平均粒径が小さいロール急冷法とアトマイズ法でサイクル寿命が88%と高くなった。
【0135】
熱処理材と凝固まま材とを比較すると、熱処理によりSi相の平均粒径は大きくなったが、Si相粒の重量比率は減少した。Si相の平均粒径が小さく、その重量比率の大きい凝固まま材の方が、放電容量がかなり高くなった。サイクル寿命は、凝固まま材では、Si相粒の微細分散効果により熱処理材と同等または僅かに劣るという程度であった。
【0136】
【実施例2】
Ni−52wt%Si合金を用いて実施例1に記載したガスアトマイズ法と同様にして、熱処理温度だけを変更して負極材料を作製した。得られた負極材料のSi相粒の平均粒径および負極試験結果を、熱処理温度と一緒に表3に示す。
【0137】
【表3】
Figure 0003562398
【0138】
表3に示すように、熱処理温度が、Ni−52wt%Si合金の凝固中に生成する主要な金属間化合物であるNiSiの固相線温度の993 ℃より10℃以上低い本発明例では、Si相粒の平均粒径は40μm以下にとどまり、サイクル寿命が何れも90%以上となった。これに対し、この固相線温度より8℃低い温度で熱処理した比較例では、熱処理によるSi相粒の成長でSi相粒の平均粒径が40μmを超えたため、体積変化を防止する拘束がききにくくなり、サイクル寿命は80%に達しなかった。
【0139】
【実施例3】
実施例1に記載したガスアトマイズ法と同様にして、原料のNi−Si合金の組成(Siのwt%で示す) だけを変更して (900 ℃×4時間の熱処理を実施、及び熱処理なし) 負極材料を作製した。得られた負極材料のSi相粒の平均粒径および負極試験結果を表4に示す。
【0140】
【表4】
Figure 0003562398
【0141】
表4に示すように、熱処理実施の有無にかかわらずSi相粒の占める重量比が大きくなるに従って放電容量は大きくなるが、体積変化に対して拘束する包囲材の割合が少なくなるため、サイクル寿命は少しづつ低減する傾向がある。また、同じSi量であれば、熱処理を実施した方が、放電容量は低くなるが、サイクル寿命は多少高くなる。しかし、現行の炭素電極と比較すると放電容量、サイクル寿命とも同等以上である。
【0142】
【実施例4】
実施例1に記載したガスアトマイズ法と同様にして、Ni−52wt%Si合金のNiの一部を他の元素で置換した置換型固溶体合金を作製した。得られた合金の一部にアルゴン雰囲気中で 850℃×8時間の熱処理を施した。凝固まま材と熱処理材の合金を用いて負極試験を行った。合金組成と負極試験結果を表5に示す。
【0143】
【表5】
Figure 0003562398
【0144】
表5において、例えば、 Ni−5Fe−52Siは43wt%Ni−5wt%Fe−52wt%Si合金であることを示し、Feは、金属間化合物のNiSiおよびNiSi中のNiの一部を置換して固溶している。Co、Mn、Cr、Cuも、Feと同様に挙動する。
【0145】
表5に示すように、包囲材が固溶体であってもSi相の重量比に見合った放電容量を示し、サイクル寿命も良好な値となっている。また、実施例1と同様に、Si相が微細で、その重量比率の高い凝固まま材の方が、熱処理材より放電容量が高くなった。サイクル寿命はいずれの場合も良好であった。
【0146】
【実施例5】
実施例1に記載したガスアトマイズ法と同様にして、Siと合金化する第2の元素の種類と量および熱処理温度を変更して、凝固まま材と熱処理材の負極材料を作製した。使用した原料合金の組成、その二元合金系の凝固中に生成する主要な金属間化合物とその固相線温度、および熱処理温度を、得られた負極材料のSi相粒の平均粒径および負極試験結果と共に表6に示す。
【0147】
【表6】
Figure 0003562398
【0148】
表6に示す通り、Siと金属間化合物又は固溶体を形成する元素の種類を変更して負極材料を作製すると、放電容量は種々の値をとるものの、サイクル寿命はいずれも良好であった。放電容量は凝固まま材の方が高くなった。
【0149】
【実施例6】
本実施例は、上記の製造方法2 (付着層形成法) に従って、本発明の負極材料を形成する場合を例示する。下記に述べるようにして合金粒子のサンプル1〜7を調製した。
【0150】
