JPH11242954A - 電極構造体、二次電池及びそれらの製造方法 - Google Patents

電極構造体、二次電池及びそれらの製造方法

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JPH11242954A
JPH11242954A JP10030642A JP3064298A JPH11242954A JP H11242954 A JPH11242954 A JP H11242954A JP 10030642 A JP10030642 A JP 10030642A JP 3064298 A JP3064298 A JP 3064298A JP H11242954 A JPH11242954 A JP H11242954A
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昌也 浅尾
Naoya Kobayashi
直哉 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイクル寿命が長く、かつ、高容量、エネル
ギー密度の高い、二次電池に寄与する電極構造体を提供
する。 【解決手段】 板状の集電体100と、該板状の集電体
101の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μm
の粒子101からなる主材35重量%以上を含有する電
極材料層102を有することを特徴とする電極構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池に関し、
より詳細には充放電の繰り返しによって発生するリチウ
ム又は亜鉛のデンドライトを抑えた二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、大気中に含まれるCO2ガス量が
増加しつつある為、室温効果により地球の温暖化が生じ
る可能性が指摘されている。火力発電所は化石燃料など
を燃焼させて得られる熱エネルギーを電気エネルギーに
変換しているが、燃焼によりCO2ガスを多量に排出す
るため新たな火力発電所は、建設することが難しくなっ
て来ている。したがって、火力発電所などの発電機にて
作られた電力の有効利用として、余剰電力である夜間電
力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電力
消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する、いわゆ
るロードレベリングが提案されつつある。
【0003】また、COX、NOX、CHなどを含む大気
汚染にかかわる物質を排出しないという特徴を有する電
気自動車用途では、高エネルギー密度の二次電池の開発
が期待されている。さらに、ブック型パーソナルコンピ
ューター、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯
電話等のポータブル機器の電源用途では、小型・軽量で
高性能な二次電池の開発が急務になっている。
【0004】このような小型・軽量で高性能な二次電池
としては、充電時の反応で、リチウムイオンを層間から
デインターカレートするリチウムインターカレーション
化合物を正極物質に、リチウムイオンを炭素原子で形成
される六員環網状平面の層間にインターカレートできる
グラファイトに代表されるカーボン材料を負極物質に用
いたロッキングチェアー型のいわゆる“リチムイオン電
池”の開発が進み、一部実用化されつつある。
【0005】しかし、この“リチウムイオン電池”で
は、カーボン材料で構成される負極は理論的には炭素原
子当たり最大1/6のリチウム原子しかインターカレー
トできないため、金属リチウムを負極物質に使用したと
きのリチウム一次電池に匹敵する高エネルギー密度の二
次電池は実現できない。もし、充電時に“リチウムイオ
ン電池”のカーボンからなる負極に理論量以上のリチウ
ム量をインターカレートしようとした場合あるいは高電
流密度の条件で充電した場合には、カーボン負極表面に
リチウム金属がデンドライト(樹枝)状に成長し、最終
的に充放電サイクルの繰り返しで負極と正極間の内部短
絡に至る可能性がありグラファイト負極の理論容量を越
える“リチウムイオン電池”では十分なサイクル寿命が
得られていない。また、既知の水溶液系の電解液を使用
した二次電池ほどは高電流密度での充電はできない。
【0006】一方、金属リチウムを負極に用いる高容量
のリチウム二次電池が高エネルギー密度を示す二次電池
として注目されているが、実用化に至っていない。その
理由は、充放電のサイクル寿命が極めて短いためであ
る。充放電のサイクル寿命が極めて短い主原因として
は、金属リチウムが電解液中の水分などの不純物や有機
溶媒と反応して絶縁膜が形成されていたり、金属リチウ
ム箔表面が平坦でなく電界が集中する箇所があり、これ
が原因で充放電の繰り返しによってリチウム金属がデン
ドライト状に成長し、負極と正極間の内部短絡を引き起
こし寿命に至ることにあると、考えられている。
【0007】また、上述のリチウムのデンドライトが成
長して負極と正極が短絡状態となった場合、電池の持つ
エネルギーがその短絡部において短時間に消費されるた
め、電池が発熱したり、電解液の溶媒が熱により分解し
てガスを発生し、電池内の内圧が高まったりすることが
ある。いずれにしても、デンドライトの成長により、短
絡による電池の損傷や寿命低下が引き起こされ易くな
る。
【0008】上述の金属リチウム負極を用いた二次電池
の問題点である、金属リチウムと電解液中の水分や有機
溶媒との反応進行を抑えるために、負極にリチウムとア
ルミニウムなどからなるリチウム合金を用いる方法が提
案されている。しかしながら、この場合、リチウム合金
が硬いためにスパイラル状に巻くことができないのでス
パイラル円筒形電池の作製ができないこと、サイクル寿
命が充分に延びないこと、金属リチウムを負極に用いた
電池に匹敵するエネルギー密度は充分に得られないこ
と、などの理由から、広範囲な実用化には至っていない
のが現状である。
【0009】この他、充電時にリチウムと合金を形成す
る金属として、前記のアルミニウムや、カドミウム、イ
ンジウム、スズ、アンチモン、鉛、ビスマス等が挙げら
れており、これら金属や、これら金属からなる合金、及
び、これら金属とリチウムの合金を負極に用いた二次電
池が、特開平8-64239、特開平3-62464、特開平2-1276
8、特開昭62-113366、特開昭62-15761、特開昭62-9386
6、特開昭54-78434号公報に開示されている。
【0010】しかし、これら公開公報に記載の二次電池
では負極の形状を明示しておらず、また上記合金材料を
一般的な形状である箔状を含む板状部材とし二次電池
(リチウムを活物質とした二次電池)の負極として用い
た場合、電極材料層における電池反応に寄与する部分の
表面積が小さく、大電流での充放電が困難である。更
に、上記合金材料を負極として用いた二次電池では、充
電時のリチウムとの合金化による体積膨張、放出時に収
縮が起こり、この体積変化が大きく、電極が歪みを受け
て亀裂が入る。そして、充放電サイクルを繰り返すと微
粉化が起こり、電極のインピーダンスが上昇し、電池サ
イクル寿命の低下を招くという問題があるために実用化
には至っていないのが現状である。
【0011】特開昭60-202675においては、金属や合金
粉末、結着剤、及び溶媒に可溶性の充填剤からなる合剤
を圧縮成形した後に、溶媒中に浸漬し、前記充填剤を溶
解させることで多孔率を向上させた、非水電解質二次電
池用の負極が提案され、かかる方法で多孔率を向上させ
た電極を用いたリチウム二次電池で、2mA/cm2以上の比
較的高い電流密度において、充放電容量が向上すること
が示されている。しかしながら、上記二次電池のサイク
ル寿命については未知数である。
【0012】一方、8TH INTERNATIONAL MEETING ON
LITHIUM BATTERIESのEXTENDED ABSTRACTS WED-02
(P69〜72)において、直径0.07mmの銅ワイヤーに、電
気化学的に、スズ、もしくはスズ合金を堆積させること
で、粒子サイズの細かい(200〜400nm)層を形成
することができ、堆積層の厚みを薄く(約3μm)した電
極とリチウムを対極にした電池で、充放電サイクル寿命
が向上すると報告されている。
【0013】上記文献では、0.25mA/cm2の電流密度
で、1.7Li/Snまで充電し、0.9V vs Li/Li+までの
放電を繰り返した評価において、直径1.0mmの銅線の
集電体上に同様にスズ合金を堆積させて得られた粒子サ
イズ(粒径)が2000〜4000nmの電極に対して、
200〜400nmのスズ粒子の電極が約4倍、Sn0.9
1Ag0.09合金電極が約9倍、Sn0.72Sb0.28
合金電極が約11倍寿命が向上すると報告されている。
【0014】しかし、上記文献は、対極にリチウムを用
いて評価されたもので、実際の電池形態での結果は報告
されておらず、また、前記のようなサイズの粒子からな
る電極は、直径0.07mmの銅線の集電体上に堆積させ
て作製したものであり、実用的な電極形状のものではな
い。また、上述したように、直径1.0mmといった広い
面積の領域上に同様の方法でスズ合金を堆積させた場合
粒子サイズ(粒径)が2000〜4000nmである層が
形成されるが電池としての寿命が著しく低下している。
【0015】特開平5−190171号公報、特開平5
−47381号公報、特開昭63−114057号公
報、特開昭63−13264号公報では、各種リチウム
合金を使用した電池において、及び特開平5−2345
85号公報ではリチウム表面にリチウムと金属間化合物
を生成しにくい金属粉を一様に負極に付着させデンドラ
イトの析出を抑制し、充電効率を高めサイクル寿命を向
上させた電池が開示されている。しかし、いずれも負極
の寿命を飛躍的に伸ばす決定的な方法となり得ていな
い。
【0016】「JOURNAL OF APPLIED
ELECTROCHEMISTRY」22(1992
年)620〜627頁には、表面がエッチングされたア
ルミニウム箔を負極として用いたリチウム二次電池の報
告が掲載されている。しかし、充放電サイクルを実用域
まで繰り返した場合、アルミニウム箔が膨張収縮を繰り
返し、亀裂が入ってしまい、集電性が低下するとともに
デンドライトの成長が起こり、この場合でも実用レベル
で使用可能なサイクル寿命を得ることはできない。加え
て、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池からなる二次電池
においても、充放電の繰り返しによって、負極材料であ
る亜鉛のデンドライトが発生し、セパレータを貫通し
て、亜鉛負極と正極が短絡してしまうため、サイクル寿
命が短いという問題があった。
【0017】このように、リチウム二次電池(以後充放
電によるリチウムイオンの酸化還元反応によるインター
カレーションとデインターカレーション反応を電極にお
ける充放電反応に利用した二次電池を、カーボン材料を
負極に用いる“リチウムイオン電池”も含めて、リチウ
ム二次電池と呼ぶことにする)や亜鉛二次電池(以後亜
鉛を負極物質に用いた二次電池を亜鉛二次電池と呼ぶこ
とにする)では、エネルギー密度の増大やサイクル寿命
の長寿命化が大きな課題となっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたものであり、特にリチウム又は亜鉛から
なる負極活物質を用いた二次電池に有用な電極構造体、
サイクル寿命が長い、高エネルギー密度の二次電池を提
供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、板状の集電体
の一方の面又は両面において平均粒径0.5〜60μm
の粒子からなる主材35重量%以上を含有する層を有す
る電極構造体を提供するものである。
【0020】更に、本発明は、少なくとも負極、正極、
及び電解質を有し、負極活物質の酸化還元を利用して充
放電を行なう二次電池であって、該負極として、板状の
集電体の一方の面又は両面において平均粒径0.5〜6
0μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する層
を有する電極構造体を用いる二次電池を提供するもので
ある。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者は、前述した従来のリチ
ウム又は亜鉛の酸化還元反応を利用した二次電池におけ
る負極の性能に起因した欠点を解決すべく、鋭意研究を
重ねた結果、板状の集電体一方の面又は両面に、粒子形
状を制御し平均粒径を0.5〜60μmとした主材の粒
子からなり、該主材35重量%以上含有する層(電極材
料層)を有する電極構造体を作製し、該電極構造体を、
特にリチウム又は亜鉛の酸化還元反応を利用した二次電
池の負極として用い、高容量、高エネルギー密度、及び
サイクル寿命の長い二次電池が実現できることを見出し
た。
【0022】尚、本発明における粒子における“平均粒
径”とは、粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観
察し直接的に測定した値である。
【0023】前述した8TH INTERNATIONAL MEETING O
N LITHIUM BATTERIESのEXTENDEDABSTRACTS WED-02
(P69〜72)においても、銅ワイヤー上に、スズ、もし
くはスズ合金の微細な粒子層を電気化学的に堆積させ、
該堆積層を電極とした電池、充放電サイクル寿命が向上
することが報告されているが、当該報告に記載の技術で
はでは、非常に細い銅ワイヤー(直径0.07mm)を電
極集電体として用いており、銅ワイヤーの直径が1mmと
した場合では、スズ粒子サイズが2000〜4000nm
になり且つこの場合電池としての寿命を低減させること
を考慮すると、一般的な電極形状を供する板状、即ち広
い面積を持ったの集電体上に、200〜400nmの粒子
サイズのものを作製し電池における優れた寿命を実現し
ていない。当該文献に記載の技術では、良好な寿命を提
供するスズ、もしくはスズ合金層の厚さは200〜40
0nmの粒子サイズの場合非常に薄く(約3μm)、スズ、
もしくはスズ合金層に貯えられるリチウム量から計算し
た電極単位面積当たりの充電容量も小さくなり、実用域
に至ったものではない。
【0024】本発明の電極構造体は、上記のように平板
状の集電体上に粒径の制御のなされた粒子からなる層
(電極材料層)を形成したものであり、該層は広い面積
に亘って相対的に凹凸の少ない均一な層となり、且つ二
次電池と電極として用いた際に電極材料層内で電池反応
の生じる主材部分の表面積が大きくなる。こうして、特
に当該電池構造体をリチウム又は亜鉛の酸化還元反応を
利用した二次電池の負極に適用し、充電時に負極活物質
を上記粒子からなる層内に保持し、放電時に負極活物質
を上記粒子からなる層から放出させるような電池反応を
行なった場合、負極の電極材料層の表面積あたりの電流
密度を低下させることができ、負極における表面積あた
りの電気化学反応がゆるやかに且つ、均一に進行させる
ことが可能となる。ひいては、充放電反応での電極材料
層における活物質の出入りによる体積膨張収縮の割合を
小さくできるので、充放電効率も向上し電池容量が増
し、負極の寿命すなわち電池全体の寿命が延びることに
なる。
【0025】更に、上述のような粒子の粒径の制御に加
えて、該粒子からなる層の空隙率を最適化し、例えば後
述するように少なくとも初期の1〜3サイクルの充放電
において、充放電の繰り返しによる該負極層(電極材料
層)での活物質イオンの出入りに起因した体積膨張及び
収縮による、該負極層表面での亀裂は生じない(尚、本
発明においては、“活物質”とは電池における充電及び
放電の電気化学的反応(該反応の繰り返し)に関与する
物質を総称するものであり、更に自身で上記反応に関与
する物質である限りに、上記反応に関与する他の物質を
も包含する。リチウム二次電池においては、負極活物質
であるリチウムが充電時に負極側に保持され、放電時に
電解液中に溶解してリチウムイオンとなる。また、亜鉛
二次電池では、負極活物質である亜鉛が放電時に水酸化
物イオンと反応して水酸化亜鉛又は酸化亜鉛に変化す
る)。
【0026】本発明によれば、板状集電体上に設ける上
記平均粒径の主材からなる層の空隙率(集電体上に設け
られた電極材料層のトップの面と集電体面とで形成され
る電極材料層の空間において電極材料構成材で占められ
ない空間(空隙)の割合であり、具体的には上記電極材
料層の容積(厚み×面積)をV′とし、電極材料構成材
の重量と比重(真密度)をそれぞれwiとdiとする
時、電極材料層の電極構成材の占める真の容積V(V=
Σ(wi/di)となり、この時空隙率を(V′−V)
/V′となる。尚、電極材料層の重量W=Σwi(電極
構成材が一種類の場合にはW=w)で、電極材料層のか
さ密度d′=W/V′である。))を0.10〜0.8
6の範囲に制御し、かかる特性を持った電極構造体を用
いた二次電池に適用し、容量、エネルギー密度、サイク
ル寿命に関する性能を更に向上させる。尚、具体的には
空隙率は、層の密度が、主材の密度(a g/cm3 )の時を0
とし、(a−層の密度)/aより求めることができる。合
金が主材の場合、あるいは複数種の金属材料粉末を用い
る場合、合金組成によってあるいは複数種の金属の比率
によって主材の密度とし、上記式より空隙率を求める。
【0027】より好ましくは、上記層の表面には放電の
際に直径を0.10〜10μmの範囲に(直径の最大値
と最小値がこの範囲内となるように)制御された細孔が
形成されるようにし、あるいは層厚を5〜500μmの
範囲としする。また、充放電が全くなされていない状態
又は放電後で、層の表面凹凸が1〜60μmの範囲内と
なるように制御することが好ましい。
【0028】以下、本発明の電極構造体の具体的な構
造、これを構成する各部材の材料、その調製等につい
て、その態様に沿って具体的に説明する。
【0029】図1に本発明の電極構造体の断面構造の一
例を模式的に示す。
【0030】同図に示す電極構造体10では、集電体1
00の片側の面に、平均粒径0.5〜60μmの主材粒
子101から構成される層(電極材料層)102が設け
られている。尚、同図では、集電体100の片面のみに
電極材料層102が設けられているが、電池の形態によ
っては集電体100の両面に設けることができる。
【0031】〔集電体100〕集電体100は、充電時
の電極反応で消費する電流を効率よく供給するあるいは
放電時の発生する電流を集電する役目を担っている。特
に電極構造体10を二次電池の負極に適用する場合、集
電体100を形成する材料としては、電気伝導度が高
く、かつ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好まし
い材質としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレススチー
ル、チタンから選択される一種類以上の金属材料から成
るものが挙げられる。また、集電体の形状としては、板
状であるが、この“板状”とは、厚みについては実用の
範囲上で特定されず、厚み約100μm程度もしくはそ
れ以下のいわゆる“箔”といわれる形態をも包含する。
また、板状であって、例えばメッシュ状、スポンジ状、
繊維状をなす部材、パンチングメタル、エキスパンドメ
タル等を採用することもできる。
【0032】集電体100の表面において、集電体の製
造プロセス、例えば圧延などのプロセスの条件により、
ひっかき傷やミクロな突起等の突起部が発現することが
あるが、この場合、該突起部が、少なくとも、上記集電
体材料より高い比抵抗を有する材料、例えばニッケル、
亜鉛、スズ、インジウムから選択される一種類以上の元
素の酸化物で覆われていることが好ましい。特に、表面
積の大きい微粒子を層102の主材に使用したり、例え
ば電着(メッキ)やコーティングにより層102を形成
する場合では、集電体100の層102側に導電性の突
起部が生じていればこれを少なくとも、上記集電体材よ
り高比抵抗の材料で覆われていることが好ましい。かか
る酸化物による突起部の被覆によって、電極構造体10
を二次電池に適用した際に、充電時に集電体100の突
起部に電界が集中することに起因した活物質の析出が抑
えられ、結果的に充放電の繰り返しによっても活物質の
デンドライト成長が抑制され、二次電池の内部短絡が防
止でき、寿命を伸ばすことが可能になる。
【0033】図2(a)及び(b)に、図1に示す集電
体100の表面に突起部が存在する場合において、該突
起部を処理した後に上記粒径の制御をなした電極材料層
を形成する場合の一例を模式的に示す。まず集電体10
0表面の生じた突起部103に金属酸化物104を付着
させ(図2(a))、続いてその上に電極材料層の主材
となる粒子101を堆積させる(図2(b))。このよ
うに集電体表面に意図せず生じた突起部を高抵抗化した
上で電極としての層102を形成して作製された電極構
造体を、特に負極から用いる成る電池では、充電時に負
極表面に電界が集中する箇所が低減される。従って、リ
チウムあるいは亜鉛の酸化還元を利用した二次電池で
は、充電放電の繰り返しでリチウムあるいは亜鉛のデン
ドライト析出が抑制されることになる。
【0034】上記金属酸化物での集電体突起部の被覆
は、集電体材をカソード、対向電極をアノードとして、
電解液として例えば硝酸ニッケル、硝酸亜鉛、硝酸イン
ジウム、硝酸スズから選択される一種類以上の硝酸塩の
水溶液を使用して、電解反応を起こし、集電体材の突起
部に、電解反応の電気量を制御して金属酸化物を析出さ
せることによって行うことができる。
【0035】〔主材粒子101及び層102〕電極構造
体10において実際の電気化学反応が生じる層(電極材
料層)102は、前述したように平均粒径が0.5μm
〜60μmの範囲の粒子を該層の35重量%以上を占め
る主材として含有するものである。かかる主材粒子(1
01)の平均粒径は、より好ましくは0.5〜20μm
の範囲とする。上記層102を構成する主材としては、
バルクの20℃の比抵抗(電気抵抗率)が好ましくは1
×10-6〜1×100Ω・cmの範囲である材料、特に
好ましくは、1×10-5〜1×10-1Ω・cmの範囲に
ある材料を用いる。当該主材は層102中は、50重量
%以上配合することがより好ましい。
【0036】主材粒子101に用いる具体的な材料とし
ては、例えばリチウムもしくは亜鉛の酸化還元反応を利
用した充放電反応を有効に行う二次電池用の負極を構成
する材料として、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、イン
ジウム、マグネシウム、亜鉛、から選択される一種類以
上の元素から構成される材料(それらの合金、複合材料
を含む)を使用する。特に、リチウム二次電池用の電極
構造体の主材としては、珪素、スズ、インジウムから選
択される一種類以上の材料がより好ましく、亜鉛二次電
池用の電極構造体の主材としては、酸化亜鉛、亜鉛合金
から選択される一種類以上の材料がより好ましい。
【0037】上記電極構造体の主材粒子(101)を他
の金属を含む層で被覆することが好ましい。図3に こ
の場合の、図1に示す電極構造体の粒子状の主材(図1
に示す粒子101)の断面構造の一例を模式的に示す。
この構造では、主材粒子101は、コア部105とコア
表面を被覆した金属106から構成されている。被覆金
属106は、粒子101間の電子伝導を助ける役割を担
うことになる。
【0038】上記電極構造体の主材粒子(101)の材
料として、スズを使用する場合には、金属スズ粒子
(粉)、銅、銀、から選択される一種類以上の金属で部
分的に表面が覆われたスズ粒子(粉)、もしくは金属ス
ズで表面が覆われたニッケル粒子(粉)、もしくは銅、
ニッケル、銀、アンチモン、亜鉛、ビスマスから選択さ
れる一種類以上の金属とスズとの合金粒子(粉)、の形
態が好ましい。当該金属スズ又はスズ合金粒子、スズに
より被覆されたニッケル粒子によれば、二次電池でのイ
ンピーダンスの増加を抑え、充放電効率の低下を抑制す
ることができる。
【0039】上述した銅や銀等により被覆された金属ス
ズ又はスズ合金粒子(粉)、スズにより被覆されたニッ
ケル粒子(粉)は、還元反応を用いるか、イオン化傾向
の差を利用した置換反応を用いて、例えばスズ粒子
(粉)を無電解メッキ液に浸漬して反応させ、あるいは
スズ又はスズ合金粒子(粉)を銅の塩や銀の塩の水溶液
に浸漬せしめ、置換反応を生じさせ、銅や銀で被覆した
スズ粒子(粉)、もしくは同様の手法によりスズにより
被覆されたニッケル粒子(粉)を得ることができる。
【0040】上記電極構造体の主材粒子(101)の材
料として、珪素を使用する場合には、銅、ニッケル、
銀、スズ、から選択される一種類以上の金属で部分的に
表面が覆われた珪素粒子(粉)という形態が好ましい。
上記珪素が純度99%以下であることが好ましい。即
ち、純度の低い安価な材料を適用して上記第一の層の主
材を得ることができ、結果的に安価な二次電池を得るこ
とが可能になる。さらに、上記珪素が、アルミニウム、
カルシウム、クロム、鉄、マグネシウム、マンガン、ニ
ッケル、から選択される元素を不純物として含有してい
るのが好ましい。当該珪素粉によれば、層102の抵抗
をより低くすることができ、二次電池でのインピーダン
スの増加を抑え、充放電効率の低下を抑制することがで
きる。
【0041】上述した銅や銀等で被覆された珪素粒子
(粉)は、珪素粒子(粉)の表面を荒らし、スズイオン
を含むスズコロイドを付着させた後スズをパラジウムと
置換せしめ、珪素表面のパラジウムを触媒とし還元反応
によって無電解で珪素粒子表面に銅や銀を被覆すること
で得ることができる。
【0042】上述したような水溶液を用いた反応により
得られる粒子(ズス又はスズ合金、ニッケル、珪素、イ
ンジウム)、あるいは融点の低いスズ、鉛、亜鉛等を成
分とした粒子の表面は薄い酸化膜が形成され易く、これ
ら粒子からなる層を形成する前又は後に、水素等を用い
て当該酸化被膜を還元処理することにより、又は酸で除
去することにより、層の電極材料層としての性能、特に
負極としての性能を向上させる点で好ましい。
【0043】尚、負極活物質が亜鉛である場合、上記電
極構造体の主材粒子(101)の材料として、銅、ニッ
ケル、銀、から選択される一種類以上の金属と亜鉛との
合金、酸化亜鉛を使用することがより好ましい。
【0044】層102は、主材となる粒子101に必要
に応じて他の無機材料を加えた無機材料のみの層とする
ことができる。この場合、低抵抗の第一の層を形成する
ことができ、その結果、二次電池の内部インピーダンス
を低減でき充放電効率を高めることが可能になる。
【0045】特に電極材料層102を粉末状の上記主材
(粒子101)を用いて形成する際に、上記主材間及び
主材と集電体間の電子伝導を補助して高めるために、導
電補助材を上記主材に混合した上で層102を形成を行
うこともできる。
【0046】当該導電補助材としては、例えば炭素材料
や金属材料を、好ましくは層102の1〜30重量%の
範囲で配合して用いる。
【0047】上記導電補助材として用いる炭素材料とし
ては、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの
非晶質炭素や黒鉛などを含めた炭素材料が挙げられる。
当該炭素材料は、主材(粒子101)の電子伝導を補助
する機能の他に、層102の機械強度を増す効果、層1