(1) アルゴンガスアトマイズ法により得られた平均粒径約30μmのSiの球状粉末に、市販のアルカリ性無電解ニッケルメッキ液を用いて約1μmの厚さのNiメッキを施した。次いで、アルゴンガス雰囲気中で700 ℃×4時間の熱処理を行って、平均粒径32μmの合金粒子を得た。熱処理後の粉末の断面を光学顕微鏡で観察したところ、Si粉末が約1μmの厚さのNiSi層 (組成はEPMAで決定) で包囲されていた。この負極材料をサンプル1とする。なお、包囲材であるNiSiの固相線温度は、実施例1および表5に示したように983 ℃であるので、熱処理温度は、この固相線温度より10℃以上低かった。
【0151】
(2) サンプル1と同様にガスアトマイズ法で作製したSi粉末の表面に、遊星ボールミル (フリッチェ社製、p−5)によるMA法で10時間処理することにより、平均粒径1μmのNi粉末を付着させ、サンプル1と同様の熱処理を行って、平均粒径32μmの合金粒子を得た。Si粉末の表面を包囲する厚さ約1μmのNiSi層が形成されていた。この負極材料をサンプル2とする。
【0152】
(3) サンプル1と同様にガスアトマイズ法で作製した、化学組成が重量比でNi:Si=20:80の合金の平均粒径約30μmの粉末の表面に、サンプル1と同様に無電解ニッケルメッキにより厚さ約1μmのNiメッキと熱処理を施した。平均粒径が32μmで、Si相のマトリックス中にNiSi相が析出した組織を有するSi相粉末を包囲する約1μm厚さのNiSi層が形成されていた。この負極材料をサンプル3とする。
【0153】
(4) サンプル1と同様にガスアトマイズ法で作製した平均粒径約30μmのSi粉末を、遊星ボールミル (フリッチェ社製P−5)により、平均粒径1μmのNi粉末に和光純薬製の平均粒径0.6 μmのTiC 粉末を1wt%混合した混合粉末を用いて、10時間のMA法処理を行い、Si粉末の表面に上記混合粉末を付着させた。その後、Arガス雰囲気中で700 ℃×4時間の熱処理を行って、合金粒子を得た。この負極材料をサンプル4とする。
【0154】
熱処理後のサンプル4の粉末の断面を光学顕微鏡で観察したところ、Si粉末の表面に約1μm厚のNiSi相からなる包囲層が形成されていることが判明した。またNiSi相中には0.1 μm以下の微細なTiC 析出が観察できた。(NiSi相はEPMA分析のNi、Siの量比から決定、微細析出物はEPMAの分析ビーム径より小さいサイズであるが、必ずTiとCが検出できることからTiC と推定した。)
TiC 相の析出粒度は使用した粉末粒度より小さくなっているが、これはMA時の機械的エネルギーにより、使用粉末 (1次粒子が凝集して0.6 μmになっているもの) が解砕されて1次粒子(0.1μm以下) になったためと考えられる。
【0155】
(5) サンプル4と同様にして、TiC の代わりに、和光純薬製試薬の平均粒径0.27μmのSiC を重量割合で1%混合してMA処理し、同条件の熱処理を施して得た負極材料をサンプル5とする。
【0156】
(6) 比較のために、Ni−80wt%Si合金をインゴット法で作製し、Arガス雰囲気中で700 ℃×8時間の熱処理を施した。得られた合金は、Si相のマトリックス中にNiSi相が析出している組織を持つものであるが、NiSi相は粗大であった。このインゴットを不活性雰囲気中で粉砕し、平均粒径が約32μmになるように分級して粉末を得た。NiSi相が粗大であるため、粉末の組織は、Si相のみのもの、Si相とNiSi相が共に存在するものおよびNiSi相のみのものとがそれぞれ存在していた。このNi−Si合金粉末をサンプル6とする。
【0157】
(7) サンプル6と同様に作製した、平均粒径30μmのNi−80wt%Si合金のインゴット粉末に、サンプル1と同様の無電解ニッケルメッキによりNiメッキを施し、サンプル1と同様の熱処理を施して、合金粒子を作製した。この粉末のコア組織はサンプル6と同様であり、その粉末の表面にNiSiまたはNiSi相を含む包囲材が形成されていた。コアのSi相粒のNiSi相は、サンプル6と同様に粗大であった。この合金粒子の粉末 (平均粒径32μm) をサンプル7とする。
【0158】
サンプル1ないし7の合金粒子は何れも平均粒径は約32μmで、化学組成は、サンプル1、2、4〜6はNi:Si=20:80、サンプル3、7はNi:Si=36:64となっていることを確認した。これらの負極材料のサンプルを用いて負極試験を行った結果を表7に示す。
【0159】
【表7】
Figure 0003562398
【0160】
表7に示すように、放電容量の大きさは概ねSiのwt%により決まり、Si含有量の多いサンプル1、2、4〜6の放電容量が高くなった。しかし、包囲材を持たない比較例のサンプル6は、サイクル寿命が極めて短く、不合格となった。一方、本発明に従ってSi相粒の周囲に包囲材を形成した場合には、サイクル寿命が80%以上と良好であった。特に、包囲材中にTiC 、SiC を微細分散させたサンプル4、5は最も良好なサイクル寿命を示した。