02の形成過程で例えばスズや鉛や亜鉛などの低融点金
属を主材として用いこれらの粉末を金属材料の導電補助
材とボールミルなどの機械混合する場合に低融点金属粉
が溶融して塊状になるのを防ぐ効果がある。
【0048】上記導電補助材として用いる金属材料のよ
り具体的例としてな材料としては、銅、ニッケル、銀、
チタン、鉄、などが挙げられる。
【0049】上記導電補助材の形状として好ましくは、
球状、フレーク状、フィラメント状、繊維状、スパイク
状、針状、など、から選択される異なる二種類以上の形
状を採用することにより、層102形成時のパッキング
密度を上げて層102のインピーダンスを低減すること
ができる。
【0050】また、層102は、有機高分子材を加えた
複合材からなる層とすることもできる。この場合、電極
構造体10全体の柔軟性が高まり、電極をスパイラル状
に巻く場合も剥離が生ずることがなく、充放電の繰り返
しで負極が膨張収縮を繰り返す場合でも上記有機高分子
材が伸縮して層102が剥離するのを抑制でき、二次電
池の性能の低下が抑えられる。特に層102に上述した
導電補助材を加える場合においては、主材の粒子101
と導電補助材の結着剤として、当該有機高分子材を用い
ることが好ましい。
【0051】上記有機高分子材の層102を占める割合
は、充電時により多くの活物質量を保持するために、2
重量%以上20重量%以下の範囲とすることが好まし
い。
【0052】上記有機高分子材としては、電極構造体を
使用する二次電池の電解液に溶解分解反応することなく
安定であることが必要である。使用可能な有機高分子材
の具体例としては、リチウム二次電池に用いる電極構造
体の場合には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポ
リオレフィン、カルボキシメチルセルロース等のセルロ
ース類、ポリフッ化ビニリデンやテトラフルオロエチレ
ンポリマーなどのフッ素樹脂が挙げられ、亜鉛電池に用
いる電極構造体の場合には、リチウム二次電池用に挙げ
た高分子材に加えて、カルボキシメチルセルロースなど
のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
ールが挙げられる。
【0053】図4に、図1に示す電極構造体10の層1
02において、主材となる粒子101に加えて導電補助
剤及び有機高分子材を用いた場合の例を模式的に示す。
この場合、層102は、主材となる粒子101に加え
て、結着剤としての有機高分子材107、導電補助材と
しての球状炭素材108、導電補助材としての球状金属
材109、導電補助材としてのフレーク状金属材110
から形成されている。
【0054】電極構造体10における電極材料層102
の表面は、電極構造体をリチウム電池又亜鉛電池の負極
に用いる場合、放電状態(放電後)において細孔が形成
することが好ましく、特に直径0.10〜10μmの範
囲の細孔が形成することが好ましい。細孔が形成される
ことにより、次の充電の際に、層内での活物質との反応
面積が大きくなり、またこの細孔が空間確保の役割とな
り、リチウム挿入(充電)時の体積膨張が緩和でき、更
なる高容量化と長寿命化を実現できる。
【0055】電極構造体10における電極材料層102
の厚さは、5μm以上500μm以下の範囲とすること
が好ましく、10μm以上100μm以下がより好まし
い。ここで、層の厚さは、マイクロメーターで測定した
値とした。厚102の厚さが、5μm以上500μm以
下、特に、10μm以上100μm以下にすることで、
電極としての利用率を大きくでき、高容量化できる。層
102の厚さが5μm以下では、電極構造体をリチウム
電池又は亜鉛電池の負極に用いた場合、負極単位面積当
たりの充電量が小さくなり、結果的に、電池容量は小さ
くなる。また、500μm以上では、層内部へリチウム
等の活物質が移動しづらくなり、利用率が低下する。更
には、電極インピーダンスが高くなり、電池性能が低下
する。
【0056】電極構造体10における電極材料層102
の表面の粗さは、凹凸の山と谷の高さが1μm以上60
μm以下となるようにすることが好ましく、5μm以上
30μm以下とすることがより好ましい。本発明におけ
る表面粗さとは、触針法で測定した値とした。すなわ
ち、直径5μmの針をL=400μmの間隔スイープさ
せたときの最大の高さから最小高さを差し引いた値とし
た。電極構造体をリチウム電池又は亜鉛電池の負極に用
い場合、層102の表面粗さを上記範囲とすることで、
負極の利用率を大きくでき、高容量化と、長寿命化でき
る。1μmよりも小さい場合、リチウム等の活物質との
反応面積が小さくなり、利用率が低下する。また、60
μmよりも大きい場合では、突起部へ電解が集中し易く
なり、均一にリチウムと反応せず、寿命は低下する。
【0057】電極構造体10における集電体100上へ
の電極材料層102を形成方法の一例としては、層10
2の主材となる粒子101に、必要に応じて上述した主
材間及び主材と集電体間の電子伝導を補助するための導
電補助材、又は結着剤として有機高分子材を混合し、有
機高分子材の溶剤を添加して、ペースト状混合物を調製
し、このペーストを集電体100上に塗布する方法が挙
げられる。上記の塗布方法としては、例えば、コーター
塗布方法、スクリーン印刷法が適用できる。また、有機
高分子材の溶剤を添加することなく上記主材と導電補助
材と有機高分子を、あるいは結着剤の有機高分子材を混
合せずに上記主材と導電補助材のみを、集電体上に加圧
成形して、層102を形成することも可能である。
【0058】層102の形成方法の他の例としては、集
電体100上に層102の主材を、気相法、メッキ法な
どによって直接堆積させる方法が挙げられる。気相法と
しては、CVD(Chemical Vapor De
position)法、プラズマCVD法、抵抗加熱蒸
着、電子ビーム蒸着、スパッタリング法、などが挙げら
れる。メッキ法としては、電気化学反応を利用した電解
メッキ、還元反応を利用した無電解メッキ、などが挙げ
られる。
【0059】以上の方法での条件を最適に制御して、板
状の集電体100上の層102を構成する粒子101の
平均粒径を上述の0.5〜60μmの範囲内に制御す
る。
【0060】本発明の電極構造体では、スズ又はスズ合
金、珪素及びその合金(粒子)を主材として用いた場
合、平板状の集電体上に平均粒径がより良好に制御され
た粒子からなる電極材料層を形成することができ、当該
電極構造体を二次電池、特にリチウム二次電池に用いた
際の電池容量、エネルギー密度、及びサイクル寿命に関
してより顕著な効果が得られる。特に、金属スズ、もし
くはスズ合金をリチウム電池の負極に用いた場合、スズ
1原子当たり最大4.4のリチウム原子を取り込ますこ
とが知られており、単位重量当たりの理論容量は、79
0Ah/kgであり、グラファイトの372Ah/kgよりも、2
倍以上理論的に高容量化できるが、本発明では金属ス
ズ、もしくはスズ合金の粒子からなる電極材料層を最適
に調製することで、このような理論的に高い容量を実用
化し、更に他の性能についても共に向上させることがで
きる。
【0061】以下に、これら本発明の電極構造体におい
て、主材として特に好適である、スズ及びその合金を用
いた場合の態様をより詳細に説明する。
【0062】〔スズ、スズ合金〕電極構造体における電
極材料層の主材としてスズを用いる場合、金属スズ単体
からなる粒子、あるいはスズ合金からなる粒子の形で用
いる。スズ合金としては、例えばスズ元素と、アンチモ
ン、ビスマス、鉛、ニッケル、銅、銀、亜鉛、から選択
される少なくとも一種類以上の元素とからなる合金で、
その比率は、スズ元素が50%以上100%未満である
ことが好ましく、70%以上100%未満であることが
より好ましい。スズ元素が50%以下である場合、充電
時に取り込むリチウム量が少なくなり、その結果、電池
容量が小さくなることがある。
【0063】〔電極材料層の平均粒径〕前述したように
主材としての粒子の平均粒径を、0.5μm以上60μ
m以下の範囲内に制御することが好ましい。特に金属ス
ズ、もしくはスズ合金を用いて、このような平均粒径の
粒子からなる層を板状集電体上に良好に形成することが
できる。また、金属スズ、もしくはスズ合金の粒子の場
合、特に平均粒径を5μm以上50μm以下であること
がより好ましい。
【0064】集電体上に後述の実施例に示すような電解
メッキにより、種々の平均粒径を有する金属スズ粒子又
はスズ合金からなる層を形成した電極構造体を負極とし
て用い、正極としてリチウムマンガン酸を用いたリチウ
ム二次電池を作製し、当該粒子の平均粒径と、充放電サ
イクル下での、電池寿命(サイクル寿命)、電池の充放
電クーロン効率の関係を、スズ箔を負極とし、正極とし
てリチウムマンガン酸を用いたAAサイズのリチウム二
次電池の性能を基準として評価した。結果を図5に示
す。
【0065】図5に示す結果より、平均粒径が0.5μ
mよりも小さい場合には、充放電サイクル寿命が著しく
低下する。これは、粒子径が小さいと、金属スズ、或い
はスズ合金の密度が大きくなり、層中の空隙が小さくな
り、充放電サイクル時に、亀裂の発生して、集電体から
の剥がれが起こるからと推定される。
【0066】一方、平均粒径が60μmよりも大きい場
合には、充放電クーロン効率が低下し、寿命も低下す
る。これは、粒子径が大きくなると、表面の凹凸が大き
くなり、凸部への電解が集中し、充電時にリチウムのデ
ンドライト成長が生じ易くなるためと推定される。
【0067】〔結晶子の大きさ〕金属スズ、もしくはス
ズ合金粒子の結晶子、特に電極構造体に対して充放電を
全く行う以前(未使用の状態)での結晶子の大きさを、
好ましくは10nm以上50nm以下の範囲に、より好まし
くは10nm以上30nm以下の範囲に制御することがより
好ましい。このように微細な結晶粒のものを用いること
によって、充放電時の電気化学反応をより円滑にするこ
とができ、充電容量を向上できる、また、充放電時のリ
チウムの出入りによって生じる歪みを小さく抑えて、サ
イクル寿命を伸ばすことが可能になる。
【0068】尚、本発明において、粒子の結晶子の大き
さとは、線源にCuKαを用いたX線回折曲線のピークの
半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した
ものである。 Lc = 0.94λ/(βcosθ) (Scherrerの式) Lc:結晶子の大きさ λ:X線ビームの波長 β:ピークの半価幅 θ:回折角
【0069】〔電極材料層の密度と空隙率〕金属スズ、
もしくはスズ合金粒子から構成される層の密度を、1.
00g/cm3以上6.56g/cm3以下に制御することが好ま
しく、2.00g/cm3以上6.00g/cm3以下に制御する
ことがより好ましい。このように層の密度を制御するこ
とにより、集電体上に設ける層の空隙率を0.10〜
0.86の範囲内、好ましくは0.31〜0.73の範
囲内とすることができる。金属スズ、もしくはスズ合金
粒子から構成される層の密度は、単位面積当たりの重量
と厚さにより計算で求めた値とした。金属スズ、もしく
はスズ合金といったスズを含むが主材から構成される層
の空隙率は、前述のように電極材料層の容積V′と電極
材料層中の電極構成材の占める真の容積Vを用いて
(V′−V)/V′により求めるが具体的に主材の密度
a(g/cm3)として、層の密度が主材密度と同様になる
とき0とし、(a−層の密度)/aにより求める。金属
スズからなる層の場合、層の密度が金属スズの密度(a
=7.29g/cm3 )となる時を0とし、(7.29−層の
密度)/7.29より求めた値とした。又、スズ合金の
場合、合金組成より主材の密度aを求め、上記式より層
の空隙率を求める。
【0070】集電体上に、後述の実施例で示すように、
電解メッキで電解条件を調整して種々の空隙率を有する
金属スズ又はスズ合金の粒子からなる層を形成した電極
構造体を負極として用い、正極としてリチウムマンガン
酸を用いたAAサイズのリチウム二次電池における、電
極材料層(負極層)の密度、空隙率と、充放電サイクル
試験下での、電池寿命(サイクル寿命)関係を、スズ箔
を負極とし、正極としてリチウムマンガン酸を用いたリ
チウム二次電池の場合の性能を基準に評価し、又、上記
リチウム二次電池の空隙率と電池容量の関係を、炭素材
料を負極としリチウムマンガン酸を正極として用いたリ
チウム二次電池の場合を基準に評価した。また、充放電
サイクルを3回施した段階での各電池の電極材料層の表
面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。結果
を図6に示す。
【0071】同図に示すように、電池寿命は、電極材料
層の密度が、6.56g/cm3よりも大きい、空隙率が
0.10よりも小さい場合には、電極材料層表面に亀裂
が観察され、寿命が著しく低下する。また、電極材料層
の密度が1.00g/cm3よりも小さい、空隙率が0.8
6よりも小さい場合には、スズ箔又は炭素を負極として
用いたリチウム二次電池と同等のサイクル寿命及び電池
容量の性能となる。更に空隙率が0.31〜0.73
(層の密度2〜68/cm3)の範囲の場合、最も良好な
サイクル寿命及び電池容量が得られる。
【0072】この結果からも明らかなように、層の密度
が、1.00g/cm3以上6.56g/cm3以下のもの、空隙
率が、0.10以上0.86以下のもの、より好ましく
は空隙率が、0.31以上0.73以下のものを用いる
ことで、高容量、且つ長寿命の電池が実現できる。
【0073】〔電極材料層の細孔〕金属スズ又はスズ合
金粒子を主材とした電極材料層の表面は、当該電極構造
体をリチウム電池の負極に用いる場合、放電後において
細孔が形成されることが好ましく、特に直径0.10〜
10μmの範囲の細孔が形成されることが好ましい。細
孔が形成されることにより、次の充電の際に、層内での
リチウムとの反応面積が大きくなり、またこの細孔が空
間確保の役割となり、リチウム挿入(充電)時の体積膨
張が緩和でき、更なる高容量化と長寿命化を実現でき
る。
【0074】〔電極材料層の厚さ〕金属スズ又はスズ合
金粒子を主材とした電極材料層の厚さは、5μm以上5
00μm以下の範囲とすることが好ましく、10μm以
上100μm以下がより好ましい。ここで、層の厚さ
は、マイクロメーターで測定した値とした。厚102の
厚さが、5μm以上500μm以下、特に、10μm以
上100μm以下にすることで、電極としての利用率を
大きくでき、高容量化できる。層の厚さが5μm以下で
は、電極構造体をリチウム電池の負極に用い場合、負極
単位面積当たりの充電量が小さくなり、結果的に、電池
容量は小さくなる。また、500μm以上では、層内部
へリチウム等の活物質が移動しづらくなり、利用率が低
下する。更には、電極インピーダンスが高くなり、電池
性能が低下する。
【0075】〔電極材料層の表面粗さ〕金属スズ又はス
ズ合金粒子を主材とした電極材料層の表面の粗さは、充
放電前(未使用)の状態で凹凸の山と谷の高さが1μm
以上60μm以下となるようにすることが好ましく、5
μm以上30μm以下とすることがより好ましい。本発
明における表面粗さとは、触針法で測定した値とした。
すなわち、直径5μmの針をL=400μmの間隔スイ
ープさせたときの最大の高さから最小高さを差し引いた
値とした。電極構造体をリチウム電池の負極に用い場
合、層の表面粗さを上記範囲とすることで、負極の利用
率を大きくでき、高容量化と、長寿命化できる。1μm
よりも小さい場合、リチウムとの反応面積が小さくな
り、利用率が低下する。また、60μmよりも大きい場
合では、突起部へ電解が集中し易くなり、均一にリチウ
ムと反応せず、寿命は低下する。
【0076】〔電極材料層の組成〕金属スズ又はスズ合
金粒子を主材とした電極材料層において、主成分である
金属スズ、もしくはスズ合金の割合が、50重量%以上
100重量%以下であることが好ましい。50重量%以
下では、電極構造体をリチウム電池の負極に用い場合、
充電時に負極に取り込むリチウム量が少なくなり、その
結果、電池容量が小さくなる。
【0077】〔微量元素の混合〕金属スズ又はスズ合金
粒子を主材とした電極材料層において、スズ元素もしく
はスズ合金の主成分元素以外に、メッキ等の形成段階で
の使用する添加剤に起因した、炭素元素、窒素元素、酸
素元素、弗素元素、硫黄元素、から選択される元素を含
有していることが好ましく、これら元素の存在比率が層
表面側で最も高いことを特徴とする。
【0078】これら不純物のうち、酸素元素はスズ元素
と化学結合していることを特徴とし、特に、スズ酸化物
として、金属スズ、もしくはスズ合金粒子中、もしくは
粒子表面に存在することを特徴とする。
【0079】このような金属スズ又はスズ合金粒子にお
ける上記元素の存在は、X線光電子分光法(XPS:X-ray
photoelectron spectroscopy)により分析を行うことが
でき、組成比については、XPSで測定した各元素のピー
ク面積の強度比から求める。
【0080】例えば、スズ元素と炭素元素の場合には、
Sn 3d5/2とC1sピーク面積から下記の式により求める。 n( C)/n( Sn)={N( C)・σ( Sn)・λ( Sn)・S( Sn)}/{N
( Sn)・σ( C)・λ( C)・S(C)}={N( C)/N( Sn)} ・K(Sn/
C) n:単位体積当たりの原子数、 N:各元素のピーク面積の測定値、 σ:光イオン化断面積、 λ:電子の平均自由化行程λ、 S :分光器関数Sを考慮した値 K:感度係数
【0081】本測定においては、C.O.Wagnerによる元素
の感度係数を用いて計算した。また、電極材料層内部の
元素濃度は、表面をアルゴンエッチングした後に測定し
た結果より求める。元素の結合状態は、各元素のピーク
位置より求める。
【0082】〔有機化合物,炭素材料の混合〕金属スズ
又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層において、ス
ズ元素もしく金属スズ粒子、もしくはスズ合金粒子以外
に、有機化合物を混合することが好ましい。かかる有機
化合物としては、例えば前述したような結着剤として機
能する有機高分子を用いることができる。当該有機化合
物は、層内でクッション材として機能し、また粒子間の
接着効果により、金属スズ或いは、スズ合金粒子を含む
電極材料層の体積変化を抑制することができる。
【0083】また、金属スズ、もしくはスズ合金粒子以
外に、炭素材料を混合することが好ましい。かかる炭素
材料についても、電極材料層内でクッション材として機
能し層の体積変化を抑制することができる。
【0084】〔配向性〕金属スズ又はスズ合金粒子を主
材とした電極材料層において、未充電状態(未使用)に
おける金属スズの結晶格子の向きが、ある特定の格子面
が優先方位配列(配向性)を有していることが好まし
く、配向している格子面は、1以上3以下であることが
好ましい。本明細書において、配向性を有するとは、線
源にCuKαを用いたX線回折ピークで、格子面の強度比
が、他の(配向外の)ピークの強度比に対して、2倍以
上であることとする。このような強度比の大きい格子面
が、3つ以下であることとする。
【0085】特に、金属スズ、もしくはスズ合金粒子か
ら構成される層において、ミラー指数が(200)面(2θ
=30.6°±1.0°)に最も強度の強い第一ピークが観察
され、第二ピークに対する強度比が、2倍以上であるこ
と、もしくは(101)面(2θ=32.0°±1.0°)に最
も強度の強い第一ピークが観察され、第二ピークに対す
る強度比が、2倍以上であることが好ましい。上記の配
向性を有した負極を採用することで、充放電サイクル寿
命が向上することが確認されている。これは、配向性を
有することで、スズの結晶格子中へのリチウムの拡散が
スムーズに行われ、スズ中のリチウムの分布が均一にな
り、体積変化が分散し、歪みが生じにくくなるためと考
えられる。
【0086】〔層の形成方法〕金属スズ又はスズ合金粒
子を主材とした電極材料層の形成方法としては、具体的
には、電気化学反応を利用した堆積反応(電解メッ
キ)、還元反応を利用した堆積反応(化学メッキ)、蒸
着法、もしくは、粉末と高分子化合物と溶剤からなるペ
ーストを塗布する方法が挙げられる。本発明において
は、特に電解メッキ法、あるいは化学メッキ法を採用す
ることにより、粒子の粒径や空隙率(密度)を最適に制
御している。
【0087】1.電解メッキ 金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした層の製造装置と
しての電解メッキ槽の一例の概略を図7に示す。
【0088】電解メッキ槽は、電解槽300、電解液3
01、金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした層を形成
するための基材となる集電体(図1に示す構造の集電体
100に相当)であるカソード302、対向電極(アノ
ード)303、電源304、攪拌部材305から基本的
に構成されている。
【0089】電解メッキは、電解液301中で、集電体
(カソード)302と対向電極(アノード)303間
に、電源304を用いて、直流電界、交流電界、パルス
電界、あるいは、これらの組み合わせた電界、から選択
される電界を印加して処理し、集電体302表面に被メ
ッキ物を堆積させ、平均粒径0.1μm以上60μm以
下の金属スズ、もしくはスズ合金からなる粒子を主材と
し、好ましくは密度が1.00g/cm3以上6.56g/cm3
以下である層を形成することで作製できる。
【0090】この電解メッキ法により、比較的短時間
で、粒子径の揃った、均一な厚さ、かつ配向性を有した
層を作製することができる。
【0091】特に電解メッキ方において、集電体に堆積
させる金属スズ、もしくはスズ合金の粒子の平均粒径、
層密度、空隙率、、結晶子の大きさ、配向性の有無は、
用いる電解液の種類、電解液中のスズイオンの濃度、電
解液中に添加する物質の種類と添加量、メッキ時の温
度、印加する電界の種類、カソードの電流密度、カソー
ドとアノード間の印加電圧を調整することで制御する。
【0092】(電解液301)電解液301としては、
少なくとも、スズイオンを0.001mol/l以上5mol/l
以下含有した溶液を用いることが好ましい。具体的な電
解液として、塩化物溶液、ふっ化物溶液、硫酸塩溶液、
シアン化塩溶液、ピロリン酸塩溶液、過塩素酸溶液、シ
ュウ酸塩溶液、すず酸カリウム溶液、すず酸ナトリウム
溶液、有機カルボン酸塩溶液、から選択されるスズ塩の
溶液を用いることができる。
【0093】また、電解液中に、炭素元素、窒素元素、
酸素元素、弗素元素、硫黄元素、及び水素元素、から選
択される少なくとも、一つ以上の元素で構成された物質
を分散させることが好ましい。これら物質を分散させる
ことで、電解メッキ時に、結果的に、金属スズ、或いは
スズ合金粒子中に、あるいは粒子間にこれら元素を含有
せしめることができる。
【0094】電解液中に分散させる物質としては、好ま
しくは有機化合物が用いられる。具体的には、アミノ酸
(例えば、ゼラチン、にかわ等、たん白質等)、糖類
(例えば、ブドウ糖、果糖、しょ糖、デンプン、デキス
トリン、グリコーゲン、糖ミツ、甘草、セルロース
等)、その他にクレゾールスルホン酸、β−ナフトー
ル、ホルマリン、ハイドロキノン、アンストキノングリ
セリン、ポリエチレングリコール、ビニル化合物等を採
用することができる。
【0095】また、電解液中に、電解重合反応を引き起
こすモノマーを分散させ、集電体(カソード)上で、電
気化学的に酸化または還元して、重合反応を起こし、金
属スズ、或いはスズ合金粒子中に含有せしめることがで
きる。還元側で重合が起こるモノマーを採用する場合
は、金属スズ、或いはスズ合金の電析と同時にこれら粒
子中に含有せしめることができ、酸化側で重合が起こる
モノマーを採用する場合は、交流電界やパルス電界を用
いることで、集電体側に含有せしめることができる。
【0096】電解酸化重合するモノマーとしては、例え
ば、ベンゼン環にアミノ基やヒドロキシル基を有する芳
香族化合物(例えば、アニリンやフェノール等)、複素
環式化合物(例えば、ピロール、フラン、チオフェン
等)、2個あるいはそれ以上の縮合芳香環をもつ多環式
炭化水素(例えば、アズレンやピレン等)、ジベンゾク
ラウンエーテル類やベンゼンなどが採用できる。
【0097】電解還元重合するモノマーとしては、例え
ば、ビニル基を有する化合物(例えば、ビニルピリジン
やビニル-4-tertブチルベンゾエート、4-ビニル,1,
シクロヘキサン、4-ビニル,1,シクロヘキサン1,2エポ
キシド、ビニルデカノエード、2−ビニル1,3ジオキ
ソラン、1,ビニルイミダゾール、ビニルエオデカノエ
ート、1,ビニル,2,2ピロリジノン、ビニルステアレ
ート等)、アセチレンやアセチレン誘導体などが採用で
きる。
【0098】上記手法により、特に、O、S、Nを有す
る有機化合物をスズ、又はスズ合金を主材とした層内に
含有せしめた場合、負極に用いた際の充放電効率をあげ
ることができる。これは、上記の元素には、電子吸引性
があるために、充電時のLiを安定化して、電解液との反
応を抑制効果によると思われる。
【0099】また、電解液中に炭素材料を分散させるこ
とが好ましく、電解メッキ時に、金属スズ、或いはスズ
合金粒子中、粒子間に含有せしめることができる。
【0100】その他、電解液中に、界面活性剤を分散さ
せておくことが好ましく、特に、カチオン系の界面活性
剤を添加することで、より効率的に炭素材料を金属ス
ズ、或いはスズ合金粒子中、粒子間に含有せしめること
ができる。
【0101】当該カチオン系の界面活性剤としては、例
えばペルフルオロヘキサン酸、デカン酸ナトリウム、硫
酸デシルナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ド
デカン酸ナトリウム、硫酸ドデシル銅(II)、ドデシ
ルスルホン酸ナトリウム、硫酸ヘキサデシルナトリウ
ム、などを用いることができる。
【0102】電解メッキ時の電解液の温度は、0℃以上
85℃以下が好ましい。
【0103】(アノード303)電解反応中の対向電極
となるアノード303の材質としては、金属スズ、もし
くはスズ合金が好ましく、面積は、カソード面積に対し
て、0.1〜1の範囲とすることが好ましく、0.5〜
1の範囲とすることがより好ましい。
【0104】アノード303とカソード302間距離
は、2cm以上50cm以下とすることが好ましく、5
cm以上30cm以下とすることがより好ましい。
【0105】(電源304)電源は、アノードとカソー
ド間に、直流電界、交流電界、パルス電界、あるいは、
これらの組み合わせた電界、から選択される電界を印加
できるものを用い、カソードの電流密度を、1mA/cm2
上50mA/cm2以下で処理できるものを好適に用いる。ま
た、カソードとアノード間に印加する電圧は、0.05
V以上10V以下で処理できるものが好ましい。
【0106】(攪拌)電解メッキ時に、電解槽内の電解
液を攪拌することで、均一な厚さ、且つピンホールの少
ないスズ又はスズ合金からなる層を作製できる。
【0107】攪拌法としては、機械的方法とガスのバブ
リングによる方法がある。
【0108】機械的方法は、攪拌機(攪拌部材305)
などによる直接電解液を攪拌する方法、もしくは、カソ
ードやアノード自体を動かすことで行うことができる。
【0109】バブリングによる方法には、空気、窒素、
水素、アルゴンなどを用いることができ、窒素や、アル
ゴンなど電解液の酸化を抑制できるものがより好適に用
いられる。
【0110】2.化学メッキ 金属スズ、もしくはスズ合金から構成される層を、還元
反応を利用した堆積反応(化学メッキ)工程により形成
することもできる。化学メッキは、化学メッキ溶液中で
被処理体である集電体を処理するものである。
【0111】当該化学メッキとしては、還元剤による還
元析出を利用した還元形メッキが好ましく採用される。
【0112】還元形メッキは、還元性の強い三塩化チタ
ン、次亜りん酸塩、ほう水素化物等を還元剤とするスズ
メッキであり、集電体である銅、ニッケル、鉄、スチー
ル等の基材上に、上記の層を形成することができる。ま
た、クエン酸、EDTA、二トリル三酢酸等を錯化剤として
添加することで、メッキ液の安定性を改善することがで
きる。
【0113】また、電気メッキと同様に、化学メッキ溶
液中に、炭素元素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、及
び、硫黄元素、から選択される元素から構成された物質
を分散させることで、化学メッキ時に、結果的に、金属
スズ、或いはスズ合金粒子中、粒子間にこれら元素を含
有せしめることができる。
【0114】3.蒸着法 集電体上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラ
ズマCVD法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ
リング法、などを利用して、金属スズ、もしくはスズ合
金から構成される層を形成することもできる。
【0115】4.ペーストを塗布する方法 所定の粒径を有する金属スズ、もしくはスズ合金粒子を
ペースト化し、集電体上に金属スズ、もしくはスズ合金
粒子により構成される層を形成することができる。少な
くとも、平均粒径が0.5μm以上60μm以下の金属
スズ、もしくはスズ合金粉末と、樹脂材料と、樹脂材料
が可溶な溶媒を混合して、ペーストを調整し、そのペー
ストを集電体の片面もしくは両面に塗布した後に、乾燥
することで、所望の層を得ることができる。
【0116】〔金属スズ、もしくはスズ合金粒子により
構成される電極材料層を有する電極構造体を製造する
系〕図8に上述したような本発明の金属スズ、もしくは
スズ合金粒子により構成される電極材料層を有する電極
構造体を作製する系(装置)の概略図の一例を示す。同
図に示す装置は、メッキ浴槽401、酸化物除去槽40
2、乾燥機403、水洗槽404、、集電体送りロール
407、から基本的には構成され、帯状の集電体406
がロール407により各槽内を連続的に移動し、各槽で
処理がされて、集電体406上に金属スズ、もしくはス
ズ合金粒子により構成される層が形成される。
【0117】メッキ浴槽401には、液循環装置405
を設けて、メッキ液中に生じる沈殿物等を除去すること
が好ましい。
【0118】メッキ浴槽401には、電源409と対向
電極408が設けられているが、図7に示したものから
構成され、本槽において、集電体406上に金属スズ、
もしくはスズ合金粒子から構成される層が形成される。
【0119】図8に示す装置では、集電体406上に上
記の層を形成した後に、酸化物除去槽402内で上記の
金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる層を処理し、
その表面の酸化物を除去する。酸化物は、アルカリ性或
いは酸性の水溶液中で処理することで除去できる。処理
溶液として、例えば、第三りん酸ナトリウム溶液が用い
られる。
【0120】メッキ浴槽401と酸化物除去槽402の
各工程後に水洗槽404が設けられ、金属スズ、もしく
はスズ合金粒子からなる層を十分に洗浄して、メッキ液
や酸化物除去に用いる溶液を取り除くことが好ましい。
【0121】また、最終工程として、集電体406を乾
燥機407内で処理する。この工程は、乾燥工程での集
電体やメッキ層の酸化を防ぐために、真空下、或いはア
ルゴンガス、窒素ガスなど、酸化し難い雰囲気下で行う
ことが好ましい。
【0122】更には、金属スズ、もしくはスズ合金粒子
からなる層をプレスする工程を設けることが好ましい
(図示せず)。プレス工程により、主成分が金属スズ、
もしくはスズ合金から構成される層の厚さの均一化、密
度、空隙率、表面の凹凸をより精度良く制御することが
できる。
【0123】〔金属スズ、もしくはスズ合金を主材とし
た層の性能〕以上のようにして得られた金属スズ、もし
くはスズ合金粒子を主材とした層(電極材料層)を有す
る電極構造体を、二次電池、特にリチウム二次電池の負
極して用いた場合、初期充放電、少なくとも1〜3サイ
クルの充放電反応を経ても電極材料層には亀裂が生じな
い。
【0124】尚、本発明では、電極材料層における“亀
裂”として、走査型電子顕微鏡(SEM)での層表面の観察
において、溝の幅が1μm以上である亀の甲状に生じた
ものとする。
【0125】図9(a)と(b)に、充放電時に、電極
構造体(負極)において電極材料層に亀裂が発生しない
場合と、発生する場合の想定したメカニズムを模式的に
示す。図9において、電極構造体10は、図1に示すも
のと基本的には同様の構造であり、同図では、主材とな
る粒子101は、金属スズ、もしくはスズ合金粒子から
なる。ここで、当該電極構造体は、リチウム二次電池の
負極として用いられ、リチウムをインターカレートした
正極(図示せず)と対向している。
【0126】図9(a)及び(b)は、主材の金属ス
ズ、もしくはスズ合金粒子101の平均粒径が比較的大
きく層102内で最適な大きさで空隙111が形成され
ている場合の例であり、同図(c)及び(d)は主材の
金属スズ、もしくはスズ合金粒子101の平均粒径が比
較的小さく且つ粒子101が緻密に充填されており層1
02内での空隙112の領域が極めて小さい場合の例で
あり、(a)及び(c)が充電前の電極の状態、(b)
及び(d)が充電後の状態を示す。
【0127】充電時には、電解質もしくは電解液中から
リチウムイオンが、層102内の粒子101に取り込ま
れ、粒子101の体積が大きくなり、層102の体積が
膨張する。
【0128】ここで、(a)の場合には、空隙111に
より充電による粒子101の体積変化が充分に緩和さ
れ、層102全体での歪みは低減でき、亀裂は発生しな
い。一方、(b)の場合では、粒子101が緻密に詰ま
っており、層102内の空隙111が小さく、空隙率が
小さくなり、充電による粒子101の体積変化に伴って
層102に歪みが生じ、亀裂112が生じる。亀裂が発
生すると、金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる層
が、集電体から剥がれたり、更に充放電サイクルを繰り
返すと微粉化するために、電極のインピーダンスが上昇
し、電池サイクル寿命の低下を招く。
【0129】本発明の電極構造体では、集電体上の平均
粒径が0.5μm〜60μmの範囲の粒子を該層の35重
量%以上を占める主材として含有する層(第一の層)上
に、更に無機材料80〜98重量%及び有機高分子材料
2〜20重量%からなる第二の層を設けることが好まし
い。
【0130】図10に、上述した第一及び第二の層を有
する電極構造体の断面構造を模式的に示す。同図に示す
電極構造体11によれば、集電体100上に、前述した
図1に示す層102と同様の構成の平均粒径が0.5μ
m〜60μmの範囲の主材粒子の35重量%以上を含有す
る第一の層102'上に、更に無機材料113(80〜
98重量%)及び有機高分子材料114(2〜20重量
%)からなる第二の層112が設けられている。
【0131】上記電極構造体11では、より好ましく
は、第一の層102'の主材の20℃におけるバルク状
態の比抵抗を集電体100の材料の比抵抗より高くし、
且つ第二の層112の無機材料113の20℃における
バルク状態の比抵抗を、上記第一の層102'の主材の
20℃におけるバルク状態の比抵抗より高く設定、特に
好ましくは電極構造体を二次電池の負極に用いた際の充
電前の初期状態又は実質的な放電時(具体的には容量の
95%以上の電気量が放電された状態を設定したとき)
において、上記比抵抗の関係となるような第一層10
2'及び第二層112を設ける。
【0132】この場合、当該電極構造体11を、負極の
活物質がリチウムまたは亜鉛であるリチウム二次電池又
は亜鉛二次電池(リチウムまたは亜鉛の酸化還元反応を
利用した電池)の負極に用いた際、充電時には、上記第
二の層112を浸透するリチウムイオンまたは亜鉛イオ
ンが集電体に近い上記第一の層102'で還元され析出
が起き、さらに上記第二の層112の比抵抗が高いの
で、上記第一の層102'の活物質保持量を越えるまで
は、上記第二の層112に析出は起こらない。上記第二
の層112の比抵抗が低いとすると、充電時において第
一の層102'で活物質が析出し第二の層112に到達
した後、上記第二の層112に析出し始め、充放電の繰
り返しによって、上記第二の層112から充電時に析出
する活物質がデンドライト状に成長し、条件によっては
負極と正極間の内部短絡を引き起こす可能性が考えられ
る。このような理由から、上記電極構造体では、特に負
極活物質がリチウムまたは亜鉛の二次電池の負極とした
場合、充電時の活物質のデンドライト状の成長が抑制さ
れる。また、充電時に負極活物質が第一の層102'に
保持され、放電時に第一の層102'から負極活物質が
放出され、充放電の繰り返しで上記第一の層102'が
膨張収縮が繰り返され疲労のため破壊が起きたとして
も、第二層112が第一層102'の脱落を阻止するこ
とができる。その結果、サイクル寿命の長いリチウム二
次電池または亜鉛二次電池を実現することができる。
【0133】上記第一102'及び第二の層112を有
する電極構造体では、第二の層112を無機材料80〜
98重量%と有機高分子材料2〜20重量%からなる点
でも特徴的である、こうして、電極構造体を二次電池の
負極に適用した際の充放電時の負極の膨張収縮にも追随
でき、充放電の繰り返しによる材料疲労で第二の層11
2は破壊されることなく負極の第一の層102'を被覆
し続けることができる。
【0134】上記第二の層112の無機材料のバルクの
20℃の比抵抗は1×10-4〜1×102Ω・cmの範
囲とすることが好ましく、1×10-4〜1×101Ω・
cmの範囲とすることがより好ましい。前述の第一の層
の主材のバルクの20℃の比抵抗(電気抵抗率)の好ま
しい範囲(1×10-6〜1×100Ω・cm)を考慮し
て、第二の層の比抵抗を第一の層より高めることで、充
電時に活物質が負極第二層表面に析出するのが有効に抑
えられる。
【0135】当該第二の層112の厚みを好ましくは、
1μm以上30μm以下にすることによって、第一の層
102'の表面の凹凸を第二の層112で均一に被覆
し、充電時に上記負極における第一の層102'に保持
される活物質量を多くできるように確保し、体積当たり
の電池容量の大きな二次電池を作製することが可能にな
る。電池の容量をさらに増すためには、上記第二の層1
12の厚みを5μm以上20μm以下することがより好
ましい。
【0136】上記電極構造体では、リチウム二次電池も
しくは亜鉛二次電池の負極として適用された際に、特に
充電前において、上記第一の層102'の比抵抗が、集
電体100の材料の比抵抗の10倍以上であることが好
ましく、上記第二の層112の比抵抗が、上記第一の層
102'の比抵抗の10倍以上であることが好ましい。
この設定により、特にリチウム二次電池では、充放電に
伴うリチウムもしくは亜鉛のデンドライト析出が抑えら
れ、電池の寿命が向上する。
【0137】上記電極構造体の第二の層112を構成す
る無機材料としては、例えば、非晶質炭素や黒鉛などを
含めた炭素材料、金属酸化物、金属ホウ化物、金属窒化
物、金属炭化物、から選択される一種類以上の材料を用
いることができる。上記金属酸化物の例としては、酸化
インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、から選択される一種
類以上の金属酸化物が挙げられる。
【0138】上記電極構造体の第二の層112を構成す
る有機高分子材料としては、例えば、ポリエチレンやポ
リプロピレン等のポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデ
ンや手取れフルオロエチレンポリマー等のフッ素樹脂、
ポリオレフィン、セルロース等を用いることができる。
【0139】上記電極構造体の第二の層112は、例え
ば主材となる無機材料の主材80重量%以上98重量%
以下と結着剤となる有機高分子材2重量%以上20重量
%以下とを混合し上記有機高分子材の溶剤を添加した
後、ペースト状混合物を調製して前記集電体100上に
形成された第一の層102'の上にこのペーストを塗布
することで得ることができる。また、有機高分子材の溶
剤を添加することなく上記主材と第一の層102'で用
いたような導電補助材と有機高分子材を、集電体上に加
圧成形して、第一の層102'を形成することも可能で
ある。
【0140】以上述べてきたような電極構造体を電極と
して用い二次電池が形成される。特に本発明の二次電池
では、前述した電極構造体を、充電時にリチウムあるい
は亜鉛のようなデンドライト状に析出し易い材料の酸化
還元反応を利用する、高エネルギー密度の二次電池、す
なわちリチウム二次電池、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛
電池、臭素亜鉛電池、などの負極に適用することによっ
て、長寿命化を実現することが可能に成る。
【0141】本発明の二次電池の具体例を、図11を参
照して説明する。
【0142】図11は、本発明の二次電池の断面構成の
一例を示す模式図である。負極411及び正極412が
セパレータ及び電解質(電解液)413を介して対向配
置され、これら部材が電槽(電池ハウジング)414内
に収容されている。負極411及び正極412のいずれ
かにおいて、特にリチウム二次電池又は亜鉛二次電池で
は負極411に、前述した図1又は図10に示す構造の
電極構造体が適用される。負極端子415は負極411
に接続して外部に突出しており正極端子416は正極4
12に接続して外部に引き出されている。
【0143】次に、リチウム二次電池、亜鉛二次電池の
場合を例として、負極(図11の401)以外の部材の
態様について説明する。
【0144】〔正極〕本発明の二次電池における正極
(図11に示す412)は、集電体、正極活物質、導電
補助材、結着剤、などから構成されたものである。この
正極は、例えば、正極活物質、導電補助材、及び結着剤
などを混合したものを、集電体の表面上に成形して作製
される。
【0145】正極に使用する導電補助剤としては、黒
鉛、ケッチェンブラックやアセチレンブラックなどのカ
ーボンブラックと呼ばれる非晶質炭素、ニッケルなどの
金属微粉末などが挙げられる。正極に使用する結着剤と
しては、例えば、リチウム二次電池のように電解液が非
水溶媒系の場合には、ポリエチレンやポリプロピレンな
どのポリオレフィン、又はポリフッ化ビニリデンやテト
ラフルオロエチレンポリマーのようなフッ素樹脂が挙げ
られる。亜鉛二次電池のように電解液が水溶液系の場合
には、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース
類、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニールが挙げら
れる。
【0146】負極活物質としてリチウムを用いるリチウ
ム二次電池では、正極活物質をして、例えば、遷移金属
酸化物、遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属酸化物、
又はリチウム−遷移金属硫化物が用いられる。かかる遷
移金属酸化物や遷移金属硫化物の遷移金属元素として
は、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素で
あるところの、Sc,Y,ランタノイド,アクチノイ
ド,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,
W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,R
h,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げ
られる。特に、第一遷移系列金属であるTi,V,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cuが好適に用いられ
る。
【0147】負極活物質として亜鉛を用いるニッケル亜
鉛電池では、正極活物質として、好ましくは水酸化ニッ
ケルを用いる。
【0148】負極活物質として亜鉛を用いる空気亜鉛電
池では、正極活物質としては酸素を用いるが、正極部材
としては集電体と触媒と撥水材から構成されている。触
媒としては、例えば、多孔質炭素、多孔質ニッケル、酸
化銅、酸化ニッケルが用いられる。撥水材としては、多
孔質のテトラフルオロエチレンポリマーやポリフッ化ビ
ニリデンのようなフッ素樹脂が用いられる。
【0149】負極活物質として亜鉛を用いる亜鉛臭素電
池では、正極活物質としては臭素を用いる。
【0150】〔正極の集電体〕本発明における正極の集
電体(図11では明示せず)は、充電時の電極反応で消
費する電流を効率よく供給するあるいは放電時の発生す
る電流を集電する役目を担っている。したがって、正極
の集電体を形成する材料としては、電導度が高く、か
つ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい材質
としては、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタ
ン、アルミニウム、白金、金、パラジウムから選択され
る一種類以上の材料から成るが挙げられる。ただし、亜
鉛負極の二次電池では上記材料の内、アルミニウムがア
ルカリの電解液に溶解するのでそのままでは使用できな
いので、他の金属で被覆するか合金にして使用するのが
好ましい。集電体の形状としては、例えば、板状、箔
状、メッシュ状、スポンジ状、繊維状、パンチングメタ
ル、エキスパンドメタルなどの形状が採用できる。
【0151】〔セパレータ/図11に示す413〕本発
明の二次電池において用いるセパレータは、負極と正極
の短絡を防ぐ役割がある。また、電解液の保持する役割
を有する場合もある。
【0152】セパレータは、二次電池でのリチウムイオ
ンまたは水素イオンと水酸イオンが移動できる細孔を有
し、かつ、電解液に不溶で安定である必要がある。した
がって、セパレータとしては、例えば、ガラス、ポリプ
ロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、フッ素
樹脂、ポリアミドなどの材料であって、好ましくは不織
布あるいはミクロポア構造の形態で好適に用いられる。
また、微細孔を有する金属酸化物フィルム、又は金属酸
化物を複合化した樹脂フィルムも使用できる。特に、多
層化した構造を有する金属酸化物フィルムを使用した場
合には、デンドライトが貫通しにくいため、短絡防止に
効果がある。難燃材であるフッ素樹脂フィルム、又は、
不燃材であるガラス、若しくは金属酸化物フィルムを用
いた場合には、より安全性を高めることができる。
【0153】〔電解質/図11に示す413〕本発明に
おける電解質の使用法としては、次の3通りが挙げられ
る。 (1)そのままの状態で用いる方法。 (2)溶媒に溶解した溶液として用いる方法。 (3)溶液にポリマーなどのゲル化剤を添加することに
よって、固定化したものとして用いる方法。
【0154】一般的には、溶媒に電解質を溶かした電解
液を、多孔性のセパレータに保液させて使用する。
【0155】本発明で用いる電解質の導電率(イオン伝
導率)は、25℃における値として、好ましくは1×1
-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上であること
が必要である。
【0156】負極活物質がリチウムであるリチウム電池
では、 電解質としては、例えば、H2SO4、HCl、
HNO3などの酸、リチウムイオン(Li+)とルイス酸
イオン(BF4 -、PF6 -、ClO4 -、CF3SO3 -(P
h:フェニル基))から成る塩、およびこれらの混合
塩、が用いれられる。また、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、などの
陽イオンとルイス酸イオンからなる塩も使用できる。上
記塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素
を行っておくことが望ましい。
【0157】上記電解質の溶媒としては、例えば、アセ
トニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネイ
ト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒ
ドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエト
キシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼ
ン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、
ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオ
キシド、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシド
ノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、
塩化スルフリル、又は、これらの混合液が使用できる。
【0158】上記溶媒は、例えば、活性アルミナ、モレ
キュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱
水するか、溶媒によっては、不活性ガス中でアルカリ金
属共存下で蒸留して不純物除去と脱水をも行うのがよ
い。
【0159】負極活物質が亜鉛であるニッケル亜鉛電池
や空気亜鉛電池では、例えば、アルカリ(水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなど)が使用さ
れる。負極活物質が亜鉛である臭素亜鉛電池では、臭化
亜鉛などの塩が使用される。亜鉛二次電池の上記電解質
の溶媒には、水を使用する。
【0160】電解液の漏洩を防止するために、電解質を
ゲル化することが好ましい。ゲル化剤としては電解液の
溶媒を吸収して膨潤するようなポリマーを用いるのが望
ましい。このようなポリマーとしては、例えば、ポリエ
チレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ルアミドなどのポリマーや、デンプンが用いられる。
【0161】〔電池の形状と構造〕本発明の二次電池の
具体的な形状としては、例えば、扁平形、円筒形、直方
体形、シート形などがある。又、電池の構造としては、
例えば、単層式、多層式、スパイラル式などがある。そ
の中でも、スパイラル式円筒形の電池は、負極と正極の
間にセパレータを挟んで巻くことによって、電極面積を
大きくすることができ、充放電時に大電流を流すことが
できるという特徴を有する。また、直方体形やシート形
の電池は、複数の電池を収納して構成する機器の収納ス
ペースを有効に利用することができる特徴を有する。
【0162】以下では、図12、図13、図14を参照
して、電池の形状と構造についてより詳細な説明を行
う。図12は単層式扁平形(コイン形)電池の断面図で
あり、図13はスパイラル式円筒型電池の断面図を、図
14は直方体形電池の断面構造を表している。これらの
リチウム電池の基本的には図11と同様な構成で、負
極、正極、電解質・セパレータ、電池ハウジング、出力
端子を有する。
【0163】図12、図13、図14において、501
と603と701は負極、503と606と703は正
極、505と608と705は負極端子(負極キャップ
または負極缶)、506と609と706は正極端子
(正極缶または正極キャップ)、507と607と70
7はセパレータ・電解液、510と610はガスケッ
ト、601と700は負極集電体、604は正極集電
体、611は絶縁板、612は負極リード、613は正
極リード、614と714は安全弁で、709は電池ハ
ウジング(電槽)である。
【0164】図12に示す扁平型(コイン型)の二次電
池では、正極材料層を含む正極503と負極材料層を備
えた負極501が少なくとも電解液を保持したセパレー
タ507を介して積層されており、この積層体が正極端
子としての正極缶506内に正極側から収容され、負極
側が負極端子としての負極キャップ505により被覆さ
れている。そして正極缶内の他の部分にはガスケット5
10が配置されている。
【0165】図13に示すスパイラル式円筒型の二次電
池では、正極集電体604上に形成された正極(材料)
層605を有する正極と、負極集電体601上に形成さ
れた負極(材料)層602を有した負極603が、少な
くとも電解液を保持したセパレーター607を介して対
向し、多重に巻回された円筒状構造の積層体を形成して
いる。当該円筒状構造の積層体が、負極端子としての負
極606内に収容されている。また、当該負極缶606
の開口部側には正極端子としての正極キャップ609が
設けられており、負極缶内の他の部分においてガスケッ
ト610が配置されている。円筒状構造の電極の積層体
は絶縁板611を介して正極キャップ側と隔てられてい
る。正極606については正極リード613を介して正
極キャップ609に接続されている。又負極603につ
いては負極リード612を介して負極缶608と接続さ
れている。正極キャップ側には電池内部の内圧を調整す
るための安全弁614が設けられている。
【0166】以下では、図12や図13に示した電池の
組み立て方法の一例を説明する。 (1)負極層(501、601)と成形した正極層(5
03、603)の間に、セパレータ(507、607)
を挟んで、正極缶(506)又は負極缶(608)に組
み込む。 (2)電解質を注入した後、負極キャップ(505)、
正極キャップ(609)とガスケット(510、61
0)を組み立てる。 (3)上記(2)を、かしめることによって、電池は完
成する。
【0167】尚、上述した二次電池の材料調製、および
電池の組立は、リチウム二次電池の場合、水分が十分除
去された乾燥空気中、又は乾燥不活性ガス中で行うのが
望ましい。
【0168】図14の直方体電池の例では、負極701
/電解液を含有したセパレーター707/正極703か
らなる単位セルをセパレーターを介して複数個重ね、並
列接続されており、これらが電池ケース709(電槽)
内に収容されている、負極701は負極端子705に、
正極703は正極端子706に接続されている、また当
該二次電池には後述するような安全弁714が設けられ
ている。
【0169】以下では、図14に示した電池の組み立て
方法の一例を説明する。 (1)負極701とセパレーター707と正極703か
らなる単位セルをセパレーターを介して複数個重ね集電
体を通じて並列接続した後、電槽709に組み込む。 (2)負極端子705、正極端子706、集電体402
を接続した後、電解質を注入する。 (3)電槽709の蓋を施し密閉することで電池を完成
する。
【0170】上述した二次電池の例における部材の態様
について説明する。