【0161】
【実施例7】
実施例6のサンプル1と同様にして、Si粉末に無電解ニッケルメッキを施した後、熱処理を行うことにより、Si相粒がNiSi相で包囲された合金粒子からなる負極材料を作製した。但し、無電解ニッケルメッキ液の濃度を変化させて、メッキ厚さを種々変えた。この負極材料の負極試験を行った結果を、Si相粒の重量比の結果と共に表8に示す。なお、Si相粒の重量比は、顕微鏡観察によりSi相粒の占める面積比を測定し、各相の比重をそれぞれの相の面積比に掛け合わせて計算で求めた。
【0162】
【表8】
Figure 0003562398
【0163】
表8に示すように、製造方法2を用いると、Si相粒の重量比が98wt%と高くなっても良好なサイクル寿命を示す。Si相粒の割合が多いほど放電容量が高くなるので、製造方法2では2000 mAh/cc を超える非常に高い放電容量を実現することができる。
【0164】
従って、保有する製造設備や製造コストを勘案して、製造方法1と2とを適宜用いることにより、Si相粒の重量比が5wt%以上、99wt%までの負極材料を作製することができる。
【0165】
【実施例8】
熱処理温度を変更した以外は、実施例6のサンプル1と同様にしてSi相粒がNiSi相で包囲された合金粒子からなる負極材料を作製し、負極試験を行った結果を、熱処理温度およびSi相粒の平均粒径と一緒に表9に示す。この場合のSi相粒の重量比は、何れの例でも約50wt%であった。
【0166】
【表9】
Figure 0003562398
【0167】
比較例の熱処理温度は、固相線温度993 ℃より8℃だけ低い温度であったため、粉末が焼結し、供試材として使用できなかった。本発明に従って熱処理したものは、放電容量が高い上に、サイクル寿命も良好であった。
【0168】
【実施例9】
実施例7と同様にして、アトマイズ法による平均粒径30μmのSi粉末に、種々の金属を無電解メッキした後、表10に示す温度で熱処理 (時間は何れも4時間) を行って、Si相粒が表示の金属間化合物又は固溶体で包囲された合金粒子からなる負極材料を作製した。なお、Si相粒の重量比がすべて50wt%となるように、各元素のメッキ厚さをその比重に応じて調整した。この負極材料の負極試験の結果も表10に一緒に示す。
比較のために、現在の一般的な負極材料である炭素材についての負極試験の結果も併せて示す。
【0169】
【表10】
Figure 0003562398
【0170】
表10に示すように、メッキにより形成した付着層の元素を変更しても、炭素材の場合より放電容量の高い負極材料を得ることができた。また、いずれの場合も、サイクル寿命は80%以上と良好であった。なお包囲材がAl、Pbの固溶体であるものは、Al、Pb自身がLiを吸蔵および放出するため放電容量は比較的大きな値となった。
【0171】
【実施例10】
本実施例は、製造方法Bによる負極の製造例を例示する。
アルゴンガスアトマイズ法により粒径25μm以下、平均粒径15μmのSi粉末を作製し、負極試験に説明したのと同様にして、付着層を有しないSi粉末のスラリーを作製した。このスラリーを電解銅箔に約25μmの厚さに塗布し、乾燥して、銅箔上にSi粉末層を形成した。
【0172】
このSi粉末層に、無電解メッキ法または電解メッキ法により表11に示す元素をメッキして付着層を形成し、次いで表11に示す温度でアルゴン雰囲気中にて熱処理 (処理時間は4時間) を施して、非水電解質二次電池用の負極を作製した。なお、メッキ付着層の厚みはいずれの3μmとした。Si相粒の重量比は、メッキと熱処理により形成された包囲材の比重により多少は変動するが、何れも50wt%前後であった。
【0173】
こうして作製された負極の性能を、前述した負極試験に説明したのと同様にして3極式セルで測定した。この測定結果も表11に示す。
【0174】
【表11】
Figure 0003562398
【0175】
表11に示すように、製造方法Bに従って、最初にSi粉末層を形成してから、Si粉末層に第2の元素を付着させ、熱処理して包囲材を形成しても、放電容量とサイクル寿命の良好な負極を製造することができた。
【0176】
【実施例11】
実施例9と同様にして、Si粉末に、Ni、Mg、Ca、Co、FeまたはWからなる付着層を無電解メッキにより形成し、熱処理することにより得た合金粒子からなる負極材料を用いて、リチウムイオン二次電池を作製し、以下に示す要領で電池試験を行った。なお、比較のために、現在、使用されている炭素材を負極に用いた電池も同様の要領で作製し、同様の試験を行った。結果を表12に示す。