【0171】(ガスケット)ガスケット(510、61
0)の材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリスルフォン樹脂、各種ゴムが使用できる。電
池の封口方法としては、図12と図13のようにガスケ
ットを用いた「かしめ」以外にも、ガラス封管、接着
剤、溶接、半田付けなどの方法が用いられる。
【0172】また、図13の絶縁板(611)の材料と
しては、各種有機樹脂材料やセラミックスが用いられ
る。
【0173】(電池ハウジング/正極缶、負極缶、正極
キャップ、負極キャップ)本発明の二次電池で各部材を
収容する電池ハウジングは、図12及び図13に示す例
では、電池の各電極端子と正極缶及び負極キャップ、負
極缶及び正極キャップ等を兼用する。
【0174】図12に示す例では正極缶506及び負極
キャップ505が、図13に示す例では、負極缶608
及び正極キャップ609が、夫々出入力端子を兼ねる電
池ハウジングとなる。出入力端子を兼ねる電池ハウジン
グの材料としては、ステンレススチールが好適に用いら
れる。特に、チタンクラッドステンレス板や銅クラッド
ステンレス板、ニッケルメッキ鋼板などが多用される。
【0175】特に図12に示す例では正極缶506、図
13に示す例では負極缶608が電池ハウジングを兼ね
ているため、上記のステンレススチールが好ましい。
【0176】一方、図14に示す例のように電池ハウジ
ングが正極缶ないし負極缶を兼用しない場合(電極端子
を兼用しない場合)には、電池ハウジングの材質として
は、ステンレススチール以外にも亜鉛などの金属、ポリ
プロピレンなどのプラスチック、又は金属若しくはガラ
ス繊維とプラスチックの複合材が挙げられる。
【0177】(安全弁)本発明の二次電池には、電池の
内圧が高まった時の安全対策として、安全弁(図13に
示す例では614、図14に示す例では714)が設け
られることが好ましい。安全弁としては、例えば、ゴ
ム、スプリング、金属ボール、破裂箔などが使用でき
る。
【0178】尚、上述してきたような電極構造体及び電
池の材料、部材について、リチウム二次電池に用いるも
のについては、脱水を充分に行なったものを使用するこ
とが好ましい。これら部材により電極構造体、電池を作
製する段階についても十分に水分を除去した雰囲気下で
行うことが好ましい。また、各種材料の取り扱いに使用
する溶媒の脱水は重要である。使用する溶媒の脱水反応
としては、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシー
ブ、五酸化リン、塩化カルシウム等を用いて脱水する方
法を採用することができる。また、溶媒の種類によって
は、不活性ガス中で、アルカリ金属共存下で蒸留するこ
とにより、不純物除去とともに脱水を行うことも可能で
ある。
【0179】一方、亜鉛二次電池の作製の場合では、上
記材料、部材の脱水については、特に必要はない。
【0180】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0181】〔実施例1〕図1に示す断面構造の電極構
造体を、以下の手順で作製した。
【0182】集電体100として厚み18μmの銅箔を
とし、アセトン、及びイソプロピルアルコール中で脱脂
洗浄した後に、乾燥した。
【0183】上記の集電体100をカソード、スズ板を
アノードとし、カソードとアノード間を6cmとし、下記
組成の電解液中、液温25℃で、攪拌を行いながら、カ
ソードとアノード間に直流電界を印加して、カソード電
流密度を、10mA/cm2とし、20C/cm2通電して、金属
スズから構成される層102を形成した。なお、この時
のカソードとアノード間の電圧は1Vであった。
【0184】電解液組成 硫酸第1スズ 40g/l 硫酸 60g/l ゼラチン 2g/l 溶媒は水を用いた。
【0185】水洗した後に、60g/l、Na3PO4・12H
2Oを溶解した水溶液中で、60℃の液温で、60秒
間、処理した後に、水洗し、150℃で減圧乾燥し電極
構造体を完成した。
【0186】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、30μm
であった。
【0187】図17〜20は、作製した電極構造体表
面、即ち金属スズから構成される層102のSEM写真
である(図17は倍率200倍、図18は倍率1000
倍、図19は倍率3000倍、図20は倍率20000
倍)。これらの顕微鏡写真によれば、本実施例の電極構
造体では、平均粒径25μm程度のスズ粒子が均一に形
成されていることがわかった。
【0188】〔実施例2〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0189】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液中のゼラチン量を2g/lから20g/lに変更した点
を除いて、実施例1と同様にして電極構造体を作製し
た。
【0190】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、20μm
であった。
【0191】〔実施例3〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0192】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液を、下記組成の市販の無光沢スズメッキ液(商品
名:リードSB)に変更した点を除いて、実施例1と同様
にして電極構造体を作製した。
【0193】電解液組成 リードSコンク 55ml/l リードSB 30ml/l リードアシッド 180ml/l 溶媒は水を用いた。
【0194】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、18μm
であった。
【0195】〔実施例4〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0196】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液を、下記組成のピロリン酸すず電解液を用いて、
カソード電流密度を、5mA/cm2として電解メッキを行
い、これらを変更した点を除いて、実施例1と同様にし
て電極構造体を作製した。
【0197】ピロリン酸すず電解液組成 硫酸第1スズ 10g/l ピロリン酸カリウム 40g/l ポリエチレングリコール4000 1g/l ホルマリン 0.3ml/l 溶媒は水を用いた。
【0198】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、15μm
であった。
【0199】〔実施例5〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0200】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液を、下記組成の電解還元重合するモノマーである
4-ビニルピリジンを含む電解液に変更した点を除いて、
実施例1と同様にして電極構造体を作製した。
【0201】電解液組成 硫酸第1スズ 40g/l 硫酸 60g/l 4-ビニルピリジン 10ml/l 溶媒は水を用いた。
【0202】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、50μm
であった。
【0203】〔実施例6〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0204】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液を、下記組成の電解酸化重合するモノマーである
アニリンとフランを含む電解液に変更し、交流パルス電
界を用いて、金属スズから構成される層102を形成し
た。
【0205】尚、パルス電界は、集電体100側の電流密
度が10mA/cm2、交流パルス幅がt(還元)/t(酸
化)=1/3(t:集電体上での時間)の条件で、集電
体側のカソード電気量が20C/cm2まで通電して、金属
スズから構成される層102を形成した。他の条件は、
実施例1と同様にした。
【0206】電解液組成 硫酸第1スズ 40g/l 硫酸 60g/l アニリン 5ml/l フラン 5ml/l 溶媒は、水とエタノールの1:1(体積比)混合液
【0207】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、30μm
であった。
【0208】〔実施例7〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0209】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液を、下記組成のカーボン粉末(グラファイト化メ
ソフェーズ小球体)と界面活性剤(ペルフルオロヘキサ
ン酸)を含む電解液に変更した点を除いて、実施例1と
同様にして電極構造体を作製した。
【0210】電解液組成 硫酸第1スズ 40g/l 硫酸 60g/l ゼラチン 2g/l カーボン粉末 20g/l 界面活性剤 0.5ml/l 溶媒は水を用いた。
【0211】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、40μm
であった。
【0212】〔実施例8〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0213】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液として下記組成の電解液を用いて液温45℃で、
電解メッキを行ってスズ-銀合金から構成される層10
2を形成した。その他の条件は実施例1と同様にした。
【0214】電解液組成 K4P2O7 0.54mol/l KI 2.0mol/l SnCl2・2H2O 0.195mol/l AgCl 0.005mol/l 溶媒は水を用いた。
【0215】マイクロメーターで測定したスズ合金から
構成される層102の厚みは、28μmであった。ま
た、X線マイクロアナライザー(XMA)で測定したSnとAg
の元素比率は、Sn:Ag=7:3であった。
【0216】〔実施例9〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0217】実施例1の電極構造体の作製手順におい
て、下記組成の電解液を用いて電解メッキを行って、ス
ズ-アンチモン合金から構成される層102を形成し
た。その他の点は実施例1と同様にして電極構造体を作
製した。
【0218】電解液組成 ほうふっ化第1すず(%) 100 /l ほうふっ化アンチモン(%) 30 /l ほうふっ化水素酸(%) 50 /l ほう酸 25g/l ハイドロキノン 0.2g/l 溶媒は水を用いた。
【0219】得られたスズ合金から構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、17μm
であった。また、X線マイクロアナライザー(XMA)で測
定したSnとSbの元素比率は、Sn:Sb=8:2であった。
【0220】〔実施例10〕本例では、図1に示す構造
の電極構造体を作製した。
【0221】実施例1の電極構造体の作製手順におい
て、下記組成の溶液中で、液温70℃で、10分間処理
して、集電体100上に、金属スズから構成される層1
02を形成した。その他の点は実施例1と同様にして電
極構造体を作製した。
【0222】 化学すずメッキ溶液組成 クエン酸ナトリウム 0.34mol/l エチレンジアミン4酢酸ナトリウム 0.04mol/l 塩化スズ 0.04mol/l 三塩化チタン 0.029mol/l 酢酸ナトリウム 0.12mol/l ベンゼンスルフォン酸 0.32g/l pH 9 溶媒は水を用いた。
【0223】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ、15μm
であった。
【0224】〔実施例11〕本例では、図1に示す断面
構造の電極構造体を作製した。
【0225】実施例1の電極構造体の作製手順における
電解液中の硫酸量を60g/lから20g/lに変更した以外
は実施例1と同様にして電極構造体を作製した。マイク
ロメーターで測定した金属スズから構成される層102
の厚みは、33μmであった。
【0226】〔実施例12〕本例では、図1に示す断面
構造の電極構造体を作製した。
【0227】実施例1の電極構造体の作製手順におい
て、下記組成の電解液を用いて電解めっきを行って、ス
ズ-インジウム合金から構成される層102を形成し
た。
【0228】その他の点は実施例1と同様にして電極構
造体を作製した。マイクロメーターで測定したスズ-イ
ンジウムから構成される層102の厚みは、28μmで
あった。また、X線マイクロアナライザー(XMA)で測定
したSnとInの元素比率は、Sn:In=9:1であった。
【0229】電解液組成 硫酸スズ 40g/l 硫酸インジウム(III)(n水和物) 20g/l 硫酸 60g/l ゼラチン 2g/l 溶媒は水を用いた。
【0230】〔実施例13〕本例では、スズ粉末を用い
て、以下の手順で図1に示す構造の電極構造体を作製し
た。
【0231】スズ粉末(600メッシュ以下、 純度9
9.7%)とアセチレンブラック3重量%と結着剤のカ
ルボキシメチルセルロース2重量%を混合し、水と共に
混練して得たペーストを、コーターを用いて厚み18μ
mの銅箔上に塗布、乾燥して、スズ粉末から構成される
電極材料層102を50μmの厚みに形成し、150℃
で減圧乾燥して電極構造体を完成した。
【0232】〔実施例14〕本例では、スズ粉末を用い
て、以下の手順で図1に示す構造の電極構造体を作製し
た。
【0233】スズ粉末(600メッシュ以下、 純度9
9.7%)75重量%とグラファイト20重量%アセチ
レンブラック3重量%と結着剤のカルボキシメチルセル
ロース2重量%を混合し、水と共に混練して得たペース
トを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、
乾燥して、スズ粉末から構成される電極材料層を50μ
mの厚みに形成し、150℃で減圧乾燥して電極構造体
を完成した。
【0234】〔実施例15〕本例では、シリコン粉末と
スズ粉末とインジウム粉末を用いて、以下の手順で図1
に示す構造の電極構造体を作製した。
【0235】シリコン粉末とスズ粉末とインジウム粉末
を用いて、以下の手順で作製した。
【0236】ふっ酸により表面の酸化物除去したシリコ
ン粉末(平均粒径5μm、 純度98%)30重量%と
スズ粉末(600メッシュ以下、 純度99.7%)50
重量%とインジウム粉末(325メッシュ以下、 純度
99.9%)15重量%とアセチレンブラック3重量%
と結着剤のカルボキシメチルセルロース2重量%を混合
し、水と共に混練して得たペーストを、コーターを用い
て厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥して、シリコン、
スズ、インジウムからなる電極材料層を50μmの厚み
に形成し、150℃で減圧乾燥して電極構造体を完成し
た。
【0237】〔実施例16〕本例では、図1に示す断面
構造の電極構造体を作製した。
【0238】実施例1の電極構造体の作製手順におい
て、下記組成の電解液を用い電解めっきを行うことを除
いて実施例1と同様にして、インジウムから構成される
電極材料層102を形成した。
【0239】マイクロメーターで測定した金属インジウ
ムから構成される層102の厚みは、30μmであっ
た。
【0240】電解液組成 硫酸インジウム(III)(n水和物) 20g/l 硫酸 60g/l ゼラチン 2g/l 溶媒は水を用いた。
【0241】〔参考例1〕金属スズ箔(高純度化学製:
厚さ100μm)を電極構造体とした。
【0242】〔参考例2〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0243】実施例1の負極の作製手順において、ゼラ
チンを添加しなかった点を除いて、実施例1と同様にし
て電極構造体を作製した。
【0244】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ80μmで
あった。
【0245】〔参考例3〕本例では、図1に示す断面構
造の電極構造体を作製した。
【0246】実施例1の負極の作製手順において、電解
液を、下記組成の市販の光沢剤(ティングローコーモス
ターターコンク)を加えた電解液に変更した点を除い
て、実施例1と同様にして電極構造体を作製した。
【0247】電解液組成 硫酸第1すず 40g/l 硫酸 60g/l ティングローコーモスターターコンク 40ml/l 溶媒は水を用いた。
【0248】得られた金属スズから構成される層102
の厚みをマイクロメーターで測定したところ15μmで
あった。
【0249】〔参考例4〕スズ粉末を用いて、以下の手
順で電極構造体を作製した。
【0250】スズ粉末(高純度化学研究所製アトマイズ
粉)と結着剤のポリフッ化ビニリデン10重量%を混合
し、N−メチル−2−ピロリドンと共に混練して得たペ
ーストを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗
布、乾燥して、スズ粉末層を80μmの厚み形成し、1
50℃で減圧乾燥して負極を作製した。
【0251】〔電極構造体の分析〕以下の分析を行っ
た。
【0252】密度 実施例1〜16、及び参考例1〜4で作製した電極構造
体のマイクロメーターで測定した電極材料の層の厚み
と、測定した重量からスズ、或いはスズ合金層の密度を
計算した。
【0253】空隙率 実施例1〜16及び参考例1〜4で作製した電極構造体
の層102の空隙率を求めた。空隙率は、層の密度が、
主材金属の密度(a g/cm3)の時を0とし、(a−層の密
度)/aより求めた値とした。例えば、スズが主材の場合
は、金属スズの密度(7.29 g/cm3)の時を0とし、
(7.29−層の密度)/7.29より求めた値とし
た。また、合金が主材の場合合金組成によって、あるい
は複数種の金属材料粉末を用いる場合複数種の金属粉末
の比率によって主材密度を決定し、上記式より空隙率を
求める。
【0254】平均粒子径 実施例1〜16、及び参考例2〜4で作製した電極構造
体の層102について、走査型電子顕微鏡(SEM)によ
る観察結果からスズ、或いはスズ合金の平均粒子径を調
べた。
【0255】表面の凹凸の山と谷の高さ 実施例1〜16、及び参考例1〜4で作製した電極構造体
の層102の表面を、α-STEPで測定して(直径5μmの
針をL=400μmの間隔スイープ)、当該表面の凹凸
の山と谷の高さ(表面粗さ)を求めた。ここで、表面粗
さは、その時の最大の高さから最小高さを差し引いた値
とした。
【0256】X線回折 実施例1〜4、11、及び参考例1〜2、4で作製した
電極構造体においては、線源にCuKαを用いたX線回折
(XRD)測定を行った。
【0257】図16は、実施例1〜4、11、及び参考
例1〜3で作製した電極材料層のXRD回折ピークであ
る。図16より、実施例1〜3は、ミラー指数が(20
0)面(2θ=30.6°±1.0°)に配向性を有し
ており、実施例4は、ミラー指数が(101)面(2θ
=32.0°±1.0°)とミラー指数が(112)面
(2θ=62.5°±1.0°)に配向性を有してお
り、実施例11は、ミラー指数が(200)面とミラー
指数(101)面とミラー指数(211)面(2θ=4
4.9°±1.0°)に配向性を有しているが、参考例
1〜2、4は配向性を有していないことがわかった。
【0258】また、前述したScherrerの式を用いて、実
施例1〜4、及び参考例1〜2で作製した電極構造体の層
102における材料の結晶子の大きさを求めた。
【0259】下記表1は、上述したような実施例1〜1
6、及び参考例1〜4で作製した電極構造体における上
記分析結果についてまとめたものである。
【0260】
【表1】
【0261】表1より、実施例1〜16で作製した電極
構造体の層102では、本発明において好ましい範囲と
して規定した空隙率(0.10〜0.86)、密度
(1.00g/cm3〜6.56g/cm3)を有しており、且
つ、本発明において好ましい範囲として規定した平均粒
径(0.5μm〜60μm )を有しており、且つ、本
発明において好ましい範囲として規定した表面粗さ(1
μm〜60μm )を有していることがわかった。
【0262】また、特に実施例1〜4及び実施例11の
電極構造体の層102では、結晶子の大きさが10〜5
0nmの範囲であることがわかった。
【0263】更に、実施例1〜4の電極構造体の層10
2では、配向性に関してXRDピークにおける最も強度
の強い第一ピークと第二ピークの強度比I(第一ピーク)/
I(第二ピーク)が2倍以上であった。
【0264】元素分析 実施例1〜2と実施例5〜7及び参考例2で作製した電
極構造体の層102について、X線光電子分光法(XPS:
X-ray photoelectron spectroscopy)により、各元素比
率を求めた。
【0265】下記表2は、実施例1〜2と実施例5〜
7、参考例2で作製した電極構造体における層102の
各元素比率をまとめたものである。
【0266】
【表2】
【0267】表2より、メッキ電解液中に、ゼラチン
(実施例1と2)や電解重合可能な有機物(実施例5と
6)と参考例2で作製した電極構造体の分析結果より、
Sn元素以外に、CとN元素の割合が増加していることが認
められる。これらの元素は、添加した有機物の構造に含
まれるており、メッキ時に取り込まれたと思われる。
【0268】また、実施例5〜7の電極構造体の分析結
果から、電解重合可能な4-ビニルピリジンやアニリンと
フラン、もしくはカーボンを添加することで、Cの割合
が増加することがわかった。
【0269】更に、表3は、実施例1〜2で作製した電
極構造体表面をアルゴンガスで30分間エッチングした
後のXPS測定より求めた各元素比率をまとめたものであ
る。
【0270】
【表3】
【0271】表2と3より、実施例1〜2で作製した電
極構造体表面をアルゴンで30分間エッチングすることで
Sn元素に対するC、O、N元素の比率が低減することが
わかった。従って、実施例1〜2で作製した負極におい
ては、C、O、N元素が負極表面に多く存在することがわ
かった。
【0272】〔二次電池の作製〕 〔実施例17〕本例では、図13に示した断面構造のAA
サイズ(13.9mmφ×50mm)のリチウム二次電
池を作製した。以下では、図13を参照して、電池の各
構成物の作製手順と、電池の組み立てについて負極の作
製から説明する。
【0273】(1)負極603の作製手順 実施例1で作製した電極構造体を、所定の大きさに切断
し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接
続し、負極603を得た。
【0274】(2)正極606の作製手順 電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4
のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウ
ムーマンガン酸化物を調製した。 上記において調製したリチウムーマンガン酸化物
85wt%に、アセチレンブラックの炭素粉5wt%とポリフ
ッ化ビリニデン粉10wt%を混合した後、N-メチル-2-ピ
ロリドンを添加した。 上記で得られたペーストを、厚み20μmのアル
ミニウム箔(集電体604)に塗布乾燥した後、ロールプ
レスで加圧して150℃で減圧乾燥して正極活物質層の
厚み90μmの電極構造体を作製した。 次いで、で得られた電極構造体を所定の大きさに
切断し、アルミニウム線のリードをスポット溶接で上記
集電体に接続し、正極606を得た。
【0275】(3)電解液607の調製手順 十分に水分を除去したエチレンカーボネート(EC)と
ジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合した溶媒を
調製した。 上記で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム
塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用いた。
【0276】(4)セパレータ607 ポリエチレンの微孔セパレータを用いた。
【0277】(5)電池の組み立て 組み立ては、露点-50℃以下の水分を管理した乾燥雰
囲気下で全て行った。 負極603と正極606の間にセパレータ607を
挟み、セパレータ/正極/セパレータ/負極/セパレータの
構成になるようにうず巻き状に巻いて、チタンクラッド
のステンレススチール材の負極缶608に挿入した。 次いで、負極リード612を負極缶608の底部に
スポット溶接で接続した。負極缶の上部にネッキング装
置でくびれを形成し、ポリプロピレン製のガスケット6
10付の正極キャップ609に正極リード613をスポ
ット溶接機で溶接した。 次に、電解液を注入した後、正極キャップをかぶ
せ、かしめ機で正極キャップと負極缶をかしめて密閉し
電池を作製した。
【0278】尚、この電池は正極の容量を負極に比べて
大きくした正極容量規制の電池とした。
【0279】〔実施例18〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0280】負極に実施例2で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0281】〔実施例19〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0282】負極に実施例3で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0283】〔実施例20〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0284】負極に実施例4で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0285】〔実施例21〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0286】負極に実施例5で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0287】〔実施例22〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0288】負極に実施例6で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0289】〔実施例23〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0290】負極に実施例7で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0291】〔実施例24〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0292】負極に実施例8で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0293】〔実施例25〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0294】負極に実施例9で作製した電極構造体もの
を用いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池
を作製した。
【0295】〔実施例26〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0296】負極に実施例10で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0297】〔実施例27〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0298】負極に実施例11で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0299】〔実施例28〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0300】負極に実施例12で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0301】〔実施例29〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0302】負極に実施例13で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0303】〔実施例30〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0304】負極に実施例14で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例18と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0305】〔実施例31〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0306】負極に実施例15で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例19と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0307】〔実施例32〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0308】負極に実施例16で作製した電極構造体を
用いた点を除いて実施例20と同様の手順で二次電池を
作製した。
【0309】〔実施例33〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0310】実施例1の手順に加えて、更に以下の工程
を加えて作製した図10に示すような構造の電極構造体
を負極として用いた点を除いて実施例17と同様の手順
で電池を作製した。
【0311】球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビリニ
デン粉10重量%を混合し、N-メチル-2-ピロリドンを添
加し調製したペーストを、金属スズから構成される層1
02の上に、塗布、乾燥し、図10に示すように第一の
層102'上に第二の層112を10μmの厚み形成
し、150℃で減圧乾燥して作製した。
【0312】〔実施例34〕本例では、図6に示した断
面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0313】実施例1の手順に加えて、更に以下の工程
を加えて作製した図10に示すような構造の電極構造体
を負極として用いた点を除いて実施例17と同様の手順
で電池を作製した。
【0314】γ-ブチロラクトンにポリフッ化ビリニデ
ンを10重量%の濃度溶解し、オートクレーブ中、90
℃に加熱して、冷却することでゲル化した。このゲル中
に球状黒鉛粉をポリフッ化ビニリデン重量に対して9倍
量添加して調製したペーストを、金属スズから構成され
る層101の上に、塗布、乾燥後、プレスを行い第二の
層103を10μmの厚み形成し、150℃で減圧乾燥
して作製した。
【0315】〔参考例5〕本例では、図6に示した断面
構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0316】負極に参考例1で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0317】〔参考例6〕本例では、図6に示した断面
構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0318】負極に参考例2で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0319】〔参考例7〕本例では、図6に示した断面
構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0320】負極に参考例3で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0321】〔参考例8〕本例では、図6に示した断面
構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0322】負極に参考例4で作製した電極構造体を用
いた点を除いて実施例17と同様の手順で二次電池を作
製した。
【0323】〔参考例9〕本例では、図6に示した断面
構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
【0324】以下のように作製した負極を用いた点を除
いて実施例17と同様の手順で電池を作製した。すなわ
ち、負極以外は実施例17と同じものを用いた。
【0325】(負極の製造方法)カーボン(グラファイ
ト化メソフェーズ小球体、平均粒径6μm)90重量%
と結着剤のポリフッ化ビニリデン10重量%を混合し、
N−メチル−2−ピロリドンと共に混練して得たペース
トを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、
乾燥して、カーボン層を80μmの厚み形成し、150
℃で減圧乾燥して負極を作製した。
【0326】〔二次電池の性能評価〕実施例17〜34
および参考例5〜9で作製した二次電池の性能につい
て、下記条件の充放電サイクル試験にて評価した。
【0327】また、実施例17〜34および参考例5〜
9で作製した二次電池については、3サイクル放電状態
で試験を止めて、電池を解体して、負極を取り出し、負
極表面をSEMにより観察して、表面の亀裂の有無およ
び、細孔の有無も調べた。尚、負極の表面(電極材料層
の表面)における“亀裂”として、走査型電子顕微鏡(S
EM)での層表面の観察において、溝の幅が1μm以上であ
る亀の甲状に生じたものとする。
【0328】(充放電サイクル試験条件)充放電サイク
ル試験は、北斗電工製HJ−106Mを用い、その条件
としては、正極活物質量から計算される電気容量を基準
に0.5C(容量/時間の0.5倍の電流)の充放電、
20分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとて行
なった。この試験では、充電より開始し、3回目の放電
量を電池の容量とし、電池容量の60%を下回ったサイ
クル回数をサイクル寿命とした。充放電クーロン効率に
ついては3サイクル目の放電量から計算した。実施例1
7〜34、参考例5〜8の電池の場合は充電のカットオ
フ電圧4.5V、放電のカットオフ電圧2.8Vに設定した。
また、参考例9の電池の場合は充電のカットオフ電圧
4.5V、放電のカットオフ電圧2.5Vに設定した。
【0329】図21〜24に、実施例17で作製した電
池(実施例1の電極構造体を用いた電池)について3サ
イクル放電状態で試験を止めたものを解体し、負極の表
面(金属スズから構成される層の表面)を観察した電子
顕微鏡(SEM)写真を示す(図21は倍率200倍、
図22は倍率1000倍、図23は倍率3000倍、図
24は倍率20000倍)。これら図21〜24の顕微
鏡写真に示す負極表面の状態を、図17〜20の顕微鏡
写真に示される、充放電サイクル試験前で且つ未充電の
状態の同一の電極構造体の金属スズから構成される層の
表面状態と比較すると、充放電によっても、負極(電極
構造体)の表面に亀裂は観察されず、微細な細孔が形成
されているのが確認された。一方、図25〜26に、夫
々参考例3の電極構造体を使用した参考例7の二次電池
について、充放電サイクル試験前で且つ未充電の状態の
電極構造体の金属スズから構成される層の表面状態(即
ち参考例3での電極構造体作製時の表面状態)3サイク
ル放電状態で試験を止めたものを解体し、負極の表面
(金属スズから構成される層の表面)を観察した電子顕
微鏡(SEM)写真(いずれも倍率200倍)を示す。
これら図25及び26の顕微鏡写真によれば、充放電に
よっても、負極(電極構造体)の表面に亀裂が生じ金属
スズの一部が剥離しているている(図26の領域B)こ
とが認められる。同倍率の図17及び21の顕微鏡写真
と比較してもこの亀裂発生及び剥離状態は顕著である。
【0330】下記表4は、実施例17〜34、及び参考
例5〜9の電池の電池容量とサイクル寿命に関する性能
の評価結果、及び、実施例17〜34と参考例5〜7の
電池の3サイクル放電状態における負極表面の亀裂の有
無と細孔の有無をまとめて示したものである。
【0331】尚、電池容量とサイクル寿命に関する性能
の評価結果は、参考例9の電池の容量を1.0、また参
考例5のサイクル寿命を1として規格化した値とした。
【0332】
【表4】
【0333】表4に示す結果より、実施例17〜34で
作製した電池においては、3サイクル放電状態で、負極
表面に亀裂が発生せず、細孔を有していることがわかっ
た。これら電池における充放電サイクル寿命が、スズ箔
を用いた参考例5の電池よりも、22〜33倍長寿命化
できた。しかし、亀裂が発生した参考例7の電池のサイ
クル寿命は2倍程度であった。また、ゼラチンを使用し
ないで作製した参考例2の電極構造体を用いた参考例5
では亀裂の発生はなかったが電池容量が小さかった。
【0334】実施例17と実施例33の比較より、第二
の層を形成することで、寿命は、28から35へ向上し
た。
【0335】実施例17〜34の電池は、カーボンを負
極に用いた参考例9の電池よりも、1.5〜2.0倍の
高容量化が実現できた。しかし、参考例6の電池では、
容量は小さくなった。
【0336】図5に、上記実施例17〜34及び参考例
5〜9のいくつかに評価結果を基にした、負極(電極構
造体)の金属スズ粒子又はスズ合金粒子の平均粒径(表
1参照)と、充放電サイクル下での、電池寿命(サイク
ル寿命)、電池の充放電クーロン効率との関係を示す。
同図に示すように、平均粒径が0.5μmよりも小さい
場合には、充放電サイクル寿命が著しく低下する。これ
は、粒子径が小さいと、金属スズ、或いはスズ合金の密
度が大きくなり、層中の空隙が小さくなり、充放電サイ
クル時に、亀裂の発生して、集電体からの剥がれが起こ
るからと推定される。一方、平均粒径が60μmよりも
大きい場合にも、充放電クーロン効率が低下し寿命も低
下する。これは、粒子径が大きくなると、表面の凹凸が
大きくなり、凸部への電解が集中し、充電時にリチウム
のデンドライト成長が生じ易くなるためと推定される。
【0337】図6に、上記実施例17〜34及び参考例
5〜9のいくつかの評価結果を基にした、負極(電極構
造体)の金属スズ粒子又はスズ合金粒子からなる層の密
度及び空隙率(表1参照)と、充放電サイクル下での、
電池寿命(サイクル寿命)、電池容量との関係を示す。
同図に示すように電池寿命は、電極材料層の密度が、
6.56g/cm3よりも大きい、空隙率が0.10よりも
小さい場合には、電極材料層表面に亀裂が観察され、寿
命が著しく低下する。また、電極材料層の密度が1.0
0g/cm3よりも小さい、空隙率が0.86よりも小さい
場合には、炭素を負極として用いたリチウム二次電池と
同等のサイクル寿命及び電池容量の性能となる。更に空
隙率が0.31〜0.73の範囲の場合、最も良好なサ
イクル寿命及び電池容量が得られる。
【0338】この結果からも明らかなように、層の密度
が、1.00g/cm3以上6.56g/cm3以下のもの、空隙
率が、0.10以上0.86以下のもの、より好ましく
は空隙率が、0.31以上0.73以下のものを用いる
ことで、高容量、且つ長寿命の電池が実現できる。
【0339】(実施例35)本例では、図13に示した
断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
以下では、図13を参照して、電池の各構成物の作製手
順と、電池の組み立てについて負極の作製から説明す
る。
【0340】(1)負極603の作製手順 平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径20μmのスズ
粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、幅10μm厚み1μ
mのフレーク状銅粉を25:50:15:5の重量比で
遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉にポリ
フッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合
し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調
製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した集電体となる厚み18μmの
銅箔(集電体601)の両面に30μmの厚みに塗布し
乾燥し、第一の層を30μmの厚みで得た。 球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉1
0重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加し
ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、上記において調製
した第一の層の上に、塗布し乾燥し第二の層(厚さ10
μm)を形成した後、150℃で減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。
【0341】尚、上記で得られた集電体上の第一の層
と、第二の層について単独の比抵抗(体積抵抗)の値を
測定した。具体的には、図15に示すようにガラス基板
上800に、Cr/Ag/Crの3層構造(厚み:10
0ナノメートル/200ナノメートル/100ナノメー
トル程度)のギャップが250μm程度の電極(ギャッ
プ電極)801を形成し、その上に、集電体層、第一の
層あるいは第二の層802を単独で形成し(層厚は実施
例と同様)た。この層に対し上記電極間に印加電圧と電
流の関係がオーミックと成る(電流が印加電圧に比例す
る関係)の領域で直流電源803を用いて直流電流を流
し、電流計804での測定値をもとに抵抗を計測し、層
の厚みと電極ギャップの値から計算して比抵抗を算出し
た。この結果、第一の層に対比して第二の層の比抵抗が
大きくなり、またいずれの層も集電体より大きな比抵抗
となった。
【0342】(2)正極606の作製手順 電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4
のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウ
ム−マンガン酸化物を調製した。 上記において調製したリチウム−マンガン酸化物
85wt%に、アセチレンブラックの炭素粉5wt%と
ポリフッ化ビニリデン粉10wt%を混合した後、N−
メチル−2−ピロリドンを添加した。 上記で得られたペーストを、厚み20μmのアル
ミニウム箔(集電体604)に塗布乾燥した後、ロール
プレスで加圧して150℃で減圧乾燥して正極活物質層
の厚みを90μmとした。 次いで、所定の大きさに切断し、アルミニウム線の
リードをスポット溶接で上記集電体に接続し、正極60
6を得た。
【0343】(3)電解液607の調製 十分に水分を除去したエチレンカーボネート(E
C)とジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合
した溶媒を調製した。 上記で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム
塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用
いた。
【0344】(4)セパレータ607 ポリエチレンの微孔セパレータを用いた。
【0345】(5)電池の組み立て 組み立ては、露点−50℃以下の水分を管理した乾燥雰
囲気下で全て行った。 負極603と正極606の間にセパレータ607を
挟み、セパレータ/正極/セパレータ/負極/セパレー
タの構成になるようにうず巻き状に巻いて、チタンクラ
ッドのステンレススチール材の負極缶608に挿入し
た。 次いで、負極リード612を負極缶608の底部に
スポット溶接で接続した。負極缶の上部にネッキング装
置でくびれを形成し、ポリプロピレン製のガスケット6
10付の正極キャップ609に正極リード613をスポ
ット溶接機で溶接した。 次に、負極缶に電解液を注入した後、正極キャップ
をかぶせ、かしめ機で正極キャップと負極缶をかしめて
密閉し電池を得た。 なお、この電池は正極の容量を負極に比べて大きくした
電池とした。
【0346】(実施例36)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。実施例35の
(1)負極402の作製手順のにおいて、幅10μm
厚み1μmのフレーク状銅粉に替えて平均粒径10μm
の球状銅粉を使用して負極を作製した点を除いて実施例
35と同様の手順で電池を得た。
【0347】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0348】(実施例37)本例では、図13に示した
断面構図のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて、実施例35と
同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例
35と同じものを用いた。
【0349】以下では、図13を参照して、電池の負極
作製手順について説明する。
【0350】(1)負極603の作製手順 平均粒径20μmのスズ粉、平均粒径5μmの球状
黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッケル
粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合
した後、水素ガス気流中150℃で還元処理を行い、得
られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で9
5:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを
添加しペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)の両面に塗布し乾燥した後、第一の層を厚さ3
0μmで得た。 球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉1
0重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加し
ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、上記において調製
した第一の層の上に、塗布し乾燥し第二の層を10μm
の厚みで形成した後、減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例22と同様にして、二次電池を得た。
【0351】尚、本実施例で作製する負極の集電体(銅
箔)、第一の層、第二の層について、実施例35と同様
に単層での比抵抗を求めたところ、集電体に比較して第
一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層
の比抵抗が大きい関係となった。
【0352】(実施例38)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて、実施例35と
同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例
35と同じものを用いた。
【0353】以下では、図13を参照して、電池の負極
作製手順について説明する。
【0354】(1)負極603の作製手順 フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの水溶液に浸漬
し、珪素粉の表面酸化膜を除去した平均粒径3μmの珪
素粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μ
mのフィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重量
比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉に
ポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混
合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを
調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)の両面に、塗布し乾燥して30μmの厚みの負
極第一層を形成した。 さらに90wt(重量)%の黒鉛粉と10wt%ポ
リフッ化ビニリデン粉を混合しN−メチル−2−ピロリ
ドンを添加し調製したペーストを、上記で得られた第
一の層の上に10μmの厚みに成るように塗布し乾燥し
て第二層を形成した後、150℃で減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極を得た。 他の点は実施例35と同様にして二次電池を得た。
【0355】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0356】(実施例39)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて実施例35と同
様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例3
5と同じものを用いた。
【0357】以下では、図13を参照して、電池の負極
作製手順について説明する。
【0358】(1)負極603の作製手順 平均粒径20μmのスズ粉を三塩化ビスマスと塩化
銅の水溶液に浸漬して、イオン化傾向の違いを利用して
スズ粉のスズの一部を銅とビスマスに置換した。なお、
得られたスズ粉を酸に溶解してプラズマ発光分析で分析
した結果、ビスマスと銅の含有量は10原子%程度であ
った。 上記で得られた置換処理を施したスズ粉、球状黒
鉛粉、フィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重
量比で遊星ボールミルにて混合した後、水素ガス気流中
150℃で還元処理を行い、得られた混合粉にポリフッ
化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N
−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製し
た。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)の両面に塗布し乾燥し、第一の層を30μmの
厚みで形成した。 球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉1
0重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加し
ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、上記において調製
した第一の層の上に、10μmの厚みに塗布し乾燥し第
二の層を形成した後、減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例35と同様にして二次電池を得た。
【0359】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0360】(実施例40)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて実施例22と同
様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例3
5と同じものを用いた。
【0361】以下では、図13を参照して電池の負極作
製手順について説明する。
【0362】(1)負極603の作製手順 平均粒径3μmの純度98%の珪素粉をフッ化水素
酸とフッ化アンモニウムの水溶液に浸漬し、珪素粉の表
面酸化膜を除去した後、スズイオンを含むスズコロイド
を付着させた後スズをパラジウムと置換し、珪素表面の
パラジウムを触媒に還元反応により無電解で珪素表面に
銅や銀を被覆することができる。化学還元反応を利用し
た無電解メッキ、酒石酸カリウム・ナトリウム銅錯体と
還元剤のホルムアルデヒドを含有したアルカリ性溶液に
浸漬し、加温し銅での被覆処理を施した。さらに、15
0℃で水素気流中で熱処理して、銅表面の酸化物を還元
して、銅で被覆された珪素粉を調製した。 上記において調製した銅被覆珪素粉、平均粒径5
μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmフィラメント状
ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミル
にて混合した後、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデ
ン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−
2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)に、30μmの厚みに塗布し乾燥し負極の第一
の層を得た。 さらに90wt(重量)%の黒鉛粉と10wt%ポ
リフッ化ビニリデン粉を混合しN−メチル−2−ピロリ
ドンを添加し調製したペーストを塗布し乾燥して厚み1
0μmの第二の層を得て、150℃で減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例35と同様にして二次電池を得た。
【0363】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について実施例35と同様に単層
で比抵抗を測定したところ、集電体に比較して第一層の
比抵抗が大きく、第一の層と比較して第二の層の比抵抗
が大きい関係となった。
【0364】(実施例41)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて実施例35と同