【0177】
図5に、本実施例で用いた円筒形非水電解液二次電池の縦断面図を示す。図5において1は耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工した電池ケース、2は安全弁を設けた封口板、3は絶縁パッキンを示す。4は極板群であり、正極板5および負極板6がセパレータ7を介して複数回渦巻状に巻回されてケース内に収納されている。そして上記正極板5からは正極アルミリード5aが引き出されて封口板2に接続され、負極板6からは負極ニッケルリード6aが引き出されて電池ケース1の底部に接続されている。8は絶縁リングで、極板群4の上下部にそれぞれ設けられている。
【0178】
正極板5は、次のようにして作製した。
まず炭酸リチウムと炭酸コバルトを所定の割合で混合し、この混合物を空気雰囲気下において、900 ℃で一定時間焼成して正極活物質であるLiCoOを得た。このLiCoOの粉末100 重量部に、導電助剤のアセチレンブラック3重量部、フッ素樹脂系結着剤5重量部を混合し、N−メチルピロリドン溶液に懸濁させてペースト状にした後、このペーストを厚さ0.020 mmのアルミ箔の両面に塗着し、乾燥後厚み0.130 mm、幅35mm、長さ270 mmの正極板5を作製した。また正極リードとしてアルミニウム片を取り付けた。
【0179】
負極板6の作製法は次の通りである。
実施例9に準じて作製した合金粒子からなる負極材料100 重量部に、スチレン−ブタジエンゴム系結着剤10重量部と導電助剤のアセチレンブラック3重量部とを混合し、カルボキシメチルセルロース水溶液に懸濁させてペースト状にした。このペーストを、厚さ0.015 mmの銅箔の表面の塗着し、乾燥後厚さ0.2 mm、幅37mm、長さ300 mmの負極板を作製した。
【0180】
上記のようにして作製した正極板と負極板を、セパレータを介して渦巻状に巻回し、直径13.8mm、高さ50mmの電池ケース内に収納した。電解液には炭酸エチレンと炭酸エチルメチルの等容積混合溶媒に、LiPFを1M濃度で溶解した溶液を使用し、極板群4に注入した後、電池を封口し、試験電池A〜F (メッキ元素はそれぞれNi、Mg、Ca、Fe、Co、W) を作製した。負極材料が炭素材である試験電池Gも同様に作製した。
【0181】
これらの電池を、充放電電流100 mAで充電終止電圧4.2 V、放電終止電圧25Vで充放電サイクル試験を行い、1サイクル目の充放電容量を測定するとともに、500 サイクル後の放電容量を測定し、1サイクル目の放電容量に対する500 サイクル目の放電容量の割合(%) をサイクル寿命として求めた。
【0182】
これらの電池の1サイクル目の充電、放電容量および500 サイクル後の放電容量とサイクル寿命を表12に示した。
【0183】
【表12】
Figure 0003562398
【0184】
本発明の非水電解質二次電池は、Si粉末に付着させた元素が何れであっても、負極材料が炭素材である比較電池より極めて高い容量を示し、またサイクル寿命も高く、良好な結果であった。
【0185】
【発明の効果】
本発明により、従来の炭素材からなる負極材料に比べて放電容量が非常に高く、サイクル寿命も80%以上と良好な非水電解質二次電池用負極材料を得ることができる。従って、本発明はリチウムイオン二次電池を始めとする非水電解質二次電池の性能向上に寄与するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) はガスアトマイズ法の装置を模式的に示す説明図、図1(b) はそのノズル部の拡大断面図である。
【図2】単ロール急冷法の装置の1例を模式的に示す説明図である。
【図3】図3(a) は、プラズマ回転電極法の装置の1例を模式的に示す説明図であり、図3(b) はその陽極の構造を示す説明図である。
【図4】本発明に係る合金粒子の組織の1例を示す説明図である。
【図5】実施例で試験電池として作製した非水電解質二次電池の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
11:アトマイズタンク、12:給湯管、13:ガスアトマイズノズル、15:ガス供給系、21:急冷ロール、22:溶湯タンディッシュ、23:タンディッシュノズル23、30:冷却装置、31:密閉チャンバー、32:陽極、33:陰極、 321:ノズル、 322:電極部、 323:不活性ガス、 324:冷却水、40:Si相粒、41:(NiSi+NiSi) マトリックス相、42:NiSi相、1:電池ケース、2:封口板、3:絶縁パッキン、4:極板群、5:正極板、6:負極板、7:セパレータ、8:絶縁リング。