様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例2
2と同じものを用いた。
【0365】以下では、図13を参照して、電池の負極
作製手順について説明する。
【0366】(1)負極603の作製手順 平均粒径40μmのアルミニウム7%含有のラネー
ニッケル粉を塩化第二スズの水溶液に浸漬して、80℃
に加温してイオン化傾向の違いを利用してニッケル粉の
ニッケルの一部をスズに置換した。なお、得られたスズ
粉を酸に溶解してプラズマ発光分析で分析した結果、ス
ズの含有量は50原子%程度であった。 上記で得られた置換処理を施したスズ粉、平均粒
径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメ
ント状ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボー
ルミルにて混合した後、水素ガス気流中150℃で還元
処理を行い、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉
を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−
ピロリドンを添加しペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)の両面に塗布し、第一の層を30μmの厚みで
形成した。 球状黒鉛粉50重量%に球状酸化インジウム粉40
重量%とポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N
−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製し
た。 上記で得られたペーストを、上記において調製
した第一の層の上に、10μmの厚みに塗布し乾燥し第
二の層を形成した後、減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例35と同様にして二次電池を得た。
【0367】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0368】(実施例42)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて実施例22と同
様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例3
5と同じものを用いた。
【0369】以下では、図13を参照して、電池の負極
作製手順について説明する。
【0370】(1)負極603の作製手順 厚さ18μmの銅箔をアセトンとイソプロピルアル
コールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板
を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫
酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g
/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cm2
の電流を流し、銅箔(集電体501)の両面に粒径10
μm以下のスズの層(第一の層)を厚さ30μm、メッ
キで形成した。 平均粒径5μmの球状黒鉛粉90重量%にポリフッ
化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピ
ロリドンを添加しペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、上記において調製
したスズ層の上に、銅箔に10μmの厚みに塗布し乾燥
した後、150℃で減圧乾燥し第二の層を得た。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例35と同様にして二次電池を得た。
【0371】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0372】(実施例43)本例では、図13に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の
手順で作製したものを用いた点を除いて実施例35と同
様の手順で電池を作製した。すなわち、負極以外は実施
例35と同じものを用いた。
【0373】以下では、図13を参照して、電池の負極
作製手順について説明する。
【0374】(1)負極603の作製手順 厚さ18μmの銅箔をアセトンとイソプロピルアル
コールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板
を対向電極のアノードとして、硝酸ニッケル0.1M
(mol/l)水溶液を使用して、2.5mA/cm2
の電流を流し、電気流を制御して銅箔の両面の突起部に
酸化ニッケルを析出させた後、150℃で減圧乾燥し
た。 で得られた銅箔をカソード、SUS板を対向電極
のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫酸第一スズ
40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g/lを含有
した水溶液)を使用して、28mA/cm2の電流を流
し、銅箔(集電体501)の両面に粒径10μm以下の
スズの層(第一の層)を厚さ30μm形成し、100℃
で減圧乾燥した。なお、スズの粒径は電子顕微鏡観察に
て決定した。 で得られた金属スズ層の突起部に、と同様な操
作で電気量を制御して酸化ニッケルを析出し、100℃
で減圧乾燥した。 球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉1
0重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加し
ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、上記で突起部を部
分的に酸化ニッケルで被覆したスズ層(第一の層)の上
に塗布し乾燥した後、150℃で減圧乾燥し厚み10μ
mで第二の層を得た。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例35と同様にして二次電池を得た。
【0375】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0376】(実施例44)本発明では、図12に示し
た断面構造のコイン形のリチウム二次電池を作製した。
以下では、図12を参照して、電池の各構成部材の作製
手順を説明する。
【0377】(1)負極501の作製手順 平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径20μmのスズ
粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、長さ10μm、厚み
1μmのフレーク状銅粉を25:50:15:5の重量
比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉に
ポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混
合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを
調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)の両面に30μmの厚みに塗布し乾燥し第一の
層を30μmの厚みで形成した。 球状酸化亜鉛粉85重量%にポリフッ化ビニリデン
粉15重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添
加しペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、上記において調製
した第一の層の上に、10μmの厚みに塗布し乾燥し第
二の層を形成した後、150℃で減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、負極501を得
た。
【0378】尚、本実施例で作製する負極の集電体、第
一の層、及び第二の層について、実施例35と同様に単
層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の
層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比
抵抗が大きい関係となった。
【0379】(2)正極503の作製手順 電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4
のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウ
ム−マンガン酸化物を調製した。 上記において調製したリチウム−マンガン酸化物
85wt%に、アセチレンブラックの炭素粉5wt%と
ポリフッ化ビニリデン粉10wt%を混合した後、N−
メチル−2−ピロリドンを添加した。 上記で得られたペーストを、厚み20μmのアル
ミニウム箔(集電体504)に塗布乾燥した後、ロール
プレスで加圧して150℃で減圧乾燥して正極活物質層
の厚みを90μmの正極を作製した。 次いで、所定の大きさに切断し、正極503を得
た。
【0380】(3)電解液507の作製手順 十分に水分を除去したエチレンカーボネート(E
C)とジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合
した溶媒を調製した。 上記で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム
塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用
いた。 (4)セパレータ507 ポリエチレンの微孔セパレータを用いた。 (5)電池の組み立て 組み立ては、露点−50℃以下の水分を管理した乾燥雰
囲気下で全て行った。 正極缶506に正極503とセパレータ507を挿
入し、ポリプロピレン製のガスケット510を装着し、
電解液を注入し、負極501セパレータ507の上に積
層し、正極503と負極501間に圧力がかかるように
図12には不図示のステンレススチール製のスペーサを
挟み、負極キャップ505をかぶせ、かしめ機で正極缶
と負極キャップをかしめて密閉して電池を得た。この電
池は正極の容量を負極に比べて大きくした正極容量規制
の電池とした。
【0381】尚、実施例35〜44では、正極活物質と
して、負極の性能を評価するために、リチウム−マンガ
ン酸化物を使用した。しかし、これに限定されるもので
なく、リチウム−ニッケル酸化物、リチウム−コバルト
酸化物、リチウム−パナジウム酸化物、など各種の正極
活物質も採用できる。
【0382】また、電解液に関しても、実施例35〜4
4まで1種類のものを使用したが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0383】(参考例10)本例では負極として以下の
操作で作製したものを使用した点が実施例35と異な
り、実施例35における二層形成の負極の採用はしなか
った。
【0384】(1)負極603の作製手順 90wt(重量)%の黒鉛粉と10wt%ポリフッ
化ビニリデン粉を混合しN−メチル−2−ピロリドンを
添加ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔の両面に
塗布し乾燥した後その表面にロールプレス機で黒鉛から
成る層を90μmの厚みに調製して形成し、150℃で
減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例22と同様にして二次電池を得た。
【0385】(参考例11)本例では、実施例37の
(1)負極603の作製手順のにおいて、球状黒鉛粉
の混合を行わなかった点を除いて、実施例37と同様の
手順で電池の作製を試みた。
【0386】(1)負極603の作製手順で、平均粒
径20μmのスズ粉、平均粒径0.8μmのフィラメン
ト状ニッケル粉を75:20の重量比で遊星ボールミル
にて混合したところ、混合時に発生した熱でスズ粉が溶
融して、塊状のスズ−ニッケルが形成され、以降の負極
の作製に至らなかった。
【0387】(参考例12)本例では、実施例38にお
いて、(1)負極603の作製手順の平均粒径3μm
の珪素粉に替えて、平均粒径60μmの珪素粉を使用し
て負極を作製した点を除いて実施例38と同様の手順に
より電池を作製した。すなわち、負極以外は実施例38
と同じものを用いた。
【0388】(参考例13)本例では、実施例42にお
いて、(1)負極603の作製手順の電解メッキによ
りスズ層を厚み40μm形成し、手順とで第二層を
形成しないで負極を作製した点を除いて実施例42と同
様の手順により電池を作成した。
【0389】(参考例14)本例では、実施例42にお
いて、(1)負極603の作製手順の電解メッキによ
りスズ層を厚み40μm形成し、手順とで第二層の
形成手順の代わりに黒鉛をスパッタリングして第二層と
して単一材のカーボン層を厚み1μm形成して負極を作
製した点を除いて実施例42と同様の手順により電池を
作成した。すなわち、負極以外は実施例42と同じもの
を用いた。
【0390】(参考例15)本例では、実施例42にお
いて、(1)負極603の作製手順で形成したスズ層
被覆の銅箔を水素気流中で300℃で熱処理を施した
後、徐冷してスズ層のスズ粒径を100μm以上に高め
て負極を作製した点を除いて実施例42と同様の手順に
より電池を作成した。
【0391】(参考例16)本例では、実施例42にお
いて、(1)負極603の作製手順の電解メッキによ
りスズ層を厚み5μm形成し、手順とで第二層を厚
み35μm形成して負極を作製した点を除いて実施例4
2と同様の手順により電池を作成した。
【0392】(参考例17)本例では、実施例44にお
いて、(1)負極501の作成手順の第二層を形成し
ないで負極を作製した点が、実施例44とは異なる。す
なわち、負極以外は実施例44と同じものを用いた。
【0393】(電池の性能評価)実施例35から実施例
44で作製した電池と参考例10から参考例17で作製
た電池の、充放電サイクル試験を行い、電池の単位体積
当たりのエネルギー密度と、サイクル寿命についての評
価を行った。
【0394】充放電サイクル試験の条件は、正極活物質
から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量
/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時
間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験に
は、北斗電工製HJ−106Mを使用した。充放電試験
として、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放
電量とし、またサイクル寿命は電池容量の60%を下回
ったサイクル回数により評価した。単位体積あたりのエ
ネルギー密度(Wh/e)については〔平均作動電圧
(V)×放電電気量(Ah)〕/電池体積(l)の値に
て評価した。尚、電池体積については負極/セパレータ
ー/正極からなるユニットのセルの外形の体積として計
算した。リチウム電池の場合として、充電のカットオフ
電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.5Vに設
定した。
【0395】下記に、実施例35から実施例44で作製
した電池と参考例10で作製したリチウム二次電池の体
積当たりのエネルギー密度を参考例10で作製した電池
のエネルギー密度を1.0として規格化した値について
示す。
【0396】 作製した二次電池 体積当りのエネルギー密度の規格値 実施例35 1.6 実施例36 1.4 実施例37 1.5 実施例38 1.3 実施例39 1.6 実施例40 1.4 実施例41 1.6 実施例42 1.5 実施例43 1.5 実施例44 1.4 参考例10 1.0
【0397】以上に示す結果から、実施例35から実施
例44の二次電池は、負極に充電時にリチウムイオンが
インターカレートする黒鉛を用いた電池に対比して、よ
り高エネルギー密度を有することがわかった。また、実
施例35から44の二次電池の充放電のサイクル寿命に
関しては、実施例44の電池が参考例10のサイクル寿
命を多少下回るのを除き、ほぼ参考例5の電池と同等の
サイクル寿命が得られることがわかった。
【0398】二次電池における負極の第二層の有無の効
果を評価するために、参考例の電池のサイクル寿命に対
する実施例のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示
す。以下の数値は第二層を有する負極を用いた電池の寿
命が何倍長いかを示したものである。 (サイクル寿命の比較) 実施例の寿命回数を参考例の寿命回数で割った値 実施例42/参考例13 1.9 実施例44/参考例17 1.8 上記結果から、第二層を有した負極を使用した電池の方
が、サイクル寿命が長いことがわかった。
【0399】本発明の二次電池における負極の第一層の
主材の粒径の効果を評価するために、参考例(12、1
5)の電池のサイクル寿命に対する実施例(38、4
2)のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。以
下の数値は第一層の主材に粒径の小さなものを用いた電
池の寿命が何倍長いかを示したものである。 (サイクル寿命の比較) 実施例の寿命回数を参考例の寿命回数で割った値 実施例38/参考例12 1.9 実施例42/参考例15 2.7 上記結果から、負極の第一層には粒径の小さな主材を用
いた方が寿命が長くなることがわかった。
【0400】本発明の二次電池における負極の第二層の
有機高分子材との複合化の効果を評価するために、参考
例14の電池のサイクル寿命に対する実施例42の電池
のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。 (サイクル寿命の比較) 実施例の寿命回数を参考例の寿命回数で割った値 実施例42/参考例14 1.2 上記結果から、負極の第二層には有機高分子材との複合
材層を用いた方が寿命が長くなることがわかった。
【0401】本発明の二次電池における負極の第二層の
厚みの影響を評価するために、負極の厚みを同じにした
参考例16の電池の性能を1.0として実施例42電池
の体積当たりのエネルギー密度とサイクル寿命を評価し
た。結果を以下に示す。 (性能の比較) エネルギー密度の規格値 サイクル寿命の規格値 実施例42/参考例16 1.3 1.1 上記結果から、負極の第二層の厚みが厚すぎた場合に
は、本発明の特徴である高エネルギー密度が損なわれる
ことがわかった。
【0402】本発明の二次電池において負極の第一の層
の主材の元素置換の効果を検証する為、実施例39及び
37の電池のサイクル寿命の対比を行なった、具体的に
は、実施例37の電池の性能を1.0として、実施例3
9電池のサイクル寿命を規格化したところ、サイクル寿
命の規格値は1.2となった。この結果から、主材のス
ズの一部を銅やビスマスの元素で置換することにより、
寿命が延びることがわかった。
【0403】本発明の二次電池において負極の第一の層
の主材の粉末の表面を導電体の高い材料で被覆した場合
の効果を実施例40及び38の電池のエネルギー密度、
サイクル寿命を対比することで検証した。具体的には、
実施例38の電池の性能を1.0として、実施例40の
電池の体積当たりのエネルギー密度とサイクル寿命を規
格化した値を評価した。この結果、エネルギー密度の規
格値は1.1であり、サイクル寿命の規格値は1.3で
あった。この結果より、主材の珪素粉の表面を銅で被覆
することにより、集電性が向上し、エネルギー密度が向
上し、寿命が延びることがわかった。
【0404】本発明の負極の第一の層の導電補助材の形
状の効果を実施例35及び36の電池のサイクル寿命を
対比することで検証した。具体的には、実施例36の電
池の性能を1.0として、実施例35の電池のサイクル
寿命を規格化した値を評価した。この結果、サイクル寿
命の規格値は1.2であった。この結果より負極の第一
の層に形状の異なる導電補助材を使用することで、パッ
キング密度が向上して集電能が向上し、寿命が延びるこ
とがわかった。
【0405】以上の実施例の35〜44、参考例10〜
17の二次電池の性能評価の結果から、本発明の二次電
池では、サイクル寿命が長く、かつ、高エネルギー密度
を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
【0406】次に、負極活物質が亜鉛である二次電池の
例として、ニッケル亜鉛電池と空気亜鉛電池に、本発明
を適用させた場合に関して説明する。
【0407】(実施例45)本例では、図12に示した
断面構造のニッケル亜鉛二次電池を作製した。
【0408】以下では、図12を参照して、電池の各構
造物の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
【0409】(1)亜鉛負極501の作製手順 平均粒径20μmの酸化亜鉛粉に、平均粒径5μm
の球状黒鉛粉、長さ10μm、厚み1μmのフレーク状
銅粉を重量比85:5:5で遊星ボールミルにて混合
し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を上記混合物とポ
リ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混
合し、ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、銅のエキスパンドメ
タルに塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整
し第一の層(厚み125μm)を形成した。 スズ−インジウム酸化物(ITO)粉と黒鉛粉とカ
ルボキシメチルセルロース粉を重量比で45:45:1
0の比利率で混合し、水を添加してペーストを調製し
た。 上記で得られた酸化亜鉛の第一の層の上に、上記
で得られたペーストを塗布し乾燥した後、ロールプレ
ス機で厚みを調整し第二の層(厚み25μm)を得た。 次に所定の大きさに切断して負極を作製した。
【0410】尚、本実施例で作製する負極の集電体(銅
のエキスパンドメタル)、第一の層、第二の層について
実施例35と同様に単層での比抵抗を測定評価したとこ
ろ、集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一
の層に比較して第二の層の比抵抗が大きくなるような関
係となっていた。
【0411】(2)正極503の作製手順 水酸化ニッケルに、ニッケル粉を加えて、結着剤と
してカルボキシメチルセルロース、及び水を加えて、ペ
ーストを調製し、ニッケルの発泡体(住友電工社製セル
メット)に充填した後、乾燥、プレスして作製した。 次いで、所定の大きさに切断して正極503を作製
した。
【0412】(3)電解液507の作製手順 水酸化リチウムを添加した30wt%水酸化カリウム水
溶液を使用した。
【0413】(4)セパレータ507 浸水処理したポリプロピレン不織布を浸水処理した微孔
性のポリプロピレンフィルムでサンドイッチした100
μm厚のものを用いた。
【0414】(5)電池の組み立て チタンクラッドのステンレススチール材の正極缶506
に正極503とセパレータ507を挿入し、ポリプロピ
レン製のガスケット510を装着し、電解液を注入し、
負極501セパレータ507の上に積層し、正極503
と負極501間に圧力がかかるように図12には不図示
のステンレススチール製のスペーサを挟み、チタンクラ
ッドのステンレススチール材の負極キャップ505をか
ぶせ、かしめ機で正極缶と負極キャップをかしめて密閉
して電池を得た。
【0415】尚、このニッケル亜鉛二次電池は正極の容
量を負極に比べて大きくした正極容量規制の電池とし
た。
【0416】(参考例18)本例では、実施例45にお
いて、(1)負極601の作製手順の第二層を形成し
ないで負極を作製した点を除いて実施例45とは異な
る。即ち、負極以外は実施例45と同じものを用い電池
を作製した。
【0417】〔ニッケル亜鉛電池の評価〕以下では、作
製した電池の性能評価について説明する。性能評価は、
充放電サイクル試験において得られる、サイクル寿命に
ついて行った。
【0418】充放電サイクル試験の条件は、正極活物質
から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量
/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時
間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験
は、北斗電工製HJ−106Mを使用した。尚、充放電
試験としては、充電より開始し、電池容量は3サイクル
目の放電量とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下
回ったサイクル回数により評価した。ニッケル亜鉛電池
の場合としては、充電のカットオフ電圧を2.0V、放
電のカットオフ電圧を0.9Vに設定した。
【0419】実施例45と参考例18の二次電池のサイ
クル寿命を比較して、二次電池での負極の第二の層の効
果を検証した。具体的には、参考例18の電池の性能を
1.0として、実施例45の電池のサイクル寿命を規格
化した値により評価した。この結果、サイクル寿命の規
格値は1.7となった。この結果より本発明の負極の第
二層を採用することで、寿命がより延びることがわかっ
た。
【0420】(実施例46)本例では、図12に示す断
面構造の空気亜鉛二次電池を作製した。
【0421】以下では、図12を参照して、電池の各構
成物の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
【0422】(1)亜鉛負極501の作製手順 平均粒径20μm酸化亜鉛粉に、平均粒径5μmの
球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッ
ケル粉を重量比85:5:5で遊星ボールミルにて混合
し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を上記混合物とポ
リ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混
合し、ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、銅のエキスパンドメ
タルに塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整
し第一の層を形成した(厚み125μm)。 炭化タングステン粉とカルボキシメチルセルロース
粉を重量比で95:10の比利率で混合し、水を添加し
てペーストを調製した。 上記で得られた酸化亜鉛の第一の層の上に、上記
で得られたペーストを塗布し乾燥し第二の層を形成し
た後、ロールプレス機で厚みを調整した(厚み25μ
m)。 次いで、所定の大きさに切断し、負極501を得
た。
【0423】尚、本実施例で作製する負極の集電体(銅
のエキスパンドメタル)、第一の層、第二の層について
実施例35と同様に単層での比抵抗を測定評価したとこ
ろ、集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一
の層に比較して第二の層の比抵抗が大きくなるような関
係となっていた。
【0424】(2)正極503の作製手順 アセチレンブラックに二酸化マンガン、酸化ニッケ
ル、酸化コバルト、を混合し、ポリ4フッ化エチレン分
散水溶液を添加してペースト化したものをニッケルメッ
シュに塗布し乾燥後、ローラープレス機で厚みを調整し
た。 次いで、所定の大きさに切断し、正極503を得
た。
【0425】(3)電解液507 水酸化リチウムを添加した30wt%水酸化カリウム水
溶液を使用した。
【0426】(4)セパレータ507 浸水処理したポリプロピレン不織布を浸水処理した微孔
性のポリプロピレンフィルムでサンドイッチした100
μm厚のものを用いた。
【0427】(5)電池の組み立て チタンクラッドのステンレススチール材の空気取り込み
孔付き正極缶506に、空気拡散紙と撥水膜のポリテト
ラフルオロエチレンフィルムを挿入し、正極503とセ
パレータ507を挿入し、ポリプロピレン製のガスケッ
ト510を装着し、電解液を注入し、負極501をセパ
レータ507の上に積層し、正極503と負極501間
に圧力がかかるように図12には不図示のステンレスス
チール製のスペーサを挟み、チタンクラッドのステンレ
ススチール材の負極キャップ505をかぶせ、かしめ機
で正極缶と負極キャップをかしめて密閉して電池を得
た。
【0428】尚、この空気亜鉛二次電池は正極の容量を
負極に比べて大きくした正極容量規制の電池とした。
【0429】(参考例19)本例では、実施例46にお
いて、(1)亜鉛負極401の作製手順では球状黒鉛
粉、フィラメント状ニッケル粉を混合しないで、酸化亜
鉛粉に、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を添加し、酸
化亜鉛とポリ4フッ化エチレンの重量比が95:5にな
るように混合し、ペーストを調製して負極を作製した点
を除いて実施例46と同様に電池を作成した。
【0430】(電池性能の評価)以下では、作製した電
池の性能評価について説明する。性能評価は、充放電サ
イクル試験において得られる、電池の単位堆積当たりの
エネルギー密度と、サイクル寿命について行った。
【0431】充放電サイクル試験の条件は、正極活物質
から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量
/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時
間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験に
は、北斗電工製HJ−106Mを使用した。充放電試験
は、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放電量
とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイ
クル回数とした。単位体積当たりのエネルギー密度(W
h/l)については〔平均作動電圧(V)×放電電気量
(Ah)〕/電池体積(l)の値にて評価した。尚、電
池体積については負極/セパレーター/正極からなるユ
ニットセルの外形の体積として計算した。ニッケル亜鉛
電池の場合としては、充電のカットオフ電圧を2.0
V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定した。
【0432】本発明の二次電池における負極の第二の層
と第一層に添加した導電補助材の効果を検証する為、参
考例19の電池の性能を1.0として、実施例46の電
池の体積当たりのエネルギー密度とサイクル寿命を規格
化した値を評価したところ、エネルギー密度の規格値が
1.2、サイクル寿命の規格値が2.3であり、実施例
46の構成を採用することにより、集電性が向上に、エ
ネルギー密度が向上し、寿命が延びることがわかった。
こうして、本発明では、サイクル寿命が長く、且つ高エ
ネルギー密度を有する空気亜鉛二次電池が得られること
がわかった。
【0433】(参考例20)本例では負極として以下の
操作で作製したものを使用した点が実施例35と異な
る。具体的には、実施例35における負極の第二層の形
成に使用する材料が異なった。
【0434】(1)負極603の作製手順 平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径20μmのスズ
粉、球状黒鉛粉、フレーク状銅粉を25:50:15:
5:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、得ら
れた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:
5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加
しペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、アセトンとイソプロ
ピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体
501)の両面に塗布し乾燥し30μmの厚みの第一の
層を形成した。 上記で得られた第一の層より比抵抗の低い(1×
10-5Ω・cm)市販の銀ペーストを、上記において
調製した第一の層の上に、塗布し乾燥し160℃で熱処
理を施した第二の層を10μmの厚みに形成した後、1
50℃で減圧乾燥した。 次いで、所定の大きさに切断し、負極501を得
た。
【0435】尚、確認の為本参考例で作製した負極の集
電体(銅箔)上の第一の層及び第二の層について、実施
例45と同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一
の層に比較して第二の層の比抵抗が小さい関係となって
いた。
【0436】(参考例21)本例では、(1)負極60
3の作製手順で形成した第一層のスズ層の上に比抵抗
の低いアルミニウム層を形成して負極を作製した点を除
いて、実施例42と同様の手順で電池を作製した。
【0437】(1)負極603の作製手順 厚さ18μmの銅箔をアセトンとイソプロピルアル
コールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板
を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫
酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g
/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cm2
の電流を流し、銅箔(集電体501)の両面に粒径10
μm以下のスズの層(第一の層)を厚さ39μm、メッ
キで形成した。 上記で得られた第一の層スズ層より明らかに比抵
抗の低いアルミニウムの第二層を、上記において調製
した第一の層の上に、1μmの厚みに電子ビーム蒸着法
で形成した。 次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリー
ドをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得
た。 他の点は実施例42と同様にして二次電池を得た。
【0438】尚、確認の為本参考例で作製した負極の集
電体(銅箔)上の第一の層及び第二の層について、実施
例35と同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一
の層に比較して第二の層の比抵抗が小さい関係となって
いた。
【0439】(参考例22)本例では、実施例45にお
いて、(1)負極601の作製手順の第二層に比抵抗
の低い材料を用いて負極を作製した点を除いて、実施例
45と同様の手順で電池を作成した。
【0440】(1)亜鉛負極501の作製手順 平均粒径20μmの酸化亜鉛粉に、平均粒径5μm
の球状黒鉛粉、長さ10μm、厚み1μmのフレーク状
銅粉を重量比85:5:5で遊星ボールミルにて混合
し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を上記混合物とポ
リ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混
合し、ペーストを調製した。 上記で得られたペーストを、銅のエキスパンドメ
タルに塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整
し第一の層を形成した(厚み125μm)。 上記で得られた酸化亜鉛の第一の層の上に、第一
の層より比抵抗の低い2×10-4Ω・cmの市販の銅ペ
ーストを塗布し乾燥し第二の層を形成した後、ロールプ
レス機で厚みを調整した(厚み25μm)。 次いで、所定の大きさに切断して負極を作製した。
【0441】他の点は実施例45と同様にして二次電池
を得た。尚、確認の為本参考例で作製した負極の集電体
上の第一の層及び第二の層について、実施例35と同様
に単層での比抵抗を測定したところ、第一の層に比較し
て第二の層の比抵抗が小さい関係となっていた。
【0442】(参考例23)本例では、実施例45にお
いて、参考例22と同じ負極を用いて、実施例45と同
様にして電池を作製した。
【0443】尚、確認の為本参考例で作製した負極の集
電体上の第一の層及び第二の層について、実施例35と
同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一の層に比
較して第二の層の比抵抗が小さい関係となっていた。
【0444】<評価>二次電池における負極の第一層及
び第二層の比抵抗の効果を対比するために、参考例20
〜23の電池に対して充放電サイクル試験を行い、サイ
クル寿命を測定した。
【0445】充放電サイクル試験の条件は、正極活物質
から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量
/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時
間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験に
は、北斗電工製HJ−106Mを使用した。充放電試験
としては、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の
放電量とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下回っ
たサイクル回数により評価した。リチウム電池(参考例
20及び21)の場合では、充電時のカットオフ電圧を
4.5V、放電時のカットオフ電圧を2.8Vに設定し
た。ニッケル亜鉛電池(参考例22及び23)の場合
は、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオ
フ電圧を0.9Vに設定した。
【0446】二次電池における負極の第一の層及び第二
の層の比抵抗の関係を対比するために、参考例20〜2
3の電池のサイクル寿命に対する実施例(22、27、
32、33)の電池のサイクル寿命を評価した。結果を
以下に示す。 (サイクル寿命の比較) 実施例の寿命回数を参考例の寿命回数で割った値 実施例35/参考例20 2.6 実施例40/参考例21 2.1 実施例45/参考例22 3.4 実施例46/参考例23 3.7 上記結果から、第一層より比抵抗の高い第二層を有した
負極を使用した電池の方が、サイクル寿命が長いことが
わかった。
【0447】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
リチウムの酸化還元反応を利用した二次電池又は亜鉛の
酸化還元反応を利用した二次電池において、負極が充放
電サイクルを繰り返すと微粉化するという問題を解決で
き、更に、充電時に発生し、性能劣化の原因となるリチ
ウム金属または亜鉛金属のデンドライト析出の成長によ
る内部短絡が抑制できる電極構造体が提供される。ひい
ては、サイクル寿命の長い、高容量、高エネルギー密度
のリチウムイオンの酸化還元反応を利用した二次電池を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極構造体の構造の一例を模式的に示
す断面図。
【図2】(a)(b):本発明で用いる集電体の構造及
び処理について模式的に示す図。
【図3】本発明の電極構造体を構成する主材粒子の構造
を模式的に示す図。
【図4】本発明の電極構造体の構造の他の例を模式的に
示す断面図。
【図5】金属スズ又はスズ合金粒子の平均粒径と、これ
ら粒子を用いた二次電池の寿命及び充放電クーロン効率
の関係を示す線図。
【図6】金属スズ等から構成される層の密度、空隙率
と、これら層を有する電極構造体を用いた寿命及び電池
容量の関係を示す線図。
【図7】電解メッキ槽の構造を模式的に示す図。
【図8】電解メッキによる集電体上への層形成を行う装
置を模式的に示す図。
【図9】(a),(b)は本発明の電極構造体を二次電
池に用いた際における亀裂発生のメカニズムを示す図。
(c),(d)は比較となる電極構造体に用いた際にお
ける亀裂発生のメカニズムを示す図。
【図10】本発明の電極構造体の構造の更に別の例を模
式的に示す断面図。
【図11】本発明の二次電池の一例を示す断面図。
【図12】単層式偏平型電池の構造を示す断面図。
【図13】スパイラル式円筒型電池の構造を示す断面
図。
【図14】角形電池の構造を示す断面図。
【図15】本発明の実施例、参考例において二次電池の
負極の各層の電気抵抗を測定するための装置の構造を模
式的に示す図。
【図16】本発明の実施例及び参考例の電極構造体のX
RD回折チャートを示す図。
【図17】本発明の一実施例による電極構造体(充電
前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200倍)。
【図18】本発明の一実施例による電極構造体(充電
前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(1000倍)。
【図19】本発明の一実施例による電極構造体(充電
前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(3000倍)。
【図20】本発明の一実施例による電極構造体(充電
前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(20000
倍)。
【図21】本発明の一実施例による電極構造体(充放電
サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200
倍)。
【図22】本発明の一実施例による電極構造体(充放電
サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(100
0倍)。
【図23】本発明の一実施例による電極構造体(充放電
サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(300
0倍)。
【図24】本発明の一実施例による電極構造体(充放電
サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200
00倍)。
【図25】本発明の一参考例による電極構造体(充電
前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200倍)。
【図26】本発明の一参考例による電極構造体(充放電
サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200
倍)。
【符号の説明】
10 電極構造体 100 集電体 101 主材粒子 102、102’ 電極材料層 103 突起部 104 被覆層 105 コア部 106 被覆層 107 有機高分子材 108、109、110 導電補助材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 4/62 H01M 4/62 Z 4/66 4/66 A 4/70 4/70 Z 10/24 10/24 10/40 10/40 Z 12/08 12/08 K (72)発明者 小鈴 武 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 木村 浩直 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (135)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の集電体と、該板状の集電体の片面
    もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からな
    る主材35重量%以上を含有する電極材料層を有するこ
    とを特徴とする電極構造体。
  2. 【請求項2】 前記電極材料層の空隙率が0.10〜
    0.86である請求項1記載の電極構造体。
  3. 【請求項3】 充放電がなされる二次電池の電極に用い
    られ、放電後に前記電極材料層の表面に直径0.10〜
    10μmの範囲の細孔が形成される請求項1記載の電極
    構造体。
  4. 【請求項4】 前記電極材料層の厚みが5〜500μm
    の範囲内である請求項1記載の電極構造体。
  5. 【請求項5】 充放電がなされる二次電池の電極に用い
    られ、充放電が全くなされていない状態で前記電極材料
    層の表面の凹凸が1〜60μmの範囲内である請求項1
    記載の電極構造体。
  6. 【請求項6】 前記集電体がその表面に突起部を有し、
    該突起部が該集電体の材料より比抵抗の大きい材料で被
    覆されている請求項1記載の電極構造体。
  7. 【請求項7】 前記集電体の突起部を被覆する材料が、
    ニッケル、亜鉛、スズ、インジウムからなる群より選択
    される1種以上の元素の酸化物である請求項6記載の電
    極構造体。
  8. 【請求項8】 前記主材となる粒子の平均粒径が0.5
    〜20μmの範囲である請求項1記載の電極構造体。
  9. 【請求項9】 前記主材が、バルク状態での比抵抗1×
    10-6〜1×100Ω・cmの範囲である材料である請
    求項1記載の電極構造体。
  10. 【請求項10】 前記主材が、バルク状態での比抵抗1
    ×10-5〜1×10-1Ω・cmの範囲である材料である
    請求項1記載の電極構造体。
  11. 【請求項11】 前記電極材料層は主材50重量%以上
    含有する請求項1記載の電極構造体。
  12. 【請求項12】 前記電極材料層における主材が、珪
    素、ゲルマニウム、スズ、鉛、インジウム、マグネシウ
    ム、亜鉛からなる群より選択される一種類以上の元素か
    ら構成される材料からなる請求項1記載の電極構造体。
  13. 【請求項13】 リチウムの酸化還元反応を利用する二
    次電池用の電極として用いられ、前記主材が珪素、ス
    ズ、及びインジウムからなる群より選択された材料から
    構成される請求項1記載の電極構造体。
  14. 【請求項14】 亜鉛二次電池用の電極として用いら
    れ、前記主材が酸化亜鉛及亜鉛合金からなる群より選択
    された材料から構成される請求項1記載の電極構造体。
  15. 【請求項15】 前記主材となる粒子が、1種以上の金
    属材料から構成される層により被覆されている請求項1
    記載の電極構造体。
  16. 【請求項16】 前記電極材料層が、前記主材となる粒
    子に加えて導電補助材を含有する請求項1記載の電極構
    造体。
  17. 【請求項17】 前記導電補助材が炭素材料又は金属材
    料からなる請求項16記載の電極構造体。
  18. 【請求項18】 前記導電補助材が、電極材料層の1〜
    30重量%配合される請求項17記載の電極構造体。
  19. 【請求項19】 前記導電補助材の形状が、球状、フレ
    ーク状、フィラメント状、繊維状、スパイク状、針状か
    ら選択される請求項16記載の電極構造体。
  20. 【請求項20】 前記電極材料層が、前記主材となる粒
    子に加えて有機高分子材を含有する請求項1記載の電極
    構造体。
  21. 【請求項21】 前記有機高分子材が、電極材料層の2
    〜20重量%の範囲で配合される請求項20記載の電極
    構造体。
  22. 【請求項22】 前記電極材料層が、前記主材となる粒
    子に加えて有機高分子材及び導電補助材を含有する請求
    項1記載の電極構造体。
  23. 【請求項23】 前記電極材料層において、前記主材と
    なる粒子が金属スズ又はスズ合金から構成される請求項
    1記載の電極構造体。
  24. 【請求項24】 前記スズ合金において、スズ元素の含
    有比率が50%以上100%未満である請求項23記載
    の電極構造体。
  25. 【請求項25】 前記スズ合金が、スズ元素と、アンチ
    モン、ビスマス、鉛、ニッケル、銅、銀、亜鉛からなる
    群より選択される1種以上の元素との合金である請求項
    23記載の電極構造体。
  26. 【請求項26】 前記金属スズ又はスズ合金から構成さ
    れる主材の粒子の平均粒径が5〜50μmの範囲にある
    請求項23記載の電極構造体。
  27. 【請求項27】 前記金属スズ又はスズ合金から構成さ
    れる主材の粒子の結晶子の大きさが10〜50nmの範
    囲にある請求項23記載の電極構造体。
  28. 【請求項28】 前記電極材料層の空隙率が0.10〜
    0.86の範囲内にある請求項23記載の電極構造体。
  29. 【請求項29】 前記電極材料層の空隙率が0.31〜
    0.73の範囲内にある請求項23記載の電極構造体。
  30. 【請求項30】 前記電極材料層の密度が1.00g/cm
    3以上6.56g/cm3以下である請求項23記載の電極構
    造体。
  31. 【請求項31】 前記電極材料層の密度が2.00g/cm
    3以上6.00g/cm3以下である請求項23記載の電極構
    造体。
  32. 【請求項32】 充放電がなされる二次電池の電極に用
    いられ、放電後に前記電極材料層の表面に直径0.10
    〜10μmの範囲の細孔が形成される請求項23記載の
    電極構造体。
  33. 【請求項33】 前記電極材料層の厚みが5〜500μ
    mの範囲内である請求項23記載の電極構造体。
  34. 【請求項34】 充放電がなされる二次電池の電極に用
    いられ、充放電が全くなされていない状態で前記電極材
    料層の表面の凹凸が1〜60μmの範囲内である請求項
    23記載の電極構造体。
  35. 【請求項35】 前記電極材料層が炭素元素、窒素元
    素、酸素元素、弗素元素、硫黄元素からなる群より選択
    される1種以上の元素を含有する請求項23記載の電極
    構造体。
  36. 【請求項36】 前記炭素元素、窒素元素、酸素元素、
    弗素元素、硫黄元素からなる群より選択される1種以上
    の元素は、前記電極材料層の集電体と逆面側においてよ
    り高い比率で存在している請求項35記載の電極構造
    体。
  37. 【請求項37】 前記金属スズ又はスズ合金の粒子中あ
    るいは表面に、スズ酸化物を含む請求項23記載の電極
    構造体。
  38. 【請求項38】 前記電極材料層が、前記金属スズ又は
    スズ合金に加えて有機高分子材又は炭素材料を含有する
    請求項23記載の電極構造体。
  39. 【請求項39】 リチウムの酸化還元反応を利用した二
    次電池の負極に用いられる請求項23乃至38のいずれ
    かに記載の電極構造体。
  40. 【請求項40】 前記集電体上の平均粒径0.5〜60
    μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極
    材料層上に、無機材料80〜98重量%及び有機高分子
    材料2〜20重量%からなる層を有する請求項1乃至3
    9のいずれかに記載の電極構造体。
  41. 【請求項41】 前記電極材料層の主材を構成する材料
    のバルク状態での20℃における比抵抗が、前記集電体
    の材料の比抵抗より高く、且つ前記無機材料80〜98
    重量%を含有する層の無機材料のバルク状態の20℃に
    おける比抵抗が、前記電極材料層の主材を構成する材料
    のバルク状態での20℃における比抵より高い請求項4
    0記載の電極構造体。
  42. 【請求項42】 前記無機材料のバルク状態の20℃に
    おける比抵抗は、1×10-4〜1×102Ω・cmであ
    る請求項41記載の電極構造体。
  43. 【請求項43】 前記無機材料のバルク状態の20℃に
    おける比抵抗は、1×10-4〜1×101Ω・cmであ
    る請求項41記載の電極構造体。
  44. 【請求項44】 記無機材料80〜98重量%を含有す
    る層の厚みが、1μm以上30μm以下であることを特
    徴とする請求項40及至43のいずれかに記載の電極構
    造体。
  45. 【請求項45】 少なくとも負極、正極、及び電解質を
    有し、負極の活物質の酸化還元を利用して充放電を行う
    二次電池であって、 負極が、板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしく
    は両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材
    35重量%以上を含有する電極材料層を有することを特
    徴とする、二次電池。
  46. 【請求項46】 前記負極における電極材料層の空隙率
    が0.10〜0.86である請求項45記載の二次電
    池。
  47. 【請求項47】 放電の際に前記電極材料層の表面に直
    径0.10〜10μmの範囲の細孔が形成される請求項
    45記載の二次電池。
  48. 【請求項48】 前記電極材料層の厚みが5〜500μ
    mの範囲内である請求項45記載二次電池。
  49. 【請求項49】 充放電が全くなされていない状態で前
    記電極材料層の表面の凹凸が1〜60μmの範囲内であ
    る請求項45記載の二次電池。
  50. 【請求項50】 前記集電体がその表面に突起部を有
    し、該突起部が該集電体の材料より比抵抗の大きい材料
    で被覆されている請求項45記載の二次電池。
  51. 【請求項51】 前記集電体の突起部を被覆する材料
    が、ニッケル、亜鉛、スズ、インジウムからなる群より
    選択される1種以上の元素の酸化物である請求項50記
    載の二次電池。
  52. 【請求項52】 前記主材となる粒子の平均粒径が0.