Claims (11)

  1. 1または2以上のSi相粒と、このSi相粒を少なくとも部分的に包囲するSi含有固溶体又は金属間化合物の相とを含んでいる合金粒子からなる非水電解質二次電池用負極材料の製造方法であって、合金粒子を構成する原料の溶融物を凝固速度が100 ℃/秒以上となるように冷却して凝固させて、Si相粒とこれを少なくとも部分的に包囲するSi含有固溶体又は金属間化合物の相とを含む合金を形成する工程、および該合金を該 Si 含有固溶体又は金属間化合物の固相線温度より 10 ℃以上低い温度で熱処理する工程、を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極材料の製造方法。
  2. 100 ℃/秒以上の速度での冷却が、アトマイズ法、ロール急冷法及び回転電極法よりなる群から選ばれた方法で行われる、請求項記載の非水電解質二次電池用負極材料の製造方法。
  3. 1または2以上のSi相粒と、このSi相粒を少なくとも部分的に包囲するSi含有固溶体又は金属間化合物の相とを含んでいる合金粒子からなる非水電解質二次電池用負極材料の製造方法であって、Si金属又はSi相を含む合金の粉末の表面に、Siと固溶体又は金属間化合物を形成する元素を含む材料の付着層を形成する工程、および付着層を形成した粉末を、該固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度で熱処理して、付着層の材料をSi含有固溶体又は金属間化合物に変化させる工程、を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極材料の製造方法。
  4. 付着層の形成が、メッキ法又はメカニカルアロイング法により行われる、請求項記載の非水電解質二次電池用負極材料の製造方法。
  5. 製造された負極材料が5wt%以上、99wt%以下のSi相粒を含み、合金粒子の平均粒径が0.1 μm以上、50μm以下である、請求項ないしの何れかに記載の非水電解質二次電池用負極材料の製造方法。
  6. Siを含む固溶体又は金属間化合物が、Siと、長周期型周期表の2A族元素、遷移元素、3B族元素、並びにSiを除く4B族元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素とから構成される、請求項ないしの何れかに記載の非水電解質二次電池用負極材料の製造方法。
  7. Si金属又はSi相を含む合金の粉末を負極基板上に付着させて該基板上に粉末層を形成した後、この粉末層に、Siと固溶体又は金属間化合物を構成する元素を含む材料をメッキした後、前記固溶体又は金属間化合物の固相線温度より10℃以上低い温度で熱処理を施して、該メッキを、Siを含む固溶体又は金属間化合物に変化させることを特徴とする、非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  8. Siを含む固溶体又は金属間化合物が、Siと、長周期型周期表の2A族元素、遷移元素、3B族元素、並びにSiを除く4B族元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素とから構成される、請求項記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  9. 非水電解質と、リチウムを可逆的に吸蔵および放出することができる正極と負極を備えた非水電解質二次電池において、該負極が請求項ないしの何れかに記載の方法により製造された負極材料を含有する負極であるか、又は請求項若しくは記載の方法により製造された負極であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  10. 該負極が、該負極材料に対して5wt%以上、80wt%以下の炭素材料を含有する、請求項に記載の非水電解質二次電池。
  11. 該正極がリチウム含有遷移金属化合物を活物質とするものであり、該非水電解質がリチウム塩を炭酸エステルを含む有機溶媒に溶かした溶液である、請求項9または 10に記載の非水電解質二次電池。
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