    5〜20μmの範囲である請求項45記載の二次電池。
  53. 【請求項53】 前記主材が、バルク状態での比抵抗1
    ×10-6〜1×100Ω・cmの範囲である材料である
    請求項45記載の二次電池。
  54. 【請求項54】 前記主材が、バルク状態での比抵抗1
    ×10-5〜1×10-1Ω・cmの範囲である材料である
    請求項45記載の電極構造体。
  55. 【請求項55】 前記負極における電極材料層は主材5
    0重量%以上を含有する請求項45記載の二次電池。
  56. 【請求項56】 前記負極における電極材料層における
    主材が、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、インジウム、
    マグネシウム、亜鉛からなる群より選択される一種類以
    上の元素から構成される材料からなる請求項45記載の
    二次電池。
  57. 【請求項57】 リチウムの酸化還元を利用した二次電
    池であり、前記主材が珪素、スズ、及びインジウムから
    なる群より選択された材料から構成される請求項45記
    載の二次電池。
  58. 【請求項58】 負極活物質が亜鉛である二次電池であ
    り、前記主材が酸化亜鉛及び亜鉛合金からなる群より選
    択された材料から構成される請求項45記載の二次電
    池。
  59. 【請求項59】 前記主材となる粒子が、1種以上の金
    属材料から構成される層により被覆されている請求項4
    5記載の二次電池。
  60. 【請求項60】 前記負極における電極材料層が、前記
    主材となる粒子に加えて導電補助材を含有する請求項4
    5記載の二次電池。
  61. 【請求項61】 前記導電補助材が炭素材料又は金属材
    料からなる請求項60記載の二次電池。
  62. 【請求項62】 前記導電補助材が、電極材料層の1〜
    30重量%配合される請求項61記載の二次電池。
  63. 【請求項63】 前記導電補助材の形状が、球状、フレ
    ーク状、フィラメント状、繊維状、スパイク状、針状か
    ら選択される請求項60記載の二次電池。
  64. 【請求項64】 前記負極における電極材料層が、前記
    主材となる粒子に加えて有機高分子材を含有する請求項
    45記載の二次電池。
  65. 【請求項65】 前記有機高分子材が、電極材料層の2
    〜20重量%の範囲で配合される請求項64記載の二次
    電池。
  66. 【請求項66】 前記負極における電極材料層が、前記
    主材となる粒子に加えて有機高分子材及び導電補助材を
    含有する請求項45記載の電極構造体。
  67. 【請求項67】 前記負極における電極材料層におい
    て、前記主材となる粒子が金属スズ又はスズ合金から構
    成される請求項45記載の電極構造体。
  68. 【請求項68】 前記スズ合金において、スズ元素の含
    有比率が50%以上100%未満である請求項67記載
    の二次電池。
  69. 【請求項69】 前記スズ合金が、スズ元素と、アンチ
    モン、ビスマス、鉛、ニッケル、銅、銀、亜鉛からなる
    群より選択される1種以上の元素との合金である請求項
    67記載の二次電池。
  70. 【請求項70】 前記金属スズ又はスズ合金から構成さ
    れる主材の粒子の平均粒径が5〜50μmの範囲にある
    請求項67記載の二次電池。
  71. 【請求項71】 前記金属スズ又はスズ合金から構成さ
    れる主材の粒子の結晶子の大きさが10〜50nmの範
    囲にある請求項67記載の二次電池。
  72. 【請求項72】 前記負極における電極材料層の空隙率
    が0.10〜0.86の範囲内にある請求67項記載の
    二次電池。
  73. 【請求項73】 前記負極における電極材料層の空隙率
    が0.31〜0.73の範囲内にある請求項67記載の
    二次電池。
  74. 【請求項74】 前記負極における電極材料層の密度が
    1.00g/cm3以上6.56g/cm3以下である請求項67
    記載の二次電池。
  75. 【請求項75】 前記負極における電極材料層の密度が
    2.00g/cm3以上6.00g/cm3以下である請求項67
    記載の二次電池。
  76. 【請求項76】 放電の際に前記負極における電極材料
    層の表面に直径0.10〜10μmの範囲の細孔が形成
    される請求項67記載の二次電池。
  77. 【請求項77】 前記負極における電極材料層の厚みが
    5〜500μmの範囲内である請求項67記載の二次電
    池。
  78. 【請求項78】 充放電が全くなされていない状態で前
    記電極材料層の表面の凹凸が1〜60μmの範囲内であ
    る請求項67記載の二次電池。
  79. 【請求項79】 前記負極における電極材料層が炭素元
    素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、硫黄元素からなる
    群より選択される1種以上の元素を含有する請求項67
    記載の二次電池。
  80. 【請求項80】 前記炭素元素、窒素元素、酸素元素、
    弗素元素、硫黄元素からなる群より選択される1種以上
    の元素は、前記負極における電極材料層の集電体と逆面
    側においてより高い比率で存在している請求項79記載
    の二次電池。
  81. 【請求項81】 前記金属スズ又はスズ合金の粒子中あ
    るいは表面に、スズ酸化物を含む請求項67記載の二次
    電池。
  82. 【請求項82】 前記負極における電極材料層が、前記
    金属スズ又はスズ合金に加えて有機高分子材又は炭素材
    料を含有する請求項67記載の二次電池。
  83. 【請求項83】 リチウムの酸化還元反応を利用した二
    次電池である請求項67乃至82のいずれかに記載の二
    次電池。
  84. 【請求項84】 リチウムの酸化還元反応を利用した二
    次電池であり、前記負極において、充電状態の負極に含
    まれるスズ元素に対するリチウム元素の元素比率が、
    0.1以上3.52以下であることを特徴とする請求項
    67乃至82のいずれかに記載の二次電池。
  85. 【請求項85】 前記集電体上の平均粒径0.5〜60
    μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極
    材料層上に、無機材料80〜98重量%及び有機高分子
    材料2〜20重量%からなる層を有する請求項45乃至
    84のいずれかに記載の二次電池。
  86. 【請求項86】 前記電極材料層の主材を構成する材料
    のバルク状態での20℃における比抵抗が、前記集電体
    の材料の比抵抗より高く、且つ前記無機材料80〜98
    重量%を含有する層の無機材料のバルク状態の20℃に
    おける比抵抗が、前記電極材料層の主材を構成する材料
    のバルク状態での20℃における比抵より高い請求項8
    5記載の二次電池。
  87. 【請求項87】 前記無機材料のバルク状態の20℃に
    おける比抵抗は、1×10-4〜1×102Ω・cmであ
    る請求項86記載の二次電池。
  88. 【請求項88】 前記無機材料のバルク状態の20℃に
    おける比抵抗は、1×10-4〜1×101Ω・cmであ
    る請求項86記載の二次電池。
  89. 【請求項89】 前記無機材料80〜98重量%を含有
    する層の厚みが、1μm以上30μm以下であることを
    特徴とする請求項85及至88のいずれかに記載の二次
    電池。
  90. 【請求項90】 板状の集電体と、該板状の集電体の片
    面もしくは両面に、平均粒径0.5〜60μmの粒子か
    らなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を形成
    する工程を有することを特徴とする電極構造体の製造方
    法。
  91. 【請求項91】 前記電極材料層の空隙率を0.10〜
    0.86に制御する請求項90記載の電極構造体の製造
    方法。
  92. 【請求項92】 前記電極材料の形成を塗布により行う
    請求項90記載の電極構造体の製造方法。
  93. 【請求項93】 前記電極材料の形成を気相法により行
    う請求項90記載の電極構造体の製造方法。
  94. 【請求項94】 前記電極材料の形成をメッキ法により
    行う請求項90記載の電極構造体の製造方法。
  95. 【請求項95】 前記電極材料層における主材となる粒
    子が金属スズ又はスズ合金から構成される請求項90記
    載の電極構造体の製造方法。
  96. 【請求項96】 前記電極材料層の空隙率を0.10〜
    0.86の範囲内に制御する請求項95記載の電極構造
    体の製造方法。
  97. 【請求項97】 前記電極材料層の空隙率を0.31〜
    0.73の範囲内に制御する請求項95記載の電極構造
    体の製造方法。
  98. 【請求項98】 前記電極材料層の密度を1.00g/cm
    3以上6.56g/cm3以下に制御する請求項95記載の電
    極構造体の製造方法。
  99. 【請求項99】 前記電極材料層の密度を2.00g/cm
    3以上6.00g/cm3以下に制御する請求項95記載の電
    極構造体の製造方法。
  100. 【請求項100】 前記集電体上に電極材料層を形成す
    る工程を、電解液中での電気化学反応を利用した堆積反
    応(電解メッキ)により行う請求項95及至99のいず
    れかに記載の電極構造体の製造方法。
  101. 【請求項101】 前記電解メッキは、電解液中で、集
    電体をカソード、対向電極をアノードとして、カソード
    とアノード間に、直流電界、交流電界、パルス電界、こ
    れらの組み合わせた電界、から選択される電界を印加し
    て処理することにより行う請求項100記載の電極構造
    体の製造方法。
  102. 【請求項102】 前記電解液に、少なくとも、スズイ
    オンが0.001mol/l以上5mol/l以下含有されている
    ことを特徴とする請求項100記載の電極構造体の製造
    方法。
  103. 【請求項103】 前記電解液として、塩化物溶液、ふ
    っ化物溶液、硫酸塩溶液、シアン化塩溶液、ピロリン酸
    塩溶液、過塩素酸溶液、シュウ酸塩溶液、すず酸カリウ
    ム溶液、すず酸ナトリウム溶液、有機カルボン酸塩溶
    液、から選択されるスズ塩の溶液を用いる請求項100
    記載の電極構造体の製造方法。
  104. 【請求項104】 前記電解液の電解メッキ時の温度
    が、0℃以上85℃以下である請求項100記載の電極
    構造体の製造方法。
  105. 【請求項105】 前記対向電極として、金属スズ、も
    しくはスズ合金を用いる請求項100記載の電極構造体
    の製造方法。
  106. 【請求項106】 前記電界において、カソードの電流
    密度が、1mA/cm2以上50mA/cm2以下であることを特徴
    とする請求項101記載の電極構造体の製造方法。
  107. 【請求項107】 前記電界において、カソードとアノ
    ード間に印加する電圧が、0.05V以上10V以下で
    あることを特徴とする請求項101記載の電極構造体の
    製造方法。
  108. 【請求項108】 前記電解メッキにおいて、アノード
    とカソード間距離を2 以上50 以下とする請求項1
    01電極構造体の製造方法。
  109. 【請求項109】 前記電解メッキにおいて、アノード
    面積のカソード面積に対する比率を0.1以上1以下と
    する請求項101記載の電極構造体の製造方法。
  110. 【請求項110】 前記電解メッキにおいて、電解液中
    に、炭素元素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、硫黄元
    素、水素元素、から選択される少なくとも、一つ以上の
    元素から構成された物質を分散させる請求項100記載
    の電極構造体の製造方法。
  111. 【請求項111】 電解液中に分散させる前記物質とし
    て有機化合物を用いる請求項110記載の二次電池用負
    極の製造方法。
  112. 【請求項112】 前記有機化合物を、電解メッキ時に
    よって電極材料層に混入させる請求項111記載の電極
    構造体の製造方法。
  113. 【請求項113】 前記有機化合物として電解重合可能
    なモノマーを用いる請求項111記載の電極構造体の製
    造方法。
  114. 【請求項114】 前記電解重合可能なモノマーが、電
    解メッキ時に、カソード側で重合反応が生ずるものであ
    る請求項113記載の電極構造体の製造方法。
  115. 【請求項115】 前記電解メッキにおいて、電解液中
    に炭素材料を分散させることを特徴とする請求項84及
    至88記載の二次電池用負極の製造方法。
  116. 【請求項116】 電解液中に分散させる前記物質とし
    て炭素材料を用いる請求項110記載の二次電池用負極
    の製造方法。
  117. 【請求項117】 前記カーボンを、電解メッキ時によ
    って電極材料層に混入させる請求項116記載の電極構
    造体の製造方法。
  118. 【請求項118】 前記電解メッキにおいて、電解液中
    に界面活性剤を分散させる請求項100記載の電極構造
    体の製造方法。
  119. 【請求項119】 電解液に、少なくとも、0.01mo
    l/l以上2mol/l以下のスズイオンと、炭素元素、窒素元
    素、酸素元素、弗素元素、硫黄元素、水素元素、から選
    択される少なくとも一つ以上の元素から構成された物質
    を含む材料を用い、電解液の温度を10℃以上50℃以
    下に保ち、アノードに、カソード面積に対して0.5以上
    1以下の面積のスズもしくはスズ合金を用い、カソード
    とアノード間距離を、5 以上30 以下の範囲内に設
    定し、カソードとアノード間に、カソードの電流密度を
    3mA/cm2以上20mA/cm2以下とし、電圧0.1V以上5V
    以下の条件で、直流電界、交流電界、パルス電界、これ
    らの組み合わせた電界、から選択される電界を印加する
    ことにより、電解メッキを行い前記電極材料層を形成す
    る工程を行う請求項100記載の電極構造体の製造方
    法。
  120. 【請求項120】 前記集電体上に電極材料層を形成す
    る工程を、溶液中で酸化還元反応を利用した堆積反応
    (化学メッキ)により行う請求項95及至99のいずれ
    かに記載の電極構造体の製造方法。
  121. 【請求項121】 前記化学メッキは、化学メッキ溶液
    中で被処理体である集電体を処理するものである請求項
    120記載の電極構造体の製造方法。
  122. 【請求項122】 前記化学メッキの溶液として、少な
    くとも、還元剤とスズを含む塩と錯化剤からなる溶液を
    用いる請求項121記載の電極構造体の製造方法。
  123. 【請求項123】 前記化学メッキの溶液中に、炭素元
    素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、硫黄元素、水素元
    素、から選択される少なくとも1つ以上の元素から構成
    された物質を分散させる請求項121記載の電極構造体
    の製造方法。
  124. 【請求項124】 前記化学メッキにおいて、溶液中に
    有機化合物を分散させる請求項121記載の電極構造体
    の製造方法。
  125. 【請求項125】 前記化学メッキにおいて、溶液中に
    有機化合物を分散させ、該有機化合物を、前記電極材料
    層中に混入させる請求項121記載の電極構造体の製造
    方法。
  126. 【請求項126】 前記化学メッキにおいて、溶液中に
    カーボンを分散させること請求項121記載の電極構造
    体の製造方法。
  127. 【請求項127】 前記化学メッキにおいて、溶液中に
    カーボンを分散させ、該カーボンを、前記電極材料層中
    に混入させる請求項121記載の電極構造体の製造方
    法。
  128. 【請求項128】 前記化学メッキの溶液に、有機化合
    物と炭素材料のどちらか一方、もしくは両方を分散させ
    た、少なくとも、0.01mol/l以上2mol/l以下のスズ
    を含む塩と還元剤と錯化剤を含む溶液を用いる請求項1
    21記載の電極構造体の製造方法。
  129. 【請求項129】 前記電極材料層の形成後、該電極材
    料層の表面における金属スズ、もしくはスズ合金粒子の
    表面に生じる酸化物の除去処理を行う請求項95乃至9
    9のいずれかに記載の電極構造体の製造方法。
  130. 【請求項130】 前記酸化物を、アルカリ性もしくは
    酸性の水溶液中で処理する請求項129記載の電極構造
    体の製造方法。
  131. 【請求項131】 前記電極材料層の形成後、該電極材
    料層の乾燥工程を有する請求項95及至99のいずれか
    に記載の電極構造体の製造方法。
  132. 【請求項132】 前記電極材料層の形成後、該電極材
    料層のプレス工程を有する請求項95乃至99のいずれ
    かに記載の電極構造体の製造方法。
  133. 【請求項133】 少なくとも負極、正極、及び電解質
    を有し、負極の活物質の酸化還元を利用して充放電を行
    う二次電池の製造方法であって、負極として、請求項9
    0乃至133のいずれかに記載の方法により得た電極構
    造体を用いることを特徴とする二次電池の製造方法。
  134. 【請求項134】 前記二次電池がリチウムイオンの酸
    化還元反応を利用した二次電池である請求項133記載
    の二次電池の製造方法。
  135. 【請求項135】 前記二次電池が亜鉛を負極活物質と
    する二次電池である請求項133記載の二次電池の製造
    方法。
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